<校舎裏>
バキッ! ドゴッ!
先輩A「ぐぎゃっ!」ドザッ
先輩B「うげえ……!」ドサッ
不良「んじゃ、俺はこれで……」スタスタ
先輩A「待てや! このままじゃすまさねェぞ! 次は番長さんがてめえを……!」
不良「番長? 誰だろうと来るんなら、火の粉は払わせてもらうぜ」シュボッ
不良「ふぅ……」スパー…
先輩A(指から火を出してタバコを吸ってやがる……!)
【不良】能力:炎(ファイア)
元スレ
不良「テメェも……“能力者”か」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1459771070/
幼馴染「――もう! またケンカしたのね!?」
幼馴染「ほら、治してあげる!」パァァ…
不良「ちっ、こんなかすり傷に“能力”使ってんじゃねーよ」
【幼馴染】能力:治癒(ヒーリング)
舎弟「さすがアニキ! 二人をあっさり仕留めるなんて、パネェっす!」
不良「おう、このタバコ消しといてくれや」ポイッ
舎弟「へいへい」バシュッ
【舎弟】能力:消去(イレイズ)
放課後――
<教室>
番長「よう、オレの手下どもが世話になったようだな」ヌゥッ
不良「なんだテメェ?」
番長「オレぁ、この学校をシメてるもんだ」
不良「……まさか本当に番長自ら出てくるとはな。よっぽどヒマなんだな」
番長「ンだとォ!? オメェ、中坊ん頃は少しは名が知れてたようだがよぉ」
番長「大人の厳しさってもん教えてやんぜ。校舎裏にきな」クイッ
不良「ダリィ……早く帰りたいから、すぐ終わらせてやるよ」ガタッ
<校舎裏>
番長「ハナシは聞いてるぜ。オメェ、指から火を出せるらしいな? オレと同類だな」
不良「!」
不良「テメェも……“能力者”か」
番長「そのとおり! オレの“能力”は“分身(ダミー)”!」
番長「自分と互角の分身を、最大100体作ることができる!」
番長「いくぜッ!」バババッ
【番長】能力:分身(ダミー)
番長「ハッハッハ、どうだ!? ビビっちまったか!?」
分身A「……」
分身B「……」
分身C「……」
不良「ああ……驚いてるよ」
不良(“能力者”がこんなところにもいたなんてな)
番長「やっちまえ、お前ら!」
分身A「あ? 誰に命令してんだコラ」
分身B「オリジナルだからって調子こいてんじゃねーぞ!」
分身C「この勘違い野郎、フクロにしちまおうぜ!」
分身たち「オラァァァァァァッ!!!」ドガッバキッグシャッ
番長「ぎゃああああああああっ!」
不良「……」
番長「やるじゃねえか……。オレの……完敗だ」ボロッ…
不良「……」
番長「ま、オレ如きじゃ、オメェに勝てねえのはハナから分かってたけどよ」
不良「あぁ? どういう意味だ?」
番長「実をいうと、オメェの腕を見込んで……頼みがあるんだ」
不良「頼み?」
番長「近頃、隣町のチームがこの町をシメようって動き出してるんだ」
不良「隣町のチーム……どんな奴らなんだよ」
番長「凶悪な連中だ」
番長「チームは総勢100人以上、しかもアタマとその下の三幹部は全員“能力者”だ」
不良(四人も“能力者”がいやがるチームか……)
番長「次の日曜にオレがこの町の不良を代表して」
番長「この町と隣町の境にある河原で、奴らと会うことになってるが――」
番長「ぶっちゃけ、オレと手下だけじゃとてもケンカはできねえ」
番長「だが、お前がいりゃ、少なくとも交渉を有利に進めることができる」
番長「頼む! 次の日曜日、オレについてきてくれねえか!」
不良「……お断りだ」
不良「あいにく、俺は“派閥”だの“勢力”だのに興味ないんでね」
番長「だけどよォ……!」
不良「だいたい、そういうのはアンタの仕事だろ?」
不良「俺みたいな一匹狼にケツ拭かせようってのは甘いんじゃねェか」
番長「ぐ……!」
不良「じゃあな」スタスタ…
番長「くそう……アイツがいりゃあ心強いってのに……」
舎弟「番長さん」
番長「オメェはたしか、アイツの舎弟……」
舎弟「残念だけど、アニキはもう積極的にケンカ売ることはやめたんすよ」
番長「どういうことだ?」
舎弟「中坊時代、アニキには一人の親友(ダチ)がいたんす……」
舎弟「アニキとその親友はあちこちで暴れまわり、“無敵のコンビ”っていわれてたっす」
番長「ああ、そのハナシは知ってる。だからオレもアイツを誘おうとしたんだ」
舎弟「だけど、どんどんケンカ以外の悪さにも手を染めていこうとする親友と」
舎弟「ケンカだけやれればいいってアニキの間で亀裂が生じて――二人は対立したんす」
番長「音楽性ならぬ、不良性の違いってやつか……」
舎弟「二人はタイマンで勝負して、決着はつかず、コンビは解散……」
舎弟「アニキはそれで突っ張るのに嫌気がさしちまったんす……」
番長「ンな事情があったのかよ……知らなかったぜ」
番長「ならしゃあねえ、オレと手下どもだけで交渉することにするぜ」
舎弟(この番長……案外、いい奴っすね)
二日後――
<教室>
舎弟「アニキ、大変っすよ!」タタタッ
不良「どうした?」
舎弟「実はオイラ、隣町のチームについて密かに調べてたんすけど――」
舎弟「奴ら、凶悪なんてもんじゃないっすよ!」
不良「……どういうことだ」
舎弟「三幹部の『DQN』『ヤンキー』『金髪』が実行部隊を率いて町じゅうを暴れまわり」
舎弟「敵対した人間や逆らった人間は問答無用で公開リンチ」
舎弟「暴れ方が巧妙で、警察(ポリ)どもも手を焼いてるらしいっす」
舎弟「それと、法に引っかからない新種のドラッグを売ってるなんてハナシもあるっす」
不良「……」
舎弟「しかも、しかも――」
不良「なんだよ? もったいつけんなよ」
舎弟「チームのアタマは、あの親友さんなんすよ!」
不良「な……!?」
舎弟「こりゃ、あの番長だけじゃどうにもならないっす! だからアニキも……!」
不良「……!」
不良「関係ねェよ」プイッ
舎弟「アニキ!」
不良「おーい、幼馴染!」
幼馴染「アンタから話しかけてくるなんて珍しいわね。なによ?」
不良「今度の日曜、デートしようぜ。近くの遊園地にでも行こうや」
幼馴染「えっ、いいの!?」
不良「ああ……たっぷり楽しもうぜ」
幼馴染「やったーっ! ありがとう!」
不良「――ってわけだ。悪りィが、俺はもう……アイツとは関わらねえ」
舎弟「アニキ……」
そして、次の日曜日――
<河原>
番長「なんでオメェも来たんだよ」
舎弟「一応、オイラもこの町の不良っすから」
先輩A「ううう……」ビクビク
先輩B「怖い……」オドオド
番長「ビクビクすんな! 今日はやり合うために来たわけじゃねーんだからよ!」
ブォンブォンブォン……! ブォンブォンブォン……!
舎弟「き、来たっす!」
番長「すげえバイクの数だ!」
ズラッ……
番長(うぐ……! マジで100人ぐれぇいやがる!)
親友「……」
番長「アンタが、チームのアタマか……今日はよろしくな」
親友「……」
番長「シカトこいてねえで、なんかいったらどうだ!?」
親友「テメー如きがオレと対等(タメ)で口きけると思ってんじゃねーぞ、カス」
番長「な!?」
親友「DQN、このカスの頭でも分かるように、分かりやすくお話ししてやれや」
DQN「はい」
番長「ぐ、ぐぐぐ……!」
DQN「今日からお前らはオレらの傘下だ」
番長「ああ……ケンカしても勝ち目はねえってことは分かってる」
DQN「だからその証として――お前らは毎月上納金を100万円払え」
番長「なにぃ……!?」
DQN「あと、お前らの学校から女を50人ほどみつくろって、オレらによこせや」
DQN「それとお前らの町でもオレらの扱ってるドラッグを売ってもらう」
番長「ハァ……!?」
番長「ふざけんな! ンな条件呑めるわけねーだろ!」
親友「できるか、できないか、じゃない」
親友「やるしかねェんだよ、テメーらは」ギロッ
番長「うう……!」ビクッ
ヤンキー「ヒッヒッヒ、やらねえっつうのなら、お前らの学校の連中無差別にボコにするだけだ」
金髪「オレたちゃ警察(ポリ)や先公(センコー)なんざ怖くねえからな」クチャクチャ
番長「ぐ、ぐぐぐ……!」
番長(コイツら、予想以上にイカれた連中だ……!)
番長(だけど……オレにだって番長としてのプライドはある! 戦うしかねえッ!)
番長「交渉決裂だ! オレはオメェらなんざに従わねえぞ!」
番長「分身(ダミー)、出てこい!」バババッ
舎弟「オイラも手伝うっす!」
先輩A「番長がやるなら、オレだって!」
先輩B「やってやらぁっ!」
親友「DQN、お前一人で十分だな?」
DQN「楽勝です」ニヤッ
……
……
<遊園地>
幼馴染「ねえねえ、次はジェットコースター乗ろうよ!」
不良「……」ソワソワ…
幼馴染「ちょっと、聞いてる!?」
不良「あ、すまねえ……次はお化け屋敷にするか?」
幼馴染「……」
幼馴染「ねえアンタ、番長や舎弟たちのことが気になってるんでしょ?」
不良「!?」ギクッ
不良「い、いやそんなことは――」
幼馴染「ウソがつけない男ねえ、アンタって。不良なのに悪いことできないタイプね」
不良「うぐ……」
幼馴染「行ってきなさいよ。私は一人で楽しんでるからさ」
不良「……いいのか?」
幼馴染「その代わり、今度はちゃんと遊園地連れてってよ!」
不良「すまねえ!」タタタッ
幼馴染(ほんっと、世話が焼けるんだから……)
……
……
<河原>
分身A「命令してんじゃねーぞ!」バキッバキッ
分身B「何様のつもりだコラァ!」ドカッドカッ
分身C「オラオラァ!」ガッガッ
番長「ぎゃああああああああああ!!!」
先輩A「つ、つええ……」ピクピク…
先輩B「うう……」ピクピク…
DQN「残るはお前だけだな」ニヤッ
舎弟「くそう……」
DQN「この鉄パイプで、頭ブン殴ってやる!」ブオンッ
舎弟「その鉄パイプを消してやるっす!」バシュッ
DQN(鉄パイプが消えた!?)
DQN「へえ……お前も“能力者”か」ニヤッ
舎弟「そうっすよ! これで素手同士っすね!」
DQN「だけど残念だったな、オレの“能力”は“金属(メタル)”! 金属を操れる!」
DQN「つまり、鉄パイプや金属バットをいくらでも生み出すことができる!」パッ
舎弟「げえっ! 鉄パイプが復活したっす!」
DQN「くたばれっ!」ブオンッ
バキィッ!
舎弟「ぎゃふぅぅぅぅ!」ドサッ…
舎弟(アニキ……こいつら強すぎる、っす……)
【DQN】能力:金属(メタル)
親友「終わったな」
親友「とりあえず明日までに50万持ってこい。できなきゃテメーの学校を襲撃する」
番長(ち、ちくしょう……ここまでかよぉ……)
「まだ終わっちゃいないぜ」ザッ…
不良「この町の不良は……まだ俺がいるッ!」
番長「不良!?」
舎弟「アニキ……来てくれたんすね……」ジーン…
不良「すまなかったな、二人とも。後は俺に任せてくれ」ザッザッ
不良「久しぶりだな、親友」ザッ
親友「……まさか、テメーと再会する日がくるとはな」ジャリッ…
不良「あの時の……決着(ケリ)をつけにきた」
不良「タイマンで決闘だ」
親友「ハァ? 笑わせんな。こっちにゃこんだけ兵隊がいるんだぜ?」
親友「だれがテメー如きとタイマン張るかよ」
不良「テメェ……とことん腐っちまったようだな」
親友「何とでもほざけや! ――かかれッ!」
ワァッ!!!
不良「うおりゃっ!」バキッ
不良「だりゃっ!」ドカッ
不良「でえりゃあっ!」ドゴッ
「ぐおおっ……!」 「コイツ強え!」 「数で押し切れェ!」
ワァァ…… ワァァ……
番長(アイツ、100人相手によく戦ってやがる……!)
番長(もしかしたら一人で倒せちまうかもしれねえが、それじゃ残る幹部どもには勝てねえ!)
番長(せめて……あの100人はオレが引き受けねえと!)
番長「分身ども!」
分身A「あ? “分身様”だろうが!」
分身B「またボコられてーのか!」
分身C「ナメてんじゃねーぞ!」
番長「た、頼む……! オレに力を貸してくれ!」ガバッ
番長「番長として、先輩として、男として……不良をアシストしてやりてェんだ!」
分身たち「……」
分身A「フッ、いいぜ、やってやる!」
分身B「最初からそういやいいんだよ」
分身C「アンタに従ってやるぜ、大将!」
番長「ありがとう!」
分身A「オラオラァ!」ドゴッ
分身B「こっちも100人いんだぞ、コラァ!」バキッ
「なんだこいつら!?」 「結構やりやがるぞ!」 「同じ顔が何人もいやがる!」
ワァァ…… ワァァ……
番長「この兵隊(ザコ)どもはオレと分身に任せて、オメェは幹部どもを倒せ!」ガスッ
不良(番長……ようやく“能力”使いこなせるようになったようだな)
不良「さて……と」
不良「俺の相手はテメェら“三幹部”って奴か」
DQN「お前如き、オレ一人で十分よ! 出でよ、鉄パイプ!」パッ
DQN「頭カチ割ってやるぜぇぇぇ!」ブンッ
不良「金属を操る“能力”か」サッ
DQN「そのとおり! 無限に鉄パイプや金属バットを生み出せるオレは無敵だ!」
不良(たしかにな……俺の“能力”は半径50メートルに最大1万度の炎を生み出すくらいしかできねえ)
不良(俺のチンケな“能力”じゃ、まともにやったら勝ち目がねえ!)
不良「ならっ!」シュボッ…
DQN(タバコに火をつけた!?)
不良「喰らえッ!」ポイッ
DQN「うおっと!」サッ
不良「――今だッ!」ブオッ
ドゴォッ!!!
DQN「ぐはぁっ……!」ドサッ…
DQN(“能力”と“拳”の……コンビネーションだとォ……)ガクッ
ヤンキー「ヒッヒッヒ、やるじゃねえの」
不良「テメェの“能力”はなんだ?」
ヤンキー「“瞬間移動(テレポート)”だ!」
ヤンキー「つまり絶対警察に捕まらねえから、手加減せずケンカができんのよ!」
ヤンキー「ヒャハハハハハハッ!」ドガガガガッ
不良「ぐっ……!」
不良(なるほど、テレポートでいつでも逃げれるという安心感が、このパンチ力を生み出してるわけか!)
【ヤンキー】能力:瞬間移動(テレポート)
不良「だったら!」シュボッ…
ヤンキー(タバコに火をつけた!?)
不良「喰らえッ!」ポイッ
ヤンキー「あぶねっ!」サッ
不良「――今だッ!」ブオンッ
ドゴォッ!!!
ヤンキー「ぐげえっ……!」ドザッ
金髪「ふうん……やるじゃん」クチャクチャ
不良「三人目はテメェか」
金髪「オレの“能力”は“時間(タイム)”……時間を自在に操れる」ペッ
金髪「どんなにガムを噛んでも、ガムの時間を巻き戻していくらでもガムの味を楽しめるのよ!」パクッ
金髪「虫歯になったら、歯の時間を巻き戻してやりゃいい!」クチャクチャ
不良「テメェ……“能力”使いこなしてやがんな」
金髪「いくぜェッ!」クチャクチャ
【金髪】能力:時間(タイム)
金髪「オラオラオラァ!」ズガガガッ
不良「なら!」シュボッ…
金髪(タバコに火をつけた!?)
不良「喰らえッ!」ポイッ
金髪「ひっ!」サッ
不良「――今だッ!」ブオンッ
ドゴォッ!!!
金髪「ごふぅ……!」ドサッ
不良「残るはテメェだけだ……!」ギロッ
親友「チッ、役立たずどもが」
親友「まあいい……ここで中坊時代につけれなかったケリをつけてやる!」
親友「オレの“能力”は“粉(パウダー)”! この世のどんな粉でも生み出せる!」
親友「スギ花粉だって生み出せるのさ!」パサッ
不良「うっ!(俺は花粉症なんだ!)」ジュルジュル…
親友「スキだらけだぜェ!」ブンッ
バキィッ!!!
不良「ぐはっ……!」
【親友】能力:粉(パウダー)
親友「この“能力”でやれることはこれだけじゃないぜ……」スンッスンッ
不良(なんだ? 妙な粉を生み出して、鼻から吸いやがった!)
親友「しぇしぇしぇ~! しぇしぇしぇ~! しぇしぇしぇのしぇ~!」
不良「!?」ギョッ
親友「こうなったオレは……もう止められねェ~ぜェェェ!!!」
ドゴォッ! バキィッ! ドガッ!
不良「ぐおおっ……!」
不良「そうか……テメェらが売ってる新種のドラッグってのはその粉か!」
親友「しぇしぇしぇ、そのとおり! 体に害はねェが、快楽と依存性は抜群ってシロモノよ!」
親友「オレはこの粉で大儲けして、日本を制覇して、裏社会の帝王になってやんぜ!」
不良「制覇ァ? 帝王ォ? いつまでも小学生みてえなこといってんじゃねェよ!」
親友「しぇしぇしぇ、そういうのを負け犬の遠吠えっつうんだよ!」
バキッ! ドガッ! ドゴッ! バキッ! ドガッ!
親友「しぇしぇしぇ、ほぼ互角ってとこか! だが粉(ドラッグ)のおかげで痛くねえ!」ニヤッ
不良(このジャンキーが! まともにやり合ったら勝ち目はねえ! どうすれば――)
パァァ…
親友「――あれ?」キョトン
幼馴染「彼の薬物依存症を“能力”で治して、健康体にしたわ!」
不良「お前、なんでこんなとこに……!?」
幼馴染「一人で遊園地いてもつまんないし、ついてきちゃった」
不良「へっ、余計なことしやがって」
幼馴染「にしても、彼とアンタの“能力”で粉塵爆発が起こらなくてよかったわ」
不良「フンジンバクハツ? なんだそりゃ」
親友「ま、まずいッ! シラフになるのなんて久しぶりだ! 早く次の粉を――」
不良「させるかよ!」シュボッ…
親友(タバコに火をつけた!?)
不良「喰らえッ!」ポイッ
親友「おっと!」サッ
不良「――今だッ!」
ドゴォッ!!!
親友「ぐ、がはぁ……!」ドサッ
親友「“能力”を完璧に使いこなしてやがる……。強くなりやがったな……」
不良「バカいえ……テメェが弱くなっただけだよ」
親友「オレの……負けだ……。チームは解散する……」
不良「……」
親友「オレはテメーのまっすぐさに憧れてた……」
親友「だがいつしか、まっすぐなテメーがまぶしくて、マトモに見れなくなっちまった」
親友「だから……より悪に走ろうとした……」
不良「……」
不良「やり直そうぜ……親友!」
親友「いいのか……?」
不良「ああ、また二人で“コンビ”組もうじゃねえか!」
親友「……ありがとよ」
番長「どうやら終わったみてえだな……」
先輩A「へへへ……オレ、DQNにやられてブッ倒れてただけ」
先輩B「同じく……」
舎弟「さっすがアニキっす! んもうオイラ、チョー感動したっす! パネェっす!」
不良「ンじゃ、みんなで焼き肉でも食いに行こうぜ!」
幼馴染「賛成!」
――――――
――――
――
それから――
<パン屋>
不良「俺たち“コンビ”組んで、パン屋でバイトすることにしたんだ!」
不良「コイツの“能力”でいくらでもパン粉を生み出せるし、俺の炎で簡単に焼けるからな!」ボワッ
親友「まともに働くって楽しいぜ……!」コネコネ
店主「君たちのおかげで材料費や燃料費が浮いて大助かりだよ! ありがとう!」ニコニコ
幼馴染「ここのパン、すっごく美味しくなったって評判よ!」
舎弟「このコンビは最強っす!」モグモグ
番長「オレ、メロンパン大好き!」ムシャムシャ
不良「高校卒業したら、二人でパンの世界で日本を制覇しようぜ!」
親友「おう!」
― おわり ―