1 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:31:28.62 smpOzCta0 1/43

「デスノートってジャンプで連載中の漫画よね?」

「ああ」

「久しぶりだってのに、何?」

「まあまあ。幼だったらどうする?」

「書いた名前の人が死ぬってあれ?」

「それ」

「……冗談でしょ?」

「まあとりあえず幼だったらどうする?」

「そうね……」

元スレ
男「デスノートを拾った」 幼「……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456057888/

2 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:31:53.66 smpOzCta0 2/43

「漫画では犯罪者を殺してたけど、私だったら怖くて無理だなあ」

「たぶん一度も使わないままだと思う」

「幼らしいな」

「そうかな?」

「うん」

「……それで男だったらどんな風に使うの?」

「僕だったらまあ一つかな」

「いや、どんな風に使うのって」

「気が向いたら教えるよ」

「ずるいー」

3 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:32:22.11 smpOzCta0 3/43

<翌日>

「体の調子はどう?」

「ばっちしだけど」

「良かった。それで明日だけど、ショッピング行かない?」

「いいよ」

4 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:33:11.01 smpOzCta0 4/43

<翌日>

「何かすごく注目されてたね」

「まあ、ティーン向けのファッションショップだったからね」

「やっぱり男と一緒にいるのが珍しかったのかな」

「……そうじゃない?」

「まあいいや、そこのカフェで休憩しよ」

「いいよ」

5 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:35:08.75 smpOzCta0 5/43

<翌日>

「疲れたー」

「ぐたーってしてるね」

「昨日出歩いたからだー」

「じゃあ今日は家でのんびりしようか」

「たまにはこういう日もいいよね」

6 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:35:40.40 smpOzCta0 6/43

<翌日>

「ねえ、空ってどうして青いの? 海が反射してるから?」

「違う、レイリー散乱だ」

「……? レイリー散乱って何?」

「……ごめん、アニメの知識だから分からない」

「気になる」

「今から調べるから」

7 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:36:06.08 smpOzCta0 7/43

<翌日>

「たまには料理を作ってみた」

「ごちそうになります」

「ほら、男の好きなハンバーグ。あーん」

「……あーん」

「どう、おいしい?」

「……懐かしいな。おいしいよ」

「良かった」

8 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:36:34.08 smpOzCta0 8/43

<翌日>

「ひとよひとよに?」

「ひとみごろ」

「ひとなみに?」

「おごれや」

「ふじさんろく?」

「おうむなく」

「ふたよしくしく?」

「……分からない」

「よし、勝ち!」

「いや、勝負だったの?」

9 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:37:01.45 smpOzCta0 9/43

<翌日>

「たまには一人で過ごす」

「男は仕事のようだ」

「…………」

「…………」

「…………」

「あー、もう退屈」

「早く帰ってこないかなー」

「ただいまー」

「あ、帰ってきた!」

10 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:37:27.17 smpOzCta0 10/43

<翌日>

「……♪」

「何か上機嫌だね」

「昨日は男とあまり一緒にいれなかったから」

「今日は存分に甘えさせてもらうからね」

「おてやわらかに」

「じゃ、ほら、膝かして」

「はいはい」

「……♪」

11 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:37:54.69 smpOzCta0 11/43

<翌日>

「たまには料理を作ってみた」

「チャーハンか。男って料理出来たんだー」

「まあ……そりゃね」

「食べていい?」

「いいよ」

「……おいしい!!」

「良かった」

「ちょっと味付け濃いけど」

「男の料理なんてそんなもんだよ」

12 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:38:21.72 smpOzCta0 12/43

<翌日>

「今日から二泊三日の旅行だ」

「温泉かー。楽しみ!!」

「電車内ではしゃがないの」

「えーだって楽しみなんだもん。男は違うの?」

「……違うと思う?」

「思わない」

「ま、その通りだよ」

13 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:38:57.56 smpOzCta0 13/43

<翌日>

「そっちの湯加減はどうー?」

(女湯の方から声がする。恥ずかしい)

「ねえ、男ー!」

「……」

「あれ、男聞こえてないのかな。じゃあもっと大きな声で……」

「ああもう……こっちの湯加減もいいよー!」

「あ、聞こえてたんだったら早く返事してよー!」

14 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:39:32.20 smpOzCta0 14/43

<翌日>

「おみやげは……これ、三十個入りか。ちょうどいいかな」

「そんなにたくさんかってどうするの? 二人じゃ食べきれないよ」

「あ、そっか。じゃあ、こっちで」

「じゃあ会計して」

「……終わったよ」

「それじゃ帰ろうか」

「えーもう帰るのー! あっという間だった」

「楽しい時間っていうのはあっという間に過ぎるものなの」

「また来ようね!」

「……そうだね」

15 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:40:09.28 smpOzCta0 15/43

<翌日>

「はぁ……はぁ……」

(はしゃぎすぎたのか熱が出た幼)

「大丈夫?」

「だい……じょーぶ」

「タオル変えるからね。ほらゆっくり寝て」

「ありがと」

「…………」

「zzz」

16 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:40:42.15 smpOzCta0 16/43

<翌日>

「ふっかーつ!!」

「昨日とは打って変わって元気だね」

「まあね!」

「看病したかいがあったよ」

「看病……」

「……ん? どうかしたの、幼?」

「男。本当に……ありがとうね」

「男だけだよ……こんなに……」

「どうしたの、また熱がぶりかえした?」

「……ひっどーい。私だって普通に礼くらい言えるんだからね!」

17 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:41:16.09 smpOzCta0 17/43

<翌日>

「ねえ、もしさ。大気中の酸素の割合が40%だったら呼吸って今の二分の一で済むのかな?」

「いきなりどうしたの?」

「いや、ちょっと気になって」

「……何かで聞いたけど、酸素20%っていうのはそれ以上でも、それ以下でも生命はここまで繁栄しなかったって話のはず」

「へえー」

「いや、自分でした質問にもうちょっと興味を持とうよ……」

18 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:41:50.93 smpOzCta0 18/43

<翌日>

「今日は男と二人で買い物!」

「はしゃぐなって」

「はい、はーい! 今日のごはんは何にしますか!」

「そうだな……カレーとかどう?」

「カレー作るの!?」

「まあ頑張ってみるよ」

「楽しみ! ……あ、おかし買っても良い?」

「300円までな」

「ケチー」

「うちにお金の余裕はありません」

「まあいいや、選んでくる」

「行ってらー。……あ、そうだ果物売り場に行かないと」

19 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:42:17.55 smpOzCta0 19/43

<翌日>

「えー今日もカレー?」

「昨日はあんなに喜んでたのに……」

「そりゃ好きだけど朝昼晩ずっとカレーは……」

「二日目のカレーおいしいだろ?」

「おいしくても、連続は嫌……」

「……んー、ならカレーうどんにアレンジするか」

「それなら大丈夫!」

「ちょっと待ってて」

「分かった!」

20 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:42:44.44 smpOzCta0 20/43

<翌日>

「やーだー。行かないで!」

「だから仕方ないだろ。親に呼び出されたんだから。それに日帰りだから、夜には帰ってくるって」

「でも……」

「たまには顔を見せないとな」

「…………」

「……幼も一緒に帰らないか」

「昔と同じでおまえんち俺の実家の隣だし」

「ごめん。……ちょっと無理」

「……ま、そっか」

「いい子でお留守番してくれよ」

「……分かった」

21 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:43:11.08 smpOzCta0 21/43

<翌日>

「海だー!!」

「ご機嫌取りのつもりで連れてきたけど、楽しんでるみたいだな」

「ほら、男も泳ごうよ」

「……そうだな!」

「ほら、私を捕まえてみせて!」

「言ったなあ?」

「あ、ちょっと待って、まだスタートって言ってない……!」

「問答無用!」

「きゃっ!」

「ははっ……どうだ、幼、楽しいか!」

「うん、楽しい!」

22 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:43:39.26 smpOzCta0 22/43

<翌日>

「今日は遊園地に来た」

「ジェットコースター楽しかった!!」

「もう一回乗ろうよ!!」

「……次で五回目だよ?」

「ほら、早く早く!」

「あんま絶叫系好きじゃないんだけど……」

「その後はコーヒーカップにメリーゴーランドに……あ、最後は観覧車に乗るんだからね!」

「はいはい。幼様の仰せのままに」

23 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:44:07.56 smpOzCta0 23/43

<翌日>

(今日は夜景の見えるレストランでディナー……)

「ね、ねえ、本当にお金大丈夫なの?」

「心配するなって、この日のためにちゃんと蓄えている」

「な、ならいいけど……」

「落ち着かないか? やっぱりいつも通り家の方が良かったか?」

「……ううん。一度はこういう体験してみたかったし」

「そっか……なら良かった」

「ねえ男……私、今幸せだよ」

「僕も同じだ」

24 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:44:35.76 smpOzCta0 24/43

<翌日>

(翌日……まあレストラン帰りの、まだ0時を回ったばかりの夜なんだけど)

「ほら、付いたぞ」

「おーー、男ぉー。サンキューッ!」

(酔っぱらった幼を介抱しながら家に着く)

「ほら、ちゃんと靴脱いで」

「んー、やだー。男が脱がしてー」

「……こんなに酒癖が悪いとは思わなかったな」

(その後も悪戦苦闘しながら、幼のベッドに寝かせることに成功する)

「それじゃおやすみ」

「……やだ」

「え……?」

25 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:45:02.05 smpOzCta0 25/43

(幼が服の袖を握っている)

「どうしたの、幼?」

「今日は一緒に寝るの」

「一緒に……って」

「…………」

「寝れないのか? なら、子守唄でも……」

「そういう意味じゃないの!」

「……」

「……だって、今日は……今日は!!」

「……分かったよ」

(僕は幼の待つベッドに上がる)

「ただ、俺も初めてだからな……痛くしたらごめんよ」

「……男に痛くされるなら良いよ」

26 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:45:30.21 smpOzCta0 26/43

<同日・昼>

チュン、チュンチュン。

「……ん」

(日の光に導かれ僕は起きる)

「これが俗に言う朝チュンってやつか。いや、昼チュン……?」

「ふわっ……あぁ……」

「すぅ……すぅ……」

(隣には幼が穏やかに寝ている)

(僕は幼を起こさないように立ち上がって、リビングに向かった)

(おそらくやつがそこで待っているだろうから)

27 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:46:03.47 smpOzCta0 27/43























リューク「くっくっくっ。こういうときは昨晩はお楽しみでしたね、とでも言えばいいのか?」




「……随分と人間世界の文化に染まったね、リューク」






28 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:46:33.70 smpOzCta0 28/43

「昨日は覗いたりしてないだろうな」

リューク「そんな趣味ねえっての」

リューク「おまえたちの甘ったるい日々を見ているよりアニメだっけか、そっちを見てる方が面白いっての」

「まあ、君を楽しませるために過ごしてはいないからね」

(冷蔵庫を開けてリンゴを取り出す)

「ほら、今日の分」

リューク「お、ありがとな。……にしても今日でこの味ともお別れだと思うと寂しいぜ」

「僕らよりリンゴの方が気がかりか」

リューク「何だ気にして欲しかったのか?」

「いや、全然」

(そう今日が……終わりの日)

(幼が目覚めてから23日目)

29 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:47:00.36 smpOzCta0 29/43

<12年前>

医者『残念ながら幼さんの目は……もう覚めないかと』

<7年前>

幼母『もう私たちにもお金が無いのよ!』

『だったら僕が代わりに払う!!』

<2年前>

『幼……起きてくれよ……っ!』

<24日前>

『デスノート……?』

リューク『くっくっくっ、また奇妙なやつが拾ったもんだ』

『まさか……本物なのか!?』

30 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:47:27.40 smpOzCta0 30/43

リューク「あー、うまかった」

「……」

リューク「それでこれからどうするんだ?」

「もちろん幼と過ごすよ」

「ただ……二言くらい言っておこうと思ってね」

リューク「ほう……」

「まずは……ありがとう。デスノートを僕の前に落としてくれて」

リューク「死神に礼を言うやつがいるなんてな……」

リューク「……俺は適当に落としただけだ。感謝するならおまえの運の強さにしろ」

「……そう」

「じゃあもう一つ。これは言ってみたかったんだ」

31 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:47:54.07 smpOzCta0 31/43






「僕の勝ちだ。リューク」






32 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:48:21.47 smpOzCta0 32/43

「……ん」

「起きた?」

「あ、男。……おはよう」

「おはよう」

「……って、私、服着てないじゃん!」

「わー! わー!! 恥ずかしい、こっち見ないで!」

「そうは言っても……昨日たっぷり見たし」

「それとこれとは話が別なの!!」

「ほら、着替えるから、あっち見てて」

「はいはい」

33 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:48:51.73 smpOzCta0 33/43

「……」

「……」

「えっとさ……」

「うん……」

「その、いつだっけ……男がデスノートの話したのって?」

「二十三日前だね」

「……ねえ、聞かせてくれる。男はデスノートをどういう風に使うのかを?」

34 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:49:25.38 smpOzCta0 34/43

「……説明する必要ある?」

「……そだね。じゃあ一つだけ」

「男だったら書く名前は一つ? それとも二つ?」

「……」

「答えて」

「二つ……かな」

「そっか」

「……」

「私に付き合わなくても良かったのに」

「……幼を一人になんて出来ないよ。危なくて見てられないからね」

「もう……子供扱いして」

35 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:49:55.19 smpOzCta0 35/43

「デスノートの話じゃ天国も地獄もないってあったけど」

「こうやって一緒だったら……」

「うん、きっとまた来世でも一緒だよ」

「そうだね……絶対一緒だ」

「……ねえ、手握って」

「いいよ……」

「それじゃ」

「ああ」



―――――――――――――――――。



36 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:50:23.76 smpOzCta0 36/43





植物状態から奇跡的復活を果たし、近しい者と幸せな思い出を作って23日後死亡。




近しい者と幸せな思い出を作って23日後死亡。




37 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:50:53.93 smpOzCta0 37/43

リューク「まったく……あんな人間がいるとはな」

――――――――

リューク『デスノートを使った人間は総じて不幸になる』

『そうか……だったらリューク』

『君は初めてデスノートを使って幸せになる人間を見れるよ』

――――――――

リューク「……ああ、俺の負けだよ」

リューク「これだから人間はおもしろ……だな」

<FIN>

38 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/21 21:51:25.43 smpOzCta0 38/43

終わりです。
こんな使い方出来るか厳密には分からないですけど、そこは二次創作ってことで許してください。



>>1の他の作品

葉隠「強くてニューゲーム……って、俺がだべ!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1402841268/

39 : 以下、名... - 2016/02/21 21:52:58.27 evPbclyco 39/43


>>1の連載中はミスかと思ったがそういうことか

42 : 以下、名... - 2016/02/21 22:12:32.83 SITLbWwQo 40/43

え、連載中ってなんかの伏線?
誰か教えてくれ

43 : 以下、名... - 2016/02/21 22:16:13.73 Vq7vMAwlO 41/43

連載中=連載していた頃の記憶で止まっているってことじゃない?

48 : 以下、名... - 2016/02/22 18:51:02.76 gaZyq20nO 42/43

なるほど…よくできてるな
乙!

49 : ◆YySYGxxFkU - 2016/02/22 19:48:17.30 ohKjDowW0 43/43

感想たくさんあざっす。調子乗って蛇足。
>>1 『連載中』12年前で記憶が止まっている。
>>3 『体の調子』起き上がったばかりの幼の心配。
>>4 『ティーン向けファッション』精神年齢が学生だけど、体が大人だから注目浴びた。
>>5 長年寝ていて体力無い。
>>11 『まあ……そりゃね』幼が知らないだけで長年一人暮らししてたから。
>>14 30個入り。学生気分抜けてないので、クラスのみんなの分を買おうとしている。
>>18 果物売り場。リンゴ買うため。

html出してきます。

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