未来ガジェット研究所
まゆり「最近萌郁さん見ないねぇ」
紅莉栖「そういえばそうね」
紅莉栖「岡部、何か聞いてない?」
岡部「助手よ、何故俺に聞くのだ?」
紅莉栖「あんた桐生さんとメル友でしょ?何か聞いてないの?」
紅莉栖「それと助手じゃねーし」
ダル「そういえばここ一ヵ月見てない気がするお」
元スレ
萌郁「イメチェンしよう」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1338986106/
岡部「メールか・・・そういえば指圧師とは最近メールしていないな」
岡部「以前はあちらから頻繁に送られてきたのだが・・・」
まゆり「ねぇオカリン、心配だからメールしてみようよ」
ダル「事件に巻き込まれた桐生氏は謎の組織に連れ去られ、記憶を書き換えられた上その身体に改造手術を受けるのであった。・・・薄い本が出るな」
紅莉栖「HENTAIは黙れ」
岡部「さておき、ラボメンの管理も未来ガジェット研究所の所長たる俺の役目だ・・・」
岡部「ここは一つ、桐生萌郁の生存を確認するためミッションを開始する!」白衣バサァ
岡部「その名もオペレーsy」
萌郁「おっはよー!」ガチャッ
萌郁「みんなおひさ~、元気だった?」
岡部「」
紅莉栖「」
ダル「」
まゆり「あ、萌郁さんトゥットゥルー♪」
萌郁「トゥットゥルー♪」
萌郁「ん?どうしたのみんな?幽霊でも見たって顔してるよ?」
岡部「・・・・・・」
紅莉栖「・・・・・・」
ダル「・・・・・・」
岡部「・・・ここは一つ、桐生萌郁の生存を確認するためミッションを開始する!」白衣バサァ
岡部「その名もオペレーショn」
紅莉栖「なかったことにしようとするな」
―――――
岡部「・・・・・・」
紅莉栖「・・・・・・」
ダル「・・・・・・」
萌郁「ねぇ、何でみんな黙ってるの?」
ダル(そりゃ黙るしかないだろ・・・常考)
まゆり「萌郁さん髪切ったんだねぇ、すごく似合ってるよ~」
萌郁「ありがとう♪ちょっと気分転換してみたんだ」
岡部(ちょっと・・・?)
紅莉栖(ちょっと・・・?)
ダル(ちょっと・・・?)
ダル(っていうか、まゆ氏普通に会話してるし)
萌郁「眼鏡も何か煩わしかったから、コンタクトにしてみたの」
まゆり「服もフリフリで可愛いねぇ~」
萌郁「前のはちょっと地味すぎたかな~って思って、思い切っちゃった♪」
岡部「・・・俺だ、我が研究所のメンバーが機関による改造を受けた。至急医療班をこっちまで寄越してくれ」
紅莉栖「人ってここまで変わるものなのね・・・」
ダル「いや、これは逆にアリなのでは?」
まゆり「も~、みんな酷いよぉ。萌郁さんこんなに可愛くなったのに~」
萌郁「あ、ケーキ買ってきたんだけど、食べる?」
―――――
岡部「で、だ。何があったのか聞かせてもらうか、閃光の指圧師よ」
萌郁「何がって、別に何もないけど?」
岡部「フフフハハハ・・・何もない・・・か、あくまでシラを通す気でいるらしいな・・・」
岡部「うぅぅんんな訳あるくぅあ!容姿から性格まで、何もかも変わっているではないか!」
萌郁「・・・イメチェンってやつ?」
紅莉栖「随分思い切ったイメチェンねぇ」もぐもぐ
まゆり「あ、この上に乗ってる栗美味しい~」
ダル「まゆ氏、今の栗美味しいってところもう一回言ってくれる?」
紅莉栖「黙れHENTAI」
岡部「おぉぉ前達!何をのんきにケーキなど貪っておるか!ラボの一大事だぞ!」
紅莉栖「え?」
ダル「え?」
まゆり「え?」
岡部「え、ってお前ら・・・」わなわな
岡部「何か思うところはないのか!」
紅莉栖「別に・・・いいんじゃない?前より話しやすくていいと思うけど」もぐもぐ
岡部「え」
まゆり「まゆしぃは可愛いからいいと思うのです」もぐもぐ
岡部「ちょ」
ダル「可愛いは正義」もぐもぐ
岡部「おま」
萌郁「岡部君、ケーキ食べないの?」
岡部「・・・・・・」
岡部(何だこの温度差は・・・)
岡部(おかしい・・・この世界線は何かがおかしい・・・)
岡部(全てのDメールは削除した・・・だからこそ紅莉栖もまゆりも生きている)
岡部(バイト戦士、フェイリス、ルカ子・・・沢山の人の想いを犠牲にして、やっとの思いで成し遂げたというのに・・・)
岡部「この世界は・・・歪んでいる・・・!」
紅莉栖「ちょっとうるさいわよ岡部」
―――――
ダル「んでも、ここまで一気に変わるとは、流石に驚きを隠せませんなぁ」まじまじ
紅莉栖「どこを見てる、どこを」
岡部「携帯でコミュニケーションをとらない指圧師など指圧師では・・・・・」ぶつぶつ
まゆり「あれ、萌郁さん、そういえば携帯は?」
萌郁「ああ、これよ」ごそごそ
一同(す、スマートフォン・・・!)
萌郁「アドレスは変えてないから、いつでもメールしてね♪」
ダル(ガラケーじゃない桐生氏とか・・・やだ・・・何か新鮮・・・)
岡部「・・・ええぃ!そんなことはどうでもいい!」
岡部「俺が聞きたいのは、なぜそこまで思い切った変貌を遂げたのか、ということだ!」
萌郁「・・・・・・」
萌郁「・・・・・・それは」
フェイリス「それについてはフェイリスがお答えするニャン」ヒョコッ
ダル「知っているのか、フェイリスたん」
紅莉栖「いつからいたのよ・・・」
まゆり「フェイリスちゃんトゥットゥルー」
萌郁「お姉さま・・・」
岡部「ん?今なんと・・・?」
フェイリス「フッフッフ、萌ニャンが己の殻を破り覚醒を果たすまでには」
フェイリス「それはそれは長~い道程と、様々な困難があったのニャ」
フェイリス「最初はそう、このフェイリスの携帯に非通知で着信がきたことが全ての始まりだったのニャ」
フェイリス「フェイリスの番号を知っているのは、この世界でも数える程しかいないのに・・・ニャ」
フェイリス「最初は奴らの罠だと思ってフェイリスも警戒したニャ」
フェイリス「でも、神から選ばれた異能者として、何よりも、秋葉を守る守護天使としてここで臆する訳にはいかないと、意を決して」
岡部「あー、フェイリス、すまんが概要だけ教えてくれないか?」
ダル「オカリン!ここからがいいところなのに!」
岡部「ダルよ、少し黙れ」
フェイリス「それで、聞いてみるとニャンと!メークインで働いてみたいって言うんだから驚いたのニャ!」
岡部「なん・・・だと・・・?」
フェイリス「それでー、フェイリスはOKしたんだけどニャ、残念な事に秋葉店はこれ以上人が増やせなかったのニャ・・・」よよよ
フェイリス「萌ニャン程の逸材をお店に迎え入れられない悲劇に、フェイリスは己の無力さを呪ったニャ!」
フェイリス「無力感に打ちひしがれたフェイリスは、竹馬の友であるセリヌンティウスを一人置いて逃げおおせるメロスの心境で」
岡部「・・・・・・」
フェイリス「もぅ、わかったのニャ」ぷんすか
フェイリス「萌ニャンには残念だったけど、断ったのニャ。その代わりに友達が働いているお店を紹介するって言ったんだけどニャ」
フェイリス「萌ニャンったら、どうしてもフェイリスのお店で働きたいって言うんだニャ!そしてニャンと!フェイリスの技を間近で見て、盗みたいって言うんだニャ!」
紅莉栖「へー」
まゆり「萌郁さんかっこいい~」
フェイリス「これにはフェイリスも心をビビビーンと打たれて、その気持ちに応えようと決心したのニャ!」
岡部「ほぅ」
フェイリス「そしてついに・・・以前から暖めていたある計画を実行に移したのニャ・・・!」
ダル「超展開ktkr!」
フェイリス「その計画とは・・・メークイン2号店の設立!名づけてネオ・ホライズン計画ニャ!」
ダル・まゆり「おぉ!」
ダル「・・・っていうか!そんな情報知らない訳だが!」
フェイリス「当然ニャ、ホームページやお店の方では一切告知してなかったからニャ~」
ダル「何故に!絶対初日に行ったのにぃ!」
紅莉栖「橋田うるさい」
フェイリス「今回の計画の目的は、メークインを知らない人達がいる土地で、どれだけ新しいお客を獲得できるのか、それを試そうと思ったのニャ」
まゆり「新天地だね~」
フェイリス「場所選びは悩んだニャ~」
フェイリス「試行錯誤の末選んだ土地、それは!」
ダル・まゆり「ごくり・・・」
フェイリス「ずばり巣鴨!」
一同(・・・・・・近っ)
フェイリス「ニャフフ、ご老人の町と名高い巣鴨なら、新しい何かが見えてくるとフェイリスは確信したのニャ」
岡部「フッフッフ・・・」
フェイリス「ニャ?」
岡部「フゥーハッハッハッハ!」
岡部「フェイリス!貴様の話には致命的な欠陥があるぞ!」
フェイリス「ニャンと!?」
岡部「1ヵ月前に指圧師から相談を受け、2号店の出店を決意しただと・・・?」
岡部「僅か1ヵ月の短期間で店を探し、あまつさえ出店することなど不可能!」
岡部「見つけたぞ!世界の歪みを!」ビシッ
フェイリス「ああそれかニャ?」
フェイリス「ちょうど巣鴨で喫茶店をやってる知り合いのおじ様が」
フェイリス「近々お店を畳むって話を前から聞いてたんニャ」
フェイリス「それで相談を持ちかけて、内装はそのまま使って飾りつけだけして」
フェイリス「メークイン2号店にしてもいいですかニャ?って電話したのニャ」
萌郁「工事も殆どしなかったから出店費用も安かったのよ」
フェイリス「無事交渉は成立して、メークイン2号店は恐るべきスピードで爆誕したのニャ!」
萌郁「スタッフも喫茶店で働いていた女性達を即採用したから、開店まで本当にあっという間だったわ」
フェイリス「おじ様面食いだったからニャ~、逸材だらけだったニャ」
紅莉栖「テナントを新しく入れるのに前のお店の設備を再利用するなんて今時常識よ?そんなことも知らないの?」
岡部「・・・・・・・」
紅莉栖(それにしても早すぎだけど)
―――――
フェイリス「とまぁ、こんな感じで巣鴨にメークイン2号店が誕生したわけニャ」
フェイリス「それでそこから1ヵ月、フェイリスによる萌ニャンとの特訓が始まったのニャ・・・!」
ダル「ここ最近メークインにフェイリスたんがいなかったのにはそんな訳があったのか・・・」
紅莉栖「で、今に至ると」
岡部「待て待て待て、助手よ、勝手に纏めるな!」
紅莉栖「助手じゃないっつーの」
紅莉栖「いいじゃないもう、話長くて飽きちゃったし」
紅莉栖「それに桐生さんにとっていい変化なんだから、あんたも素直に受け入れなさいよ」
岡部「ぐぬぅ・・・」
まゆり「お話の続きは気になるけど、まゆしぃはそろそろバイトの時間なのです」
フェイリス「うニャ、そう言えばフェイリスもこの後シフト入ってるんだったニャ」
岡部「お、おい」
紅莉栖「私も仕上げたいレポートあるし、そろそろホテルに戻るわ」
ダル「フェイリスたんが久々にメークインに降臨とな!?これは行くしかないだろ・・・常考・・・」
岡部「ウェイウェイウェイ!待て貴様ら!」
フェイリス「凶真、続きが気になるなら萌ニャン本人から聞くといいニャ」
岡部「え」
まゆり「行ってきまーす」
紅莉栖「じゃあの」
ダル「アリーヴェデルチ」
フェイリス「バイバイニャン」
岡部「ちょ・・・」
バタンッ
岡部「・・・・・・」
―――――
岡部「・・・・・・」
萌郁「・・・・・・」
岡部「・・・・・・」
萌郁「・・・・・・」
岡部(何だこの既視感のある光景は!?世界線は変わったんじゃなかったのか!?)
岡部(大体何故二人きりになった途端に喋らなくなるのだ・・・!)
岡部(えぇい!携帯でコミュニケーションをとっていた時のほうがマシだったのではないか?)
萌郁「・・・・・・あの、岡部君」
岡部「それにしてもあいつ等、妙にタイミング良く出ていきおって・・・」ぶつぶつ
萌郁「・・・岡部君」
岡部「もしや、奴ら裏で何かしらの・・・」ぶつぶつ
萌郁「岡部君」
岡部「いや、これこそ正に機関の陰謀・・・!」
萌郁「岡部君!!」
岡部「わっひゃぃ!」
岡部「な、な、な、ななん何だ?」ドキドキ
岡部(びっくりしたぁ・・・)
萌郁「あのさ」
萌郁「暇なら、今からデートしない?」
岡部「は?」
―――――
秋葉原
萌郁「うわぁ、この辺全然変わってないね~」
萌郁「って、ここに居なかったの1ヵ月だけだから当たり前か(笑)」
岡部「あ、あぁ、そうか」
岡部(・・・・・・)
萌郁「あ、あそこの喫茶店潰れてる!コーヒー不味かったからな~、しかたないか~」
岡部「な、なぁ指圧」
萌郁「萌郁」
岡部「え?」
萌郁「デート中なんだから、名前で呼んでね。私も倫太郎君って呼ぶから」
岡部「あ、あぁ・・・あぁ!?」
萌郁「お願い♪」
岡部(ぐ・・・!か、可愛い・・・!)
岡部「・・・・・・」
岡部「い、今だけだぞ・・・!」
萌郁「やった!」
萌郁「エスコートよろしくね、倫太郎君」
岡部「・・・・・・」
萌郁「・・・倫太郎君?」
岡部「・・・わかったよ・・・・・・・・・・萌郁」
萌郁「♪」
―――――
上野 上野動物園
萌郁「うわー大きいね~」
岡部「あぁ、アフリカゾウは地上生物で最大の生き物だからな」
萌郁「へ~、倫太郎君詳しいね~」
岡部「そこの看板を読んだだけだ」
―――――
キリンゾーン
萌郁「うっわ!なっが!っていうか臭い!」
岡部「キリン、英語でジラフだ」
萌郁「それは知ってる」
萌郁「あ、今餌やりできるって!やろうよ!」
岡部「え?いやいやいやいやいや」
―――――
岡部「うっわ!舌なっが!そして涎が!」
萌郁「あはははは」
―――――
ペンギンゾーン
萌郁「ペンギンもいるんだねぇ」
岡部「の、ようだな」
萌郁「あ、あのペンギン、太ってて橋田くんみたい」
岡部「む、確かに。ダルと名づけよう」
―――――
熊ゾーン
萌郁「月の輪熊ってこんなに大きいんだねぇ・・・」
岡部「フフフ・・・知っているか萌郁よ、1915年、北海道三毛別で起きた世にもおぞましい悲劇を・・・」
岡部「そう、あれはちょうど今の様に肌寒い季節だった・・・」
萌郁「倫太郎君先行くよー」
―――――
ふれあいゾーン
萌郁「カピバラって、こんな大きいんだねぇ・・・」
岡部「触れ合い牧場だと・・・?フフフ・・・!鳳凰院凶真、今より対話を開始する!」
萌郁「ヤギがいっぱいいるね」
岡部「よーしよしよしよし、バフォメットよ、我が忠実なる僕よ」
萌郁「なんかいっぱい集まってきた・・・」
―――――
上野動物園 入り口付近
岡部「どうやら一通り見終えたようだな」
萌郁「パンダがお休みなのは残念だったね」
岡部「どうする?小腹が空いているというのであれば昼食にするが」
萌郁「それもいいけど・・・その前に、ちょっと行ってみたいところが」
岡部「ほぅ・・・?」
―――――
アメヤ横丁
萌郁「ここ一度来てみたかったんだよねー」
岡部「実は俺も初めて来る」
岡部「何・・・!?このマグロ・・・15万だと!?」
萌郁「色んなお店があるね」
岡部「食料品以外にも変なお土産屋から怪しげな菓子店まで・・・なんというカオス・・・」
岡部「アメヤという名称から世界中から集められた飴が売って場所だと思っていたが・・・」
岡部「フッ、どうやら、認識を改めねばなるまい・・・!」
岡部「どうやらここは混沌の宇宙・・・カオスという名のブラックホールの渦中らしい!」わくわく
萌郁(何言ってるんだろう・・・?)
萌郁「あ、帽子がいっぱい売ってるよ」
岡部「む?」
萌郁「この帽子、まゆりちゃんが被ってるのに似てるね」
岡部「ほほぅ・・・む?」
萌郁「それ買うの?」
岡部「フフフ・・・ダルに良い土産ができたな・・・」
-----
萌郁「お腹空いたね、お昼にしよっか」
岡部「ふむ、かまわんが」
萌郁「どこか行きたいところある?」
岡部「特にこれといっては・・・お」
岡部「時に萌郁よ、ジャンクフードは行ける口か?」
萌郁「うん、大丈夫だよ」
岡部「フフフ、心配するな、マクドやロッテリアなどというガキ臭い店で済ませる気など」
岡部「この鳳凰院凶真、毛頭ない!」
萌郁(倫太郎君マクド派か・・・)
―――――
フレッシュネスバーガー店内
萌郁「わー、美味しいねこれ」
岡部「フフン、当然だ」
岡部「フレッシュネスといえばテリヤキチキン、これ、世界の常識」
岡部「通はこれしか食べんのだ」
萌郁「でもこっちのチーズバーガーも美味しいよ」
岡部「ふん!邪道バーガーなど・・・」
萌郁「はい」
岡部「ん?」
萌郁「一口どうぞ」ニコニコ
岡部「貴様・・・!この俺を暗黒面(ダークサイド)に堕とそうというのか・・・!?」
岡部「ならぁぁん!ならんぞそれは!」
ざわ...ざわ...
萌郁「ちょ、ちょっと倫太郎君・・・声大きいよ」
―――――
萌郁「次どこ行こっか?」
岡部「俺はどこでも構わんが・・・」
萌郁「じゃあ私が決めて良い?」
岡部「構わんぞ」
―――――
浜松町
岡部「東京タワーか」
萌郁「定番でしょ?」
萌郁「ほら、いこ!」
岡部「あ、あぁ」
岡部「・・・って、手を握るな手を!」
萌郁「今日一日エスコートしてくれるんでしょ?」
岡部「クッ・・・きょ、今日だけだぞ!」
―――――
ドンキホーテ 六本木店
岡部「の、前にだ」
萌郁「なんでドンキホーテ?」
岡部「フフン、愚問だな」
岡部「ここ、六本木店にのみ存在する幻のアトラクション」
岡部「ぅその名もハーフ・パイプ!」
萌郁「へぇ~スゴイね、これに乗るの?」
岡部「んノンノン、このアトラクション、実は建設は完了したものの」
岡部「近隣住民の反対に押され一度も稼動することなく消えた」
岡部「まぁさに幻のマッスィーンなのだ!」
岡部「どうだ、萌郁よ、夢を感じるだろう?」ドヤァ・・・
岡部「まさに兵どもが夢の跡、という訳だ」フフフ
萌郁「へー」
岡部「・・・・・・」
萌郁「・・・・・・」
萌郁「す、すごいね~」アセアセ
岡部「・・・・・・と、いうのは軽いジョークだ」
岡部「・・・本当はタワーで使える格安の双眼鏡を買いにきたのだ」棒読み
萌郁「そ、そうなんだ」
岡部「・・・・・・」
萌郁「・・・・・・」
萌郁(ど、どうしよう、この空気・・・)
―――――
店内 レジ前
店員「1200円になりまーす」
萌郁「あ、はいはい」
岡部「ならん、ならんぞ萌郁!」
萌郁「え?」
岡部「元々俺のわがままでここに来たのだ」
岡部「漢として・・・貴様に出させる訳にはいかん!」
萌郁「え、でも、お昼も全部出してもらったのに」
岡部「ぬぅぁらんのだ!」
萌郁「・・・じゃ、じゃあお言葉に甘えて」///
店員(いいから早くしろよ)
―――――
バス亭前
岡部「では向かうとするか」
萌郁「うん」
岡部(・・・・・・)
岡部(さらばだ・・・!夢の残骸よ・・・!)
―――――
東京タワー1F
萌郁「あ、ノッポンだ」
岡部「違うな、正確にはあれはノッポン兄だ」
萌郁「兄とかいるんだ・・・」
岡部「青いほうが兄、赤いほうが弟だ」
萌郁「へ~」
―――――
東京タワー3F 蝋人形館
岡部「フッ、やはり東京タワーといえばここに限る」
萌郁「なんかリアルすぎてちょっとキモい・・・」
萌郁「あ、お猿さんが宇宙服着てる」
岡部「あれは猿の惑星だな」
萌郁「あのおじさんは?」
岡部「ジミヘンドリックスだな、世代ではないので知らんが」
萌郁「あ、あれは知ってる。マイケルジャクソン!」
岡部「相変わらず良いポージングだ」ウム
―――――
東京タワー 特別展望台
萌郁「うわーたっかいねぇ」
岡部「そうだな」
萌郁「あれ、倫太郎君反応薄いね」
岡部「ここには何度も来たからな、それこそ子供の頃から」
萌郁「へー、誰と?」
岡部「主にまゆりだな、奴がまたタワー好きでな、ことある毎に行こう行こうとうるさ・・・」
岡部「・・・っと、すまん失言だ」
萌郁「いいよ別に」
萌郁「私は初めてなの、東京タワー」
岡部「そうなのか」
萌郁「うん、今までずっと一人だったから、行こうとも思わなかった」
岡部「・・・・・・」
萌郁「こうやって男の人とデートするのも初めてだし、何だか今日は初めてづくしだなぁ」
萌郁「・・・ごめん、何か湿っぽくなっちゃったね」
岡部「・・・萌郁、ちょっとあっちまで歩こう」
萌郁「・・・うん」
岡部「・・・俺が初めてタワーに来たのは、小学生だったか」
岡部「まゆりと一緒で・・・まゆりのおばあちゃんに連れてきてもらったんだ」
岡部「あの時はまだ何も知らない子供で、タワーの景色にはかなり感動した、と思う」
岡部「・・・すまん、実は覚えてない」
岡部「それから毎年、夏になると三人でタワーに上った」
岡部「俺は毎年来てるせいで正直新しい感動はなかったな」
岡部「まゆりは何度来てもすごいすごいと同じ反応をしていたが」
萌郁「まゆりちゃんらしいね」
岡部「だがまゆりのおばあちゃんが亡くなって、それからはここに来ることはなくなった」
萌郁「それって・・・」
岡部「6年前だ」
岡部「それ以来だな、ここに来るのは」
岡部「お、あれがそうか」
萌郁「え?」
岡部「ほら、あそこにスカイツリーが見えるだろう」
萌郁「あ、ほんとだ」
岡部「6年前には見えなかった」
岡部「実は東京タワーから見えるスカイツリーを一度見てみたかったのでな」
岡部「今日はここに来れてよかったと思うよ」
萌郁「・・・岡部君、やさしいね」
岡部「・・・・・・」
岡部「萌郁、思い出がないのならこれからいつでも作ればいい」
岡部「今は昔と違って、ラボメンの仲間もいるのだしな」
岡部「今度はみんなも誘って来ようではないか」
萌郁「・・・うん」
―――――
浜松町駅
岡部「もうこんな時間か」
萌郁「結構回ったよね~」
岡部「まだどこか行きたいところはあるか?」
萌郁「うーん・・・あ、そうだ」
萌郁「あ、でも・・・」
岡部「どうかしたか?」
萌郁「うーん、何か私の行きたい所ばっかり言ってる気がする・・・」
岡部「気にする必要はない、今日はお前に合わせると決めている」
萌郁「・・・ありがとう」
岡部「だが、この時間だとあまり遠くまでは行けないぞ?」
萌郁「あ、それは大丈夫」
―――――
秋葉原
岡部「アキバ・・・」
岡部「本当にここでいいのか?」
萌郁「うん」
岡部「しかし、この街で今更回る所など・・・」
萌郁「いいからいいから」グイグイ
岡部「お、おい引っ張るな」
―――――
秋葉原 某所
萌郁「ここ、どこだか覚えてる?」
岡部「ここは・・・」
岡部「・・・・・・分からん」
萌郁 ガクッ
萌郁「ま、まぁそうだよね・・・」
岡部「スマン・・・」
萌郁「・・・・・・・」
萌郁「・・・ここはさ、岡部君と私が初めて会った場所」
岡部「そういえば・・・」
岡部(・・・言われるまで全然忘れてたな)
萌郁「私が写真とってたら岡部君がスゴイ形相で・・・ふふふ」
岡部「ま、街中でいきなり写真を取られたら誰だってそうなるだろう・・・」
萌郁「何か変な出会い方だったよね、私達」
岡部「いや、全面的にそっちのせいではないのか・・・」
萌郁「出会いはアレだったけど・・・」
萌郁「おかげで初めて友達ができた」
萌郁「・・・初めてメル友が出来て嬉しかった」
岡部「・・・・・・」
萌郁「嬉しかったなぁ」
萌郁「・・・私ね」
岡部(・・・・・・)
岡部「萌」
萌郁「私ね、今度海外に行くの」
岡部「郁・・・」
萌郁「貧困国への支援団体があってね、とりあえずアフリカに行こうと思ってるんだ」
岡部「・・・そうか」
萌郁「びっくりした?」ニヤニヤ
岡部「・・・それなりにな」
萌郁「そういう訳で、私がいなくなって寂しいだろうけど、我慢してね♪」
萌郁「・・・なーんて」
岡部「寂しいよ」
萌郁「・・・・・・」
岡部「どんな事情であれ、仲間が遠くへ旅立つのは、寂しい」
萌郁「・・・そっか」
岡部「萌郁」
萌郁「もう戻していいよ、呼び方」
岡部「萌郁、俺は、俺たちは・・・」
岡部「いつでもここで待っている」
岡部「だから、いつでも帰ってこい」
萌郁「・・・・・・ありがとう」
萌郁「ここに来れて、よかった・・・」
―――――
後日 羽田空港 搭乗ゲート前
まゆり「萌郁さん、元気でね」
萌郁「うん、まゆりちゃんもね」
紅莉栖「もうまゆり、泣かなくたっていいじゃない」
まゆり「だってぇ~」
萌郁「牧瀬さんも元気で」
紅莉栖「うん、元気でね」
紅莉栖「萌郁さんが参加する団体、私の知り合いいるから」
紅莉栖「困ったら頼って、私からも言っておくから」
萌郁「ありがとう」
フェイリス「あっちで変な男に絡まれたら、フェイリス直伝の暗黒舞踏術で屠るのニャ!」
萌郁「あ、ありがとう、お姉さま」
ルカ子「あ、あの、これお守りです。旅の無事を祈ってます」
萌郁「ありがとう、漆原さん」
ダル「萌郁たん・・・メイド姿一度見たかったお・・・」
萌郁「ご、ごめんなさい・・・」
紅莉栖「他に言うこと無いのかよ・・・」
岡部「・・・・・・」
紅莉栖「・・・じゃああたし達お腹空いたから、そこでランチ食べてくるわ」
岡部「んな」
一同「行こう行こう」ゾロゾロ
岡部(こ い つ ら・・・)
紅莉栖(ちょっと岡部)コソコソ
岡部(ん?)
紅莉栖(せっかく気を利かせるんだから、何か至言を残しなさいよね)
岡部(ハードルを上げるなハードルを・・・)
スタスタスタ
岡部「・・・・・・」
萌郁「・・・・・・」
岡部「・・・あー、なんだ」
萌郁「岡部君」
岡部「む、何だ?」
萌郁「私、岡部君が好き」
岡部「む・・・」
萌郁「でも、今の私は、まだ岡部君の傍に立つには相応しくないかな」
萌郁「だからさ、いつかいい女になって帰ってくるから」
萌郁「その時は、私と付き合ってほしいな」
岡部「・・・・・・」
岡部「・・・・・・」
岡部「・・・・・お」
萌郁「あぁ、答えはいい」
岡部「む・・・そうか」
萌郁「私が帰ってきたときに、答えを聞かせて」
岡部「・・・・・・わかった」
―――――
羽田空港 ターミナル
まゆり「いっちゃたねぇ、飛行機」
岡部「そうだな」
紅莉栖「ねぇ岡部」チョイチョイ
岡部「なんだ?」
紅莉栖「萌郁さんに最後に何て言ったのか教えなさいよ」ニヤニヤ
岡部「・・・・・お」
紅莉栖「お?」
岡部「教えん」
紅莉栖「ちょっ!何よそれ!」
岡部(・・・・・・)<オシエナサイヨ!
ピローン
岡部(む・・・メールか)
From桐生萌郁
件名~~~ヾ(*´∇`*)行ってきマース☆
この度私、桐生萌郁は旅立ちマス!ヾ(≧∇≦*)ゝ
みんなとの別れはとってもとっても寂しいけど(´;ω;`)
一回りも二回りもおっきくなるために、新天地へと向かうのです!(●≧ω≦)b
あ、でもメールは引き続き送るから心配いらないよ♪
それじゃぁ、みんな元気でね☆ヾ(≧∇≦*)ノ
それと岡部君、返事楽しみにしてるゾ☆
岡部「メールの内容は変わらんのだな・・・」
ダル「いや、むしろ今のキャラならこの内容でも違和感ないのでは?」
まゆり「メールできるなら寂しくないね~」
紅莉栖「ちょっと岡部、この返事って何よ」
岡部「・・・・・・」
一同「・・・・・・」
ダッ!
フェイリス「あ、逃げたニャ!」
紅莉栖「ちょっと待ちなさい!」
―――――
秋葉原 メークイン
ダル「結局のところ、何で萌郁たんはメークインで武者修行したのか」
フェイリス「決まってるニャ、愛の力だニャ」
ダル「愛、ねぇ・・・」チューチュー(ジュースを吸う音)
ダル「でも修行なら秋葉でもできたっしょ」
フェイリス「だーかーらー、それについては説明したはずだニャン」ぷんぷん
ダル「甘くみてもらっちゃあ困りますなぁ、フェイリスたん」
フェイリス「ニャニャ?」
ダル「僕がメークインをどれだけ愛好していると思っているのかね?」
ダル「そんな新しく雇う枠がない程新人が入ったのなら」
ダル「毎日チェックしてる僕が知らないはずないお」
フェイリス「ニャニャ・・・・」
フェイリス「・・・フッフッフ、流石ダルニャン、メークインマスター名は伊達じゃないニャ」
ダル「キリッ!」
ダル「んで、どこまでが本当なん?」
フェイリス「本当も何も、1ヵ月の間、2号店で萌ニャンと修行したのは本当だニャン」
フェイリス「ただ、恥ずかしがり屋の萌ニャンが秋葉みたいなイケイケ紳士が来る激戦区でいきなり働くのはハードルが高いと思って」
フェイリス「客層がおじいちゃん、おばあちゃんの巣鴨ならちょうどいいかニャーと思ったのニャ」
ダル「え、ってことはまさか萌郁たんの為に巣鴨に出店したん?」
フェイリス「Exactlyニャ」
ダル(パネェ・・・)
フェイリス「いやー、それにしても最初は大変だったニャ~」
フェイリス「萌ニャンったら、お客様にお尻触られて手に持ったお盆で・・・」
―――――
東京タワー 特別展望台
まゆり「うわぁ~、たっかいね~」
まゆり「ねぇねぇオカリン!秋葉はあっちかな?」
岡部「そうだな・・・」
紅莉栖「へ~、結構高いのね」
岡部「ほぅ、紅莉栖は東京タワーは初めてか」
紅莉栖「まぁね、小さい頃からあっちでの生活が長かったから」
紅莉栖「あと助手・・・って、え?」
紅莉栖「今、名前・・・」
まゆり「オカリンオカリン!スカイツリーが見えるよ!」
岡部「まゆりよ、人前であまりはしゃぐものではないぞ」
岡部(あいつが帰ってくる頃にはこの風景も変わっているのだろうか・・・)
岡部(・・・まぁ、そんなこと分かるはずがないか)
岡部(未来は、俺たちの手で作っていくのだからな)
まゆり「オカリン何でキメ顔なの?」
おわり
おまけ
ダル「オカリン、この帽子はなんぞや・・・」
岡部「フフフ・・・それこそ、混沌よりいでしカオス・・・」
岡部「エルフェン」
ダル「センターにでかでかとアメ横はねーだろ、常考・・・」
エピローグ
アフリカ 某所
ジェシー「今日もあっついねぇ~」英語
萌郁「そうね」英語
ジェシー「気候がさ、根本から違うよ、私の国と」
萌郁「私の国も似たような感じ」
萌郁(・・・あ)
ジェシー「おぉ!モエ、ゾウだよゾウ!」
ジェシー「こんなところでお目にかかれるとは運がいいねぇ」
萌郁「ねぇ、ジェシー知ってる?」
ジェシー「ん、何?」
萌郁「アフリカゾウはね、地上最大の生物なのよ?」
ジェシー「へ~、物知りだね、モエは。誰に教わったの?」
萌郁「・・・・・・」
萌郁「・・・・・お」
ジェシー「お?」
萌郁「岡部君」
おしまい