ケース1 鹿目まどか
マミ「これね、とても大事な物なのよ」
まどか「なんでなんですか?」
マミ「家族との思い出の品…なつかしいわ
みんなで遊園地に言ったときにお母さんが買ってくれたお皿なの」
まどか「可愛い、もっと近くでみたいな」
マミ「いいわよ、気をつけて持ってね」
マミから受け取ったお皿はまどかの手をすり抜け落下していく
マミ「あ!!」
まどか「す、すすいません」
マミ「………」
まどか(ごめんなさいごめんなさい)
必死に表情を変えない様に辛抱するまどか
マミ「怪我してない? しばらく動かないでね、破片を集めないと…」
マミ「…ふふ、駄目じゃないの鹿目さん、ちゃんと持ってないと」
元スレ
マミ「大切な物だったのに」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1315667287/
まどか「だったよ…」
さやか「なんだ楽勝じゃん!」
ほむら「その様ね」
杏子「まあマミだしな」
まどか「謝ったらダメなの?」
ほむら「ダメよまどか、そういうゲームなのだから」
さやか「…気が引けるけどさ」チラッ
QB「どんな願いでも叶えてあげるよ、条件はわかるね?
マミの大切な物を一人一つづ壊してもらうよ。
もちろん謝る、なんでやったのかとか言ったらダメだからね」
さやか「正直魅力的なんだもん」
まどか「…わたしも人の事いえないもんね」
QB「まどか、君の願いは何かな?」
まどか「あのね、最新式の洗濯機が欲しいの」
QB「メーカーは何がいいのかな?」
まどか「良くわからないからキュゥべえのオススメでいいよ」
さやか「洗濯機? そんなのが欲しかったの」
まどか「昨日壊れちゃったんだ」
ほむら「ふふ、素晴らしいわなんて優しいのかしら」
まどか「………」
杏子「次!」
さやか「OK!」
マミ「ちょっと泣けきちゃうな…
でも、鹿目さんは私なんかに付いてきてくれるって言ってたもの」
マミ「………」
マミ「忘れましょう…また、買えばいいよね…」
ケース2 美樹さやか
さやか「このチーズケーキおいしいですマミさん!」
マミ「ありがとう。……今日は鹿目さんは一緒じゃないのね、ちょっと珍しいわね」
さやか「ヤダなーまるでいつも一緒みたいじゃないですか」
マミ「あら違うの?」クスリ
さやか(レアCDレアCDレアCD)
マミ「……どうかしたの?」
さやか(………!)
さやか「マミさん、あのベッドの横にある腕時計、男の人のじゃないですか」
マミ「ああ。あれはお父さんの形見なの、勘違いしないでね美樹さん」
マミ「ふふふ、不恰好でしょ?」
さやか(時計か、ちょっと無理かな…)
さやか「あれ? そういえばこの前来た時に飾ってあったお皿、片方がないですね」
マミ「…ああ、ちょっとね。割っちゃったの…ドジね、まったく」
マミ「………おかわり食べる? まだたくさんあるのよ」
目が潤んでる事に気づいたマミは自然に見えるように
さやかに背を向け、台所の方に向かっていった
さやか「? 食べるとも言ってないんだけどな」
さやか(お皿って事はまどかか…隣のもきっと…)
さやか「弁償しますから許して!」
ガシャーン
さやか、割った、とても悪い事。
マミ「どうかしたの!」
さやか「あのですね…そのですね…」
マミ「大きな音が…したけ…」
マミ「ああ!」
さやか「ひっ! ご」
QB「ん? ん?」コソコソ
さやか(我慢! 我慢! だってどんな物でも手に入るんだもん!)
さやか「その、綺麗だったから…触ってみたくて……マミさん」
マミ「大事な物だって言ったよね!? なんで勝手に触るの!」
さやか「あのあの」
マミ「………あっ」
マミ(何後輩にどなってるのマミ! 気にしない、気にしちゃダメ)
マミ(美樹さん…きっと手が滑って…だから! だから!)
さやか(まどかの言ってた反応と違う)ビクビク
マミ「…」
マミ「最近悪い事が続くわね…」
さやか「え!?」
マミ「この前もね…ほら、割っちゃったじゃない? お皿
ふふふ、美樹さんにも私の運が移っちゃったのかしら」
さやか「…」
マミ「怒鳴ったりしてごめんね。でも、また買えばいいから…」
マミ「……あんまり気にしないで」
さやか(ごめんなさいごめんなさい)
さやかの呆然とした顔に無用な罪悪感を抱く。
マミ「はいはい! もう忘れましょう美樹さん」
さやか(……)
QB「お手柄だよさやか、あれはマミのお誕生日祝いも兼ねて両親から送られた物なんだ。
だから2皿あったって訳さ」
QB「完璧に思い出をパリーンって訳だね」
さやか「……」
まどか「……」
QB「さあ願いを聞こう、さやかは何が欲しいのかい?」
さやか「……あのさ、割ったお皿を元通りにできないかな」
まどか「……さやかちゃん」
QB「ダメだよ、それは叶えられない。
それじゃあ僕が道化になってしまうじゃないか」
QB「素直に当初に欲しかった物をいいなよさやか」
さやか「……」
杏子「まあ心が痛むのもわかるが何でもだぞ?」
ほむら「ええ、これは破格の報酬よ美樹さやか
罪悪感も達成感として処理しなさい」
ほむら「……それが賢明、もう引き返しても無意味よ」
さやか「………じゃあ、キュゥべえが知ってる内で最高の演奏だと思うバイオリン演奏のCDを」
QB「僕の感性でいいのかい?」
さやか「長年やってきたんでしょ? だから…」
QB「まあね、よしまかせておくれよ」
一人、テーブルに並べた破片でジグソーパズル
悲しみの組み立て作業。
マミ「ダメ、粉々で直らないわね」クスリ
マミ「直ったってもう飾れないし……」
マミ「他の物でも飾ろうかな。…何を飾ろうかしら」
マミ「…」
マミ「大事にしまっておけばよかった! 見なくたって思い出せたでしょ!」
マミ「馬鹿! 馬鹿だね、私…」
マミ「うぅ、うぅぅ」ポロリ
さやか「おおすごい! 素人でもすごいってわかるわ」
さやか「早速恭介に…聞かせ…」
さやか「……」
ほむら「ふん、切り替えの悪い人ね」
杏子「次はどうする? アタシが行こうか」
ほむら「いいえ、私が行くわ」
ほむら「…確認しておくけど、本当に何でもいいのよね?」
QB「物だったらだよ」
ほむら「ええ、それで十分よ」
ほむら「巴マミ、少しお話しできないかしら」
マミ「暁美さん…」
マミ「貴女から私を誘うなんて…何を企んでるかしら?」
ほむら「他意はないわ、たまにはお互いをの事を話すのも悪くないと思ったまで
嫌ならそれでも構わない」
マミ「とてもいい考えだと思うわ、でも…
今日は遠慮するわ、後日でいいかしら? 少し一人で散歩したいの」
マミ「それじゃ」
スタスタ…
ほむら「あ」
ほむら「………」
杏子「で帰って来たって訳か」
ほむら「ふん、私の方法はすぐに終わる
手間は掛けさせないから心配しないでもらいたいわ」
杏子「心配ね」
まどか「会っちゃダメなんだよね」
QB「全員終わるまではね、偶然会ったら用事があるとかですぐに切り上げてくれるかい」
さやか「なんかさ…もうやめない? これ以上はさ…」
まどか「そうだよ! もうやめよう!」
QB「ああそっか、二人はもう叶えたからやめたい訳だね」
まどか「違うよ、もうマミさんが可愛そうだから…」
QB「本当にそう思ってるなら最初からしないさ、君にとってマミはその程度って事だろ?」
まどか「……」
杏子「まあ、何でもと天秤に掛けちまうと…な」
杏子「アタシも恩だってあるし気が引けるけど、ほむらの言うとおり破格過ぎるんだ」
杏子「まどかのはな…やるべきじゃなかったかもな」
まどか「…そうだよね」
ほむら「洗濯機も高価な物よ、別に構わないでしょう」
まどか「ほむらちゃん、あんまり擁護されると辛い…」グスッ
ほむら「大事な物と言っても物なのだから時間が経てば自然と納まるものよ。
巴マミはそこまで弱くもないしいつまでも引きずる様な人間ではないわ」
ほむら「過度の心配は無用と心得て」
さやか「好き勝手言っちゃってさ…あんた、最低な事言ってるっわかってる?」
ほむら「貴女も最低なのだから喧嘩しても意味は無いわ美樹さやか」
さやか「…」
さやか「聞きたいんだけど、あんたは何が欲しいの?」
ほむら「……言う気はない」
杏子「余計な詮索はするなよさやか。
そんな事しても何もならないだろう」
さやか「自分がこんなにも馬鹿だったなんて、ホントバカ…」
杏子「ま、考えすぎんなよ。マミなら許してくれるって」
まどか「わかってたんだ、マミさんならって…
本当に最低だったんだね…わたし……」
ケース3 暁美ほむら
ほむら「お邪魔するわ」
マミ「ええ、適当にくつろいで頂戴」
ほむら「そうさせてもらうわ」
ほむら(美樹さやかの話から推察すると、この腕時計が大事な物の様ね。
たいして高価なものではないわね)
ほむら(なら、このネックレスで十分釣り合うわね。
……多少の怒りは覚悟しておきましょう)
マミ「紅茶でいい?」
ほむら「……お任せする」
マミが紅茶とお菓子を取りに台所に向かう。
当然の好機…
ほむら「まだ動いているのね」
ほむら「んっ」
腕時計の金具を強く引っ張る、彼女にとっては造作もない行為。
ググッ……パキッ
ほむら「よし…後は帰り際に告白して、誤魔化せば問題ないわ」
何事も無かった様に腰を落とす。
マミ「おまたせ、暁美さんの好みがわからないからいろいろ用意してみたわ」
ほむら「……こんなには食べられないわ」
マミ「うふふ、全部なんて馬鹿な事いわないわ」
ほむら(適当にそわそわとして、感づいてもらった方がやり易いわ)
マミ「それで、暁美さんは鹿目さんとどんな関係になりたいのかしら?」
ほむら「……は? 何を」
マミ「だってそうじゃない? 随分と気にしている様だし…」
ほむら「…貴女には関係ない事」
マミ「関係ない事はないんじゃなくて? …なんてね」
マミ「……馴れ馴れしくってごめんなさい、和ませようとしただけだから
深い意味はないの」ニコニコ
ほむら「……いえ」
マミ「でも、暁美さんから話を持ちかけてもらって良かったわ」
ほむら「…なぜ?」ズズッ
ほむら(おいしい…)
マミ「私から話し掛ける気にはなれなかったと思うからね
あの時、グリーフシード投げかえされた時は結構ショックだったのよ?」
マミ「……でも、こんな機会がもらえて良かった」
ほむら「……そう。気を悪くさせたのは謝るわ」
QB「ん?」
ほむら「これは違う」ボソッ
ほむら「一人は寂しい? 巴マミ」
マミ「何? ……どうしてそんな事を聞くの」
ほむら「いえ(…なかなか気づかないわね)」
マミ「寂しい様に見える?」
ほむら「特には…」
マミ「それなら良かった。一応表には出してないつもりだから
…そうね、正直寂しいかもね」
マミ「暁美さんはご両親と?」
ほむら「いいえ、一人暮らしよ」
マミ「そう、ならわかってもらえるかも知れないかな…
家に帰ってもお帰りがないのは寂しいじゃない? 暁美さん」
ほむら「…そうね」
マミ「その程度なんだけどね…」
マミ「………」
マミ「この話は必要ないわね、ごめんなさい。
これからの事を話合いたいわ」
ほむら「そう…ね」ソワソワ
マミ「どうかしたかしら? なんだか落ち着かないみたいだけど…
暗い話しで気を悪くした?」
ほむら「いいえ」ソワソワソワ
マミ「………暁美さん、何か隠事してる?」
ほむら(来た!)
ほむら「いいえ! そんな事」ポイッ
ほむら「あっ!」
ほむら(これなら自然だわ)
マミ「……ちょっと……」
マミ「暁美…さん? これはどういう事…?」
マミ「なんで…」
マミはベッドに目を向け、置いてあるはずの物がないのを確認し問いかける。
マミ「なんで、壊れてるのかしら…?」
ほむら(謝ってはいけないんだったわね)
ほむら「とてもいい時計だと思って、つい…
わざとではないわ」
マミ「……触っていたら壊れたっていいたいの?」
ほむら「…ええ」
マミ「そんな事はありえない事よ暁美さん…
そんな繊細な代物ではないのよ、その時計は」
ほむら「………」
マミ「触っていたら壊れた? 落としてしまったの間違いじゃないの…」
ほむら「……ええ嘘をついてしまったわ、もっと慎重に…」
マミ「その前に言ってもらいたい事があるのだけど、わかるよね…?」
マミ「…暁美さんがわざとやったなんて思ってないわ
壊した事は仕方ない…そう、もう仕方ないからいい……」
マミ「貴女には話すけど、前に鹿目さんと美樹さんが遊びに来た時に
同じように物を壊してしまったの
もちろん疑ってなんかいない、二人はそんな子じゃないから…」
ほむら「きっとまどかは後悔しているわ」
マミ「そうね、私もきっとそうだと言いたい
でも、貴女もだけどなんで謝ってくれないの?」
マミ「一言ごめんなさいって言ってもらえれば私だって…
鹿目さんも美樹さんも、二人とも悪そうな素振りを見せてくれなかったの…」
マミ「反省しろなんて思っていません。けど、人としておかしいと思わない?」
ほむら「あの…わる」
QB「んん?」
ほむら「………」
マミ「…はぁ…もういいわ」
マミ「わざとじゃないんだよね…?」
マミ「これね、お父さんの形見なの。暁美さん、私には両親がいないの」
マミ「だから大切な物だったの…だから、少し怒ってるの私
わざとじゃないと思います。でもなんで勝手に触ろうなんて思うの?」
マミ「美樹さんもそうだった、どんな育ち方してるの?
どんなに親しくてもって貴女とはそれ程でもなかったわね」
ほむら「………」
マミ「なら尚更じゃない?」
ほむら「…そうね」
マミ「その態度がおかしいって言ってるの!」
ほむら「申しわ」
QB「リタイアするのかい?」
ほむら「……いいえ、そんな事は」
マミ「そう、私がおかしいっていいたいの?」
ほむら「ち、違!」
マミ「そうね、あなたみたいに私利私欲で動く輩にはおかしくて当然ね」
ほむら「勘違いしないで! そんなつもりはない」
マミ「もう話したくない、帰りなさい」
ほむら(………)
ほむら「あの…これで少しは機嫌を」スッ
マミ「ふざけるのも大概にしなさい!!」
バタン
ほむら「………」グスッ
ほむら「終わったわ…」
QB「ご苦労様、なかなかだったよ暁美ほむら
白熱していたね」
まどか「な、泣いてるのほむらちゃん?」
ほむら「泣いてなんかいないわ…」ウルッ
さやか「怒られたの?」
ほむら「…」コクッ
ほむら(巴さんに怒られた…今までそんな素振り一度もなかったのに
前に間違って落としたときは怒らなかったはずなのに…)
杏子「たかがマミに怒られてぐらいで泣くなよな
こん中で一番甘いのはマミなんだぞ」
ほむら「…」
まどか「…」
さやか「…」
杏子「割り切りのできないやつらだな」
QB「君は何が欲しいんだい?」
ほむら「私は…今までのまどかと……」
ほむら「まどかの思い出が鮮明に記録してある物を」
QB「君の記憶を具現化したノートでいいかい?」
ほむら「まどかだけで…頼むわ……」
まどか「あの…」
さやか「今はそっとしてやんなよ」
ほむら「素晴らしいわ…今は感謝する」
ほむら(これさえあればどんな困難も乗り越えられる
割り切るのよ、私! どうせまた振り出しに戻れるのだから)
QB「どういたしまして」
まどか「杏子ちゃん…やるの?」
杏子「当たり前だろ、悪いけどアタシも欲しいものがあるんでね。
終わったらマミに話せば大丈夫だって、そんなビクビクするなって」
さやか「でもね、あのほむらでさえあんな顔になってたし」
まどか「マミさんに怒られたことってないから…」
ほむら「………」
杏子「それに言いだしっぺはほむらだしな」
ほむら「…そうね」
杏子「無理やりって言ってもいいんだよな?
言ってたよなほむら」
ほむら「……そうね」
ほむら(………)
その態度がおかしいの!
ほむら「」ビクビク
まどか「…」
さやか「反省文書こよう…それとマミさんの好きなもの買いまくってくる…」
まどか「貯金箱の中に結構あったかも……」
ケース4 佐倉杏子
杏子「おーいおーい」ドンドン
杏子「おっかしいな、もう学校終わってるはずなんだけどな」
杏子「マミ!」
ガチャ
マミ「うるさいですね…って佐倉さん」
杏子「よ、よう」
マミ「どうして? だって貴女は…」
杏子「まあ、あれだ。まずあげてくれよ」
マミ「待って、外で話しましょう」
杏子「いや、マミの家がいいんだ。
ほら、懐かしいだろ」
マミ「………」
マミ「そこまで言うなら…じゃあ玄関で待ってて」
マミ「今片付けをしてたから」
杏子「構わないよ」
マミ「すぐ終わるわ」
マミは奥に消えていった…階段を上る音がする
杏子「待ってた方がいいな」
杏子「しかしほむらが泣くぐらいの形相か…
想像できないな」
数分後
マミ「待たせちゃったわね、どうぞあがって」
杏子「邪魔するよ」
杏子「…あんまり変ってないんだね」
マミ「そうね」
マミ「佐倉さん運ぶの手伝ってもらえる?
前と同じ場所に入ってるから」
杏子「え? あ、ああいいけど」スクッ
マミ「ありがとう」ニコッ
杏子(…皿もなければ腕時計もなしか)
杏子「なあ、あそこにあったは皿どうしたんだ?」
マミ「……どうしてそんな事を聞くの?」
いつものやわらかな表情のマミの顔との違いに杏子は嫌な予感がした。
杏子「昔見たはずだったからさ…。
何でもない忘れてくれよ!」
マミ「これ、テーブルに運んでおいて」
杏子「ああ」
杏子「…ん? これは…」
テーブルの上にはマミが「一番大切にしているの」と言っていた写真立てが置いてあった。
写真はなくマミちゃんへと彫られた箇所が、それがいかに大切なものかを物語っていた。
杏子「………」
マミ「どうしたの…それを壊しにきたんじゃないのかな?」
杏子「!?」ズズッ
杏子「は?」
マミ「………」
無言の視線、とても堪えられるものではなかった。
杏子「何言ってんだよ、そんなはずないって」フイッ
マミ「こっちを向いて、そして目を見て話して」
杏子「あ、いや…」
杏子「違うって、ただこっちに来る用事があったから寄って」
マミ「…目を見て」
杏子「いいだろそんな事さ」
マミ「私が馬鹿だと思う?
一緒にいた頃の事憶えてる? ならわかるよね」
杏子「…それはな、憶えてるさ
でも、マミが何を言ってるのわかんないよ…」
マミ「……なんでこうも連日人が来るのかしら?
みんななぜか私の家に来たがるのよね…」
杏子「はは、偶然じゃないか」
泳ぐ、泳ぐ、泳ぐ! 視線が定まらない。
マミ「偶然? そうね偶然かもしれないわ
一人来る事に大切にしてきたものが壊れちゃうのよ…」
マミ「…面白いと思わない?」
杏子「………」
杏子「思わない…けど…」
マミ「そう、なら私が落ち込んでるのがつまらないのにこんな事するのね…」
杏子「待て! マミは何か勘違いしてる!」
マミ「ねぇ佐倉さん」
杏子「な、なんだよ」
マミ「クズなの?」
杏子「」
マミ「ごめんね、でもね? 正直、お腹が煮えくり返りそうなのよ」
マミ「わざとよね? あなた達。鹿目さんもなのかしら…
…四人で共謀してやったの?」
マミ「仲が良くて羨ましいわね」
杏子「」
マミ「ねぇ? 口があるんだから何か答えてよ」
マミ「佐倉杏子さん」
杏子「…えっと」
マミ「ん?」ニコッ
笑顔の威圧!
杏子「……」
マミ「何て言おうとしたの?」
マミ「……答えなさい」
杏子「あのな! だからな! 別にあいつらは関係ないんだ!」
杏子「まどかとか関係ないんだって
遊びに来たいから来ただけで…」
マミ「知り合いなのね…それなら合点がいくわね」クスッ
マミ「もう白状したら? これ以上は挑発として受け取ります」
マミ「……なんでこんな事をしたの?」
杏子「だから違うんだよ!!」
杏子「勘違いし過ぎだよ!
アタシらにどんなメリットがあるんだって!?」
杏子「マミに嫌われたって何もいい事ないだろ?
ちょっとは信用」
マミ「そんなに怒らせたいの!!」ダンッ
杏子「ひっ」ビクッ
マミ「佐倉さんはまだ何もしてないから大目にみてあげる
だから白状しましょう?」
杏子「」
マミ「怒らないから」
杏子「お、怒ってるじゃないか」
マミ「…これ以上はって事よ
飲み込みが悪すぎる、脳みそが入ってるのかしらこの頭には
それとも空っぽだから損得の判断ができないの?」
杏子「なんだと!」
マミ「黙りなさい!!」
杏子「」
マミ「…呼んで来なさい」
杏子「……え?」
マミ「四人全員ここに呼んで来なさい」
杏子「…」
マミ「すぐに!」
杏子「わ、わかったよ…」
マミ「鹿目さん…私は貴女だけは違うと思いたかったわ」
まどか「ごめんなさいごめんなさい」ポロポロ
マミ「泣かないで…うっとおしいから」
まどか「ひっくひっく」グスッ
マミ「美樹さん、貴女もいい度胸してるわね」
さやか「…」
マミ「大切だって言ったよね? 聞こえてなかったの?」
さやか「…聞こえてました」
マミ「なら尚更性質が悪いね?」
さやか「…はい」
マミ「暁美さんには言う事はもう特にありません」
ほむら「はい」
マミ「佐倉さんも同様です」
杏子「ああ…」
マミ「で、何でこんな事をしたの? 理由はあるんだよね?
ないなんて言ったらどうなるかわかる?」
マミ「キレるってどんな事かわからなかったけど、
…今ならわかるわ」
ほむら「」ガタガタ
マミ「…なら誰が言い出したの?」
杏子「それはほむらだな」
ほむら「待って! 待って!!」
マミ「そう、暁美さんが」
ほむら「待って!!!」
ほむら「キュゥべえが言ったの! 私はだから!」
マミ「ふ~ん」
マミ「でも、暁美さんが言ったんだよね?
鹿目さんは誰に誘われたの?」
まどか「わたしは…」
ほむら「あっ…あ…」ウルッ
杏子「ほむらだろ? アタシもそうだった
さやかもそうだろう」
さやか「まあ、そうだけど…でも、やるって言ったのはあたし等だし
ほむら一人に押し付けるのはさ…」
マミ「仲が良くていいわね。押し付けるも何もみんな悪いよね?
ばれた時の覚悟はしてるはずよね」
マミ「悪いと思っていたら謝って頂戴」
まどか「ごめんなさい! 悪い子でごめんなさい!」グスッ
さやか「ごめんなさい! 何でもします、だから…」
杏子「…悪かったよ」
ほむら「ごめん…なさい」
ほむら「巴さんごめんなさい! 隠してたお菓子食べたりしてごめんなさい!
鹿目さんと一緒に出掛けてる時に勝手に日記読んでごめんなざい!」
ほむら「眼鏡置いてきた時勝手にあがって紅茶こぼして雑誌汚してごめ゛んなざい゛ー」
マミ「あ、暁美さん…」
ほむら「すいませんでした! ごめんなさい…」
マミ「…も、もういいから」
ほむら「ごめんなさい!!」
まどか「ほむらちゃん」
さやか「なんだ一体…」
QB「役に立たないな君達は、やれやらだよ」テトテト
QB「マミ、どうだったかな大切な物を奪われたりした気分は?」
マミ「キュゥべえ、どういうつもりなの?
返答によってはただじゃすまないわよ」
QB「それは楽しみだ」
QB「いやー本当に楽しみだね」
マミ「何が目的なの? この子達をそそのかして」
QB「やったのは本人達だよ。僕は機会を与えただけさ」
マミ「それはわかってる、みんなには後でおしおきします」
ほむら「すいません!」ビクビク
QB「まあ、理由としてはマミがうっとおしかったからね」
マミ「…なんですって?」
QB「だってそうだろ?
テーブルに乗るな、ベッドで横になるなとかさ」
マミ「まさかそんな事で?」
QB「違うよそれは、きっかけに過ぎないさ」
マミ「そ、そうよね」
QB「キャットフードとかイジメだよね?
あんなものおいしくもなんともないんだよね」
QB「栄養価は高いけどゴミだよあれ」
QB「先週の全部キャットフードとか何?」
杏子「……ちょっとついていけないんだけど」
マミ「最低ね、そんなどうでもいい事で」
QB「最低かどうかは知らないけどイヤだったんだ
そんなものだろう? きっかけなんて」
QB「それにしても人って言うのは理解しがたいね
まどかは君のお皿を割るのに何を願ったと思う?
なんと洗濯機が欲しいだってさ」
QB「そんな物の為にマミの大切な思い出のつまったお皿をね」
マミ「それについては後で清算します。だからどうでもいいわ」
マミ「そう」
マミ「貴方はただで済むなんて思っていないでしょうね?」
QB「思ってないよ、当たり前じゃないか」
QB「寧ろこうなる事はほむらの様子ですでに検討が付いていたよ」
QB「だから、こうやって早めに真相を教えてあげてるんじゃないか」
QB「怒った? マミでも怒るのかい? どうなのかな? ねぇどうなの?
ムカムカしてる? イライラした? 最低の気分かい?」
QB「…ねぇマミ?」
マミ「ええ、こんな気持ちは初めてだわ」
マミ「今なら殺れそうな気がする」
QB「へぇ、この僕をかい?
君にとっての恩人じゃなかったのかな?
恩人をなんて野蛮だね」
マミ「そうだね。
もういいかしら?」
QB「おっと、どうやら本気みたいだね」
QB「あれ?」
ガシッ
さやか「逃げるのはダメだよキュゥべえ」
マミ「美樹さんありがとう
みんなはここで待っていてね。
勝手に帰ったらダメよ」
QB「おっとこれはどうなるか楽しみだね
新しい感情の発露が期待できるよ」
マミ「…黙ろうか」
……
…
マミ「お待たせ」
まどか「マミさん、キュゥべえは」
マミ「多分もうすぐできると思うわ」
さやか「…出来るって何が?」
チンッ!
マミ「ふふふ」
マミ「どうかしら、おいしそう?」
杏子「何だこれ?」
マミ「キュゥべえのミートパイよ」
まどか「え?」
さやか「…料理したの?」
マミ「暁美さん」
ほむら「…はい」
マミ「食べる?」
ほむら「……」
マミ「全員一口食べたら許してあげる」
まどか「」
さやか「」
杏子「」
ほむら「」
マミ「最初は暁美さん、行ってみようか?」
ほむら「…」イヤイヤ
マミ「全員だから順番に意味はないのよ?」
ほむら「…でも」
マミ「食べさせてあげる。はい、あ~ん」
ほむら「んん!」フルフル
マミ「口移しがいいの?」
ほむら「! 違うっ! んぐっ!?」
マミ「はい、一人目」
ほむら「!?」
マミ「ちゃんと飲み込みなさい」
と口を手でおさえる。
ほむら「」ゴクッ
ほむら完食と同時に気絶!
マミ「次は鹿目さん」
まどか「無理! こんなの食べられないよぉ…」
マミ「食べましょうか、ね?」
まどか「………はい」
マミ「偉いわ、はいどうぞ」
さやか「…マジ」
まどか「……んっ!」パクッ
まどか(あれ? 変な味じゃない気がする)
まどか「……」モグモグ
まどか、なかなか飲みこまない!
マミ「次は美樹さんね」
さやか「これで済むなら!」パクッ
さやか「うぇ…って別に不味くない…?」モグモグ
さやか「???」
さやか「え!? キュゥべえで美味なの?」
さやか、あまりの美味しさに驚愕!
マミ「佐倉さんの番よ。どうぞ」スッ
杏子「ああ、わかってるよ。欲望に負けてちゃな…」
杏子「…」モグモグ
杏子「!!」
杏子「…おい! これってピーチパイだろ!」
マミ「ええ正解。キュゥべえのパイなんて食べさせる分ないでしょう?」
マミ「普通のよ」
まどか「な、なんだぁ…」
さやか「ってかうまっ!」
ほむら「」
まどか「なんでほむらちゃんは気絶したの?」
さやか「思い込み?」
杏子「まあ、ほとんど無理やりだったから脳が勘違いしたんじゃないか」
マミ「一応キュゥべえの次だからね、これぐらいは許してもらいたいわ」
マミ「ふぅ、貴方達の面白い顔が見えたからもういろいろとどうでもいいわ」
マミ「疲れちゃった…」
まどか「あの…」
マミ「ええ、もう許してあげる。
謝ってもらうのが重要だったからね
暁美さんの意外な一面も見えて満足よ? なんてね」クスッ
マミ「怒るのって疲れるわ…慣れない事はしない方がいいわね」
マミ「サンドバッグも手に入ったし、それで解消するからいいわ」
まどか「マミさん…」
さやか「馬鹿な子でごめんなさい…」
マミ「やっぱり素直な貴方達が私は好きだわ」
マミ「でも、欲望に素直過ぎるのはいけませんからね?」
まどか「はい…」
さやか「はい…」
杏子「これおかわりとかないの? うまっ」
マミ「こういう図々しいのはダメよ」
まどか「はい」
さやか「はい」
………
……
ほむら「はっ!」
ほむら「こ、ここは?」
マミ「おはよう、よく眠れたかしら?」
ほむら「ごめんなさいごめんなさい」
マミ「もういいから…それ、朝ご飯だから食べていきなさい
制服も綺麗にしといたから」
マミ「私はもう行くから鍵しめておいてね」
マミ「…案外可愛いわね貴女、うふふ」
バタン
ほむら「ほむっ…」
まどか「これお小遣いで買ったんです!」
さやか「あたしも、お詫びにはならないけど受け取ってください!」
マミ「はいはい」
マミ(二人が懐いてくれるのが一番嬉しいわ)
_______
杏子「ああ、欲しかったな」
杏子「なくしちまったアルバム…」
杏子「後悔してでも欲しかったわ」
杏子「は、まあクズだな…。ギリセーフかな? そうでもないか」
ほむら「イタッ何か手に…って時間が早く食べないと」
ほむら「なんであんな奴いう事を…」ムシャムシャ
ほむら「………」
ほむら「一応、謝罪の手紙を置いていきましょう、ペンはどこに…」スタスタ
バキッ
ほむら「ん?」
何かを踏みつけた様ね、何かしら?
ほむら「………」
ほむら「……」
ほむら「」ガタガタ
終。
553 : 忍法帖【Lv=22,xxxPT】 - 2011/09/11(日) 06:33:56.09 I+L8umK1O 69/72>>550
どういう意味?
563 : 以下、名... - 2011/09/11(日) 06:36:35.36 DWwi/Jt8O 70/72乙
ほむは最後何したんだ…
568 : 以下、名... - 2011/09/11(日) 06:39:52.36 JN+0zI4W0 71/72>>553
>>563
手で写真立て落として気づかず踏んだ。
ケース5 暁美ほむら
ほむら「すいません! すいません! 眼鏡が見つからなくて見えなくて…」
マミ「もういいから、気にしないで
暁美さんはそんな些細な事気にしないでのんびりしてて」
マミ「鹿目さんも拾うのはいいから暁美さんといなさい」
まどか「そう? うんわかった」
ほむら「巴さん、ごめんなさい……」
マミ(オロオロし過ぎよまったく)
マミ「うふふ、まあそれもいいわ」クスリッ
完。