1 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:44:35.41 adbe+RHno 1/52


陽炎から秋雲まで。

陽炎型姉妹実装16人分。



続き物です。
未読の方は是非 夏→冬→春 の順にご覧下さい。

夏の陽炎型
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437361196/
http://ayamevip.com/archives/44836713.html

冬の陽炎型
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453085655/
http://ayamevip.com/archives/46595639.html


2 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:46:02.33 adbe+RHno 2/52



【 陽炎 】


『 金魚を何年育てても、錦鯉にはならない 』

せっせと餌をやる雪風に、真実を告げられないままでいる。


『 ザリガニを何年育てても、伊勢エビにはならない 』

甲斐甲斐しく世話をする時津風に、未だ言えないままでいる。


駄目なお姉ちゃんを、許してほしい。
陽炎はまだまだ未熟です。



黒潮「陽炎」

不知火「陽炎」

陽炎「絶対無理!そもそも誰よ、こんな大嘘教えたのは!」

黒潮「だって言わんと」

不知火「恥をかくのは雪風達です」

陽炎「だから無理って!インコの時だって、大変な騒ぎになったじゃない!」

黒潮「あー…」トオイメ

不知火「あー…」トオイメ

陽炎「もうちょっと大きくなったら、絶対言うから!ね!ね!」


3 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:47:14.17 adbe+RHno 3/52



【 不知火 】


プリキュアへの道は、長く険しい。
追いかけても追いかけても届かない。

臥薪嘗胆。夢を諦めるなんてありえない。


◇◇◇


漣、そして春雨と共闘する事になった。
反則戦力を有する強大勢力への対抗措置。


春雨「三人がかりだなんて、ズルくないかな」

「戦いは数だよ、春雨ちゃ~ん」チッチッチ

不知火「大人数で交戦するのは、むしろプリキュアの正攻法です」キリッ

「ちょうどお昼ごはんを食べて寛いでいる頃だよ」ゲッゲッゲ

不知火「三方向から一気呵成に攻め込みましょう」

春雨「正義って何だろう……」

不知火「春雨はアレを見ていないから、そんな呑気な事が言えるのです」

春雨「明石さんって、そんなに凄いの」

「規格外戦力を全力投入した挙句、躊躇なく引き金を引ける程度には」

不知火「興奮状態の川内さんの群れと、夜戦で出くわしたイ級の気持ちが分かりました」

春雨「明石さんって……」

不知火「あと、あのデスメロン。魔改造鬼改修炸裂で、まさかの8スロ上等です」

「激昂状態の龍田さんの群れに、背後から強襲されたロ級になった気分だったよ」

春雨「夕張さんまで……」


ドキドキ!プリキュア♪ ラブラブ!プリキュア♪


不知火「楽しげな歌が聞こえます」

春雨「明石さん達の声だね」

「浮かれてるね。完全に油断してるよ」

不知火「背後から行きましょう。タイガー・タイガー・タイガーです」

4 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:48:07.12 adbe+RHno 4/52






明石「キュアピンクでーす!」キラキラー!

夕張「キュアメロンでーす!」ピカピカー!

大淀「キュアストラテジストが戦列に加わりました!」キュアキュアー!


「」

春雨「」

不知火「」


明石「大淀、長ーい!」

大淀「そ、そうでしょうか?」

夕張「キュアブラックでいいんじゃない?」

大淀「ブラックはちょっと……悪役みたいで」

夕張「でも初代とかそうだよ」

大淀「出来れば、その…もうちょっと可愛い方が」

明石「じゃあピンクでいいじゃない!キュアピンク!」

大淀「え、でもピンクは明石が……」

明石「全然いいよ!大淀にだったら譲ってあげる」

大淀「あの、でも私、黒髪だし……」

明石「そんなの関係ないよ!」ビシイッ!

大淀「明石……」

明石「キュアピンクになりたい気持ちがあれば、誰だってなれるよ!」

夕張「大丈夫だよ。大淀なら、きっと大丈夫」

明石「大淀なら出来るよ、自信を持って!」

大淀「二人とも……」ポロッ

明石「ほらほら、元気出して、フレッシュプリキュア! 」

夕張「泣いてちゃ駄目だよ、スマイルプリキュア! 」

大淀「うん…うん。わだじ、やるね!」グスッ

明石「よーし、それじゃあもう一回いくよー!」

夕張「みーんーなーでー♪」ハイ

大淀「プーリーキューアー♪」ターッチ

「イエイ!イエイ!イエーイ♪」パン!パン!パーンッ!


「」

春雨「」

不知火「」


5 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:49:11.11 adbe+RHno 5/52



【 黒潮 】


黒潮「出来たでー」

雪風「わーい、たこ焼きー」

時津風「何だか甘い匂いがするよ?」

黒潮「んっふっふー、今日のは特別やでー」

雪風「特別ー?」

黒潮「名付けて、チョコたこ焼きやー!」

時津風「チョコたこ焼きー?」

雪風「すごい、すごーい!」

黒潮「ホットケーキ生地を丸く焼いてな、溶かしたチョコをかけたんや」

時津風「甘ーい、おいしーい!」

雪風「すごーい、甘ーい!」

黒潮「ようさんあるからな、じゃんじゃん食べような」ニコー

時津風「はーい」ニコー

雪風「わーい」ニコー

陽炎「黒潮」

不知火「黒潮」

黒潮「ちゃうねん」

6 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:49:46.45 adbe+RHno 6/52


陽炎「もう甘いものは食べないって言ったじゃない!」

黒潮「ちゃうねん、これは別腹や」

陽炎「アンタいいかげんにしなさいよ!太ももとかパンパンじゃない」

黒潮「ちゃう!そんな事ない」

陽炎「スパッツもパッツンパッツンよ!」

不知火「パッツンパッツンです」

陽炎「パッツン パッツン スパッツンよ!」

黒潮「ちゃう!これは洗濯して縮んだんや、太ったんやない」

陽炎「お腹だってポンポンじゃない!」

不知火「ポンポンです」

陽炎「ポンポコ ポンポン たぬきさんよ!」

黒潮「たぬきとかちゃう!お腹も全然出てないから!」

陽炎「とにかく、もう甘いものは禁止!絶対駄目!」

黒潮「そんなん横暴や、何でそんな事言うん」

陽炎「不知火!」つ メジャー

不知火「はっ!」つ 体重計

黒潮「うわああーーん!陽炎のアホー!」ダダダーッ!


7 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:51:03.02 adbe+RHno 7/52



【 初風 】


みんなで暮らす鎮守府は、海辺の小さな田舎町。
珍しいものは何にも無いが、長閑で平和な良い所。



雪風「初風、初風、見てください!ちょうちょ捕ってきました!」

初風「あら、モンシロチョウかしら、それともアゲハ?」

雪風「いっぱいあります」ニコー


≪≪ 蛾蛾蛾芋虫蛾蛾蛾蛾飛蝗蛾蛾蛾 ≫≫ ウジャウジャ


初風「」





黒潮「雪風どないしたん?メッチャ泣いとるやん」

不知火「初風が雪風の虫かごを、海に投げ捨てたらしいです」

黒潮「はあ?何でそんな事を」

不知火「さあ」

陽炎「初風、ちょっと!何で雪風泣かすのよ」

初風「私、悪くないから!絶対謝らないから!」

8 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:51:52.64 adbe+RHno 8/52



◇◇◇


酒保(売店)


明石「虫かごですかー」

初風「やっぱり無いわよね」

明石「すみません、流石にちょっと……」

初風「いえ、無茶言ってごめんなさい」

雪風「……」ショボーン

初風「……悪かったわよ。ごめんなさい」

初風「新しいの買ってあげるから、明日街まで付き合いなさい」

初風「あと、お詫びに何か欲しいものも買ってあげる」

雪風「……ホント?」

初風「あんまり高いのは駄目よ」

雪風「うんっ!」ニコーッ

時津風「おでかけなの?時津風も行く!」タタターッ

初風「アンタは駄目」

時津風「ヤダヤダ!時津風も一緒に行く!おでかけする!」キャンキャン

初風「アンタは関係ないでしょ」

時津風「ヤダヤダ!やーだー!時津風も!時津風も!」ジタバタ

初風「ああもう、うっさい!」バシーッ!

時津風「うわーん!初風がぶったー!」ビエーッ

陽炎「初風!時津風泣かせないの!」

初風「私、悪くないから!」

9 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:52:19.02 adbe+RHno 9/52



◇◇◇


翌日。


初風「……結局ついて来てるし」

時津風「おっでかけ!おっでかけ!」キャッキャ

雪風「初風、早く!早くー!」キャッキャ

初風「いい?言う事を聞かなかったら、すぐ帰るからね」

時津風「はーい」ニコー

雪風「はーい」ニコー


陽炎「これ、雪風と時津風の分。昼食代と交通費」

陽炎「あと、おやつに何か買ってあげて」

初風「え?いいわよ、そんなの」

陽炎「いいから」

時津風「初風ー、まーだー?」

初風「はいはい」

陽炎「二人とも車に気を付けるのよ」

雪風「はーい」

時津風「はーい」

陽炎「それじゃ、いってらっしゃい」ニコ


10 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:53:25.58 adbe+RHno 10/52



【 雪風 】


電車に揺られて街まで進む。
店も人も華やかで、綺麗とお洒落が目白押し。
横文字の並ぶ店先も、そこはかとなく良い感じ。



初風「いい匂いね」

雪風「パン屋さんだよ、パン屋さん!」

時津風「パン食べたーい」

初風「そうね、お昼はパンにしましょうか」

初風「天気もいいし、公園で食べましょう」

雪風「わーい」





時津風「すごーい!たくさんあるよ」

初風「焼きたてなのね、ちょうど良かった」

雪風「見て見て!アンパンマンだよ!アンパンマンのパンがあるよ!」

初風「はいはい」


初風「手で触っちゃ駄目よ、トングを使ってね」

時津風「トング?長門さん?」

初風「それはコング」

時津風「コングかー」テヘペロ

雪風「トングって何ですか」

初風「トングっていうのは、コレ。この挟むやつ」カチカチ

時津風「おー」カチカチ

初風「一緒に会計するから、好きなの一つ選びなさい」

雪風「はーい」カチカチ

時津風「はーい」カチカチ

11 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:54:16.66 adbe+RHno 11/52


雪風「どれにしようかなー」ウキウキ

時津風「あれもいいな、これもいいな」ワクワク

初風「さて、私は……あ、ベーグルがある。これにしよっと」

初風「……ん?フォカッチャまであるじゃない」

初風「さすが街のパン屋さんね、種類が豊富だわ」

初風「うーん、これは悩むわね……」チラ

雪風「メロンパンナちゃんあるよ!メロンパンナちゃん!」キャッキャ

時津風「夕張パンナちゃん!夕張パンナちゃん!」ピョンピョン

初風「……」ソーッ

雪風「あー!?初風二つ買ってるー!」

時津風「ずるい、ずるい!一つだけって言ったのにー!」キャンキャン

雪風「雪風も二つ買うー!」

初風「ああもう!分かったわよ。一人二個ずつね、みんな一緒!」

時津風「やったー」





雪風「雪風はメロンパンナちゃんと、クリームパン」

時津風「時津風は、あんドーナツとチョココロネ」

初風「甘いのばっかりじゃない」ハア

雪風「初風はー?」

初風「これよ」つ ベグフォカ

雪風「……」フーッ

時津風「……」ヤレヤレ

初風「ちょっと待ちなさい。何よその『分かってないなー』的な反応は」

雪風「べっつにー」

時津風「何でもないよー」

初風「ぐぬぬ」

12 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:55:09.91 adbe+RHno 12/52


初風「あと飲み物は、私はカフェオレで……アンタ達は水でいいわね」

雪風「何でっ!?」

時津風「やーだー!」





雪風「雪風はカルピス」

時津風「時津風はメロンソーダ」

初風「アンタ達、蟻なの?」

雪風「お昼からメロンなんて贅沢だね」メロンパン パクパク

時津風「お金持ちだね、ぶるじょあだね」メロンソーダ ゴクゴク

初風「私に感謝しなさい」

雪風「初風ありがとー」

時津風「初風優しいー」


13 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:56:28.06 adbe+RHno 13/52



【 天津風 】


野分「長門さんの好きな物……ですか?」

初風「いや、知らないけど……やっぱり、甘いものじゃないの?」

谷風「何、何?急にどうしたのー」


陽炎「いつも雪風や時津風が入り浸って、迷惑を掛けてるでしょう?」

陽炎「毎日おやつも貰ってるみたいだし」

陽炎「お返しというか、何かお礼をしようと思って」

黒潮「なるほどー、舞風も皆勤賞やしなー」

不知火「無難に菓子折りなどがいいんじゃないでしょうか」

陽炎「甘いものは自分で買ってるみたいだから、どうせなら別の物をと思ってね」

「別の物かー、うーん」

萩風「甘いもの以外で長門さんが喜びそうなのと言えば……」

浜風「えっと……バナナとか?」

浦風「骨付き肉なんか好きそうじゃ」

磯風「鉄アレイとかいいんじゃないか?」

陽炎「アンタ達、長門さんの事 嫌いなの?」

14 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:57:20.69 adbe+RHno 14/52


天津風「アクセサリーとかは?ピアスとか」

浦風「そういうキャラじゃなかろーて」

磯風「うむ。貰っても、すぐ失くしそうだ」

初風「じゃあ指輪なんてどう?ピンキーなの」

浦風「想像つかんな」

磯風「ああ、指輪よりメリケンサックのイメージだ」

浜風「それじゃあ、実用的な物の方がいいんですかね」

陽炎「ふーむ、意外と悩むわね。どうしよっか」

雪風「ゆ、雪風が、宝物のどんぐりをあげますっ!」

時津風「わたしも松ぼっくり出すよっ!すごく大きいんだよ!」

谷風「よっしゃー、それならこの谷風さんがスーパーボールを出すぜ!」

谷風「長門になら、とっておきの金ラメとクリスタルをあげてもいいぜ!」

初風「あー、うん、はいはい」

天津風「あなた達は何も心配しなくていいからね」

15 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:57:56.20 adbe+RHno 15/52


磯風「ふむ。ならば物ではなく、手料理などはどうだろうか」

浦風「磯風」

浜風「磯風」

磯風「ウチに招待して、沢山の御馳走でもてなすんだ」

「磯風」

萩風「磯風」

磯風「いわゆるホームパーティーという奴だ」

初風「磯風」

天津風「磯風」

野分「ま、まあ時間はたくさんありますし、ゆっくり考えて決めましょう」

陽炎「ところで秋雲は?」

舞風「お部屋で原稿描いてるよー、締切なんだって」

不知火「こないだからずっとですね」

黒潮「冬も春も大変やなー」

16 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:58:57.70 adbe+RHno 16/52



◇◇◇


後日。


陸奥「あら、それどうしたの」

長門「う、うむ。陽炎型の子達からな」

陸奥「へー、いいじゃない。でも、つげ櫛なんてよく知ってたわね、あの子達」

長門「ああ、妙高達に聞いたらしい」

陸奥「あー、なるほど。ね、ね、座ってみて?梳いてあげるわ」

長門「いや、こういうのは私にはちょっとな…」

陸奥「何言ってるのよ、綺麗な髪なんだからピッタリよ」

長門「あー、いや、うん」

陸奥「いいわねコレ。ますます綺麗になっちゃうわよ?」

長門「なっ、ば、からかうんじゃない ///」

陸奥「あら?姉さんは素敵よ、本当に。私の自慢なんだから」ウフフ

長門「何を馬鹿な事を…まったく… ///」

17 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 11:59:46.71 adbe+RHno 17/52



◇◇◇


足柄「どうだった?」

天津風「うん、喜んでくれたわ。大分 照れてたけどね」

足柄「そっかー、ちょっと地味かとも思ったんだけどね」

天津風「うん、ちゃんと使ってくれるみたいだし、良かったわ」

足柄「まあ、実際あれは本当にいいものだからね」

天津風「そうなの?あんまりよく知らないんだけど」

足柄「髪がね、ツヤツヤになるの。丈夫だし、使う度に風合いも出てくるわ」

天津風「いいなー、あたしも買っちゃおうかなー」

足柄「いやー、でも自分で買うものじゃないでしょ」

天津風「姉さんがプレゼントしてくれてもいいのよ」ニコ

足柄「あら、あたしでいいの~?」

天津風「ん、何で?いいわよ全然」ウェルカム!

足柄「他に贈ってほしい人がいるんじゃないの~」ニヤニヤ

天津風「」

足柄「ザッハトルテの君とか~」ニヨニヨ

天津風「な、ななななっ ///」

足柄「ホワイトデー楽しみね~」クスクス

天津風「違うから!全然そんなのじゃないから!ホントだから! ///」


18 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:00:53.28 adbe+RHno 18/52



【 時津風 】


おもちゃ屋、ペット屋、洋菓子店。
田舎暮らしの子供には、都会の色は眩しくて。
二歩三歩と進む度、好奇の的がそこかしこ。

弾ける姉に振り回されて、引率初風過労気味。
それでも未だ道半ば。大きな仕事が残ってる。



初風「ちょっと買い物してくるから、アンタ達はここで待ってなさい」

雪風「えー、やだー」ブーブー

時津風「時津風も一緒に行くー」キャンキャン

初風「アイス買ってあげるから」

雪風「いってらっしゃい」

時津風「早く帰ってきてね」

19 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:01:30.98 adbe+RHno 19/52






雪風「雪風はクッキークリーム」

時津風「駄目だよ、クッキーは時津風のだからねっ!」

雪風「雪風はお姉ちゃんなのです!」キシャーッ!

時津風「雪風にはクリーミーミントあげる」

雪風「これはスースーするから駄目です!」

時津風「じゃあラムレーズン」

雪風「眠くなるから駄目」

時津風「なら抹茶トリュフ」

雪風「寝れなくなるから駄目」

時津風「全部駄目じゃん!」

雪風「クッキークリームは大丈夫です!」フシャー!

時津風「クッキーは!時津風の!」キャンキャン

20 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:02:26.54 adbe+RHno 20/52


雪風「時津風はチョコブラウニー食べてればいいです」

時津風「チョコはお昼に食べたから嫌!」

雪風「じゃあベイリーズ」

時津風「眠くなるから嫌」

雪風「ならカフェモカ」

時津風「寝れなくなるから嫌」

雪風「全部駄目じゃないですか!」フカーッ!

時津風「だーかーらー、時津風がクッキークリーム!」ガルルー!

雪風「雪風がクッキーです!」キシャシャーッ!

初風「喧嘩するなら帰るわよ」

雪風「時津風がクッキーでいいよ」

時津風「ううん、雪風がクッキー食べなよ」

雪風「半分こ しようね」ニコ

時津風「仲良しだもんね」ニコ

21 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:04:32.08 adbe+RHno 21/52



◇◇◇


ギフト売り場の装飾小物。
百を超える柄の中から、たった一つを選び出す。

透き通る水色の染布に、鮮やかな黄色のワンポイント。
それは、初風色のハンカチーフ。

大きめの紳士用。一回り小さな婦人用。
サイズの違う揃いの柄を、丁寧に抱えレジへと向かう。



店員「いらっしゃいませ」

初風「これください」

店員「ありがとうございます。包装はいかが致しましょう」

初風「一つは自分用なので、この大きい方だけラッピングしてください」

店員「畏まりました。もし宜しければメッセージカードもお付け出来ますが」

初風「え?」

店員「サービスです。いかがですか」

初風「えっと……じゃあ、お願いします」

店員「はい。それでは絵柄をお選び下さい」

初風「あ、沢山あるのね」

店員「恋人へのプレゼントでしたら、こちらなどいかがでしょう?」

初風「こ、恋っ……!?」

店員「このハート柄などお勧めです」

初風「はっ、ハートっ!?」

店員「はい、当店の一番人気でございます」

初風「え、えっと、その……」

店員「大変ご好評を頂いております」ニコ

初風「そ、そうなの?それじゃ、あの、これで…… ///」

店員「はい、畏まりました」

初風「は、はうー…… ///」

店員「メッセージはいかが致しましょう?定型文で宜しければ、印刷したものがございますが」

初風「え、あの、自分で」

店員「それでは、空白のものをご用意致しますね」

初風「あ、ハイ。それでお願いします」



手渡されたカードには、表も裏にも隙間なく、強烈なハートマークが乱舞する。
『 好き好き大好き、愛してるっ! 』以外の文面など、受け付けないラブ度の高さ。


初風はまた、赤い顔で石になる。

22 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:05:28.54 adbe+RHno 22/52



◇◇◇


田舎へ向かう帰りの電車は空いていて。
眠りこける姉達の隣で、初風は窓から外を見る。

カードには何て書こう。どんな顔をして渡そう。
受け取ってくれるだろうか。喜んでくれるだろうか。何と言ってくれるだろう。

紙袋は膝の上。夢見心地でうわの空。
流れゆく夕暮れの景色を、いつまでも眺めていた。


23 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:06:52.66 adbe+RHno 23/52



【 浦風 】


菱餅、白酒、ひなあられ。
お内裏様に、お雛様。五人囃子に、三人官女。
桃の節句の晴れの日は、みんなが嬉しい雛祭り。



浦風「何しよるん」

雪風「おりがみです」

時津風「おひなさまだよー」

浦風「あー、雛人形か」

浜風「鳳翔さんに教えて貰ったんですが、中々難しくて……」

浦風「どれ、貸してみ?」スッスッ

浦風「ほら」キャピーン!

雪風「すごーい!」

時津風「きれー!」

浜風「すごいじゃないですか」

浦風「昔、よーやったけぇのぉ」

浦風「色々出来るで」スッスッ

浦風「風船」シャッ

浦風「手裏剣」シャッ

浦風「やっこさん」シャッ

雪風「すごい、すごーい!」

浦風「まあ、元々手先は器用じゃけーのぉ。手順覚えれば簡単じゃ」

24 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:07:53.61 adbe+RHno 24/52


浦風「そうじゃ、新聞紙あるか?」

時津風「うん、これでいい?」バサッ

浦風「これをこうやって……」バッサバッサ

浦風「いくで」バアンッ!

雪風「わー!」

時津風「すごーい!何これー!」

浦風「紙鉄砲じゃ」

浦風「ヤクザの事務所の前でな、思いっきり鳴らすんじゃ。度胸試しじゃ」

浦風「出入りと勘違いした若い衆がな、もの凄い勢いで飛んで来るで」

浦風「逃げ遅れて捕まったあの子は、今頃どうしよんかのー…」トオイメ

浜風「浦風…あなた、どんな子供時代を……」

浦風「みんな悪ガキじゃったけーの」

雪風「すごーい!」バンッ!

時津風「格好いい!」バアンッ!

雪風「ダブルガントレットだよっ!」ババンッ!バンッ!

時津風「こっちはショットガンだよっ!」ババババンッ!

陽炎「没収」

雪風「あーん」

時津風「陽炎の馬鹿ー」

不知火「近所迷惑です」

陽炎「浦風も変な事 教えないの」

浦風「あいさー」

25 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:09:08.77 adbe+RHno 25/52






陽炎「……」ウズウズ

陽炎「……」ソー

陽炎「えいっ!」バアンッ!

陽炎「わー…!」

初風「うっさいのよ!何やってんのよ!」ムキーッ!

陽炎「いやー、ちょっと好奇心で」タハハ

不知火「……」二丁拳銃の構え

初風「不知火」

不知火「はい」

初風「……駄目だからね」

不知火「……はい」ショボーン


26 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:10:13.62 adbe+RHno 26/52



【 磯風 】


磯風「何だ?やけに騒がしいな」

浜風「雪風が虫を捕ってきたみたいです」

磯風「ああ、そういえば新しい虫かごを持っていたな」

浜風「初風に買ってもらったようです」

磯風「ふむ」

浜風「たくさん捕って見せびらかしているのですが、みんな虫は苦手で……」

磯風「だらしないな、虫ごときで。よし、私に任せるがいい」

浜風「大丈夫ですか?」

磯風「たかが虫だ。汚れたら洗えばいい、それだけの事さ」



磯風「どれ、雪風。たくさん捕れたらしいじゃないか」ニコ

雪風「磯風!はい、見てください!いっぱいあります!」ニコー


≪≪ 蜘蛛蜘蛛脚高蜘蛛蜘蛛蜘蛛脚高蜘蛛 ≫≫ ウジャウジャ


磯風「」





黒潮「雪風どないしたん?メッチャ泣いとるやん」

不知火「磯風が雪風の虫かごを、海に投げ捨てたらしいです」

黒潮「はあ?何でそんな事を」

不知火「さあ」

陽炎「磯風、ちょっと!何で雪風泣かすのよ」

磯風「私は悪くない!悪くないんだ!」


27 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:11:37.32 adbe+RHno 27/52



【 浜風 】


雪風「カルピスですー」

時津風「わーい、やったー」

雪風「幸運の女神のキスを感じちゃいます!」ゴクゴク

時津風「うんうん、いいかもね、いいかも!」ゴクゴク

雪風「」バタン

時津風「」バタン





大井「北上さん、甘酒ですよ!甘酒!」

北上「おー、いいねえ」

大井「じゃんじゃんいきましょう!じゃんじゃん!」

北上「大井っちも飲みなよー」ゴクゴク

大井「はいっ!頂きます!」ゴクゴク

北上「」バタン

大井「」バタン





隼鷹「那っちゃん那っちゃん、にごり酒だよ」

那智「誰だ、那っちゃんて」

隼鷹「さ、さ、駆け付け一杯ぐいっとね!」

那智「ふむ、にごり酒とは珍しいな」

隼鷹「パーッといこうぜ~、パーッとな!」ゴクゴク

那智「まあ、私も嫌いな方ではないしな」ゴクゴク

隼鷹「」バタン

那智「」バタン



◇◇◇



浜風「鳳翔さん、この白いのは何ですか?」

鳳翔「はい、それはお米のとぎ汁です」

浜風「ああ、筍を茹でるんですね」

鳳翔「ええ、アク抜き用です」

浜風「筍ですか、春ですね」ニコ

鳳翔「うふふ、風物詩ですね」ニコ


28 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:13:04.91 adbe+RHno 28/52



【 谷風 】


出掛ける支度をしていると、めざとく谷風がやって来た。
清霜から話を聞き付けて、慌ててここに来たようだ


谷風「天ぷら屋に行くんだって?谷風も連れてっておくれよぅ」


生粋の江戸っ子である谷風にとって、天ぷらは欠かせぬソウルフードなのだと言う。


那智(お前のソウルフードは、天ぷらではなくてお菓子だろう)

那智は心の中でそう思ったが、口に出すのは止めておいた。


那智「別に構わんが、退屈だぞ」

谷風「がってんだー!」パアアァ!


”生粋の江戸っ子”という言葉の意味を、那智は百回くらい教えたが。
大阪生まれ広島育ちの谷風は、大きく「うん!」と答えるだけで、最後まで理解を示さなかった。


武蔵「フッ、随分待たせたようだな」


果たして約束の時間になると、のそり、と武蔵がやって来た。
足元にはいつものように、清霜が纏わりついて離れない。


那智「いや、時間通りだ」

清霜「それじゃあ、しゅっぱーつ!」

29 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:14:22.02 adbe+RHno 29/52






那智「季節のものを適当に。あとビールを瓶で、グラスは二つ」

武蔵「こいつらには芋とカボチャを頼む」

谷風「てやんでい、べらんめえ」

谷風「谷風さんも那智と同じのを食べるぜ!」

谷風「芋やカボチャの天ぷらなんて、女子供の食うものさぁ」

清霜「む、むむー」

那智(いや、お前は思いっきり女で子供だろう)

武蔵「それでは、こいつにも同じものを」

店主「あいよ」

30 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:15:35.70 adbe+RHno 30/52






店主「それじゃ、春野菜ね」

店主「まずは、タラの芽、こごみ、ぜんまい」スッ

那智「美味い、美味い」サクサク

谷風(草じゃん……)


店主「お次は、せり、菜の花、ふきのとう」スッ

武蔵「酒の肴に最高だな」ハフハフ

谷風(葉っぱじゃん……)


谷風「……」パク

谷風「──ッ!?」ビキィィーーンッ!

谷風(に、苦あああぁぁーーいッ!)

谷風(毒じゃん!いじめじゃん!罰ゲームじゃん!)チラッ

清霜「お芋おいしーい!甘ーい!」ニコー

谷風(ぐぬぬ……)


武蔵「やはり天ぷらは最高だな」

那智「普段はカツばかりだからな」

武蔵「足柄か」

那智「あいつは親の仇のように作るからな。カツはもう当分いい」

谷風(カツ食いてぇー!)ワオーン

那智「どうだ谷風、美味いだろう」

谷風「お…おうともよ」

那智「そうだろう、そうだろう。流石は谷風だな、旬の味わいを分かっている」

武蔵「ほう、この滋味が分かるとは。若いのに通だなぁ」

谷風「あ、あたぼうよ!こちとら江戸っ子でい!」

清霜「む、むむむー、何だよー!」

武蔵「はっはっは」

31 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:16:34.38 adbe+RHno 31/52






清霜「武蔵さん、他にも何か頼んでいい?」

武蔵「好きにしろ」

清霜「やったー!じゃあ清霜はねぇ、イカの大葉巻き!」

谷風「ばっか、おめえそういう時は、シソ巻きって言うんだよ」

清霜「何だよー、大葉じゃんかー」

谷風「かあーっ!清霜は物を知らねぇな。谷風さんは花巻な!花巻エビ!」

那智「才巻だな」

武蔵「うむ、才巻だ」

店主「あいよ、才巻ね!」

谷風「お、おぅ… ///」

清霜「才巻じゃんかよー!」

谷風「ば、ばっか、おめえ!江戸じゃあ、花巻って言うんだよ!」

清霜「花巻なんて、江戸じゃなくて岩手だよー!」

谷風「う、うっせーやい ///」

32 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:17:35.01 adbe+RHno 32/52






那智「寝たか」

武蔵「ああ」

那智「あっ、という間だな」

武蔵「職人芸だな。少々揺すっても全然起きん」

那智「しかし知らない場所で、何でこんなに熟睡出来るんだろうな」

武蔵「肝が太いんだろう。こう見えて、やはり二人とも並じゃない」

那智「大口を開けて……全く、ひどい寝顔だぞ」ヤレヤレ

武蔵「安心しきってるな」フフッ

那智「静かになったし、もう少し飲もうか」

武蔵「私はそろそろ焼酎にするかな」

33 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:18:55.95 adbe+RHno 33/52






那智「さて、最後はエビ天を入れて蕎麦にしよう」

武蔵「私はかきあげを入れてもらおう」

那智「ふむ、それでは〆に蕎麦を頼む。エビとかきあげを入れてくれ」

店主「あいよ」





那智「美味い、美味い。やはり蕎麦にはエビ天だな」

那智「ウチでは蕎麦にもうどんにも、カツが入るからな」

武蔵「お前の妹は筋金入りだな」

那智「それで一度、殴り合いの大喧嘩になった事がある」

武蔵「何やってんだ、お前ら」

那智「私も腕っぷしには自信があるが、足柄も相当な負けず嫌いでな」

那智「お互い顔の形が変わるくらい派手にやらかしたんだが」

那智「その後、妙高姉さんに死ぬ程怒られてな……」

武蔵「子供か」

那智「この説教がまた、デタラメに長いんだ」

武蔵「妙高らしいな」クックッ

那智「足がもう痺れに痺れて、終わってもしばらく動けなかったぞ」

武蔵「はっはっは」

那智「笑い事ではない。二人してボコボコの顔で倒れて、動けずにいるんだぞ?」

那智「そこにちょうど帰宅した羽黒が、これまた盛大に勘違いしてな」

那智「悲鳴を上げるは、泣いて騒ぐわで大騒動だ」

武蔵「わっはっは」ケラケラ

那智「もうお願いだから安静にさせてくれよと、頼むよと」ヤレヤレ

武蔵「いい姉妹じゃないか」クスクス


34 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:20:32.36 adbe+RHno 34/52



【 野分 】


野分「一発芸?」

龍驤「そうや、花見の余興や。せっかくみんな集まるし、楽しい方がええやん」

野分「でも、そんな芸なんて……」

龍驤「あー、そない大仰に考えんでええよ。みんな身内やし」

龍驤「出来る事でええから、歌でも踊りでも何でもな」

龍驤「もし難しかったら、無理せんでええ」

龍驤「どうせ放っておいても、那珂がオンステージやりだすしな」

舞風「それじゃあ舞風はダンスを踊るよ!野分と一緒に!」

野分「え、野分もですか」

舞風「もちろんだよー!」

野分「いや、恥ずかしいですよ」

舞風「大丈夫だよー」

野分「龍驤さんは何かやるんですか?」

龍驤「ん、ウチか?そやなー、漫才と漫談どっちがええ?」

舞風「おー」

野分「余裕ですね」

龍驤「そら空母連中で、しょっちゅう飲み会してるからなー」

35 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:21:46.59 adbe+RHno 35/52


龍驤「みんな芸達者やでー」

野分「そうなんですか」

龍驤「赤城は手品で、加賀は歌やな」

舞風「赤城さんが手品?」

野分「加賀さんが歌?」

龍驤「何や?意外か」

舞風「意外どころか……」

野分「想像もつきません」

龍驤「加賀はああ見えて、歌上手いんやで」

龍驤「赤城のはまあ、ネタというかお約束なんやけどな」

舞風「?」

龍驤「皿の料理を一瞬で消しますー…って、まあ、見たら分かる」

野分「へえー、楽しみですね」

龍驤「あと隼鷹は脱ぐな」

野分「ぬっ……!? ///」

舞風「それって芸ですか」

龍驤「いや、あいつ凄いんや、めっちゃエロいで」

野分「そ、そんなの聞いてません ///」

龍驤「脱ぐし脱がすしで大騒ぎや。雲龍と絡んだ時なんか、もう!マジでヤバかったわ」

舞風「ふ、ふーん ///」

野分「舞風、駄目です!興味を持ってはいけません! ///」


36 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:23:43.22 adbe+RHno 36/52



【 嵐 】


鎮守府恒例、春のお花見。今年の催しは二部構成。

昼の部は、弁当と和菓子のお食事会。
夜の部は、お酒とオードブルの大宴会。

どちらかに参加せよ、との事。



黒潮「嵐はどっちがええ?」

「そりゃ昼だろ。酒なんか別にいらないし」

萩風「私も和菓子の方が嬉しいかも」

黒潮「そんじゃ、嵐に萩風もお昼……と、舞風は?」

舞風「えっと、よ、夜の方で! ///」

黒潮「え?」

舞風「ま、舞風は夜桜の部でお願いするよ!いいよねっ、野分 ///」

野分「あ、はい、野分も夜で」

黒潮「あら、意外。ホンマにええの?お菓子とかあんまりないで」

舞風「構いません!」ビシッ!

黒潮「えらい気合い入っとんなー」

黒潮「浦風はどないする?」

浦風「ウチ、金剛姉さんと一緒がええ」

黒潮「金剛さんは……えーと、金剛型の人らは、みんな昼の部みたいやね」

浦風「ほんじゃウチもお昼で」

磯風「ふむ、なら私も昼にしよう」

浜風「あ、それでは私も浦風と一緒で」

黒潮「はいはい、ほな三人は昼なー」

37 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:25:06.21 adbe+RHno 37/52


「黒潮はどうすんの?」

黒潮「ウチは夜やな。龍驤さんと漫才するんや」

萩風「余興やるんだ」

黒潮「せやでー、どっかんどっかん笑かすからなー、期待しときやー」

舞風「余興…… ///」

黒潮「何や舞風、顔赤いで?風邪か」

舞風「う、ううん、何でもない、何でもないよ!ね、野分 ///」

野分「え、あ、はい。何でもありません。何でも ///」

浦風「初風とかは?」

黒潮「初風と天津風は夜やったな。あと谷風もか」

黒潮「妙高さん達が夜やったから、それに合わしたんやろな」

磯風「あ、それじゃあ不知火は……」

黒潮「不知火も夜や。初風と天津風に首根っこ掴まれてたわ」

黒潮「あと、抜け駆け禁止の紳士協定結ばされてたな」

浜風「熾烈な戦いが続いてますね」

「今んとこ誰がリードしてんの?」

黒潮「三人とも まだ横一線ちゃうかな、よう知らんけど」

舞風「雪風と時津風は昼だよね?」

黒潮「そやな。一応陽炎が聞きに行ってるけど、まあ流石にあの二人は昼やろなー」

黒潮「後は秋雲がどうか分からんな。あの子はつかみどころが無いからなー」

38 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:26:36.83 adbe+RHno 38/52


野分「意外と夜桜組が多いですね」

「おいおい、美味しい和菓子頂いちゃうよ?桜餅に三色団子~♪」

黒潮「うーん、それは困るなー」アハハ

萩風「間宮さんの和菓子は絶品ですからね」

磯風「ん、何だ?そんなに和菓子が好きなのか」

「いや、そりゃ好きだろ。こう見えても女子だし」

萩風「嫌いな理由がありません」

「自分で作れたらいいんだけどなー」

萩風「お菓子は難しいですよ、和菓子なんて尚更」

磯風「ふむ」

浦風(あっ……)

浜風(あっ……)

磯風「よし、ならば私が一肌脱ごうじゃないか」

「え?」

萩風「え?」

磯風「可愛い妹達の願いは叶えてやらんとな」

「え?」

萩風「え?」

磯風「あっ、いかんいかん。今 言ってしまうと、サプライズにならないな」

「い、磯風?」

萩風「あの、ちょっと磯風さん?」

磯風「ん、何かな?私は何も知らないぞ~」ピューピュー

39 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:27:33.67 adbe+RHno 39/52


磯風「おっと、こうしてはいられない。そうと決まれば早速材料の調達に……」

「ちょっと待ってみようか磯風」

萩風「うん、少し落ち着いた方がいいかな、いいかな」

磯風「うむ、それでは私は急用が出来たから、先に帰らせてもらう」

磯風「嵐」

磯風「萩風」

磯風「楽しみにしておくといいぞ」ニッコリ

「」

萩風「」

浦風「さて、どっちに参加するかじゃったの、えーと、それじゃウチは夜の方にしようかの」

黒潮「受付は締め切ったで」

浦風「いやいや、黒潮」

黒潮「磯風止めれるの、アンタしかおらんやん」

浦風「いやいや、黒潮」

「浦風助けて」

萩風「お願いします浦風」

黒潮「頼んだで、浦風」

浦風「」


40 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:28:32.76 adbe+RHno 40/52



【 萩風 】


鎮守府の裏手。高台にある公園に、大きな桜が咲いている。
澄み渡る空に暖かな日差し、穏やかな風。
普段の行いが良いのだろう。絶好のお花見日和となった。



「ばっちり快晴!天気予報大当たり!」

萩風「桜も綺麗だし言う事ないね」

「やっぱ昼で正解だな、桜がこんなに咲いてるよ」

萩風「来てよかったねー」

41 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:30:00.97 adbe+RHno 41/52


萩風「見て見て、祥鳳さんと神通さんが野点をしてるよ」

「あの二人って何でも出来るよな」

萩風「こっちでは金剛さんが紅茶を淹れてるね」

「浦風憧れの人か、確かに綺麗だわ」

萩風「後でご馳走してもらおうよ、とっても美味しいんだって」

「そうだな、楽しみだな」


萩風「長門さんはオレンジジュース飲んでるね。お酒じゃなくていいのかな」

「現場の最高責任者だからな、酔っ払う訳にはいかないんだろう」

萩風「そっかー、偉い人は大変だー」

「あ、赤城さんと加賀さんだ」

萩風「黙々と食べてるね、桜なんて一秒も見てないよ」

「あの二人は夜の部じゃなかったっけ」

萩風「そう聞いたけど……変更したのかな」

「もしかして両方出るつもりなんじゃ」

萩風「えー?まさかそんな無茶は……」

「やりかねないな」

萩風「やりかねないね」

42 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:31:11.23 adbe+RHno 42/52


「リットリオさんだ、リベもいる」

萩風「桜なんて珍しいでしょうね」

「イタリアにも桜ってあるのかな」

萩風「うーん、どうだろ」

「アメリカにはあるよな。桜の木を切って謝る話あるし」

萩風「あー、誰だっけ。オバマさん?」

「オバマは違うだろ」

萩風「えーっと、じゃあクリントン」

「あ、何かそれっぽい!冴えてるな はぎぃ」

萩風「いやいや、それ程でも。えへへー」

43 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:32:22.24 adbe+RHno 43/52


「あ、磯風だ」

萩風「思いっきり手を振ってるね、すごい笑顔」

「大きな荷物持ってるな」

萩風「すごいね。あれ全部、アレなのかな」

「アレなんだろうね」

萩風「そっかー、アレかー…」

「……」

萩風「……」

「あんなに作るの大変だったろうな」

萩風「昨日から寝ずに頑張ったんだろうね」

「……」

萩風「……」

「呼んでるね」

萩風「うん、呼んでるね」

「……」

萩風「……」

「行こうか」

萩風「うん、行こう」


花は桜木、人は武士。
春の香満ちる光の中を、二人並んで歩いてく。
繋いだその手は離さずに、大切な人と共にゆく。


「あーあ、全く困った姉貴だなー」

萩風「ホントに。困った姉さんだね」

「あはは」

萩風「うふふ」


今日という日が心地よかった。


44 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:33:28.64 adbe+RHno 44/52



【 舞風 】


花見提灯に照らされて、桜も昼とは違う顔。

酒樽、ビア樽、ワイン樽。重箱、折箱、玉手箱。
飲兵衛と大飯喰らいが意気揚々。諸手を挙げて集いゆく。

ドンチャン、ドンチャン、ドンチャカチャン。
騒ぎ立てるが宴の作法。飲めや歌えやと さんざめく。



初風「どう……かしら?」

妙高「どれどれ…うん、美味しい。とてもいい出来よ」

初風「そ、そう!」

妙高「これならきっと提督にも喜んで頂けます」

初風「は、はあっ?ち、違うし!別にあいつの為に作ったんじゃないし!」

初風「偶然作り過ぎただけなんだから。本当よ、本当に違うんだからね」

妙高「はいはい」ニコニコ

妙高「さ、それじゃあ渡してらっしゃい」

初風「う、うん。ついでにね!そう、たまたま ついでに渡してくるわ」

45 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:34:27.57 adbe+RHno 45/52






足柄「天津風。ほら、カツよ」

天津風「いらないわよ」

足柄「ビールのつまみに最高よ」

天津風「お酒なんて飲まないもん」

足柄「あなたじゃないわよ、提督よ」

天津風「む」

足柄「喜ぶわよ。渡してらっしゃい」

天津風「いらない」

足柄「何でよ」

天津風「……自分のがあるから」

足柄「あら、いつの間に!やるじゃない」ヒョイ パク

天津風「あっ、コラ!ちょっと」

足柄「わ、美味しい。私より上手かも」

天津風「え?そ、そう」

足柄「これなら大丈夫よ。ほら、早く渡してらっしゃい」

天津風「う、うん。行ってくる」

足柄「渡す時、ちゃんと大好きって言うのよ」

天津風「いっ、言わないわよっ! ///」

46 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:35:42.57 adbe+RHno 46/52






陽炎「何なのよ、この量は」

黒潮「なんぼなんでも作り過ぎや」

不知火「だって…司令が好物だって……」

陽炎「限度があるでしょ」

黒潮「ホンマ司令の事になると見境のうなるな」

不知火「……」ショボーン

陽炎「だいたい何よ、このタッパーに新聞紙。主婦じゃないんだから」

黒潮「味付けは……うん、味は大丈夫やな。上々や」

陽炎「ほら、この可愛い重箱に詰め直して」テキパキ

黒潮「風呂敷もこの花柄のにしようなー」テキパキ

陽炎「はい、完成!」

黒潮「ほな、行っといで~」

不知火「あ、あの……」

陽炎「モジモジしない!」

黒潮「早よせんと、先越されるで」

不知火「──!行ってきます」

不知火「陽炎、黒潮、ありがとう」タタタッ

47 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:37:59.81 adbe+RHno 47/52






谷風「なあ那智、お稲荷さんもう一個食べていいか」

那智「いくらでも食べろ」

谷風「やったー!」

那智「お前は色気より食い気だな」

谷風「ん?何だよそれ」

那智「何でもない。ほら、太巻きもあるぞ」

谷風「こいつは景気いいな!」

足柄「あら、谷風じゃない。カツ食べる?」

谷風「食べるっ!うひょー、うめーっ」

羽黒「谷風ちゃん、桜餅もあるよ」

谷風「んはー!来て良かったー」

妙高「あらあら、賑やかね」

足柄「あ、妙高姉さん」

妙高「乾杯しましょ。谷風もどうぞ」

那智「お、おい、酒は……」

妙高「今日ぐらい良いでしょ、でも少しだけね」トクトク

谷風「おっとっとー」

妙高「それじゃあ、乾杯ー」





足柄「いやー早かったわね。瞬殺よ、瞬殺」

那智「だから言ったのに」

妙高「よく寝てますね。何か羽織るものは……と」

足柄「羽黒の膝で寝られるなんて、世の男からしたらプレミアものよ」

羽黒「も、もう、姉さんったら」

陽炎「すみませーん、ウチの子 引き取りに来ましたー」

足柄「あら、陽炎」

陽炎「あ、やっぱり寝てる」

羽黒「もうぐっすり眠ってるから、焦らなくても大丈夫だよ」

那智「ああ、こうなったら揺すっても当分起きん」

足柄「陽炎もちょっと飲んでけば?カツあるわよ、カツ」

陽炎「あ、ハイ。えーっと……」

足柄「遠慮しなさんな、ほら」

陽炎「それじゃあ少しだけ」

妙高「では、もう一度乾杯しましょうか」


48 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:39:06.41 adbe+RHno 48/52



◇◇◇


野分「舞風、助六を貰ってきました」

舞風「わあ、ありがとう。嬉しい」

野分「隼鷹さんの様子はどうですか」

舞風「まだいつも通りだよ」

野分「うーん、結構飲んでいる筈なんですが」

舞風「やっぱり相当お酒強いよね」

舞風「あ、でもさっき千歳さんが来てたから、多分勢い付くよ」

野分「そうですか。それではもうしばらく待ちましょう」

舞風「うん。楽しみだね ///」

野分「もう、舞風ったら ///」


     アラエッサッサー


隼鷹「あーもう、あたしゃ脱いじゃうよ!」スポーン!

隼鷹「隼鷹さんは脱いでも凄いんだからねー!」


   イイゾ ヤレヤレー マッテマシター


飛鷹「ちょっと隼鷹、やめなさいって」

隼鷹「ほらほら飛鷹も脱ぎなよーっ」

飛鷹「ちょっ、やめ、隼鷹!キャーッ!」

舞風「始まったよ、野分、ほら!」

野分「い、いきなり凄いですね ///」

舞風「もっと近くに行こうよ」

野分「あ、待って下さい舞風、引っ張らないで」

隼鷹「今日はもう止まんないよあたしはー」

野分「///」ドキドキ

隼鷹「ん?おいおい何だい、この可愛い子ちゃんは」

野分「ふおっ?」

隼鷹「いいのかい、こんな所にノコノコ来ちゃってさぁ」

野分「え、あの、はい?」

隼鷹「アタシは駆逐艦でも構わず剥いちゃうんだぜー」ワキワキ

野分「ちょっ、あの、舞かz」

隼鷹「ウラーッ!」ガバッ!

野分「ふおおおー!?」

舞風「ああっ、野分ー!野分ー!」

野分「ちょっ、あっ駄目、そこは、違っ?あッアーッ ///」ンアー

舞風「の、野分ー /// 野分ー ///」

49 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:41:03.20 adbe+RHno 49/52



◇◇◇


巻雲「秋雲ちゃんは!ウチの子れすっ!」

巻雲「絶対どこにも行かせしぇません!」

巻雲「秋雲アイラービュー」

秋雲「あははー…参ったねー…」

風雲「相当酔ってるわね」

長波「誰だよ、お酒持ち込んだの」

巻雲「聞いているのれすか、長波!」

長波「へいへい、秋雲だねー」

巻雲「秋雲ちゃんはっ!可愛いのれすっ!」

長波「お前の方が可愛いよ」

風雲「ベロンベロンじゃない。どんだけ飲んだのよ」

高波「飲んだっていうか、舐めただけ…かも」

長波「そもそも、何で巻雲が夜に居るんだよ」

沖波「保護者として一緒に行くって聞かなくて……」

風雲「絵に描いたようなミイラ取りだね」

巻雲「お義父さん!秋雲さんを私に下しゃいっ!」

巻雲「駄目れすっ!秋雲ちゃんはウチの箱入りれすっ」

巻雲「そこを何とか!愛しているのれす!」

巻雲「ええい、帰りなさい!秋雲ちゃんは渡しましぇんっ!」

長波「一人芝居始まったぞ」

風雲「無駄に迫真の演技ね」

沖波「えっと、こんなに酒癖悪かったかな?」

高波「お酒飲むとこなんて見た事ないかも…です」

巻雲「秋雲~秋雲~」

秋雲「はいはい、秋雲はそばにいるよ。ずっと一緒だよ」ナデナデ

巻雲「えへへー」ニヘラ


50 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:43:24.45 adbe+RHno 50/52



【 秋雲 】


春の好日。柔らかな光に包まれて、姉達が寝息を立てていた。

『 春眠暁を覚えず 』とは言うけれど。朝のみならず、昼も夜も皆よく眠る。
寝る子は育つはずなのに、育ってない子も稀にいる。育たぬ部分も稀にある。

お土産の袋をガサガサ鳴らし、焼きたての香りを泳がせたら動き出した。
芋を持ったまま山で迷い、烈火の勢いで猿に襲われた谷風の気持ちを、少しだけ理解する。


   オイテケー オイテケー スコーンオイテケー

   オイテケー ワタシベーグルー ズルイワタシモー


こんな状況でも、小倉デニッシュは人気がない。


51 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:45:05.14 adbe+RHno 51/52



◇◇◇


陽炎「ロシアパン?何それ」 サンドイッチ

不知火「ピロシキとかでしょうか」 チーズ蒸しパン

黒潮「ちゃうちゃう。ロシアパンやのうて、ロシアンパンや」 焼きそばパン

初風「あー、ロシアンルーレットね」 ベーグル

雪風「ロシアンルーレットって何ですか?」 メロンパン

天津風「たくさんの中に、一つだけ当たりがあるの」 クロワッサン

時津風「当たり?何が入ってるの」 チョココロネ

浦風「ハバネロらしいで。鬼盛りで」 スコーン

磯風「それは……当たりなのか?」 ガレット

浜風「そんなに辛いのはちょっと……」 クリームパン

谷風「いいじゃん、いいじゃん!面白そう」 コロッケパン

野分「秋雲もどれが当たりかは知らないんですよね?」 ライ麦パン

「よっしゃ、それなら公平だな」 カレーパン

萩風「見た目じゃ全然分からないね」 クイニーアマン

舞風「うわ~、何だかドキドキするよ」 フルーツサンド

秋雲「それじゃあみんな、せーのでいくよ!」 小倉デニッシュ



全員「いっせーの!!」 パクッ! パクッ! パクパクッ!

「…………おいおい、マジかぁ~~!!」(涙目)


52 : ◆36RVFTz/1g - 2016/04/18 12:45:39.77 adbe+RHno 52/52


以上です。
読んでくれた人ありがとう。

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