唯「別に殺す気なんかなかったよ。
ただあの時ムギちゃんが紅茶をこぼしたのがなんとなく、ほんとになんとなく、イラついたんだ。」
唯「理由なんかないよ」
唯「気づいたときには殺しちゃってたんだ」
唯「澪ちゃんがショートケーキの苺を床に落としたときだって今思えばイラつくよ」
唯「でも殺すまではいかなかったんだ。なんでなのかはわからないけど」
唯「でもムギちゃんに対してはイラついたんだ。なんでかな」
唯「反省はしてるしどんな罰でもうけいれるよ」
唯「だからもう泣かないでムギちゃん。ムギちゃんには笑顔が似合うんだから」
紬「泣いてなんかないわ唯ちゃん。」
紬「泣くどころか笑ってるわよわたしは。殺されて数時間も経っているのにこんなにも幸せな気持ちになれるなんて思ってもいなかったわ」
紬「私を殺してくれた唯ちゃんのおかげよ。」
紬「ありがとうね唯ちゃん。こんなにも清々しい気持ちになれるなら生まれてすぐに死んでしまいたかったわ」
紬「唯ちゃんは死なないの?私を殺して自分は生き続けるの?」
紬「どんな罰でも受け入れるのよね?」
紬「私は死んで幸せよ。」
紬「私からの罰よ」
紬「死んで。唯ちゃん」
唯「死ぬよ。」
唯「でもいますぐには死ねないよ。今わたしが死んだら憂が悲しんで泣いてしまうから」
唯「今すぐは死ねないよ。」
紬「どうして?どんな罰でも受け入れるのよ唯ちゃんは」
紬「なら今すぐ死なないといけないわ」
紬「死ぬことは幸せよ?もし唯ちゃんが死んで憂ちゃんが悲しんで泣いてしまうのなら憂ちゃんも死ねばいいのよ」
紬「だって死んでいることは幸福なことなんだから」
唯「でもわたしは…」
紬「恐いの?」
唯「…こ、こわくはないけど、」
紬「今更恐いなんて言わないわよね?」
紬「わたしのことを殺しておきながら自分が死ぬことは恐いなんて言わないわよね?」
唯「……ゴメン」
紬「謝ったの?」
紬「いま謝ったの唯ちゃん?」
紬「なにを謝ることがあるの唯ちゃん。わたしは殺されて、死んで幸せと言ってるのよ?」
紬「なにを謝ることがあるの?」
唯「…ゴメン」
紬「また謝ったのね唯ちゃん。」
紬「その謝罪は死ねないことに対して?」
紬「それともわたしを殺したことに対して?」
紬「どっち?」
唯「…ど、どっちも……」
紬「どっちも?今更わたしを殺したことを後悔してきたの?」
紬「自分が死ぬのが怖くなってわたしを殺したことを後悔してきたのね?」
紬「結局唯ちゃんはわたしを殺したことなんてどうでもよくて自分が死ぬことが恐いだけなのね」
唯「ち、違うよ…そんなこと、…」
紬「まぁいいわ。」
紬「死んだことは幸せだし唯ちゃんには殺してくれて感謝してるわ」
紬「唯ちゃん。あなたが死ぬのを拒否するなら憂ちゃんを殺すわ」
紬「それでいいわよね」
唯「う、憂を殺す…」
紬「わたしは優しいのよ唯ちゃん」
紬「いつもふわふわぽわぽわしてるムギちゃんよ?あなたが死ねないと言うなら代わりに憂ちゃんを殺してあげる」
紬「憂ちゃんが死ねば、唯ちゃんを殺して憂ちゃんが悲しんで泣いてしまうこともないわ」
紬「それに憂ちゃんも死んで幸せになれるのよ?こんな素敵なことはないわ。」
紬「いいわよね唯ちゃん?」
紬「憂ちゃんを殺すわよ?」
唯「わたしは、わたしはどうすればいいの?
憂が死んで、ムギちゃんも死んで、」
唯「わたしはどうすれば…」
紬「知らないわよそんなこと」
紬「どんな罰でも受け入れるんでしょ?」
紬「憂ちゃんが死んだら唯ちゃんも死ねばいいじゃない。」
紬「どんな罰でも受け入れる。あなた自身が言った言葉よ」
紬「とりあえず憂ちゃんを殺すわ。」
紬「わたしは憂ちゃんを殺してくるから唯ちゃんはわたしがいれた紅茶を飲んで待ってていいわよ」
紬「もう冷めて不味くなってるかもしれないけどね」
唯(わたしは、わたしは…)
紬「じゃあ行ってくるわね。」
唯「まってムギちゃん…。」
唯「……わたしが死ぬよ。わたしが死ぬから憂を殺さないで。」
紬「あら?気がかわったの?」
紬「さっきまであんなに怖がっていたのに死んでしまっていいの?」
唯「憂にはなんの関係のないことだよ、ムギちゃんを殺してしまったわたしが死ぬべきなんだ」
紬「そう。」
紬「ほんとうにいいの唯ちゃん?死ぬのは恐いはよ?」
唯「さ、さっき。し、しぬのは幸せなことだって」
紬「死んでしまえば幸せよ?こんなに幸せなことはないわ」
紬「ただ死ぬ瞬間はとても恐いわ。」
紬「でも大丈夫。死んだ今はこんな笑顔でいられるんですもの」
紬「唯ちゃんも早く死んで、今の強張った顔からいつもの天使のような笑顔の唯ちゃんに戻れるわ」
紬「さあ。死にましょう?」
唯「……うん。死ぬよわたしも。」
唯「だからムギちゃんわたしを殺して」
紬「嫌よ」
唯「え、な、なんで、」
紬「わたしは殺さないわ。」
紬「唯ちゃんを殺すのは憂ちゃんの役目よ」
紬「わたしは見てるだけ。」
紬「大好きな妹に殺されるのよ?こんな幸せなことはないわ。」
紬「生きてる間も、死ぬ瞬間も、死んでからも、ずっと幸せよ?」
紬「だって唯ちゃんが大好きな妹の憂ちゃんに殺してもらえるんだから」
紬「とっても幸せなことよ」
澪「ちょっといいかムギ。」
紬「なあに澪ちゃん。練習しとくんじゃなかったの?」
紬「それとも唯ちゃんに殺されたのが今になってムカついてきた?」
唯「え…?澪ちゃんも死んでたの…?」
紬「そうよ唯ちゃん。あなた気づいてなかったの?澪ちゃんが死んでること」
唯「わ、わたし澪ちゃんも殺して……」
澪「いますぐに死ね。唯」
澪「わたしを殺した罰だ。いますぐ死ぬんだ」
唯「わたし、でも澪ちゃんを殺した記憶なんて…」
紬「気づいた時にはわたしを殺してたのよ唯ちゃんは」
紬「澪ちゃんのことも、つい、殺しちゃったのよ」
紬「大切な友達を。つい、殺したのよ」
紬「ほんとに憶えてないの唯ちゃん?」
澪「そんなこともはやどうでもいいよ。」
澪「これ以上唯を生きたままにしておいたら次は誰を殺すかわからないぞ」
澪「だから今すぐここで死ねよ。」
澪「唯。」
澪「殺すぞ唯。」
澪「いいな?」
紬「ダメよ澪ちゃん。」
紬「憂ちゃんに殺してもらうんだから。」
紬「澪ちゃんは練習してて。」
澪「ふざけるなよ。わたしは唯に殺されたんだ。」
澪「唯を殺すのはわたしだ」
紬「澪ちゃん。あなた凄い恐い顔してるわよ?幸せじゃないの死んでいるのに?」
澪「幸せなわけないだろ。」
澪「それにムギ、恐い顔してるのはおまえもじゃないか」
紬「恐い顔?」
紬「うふふ、可笑しなこと言うのね澪ちゃん。わたしはこんなにも笑顔じゃない」
唯「ムギちゃん…」
澪「それよりも唯を殺すぞ。」
紬「……わかったわ殺していいわよ。でも待って。憂ちゃんの目の前で唯ちゃんには死んでもらいましょう」
紬「澪ちゃんからの罰は唯ちゃんを殺す事。」
紬「わたしからの罰は憂ちゃんの目の前で殺される事。」
紬「これでいいわよね唯ちゃん?」
唯「うん。」
紬「じゃあ唯ちゃん、憂ちゃんに電話してここまで来てもらって、」
唯「…わかった。」
唯「……もしもし?憂、今から部室来れる?あぁ、買い物?いいよ帰りに私が行くから。」
唯「うん。じゃあ今すぐ来て。待ってるから。うん、じゃあね、待ってるから」
紬「憂ちゃん来てくれるみたいね。」
紬「澪ちゃん、憂ちゃんが来るまで待ってくれるかしら?」
紬「唯ちゃんを殺すことを」
澪「…しかたないな。待つのは少しだけだぞ」
紬「うふふふ。良かったわね唯ちゃん、優しい澪ちゃんで」
紬「冷めちゃったみたいだし紅茶いれなすわね。」
唯「…ゴメンねあたしのせいで」
紬「謝らないで」
紬「どうして謝るの唯ちゃん。あなたが私たちを殺したのよ」
紬「どうして今更謝るの?謝るくらいなら殺さなければよかったじゃない」
紬「唯ちゃんはイラついたから私たちを殺したんでしょ?」
紬「いいじゃないイラついたんだから。」
紬「殺してもいいじゃないイラついたんだから。」
紬「謝る事なんてないわ」
憂「それで、」
憂「それでそれからどうしたの?黙ってたら何にもわかんないよ?」
唯「それから、それからわたしは…」
唯「憶えてないんだ、気づいたら頭から血を流してるムギちゃんと澪ちゃんが倒れてたから、憂に電話して…」
憂「それで、今日律さんと梓ちゃんは?」
憂「休みなの?」
唯「今日二人とも用事があるからって…」
憂「そう。」
憂「…お姉ちゃん。」
憂「……お姉ちゃんがほんとに殺したの?」
唯「ち、ちがうよ!!わたしがムギちゃんと澪ちゃんを殺すはずないじゃない」
唯「なに言い出すの憂!!」
憂「お姉ちゃん私に電話したときになんて言ったか覚えてる?」
憂「殺した。って言ったんだよ」
憂「慌てて部室に来たら紬さんと澪さんが死んでるし」
憂「やっぱりお姉ちゃんが殺したんだよ」
憂「そうに決まってるよ。だって殺した。って言ったんだもん」
憂「お姉ちゃんが殺したんだよ」
紬「あぁ、ごめんなさい唯ちゃん!」
紬「紅茶こぼしちゃったわ!」
紬「大丈夫?火傷してない?ゴメンね唯ちゃん」
紬「唯ちゃん?」
そうだ。ムギちゃんを殺したんだ。
ムギちゃんを殺した後に私は、
唯「澪ちゃん」
唯「殺した」
澪「おい、ゆ、唯!な、なんでムギは死んでるんだ!!」
澪「唯!おい唯!なんとか言えよ!」
澪「唯!!」
そうだ。澪ちゃんも殺したんだ。
憂「お姉ちゃん。私も殺すんだね」
憂「良いよ。お姉ちゃんに殺されるんならこんな幸せなことはないよ」
憂「お姉ちゃん。幸せでいてね。」
唯「……」
唯「もしもし、りっちゃん?」
唯「殺した。」
紬「あら唯ちゃん。久しぶりね、」
澪「おいおいムギ、昨日あったばかりだぞ」
紬「あら?そうだったかしら?」
紬「なんだか唯ちゃんのとっても幸せそうな笑顔を見てたら、なんだか凄い久しぶりに感じて」
律「そういうムギも凄い笑顔だぞ。なんかもう天使みたいに。」
律「もうそれは凄い笑顔」
澪「語彙がないな、律は」
梓「ほんとですね。とても先輩とは思えませんよ。」
律「なんだと中野!生意気な!!」
澪「ごめんな憂ちゃん。こんなダメダメな所見せちゃって」
憂「いえいえ。けいおん部のみなさんは本当に仲いいですよ。お姉ちゃんが羨ましいです」
憂「ねえ?お姉ちゃん」
唯「うん」
紬「素敵な笑顔ね唯ちゃん」
唯「ムギちゃんもとっても可愛い笑顔だよ」
紬「うふふ、照れちゃうわっ。」
紬「あらごめんなさい。紅茶なくなってたわね。いれてくるわ」
唯「ありがと」
紬「あ、そういえば唯ちゃん。どうやって死んだのかまだ聞いてなかったわね」
唯「あぁ、言ってなかったね。」
唯「殺したよ。」
唯「自分で自分を、」
唯「殺した」
紬「うふふ。やっぱり唯ちゃんには笑顔が似合うわ」
終わり
39 : 以下、\... - 2016/01/22 07:27:13.155 Yg69JkCba.net 28/28澪ちゃんとムギちゃんが天使と悪魔で唯に自殺しろって言ってる設定なんだけどもわかりづらくてゴメン