ある日の放課後。いつものように部室に向かうと、夜空と幸村と理科がいた。
「お帰りなさいませ、ご主人様♪」
理科はメイド服を着ていた。
「メイド服を着ていた…ってなんで単なる事実の羅列だけなんですか!?」
「人の心を読むんじゃねえ」
「愛くるしい後輩がこんなフリフリでキュートな衣装着てるんですよ!何かもっと言うべき事があるのでは?」
「えーあーうんそうだな、いいんじゃないか」
「ファーーーック!!その超適当そうな感想やめろ!先輩のバーカバーカ!インポテンツ!!黄土色パイナップル!!」
口を尖らせて抗議の声を上げる理科。
せっかく良いと褒めてやってるのになぜ罵られるのかわからない。
元スレ
メイド星奈「おかえりなさいませ、ご主人様♪」 小鷹「!?」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1316275865/
むしろ、正直なところこいつのメイド姿にはいい印象がない。
ツンデレメイドという名目で繰り返し脛を蹴られた時を思い出す。
意味不明なまま空気椅子の状態にさせられ、あの時は本当に心が折れかけた…。
「…しかしなんでそんな恰好してるんだ」
個人的には全力で放置したいところだったが、それでまたキレられても困るので一応構ってやることにする。
「むふふ…知りたいですか?理科のひみつ、し・り・た・い?(はぁと)」
(うぜぇ…)スタスタ
「せ、せんぱいスルーしないで!あんっ、でも!そんなドSな小鷹先輩もまた魅力的…♥ハァハァ…」
こいつとのやり取りは毎度思うが疲れる…。
「と、いうわけでメイド喫茶に行ってみましょう!」
「と、いうわけでって何の脈絡もないんですが!?」
「おっと、ようやくツッコミが冴えてきましたね先輩。理科がメイド服を着る→
小鷹先輩がその姿にイチコロに→メイド喫茶に行こう!実に合理的な流れじゃないですか」
「待てそもそも非合理的にも程があるしその矢印の2番目の事実が存在した覚えもない」
「あれ?おかしいですねー、この間は小鷹先輩理科のメイドさんで泣いて喜んでましたよね?」
「あんな精神的物理的ダメージを与える接客で誰が嬉し泣きするか!」
「…まったく、いつまでアホな会話をしてるんだ貴様らは」
読んでいた本から顔を上げる夜空。相変わらず不機嫌な仏頂面をしている。
「夜空先輩もどうですか?メイド喫茶」
「も」ってなんだ「も」って。
「メイドごっこならこの前やっただろう。もう十分だ」
「ごっこじゃなくて、実際のお店に行くんですよ!」
「興味ないな」
上に同じ。隣人部でそんなものに興味あるのはこいつと星奈くらいじゃないか。
星奈は入り浸っているとまで言ってたし。
すると理科はハァと溜息をつき、なぜか挑発するような調子で、
「夜空先輩ひょっとして知らないんですかぁ?いまやメイド喫茶はオタクだけでなく、
友達の多いリア充も沢山集うスポットであることを…」
「なに……?」
「友達と一緒に行ってメイドさんと写真とったりキャッキャウフフして楽しむリア充的スポットであることを…」
「なん…だと…」
「将来友達ができたときに備えて、予行演習の意味も込めて行くのも悪くないと思いますけど?」
友達とワイワイ遊ぶなら絶対もっと他にまともなスポットあるよな…まぁこんな胡散臭い話に騙される奴が。
「ふむ…メイド喫茶か。悪くないな」
いるんだな!これが。こいつどうも理科には相性的に弱いんじゃないか…。
「決まりですね!日程ですが、明日の昼とかどうですか?ちょうど土曜日ですし」
「わたくしはあにきが行くと申されるのでしたら、たとえちのはてでもお慕いいたします」
執事服で俺の背後でぼーっと立っていた幸村がようやく口を開く。つか、断じてそんなこと申してないが。
だがそんな俺の意見は、例のごとく華麗にスルーされるのであった。
そして土曜日。永夜駅前。
「誰も来ねぇ……」
集合時刻は午後1時。そして現在1時30分。
夜空・理科・幸村からはいまだ何の連絡も無い。
一番乗り気でない俺が一番先に来て他のメンバーを待つという奇妙な状況になっている。
すると携帯が鳴った。メールの送り主は…理科だった。
タイトル:うっふん
本文『うしろすがたって はぁはぁ きみょうなエロスを感じませんか?そうですねたとえば ウツボが這い回る姿とか』
相変わらず訳がわからない文章を送りつけて来る理科。前は確か縦読みだったか…面倒だが改行してみる。
『ううはきそウ』
何か酔ってるぞコイツ!?とりあえず『大丈夫か』と返信。
タイトル:きもちわるい
本文『うう、俺の右手が疼く…くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきか
こけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきくきこきかかか─────っ!!』
「…」
『帰ってねろ』とだけ打って送信する。本当は元気なんじゃないかこいつ…。
またメールが来る。今度は幸村だ。
タイトル:一筆啓上 羽瀬川小鷹様へ
本文『拝啓羽瀬川小鷹様。錦秋の候、貴兄におかれましては(長いので省略
さて本題へと移らせていただきます。本日明朝より高熱が出て誠に勝手ながら馳せ参じること能わず。
この度の不敬、腹を切って詫びる所存なり』
幸村が体調を崩すなんて珍しい。『腹切らなくていいから安静にしとけ』と返信する。
少し経ってまたメールを受信する。夜空からだ。
タイトル:すまん
本文『私には永夜はレベルが高すぎる。別に人が多いのが嫌なわけじゃないが、
やはり地元が一番落ち着く。そういうわけで別に人混みが苦手というわけでは決してないが、今日は辞退させてもらう』
大都会に出ようとして失敗した田舎住まいの人間を思わせる夜空のメールに対して、『わかった』とだけ返す。
…って結局誰も来ないんじゃねーか!現地集合って時点で嫌な予感はしていたけど。
しばらく考えたあと、何もせずに帰るのももったいないので永夜の街をブラブラ歩き回ることにした。
さすがこの地方の中心都市だけあって、人が多い。
カップルやリア充っぽい集団を見るとなんともやるせないが、いろんな店があって結構面白い。
適当に歩いていると、メイド服を着た女性が客と思しきカップルに丁寧なお辞儀をしているのが目に入った。
あれが噂のメイド喫茶というやつだろうか。
…………。
……なんで俺は先ほどから店の前を行ったり来たりしているんだろう?
理由は至極単純明快。気になる。
…一度未知の世界を体験するのも悪くないよな、うん。
いや、待てよ。このまま店に入って大丈夫か?
悲しいことに普通に歩いていても怯えながら避けていく人がいるんだよな…。真面目に悲しい話だけど。
というわけで俺は某激安の殿堂でオシャレな感じのサングラスとニット帽を購入した。
…怪しくないか、これ。買ってからふと思ったが、終始ビビられながら接客されるよりはマシだろう。
ではいざ行かん、俺はゆっくりと店のドアを開けた。
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
予想していた通りのお出迎え。うぉ~…隣人部以外の人にこうして実際に言われると恥ずかしいなこれ!
テーブル席に案内され(カウンター席は満員だった)、店についての説明を受ける。
食事以外にも追加でオーダーを頼めば、メイドさんと写真を撮ったり、ゲームをしたりすることもできるらしい(もちろん有料)。
とりあえず俺は無難にコーヒーとケーキのセットを注文した。
出された水を飲みながら辺りを見回す。
一見クラシカルな普通の喫茶店だが、可愛らしいぬいぐるみが沢山置いてあり、かなりファンシーな雰囲気だ。
いかにも気の弱そうな青年もいれば、カップルも結構見受けられる。
一人で来ている女性もいれば、中年のオッサンものんびりくつろいでいる。
思いのほか客層が広くて、意外だった。
「お待たせしました♪ケーキセットでございます♥」
お、思ったよりも早いな。
……ん?
………この声なんか聞き覚えがあるような。それも凄い身近なとこで。
顔を上げるとそこには、
金髪碧眼で、蝶の髪飾りをつけた、はちきれんばかりの肉を擁したツインテールのメイドが立っていた。
「ぶ─────────っ!!!」
全力で水を噴出す俺。
「ご、ご主人様!?」
困惑するメイドに対して、俺はアホの子みたいに口を開けて唖然としていた。
「大丈夫ですか…?」
放心状態の俺を心配そうに覗き込む星奈(メイド)。
「だ、大丈夫です(裏声)」
サングラスとニット帽を装備していて良かった…。もしバレていたらどうなっていたことか。
すると星奈はニコッと無邪気な笑みを浮かべ、
「よかった♪ではこちらのケーキがおいしくなるようにおまじないをかけますね!せーのっ」
両手でハートマークを作ると、
「おいしくな~れ、萌えもえ~~~~~~~キュン♥」
ウインクをしながら、前にどこかで聞いたことがあるような謎の呪文を放った。
………………。
………………………………。
俺の中の時間が凍結する。一体どうしろと言うんですか、これは…。
「さぁ、ご主人様もご一緒に♪おいしくなぁれ☆」
いや、ご一緒する気になれないんだが。
俺は全身に寒気とむず痒さを感じながらぎこちない手で微妙なハートマークを作り、
「萌えもえ~~~~~~~~キュンキュン♥」
「も、もえもえキュン……」
ノリノリ状態の星奈に合わせておいしくなる魔法を唱えた。
なんじゃこれ…恥ずかしすぎる。
「それではごゆっくりお召し上がりくださいませ☆」
「ど、ども(裏声)」
語尾に様々な記号を飾り付けて、満面の笑み(なぜか半分ドヤ顔)で去っていく星奈。
しかし…まさかこいつ、メイド喫茶でアルバイトをしていたとは…。
人一倍プライドが高くて自分を神だと思って疑わない星奈の性格を考えると、あまりにも意外だ。
一体何がどうなって、そうなって、こうなって、今の状況を作り出したのか。
…とりあえず食うか。なかなかウマイ。
星奈の魔法のおかげかどうかはわからないが。
ケーキを食べ終え、コーヒーを啜りながら脇においてあるメニューに目をやる。
※ 萌え萌えじゃんけん☆げーむ…1回500円
じゃんけんするだけで500円かかるとは、なんとも恐ろしい世界を垣間見ている気分になるが実際どういったものなんだろうか。
こういう場所ではある程度吹っ切れないと楽しめないのかもしれない。ということでオーダーしてみることに。
しばらくして一人の金髪メイドさんがやって来て、俺の目の前の席に座る。
…非常に刺激的な位置にある豊満な胸が気になってしょうがない、一応俺も健全な男の子ですから。
って ま た お 前 か!
「どーかしましたか、ご主人さま?」
首をかしげながら見つめてくる星奈(メイド)。…不覚にもドキッとしてしまった。
「な、なんでも…(裏声)」
「じゃあ最初はあたしがやってみせますんで、しっかりポーズを覚えてくださいねっ!」
そういうと星奈は、両手をグーの形にして、
「萌え萌え♪」
猫のようなポーズを取った。なにこれかわいい。次は手をチョキにして、
「じゃんけん♪」
最後に頭の上でまっすぐ指を伸ばしてウサギ?のようなポーズで、
「じゃんけん、ぽんっ」
…なるほど、わからん。女の子がする分には目の保養になると思うが、
俺みたいな野郎がにゃんにゃんやったところで地球上の誰が得するというのか…。いや、理科は喜ぶかもしれん、変態だし。
「でわでわスタートー!萌え萌えじゃんけん!」
そして勝手に始める星奈。テンションの高さに若干ひきつつ、
「じゃんけん、ぽんっ!」
ポーズを作るだけで必死な俺は、後出し気味になっているにもかかわらず負ける。
合計で5回やるものの、全部負けてしまう。あれ俺こんなジャンケン弱かったっけ…地味にショックだ。
「きゃはっ、あたしの完☆全☆勝☆利☆ご主人様ってジャンケン弱いんですね♪」
こいつの素が出てきている気がするけど、なぜか不思議なことにあまりイラッとしない。
「ご主人様には罰ゲーム!」
「罰ゲーム?(裏声)」
するとそのメイドはニヤリと笑って、
「…あたしの足を舐めなさい♥」
うわー完全にメッキが剥がれて通常モードに戻ってますね…いや客に何を強要してるんだこのメイド。
沈黙する俺に対して星奈は狼狽気味に、
「じょ、冗談ですよジョーダン!べ、別にメイド姿で女王様気分を楽しみたいなんて思ってるわけじゃないんだからねっ!!」
いつからツンデレ喫茶になったんだここは…。
「…本当に舐めてくれる人もいるんだけどな」ボソッ
ドン引きするセリフを俺は聞き逃さなかった。
「いってらっしゃいませ、ご主人様!」
じゃんけんゲームも終わり、別のメイドさんに見送られて店を出る。
帰りの電車の中で、俺はそのままの恰好でボケーッと窓の外を見ていた。
星奈のメイド姿。以前部室で見た時ほどぱっつんぱっつんでは無かったが、
それでも迫力のあるおっぱ…肉だった。それに、なんつーか、普通に可愛かった。
また行ってみるのもアリだな…メイド喫茶という新たな世界の研究の為に。
そして翌週。部室に行くと、そこには気味の悪い笑みを浮かべてPSPのゲームに熱中している星奈がいた。
他はまだ誰も来ていない。
「よ、よう」
土曜のこともあって、どうもぎこちなくなってしまう俺。星奈は「ん~」と素っ気無い返事をする。
どうやらあの時のニット帽の怪しい男が俺だとはバレていないようだ。
「あ、小鷹。あんたのクラス今日英語のテストあった?」
ふと思い出したように言う星奈。
「あの長文問題ばっかりのやつか?あったけど…それがどうかしたか」
「あたしのとこでもあったのよ!ねえ、答え合わせしないっ?」
「えー…」
「なによその嫌そうな顔は。あたしの完璧な解答を直々に披露してあげるって言ってんのよ!」
答えあわせって言ってもこいつ絶対合ってるだろうしな…
自分のミスした箇所を一方的に思い知らされるだけの答え合わせなんて面白いはずもなく。
「ねーねーってばー」
「…しょうがないな」
俺はカバンから問題用紙を取り出す。
「この四角2の③の接続詞の問題だけど」
「これはウのthereforeね」
「え?howeverじゃないのか?」
「はぁ?文章よく読みなさいよ。なんでここで逆説のhoweverが来るのよ」
確かにもう一度訳して読み直すと、俺の選んだ答えでは不自然に思える。
「しかも接続詞じゃなくて副詞だし!超ウケルんですけどクスクスぷすーーーっ!」
「じゃ、じゃあ四角5の④はどうだ!これは間違いなくwhichだろ!」
「前置詞がないからwhereね」
「なん、だと…」
「あはははは!小鷹のぶわあああああああか!」
クソッ、むかつく…夜空の言うとおり、星奈が相手の答え合わせなんて微塵も面白くない。
「ね、ね、次はー?」
「知らん。俺みたいなブアアアアアカと答え合わせやっても仕方ないだろ」
「ちょっと!中三のときの前の席の青山さんと同じこと言わないでよぉ!」
半分涙目の星奈。…どうしてこいつは打たれ弱いくせにすぐ調子に乗るんだろう。
そして、そんなこんなであっという間に金曜日。
俺は部活を休み、家に戻って小鳩のための夕食を準備した後、ニット帽とサングラスを着用して永夜駅に向かった。
最近、毎週金曜は星奈は部室に寄らずそのまま帰っている。
「どうせ肉のことだ、くだらんゲームに没頭するためだろう」
と夜空は言っていたが…。
すっかり日の暮れた頃、俺はメイド喫茶『ほ~む☆めいど』のドアをくぐった。
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
深々と丁寧なお辞儀をし、眩しいほどのスマイルを浮かべている星奈(メイド)。
俺は前と同様にテーブル席を選んだ。
いい具合に腹も空いていたので、オムレツを注文する。詳しくは知らないが、メイド喫茶では定番のメニューらしい。
「お待たせしましたぁ、当店特製のスペシャルオムレツでございます♪」
見た感じ、何の変哲もないオムレツだ。
「ご主人様、何か描いて欲しい絵はありますか?」
「へ?」
そういうサービスがあるのか…しかしいきなり言われても特に思いつかないから困る。俺は少し考えて、
「メイドさんの一番好きなものを描いてください(裏声)」
「好きなもの…え~っと」
少し悩んでから星奈はゆっくりとケチャップで絵を描いていく。
そして出来上がったものは。
ツインテールの女の子(ご丁寧にヘッドドレスまでついてある)の絵と、その下には『LOVE KOBATO』の文字。
………………おい。
「あ、この娘はとあるゲームのキャラクターなんですけど、
いつもツンツンしてるけどたまにデレたりしてすっごくかわいくて!その、ぺろぺろしたくなるっていうか…」
客の前でさらりと嘘をつく金髪碧眼メイド。どうみても人の妹です、本当に(略
そしてぺろるな。
「ではおいしくなるおまじないをかけますね!ご主人様もご一緒におねがいします♪」
あ、あの儀式か…。
「おいしくな~れ、萌えもえ~~~~~~~~~~こばとちゃん♥」
「キュンキュンじゃねえのかよ!(裏声)」
この時地声が出ずに済んだのはまさに奇跡としかいいようがない。
オムレツを口に運びながら星奈のほうを見る。
本当に楽しそうにやってるなぁ…普段部室であそこまでイキイキしてるあいつは見たことが無い。
でも、まぁ、あの星奈がアルバイト…いい社会勉強になるんじゃないだろうか。
ちなみに俺はバイトの面接は何回か受けたことがあるが、
全部驚くほどにあっさりと落とされたのでいまだ未経験だ。どうせ見た目なのはわかってる…わかってる…。
ふとメニューの『チェキ』の文字が視界に入る。
……………………。
記念に頼んでみようか。
「それじゃあお好きなメイドを一人選んでくださいねっ」
また別のメイドさんから説明を受ける。えっ、指名できるのかこれ…。
悩みに悩んだ結果、俺はボードの右端に写っている金髪ツインテールのメイドを選択した。
「ありがとうございます、ご主人様♥」
いつもの残念な状態からはとても考えられないような、甘ったるい声で微笑みかける星奈。
ヤバイ、ギャップが激しすぎて途轍もない破壊力だ…!
思わず目をそらしてしまう。
そして別のメイドさんがインスタントカメラを持ち、メイド星奈のツーショットタイム。
「ご主人様、ちょっと手を出して」
そう言うと星奈は俺の左手をとって自分の右手とくっつけた。
「ほら、ハートマーク♪かわいいでしょ」
な、なんちゅうことを…。ただでさえ無駄に心拍数が上がっているというのに、恐ろしい奴!
「1たす1は?」
「にー!」
「…」ドキドキ
カシャッ。
そして出来上がった写真といえば。
右側には顔を赤くして口を引きつらせているいかにも怪しいサングラスの男。
その横にはまるでアンダルシア地方に咲き誇るヒマワリのような、屈託の無い笑顔の星奈がいた。
下のほうには『LOVE ご主人様 ♥ by せな』の文字と、可愛らしい猫の絵。
くおおおおおおおおおおっ…これは…くぉるぇは……!
事あるごとにバカだのキモいだの罵られている身としては、
正直そこに写っている星奈は幻覚の一種か何かにすら思える。あるいはこれは夢か、試しに右の頬を引っ張ってみようか、痛い。
店を出てもしばらくの間、もらったチェキをニヤニヤと眺めていた。
「……また来るか」
そう心に誓う俺だった。
それからというもの、毎週金曜と土曜はそのメイド喫茶に通うのが俺の日課となった。
理由は…端的に表現するなら、星奈の普段とは違う一面を見れるから。
デフォルトの残念な状態が解除されたらここまで素晴らしいものになるとは、恐ろしいぜ。
そんな感じで数週間が経過したある日。事件が起こった。
金曜日、俺は例によって部活を休み『ほ~む☆めいど』へ向かった。
永夜へ行く途中奇妙な視線を何度か感じたが、そういった視線の類には慣れているので特に意に介さなかった。
店に入り、注文したコーヒーを飲んでいると。
「お帰りなさいませ、お嬢さ……ま゙っ!?」
背後で星奈の変な声(かなり低めで野太い)が聞こえた。
振り向くとそこには非常に見覚えのある黒髪の少女、
三日月夜空が聖クロニカ学園の制服を身に着けたまま青白い不健康な顔色で立っていた。
「ぶっ!?ゲホッゲホッ!」
思わず俺もむせる。なんで夜空がここに…。
もしやあの視線の正体は…コイツだったのか?
星奈はというと、まるでRPGで石化魔法でも唱えられたかのように固まっていた。
一方の夜空も無理やり人ごみを抜けてきたせいか、かなり顔色が悪い。
なんだこの状況は…。
「おい…そこのメイド…客に挨拶の一つもできないのか」
血色の悪い顔で夜空が不機嫌そうに呟く。
「お…お・か・え・り・な・さ・い・ま・せ、おじょうさま」
無理やり作った渾身のスマイルで星奈が答える。
そして夜空は俺のすぐ隣の席に腰を下ろした。
なんてことだ…星奈がここでアルバイトしていることに加えて、
俺が毎週変装してメイド喫茶に通っている事実まで確実にバレてしまっている。
頭を抱える俺をよそに夜空は星奈(メイド)を呼びつける。
「おいメイド、今日のオススメはなんだ」
「お、おすすめ!?えーっと…ほ~む☆めいど特製スペシャルパフェでございま~す♪(スマイル)」
「ふむ…これか。1500円?高すぎだろ、ボッタクリかこの店は」
「そ、そんなことは…」
「写真を見る限りどうみても原価は500円もしないだろう。詐欺にも程がある」
「(ムカッ)失礼ですがお客様、当店の料理は全てメイドの愛情が込められていますので、
値段についてどうこういうのはいかがなものかと」
「愛情?あ・い・じょ・うって(笑)本気で言ってるのか?」プゲラ
明らかに小馬鹿にした態度で言う夜空。
「……」ワナワナ
星奈は半分涙目になって震えている。さすが夜空、星奈をいじることに関しては天才的だ。
もはや営業妨害レベルの気もするけど。
「…ハァ。とりあえずこの特製オムレツ?とやらを頼んでやることにしよう」
そして別のメイドが料理を持ってくるが、夜空はまたもや星奈を呼んだ。
「おい、確かケチャップで絵を描くサービスがあるんだったな」
なんで知ってるんだ…事前に調べてたりするのか。
「そうですね」
星奈はなげやりな声で答える。
「では一つリクエストしてやろう…そうだな」
「ただいまの時間帯は残念ながらリクエストは受け付けておりません、お嬢様♥」
怒りをにじませた笑みを浮かべながら、ケチャップを高速で振り回して絵を描いていく星奈。
完成した絵は……どうみてもう○こです本当に。
「だーーーーーっ!何をするバカ肉!!」
「あら、ごめんなさい手が滑っちゃったぁ、てへ♥」
手が滑ってどうやったらう○この絵になるんだろう。
「きゃ、客が食べるものになんてことを…店長を出せ!」
興奮気味に夜空が訴える。
「店長はただいまご不在でーす♪」
言いながらケチャップをドバドバ投下していく星奈。オムレツは見るも無残な姿になっていた。
食べ物を粗末にするのはやめましょう。
「チッ…おいメイド、あの変な呪文はやらないのか」
「ただいまの時間帯、そのサービスは受け付けておりません」
「向こうのメイドはやっているようだが?」
夜空が指差した先では、他のメイドさんがちょうどおいしくなる魔法を楽しそうに唱えていた。
「くっ…」
歯噛みする星奈。
「さぁ、早くしろ。オムレツが冷めるではないか」
「お、お、お・い・し・くなあれ、萌え、もえ……………」
震える手で星奈はハートマークを作る。もうほとんどヤケクソに見える。
「萌え…萌え…………………キュンキュン♥」
「……」
「……」プルプル
全身を小刻みに震わせながらウインクした状態で静止する星奈に対して。
「頭、大丈夫か?」
「あんたがやれって言ったんでしょうがああああああああああああ!!」
こいつらはケンカしないと気が済まないのか…こめかみを抑える俺。
さすがにやりすぎたと思ったのか、その後は黙々とケチャップまみれのオムレツを食べる夜空。
するとカバンの中から何やら黄色いものを取り出した。…バナナの皮だ。
無造作にそれを放り投げる。非常に嫌な予感がする。
前から歩いてきたメイド…星奈はそのトラップに気付かずに見事なまでに引っかかった。
「きゃあああっ!?」
ズデーン。派手にすっ転ぶ星奈。
短めのスカートが完全にめくれ、ニーソックスに包まれた『肉』感のある太ももの奥には、まばゆいまでに白一色の世界が広がっていた。
「ぶふっ!?」
追加でオーダーしたメロンソーダを噴出す俺。他の客(特に男性客)からも驚嘆あるいは歓喜の声が上がる。
…とりあえず清楚な色で良かったと思う。うん。
「あいたたた…なんなのよもう…ってうぎゃああああああ!?」
慌ててスカートを抑えるも、時すでに遅し。星奈は顔を真っ赤にして、
「ええと、その、あの、えとユニバアアアアアアアアアアアアアアアス!!」
泣きながらスタッフルームの方へ消えていった。
「普通の白パンか…つまらんな」
隣では嗜虐的な眼差しで感想を述べる夜空がいた。ほんとドSだなこいつ…。
そして1分後。
「よオオオオオオゾオオオオオオオオオルぁあああああああああ!!!!!」
なんという形相…夜中に子供が見たらトラウマになるんじゃないかと思えるほどの恐ろしい顔で迫ってくる金髪巨乳メイド。
まさに修羅の如し。間違ってもメイドさんがやってはいけない表情だ。
「あ、あ、あんだぬぁ、ぬわんてこどしてくれんのよ!!!」
怒りの余り発音とアクセントが無茶苦茶な星奈に対して、冷めた目で見据える夜空。
「何の話だ?」
「あんたの仕業でしょアレ!!」
星奈が指し示した場所には、確かにまごうことなきバナナの皮が落ちていた。
「ふん、たまたまそこに転がっていただけだろう。それとも何か?私がやったという証拠でもあるのか?」
「あんた以外に誰がやるっていうのよバカ!!」
店中の人間の視線を集める二人。頭痛くなってきた…。
その後、見た感じベテランっぽいメイドさんが出てきて二人をフロアの奥へ連れて行った。
しばらくして夜空が戻ってくる。憮然とした表情で会計を済ませると、そのまま店をあとにした。
俺は残っていたメロンソーダを飲み干し、レジへ向かい、急いで夜空の後を追った。
…どの道夜空には俺のことはバレている。人ゴミが苦手にも関わらず、どうしてこんなところまでついて来たのか理由が知りたい。
雑踏の中、どうにか見つけ出す。
「夜空!」
「……………小鷹か。なんだそのDQN臭い格好は」
「俺の格好なんてどうでもいいだろ…なんでお前また」
「『また』?私は来たのは初めてだが」
「そうじゃなくてだな…」
「むしろ聖地巡礼に命を捧げる信者のごとく何回も出向いてるのはお前のほうじゃないのか?小鷹」
そう言う夜空は不機嫌オーラをこれでもかと言わんばかりに放っていた。
「………肉に会う為か」
「なっ…!」
早速図星をついてくる。いや、ちょっと待って欲しい、星奈のメイド姿が見たいというだけじゃなくて他にも理由はあるんだぜ?
その、なんつーか、あのコンデンスミルクの様な甘ったるい独特の雰囲気とか…。
ジャンケンゲームも楽しいし…。あと、チェキも。
「………ふん」
俺に答えさせるヒマも与えずに、夜空はズンズンと歩いていく。
「…なぁ、さっきのは少しやりすぎじゃないか?」
「何がだ」
「いや、バナナの皮ってお前…」
「肉は文化祭でパンチラで観客共を喜ばせていたんだろう?問題は無い」
確かあの話では無意識に見せてしまっていた、だったと思うけど。
「そもそも私もあんな古典的な方法でずっこけると思っていなかったのだ」
まぁ、某レーシングゲームくらいでしか見たことないな…バナナで滑るところ。
「でもあれじゃ可哀想だろ星奈…あいつ一生懸命バイトしてるんだぜ」
「やけに肉の肩を持つんだな、小鷹は」
「別にそういうわけじゃ…」
「私のメイド姿をみたときは何も言わなかったくせに…」ボソリ
夜空が小声で何か言ったが周りの声がうるさくて聞き取れない。
「なんだ?」
「な、なんでもないバカ!!」
なぜか顔を赤くしている夜空。
「で、夜空お前また行くのか?あそこ」
「誰が行くかあんなボッタクリコスプレ喫茶。こっちから願い下げだ」
たぶん出入り禁止を直々に言われたんだろうな…。
「そうか。…できたら今日のことは内密にしてもらえるとありがたいんだけど」
「肉がバイトしている事を喋ったところで私に何の役得があるというんだ?
肉についての話をするというだけでも壮大な時間の浪費だろうに」
それを聞いて安心する俺。夜空も夜空なりに自分のやったことに後ろめたさを感じているのかもしれない。
「…だが」
「?」
「小鷹、お前がメイド喫茶に『一人で』入り浸っている事実は匿名で公表しようと思う。学園の掲示板で大々的にな」
意地悪そうな笑みを浮かべる夜空。
「頼むからそれだけはやめてくれ!!」
必死に懇願する俺に対して、
「冗談だ」
軽く笑いながらも、どこか寂しそうな表情の夜空だった。
そして週明け。部室には夜空と星奈と幸村がいた。
メイド喫茶の件があって、なんとも言いようのない気まずい空気が流れていた
(ただし幸村は通常運転モードでぼーっと突っ立っている。このタフさはある意味うらやましい)。
「……」
「……」
「……」
重苦しいな、オイ。夜空が星奈に一言謝れば全部済む話だけど、あいつの性格上それは難しいだろうしな…。
少しして、部室のドアが開き、小鳩がとことこ入ってk
「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!」
いきなり奇声を上げる星奈。正直ビビる。
「こおおおおおばとちゃあああああああああんん♥」
ギラギラした目で一直線に駆け寄っていく星奈に対して、小鳩は心底嫌そうな顔をしている。
そういえば先週は補習で隣人部にほとんど顔出してなかったっけ、こいつ。
「あ!今日はカラコン入れてないのね!これって、ひょっとして、両目ともあたしと同じ色ってこと!?
うっひょおおおおおおおあたしといっしょ!いっしょ!こばとちゃんマ☆ジ☆天☆使!!!!うひひひ……げへえへ」
などと意味不明な供述をしており。
「このバカ肉はもはやどうしようもないな…」
そう言いながらもどこかほっとしている様子の夜空だった。
そして週末。いつものように俺はメイド喫茶へ立ち寄った。
この間の夜空との騒動で星奈はクビにされたんじゃないかと心配だったが、普通にテンション高くメイドをやっていた。
良かった。
食事やゲームを堪能したあと、店を出て通りに沿ってブラブラ歩く。
見上げると今にも降って来そうな勢いの灰色の空。何気なくサングラスを外した…のがいけなかった。
「ご主人様、忘れ物…!」
後ろからの声に反応するようにポケットをさぐると確かに携帯が無い。
わざわざ追いかけて届けに来てくれるとは…なんという素晴らしきサービス精神だろう。
「ども、すみませ……ん?」
振り返った先には星奈(メイド)。それと対峙する俺(サングラスなし)。
「あ」
「あ」
「……」
「……」
凍りつく二人。俺は星奈の手から携帯を強引に取ると、サングラスをかけ直した。
「じゃあ僕は用事があるのでこれで(裏声)」
「待てコラ」
こだかはにげだした!しかしまわりこまれてしまった!
「あんた、小鷹よね?」
「いえ、他人の空似です(裏声)」
襟首をつかみながら猛禽類のような鋭い目でにらんで来る金髪ツインテールメイド。
傍から見れば滅茶苦茶エキセントリックな光景じゃないかこれ。
「あんたみたいな目付きの悪い奴、他にいないわよ」
なにそのマジ凹みしそうな偏見。しかしさっくりと否定できないのが辛い。
「ずーっと自分を隠したままあたしにチェキやゲームを『強要』してたわけね…」
「いやお前いつもノリノリだったじゃねーか!」
「う、うるさいわね!つべこべ言わずにそのプリン頭をさっさと現しなさい!」
「おい、やめろって!いでで、髪引っ張るな!!」
ニット帽とサングラスはボッシュートされました。
「…うそつき」
「何がだよ…」
「どうしてこんなくだらない事するのよ」
「普通に行ったらお前絶対俺のこと意識するだろ」
星奈としてもやりづらかっただろうし、俺としてもバレるのは面倒事になりそうだったので嫌だった。
「い、意識って!バ、バカじゃないの!?」
なぜか頬を赤くする星奈。しばらく無言が続いた後、
「…夜空を連れてきたのもあんたでしょ」
「は?待て待てあれは」
だがよくよく考えれば、夜空は俺の後をつけて来たわけだし…誠に残念なことに一概に違うとは言い切れない。
沈黙する俺。
「…サイテー」
星奈の不機嫌バロメーターがますます上昇していく。
こんな時驚くべきスピードで頭を回転させ、弁解できる能力が…俺にあるわけなかった。
「…すまん」
自分の中でイマイチしっくりこないが、
この衆人環視の状況でトラブルは起こしたくなかったのでとりあえず素直に謝る。
途端にしんみりとした空気になる。星奈は顔をうつむけたまま、
「………ひっく、………ひっ…ぐすっ」
「ってなんで急に泣くんだ!?」
予測できない展開に困惑する。確かにあの騒ぎのとき他人のフリを決め込んだのは、自分でもどうかと思うけど…。
「あんたも、どうせあのバカ夜空と一緒なんでしょ…」
涙目で俺をにらみつけながら星奈が言う。
「え?」
「毎回変装してメイド喫茶に来てたのも、夜空を呼びつけたのも…」
「だから俺が意図して呼んだんじゃないって!あれは…」
「全部全部!あたしをバカにするためだったんでしょ!」
「なんでそうなる!?」
夜空は確実におちょくる気マンマン(むしろそれ以外考えられない)で来ただろうが、
俺に関して言えば全くの事実無根極まりない。
「『なんだあの猫なで声バカじゃねーのギャハハ』とか思ってるんでしょ!」
…正直最初にあの甘い営業ボイスを聞いて背中に寒気が走ったのは認める。
孫の手を借りたいくらいにむず痒くなったのも認める。
「やっぱりそうなのね…」
「……」
「あたしなんて…どうせあたしなんて!!」
「だから違うって言ってるだろ!!!」
自分でも驚くくらいの大きな声で、俺はまっすぐ星奈を見据えて言った。
「俺は!星奈がメイドやってるのが、可愛いと思ったから!!」
「……へ?」
…何を力説してるんだ俺は。
「今、なんて…」
「か、かわいいと思ったから…」
蚊の泣くようなか細い声で俺。周りの好奇の視線が痛いほどに向けられているのがわかる…すげー恥ずかしい。
「~~~~~!!」
そしてみるみるうちに頬を紅潮させる星奈。
「ま、真顔で何言ってんのよバカ!……べ、べつにうれしくなんてないんだからね!!」
「なんというテンプレ通りのツンデレ…」
「うるさいっ」
涙をぬぐいながら、星奈は笑ってそう答えた。
その夜。
小鳩を寝かしつけ、俺も寝ようと思った矢先に携帯が鳴った。
0時半というなんとも非常識な時間に電話をかけてくる奴は…星奈だった。
「…はい」
眠気のせいか、声がいつもより低くなる。
「ひっ!!あ、あれ?あ、あたし、か、柏崎星奈というものでしゅけど!こ、小鷹君はいますか!?」
「…小鷹ですが」
「へっ…?もうビックリさせんじゃないわよこのヤクザ声!珍走団!」
なにこの理不尽な抗議。
だったらもう少し早い時間にかけてくれと小一時間問い詰めたい気持ちをどうにか抑える。
「で、何だよ」
「きょ、今日はその…悪かったわね。色々変なこと言って…」
星奈がわざわざ謝罪の電話をかけてくる…だと…。大雨でも降るんじゃないか、それとも天変地異か。
「でもまだ一つだけ許してないわよ。あんたが夜空を連れてきたこと」
「…あのな、だからあれは」
「もし、許して欲しかったら!」
人の話を聞け。
「来週の日曜日、遊園地に行くの付き合いなさい」
「……天馬(ぺがさす)さんが?」
「あたしが行くに決まってるでしょバカ!!」
「え、それってお前…」
いわゆる、ひとつの、言い換えるなら、デートってやつか…?
「か、勘違いしないでよね!パパの取引先の大手建築企業の子会社の依頼で視察するためにちょっと寄るだけなんだから!
ホントは小鳩ちゃんと二人で行きたかったけど、ちょうどチケットは3人分あるし、
仕方なくあんたもついでに誘ってるだけなんだから!」
あ、小鳩も一緒ですか…少し残念に思えるのはなぜだろう。
「そうですか…で、どこの遊園地なんだ?」
「…横縞ワンダーランド」
「この前行ったばっかりじゃん…」
「うるさい!とにかく、いいわね!絶対に予定空けておくこと!」
「あ゙いよ」
「ひいっ!…ってだから低い声出すなって言ってるでしょバカァ!」
…というわけで俺と小鳩は再び星奈と横縞ワンダーランドへ行くことになった。
どうなることやら。
おまけ
夜空の部屋。
「ふふふ…二コ二コに動画を上げるなんていつ以来だろうか。
この私が本気出してメイド服を着て踊りまで踊ってやったんだ、きっと良い反応で溢れているに違いない」
「さて、再生回数は…少なっ!コメントもその半分以下、だと!?」
「ま、まぁ『踊ってみた』動画はたくさんあるしな…単に埋もれているだけだ間違いない。コメントの中身は…と」
○ かわいい
○ スレンダーで綺麗だなぁ
○ 踊りうめぇ
○ 足ペロペロしたい
「おお、なかなか上々の反応ではないか!ペロペロ…は少しキモいけど。どれどれ上のほうは…」
○ 今時アメ雨ユカイってw古すぎワロタwww
○ なんかメンヘラっぽい
○ 性格悪そう
○ 申し訳ないが貧乳はNG
○ もしかして男の娘ってやつ?きゃーw
「ぐ、ぐ、ぐ、こいつらああああああああ!!誰がメンヘラで性悪で貧乳だバカ共が!!!」
その後即刻動画を削除した夜空だった。
夜空の黒歴史がまた一つ増えたことは、隣人部の誰も知る由も無い。
146 : 以下、名... - 2011/09/18(日) 11:07:26.98 91wcLGIB0 64/64残念わたしのストックはここで潰えてしまった!
ということで一応終わりです。
肉とのイチャラブを書きたかったのに全然書けてない\(^o^)/
支援ありがとうございました。

