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【艦これ】総司令部の日常【前編】
【艦これ】総司令部の日常【中編】
―9時過ぎ、重巡洋艦・青葉&衣笠の部屋―
青葉「あーあ…大規模作戦中と言うのに、暇ですねぇ…」
衣笠「そうだね……別に演習も無し、遠征もなしで…出撃とかないし…」
青葉「今攻略している第5海域は、水雷戦隊じゃなきゃだめで、雷巡と航巡が有効っての言うのがもっぱらの噂ですし、私達が起用される可能性は低いです」
衣笠「でも、ここまで何もないと、暇だよね~…」
青葉「あー…じゃあ気晴らしに間宮さんのところにでも行きますか?」
衣笠「間宮さんのところに?何で?朝からいきなりスイーツは嫌だよ」
青葉「いえいえ、おそらく待機中であろう方々にインタビューして何かいいネタを見つけるんですよ」
衣笠「そんな理由だと思ったよ」
【三川艦隊で】
―数分後、食堂―
古鷹&加古「あっ」
天龍「おっ」
鳥海「あら」
青葉&衣笠「あ」
古鷹「どうかしたの、2人とも?」
青葉「いやー…あまりに暇すぎて、暇つぶしに何かあるかなって食堂へ…」
衣笠「そういう古鷹と加古は?」
古鷹「私達も大体同じ理由…あと、加古があまりにも寝過ぎるから…」
加古「あたしゃ休めるんだったら1日中休みたいけど、古鷹が起こしてきて…」
青葉「ははっ、加古らしいですねぇ」
加古「そう言えば、天龍は?いつも龍田と一緒なのに…」
天龍「龍田なら今、各鎮守府への電文と通達で忙しいぜ」
古鷹「龍田ちゃんが?珍しいね……いつもは大淀さんがやってるイメージがあるけど…」
天龍「なんでも、第4海域で大淀を出撃させて疲れてるだろうからって、比較的そっち方面の事が得意な龍田が代役を務めてるんだと」
青葉「……なんか、龍田さんが鎮守府へ通達って言われると、何か脅してるイメージが強い気が……」
衣笠「あー、青葉?そういうのはあんまり本人の前で言わない方がいいって…」
青葉「え、本人?」クルッ
龍田「………………………」ニコォ
―数秒後―
青葉「」チーン
龍田「じゃあ、失礼するわね~」
加古「あの数秒で青葉をここまでに…やはり天才か」
衣笠「青葉、大丈夫~?」
青葉「か、かろうじて……」プルプル
天龍「あ、鳥海はどういう理由で?いつも摩耶さんと一緒じゃなかったっけか?」
鳥海「摩耶姉さんは、第1海域で出撃して、大きなダメージ受けちゃったから、提督から休むように言われてるんです。で、今はぐっすり…」
加古「いーなー…あたしもグッスリ眠りたい…」
青葉「そんな事言ってますけど、加古って朝礼の時ほとんど遅刻してますよ?私達よりもぐっすり寝てるじゃないですか」
加古「平日の睡眠と休日の睡眠は別もんなんだよ~」
天龍「まあ、分からなくはないが…」
古鷹「…それにしても、久々だね」
衣笠「何が?」
古鷹「元‶三川艦隊‶で集まるのって」
天龍&青葉&衣笠&鳥海「あ…………」
古鷹「あの時は、考えられなかった事だよね……。同じ艦隊のメンバーで、今はこうして女の子の体を持って、話をする事ができるなんて…」
加古「あー、あー、やめやめ!そんな辛気臭い話は無しにしてよ!せっかくの休日がなんかダメになる気分!」
青葉「そ、そうですよ古鷹~…もー、古鷹は変なところで真面目になって~」
衣笠「でも、その真面目なところが古鷹のいいとこだよね」
青葉「で、提督から一目置かれていると噂が広がっているんですよね、分かる分かる」
古鷹「ええっ!?やっ、そんなぁ、そんなことないよぉ!私は別に提督なんて―」
衣笠「嫌いなの?」
古鷹「そんなわけない――――――――あ」
青葉「青葉、聞いちゃいました」ニヤニヤ
衣笠「ほうほう」ニヤニヤ
天龍「おやおや」ニヤニヤ
鳥海「あらあら」クスクス
加古「ZZZZZ……」
古鷹「も、もおおおおおおおおお」
―同時刻、執務室―
提督「……くしゅっ」
龍田「あら~、提督~?くしゃみなんて珍しいわね~」
提督「…最近、急に寒くなってきましたからねぇ…風邪に気を付けなければ……」
―食堂―
天龍「しかし…暇だな……」
鳥海「そうですね……出撃が無くて休めるのはいいんですけど……」
加古「ZZZZZZ…………」
古鷹「いっ、いい加減に起きて!」ゴスッ
加古「うぶふぅ………」ムクッ
青葉「あ、チャンバラでもしますか?」
衣笠「チャンバラ?」
青葉「ええ、屋内演習場は空いていますし」
古鷹「あ、面白そう!」
青葉「じゃ、早速やりましょう!」
―1時間後、屋内演習場―
衣笠「うぅ……強すぎる……」
鳥海「くっ………」
古鷹「あ、あれ?手加減したつもりなんだけど…」
天龍「この俺が負ける…だと?」
青葉「いやぁ……古鷹は相変わらず強いですねぇ……」
加古「そうなんだよなぁ……一度も勝った事なんてねーし…」
衣笠「流石武勲艦だね」
古鷹「たまたまだよ~」
天龍「……………………」ドヨーン
衣笠「あれ、天龍どしたの?」
鳥海「あれですよ。常に帯剣して戦闘でも剣術で戦ってるのに、ただのチャンバラで負けてしまった事に打ちひしがれてるんですよ」
天龍「ただの…チャンバラに……」
加古「鳥海って何気にひどい事言ってるよな……」ヒソヒソ
青葉「あ、あれですよ…破天荒な姉がいるから、たまの休日くらいストレスを発散したいんですよ…」ヒソヒソ
衣笠「青葉、あんたも結構ひどい事言ってるよ…」ヒソヒソ
古鷹「あ、あれって霧島さん?」
鳥海「あ、霧島さん」
霧島「あら、鳥海さん。せっかくの休日、満喫してるかしら?」
鳥海「ええ、まあ……」
霧島「私も、大規模作戦が終わってからは、休みをもらえるようになってるけれど……」
鳥海「すみません…私だけ……私なんて、4連徹夜でギブアップしてしまって……でも、霧島さんはもう5連徹夜でしょう?すごいです」
霧島「いえ、貴女も十分頑張ってるわ。じゃ、せっかくの休日を楽しみなさいね。私はちょっと気晴らしに歩いていただけだから」スタスタ
鳥海「は、はいっ!」
古鷹「………鳥海さん、今日昼ごはん奢ってあげるよ」
鳥海「?ありがとうございます」
加古「このコーラ、やるよ…」
鳥海「ど、どうも……」
青葉「鳥海さん、今度仕事代わってあげますよ…」
鳥海「?どうしたんですか、急に?」
―数時間後、重巡洋艦寮・休憩室―
青葉「しかし、暇ですねぇ……」
加古「だー、もー、昼めし食って眠いんだし、寝かせてよ~」
古鷹「もう、しょうがないなぁ……」
衣笠「まぁ、私も眠かったし……ふわぁぁ…」
天龍「俺も…少し……」
青葉「むぅ……ただでさえ鎮守府の中は暖かいゆえ、ご飯を食べた後の満腹感で皆さん緊張が切れてしまってるのでしょうか……」
鳥海「私は……どうしようかしら……」
青葉「貴女はむしろ寝た方がいいですって」
―数分後―
加古「ぐー……かー……」
古鷹「すぅ………すぅ………」
天龍「…すー……すー……」
青葉「すぴー……すぴー……」
衣笠「ふー……ひー……」
鳥海「ス……ぴ……」
那智「む?どうしたんだ、こいつら。6人で川の字に寝てるとは…」
妙高「日頃の出撃で疲れているのよ、きっと。寝かせてあげましょう」
足柄「それにしても、皆気持ちよさそうに寝てるわね~」
羽黒「でも、皆さん……」スッ
那智「?」
羽黒「皆さん、手握ってますよ?」
妙高「あら」クスッ
足柄「へぇ~…結構ロマンチックじゃない」
那智「なんだ、手を握ってほしいのか」
足柄「違うわよっ」
―20時過ぎ―
青葉「しまった!もう20時です!!」
古鷹「ええっ!?寝過ごしちゃった!!どうしよう!?」
加古「あー腹減った……起きる…」
鳥海「……うう……データ……頭が……」
衣笠「鳥海、目を覚まして!!」
天龍「夢でも仕事とか…どんだけ仕事中毒なんだよ、鳥海…」
【終わり】
―10時過ぎ、執務室―
提督「えー、データ課の霧島さんと鳥海さんですが、連日の徹夜と書類整理によって、疲労度が大変な事になりました」
高雄「ええ、存じております。鳥海は今、摩耶と一緒に部屋におります」
提督「そこで、貴女方2人には、少しの間だけデータ課で仕事をしていただきたいのですが……」
妙高「構いませんわ」
高雄「私も同じくです」
提督「では、申し訳ございませんが、少しの間よろしくお願いいたします」
高雄&妙高「はい!」
【隣の芝は青い】
―10時過ぎ、データ課室―
高雄「よいしょ…っと」ドサッ
高雄「ふー……すごい数の書類ね……」
妙高「まあ、この国の全ての鎮守府の戦力データがここに集中してるんだから、当然と言えば当然よね」
高雄「それで、この戦力データをもとに戦績表に反映していくと…」
妙高「しかもそのすべてが手書き……気が遠くなりそうね……」
高雄「まあ、地道にやっていくしかないわね…」
妙高「そうね……はぁ、腱鞘炎になりそう……」
―約1時間経過―
高雄「………………………」カリカリカリカリ
妙高「………………………」カリカリカリカリ
高雄「ふぅ………疲れたわね…」コキコキ
妙高「そうね~……」ノビー
高雄「んっん~…!」ノビー
プルン
妙高「……………」
妙高(大丈夫……私は平均かそれ以上あるわ……)
高雄「?どうかしたの?」
妙高「あ、ううん…何でもないわよ」アセッ
妙高「それにしても、霧島さんと鳥海さんは凄いわねぇ…」
高雄「?急にどうしたの?」
妙高「この部屋のデータ、全部霧島さんと2人で分担で処理してるんでしょう?凄いじゃない。私達も同じ2人でやってるのに1時間で音を上げて…」
高雄「まあ……確かにそうねぇ」
妙高「そういう意味も含めて、霧島さんと鳥海さんは凄いって言ったのよ。それに鳥海さんは武勲艦って言うし…羨ましいわね~、そんな根気強い妹がいて…」
高雄「何言ってんの、貴女には那智さんがいるじゃない」
妙高「確かに那智は根気強いけど、どこか女性らしさが欠けてるって感じがしなくもないのよ」
高雄「ああ…分かるわね…なんとなくだけど。でも、提督に褒められたら少し照れるのも女性らしさって言えないかしら?」
那智『司令官。リランカ島の攻略に成功したぞ』
提督『お疲れ様です。そして、よく頑張ってくれました。ありがとうございます』
那智『ふ、ふんっ。別に、これしきの事…!///』
妙高「あれ、女性らしさって言うのかしら…」
高雄「それに比べてうちの次女の愛宕ったら…提督を誘惑する事しか頭にないような感じがするし…」
妙高「でも、彼女は結構女子力高いわよ?この前なんて、自前のクッキーを駆逐艦のみんなに配ってたそうじゃない」
愛宕『みんな~、遠征お疲れさま♪ご褒美に、私特製のクッキーをプレゼントするわね~』
駆逐艦ズ『わーい!愛宕先輩、ありがとー!』
愛宕『ふふふ、どういたしまして~』
高雄「まあ、あの子は料理が元々得意だから…」
高雄「というか、女子力の高い妹って、羽黒ちゃんがいるじゃない」
妙高「うーん…羽黒って、女子力がそこまで高いかしら…?」
高雄「高いわよ~。提督の秘書艦してる時なんて、さりげなくコーヒーを注いであげてるし…」
羽黒『し、司令官さん…その…どうぞ』カチャ
提督『おや、すみませんね』
羽黒『い、いえ…これしきの事…』
高雄「その他色々、妙高の見てないところで頑張ってるのよ?彼女」
妙高「そうだったの……羽黒ったら、おどおどしてて泣き虫なイメージが強くって…」
高雄「姉としてそれはどうなの……」
妙高「でも、摩耶ちゃんみたいな妹も欲しかったな~…」
高雄「え?摩耶が?」
妙高「あの、いつもは反抗的な態度を取っているようで、時折見せる素直な表情と言葉に胸を打たれるというか…」
摩耶『……何であの時かばったんだよ』
赤城『あの時貴女は、あと一歩のところで轟沈するところでした…。それに、大切な仲間を失いたくなかったから…です』
摩耶『……………ありがと、な』
高雄「でも、それ言ったら足柄さんも似たような感じじゃない」
妙高「うーん……足柄は…ただ戦う事が楽しくて仕方ない…ちょっと女性としてどうなの、ってところがあるし…」
高雄「でも、彼女と一緒に出撃した時、結構楽しかったわよ?」
足柄『戦場が!勝利が私を呼んでいるわ!!』
高雄『ふふっ、どんな戦いになるのかしら、楽しみね』
足柄『でも、心配する事はないわ。私がいるんだから、勝利は間違いなしよ!』
高雄「彼女の言葉には、戦意高揚の効力もあるのかしら」
妙高「そんな効力絶対ないと思うわ」
高雄「でも、自分の妹の魅力って、案外自分じゃ気づかないものよねぇ」
妙高「確かにそうね……。それで、他人の妹の魅力にばかり目が行って羨ましくなって……」
高雄「って、こんな話無し無しね。さ、早く仕事に戻りましょう」
妙高「そうね、まだ仕事はたくさんあるから……」
高雄「あー、でも羽黒ちゃんの守ってあげたい感じはいいわね…」
妙高「それなら、鳥海ちゃんの女の子らしさと武勲艦としての働きを併せ持ってるのもまた……」
提督(おばちゃん同士の井戸端会議か)
【終わり】
701 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/11/27 21:55:30.23 tR/70j1q0 390/565【キャラクター紹介】
≪高雄≫
高雄型重巡洋艦一番艦。艦娘No.59。おっとりした感じでふかふかな体が特徴の優しいお姉さん。かつては御召艦としての役割も務めていたためか、女子力は
意外と高め。妙高と仲が良く、よく一緒に食事を摂ったり出かけたりしている。後輩の指導に関しては優しくも厳しいスタイルを貫き、深海棲艦との戦闘では、
一切の躊躇と遠慮をしない。ふくよかなスタイルに加えて『馬鹿め』という言葉遣いから、一部鎮守府のマゾ提督には人気の様子。
好きな言葉は『千里の道も一歩より』。
≪妙高≫
妙高型重巡洋艦一番艦。艦娘No.55(改二はNo.191)。シックなどこか大人じみた雰囲気が特徴の、優しいお姉さん。個性豊かな妙高型をまとめる姉であり、
その真面目性格を提督から認められている、優秀な人。戦闘スタイルは慎重派で、突っ走り過ぎる足柄をたしなめる役割も請け負う。怒ってしまった時は、
逆に穏やかな笑みを浮かべて周りを戦かせる。怒らせると怖い人。歳の事とか雑コラとかで馬鹿にしてはならない。
好きな言葉は『転ばぬ先の杖』。
―15時過ぎ、第壱拾参鎮守府・工廠―
明石「……っこいしょっと……ふぅ~…」ガシャァン
瑞理「明石ちゃん、お疲れさま~」
明石「ああ、提督…お疲れ様です…」
瑞理「?疲れてるようだけど」
明石「ええ……大規模作戦で負傷する艦娘の艤装が増えて……それで疲れが溜まっちゃって…」
瑞理「なんなら、手っ取り早く疲れを抜く方法があるけど…」ワキワキ
明石「夜のお相手ならお断りですよ」
瑞理「ありゃ残念……けど、明石ちゃんの負担が増えてきてるのは確かだしなぁ……」
明石「いえ、私の苦労何て提督に比べれば……」
瑞理「…そろそろ、整備員を雇おうかな」
【直すのは人の手】
―17時過ぎ、第壱鎮守府・執務室―
瑞理『と言うわけで、整備員を1人雇いたいんだけど』
提督「…事情は分かりました。しかし、そう言った話は直に会って話していただきたかったのですが」
瑞理『だってお前の顔直に見るの何て嫌だったし。あ、整備員の子は可愛い子にしてね~』プツッ
提督「…まったく」カチャン
比叡「?司令?さっきの方は?」
提督「瑞理さんからです。工廠の人手不足解消のために整備員を1人雇いたいとのことです。まったく、大規模作戦中に仕事を増やしてくれる…」
比叡「あれ?そう言った整備員とかの話って、総司令部に直接来るんですか?」
提督「ええ、機関関係の部署は今は存在しませんし、総司令部で総括しているんです」
比叡「…そもそも、整備員ってどうやって養成してるんですか?」
提督「それはですね…海軍学校で整備員も養成してるんです」
比叡「?」
提督「海軍学校には、提督になるための学科である司令科と、整備員等工業関係の仕事に携わるための機関科の2つに分かれているんです。鎮守府で働く整備員は、ほとんどこの機関科の学科を修了した方たちです」
比叡「ふむふむ……あれ、1つ気になったんですけど…」
提督「はい?」
比叡「海軍学校を卒業して、すぐに鎮守府で働くって事、できるんですか?」
提督「そう言った事例は、今のところ、そこそこある程度です」
比叡「あ、やっぱりですか」
提督「整備員を雇いたい鎮守府もあるにはありますが、あまり多くはありません。せいぜい、全国の3~4割と言ったところでしょう。そのぐらいの数しか、整備員を雇ったりはしませんので、必然的にどこの鎮守府にも属さない整備員の方もいらっしゃいます」
比叡「その方々って、鎮守府に雇われるまではどうするんですか?」
提督「どこかの鎮守府が求人を出すまでは、海軍付属の施設で働いてもらっています。工場や、訓練所等……まあ、色々あります。そして整備員を雇いたい鎮守府の提督が、総司令部に連絡をして、こちら側がその鎮守府へ配属させる整備員をリストから探し、そこへ行かせると言った感じです」
比叡「はぇ~……」
提督「……後、鎮守府側はある程度、雇いたい整備員の方の希望を出す事ができるんです」
比叡「?希望?」
提督「一番多い希望が『女性であること』。鎮守府で働いている方はほぼ全員が女性です。男性を雇うと、不純な関係が構築されるかもしれない。それを恐れ、最初から女性整備員を希望する方が最近増えてきています」
比叡「女性整備員って…いるんですか?」
提督「けっこういますねぇ。艦娘の存在が公になってから、同じ女性が海に出て深海棲艦と戦っているのだから、私達にも何かができるかもしれない、と考え、提督業を志望する女性も増えてきています。もちろん、機関科を希望する女性も増えてきています」
比叡「あー…女性の私が言うのもアレですけど、女性って同じ女性が頑張ってるのを見ると、感化されることが良くありますからねぇ…」
提督「…まあ、ほかの希望条件と言えば、『ある程度の資格・免許を持っている事』、『身体能力が高い事』、『博識がある者』などなど……結構細かく、希望できます」
比叡「結構あるんだ……」
提督「……しかし、先ほどの瑞理さんは、特に理由を述べるまでもなく『可愛い子をお願い』とのたまってました」
比叡「あからさまに自分の趣味ですよね……」
提督「そうです。ですから……」
比叡「?」
提督「私がムカつく奴の鎮守府に、そんな自己中心的であいまいな理由で希望してきた通りの人材を送ると思うかって話ですよ」
比叡「嗚呼……」
―数日後・10時、第壱拾参鎮守府・執務室
禊「初めまして!禊 秀平(みそぎ しゅうへい)です!よろしくお願いします!」←可でも不可でもない容姿の男
瑞理「何でよりにもよって野郎を雇わせたんだ」
提督「もし女性を貴方の鎮守府で働かせたら、貴方が女性に現を抜かして執務に身が入らないだろうからと言う、私の気遣いです」
瑞理「そんな気遣いいらん」
禊「あ、あの……」
瑞理「ああ、ごめんごめん。別に君が嫌だってわけじゃないんだ。僕はこの鎮守府の提督の瑞理 兆だよ。よろしくね」スッ
禊「あ、はい!よろしくお願いいします、瑞理提督!」アクシュ
瑞理「瑞理提督なんて堅苦しいから、‶瑞理さん‶でもいいよ」
禊「あ…分かりました、瑞理さん」
瑞理「さて……色々教えたいところなんだけど…」
コンコン
川内『川内でーす…第一艦隊が帰投しましたぁ~…』
瑞理「入ってどうぞ~」
ガチャ
川内「失礼しまーす……」大破
禊「んなっ!?」
瑞理「お疲れちゃん。どうだった?」
川内「それがね…って斑提督…こんにちは」ペコリ
提督「こんにちは」ペコリ
川内「それで……そっちの人は?」
瑞理「彼は、禊君。今日からうちで働くことになった整備員だよ」
川内「へー…」ジロジロ
禊「う……な、何か…?」
川内「私は川内!よろしくね!好きなものは月と星と夜戦です!」
禊「み、禊です。よろしくお願いします…」アクシュ
瑞理「それで、バニラ湾はどうだった?」
川内「いやぁ…やっぱり駆逐水鬼が強いねぇ……A勝利がいっぱいいっぱいかな…」
瑞理「そっか……まあ、いいや。川内ちゃんと…あと損傷を負ったのは?」
川内「江風ちゃんが中破、時雨ちゃんが小破だよ」
瑞理「確か、ドックは全部空いてたよね?じゃあ、3人は入渠して構わないから。それと、夕立ちゃんを呼んできてくれるかな?夕立ちゃんは無傷でしょ?
それと、川内ちゃんは報告書はまた後日でいいから」
川内「あ、うん。分かった~」
瑞理「…まあ、こんな感じで今は大規模作戦中で忙しいんだ。ゆっくり案内したり説明したいところなんだけど、こんなだから詳しい説明はまた今度にして、
とりあえず工廠に向かってくれないかな?そこが君の主な仕事場になるだろうから」
禊「あ、はい!」
瑞理「工廠の勝手は、明石ちゃんに訊いた方が早いと思うしね」
提督「では、私はこれで。禊さん、頑張ってくださいね」
禊「はい!頑張ります!」
―数分後、工廠―
明石「君がここで働く禊君か~。私が明石!よろしくね」
禊「よろしくお願いします!」
明石「じゃあ、早速で悪いんだけど…」チラッ
禊「?」
明石「この被弾した艤装を運ぶの、手伝ってくれないかな?」
禊「あ、はい!」
明石「その後は、壊れた部分を修復しなくちゃならないし…」
―18時過ぎ、工廠―
明石「ふぅ~……終わった~……」
禊「結構きついですね…」
明石「いやぁ、君が手伝ってくれたおかげで、普段よりも体力を使わなくて済んだし、結構余裕をもって作業できたよ。ありがとね」ニコッ
禊「い、いえ……」ドキッ
ガラガラー
瑞理「禊君いる?」
禊「あ、はい!ここにいます!」
瑞理「出撃や仕事がひと段落着いたから、鎮守府の事を説明しようと思って」
禊「分かりました、すぐに向かいます」
瑞理「工廠の事は明石ちゃんに教わったかな?」
禊「大丈夫です」
瑞理「じゃ、執務室へ行こうか。明石ちゃんも一緒にね」
明石「了解です!」
―19時過ぎ、執務室―
瑞理「…とまあ、大体こんな感じ。後、禊君には工廠関係の仕事のほかに、雑務とかも手伝ってもらったりもしちゃうけど、いいかな?」
禊「頑張ります!……けど、ちょっと不安で…」
瑞理「まあ、分からない事があったら何でも聞いてくれていいからね。あ、そうだ…」
禊「?」
瑞理「禊君の部屋とかどうしよう……」
明石「あ、よろしければ工廠にある、私の部屋の隣の空部屋使います?」
瑞理「あれ、あそこ空いてたっけ?」
明石「ええ、掃除すれば綺麗になりますよ」
瑞理「じゃあ、禊君。君の部屋は明石ちゃんの隣の部屋でいいかな?」
禊「俺は構いませんけど…」
禊(明石さんの隣の部屋か……)
―数日後、工廠―
明石「あ、禊君!ちょっちいいかな?」
禊「はい?」
明石「この書類、提督のところに持って行ってくれないかな?」
禊「あ、分かりました」
明石「お願いね」ニコ
禊「は、はい!」
―数分後、執務室前―
禊「瑞理さーん、明石さんからの書類を―」
『だ……めぇ、イ……クぅぅっ…!!』
禊「」
禊「」
禊「」
禊「……………落ち着け秀平、きっと尋ねた時間が悪かったんだ。また時間を改めて来よう」
―13時過ぎ―
禊「瑞理さーん―」
『もっと……もっとしてぇ……!』
禊「」
―15時過ぎ―
禊「瑞理―」
『だめだめぇ……そっちは違うぅ……!』
禊「」
―17時過ぎ―
禊「ミズーリ……」
『あはぁっ!これ気持ちイイよぉぉ~…ッ!!』
禊「」
―19時過ぎ、食堂―
禊「……………なんなんだ…一体……」
明石「あー…聞いちゃったのか~…何度も執務室に行っては戻ってを繰り返してたから何かと思ったけど……」
禊「明石さんは……知ってるんですか…」
明石「まあ、私も曲りなりにもここの艦娘だしね」
禊「……明石さんも……その………あんな事を…?」
明石「いやいや、私は流石に簡単に体を明け渡したりはしないから。まだ夜戦(意味深)の経験はないし。せいぜい胸とかお尻とかを触られたくらいだから」
禊「せいぜい!?」
明石「というか、斑さんから聞いてなかったの?ウチの提督はそういう人だって」
禊「………そう言えば……」
―数日前、第壱鎮守府・執務室―
提督『貴方には、明日から東海・伊豆第壱拾参鎮守府で働いていただきます』
禊『はい!』
提督『あー、ちなみに……そこの提督は少々あれですので、気を付けてください』
禊『?』
禊「アレ…って、そういう意味だったんですね」
明石「あはは、まあ頑張ってね」
禊「…なんだか、ここは自分の常識を犯されそうな気がします…」
明石「まあ私達艦娘もそもそも常識を逸してる存在のようなもんだしね~…」
【終わり】
716 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/11/29 22:14:34.16 T3yu7zPO0 400/565【キャラクター紹介】
≪禊 宗平(みそぎ しゅうへい)≫
東海・伊豆第壱拾参鎮守府で働いている整備員の男性。年齢は20歳。容姿はそこそこ、可でも不可でもないと言った感じ。海軍学校の頃は機関科に所属し、
システム関係の学科を学んでいた。しかし成績は突出して良いというわけではない。少し泣き虫なところもあり、少しきつい言われ方をしただけで泣く事も。
瑞理提督の事は(スケコマシと言うところを除けば)信頼はしている。明石に対して恋に近い感情を抱いている。
好きな言葉は『布衣之交』。
―6時過ぎ、空母寮・祥鳳&瑞鳳の部屋―
ピピピピピ
祥鳳「う………あさ…?」ピッ
祥鳳「秘書艦の当番になると、朝早く起きなきゃならないから、少し大変ね……」
瑞鳳「す~……す~……」
祥鳳「もう…瑞鳳ったらまた遅くまでプラモデルを作ってたのね?夜更かしは体に悪いって何度も言ってるのに…」シュルッ、パサッ
瑞鳳「むにゅ……卵焼き……」
祥鳳「……ま、今日は休みだからいいか」
瑞鳳「く~……食べたい……」
祥鳳「じゃあ、私はお先に、ね」
パタン
【小柄な空母】
―9時過ぎ、執務室―
提督「祥鳳さん、この書類なんですけど…」
祥鳳「ああ、その書類でしたらこちらに…」
瑞鳳「なーんか、祥鳳って秘書艦の期間長い気がするな~…」
祥鳳「あら、そうかしら?」
瑞鳳「絶対そうだって。私は提督の初期艦を務めてる期間って大体2~3日だけど、祥鳳とか吹雪ちゃんとかは、大体1週間くらいしてるじゃない。なんで?」提督のひいき?」
提督「贔屓などではありませんよ。あ~いや、贔屓…なのか?」
瑞鳳「?何よ、まどろっこしいわね…」
提督「祥鳳さんは、私が提督として着任してから間もないころに着任した方ですので、それなりに付き合いが長いんです。そういう方は、他の方たちと比べて、少々長い期間秘書艦を任せております」
祥鳳「吹雪ちゃんは、初期艦だから?」
提督「ええ。また、着任後最初に建造したのが五月雨さんだったため、彼女もまた秘書艦としての期間が長いです。さらに、初期着任の方ほどではないけれど、それなりに長い付き合いをしている方は他の皆さんより少し秘書艦の期間が長いです」
瑞鳳「じゃあ、最近来た私はまだまだって事?」
提督「まあ、そうなりますね」
祥鳳「そう言えば、提督と初めてお会いしてから、もう4年も経ったんですね…」
提督「そうでしたねぇ……あの時は、製油所地帯沿岸で少々苦戦していましたからねぇ…」
瑞鳳「ああ、必然的に祥鳳が初めての空母なんだ。赤城さんかと思った」
提督「ええ。赤城さんは、敵艦隊の空母を撃沈する事で、邂逅する事ができますから。ですが、敵編成に空母が組み込まれるのは、南西諸島防衛線付近ですし」
祥鳳「でも、あの時は苦戦しましたね…」
提督「ですが、あの時は祥鳳さんが来てくれたおかげで、戦況が一気に優勢になりましたから……」
―4年前・16時過ぎ、執務室―
吹雪「申し訳ございません、司令官……。敵の中枢艦隊と思しき艦隊と交戦しましたが、勝利できませんでした……」中破
提督「いえ、皆さんが無事に帰ってきてくれただけで何よりです。それにしても、何度戦っても勝てませんねぇ……」ウーン
神通「雷撃戦でも、夜戦に持ち込んでも、倒しきる事ができません……」
提督「それはやはり、装備がまだ不十分だという事でしょう」
吹雪「そんなっ、それは私達が力不足なだけで…!」
提督「いえ、自分を卑下するような事はしないでください。貴女たちは装備に頼らずとも十分に強いですから」
吹雪「……………」
提督「しかし……いつまでもこんなところで足踏みしてるようではだめです。そろそろ、戦力増強のために、空母または戦艦を建造しましょう」
神通「戦艦ですか?」
提督「幸いにも、資材に余裕はありますから」
―数分後、工廠―
工廠妖精「建造ですかー?」
提督「はい。それも、戦艦もしくは空母を」
工廠妖精「そうなりますとー、消費する資材が少々多めになりますけどー、いいんですかー?」
提督「構いません」
工廠妖精「分かりましたー。では、資材の配分はこのリストから選んでくださーい。オリジナルでも構いませーん」ペラッ
提督「…では、この燃料:400、弾薬:30、鋼材:600、ボーキサイト:30のレシピでお願いします」
工廠妖精「了解でーす」
ゴゴゴゴゴゴン
工廠妖精「ではではー、建造開始ー!!」
ガシャン
[1号建造ドック…建造時間残り02:40:00]
工廠妖精「あー、提督さん、ごめんなさーい…」
提督「?何か?」
工廠妖精「建造時間2時間40分ってー、戦艦じゃなくて空母なんですよねー」
提督「」
工廠妖精「まー、建造ではよくあることですって、どんまいどんま―げぶぅ!?」
提督「……………」ギギギギギ
吹雪「し、司令官落ち着いて!!」
神通「製油所地帯沿岸をクリアできなくてストレスがマッハ状態なんです!静まってくださーい!!」
―約2時間半後―
提督「先ほどは失礼しました」
工廠妖精「い、いえいえ……あ、それより建造した方、そちらで待っていますよー」
提督「分かりました、では、呼んでいただけますか?」
工廠妖精「分かりましたー。おーい!」
ガラッ
祥鳳「初めまして、軽空母・祥鳳です。ちょっと小柄ですけど、ぜひ提督の機動部隊に加えてくださいね」ニコッ
提督&吹雪&神通「……………………」
祥鳳「?あの、何か?」
提督&吹雪&神通「……………………………」ジー
祥鳳「?」
(左半身の着物がはだけてそれなりに大きい胸がサラシだけで隠されてる)
提督&吹雪&神通「………………痴女?」
祥鳳「違いますっ!!」
瑞鳳「初対面の印象が痴女ってたまったもんじゃないわね…」
祥鳳「ホントですよ!それも、吹雪ちゃんはともかく神通ちゃんにまで痴女って言われて……」
提督(吹雪さんが‶痴女‶と言う事に違和感は感じないのか)
提督「それで、祥鳳さんのおかげで敵艦隊を発見する事も容易になり、敵の攻撃を回避する事と敵へ攻撃を命中させることも容易になりました。いわば、祥鳳さんのおかげで私の艦隊はまた一歩強くなる事ができたという事です」
瑞鳳「それで結果的に、製油所沿岸地帯は攻略できたんでしょ?」
提督「当たり前ですよ。でなければ今、私達は珊瑚諸島沖まで来れていません。まあ、祥鳳さんに加えて、攻略途中で仲間に加えた青葉さんも含めてようやく、製油所沿岸地帯を攻略する事ができました」
瑞鳳「へ~…」
提督「あの時、祥鳳さんが弓を放って何をするのかと思ったら敵を殲滅……圧巻でした」
祥鳳「ええ……正直、私は自分が何をやっているのかは、本当の意味では理解できていませんでした。ただ、あの時こうするべきであると、脳が勝手に判断し…体が勝手に動いたんです。これが、空母である私の動きなのだと、あの時初めて知りました」
提督「まあ、着任当初は痴女と言うイメージが濃すぎて…」
祥鳳「そういう話はやめてくださいって!というか、今は普通に着物を着てるでしょう!?」
瑞鳳「あー、祥鳳?ちょっと悪いんだけど…」
祥鳳「あ、ごめんなさい。どうかしたの?」
瑞鳳「祥鳳って、新しく着任した子の教育係も務めてるわよね?吹雪ちゃんとかと一緒に…。今は、鹿島さんとか、酒匂さんとか、嵐ちゃんとか…」
祥鳳「ええ、そうね」
瑞鳳「その子たち、実戦訓練の後、口々に祥鳳の事『痴女っぽい人だったね~』って言ってたわよ」
祥鳳「………………」
提督「実戦訓練でも着物をはだけさせていたんですか?」
祥鳳「…………はぁ…」
提督「まあ、痴女っぽい空母っていうのも、乙だと思いますよ」
祥鳳「どこがですかぁ!?」
【終わり】
―9時前、鎮守府付近―
ザザザザ…
天龍「ふ~…やっと鎮守府の近くまで帰ってきたぜ…」
初雪「眠い……もう無理……」
深雪「ほらほら、あと少しで鎮守府だからさ!寝るなっての!」
初雪「寝ながら航行……はっ、もしかして凄い事かも」
天龍「全然すごくねーって…あふぁ…」
深雪「天龍先輩も眠そうですね~」
天龍「ったりめーだろ…何せ大体12時間ぐらい寝ずで海に出てたんだから……」
天龍「にしても…俺も敵とボカボカやり合いたいってのに…アイツときたら俺を演習か潜水艦哨戒にしか出さねーから…」
深雪「ふわ~…ねむてー…」
【遠征軍】
―数時間前、講堂―
提督「えー、本日夜間出発の遠征部隊は、艦隊決戦援護作戦、囮機動部隊支援作戦、資源輸送任務へと向かってもらいます。後ほど編成表を張り出しますので、確認をお願いします」
皆『はーい』
龍田「あーあ…私はまた艦隊決戦援護作戦だろうな~」
磯風「ん?なぜだ?」
龍田「昨日は天龍ちゃんが夜出発したから~、今日は天龍ちゃんの妹の私が遠征なんだと思ってね~」
磯風「ここの鎮守府には、俗にいう遠征組と言うのは存在しないのか?」
龍田「ウチの提督はね~、大体重巡洋艦と軽巡洋艦、それと駆逐艦を遠征に起用してるんだけど~、ローテーションがちゃんと組まれてるのよ~。だから、出撃せず遠征にしか出さない、なんてことはないのよ~」
磯風「なるほど……アイツは、艦娘思いなのだな」
龍田「そうね~、私もそう思う。でも、やっぱり私や天龍ちゃんみたいな旧式の軽巡洋艦って、難関海域とかには出してもらえないから~、大体遠征か、鎮守府近海の潜水艦哨戒任務しか出してくれないの~」
―9時半過ぎ、執務室―
天龍「遠征が終わったぜ~……」
提督「お疲れ様です。して、遠征の方は?」
天龍「ん。何とか成功したぜ。支援砲撃しかなかったけど、敵は全滅だ」
提督「素晴らしい、上出来です」
天龍「ところで、だ。提督よ」
提督「はい?」
天龍「たまには俺も出撃させてくれよ」
提督「出撃ならさせてるじゃないですか」
天龍「出撃っつったって、キス島の1戦撤退か、鎮守府近海の潜水艦哨戒しかねーじゃねーか!俺が言いたいのはそう言うのじゃなくて、敵を全滅させる、硝煙の匂い漂う戦闘が好きなんだよ!」
提督「キス島でも潜水艦哨戒でも硝煙漂ってるじゃないですか」
天龍「だーかーらー、そういうんじゃなくて!」
提督「じゃあ、どういう事ですか」
天龍「俺が戦いたいのは、軽巡とか駆逐イ級とかちゃちなのじゃねぇ。戦艦ル級とか、空母ヲ級とか、そういう強い奴なんだよ!」
提督「まったく……本当に貴女って戦闘が好きですよね。色気より覇気ですか」
―同時刻、廊下―
龍田「あーあ、やっぱり私が旗艦で艦隊決戦援護作戦か~」
睦月「あ、龍田さん!」
龍田「あら~、睦月ちゃんに如月ちゃんに皐月ちゃん。貴女たちも私と同じ遠征よね~?」
睦月「はい!睦月、頑張っちゃうから!」
如月「夜更かしはお肌に悪いのよね~」
龍田「私も同意見ね~。まったく~、あの提督ったら女の子の事情も少しは知ってほしいわ~」
皐月「あはは……逆に、僕たち女の子が遠征に出なかったら、誰が遠征に行くのかな……」
龍田「………………提督が
皐月「無理だって!」
龍田「あら~、まだ言い終わってないのにひどいわね~。誰も提督が直接遠征に出るなんてまだ言ってないじゃない」
睦月「あ、あははそうだよね~」
龍田「提督が直接遠征に行けばいいじゃない」
皐月「言っちゃったよ!」
龍田「‶まだ‶言ってないって言ったじゃない~。まあそれは置いといて、私達や艦遠征組は日中の出撃は免除されてて仮眠も許可されてるけど~、貴女たちは、どうする?」
睦月「睦月、演習したいにゃし!」
皐月「演習で、遠征に向けて気合を入れたいんだ!」
龍田「あら、じゃあ私もご一緒しようかしら~?」
如月「演習もお肌が痛んじゃうのに~」
皐月「如月…お肌の事を心配してちゃ、艦娘の役割が何もできないと思うよ…」
龍田「じゃあ~、一緒に遠征に行く古鷹先輩と加古先輩も誘いましょうか~」
隼鷹「まさか…今日遠征とは、な…」
飛鷹「どうかしたの?」
隼鷹「今夜は那智と千歳と一緒に飲む予定だったんだよ~!!」
長月「いいんじゃないか?禁酒をするのにちょうどいい」
隼鷹「この駆逐艦め!はっ、そうだ!今から飲んじゃえば―」
菊月「いいわけないだろうが!!」
―執務室―
提督「前も言いましたけれど、出撃で深海棲艦を倒す事も重要ですが、遠征で資源を運び、自他国の船団を護衛する事もとても重要なんですよ?」
天龍「そりゃ前に聞いた。それでも、艦娘の本分は深海棲艦をぶっ倒す事だ。それを全うできないんじゃ、俺の機嫌は収まらねぇよ」
提督「…そもそも、天龍さんや龍田さんは自前の業物…その剣や薙刀で敵と戦う、いわゆる近接戦が得意でしたよね?」
天龍「ああ。一応、連装砲とかも使えるが、こっちの方が手になじむ」
提督「ですが、近接戦は敵に隙を突かれるとすぐにけがを負ってしまうでしょう。さらに、戦艦相手では、そこまで近づくまでに被弾してしまう可能性も、無きにしも非ずでしょう」
天龍「む………」
提督「貴女たちと同じように業物の刀を使う木曾さんは、近接戦闘と魚雷による雷撃を得意としています。ですから、木曾さんの方が強力な敵との戦闘に向いていると言えます。しかし、天龍さんも龍田さんも性能の問題ですが、火力も雷装も特筆して強いというわけではございませんし……。ですから、貴女たち2人は難しい戦闘には出しづらいと言えます」
天龍「それは分かってる。百も承知だ。けど、やっぱり敵と戦うのが艦娘の存在意義!それを果たしてぇんだ!」
提督「…………………」
天龍「…………………」
提督「……分かりました。では、ヒトヨンマルマル(14時00分)に、第一艦隊がオリョール海へ出撃予定です。その編成の大井さんを天龍さんに変更します。これでよろしいですか?」
天龍「おう!それで十分だぜ!オリョール海なら、空母も戦艦もいる!申し分ねーぜ」
提督「では、出撃するまでに、仮眠や風呂を済ませておいてください」
天龍「了解だ!」
―16時過ぎ―
皐月「やったね、大勝利だ!」
睦月「睦月、やる気が滾ってきたにゃしぃ!!」
如月「私も…今なら頑張れそうだわ…!」
龍田「私もよ~。じゃあ、夕飯までお昼寝しましょうか~。仮眠もかねて、ね」
加古「あー…演習終わったら無性に眠くなってきた…寝る。ぐおー」
古鷹「ここで寝ちゃだめでしょ!起きて~!!」
隼鷹「酒…ビール……焼酎……」
長月「あー、隼鷹先輩……甘酒、飲むか?」
隼鷹「の、飲むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
菊月「どこの卵焼き軽空母だ」
望月「遠征なんて休みて~…」
卯月「卯月、演習楽しみだぴょん!」
弥生「うーちゃん…遠征前にはしゃいだら、疲れちゃうよ…」
三日月(私…胃薬持って行った方がいいかしら…)
―同時刻、執務室―
天龍「」大破
提督「それがこのザマである」
天龍「泣きてぇ…」
【終わり】
739 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/01 21:59:56.70 3PF3ZhiL0 414/565【キャラクター紹介】
≪天龍≫
天龍型軽巡洋艦一番艦。艦娘No.28。ショートヘアと左目の眼帯が特徴の、オラオラ系のお姉さん。見た目は怖いが性格は優しくて、駆逐艦の世話が大好き。
他の軽巡洋艦に比べて性能が劣っており、それが原因であまり難関海域に出撃気ないことが悩み。戦闘では自前の刀を使った近接戦闘と奇襲を得意とする。
妹の龍田にはいつもいじられている。かっこつけた発言を自分で言ったら自分から恥ずかしくなる。『フフ、怖いか?』はもはや自虐ネタ。
好きな言葉は『孤軍奮闘』。
―16時過ぎ、鎮守府付近―
ザザザザザ
伊勢「はーい、皆~!遠征お疲れさま~」
皆『お疲れ様でーす!』
伊勢「今日はみんな頑張ったし、資源もたくさん持って帰れたから、お姉さん間宮さんのスイーツ奢っちゃうぞ~!」
皆『いえーい!!』
秋月「あ、あの……」
伊勢「ん?どったの?」
秋月「あ、秋月は、その、遠慮しておきます」
伊勢「え…?」
照月「………」
【質素で貧乏で】
―16時半過ぎ、執務室―
伊勢「って感じで、遠征は大成功したよ~」
提督「お疲れ様です。では、伊勢さんは補給をして、その後で報告書の方を…」
伊勢「あー、それなんだけどいいかな?」
提督「?」
伊勢「補給した後で、大成功したご褒美に駆逐艦の皆に間宮さんのスイーツを奢る事にしてるんだ。だから、報告書は、ちょっと遅れてもいい?」
提督「……まあ、そのような理由があるのでしたら構いませんが。期限は明日の夕方までですよ」
伊勢「了解!じゃ、失礼するねー」
ガチャ
照月「失礼します、提督」
提督「おや、照月さん」
伊勢「ああ、照月。私は先に間宮さんのところに行ってるからね~」バタン
照月「あ、はい」
提督「何か御用ですか?」
照月「秋月姉さんの事なんですけど……」
提督「?秋月さんが何か?」
照月「秋月姉さんが、ちょっと…」
提督「……秋月さんの戦果は、特に問題はなくむしろいい方ですけど…」
照月「あ、いえ!戦果とかそういうのじゃないんです……」
提督「?」
照月「その、さっきの伊勢さんの『間宮さんのスイーツ奢る』って話、知ってますか?」
提督「ええ、私もさっき聞きました」
照月「それで、他の駆逐艦の皆が喜んだのに対し、秋月は伊勢さんの奢りを断ったんです…」
提督「…………雲龍さんと同じく戦時急造艦であるから、自分が知っている艦娘がほとんどおらず、打ち解けにくい…という事ですか」
照月「いえいえ!そんな重たい話じゃないんです!!」
提督「?ではどういう?」
照月「その……秋月は何というか……」
提督「?」
照月「……凄い質素な生活を心がけているというか、なんというか…」
提督「は?」
照月「さっきの話で、秋月が伊勢さんの奢りを断った理由が…」
秋月『す、スイーツ!?そんな高価なものを……。伊勢さんの奢り何てなおさら無理です!』
提督「ああ、先輩のおごりを素直に受け取れないとか…そういうヤツですか」
照月「それと、やはり戦時急造艦であるためか、スイーツとか高価なものを、嫌うというか、あまり嗜まないんです」
提督「ああ…そう言えばこの前、私が徹夜してる時に秘書艦の秋月さんが料理を作ってくれたんです……」
照月「秋月姉さん、結構気を使ってくれますよね?」
提督「その提案に私は甘んじる事にしたんですが……秋月さんが『奮発しました』と言って出してきたメニューが……」
提督「麦飯と高菜と豆腐の味噌汁と牛缶だったんですよ」
照月「」
提督「私その時、心の中で『貴女の奮発は日本の最低限の食事レベルです』ってツッコミました」
照月「あ、それと秋月姉さんの質素な生活は他に……」
―19時過ぎ、食堂―
A定食『瑞鳳の卵焼き定食』
B定食『チキン南蛮定食』
C定食『おにぎり三種(焼きたらこ、鮭、ツナマヨ)』
秋月「間宮さん、C定食で」
間宮「またおにぎり?食べ盛りなんだからもっと食べた方がいいわよ?」
秋月「いえ、秋月には、1食おにぎり3つと言うのが十分贅沢ですから…」
間宮「そ、そう……」
―翌日11時過ぎ、中庭―
秋月「日向先輩から間宮さんのスイーツタダ券をもらった……」
照月「ねえ、一緒に間宮さんのところに行こう?」
秋月「そうね………そうしましょう」
照月(よし!)
秋月「照月はどうする?秋月は饅頭1つにしようかと」
照月(タダ券で饅頭1つだけ!?)
―15時過ぎ、駆逐艦寮・秋月&照月の部屋―
秋月「ただいま」ガチャ
照月「お帰り~。何かって来たの?」
秋月「ボールペンの赤いインク」
照月「インクを変えられるのは魅力的だけど、万年筆とか買えば?」
秋月「あ、あんな高価なもの買えるわけないでしょ!?」
照月「だったら、普通の黒ボールペンとか赤ボールペンとか…」
秋月「このボールペンの方が、本体価格は安いし、インクのカードリッジは100円そこらなのよ?インクが切れたら新しいボールペンを買う羽目になるより、インクが切れたらカードリッジを買うだけのこっちの方が安く済むのよ」
照月「あ、うん……」
照月「とまあ、こんな感じに」
提督「発想が貧乏性と言うより、倹約家のおばーちゃんに近いと思うのは私だけでしょうか」
照月「しかし、これでは栄養とか気になりますし…まだ発育途中だというのに、あまり食べないというのはどうも……」
提督「……これに関しては、ただ地道に慣らしていくしかないとしか、言えませんが」
照月「地道に?」
提督「正確には、だんだんとグレードアップさせていく、と言った感じです。雲龍型三姉妹も当初、おにぎりとか質素な食事しか食べていませんでしたが、私や飛龍さん、瑞鶴さんのサポートで何とか普通の食事が摂れるようになったんです。まあ雲龍さんは、おにぎりが好きで今も食べていますが」
照月「???」
提督「話が逸れました。詳しく説明しますと、あまり贅沢なものを食べなれていない人に、いきなりステーキなどの豪華なものを食べさせてしまうと、逆に胃がそれを受け付けずに吐き出してしまうという事です」
照月「ああ……確かにそうですね」
提督「試しにまずは、おにぎりから麦飯→カレー→シチューと言った感じにどんどんランクアップさせていくんです」
照月「…なるほど、分かりました!やってみます!」
提督「そう言えば、照月さんは普通に食事が摂れてますね」
照月「照月、一応順応性だけはありますから」
提督「とりあえず、秋月さんにはもっと食事を摂っていただきたいですね。食べ盛りの女の子ですし」
照月「はい!最終的には、マーマイトも食べられるようになればと!」
提督「マーマイトはやめなさい」
【終わり】
752 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/02 22:13:49.47 /FY0bUHt0 421/565【キャラクター紹介】
≪秋月≫
秋月型駆逐艦一番艦。艦娘No.221。凛々しい口調と黒い髪が特徴の、しっかり者の女の子。対空性能がずば抜けており、敵の艦載機を情け容赦なく落とす様
から、空母勢のつけたあだ名は‶艦載機絶対殺すウーマン‶。戦時急造艦であるためか贅沢な食事や嗜好品に慣れておらず、質素な生活を心がけている。だが、
それが仇となって現代の平均レベルの食事を摂る事が困難な状態に。相棒の長10cm砲くんが、島風の12.7cm連装砲ちゃんにケンカを売っているのが悩み。
好きな言葉は『竹馬の友』。
戦艦の目玉の装備とされている46cm三連装砲。
索敵で重要な電探。
潜水艦哨戒にも必要になるソナーと爆雷。
これらがあるという事は、これらを作っている人もいる事になる。
さらに、これらの設計をしている人もいるというわけで。
【ドクター・メロン】
―10時過ぎ、第一資料室―
Libeccio(以下リベッチオ)「えーっと……」
イタリア「リベッチオ、書類は見つかった?」
リベッチオ「見つかったけど……高い場所にあって……」
イタリア「取りにくかったら、先輩の私を頼ってもいいのよ?」
リベッチオ「す、すみません……」
イタリア「いいのよ。で、どこにあるのかしら?」
リベッチオ「あれです」スッ
イタリア「あら…結構高いところにあるわね……私でも脚立が無くっちゃ…」
リベッチオ「あ、脚立ならここに!」
イタリア「ありがとう。それじゃ…よいしょ」ガタガタ
リベッチオ「気を付けてくださいね」
イタリア「大丈夫よ、ありがとうね。よ…いしょっと……少し重い……」
ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!
ギャガガガガガガガガガガガガ!!!
イタリア&リベッチオ「ひょあっ!?」ビクッ
グラッ
イタリア「きゃあああああっ!?」
ドッシャーン
―数十分後、執務室―
リベッチオ「と言うわけで、頼まれた書類は持ってきたけど……」
イタリア「うぅ……たんこぶが……」
提督「大丈夫ですか?あとで、明石さんに見てもらうと良いでしょう」
イタリア「そうします……ところで、先ほどの大きな音は一体……?」
提督「……開発課と言いましてね、新しい装備の提案や開発を担当している部署です」
リベッチオ「そんな部署あったんだ~…知らなかった」
提督「まあ、新装備の開発自体、担当の方しかできませんからねぇ。開発課の方が作った装備は、大体が大規模作戦の報酬として全鎮守府に配布されます」
イタリア「と言いますと……試製甲板カタパルトとか?」
提督「ええ。他にも、試製51cm三連装砲とか、四式水中聴音機などの、各種報酬装備を提案・開発しています」
イタリア「へー…すごいですね~」
提督「……ですが、開発課にはちゃんとした作業室を用意しているのに、資料がある部屋でそのまま作業を始めてしまい、その騒音の苦情が来てるんです」
イタリア「じゃあ…さっきの音も開発課の人が?」
提督「ええ」
リベッチオ「でも、全部提案してそれを実現してるんでしょ?すごいね~。一体どんな人なんだろ」
提督「リベッチオさんもイタリアさんも知っている人ですよ」
リベッチオ「?」
イタリア「私も、ですか?」
提督「ま、元の軍艦が軍艦だから、新装備への好奇心と探求心がすごいんでしょうね」
―数分後、第二資料室―
バチバチバチバチバチバチバチバチッ
??「えへ…えへへへへへ………」
ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン
??「うぇへへへへへ…ふふふふへへへへへ……」
ガガガガガガガガガ
??「うぇふははははははは……ひははははははふふふふふふ……」
ペシン
??「イタッ!?」
提督「機械をいじりながら気持ち悪い笑い声を上げないでください。聞いているこちらが不気味ですし、女性としてもアブナイです」
リベッチオ&イタリア「夕張さん……」
夕張「あっ、提督!前から言ってるんですけど、作業中に話しかけたり頭を叩いたりしないでください!危ないじゃないですか!」
提督「こちらも前から言ってるんですが、作業をするんでしたら作業室でしてください。資料室は他の皆さんも使うんです。皆さんから苦情が来てますよ」
夕張「だから何度も言ってますけど、作業室と資料室が遠すぎるんですよ!」
提督「だったら資料を作業室へ持って行けばいいでしょうが!」
イタリア「なんというか…以外というか……予想通りと言うか……」
リベッチオ「へー、夕張さんが装備開発担当だったんだ。知らなかったな~」
提督「元々の軍艦‶夕張‶が兵装実験艦であった事もあり、彼女は新しい装備が手に入るとすぐにデータを取って新たにコピー開発しようとするんです」
夕張「そうよ~。新装備のデータ採取は私の十八番なんだから!」
提督「その手先の器用さも手伝い、明石さんの手伝いもたまにしてもらっています。さらに、先ほどの新装備への好奇心と探求心から、新しい装備の提案・開発も任せています」
夕張「そうそう。私は装備の関しちゃ日本一詳しいと言っても過言じゃないよ~」
提督「しかし、装備の開発に積極的なのはいいのですが、たまに関係ないものも開発しようとするんですよ」
夕張「関係ないって何ですか!関係ないって!」
提督「大体、さっきも何を作っていたんですか?これ、明らかに通常の艦娘の装備よりも大きいですよね?これは―」
ガツッ
提督「?」チラッ
『蒼き鋼のアル○ジオ』
夕張「超重力砲が作れないかと思って」
提督「何で作ろうと思った」
夕張「だって、あれ一度見たら私達でも使えるようになりたいと思いません!?あれ、私のハートにどストライクだったんですよ!!提督もでしょ!?」
提督「あれは確かに私の心にも強く響きましたが、装備の原理とかが複雑でしょうが」
夕張「一応、装備の原理はレポートにまとめてあります。これ」スッ
提督「こういう創作上の装備をクソ真面目に分析するその根気は嫌いじゃありませんが……この装備はだめです。開発は認めません」
夕張「何故ですか!?」
提督「確かに超重力砲は一撃ですさまじい威力の攻撃を放ちますが、その装備の強さゆえに装備した艦娘が驕り高ぶってしまう事があるかもしれません。そしてそれが原因で慢心してしまい、沈んでしまう事もあるかもしれません。それを避けるために、この装備は開発してはいけません」
夕張「ちぇー…」
イタリア「あ、あの…超重力砲って…?」
提督「ああ、経緯は省きますが、一時期私達の艦隊の仲間となっていた艦娘(?)が使用していた装備です。その一撃で、敵艦隊全艦を殲滅する事も可能です」
リベッチオ「す、すごいじゃん!」
提督「ですが、先ほども言った通りこの装備は実現させません。と言うより、夕張さんは結構軍艦と関係のない装備も開発しようとするんです。たとえば…ポジトロンスナイパーライフルとか」
[ポジトロンスナイパーライフル]
漫画『新世紀エヴァ○ゲリオン』に登場する兵器。陽電子が物質中の電子に衝突・分解する力を利用した武器。作中では、最初に対ラミエル戦で使用され、日本全国の電力をエネルギーとして使用された。また、後の対アラエル戦で改良型の『ポジトロンライフル20X』も登場した。
夕張「えー?使えたら凄い爽快感が得られると思いません?」
提督「コストが高すぎるんですよ。というかそれ以前に庵野○明さんに怒られます」
夕張「この提督ったらホントに堅物なんだよね~。私がデス・スターとかライトセーバーとかマクロスとか作るっていたらどれも却下って言ってくるし」
イタリア「それは当然なのでは……」
リベッチオ「というか、もはや装備じゃないのがほとんどでしょ…」
提督「ちゃんと真面目に仕事してください」
夕張「してますって。例えば…」ガサゴソ
夕張「これ、イタリアさんの初期装備の381mm/50 三連装砲改の設計図。これで量産が可能になりますよ」
イタリア「え、いつの間に…!?」
夕張「この前イタリアさんが大破して入渠してる最中に、直った三連装砲改を解析して」
リベッチオ「す、すごい!すでに完成してる装備から設計図を造れるなんて!」
夕張「ふふーん。すごいでしょー?」
提督「確かに仕事をすると優秀なんですが、先ほどのように資料室でそのまま作業を始めてしまい、騒音の問題で皆さんから文句を言われることが多いんです」
イタリア「そんなに言われるんでしたら、資料室の壁に防音対策をしては?」
提督「一応、防音対策はしてあるんですけど、作業の音はそれよりも大きいんです」
リベッチオ「じゃあ、もっと防音対策を施せば」
夕張「あー…そういうのはちょっと無理かな~私にはできないよ……」
イタリア「何でデス・スターとか作れるのにそういうのはできないんですか……」
提督「もう鎮守府の皆さんに耳栓でも作って配りなさい」
【終わり】
765 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/04 22:01:58.11 uh+jM9RN0 429/565【キャラクター紹介】
≪夕張≫
夕張型軽巡洋艦一番艦。艦娘No.111。ポニーテールとスレンダーなスタイルが特徴の、明るいお姉さん。新しい装備が大好きで、積極的にデータを採る。
その新装備への好奇心と探求心から、明石の手伝いと、新装備の提案・開発を任されている。大規模作戦の報酬装備は基本彼女が提案・設計・開発するが、
たまにライトセーバーや超重力砲など関係のない装備を作っては提督に怒られる。胸が無いことを少し気にしている。尊敬する人物は平賀源内。
好きな言葉は『失敗は成功の基』。
―10時過ぎ、深海棲艦本拠地―
戦艦棲姫「あー……やられちゃった……しばらくは無理っぽい……」
深海提督「大丈夫か?もう何度目かもわからんぞ」
戦艦棲姫「うーん……少し休ませてもらっていいかしら?」
深海提督「分かった。じゃあ、戦艦棲姫の代わりに空母ヲ級改flagshipを登用しよう。ステビア海の潜水棲姫のいる艦隊だよな?」
戦艦棲姫「ええ、その通りよ」
深海提督「聞いた通りだ、ヲ級。頼むぞ」
空母ヲ級改flagship「ヲッ、頼まれた」ビシッ
装甲空母姫「…彼、やっぱり優秀ね」
港湾棲姫「ええ、そうですね」
【敵の司令官】
深海提督「今の指示のどこで、俺が優秀だってわかるんだよ」
装甲空母姫「分かるわよ、それだけで」
深海提督「?」
装甲空母姫「あなたは戦艦棲姫の代わりに、強力だけど姫級・鬼級には匹敵しない強さの空母ヲ級改flagshipを登用した。それは、この本拠地の資源の残りが、少し足りなくなってきているから、燃料・弾薬を大幅に消費するより、余裕のあるボーキサイトを消費するヲ級を選んだ。違う?」
深海提督「………………………」
港湾棲姫「そして、ヲ級さんはまだ出撃した回数も少なく、疲労度もたまっていない。それもまた、ヲ級投入に踏んだ理由ですよね?もし提督がいなければ、私達は無理を詰めてでも戦艦棲姫を投入するか、同じ姫級・鬼級の深海棲艦を使って、資材を無駄に消費していた…。しかし提督は、本拠地の残り資源と疲労度を鑑みて、指示をしたんでしょう?それが、優秀だというんです」
深海提督「……確かにその通りだよ。でも、これくらいの指示なんて、大したものじゃない」
装甲空母姫「謙遜してるのね。いいわよ、それ。でも、私達にとって今の指示は、とても学ぶところの多いものだったわ」
深海提督「……そうか。話は終わりか?」
港湾棲姫「ええ、終わりです。留めてしまって申し訳ございませんでした」
深海提督「いや、いいさ。それじゃ、俺は執務室に戻ってる。何かあったら連絡をくれ」
装甲空母姫「ええ、分かったわ。提督」
―12時過ぎ、食処(食堂に当たるところ)―
戦艦タ級「………装甲空母姫さん」
装甲空母姫「何かしら?」
戦艦タ級「おかしいとは思いません?」
装甲空母姫「何が?」
戦艦タ級「提督の事です」
装甲空母姫「提督が?どうして?」
戦艦タ級「確かに先ほど装甲空母姫さんの仰っていた通り、提督は私達に、私達の事をを考えておりなおかつ的確な指示を与えてくれています」
装甲空母姫「ええ、そうね」
戦艦タ級「そして…」チラッ
装甲空母姫「?」
重巡リ級「ねー、提督ぅ~。あっちで一緒に食べようよ~」
提督「ええい、腕に絡みつくな!動きにくい!!」
駆逐棲姫「……司令官、目がにやけてる。不潔」ケッ
提督「駆逐棲姫!お前は何か今凄い勘違いをしているぞ!」
戦艦タ級「ああ言った感じに、他の皆さんと親しく接しています」
装甲空母姫「そうねぇ。ほっぽちゃんや泊地水鬼ちゃんも、彼を気に入ってるわ。というか、ほとんどの深海棲艦が彼の事を気に入ってるわね」
戦艦タ級「なら、何かおかしいと思いません?」
装甲空母姫「だから、何をよ」
戦艦タ級「……あそこまで冷静な判断を下せる頭脳を持ち、皆さんから慕われるような性格と言動……。それなのになぜ彼は、人類の敵である深海棲艦たちの提督として今ここにいるのでしょうか」
装甲空母姫「…………………」
戦艦タ級「私たち深海棲艦は、人類にとって有益ではない行動をとっている事は自覚しています。そして、私達が人類から畏怖され、恨まれているのも。そんな、地球の人類のほぼ全員から恨まれている私達と同じ立場に、なぜ彼は立っているのでしょうか。あの提督の人柄でしたら人類の側でも、皆さんから頼りにされ慕われている事でしょうに」
装甲空母姫「そうね……私も考えた事はなかったわ」
戦艦タ級「?」
装甲空母姫「まあ、あの提督の目の奥に、恨みや痛みなどの負の感情が渦巻いているのが見えて、私は彼を深海棲艦勢に引き込もうと考えたわ。でもね、それら負の感情の原因が何なのか、私はわかっていない。いいや、私達はわかっていないわ」
戦艦タ級「そんな理由で…ですか」
装甲空母姫「具体的に彼がどんな経験をしたのかは当初知らなかったし、知る気もなかったけど…貴女の発言で少し気が変わったわ」
戦艦タ級「じゃあ…」
装甲空母姫「彼の過去を、探ってみましょう」
―13時過ぎ、休憩室―
港湾棲姫「提督の過去、ですか」
装甲空母姫「タ級の話を聞いて、少し彼に興味を持って」
戦艦タ級「実際に彼をここに連れてきたのは、港湾棲姫さんですよね?」
港湾棲姫「ええ、そうだけれど……」
戦艦タ級「何か、知りませんか?何か」
港湾棲姫「……ごめんなさい、私は何も知らないわ……」
装甲空母姫「そう……残念ね」
港湾棲姫「ところで装甲空母姫さん、さっき‶彼に興味を持った‶って…?
装甲空母姫「ええ」
港湾棲姫「だっ、だったら知ってても教えられません!!」
装甲空母姫「そ、そう……分かったわ。うん」
装甲空母姫「どうしたのかしら、あの子」
戦艦タ級「さあ……」
装甲空母姫「……地上で提督の監視を任せていた子なら、何か知ってるかも」
戦艦タ級「提督の監視?」
装甲空母姫「人間界に潜んでいる深海棲艦の子がいてね、提督に目を付けた後で彼に監視をつけていたのよ。その子なら、知ってるかもしれないわ」
戦艦タ級「へぇ……知らなかった……」
―数分後、雷巡チ級の部屋―
雷巡チ級「提督の事?」
装甲空母姫「提督の監視をしてたわよね?何か知ってると思って」
雷巡チ級「あー……実は提督から『何も言うな』と口止めされてまして」
戦艦タ級「えっ、何で?」
雷巡チ級「えーっと、提督が着任した時、守秘義務もないかと思って提督に、私が監視してましたってバラしたら、提督が『俺の過去の事も知ってるなら、何も話すな』って」
装甲空母姫「何勝手にバラしてんのよ!守秘義務守んなさいよ!この劣化雷巡!!」
雷巡チ級「げっ…す、すみませんでした…ギブ…ギブ…」
戦艦タ級「やめて装甲空母姫さん!チ級の顔が握りつぶされる!!」
装甲空母姫「……直接聞いた方が早いかしら」
戦艦タ級「それが一番手っ取り早いかもしれませんが、教えてくれるでしょうか?」
装甲空母姫「案外教えてくれるかもしれないわよ?」
戦艦タ級「そうでしょうか……」
―数分後、執務室―
装甲空母姫「ってなわけ、教えてくれるかしら?」
深海提督「…………………」
戦艦タ級(やはり、だんまりですか)
装甲空母姫「いえ、私もおかしいと思ったのよ?何でこの人はここに留まったままに何だろうって。逃げるためのチャンスもいくつも用意したっていうのに、あなたはそのチャンスに気づいていながらもチャンスに乗らなかった。あなたには、ここにいる理由がある。違うかしら?」
深海提督「言ってなかったか?ここは水深2000メートルにあるって」
装甲空母姫「そのルールも打ち破るための手段も用意していた。それでも、あなたは乗らなかったわ」
深海提督「……………………」
戦艦タ級「む、無理に話さなくてもいいんですよ?話しづらいのでしたら、話さなくても結構ですし」
深海提督「………………いや」
装甲空母姫&戦艦タ級「?」
深海提督「お前たちになら、話せるかもしれない」
装甲空母姫「あら……私達を信じてくれるっていうの?」カチッ
深海提督「信じられる。地上の奴らよりもずっと」
戦艦タ級「………提督…」
深海提督「…最初に確認しておく。俺の過去を話して、お前たちは俺の事を非難したり、軽蔑したりしないか?」
装甲空母姫「そんな事はしないわよ。あなたは私達の頼れる提督なんだから、あなたを責めるなんてことはしないわ」
戦艦タ級「私も、装甲空母姫さんと同じです」
深海提督「………ありがとう」
装甲空母姫「…………」ニコッ
戦艦タ級「…………///」
深海提督「そもそもの始まりは、小学校の中学年当たりだったか」
装甲空母姫「……えっ、そんなに早くから?」
戦艦タ級「提督って、確か27歳でしたよね?結構長いブランクが…」
深海提督「だが、その日から今まで、俺が非難される人生は続いている」
戦艦タ級「………………」
深海提督「結論から言うと、俺の父親と母親はその時に死んだ」
装甲空母姫「それは……お気の毒ね……」
戦艦タ級「……提督が幼い頃ですから……親御さんも若いころだったのでしょう?」
深海提督「ああ」
戦艦タ級「差支えなければ……ご両親は病気で…?」
深海提督「いや、違う」
装甲空母姫「え?」
戦艦タ級(今から大体十数年前という事は、私達はまだ生まれてもいない…)
深海提督「俺の父親が起こした無理心中で、父親と母親は死んだ」
装甲空母姫&戦艦タ級「!?」
深海提督「元の原因は、父親が不倫をして、母親はそれを強く咎めた。だが、頑なな父親は母親に反論したが、何を言っても悪いのは父親の方だった。で、最終的に父親がイカれて、無理心中に至った」
装甲空母姫「…………………」
深海提督「俺が巻き込まれなかった理由は、分からない。だが、その時俺も巻き込まれて死ねたら楽だと思った」
戦艦タ級「……どうしてですか?」
深海提督「その無理心中は、多くのマスコミからの取材を受けた。そして、テレビ・新聞によってそのことは世間に知らされ、俺の小学校の生徒の親にも、知られた」
装甲空母姫「…………………」
深海提督「その時あることないこと子供に吹き込んだのか、俺の周りから人は離れていった。無理心中を起こした夫婦の子供、としてな」
戦艦タ級「…そんな、提督は何も悪くないはずじゃないですか!」
深海提督「俺もそう思った。だから、おかしいと、俺は言った。だが誰も彼もが、俺に耳を貸そうとしなかった」
装甲空母姫「…………………」
深海提督「…そう言った、無関係の非難を受けて、俺は今日今の日まで生きてきた。自殺しても、やはり‶無理心中を起こした夫婦の子供が自殺した‶として、世間からは忌み嫌われるような目で処理されるんだろうと思ってな。それじゃ、何も変わらない。だったら、生きている今の方がまだマシと思い、死ななかった」
装甲空母姫「…………………」
深海提督「…………その過程で、俺に友達はいなくなり、恋愛感情を抱く事も忘れ、10年以上経った今でも就職した会社では敬遠されてきた。いつしか、俺以外の全ての人間は‶知り合い以下‶レベルになった」
戦艦タ級「そんな………あんまりです」
深海提督「だが……ここは、お前たち深海棲艦は違った」
装甲空母姫「……え?」
深海提督「お前たちは、俺が‶無理心中を起こした夫婦の子供‶という事も知らず、俺と一緒にいてくれている。それが、俺にはとても嬉しかった。泣くほどに」
戦艦タ級「泣いたんですか」
深海提督「ああ、本当に泣いたさ。だけど、お前たちはこうして俺の過去を知った。そうなったら、お前たちもいずれ俺から離れていくんだろう。分かるよ」
戦艦タ級「………………そんな事、無いです」
深海提督「嘘でもそう言ってくれるのなら、ありがたいが」
戦艦タ級「嘘じゃありません!!」
深海提督「!」
戦艦タ級「今の話を全て知った今だから言えます…。提督は、何も悪くないんです!提督が、気に病む事なんてないんです!皆さんから非難されることなんて、無いんです!」
深海提督「……………」
戦艦タ級「それでも、提督は誰にもそれを訴えられず、1人で孤独に生きてきたのでしょう…?そんな提督の全てを知って、離れるわけないじゃないですか!」
深海提督「………タ級」
戦艦タ級「だから………」ツカツカ
ダキッ
深海提督「!!」
戦艦タ級「……私達は、提督の悲しみを知っています。提督の事を全て知っています。ですから、私達はこれからも提督と共に、離れることなく一緒です」
深海提督「……タ級」
装甲空母姫「……」ニコッ
深海提督「装甲空母姫……」
深海提督「………………ありがとう」グズッ
深海提督「…………ん?ちょっとまて、私『達』?」
戦艦タ級「はい…そう言いましたけど」
装甲空母姫「ああ、ごめん。今の会話、全部本拠地に放送でダダ漏れよ」
深海提督「」
コンコン
港湾棲姫「……提督、そんな事があったんですか」ガチャ
泊地水鬼「でも大丈夫です……私達はずっと司令官の味方ですから……」ヒョコッ
北方棲姫「ほっぽ、提督の味方!」ヒョコッ
南方棲戦鬼「お前も壮絶な過去を味わっていたんだな。だが、安心しろ。私達は、お前と共にあるさ」ヒョコッ
深海提督「………………………どっから、聞いてた?」
空母棲姫「えーっと、『信じられる、地上の奴らよりもずっと』から」
深海提督「ほとんど全部じゃねええええええええかあああああああ!!!!」
装甲空母姫「あら、すごいオーラ。flagship並みね」
深海提督「なぁにを当事者がいけしゃあしゃあとほざいてんだあああああ!!!」
装甲空母姫「いやぁ、提督の事をみんなに知ってもらうためには、こうするのが手っ取り早いと思って。てへぺろ♪」
深海提督「うおおおおおおおんんんんん!!!
戦艦タ級(もしかしたら提督は、こうやって気兼ねなくバカ騒ぎをできる事も、ここに居たい理由なのでしょうか)
【終わり】
―9時過ぎ、掲示板前―
ざわざわ…
北上「おっ、私は一日遠征か~」
木曾「そうだな…提督、大規模作戦で多くの資源を消費しちまったから、大分焦ってるぜ」
北上「まー、第5海域で大分使っちゃったもんね~」
木曾「第3、第4海域でもかなり投げちまったからな…」
北上「って、遠征の時間30分後だ。じゃあね、木曾っち~」
木曾「その呼び方はやめてくれ…。じゃあな」
木曾「で、何でお前はそんな世界の終わりみたいな顔してんだ?」
大井「……北上さんがいない鎮守府なんて……鎮守府じゃないっ!」
木曾「お前の鎮守府の定義は相当いかれてるようだ」
【大井っち-北上成分】
―9時半過ぎ、波止場―
北上「じゃーまー、北方航路海上護衛行ってきますね~」
提督「お願いします。遠征の過程で度々北方棲姫を見かける事があるようですから、十分に気を付けてください」
北上「まー、その時は何とかなるっしょ。じゃ、行ってきまーす」
鬼怒「ちょっと、一応旗艦は鬼怒なんだけど!」
北上「あ、ゴメンゴメン~」
提督「ふぅ……あとは、10時出撃予定の北方鼠輸送作戦組か」
大井「提督」
提督「大井さん、何か御用ですか?」
大井「北上さん、約8時間の北方航路海上護衛の編成に組み込みましたよね」
提督「ええ」
大井「…なぜですか?」
提督「ああ、あの遠征の要員が、軽巡1隻と駆逐艦4隻は確保できたんですが、残り1人が確保できず、急遽北上さんに遠征に出てもらいました」
大井「……そう、ですか」
提督「それが何か?」
大井「いえ、別になんでもありません。ただ、昨日の出撃で大破して入渠4時間コースだった北上さんを無理やりに出撃させたという理由でしたら、提督には酸素魚雷の餌食になってもらうところでした」
提督「私は別にブラック提督じゃありませんから、そんな酷な事はしませんよ。現に、遠征の申し出も、北上さん自ら志願したんですし」
大井「知ってますよ、そんな事は。ですが、やはり北上さんは優しい方ですね」
提督「そうですねぇ。普段は駆逐艦の事を煙たがっていたのに、駆逐艦が多く編成されているこの遠征を自ら志願するとか…」
大井「昨日は大けがをして帰ってきたというのに、翌日には1日遠征に自ら進んで参加するというのも、優しいです」
提督「…流石は大井さん。北上さんの事をよく見ていらっしゃる」
大井「提督こそ」
提督「私はこの鎮守府の提督として、艦娘も個性を把握する義務がありますが、大井さんのそれはまた別の感情でしょう」
大井「ええ。私は、北上さんの事が好きです」
提督(百合方面の話だったらNGですが)
大井「ですが、この『好き』と言うのは、世に言う『友達以上恋人未満』という意味と同じです。ただ私は北上さんの事が、姉妹艦として、親友と言う意味で、好きなんです」
提督「……同型艦と言うのに親友とは…まあ、貴女たちの普段の絡みを鑑みるに、絡み方が親友に近いですが」
大井「ええ、女の子はそう言ったものですよ」ニコッ
提督(それっぽくはぐらかされた気がするな)
―数十分後―
阿武隈「では、北方鼠輸送作戦へ、行ってまいります!」
提督「お気をつけてください。それから―」
大井「あ、北方海域では最近北方棲姫が目撃されているようですから、そちらにも十分気をつけなさいね」
阿武隈「…………は、はいっ!では、出撃いたします」
提督「…頑張ってください」
提督「私の言いたかったことを先回りして言うとは…」
大井「さっきの北上さんが遠征に行く時の連絡事項を聞いていたから……で、当たりだったんでしょう?」
提督「ええ」
―同時刻、鎮守府近海―
ザザザザザザ……
阿武隈「まさか、大井さんが提督と一緒にいるなんて……」
暁「驚いたわ…普段は北上さんと一緒にいたから…。でも、2人仲よさそうだったわよね」
雷「それにさっき、提督の言いたいことを大井さんが先に言ってたみたいだし…」
電「えっ……もしかして、お2人はそこまでの関係に…!?はわわわわ…///」
響「だとすれば実にハラショーな展開だけどね」
阿武隈「あー…早く遠征終わらせて2人の関係を確かめてみたいな~」
響「そのためには、このドラム缶を何とかしないとね…重い」
―10時半過ぎ、執務室―
提督「……………………」カリカリカリカリ
大井「……………………」ジーッ
提督「……………………」カリカリカリカリ
大井「……………………」ジーッ
提督「…………あの」
大井「はい?」
提督「あまりこちらをジッと見られると、少々むず痒いと言いますか」
大井「あら、ごめんなさいね」
提督「なぜ、こちらをジッと見ていたんですか?」
大井「いえ、普段の提督の仕事してる姿って、あんまり見たことありませんでしたから…」
提督「確かに私も、貴女が1人でいる姿を見た事はあまり…というかほとんど見たことがありませんでしたね。ほとんど北上さんと一緒にいますから」
大井「当たり前ですよ!私と北上さんは、2人で1つ、一心同体!二人三脚!簡単には切り離せない絆で結ばれているんですから!」
提督「そうですか」スルー
大井「あ、でも北上さんが嫌がるような事は流石にしませんよ?」
提督「そこで節度を持ってもらわないと困ります」
大井「でも、なんだか新鮮ですね」
提督「何がですか?」
大井「普段は見た事のない人の普段の姿を見る事ができるっていうのは」
提督「まあ、そうですね……って、ところで大井さんはなぜずっとここに?秘書艦ではないでしょう?」
大井「私は今日は休日で特に予定もなかったから……ダメかしら?」
提督「いえ、それは別に構いませんが……」
大井「……って、そう言えば今日の秘書艦は?まだ見てないけど…」
提督「ああ、実は今日秘書艦のはずだった飛龍さんが、風邪で寝込んでしまいまして。かといって、他の休みの方や予定の入っている方に任せるのもまた、迷惑かと思いまして、今日は秘書艦無しで過ごそうかと」
大井「………先に言っておきますけど、私が代わりに秘書艦になろうとは思いませんよ?」
提督「貴女は本当に意地の悪い性格をしている…」
大井「ですが、仕事は少しなら手伝ってあげますよ。この書類、ファイリングすればいいんですか?」
提督「おや、よろしいんですか?せっかくの休日を」
大井「私も特に予定はありませんでしたから、暇つぶしにはなるかと」
提督「では、少しで構いませんのでお願いします」
大井「了解です」
―12時過ぎ、執務室―
提督「おや、気づいたらもう12時過ぎですね。休憩にしましょうか」
大井「ええ、そうです…ねっ」ノビー
提督「結局、きっちり手伝ってくれましたね。必要のない書類確認にまで付き合ってくれるとは」
大井「あくまで暇つぶしですよ」
提督「さて、昼食にしたいところですが、間もなく阿武隈さんの艦隊が北方鼠輸送作戦から帰ってきますし、大井さんは先に昼食をどうぞ」
大井「いえ、せっかくですし私も出迎えます」
提督「…別に付き合う義務は無いんですよ?」
大井「私がしたいだけですよ」
―数分後―
阿武隈「えーっと…北方鼠輸送作戦、無事終了いたしましたぁ…」
提督「お疲れ様です」
大井「お疲れ様ね」
阿武隈「それで、資源の輸送は無事成功し……燃料を320、弾薬を270持ち帰りまして…さらに家具箱を1つ発見しました」
提督「ありがとうございます。それでは、阿武隈さんと駆逐艦の皆さんは補給を済ませたらそののち休憩を取ってらって構いません」
阿武隈「わ、分かりました…それで、1つ質問がありまして…」
提督「何か?」
阿武隈「えっと…大井さんは私達が遠征に出発する時も一緒に居ましたけど、今日って大井さんが秘書艦でしたっけ?」
大井「いいえ、違うわよ」ニコッ
阿武隈「じゃあ、どうして…」
大井「そうね……気まぐれ、かしら」チラッ
暁型「!!」
―廊下―
阿武隈「どういう事かしら…大井さんのあのセリフ…」
暁「き、気まぐれって事だし、本当に気まぐれなんじゃないのかな…」
雷「で、でも世には『女心と秋の空』ってことわざがあって…」
[女心と秋の空]
変わりやすい秋の空模様のように、女性の気持ちは移り気だという事。
電「そ、それって大井さんが司令官さんのことを好きになるっていう可能性も……!?」
響「0ではないね」
青葉「おっ、なんだか美味しいネタの予感!」ピクッ
―12時半過ぎ、食堂―
提督「失礼します、間宮さん」
大井「間宮さん、こんにちは」
間宮「あら、提督に…大井さん?また珍しい組み合わせね」
提督「よく言われます」
大井「そうね」
間宮「それで、提督は何になさいますか?」
提督「A定食で」
間宮「大井さんは?」
大井「あ、私も提督と一緒で」
ざわっ!?
提督&大井「?」クルッ
ざわ……ざわざわ……
摩耶「あの大井が……提督と一緒、だと…?」
鳥海「あり得ない…あり得ないわ…こんな事…」
比叡「ひえーっ…今日は世界の終わりでしょうか」
金剛「馬鹿な……大井…寝返ったカ…ッ!」
ざわ…ざわ…ざわ…
提督「なんだこのカイジばりのざわざわ感」
大井「さあ?」
間宮「あ、あはは~2人ともA定食ね~。ちょっと待ってて~」
間宮「…伊良湖ちゃん、お赤飯今すぐできる?」
伊良湖「えっ、何でですか」
―数分後―
間宮「お待たせしました~」ガチャリ
提督「どうも」
大井「ありがとうございます」
提督「では、どこに座りましょうか」
大井「では、あちらへ」
ガタッ
提督「では、いただきます」
大井「いただきます」
全員(向かい合わせに座る……だと…ッ!?あの大井が………ッ!!?)
―13時過ぎ、執務室―
提督「なんだか、妙に視線を感じましたね…」
大井「ええ…いったい何だったのかしら……ふわぁ」
提督「……眠いんでしたら、眠っても構いませんけど?」
大井「いえ、別に眠くは……ふわぁ…」
提督「…食事を摂った後で暖かい陽光……間違いなく眠くなりますね。私は眠くはありませんが…。よろしければ、そちらのソファをお使いになりますか?」
大井「……ご厚意に甘えさせていただきますが、寝込みを襲ったらタダじゃ済ましませんからね」ポスッ
提督「そこまで私は節操無しではありません」
大井「……………………………」
提督「……………」チラッ
大井「…………すぅ……すぅ……」
提督「ふむ……意地を張っていますが、やはり年頃の女の子、という事ですか」カリカリカリカリ
―15時過ぎ―
提督「…………む…」カクッ
提督(少し、眠くなってしまいましたか……。思えば、昨日はほぼ徹夜同然の仕事をしてましたからね…それに、今日は普段より少々暖かい……。これは、眠くなってしまうというものですね…)
提督(ですが、勤務中に寝るなど提督としていかがなものか)クワッ
大井「…………むにゃ……」
提督「?」チラッ
大井「……無理は……いけませにょ…」
提督「……………………………………………………………………………………」
提督「……………………仕事もひと段落したところですし、30分だけ仮眠をとりましょう」
提督「…………ソファで横になるだけでも、疲れはとれるはずですし」ゴロン
―17時半、執務室―
ガチャ
北上「おーい、提督~。艦隊が帰ってきましたよ~」
北上「ありゃ?」
提督「……………す…………………す………………」
大井「すぅ………すぅ………すぅ……………………」
↑なぜか2人が添い寝してる
北上「ありゃ、どうやらお2人はお忙しいようですんで、またにしよう」
鬼怒「えー?」
―18時半過ぎ―
提督「何で貴女が隣で寝てるんですか」
大井「そっちこそ」
提督「私は最初、貴女とは反対側のソファで仮眠をとっていたんですけど、なぜ貴女が私と同じソファで寝てるんですか」
大井「先に聞かせてもらいますけど、提督は執務時間中に寝ていらしたんで?」
提督「…それに関してはすみません。昨夜は徹夜で仕事を片付けていました上に、今日は少し暖かかったので、仕事がひと段落着いたタイミングで、仮眠程度に眠ろうと思っていたんですが…。少し眠り過ぎてしまったようです」
大井「……そう、ですか。まあ…この件については忘れてしまいましょう」
提督「そうですね。では…夕食の時間まで後少しありますから、残りの仕事を片付けてしまいましょう」
大井「そうですね」
―19時過ぎ―
提督「ふぅ……貴女が手伝ってくれたおかげで、何とか仕事が片付きました。ありがとうございます」
大井「いえ、私も提督の新鮮な姿を見る事ができて、結構面白かったですし」
提督「今度、間宮さんのスイーツでも奢ってあげましょう」
大井「期待していますね」
提督「では、食事へ行きましょうか」
大井「はい」ニコッ
―数分後、掲示板前―
[スクープ!!昼下がりの執務室で淫らな事が……?添い寝する提督と大井]
[2人が添い寝してる写真]
提督&大井「」
ざわ……ざわ……
司令長官「あー…うん、こういうのは…その…駆逐艦の子たちへの教育面の影響も考えて、夜にやってくれるかなぁ…と」
北上「おー…大井っちってやっぱり何だかんだ言って提督のこと好きだったんだねー。いやー、北上さんびっくりだよー」
阿武隈「やっぱりお2人って……ふぇぇぇ…///」
提督&大井「」グルッ
青葉「ピュル~♪」
提督「私が、このようなゴシップ記事を見過ごすような甘い性格だと思いますか?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
大井「私が、こんな事実無根な記事を見過ごすような優しい性格だと思いますか?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
青葉「お2人ってその辺が結構お似合いですよね三十六計逃げるに如かず~~!!」ダッ
提督&大井「アオバワルェェェェェェェェェェェェェ!!!」ダダッ
【終わり】
【おまけ】
※どうして2人は添い寝していたのか。
―16時過ぎ、執務室―
青葉「青葉の突撃取材~ッ!」バーン
青葉「って、あれ?」
提督「……………す…………………す………………」
大井「すぅ………すぅ………すぅ……………………」
青葉「なんだ、お2人ともお休みでしたか。それにしても添い寝しないとは、色気の‶い‶の字もない…」
青葉「……起きませんねぇ…」
青葉「………本来なら、普段は真面目な司令官が、珍しく執務中に居眠りしているというのもスクープなんですが……阿武隈さんのつぶやいていた『提督と…
大井さんが…』の意味もまた美味しそうですし」
青葉「よいしょっと………」ガシッ
大井「んぅ………すぅ………」
青葉「よく眠っていらっしゃいますね……それにしても、やっぱり艤装つけてないと……やっぱり人一人を抱えるのは難しい…です」ムムム
青葉「こうやって提督の横に寝かせてと…」ポスッ
提督「………すぅ………………す……………」
大井「んん………………………………………」ギュッ
青葉「おおっと、大井さんが司令官に抱き付いた!これは絶好のシャッターチャンス!!」パシャッ
青葉「ぐふふ……これで既成事実成立…っと♪」
【結論:青葉のせい】
―17時過ぎ、執務室―
提督「では、貴女たち当直組は、今から休んでもらって構いません。時刻フタサンマルマル(23時00分)に、再度ここへ集合するように」
隼鷹「りょうかーい」
提督「集合時刻までの間は、仮眠をとっていただいても、食事を摂っていただいても構いません」
那智「分かっているとも」
提督「なお、本日の当直長は神通さん、お願いします」
神通「分かりました」
提督「では皆さん、よろしくお願いいたします」
隼鷹&那智&神通「はい!」
【夜遊び神通】
―19時過ぎ、食堂―
川内「そっか。神通は今日当直だったっけ」パクパク
神通「ええ、那智さんと隼鷹さんと一緒に」モグモグ
那珂「うーん…厳しそうな那智さんと、大雑把な隼鷹さんか~。神通ちゃんには負担のかかりそうな2人だね~」
川内「いやいや、神通も結構厳しいからね。特に訓練が」
神通「そこまで厳しいものでしょうか…」
川内「…それよりも、那智さんと隼鷹さんって、お酒好きじゃん?」
神通「あっ」
那珂「あ~……もしかしたら、酒盛りとかしちゃうかも…」
神通「どうしましょう…」
提督「2人が酒盛りをする、それが狙いですよ」
川内「あっ、提督」
神通「て、提督!?」ビクゥ
那珂「狙いって?」
提督「あの2人が今回の当直で酒など嗜もうものなら、勤務中に酒を飲んだ罰と言う名分で、当面の間この鎮守府に禁酒令が敷けます。絡み酒のせいで、結構ひどい目に遭っている艦娘の方も多いですし。少しは頭を冷やせというわけです」
川内「うわー…提督ってば相変わらず黒い…」
提督「飲まなければいい話ですよ」
神通「うーん…大丈夫でしょうか……」
―23時、執務室―
提督「流石に飲んでは来ませんでしたか」
隼鷹「失礼だな~。あたしでもそこまでガバガバ飲んだりはしないって」
那智「右に同じだな」
神通「こほん。ええと、神通、隼鷹、那智。以上当直組、準備が整いました」
提督「はい。では、現時刻から明朝6時まで、鎮守府内の警備をお願いいたします」
神通「はい!」
―数分後、当直室―
隼鷹「さーってと、セオリー通りに行けば時間ごとにローテーションで鎮守府の見回りだな」
那智「うむ。1人あたり大体2時間ぐらいの計算だな」
神通「順番はどうしましょうか。やはり、私が当直長ですから、私が一番最初に…」
隼鷹「いや、悪いがアタシは最後の方にさせてくれないか?」
那智「む?」
神通「なぜですか?」
隼鷹「いやぁ、3人目って見回りの時間が大体4時から6時だろ?そのころには空も白み始めてくるからさ。あたしら空母は夜戦に慣れていないせいもあって、真夜中の真っ暗な鎮守府の中じゃ目が利かないんだよ」
那智「……なるほど、確かにな」
神通「そういう事でしたら…仕方ありませんね」
隼鷹(っし!これで後回しにできた!)
那智「そうなると私と神通、どちらが1番目か2番目か…と言うわけか」
神通「そうですね。ここは、那智さんが先に選んで構いませんよ」
那智「では、私は1番目に巡視をさせてもらおう。イヤな事は先にやっておきたい主義でね」
神通「あはは…では、私が2番目ですね。それで、巡回の時間は2時から4時…」
隼鷹「アタシが4時から6時だね」
那智「では、2人は自分の巡回時間が来るまで寝ていて構わんぞ」
神通「へっ、いいんですか?私、当直長なのに…」
那智「構わんよ。当直長と言えど、私の後輩であることに変わりはないさ」
神通(着任したのは私が先のはずなんだけどなぁ…)
隼鷹「っしゃー!今からなら大体4時間寝れるぜ!」
神通(あっ、それが狙いでしたか)
那智「寝るんなら、仮眠室を使えよ」
神通「了解です。ありがとうございます」
隼鷹「おおーう、さすがは飲み仲間!分かってる~」
―2時前―
神通「ふわぁあ………」
神通(仮眠も…中途半端にとると逆に眠気が増してしまいますね………)
神通(けれど、私は今日の当直長。こんな弱いところを見せてはなりません!)
那智「戻ったぞ」ガチャ
神通「お疲れ様です。それで、いかがでしたか?」
那智「軽巡寮で、川内が騒いでいたので手刀で気絶させた。それ以外については特に問題が無かったな」
神通(川内姉さん……ナムサン)
神通「では、行ってまいります!那智さんはゆっくり休んでいてくださいね」
那智「ああ、ありがたい。では、頑張ってくれ」
神通「はい!」
―数分後、食堂―
シーン
神通「…………」カツ、コツ
神通(普段は、皆が談笑しながら食事をしている場所……でも今は、物音ひとつ聞こえない)
神通(不思議だなぁ……)
神通(普段なら匂ってくる食事の匂いも、今はかすかに感じる程度……)
ぐぅ~
神通(……………………////)
神通(ば、場所を移そう……)
―数分後、駆逐艦寮・廊下―
シーン
神通「…………」カツ、コツ
神通(この時間なら流石に、起きてる子もいないか……)
神通(普段は駆逐艦の子たちがわいわいはしゃぎながら駆け回ってる廊下も…この時間は誰もいないし、月明かりが優しく照らしてるだけ…)
『……し………ません……………けには……せ………』
神通「?」
神通(誰の声かしら………)
『雪風は……沈みません……!沈むわけには……いきません!』←寝言
神通「」
神通(初風ちゃん、別の部屋にしてあげた方がいいわね)
―数十分後、軽巡洋艦寮―
カツコツ
神通(……私が普段暮らしてる寮も、昼間とは全然雰囲気が違う―)
ガタッ
神通「曲者!!」シャキーン
川内「あ、神通。やっほ」
神通「……川内姉さん!?姉さんがなぜここに……まさか、自力で復活を……!?」
川内「ふっ。あの程度の手刀で、私がやられる?とんだロマンチストね!」
神通「くっ……」
川内「神通!私と夜戦を―」
神通「(無言の手刀)」ビシュッ
トン
川内「うっ」
ドサッ
神通(はいはい曳航曳航~)ズルズル
川内「」
―数十分後、工廠付近―
コツ、コツ
神通(川内姉さん、自分でやっておいてなんだけど、一晩に二回も首に手刀食らって大丈夫かしら…)
神通(はぁ……川内姉さん、夜戦夜戦って騒いでいなければ美人なのに……)
神通(そしたら………提督も川内姉さんに気を取られて………って、私は一体何を!)ブンブン
工廠妖精(…神通さん、何してるんだろ……)
―3時半過ぎ、本館―
神通(日中なら、皆が書類を抱えて忙しく走り回っていたり、司令長官が提督からどつきまわされているけど…今そんな雰囲気が嘘のようにひっそり……)
神通(やっぱり、夜は昼とはまた違った味わい深い雰囲気がありますね……)
神通(そして……私はこの、夜の静かな雰囲気の鎮守府が好き……)
神通(さてと……結構いい具合の時間になりましたね……)
神通(………………)
―数分後、提督の私室前―
神通「つい……立ち寄ってしまった………」
神通(べっ、別に提督の寝顔が見たくて来たわけじゃないんだからねっ。たまたま当直室まで戻る道程に提督の部屋があっただけなんだからっ)
神通(………………はぁ。軽く自己嫌悪……)
神通(………でも、ちょっとのぞくくらいなら……いいですよね…)
カチャ
神通(失礼しま―)
ヒュンヒュン←刀を振り舞わす音
神通「!?」
提督「何奴!!!」
神通「わっ、私です!神通ですっ!!」
提督「なんだ…神通さんでしたか。失礼いたしました」
神通「いえ、私もこんな時間に提督の部屋を開けるなんて無礼な事をしてしまって…」
提督「…どうして私の部屋に?何かトラブルでも起きましたか?」
神通「いえ……興味本位と言うか…。それにしても、よく私の気配が分かりましたね……」
提督「実は、先ほどまでここで残りの仕事を片付けていまして、やっと片付いたので眠ろうとしていたんです」
神通「もう……提督は最近頑張り過ぎです。頑張り過ぎて倒れてしまったらどうするんですか」
提督「…努力はしているのですが、どうしても仕事が片付かなくて…」
神通「提督が倒れてしまったら私………」
提督「……神通さん?」
神通「なっ、何でもありません!で、では巡回に戻ります!おやすみなさいっ!!」ダダダッ
提督「あっ」
―4時、当直室―
隼鷹「おー、神通。時間きっかりだね」
神通「ど、どうも……異常は特にありませんでした…」
隼鷹「……その割には顔が真っ赤だけど」
神通「こっ、これは何でもないんです!!では、頑張ってください私は休ませていただきます!!」バタン
隼鷹「あっ、おい!?」
―仮眠室―
神通(よく考えたら夜中にす……好きな人の部屋に入ろうとするなんて……そして、あわよくば夜這いしようとしてたなんて……)
神通(なっ、何て破廉恥な………!!///)バタバタ
那智「んぅ……うるさいぞ……神通ぅ……」
―翌朝8時、食堂―
川内「うう~~~……なんだか首が異様に痛い……なんでだろ……昨夜の記憶が全くないし…」コキコキ
那珂「寝違えたんじゃないの?神通ちゃんはどう思う?」
神通「…………………………………………」ポケー
那珂「へんじがない。ただのしかばねのようだ」
【終わり】
私の名前は、北方棲姫。通称‶ほっぽ‶。
あっ、見た目が子供だからって、侮らないで。計算もできるし、難しい言葉もいっぱい覚えてる。
天上天下、唯我独尊、悪鬼羅刹、爆発四散。
賢いでしょ?
【北方の姫】
―10時過ぎ、北方AL海域・Fマス(北方AL泊地)―
北方棲姫「カエレ!」ビシュシュッ
ズドオオン
比叡「お姉さま譲りの装備がこんなに……」中破
蒼龍「ちっ、北方棲姫ときたら子供のくせに面倒くさい…!」
北方棲姫「見タカ、子供ダカラッテ見クビラナイコトダナ!」
ここは、私が支配してる北方海域。とっても寒い。
私の役目は、北方海域の海路を掌握し、商船や調査船の航行を妨害あるいは破壊する事。それなりに重要な役目を担っている。
だけど皆、『北方棲姫?まだ子供なんでしょ?楽勝楽勝www』とか、そんな事ばっかり言ってきて腹が立つ。だから腹いせに、のこのことやってきた、艦娘共を思いっきり攻撃する。
それに、私のお供はとっても強力。重巡リ級flagshipと、駆逐ロ級後期型。後は…
北方棲姫「たこ焼き?」
護衛要塞「違います!俺の名前は護衛要塞ですっ!ちゃんと覚えてくださいよ~!」
北方棲姫「だって、たこ焼きに見えるんだもん。‶たこ焼き‶ってあだ名もいいでしょ」
護衛要塞「あだ名が食べ物の名前って、不名誉です!」
そうそう、護衛要塞。たこ焼ってあだ名の方が響きがいいから私は‶たこ焼き‶の方が好き。‶護衛要塞‶って、呼びにくいんだもん。
北方棲姫「それに、‶要塞‶って言ってる割には大して固くもないし」ヤレヤレ
護衛要塞「もう我慢ならねぇ!!1、2回突いてやる!!」ムカーッ
重巡リ級flagship「落ち着きなさい!あの子はあれでも深海棲艦上層部の1人よ!」
そうそう。私はこう見えても、深海棲艦でも上位の存在。
深海棲艦には、『姫級・鬼級』と呼ばれている、通常の深海棲艦よりも強い能力を持っている上位個体がいる。私の名前には‶姫‶が含まれているから、私は深海棲艦でもえらい立場にあるんです。えっへん。
―数日前、深海棲艦本拠地・休憩室―
地上世界の鎮守府に大規模作戦が発令されると、私のいる北方AL海域には艦娘はほとんど出撃してこなくなる。だから私は、この時期は本拠地に戻る。
それと…
軽巡ツ級「ほっぽ先輩お疲れ様でーす」ガチャッ
北方棲姫「お疲れ」ビシッ
この人は軽巡ツ級。私と同じ北方AL海域で、私と一緒に北方航路の掌握をしている。この時期は私と同じく本拠地に戻ってくる。
だけど、何でこの人が北方海域のボスなのかがわからない。確かにそこそこ強いけど、艦娘共に何度も撃破されてるし、ほんとに何でだろう。
軽巡ツ級「いやー……私の分身も大規模作戦の特別海域に出張ってまして、もう艦娘共をバカバカ撃沈してますよ~。しかし、地上の提督たちからすれば、私は相当憎まれてるようで…ははは」
あっ、だから北方AL海域のボスなのか。
北方棲姫「私も特別海域でおねーちゃんのお手伝いしたかった……」
軽巡ツ級「そう言えばほっぽ先輩は、大規模作戦に出たのはAL海域の一度だけでしたね。まあ、貴女は見た目は幼いですから…港湾棲姫さんの意向もあり、大規模作戦には出せないんです」
北方棲姫「おねーちゃんが?」
軽巡ツ級「やっぱり、妹の北方棲姫が傷つくのを見るのは、姉としてはいたたまれないんでしょう」
さっきから出てくる‶おねーちゃん‶と言うのは、港湾棲姫の事。カレー洋リランカ島沖で仕事をしてる。けど、大規模作戦にも出撃している。
港湾棲姫「ただいま……」
北方棲姫「おねーちゃん、大丈夫!?」
軽巡ツ級「あ、お疲れ様でーす」
港湾棲姫「あら、ほっぽちゃんにツ級さん…私は大丈夫よ、心配しないで」
軽巡ツ級「港湾さん、今回の作戦でもギミック解除要員でしたっけ?酷ですね~…」
港湾棲姫「そうなのよ……夏の時も同じで……頭が痛いわ…」
おねーちゃんの悩みは、大規模作戦に出撃する事はあっても、ギミック解除の為に攻撃され続ける事みたい。別に海域のボスを任されてるわけでもないから、相当ストレスが溜まってるみたい。
港湾棲姫「忌々しい艦娘共め……私をサンドバックのように扱いおって…」
北方棲姫「大丈夫?」
港湾棲姫「あ、ごめんなさい。大丈夫よ。問題ないわ」
軽巡ツ級「泊地水鬼さんもギミック解除要員でしたっけ?あの人もまた苦痛でしょうね~…」
港湾棲姫「そうね…彼女、『もう、死にたい…』って言ってたし…」
軽巡ツ級「深海棲艦が『死にたい』って、それ相当のレベルなんじゃ…」
大規模作戦中は皆、疲れやストレスが溜まってる。私にできるのは、ただ皆の無事を信じるか、皆の疲れが取れるように肩もみをしたりするくらい…。
私も出撃できたらいいのに……。
空母棲姫「いや~…後輩がヒーコラ言って苦労してるのを見るのって、なんだか爽快だわね~」
戦艦水鬼「そうねぇ。私達、前のイベントで結構頑張ったし、いやー愉快愉快」
何で大人はこう、後輩を無駄に煽るんだろう。
あっ、でもあの人は別。
深海提督「あっ、港湾棲姫さん戻ってたんですか」
港湾棲姫「あ、提督…すみません、報告を忘れてしまいました」
深海提督「いや、報告は疲れが取れてからでいいから、無理はしないでください」
北方棲姫「てーとく!」ダッ
深海提督「おお、ほっぽちゃん。良い子にしてたか?」ナデナデ
北方棲姫「いい子にしてたもよ!」
深海提督「そうかそうか。偉いなぁ」
この人は、私達の提督の深海提督。本名は知らないけど、私達の提督だもん、名前は関係ない。
つい数か月前に本拠地に着任して、私達に的確な指示を出してくれる凄い人。でも、提督は昔、心に大きな傷を負っているって聞いた。そして、自分を見捨てた人間たちに復讐するために深海棲艦を率いる提督になったんだって。
おとーさんとおかーさんが死んじゃって、提督は寂しかったみたい。だから、母性?があるおねーちゃんや泊地水鬼さんに甘えてるところがある。
でも、嫉妬とかはしないよ。大人だから。
北方棲姫「それより提督、遊んで遊んで~」
港湾棲姫「こらこらほっぽ、提督は今忙しいんですから…」
深海提督「そうだな~、ごめんな。今ちょっと忙しくて遊べないんだ」
北方棲姫「うぇ~…」シュン
深海提督「そうだなぁ、あそこのお姉さんたちに遊んでもらったらどうだ?」
空母棲姫「うぇっ、私!?」
戦艦水鬼「私も!?」
深海提督「2人は今作戦で出番が無くて暇だろ?ほっぽちゃんの遊び相手にでもなってやれ」
空母棲姫「……あーい…」
戦艦水鬼「分かりました~」
こんな感じで本拠地はとっても平和。皆も遊びに来てね!
―数か月前、北方AL海域・Fマス―
そう言えば、春にやたら私のいる海域に艦娘共が出撃してきたことがある。
北方棲姫「カエレ!カエレッ!!」
瑞鶴「その菱餅を渡しなさい!にっくき深海棲艦め!」
どうやら艦娘達の目的は、私と軽巡ツ級が輸送船から奪った菱餅とやらみたい。美味しそうだったから取っておいたけど、艦娘はそれを取り戻そうとした。
私は奮戦したけど、奪われることが何度も遭った。
その過程での出来事。
護衛要塞「北方棲姫様、北方増援部隊主力艦隊の軽巡ツ級から電文が届いています」
北方棲姫「読んで」
護衛要塞「はい。えーっと…」
『HELP ME』
護衛要塞「だそうです」
北方棲姫「………………」
この時ばかりは、軽巡ツ級が可哀そうに思えた。
あっ、そろそろ時間だ。私の紹介はこれで終わりです。私の事、もっと知ってくれたら嬉しいな。
北方棲姫「って感じで、私の紹介は終わり!どう?」
港湾棲姫「どう…って言われても…」
深海提督「まあ……子供だから、仕方ないかな」
北方棲姫「子供って言うな!」
【終わり】
825 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/09 22:17:12.47 OVyNJckj0 466/565【キャラクター紹介】
≪北方棲姫≫
深海棲艦の上位個体『姫』級の一種。艦種は不明。白い髪とワンピース、そして幼げな雰囲気が特徴の女の子。北方AL海域を持ち場としていて、北方海域の
海路掌握を主な任務としている。大規模作戦中は本拠地に戻って他の深海棲艦と触れ合っている。子供っぽい見た目に反して戦闘能力はかなり強力。しかし、
見た目のせいで侮られることが多々ある。深海提督になついており、よく一緒に遊んでいる。子供ゆえに純粋で、子ども扱いされることが嫌い。
好きな言葉は『唯我独尊』。
≪護衛要塞≫
北方棲姫のお供の1人。北方棲姫から‶たこ焼き‶と呼ばれているが、本人はそれを嫌っている様子。戦闘では主に北方棲姫のサポートを務めている。
一度、艦娘に捕らえられて食べられそうになったことがあり(港湾棲姫の手で救出されたが)、それがトラウマになっている。覚悟があれば自爆特攻も
辞さないが、明らかに勝てないと察した時は北方棲姫に頼りきりになる。深海棲艦勢の数少ない良心。
≪軽巡ツ級≫
深海棲艦の一種。艦種は軽巡洋艦。大きな手が特徴で、それをバカにされるとそれなりに傷つく。北方AL海域の本当のボスだが、同じ海域に上位個体の、
北方棲姫がいるためボスの立場は現在北方棲姫に移っている。そして今は北方棲姫の戦術的なサポート役に徹している。大規模作戦にも常連で参加しており、
多くの提督からヘイトを集めているという自覚はある。深海棲艦勢の数少ない良心。
―6時過ぎ、食堂―
間宮「さーって、今日も一日頑張らなきゃ!」
伊良湖「はい、頑張りましょう!」
間宮「それで、昨日考えたスイーツを食べてもらおうと思うんだけど…不安だなぁ…」
伊良湖「大丈夫ですって!間宮さんが作ったスイーツなら何でも美味しいですよ!」
間宮「伊良湖ちゃん…ありがと」
【自分の店】
―15時過ぎ、食堂―
間宮「はい、新作のスイーツ、抹茶のケーキです」コトッ
蒼龍「わっ、美味しそう~!」
飛龍「絶対美味しいって、これ!」
間宮「ふふ、ありがと。でも、ちゃんと食べてみてね」
蒼龍「分かっていますって。じゃ、いただきまーす」パクッ
飛龍「んむっ」パクッ
蒼龍&飛龍「……………」モグモグ
間宮「……どうかしら?」
蒼龍「んっ、やっぱり美味しい!」
飛龍「ホント、抹茶の風味がまた凄いイイ!」
間宮「ホント?良かった~…もし不味いって言われたらどうしようかと…」
蒼龍「そんなことないって、間宮さんの作るスイーツ、いや料理は世界一美味しいよ!」
飛龍「そうそう、自信もっていいんだよ?」
間宮「飛龍ちゃん…蒼龍ちゃん…ありがとう」
蒼龍「ただ…一つだけ言わせてもらうとすれば…」チラッ
間宮「へ?」
飛龍「あー…あれね」チラッ
―食堂の外―
天龍「待てコラ!まだ戦えるって言ってんだろ!?」大破
提督「だめです。大破で出撃させるのは禁止されていますし、見るからにボロボロじゃないですか」
天龍「こんの冷血提督が!俺を死ぬまで戦わせやがれ!」
提督「龍田さん。天龍さんを入渠ドックへ放り込むのを手伝ってくれたら、一日天龍さんを好きにしていい権利を与えます」
龍田「あら~。そういう事なら喜んで~」
天龍「や、やめろ!やめてえええ!!」
蒼龍「せっかくスイーツでまったりしたい気分だっていうのに、あんな喧騒が聞こえたら…」
飛龍「あー、確かにそうだね~。もっと静かな場所でスイーツを食べたいのにな~…」
間宮「……それは、そうね。確かに……」
―17時過ぎ、執務室―
間宮「と言うわけで、私の店を持ちたいと思うんです」
提督「…そう言った理由でしたら、天龍さんを部屋に軟禁すれば解決するんですが…」
間宮「さらっと恐ろしいことを言わないでください!…それに、原因は天龍ちゃんだけじゃなくって……」
―数時間前、食堂―
加賀「はむっ」
間宮「どうかしら……新作の抹茶ケーキ」
加賀「……そうですね、私的にはとても美味しいと思います」
間宮「ほ、ホント!?嬉しい~」
加賀「この食感は『戦場が!勝利が私を呼んでいるわ!!』『ひゃっはー!久々の出番だぜー!!』『やったるで~!!』ですね」
間宮「あ、えっと……」
加賀「さらにこの抹茶はもしかし『おっし、ガキども!抜錨だ!!』『あたしが一番に資材を取ってくるんだから!』『目いっぱい頑張っちゃいます!!』チョイスです」
間宮「あ…うん、ありがとう」
間宮「もう加賀ちゃんの言ってることが半分も理解できなくて、ただ‶ありがとう‶としか言えませんでした…」
提督「まあ、食堂の面してる廊下は、中庭に通じる広い廊下ですからねぇ」
間宮「皆さん、よく言うんです。『もっと静かな場所でスイーツを食べたい』って」
提督「まあそうですね。居酒屋でもないんですし」
提督「元々、鳳翔さんからも『自分の店が欲しい』と要望を受けていたんです。ただ当初は、予算が少々きついという面もあって保留にしていたんですが」
間宮「あっ…じゃあ、鳳翔さんの店が先に…?」
提督「いえ、この際ですし2人の要望を受け入れる事にしましょう。予算にも余裕は結構ありますし、総司令部の敷地は結構余ってます。というかそもそも、既に鳳翔さんと間宮さん専用の店を敷地内に持っている鎮守府がかなりの数ありますし、私達も乗っからせてもらいましょう。これで文句が来るのなら、『皆さんの鎮守府の店もたたみなさい』と言えばいいだけの話です」
間宮「えっ、既に持っている鎮守府もあるんですか?」
提督「はい。まあ、光熱費等で予算は削られてしまいますけどね」
間宮「とっ、とにかく、私達の店を持つ事ができるって事ですか!?」
提督「ええ」
間宮「やったぁ~!!伊良湖ちゃんにも知らせよっと!」ジャーンプ
提督(この人、テンションが上がると子供みたいになるな。祥鳳さんと同じタイプでしょうか)
―翌日10時過ぎ、執務室―
提督「で、まずはお店をどこに置くかですけど」
間宮「私はそうですね……寮と本館の間あたりにあればいいなぁ、と」
鳳翔「そうですね、私も同意見です。寮から行くのでも、本館から行くのでも、さほど距離が無い方が皆さん気軽に来やすくなりますからね」
提督「おや、もしかしてお2人の店は、御隣同士にした方がよろしいんですか?」
間宮「そうですね。何かあった時は助けに行く事ができますし」
鳳翔「敷地も節約した方がいいですよね?」
提督「まあ、そう言えばそうなんですけど…」
間宮「なら、大丈夫ですよね?」
提督「……分かりました。では、続いて間取りと面積ですが…」
―1時間後―
提督「では、鳳翔さんのお店は一階建て、間宮さんのお店は二階建てで1階は店舗、2階は間宮さんと伊良湖さんの部屋、という事でいいですね?」
間宮「はい、大丈夫です!」
提督「鳳翔さんは、2階建てで部屋を置かなくていいんですか?」
鳳翔「はい、龍驤ちゃんが寂しがってしまうでしょうし、寮の喧騒を聞くのもまた楽しいものですから」
提督「分かりました」
間宮「そう言えば……工事はどうするんですか?」
提督「主に海軍直属の工事業者さんと、明石さんと妖精さんにやってもらいます」
間宮「明石ちゃん…大丈夫かしら…」
提督「大丈夫でしょう」
―14時過ぎ、工廠―
明石「また無茶ぶりを…」
提督「どうか、お願いいたします」
間宮「私からもお願いッ!」
明石「…提督、給料弾んでくださいね」
提督「もちろんです」
明石「間宮さん、お店ができたら一番にスイーツを食べさせてくださいね」
間宮「当たり前じゃないですか!とびっきり美味しいスイーツを準備します!」
明石「よーっし、そういう事ならおねーさん頑張っちゃうぞ~!」
―15時過ぎ、食堂―
間宮「は~、良かった~…。私だけのお店がついに持てるなんて~…」
提督「承認した私が言うのもなんですが、良かったですね」
間宮「もう、提督には感謝しきれないくらい感謝してます、ありがとうございます!」
提督「…そんなに自分の店が持ちたかったんですか。その熱意は、鳳翔さん以上ですね」
間宮「……私、戦争が終わった後で、スイーツ屋をを持ちたいと思っていたんです」
提督(そこは鳳翔さんと同じですか)
間宮「それで、私のスイーツを食べた後、皆は笑顔で私に笑顔で『ありがとう』って言ってくれるんです。それで、それが嬉しくって……。だけど、鎮守府に艦娘の子たちが増えて、にぎやかになってくると、スイーツを食べる皆は『もっと静かに食べたい』と言ってきて…」
提督「その話は、聞きましたね」
間宮「はい…。それで私のお店を開いて、『スイーツを静かに食べたい』という皆の希望を受け入れて実行する事もまた、私の『スイーツ屋になりたい』、と言う夢を叶える一歩だと、そう考えています」
提督「…………………」
間宮「そして、鎮守府の中だけですけど自分の夢を半分叶える事ができました。だから提督、ありがとうございます」ペコリ
提督「……貴女の夢を叶える手助けをできたのでしたら、私も嬉しいです」
―数日後―
間宮「まさか、たった数日でできちゃうなんて…」
鳳翔「やはり、明石さんと妖精さんの力は凄いですね…」
明石「あはは…それほどでもありませんよ……」ゼェハァ
妖精さん「私たち頑張ったよー!だからスイーツ頂戴!」
間宮「はいはい、ふふっ。皆にアイスを振る舞ってあげるからね♪」
妖精さん「わーい!」
―店内―
提督「店の名前は『甘味処・間宮』……ストレートですね」
司令長官「鳳翔さんの店も『居酒屋・鳳翔』だったよ。ひねった名前にすると、誰の店だかわからなくなるからじゃないかな?」
提督「居酒屋と甘味処を間違えるような人はいないと思いますが」
間宮「はい、お待たせしました。抹茶パフェ(司令長官)、水ようかん(提督)、アイス最中(明石)、バニラアイス(妖精さん)で~す」
皆「おお~」
司令長官「それじゃ、いただきます」パクッ
提督「いただきます」パクッ
明石「いただきまーっす!」パクッ
妖精さん「いただきます!」ペロッ
間宮「お味の方は如何ですか?」
司令長官「うん、美味しいねぇ」
提督「ええ、確かに」
明石「あ~…疲れた心が高揚して~…」
妖精さん「とってもおいしい!ありがとう!」
間宮「ふふっ、どういたしまして」
―数日後15時過ぎ、≪甘味処・間宮≫―
提督「で、進捗はどうですか?」
間宮「訪れてくる方も増えてきて、嬉しい限りです。ただ……」
提督「ただ?」
『島風、私のアイス食べたでしょ!!』
『濡れ衣です~』
『口元にバニラが付いてるよ』
『最中んまーい!!』
『ケーキ……早くケーキを……』
間宮「店内が少し騒々しくなってしまって」
提督「台無しじゃねぇか」
【終わり】
839 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/10 22:14:50.61 X4csTYtA0 474/565【鎮守府施設案内】
≪食堂≫
食堂自体は24時間オープン状態。しかし、実際に食事を提供するのは、朝:8時00分~9時00分、昼:12時00分~13時00分、夜:19時00分~20時00分の3段階。
食事を作っているのは間宮、伊良湖、鳳翔と、その日の食事当番。メニューはA定食、B定食、C定食の三種類。A定食は食事当番艦娘の得意料理、C定食は
おにぎり三種+味噌汁+お新香。食堂の食事を利用しない艦娘は大体自炊している。
≪甘味処・間宮≫
敷地内にある間宮のお店。スイーツ専門店。営業時間は9時30分~11時30分と13時30分~18時00分(ラストオーダーは17時45分)。スイーツを作っているのは、
間宮と伊良湖。洋菓子、和菓子、ドリンクなんでもござれ。一番人気のメニューは、間宮と伊良湖の2人で作るアイス最中。新作メニューを提供する際は、
最初は半額で提供してくれる。戦艦、空母の艦娘にも人気がある。
≪居酒屋・鳳翔≫
敷地内にある鳳翔のお店。その名の通り居酒屋。営業時間は20時30分~23時00分(ラストオーダーは22時45分)。鳳翔が経営しているが、たまに大鳳、瑞鳳、
速吸、間宮が手伝う。これと言った人気のメニューは無いが、美味しいお酒と家庭的な味のおつまみ、さらに鳳翔さんが優しく話を聞いてくれているのが人気。
お酒が飲めない駆逐艦、潜水艦、軽巡洋艦の艦娘も来店する事が可能。
―13時過ぎ、廊下―
秋津洲「へー、そうなんだ~」
あきつ丸「はい、そうなのであります」
吹雪「おーい!あきつ丸ちゃーん!」
あきつ丸「はっ、自分でありますか?」
吹雪「あっ、間違えた。秋津洲ちゃーん」
秋津洲「もうっ、名前が似てるからって、‶あきつ丸‶と‶秋津洲(あきつしま)‶を間違えないでほしいかも!」
吹雪「ゴメンゴメン…ついうっかり……」
秋津洲「もう…何回目なのかもわからないかも…」
【覚えにくい名前】
―19時過ぎ、食堂―
『えーっと、何て名前だっけ?』
『もう…おばあちゃんったら…私の名前は多恵よ』
『ああ、そうだったわ。つい忘れちゃって…』
『このように、親しかった人の名前を級に忘れてしまうというのは、自他ともに認識がしにくいですが認知症の恐れがあり…』
提督「認知症は、怖いものですねぇ…」
司令長官「そうだねぇ。儂も、そろそろ気を付けた方がいいかなぁ…」
提督「いえ、司令長官はまだそんな歳と頭じゃないでしょう」
司令長官「頭は余計だよ、頭は」
ガタガタガタガタガタガタ……
提督&司令長官「?」クルッ
秋津洲「そうだったんだ……そうだったんだぁ……」ガタガタガタガタ
司令長官「おや、秋津洲君。どうしたんだい、そんな震えて」
提督「秋津洲さん?具合でも悪いんですか?」
秋津洲「う、うわああああああああああああああああああああああん!!」ブワッ
司令長官&提督「!?」
秋津洲「よかったあああああ、よかったかもおおおおお…」
司令長官「どっ、どうしたんだそんな急に号泣しちゃって!」
提督「とりあえずあやしましょう。隣の二式大艇が秋津洲さんの変貌っぷりに戦いてますから」
二式大艇「(;゜Д゜)」ガタガタガタ
―数分後―
秋津洲「はー。暖かいお茶飲んだらほっとしたかも…」
提督「それで、私達を見るなり急に何で泣くんですか?」※語尾に‶かも‶をつけるのを止めさせるのは諦めた。
秋津洲「それがね……最近あたしの名前をちゃんと呼んでくれる人がいなくって……」
司令長官「へ?」
秋津洲「だってみんないつも、あたしのことを‶あきつ丸ちゃん‶って間違えたり、‶二式大艇の飼い主‶とか呼んだり…」
提督「最初のはまだ分かりますが、後の奴はもはや二式大艇の方が本体じゃないですか」
二式大艇「(*´∀`)」
秋津洲「何で嬉しそうなのっ!で、まあ……さっきのテレビを見て、分かったの。みんな、認知症になっちゃったのかもって!」
提督&司令長官「なんでそうなる」
秋津洲「だって…皆あたしの名前を忘れたり呼び間違えたり…絶対認知症になっちゃったとしか思えないかも!」
提督「皆さんまだそんな年齢じゃないでしょう。司令長官じゃあるまいし」
司令長官「君ねぇ、まだ儂はそんな歳じゃないって言ったばっかりじゃない」
秋津洲「それで、皆が認知症であたしの名前を忘れて行ってる中で、提督と司令長官があたしの名前をちゃんと呼んでくれたから、それが嬉しくて……つい泣いちゃって…」
提督「皆さんが認知症になっている過程で話を進めないでください。貴女はどこまで皆さんを認知症にしたいんですか」
司令長官「うーん…認知症どうこうはともかく…というか違うし。名前を覚えてもらえないっていうのは、悲しいもんだねぇ」
秋津洲「そうかもっ。秋津洲の名前、別に覚えにくくないよね?」
提督「まあ、うちには似たような前のあきつ丸さんが先に着任していますし……。覚えにくい名前でもないのに覚えてもらえないというのも問題です」
司令長官「儂の本名は‶軍乃 盾間‶だから、覚えにくくはないと思うけど…」
提督「司令長官はまだいい方です。私なんて…」
―中学時代―
クラスメイト『おーい!』
斑『はい?』クルッ
クラスメイト『えーっと……‶だまら‶?』
斑『』
提督「ゴジ○の派生形か?と一瞬ツッコみたくなった様な呼び方ですよ」
秋津洲「あー…そんな名前のゲームキャラクターいたような気がするかも…」
提督「そもそも、秋津洲さんの名前は、日本の初代天皇の神武天皇の発言に由来する異称ですし、歴史的にも素晴らしいものだと思います」
秋津洲「えへへ……それって、あたしは歴史的価値の高い艦娘って事かも?」
提督「そこまで言ってません」
司令長官「まあ確かに、秋津洲って名前は伊邪那岐と伊邪那美の国生み神話にも出てくるし、あながち間違っちゃいないと思うよ?」
提督「そこまで歴史的な名前なのに、なぜ覚えられないのか?」
秋津洲「なんでなんだろ…」
司令長官「確かにねぇ…うーん…」
提督「その答えは明確です」
司令長官&秋津洲「へ?」
提督「それは………」スッ
二式大艇「(´・ω・`)?」
提督「秋津洲さんが四六時中一緒に連れているその二式大艇ですよ」
秋津洲「へっ!?二式大艇ちゃんのせい!?どうして!?」
提督「貴女、寮の自分の部屋にも二式大艇を持ち込んでるでしょう?さらに聞くところによれば、風呂にも一緒に連れて行っているでしょう。そして今も、食事中にまで連れ出してくる始末」
司令長官「あー…そう言えば、儂の記憶している限り、秋津洲君はいつも二式大艇ちゃんと一緒にいるねぇ……」
秋津洲「だって、あたしと二式大艇ちゃんは一心同体!離れる事なんてできないかも!」
二式大艇「(;Д;)」
提督「それでいつも一緒に二式大艇と一緒にいるせいで、インパクトが強い二式大艇の方が印象に残ってしまい、秋津洲さんはもはやオマケのような存在に成り下がってしまっているんですよ」
秋津洲「あ、あたしがオマケ!?」
二式大艇「Σ(゜Д゜;)」
提督「どうでもいいですけど二式大艇って表情豊かですよね」
秋津洲「そうなの!二式大艇ちゃんは泣くのも笑うのも可愛いんだよ!」ニコッ
司令長官「……本体は可愛いのに、二式大艇のせいで損しちゃってるんだよねぇ」
秋津洲「そんなあ~…」
提督「対策はただ一つです。二式大艇と一緒にいる時間を減らしなさい」
秋津洲「そっか…そうするしかないよね…」
提督「はい」
秋津洲「だが断る!かもっ!」
提督「断る余地があると思っているんですか。大体、装備を寝る時も風呂に入る時も持っているなんて、出撃以外で装備の持ち出しが認められないここでは、完全に規定違反なんですけど。これまではなし崩し的に認めていましたが、今回の件で見直そうと思います」
秋津洲「や、やめて!二式大艇ちゃんは私の相棒なの!私の半身のような存在なの!」
二式大艇「(゜∀゜;)」
秋津洲「お願いッ!やめて~~~~っ!!」
提督「…………………………………………」
秋津洲「うぅっ…ぐすん」
提督「……分かりました。不問にしましょう」
秋津洲「いぇぃ!」
司令長官(黎明君もどこか甘いんだよなぁ~…)
提督「しかし、別の方法で名前を知ってもらうためには……」ウーン
≪作戦1:名札を付ける≫
―翌日10時過ぎ、廊下―
秋津洲「……………」テクテクテク
吹雪「おーい、秋津洲ちゃーん」
秋津洲「な、何~?」
吹雪「午後の演習で1人足りなくって、一緒に参加してくれない?」
秋津洲「い、いいよ。うん」
―数時間後、演習場―
吹雪「秋津洲ちゃん、頑張ろうね!」
伊58「ゴーヤたちに、任せるでち!」
金剛「頑張るネー、秋津洲ー!」
秋津洲「う、うん。頑張るかも…」
(敵側)
摩耶「…何であっちの秋津洲、胸にでっかい名札つけてるんだ?」
―15時過ぎ、執務室―
秋津洲「恥ずかしいかもっ!というか、何で横書きひらがななの!?これじゃ潜水艦の皆と同じかもっ!」
提督「手っ取り早いと思いましたし、漢字じゃなくてひらがなの方がまだ分かりやすいと思ったので。ダメですか?」
秋津洲「あたしの羞恥心が耐えられないのっ!」
≪作戦2:堂々と宣言する≫
―16時過ぎ、中庭―
秋津洲「みなさーん!私の名前は秋津洲でーす!ちゃんと覚えてくださーい!」
ざわっ…
秋津洲「私の名前あんまり覚えていない人が多いけど~、私の名前は秋津洲でーす!!ちゃんと覚えてほしいかも~!!」
司令長官「まるで選挙の演説だね……」
提督「インパクトもあってなかなかいいと思います」
―19時前、執務室―
秋津洲「提督はバカなんじゃないかな!?」
提督「失敬な。私の行動のどこにバカだと言える要素があるんですか」
秋津洲「バカみたいなことを堂々と実行できるところにだよ!」
提督「……これが、最後の手段ですが……」
秋津洲「?」
提督「他の皆さんと話すんです。話していれば、おのずと名前をちゃんと覚えてもらえますから。けど、貴女は二式大艇と一緒にいるから話しかけにくい、そういう感じがあるんですよ」
秋津洲「うーん……私はそんな感じつもりはないんだけど…」
提督「とにかく、皆さんと話をすれば覚えてくれますよ」
秋津洲「……唐突に思い出したんだけど、島風ちゃんもいつも連装砲ちゃんと一緒にいるし同型艦がいないしで皆名前を覚えていないような、どことなく、あたしと似たような感じがするけど、どうしてみんな島風ちゃんの名前を憶えているんだろ?」
提督「…島風さんは、島風さん自身の服装が異常ですからインパクトで名前を憶えてしまうんですよ。あ、よろしければそのような格好をご所望で―」
秋津洲「もうみんなと話して来るっ!提督のバカぁ!」
【終わり】
854 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/11 22:38:52.18 ENc/wAvl0 482/565【キャラクター紹介】
≪秋津洲≫
秋津洲型水上機母艦一番艦。艦娘No.245(改はNo.250)。銀に近い髪と‶かも‶と言う口調が特徴の、明るい女の子。実践にはあまり慣れていないため、専ら
遠征に赴くことが多い。二式大艇は切っても切り離せないような相棒で、出撃はもちろん食事や入浴、睡眠中も一緒にいる。二式大艇がいつも一緒なせいで、
なかなか友達ができず名前を覚えてもらえなかったが、徐々に回復しつつある。提督は一度、かもかも口調を矯正しようとしたが失敗した。
好きな言葉は『一心同体』。
―15時過ぎ、執務室―
朝潮「司令官、頼まれておりました書類、持って参りました!」
提督「ありがとうございます。それで…と、はい。大体仕事は片付きましたので…」
朝潮「司令官、朝潮に何かしてほしい事はございますか?」
提督「いえ…とくにはございませんが……では、この書類と同じ書式のものが書庫にあるはずですので、それを持ってきてもらえますか?」
朝潮「はい!分かりました!」
パタン
提督(朝潮さんは本当によく働く方です…)
【上級編】
―19時過ぎ、食堂―
提督「朝潮さんはよく働いてくれます。おそらく、彼女が一番仕事を正確にこなす事ができているでしょう」
司令長官「うん?吹雪君よりも?」
提督「おそらくは。であれば、少しレベルの高い仕事を任せても良いかと」
司令長官「……つまり、提督代理を務められるような仕事を任せると?」
提督「性急かもしれませんが、朝潮さんは今の単調な仕事に少なからず不満を持っているように見えるんです。高校トップクラスの成績を誇る生徒が、小学一年生レベルの授業を永遠と受け続ける事に辟易するような感じで」
司令長官「確かに、そうだよねぇ」
提督「ですので、少々レベルが高い仕事を任せてみようかと」
司令長官「……君の論にも一理あるけど、失敗をするかもしれないよ?」
提督「元々、失敗すると思っていますよ」
―翌日9時過ぎ、執務室―
提督「朝潮さん、貴女は今の仕事を十分にこなしてくれています。おそらく、他の駆逐艦の皆さんよりも仕事が上達しています」
朝潮「あ、ありがとうございます!」ビシッ
提督「そこで、今日は少し別の仕事を任せてみようと思います」
朝潮「へ?」
提督「他の軽巡洋艦や戦艦の方に任せている仕事です。提督代理をたまに務める長門さんや加賀さんに任せるような仕事も、してもらいたいと」
朝潮「え、ええっ!?あ、朝潮がですか!?」
提督「無理なようでしたら、断っていただいても構いませんが…」
朝潮「……いえ、やります」
提督「?」
朝潮「朝潮、その使命を果たして見せます!」
提督「では最初に、演習へ出撃させるメンバーを決めてもらいましょう。相手は第質鎮守府。相手方の編成は翔鶴、古鷹、陸奥、夕立、北上、瑞鶴です」
朝潮「む、むむむ………難しいところです……」
提督「……………」
朝潮「……では、編成は加賀さん、赤城さん、金剛さん、比叡さん、衣笠さん、時雨さんで行きましょう」
提督「では、その編成で申し込みます」
結果……
≪戦術的敗北 C≫
朝潮「えっ……」
提督「相手艦隊の空母が艦攻をかなり多めに装備していましたね…。さらに北上の開幕雷撃による赤城さん中破も相当痛かった…」
朝潮「す、すみません!!負けてしまって……」
提督「いえ、貴女が別に悪いわけではありませんよ。気にしないでください」
朝潮「でっ、でも……」
提督「演習で一回負けたぐらいでクヨクヨしてはなりませんよ。さあ、次の仕事に参りましょう」
朝潮「は、はい……」
提督「次の仕事は、開発です。回数は4回。開発する装備と資源配分は任せます」
朝潮「結構投げやりですね……。そうですね……」ウーン
朝潮(あ…そう言えば……今回のイベントで司令官、『徹甲弾が足りなかったか……』って呟いていたな……。なら、次のイベントに備えて、早めに開発しよう…)
―数分後、工廠―
朝潮「妖精さん、よろしいですか?」
工廠妖精「はーい、朝潮さんどうしたんですかー?」
朝潮「開発を頼みたいんですけど…」
工廠妖精「はーい。資源はどうしますかー?」
朝潮「資源は、燃料が10、弾薬が251、鋼材が250、ボーキサイトが10で、燃料は4回でお願いします」
工廠妖精「…もしかして、徹甲弾とか狙ってますかー?」
朝潮「はいっ!」
工廠妖精「いやー、しかし…」
提督(良いのです、やらせてあげてください)アイコンタクト
工廠妖精(むー…分かりましたー)
工廠妖精「はーい、ではその配分で行きまーす」
朝潮「お願いします!」
結果……
1回目:失敗
2回目:失敗
3回目:12.7mm単装機銃
4回目:失敗
朝潮「…そんな……」
提督「実はですね、徹甲弾は朝潮さんが言ったのと同じレシピで、秘書艦が工作艦の明石さんか、戦艦の方の時に開発が確認されているんです」
工廠妖精「でも今の秘書艦は朝潮さんだからー、開発する事は出来なかったって事だねー。ドンマイドンマイ」
朝潮「そんな………」ガクッ
―13時過ぎ、執務室―
提督「では最後の仕事です。この書類をチェックして、内容に相違が無ければ判を押してください」
朝潮「は、はい!」
提督「提督代理を務めるにふさわしい仕事……と言っていますが、この仕事は普段と変わらないですね」
朝潮「はい!ですので、頑張っていきます!」
―15時過ぎ―
提督「おや?」
朝潮「司令官?どうしたのですか?」
提督「この書類、判が押されていますが、計算に誤りがありますね…」
朝潮「えっ……」
提督「あ、こっちの書類には誤字が…」
朝潮「……………」
提督「うーん…結構ミスがありますねぇ…まあ、こういう失敗は誰にでも…」
朝潮「…………………」フルフルフル
提督「朝潮さん?」
朝潮「………ごめんなさい。失敗ばっかりで……私………っ!!」ダッ
提督「あっ」
バタン
提督「………………」
ガチャ
司令長官「黎明君、謝った方がいいと思うよ」
提督「……私はそこまで馬鹿ではありませんよ」
―数十分後、駆逐艦寮・朝潮&大潮の部屋の前―
大潮「朝潮~?大丈夫~?」コンコン
『…………』
大潮「うーん…どうしたんだろう…一体」
提督「大潮さん」
大潮「あっ、司令官。それが、朝潮が突然部屋にこもりきりになっちゃって…」
提督「…分かっています。ですので大潮さん」
大潮「うん?」
提督「少し、席をはずしていただけませんか?」
大潮「何で?」
提督「なんでもです」
大潮「………分かりました~」タタタ
提督「……………」
コンコン
提督「朝潮さん?」
『…………』ビクッ
提督「少し、お話があるのですが、よろしければ入れていただけませんか?」
『…………』
ガチャ
朝潮「…………どうぞ」
提督「失礼します」
提督「…………ええと、1つ聞きたいのですが」
朝潮「…」
提督「何故、執務室を飛び出したのですか?」
朝潮「……………」
提督「……………」
朝潮「……それは、朝潮が……司令官から信頼されて…仕事を任せてもらえたのに……失敗ばかりしてしまって……それで……司令官の信頼を裏切って……そのことが怖くて……」
提督「………つまり朝潮さんは、失敗をして私に怒られる、信頼を裏切ってしまう事が怖かったと?」
朝潮「…………はい」
提督「……………そんな事、誰でも思っているような事です」
朝潮「えっ……………」
提督「失敗をして怒られて、信頼を裏切られるという事はつまり、失敗をするのが怖いという事につながると、私個人的には考えていますが…その考えは、誰もが思っている事です。朝潮さんだけが考えてるというわけではありませんよ」
朝潮「………朝潮だけじゃない…?」
提督「はい。金剛さんも、長門さんも、誰もが考えていますよ」
朝潮「……………」
提督「そしてそれは、私も失敗をしたことがありますからよくわかります」
朝潮「し、司令官みたいな方も…失敗を?」
提督「ありますよ、もちろん。海軍に入ってからはもちろん、前の仕事をしていた時もです。何度も失敗をして、上司に怒られました。そしてひどい時には、『死にたい』と思った事もあります。まあ、今実際に生きていますが」
朝潮「……………」
提督「朝潮さんは今日初めて私と同じような仕事をこなしたんです。初めてで失敗しないなんてことはあり得ません」
朝潮「でも……失敗しない方が司令官は喜ぶと思って」
提督「そりゃ確かに喜んでいたかもしれませんが、失敗しても責めるつもりは全くありませんでした」
朝潮「え………」
提督「失敗する事を恐れてはいけません。そして、失敗をする事は全く恥ずべきことではございません。なぜなら、私も貴女も同じ人だからです」
朝潮「人……?」
提督「ええ、人です。人である以上、失敗しないなんてことはありません。これまでの人生で、私は少なからずの失敗を犯して成長してきました。貴女も、他の皆さんも多かれ少なかれ失敗をして成長してきたのでしょう。そしてこれからも失敗をして成長していくんです。失敗しない人なんて、もはや、機械のような人です」
朝潮「……………」
提督「失敗は、少なからず何かを学ぶ糧になります。ですから、貴女が初めて取り組んだことに失敗したことを私は責めません。私も同じでしたから」
朝潮「………ありがとうございます」
提督「さらに言うならば、貴女が今日と同じような仕事を2回、3回と繰り返してさらに失敗したとしても私は強くは責めません。まあ、少しは注意すると思いますが」
朝潮「…………はい」
提督「今日の失敗を生かして、明日からもまた頑張ってください」ナデナデ
朝潮「………はい!」
―数日後、執務室―
提督「大分仕事に慣れてきましたねぇ」
朝潮「はい!毎日コツコツと頑張ってきましたから!」
提督「この調子でしたら、提督代理を任せる事も近い日に可能となりますか…」
朝潮「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」
提督「ええ。私が不在の時は安心して仕事を任せる事ができます…」
コンコン
司令長官「あ、黎明君?悪いんだけど、この書類片づけて」ドサッ
提督「お前はもっと自分で仕事をする努力をしろ!」ゲシッ
司令長官「おべしっ!?」
【終わり】
提督は基本的に、艦娘達に慕われている。
提督に対してキツイ口を利く艦娘も少なからずいるが、それでも根っから嫌っているというわけではない。
そして今や200人近くいる艦娘の中には、提督の事を慕う以上に、愛している艦娘がいる。
そんな艦娘達は俗に、‶提督LOVE勢‶と呼ばれている。
【危うし提督LOVE勢】
―15時過ぎ、執務室―
提督「では、これが例の書類です」スッ
城「はーい、確かに頂きました」
提督「申し訳ございません、ご足労をおかけしてしまって」
城「いいっていいって。元々こっちの方に来る用事があったし」
提督「本来なら私がそちらに出向くのが定石でしたが、何分仕事が忙しいものでしたから」
城「仕方ないって、100近い鎮守府を総括してるんだもん」
提督「こういう書類は郵送でもよかったかもしれませんが…」
城「ダメダメ。ブラック鎮守府の情報なんて、どこで漏れてどこに渡るんだか無いんだから」
提督「分かっていますよ」
城「…ところで、私達の高校のクラスで同窓会をするみたいなんだけど」
提督「高校のクラスでですか?」
城「そそ。斑君はどうする?」
提督「そうですねぇ……私は時間が合ってそして仕事が片付いていれば参加しようかと思いますが……城さんはどうしますか?」
城「私は~……君が行くんなら行こうかな…って」ボソッ
提督「え?」
城「あ、ううん!そうだね、私も仕事と時間にもよるかなぁ~」
金剛「……………」ムムム
―数日前・16時、執務室―
提督「演習、お疲れ様です」
胎内第壱拾玖鎮守府提督(以下朱鷺)「お疲れさまね。それにしても、やっぱり斑君には敵わないなぁ」
提督「いえ、私も相当苦戦しましたよ?」
朱鷺「おやおや、ご謙遜なさる。こう言っちゃなんだけど、私は結構本気の艦隊で演習に挑んだんだけどなぁ」
提督「まさか、私の持ってないグラーフ・ツェッペリンを投入してくるとは…そして、夜戦で航空戦を仕掛けてくるというのは想定外でした」
朱鷺「あれ、斑君ってグラーフ持っていなかったんだ。意外~」
提督「……第4海域を何度も周回したというのに、S勝利しても出てくるのは大して貴重でもない艦娘ばかり……そしてただ徒に資源を消費するだけで、何の成果も挙げられませんでした」
朱鷺「あ……なんかゴメンね……ホント」
提督「いえ……」
朱鷺「そ、それにしても……斑君の戦略って結構面白いよね。私に考え付かないのばっかり」
提督「そうでしょうか」
朱鷺「そうだって、装備を変えたり、陣形を変えたり…。よかったらさ、教えてくれないかな?」
提督「教える分には構いませんけど…」
朱鷺「ね、お願い!」
提督「……まあ構いませんが、これが成功するのかどうかは貴女の技量次第ですよ」
朱鷺「やった!斑君大好き~」
提督「はいはい、愛のない告白はいりませんから」
榛名「…………」グヌヌヌ
―さらに数日前、13時過ぎ―
提督「…………………」イライライラ
コン、コン
提督「どうぞ」
ガチャ
石釜第質拾参鎮守府提督(以下保柄)「遅くなりました~」
提督「遅すぎますよ。予定の時間から3時間も遅れています」
保柄「ごめんなさい~。目覚ましを掛けてたはずなんだけど~、なんだか~、電池が切れてみたいで~」
提督「秘書艦が起こさなかったんですか。確か、パートナー艦は加古さんだったでしょう」
保柄「それが~、パートナー艦は~、この前龍田ちゃんに変えたんだけど~、龍田ちゃんが言うには~、『提督の寝顔が気持ちよさそうで起こすのが嫌だった』だって~」
提督「遅刻の理由としては及第点ではありませんね。というか、ぶっちゃけるとただの寝坊じゃないですか」
保柄「そういう事だね~」
提督「まったく……こっちは10時に演習をする予定でスケジュールを組んでいたというのに……」
保柄「本当にごめんね~。なんでもするから許して~」
提督「では今すぐ、演習の準備をしてください」
保柄「了解しました~。それにしても~、斑さんはとっても真面目だね~」
提督「貴女がのんびり屋過ぎるだけですよ」
保柄「私は真面目な人って好きだな~」
提督「そうですか」
伊19(以下イク)「……………」ウヌヌヌ
―本日・15時過ぎ、会議室―
金剛「皆さん、よく集まってくれまシタ(碇ゲンドウのポーズ)」
全員「…………」コクリ
金剛「ではこれより、第16次ALG会議をはじめマス」
全員「よろしくお願いします」
金剛「私から、懸案事項が1つございマス」
榛名「お願いします」
金剛「テートクは……………私達艦娘以外の女性とも交友があるという事デース!!」
全員「な、何だってー!?」
榛名「た、確かにそれは榛名も知っております…」
イク「イ、イクも知ってるのね…」
雷「な、何で教えてくれなかったの!?」ガタッ
夕雲「そうよ!まさか……私達を蹴落とすために……!?」ガガッ
榛名「ち、違います!榛名は決してそんなことは…!!」
金剛「皆さん、落ち着くのデス!!」バン
全員「!!」ビクッ
金剛「今は仲間割れをしている時間ではありまセン。私達が今すべきことは、情報を共有し、全員で何らかの対策をするという事デース」
雷「そ、そうね…」スッ
夕雲「す、すみませんでした。取り乱してしまい……」スッ
千歳「それで、艦娘以外の女性とも交友があるとは一体?」
祥鳳「まさか、店の店員と少し話したくらいとか、その程度ではありませんよね?」
金剛「No,そんなもんじゃありまセン。私が見たのは、テートクの高校時代のクラスメイトであったらしき憲兵司令官の女性とテートクが会話をしていましたガ、同窓会の話題になった時に、その憲兵司令官は、『テートクが行くんだったら行く』…と、意味深なセリフを宣ったのデース」
ざわっ
如月「あら…それは確実に……脈ありねぇ」
敷波「そ、そんな……高校時代なんて、あたしたちの手の出しようがないじゃない…」
金剛「後聞いた話では、テートクは高校時代、その憲兵司令官のピンチを救った上デ、リハビリを助けたトカ」
瑞鳳「むぅ……提督って、変なところで気障なんだから」
天津風「それは……脈ありの可能性大だわ」
大鳳「それで、榛名さんとイクさんは何を見たんですか?」
榛名「は、榛名は……北陸地方代表の提督が、提督と会話を仲睦まじく会話をしている……と言った光景を」
金剛「Hm?そのくらいでしたら、他の女性提督とも話してますガ……」
榛名「ですが、会話の中でその女性の方が『斑君大好き~』って」
金剛「Whaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaat!!?」
天津風「なぁにをさらっと愛の告白をしてるのよおおおお!?」
榛名「で、でもその方の言い方はあまり真剣身を帯びていないというか……」
千歳「それとこれとは全く全く別問題ってやつよ!」
如月「騙されちゃだめよ、榛名先輩!女って意外と恥ずかしいセリフをさらっという傾向が多いんだから!」
榛名「そ、そうなんですかぁ!?」
敷波「如月が言うと余計に真剣身が出てくるな……」
夕雲「でも迂闊だわね……こんな早い段階で告白をしてくる子がいたなんて……」
雷「北陸地方代表提督……恐ろしい子…ッ!!」
榛名(どう考えても貴女方2人より年上なんだけど……)
榛名「と、ところでイクさんはどんな状況を…?」
イク「イ、イクは榛名さんと似たような状況だったの……石釜鎮守府の提督が演習に遅れてきて、提督が説教した後で、その石釜鎮守府の提督さんが、『提督は真面目ですね』って言った後でさらに、『私は真面目な人って好きだな~』って」
金剛「AHHHHHHHHHHH!!!それも遠回しな告白じゃネーカ!!」
瑞鳳「何てこと……もう提督に告白した人が3人もいるなんて……!?」
祥鳳「1人は完全に惚れていて…2人は遠回しな告白を告げている………」
敷波「もはや…あたしたちに勝機なんてないんじゃ……」
千歳「そうね……やっぱり、艦娘よりも普通の人間の女性に提督は興味があるのよね……」
金剛「あきらめちゃダメデース!!」
全員「!」ビクッ
金剛「某Basketball ClubのTeacherも言ってマシタ!『諦めたらそこでGamesetですよ』って!」
敷波(有名なセリフも英語で言うと、これじゃない感があるんだよなぁ……)
金剛「私達が今すべきことは、今の現状を嘆くのではナク、その3名の事を忘れられるくらいに、私達に気持ちを傾かせる事デース!」
千歳「大雑把な方針だけで具体的に何をするのか分からないんだけど……」
金剛「まず大前提とシテ、私達はテートクの女性の好みを知りまセン!」
瑞鳳「えっ、知らなかったの?」
金剛「当たり前デース!だから、聞きに行くのデース!」
祥鳳「そのぐらい直接聞けばよかったんじゃ……」
金剛「だって……そんなの……恥ずかしいシ……」
夕雲&雷(日頃からスキンシップしようと押しかけてるくせに何を恥ずかしがってるんだろうこの人)
金剛「と、兎にも角にも!まずはテートクの好みを知ることが大切デース!と言うわけでハルナ、聞きに行ってくるのデース!」
榛名「な、なぜ私が!?」
金剛「ハルナ、私にはわかりマス。ハルナは、自分の好きな人の為だったらどんな大胆な事もできる子だって」ポン
榛名「お姉様……」
金剛「そして榛名は、皆の為に一生懸命になれる子だっていうのもまた、オネーチャンは知ってマース。ですからハルナ、できますヨネ?」
榛名「…………はい!榛名、皆さんの為に頑張ります!!」
金剛「それでこそ、My sisterデース!!」
千歳(ああいうのを、言葉巧みって言うのよね)
天津風(洗脳、ブレインコントロールとも言うわ)
―16時半過ぎ、執務室―
提督「すみませんね、わざわざ手伝っていただいて」
榛名「いえ…これもまた艦娘の仕事ですから。あ、提督にお手紙が」スッ
提督「ありがとうございます……ほう」
榛名「提督?どうしたんですか?」
提督「いえ、高校時代の友人が、ご結婚なさるという事で、その報告の手紙が」
榛名「け、結婚ですか……。ちなみに、提督はそのような事をお考えに……?」
提督「そうですねぇ………普段は仕事にかまけてあまり考えていませんでしたが……まあ鎮守府でのケッコンカッコカリが先となるでしょうね、多分」
榛名「!!……あの、参考までに………提督の、女性の趣味とかはございますか……?」
提督「え、女性の趣味ですか?そうですねぇ………」
榛名「…………………」ドキドキドキドキ
提督「まず第一条件は、心の清い方ですね」
榛名「こ、心の清い方……ですか。他には……?」
提督「そうですねぇ…………ああ、胸の大きさ興味は無いです。まあ、大きすぎるのはさすがにちょっとですが」
榛名(この提督……女性でもある私の前で胸の話って……)
提督「……失礼、はしたなかったですね。すみません」
榛名「い、いえ……。つまり提督は……心の清い方で、胸が大きすぎない方が好き…と」
提督「私の趣味を統計したらそうですが………ああ、後は…」
榛名「?」
―18時半、会議室―
榛名「…結果、提督の好みの女性は、心が清く胸があまり大きすぎない方……だそうです」
金剛「胸が大きすぎない……C・Dぐらいデショウカ?」
榛名「さあ、どうかは分かりませんけど……」
瑞鳳&大鳳(大丈夫……まだチャンスはあるわ……)
千歳「」
金剛「とにかく、これでテートクの好みがわかりまシタ!これからは、テートクの理想となる女性になれるように、頑張りマショー!!」
榛名以外「おおー!!」
榛名「……………」
―約2時間前、執務室―
提督「ああ、後は……あまり媚びてこない女性ですね」
榛名「えっ」
提督「あからさまに好意を表に出してこちらに向けてきて誘惑し、あわよくば自分の思うままにしようという思惑が見え見えの女性に対して、興味は差して湧きません」
榛名「」
榛名「…………………」
金剛「ぐふふ……これでテートクを私のものにするのデース……」
榛名(日頃から提督に媚びまくっているお姉様に勝ち目があるとはあまり思えませんが……)クルッ
榛名(あと……)
提督LOVE勢「ふふふ……提督/司令官はいずれ私のモノに……!」
榛名(ここにいる全員、清い心を持っているとは思えないのですが……)
【終わり】
886 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/14 22:43:44.38 vKmt+awM0 500/565【キャラクター紹介】
≪金剛≫
金剛型戦艦一番艦。艦娘No.21(改二はNo.149)。いつも元気溌剌なテンションと片言な日本語が特徴の、英国帰りの帰国子女お姉さん。提督をこよなく愛し、
提督LOVE勢で構成されたグループ、‶ALG(Admiral Love Groupの略)‶のリーダー。正し戦闘の腕は確かなもので、彼女の参加した戦闘はほとんど負け無し。
料理は結構得意で、カレーは一流。だが、金剛の出身国・イギリスが料理があまり美味しくないというイメージが強くて、あまり期待されていない。
好きな言葉は『明日は明日の風が吹く』。
※ALGに鳳翔は参加していない。鳳翔曰く『変に着飾らないで、ありのままの自分を好きな人に受け入れてもらう事が大切』との事。
―16時過ぎ、第壱拾参鎮守府付近のスーパー―
店員「ありがとうございましたー」
瑞理「さてと、じゃあ鎮守府に戻ろうか」
禊「ハイ、分かりました!それにしても、瑞理さん自ら食材の買い物って、珍しいですね…」
瑞理「まあね。ま、たまには僕が行って皆の機嫌を取らなきゃとね」
禊「はぁ……」
瑞理「ごめんね、わざわざ食材の買い物なんかに連れ出しちゃって」
禊「いえ、俺は別に大丈夫ですけど……」
瑞理「鎮守府には慣れてきた?」
禊「ええ、まあ……。ただ、やっぱり周りが女の子ばかりっていうのは色々と気遣いが必要で…」
瑞理「えー?そうかなぁ?」
ビュウウウウ
瑞理「うわっ」
禊「急に……風が……」
女の子「きゃーっ!」スカートメクレル
瑞理「おほっ♪ピンクだぁ」
禊「」ジトッ
【邪魔すると馬に蹴られるアレ】
―数分後、帰路―
禊「公の場で、仮にも提督の瑞理さんがあんなあからさまな態度を取ったらイメージガタ落ちですよ」
瑞理「いやぁ、ゴメンゴメン。つい雄の本能で……」
禊「まったく…そんなんだから、鎮守府でも霞さんや曙さんに折檻を食らうんですよ…」
瑞理「それにしても禊君って、ああいった場面に出くわしても動揺とか全くしないよね。何で?ゲイ?」」
禊「違いますよ!ただ節度を持っているだけですよ!」
瑞理「でも、男なんだから、ねぇ?」
禊「いや、同意を求められても………っていうか、鎮守府でも大変なんですよ?ああいった場面でどう対応すべきか」
瑞理「僕ならむしろ開き直るね」
禊「それは瑞理さんだからできるんですって。この前も……」
―数日前22時過ぎ、浴場―
瑞理『風呂は浴場を使っていいけど、艦娘の皆も入るから遅めにお願いね』
禊(って言われたけど……いい加減この時間なら大丈夫だよな……)
ガラッ
鈴谷「え…………っ!?」←全裸
禊「は…………っ!?」
鈴谷「……………」グルッ
禊「…………」グルッ
鈴谷「…………………見た………?」
禊「…………見ました……。申し訳ございま―」
鈴谷「もう、エッチ!!」バチィ
禊「ぜんっ!?」
禊「あの時俺は、女性の裸を見たら『見た』と言ってはいけないと学習しました」
瑞理(鈴谷ちゃんって普段経験豊富そうな発言してるけど、結構初心なんだね…)
瑞理「ま、そういう事は自分で経験していくしかないからねぇ。女性との経験っていうのは、他人の経験から学ぶだけじゃ上手くいかないから」
禊「それはまあ分かりますけど…」
―翌日10時過ぎ、工廠―
瑞理「じゃあ明石ちゃん、この書類見ておいてくれないかな?」
明石「はーい、分かりました!じゃあ禊君!」
禊「はい?」
明石「悪いけどこの書類を私の部屋に―きゃっ!?」ズルッ
ドテッ
バサバサバサッ
禊「だ、大丈夫ですか!?」
明石「だ、大丈夫…あー、機械油でちょっと滑っちゃった……」
禊「お怪我とかはございません―」
明石「ううん、大丈夫。ありがとね」←М字開脚でスカートの中が見える状態
禊「!!!」
瑞理「あっ」
明石「あれ?どうかしたの…って、きゃっ!」ガバッ
禊「す、すみません!じゃあこの書類明石さんの部屋に運んでおきます!!」サササッ、ダッ
明石「あっ、ちょっと……!?」
瑞理「…………なーるほど、ね」ニヤッ
―12時過ぎ、食堂―
明石「あ…………」
禊「あ、さ、さっきは本当にすみませんでしたっ!!」
明石「あ、いいんだよ別に……見ても大したもんじゃなかったでしょ?(自虐)」
禊「そ、そんな事はありませんでした……って、すみません本当に!」
明石「あはは…まあ、鎮守府ならよくある事だって。気にしないで」
禊「そうはいっても……」
瑞理「禊くーん」
禊「あ、はい?なんでしょうか」
瑞理「ちょこっと話がしたいんだけど…食べながらでいいから。ちょっと来てくれないかな?」
禊「あ、分かりました。では明石さん。失礼します。さっきは本当にすみませんでした」
明石「もういいっていいって」
禊「それで、瑞理さん。話って?」ガタッ
瑞理「うん、その話について単刀直入に言うけど…」ガタッ
禊「?」
瑞理「禊君って、明石ちゃんのこと好きでしょ?」
禊「ブウウウウウウウウッ!?」
瑞理「その反応……図星だね」
禊「…………………」
瑞理「…………………」ニヤニヤ
禊「……はい、好きです」
瑞理「素直でいい子だね」
禊「いつから気付いていたんですか……」
瑞理「確信を持ったのは今日だね」
禊「確信?」
瑞理「君が着任した日から今日に至るまで、禊君は明石ちゃんと話すときは妙に照れたり恥ずかしそうにしていたから、もしかして好きなのかもと思ったけど、それは思い違いかもしれないと思ったんだ」
禊「…そこまで見られてたなんて……」
瑞理「でも、今日ので確信したよ。君は昨日女性の下着とかを見ても『節度を持っている』って言っていたのに、今日明石ちゃんのパンツが見えた時に君は、数秒の間だけでも凝視してたよね?」
禊「…………大変お恥ずかしながら…」
瑞理「『節度を持っている』って言っていたのに、今日は明石ちゃんの下着を見てむしろ君は興奮した。それはつまり、好きな女の子の下着が見えたら、興奮しちゃうって事かなって僕は思ったわけ」
禊「…………何でこの人こんな観察眼持ってるの~……」
瑞理「褒め言葉と受け取るよ」
禊「…………そうですよぉ……俺は明石さんが好きですよぉ~…。好きな子のパンツが見えたら興奮せざるを得ないじゃないですかぁ………」
瑞理「や、気持ちはわかるし。僕は君の恋を応援するつもりだよ」
禊「えっ?だって、明石さんは瑞理さんの艦隊の艦娘ですよ?それを、一整備員が」
瑞理「実は明石ちゃんとはまだケッコンカッコカリしていないんだよ。明石ちゃんって戦闘はあまり得意じゃないから、中々経験値が上がらないらしくて。それに、僕は他人の恋路は邪魔しないと心に誓ってるから」
禊「瑞理さん……」
瑞理「だから安心して、僕は君の味方だから」
禊「……ありがとうございマス」
―15時過ぎ、執務室―
瑞理「で、明石ちゃんに惚れたのってどうして?」
禊「えーっと……俺が着任してすぐのころに、俺に向けてくる笑顔と、優しく話しかけてくれるところに、惚れてです」
瑞理「なるほどねぇ……で、これからどうするの?」
禊「どう、とは?」
瑞理「どう告白するかっていうの。今直接告白しても、絶対だめだと思うんだ。もっとこう、距離を縮められればと思うよ」
禊「そうですねぇ……でも、どうすれば?」
瑞理「あれ、わからない?」
禊「ええ……小学校、中学校と海軍学校は恋愛なんてしてる暇がありませんでしたし、高校も男子ばかりで……恋愛には疎いもので…」
瑞理「そうだねぇ……例えばデートに誘うとか…」
コンコン
瑞理「あ、どうぞー」
明石「失礼します、って禊君、ここにいたんだ?」
禊「は、はいっ!」
明石「じつは、ちょっとホームセンターに用ができちゃって…良ければ一緒に来てくれないかな?」
禊「え、あ、はい!大丈夫です!」
明石「じゃあ、ちょっと準備とかしておいてね~」パタン
瑞理「やったじゃない!早速デートの誘いだよ!」
禊「いや、今のはただの買い物の手伝いですよ……」
瑞理「それでもいいじゃない!これでちょっと距離を縮めればいいじゃない!」
禊「が、頑張ります……」
―数時間後、ホームセンター―
明石「えーっと、ハンマーに、プライヤーに、ラチェットハンドル……」
禊「結構買うんですね~…」
明石「うん、まあ請求書を鎮守府に送ればいい話だから」
禊「それにしても…」チラッ
明石「?どうかしたの?
禊「いつものセーラー服で……良かったんですか?」
明石「え?私は別に構わないけど…」
禊「袴の開口部から…その……肌が見えちゃってますけど…」
明石「ああ、私は別に気にしてないから…」
禊「その……俺もですけど……男性の目に映ると色々とマズいんで…」
明石「あ、そっか……じゃあ、次からは別の服にしようかな。気遣ってくれてありがとうね」ニコッ
禊「い、いえ!別に大したことはぁ……!」
明石「ふふっ」
―18時半過ぎ、執務室―
瑞理「で、どうだった?」
禊「まあ……距離は縮まった……でしょうか?」
瑞理「へぇ、やるじゃない。それじゃあ次は食事に誘うとか………まあ、今日はもう外に誘うのは無理だと思うから、食堂に誘うくらいはしないと」
禊「わ、分かりました。やってみます」
―十数分後、工廠―
禊「あ、明石さん!」
明石「ん?どうかしたの?何かわからない事でもあった?」
禊「あ、いえ……あの…この後一緒に食事しませんか?」
明石「…そうだね、いいよ。一緒に食べよっか」
禊「は、はい!」
―19時過ぎ、食堂―
明石「うーん、やっぱり間宮さんのご飯は、疲れた体に良く染みるねぇ~」
禊「そうですね……ああ、疲れが取れる……。そう言えば明石さんは料理とかするんですか?」
明石「私は…たまにするくらいで……禊君は?」
禊「俺はまぁ……簡単な家庭料理くらいなら…」
明石「じゃあ、今度食べさせてくれるかな?」
禊「え、別にいいですけど……じゃあ俺も、明石さんの料理が食べてみたいですね」
明石「分かった!じゃあまたいつかね!」
禊「はい!」
瑞理「………………」ニヤニヤニヤ
金剛「Hey,テートク?どうかしたのデスカ?」
瑞理「あ、金剛ちゃん…。いやね、禊君と明石ちゃんが良い感じになってるから、ね」
金剛「What?……Oh,確かに良い感じデース」
瑞理「ここだけの話……」ヒソヒソ
金剛「……ナルホド。分かりまシタ。この話は他言しない事にシマース。それにしても、テートクが人の恋路を邪魔せずむしろ応援するなんて珍しいデスネ。自分の艦隊の仲間だっていうノニ」
瑞理「そりゃ、あれだよ。馬に蹴られたくないからだよ」
金剛「Hm……まあ、そういう事にしマース」
金剛(まあ、その根幹にテートクのトラウマがあるのかもしれませんガ)
瑞理「ふふ。さて、禊君と明石ちゃんの雰囲気はいい感じになってきたし、そろそろ仕掛けるべきかな?」
金剛「仕掛ける?もしや、profession(プロフェッション:告白)デスカ?」
瑞理「そ。でも、そんな雰囲気にこだわって星の見える丘でするとかにやめて、いつもの場所とかでもいいと思うんだよね」
金剛「Situationは大事ですからネ」
―21時過ぎ、工廠―
明石「よいしょっと……ふぅ~終わった~…」ガシャン
禊「こっちも、何とか終了しました……」ガシャリ
明石「ありがとね。結構大変なんだよね~。皆の傷ついた艤装を運んで直してって。単調だけど面倒、的な」
禊「なんだかわかります」
明石「いやぁ~、それにしても君がいなかったらもっと時間がかかっていたと思うよ。現に君が来る前は、日付が変わるまで作業したこともあるし」
禊「…………」
明石「でも、君のおかげで作業が早く終わる事が多くなって、私の負担も軽くなったよ。本当にここに来てくれて、ありがとうね」ニコッ
禊「!!」ドキッ
明石「さーってと!作業も終わったし後は風呂に入って寝るだけね。じゃあ、今日は頑張ったお礼に一緒に風呂入っちゃおうか~、なんて―」
禊「明石さん!」
明石「ん?どうかした?」
禊「明石さん…………俺………」
明石「?」
―物陰―
瑞理「言っちゃうか?ここで言っちゃうのか?」
金剛「イイ感じの雰囲気デスシ、言うなら今デスネ。いつ言うの?今で―」
瑞理「それ、今となっては死語だよね」
金剛「そ、そんなことないはずデス!……多分」
明石「どうかしたの?何か聞きたいこともであるのかな?」
禊「いえ…1つ、言いたい事が………」
明石「?」
―物陰―
瑞理(いっけええええええええええ!)
金剛(ガンバデエエエエエエエエエス!!)
禊「俺、明石さんの事が―」
明石「!」
ビーッ!!ビーッ!!
禊&明石「!?」
瑞理&金剛「!!」
アナウンス『珊瑚諸島沖に深海棲艦が出現。直ちに出撃準備を整えてください。繰り返します、珊瑚諸島沖に深海棲艦が出現しました―』
明石「……あーあ、こりゃ残業かもな~」
禊「そ、そうですね……」
明石「………それで、私に何かいう事があったの?」
禊「あ、いえ……すみません、何でもないです」
明石「…………そっか。じゃあ、今のうちにお風呂入ろうか。多分残業で寝られないと思うから」
禊「あ、はい。じゃあ、明石さんが先に入ってきてください」
明石「ありがとね。じゃ、私が出たら呼ぶから。多分私が最後だろうし」
禊「ありがとうございます!」
禊(…………今度……今度は、告白しよう)
―2時過ぎ、珊瑚諸島沖・Dマス(敵機動部隊本隊)―
金剛「馬の代わりに蹴られるのデース!!」ゲシッ
南方棲戦鬼「ナシテッ!?」撃沈
金剛「お前もついでに黙って倒されるのデス!!」バキィ
装甲空母姫「オベフッ!?」
陸奥「ねえ……何で金剛、今回肉弾戦に徹してるんだろ……」
長門「わからん……ここまでの道程でも金剛は拳か蹴りで敵を倒してたし…」
伊勢「なんか並々ならぬ恨みがあったんじゃないの?」
金剛(他人の恋路を邪魔する深海棲艦は……馬に代わって私が蹴ってあげるのデース!!)
【終わり】
―7時過ぎ、講堂―
司令長官「えー、本日は黎明君が休みのため、儂が代わって朝礼を務めるよ」
ざわ……ざわ……
司令長官「実は、黎明君の仕事による疲れが、少し看過できないくらいのものになっちゃったから、無理やり休ませたんだ」
金剛「テートク…大丈夫でしょうカ……」
司令長官「大丈夫大丈夫。死ぬほど疲れてるってわけじゃないから。あ、それと今日の黎明君の代わりは長門君に任せてあるから、何かあったら対応を長門君に一任してあるから、その辺はよろしくね」
長門「………………」コクッ
皆『はーい』
【ある提督の休み】
―8時、提督の私室―
提督「…………………」スー、スー
目覚まし時計「ピピピピッ、ピピピピッ」
提督「」バシッ
目覚まし時計「」
提督「…………………」ノソノソ
提督「……………起きるか」
―数分後、洗面所―
提督「………………」シャコシャコ
川内「あ、提督おはよー」
提督「川内さん、おはようございます」
川内「今起きたの?」
提督「ええ、今日は休みをもらっておりますので、少しゆっくり過ごそうかと」シャコシャコ
川内「その割には早起きに入るんじゃないかな。私なんて、休日は10時前ぐらいまで寝てるけど」シャコシャコ
提督「それは貴女が夜更かしをしているからでしょう。昼夜逆転なんてことになったら、ただじゃ済ましませんからね」
川内「分かってるって。それにしても、提督にとっての遅起きって、このくらいなの?」シャコシャコ
提督「いえ、前に一度昼過ぎまで寝た事があるんですが、その時に、半日寝て過ごしてしまった事にとてつもない後悔を抱いてしまいまして……。それで、遅くとも9時には起きようという事にしたんです」
川内「へー。でも、司令長官の話じゃ結構疲れてたみたいじゃない」
提督「…司令長官がどう話したのかは知りませんが、結構疲れていたことは確かです。倒れる事はありませんでしたが、雷さんと電さんを間違えたり、ボーキサイトがボートサンドに聞こえたり」
提督「重症じゃん…」
提督「まあ見かねた司令長官が、急遽私に休日をくれたという事です」
川内「なるほど……。じゃ、私は行くね。ま、提督は働き過ぎな感じもあったから、今日はゆっくり休んだ方がいいと思うよ。朝ごはん食堂で食べるのなら、早めに行った方がいいよ」
提督「ありがとうございます」
―十分後、食堂―
提督「おはようございます、間宮さん」
鳳翔「あら提督。おはようございます。体調は如何でしょうか?」
提督「いえ、私は別に問題はありませんが……それより、朝食のほうは…」
鳳翔「あ、はい。すぐにお持ちしますね」
鳳翔「どうぞ、ごゆっくり」
提督「ありがとうございます」
長門「む、提督か」
提督「長門さん。やけに遅い朝食ですね、私が言えた義理ではありませんが」
長門「いや、他の皆に貴様の容態はどうなんだと問いただされてな」
提督「本当にすみません。急に提督業の代わりを任せてしまった上に、心配をおかけし待って…」
長門「いや、貴様が無事であるのならばそれでいいんだ。これで、他の皆も安心するだろう」
提督「…だといいんですが、特に金剛さんが騒ぎそうです」
長門「はっはっは、それは否定できんな」
提督「………では、いただきます」
長門「それで、貴様は今日はどうするんだ?」
提督「そうですねぇ……たまの休日ですし、今日はゆっくり休もうと思います」
長門「そうした方がいいだろう。貴様は昨日、少々尋常じゃない疲労度を抱えていたからな。今日ぐらいはゆっくり体を休めた方がいい」
提督「ええ、そうします」
―9時過ぎ、提督の私室―
提督「さて……今日はどうするか……」
提督「…………とりあえず、部屋の掃除でもするか………」
―数分後―
ウィィィィィィィン
提督「やはり、ルンバなどでやるよりも自分でやった方がいいですねぇ、遣り甲斐の出てくる」ウィィィィィ
―十分後―
提督「片付いてしまったか……まあ、元々綺麗に整えていたつもりだったから…」
提督「…………たまには、見る事の出来ない艦娘達の姿も見ておいた方がいい、ですね」
―10時過ぎ、中庭―
暁「全砲門、斉射!てーっ!」
響&雷&電「てーっ!!」
提督「?」
暁「もう一回!全砲門、斉射!てーっ!」
響&雷&電「てーっ!!」
提督「暁さん、何をなさっているのですか?」
暁「あ、司令官。体の方は大丈夫なの?」
提督「ええ、何とか」
雷「まったく、困っているようだったら私を頼ってもよかったのに!」
提督「流石に、貴女みたいな子を酷使する事はできませんよ」
雷「子ども扱いしないでよねっ!」
提督「それで、先ほどは何をなさっていたんですか?」
響「暁曰く、『一人前のレディになるための訓練』だそうだよ」
提督「ああ……またそういう間違った事を…」
暁「間違ってなんかないわ!大人のレディの長門さんは、いつもこうやって自慢の主砲で敵を倒してるじゃない!それに今日だって提督代行で、提督の代わりに仕事をしてるわよね?あれこそ、レディの権化だわ!」
雷「権化って……」
暁「その長門さんみたいになるために、まずは戦闘中の長門さんの事を真似てみる事にしたのよ!」
提督「………一応理解しましたが、なぜ響さん達まで?」
響「巻き込まれたんだ。『待機中で暇でしょ?』って」
雷「私は長門さんの手伝いをしようと思って…」
電「深雪ちゃんと一緒にお茶でも飲もうかと思っていたのですが…」
提督「電さんのはやめて正解だったと思います」
暁「で、司令官どうだった?私、レディに見えた?」
提督「………まず、予定があった皆さんを無理やり巻き込んでまで私情に巻き込んだのがレディとは言えません」
暁「」グサッ
提督「それと、主砲を撃っているところの真似をしているだけでは、レディっぽさは身に付きませんよ」
暁「そんな……私のやってきた事は、間違いだったっていう事……!?」
提督「はい(無慈悲)」
暁「がくっ」
響「流石司令官。容赦ないね」
雷「休日に嫌なものを見て機嫌が悪くなったんじゃないかしら?」
電「では、電は深雪ちゃんとお茶を飲んでくるのです」タタタッ
※この後やっぱり深雪とぶつかった。
―12時過ぎ、食堂―
赤城「あら、提督。こんにちは」
提督「こんにちは」
赤城「体調の方は?」
提督「問題ないですよ。というか、皆さんそればっかりですね」
加賀「それだけ皆さん、提督の事が心配だったという事ですよ」
提督「……加賀さんは、私の事は別に心配ではなかったんですか?」
加賀「私は別に。この程度で音をあげてしまうのでしたら、司令長官の補佐官を務める事なんてできないだろうし」
赤城「とか何とか言って、加賀ってば昨夜『提督、大丈夫かしら…』って窓の外を眺めながら何度も呟いていたじゃないですか」
加賀「…………………」プイッ
提督「心配してくださって、ありがとうございます」
加賀「………早く料理を食べてしまいましょう。せっかく美味しそうなのに冷めてしまいます」
赤城&提督(露骨なまでの話題変換)
赤城「それで、本日はどうなさるご予定なんですか?」
提督「ええとですね、今日は鎮守府の中でゆっくり過ごすつもりです。午後は間宮さんの場所にでも行こうかと」
赤城「午前は何をなさっていたんですか?」
提督「部屋の掃除をした後で、中庭に行ったら暁さんが間違ったレディの嗜みを練習していたので、やめさせました」
加賀「また同じような事を…」
提督「でその後、深雪さんとお茶にしようとした電さんが深雪さんとぶつかってしまって、医務室へ運んで介抱をして、それだけで午前が潰れました」
赤城「またぶつかってしまったのね……」
加賀「解消はしなかったのね?この前対策的な事をしてたはずですけど」
提督「ミスと言うものは、思い出したころにまたやらかしてしまうものなんです」
―13時前―
提督「さて、そろそろ席を―」
鳳翔「あのー、提督?ちょっとよろしいでしょうか?」
提督「はい?」
鳳翔「名取ちゃん、どこに行ったか分かりませんか?」
提督「?いえ」
鳳翔「お昼ご飯の予約を入れてたみたいなんだけど、結局来なかったから……」
提督「………今日名取さんは、何か予定が入っていましたっけ?」
鳳翔「ええと…長門さんから何か仕事の事を言われたみたいだけど…」
提督「…………」
―十分後、装備保管庫―
ガチャ
提督「名取さん」
名取「ひぅっ!?て、提督!?だ、御体の方は大丈夫なんですか!?」
提督「私の事は大丈夫です。それより、昼食を食べに来なかったようでしたが?」
名取「へっ?って、ああっ!?もうこんな時間!?お昼食べるの忘れちゃった!!」
提督「素で忘れてたんですか。しかし、そこまで没頭していたんですか」
名取「ええと……提督が疲れすぎてるって聞いて、私達が不甲斐ないせいで提督は疲れてしまったんだって……」
提督「私が疲れているのは、別に貴女たちのせいではありませんよ。むしろ、私個人の問題です」
名取「それでも、私達がもっと意欲的に仕事に取り組んでいたら、こんな事にはならなかったんだなって思って…」
提督「………お気遣いは、ありがたく頂戴します。ただし、自分の食事の事まで忘れるくらい仕事に没頭していては、いずれ貴女も倒れてしまいますよ?」
名取「うっ………ごめんなさい」
提督「さ、早く食堂へ行ってください。鳳翔さんが待ってますよ」
名取「は、はい!」
―15時前、≪甘味処・間宮≫―
提督「ごめんください」ガラガラッ
間宮「あら、提督!いらっしゃい!どうしたんですか?」
提督「いえ、休日で暇ですのでちょっと寄ってみようかと」
間宮「あら…そうでしたか。では、何かご用意しますね」
提督「いえ、お気になさらず」
間宮「いえ、いつも頑張ってくださっていますからサービスです♪」
―数分後―
間宮「お待たせしました、ストロベリーアイスになります」コトッ
提督「……よく私の好みをご存知でしたね」
間宮「この前、司令長官がここを訪れた時にぽろっとこぼしていたのを覚えておりまして」
提督「あの爺……」パクッ
提督「……美味しいですねぇ」
間宮「ありがとうございます!」
提督「ところで、この店が開いてから少し経ちますが、どんな感じですか?」
間宮「順調ですよ。皆さん、味は変わってないって言ってますし。伊良湖ちゃんもここの設備にべた惚れしてます」
提督「設備にべた惚れって…」
鈴谷「ほーう、提督ってイチゴが好きなんだ~」
提督「…………どっから湧いた」
鈴谷「失礼だな~通りかかっただけだって。それにしても、提督はお休みの日に間宮さんと楽しく談笑か~ほうほう。青葉が聞いたら喜びそうな情報だね」
提督「青葉さんにリークしても、貴女と青葉さんはただじゃ済ましませんからね」
鈴谷「冗談だって、じゃ、お大事に~」
提督「まったく………」
間宮「やだもう………鈴谷さんったら///」
提督「間宮さん?」
―17時過ぎ、執務室―
ガチャ
長門「む?どうかしたのか、提督よ」
提督「いえ、つい来てしまいました」
長門「それはあれか?長年の慣れ、というやつか?」
提督「そういうものですね。それより、仕事の方はどうですか?」
長門「問題ない。私の腕でも十二分にこなせる量だ」
提督「………そうであっても、私の仕事を急に任せてしまって申し訳ございません」
長門「またその話か。その点に関しては気にするなと言っただろう」
提督「そうはいってますが、提督の代行業務と言うのは本来とても難しいものなのですが…」
長門「だが私はそれができた。私の技量だからこそだな」ムフ
提督「ふっ」
長門「だが何度も言うが、心配はするな。むしろ私達が心配なのは貴様の方だ」
提督「…………………」
長門「私達のために昼夜を問わず貴様は仕事と指揮を執っている。その貴様の負担が少しでも減るのであれば、私達はどんなことでもするさ」
提督「………まあ、限度はあるでしょうが」
長門「当たり前だ。それと、貴様も言っていただろう。私達は同じ仲間だ、共に支え合い頑張ろう、と」
提督「……ええ、確かにそう言いましたね」
長門「なら、何も問題はないさ」
司令長官(………今日の事で、黎明君が皆にどう思われているかを知ってもらえるといいかな)
大淀(司令長官、意外と色々考えていたんですね
司令長官(意外とってどういう意味かな)
【終わり】
―10時前、執務室―
霞「ねえ、そろそろよ」
提督「………………ああ、そうですね。では…」
コンコン
提督「はい?」
霞(もう会議の時間だってのに、誰よったく…)
蓮村「やあ、黎明。失礼するよ」ガチャ
提督「おや、蓮村さん。どうしたんですか?」
蓮村「11月の月次報告書を出すのを忘れちゃって…直接出しに来たんだ」スッ
提督「これはご丁寧に…どうも」
蓮村「後、お店ができたって聞いたから見に来たんだけど…」
提督「ありがたいのですが……」チラッ
提督「すみません。もうすぐ会議ですので…」
蓮村「あ、そうだったの?邪魔しちゃってごめんね」
提督「いえ、お気になさらず。では、行きましょうか。霞さん」
霞「分かってるわよ、ク…提督」
蓮村(………………ん?)
【罵詈雑言】
提督『適当にくつろいでいていいですよ。鎮守府の中を見物しても構いませんし』
蓮村「…と言われたけど……」
蓮村「さっきの黎明と霞ちゃんの会話……何か違和感があったような…」
コンコン
蓮村「ん?」
曙「クソ提督、いる?」ガチャ
蓮村「ああ、黎明なら会議に行っちゃってるよ」←ある程度、第壱鎮守府の艦娘とは認識がある。
曙「そ……。まったくあのクソ提督ったら…」バタン
蓮村「……そうだ、黎明との会話には霞ちゃんの罵声が足りないんだ!」
蓮村(…確か、霞ちゃんはいつも提督の事をクズって言ってたはず…。現にうちの鎮守府ではそうだし)
蓮村(でも何で……クズって言わないんだろう……)
蓮村(黎明が脅した?考えられるけど決めつけられないな……)
蓮村「誰かに聞いてみよう」
―数分後、廊下―
蓮村「しかし、誰かいるものか……」
朝潮「………………」テクテク
蓮村「あ、朝潮ちゃーん」
朝潮「はい!………あのー、どちら様でしょう…」
蓮村「あ、ごめんね。僕は湯河原第陸鎮守府の提督、蓮村だ。よろしくね」
朝潮「あ、はい!よろしくお願いします!」
蓮村「それで一つ、聞きたいことがあるんだけど…」
朝潮「はい、なんでしょうか?」
蓮村「この鎮守府に、霞って駆逐艦がいるよね?」
朝潮「ええ、私の妹に当たりますが……」
蓮村「その霞ちゃんって、黎明……ここの提督の事をなんて呼んでる?」
朝潮「ええと…確か‶提督‶…だったはずです」
蓮村「ふーん、そっか…。いやね、他の鎮守府にいる霞ちゃんは、提督の事を‶クズ‶って呼んでるんだよね」
朝潮「あ、ウチの霞も最初は司令官の事、‶クズ‶って呼んでました」
蓮村「それが何で、普通に‶提督‶呼びになったのか、知ってるかな?」
朝潮「そうですね………前に理由を聞いたら霞は……」
霞『別に……。ただ、あたしも少し言い過ぎたかなって思っただけよ』
朝潮「って」
蓮村(たぶんそんな理由じゃないと思うんだけどなぁ……)
蓮村「わかった、ありがとうね」
朝潮「いえ、お気になさらず」
蓮村(この様子じゃ、他の皆も知らないよなぁ…)
蓮村「直接黎明に聞くかぁ…」
―14時過ぎ、≪甘味処・間宮≫―
提督「艦娘の中には、かつて自分の艦長だった方を尊敬する方が何人もいらっしゃいます」
蓮村「例えば?」
提督「代表的な方は、多門丸……山口多門氏を尊敬しておりますし、長波さんも田中少将の事をよく話題にあげております」
蓮村「うーん、確かにそうだね」
提督「さらにこれに気づく人はあまり多くはありませんが、五十鈴さんも山本五十六氏や山口多門氏の事をたまに口に出して、感謝の意を述べています」
蓮村「あー…確かにそんなのもあったな…」
提督「ですが反対に、霞さんはもちろんの事、曙さんや満潮さんは、艦長が無能と言うかなんというか……それに加えて理不尽な非難を受けた過去によって、口が非常に悪くなってしまっているんです」
蓮村「あ、そうだったのか……」
提督「ですので、艦娘となって転生した今、新しく皆さんの提督となった私の事をあまり信頼してはいないのでしょう」
蓮村「ウチもそんな感じだったなぁ。皆、僕の事を品定めするような目で見てたし……」
提督「それでまあ、霞さんも私の事を当然ながらクズと最初は呼んでいました」
蓮村「うん、それはさっき朝潮ちゃんから聞いたね」
提督「で、そんな中ですよ」
―3年前、執務室―
霞「手紙よ。何度言わせんのよ、このクズ!」
提督「……ありがとうございます」ジッ
霞「何?何見てんの?何か用があるのかしら?」
提督「…………いえ、とくには」
霞「用がないなら見ないでよね?ったく。仕事も終わってないくせにジロジロ女の子を見るなんて、ホントにクズなロリコンなんだから」
提督「…………」ガタッ
霞「何?どうしたの?」
提督「………………」ツカツカツカ
霞「えっ……何……来ないで……」
提督「………………」壁ドン!
霞「ひっ…………」
提督「………私も提督の端くれですので、軍艦だった頃の‶霞‶の事は知っているつもりです」
霞「……………それが、何よ……」
提督「ですので、貴女の口が悪くなってしまう事もまあ理解はできます」
霞「………………だから、それが…」
提督「ですが、仮にもあなたの上司である私に対して‶クズ‶と呼ぶのはどうかと思います」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
霞「い、いいじゃない……どう呼んだって。それにそれを言うなら、曙と満潮だって…」
提督「満潮さんは私の事を普通に‶司令官‶と呼んでいますし、曙さんも私の事はクソ扱いですが、一応‶クソ提督‶と敬称はつけていますので良しとしています。ですが私の事を‶クズ‶呼ばわりする事は、ただ私の事を罵倒しているだけです」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
霞「………………」
提督「過去の事を忘れない事を悪いとは言いません。しかし、いつまでもそれに囚われていては、いつまでたっても成長する事はできませんよ」ゴゴゴゴゴゴ
霞「………はい」
提督「さしあたり、私の事は普通に‶提督‶、もしくは‶クズ提督‶でもいいのでそう呼びなさい」
霞「……提督と、呼ばせていただきます」
提督「よろしい」スッ
霞「……………」プルプル
提督「と言った感じで説得しました」
蓮村「はたから見ればそれってただの脅迫だからね?」
霞「…………………」フルフルフル
提督「おや、霞さん。どうしたのですか?」
霞「何でそのエピソードを本人の前で言うのよ!!」
提督「いえ、着いてきたのは霞さんでしょう」
蓮村「そうそう」
霞「そりゃ、私の事について話すって聞いたら気にせずにはいられないじゃない!!」
提督「それに、私の事をクズ呼ばわりしなくなってから、霞さんの口調も少し柔らかくなってるのも事実です」
霞「えっ…そうなの…?」
提督「ほら、私の言葉に対してあまり棘のない言葉を返すあたり、明らかに成長しています」
蓮村「確かにそうだね。普段の霞ちゃんなら、『はあ?何言ってんのかしら?』って言いそう」
霞「…男が女の口真似をするのって、結構気持ち悪いわね」
蓮村「ひどいなぁ。さすがに傷つくよ」
提督「他の皆さんも、3年前と比べて親しみやすくなったと言っている方も増えていますし」
霞「ふ、ふーん…そうなんだ、へー」
提督&蓮村(まんざらでもないような顔してる)
―16時過ぎ、掲示板前―
『スクープ!提督、ドМ疑惑が!?』
『提督が受けで霞が攻めか』
提督&蓮村&霞「」
蓮村「黎明ってどっちかと言えばSっぽかったと思うけど」
霞「左に同じよ」
提督「いつから私がSに興じたというのですか。というかまた青葉さんはこんな事実無根な記事を作って……」
青葉「いやだなー、事実無根なんかじゃないですよ~」
提督「おや、噂をすれば影とやら」
青葉「だって、今朝執務室からこんな声が……」
『そうだ!黎明との会話には霞ちゃんの罵声が足りないんだ!』
青葉「って聞こえてましたよ?これって、司令官が霞さんの罵声を求めてるって事ですよね?ね?」
提督&霞「」
曙「あ、その言葉って確か、そこの提督が言ってたわね」
提督&霞「」グルン
蓮村「あーもうこんな時間だー帰らなきゃなー」スタタタ
提督「待ちやがれ腐れ優男!!」ダッ
霞「このクソクズ外道提督!!」ダダッ
満潮「……あの司令官も大概なんじゃないかしら」
曙「私達も相当言ってるけどね」
【終わり】
930 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/17 22:09:48.96 Ua1mLjMU0 527/565【キャラクター紹介】
≪霞≫
朝潮型駆逐艦十番艦。艦娘No.90。白みがかった灰色の髪が特徴の、気が強い感じの女の子。提督の事を‶クズ‶と呼んだり、つっけんどんな物言いをしたりと、
かなり毒舌な雰囲気が目立つが、その理由は過去の軍艦‶霞‶が過酷な過去を辿ってきたが故。しかし提督の言葉により、提督の事を普通に‶提督‶と呼んだり、
少し言葉に棘が無くなってきた様子。かつてはその性格からあまり友達ができなかったが、今ではすっかり鎮守府にの雰囲気に溶け込んでいる。
好きな言葉は『口は災いの門』。
第二次世界大戦の時に比べて、現在の機械技術は遥かに進歩している。
携帯電話はもちろんの事、ラジオにテレビ、冷蔵庫など、それは戦後の高度経済成長期と比べても全く違う。
話は変わるが、艦娘は生まれてくると同時に、日常の基本動作を身に着けている。
それは、電話や冷蔵庫などのありきたりな機械(家電)の使い方も理解している。
しかし、それでも機械に慣れていない艦娘もいるわけだ。
【機械音痴】
―10時過ぎ、特別艦寮・休憩室―
伊168(以下イムヤ)「~♪」ツイーツイー
提督「イムヤさん」
イムヤ「あ、司令官。ごきげんよー」
提督「スマホですか?」
イムヤ「そ、ツウィッターやってたの」
提督「私にはツウィッターの良さと言うものがわかりませんが……」
イムヤ「どうして?有名人とかのツウィッターをフォローすると、なんだかその有名人と話しているみたいで面白いじゃん」
提督「…構いませんが、煽ったり炎上したりするような事はしないでくださいね」
イムヤ「分かってるって」
提督「それと、スマホにかまけすぎて他の方との親交が薄まっていく、なんて事にもならないように」
イムヤ「分かってるってば。もう、司令官ってたまに過保護?って感じになるよね」
提督「それだけ心配なのですよ、スマホの威力が」
イムヤ「威力って……ところで司令官はどうしてここに?」
提督「いえ、ただの巡回ですよ。特別艦寮は特に問題はありませんでした」
イムヤ「そ、よかった。……もしかして、巡回ってここで最後?」
提督「いえ、ここが最初ですから」
イムヤ「良かったら一緒に行ってもいい?暇を持て余してたから」
提督「別に構いませんよ」
―数分後、空母寮付近―
提督「それにしても、イムヤさんはよくスマホを使いこなせるものですね」
イムヤ「まあ、このスマホも去年の給料で買ったやつだし、だいぶ慣れてきたね。司令官は携帯は?」
提督「この二つ折りのヤツですよ」スッ
イムヤ「わっ古い……買い換えようとは思わないの?」
提督「私は別に、電話とメールと音楽が聞ければそれで十分ですし」
イムヤ「それもまた味気ない……あれ?」
ワーワー
提督「……何の騒ぎでしょうか」
『鳳翔さんを呼んできて!私達じゃ手に負えない!!』
『いや、ここは明石さんを呼ばなきゃ!』
提督「何かあったんですか?」
飛龍「あ、提督!実はね……」
イムヤ「?」ヒョコッ
飛龍「雲龍さんが洗濯機壊しちゃった!!」
提督&イムヤ「」
―洗濯機室―
雲龍「服も肌も泡だらけ…とりあえず脱がなきゃ…」ヌギッ
イムヤ「わーっ!わーっ!わーっ!」
雲龍「あら、イムヤちゃん。こんなとこで何してるの?」ヌギッ
提督「それはこっちのセリフです。それと貴女はまず恥じらいと言うものを学びなさい」
雲龍「あら提督。ごきげんよう」
提督「なんですか、このありさまは」
イムヤ「わっ……床も洗濯物も泡だらけ……どうしてこんなことに?」
雲龍「私は別に……ただ洗濯機に洗濯物を入れて、洗剤を入れて、スイッチを入れて回して……」
提督「?特に……」
イムヤ「手順に問題は無いけど……」
雲龍「そこで、下着を入れ忘れた事に気づいて、洗濯機を動かしたままふたを開けたら……」
提督&イムヤ「アウト」
雲龍「………セーフ?」
イムヤ「よよいのよい……じゃなくて!」
雲龍「あら、このネタを知ってるのね」
提督「何で動かしたまま洗濯機の蓋を開けるんですか。ここに一時停止ボタンがあるでしょう」
雲龍「え?…あら、ほんと。気づかなかったわ」
イムヤ「でも驚きだな~…雲龍さんって、着任したのって大体2年前でしょ?それなのに、まだ洗濯機の使い方がわかってないなんて」
雲龍「ごめんなさい……こういう機械には弱くって……」
提督「とにかく、洗濯機は直せばまだ使えますから、飛龍さん」
飛龍「は、はい?」
提督「明石さんを呼んできてください。それと蒼龍さんは、雲龍さんを浴場へ。他の方たちは、ここの掃除と片づけをお願いします」
蒼龍「あ、はい!」
瑞鶴「分かったわ」
―寮の外―
提督「雲龍さんに限らず、いまだに機械に慣れていない方が結構いるんですよねぇ」
イムヤ「雲龍さんって戦時急造艦だから慣れていないのかと思っていたけど、違うんだ?」
提督「機械に関する事は、戦時急造艦だとかは問題ありません。現に、葛城さんは普通に洗濯機が使えていますし」
―十分後、重巡洋艦寮・休憩室―
鈴谷「コーヒーメーカー?」
熊野「奮発して買ってみましたの」
鈴谷「まあ熊野がコーヒー好きなのは知ってるけど、なんで?電気ポットがあるじゃん」
熊野「インスタントなコーヒーだけじゃなくて、本格的なコーヒーも飲めたらと思いまして。それに、妙高さんや高雄さんも欲しがっていましたし」
鈴谷「……ま、鈴谷はいいけど、使い方はわかってるの?」
熊野「この取扱説明書を見れば大丈夫ですの!」
―数分後―
提督「どうもコーヒー臭いと思ったらこれですか」
熊野「………申し訳ございませんの」グッショリ
鈴谷「鈴谷は止めたんだけど~」グッショリ
熊野「止めてなかったでしょう!」ジタバタ
提督「コーヒーまみれで暴れないでください。飛沫が飛び散る」
イムヤ「うー……なんだか……鼻が曲がりそう……」
鈴谷「それにしても、こりゃ掃除が大変そうだね~」
熊野「あの~、提督?よろしければ手伝っていただいても…」
提督「散らかしたのは貴女なんだから自分でやりなさい」
鈴谷(だろうね、そう言うと思った)
―14時過ぎ、食堂―
陸奥「ふ~、珊瑚諸島沖も疲れるわね~……」←艤装装備中
伊良湖「あれ…?あれれ~…?」ガチャガチャ
陸奥「あら、伊良湖ちゃん?どうしたの?」←艤装装備中
伊良湖「あ、陸奥さん……。それが、電子レンジが急に動かなくなったって……」
陸奥「ふーん……取扱説明書は見たの?」←艤装装備中
伊良湖「それが、読んでみたんですけどさっぱりで……。私、機械はちょっと苦手で……」
陸奥「……確か、こんな話を聞いた事があるわ」←艤装装備中
伊良湖「?」
陸奥「なんか、機械が壊れた時は斜め45度の入射角でチョップをすると直るって話」←艤装装備中
伊良湖「な、なるほど!ではやってみます!えいっ!」ペチン
電子レンジ「」シーン
伊良湖「あれー?何でだろ……」ペチペチ
陸奥「もっと強い力でやるといいんじゃない?」←艤装装備中
伊良湖「そうですか……では、陸奥さんやってみて下さい!」
陸奥「へ、私?別にいいけど…壊しても起こらないでね?」←艤装装備中!
伊良湖「大丈夫です!ドンとやっちゃってください!」
陸奥「……分かったわ、やったげる!」←艤装装備中!!
伊良湖「はい、お願いします!」
陸奥「じゃ、えーい!!」←艤・装・装・備・中!!!
ガスッ
ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
―19時前―
『都合により食堂は数日の間、休止とします』
提督「艤装を装備している間、貴女たちの身体能力は格段に跳ね上がるという事を忘れたのですか?」
陸奥「……失念しておりました。申し訳ございません」
伊良湖「いえ、陸奥さんは悪くありません。煽った私が悪いんです……」
長門「我が妹ながら情けない……」
陸奥「」グサッ
イムヤ「取扱説明書に『困ったときは』って項目無かった?」
伊良湖「」グサッ
―翌日10時過ぎ、講堂―
提督「さて、ここ最近になって機械関係のトラブルが増えてきました」
ざわざわ……
提督「ある人は洗濯機室を潜在まみれにしたり、ある人は寮の休憩室をコーヒーまみれにし、またある人は食堂を爆破しました」
イムヤ「爆破って……まあ、ニュアンスは間違ってないけど……」
陸奥「」ズーン
伊良湖「陸奥さん……もう元気出してください……」
長門「違う…おそらく第三砲塔の爆発のトラウマを思い出したんだろう」
陸奥「もう……爆発は嫌ぁ……」
提督「えー、そこで1つある講義を、皆さんに対して開きたいと思います」
皆『?』
提督「おそらく機械に関してはとても詳しい明石さんと夕張さんに、機械・家電の取り扱いに関する講義をしてもらいます」
明石「どうもー」
夕張「よろしくお願いしまーす」
摩耶「えー、でも今さら機械の取り扱い講義って、あたしらには必要ないんじゃねーの?」
提督「……偉そうな口利いてますけど、貴女この前食堂のテレビ壊したでしょうが」
摩耶「うっ」
愛宕「あー、そんなことあったわね~。ま、あのあと私からしっかり注意しましたから」
提督「とまあ、他の皆さんも大なり小なり機械関係でトラブルを抱えているようですから」
―15時過ぎ、執務室―
イムヤ「でも驚きだな~」
提督「何がですか?」
イムヤ「皆艤装とかは自在に操れるっていうのに、家電とかはあまり得意じゃないんだってところがさ」
提督「艤装と家電は完全に別物でしょう。一応、家電のスイッチを入れたり切ったりすることはできるのですが、応用ができないんですよ」
イムヤ「応用?」
提督「例えば、雲龍さんの時のように、正常に動作している時に何か別の動作をしたいとき。または、伊良湖さんと陸奥さんのように故障してしまったとき…。そういう時の対応ができていないんです」
イムヤ「なるほどね~…」
提督「しかしイムヤさんは、そう言ったトラブルにも対処できるのでしょう?」
イムヤ「まー、そうだね。電子レンジとかなら取説を見れば大体わかるし…どうしてもわからなかったら明石さんに聞くかな」
提督「コールセンターより明石さんを取るんですか」
イムヤ「だって明石さんなら何でも直してくれるんだもん」
提督「まあ、否定はできませんが」
イムヤ「…あ、もしかして」
提督「?」
イムヤ「データ課でパソコンを使わない理由って、それもまた一つ?」
提督「……霧島さんや鳥海さんなら有り得ないと思いますが、いかがわしいサイトへアクセスして勝手にダウンロードが完了しましたとか、データを消すとか、そんなことになりかねないんですから、迂闊に買えないんですよ」
イムヤ「…その二人、パソコン教室にでも通わせたら?」
提督「…そうした方がいいかもですね」
イムヤ「何事にも基本が一番だって事だよ」
【終わり】
944 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/19 22:32:53.20 gK1t8Rh10 536/565【キャラクター紹介】
≪伊168/イムヤ≫
海大Ⅵ型潜水艦一番艦。艦娘No.126。赤い髪とスク水の上にセーラー服を着たスタイルが特徴の女の子。鎮守府では一番早く着任した潜水艦の艦娘で、
提督との付き合いもそれなりに長い。スマホを操作している姿がよく目立つが、そのせいで他の艦娘との交友関係が薄くなっている、なんて事はない。
潜水艦娘の中でもまともな部類に入るため、U-511やまるゆの教育係を務めた事もある。同時期に着任したゴーヤと仲が良い。
好きな言葉は『初心忘るべからず』。
―10時過ぎ、執務室―
提督「あ、敵空母3隻撃沈任務が届いておりますね」
蒼龍「じゃあ、どこでその任務を消化しようか?オリョール?」
提督「いえ、ここは経験値も多く獲得できるカレー洋にしましょう。あそこでしたら、駆逐艦の方や重巡洋艦の方もバランスよく経験値を上げられますから」
蒼龍「あー…そう言えば私も、あそこで特訓したっけ」
提督「では、ヒトゴーマルマル(15時00分)にカレー洋へ出撃としましょう。編成は、旗艦・扶桑、赤城、飛鷹、古鷹、時津風、そして雪風」
蒼龍「はい、了解しました!」
【孤独の海】
―14時過ぎ、≪甘味処・間宮≫―
扶桑「あら、もうこんな時間…。そろそろ準備しないと」
山城「姉さま?出撃ですか?」
扶桑「ええ、カレー洋沖で空母3隻を撃沈する任務を任されて」
山城「まったく……あの冷血提督ったら、姉さまにそんな危ない真似をさせるなんて…」
扶桑「まあまあ、私は大丈夫よ」
雪風「扶桑さーん!」
扶桑「あら、雪風ちゃん。どうしたの?」
雪風「そろそろ、出撃の準備をした方が良いかと思いまして、呼びに来ました!」
扶桑「あら、悪いわね。じゃあそう言うわけで山城、留守の間は鎮守府の事を頼んだわよ?」
山城「あ、はい。分かりました。姉様もお気をつけて」
扶桑「それにしても雪風ちゃん、よく私の居場所が分かったわね?」
雪風「他の戦艦の方に聞いて回りました」
扶桑「それに、私は旗艦だから他の皆よりも準備をする事が沢山あることも見越して、先に呼びに来たのかしら?」
雪風「はい、そうです!」
扶桑「ふふっ、雪風ちゃんはえらいわね~」ナデナデ
雪風「ありがとうございます!」ニヘー
―15時前、執務室―
提督「では、扶桑さん。出撃中の進撃・撤退の判断は貴女にゆだねます。ただし、大破した方がいる場合は無条件に帰投してください」
扶桑「はい、分かりました」
提督「では皆さん、よろしくお願いいたします」
全員「はい!」
雪風「しれぇ、もしかして緊張してる?」
提督「まあ、カレー洋は遭遇する敵艦隊の編成によっては、大規模な損害を被る事にもなってしまいますから。flagshipと遭遇した場合、苦戦を強いられる事になるでしょう」
雪風「でも、心配する必要はありません!」
提督「?」
雪風「この雪風がいる限り、皆さんを沈めたりはしません!」
提督「………………」
蒼龍「何の根拠もないのがちょっとなー…」
―数十分後、カレー洋・Fマス(敵潜水艦教導艦隊)付近―
扶桑「そろそろ敵艦隊との索敵海域よ。皆さん、警戒してね」
古鷹「!」ピクッ
赤城「これは…」
古鷹「敵艦発見!軽巡へ級elite1隻、駆逐イ級elite2隻!」
時津風「あれ?少ない?」
雪風「いいえ、違います!ソナーに感あり!潜水ヨ級elite1隻、潜水カ級1隻、潜水カ級elite1隻です!」
赤城「潜水艦は零式水上偵察機の索敵範囲外でしたからね……」
古鷹「迂闊でした……」
扶桑「陣形・単横陣!」
雪風「魚雷航走音、2!来ます!」
扶桑「総員警戒―」
ズドオオン
時津風「きゃっ!?」小破
扶桑「時津風ちゃん!」
雪風「!」ゾクッ
飛鷹「おっと!」サッ
赤城「ナイス回避よ、古鷹さん」
扶桑「時津風ちゃん、大丈夫?」
時津風「大、丈夫です…はい」
赤城「軽巡へ級、こちらに照準!」
扶桑「しつこい……っ…!主砲、撃てぇ!」ドォン
バゴォ
軽巡へ級elite「ガッ!?」撃沈
赤城「飛鷹さん!」ビシュッ
飛鷹「分かってます!全艦載機、発艦始め!」バサッ
バルルルル
駆逐イ級elite「シィッ!」ドォン
ドン、チュドン
飛鷹「撃ち落とされた!」
赤城「いえ、まだ艦載機は残ってるわ!」
ズドドドドドドン
駆逐イ級elite「ゴベェッ……」撃沈
駆逐イ級elite「ガフッ!」撃沈
赤城「駆逐艦と軽巡洋艦は倒したわ!」
飛鷹「後は私達の役目ってわけね!」
雪風「……………」
飛鷹「雪風ちゃん、何してんの!?」
雪風「は、えっ!?」
赤城「軽巡と駆逐艦は倒したから、後の潜水艦は雪風ちゃん達に任せたわ!」
古鷹「頑張って!」
雪風「は、はい!」ガシャン
―十数分後―
飛鷹「ふう…何とか落ち着いたわね」
扶桑「こちらの被害は、時津風ちゃんが小破…時津風ちゃん、大丈夫?」
時津風「時津風は、まだ大丈夫だよ」
古鷹「雪風ちゃんも、大丈夫?」
雪風「え、雪風は問題ないですけど……」
赤城(雪風ちゃん、どうかしちゃったのでしょうか…)ヒソヒソ
扶桑(どう…とは?)
赤城(時津風ちゃんが小破したのを見て、なんだかぶるっと震えていた気がするんです…)ヒソヒソ
扶桑(?)
飛鷹(その後、なんだか心ここにあらずみたいな感じになって…)ヒソヒソ
扶桑(うーん…私には少し判断のしようがないわね……)
雪風「どうかしたのですか?」
扶桑「あ、ううん!別になんでもないわ。じゃあ、進撃するって事でいいかしら?」
全員「」コクッ
扶桑(次のエリアで空母3隻と当たる事ができるし、万が一の場合はそこで撤退しましょう)ヒソヒソ
赤城(そうね)ヒソヒソ
飛鷹(分かったわ)ヒソヒソ
―数十分後、Hマス(敵空母機動部隊)―
ズドドオオオン
扶桑「何でこんな時に限ってflagshipと当たるのよ~!!」ズドーン
空母ヲ級flagship「フフフ……」
飛鷹(おまけに、空母は2隻……これで、この先もまた進撃しなくちゃいけなくなった……)
赤城(たとえ、雪風ちゃんに不調があったとしても……)
扶桑「飛鷹さん、赤城さん!上!!」
飛鷹「えっ」
赤城「はっ!?」
ズガガガガガガ
古鷹「間に合えっ……!!」ダダダダダダ
ズドドドン
赤城「きゃああっ!?」損傷軽微
飛鷹「や……っ!?このぉ……!」中破
雪風「!!」ビクッ
時津風「撃ち方、はーじめーっ!!」ドドン
空母ヲ級elite「ク……ッ!」中破
赤城「飛鷹さんの痛み……返して差し上げます!!」ビシュシュッ
バルルルルル
空母ヲ級flagship「!」
ズッドオオオオオン
空母ヲ級flagship「グオオオオ……」撃沈
扶桑「そこですっ!!」ダアン
空母ヲ級elite「ガフゥ……」撃沈
―十数分後―
赤城「古鷹さん、あの時の対空砲撃、助かりました。あれが無ければ私達はもっと大きな被害を受けていました」
古鷹「いえ、私は私のやるべき仕事したまでで……」
時津風「飛鷹先輩、お尻が見えそうだよ?」
飛鷹「ああん見ないで!もー、どうしていつもこんなふうに破れちゃうのよ~!!」
雪風「…………」
扶桑「雪風ちゃん?雪風ちゃん!?」
雪風「ふぁいっ!?」ビクゥ
扶桑「本当にどうしたの?体調が悪いんだったら、すぐに帰投するけど……」
雪風「い、いえ!大丈夫です!それより、進撃した方がいいのでは!?」
扶桑「え?」
雪風「ほ、ほら。この戦闘で空母が2隻しか倒せなかったじゃないですか?ですから、このまま進撃すればまた空母に遭遇できるかもしれないですよね?」
扶桑「それはそうだけど…飛鷹さんは……」
飛鷹「私はまあ……開幕航空戦ぐらいなら参戦できるけど……」
扶桑「うーん………」
赤城(どうしますか……雪風ちゃんの様子も少しおかしいですし……安全を期するためにここは撤退をした方が……)ヒソヒソ
扶桑(………少し、確かめたいことがあります。進撃しましょう)ヒソヒソ
赤城(えっ…?)ヒソヒソ
扶桑「進撃しましょう。提督も、この進撃で空母を3隻撃沈する事を目的としておりましたから、ここで撤退しても提督は良い顔をしないでしょう。飛鷹さん、大丈夫ですか?」
飛鷹「旗艦がいう事だったら、従うわ」
扶桑「では、出撃しましょう。差し当たって、まずは羅針盤を……」スッ
赤城(一体何を……?)
扶桑(南西に行けば補給艦と戦闘をはさみ、運が良ければここで空母を一隻倒す事ができる……けど)
―17時半過ぎ、Dマス(東方主力艦隊)―
扶桑「……分かってたわ。不幸だもの。仕方ないわね……」
飛鷹「ちょっと、自分で進撃するって言っておいて、何憂鬱になってるんですか」
赤城「そろそろ敵艦隊の偵察結果が返ってきますよ」
雪風「……………」ブルブル
時津風「雪風、大丈夫?」
雪風「だ、大丈夫だから……」ブルブル
古鷹「偵察機からの偵察結果、来ました!…………これは」
扶桑&赤城「?」
飛鷹「なに、どうしたの?」
古鷹「…戦艦ル級flagship1隻、空母ヲ級flagship1隻、重巡リ級elite、軽巡ト級elite各1隻、駆逐ロ級elite2隻です!」
赤城「よりによって一番強力な艦隊……」
扶桑「不幸だわ……」
時津風「なんだか久々に聞いたな~、扶桑さんの『不幸』発言」
雪風「気をつけなきゃ……気をつけなきゃ……」
時津風「雪風?本当に大丈夫―」
赤城「敵艦載機、接近!」
飛鷹「ちっ……出遅れた……!?」バサッ
赤城「攻撃隊、直掩隊、発艦!」ビシュッ
ズドドドドドドド
飛鷹「流石はflagship…艦載機の練度も高いね……」
扶桑「敵艦載機からの攻撃に注意して!来るわよ!」
ダダダダダダダダ
ズッドオオオオオオオオオオオオオオン!!!
飛鷹「きゃああああっ…!?」大破
時津風「うぁあ……っ」大破
扶桑「くっ……」損傷軽微
雪風「!!!」ドックン
赤城「敵艦隊……駆逐ロ級2隻撃沈……」
飛鷹「ちっ……ヲ級にはかすりもしなかった……」
古鷹「ル級flagshipも健在です……」
扶桑「やれるだけの事は…やるのよ!」ズドオオオン
ドゴォ
重巡リ級elite「ガハッ!」撃沈
飛鷹「ナイス、扶桑さん!」
古鷹「あっ、扶桑さん!左舷!」
扶桑「へ?」
戦艦ル級flagship「ハァッ!!」ズッドン
バゴォ
扶桑「キャアアッ!?」大破
雪風「う…………」
赤城「扶桑さん!」
扶桑「私は大丈夫……それより……後の奴らを……」
古鷹「私は軽巡を倒します!赤城さんはヲ級かル級を!」
赤城「え、ええ!」
古鷹「主砲、斉射ッ!!」ズドオオオン
ドッゴオオン
軽巡ト級elite「グオッ……」撃沈
古鷹「やった!!」
赤城「後は……あの2隻だけ!」ビシュシュ
バルルルルル
戦艦ル級flagship「フン」ズドオン
ダァン、バゴォ
赤城「撃ち落とされた…!?」
空母ヲ級flagship「ハッ!」ビシュッ
キイイイン
ズドオオオン
赤城「そんな……っ!?」中破
扶桑「これまで…かしら……」
雪風「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
全員「!?」ビクッ
空母ヲ級flagship「?」チラッ
空母ヲ級flagship(何だ、あの小娘……)
雪風「わあああああああああ!!!」ズドドドン
空母ヲ級flagship「ク……ッ」小破
赤城「雪風…ちゃん?」
雪風「うおおおあああああああああああ!!!」ザザザザザザザザ
戦艦ル級flagship(バカか……戦艦に真っ向から向かってくるか)ジャコン
古鷹「危ないよ雪風ちゃん!下がって!!」
戦艦ル級flagship(この近距離なら、一撃で撃沈する事も容易いだろう)
ズドオオオオ
戦艦ル級flagship「ム?」
戦艦ル級flagship(消えた?)
空母ヲ級flagship「ヲヲッ!!(後ろ!!)」
戦艦ル級flagship(何!?)
雪風「ああああっ!!」ズドオオオン
戦艦ル級flagship「グブゥゥ……!?」中破
戦艦ル級flagship(この……小娘がぁ……!!)グルン
戦艦ル級flagship(いない……バカな……)
ドゴオオン
空母ヲ級flagship「ガブァッ!?」撃沈
戦艦ル級flagship(バカな……あの一瞬でヲ級の後ろを取っただと…!?)
雪風「……他人の心配をしている場合ですか…?」
戦艦ル級flagship「ナ……!?」
戦艦ル級flagship(あり得ない……最速の駆逐艦でも……)
バゴオン
戦艦ル級flagship「グ……ブ……」大破
雪風「……古鷹さん」
古鷹「う、うん!」ズドオオン
ドッゴオオオオオオン
戦艦ル級flagship「…………………」撃沈
赤城「……………雪風ちゃん……」
雪風「雪風は……大丈夫ですから」
扶桑「………………」
―18時半過ぎ、執務室―
扶桑「………報告は、以上です」←高速修復剤適用済み
提督「…雪風さんの暴走、ですか」
古鷹「本来の雪風さんの性能ではありえないような動きでした。一瞬でヲ級flagshipとル級flagshipの後ろを取り、致命的な攻撃を与える……。熟練の、戦艦でもなかなか難しい動きを……」
提督「……恐らく、雪風さんの中の恐怖心が、彼女を突き動かしたのでしょう」
扶桑「恐怖心?」
提督「雪風さんは、戦時の主力駆逐艦の中で唯一大戦後まで生き残った艦であり……長門さんや妙高さんと同じく、戦後まで生き残った数少ない艦です」
古鷹「それが……」
扶桑「…………」
提督「それまで生き残ってきたという事は、沈んでいった味方の艦も多く見ているという事です」
古鷹「…あ」
提督「さらに、艦娘は艦の時の記憶を有しております。その、沈んでいった仲間たちが今はこうして一緒にいる事ができますが、他の皆さんが沈んだり、大きな損傷を受けて沈みかける…と言った状況に遭遇すると、その過去のトラウマが蘇り、今回のような事になったのでしょう」
古鷹&扶桑「………………」
―20時過ぎ、駆逐艦寮・雪風&時津風の部屋―
時津風「あー…お風呂すっきりした~」ガチャ
雪風「うっ……………ううっ……」
時津風「雪風?」
雪風「…うぅ……時津風ぇ……」
時津風「…………」ギュッ
雪風「うぇ?」
時津風「…大丈夫だよ。今は時津風がいる。陽炎がいる。島風がいる。そして司令がいる。皆がいる。誰も沈んでいない。これからも誰も沈んだりしない。だから、安心していいんだよ」
雪風「………うん」
【終わり】
962 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/20 22:54:25.73 DRhp+J2g0 549/565【キャラクター紹介】
≪雪風≫
陽炎型駆逐艦八番艦。艦娘No.5。丈の短いセーラー服と、口の中から覗く白い歯が特徴の女の子。とてつもない強運の持ち主であり、日常的にラッキーな事に
出くわす。その運の良さは、運の悪い戦艦勢から嫉妬されるほど。しかし、過去の軍艦‶雪風‶は戦後までの生き残りであるために他の艦が沈む姿を見続けおり、
そのことがトラウマ。自分以外の艦娘が沈みかけたりすると自分の感情が爆発し、本来の性能以上の戦闘能力で敵を屠る。時津風は親友。
好きな言葉は『一蓮托生』。
―初春型各員の報告書―
初春…恐ろしく達筆すぎて、なんて書いてあるかわからない。
子日…『ドーンとやってバーン!』と言った感じに、擬音だらけ。よくわからん。
若葉…『殲滅』『被弾』など、単語でしか書かれていない。分かりにくい。
初霜…戦闘の詳細が、敵艦隊の編成、陣形などが事細かに書かれている。とても読みやすい。
提督「……なぜ末妹だけこうなったのか…」
【真面目】
―10時過ぎ、廊下―
初霜「この書類を、書庫に置けばいいんですか?」
提督「ええ、それにしてもすみませんね。他の初春型の皆さんと和気あいあいとしていたのに」
初霜「いえ、提督が忙しそうにしているところを見たら…」
提督「ありがとうございます」
三日月「あら、司令官?」
提督「三日月さん」
三日月「すごい書類の数ですね…よろしければお手伝いしましょうか?」
提督「いえ、三日月さんは今日はお休みでしょう?無理して手伝わなくても」
三日月「いえ、私の中のリトル三日月が、『司令官の手伝いを』とささやいたのです」
提督「ああ…そんなフレーズ、一時期はやりましたね」
三日月「そんなわけで司令官、書類半分いただきますね」ゴソッ
提督「あっ」
三日月「さあ、行きましょう」
提督「ふむ………」
―13時過ぎ、執務室―
初霜「提督、この書類このファイルに挟んでおけばよろしいんですか?」
提督「ええ、お願いします」
三日月「司令官、この書類ミスがありますよ」
提督「え?ああ、すみません。ありがとうございます」
三日月「ふふっ。司令官がミスするなんて、珍しいですね」
提督「…三日月さんは本当に真面目ですね」
三日月「はい?」
提督「いえ、休日であるにもかかわらず私の手伝いをしている事がです」
三日月「いえ、私も暇を持て余していたところですから」
提督「三日月さんや初霜さんのような歳の子供でしたら、休日は遊び倒すとかそういう事がありそうですが……休日は普段お2人は何をなさってるんですか?」
初霜「私は……お部屋の掃除をしたり…図書室で勉強をしたり……」
三日月「私も勉強ですね」
提督「君らは出木杉君の女の子バージョンか」
初霜「いえ、休日はそのくらいしかやる事が無くて……」
三日月「後は……お料理をしたりしますね」
提督「ほお…。鳳翔さんや間宮さんから手ほどきをお願いしたのでしょうか?」
初霜「ええ…私も鳳翔さんからお料理を教えていただきました」
提督「ですが……お二人は大体食事当番で間宮さん達の手伝いをする時ぐらいでしょう?」
初霜「ええと……よく初春や子日から頼まれるんです。『初霜の料理が食べたい』って」
提督「姉たち、それでいいのか」
提督「とすると、三日月さんも同じですか?」
三日月「ええ、私も大体……。睦月や皐月、文月からねだられるんですよ…」
提督(ネームシップ=姉と言う認識は改めた方がいいのか)
提督「まあしかしお2人の真面目なところは他の皆さんにも改めてほしいところです」
初霜「私達が見本ですか……?」
三日月「恥ずかしいです……」
提督「その歳で家庭的なスキルを持っていれば、将来も有望でしょう。まあ、グレる可能性もありますが」
初霜「いやですね……グレたりなんてしませんよ」
三日月「そうですって」
提督(……まあ、こういう真面目でいい子ほど、心の内に何かを抱えているものですが)
―数日後16時過ぎ、執務室―
初霜「…申し訳ございません、提督。キス島、ボスまでたどり着けませんでした…」大破
三日月「…面目ございません」大破
提督「いえ、私も少し敵艦を甘く見過ぎてしまっていたようです。お2人は入渠して…」
初霜「いえ……今回の損害は、看過できるものではありません」
三日月「初霜の言う通りです……私達は、重大なミスを犯してしまいました……」
提督「………………ん?」
初霜「ですから……」
三日月「なので………」
三日月&初霜「お仕置きを…してください!!」
提督「」
三日月&初霜「………………」キラキラキラキラ
提督「………」ジーコジーコ
三日月&初霜「?」
提督「……ああ、鳳翔さんですか。すみません、戦闘で少々疲れてしまっている方が執務室にいらっしゃいますので、介抱をお願いしたいのですが」
三日月&初霜「」
提督「ええ、はい。お願いします」ガチャリ
三日月&初霜「あ、あのー……」
提督「すみません。貴女たちがそんなに負担を抱えていたなんて……気づく事ができず申し訳ございません。お二人にはしばしの間休暇を与えます」
三日月&初霜「え、えーっ!?」
提督(まさか………Мか?)
―数日後、駆逐艦寮・若葉&初霜の部屋―
若葉「く……オリョールでやられてしまった…」
初霜「大丈夫?」
若葉「少々痛みが走ったが……悪くはない」
初霜「………その気持ち、分かるわ!」
若葉「む?」
―15時過ぎ、厨房―
三日月「よ…いしょっと…」ホイホイ
間宮「うん、ホットケーキなら問題なく作れてるわね」
三日月「本当ですか?ありがとうございます!」クルッ
間宮「って、よそ見してると―」
ジュッ
三日月「熱ぁ!?」
間宮「もう言わんこっちゃない……ほら速く水で冷やして!」
三日月「でも…………気持ちいい」
間宮「きゃああああああああああ!!」
―16時過ぎ、執務室―
間宮「怖い!怖いわよぉ!!」
若葉「ふむ……初霜がおかしくなってしまったようだ」
提督「………まさか、真面目ゆえに抱え込んでいたストレスがМ、自傷癖と言う形で表れてしまうとは……」
若葉「だが原因の一端には、提督がSであることもあると思うが?」
提督「だから、私がSと言うのは間違いですって」
間宮「でも……提督の事が好きな金剛さんは、『テートクが望むのなら、私はテートクの奴隷となっても構いまセーン!』って言ってましたし…」
提督「その愛情には脱帽せざるを得ませんが……私はSではありません」
ガチャ
初霜「提督……今、お時間よろしいでしょうか?」つムチ
三日月「お時間があるようでしたら…私達にご指導を……」つハリセン
提督「カエレ!!」
【終わり】
【パパラッチ】
―18時過ぎ、重巡洋艦寮・青葉&衣笠の部屋―
青葉「い、生き残った……」ガチャ
衣笠「もう……また根も葉もないゴシップ記事でも書いたの?」
青葉「…なんでわかったの?」
衣笠「青葉が皆から追われる理由何て大体それぐらいでしょ」
青葉「くぅ……否定できません」
衣笠「それで、今度はどんな記事書いたのよ?」←遠征で新聞を見ていない。
青葉「これです…」スッ
『金剛、他鎮守府に愛人!?……か?』
衣笠「何々?『演習で相手艦隊と戦闘を行った後で、金剛氏は相手側の艦隊の提督と楽しそうに談話しており…』って、これだけ?」
青葉「はい」
衣笠「これだけじゃ、全然愛人とかそんなんじゃないでしょ」
青葉「分かってますよ」
衣笠「じゃあなんで?」
青葉「どんな些細な事でも面白く興味深いようなゴシップに仕立て上げるのが、記者と言うモノ!」
衣笠「とりあえずアンタは全国のまっとうな記者に謝った方がいいよ。というか、提督も今大変なんだよ?」
青葉「?」
衣笠「その話題になった相手の提督から苦情が来ていて謝り倒してるし、激怒した比叡さんや榛名さんをなだめたり、すっかりしょげた金剛さんを慰めたり、もうてんやわんやで」
青葉「金剛さんを慰める……その話詳しく―」
衣笠「いい加減にせんかっ!!」
―数日後・20時過ぎ、重巡洋艦寮・青葉&衣笠の部屋―
ガチャ
衣笠「ふ~、いいお風呂だった~♪」ホカホカ
衣笠「後はもうやる事ないし、寝るだけ―」チラッ
衣笠「これ…明日の‶青葉デイリー‶?」バサッ
『司令官と衣笠に淫らな関係が…!?下着姿で執務室に入る衣笠……』
衣笠「」
青葉「いい湯だな、あはは♪」ガチャ
衣笠「青葉!!これはどういうつもり!?」
青葉「なんですか衣笠、藪からスティックに」
衣笠「これ、明日の青葉デイリーでしょ!?なんでここに、私の写真が載ってるの!?」
青葉「だって事実ですし」
衣笠「そもそもこれは、私が旗艦だった時に中破しちゃって、それで帰投したことを伝えて戦果の報告をして―」
青葉「だったら入渠した後で報告すればよかったじゃないですか」
衣笠「うっ」
青葉「他にも、他の艦隊の方に帰投した報告だけを伝えてもらって戦果報告は自分で後でするとか、やりようはいくらでもあったんじゃないんですか? 流石の私でも中破とかしたら、入渠して服が整ってから司令官のところへ向かいますよ」
衣笠「ううっ!?」
青葉「つまり衣笠は、司令官に下着姿を見せつけるために執務室へ行ったとしか―」
衣笠「わー、ストップストップ!!青葉もうやめて!今度スイーツでも何でも奢ってあげるから勘弁して!」
青葉「本当ですか?その言葉忘れないでくださいね?」
衣笠「忘れないから!」
青葉「じゃあ、この件は水に流すという事で」
衣笠「ほっ…」
【終わり】
【溜息】
―14時過ぎ、執務室―
提督「……………」カリカリカリ
コンコン
提督「どうぞ」
電「失礼するのです、司令官」ガチャ
提督「電さん。どうしたのですか?」
電「この前の演習の報告書が出来ましたので、提出しに来ました」
提督「ああ、ご苦労様です。では、そこのケースに入れておいてください」スッ
電「はい、なのです」
提督「…………はぁ」
電「!し、司令官…どうかしたのですか?」
提督「?いえ、ただ溜息をついただけですけど」
電「だめです!」
提督「へ?」
電「溜息をつくと、寿命が半年縮んじゃうって、龍田さんが言っていたのです!」
提督(龍田さん……また余計な事を……)
提督「あのですね、その理論から言いますと、私の寿命はとっくに尽きている計算になるんですけど」
電「ええっ!?」
提督「?いえ、特に理由もなく溜息つきたくなるものでしょう」
電「ないのです……」
提督「では、私が特殊という事でしょうか……」
電(司令官は結構特殊な気がするのです……立場でも、性格でも…)
提督「しかし、私が聞いた迷信では、『溜息をつくと幸せがが逃げていく』というヤツでしたね」
電「そ、そんな迷信もあったのですか!?」
提督「まあその理論だと、私の幸せなんて完全に尽きているでしょうし」
電「司令官さん…悲しすぎるのです……」
提督「あ、もしかして扶桑さんが不幸なのも、溜息をつきすぎているせいだからですかね?」
電「いえいえ、それは流石にないと思うのです……」
提督「分かっていますって、冗談ですよ」
―18時過ぎ、戦艦寮・休憩室―
ワー!ギャー!
長門「扶桑が倒れた!?」
陸奥「何でこんなことに!?」
山城「姉さまが……『溜息をついたら幸せが逃げていくらしいから、溜息をしないようにしばらくは呼吸をしない』って…午後の2時過ぎくらいから息を止めて」
長門「馬鹿者!何故それを止めさせなかった!艦娘だからよかったものの…4時間も息を止めてるなんて普通の人間だったら死んでるぞ!」
陸奥「そんな事より人工呼吸よ!」
金剛「イヤ、明石さんを呼ぶのデース!!」
伊勢「ここは救急車でしょ!?」
提督「なんだか戦艦寮が騒がしいですねぇ」←騒ぎの元凶
電「何かあったのでしょうか……」←溜息の話題に導いた人
【終わり】
【竜田揚げ】
―13時過ぎ、執務室―
提督「………」カリカリカリ
提督「あっ……もうこんな時間になってしまったか……」
提督「もう食堂は空いていないだろうし……後で間宮さんの店にでも行くか」
コン、コン
提督「はい?」
龍田「失礼しまーす」ガチャ
提督「龍田さん、珍しいですね」
龍田「あら~、私が執務室を尋ねちゃおかしいのかしら~?」
提督「いえ、今日は別に龍田さんは予定が入っていないはずでしたから、少し疑問に思いまして」
龍田「安心してね~、ちゃんと理由はあるわよ~」
提督「?」
龍田「さっき食堂でご飯を食べてたら~、提督の姿が見えなくってね~?それで、『もしかしたら仕事に集中しすぎて食事の時間に気づいていないのかな?』って思ったのね~」
提督「…ええ、その通りです」
龍田「そこで~、私からのプレゼントよ~?」
提督「?」
龍田「じゃじゃーん、竜田揚げ~。てれれてってれ~」
提督「……セルフBGMって、悲しくなりますよね」
龍田「……自分でやって思い知ったわ~。それより早く食べてね?揚げたてだから~」
提督「ありがとうございます。では」
パクッ
龍田「お味の方はどうかしら~?」
提督「……ええ、とても美味しいです」
龍田「本当~?」
提督「本当です。これほどまでに美味しい竜田揚げは、今まで食べた事がありません」
龍田「もー、提督ったらほめ過ぎ~。リップサービスは嬉しくないわよ~?」
提督「いえ、事実ですって」
龍田「あら~。だったら素直に受け取っちゃおうかしら~?うふふ~」
提督「しかし、龍田さんって意外と家事が結構得意なんですね」
龍田「どこからその情報を仕入れたのかしら~?」
提督「天龍さんが良く自慢してくるんですよ。『龍田は自慢の妹だ』って」
龍田「もう、天龍ちゃんったら~♪」
提督「まあ、龍田さんはいい嫁になりそうですね」サラッ
龍田「………………」
ビュン
提督「!!」サッ
龍田「………」ブンブンブンブン
提督「落ち着いてください。無言で薙刀を振り回さないでください。気でも狂ったんですか」
龍田「あら~、違うわよ~?これはただの照れ隠しよ~♪」
提督「照れ隠しで死んでたまりますか」
【終わり】
【皆勤賞】
―15時過ぎ、中庭―
(ひょんなことから、どちらが多く敵を倒したか、と言う話になった木曾と天龍)
木曾「俺の方が先に着任していたから、俺の方が敵を多く倒してるはずだ!」
天龍「おいおい、木曾。そのジョークはイケてないな。着任した順番で敵を倒した数に差が出るっていうのはおかしいだろ?俺の方が倒してるね」
木曾「へっ、にわかには信じがたいな。そんなのどうやって証明するんだよ」
天龍「まず、俺は悲しい事に性能が他の軽巡洋艦に劣ってるから大きな海域には出せてもらえない。せいぜい、キス島沖か鎮守府海域の潜水艦哨戒ぐらいだ」
木曾「それがなんだよ」
天龍「だが、そこに出撃を重ねているうちに、自然と多くの数の雑魚共を倒しているようになったんだ。潜水艦をぶっ倒した数なら、鎮守府で一番だぜ」
木曾「何かと思えば、そんな事かよ」
天龍「…何?」
木曾「俺は元々、神通ほどではないが初期の頃に提督の下に付いたからな。色々な海域の攻略には参加させてもらったぜ。モーレイ海やオリョール海、さらにアルフォンシーノにも参加させてもらった」
天龍「ぐっ」
木曾「もちろん、一回で攻略できたってわけじゃねぇ。何度も何度も出撃したさ。その過程で俺は多くの敵を倒してきた。実戦経験だったら俺の方が上だ」
天龍「そりゃ本末転倒だぜ。俺たちの対決は、どれだけ多くの敵を倒したかだ。実戦経験なんて関係ねぇよ」
木曾「なんだと、この『眼帯の可愛い方』が!」
天龍「てんめぇ……禁句を言っちまったな中二病がァ!!」
木曾「うるせぇ眼帯俺っ子とかいう中途半端なキャラ付けしやがって!」
天龍「お前が言うな!!」
彩雲妖精「失礼しまーす」ゴソゴソ
天龍&木曾「!!」
彩雲妖精「えっほ、えっほ……」
14cm単装砲妖精「彩雲ちゃん、大丈夫?」
彩雲妖精「大丈夫大丈夫!それより、戦艦ル級を倒したってホント?」
14cm単装砲妖精「う、うん……」
彩雲妖精「すごいじゃない!」
14cm単装砲妖精「で、でも…天山(六〇一空)ちゃんは、装甲空母姫に大ダメージを与えたって話でしょ?私なんて…」
彩雲妖精「艦載機とはまた別だよ!すごいよすごい!」
14cm単装砲妖精「そ、そう…?ありがとう…」
天龍&木曾「………………」
天龍(戦闘に多く参加して………)
木曾(なおかつ敵を多く倒してきた奴……)
天龍(さらに他の艦娘達と強い信頼関係を結び…)
木曾(どんなに強力な深海棲艦も倒す者…)
天龍&木曾(妖精さんじゃねぇか!!)
【終わり】
988 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/22 22:20:03.41 GAMR4c1b0 564/565今日はここまでにします。
さて、そろそろ残りレスが少なくなってきたので、次スレを建てようと思います。
ただ、明日は>>1の都合上無理ですので、明後日に新スレを立てる予定です。また、新スレのURLをここに貼る予定です。
新スレは、このスレの続編となります。age進行、1話大体2~3レス(大体今日の小話と同じくらい)で時々5レス以上の話をはさむと言った感じです。
また、キリ番安価も採用予定です。
ここまでこれたのも読者の皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
それでは、次スレで会いましょう。
994 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/12/24 21:12:11.50 +k/CHSPs0 565/565こんばんは、>>1です。
新スレ立てましたので、よろしくお願いいたします。
【艦これ】総司令部日和
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450959061/
後はスレの埋めや、リクエスト等をお願いします。
ところどころ全く同じ文章がある。特に艦娘紹介文に。