1 : 以下、\... - 2016/03/12 16:27:45.582 yLtp3AxN0.net 1/45

<コンビニ>

「いいかい新入り、コンビニ店員の挨拶ってのはこうやるのさ」ッシャアセェェェ

女後輩「しゃあせー……ですか?」

「ちがうちがう、ッシャアセェェェだ」

女後輩「しゃあせぇぇぇ」

「うん……まあさっきよりはマシになったな」

女後輩「ホントですか!」

元スレ
男「コンビニ店員の挨拶ってのはこうやるのさ」ッシャアセェェェ
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1457767665/

3 : 以下、\... - 2016/03/12 16:32:20.123 yLtp3AxN0.net 2/45

女後輩「でも、私としては……やっぱりちゃんと“いらっしゃいませ”って言いたいです」

「ふうん……じゃあやってみな」

女後輩「えっ?」

「次、客が来たら、はっきりと“いらっしゃいませ”って言ってみるといい」

女後輩「いいんですか?」

「ああ」

女後輩「分かりました! 私、やります!」

4 : 以下、\... - 2016/03/12 16:35:38.111 yLtp3AxN0.net 3/45

ウイーン……

客A「お茶とコーヒーでも買ってくか」

客B「んだな」





女後輩「いらっしゃいませー!」

7 : 以下、\... - 2016/03/12 16:37:34.138 yLtp3AxN0.net 4/45

客A「んだよ……なんか白けちゃったな」クルッ

客B「ああ、帰ろうぜ」クルッ





女後輩「あれえええええ!?」

「な?」

11 : 以下、\... - 2016/03/12 16:41:31.770 yLtp3AxN0.net 5/45

「札幌へ旅行する人間が時計台を期待するように――」

「エジプトに行く人間がピラミッドを期待するように――」

「日本に来る外国人がサムライゲイシャを期待するように――」

「コンビニに来る客ってのも、ッシャアセェェェを期待してるってことなんだ」

「ハキハキ挨拶しちまうと、お客の期待を裏切っちまうことになるんだな」

「だからコンビニ店員はッシャアセェェェで挨拶しなきゃならねえのさ」

女後輩「な、なるほど……」

14 : 以下、\... - 2016/03/12 16:45:50.805 yLtp3AxN0.net 6/45

「慣れれば、こうして普通に話しながらでもッシャアセェェェできるようになる」ッシャアセェェェ

「ほれ」ッシャアセェェェ

「こんな具合に」ッシャアセェェェ

「よっと」ッシャアセェェェ

女後輩「すっごーい! さすがプロですね!」

「店長なんか、寝ながらでもッシャアセェェェできるぞ」

15 : 以下、\... - 2016/03/12 16:49:16.364 yLtp3AxN0.net 7/45

「ところでお前さんは、どうしてコンビニ店員に?」

女後輩「実は私……お父さんを捜してるんです」

「ほう?」

女後輩「お父さんは刑事で、特にコンビニ強盗を捕まえるのが得意だったんです」

女後輩「だけど、行方が分からなくなってしまって……」

女後輩「それでこうしてコンビニで働いてれば、見つかるかな……って思って」

「なるほど、雲をつかむような話だな」

女後輩「……ですよね」

「だがいいじゃねえか……雲をつかむ! つかんだ雲で綿菓子を作ってやろうぜ!」

女後輩「……はい!」

19 : 以下、\... - 2016/03/12 16:53:27.045 yLtp3AxN0.net 8/45

……

中年「年齢確認!? 何故わざわざそんなものせねばならん!?」

女後輩「ですが決まりですので、ボタンを……」

中年「私のどこが未成年なんだね!? ええ!? 青春18きっぷで旅行するように見えるかね!?」

女後輩「す、すみません……」グスッ



「お客さん」ッシャアセェェェ

20 : 以下、\... - 2016/03/12 16:56:47.581 yLtp3AxN0.net 9/45

中年「なんだね!?」

「若い女の子にいちゃもんつけて泣かせる姿――なかなか青春してて嫌いじゃないぜ」

中年「そ、そうかね?」ドキッ…

「だが、郷に入っては郷に従え、だ……。年齢確認ボタンをポチッと頼むぜ」

中年「はうぅっ!」ドキーン

中年「押します押します!」ポチポチポチポチポチ

「フッ、いい子だ」

22 : 以下、\... - 2016/03/12 16:59:36.037 yLtp3AxN0.net 10/45

女後輩「ありがとうございました、先輩!」

「気にすんな」

「コンビニってのは一種のカオス空間だ。時にはああいうちょいとロックな客もいる」

「もし困ったことがあったらすぐ俺を頼れ」

女後輩「は、はいっ!」



老人「ほっほっほ」

24 : 以下、\... - 2016/03/12 17:03:00.821 yLtp3AxN0.net 11/45

女後輩「いらっしゃ――しゃあせぇぇっ!」

老人「ほっほっほ、元気のいいお嬢さんじゃ。タバコ……マルボロをいただこうかの」

女後輩「分かりました! お手数ですが、年齢確認ボタンを押して下さい!」

老人「かまわんよ」スッ



「――待ちな」ッシャアセェェェ

28 : 以下、\... - 2016/03/12 17:06:49.889 yLtp3AxN0.net 12/45

老人「なんじゃ?」

「身分証出しな。でなきゃアンタにタバコは売れねえ」

老人「なにを言っとる? なんでそんなもんが必要なんじゃ?」

「いいから出せよ。免許証でもいい保険証でもいい、今流行りのマイナンバーでもいい」

「出せないなら、この話はここで終わりだ」

老人「なんじゃと!? 貴様、ワシを愚弄しておるのか!?」

女後輩「そ、そうですよ! この人どう見てもおじいさんじゃないですか!」

30 : 以下、\... - 2016/03/12 17:09:31.028 yLtp3AxN0.net 13/45

「クッ、クククッ……おじいさん、おじいさん、ねえ」

女後輩「?」

「大したメイクだが、俺の目はごまかせねえよ、若造」

「いや――お嬢ちゃん」

老人「!」ピクッ





老人「フッ……フハハハハハッ……」グイッ

31 : 以下、\... - 2016/03/12 17:12:30.226 yLtp3AxN0.net 14/45

ベリベリィッ!

少女「よくぞ見破ったわね!」





「だてに長年コンビニ店員やってねえよ」ッシャアセェェェ

女後輩「あれえええええっ!?」

36 : 以下、\... - 2016/03/12 17:17:15.629 yLtp3AxN0.net 15/45

少女「――で、どうすんの? タバコを買おうとした非行少女って親に突き出す?」

「んなことしやしねえさ」

少女「え?」

「ほれ、ココアシガレット」スッ…

少女「!」

「ほのかなハッカな香りが……マルボロにも劣らないクールさをお前にプレゼントしてくれるぜ」

「30円で味わえる、上質なひと時ってやつさ」

少女「!」キューン

37 : 以下、\... - 2016/03/12 17:20:13.631 yLtp3AxN0.net 16/45

少女「今日は……あたしの負けにしといたげる!」ポリポリ

少女「だけどこれであたしに勝ったなんて思わないことね!」ポリポリ





「もちろんさ。またのご来店、待ってるぜ!」アリアシタァァァ

女後輩「あ、ありあしたぁっ!」

41 : 以下、\... - 2016/03/12 17:24:31.076 yLtp3AxN0.net 17/45

……

「ッシャアセェェェ」

女後輩「っしゃあせー!」

大男「おうねえちゃん、トイレ借りるぜ」ズイッ

女後輩「はい、どうぞ」

大男「…………」ニヤッ

「あっ、ダメだ!」

女後輩「えっ!?」

大男「もう遅いッ!」

44 : 以下、\... - 2016/03/12 17:27:14.629 yLtp3AxN0.net 18/45

メキメキィッ!

大男「フハハハッ! トイレの便器を“丸ごと”借りるぜぇ!」ヒョイッ





女後輩「あれえええっ……!?」

「やられたか……」

47 : 以下、\... - 2016/03/12 17:30:31.954 yLtp3AxN0.net 19/45

女後輩「なんとか止められないんですか!? こんなの泥棒じゃないですか!」

「いや……あいつの『トイレ借りるぜ』に対し、お前は『どうぞ』と答えてしまった」

「この時点で、両者の間には契約が成立する」

「あの大男、あの巨体で法の網を巧妙にかいくぐりやがった……!」

女後輩「そんなぁ……」

49 : 以下、\... - 2016/03/12 17:34:24.635 yLtp3AxN0.net 20/45

女後輩「すみません、先輩……!」

女後輩「私のせいで、このコンビニからトイレがなくなってしまいました!」

「なくなっちまったもんはしょうがねえ。気にすんな」

女後輩「でも……」

「なぁに……心配すんな。奴にあのトイレを使いこなすことはできねえさ」

51 : 以下、\... - 2016/03/12 17:37:28.769 yLtp3AxN0.net 21/45

<外>

大男「ふぅ……スッキリしたぜ」

大男「トイレをいただいちまえば、こうしていつでも用を足せるってもんよ!」グイッ

大男「あ、あれ……?」グイッグイッ

大男「いくらレバーをひいても水が出ねえ!」グイッグイッ

大男「流れてくれよぉ! ニオイがどんどんあふれてきちゃうぅ!」グイッグイッ

大男「なんでだぁっ!? なんで流れねえんだぁっ!?」グイッグイッ

55 : 以下、\... - 2016/03/12 17:41:14.238 yLtp3AxN0.net 22/45

「当たり前だろ」

大男「! ――お前はさっきのコンビニの……!」

「トイレってのも、ちゃんと生きてるんだ」

「若い女だましてトイレをかっぱらおうとする野郎のいうことなんざ、聞いちゃくれねえよ」グイッ

ジャアァァァァァァ…

大男(水が流れた……っ!)

56 : 以下、\... - 2016/03/12 17:45:29.384 yLtp3AxN0.net 23/45

「もう分かったろ? 腕力だけじゃトイレはついてきちゃくれねぇのさ。女と同じだな」

大男「うう……」

「トイレ……返してくれるかい?」

大男「……はい」





「トイレのご返却、アリアシタァァァ!」

60 : 以下、\... - 2016/03/12 17:50:05.874 yLtp3AxN0.net 24/45

……

<コンビニ>

「うーん……」

女後輩「どうしました、先輩?」

「いや、あそこの客……さっきからずっと立ち読みしてるからさ」





青年「ジャンプは面白いなぁ」ハハハッ

61 : 以下、\... - 2016/03/12 17:53:20.282 yLtp3AxN0.net 25/45

「彼、いっつも買わずに出てっちゃうんだよな」

女後輩「まあいいじゃないですか、害があるわけでもないですし」

「そうだけどさ、読み方もあんまりキレイじゃないし……」





青年「マガジンも面白いなぁ」ヒヒヒッ

青年「サンデーも面白いなぁ」フフフッ

62 : 以下、\... - 2016/03/12 17:56:08.930 yLtp3AxN0.net 26/45

青年「チャンピオンは……読まなくていいか」







女後輩「――おい、ちょっと待て」

「へ?」

70 : 以下、\... - 2016/03/12 17:59:50.490 yLtp3AxN0.net 27/45

女後輩「お客様……」

青年「はい?」

女後輩「ちょっと事務所まで来ていただけますか」ガシッ

青年「え、どうして?」

女後輩「いいから来いッッッ!!!」

72 : 以下、\... - 2016/03/12 18:01:32.376 yLtp3AxN0.net 28/45

青年「たっ、助けっ! や、やめてっ! ぐぎゃぁぁぁぁぁ……!」







(あの子、チャンピオン派だったのか……)

73 : 以下、\... - 2016/03/12 18:05:49.617 yLtp3AxN0.net 29/45

……

「ご苦労さん、今日はもう上がっていいよ」

女後輩「はいっ! ありがとうございました!」

「今日はお前のお父さん見つからなかったけど……いつか見つかる日がやってくるさ」

女後輩「そうですね――」





ウイーン……

77 : 以下、\... - 2016/03/12 18:09:39.632 yLtp3AxN0.net 30/45

コンビニエンスストアに一人の客が訪れた。



頭にはフルフェイスヘルメットを被り、服装は黒い上下のライダースーツ。

そして、右手に握られているおそらくは購入したてであろう出刃包丁――



この男が何者か、それは誰の目にも明らかであった。







女後輩「仮面ライダー板前!?」

「惜しい、強盗だ」

78 : 以下、\... - 2016/03/12 18:13:16.761 yLtp3AxN0.net 31/45

女後輩「先輩……どうしましょう!?」ガタガタ…

「下がってな」



「ご用件は?」ッシャアセェェェ

強盗「金を出せ」ギラッ…

「あいにくウチの店に、包丁を突きつけながら話をするような輩にやる金はねえよ」

強盗「なら、力ずくで出させてやるまでだ」

「……来な」

81 : 以下、\... - 2016/03/12 18:16:49.789 yLtp3AxN0.net 32/45

強盗「はああっ!」ビュオッ

「…………!」サッ

強盗「ぬうんっ!」ビュアッ

「――くっ!」サッ

強盗「なかなかの動きだが、よけるだけでは私は倒せんぞ!」ビュオッ



女後輩(あの強盗、素早い! しかも首や腹といった急所を的確に狙ってる!)

女後輩(どんなお客でも何とかしそうだった先輩が、手も足も出ないなんて!)

83 : 以下、\... - 2016/03/12 18:19:53.283 yLtp3AxN0.net 33/45

「ぐっ……!」

女後輩「先輩、大丈夫ですか!? 警察呼びましょう! 119番!」

強盗「119は救急車だ」

女後輩「あれえええっ!?」

「いや……119でいいぜ。なぜならこの強盗さんに必要だからな」

女後輩「か、かっこいい……!」ドキーン

強盗「面白い冗談だ」

女後輩「だけど先輩、勝つ見込みあるんですか!?」

「もちろんさ」

(店長、今こそ『コンビニ戦闘術』使わせてもらいます!)

86 : 以下、\... - 2016/03/12 18:24:09.267 yLtp3AxN0.net 34/45

コンビニ戦闘術とは――

文字通り、コンビニエンスストアにおける戦闘術のことである。

コンビニの店員は、いざという時に店にある物品で戦うことを公式に認められている。



2015年にセブンイレブンの店員が、おでんで猟銃を持った強盗を撃退した事件は記憶に新しい。





「いくぜっ!」プッシャァァァァァ

強盗「ぐわっ!?」



女後輩(炭酸飲料を噴き出させて、強盗の視界をふさいだ!)

87 : 以下、\... - 2016/03/12 18:29:21.343 yLtp3AxN0.net 35/45

強盗「くっ……奴はどこだ!? どこへいった!?」キョロキョロ

スッ……

強盗「そこかっ!?」ブンッ

スパッ!

強盗「ち、違う! 紙だ! ――奴め、コピー機で自分の分身を作りやがった!」

???「お取引を選択して下さい」

強盗「そこかっ!」ザクッ

ATM「残念、今のはオレの声だ」ニヤッ

強盗「ATMだと!?」



女後輩(先輩、すごい! 強盗を完全に翻弄してる!)

94 : 以下、\... - 2016/03/12 18:35:02.587 yLtp3AxN0.net 36/45

「強盗さんよ……俺はこっちだッ!」ブオンッ





バキィッ!!!





強盗「ぐはぁっ!」ドザァッ



女後輩(先輩のパンチで強盗のヘルメットが取れて、素顔が明らかに――)

97 : 以下、\... - 2016/03/12 18:38:58.953 yLtp3AxN0.net 37/45

女後輩「この顔は……あれええええ!? ――おっ、お父さん!?」

強盗「うう……っ!」

「なんだと……!?」

女後輩「お父さん……どうして!? どうして強盗なんか……」

強盗「娘よ……私は……私は、あいつに操られて……」

女後輩「操られたって……誰に!?」

「――危ない!」サッ



ドゴォッ!!!



「ぐおっ!?」ミシッ…







フルフェイスヘルメット「オレだよ」

102 : 以下、\... - 2016/03/12 18:43:58.536 yLtp3AxN0.net 38/45

フルフェイスヘルメット「今の体当たり、結構効いただろ? クックック……」

「お前が……黒幕か!」ッシャアセェェェ

フルフェイスヘルメット「そうだ」

フルフェイスヘルメット「オレがその人間の意識を乗っ取って、このコンビニで強盗させようとしたのさ」

女後輩「どうして……!? どうして、そんなひどいことを!?」

フルフェイスヘルメット「分かんねえのか!?」

女後輩「!」ビクッ

フルフェイスヘルメット「だってお前たちコンビニはオレを追い出したじゃねえか!」

フルフェイスヘルメット「オレを“悪”と認定したじゃねえかっ!」

107 : 以下、\... - 2016/03/12 18:48:35.705 yLtp3AxN0.net 39/45

フルフェイスヘルメット「オレはなんにも悪いことしてねえのに――」

フルフェイスヘルメット「“フルフェイスヘルメット着用ではご入店できません”だと!?」

フルフェイスヘルメット「お前らに分かるか!? 門前払いにされるオレの気持ちが!」

フルフェイスヘルメット「強盗七つ道具の一つ、みたいな立ち位置にされたオレの気持ちが!」

フルフェイスヘルメット「オレは悲しみと怒りのあまり、ついに呪いのヘルメットに生まれ変わった!」

フルフェイスヘルメット「そして、正義感の強そうなその人間がオレの悪の気をかぎつけてきたから」

フルフェイスヘルメット「逆に意識を乗っ取って、コンビニ強盗させることにしたのさ!」

「そうだったのか……」

フルフェイスヘルメット「どうだ!? なにか弁明はあるか!?」

「……何もねえよ」

109 : 以下、\... - 2016/03/12 18:51:39.072 yLtp3AxN0.net 40/45

「お前たちフルフェイスヘルメットを顔を隠すための道具として悪用したのは、俺たち人間だ」

「言い訳なんかしようがねえ」

フルフェイスヘルメット「ぐっ……急にしおらしくなりやがって」

「だから俺には――」スッ…

「こうしてお前を抱きしめることしかできねえ」ギュウッ…

フルフェイスヘルメット「!」

114 : 以下、\... - 2016/03/12 18:55:10.232 yLtp3AxN0.net 41/45

「ごめんな……フルフェイスヘルメット」ギュゥ…

「お前をそこまで追い詰めちまったのは……俺たち人間だ」ギュゥ…

フルフェイスヘルメット「ううう……」

フルフェイスヘルメット(ああ……ドス黒いオレの心が、浄化されていく……)

フルフェイスヘルメット(どんなに憎んでも満たされなかった心が、満たされていく……)





フルフェイスヘルメット(ありが、とう……)シュゥゥゥ…

115 : 以下、\... - 2016/03/12 19:00:14.712 yLtp3AxN0.net 42/45

……

女後輩「お父さん、大丈夫?」

強盗「ああ、大丈夫だ……。しかし、私は取り返しのつかないことをした」

強盗「私はあのヘルメットの悪の心こそ見抜いたものの、悲しみを見逃してしまった」

強盗「だから、こうして操られて強盗をしでかすことになってしまった」

強盗「店員さん……どうか私を警察に――」

「警察? なにいってんだ、アンタ」

強盗「え?」

「このコンビニに“強盗さん”なんて来なかった」

「来たのは……娘想いの“お父さん”だけ、だぜ」

女後輩「先輩……!」

強盗「ありがとうございます……!」

119 : 以下、\... - 2016/03/12 19:04:12.083 yLtp3AxN0.net 43/45

……

(――こうして俺の長すぎる一日は終わった)

(結局俺は、強盗なんか来てないのに『コンビニ戦闘術』を使ったことになったから)

(店長からはこっぴどく怒られた。ま、当然だな)

(だけど、店長のやつ――)



『“強盗さん”と“お父さん”はちょっとムリがあるんじゃないか?』ニヤッ



(本当は全部分かってるんじゃなかろうか。食えないオヤジだ)チッ

(そして、後輩はというと、すでに父を捜すという目的は果たしたんだ)

(明日からはもうこのコンビニには来ないだろう)

(一日だけの後輩だったが、なかなかいい娘だったぜ……)

……

123 : 以下、\... - 2016/03/12 19:08:52.531 yLtp3AxN0.net 44/45

翌日――

<コンビニ>

「――って、なんでまた出勤してきたんだよ!?」

女後輩「ひどいですね、先輩。私、辞めるなんて一言もいってませんよ」

「そういやそうだが……」

女後輩「それに私まだ、先輩みたいな“一流のコンビニ店員”になれてませんから」

女後輩「引き続き、ご指導のほどよろしくお願いしますっ!」ペコッ

「……やれやれ、足手まといが増えちまったぜ」

女後輩「先輩ったら、素直じゃないんですから!」

フルフェイスヘルメット「ボクもいるよ!」ピョンピョン

「おう、期待してるぜ」

女後輩「よろしくね、メット君!」

フルフェイスヘルメット「ボク悪いフルフェイスヘルメットじゃないよ!」ピョンピョン

125 : 以下、\... - 2016/03/12 19:12:21.383 yLtp3AxN0.net 45/45

ウイーン……





「お、お客だ。準備はいいか?」

女後輩「はいっ!」

「せーの……」



ッシャアセェェェ








<おわり>

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