150 : 超電磁砲のオシャレ事情 [0/6][] - 2010/06/23 23:53:55.57 Wr/81MEo 1/21まずは原作5巻を持ってきて欲しい。話はソレからだ。
いやもうめんどくせぇから6巻も持って来い。
この2冊の間、美琴にある変化があるらしい。挿絵的な意味で。
なので、その辺をちょっと妄想してみたわけである。いやタイトルでわかっちゃうと思うんだけど!
後半失速してるけど、許してネ。
元スレ
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-8冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1277220435/
▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-13冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282585289/
――――8月31日(Mon)
――15時00分
「むむむー」
コンビニの週刊誌コーナーで少女が唸り声を上げた。
白いブラウスとサマーセーターに灰色のプリーツスカート。肩まで伸びた茶色い髪は飾り気のないピンで軽く留めてある。
御坂美琴。
名門常盤台中学のお嬢様にして、『超電磁砲』の異名を持つ少女は週刊漫画雑誌に夢中になっていた。
(大体予想通りだったけど、このトリックは無茶じゃないかしら)
消去法で密室殺人の犯人を的中させた美琴だったが、トリックを見破れなかったのは悔しかったらしい。
結局トリックの方に無理があるという風に結論づけて、負け惜しみ気味に自分を納得させる。
(もういいや。……いい加減、……いや、でもなぁ)
少し迷いながら、全て読みきらないうちに雑誌を棚に戻す。
雑誌はボロボロになっていたが、それでもいつもに比べるといくらか綺麗に見えた。
(にしても、本当に密室ばっかり出てきてるけど、ネタ尽きないのかしら)
わずかにそんなことを考えながら、コンビニを出る。
しかし、ドアが開いた瞬間に熱気が襲い掛かかってきて、一瞬でどうでもよくなった。
「あっづー……」
時刻は午後三時。
真夏の日差しを浴びてうんざりした顔になった美琴は、ぼーっとなった頭でどこに行くべきかと思考を巡らせる。
午前中に一緒にいたツンツン頭の少年とは、ちょっとしたトラブルに巻き込まれたようで、どこかへ行ってしまった。
美琴も一応巻き込まれた側であり、その一部を見ていたのだが、
(結局何だったのよ……)
とにかく、いろんなことが一気に起こった。
混乱しっぱなしの間に終わってしまったらしく、気づけば少年の姿を見失っていた。
(っつかあの馬鹿、私に何も言わずにいなくなるってどういうことよ)
ついつい二人分のハンバーガーを食べ尽くしてしまう程度に憤りはあるものの、心配なものは心配だ。
あの少年のことだからケンカには慣れているのだろうが。
しかし本物の海原光貴から聞いた話では、相手のほうがまともではなさそうだった。
少年が勝利する瞬間こそ見ていたものの、それ以外はあまり把握できていない。
大きな怪我など負っていなければいいのだが、と美琴は思う。
すぐにでも確認したいのだが、彼がどこに行ったのかわからないし、電話番号も知らない。
結局、連絡をつけらないままでいる。
今度会ったら携帯電話をひったくってやろう、と密かに思いながら美琴は我に返った。
(ってなんでこの炎天下アイツのことであれこれ悩まなくっちゃならないのかしら私はッ!?)
ジュッ、という音が聞こえるんじゃないかと思うくらいに耳が紅く染まる感覚が美琴を襲う。
ふと、思い浮かぶ少年の顔は何故かモザイクがかかったようにぼんやりしていて、少女のもやもやとした気持ちを膨らませる。
その一方で鮮明な少年の言葉が蘇ってきて、
(ああもう何なのよこれーっ!!)
ブンブンブン! と勢いよく頭を振る。ほんの三時間前にもそうしたように。
きっと顔も大変なことになっているのだろう。
(どどどどどうしよう)
人通りがないのが救いだったのかもしれない。誰かがやって来る様子はない。
それでもこんな表情を知り合いに見られたりしたら、と思うと居ても立ってもいられなくなってくる。
結果、近くの雑貨店のトイレに駆け込んだ美琴は、しばらくそのまま閉じこもることになった。
トイレの中であれやこれやと暴れまわりそうになりながらも、二十分ほどかけてようやく落ち着きを取り戻すと、
(そういやここ何の店だっけ?)
よっぽど冷静さを失っていたらしい。
ひとつ、ため息を漏らす。
(あーもー忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ……)
少年を探しにいきたいのに、彼のぼんやりした顔やら言葉やらが浮かんできてひどく混乱してしまう。
さっきからこの繰り返しである。
なんかもうきりがない感じになってきたので、
(こりゃもう今日は諦めたほうがいいかもしれないわね)
珍しくもあっさり負けを認めて頭を切り替えることにする。
せっかくだし店内を適当に見て回ってみようかな、などと美琴は考えた。
(まぁ気を紛らわすにもちょうどいいし)
実はコンビニで立ち読みを始めたのもそのためだった。
しかし、何度もあの少年の言葉が浮かぶ。あの崩壊した建設現場での言葉が。
結局は最後まで読みきる前に気が散ってしまい、コンビニを出てきてしまった。
そして意識を逸らす要因がなくなった結果がコレ(=トイレで二十分)であった。
美琴はトイレから出てくると、一度店内を見回した。
家庭用の照明器具などが並んでいるが、奥のほうを見ると学習机やら椅子やらが見える。
適当に回ってみることにした。
割と大きなお店で、家電からゲームに食品まで扱っているらしい。
漫画はないのだろうか、とうろうろしている美琴は、ふとあるものに目を留めた。
小さな、花の飾りがついたヘアピン。
二つセットになっているそれは、傍から見れば変哲のない、ハッキリ言ってただの安物のヘアピンだ。
似たようなものがすぐ傍にいくつも並べられている。
それでも、美琴はこのヘアピンが気になった。
(んー…………)
ファンシーなアイテムを見つけたときの彼女とは違う。
ただ、じっとヘアピンを見つめる。
特別惹かれる外見をしているわけじゃない。
ただ見ているだけでもやもやが晴れていくような気がした。
そして、件の少年の顔がはっきりと思い浮かんだ。
気づけば、美琴はヘアピンを手に取っていた。
午後四時、美琴は小さな紙袋を持っていた。
中身は言うまでもない。
手のひらの汗を吸った紙袋がわずかにふやけているが、その部分の感触が逆に心地よく思えた。
へアピンの形が袋越しでもわかるからかもしれない。
「何で買っちゃったんだろ」
後悔した風に言うが、彼女の表情は晴れ晴れしている。
早速着けてみてもよかったのだが、後輩白井黒子やら知人に会った場合を想像すると踏み切れない。
ちょっと心の準備が欲しい、妙なところで乙女乙女な少女であった。
このヘアピンにどのような効果があるのかわからないし、学園都市でそんなオカルトを語るのもナンセンスだろう。
それでも彼女は、このヘアピンを信じてもいいかな、と思う。
もう慌てない。
いまだに頭に思い浮かぶ少年の顔が、言葉が、彼女のやる気を奮い起こす。
一度だけ名残惜しそうに紙袋を軽くなぞってから、
(さーて、気を取り直してっと)
美琴はそれをポケットに突っ込んだ。
「あの馬鹿、怪我なんかしてたら承知しないんだから」
この五時間半後、彼女の叫び声が夜空に響く。
「アンタ本気で行っちゃう訳!? ねぇってば!!」
ご存知の通り、スルースルーな対応を受ける美琴であった。
12 : 超電磁砲のオシャレ幻想 [0/8][] - 2010/08/24 08:48:08.69 0HthNfco 10/21さてさて。
何故書いたのかわからないけど書いちゃったものは仕方ない。
と言い訳じみたことを述べつつ、少しスペースをお借りしますのよ。
続き物ぽいけど続いてない感じにしたので紹介は最後に。
安心の失速感だけど、許してネ。
――――9月01日(Tue)
――7時58分
午前八時。
朝食の時間が終わった頃だ。
慌てて部屋に戻る者、余裕を持ってロビーへと向かう者。
寝坊でもしたのか、寝癖が直りきっていない者。
学生寮の廊下は新学期初日の慌ただしさに包まれていた。
そんな中、人一倍急いだ様子で部屋へと向かう少女がいた。
(いけないいけない。ちょっとのんびりしすぎたわね……)
学園都市第三位の超能力者。
御坂美琴。
もう五分もすれば『学舎の園』に向かうバスがやってくる。
それまでに支度を済ませて部屋を出なければならない。
気は急くばかりだ。
それでも階段で、廊下で、すれ違う生徒らとの挨拶を省いたりはしない。
彼女らは皆、美琴を見て違和感を覚えた様子だった。
きっと髪型がいつもと少し違ったからだろう。
適当にそんなことを考えて歩く。
ほんの一分弱の部屋への道のりは、妙に長く感じた。
部屋の中央に並べられた二つのベッドは対照的だった。
向かって右のベッドは綺麗に直されている。
対して左のベッドは掛け布団が足元の方で丸められていて、
空いたスペースを陣取るかのように緑の水玉系のパジャマが脱ぎ捨てられていた。
ぱたん、と静かにドアが閉まる。
ようやく部屋に戻った美琴だが、その歩みは緩まない。
ぐちゃぐちゃのベッドをスルーし、二つのそれの間を抜けて、奥に設置された自分の机へと向かう。
机の上には学生用の鞄が横たわっていて、隅の方には小さな立て鏡が置かれていた。
(コイツはこれでよしっと)
学生鞄は既に準備が済んでいる状態だ。
美琴はそれのハンドルを掴んでベッドの方を向くと、軽く姿勢を落としてそれを放った。
わずか数十センチの距離だが、鞄が小さな放物線を描く。
ぼふっ! と布団の中に鞄が沈み、反動でパジャマが跳ねた。
ようやくベッドの惨状を認識した美琴は、少し悔いるように声を漏らす。
「あー」
最低限の状態くらいにはべッドを直しておくべきだろう。
学校に行っている間に寮監が部屋を見回ることがある。
この状態のまま出発した場合、学校から帰ってきた時に、
寮監が不気味な笑顔と共に手招きしてくるという事態が待っている可能性がある。
とはいえ、多少の御小言をもらう程度だ。
限度はあるだろうが、罰をいただくような例は美琴の記憶にはない。
「うん、しょうがない」
時間があったらやろう、といい加減な感じで決意する。
今は先にやらなきゃならないことがある。
机の一番上の引き出しを開く。
一度整えてからひっくり返したような状態の中で、ヨレヨレの紙袋だけが妙に浮いていた。
それも何故か妙に綺麗に折りたたまれている。
中身を取り出そうとしてそれを手に取ると、
「あれっ?」
思っていたよりもずっと軽い。
少しだけ思考を巡らせると、朝食の前に中身を取り出したことを思い出した。
(そうだった、寮監が来ちゃったんだった。……えーっと?)
再び引き出しの中を探してみると、目的のものはすぐに見つかった。
紙袋があった位置のすぐ下で、それはわずかに埋もれかけていた。
今度こそ。
それを手に取る。
小さな、花の飾りのついたヘアピン。
昨日、半ば勢い任せに購入したばかりのものだ。
朝食前の身支度をしている時間の内につけようとして、忘れてしまっていたようだ。
不意に。
かすかに自動車の駆動音が聞こえた。
バスが到着したのだろう。
続けてドアが開くブザーの音が部屋まで届く。
(っとっと、急がなきゃ)
五分も経たないうちに出発してしまうはずだ。
バスならば二、三分程度で学校に到着するが、それを逃せば約十分間のランニングだ。
実に健康的なお話だが、流石に新学期早々朝っぱらから走りたくはない。
ましてや九月だ。日が昇り始めたこの暑さの中、走りたいとはやはり思えない。
改めて手のひらに視線を落とす。
その上で軽く転がったヘアピンが光を受けて一瞬きらめいた。
美琴は机の端の立て鏡そのものは動かさずに、覗き込むような前傾体勢を作る。
そのまま自身の髪を確認すると、慣れた手つきでヘアピンを装着する。
ぱち、と小さな音が鳴った。
「よし」
小さく微笑んだ美琴は、そのまま手で軽く手で髪を整えた。
鏡に映る右前頭部には、小さな花飾り。
「ま、おかしくはないかな」
少し安堵する。
身支度の中で開封した時は少々ながら慌てたものだった。
記憶していたよりもずっと可愛らしい感じのする花飾りだ。
(なんか勢いだけ買っちゃったから、きちんと見てなかったし)
こういう代物が自分に似合うとはあまり思っていなかった。
実際に今、鏡越しに見ていても違和感がある気がする。
(黒子は先に行っちゃうし、どうしようかと思ったけど……)
ルームメイトの後輩少女、白井黒子は既に出ている。
風紀委員に所属する彼女は朝一番にかかってきた電話を受けると、ずいぶんと慌てた様子で出発してしまった。
白井の話によると、違法侵入者が紛れ込んだらしい。
結局、『どうせ人手が足りなくなるはずですので』と飛び出して行ってしまった。
その言い方から察するに、恐らくは先走った行動に出たのだろう。
(まったくあの子は……)
また始末書やら何やらに追われるのかと思うと、自業自得とは言え少々可哀そうだ。
その行動の根底にある強い正義感を美琴は知っていた。
そもそも、昨日も侵入者がいたはずだ。
それ以外にも大小合わせて数件、事件があったと白井から聞かされている。
美琴が遭遇した建設現場での件も、その中には含まれていた。
そういえば、あの時ツンツン頭の少年と喧嘩していた偽物の海原光貴は一体誰だったのか。
(おっとっと)
そこで、美琴は軽く頭を振った。
ひどく思考が逸れていたようだ。
もう一度前屈みに鏡を覗き込む。
やはり、まぁ、おかしくはない。
「ま、1週間もすりゃ慣れるわよね」
見慣れない光景に違和感を覚えるのは仕方のないことだろう。
馴染むまでちょっとの辛抱だ、と結論づけて美琴は姿勢を直す。
思いきったイメージチェンジ的な行動に抵抗がある訳ではない。
だがこういう行動に対して、冷やかし半分に追求されたりするのは少しだけ苦手だった。
そもそも、この髪飾りを購入したのに大した理由はない。
安かったから勢いで買っただけで、気まぐれ以外の何物でもないのだ。
こういうアイテムは話の種としては優秀なだけに複雑な思いになる。
基本的には誰かに気づいてもらえるというのは嬉しいことなのだ。
(アイツも気づくかしらね)
ぼんやりとツンツン頭の少年を思い浮かべる。
「って、いやいやいやいや!」
ブンブン、と頭を振りながら、
(なんで!? なんでここでアイツが出てくるのかしら!?)
とりあえず、否定する。
否定したのに。
(つーかアイツの場合、気付かないんじゃ)
勝手に幻想もとい妄想が膨らんでいってしまう。
知らない自分がもう一人、自分の中にいるかのような気になる。
いくら否定しようと、美琴の中で、彼の存在が大きくなりつつあるのは確かだった。
もし気付いたら。
彼だったら、どんな反応をするだろう。
『それどうしたんだ? 似合ってんじゃん』
そんな様子でじっと視線を送って来る彼の様子が容易に想像できてしまった。
どんなに恥ずかしい言葉でも、さらっと言ってのける少年。
『へえ、可愛いな』
(うっわ! 言いそう! すごい言いそう!)
部屋に届くバスの駆動音の調子が少し変わった。
美琴はそれに気付かない。
(っ!? ってか、べ、別に可愛いってのは私のことじゃなくてコレのことであって私は!)
「って、そうじゃなくって!」
またも、思い切り頭を振る。
勢いがありすぎたのか、ヘアピンが軽くずり落ちる。
そうやってセルフでツッコミを入れたところで、軽く暴走しかけていた思考が止まる。
理由は、立て鏡。
美琴の緩んだ口元がしっかり映し出されていた。
誰かに見られているわけでもないのに異常な気恥ずかしさを覚える。
鏡に映る唇の右端がぴくりと痙攣して、
ばちーん!! と、良い音が部屋に響いた。
時刻は八時十分。
右の頬をわずかに(手の平の形に)染めて、美琴は玄関を飛び出す。
建物の影から出ると、後方からまだまだ厳しい日差しが降り注ぐ。
『学舎の園』に向かうバスはもうない。
ドアが閉まるときのブザー音を聞いたのは、部屋の中でのことだ。
間に合うはずもなかった。走らなければ学校も遅刻だ。
結局、ベッドもあのままだった。
一度外したヘアピンは、右手にある。
「はぁー、しゃーない」
ひとつ溜息をついた美琴は、慣れた手つきで髪を留めていく。
それが終わると車の通りを確認して、車道を自身の影を追うようにして斜めに渡っていく。
反対の歩道まで到着すると、
「さて」
軽く、屈伸運動。
「いきますか!」
一人宣言をして、
勢いよく美琴は走り出した。
少女の長い一日が始まる。
数分後。
昨晩に引き続き、彼女は叫ぶ羽目になる。
「こら、ローテンションのままスルーしてんじゃないわよアンタ!」
あっさり幻想をぶち壊された美琴なのでした。
◇どうでもいい前作的な何か
超電磁砲のオシャレ事情
○頂いた設定
・朝の集合時間と門限などの時間設定。
・漫画、アニメより室内の家具の配置等。
・アニメより、美琴のパジャマの柄。
○勝手に設定
・学生寮の玄関が北向きだったり。
妄想のシーンはフィルターを通した某AAにてお楽しみくだs。がんばれ美琴!
さてさて、続くの? 続かないの? わかりませんが、ここいらで失礼を。
それでは、ありがとうございましたー。
22 : - 2010/08/24 08:58:13.22 0HthNfco 21/21結局、書き直したりしてるうちに方向性を見失ったり、タイトルが思いつかずに仲間達に泣きついたり……。
よくわからなくなっちゃったけど、無事投下できました。本当に感謝感謝。