1 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/17 21:25:46.98 a1vFcAo30 1/565※注意
・艦隊これくしょんのSSで、もしも海軍総司令部がこんな場所だったら、と言う感じの話です。
・人名&地名が出てきます。
・キャラ崩壊は恐らくしている。
・誤字脱字、妙改行などもあるかもしれません。
・タイトルが若干変わっていますが、↓の作品の続きです。
【艦これ】総司令部の日々
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439032387/
http://ayamevip.com/archives/45445017.html
それでも良いという人はどうぞ。
お手柔らかに見ていただければと思います。
元スレ
【艦これ】総司令部の日常
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442492746/
2 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/17 21:27:07.31 a1vFcAo30 2/565≪前スレからのリクエスト状況≫
・阿武隈 ・鳳翔 ・羽黒
これらのリクエストは、少々日を置いてから消化していきます。
突如、全世界の海洋に出現した人類の敵・深海棲艦。
その深海棲艦に対して有効な打撃を与えられるのは、過去の軍艦の記憶を持つ‶艦娘‶と呼ばれる少女達だけである。
彼女たち艦娘は、海軍出身の提督の指揮のもとで、鎮守府から出撃して深海棲艦を討伐する。
そして今や、この国に鎮守府は100近く存在し、提督もそれと同じくらいいる。
各地の提督と艦娘達は出撃などで忙しいが、その提督たちと鎮守府を総べる総司令部だって、多忙なのだ。
【邂逅】
―10時前、司令長官執務室―
『司令長官!各地方の鎮守府の戦力データが…』
『島根の石見鎮守府が資金援助を要求しています!』
『長官、研修所から教官の派遣要請がきて…!』
『帯広鎮守府の提督が熊に襲われたクマ!』
『お前遂にやっちまったのか!』
『また深海棲艦がドッと湧いて…』
『うわー、今一杯だって!』
司令長官「えーっと…石見鎮守府の話は中国地方代表提督と話し合って決めてよ。戦力データは大淀君か鳥海君に渡して!熊に襲われた提督君の事は…、臨時の提督を見つければいいよ。次…研修所の事は知らないよ~、黎明君に相談して!」
由良「あら、そう言えば提督さんは?」
司令長官「彼なら今、鎮守府内の視察中だよ。もうそろそろ終わる頃合いなんじゃないかな?」
由良「そう…。じゃあ、提督さんのところに行ってくるわね」
司令長官「うん、気を付けて。次は、えーっと…深海棲艦の大群?冬にでもまた大規模作戦を発令すればいいじゃない!」
―数分後、工廠―
明石「いやぁ、やっぱり工具が壊れやすいんですよ…。それに、ちょっと人手不足かなー?」
提督「工廠妖精さんや、艤装についてる妖精さんがいるでしょう。彼女たちに手伝ってもらっては?あと、工具の件に関しては請求書を下されば…」
明石「それもあるんですけど~…」
ガラララララ
提督&明石「?」
由良「提督さん、いるかしら?」
提督「由良さん、何か御用ですか?」
由良「研修所から、教官の派遣要請が…」
提督「……………………」ギロッ
由良「!」ビクッ
提督「ああ、失礼しました。ったく、あのアホは…少しは自分でものを考えてほしいものです」
明石「…今、司令長官の事、アホって言ったね…」
由良「まあ、提督さんはよくそう言うし…」
提督「まったく…この前まで提督志願者が少ないと言ってきて、今度は志願者の増大で教官が不足、ですか」
由良「ですけど、教官の数が不足してしまうと…」
提督「海軍の人間を何人か派遣し、さらに艦娘の方も何人か派遣して今までやってこれてましたが…それでも人員不足ですか。どうしたものですかね…」
明石「辞めてしまった提督の方も教官として派遣しては?」
提督「まあ、それも1つの手なんでしょうけど…」
五月雨「提督、いらっしゃいますかー?」
提督「どうかしましたか、五月雨さん?」
五月雨「カレー洋から帰還しまして、それで、新しい艦娘の方を連れてまいりました!」
提督「それでしたら、その方には寮で待っていただいて…」
五月雨「ですが、その方は提督に会いたがっています」
提督「……仕方ないですね。では、すぐにそちらへ向かいます。由良さん」
由良「何?」
提督「その書類は司令長官に付き返してもらって結構です。解決策はあの人が決めるでしょう。でなければ始末するしかありません」
由良「始末って…」
提督「それと、明石さん。工具や人員の件は考えておきますので、少々お待ちください」
明石「はーい」
提督「では、五月雨さん。行きましょうか」
五月雨「は、はい!」
―数分後、波止場―
提督「……で、来たわけですが、彼女が新しい艦娘の方ですか」
五月雨「はい…そうです…」
加古「ZZZZZZZZZZZZ…」
提督「…彼女、本当に私に会いたがっていたんですか?」
涼風「うん、『いやぁ、立派な鎮守府だねぇ!できれば、ここの提督に会ってみてぇなぁ!なあ、会わせてくんない?』って言ってた」
提督「…待ってた側が寝てどうするんですか…。本末転倒ですね」スタスタ
五月雨「え、提督何を…」
提督「起こすに決まってるでしょう」スッ
加古「ZZZZZZZZZZZZZ…」
五月雨(えっ…顔近づけてる…まさか…うわわわわわ…//)
涼風(五月雨が想像するような事はしねぇと思うぞ…。どーせ、大声で『わっ』って驚かせるんだろ?)
五月雨(そ、そんな起こし方はしないんじゃないのかな…多分、顔を叩く程度で―)
提督「わっ!!!」
加古「おぅっ!?」ガバッ
五月雨&涼風(本当にやった……)
加古「おおお…頭がクラクラする…」
提督「お目覚めですか?」
加古「んー……まだ眠い…寝ていい?」
提督「次はメガホンで叫びますよ」
加古「それはやめて!起きる、起きますから!」
加古「って、その格好…もしかして、あんたが提督?」
提督「ご明察です」
加古「へぇ~、この立派な鎮守府の提督があんたか…。あたしは加古ってんだ。よろしく!」
提督「よろしくお願いいたします。私は、この東京第壱鎮守府の提督及び新日本海軍総司令長官の補佐官、斑 黎明と申します」
加古「…へ?司令長官の補佐官?お偉いさん?」
提督「まあ、ナンバー2ですね」
加古「…うぉぉ…マジか…。あたし、やべぇところに着任したかもしれん…」
提督「まあ、鎮守府の機能は他と同じですから。ただ…」
加古「?」
提督「他より1人当たりの仕事が多いところが、うちの特徴ですかね」
加古「」
提督「着任したての貴女には流石に大仕事を任せたりはしませんが、この鎮守府に慣れた頃には、貴女にも仕事を任せたいのですが…」
加古「……ちょっと、カレー洋に忘れ物が…」
提督「逃がしません」ガシッ
加古「ひいいいいい………」
【終わり】
10 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/17 22:17:47.36 a1vFcAo30 8/565【キャラクター紹介】
≪提督/斑 黎明(まだら れいめい)≫
本作の主人公。関東・東京第壱鎮守府の司令官であり、関東地方代表提督でもあり、新日本海軍司令長官の補佐官でもある。性別は男性。年齢は26歳。
真面目な仕事人間であるが、若干S気質なところがある。上司の司令長官がポンコツなところがあるため、司令長官の分の仕事をする事が多々ある。
艦娘達との信頼関係は良好。自らの立場上、気苦労が絶えない。アニメや漫画なども意外と好き。交友関係は結構広い。
好きな言葉は『謹厳実直』。
食事。
それは、基本的に栄養、すなわち人間が生命を維持し活動をするために必要な栄養素を摂る行為である。(Wikipediaより抜粋)
それと同時に、新しい何かを発見することもある。
ゴーン、ゴーン
提督「おや、もうこんな時間ですか」
雲龍「そうですね。ついつい書類を片付けるのに没頭してしまいましたから…」
提督「では、休憩もかねて食事へ行きましょう」ガタッ
雲龍「はい、わかりました」スクッ
【食事】
―19時過ぎ、食堂―
A定食『瑞鶴特製チキンカレー』
B定食『サンマの塩焼き』
C定食『おにぎり三種(鮭、梅、昆布)』
雲龍「…………………」ジー
提督「…どうしました?」
雲龍「あ、いえ…。この‶チキンカレー‶と言うのが気になるんですけど…」
提督「頼めばいいでしょう」
雲龍「ですけど…この手の料理はがっつり食べると腹痛が…。おそらく少なめでも多すぎるというか…」
提督「…でしたら、私がカレーを少し多めに頼んで、少し貴女にあげます」
雲龍「えっ、よろしいんですか?」
提督「別に構いませんよ。間宮さん、チキンカレー1つ。やや多めで」
間宮「はーい、分かりましたぁ!雲龍さんは?」
雲龍「あ、私はおにぎり三種セットで」
間宮「了解です!少々お待ちくださいね!」
………
間宮「はーい、お待たせしました!」コトッ
提督&雲龍「ありがとうございます」
提督「では、あの席で食べますか」
雲龍「はい」
ガタッ
提督「では、いただきます」
雲龍「いただきます」
提督「では、雲龍さん。少し食べてみますか?」
雲龍「そ、それでは…」オソルオソル
提督「……………」
雲龍「…………はむっ」パクッ
雲龍「…………!」
提督「どうですか?」
雲龍「ちょっと、辛いです…。けど…美味しい…」パクパク
提督「そうですか。それは良かったです。けど、私の分も残しておいてください」
雲龍「あ、すみません…」
司令長官「カレーライス大盛りで!」
間宮「はーい!」
提督「……………」
司令長官「あ、黎明君。隣、いいかな?」
提督「構いませんが、またそんなに食べて…」
司令長官「いいじゃないの別に。よっこいしょっと」ガタッ
提督「また、ナガラズ・ブート・キャンプを受けたいんですか?」
司令長官「それは嫌だから…ジョギングでもするよ…。ところで、雲龍君」
雲龍「はい?」
司令長官「君が、カレーを食べるのって、なんだかすごい珍しい…と言うか初めてじゃないの?」
雲龍「そう言えば…カレーと言うものを食べたのは、今日が初めてです…」
提督「確かに…今までずっとおにぎりかパン(コッペパン)しか食べてませんでしたからね」
雲龍「何度か、食べてみたいな、と思った事はあったんですけど…。新しいものを食べるのって、なんだか躊躇しちゃって…」
司令長官「あー、分かるよ?その気持ち」
TV『こちらのメニュー、何とこの秋限定です!』
提督&雲龍&司令長官「……………」
司令長官「…こういう感じの、期間限定って言葉に惹かれて実際食べに行ったら、そんなに美味しくもなかったって感じで…」
提督「確かに…私もそういう事、あります」
司令長官「それ以来、こんな感じのレポートで…」
TV『ん~…この食感、たまらないです!』
司令長官「って言葉も、本当にそう思ってんの?って邪推するようになっちゃうから…」
雲龍「それ言ったら、他の番組も同じなんじゃ…。でも、私もこういう料理は食べてみたいですけど…やっぱり新しい料理に挑戦するには、勇気がいりますし…」
提督「それって、レストランとかでいつも食べてるメニュー以外の料理を食べるのに躊躇する…っていうのも同じですかね」
司令長官「そうだねぇ。確かに、なじみのある店でも期間限定とか地域限定とかのメニューが出されても食べないから…」
提督「まあ、日本人は何かとそういう○○限定って言葉に惑わされやすい傾向がありますから」
司令長官「やっぱり、定番、王道、馴染み深いメニューが一番って事だよね」
提督「………それはまた…」チラッ
雲龍「?」モクモク
提督「…日本人が、たまにおにぎりを食べたくなるのと同じですね」
司令長官「……そう言われるとおにぎり食べたくなっちゃうなぁ…。ねぇ雲龍君、そのおにぎり1つ…」
雲龍「嫌です」ニコッ
【終わり】
23 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/18 21:45:46.93 68eeSAgc0 13/565【キャラクター紹介】
≪司令長官/軍乃 盾間(いくさの じゅんま)≫
新日本海軍の司令長官。性別は男性。年齢は46歳。太り気味。仕事はやればできる方だが、仕事が溜まり過ぎると黎明提督に丸投げする事がある。
黎明提督の執務室を意味もなく訪ねたり、勤務中に漫画を読んだりと司令長官にあるまじき勤務態度を取っているが、人望は厚い。その勤務態度から、
黎明提督からよく折檻を受けているが、最終的には冗談と笑って許すくらい心が広い。しかし、本当に真剣な場面になると、すごい頼れる存在になる。
好きな言葉は『治に居て乱を忘れず』。
球磨「球磨、出撃するクマー!」
三隈「くまりんこっ♪」
熊野「ひゃぁぁあ!とぉぉ↑おおぉぉぉぉぉぉぅ!!」
阿武隈「……………」
阿武隈「………私も、個性とか必要かなぁ…」
【個性的なクマ】
―10時、執務室―
阿武隈「私には、個性が足りないと思うんです」
提督「いきなり何ですか」
阿武隈「同じ‶クマ‶の名を持つ他の皆さんは、個性的な口調や性格ですけど、私には個性的なところって、無いじゃないですか」
提督「……そういう方面の話ですか」
阿武隈「球磨さんはクマクマ言ってるし、三隈さんは自分の事を‶くまりんこ‶って呼んでます…。熊野さんは、ええと……そのですね、はい、どこかのテニスプレイヤーみたいな声を発してますし…」
提督「表現が的確過ぎて困る」
阿武隈「ですから、私も何か個性的な口調をするべきなんじゃないかと思いまして」
提督「別にその流れには乗っからなくてもいいのではないでしょうか…。と言うより…」
阿武隈「?」
提督「私には十分貴女は個性的に見えますよ」
阿武隈「へっ?」
提督「かつては奇跡の作戦と言われるキスカ島撤退作戦で旗艦を務め、艦娘となった今は改二改造練度75と軽巡洋艦最高、しかも改装設計図が必要、さらに軽巡初の甲標的装備可能、そしてなにより改二になってからの貴女の、凛々しい姿…。それはもう個性と言っていいのでは?」
阿武隈「え、えへへ…凛々しいってそんな…って違います!」
提督「?」
阿武隈「私が欲しい個性っていうのは、そういう方面の個性じゃなくて、性格面での個性です!」
提督「ああ、そっち方面ですか」
阿武隈「提督、何かいい案ありませんか?」
提督「そうですねぇ……」
≪ケース1:髪型を変える≫
提督「まずは手始めに外見、つまり髪型を変えてみましょうか」
阿武隈「まあ、それが一番手っ取り早いですけど…」
ワチャワチャ
提督「サイドテール」
阿武隈「加賀さんですね」
ワチャワチャ
提督「ポニーテール」
阿武隈「由良姉さんですね」
ワチャワチャ
提督「ツインテール」
阿武隈「五十鈴姉さんですね」
ワチャワチャ
提督「ツーサイドアップ」
阿武隈「夜戦バカですね」
ワチャワチャ
提督「お団子頭」
阿武隈「那珂ちゃんですね」
ワチャワチャ
提督「北上さんスタイル」
阿武隈「やめてくださいぃ!っていうか、全部他の皆さんの髪型と同じじゃないですか!」
提督「そうですねぇ…ほとんどの髪型は皆さんがやっちゃってますし…。残ってるのはスキンヘッドぐらいしか…」
阿武隈「尼さん!?っていうか、乙女の証をそんな簡単にバッサリ切ろうとしないで!バリカン持ってこないで!」
提督「冗談です。流石にそんな躊躇なく女性の髪を毟るほど私は非道ではありません」
阿武隈「と言うか、提督髪型整えるの上手ですね」
提督「一応手先が器用ですので」
≪ケース2:口調を変える≫
提督「試しに語尾に‶クマ‶とつけましょうか」
阿武隈「分かりました。やってみます…」
阿武隈「あたし的には、とってもОKクマ!」
阿武隈「皆さん、あたしの指示に従ってクマ!」
阿武隈「阿武隈、ご期待に応えるクマ!」
阿武隈「お風呂は大好きクマ~、ふふーん!」
阿武隈「建造が終了したクマ~」
球磨「クマアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」ドドドドドドドドドドドドドド
提督「あ」
阿武隈「!?」
球磨「球磨のアイデンティティーを奪うなクマァァァァァァァァァァァ!!!」
阿武隈「ひゃあぁぁぁぁぁ!!ごめんなさいいいいいいい!!」
球磨「ガルルルルルルルルルルルルル!!」
提督「………失敗、と」
―15時、執務室―
阿武隈「もう…どうすれば…」
提督「……阿武隈さん」
阿武隈「はい?」
提督「やはり阿武隈さんは、今のままが一番個性的だと思いますよ」
阿武隈「へ?」
提督「先ほども述べた通り、奇跡の作戦の旗艦を務め、改二になってからはずば抜けた性能を持つぶっ壊れ軽巡…」
阿武隈「ですから、私はそういう個性よりも性格的な個性を―」
提督「そこです」
阿武隈「?」
提督「他のクマトリオが性格面で個性的なのであれば、貴女は外面、性能で個性的です。そちらの方が、性格面が異常な方より親しみやすいですから」
阿武隈「そ、そうですかね……」
提督「そうです。今のままの阿武隈さんの方が良いと、私は思います」
阿武隈「……分かりました。では、今のままでいる事にします」
提督「考え直してくれたようで何よりです」
阿武隈「ご協力、ありがとうございます。では、失礼します」パタン
提督「…………………ふぅ」ギシッ
提督(…まあ、下手に性格を変えてしまうと、これまでの阿武隈さんの交友関係が崩れてしまいかねませんから、変えないようにリードしましたが…)
阿武隈『そう…そうよね!あたしはもう十分個性的よね、うん!」
提督(計画通り)ニヤリ
【終わり】
36 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/20 21:52:16.60 51okiazd0 19/565【キャラクター紹介】
≪阿武隈≫
長良型軽巡洋艦六番艦。艦娘No.110(改二はNo.200)。改二になる前までは若干おどおどした雰囲気が目立っていたが、改二になってからは凛々しくなる。
中々皆に漢字を覚えてもらえないのが悩み。自分は個性が無いと自虐気味だったが、提督からのアドバイスで立ち直る。軍艦だった頃の阿武隈が、
‶奇跡の作戦‶ことキスカ島撤退作戦の旗艦であったため、(改二になってから)水雷戦隊主体の作戦では旗艦を任されることもよくある。
好きな言葉は『蛍雪の功』。
37 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/20 21:55:23.84 51okiazd0 20/565今日はここまでにします。
阿武隈をリクエストしてくれた方、いかがでしたか?
ここで一つ、お詫びがあります。
途中まで阿武隈の一人称が‶私‶でしたが、本来の阿武隈の一人称は‶あたし‶でした。申し訳ございません。
明日は、前作のリクエストにありました鳳翔さんの話を書いていく予定です。
感想・リクエスト等があればお気軽にどうぞ。
それではまた明日。
阿武隈改二可愛いけど、ウチの艦隊では軽巡最低練度(LV.24)やねん…。だって育てにくいんだもん…。
―20時過ぎ、特別艦寮・間宮&伊良湖の部屋―
間宮「す、すみません…風邪をひいてしまいました…」グスッ
伊良湖「間宮さん、大丈夫ですか?」
鳳翔「はい、間宮さん。おかゆです」
間宮「あ、ありがとうございます…。それで、鳳翔さんに折り入って頼みがあるのですが…」
鳳翔「はい、何か?」
間宮「明日の食堂の料理を、お願いしたいのですけど…」
鳳翔「それくらいでしたら、構いませんよ」
間宮「すみません…げほっ」
鳳翔「大丈夫ですか?はい、おかゆ。あーん」
間宮「むぐっ…ありがとうございます」
鳳翔「では、私はこれで。伊良湖さん、あとはお願いします」
伊良湖「は、はい!」
鳳翔「急に寒くなってきたから、体も冷えるでしょうし、おかゆを食べたらすぐに寝てくださいね?」
間宮「分かりました…」
鳳翔「伊良湖さんも、風邪をひかないように体を温めて寝てくださいね?」
伊良湖「は、はい」
鳳翔「では」パタン
【皆のお艦】
―翌日8時、食堂―
雷「あれ?間宮さんは?」
鳳翔「間宮さんは昨日風邪をひいてしまって、今日はお休みなんです」
雷「あらら…。じゃあ、私が看病してあげなきゃ!」
鳳翔「だめよ?貴女はまだ小さいんだし、風邪がうつったらどうするの」
雷「そ、それはちゃんとマスクとかして…」
鳳翔「それでも、万が一風邪をひいちゃったら元も子もないでしょ?私が貴女の代わりに間宮さんを看病するから、貴女は貴女のするべきことを、しなさいな」
雷「は、はい…」
鳳翔「でも、進んで看病をしようとした貴女はえらいわよ?」ナデナデ
雷「はふぅ…ありがとうございます」
鳳翔「それじゃあね」
提督「やはり、鳳翔さんのお艦力はすごいですね」
司令長官「そうだねぇ。まさにみんなのおかんだね」
雷「あ、司令官に司令長官!おはよう!」
提督「おはようございます」
司令長官「おはよう」
雷「ところで司令官、お艦力って?」
提督「さっきも雷さんが見た通り、鳳翔さんはお母さんのようなふるまいをする事に定評があるんです」
司令長官「まさに、理想の母親像だしねぇ。美人だし、優しいし…」
雷「そんなにお艦力って強いの?私はただ『すごい優しいなぁ』としか…」
提督「それは、鳳翔さんの行動を見ればわかります」
雷「?」
―数十分後、洗い場―
鳳翔「こんにっちは、赤ちゃん~♪」ジャブジャブ
提督「鳳翔さん」
鳳翔「あら、提督。どうなさったんですか?」
提督「よろしければ、お手伝いいたしましょうか?」
鳳翔「あら、いいんですよ別に。こういう仕事は私がする事ですから…」
提督「ですが、私もたまにはこういう事をしないと…」
鳳翔「お気遣いは、ありがたく受け取ります。それより提督?最近徹夜が増えていると聞きましたが?」
提督「…それに関しては、すみません。書類が山積していまして…」
鳳翔「だめですよ?ちゃんと規則正しい生活をしないと、体を壊してしまいますよ?」
提督「はい、分かりました」
鳳翔「ちゃんと暖かい布団で寝て、食事もバランスよく摂るんですよ?」ポムポム
提督「…はい」
提督「…と言った感じに」
雷「おおおお……」
司令長官(気のせいかな…。一瞬黎明君が丸くなった気が…)
提督「それと、他にも色々…」
雷「え?まだあるの?」
―16時過ぎ、波止場―
天龍「艦隊が帰投したぜ~…」
鳳翔「皆さん、お疲れ様です。おやつを用意してありますので、後でどうぞ」
睦月「おやつ?わーい!すぐ食べに行くにゃしぃ!」
文月「やったぁ~」
鳳翔「こらっ、待ちなさい!」カッ
睦月&文月「!」ビクッ
鳳翔「貴女たち…手も洗わないで食べに行こうとしたでしょう!」
睦月「えっ…」
文月「はぅ…」
鳳翔「だめでしょ?そんなバイキンがついた手でおやつを食べちゃ病気になっちゃうでしょ?ちゃんと手を洗いなさい」
睦月「は、はい…」
文月「ごめんなさい…」
鳳翔「分かれば良いんですよ。さ、手を洗ってきてくださいね」
睦月&文月「はいっ!」
―17時過ぎ、厨房―
鳳翔「しーあわっせは、歩いてこない♪だから、歩いてゆくんだね♪」
伊良湖「あれ、鳳翔さん早いですね!」
鳳翔「あら、伊良湖さん。今日はちょっと、私の得意料理を振る舞おうかと張り切っちゃったた、少し早く来すぎちゃって…」
伊良湖「へぇ~…得意料理って?」
鳳翔「それは秘密です♪」
伊良湖「えー…」
鳳翔「じゃあ、腕を振るっちゃおうかしら」
伊良湖「私も何か…」
鳳翔「そう?じゃあ……」
―19時過ぎ、食堂―
提督「どんな感じでしたか?」
雷「確かに…THE・お母さんって感じがしたわね…」
提督「ちなみに、この食堂の献立作りには、鳳翔さんも一枚噛んでいます」
雷「え、そうなの?」
提督「それと、お昼の料理番組でやっていたメニューをその日の夜のメニューにする事もあります」
雷「それもまたお母さんっぽい!」
提督「それと、今日の食堂のメニューは、全て鳳翔さんの得意料理なんですが…」チラッ
雷「?」チラッ
A定食『ハンバーグ』
B定食『唐揚げ』
C定食『おにぎり三種(鮭、明太子、おかか)』
雷「揺るぎない!」
天龍「あ~…疲れた体に鳳翔さんのメシが染み渡るぜぇ~…」パクパク
鳳翔「こーら、女の子がそんな口の利き方するんじゃありません」ピシッ
天龍「う、すみません…」
雷「まさに、母…!」
提督「ちなみに鳳翔さんが良く口ずさむ歌もまた、どれもお母さんの歌うような歌です。(例:こんにちは赤ちゃん、365歩のマーチ…等)」
雷「ママン!みんなのママン!!」
提督「後は……」
―21時過ぎ、≪居酒屋・鳳翔≫―
瑞鶴「…加賀さんとうまくいかない……」
鳳翔「そうですね…。確かに加賀さんは五航戦の貴女や翔鶴さんを毛嫌いしているような感じもありますけど、貴女も嫌そうな態度を取っているのでは?」
瑞鶴「へ?」
鳳翔「貴女が嫌そうな態度を取れば、相手もまた不愉快な態度を取ります。まずは、貴女が加賀さんに歩み寄ってみるのもいいと思いますよ」
瑞鶴「うぅ…鳳翔さぁん…」
提督「ああ言った感じで、夜の居酒屋で皆さんの悩みや愚痴を聞いたりします」
雷「そっちの意味のママも!?」
【終わり】
48 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/21 21:46:20.90 2nQdQ4cT0 26/565【キャラクター紹介】
≪鳳翔≫
鳳翔型軽空母一番艦。艦娘No.25。その包容力と言動が、皆にお母さんのような安心感を与えていることから、経緯を表して『お母さん』と呼ばれている。
実はこの鎮守府最古参の空母だが、深海棲艦相手に説教をしようとしたため、提督から戦線から退くように言われる。その後は主に、鎮守府で炊事、
洗濯をするようになる。しかし、たまに出撃をする事もある。NGワードは『おばあちゃん』。
好きな言葉は『温厚篤実』。
―9時、執務室―
提督「では、羽黒さん。昨日の引継ぎをお願いします」
羽黒「は、はい。えっと…」オドオド
提督「?」
羽黒「あの…昨日は、その…出撃を6回、行って…それで…その…」
妙高「羽黒?落ち着いて報告していいのよ?ゆっくりでもいいから…」
羽黒「ご、ごめんなさい!妙高姉さんに気を使わせてしまって……」
妙高「あ、違うのよ?そういう意味で言ったんじゃなくって…」
羽黒「そ、そうでしたか…。ごめんなさい…」
提督「では、羽黒さん。引継ぎを続けて…」
羽黒「お、お時間を取らせてしまって、ごめんなさいいいいいいい……」バタン
提督&妙高「あ……………」
提督「……………」
妙高「…………羽黒から、引継ぎ受けてきます」
提督「お願いします」
パタン
提督「………またか」
【小心者≒臆病】
―10時過ぎ、執務室―
ガチャ
妙高「お待たせいたしました、提督」
提督「無事、引継ぎは終わりましたか?」
妙高「ええ、何とか…。部屋で泣きじゃくっていましたので、足柄と一緒に慰めて…」
提督「そこまで泣いていたんですか…」
妙高「私や提督に迷惑をかけてしまった上、まともに引継ぎもできなくて、って」
提督「私は別に、迷惑とは感じていませんでしたが」
妙高「…提督は、あまり女心を分かっておられないんですね」
提督「?」
妙高「いえ、何でもありません」
提督「まあ、話を戻しまして、羽黒さんのあの性格は少し問題ですね」
妙高「あの、少々臆病な性格ですか?」
提督「このような場所で、あのようにすぐに泣きだして逃げてしまうようでは、ろくに報告もできませんし…」
妙高「あんな子が社会に出たら、すぐにいびられるでしょうね…あと、これは足柄から聞いた話なんですけど…」
提督「?」
―数日前、カスガダマ沖・Gマス(敵空母機動部隊)―
ズドォォォォォン
軽空母ヌ級elite「ギアアアアアア…」大破
羽黒「!」
足柄「今よ羽黒!そいつを倒して!」
羽黒「は、はい!」ジャキン
軽空母ヌ級elite「……………………」ギロッ
羽黒「ヒッ……」
足柄「何してんの!早くそいつをぶっ倒すのよ!」
羽黒「で、でも…」
羽黒(このヌ級さんを倒したら、ヌ級さんは私の事を恨むんだろうな…。それで、恨まれながら私は生きていく…それは嫌だぁ…)グスッ
足柄「いいからさっさと倒しなさいよこの小心者オオオオオオオ!!」ズドオオオオン
羽黒「きゃあああああっ!?」中破
軽空母ヌ級elite「!?」
―回想終了―
妙高「…あのまどろっこしさに焦れて、足柄が羽黒に向けて砲撃したんですです…」
提督「あの時の羽黒さんの中破、あいつの仕業だったのか。後で締めることにします」
妙高「それはまた置いといて、敵を倒す事にまで躊躇するっていうのは、問題すぎます」
提督「確かに…。では、羽黒さんのあの小心者っぷりを何とかしなければなりませんね」
妙高「それには、どうすれば…」
提督「………………」
―16時過ぎ、廊下―
羽黒「ど、どうしよう……」テクテク
提督『貴女は少し敵に対して怯え過ぎです。それを直す事を踏まえて、アルフォンシーノ方面へ出撃して下さい』
羽黒(って言われて…一応敵を倒す事には成功したけど…)トコトコ
羽黒(途中の海域で足柄姉さんと加賀さんが大破して撤退…。私が旗艦なのに…こんな戦果になっちゃって……)テク、テク
羽黒(こんな報告したら、提督は怒るだろうな…。妙高姉さんや那智姉さんもがっかりするかもしれない…)
羽黒「それだったら……」
羽黒「この書類…シュレッダーして…」
提督「何してるんですか」
羽黒「ひょあああああああああああああっ!!?」
提督「それ、報告書ですよね?何でそれをシュレッダーにかけようと?」
羽黒「そ、それは…」ガタガタ
提督「…大方、大した戦果を挙げられなくて、怒られるだろうから証拠隠滅…と言ったところですかね」
羽黒「………はい」
提督「報告書をシュレッダーにかけようとしたのは私も流石に看過できません」
羽黒「……ごめんなさい…」
提督「…貴女は、やはり小心者、と言った感じですね」
羽黒「…………うぅ…」
提督「敵艦に同情して攻撃できず、戦果が大したものでなければ報告も恐れて報告書を破棄しようとする…」
羽黒「…ご、ごめんなさい…。こんな私って、役立たずで不要ですよね…。ごめんなさい…」タッ
提督「待ちなさい」ガシッ
羽黒「は、離してください…私なんて、もう…」
提督「……先ほど述べた小心者ととれる貴女の行動は、裏を返せば、みな良い事です」
羽黒「…ふぇ?」
提督「敵に同情するという事は、相手が死ぬことが悲しい、殺したくない、という事。そして戦果の報告をしないというのは、私達を悲しませたくない、という事ですよね。さらには、貴女は姉妹や他の艦娘の方々に優しく接している、優しいお方です。…まあ、私の事は怖がっているようですが」
羽黒「……………」ウルッ
提督「貴女の小心者っぷりは少々度が過ぎていますが、貴女は常に他者を気遣う事ができる…そういう立派な方です」
羽黒「…………提、督…」ジワッ
提督「そんな心優しい方を、不要と思うはずがないでしょう」
羽黒「提督…提督うううう……」ダキッ
提督「……やれやれ」
―廊下の角―
妙高「あら…あらあらあら……」
陸奥「妙高?何私の物まねしてるの?」
―17時、執務室―
提督「……ですが、羽黒さんの小心者、という問題は根本的には解決していませんよね」
妙高「そう言えば…そうでしたね…」
羽黒「ご、ごめんなさい…。私の問題なのに、皆さんにまで迷惑をかけてしまって……」
提督「いえ、それは別に悪い事ではありません。むしろ良かった点は、羽黒さんが対人恐怖症というわけではないという点です」
妙高「対人恐怖症?」
提督「要は、人と接するのを恐れる症状です。この国の提督の中には、対人恐怖症の提督もいらっしゃいます」
羽黒「…何でその人、提督やってられるんだろ…」
提督「貴女も一度会ってみるといいでしょう。まあ、それはともかくとして、羽黒さんは他の皆さんとは良好な関係を築けておりますので、対人恐怖症と言う問題はないのですが…小心者を直す良い解決方法があればよいのですが…」
妙高「……今さらなんですけど、那智と足柄にも相談した方がいいわね…」
提督「そう言えば、それが一番良いかもしれませんね」
羽黒「ごめんなさい…私なんかのために…」
―数分後、重巡洋艦・休憩室―
那智「酒だな」
足柄「酒で気を大きくすればいいじゃない」
提督「聞いた私がバカでした」
妙高「いえ、これはある意味良いアイディアかもしれませんよ。お酒を飲めば、羽黒の臆病さも軽減されるのではないかと…」
提督「……本来、酒を飲んで出撃する事は禁止なんですが、まあ1度だけなら許可しましょう。その代り、妙高さんも同行してください。それでしたら、許可しましょう」
妙高「お安い御用です」
羽黒「へ?お酒?」
―翌日10時、重巡洋艦・休憩室―
羽黒「う…うぅぅぅぅ……///」
妙高「いい感じに酔いが回ってるわね」
提督「あんまり泥酔させますと、逆に前に進むことも困難になりますので、これくらいにしておきましょうか」
足柄「それじゃあ頑張ってねー!///」
那智「私らはここで飲んでるから、何かあったら呼んでくれ///」
提督「何あんたらどさくさに紛れて飲酒してるんだ」
―数十分後、アルフォンシーノ方面・Gマス(深海棲艦泊地艦隊)―
ズドオオオオオン!!バゴォオオオオオオン!!!
空母ヲ級flagship「モ、モウ…堪忍シテツカァサイ…」大破
羽黒「ハッハッハァ!!良いね良いねぇ、その表情…たまんねぇぜ…!」ズドス
空母ヲ級flagship「グ……」撃沈
戦艦ル級flagship「ヒッ……」中破
羽黒「次はテメェの番だ…私のファンサービスを、受け取れェ!!」ドゴォォォォォォォォ
戦艦ル級flagship「グオオオオオオ……」撃沈
羽黒「ちっ……どいつもこいつも歯ごたえのない…もっと骨のあるやつを呼んで来やがれェ!!」
駆逐二級elite「…………!!」ビクビク
羽黒「後はテメェだけのようだなぁ…」ジリジリ
駆逐二級elite「………………」ウルウル
羽黒「『私ひとりじゃ力及びませんから投降します、許してください』ってかぁ?」
駆逐二級elite「………………」コクコク
羽黒「許すわけねぇだろ、ダボがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ズッドーン
駆逐二級elite「アイエエエエ……」撃沈
羽黒「はっはぁ!!暁の水平線に勝利を刻んでやったぜぇえぇぇ!!」
妙高「」
―数時間後、執務室―
提督「……………」
妙高「…と言った感じで、ボス艦隊を1人で全滅させました。無傷で」
羽黒「うぅ……頭が痛い……私、そんなにすごいことしたんですか…?酔って何にも覚えていないです…」
提督「……なんか、真剣に悩んだ私たちがバカみたいですね」
このあと、艦娘が飲酒して出撃する事は完全に禁止された。
【終わり】
60 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/22 22:07:57.17 Yt+9nXSG0 33/565【キャラクター紹介】
≪羽黒≫
妙高型重巡洋艦四番艦。艦娘No.58(改二はNo.194)。いつもおどおどしていて、泣き虫でもある。深海棲艦に同情してうまく攻撃する事ができない、
戦果が芳しくないと、怒られることを恐れて報告を躊躇するなど小心者なところがあるが、本当は心優しい性格。姉達とは良好な関係が築けている。
酒に酔うとヤ○ザのような口調になって性格も獰猛になる。お酒には弱い。気遣いなら誰よりもできる。
好きな言葉は『一視同仁』。
―13時過ぎ、廊下―
龍驤「ふっふーん♪演習で完全勝利や!これなら提督はんも喜んでくれるやろな~」タッタッタ
龍驤「明日は鳳翔はんと一緒にお出かけやし、ウチ、最近絶好調やなぁ~♪」タッタッタ
龍驤「おっと、あかんあかん。報告する時はシャキッとせんとな」コホン
龍驤「じゃあ―」スッ
バン!!!
龍驤「!?」ビクッ
龍驤「ど、どないしたん!?」
鳳翔「あ、龍驤ちゃん!ちょうどいいところに!ちょっと提督を止めるのを手伝っていただけますか!?」
提督「おzpdかどmzぴおじゃpzhぱあphzbphwfhzうぁfmxぱfみあz」ブツブツブツブツブツ
龍驤「なんやこの状況!?」
提督「うぇjfんぇふhpcぶあxhかzんくあzちゃえpcずpvhぺwbhcヴぉね」ブツブツブツブツブツ
龍驤「文字化けしとるやないけ!」
鳳翔「ですから、早く止めないとならないんです!」
龍驤「そ、そや!キミ、間宮さんのトコにでも行こ!な?」
鳳翔「そ、そうです!間宮さんのスイーツでも食べて気分転換しましょう!ね?」
提督「かそぴんdhphfんっはfぱfzんfぽうぇざfphざvhzwふぉfp―!!」ブツブツブツブツブツ
【一航戦とお出かけ】
―数十分後、食堂―
提督「…………」ズズズ
鳳翔&龍驤「…………」ドキドキドキドキ
提督「……ふぅ。すみません、落ち着きました」
龍驤「な、なんであんな状況に…?」
提督「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。2日連続の徹夜の上、視察した鎮守府の提督の態度が臓物に来るような事ばかりでしたので、鎮守府に戻ってきたら暴走してしまいました」
龍驤「臓物に来るような事って…何?」
鳳翔「ええとですね…人を見下す、理不尽な事しか言わない、自分の言ってることが正しいと信じて疑わない…等」
龍驤「そら腹立つわな…」
提督「いえ、昔あのような人物を知っていましたので、なおさら腹が立ったのです」
龍驤「司令長官の補佐官ってのも大変なんやな」
提督「あの提督は、私よりも年上で、立場よりも年齢の方が大事だろって野郎でしたので…」
鳳翔「それよりも提督?2日連続も徹夜なんて、そんなに頑張っていては、いずれ体を壊してしまいますよ」
提督「申し訳ございません、司令長官にも仕事をやらせたのですが、補佐官としての仕事がまだまだ山積みでして…」
龍驤「そんなら、うちらを頼ってくれてもよかったのに…」
提督「いえ、貴女たち艦娘は深海棲艦と戦うのが主で、秘書艦としての仕事は二の次です。それに、鳳翔さんも龍驤さんも昨日から出撃と演習を、していたでしょう。そんな2人たちに無理を強いる事はできません」
鳳翔「それでも」ズイッ
龍驤「それでもや」ズイズイ
提督「?」
鳳翔「貴方は、もっと私達を頼った方がいいんです」
龍驤「なんでも1人で抱え込んだらあかんて。ウチらに相談してもええんやで?」
提督「……………」
鳳翔&龍驤「…………」ジー
提督「…分かりました。頼る機会がありましたら、頼らせていただきます」
鳳翔「はい、それでいいんです」
龍驤「せやせや」
鳳翔「それより、2日連続で徹夜って、御体も疲れているでしょう?」
提督「確かに…体が少しだるいですね」ゴキゴキ
鳳翔「でしたら、今からでもお休みになられては?」
提督「いえ、それはだめです。いくら疲れているからと言って、貴女たちの負担がかかるような事をしては…」
鳳翔「提督?今日の秘書艦は私なんですよ?」ジロッ
提督「……すみません、鳳翔さん。できるだけでいいので、私の仕事を少し片づけていただけますか?」
鳳翔「分かりました」ニコッ
龍驤「せや、キミ!」
提督「はい?」
龍驤「明日、鳳翔はんと一緒にお出かけなんやけど、キミも一緒にどうや?」
提督「……お出かけ、ですか。しかし明日は提督としての仕事を…」
司令長官「いいんじゃないの?行っても」
提督「へっぽこ司令長官…」
司令長官「変な枕詞は置いといて…。黎明君、最近儂が仕事を押し付けているのを引いても働き過ぎに見えるんだよ。たまには、息抜きでもしたら?」
提督「しかし、補佐官及び提督としての仕事が…」
司令長官「それは儂がやっておくから、ね?」
提督「……では、お言葉に甘えさせていただいて、鳳翔さん、龍驤さん」
鳳翔「はい?」
提督「…明日のお出かけに、ご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」
龍驤「もっちろん、ОKや!」
―翌日10時過ぎ、列車内―
ガタンゴトン、ガタンゴトン
提督「すみません、私までご一緒させていただくなんて。お2人のプライベートに…」
鳳翔「大丈夫ですって」
龍驤「そんなに気に病む必要はないんやで?今日はうちらと一緒に休みを楽しむで?」
提督「…そうですね。ところで、行先は?」
アナウンス『次は、鎌倉。鎌倉です』
龍驤「うちらにとっても重要な場所や」
鳳翔「正確には、私達艦娘にとっても、ですね」
提督「?」
―数十分後、三笠公園―
提督「‶戦艦・三笠‶…ですか」
龍驤「ここ横須賀は、‶龍驤‶が生まれた場所やし、縁深き所や」
鳳翔「ですから、一度は来てみたいと思っていたんです」
提督「なるほど…」
龍驤「さ、はよ三笠に乗ってみよ!」グイッ
提督「そんなに袖を引っ張らないでください…」
鳳翔「龍驤ちゃんはやんちゃですから…」
―1時間後―
龍驤「いや~、楽しかったなぁ!」
提督「そうですねぇ…。三笠の内装が、あんなふうになっているとは知らなかったです…」
提督(海軍のプラモの展示会、艦隊コレクションって…何か違和感を感じる…)
鳳翔「提督はここに来たことはなかったんですか?意外ですね…」
提督「ええ、何分多忙ですから…」
龍驤「ほんなら、今日ここに来れてよかったなぁ!」
鳳翔「私達も、提督と一緒に来れて、嬉しかったです」
提督「……ええ、私も嬉しかったです」ニコ
鳳翔&龍驤「!」
鳳翔(今……一瞬だけ…)
龍驤(提督はん……笑った?)
提督「?どうかしましたか?」
鳳翔「い、いえ。別に…」
龍驤「なんもあらへんで!」
鳳翔&龍驤(もしかして、私/ウチ、すごい貴重な場面に出会えたかも…?)
ぐうううううう……
提督&鳳翔「おや?」
龍驤「あ、あははは……ごめん、ウチの腹の虫や」
鳳翔「あら…そう言えばもうそんな時間でしたね」クスクス
提督「横須賀と言ったら、海軍カレーか横須賀バーガーですかね」
龍驤「アカン…ウチ、もう限界や…。はよ食べにいこ…」
―数十分後、料理店―
提督「流石に‶coco壱‶は無いかと思いましたので、ささっと検索してよさそうな店を見つけました」
龍驤「当たり前やろ…」
鳳翔「ここまで来て流石にチェーン店っていうのは…少し…」
提督「まあ、入りましょう」
カランコロン
店員「いらっしゃいませ~、3名様でしょうかぁ?」
提督「はい」
店員「では、こちらの席へどうぞ~」
ストン
提督「ありがとうございます」
店員「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びくださ~い」
提督「さて、何にしましょうかね」
鳳翔「あ、横須賀バーガーもありますよ?」
龍驤「うわっ…カロリー高っ……こら太ってまうわ…」
鳳翔「私は、このネイビーカレーにしましょうか」
提督「では、私もそれで」
龍驤「う~ん…ほな、ウチもそれで」
―十数分後―
店員「お待たせいたしましたぁ。ネイビーカレー、3人前です」コトッ
提督「では、いただきましょうか」
鳳翔「はい、いただきます」
龍驤「いっただきまーす!」
パクッ
3人「……………」
提督「………普通に考えたら、私達いつも海軍カレー食べてますよね」
鳳翔「………ええ」
龍驤「……せやったな。ああ…横須賀バーガーにすればよかった…」
―数時間後、列車内―
ガタンゴトン、ガタンゴトン
提督「………ZZZZZZZ」カクンカクン
鳳翔「やっぱり、お疲れになられてたんですね」
龍驤「せやなぁ…ここ最近、夜に執務室の明かりがつきっぱなしって事も何度かあったし…」
鳳翔「これからは、提督に負担がかからないように、私達も頑張らないとですね」
龍驤「せやなぁ……にしても」
鳳翔「あの、提督の一瞬だけ見せた笑顔…」
龍驤「……惚れてまうやろ…///」
提督「………ZZZZZZZ」
鳳翔「…それにしても、可愛らしい寝顔ですね」ナデナデ
龍驤「あ、ずるい!ウチもウチも!」ナデナデ
提督「………ZZZZZZZ」
鳳翔「ふふっ。起きないですね」ナデナデ
龍驤(グリーン車で良かった…。普通車でこんなことやったら、恥ずかしくて死んでまうわ!)ナデナデ
【終わり】
73 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/23 22:15:19.23 j3DGW8ZU0 41/565【キャラクター紹介】
≪龍驤≫
龍驤型軽空母一番艦。艦娘No.30(改二はNo.157)。なんちゃって大阪弁と独特なシルエットが特徴の元気少女。鳳翔とは元一航戦コンビだったため、
今でもよく一緒に行動している。寮の部屋も同室。艦載機の扱いは非常に上手く、その腕は赤城や加賀に劣らない。横須賀の海軍工廠生まれなのに、
大阪弁を使う理由は謎。胸は控えめだが、将来性はある。得意料理はたこ焼きとお好み焼き。
好きな言葉は『竹馬の友』。
―14時過ぎ、カレー洋制圧戦・Dマス(東方主力艦隊)―
ズドドドドオオオオオン
空母ヲ級elite「ガフッ…!?」撃沈
夕立(改二)「よし、後はあいつだけっぽい!」
摩耶「やっちまえ、夕立!」
戦艦ル級flagship「バカナ……タカガ駆逐艦如キニ私ノ艦隊ガ殲滅サセラレルダト…!?」
夕立「さあ、貴女に悪夢を見せてあげるわ!」ズッドーン
ドゴォォォォォォォォ
戦艦ル級flagship「バカナ…バカナァァァァァァァァ…!!」撃沈
夕立「よし、これで全滅っぽい!」
摩耶「すげぇじゃねぇか!夕立!今日のMVPはお前だぜ!」
白露「あーあ、白露が1位じゃなかったか~!」
千歳「それじゃあ、鎮守府へ帰りましょうか」
夕立「はーい!」
金剛「夕立は頑張ったネー!Meがご褒美にアイスをプレゼントするヨー!」
夕立「わーい!」
【ソロモンの悪夢】
―16時過ぎ、執務室―
金剛「報告は以上ネー!」
提督「はい、分かりました。お疲れ様です」
金剛「Meは労いのWordよりモ、Actionが欲しいネー」
提督「MVPを取ったのは夕立さんでしょう」
金剛「釣れないデース…」
パタン
提督「夕立さんも、改二になってからはメキメキ敵を倒してますね…」
高雄「そうですね。夕立ちゃんって、火力が私達重巡並みかそれ以上ですよね」
提督「まさに、‶ソロモンの悪夢‶を敵に見せている感じですね」
高雄「改造をしただけで、そこまで変われるものなんですね…」
提督「あ、もしかして改二実装されていない事に、不満が?」
高雄「分かっているんです…妹2人が先に改二実装されて…私には実装されない…。おまけに改二の決定基準は妖精さんの気分って…。私には、どうする事も出来ないって分かってます」
提督「…話を戻しまして、夕立さんのあの戦果は、改二による賜物だけではない、という事です」
高雄「?」
―数十分後、食堂―
夕立「ん~!間宮さんのアイスはいつも美味しい!」
間宮「ふふっ、ありがとうございます♪」
白露「それにしても、夕立ちゃんはすごいよね~」
村雨「改二になってからは戦艦も倒せるようになったんでしょ?」
夕立「いや~、それほどでもないっぽい~」
提督「夕立さん」スタスタ
夕立「あ、提督さん…。こんにちは!」ビシッ
提督「はい、こんにちは。後、室内で敬礼はいいと言ったはずですが」
夕立「あ、すみません」
白露「それより提督さん、どうかしたの?白露たちに何か御用?」
村雨「もしかして夕立ちゃん、ドーピングでもしちゃったとか?」
夕立「そ、そんな事してないっぽい!」
提督「ええ、夕立さんドーピングなどしてません」
夕立「でしょ?」
提督「ご安心ください、ここに来たのは気分転換です」
白露「あ、そう言えば提督さん、ちょうどいい機会だし、少し聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
提督「はい?」
白露「夕立ちゃんって、白露型の中では一番最初にこの鎮守府に着任したんだよね?」
提督「そう、ですね。はい、確かに白露型の中では夕立さんが一番最初に私の鎮守府に来ました」
村雨「じゃあ、夕立ちゃんの練度が私達白露型の中でも一番高いのは、やっぱり古株だから?」
夕立「古株って……」
提督「ああ、それもありますけど、大半は夕立さん自らの努力ですね」
白露&村雨「へ?」
提督「夕立さんは着任当初から、元気な方でしたね…」
―3年前・11時過ぎ、執務室―
※3年前、この提督は、まだ司令長官補佐官ではありませんでした。その辺の話はまたの機会に。
古鷹「南西諸島防衛線にて新しい艦娘の方を発見いたしました」
提督「では、こちらに連れてきてください」
古鷹「はい、分かりました」
―――――――――――――――――
夕立「こんにちは!白露型駆逐艦・夕立よ。よろしくね!」
提督「はい、よろしくお願いいたします」
夕立「私が来たからにはもう大丈夫っぽい!深海棲艦なんて、イチコロっぽい!」
提督(ぽいぽい…不確定要素の多い言葉ですね…矯正のし甲斐がありそうだ…)
白露「提督さん、そんな時からそんな事考えてたんだ…」
提督「何分、曖昧な表現があまり好きではないので…」
村雨「その話は置いといて、ただ夕立ちゃんは元気だったって事だけ?」
提督「いえ、他にもいろいろありますが…」
―夕立着任から数週間後・10時過ぎ、食堂―
提督「えー、本日ヒトサンサンマル(13時30分)から、銚子第壱拾壱鎮守府と演習を行います」
ザワ・・・ザワ・・・
提督「どなたか、演習に参加したい方はいらっしゃいますか?」
夕立「はい!じゃあ、夕立が参加したいっぽい!」
提督「夕立さんですか…。ですが、まだ艤装と扱い方については…」
夕立「もうほとんど理解したっぽい!だから、演習で試してみたいっぽい!」
提督「……分かりました。では、夕立さんは確定として、他は―」
提督「…それでその演習では、実戦経験が浅い艦娘の割には高い戦果を挙げていましたね。MVP、とまではいきませんでしたが」
白露「すごいね…そんな艦娘になったばかりだっていうのに演習に参加したがるなんて…」
村雨「私だったら、もう少し時間をおいてから参加していたかも」
提督「ですから、夕立さんは積極的に演習や出撃に参加していました。それで、コツコツコツコツとそれを長年繰り返していき、最終的に、わが鎮守府で最初に改二になる事ができた艦娘になれたのです」
夕立「これこそ、夕立の長年の努力の結果っぽい!」
提督「そうですね…。夕立さんは毎日毎日訓練や演習に参加してましたし、雨の降る日なんかは勉強もしていましたしね…」
白露「すごいね~。あたしには無理かも…」
村雨「確かにね…毎日毎日鍛錬なんて、ベテランにしかできないと思う…」
タタタタ
大淀「提督!」
提督「おや、大淀さん。どうかしましたか?」
大淀「北方AL海域に、深海棲艦の勢力が結集しつつあるとの報告が、偵察部隊から…!」
提督「!」
大淀「司令長官に報告したところ、『下手に時間を延ばして放っておくと強大な戦力になりかねないから、早めに撃破しておくべき』とおっしゃって…。つまり…」
提督「すぐにそこへ向かい、撃滅するという感じですか」
大淀「…はい」
提督「分かりました。では、さっそく艦隊を編成いたしましょう。編成は…」
夕立「提督さん、夕立が出るっぽい!」
提督「いえ、貴女は先ほど帰投したばかりで…」
夕立「ううん、夕立はまだ戦えるから!みんなの役に立ちたいから…!」
全員「………………」
提督「…大淀さん、どう思います?」
大淀「そうですね…。あの海域を攻略する際には、駆逐艦は1隻必要ですから…」
提督「では、夕立さん。艤装を装備して、直ちに波止場へ向かってください」
夕立「はい!」
提督「では、大淀さん。通信室へ向かいましょう」
大淀「はい、分かりました」
提督「では、白露さん、村雨さん。私はこれで」スタスタスタ
白露「…夕立ちゃんって、すごいよね」
村雨「…そうだね…。こんな緊急時にも率先して参加しようとしたりして…」
白露「……訓練場で、訓練でもしようか」
村雨「そうだね。提督の話を聞いたら、夕立ちゃんに早く追いつきたくなっちゃった」
白露「あたしも」
―数分後、通信室―
大淀「夕立さん、率先して参加するなんて、ご立派ですね。火力も重巡並みもしくはそれ以上…申し分なしですね」
提督「そうですね…。ただ、彼女の火力が強力過ぎるのは、少々問題もあるんですが」
大淀「へ?」
提督「その話はあとで…編成は、旗艦は飛龍さん、他は夕立さん、青葉さん、衣笠さん、榛名さん、蒼龍さんで行きましょう」
大淀「は、はい。分かりました!」
提督「これらの方に、艤装を装備して波止場へ向かうように連絡をお願いいたします」
大淀「了解しました!」
―数十分後、波止場―
提督「偵察部隊から、北方AL海域に深海棲艦の勢力が再結集しつつあるという情報が入りました」
飛龍「その勢力って…強力ですか?」
提督「そうですね…。今現在観測されている勢力は、攻略不可能と言うほどではございませんが、このまま放っておくと、いずれは極めて強力な艦隊に、なってしまうかもしれません。そうなる前に、この勢力は潰しておくべきですね」
飛龍「はい…分かりました」
提督「では皆さん、よろしくお願いいたします。全員のご健闘をお祈りいたします」ビシッ
艦隊「はい!!」ビシッ
―17時半過ぎ、Fマス(北方AL泊地)―
北方棲姫「カエレ!!」ドォン
榛名「きゃぁっ!?」中破
青葉「榛名さん!大丈夫ですか!?」
榛名「は、榛名は…大丈夫です。だから…」
北方棲姫「?」
榛名「はあああああっ!!」ズドドン!!
北方棲姫「ク…」混乱
衣笠「いまいち、ダメージが与えられてない感じだね…」
夕立「なら、夕立にお任せッ!」ザザザザザザザ
北方棲姫「!」ガシャン
北方棲姫(…動きが速すぎて、照準を定められない…!)
夕立「ここだああああああああああ!!!」ドドドドドドドン
北方棲姫「ゴアアアアアア…!?」破壊
北方棲姫「バカナ…コノ北方棲姫ガ…コノ私ガ、駆逐艦如キニ負ケルトイウノカ…!?」ゴボゴビ
青葉「いや、貴女も見た目は幼女で夕立さんと大して変わらないじゃないですか」
夕立「やったっぽい!」
衣笠「すごいじゃない!北方棲姫を一撃で沈めるなんて!流石、ソロモンの悪夢案内人!」
夕立「変なあだ名をつけないでほしいっぽい…」
蒼龍「あれ、榛名さん?どうしたの?」
榛名「…なんでも、ないです……」
―18時過ぎ、執務室―
提督「夕立さんの火力が強く、実戦経験も豊富なため、戦艦よりも高い戦果を挙げる事が良くあるんです。それで、戦艦の方が拗ねてしまう事が、よくあるんです…。プライドの問題でもありますが…」
大淀「強くなるには、他の皆さんの事も考えないといけないって事ですか」
白露「強くなるのって、面倒くさい…」
【終わり】
87 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/25 22:31:53.18 D5logaqc0 49/565【キャラクター紹介】
≪夕立≫
白露型駆逐艦四番艦。艦娘No.82(改二はNo.144)。ぽいぽい口調が特徴の少し不思議な女の子。実はすごい努力家で、毎日訓練と勉強を欠かさない。
努力と積極性のたまもので、この鎮守府で初めて改二が実装された。改二になった後の火力は重巡洋艦をも上回り、戦艦に追いつく勢い。そのせいか、
戦艦の方々のプライドが若干傷ついてしまう事に…。敵艦隊に悪夢を見せる事から、つけられたあだ名が‶ソロモンの悪夢案内人‶。
好きな言葉は『夢は逆夢』。
全国各地の提督には、それぞれ階級が与えられている。
階級は、上から順番に元帥・大将・中将・少将・大佐・中佐・新米中佐・少佐・中堅少佐・新米少佐、である。
これらの階級は、全国の提督及び鎮守府の戦果を統計し、それ相応の階級が与えられる。
そしてその戦果を統計するのは、当然ながら海軍総司令部の仕事なのである。
だが、前の司令長官の戯言によって、戦果を統計する部署は解体されてしまった。
つまり、今戦果を統計しているのは、艦娘なのだ。
【ワーカホリック艦娘】
―11時過ぎ、司令長官執務室―
司令長官「はー……」
提督「どうかしましたか?」
暁「溜息なんてすると、幸せが逃げちゃうわよ?」
司令長官「あ、黎明君に暁ちゃん…。いやね、ちょっと頭の痛い意見文が届いたんだよ」
提督「は?」
暁「どういう意味?司令長官頭痛なの?」
司令長官「ま、読んでみればわかるって」スッ
提督「では、失礼して…」チラッ
暁「?」チラッ
本文要約:この前まで大将だったのに何で今日は少将になっているんだ。お前ら頭おかしい、金よこせ。 深浦第鉢拾鎮守府提督』
提督&暁「」
司令長官「こういうステレオタイプのバカな提督って、いるもんだねぇ」
提督「……暁さん、霧島さんか鳥海さんを呼んできてください。」
暁「霧島先輩か鳥海先輩?」
司令長官「へ?あの2人を?」
提督「それとついでに、第鉢拾鎮守府のデータも持ってきて、と伝えてください」
暁「第鉢鎮守府のデータね、分かったわ!」タタタ
司令長官「ああ、データ課の2人を呼んだのね」
―数分後、司令長官執務室―
暁「霧島さんも鳥海さんも、手が離せないからって、部屋の前でデータ用紙だけ渡してくれたわ」
提督「やはりあそこは多忙ですからねぇ…」
暁「はい、データ用紙よ」スッ
提督「ありがとうございます。では…」チラッ
司令長官「どう?」
提督「2日前あたりから、深海棲艦の撃破記録が下がっていますね。大方、階級が上がったからと驕り、出撃をしなくなったのでしょう。要するに、ただの自業自得です」
司令長官「ああ、やっぱりね」
提督「…ところで、暁さん。あの2人の様子、どうでしたか?」
暁「え?うーん……なんか、少し疲れている感じだったわ。その紙を渡してきた時も…」
―数分前・データ課前―
霧島『はい…どうぞ…』スッ
暁『あ、あの…大丈夫?』
霧島『だ、大丈夫大丈夫…。ですから、心配しないで』フルフル
暁「なんか、息が切れてて、手が震えていたけど…」
提督「何でそれを疑問に思わないんですか」
司令長官「データ課って、確か霧島君と鳥海君だけだったっけ?」
提督「はい、データ処理が元々あの2人は得意だったので…それと、彼女たちが自ら志願したので」
暁「そう言えば、私データ課の部屋には入った事が無かったわ…」
提督「では、今から行ってみますか?」
暁「え?いいの?」
提督「私個人として、2人の様子が心配ですので」
司令長官「あの2人…大丈夫かねぇ…」
―データ課―
提督「霧島さん、鳥海さん。大丈夫ですか?」コンコン
霧島『し、司令…!?ちょ、ちょっと待ってください…!』
鳥海『え、提督!?今、ちょっと大変な事に…!』
提督「何か異常が起こったんですか―」
ガチャッ
どざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざざ(ドアから大量の書類が流れ出る音)
提督&暁「」
霧島「ああ…片付けようと思ったのに…」
提督「…まさか、部屋の中をきれいにする暇もないとは…。すみません、片付けるの手伝います」
鳥海「い、いえ…大丈夫です。この書類、全部捨てる予定のものでしたので…」
暁「こ、こんにちは…」
霧島「あら、暁さん。また何か御用ですか?」
暁「い、いえ…ちょっと提督が様子を見に行くって言ったから、ついてきただけで…」
霧島「様子?」
提督「先ほどデータを受け取った時、霧島さんの様子がおかしいという事を聞いたのですが…」
霧島「おかしい…?霧島がですか?」
提督「目の隈がひどいですね…もう何連続徹夜ですか」
霧島「そうですね…もう3~4日は徹夜付けですね…」
暁「寝てくださいよ…」
霧島「徹夜も度を超すと、かえって眠気が無くなっちゃうんですよ」
提督「寝てください」
鳥海「霧島さんは私よりも働きすぎです。私なんて、2~3日徹夜ですよ」
提督「貴女も休んでください」
暁「ねえ、霧島さん、鳥海さん。部屋の中見せてもらってもいい?」
霧島「へ?ああ、別に構いませんけど…」
鳥海「散らかってますよ?この書類の山から分かる通り…」
暁「………」チラッ
暁「…わっ、机に書類が山積み…」
提督「霧島さんと鳥海さんは、私が司令長官補佐官となる前にも戦果や装備系のデータを統計していましたので、ここでも同じような仕事を、してもらっているんです」
鳥海「データとかをまとめるの、好きなんですよね~」
霧島「私は、グラフや表を作るのに魅力を感じて…」
提督「それ、明らかに女性がする会話の内容じゃないですよね」
暁「…あれ?パソコンが無い…」
提督「パソコンは、コンピューターウイルスやフリーズした際の後始末が面倒だからと言う理由で、前の司令長官が廃止しました」
暁「ホントひどいわね…」
霧島「へ?前の司令長官?」
鳥海「嫌ですね~。新日本海軍の司令長官は今の司令長官だけですよね~」
暁「へ?え、ええ~…?」
提督「ああ、心配しないでください。一部の艦娘の自己暗示です」
暁「そ、そうなんだ…。そ、それじゃあこのグラフや表は…」
霧島「私の手書きですよ?」
鳥海「それと、各鎮守府へ送る戦果データも、手書きのものをコピーしたものです」
暁「す、すごい!」
提督「まあ、膨大な量の書類を手書きで作成しているので、彼女たちはよく、腱鞘炎になってしまうんです」
暁「腱鞘炎って……艦娘がなることってほとんどないんじゃないかしら…」
鳥海「いえ、でも最近は腱鞘炎になることも少なくなって…」
霧島「それよりも徹夜による睡眠不足を何とかしないとって思うようになって…」
提督「ちゃんと睡眠はとっているんですか?」
霧島「とっていますよ?ちゃんと3時間」
鳥海「あ、すみません霧島さん。私は少し長めの3時間半…」
提督「寝てください。誰か、他の方に代役を頼んで休めばよろしいのでは?」
霧島「まあ、そうする事もたまにあるんですけど…」
鳥海「皆さん、こういったデスクワークにはあまり慣れてないらしくて、引き継ぐ際は大変なんですよね…」
提督「もう少し、皆さんにデータ処理能力を持ってもらう必要がありますね…」
暁「ね、ねぇ…司令官、ちょっと気づいたんだけど…」
提督「はい?」
暁「霧島さんと鳥海さんって、出撃とかしてるの?」
提督「してますよ?彼女たちも艦娘ですので」
暁「よ、よかった…」
提督「ですが、彼女たちが睡眠不足で元気な際しか出撃させていませんし、無傷で帰ってくることはほとんどありません」
暁「だめじゃない!」
霧島「いえ、別に疲れてとかじゃないんです。考え事をしてしまって…」
鳥海「ええ、感じの‶易‶を上手く書く方法を模索したりして…」
暁「出撃中くらいは仕事の話を忘れてよ!あ、出撃も艦娘の仕事か…あーん、もうわかんない!」
霧島「あれ?私達って、出撃の息抜きにデータ処理してるんでしたっけ?」
鳥海「へ?データ処理の息抜きに出撃してるのでは…?」
提督「ああ、どうやらもう2人は手遅れらしい」
提督「とにかく、どうしようもなく疲れているのでしたら、相談をしてください。私は貴女たちの上司なのですから」
霧島「そうですね。では、今度からそうします」
鳥海「暁ちゃん、また来たくなったら来てね?」
暁「あ、うん…そうするわ」
パタン
提督「思ったより、ひどいですね」
暁「そうね…あの2人って、結構真面目だと思ったのに…」
提督「あの2人の言う通り、データ処理に長けている艦娘は少ないんです。ですので、あの2人の代わりとなれる艦娘を見つけるのが難しくて、2人が休めないんです。各鎮守府の戦況データは、午前3時と午後3時に妖精さんネットワークを通して、ここに報告されますので…。おそらく、彼女たちは朝早くから作業を始めて、夜遅くまでデータ処理をしている…」
暁「そう言えば、あの2人を見たのって、朝礼の時ぐらいしか…」
提督「流石に目も当てられませんので、強制休暇を十数日ほど与えていますけど」
暁「あ、さすがに休みはあげてるのね…」
提督「当たり前じゃないですか。ブラック鎮守府じゃないんですから」
暁「…それは別として、霧島さんと鳥海さんって、ちゃんとご飯食べてるのかしら…」
提督「彼女たちの部屋のゴミ箱、栄養ドリンクやジェダーウインダーインゼリーが詰め込まれていましたし、食事もまともに取れていないようです…」
暁「もう、パソコンを買うしかないんじゃないのかしら?そうすれば、少しは負担も減ると思うし…」
提督「いえ、私もそうしようと思ったんですが、彼女たちが『字を書いていないと気が済まない』と言ってきたので、使わなくなったんです」
暁「ワーカホリックも行きすぎな感じが…」
提督「……やはり、パソコンを使わせましょうか。後は、鎮守府の皆さんにデータ処理能力を学習してもらうしか…」
―12時過ぎ、食堂―
司令長官「そう言えば、第鉢拾鎮守府の話、どうする?」
提督「あの提督の階級は少佐に落とします」
暁「少将から少佐に落とすって…えげつないわね…」
提督「何言ってるんですか。たった一文字、‶将‶と‶佐‶が変わっただけですよ。特に大差ないです」
霧島「司令にもわかっていただけましたか!字の美しさに!」
鳥海「いやー、字の美しさって分かるといいですよねぇ!昨夜なんかそれで霧島さんと話が盛り上がっちゃって寝るのも忘れて―」
提督&暁&司令長官「寝ろ!!!」
【終わり】
100 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/26 22:14:22.71 vOOfILff0 57/565【キャラクター紹介】
≪霧島≫
金剛型戦艦四番艦。艦娘No.24(改二はNo.152)。ショートヘアと眼鏡が特徴の頼れるお姉さん。データ処理能力に長けており、前の鎮守府でも、
今の鎮守府でも戦況データの集積、統計業務に励んでいる。しかし、最近は睡眠時間を削ってまで作業をしているため、連続徹夜も頻繁にある。
今ではデータ統計の息抜きに出撃、状態になっている。休日の楽しみ方は、睡眠と金剛型姉妹のお茶会。
好きな言葉は『思い立ったが吉日』。
≪鳥海≫
高雄型重巡洋艦四番艦。艦娘No.62(改二は227)。ロングヘアに眼鏡が特徴の知的なお姉さん。霧島と同じくデータ処理が得意で、霧島とコンビで、
戦況データ集計、統計業務を行っている。霧島は先輩にあたるため、霧島に気を遣うような言動をよくする。高雄型の姉たちとのコミュニケーションも、
欠かさない。出撃する頻度は霧島よりは少し多いが、戦闘時は殴る・蹴るなど意外と暴力的。
好きな言葉は『善は急げ』。
―9時半過ぎ、駆逐艦寮―
江風「白露の姉貴、ちょっと―」
白露「あ、ゴメン。今提督に書類仕事を任されちゃってて…またあとでね!」
江風「なンだよ…ちぇっ」
―10時前、食堂近く―
江風「あ、村雨!手伝ってほしい事が―」
村雨「あ、ごめんね…。今、提督からファイルを探すように言われちゃって…悪いけど、他の人を当たって?」
江風「ええ~……」
江風「おかしい…何で普通の艦娘、しかも駆逐艦がこんな書類仕事ばっかり任されてるんだ?」
【そもそもの元凶】
江風「こうなったら…直接提督に訊いてやる」
―10時半過ぎ、執務室―
江風「白露の姉貴だけじゃねぇ、見た目子供の駆逐艦まで働かせてるなンて、おかしいじゃねぇか!」
提督「……それに関しては、申し訳ございません。この鎮守府は、提督としての仕事に加えて、司令長官補佐官としての仕事も任せられているんです。それゆえ、仕事が多いんです」
江風「司令長官補佐官の仕事なンざ、海軍の連中をこっちに流してくりゃいいだろーが!」
提督「それが、今は雇える状況にないのです」
江風「なンだそりゃ、何か理由でもあンのか?」
提督「それは……言えません」
江風「おいおいおい、そりゃねーだろ!」
提督「理由は……すみませんが、話す事ができません」
江風「チッ…曖昧な言い方ばっかりしやがって…ムカつく!」
提督「……………」
江風「…今度はだんまりかよ。とにかく、だ。どンな理由があるにしろ、駆逐艦の子供を働かせるなンて、間違ってる。言っておくが、これは、江風が子供だからって理由じゃねぇぞ。白露の姉貴たちも、疲れてるように見える。それでも働かせてるのが気に食わねぇからだ」
提督「…………駆逐艦の方の仕事を、減らす事にします」
江風「あくまで仕事は続けさせるのか。ああ、もういいや。別の奴に話を聞いてもらうしかねーか。邪魔したな」
提督「…………江風さん」
江風「あン?」
提督「…………申し訳ございません」
江風「…フン」
パタン
江風「他の奴って言えば…司令長官ぐらいか」
―数分後、司令長官執務室―
コンコン
司令長官「ん?誰かな?」
ガチャ
江風「あたしだ、江風だ」
司令長官「おや、江風君。鎮守府には慣れたかな?」
江風「ああ、だいぶ慣れてきたぜ。ただ、あの提督は気に食わねぇ」
司令長官「ん?黎明君が?いや、おかしいなぁ…」
江風「あン?何が?」
司令長官「彼ほど優秀で、気遣いのできる提督は、そういないと思うけど…まあ、ちょっとおかしい行動をする事もあるけど」
江風「あいつが、優秀で気遣いのできる?そりゃ間違ってンぜ」
司令長官「へ?どうして?」
江風「だってあいつ、かくかくしかじかで、これこれうまうまなンだぜ?」
司令長官「……駆逐艦の子たちを働かせる上に、何でそこまでするのか、その理由も教えてくれない、か」
江風「まったくだぜ。おかしいったらありゃしねぇ。労働基準法とかどうなってンのやら」
司令長官「うーん…黎明君がそこまでする理由、か。そりゃ、儂は知ってるけど……」
江風「あ、話してくれねぇか?」
司令長官「え?うーん…まあ、別に話してもいいかな」
江風「おっ、頼むぜ!」
司令長官「ただ、ちょっと話が長くなっちゃうけど、それでもいいかな?」
江風「なんでもいいぜ、あの提督があそこまで皆を働かせる理由がわからねぇ。それがわかればいいんだ」
司令長官「…それじゃ、話そうかな」
司令長官「深海棲艦っていう敵が世界中の海に出現は、今から大体7~8年くらい前かな?」
江風「そンな前から?」
司令長官「うん、まだ江風君が生まれていないころだよ。当時、深海棲艦は人類を襲い、我々人類は対抗する手段もないまま、次第に海から駆逐されて…」
江風「お?最初から艦娘がいたってわけじゃないのか?」
司令長官「そうなんだよ。艦娘の存在が発見されたのは、深海棲艦が出現してから大体1年後の事なんだよ。それで、艦娘の存在を最初に発見したのは、前の司令長官…海上自衛隊にいた儂の兄なんだ」
江風「えっ、あンたの兄貴も司令長官だったのか?」
司令長官「そう、儂の兄は初代・新日本海軍司令長官だったんだ」
江風「はぇ~…」
司令長官「兄さんは何て言ったっけな…『太平洋を深海棲艦におびえながら航行していたら、海に佇んでいるのを見つけた』って言ってたかなぁ…」
江風「そンな事が…」
司令長官「で、兄さんはその最初の艦娘と、言葉を交わして、仲間にし、深海棲艦を初めて倒したんだ」
江風「おいおい、何を話したのかは分かんねぇのか?」
司令長官「うん…だって兄さん、『こういう事は1人だけ知っていた方がいい』なんてかっこつけて言うから…」
江風「……ん?」
司令長官「それから、深海棲艦が倒されたことで、その最初に出会った艦娘と兄さんは世界で一躍有名になったのさ」
江風「ほぉ~……」
司令長官「それから、その最初に出会った艦娘の名前は‶吹雪‶だという事が分かり、それ以来、各地で同じ艦娘と言う存在が発見された…。そして、海上自衛隊とは別に、深海棲艦に対抗する組織…すなわち新日本海軍が設立されたんだ」
江風「あ、海上自衛隊と新日本海軍の違いってのは何なんだ?」
司令長官「海上自衛隊は、この国を守るのが主な任務であり、この国に仇なす因子を取り締まり、駆逐するのが仕事。一方で新日本海軍っていうのは、深海棲艦を倒す事が主な任務であり、他には商船の護衛や資源の輸送…そういうのが主な仕事なんだ。要は、国を守るか、敵と戦うか、その違いだね」
江風「ふ~ん……」
司令長官「新日本海軍が設立されて、最初の司令長官となったのは、当然ながら兄さんだった」
江風「何で当然なんだ?」
司令長官「艦娘と最初にコンタクトを取れたのは兄さんだったから、経験重視で抜擢されたんだ。ただ……」
江風「ただ?」
司令長官「兄さん、急に世界から有名人と褒めちぎられ、司令長官と言うトップにまで上っちゃったから、少し驕るようになったんだ…」
江風「ああ、堕落したのか」
司令長官「ありていに言えばそうだね。それで、調子に乗って自分のいいように海軍を動かすようになっちゃったんだ」
江風「うわ………」
―数年前、海軍総司令部・軍令部―
元司令長官(以下剣真)『どうだい、皆の調子は』
職員『そうですねぇ…。やっぱり、情報ソフトに慣れていない方もいますし…』
剣真『そうか……まあ、海上自衛隊からの横流しの人員と、新卒じゃあ力不足だよなぁ…。あ、そうだ』
職員『何か?』
剣真『ソフトを学習させるのとか、面倒くさいだろ?だったら、パソコンを使わせないで手書きにさせればいいじゃん』
職員『………………………………………………………え?』
剣真『うん、いいじゃん。そうすれば、ウィルス対策のソフトをインストールする金もかからなくて済むし、いいじゃん。よし、決定』
職員『』
―工廠―
明石『いえいえ、無理ですって!』
提督『いや、やるんだ。じゃなければお前の給料を無しにするぞ』
明石『…分かりましたよ、やりますよ!やればいいんでしょ?』
江風「明石さん、何頼まれたんだ?」
司令長官「外部の業者に施設関係の事を委託するのが面倒だからって、契約を全部破棄して、その委託するはずだった作業を明石さんに任せた」
江風「…ひっでぇな」
司令長官「極めつけに……」
―司令長官執務室―
剣真『ん~……』
補佐官『どうかなさったのですか?』
剣真『いや、やっぱり俺の収入が少ないなーと思って』
補佐官『……それは仕方のない事では?総司令部の方々への給与もありますし、それに艦娘の方にもそれなりの給料が与えられておりますし…』
剣真『あ、そうだ』
補佐官『?何か?』
剣真『総司令部の奴らに金払うの面倒だし、俺の給料減っちゃうじゃん。だから、皆クビ』
補佐官『…………………………………………………………は?』
剣真『仕事は皆艦娘の連中に任せればいいじゃん。よっし、採用。じゃあ早速やりますかね』
江風「」
司令長官「兄さんはその案を強行。艦娘以外の総司令部職員は全員クビに…。だからまあ、当然ながら皆から総スカンを食らって、兄さんは、逃げるように辞職…。今はどこで何してるかもわからない…。いや、生きてるのかもわからない」
江風「ひっでぇな……」
司令長官「兄さんが辞職したのと同時に、なぜか総司令部にいた艦娘達も蒸発…。新日本海軍総司令部は完全に機能を停止したんだ…」
江風「それで、アンタが新しい司令長官になったってか?」
司令長官「その通り。一応、提督としての適性はあったし、元々儂も海軍だったからね。だから、流れるように司令長官になったんだ」
江風「あれ、司令長官は海軍学校卒業してからすぐ司令長官になったのか?」
司令長官「うん?ああ、そうだね」
江風「じゃあ、その時にクビにした奴らを戻せばよかったじゃねぇか」
司令長官「そうしようと思ったんだけど、クビにした人たちは、完全にすねちゃって、戻る気が無かったんだと…。新しい人員を雇おうにも、国側は認めなかった…。『一度全員クビにしたというのに、それをすぐに撤回して新たに人を雇うというのは国民に示しがつかない』って、認めなかったんだ」
江風「やっぱり、メンツか……」
司令長官「うん…。それで儂が司令長官になった後で儂の補佐官に、戦果も国内最上位クラスだった黎明提督を指名したんだ」
江風「じゃあ……」
司令長官「うん、黎明君もある意味被害者なんだよ。そりゃ、黎明君を指名した儂も悪い事をしたと思ってる。だから、こんな提案をしたんだ」
―今から約2年前、司令長官執務室―
司令長官『申し訳ないね…儂の補佐官に指名しちゃって…』
黎明『いえ、私は別に構いませんが』
司令長官『まあ、知ってるとは思うけど…儂の兄がバカみたいな事をしたせいで、この総司令部の補佐官である以上、君には提督としての仕事のほかに、総司令部の仕事もしてもらいたいんだ』
黎明『はい、分かっております。そうなるであろうと、思っていました。となると、仕事は私の艦隊の艦娘の方たちにもしてもらう事に?』
司令長官『うん、たぶんそうなるだろうねぇ。人員は圧倒的に足りない…というかいないんだ…。君には苦労をかけちゃうかもしれないけど、どうか、よろしく頼む。そこで、せめてものお詫びと言っちゃなんだけど…』
黎明『?』
司令長官『君の望みを、叶えられる限りで叶えてあげよう』
黎明『……なるほど』
司令長官『何が、望みかな?』
黎明『では……』
司令長官「その時彼が答えた言葉は、おそらく今の江風君には想像のつかない言葉だと思うよ」
江風「?」
黎明『私の艦隊の艦娘の方たちの待遇を良くしてはもらえませんか?』
司令長官『うん?』
黎明『個々の設備を見たところ、寝る場所、風呂、食堂…それらの設備はあまり整えられておりません。前の司令長官が、経費を削減するという名目で、ここまで質素にしたのでしょう?資料を見る限り、食事のメニューもろくなものがありませんでしたし…」
司令長官『ああ、儂がその時のここを見学した時も、皆やつれていたからね…』
黎明『…私が司令長官の補佐官になると言ったとき、私の艦隊の皆さんは、愚痴は言っていたものの、嫌がらずについてきてくれました。ですので、その皆さんに感謝を込めて、彼女たちの生活の場を改善していただきたいんです』
司令長官『君は?君自身は特に何も望まないのかい?』
黎明『はい、私は何も望みません。今以上に大変になるのは、新たに総司令部の仕事をする事になる艦娘の方たちです。私よりも大変になるというのに、私が何かを望むというのは、少々おこがましいと思いまして』
司令長官『……分かった。君の願いは、問題なく叶えられると思うよ』
黎明『…ありがとうございます』
江風「……………」
司令長官「君は、黎明君の事を気に食わないなんて言っていたけど、彼は君たち艦娘の事をよく考えてくれてる。確かに、駆逐艦の子たちにも、仕事を任せちゃってるけど、それでも黎明君の計らいで1人当たりの仕事はかなり少ない方なんだよ。黎明君が自分の仕事に加えて、君たちに任せるはずだった仕事もしてくれてるから」
江風「そ、んな……………」
司令長官「…君が別に、黎明君の事をどう思うかは君の自由だよ。ただ、嫌いになるというのなら、黎明君が君たちの事をどんな風に思っているかを、よく考えるんだ」
江風「……………」
―20時過ぎ、執務室―
提督「しまったな…書類が片付かない…」ガサゴソ
コンコン
江風「…江風だ」
提督「どうぞ、お入りください」
江風「…………………」ガチャ
提督「どうかしましたか?こんな時間に」
江風「………提督」ツカツカツカ
提督「はい?」
江風「……………ごめん、なさい」ダキッ
提督「何が、ですか?」
江風「さっき、提督に、ひどい事を言っちまって…」
提督「ああ、あれですか。別に構いませんよ」
江風「…司令長官から聞いた。提督が、補佐官になるときに、自分の事よりも、江風たち艦娘の生活の場と待遇を改善するように頼んだって」
提督(司令長官…余計な事を…)
江風「そんな事も知らずに…提督の事をあしざまに言っちまって…ほんとにゴメン」
提督「……貴女が、私の事を理解してくれて、素直に頭を下げてくれたのなら、私は別に貴女を責めません」
江風「でも…」
提督「むしろ、ちゃんと私の事を考えて謝罪をしてくれることが嬉しいです」
江風「!」
提督「……では、私は仕事がありますので、そろそろ離れて…」
江風「………江風も、手伝うぜ」ガサッ
提督「……いえ、貴女が手伝う義務は…」
江風「………………」カリカリカリ
提督「………では、少しの間お付き合いいただけますか?」
江風「……もちろん」
江風(司令長官、言ったよな?江風が提督の事をどう思うかは江風の自由だって)チラッ
提督「………………」カリカリカリ
江風(…なら、江風が提督の事を好きになっても、関係ないって事だよな?)
【終わり】
114 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/27 21:54:38.44 sklVRNz50 66/565【キャラクター紹介】
≪元司令長官/軍乃 剣真(いくさの けんま)≫
新日本海軍の初代司令長官。現在の年齢は50歳。だが、生存しているかは不明。現司令長官である軍乃 盾間の兄。世界で初めて艦娘の存在を発見し、
コンタクトを取った人物。新日本海軍の司令長官に任命されたが、突飛な発想と無茶な理論によって、海軍内外問わずあらゆる人物から総スカンを食らい、
逃げるように辞職して行方不明に。今の艦娘の勤務状態が過酷であることの元凶。本当に嫌っている人は、この人の存在を認めていない。
好きな言葉は『終わり良ければ総て良し』。
≪江風(かわかぜ)≫
白露型駆逐艦九番艦。艦娘No.259。少々荒っぽい口調が特徴の姉御肌(?)な女の子。間違っていると考えれば、提督でも軽・重巡・空母の先輩でも、
意見を真っ向からぶつけるタイプ。しかし、本当は少し寂しがり屋で、泣き言とかも言ったりするし人に抱き付いたりもする。提督の事は着任当初、
気に食わない、ムカつくと思っていたが、司令長官の話と提督の言葉によって、感情が180度回転して、提督を好きになってしまった。
好きな言葉は『順風満帆』。
―19時過ぎ、食堂―
利根「やっぱり秋はサンマじゃな!これを食わんと秋と言う感じがせんからのう!」パクパク
筑摩「そうですね、姉さん。ですけど、あんまりそんなに急いで食べると―」
利根「むぐっ!?ほ、骨がっ!骨が喉に~…ッ!!」バタバタ
筑摩「やっぱり…姉さん、落ち着いてご飯を掻き込んでください」
利根「むごぅっ!」モグモグ
筑摩「…どうですか?」
利根「……ふぅ、危なく三途の川を渡るところだったぞ…」
筑摩「良かったです。あ、姉さん、頬にご飯粒が」
利根「む?ここか?こっちか?」ペタペタ
筑摩「もう…私が取ります。はい」ヒョイ
利根「お、すまんな。いやぁ~、筑摩はやっぱりいい妹じゃな!」
筑摩「そんな、恐れ多いです…」
利根「いやいや、吾輩自慢の妹じゃ!」
【姉妹逆転】
―翌日9時、執務室―
提督「筑摩さんは、利根さんの妹と言うよりは姉に見えるんですけど」
筑摩「あら、そうでしょうか?」
提督「昨夜の食事の時と言い、夏の時と言い…」
筑摩「夏?」
提督「今年の夏ですよ、重巡洋艦寮で…」
―数か月前、重巡洋艦・休憩室―
提督『ふむ…これで視察は終わりですね』
高雄『特に異常はありませんでしたか?』
提督『はい、問題はありません』
利根『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』ブーン
提督&高雄『』
利根『ふぅむ、扇風機があるとどうしてもこれをしたくて仕方がないのじゃ…』
筑摩『ですけど、あんまり扇風機に当たっていると、風邪をひいてしまいますよ?』
利根『むぅ…しかし、やはり扇風機だけでは暑くて仕方がないの…』
筑摩『今日は、まだ涼しい方ですよ?ですからクーラーも消してるんです…』
利根『筑摩ぁ~…アイス…ラムネ…欲しいぞ…』ダレー
筑摩『もう、仕方ありませんね。少し待っててください』スクッ
提督「すぐに甘やかすのはどうかと思いますが」
筑摩「ですけど…姉さんの情けないところなんて見たくありませんし…」
提督「今、貴女の印象って恐らく‶結構甘やかす面倒見のいいお姉さん‶ですよ」
筑摩「あら…私が?それは光栄ですね」クスッ
提督「いやそこ褒めてませんよ。まあ、幼い姉と言うものは他にもいらっしゃいますが…。阿賀野さんとか、球磨さんとか…。後は同い年らしいですけど、睦月さんとか…」
筑摩「睦月さんは…比較対象が…」
提督「…まあ、貴女は結構マシな妹に含まれますけど」
筑摩「…それはどういう…」
提督「いえ、正直な話、歪んだ方向に愛情が曲がった妹っていうのは結構いるんです」
筑摩「?」
提督「例えば、扶桑さんが好きすぎるゆえに編成を勝手に変えようとする山城さん、金剛さんが好きすぎるせいで頼んだ物資に紅茶を混ぜる比叡さん…、あとは…」
筑摩「ええと…それ以上は…」
提督「ああ、すみません。耳障りでしたか」
筑摩「いえ、そうではなくて、それ以上聞いてしまうと私もそうなってしまいそうで…」
提督「これ以上私の艦隊に狂った妹キャラを増やさないでください」
筑摩「狂ったなんて…」
提督「筑摩さんは、妹キャラでも結構まともな方なんですから、そのままでいてください」
筑摩「そうでしょうか…私はまともですかね?」
提督「ええ、まともですよ。たとえば―」
―近代化改修時―
筑摩『嬉しい♪利根姉さんに報告しないと…』
―中破時―
筑摩『うぅ…こんな無様な姿、姉さんには見せられません…』
―攻撃時―
筑摩『姉さんも頑張ってるかな?撃ちます!』
―夜戦開始時―
筑摩『突撃します!利根姉さん、見てて!』
提督「」
筑摩「提督?どうかなさったのですか?」
提督「あ、いえ。別に」
提督(どうしよう。思い返してみると結構姉好きな言動が目立つぞこの人…)
提督「まあ、あまり甘やかすのも利根さんのためではないと思いますけど」
筑摩「それはわかってるんですけど…姉さんのだらしない姿を見ると放っておけないというか…」
提督「そんな捨て猫を放っておけないってニュアンスと似たような感じで話されても」
提督「ともかく、利根さんをあまり甘やかすと、利根さんのためにもならないということですよ」
筑摩「それは…」
提督「あんなに甘やかしていると、利根さんも筑摩さんに頼りっきりになってしまいますし、自立できなくなってしまいますよ」
筑摩「それに関しては問題ありません」
提督「?」
筑摩「もし姉さんが自立できなくなったのなら、私が面倒を見ますから」ニコッ
提督「」
筑摩「…提督?」
提督「はぁ……この際だから言っておきましょうか」
筑摩「?」
提督「大抵、そういう感情って妹のエゴなことが多いんですよ」
筑摩「」
提督「現に、扶桑さんは山城さんの愛を若干うっとうしいと思っていますし、金剛さんは比叡さんの愛をスルーしています。それが、正しい反応だと、私は考えています」
筑摩「そう…ですか…」
提督「あなたのしていることが、本当に利根さんのためになっているかどうか、それをよく考えてください」
筑摩「……分かりました」
提督「…ちなみにですが」
筑摩「?」
提督「この話を山城さんと比叡さんにしたら、2人とも知らん顔でした」
筑摩「あの人らしいですね」
―21時過ぎ、重巡洋艦・利根&筑摩の部屋―
利根「ふんふんふーん♪」
筑摩「………………」
利根「ふむ?どうした筑摩?そんなしょげた顔をして」
筑摩「……利根姉さん」
利根「なんじゃ?」
筑摩「私は、姉さんにとって鬱陶しいですか?」
利根「な、何を言い出す!」
筑摩「いえ、同じ山城さんや比叡さんたちを見て、思ったんです。もしかして、私が良かれと思って姉さんのためにしていることは、もしかしたら、姉さんの自立を邪魔しているのではないかと…」
利根「そんなわけなかろうが!」
筑摩「!」ビクッ
利根「筑摩が吾輩のためにしてくれたことを、鬱陶しいと思ったことなどない!むしろ、吾輩のことを考えてしてくれたのだと考えると、うれしいとまで思っとる!」
利根「そりゃ、吾輩も筑摩に頼りっきりになることもある。じゃが、吾輩も自立していないわけではない。ちゃーんと、努力はしておる。そのうえで、筑摩を頼りにしておるのじゃ。だから、吾輩のことは心配せんでもよい」
筑摩「……………」ウルウルウル
利根「そして、吾輩が筑摩のことを鬱陶しいと思うことなど、あり得ぬ。なんたって、吾輩の自慢の妹なのじゃ」
筑摩「うっ…うう……」
利根「泣きたいのならば、吾輩の胸で泣くがよい。さあ」
筑摩「うわあああ…姉さあああん……」
―翌朝8時過ぎ、食堂―
筑摩「そんなわけで、これからも利根姉さんのお世話を頑張ろうと思います」
提督「イイハナシダッタナー」
【終わり】
128 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/28 21:49:47.18 4LP5Ljpr0 73/565【キャラクター紹介】
≪筑摩≫
利根型重巡洋艦二番艦。艦娘No.64(改二はNo.189)。ロングヘアが特徴の頼れるけどちょっと怖いお姉さん。利根の妹だが、言動は利根の姉のよう。
利根を甘やかすことが多々あり、どっちが妹なのか分からん状態。しかし、まだ山城や比叡などの歪んだ妹よりは大分マシ。だが、戦闘の腕は確かで、
敵を撃沈する回数も結構多い。利根が自堕落な生活を送るようになったら、世話する気満々。結構姉好きだったという事実。
好きな言葉は『可愛い子には旅をさせよ』。
―15時過ぎ、東部オリョール海・Gマス(敵主力打撃群)―
大井「海の藻屑となりなさいな!」バシュシュ
シューン
ドッゴオオオオオンン
戦艦ル級elite「グオオオオオオオオ……!!」撃沈
大井「やったわ!」グッ
祥鳳「流石…重雷装巡洋艦…」
摩耶「ボスを一撃で撃沈たぁ、すげぇじゃねぇか」
大井「まあ、私の実力ってところかしらね」
【ノーマルとアブノーマルの】
―16時過ぎ、執務室―
大井「……以上で報告は終わりです」
提督「……あの、1つ聞きたいことがあるんですけど」
大井「はい?」
提督「今回の出撃編成に、北上さんは含まれていませんでしたよね?」
大井「ええ、そうです。残念な事に」
提督「おかしい…。大井さんの元気の源・北上さんがいないはずなのに、なぜ大井さんがMVPを取れるのか…」
大井「提督って何気に失礼な事言いますよね…。まあ、私も別に北上さんが全てってわけじゃあないですよ」
提督「…そうでなければ困るんですけどね」
大井「北上さんが全てではないですよ。ちゃんと駆逐艦の子たちの面倒も見ますし、艤装整理も手伝います。北上さんが絡んでいなくても、ね」
提督「本当なんでしょうか?」
大井「嘘だと思うんでしたら、実際に見てみますか?」
提督(ぶっちゃけ、大井さんにその気はなくとも、相手側が怖がっているって事もありそうですし…)
―17時過ぎ、駆逐艦寮付近―
皐月「いったたたたたた…すりむいちゃった…」
大井「あら、大丈夫?」
皐月「あ、大井さん…」
大井「ほら、消毒してあげるから休憩室に行きましょ?」
皐月「う、うん。ありがとう…」
―数分後、駆逐艦寮・休憩室―
大井「ちょっと沁みるわよ」チョンチョン
皐月「ひぎぃ…っ…」プルプル
大井「もう…こんなことで泣かないの。はい、終わり」
皐月「あ、ありがとうございます…」
大井「そう言えば聞いたわよ?遠征、大成功したんですって?」
皐月「あ、そうです。はい」
大井「すごいじゃない、もっと胸を張っていいのよ?」
皐月「は、はい!」
大井「それじゃあ、私は行くわ。これからも頑張ってね?」
皐月「ありがとうございます!」
―数十分後、工廠―
大井「明石さん、この艤装はこっちでいいんですか?」
明石「あー、はい!そこに置いといてください!」
大井「はーい」ガシャン
明石「いやー…それにしても大井さんが来てくれて助かりました~…。ちょっと修理する艤装が多すぎて人手が不足していたんですよ~…」
大井「あ…そう言えば今日って、南方海域進出作戦に出撃した艦隊があったんでしたっけ…」
明石「ええ、何とか海域は開放できたものの、甚大な被害を受けてしまって、ドックは今パンパンですよ」
大井「高速修復剤は?」
明石「提督、極力使わない主義なんですけど、今回ばかりは使ったらしいです…」
大井「あら……」
明石「まあそれは別として、大井さんが来てくれて助かりました!」
大井「いえいえ、ありがとうございますね」
―19時過ぎ、食堂―
大井「ね?」
提督「驚きました…北上さんが絡んでいないときって、大井さんは至極真面目な人なんですね」
大井「提督の、普段の私の印象って何だったんですか…」
提督「あえて言うと、北上さん中毒を起こして皆に辛く当たる」
大井「嫌ですね~…そんなのデマですよ」
提督「…ああ、ついでですが1つ心得てほしいんですが…」
大井『ちっ…作戦が悪いのよ…』
提督「流石に本人の前で舌打ちは…」
大井「あら、ごめんなさい…」
提督「まあ、私は別に気にしませんが…。上司の前で舌打ちをすると、かえって面倒な事になりますよ?」
大井「上司って、司令長官?あの人はあまり気にしないように見えるけど…」
提督「いえ、前の私の上司です」
大井「…へ?」
提督「…まあ、その話はまたいつか話す事にしましょう。今思い返すと何だか胸糞悪くなりました…」
大井「あら…じゃあまたいつか、その話が聞けることを楽しみにしてますね?」
提督「……私の気分がマシであれば、ね」
【終わり】
139 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/09/30 21:44:50.36 E3YfaVvn0 78/565【キャラクター紹介】
≪大井≫
球磨型軽巡洋艦・重雷装巡洋艦四番艦。艦娘No.19(改はNo.97、改二はNo.114)。北上大好きなちょっと危ない系お姉さん。北上が大好き過ぎて、
暴走する様子がよく見受けられるが、ノーマル状態の大井は、かなり面倒見の良い気遣いのできるお姉さん。実際、駆逐艦の子たちや明石からは、
よく頼みごとを任されたり尊敬の念を向けられたりしている。秘書艦としての仕事も、結構真面目にこなす。影の功労者。
好きな言葉は『背水の陣』。
―16時過ぎ、司令長官執務室―
司令長官「この手に寄せる袱紗 朱の色~♪」
提督「司令長官」
司令長官「この目見開いて その顔見れば~♪」
提督「司令長官」バキッ
司令長官「ぐふぅ…いきなり殴らないでよ…」
提督「ちゃんと呼びましたよ。それより、この書類明後日までに確認し、判を押してください」スッ
司令長官「ああ、分かった」
提督「ところで司令長官」
司令長官「うん?なんだい?」
提督「先ほど歌っていた曲は…」
司令長官「ああ、‶加賀岬‶って曲だよ」
提督「加賀岬?」
司令長官「ここの鎮守府じゃないけど、加賀君が歌っている曲。演歌調だけどすごく耳に残るねぇ」
提督「………は?」
司令長官「知らないのかい?ネット上で結構人気が出てるよ?」
提督「……ちょっと、調べます」パタン
【加賀岬】
―翌日9時半過ぎ、司令長官執務室―
提督「特定できました」
司令長官「何が?」
提督「‶加賀岬‶を歌った加賀さんがいる鎮守府、すぐそこの江ノ島第参鎮守府です」
司令長官「ん?別に調べなくてもよかったんじゃ……」
提督「この鎮守府は、我々総司令部の許可なく艦娘を歌手に薦めた上、勝手にネット上に曲をアップロードしたんですよ?十分違反に含まれます」
司令長官「ああ、そう言えばそうだね」キリッ
提督「キリッ、と言いながら司令長官結構ハマりましたよね」
司令長官「うぐっ……と、とにかくそこの鎮守府の提督君には、然るべき厳罰を取らせるべきだね」
提督「そうですね…。その話も含めて、私は今から江ノ島鎮守府へ行ってきます」
司令長官「ああ、だったらだれか随伴を…」
提督「もう決まっていますよ」
司令長官「へ?誰?」
提督「瑞鶴さんです」
司令長官「あっ」
―数時間後、道中―
ガタンゴトン
瑞鶴「まったく…あの焼き鳥製造機ったら…勝手に歌手なんかになっちゃって…」
提督「その気持ち、あそこの加賀さんに向かって思う存分言ってやってください」
―数十分後、江ノ島第参鎮守府・応接室―
提督「…………」イライライラ
瑞鶴「…………」イライライラ
コンコン
江ノ島第参鎮守府提督(以下参督)「いやあ、すみません。お待たせいたしました…」
加賀「失礼します」
提督「遅いですよ。お約束した時間を過ぎておりますが」
参督「それに関しては大変申し訳ございません…。アイドル事務所の方からの来客もいらしてまして…」
加賀「大概にしてほしいものね…。あちらの関係者はアポ無しで来るんだから…」
瑞鶴「…ちょっと微笑みながら言ってるとムカつくんだけど…」プルプルプル
提督「それはともかく……」スッ
参督「?」
ラジカセ『おぼろ月夜が綺麗ね♪』
提督「‶加賀岬‶をラジカセで延々無限ループするの、やめてください。新手の宗教か何かですか?」
参督「あ、すみません。耳障りでしたか」
カシン
瑞鶴「耳障りも何も、嫌いな人の声を延々聞かされるなんて、侮辱もんよ」
加賀「私こそ、貴女の曲が出ようものなら、絶対聞く事なんてないわね」
瑞鶴「それこそこっちのセリフよ!私だって、あんたの曲なんて聞いた事ないんだから!」
提督「と言うか、私達は今日その話をするためにここに来たんですけど」
参督「?何か?」
提督「どういうつもりですか?勝手に加賀さんを演歌歌手デビューさせた上に、ネット上に曲をアップロード…。これらの行為を、総司令部の許可なく行う事は違反に当たると、貴方も提督であるならば当然知っているでしょう?」
参督「ああ……それに関しましては……」
加賀「…総司令部の提督…。その話につきましては、私達も被害者と言えるんです」
提督「?」
参督「正直…私たちは騙された…と言ってもよろしいのでしょうか…」
瑞鶴「どういう事よ?」
参督「事の発端は…数か月前です…」
―数か月前―
参督「加賀さんに歌手としての素質がある?」
プロデューサー「はい、加賀さんの声には力がこもっておりますし、ぶっきらぼうと言う方もいらっしゃいますが、その言葉の中には、加賀さん自身の強い信念がこもっておりまして、それが歌手に向いていると」
加賀「そんな…私が…」
参督「いや、しかし…加賀さんに歌手なんて…」
プロデューサー「いえ、その素質は十分にあります」
それで、そのプロデューサーさんが、事務所で作成した歌詞を渡してきて、歌ってくださいと言ってきたんだ。
その強い物言いに、私も加賀さんも押し切れず、一回だけ歌う事にしたんだ…。
プロデューサー「いやあ、素晴らしい!まさしく歌手!どうでしょう?わが社にその才能を預けてみては?」
参督「え、いや…」
提督「それ、何て事務所でした?」
参督「確か…OCEAN事務所…です」
提督「あそこか…」
[OCEAN事務所]
かつて、総司令部の那珂もスカウトしたアイドル事務所。
参督「あの事務所、なかったことにしますとか言いながら、勝手にネット上に流して…」
加賀「しかし…時すでに遅し…。ネット上に流れた時には、私の美声とビブラートに魅了された方が増えてしまい、熱狂的なファンも増えて…。今さらだまされたというのが難しい状況に…」
瑞鶴「何ちょっと自分の事持ち上げてんの?」
提督「それにしても、またあの事務所ですか……」
参督「また、とは?」
提督「うちの鎮守府の那珂さんが、前にそこのプロデューサーにスカウトされたんです。断ったんですが…」
瑞鶴「あの後、結局別の鎮守府の那珂ちゃんがスカウトされて、曲も出たんだよね…」
加賀「あら、自分もスカウトされたかった、って顔ね」
瑞鶴「う、うっさい!そんな顔してないし!」
提督「まあ、とにかく貴方たちにも非が無いわけではありません。そういうスカウトは、きっぱりと断るべきでした。‶海軍の規約に反する‶と、言ってもよかったというのに…」
参督「ええ…私も、今になって気づきました…」
提督「この件は、総司令部に持ち帰ります。それと、貴方たちは少し反省してください。被害者と言っていたにもかかわらず、先ほどは少し、浮かれたような気分だったでしょう?」
参督「…はい」
加賀「…ええ」
提督「今後は、そういう態度は控えてください」
―15時過ぎ、司令長官執務室―
提督「…と言うのが、真相らしいです」
司令長官「なるほど…あの事務所か…。今回は流石に、起訴しようか」
提督「そうした方がよろしいんでしょうけど…何気に海軍の知名度も上がっていますし…今回は見逃す事にしましょうか…」
司令長官「あれ?でも君って、前に‶○○のファンになって海軍に入ろうと決めました!‶って言う理由で海軍に入るのが嫌だって言ってなかった?」
提督「実は、あの後第参鎮守府の戦果を確認したところ、‶加賀岬‶がリリースされてから、あそこの鎮守府の戦果は徐々にですが上がっているんです。加賀さんの言う、‶戦意高揚‶ですね」
司令長官「そうか…じゃあ一概に禁止する、ってのも無理な話か」
提督「ですから、今回は見逃す事にしようかと…」
司令長官「でも、次はないって言いたいんでしょ?」
提督「当然です。次、このような事があれば、この事務所を権力と腕力を持って潰す事にします」
司令長官「うん、それが君らしいよね。…ただ」
提督「ただ?」
司令長官「それでちょっと弊害が…」
提督「?」
―17時前、空母寮・休憩室―
加賀「この手に寄せる袱紗 朱の色~♪この目開いて その顔見れば~♪」
司令長官「加賀君が、自分が歌ったわけでもないのに、その曲をいい顔で歌っていて、イメージが崩壊してるんだけど」
提督「…………加賀さんのぶっきらぼうと言うイメージが払しょくされましたし、いいのでは?」
司令長官「なんかね、瑞鶴君が‶加賀さんが、ぶっきらぼうじゃないから接しにくい!‶って言ってきてるんだけど…」
提督「私の知った事ではありませんよ…」
加賀「百万石の 誇りよ加賀岬~♪」
【終わり】
各鎮守府では、艦娘と提督にちゃんと休みを与えている。
深海棲艦を討伐する事はもちろん大事だが、個々人の体調管理も大事である。だが、とある鎮守府は、頑張っていることをアピールしようと、休み返上で艦娘の運用を繰り返した結果、ブラック鎮守府扱いされた上にその提督は過労死してしまった。
そのような事件もあり、各鎮守府では一定期間休みを取らなければ罰則(=ブラック鎮守府扱いで提督クビ&鎮守府解体)が科せられる、というルールもできてしまった。まるでドイツである。
そして、休みを取らなければならない、と言うルールは総司令部にも有効である。
【とある休日の一コマ】
―9時過ぎ、司令長官執務室―
司令長官「いやぁ~、休日っていいよねぇ。週休6日とかあればいいのに」
提督「それ、むしろ休みの意味が無くなっていませんか?」
雲龍「それに、休みが多すぎると休みに飽きる、と言う話も聞いた事がありますし…」
司令長官「それでも、書類とかには目を通しておかないといけないんだよねぇ」
提督「総司令部は他の鎮守府と勝手が違いますから、完全に機能をストップさせる、という事はできませんからね。まあ、さすがにデータ課の霧島さんと、鳥海さんは休ませています」
司令長官「あの2人の代わりに、誰か入れたの?」
提督「データ収集が得意な夕張さんと大淀さんを代行させています。これで、少しでも霧島さんと鳥海さんの疲れが取れればいいのですが…。っと、それより早く書類を片付けてしまいましょう。司令長官も、休みたいのでしょう?」
司令長官「そりゃそうだよ。せっかくの休みの日に休めないなんてブラックだよ」
提督「私も手伝いますので、早く済ませましょうか」
司令長官「うん?君が手伝ってくれるなんて、珍しいねぇ」
提督「そりゃ、私はどこのサボり魔司令長官と違いますからね」
司令長官「うぐっ…ま、まあ早く始めよう。ちなみに、雲龍君は?」
提督「ああ、ここに来る途中、雲龍さんに事情を話したら…」
雲龍「私も、司令長官と提督のお手伝いをさせていただきます」ペコリ
司令長官「そりゃありがたい。じゃあ、悪いけど手伝ってくれるかな?」
雲龍「はい」
―数十分後―
司令長官「あ、黎明君。この書類なんだけど…」
提督「ああ、この書類はこれがこうで…」
雲龍「……」ジー
司令長官「そういうことか、ありがとうね。…ところで、雲龍君?どうかしたの?」
雲龍「あ、いえ…。司令長官は提督の事を名前で呼んでいるのが、なんだかなぁ、と」
司令長官「あれ?そんなに変な事かな?」
提督「まあ、正直な話、私は苗字で呼ばれるのがあまり好きではないんです」
雲龍「?それはまた、どうしてですか?」
提督「私の苗字、‶斑‶じゃないですか?ですから、そう呼ばれると…」
??『待っていたぞォー!!柱間アアアー!!!』
提督「あのキャラクターを連想してしまい、なんだか妙な気分になるんです」
司令長官「知っているアニメキャラクターと同じ名前・苗字だと微妙な気分になるのと同じだね」
雲龍「何となく、分かります…」
提督「まあそれもありますし、司令長官とはもう2年の付き合いになりますからね」
雲龍「あ、提督が司令長官の補佐官に任命されたのって、2年前でしたっけ」
司令長官「正確には、2年前の今日だね」
雲龍「そうだったんですか!?」
提督「ああ、そう言えば今日でしたね。日々の仕事ですっかり忘れてしまいました」
雲龍「そう言えば…司令長官はなぜ提督を補佐官に指名したのですか?」
司令長官「え?ああ、そうだねぇ…。まあ強いて言うなら、候補の中では一番まともだったから、かな?」
雲龍「候補?」
提督「元々、司令長官の補佐官となる候補は、私を含めて3人だったんです」
雲龍「その3人は…1人は提督で、もう2人は?」
司令長官「雲龍君は実際に会った事はないかもだけど、伊豆鎮守府の瑞理提督と、胎内鎮守府の朱鷺提督だよ」
提督「この2人です」バサッ
雲龍「…あ、朱鷺という方は、女性なのですね」
司令長官「黎明君とその2人は、この国の鎮守府の中で戦果がトップ3だったんだよ。瑞理君が1位、黎明君が2位、朱鷺君が3位」
提督「あんな男が国内1位なんて、世も末です」
雲龍「よ、世も末?」
司令長官(詳しくは言えないんだけど、黎明君、瑞理君の事が大嫌いなんだ)ボソボソ
雲龍(そうだったんですか…)ボソボソ
司令長官「でもまあ、3位の朱鷺君を選んだら、女性優先でどうのこうのと言われそうだからパスし、瑞理君は女たらしな性格がダメだから却下。まあ、消去法で黎明君が選ばれたんだよ」
提督「消去法と言うのが納得いきませんでしたが、あのバカより上の立場になれたというのは純粋にうれしいですね」
雲龍「ちなみに、司令長官が今の海軍の司令長官になれた経緯は…」
司令長官「ああ…兄さんのせいだね」
提督「一部の方は知っているかと思いますが、この司令長官・軍乃 盾間が司令長官になれたのは、兄の軍乃 剣真が指名したからです」
雲龍「指名?」
司令長官「兄さんが、総司令部の人員全員クビなんて案を成立させて少ししてからの事だよ…」
―2年ほど前、軍乃邸―
剣真「おう、盾間!ちょっと頼みがある!」
盾間「ちょ、ちょっと兄さん。外のマスコミは何!?」
剣真「いやぁ、ちょっとバカな提案をして実行したらこうなった…ってそんなことはいい。俺、司令長官辞めるから後任にお前が就け!」
盾間「はあ!?何言ってんの!?」
剣真「いやあ、お前海軍養成学校でも好成績だろ!?できる出来る!」
盾間「いや、そういう話じゃなくて…」
剣真「じゃ、任せた!」
司令長官「って感じで、流れるように司令長官にされた」
雲龍「そんな冗談みたいな話が…」
提督「ですけどこれ、あながち冗談でもないんですよね」
司令長官「元々儂は、海軍に入る前は普通の企業で働いていたから海軍の事は海軍養成学校でしか分からなかったから、本当にむちゃくちゃで…。あーあ、あの時断っておけばよかった…。儂、司令長官に向いていないし…」
提督「ですけど今は、こうして司令長官の仕事をしっかりとできるようになっているじゃないですか。まあ、私に押し付けてくることもありますが」
司令長官「?」
提督「兄からの無茶ぶりにもしっかりと対応し、増え続けている深海棲艦に対して的確な対応策と作戦の考案、さらに各鎮守府の提督の個性を把握、これらの事は、常人にはできないような事ばかりです」
司令長官「…………」
提督「貴方はもう、立派に司令長官としての仕事を務められていますよ」
雲龍「ええ、そうですね」ニコッ
司令長官「黎明君…雲龍君…」
提督「さあ、早く仕事を済ませましょう。夜には、司令長官とどこかへ外食にでも行きましょうか」
司令長官「え?いいの?」
提督「こういう時は、部下が祝いをするものです」
司令長官「いやぁ、助かるねぇ。あ、じゃあ雲龍君も来る?」
雲龍「へ?いえ、私は…」
司令長官「儂の話を聞いたんだし、これも何かの縁って事で」
雲龍「…では、ご一緒させていただきます」
提督「では、今夜の方針も決まりましたし、早いところこの書類を片付けましょう」
司令長官「うん、そうだね」
雲龍「はい」
【終わり】
164 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/03 22:18:13.71 lckFbsMQ0 90/565【キャラクター紹介】
≪雲龍≫
雲龍型正規空母一番艦。艦娘No.201(改はNo.206)。露出の激しい服が特徴なほんわか系お姉さん。どこかほかの人とズレているところがあるけれど、
根は真面目。着任当時は艦載機を持っていなかったため、艦載機の扱いは初心者レベルだったが、他の空母達の教育の甲斐もあり、今では鎮守府内で、
赤城や加賀に並ぶ腕にまで成長した。提督の秘書艦を務めている期間が他の艦娘に比べて長いが、その理由は不明。その胸は、生物兵器のよう(?)。
好きな言葉は『待てば海路の日和あり』。
―15時過ぎ、空母寮・休憩室―
加賀「………」ズズズ
バァーン
瑞鶴「加賀さん!!」
加賀「あら、そんな血相を変えて…どうかしたのかしら?」
瑞鶴「私のとっておいた間宮羊羹、食べたでしょ!」
加賀「なぜ、そう思うのかしら?何か証拠でも?」
瑞鶴「証拠ならあるわよ。さっき、妖精さんから―」
―数分前、空母寮・簡易キッチン―
瑞鶴『あれ…あっれー?』ゴソゴソ
九七艦攻妖精(以下九七妖精)『瑞鶴さん、どうしたんですかー?』
瑞鶴『あ、妖精さん。実はね、冷蔵庫に間宮羊羹取って置いたんだけど…無くなってるのよ…。あっれー?』ゴソゴソ
九七妖精『えー?それって加賀さんにあげたんじゃないんですか?』
瑞鶴『…は?』
九七妖精『さっき、加賀さんが嬉々として羊羹を休憩室に持って行って、その羊羹どうしたんですか、って言ったら「瑞鶴がくれたの」って。いやー、普段から嫌い嫌い言ってるのに羊羹あげるなんて、瑞鶴さんもツンデレですねー』
瑞鶴『』
瑞鶴「私そんな事言った覚え何て微塵もないし!何で勝手に食べたりするの!」
加賀「ごめんなさいね、言ってなかったけど、あれ賞味期限が近かったから…」
瑞鶴「買ったのつい昨日で賞味期限までまだ数か月あったはずだけど…」
加賀「五航戦の子なんかに間宮羊羹は会わないと思って」
瑞鶴「こんちきしょーめ!!」
【因縁】
―翌日9時過ぎ、執務室―
瑞鶴「あーっ、もーっ!ホンットーに腹立つったらありゃしない!」
提督「落ち着いてください」
瑞鶴「ねえ聞いてよ提督さん!」
提督「その話でしたらもう何回も聞いています。それより、早く書類整理に取り掛かってくれませんか」
瑞鶴「…ふぅ、ごめんなさい。ちょっと気が立ってたわ。すぐに仕事にかかるわ」
提督「はい」
瑞鶴「………」カリカリ
提督「………」カリカリカリ
瑞鶴「………」ガリガリガリ
提督「………」カリカリカリ
瑞鶴「………」ゴリゴリゴリゴリ
提督「…あの、瑞鶴さん」
瑞鶴「はい?」
提督「筆圧が、ちょっと」
瑞鶴「?あら、紙が破けちゃってるわ…」
提督「まったく…コピーを取るしかありませんね…」ガタッ
瑞鶴「ごめんなさい…」
提督「ちょっと、待っていてください」
―数分後―
提督「では、この書類をやり直してください」
瑞鶴「分かったわ」
提督「それにしても、よくもまあこりもせず小競り合いを…」
瑞鶴「だって…向こうからやってくるんだし…」
提督「私の覚えている限り、喧嘩の理由は、『タ級flagshipを倒すきっかけを作ったのはどっちか』とか、『最後の日替わりランチBセット(天丼)はどっちのもの』という下らないものまでありましたけど…」
瑞鶴「よ、よく覚えているじゃない…」
提督「まあ、頻繁に起こっていますし、理由があまりにも下らないというのも手伝って…」
司令長官「黎明君も、人の事言えないんじゃないの?」ガチャ
提督「司令長官、仕事は―」
司令長官「まあそれは置いといて」
提督「置いとくな」ガスッ
司令長官「イタッ…とまあ、ともかく。黎明君には、瑞鶴君と加賀君のいざこざを下らないんて言う資格はないんじゃないの?ってわけ」
瑞鶴「へ?どうして?」
提督「いえ、その話は―」
ジリリリリン
提督「失礼。はい、執務室」ガチャ
提督「ああ、はい。分かりました」ガチャリ
司令長官&瑞鶴「?」
提督「すみません。間宮さんから呼ばれてしまいましたので、少し席をはずします。それまでの間に、瑞鶴さん。仕事はしておいてください」
瑞鶴「あ、はい!」
提督「では」バタン
瑞鶴「…ところで司令長官さん」
司令長官「ん?」
瑞鶴「提督に、私と加賀さんのいざこざを悪く言う資格はないって…」
司令長官「ああ、あれ?実はね、黎明君も人のこと言えないようないざこざがあるんだよ」
瑞鶴「それって、司令長官と?」
司令長官「いや、儂じゃなくて。伊豆鎮守府の瑞理提督だよ。知ってる?」
瑞鶴「ああ…なんだか、すごい女たらしで提督さんが大嫌いって、浦風ちゃんとかから聞いたかな…」
司令長官「その瑞理提督と黎明君、どうしてあんなにお互いのことが嫌いかわかる?」
瑞鶴「………ううん、分からない」
司令長官「その因縁が、すっごく下らないんだよ」
瑞鶴「……どのくらい?」
司令長官「とにかく、すごくくだらない」
瑞鶴「…私が言うのもなんだけど、私と加賀さんのいざこざも大分下らないもんだと思ってたけど…それよりも?」
司令長官「うん。それよりも」
瑞鶴「……聞かせて?」ニヤリ
司令長官「了解」ニヤリ
―約3年前―
今から3年ぐらい前、黎明君がまだ補佐官になる前のことだったよ。
瑞理「ねえねえ、よければ僕と一緒に付き合わない?」
女提督「いえ、あの…」
瑞理君は今よりもずっとナンパ性だったんだ。女性の提督を見たら、必ずナンパするくらい。女性提督がいる演習先に赴いたら、絶対にナンパしてた。
どんだけ飢えてんのよ…。
斑「まったく…女性に現を抜かすとは…海軍としての自覚があるのでしょうか…」
一方、黎明君はそんなことは全くしないで、提督としての使命を全うしてたよ。
まあ、あの提督さんなら想像できるわね…。
それで、この時の提督たちの戦果ランキングは、1位が黎明君、2位が瑞理君だったよ。今とは逆だね。
あ、そうだったんだ。というか、今は提督さんって戦果が2位なんだ…。
黎明君には儂の補佐官としての仕事もあるからね。まあ、それは置いといて…。
瑞理「ふーんだ、モテないからってひがんでんだろ。けけけ」
斑「いいから、演習が終わったのならさっさと帰ってくれませんか。次、その方と演習を行うのは私の艦隊なんですが」
瑞理「ちぇっ。じゃあね~。もし気が変わったら電話してね~」
女提督「たぶん変わりません…」
硬派な黎明君と、ナンパな瑞理君…。このころから2人はギスギスしてたんだよ。
まあ、でしょうね…。
そんな中で、瑞理君がまたいつものように女性提督をナンパしようとしたんだよ。そしたら―
女提督「えー?私どっちかっていうと斑さんのほうがタイプかな~」
なんてことを女性提督の一人が言ったんだ。
へ、へー…(提督さんってほかの女性提督の中でも競争率あるんだ…)。
それが1回だけじゃなくて…。
女提督「女遊びする方よりも、斑提督みたいな硬派な人がいいかな~…」
女提督「私どっちかっていうと黎明さん派だねぇ」
女提督「女癖が激しい人はちょっと…。まあ、斑さん結構タイプかな」
こんな風に、断られることが何度もあったんだよ。
あの、話の腰を折るようだけど、今この国に女性提督って何人くらいいるの?
ああ、今この国には大体100人くらいいて、その半分くらい、だいたい50人弱が女性提督だね。
そんなにいるんだ!
で、その中の2~3割が黎明君のほうがタイプだって。
あっ(察し)
瑞理「ホアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッハッハッハッハッハアアアアアアアアア!!!」
こんな、スーパーマリオでマリオがMISSするときみたいに瑞理君がガチで発狂した。。
まあ、わからなくもない、かな。
で、瑞理君は黎明君に言ったんだ。
瑞理「なんでお前みたいなみなしご根暗野郎がモテるんだ!」
え、じゃあ…。
黎明君は当然キレたよ。
斑「では!私も言わせてもらいますが、貴方は仮にも海軍の一提督でしょう!その提督が、女性を誰彼構わずナンパするとは、いかがなものかと思いますが!」
瑞理「これが僕のスタイルなんだ!」
それからヒートアップ…。
司令長官「で、それ以来2人は完全に敵対するようになったってわけ」
瑞鶴「うん…これは…女性から言わせればくだらないわね」
提督「話したんですか」
司令長官&瑞鶴「うわぁぁぁっ!?」
提督「まあ、私が瑞鶴さんと加賀さんのいざこざを悪く言えないわけは、私もこのようにくだらない理由で争っているからです。ですから、私も、とやかく言う筋合いはありません。ですが、これだけは知っておいてください。瑞鶴さん」
瑞鶴「?」
提督「いずれは、あんないざこざをしなければよかったと後悔するものです。ですから、今のうちに謝っておいたほうがいいですよ」
瑞鶴「…………」
提督「今、まだ複雑にこじれていないうちに…」
司令長官「黎明君は?」
提督「私のはもう、自分で言うのもなんですが取り返しがつきませんから」
―20時前、空母寮・休憩室―
瑞鶴「あの、加賀さん…」
加賀「…何かしら?」
瑞鶴「その…今までごめんなさい」
加賀「………何が?」
瑞鶴「今まで、加賀さんにつらく当たっちゃって、ひどいことも言ったりして…。言い訳するようだけど、私じゃなくて加賀さんが悪いってこともあった…けど、私もあなたのことを考えないで色々言って…だから、ごめんなさい」
加賀「……………」
瑞鶴「……………」
加賀「…まあ、確かに私も大人げないところがあったわね」
瑞鶴「?」
加賀「もともと、私のほうがあなたの癪に障るようなことをしていたことが多々あったし…」
瑞鶴「へ…」
加賀「私も悪かった…いいえ、私が悪かったわ。ごめんなさい」
瑞鶴「…加賀さん!これからは、友達で…いいかしら?」
加賀「友達……ええ、そうね」ニコッ
司令長官「よかったね、一件落着って感じで」
翔鶴「ええ、そうですね」
赤城「これで、加賀も少しは丸くなると思いますわ」
司令長官「ただ……」
―21時過ぎ、執務室―
瑞理『調べたらこの国のほとんどの女の子提督は僕のほうが好きだって言ってた!』
提督「どこ情報ですか!っていうか、海軍の提督のくせして何をまたくだらないことで争っているんですか!」
瑞理『妖精さんネットワークを駆使したんだ!あとこれは僕にとっては譲れない争いでもある!』
提督「海軍のためにある妖精さんの力を何に使っているんですか!だいたい、そんなくだらないことをしている暇があるんでしたら、ほかにもっと、やるべき仕事があるでしょうが!」
瑞理『これが僕のやるべき仕事なんだ!』
提督「ですから―!」
司令長官「彼らの関係も、瑞鶴君と加賀君みたいに直ってくれないかなぁ…」
【終わり】
177 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/04 22:11:17.62 UwOiCLCw0 98/565【キャラクター紹介】
≪瑞理 兆(みずり きざし)≫
中部東海・伊豆第壱拾参鎮守府の提督兼中部東海地方の代表提督。超が付くほどの女好きな提督。本来は、人当たりがよく優しい性格をしている。
斑提督とは、ひょんなことから関係が崩壊して現在も犬猿の仲な状態。だが、その戦略性は司令長官も一目置くほどである。また、その戦略性を活かし、
国内最高の戦果を誇っている。鎮守府の全艦娘とケッコンカッコカリを果たしている。その中でも嫁艦は雪風。
好きな言葉は『据え膳食わぬは男の恥』。
―10時過ぎ、波止場―
子日「つっかれた~!」ノビー
夕張「皆、北方航路海上護衛、お疲れさまね!」
初春「ドラム缶を引っ張るのはいささか苦痛だったぞよ…」
若葉「若葉は、ドラム缶ガン積みでも大丈夫だ」
初霜「ドラム缶ガン積みって…どんな状況ですか…」
子日「えー?確かこの前夕張さんがドラム缶ガン積みで―」
夕張「ねーのーひーちゃーん?」ガシッ
あきつ丸「ま、まあまあ夕張殿。自分たちは早く提督殿に報告に向かいましょう」
夕張「っと、そうだった。じゃあ皆は先に補給して休んでていいからね?」
子日「はーい!」
初春「しかし…寝る前に風呂に入っておきたい…」
若葉「風呂か、いいな」
初霜「そうね…。潮の匂いが体に付いちゃってるし…」スンスン
【休め提督】
―数十分後、休憩室―
子日「うーん…疲れたなぁ~…」
初春「資材を満載したドラム缶はやっぱり重かったからのう…」
夕張「うーん……」
あきつ丸「むむむ…」
初霜「あ、夕張さんにあきつ丸さん。お疲れ様です」
夕張「あ、お疲れさま。補給は済ませた?」
若葉「大丈夫だ、問題ない」
あきつ丸「ならば、オッケーであります」
初春「それより、2人ともどうかしたのかの?何やら思い詰めている様子じゃったが…」
夕張「あ、それが提督の事なんだけど…」
子日「提督が~?」
あきつ丸「報告の最中、何を言っても『ええ』とか『はい』とかと、曖昧な表現しか言ってこなかったのであります」
若葉「あの提督が?珍しい」
子日「それはあれだよ!多分今日の夕飯何かなって事で悩んでたんだよ!」
初霜「いえ、多分そんな理由じゃないと思うけど…」
夕張「…ま、難しい話は置いといて、皆でお風呂にでも入りましょ?」
子日「わーい!子日、お風呂大好きー!」
初春「妾はあっつい風呂が好みで…」
あきつ丸「おっ、自分と同じでありますね」
―19時前、食堂―
A定食『オムライス』
B定食『サンマの塩焼き』
C定食『おにぎり三種(おかか、昆布、明太子)』
子日「子日、オムライス~!」
初春「妾はサンマで…」
提督「…………………………………」モグモグ
初霜「あ、提督だ」
若葉「物静かに食事をする提督、アリだな」
初春「…のう、おかしくないか?」
子日「何が?」
初春「普段、提督はおにぎりを食べたりはしないはず…。いつもはA定食かB定食しか頼まないはず…なのに…」
若葉「聞いてみた方がいいかもしれん」
子日「それもそうだね、おーい提督~!」
提督「………………あ、何ですか?子日さん?それに、初春さん達も」
初霜(反応鈍っ!!)
提督「そうですか…そんなに私の様子がおかしかったですか…」
子日「何かあったの~?」
提督「まあ、書類が多すぎるだけですよ」
初春「書類?そんなもの、いつも見ておるではないか」
提督「いえ、もう10月に入った事で9月作戦が終了し、各鎮守府のデータが送られてくるんです。そのデータに目を通していたら、徹夜が連続して…」
若葉「そんなもの、ササッと見ればいいのではないか?」
提督「そうやって雑に見ていると、後後杜撰な管理と非難されやすくなるんですよ」
子日「ずさんって?」
提督「まあ、いい加減って事です。ですから、しっかりと各鎮守府のデータを把握しておくために、何度も読み直す必要があるんです」
初霜「……………」
提督「貴女たちは、気にしないでください。明日、貴女たちは休みでしょう?ゆっくり休んでください」
初春型「…………」
―22時前、駆逐艦寮・初春&子日の部屋―
初春「…なんぞ、してやれることはないのかの…」
子日「子日、提督の手伝いしてみたい!」
若葉「そうだな、提督のために尽くすのも、また艦娘の使命…」
初霜「そうですね……では、明日は皆で提督のお手伝いをしましょうか」
子日「おーっ!」
初春「ふっふっふぅ、妾の真の力を見せると―」
高雄『就寝時間でーす』
ブツッ(暗転)
初春型「あっ」
―翌日9時過ぎ、執務室―
提督「……………」カリカリカリ
コンコン
提督「どうぞ」
子日「失礼するよ、提督!」ガチャッ
提督「子日さん、どうしましたか?」
子日「子日、提督のお手伝いに来たよ!」
提督「いえ、別に貴女に手伝う義務はありませんし…」
子日「……子日、疲れている提督を見るの何て、嫌だもん…。元気な提督が見ていたいから…」
提督「………子日さん…」
子日「それに…」チラッ
提督「?」ゴゴゴゴゴ
子日(寝不足で目つきが怖い提督って、すっごい怖いんだもん!)
提督「では、少しでいいですので手伝っていただけますか?」
子日「分かった~!」
提督「では、この書類を読んで、誤字脱字、分かりにくい表現などを探してください。分からなければ、私に訊いてください」
子日「子日分かった~!」
ペラッ、ペラッ
子日「ねえ、提督」
提督「はい?」
子日「この漢字、何て読むの?」つ『相殺』
提督「それは、‶そうさい‶です」
子日「ふーん…」
ペラッ、ペラッ
子日「ねえ、提督」
提督「はい?」
子日「この人の名前は?」
提督「ああ、この人は瑞理…ちっ、瑞理 兆です」
子日「舌打ち!?」
ぺらっ、ぺらっ
子日「ねえ、提督」
提督「はい?」
子日「この意見の欄に、『んんwww主砲ガン積み以外あり得ませんぞwwwwww』とか書いてあるけど、どういう意味?」
提督「誰だそんなことを書いたやつ」
―1時間後―
提督「ふぅ…。子日さん、どうでしたか?」
子日「子日、1つ分かったことがあるよ!」
提督「?」
子日「よくわからないって事が、分かったよ!」
子日「…提督、喜んでくれたかな?」
初春「たぶん、すごい微妙な感じなんだと思う…。次は妾が手伝おう」
提督「今度は初春さんですか」
初春「妾を頼るがよいぞ」
提督「では、この紙に書いてあることを、こっちの紙に清書してください」
初春「ふむ?‶こんぴゅーたー‶とやらは使わないのか?」
提督「コンピューターで書くと、データを紛失したりしてしまいやすいので…。申し訳ございませんが手書きでお願いします」
初春「任せておくがよい」
サラサラサラリ、サラサラリ
初春「できたぞよ」
提督「速いですね。どれど―」
(なんて書いてあるのか分からない、ミミズの這いつくばったような字)
提督「………これ、なんて書いてあるんですか?」
初春「ふむ?そこの紙に書いてあることをまんま写したのだが?」
提督(どうしよう…達筆すぎて読めない)
若葉「初春が迷惑をかけたな。若葉が手伝おう」
提督「では、初春さんと同じく、この書類を清書してください」
若葉「任せておけ。若葉は、どんな仕事でも問題ないのだっ!」
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
提督(すごいスピードだ…)
若葉「ふはははははは…!若葉の実力は、こんなものではないぞおおおお!」
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカカカカカカカカカーッ
―数分後―
若葉「ぐおおおお…腱鞘炎に…!」
提督「全力全開で文字を書きまくるからでしょう…」
提督「で、貴女も手伝いに来るわけですか」
初霜「はい、お願いしますね」
提督「では、この書類とこの書類を比較して、間違っているところがありましたら報告してください」
初霜「はい、分かりました」
ペラッ、カリカリ、ペラッ
初霜「……提督は、大変なのですね」
提督「?」
初霜「私には、この書類の書いてあることが半分も分かりません…」
提督「それは別に恥じる事ではありませんよ。貴女たちは、このような書類は運んだことがあってもじっくりと読んだことはないのでしょう?」
初霜「そうですけど…提督の力になる事ができなくて、何か…悲しいです。自分が無力に思えて…」
提督「そんなことはありません」
初霜「?」
提督「貴女たちが、私の身を案じて手伝ってくれただけで、もう十分私は嬉しいです。ですから、改めて言わせてください。ありがとうございます」
初霜「……はい」
―16時過ぎ、休憩室―
初霜「…だそうです」
子日「うーん…提督が喜んでくれたのなら、子日はもう十分!」
若葉「うむ、提督の役に立てたのなら、私も本望だ」
初春「じゃが、提督も大変なのだのう…」
初霜「提督曰く、今回の事を通じて提督業も大変という事を知ってほしい、だそうです」
子日「子日、大変だって事がわかったよ!」
初春「のう…少し疑問に思ったのじゃが…」
子日&若葉&初霜「?」
初春「お主ら、今日の提督の秘書艦、見たか?」
子日「見てないなー」
若葉「確かに…見てない…」
初霜「私も見てないわ…誰だったのかしら?」チラッ
告知:本日の秘書艦は大淀から夕張に変更になりました。該当者は確認をすべし。
初春型「あ」
―同時刻、執務室―
提督「…………………………」ゴゴゴゴゴゴゴ
夕張「あ、あははははは…ごめんなさいね~…」
【終わり】
―19時前、工廠―
明石「よっこいしょ…っと」ガシャン
明石「ふ~…やっと修理が終わった~!」ノビー
明石「って、もうこんな時間…。お腹もすいたし、食堂へ行こうかな」
提督「おや、明石さん。お疲れ様です」ガラッ
明石「あ、提督!お疲れ様です」
提督「こんな時間まで、工廠で作業を?」
明石「ええ、今日は修理する艤装が多かったので…」
提督「確か…明日のシフトでは明石さん、休みでしたよね?」
明石「え、そうだったんですか?いやぁ…確認する暇もなかったですから…」
提督「まあ、明日はゆっくり休んでください」
明石「では、そうさせていただきますね」
【工場女子】
―翌日7時、運動場―
※朝礼
提督「えー、本日は明石さんがお休みという事で、出撃や開発、建造は控えるようにしてもらいたいと思いますので、お願いいたします」
速吸「え?」
皆『はーい』
―8時過ぎ、食堂―
速吸「あの、提督」
提督「はい?」
速吸「今日って、出撃も開発も建造も、しちゃダメなんですか?」
提督「いえ、ダメと言うわけではありません。控えるように、という事です」
速吸「それは…どうして…」
提督「ええとですね、明石さんは工廠の責任者なんですよ。工廠での仕事は、装備の開発に、新たな艦娘の建造…それと明石さんは艤装の修理も、担当しておりますので。明石さんが休むという事は、それらの行為ができなくなるという事です。まあ、明石さんがいなくても妖精さんがいれば、何とかなりますが」
速吸「はぁ…なるほど…」
提督「万が一、面倒な事が起こった場合に責任者がいないと、色々問題になりますので…それを避けるためなんです」
速吸「……だからですか」キョロキョロ
提督「?」
速吸「…明石さんの姿が見えないんですけど…」
提督「ああ、明石さんは今日は休みなんです。休みの方は、朝礼に参加しなくてもよいというルールがありますし、食事は食堂で摂らなくてもよい、という暗黙のルールもあります」
速吸「なるほど…」
提督「速吸さんは、着任してまだ日が浅いですからその辺の事も分からなかったのですね。すみません、こちらの説明不足で」
速吸「いえ、お気になさらず…」
提督「しかし、あまり寝過ごされますと健康に支障が出ますし、昼までに起きてこなければ起こしに行きますかね」
速吸「あ、結局起こしちゃうんですか」
提督「昼夜逆転なんて事になっても困りますから」
―13時過ぎ、執務室―
速吸「結局、明石さん起きて来ませんでしたね」
提督「仕方ありません、起こしに行きますか」
速吸「ちなみに、起きてるけど部屋で寝てるって事は…」
提督「一応、起きた後は私に一報を入れるように言ってありますが、まだ連絡が来ていないので、おそらくまだ寝たままなのでしょう」
速吸「あ、速吸も一緒に行きます!」
―数分後、特別艦寮・明石の部屋前―
提督「明石さん?もう昼過ぎですよ?」コンコン
明石『んぁ…………』
速吸「反応はありますけど…起きてくる感じはありませんね」
提督「明石さん?」コンコンコン
明石『ふぁい…少し待ってください…』モゾモゾ
速吸「やっと起きてきましたね…」
提督「寝過ぎると逆に健康に悪いんですよ」
ガチャ
明石「は~い…すみません、遅れましたぁ~……」←下着
提督&速吸「」
明石「?どうかしたんですか…って、ああ、下着でしたね。まあ、素っ裸じゃないだけマシですって」
提督「服を着なさい」
明石「むぅ…分かりましたぁ…ふわぁ…」パタン
速吸「………明石さんて、あんな人だったんですね」
提督「基本、オフの日のみなさんって、大体そんなものですよ」
速吸(と言うか提督さん、明石さんの下着姿見たのに全く反応しなかった!?)
―数分後―
明石「いやぁ…すみません、寝ぼけてました」←タンクトップにジーンズ
提督「もう昼過ぎですよ、いい加減に起きてください」
明石「大丈夫ですって、もう覚醒しましたから。それにしても、お腹空いたなぁ…」
提督「間宮さんに頼み込めば、何か作ってもらえるかと思いますが」
明石「では、そうしますか」
―数分後、食堂―
明石「ああ~…美味しいなぁ…」
提督「休みの日の過ごし方は個人の自由ですけど、半日を寝て過ごすっていうのは少しダメだと思いますね」
明石「そう思ってはいるんですけど…なんかいい休日の過ごし方ってないんですかね…」
提督「そうですね…私的には小旅行かと…」
明石「速吸ちゃんは?」
速吸「へっ…あ、速吸は…。読書とか…」
明石「読書かぁ~…」
提督「ところで、こんな昼過ぎまで寝てるなんて、そこまで疲れてるんですか?」
明石「そうなんですよねぇ~…艤装とか弾薬とか重いものを毎日持ってますので…腕の節々も痛いですし…イタタ…」
速吸「妖精さんに手伝ってもらってはいないんですか?」
明石「妖精さんの力を借りてはいるんですけど…それでも足りないというか…」
提督「やはり、人員不足が問題ですね……」
速吸「整備員の方を雇うとかは…」
提督「仮に雇うとしても、おそらく女性に固定されるでしょうね。男性にしてしまうと、うっかり薄い本的展開が起こりかねませんし」
速吸&明石(提督/提督さんが薄い本を知っている…だと…!?)
明石「あ」
提督「どうかしましたか?」
明石「しまったなぁ……今日、部屋の掃除しようと思ったんだった…」
提督「おや、手伝いましょうか?」
明石「い、いえいえいえ!提督に手伝ってもらうだなんて、とんでもない!」
提督「ですが、日頃の感謝も込めて…」
明石「と、と言うか!乙女の部屋に押し入るなんて、紳士のする事じゃあありません!」
提督「貴女、先ほど私に下着姿見られてましたよね。それよりも嫌なんですか」
明石「嫌なんです!」
提督「…分かりました。では、速吸さんを使って構いませんので」
速吸「へっ」
明石「本当ですか?よかったぁ…。じゃあ、速吸ちゃん、悪いけど手伝ってくれるかな?」
速吸「は、はい…」
―数分後、明石の部屋―
ゴチャゴチャゴチャ…
速吸「うわ……」
明石「あはは…幻滅しちゃった?」
速吸「明石さんって、もっと部屋綺麗にしてるものだと思ってましたけど…」
明石「いやぁ…部屋を片付ける暇がどうしても見つからなくって…。ま、早いところ片づけちゃおうか」
速吸「はい!」
―数十分後―
明石「はぁ~片付いたなぁ~…」
速吸「…………」
明石「ん、どうかした?」
速吸「いえ……」
速吸(明石さんって…タンクトップが映えるなぁ…。と言うか、工業系の女性って、なんでタンクトップが似合うんだろう…)
明石「?」
【オチはない】
203 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/07 22:08:21.08 eLjeooy10 111/565【キャラクター紹介】
≪明石≫
工作艦。艦娘No.182(改二はNo.187)。普段は工廠で働いている、工場系お姉さん。艤装の整備、装備の開発、新しい艦娘の建造を一手に担っている。
しかし、最近は仕事が増えたため新しい人員を欲しがっている。仕事が山積みしていると風呂にも入れないが、髪の手入れには一応気を遣っている。
夕張とは同じ工業関係で仲が良い。部屋は結構汚い、私服はラフな感じと、色々とイメージ通りな感じもする。
好きな言葉は『試行錯誤』。
―数十年前、某小学校―
先生「はーい、じゃあ次の子、自己紹介をお願いね~!」
??「はい」ガタッ
ザワザワ……
??「…………」カツ、カツ
『なんか暗そうな子だね…』
『でも、ちょっとカッコいい…!』
先生「お名前は何て言うのかな?」
斑「はい、まだら れいめいと言います。よろしくお願いします」
【その生い立ち】
―現在、14時過ぎ、書庫―
ドサバサドサバサッ
深雪「うわわわっ!」
吹雪「深雪ちゃん、大丈夫!?」
深雪「う、うん…何とか…」
白雪「あらら…こんなに散らかしちゃって…片付けましょう」
初雪「…手伝う」
深雪「ごめん……」
ガサッ
深雪「ん?なんだこれ?」
吹雪「どうしたの?」
白雪「それ、アルバムですか?」
初雪「…ちょっと見てみたい」
深雪「じゃ、見てみますか!」ペラッ
[提督着任時]
深雪「おっ、司令官と吹雪のツーショットじゃん!」
吹雪「ちょ、ちょっとそんな言い方しないでよ~!」
白雪「そう言えば、吹雪ちゃんは司令官の初期艦でしたね」
初雪「…うらやましい」
吹雪「そんなんじゃないってば~…」
深雪「でもみんな懐かしい写真ばっかりだぜ~」ペラペラ
初雪「…あ、司令官が補佐官になった時の写真だ」
深雪「あんまり変わってないじゃん」
白雪「まあ、2年じゃあまり変わりませんよね」
深雪「ところでさ、司令官ってあんまり自分の過去の話ってしないよな」
白雪「確かに…聞いた事がありませんね」
初雪「…いや、普通に人生謳歌してきたんじゃ…」
深雪「案外、深海棲艦の1人とかだったりして。あのおっかない司令官ならありえそう」
吹雪「あはは、そんなわけないよ~。後、司令官はそんなにおっかなくないってば」
―15時過ぎ、執務室―
提督「ああ、私、深海棲艦の1人ですよ」
吹雪型「」
提督「?」
吹雪型「えええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!?」
提督「嘘です」
吹雪型「で、ですよねー」
提督「と言うか、書庫整理を頼んだはずなんですけど…」
吹雪「い、いえ!書類整理は終わっていたんです!そのあとで、アルバムを見たんです!それで、さっきみたいな話に…」
提督「なるほど…」
深雪「で、でさぁ。ぶっちゃけ司令官の子供の頃って、どうだったの?と言うか、提督になる前ってどうだったの?」
提督「どう、と言われましてもね…」
白雪「ただ、どういう性格だったか、とか、友人がどうだった、とかいう話を聞いてみたいんです」
提督「それは別に話すのは構いませんが…そこまで興味を持つようなものですかね?」
初雪「…人の黒歴史は、聞いてみたい」
提督「私の過去が黒歴史しかないみたいな言い方しないでください」
深雪「まあ、いいからいいから、話しておくれよ」
提督「構いませんけど、つまらないですよ?多分」
初雪「…それでもいい。ほれ、はようはよう」
提督「…分かりました」
吹雪型「おお~」パチパチパチ
提督「…私が物心ついた年齢の時には、もう両親は他界していましたね」
吹雪「あ……それは、ご愁傷様です」
提督「いえ、大丈夫です。それで、私がみなしごだという事を、孤児支援施設の方が発見して、私はそこの施設に引き取られました。後、私の名前、斑 黎明(まだら れいめい)と言うのは、母子手帳に書いてあったらしいです」
深雪「……自分の名前がDQNネームだったの知って、どう思った?いや、司令官の名前ってあんまりDQNって感じはしないけど…分類では、DQNに近い感じがするから…」
提督「正直、親のセンスを疑いました」
白雪「自分の名前に疑問を抱くっていうのも、珍しいとは思いますけど」
提督「それで、小学校を卒業するまでは、その施設で過ごしました。皆さん、私の名前が面白くて、よくバカにしてきましたね」
吹雪「…なんか、容易に想像できます」
提督「小学校で、友人も何人かできました。そのうちのさらに数人は、今も交流があります」
初雪「…今もあるんだ」
提督「で、中学生になってからはその友人の家に居候させていただきましたね」
深雪「中学で友達の家に居候か~。ホー○レス中学生みたいだな」
白雪「ちなみに、その今も交流のある友人って、どんな方なんですか?」
提督「そうですね……まあ2人なんですけど、1人は凄いバカ、もう1人は何だかんだでいい人ですね」
初雪「…理想の友人像」
吹雪「S気質、バカ、いい人……先生が手に焼きそうなメンバーですね」
提督「その2人とは、高校まで同じだったんですけど、高校を卒業してからは別々の道を選びました。凄いバカは大学へ、いい人は海上自衛隊へ。そして私は、自分が元々希望していた企業へ就職する事に決めました」
深雪「え?司令官って、元々海軍志望じゃなかったの?」
提督「ええ。その企業、私が中学生あたりから目指していた企業ですから。結果的に、就職できましたけど」
吹雪「そうだったんだ…(なんだかショック…)」
提督「ところで、深海棲艦が出現したのは今から約7年前っていうのは知っていますね?」
深雪「ああ、知ってるぜ」
提督「私は今、26歳。つまり、私が19歳の時に深海棲艦が出現したんです。よって、私が社会人1年目の時に深海棲艦は出現しました」
提督「実は、私の就職した企業、いくつか部署があるんですがね、私の配属された部署は、希望していた部署とは真逆だったんですよ」
初雪「…真逆?」
提督「ぶっちゃけ、私が希望してたのは文系の部署でしたが、配属されたのは理系だったんです」
深雪「あらら……」
提督「で、一応私はそこでも頑張ろうと必死に努力しましたが…。何かとミスをやらかしてしまったり、よくものを忘れる事が多かったり…。それに、どうも態度が上司や先輩の気に障ったようでしてね」
白雪「うーん…その辺りは、あまり私達にはなじみのないような…」
提督「まあ、要するに、上司の反感を買ったって事です。話し方がつっけんどんだったり、舌打ちしてしまったり…。今の私からすれば、ありえないような事でしたし、あの時何で私はあんなことをしてしまったんだろうと、今では後悔の念に潰されています」
吹雪型(どうしよう…今とあんまり変わらない…)
提督「それで、入社2年目の春、私が19歳の頃に深海棲艦が出現しました。それから約1年後の春に、貴女たち艦娘の存在が確認されました」
吹雪型「………………」
提督「それで、私が20歳、会社で3度目の春を迎えた頃に、会社をクビになりました」
深雪「あーらららら…」
白雪「深雪、そんな言い方…」
提督「いえ、お気になさらず」
提督「で、その後なんですけど…」
―約6年前、斑(現提督)の自宅―
ガッシャアアアアアアアン!!!
斑「くそっ……クビになった………」
斑「よく考えたら、自分は馬鹿な事をした……」
斑「くそ……くそっ…!!」
ピリリリリリ(携帯)
斑「…………」
ピリリリリリ
斑「………もしもし」
友人(バカの方)『おーう、黎明!元気してる?』
斑「……今、ものすごい不調です」
友人『何?何したの?』
斑「…会社をクビになりました」
友人『あーりゃりゃ、こりゃりゃ。そりゃ残念だったな…」
斑「ええ…自分でも、愚かな事をしてしまったな、と」
友人『それじゃあ、話が早えや」
斑「?」
友人『…1年前に深海棲艦ってやつが出現したのは、知ってるよな?』
斑「…ええ」
友人『実はよ、蓮村(いい人)からの話で、これから海軍が提督となる人物を募集しようって話が出てるんだわ。そんで、海軍は、海軍学校の、採用基準を低くして、入学者を増やそうって計画を立ててるらしい』
斑「……まさか」
友人『俺も、海軍ってのにはちょっとだけだが憧れてたんだ。お前も、今は仕事が無くて暇になっちまったんだろ?俺も、大学の生活にはちょっと、物足りない感じを抱いていたんだ。だから、俺たちで海軍に入らないか?』
斑「………なるほど」
友人『おそらく、蓮村も提督ってやつになるんだと思う。どうだ、また3人で海軍で馬鹿をやらないか?』
斑「海軍だと馬鹿をやれる機会は減るだろうし、主に馬鹿をやってたのは貴方だと思うんですが…。と言うか貴方バカですし…」
友人『なっ、何だとぉ!?』
斑「まあ、海軍ですか。良いかもしれませんね」
友人『よっしゃ。じゃ、来年から海軍に入ろうぜ。それまでは、俺とお前で一緒に暮らそうか』
斑「へ?」
友人『だってお前、会社首になったんだろ?生活に困るだろうし、俺のトコで一緒に暮らした方がいいと思うぜ』
斑「………では、すみませんが」
友人『よっし、じゃあ荷物とかは宅配便で送ってくれ。俺の住所は知ってるだろ?』
斑「はい」
提督「それで、その翌年に海軍に入り、提督としての適性試験にも合格して、当初は第弐鎮守府に着任しました」
吹雪「あの時は、私を選んでくださって、ありがとうございます」
提督「いえいえ、吹雪さんは凄く真面目そうな方でしたので、貴女にさせていただきました」
吹雪(見た目じゃないのは嬉しんだけど…なんだかなぁ…)
提督「提督となれたのは22歳、それで司令長官から補佐官に任命されたのは24歳、それで今は26歳…。思えば、海軍に入ってからもう6年以上…。考え深いですね」
コンコン
提督「はい?」
大淀「提督、お客様が2名いらしております」
提督「…分かりました。通してください」
大淀「はい、ではどうぞ」
吹雪「あ、じゃあ私達は…」
提督「いえ、2人同時に来るという事は…大体わかります」
友人(バカ、以下鳥川)「よーう、黎明。元気してる?」
蓮村「やあ、黎明」
提督「鳥川さん、蓮村さん」
吹雪「え、じゃあ…」
提督「この二人が、小学校からのバカ仲間です。こっちの鳥川がバカ、蓮村がいい人です」
鳥川「おい、どういう紹介の仕方してんだよ!」
蓮村「まあまあ、大して変わりないじゃない」
鳥川「ハス、テメェ自分だけいい表現されてるからってバカにしてんのか!」
蓮村「い、いや、そういうつもりじゃ…」
提督「では鳥川さん、貴方の性格は発想力豊か、と言った方がいいですかね?」
鳥川「お、それならまあいい感じの言い方だな。ОKだ!」
提督&蓮村(やっぱりバカだな)
ギャイギャイギャイギャイ
吹雪「…提督があんなに楽しそうにしてるのって、初めて見るかも」
深雪「表情が普段と同じな分、楽しそうにはあまり見えないんだけど…」
初雪「…でも、あのバカな鳥川さんが司令官を海軍に誘っていなければ、司令官は今こうして私達と仲良くする事も出来なかったんだろうな…」
白雪「そう考えると、友達っていうのもいいですね」
鳥川「このS!外道!」
提督「なんとでもいうがいい」
蓮村「2人ともやめなって、無益な争いはやめようよ…」
【終わり】
217 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/08 22:18:29.26 TwB9adZu0 119/565【キャラクター紹介】
≪鳥川 将(とりかわ しょう)≫
関東・木更津第鉢鎮守府提督。斑、蓮村とは小学校からの付き合いで、すごいバカ。しかし、突飛な発想力から、とんでもない真理をつくこともある。
高校までは斑、蓮村と同じだったが、高校卒業後は工業大学へ進学。しかし、深海棲艦が出現してからは、大学を辞めて元々興味のあった海軍に入り、
提督としての適性試験に合格して提督になる。また、斑を海軍に誘った張本人でもある。提督である今の嫁艦は木曾。
好きな言葉は『笑う門には福来る』。
≪蓮村 宗(はすむら しゅう)≫
関東・湯河原第陸鎮守府提督。斑、鳥川とは小学校からの付き合いで、真面目な性格。しかし、さらっと毒を吐くような発言もし、鳥川をキレさせる。
高校までは斑、鳥川と同じだったが、高校卒業後は海軍学校へ進学。深海棲艦出現後は、提督としての適性試験を受けさせられ、合格して提督となる。
提督業の面では、斑、鳥川よりも先輩。また、鳥川に提督募集の情報をリークした張本人。提督である今の嫁艦は長良。
好きな言葉は『無病息災』。
―14時過ぎ、食堂―
間宮「秋ですから、何か秋らしいメニューを提供したいわけなんですよ」
提督「その言い分はわかりますが、サンマは同意できません」
間宮「何でですか!秋と言ったらサンマ、サンマと言ったら秋っていうくらい、サンマは秋の風物詩なんですよ?」
提督「いえ、サンマは一尾当たりの値段が高いですので…最近は漁獲量も減っているという話ですし…。この鎮守府全員分のサンマを買うというのは、予算的に難しいんです」
間宮「そんな…残念です……」
司令長官「あー、ちょっといいかな?2人とも?」
間宮「あら、司令長官。こんにちは」
提督「司令長官、どうかしましたか?」
司令長官「それが、漁協から『サンマが謎の大量発生をしてどうにかしてほしい』って文句が…」
提督&間宮「!!」
【サンマ革命】
―翌日7時、講堂―
提督「えー、昨日、各地の漁協から鎮守府へ、サンマが大量発生して手に負えない、何とかしてほしいとの依頼がありました」
ざわざわ……
『サンマが大量発生って…』
『そんな話あるわけないっしょー』
球磨「サンマが食べたいかー!」
多摩「食べたいニャー!」
赤城「食べたいわー!」
提督「落ち着きなさい。それで総司令部としましては、このような異常事態が発生したのは日本近海全域という事ですので、全ての鎮守府に対し、サンマを駆逐、捕獲するという任務を通達しました」
間宮「…………」キラキラキラ
提督「無論、私達の鎮守府もその任務に参加する事になります。出撃する海域は、鎮守府近海、北方海域となりますので、後ほど編成を発表します。該当する艦娘は武装を整えた後で、波止場に集合するように」
間宮「わくわくわく…」
球磨「ちなみに提督、その捕獲したサンマは…」
提督「漁協曰く、こちらで好きにして構わないそうです」
球磨&多摩&赤城「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
間宮「いえーい!」
伊勢(間宮さんがはしゃいでいる…なぜ…)
―数分後―
提督「これでよかったんですか?」
間宮「はい!もうバッチぐーです!」
提督「まったく……漁協の皆さんに頭を下げて、捕獲したサンマはこちらの好きにしていいなんて要求を通したのに、どれだけの書類を徹夜で…」
間宮「まあまあ、いいじゃないですか。私も手伝ったんですし…」
伊勢「はっはーん、そういう事でしたか」
間宮「い、伊勢さんん!?」
提督「あ、伊勢さん。おはようございます」
伊勢「なるほどなるほど、間宮さんはサンマ料理が作りたいから、サンマ大量発生という異常事態に乗っかって、皆にサンマを集めさせて料理し、自分の目的達成を図ろうと…。ほうほうほう」
間宮「えっと…皆を利用するような感じで、ごめんね?お詫びに、美味しいサンマ料理を作ってあげるから…」
提督(何だろう、この、お詫びがサンマ料理って…。そこらの料理漫画でも聞かないセリフ…)
伊勢「いやー、でもサンマ料理は楽しみだから、私もちょっくら頑張っちゃおうかな~」
提督「出撃海域の1つに、鎮守府近海があります。貴女には、そこで瑞雲ガン積みで出撃してください」
伊勢「了解っと!」
提督「早くも間宮さんのたくらみが露見しましたね」
間宮「うう…」
提督「と言うか、そこまでサンマ料理作りたかったんですか」
間宮「いやぁ~…調理人としては、旬の食材を使って料理を作るのは使命と言うか、何と言うか……」
赤城「間宮さん」ヌッ
加賀「お話し中失礼します」ヌッ
間宮「あら、赤城さんに加賀さん。どうかしたんですか?」
赤城「私たちはアルフォンシーノ方面、または北方AL海域へ向かおうと思っているのですが…」
加賀「モチベーションの向上も兼ねて、サンマはどう調理するのかをお聞きしたいのですが…」
間宮「ああ、そんな事ですか。ええとですね、今考えているのは、まず普通に焼き魚にして、後は刺身とかつみれとか……」
赤城「テンション上がってキタコレ!!」キラキラ
加賀「流石に気分が高揚します…!」キラキラ
赤城「ご安心ください!私達が、サンマは絶対に私達が捕獲してきますので!行きましょう、加賀!」タタタ
加賀「準備は万全です。流星改、烈風、彩雲の調子も問題ないです」タタタ
間宮「…サンマ料理の話をしただけで、キラキラしましたね」
提督「いっそ、サンマ料理の写真でも持たせて出撃させましょうか」
―数時間後、鎮守府海域・Iマス(敵通商破壊主力艦隊)―
ズッドオオオン
長良「サンマの塩焼き!サンマの塩焼き!」ドドドドン
川内「あの香ばしい匂いが早く嗅ぎたいいいいい!!!」バシュシュシュ
伊勢「あー…考えるだけで涎が出てくるぅ…!」ギューン
龍驤「だからサンマよこせやああああああ!!」ババババババ
潜水ヨ級flagship「…………ナンダ、アイツラ……」
潜水カ級elite「狂気ヲ感ジル…」
長良&川内「落ちろ!!」ドシュッ
伊勢「沈めっ!!」ギィィィィィン
潜水ヨ級flagship「……………さんまノ力ッテ、スゲー」撃沈
―数時間後、北方AL海域・Fマス(北方AL泊地)―
赤城「サンマ!サンマ!サンマ!サンマ!サンマ!」ババババババ
加賀「秋刀魚秋刀魚秋刀魚秋刀魚秋刀魚秋刀魚秋刀魚秋刀魚………」ドドドドドド
大鳳「サンマ!サンマ!サンマ!サンマ!サンマ!」ギュババババババババ
護衛要塞×2「」撃沈
重巡リ級flagship「」撃沈
駆逐ロ級後期型「」撃沈
北方棲姫「……………………………エ?」
利根「サンマじゃあああああああああ!!!」ドドドドン
夕張「サンマは正義なり!」ドドン
吹雪「サンマ美味しそおおおおおおおおおお!!!」バシュシュッ
駆逐ロ級後期型「おーばーきるモイイトコロデゲフゥ!?」撃沈
北方棲姫「ア…アリノママ今起こった事ヲ話スワ…」
北方棲姫「『サンマサンマ連呼する奴らが突然来たと思ったら味方が全員沈んだ』」
北方棲姫「ナ…何ヲ言ッテイルノカワカラネート思ウガ、私モ何ヲサレタノカワカラナカッタ…」
赤城「さあにっくき北方棲姫!早くサンマを渡しなさい!」
加賀「さもなくば沈めます。覚悟を」
北方棲姫「理不尽ト言ウモノヲ今実感シタ」
―19時過ぎ、食堂―
間宮「サア皆さん、今日の夕飯は皆さんが取ってきたサンマを使った料理ですよ~」
A定食『サンマの塩焼き』
B定食『サンマの刺身』
C定食『サンマのおにぎり』
曙「サンマ料理ばっかり…」
長門「ある意味、ひどいメニューだな…」
間宮「えー?そうかしら?サンマはおいしいと思うけど…こうやって網の上に載せて火をつければ…ああ、いい香りが…」
天龍「骨が取れねぇ……」
龍田「あら~…」
―20時過ぎ、執務室―
間宮「ふぅ、疲れましたぁ~…」
提督「お疲れ様です。しかし、あれほどのサンマを大量にさばくとは…」
間宮「ふふ…料理人ならではの技ですよ」
提督「で、今後もまたサンマ料理を続けるつもりですか?」
間宮「いえ、さすがに連日サンマ料理は皆さんも嫌になってしまうでしょうし…、1日おきにしたいと思います。保管方法は、明石さんに頼みましたし」
明石『また余計な仕事で残業が増える~…』
提督「明石さんの魂の叫びが聞こえた気がするんですが」
間宮「気のせいですよ。それにしても、やはり旬のものに包丁を入れる感覚と言うのは、何とも言えませんねぇ~…」
提督「ああ、そう言えば1つ報告が」ガサッ
間宮「はい?」
提督「漁協さんから、サンマの数が通常に戻った事で、サンマの駆逐はもう大丈夫と言う連絡が来ました。また、今後はサンマを捕獲した場合、漁協の方に出すように、とのことです」
間宮「」
―翌朝7時、特別艦寮・間宮&伊良湖の部屋―
伊良湖「間宮さーん、そろそろ起きてくださーい」
間宮『サンマが…サンマがぁ…』
提督「やれやれ…」
【終わり】
230 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/09 22:06:41.35 Oh7NyJE60 126/565【キャラクター紹介】
≪間宮≫
給糧艦。長い髪と赤いリボンが特徴の、包容力ある優しいお姉さん。食堂の食事当番を務めていて、朝・昼・晩三食を提供している。それ以外の時間は、
艦娘達にスイーツを振る舞う。料理で作れないものはほとんどなく、フグもさばける。大規模作戦中は自前のおにぎりを艦隊の皆に渡して笑顔で見送る。
伊良湖は後輩でもあり、娘のような存在。料理関係で鳳翔とも仲が良い。休日は、スイーツ食べ歩き、新メニュー作成など、食べる事全般。
好きな言葉は『医食同源』。
―9時過ぎ、戦艦寮・伊勢&日向の部屋―
伊勢「いいなー、日向ってば。今日と明日休みなんでしょ?」
日向「提督曰く、『少しは休んだ方がいい』と。人の事を言えるのか、って話だな」
伊勢「私も休みたいなー。ねえ日向ぁ。休み代わって~」
日向「馬鹿な事言っていないで、早く出撃の準備をしたらどうだ?もうすぐ時間だろう」
伊勢「とっとっと。そうだったね。じゃあね、日向」パタン
日向「やれやれ……」
チクタク、チクタク
日向「………………」
チクタク、チクタク
日向「そう言えば、休みなど久々な気もするが……」
チクタク、チクタク
日向「………暇だ」
【休みの過ごし方】
―数十分後、執務室―
提督「意外ですね」
日向「何がだ?」
提督「貴女の事ですから、休日は訓練をしているか、部屋で静かに読書をしているか、そんなイメージが強かったんですが」
日向「それはあくまで君のイメージだろう?実際の私は、結構暇を持て余しているんだ」
提督「でしたら、読書なり散歩なり、貴女の好きなように過ごしていいんですよ?」
日向「いやぁ、まあ…それもありなんだが…。何かこう、効率のいい休み方を知りたいんだ」
提督「効率のいい過ごし方…ですか」
日向「ああ、ただ読書をして過ごしているだけでは、何か無駄に時間を過ごしている気がしてならないし、散歩は体力を消耗して疲れるんだ」
提督「おい」
日向「訓練はしてもいいんだが…模擬弾とは言え無駄ではないか?」
提督「まあ、模擬弾の数はたくさんある、と言うわけではありませんけどね」
日向「そんなわけで、鎮守府の皆の意見を参考にしようというわけだ」
提督「それもまた、いい暇の潰し方と思いますがね」
日向「手始めに、君は休日何をして過ごしているんだ?」
提督「……………………」
日向「?」
提督「……最近、休日なんて過ごしてない…」
日向「……………すまない」
提督「……………いえ」
―廊下―
日向「ふむ…私が読書や訓練をしているイメージがある、か」
日向「……私はそんなに、堅いイメージを持たれていたのか…」
日向「…まあ、それはいい。さて、誰に訊こうかな…」
―数分後、食堂―
間宮「休日の過ごし方?」
日向「はい。何か参考にできないかと」
間宮「うーん…そうねぇ…」
日向「いつもやっている事、ではなくて、休日の楽しみ、とかでもいいんです」
間宮「ああ、そう言えば休日は良くスイーツ食べ歩きとかしてるわね」
日向「ほう、スイーツ。なるほど…」
伊良湖「でもそれで、最近バルジが増えちゃったんですよね?」
間宮「」ズーン
日向(ああ…………)
―十数分後、工廠―
ガコーン、ガシャーン
明石「へ?休日の過ごし方ですか?」
日向「ああ、何かいい過ごし方はないかと思って」
明石「そうですねぇ……。私、よく休日は昼まで寝たり、部屋の片づけしたり…自堕落な生活を送ってるせいか…」
日向「なっ…つまり、休日を効率よく過ごすためには自堕落な生活を送れと…!?」
明石「そういうわけではないですよ!?あ、そうだそうだ!よく、ホームセンターとか見に行きます!」
日向「…ホームセンター?」
明石「はい。結構楽しいですよ?色々な工具見たり、模様替えしたいなーって色々な家具を見たり…」
日向「…鎮守府の寮の部屋って、確か改装できなかったはずだが?」
明石「!」ハッ
―中庭―
日向「ふむ……なるほど、店を見に行くというのもなかなか悪くない…店のチョイスを間違えなければだが」
日向「だが、何かパンチが足りない…。何かこう、もっと刺激的な体験を…」
―12時過ぎ、食堂―
翔鶴「休日はどうかって?」
日向「ああ、参考に」
翔鶴「そうねぇ…私は良く、小旅行をしたりするわね…」
日向「ほう、小旅行?」
翔鶴「ええ。そんな、長距離を旅して旅館で一泊、とかじゃなくて、ただ電車に乗って近くを一周したり…電車に乗っていると、揺れる振動と音が、いい感じに気持ちいいんです」
日向「なるほどなるほど…。それは面白そうだ」
翔鶴「でも気を付けて下さいね?」
日向「?」
翔鶴「うっかりすると、寝過ごして最果ての駅に着いたり、財布を無くして余計にお金を払わなくちゃならなくなったり…」
日向「シャレにならん話だな…」
―14時過ぎ、休憩室―
川内「私は日中寝てるよ?昼間はどうも元気が出なくて…」
神通「私は自主トレですかね…」
那珂「那珂ちゃんは~、新しい曲を作ってるよぉ~!」
吹雪「図書室で勉強してますね…」
夕立「夕立、最近ホラー映画を見るのがマイブームっぽい!」
白露「あれ、ホントにやめてほしいし…」
日向「皆、個性的な休み方をしているな…しかし、どれもちょっとな…」
鳳翔「あ、でしたら…」
日向「?」
―16時過ぎ、厨房―
提督「おや?」
日向「あ、君…。休憩かい?」
提督「ええ。書類が一段落しまして…。それより、それは?」
日向「ああ、鳳翔さんにアドバイスをもらって、クッキーを作ってみる事にしたんだ」
提督「なるほど、菓子作りですか。いいですね、女性的で」
日向「いや、別に菓子作りで休日を過ごすわけじゃないさ。金もかかるし、菓子ばかり作っていると太るしな」
提督「では、どう過ごす事に?」
日向「長門に教えてもらった筋トレや、金剛から教わったウィンドウショッピング、とやらをしようと思ってる」
提督「筋トレ……」
日向「別に、ジムに行くわけではないさ。まあ、ジムに行くこともあるだろうけど、ジョギングや、訓練場で訓練と、君のイメージ通りの事も、やるつもりさ」
提督「貴女がそれでいいのでしたら…。それより、そのクッキーは誰に?」
―18時前、戦艦寮・伊勢&日向の部屋―
伊勢「たっだいまー…あー、疲れたなぁ~…」
日向「お帰り、伊勢」
伊勢「おっ、どうしたの日向?なんか嬉しそうで」
日向「いやぁ、初めてクッキーを作ってみたんだが、鳳翔さんや駆逐艦の皆からも好評でな」
伊勢「ひ、日向がクッキー作り!?いつの間に乙女プラグインなんて実装したの!?」
日向「そんなネタは置いといて、伊勢も食べるか?」スッ
伊勢「へ?いいの?」
日向「元々、日頃の労いも込めて伊勢に作っていたものだからな」
伊勢「うわーん!!日向ぁ~!!日向は自慢の妹だよぉ~!!」パリパリ
日向「泣きながらクッキー食べつつ抱き付かないでくれるか…」
伊勢「うん、美味しい!ありがとね、日向!」ニカッ
日向「…どういたしまして」
―数日後、浴場・脱衣場―
伊勢「日向のクッキーのせいで太った!どうしてくれるのよー!!」
日向「…ひどい責任転嫁を見たぞ」
【終わり】
【物欲センサーってこんな感じ】※オマケ。本編とは関係ありません。
『秋の秋刀魚祭り期間中、特定の海域において駆逐艦『磯風』の邂逅が可能です』
―パターン1―
鳥川「マジで!?よっしゃ、ぜってー磯風ゲットしちゃる!」
鳥川「と言うわけで、秋刀魚も獲得できるし磯風もゲットできる1-5へ出撃だ!」
物欲センサー『そんな風に欲しがってるやつのところに、磯風を素直には渡せないなぁ~』
※欲しがってる奴ほど、磯風はドロップしない。
―パターン2―
蓮村「え、磯風!?」
蓮村「あー…でも、秋刀魚を集めた後の報酬の方が美味しいし、磯風はいらないかな?」
物欲センサー『そうか、だったら磯風をドロップする必要もないな?』
※いらない、と思っている奴もドロップしない。
―パターン3―
斑「え?磯風?」
斑「それよりも、秋刀魚をどうにかしないと色々漁協から言われるんですよ。こちらが最優先です」
物欲センサー『どうでもいいと思ってるのか。なら、驚かせたれ』
―鎮守府海域・Iマス(敵通商破壊主力艦隊)―
磯風「陽炎型駆逐艦十二番艦、磯風。大丈夫、私が守ってあげる」
長良&五十鈴&扶桑&瑞鳳「!!?」
※どうでもいい、と思っている奴がドロップする。
243 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/10 21:49:33.82 zr7GQeFX0 133/565【キャラクター紹介】
≪日向≫
伊勢型戦艦・航空戦艦二番艦。艦娘No.4(改はNo.103)。クールだが芯は熱い頼れるお姉さん。自由気ままで元気な姉・伊勢に振り回される日々を送る。
休日を過ごす際に良い暇の潰し方が見つけられずに悩んでいたが、皆のヒントによって、菓子作りと自主トレーニングに落ち着く。元気な伊勢の事は、
軽くスルーしているが最終的には構ってあげる。航空戦艦になってから瑞雲マニアになった。
好きな言葉は『青天白日』。
―15時過ぎ、執務室―
コンコン
提督「はい」
ガチャ
朝潮「失礼します、司令官!頼まれた資料、持ってまいりました」
提督「あ、ありがとうございます。では、朝潮さんは―」
朝潮「他に何かお仕事はございますか?」
提督「え?いえ、貴女は…」
朝潮「私はまだ、頑張れます!何か、他にお仕事はございませんか?」
提督「…そうですね…でしたら、次はこの書類を取ってきていただけますか?」
朝潮「はい!分かりました!」タタタ
パタン
司令長官「朝潮君は真面目だねぇ」
提督「それも、クソがつくほど」
司令長官「あの子、秘書艦にしたら仕事がちゃっちゃか片付きそうだねぇ」
提督「まあ、朝潮さんみたいな真面目な人ほど、色々何かを抱え込んでいるものですよ」
【築き上げた信頼】
―翌日8時半過ぎ、執務室―
提督「朝潮さんが風邪?」
大潮「うん…。朝起きたら、朝潮が苦しそうにしてたから、『どうしたの?』って聞いたら、咳き込んで、風邪みたい、って」
提督「やはり、日頃の無理がたたったのでしょうかね」
大潮「え、朝潮、そんなに出撃で頑張ってたの?」
提督「いえ、朝潮さんは自発的に仕事をやる人でしたので、普段の出撃のほかに総司令部の仕事も抱えていましたから」
大潮「そっか……朝潮も、無理してたんだね」
提督「まあ、朝潮さんに仕事をホイホイと任せてしまった私の責任でもありますし…。看病しに行きますか」ガタッ
大潮「え、司令官が?」
提督「当たり前でしょう…と言うより、自分の艦隊の仲間が風邪をひいたというのに見舞いに行かないというのは、提督としてどうかと…」
大潮「そっか…そうだよね、うん!」
提督「大潮さん、朝潮さんの状態はどうですか?」
大潮「うーん…朝の時点では、結構苦しそうだったから、額に湿布を張ってあげたよ?」
提督「なるほど…他には?」
大潮「ええと……朝潮、『風邪でも朝礼に行きますっ!!』って、無理やり起きて行こうとしたから…」
提督「?」
―数分後、駆逐艦寮・朝潮&大潮の部屋―
朝潮「むーっ!むーっ!!」ジタバタジタバタ
提督「」
大潮「ベッドにロープで縛っておきました。それで、おとなしく寝てろって言っておきました」
提督「これじゃ完全に拘束でしょうが。早く外してあげなさい」
大潮「はーい」モゾモゾ
提督「…と言うか、どうして猿ぐつわまで…」
大潮「えっとねー…前に秋雲から見せてもらった漫画を思い出して、確かこんなことやってたなぁ、って思いだして」
提督(オータムクラウドめ…)
朝潮「ぷはっ…はぁ、はぁ…」
提督「大丈夫ですか?」
朝潮「は、はい…なんとか…息が止まるかと……」
提督「いえ、それもそうですが、風邪の方は…」
朝潮「いえ、風邪の方はもうばっちりです!」ビシッ
提督「失礼」
(手を額にピトッ)
朝潮「!」
提督「熱いですね…熱は引いていないようですが」
朝潮「いえいえ、そんな事は―!」
提督「体温計」
大潮「はい」スッ
提督「咥えていなさい」プスッ
朝潮「ふぁいひょうふへふっへ…(大丈夫ですって…)」
―数分後―
[37.5分]ピピッ
提督「風邪ですね」
大潮「ありゃー、残念だね」
朝潮「くっ…」
提督「まあ、朝潮さんは普段から頑張っておりますから、今日はゆっくり休んでください」
朝潮「いえ、この程度の風邪、朝潮には何の問題も―っとと…」クラッ
提督「ほらほら、おとなしく寝ていなさい」ポスッ
朝潮「でも、今日は朝潮が出撃する日で―」
提督「大潮さん、代わりに出撃をお願いします」
大潮「はーい、大潮了解しました!」
提督「それと、風邪がうつるかもしれませんので、大潮さんは部屋から出ていてください」
大潮「分かりました!朝潮、ゆっくり休んでね?」
パタン
朝潮「でもでも、総司令部の仕事が―」
提督「それは他の方に手伝っていただきますので…」
朝潮「それでも、朝潮は―」
提督「朝潮さん」
朝潮「!」ビクッ
提督「朝潮さんは、普段から一生懸命に出撃も総司令部の仕事にも取り組んでおられます。しかし、貴女は少し頑張り過ぎて、今、風邪という形で、己の限界にぶち当たったのです。ここが、貴女の限界ですよ」
朝潮「…………」
提督「今は休んで、また次に頑張るための体力と気力を養ってください」
朝潮「…………分かりました」
提督「分かればよろしい。それと、貴女は皆さんから頼られているんです。それを、少し知った方がいいです」
朝潮「へ?」
提督「他の皆さんは、貴女の事をとても頼りにしています。貴女は他の駆逐艦の皆さんの上に立って、頑張ってきていました。そして皆さんからは、大きな信頼を得ています。それを、少しは知った方がいいです」
朝潮「どういう事で―」
提督「では、私は一度失礼します」
バタン
朝潮「………どういう事かしら…」
―12時過ぎ―
朝潮「……………うっ…」
朝潮「……時間は…昼過ぎ?」
ぐ~
朝潮「……お腹空いた……でも、どうしよう…」
コンコン
朝潮「はい…?」
間宮「あ、起きちゃった?ごめんなさいね」ガチャ
朝潮「いえ、今起きたところで…」
間宮「でもよかったぁ~。おかゆ作って来たから、食べれるようだったら、食べて?」
朝潮「え、いえ、そんな事…」
間宮「はいはい、朝潮ちゃんは普段から1人で頑張ってるから、たまには人を頼るって事を知った方がいいわよ?」
朝潮「むむ……」
―十数分後―
朝潮「ごちそうさまでした…」
間宮「はい、お粗末様でした。あっ…そうそう…」ゴソゴソ
朝潮「?」
間宮「これ、駆逐艦の皆からの寄せ書き、読んでね?」スッ
朝潮「へ?」
間宮「じゃあ、私はこれで。暖かくして休んでねぇ~」
パタン
朝潮「あっ、ちょっ………」
朝潮「……寄せ書き……いったい何を……」スッ
朝潮「……………」
朝潮「…………………」グスッ
―翌日8時過ぎ、食堂―
朝潮「ふぅ…もう体も十分良くなったかな…」
大潮「あ、朝潮!おはよー!体もう大丈夫?」
朝潮「え、ええ…もう大丈夫よ」
満潮「まったく、朝潮は何でもかんでも自分で背負い込み過ぎなのよ。もっと、私達を頼りなさいよね!」
荒潮「あらあら満潮ちゃん?それじゃあまるで、雷ちゃんみたいよ~?」
霰「何はともあれ…朝潮が元気になって、嬉しいです」
霞「まったくよ。私達に余計な心配かけさせてくれちゃって、もう!」
『元気になってよかった~』
『え、完治したの?すっごーい!』
朝潮「………皆…」
―9時過ぎ、執務室―
提督「いかがでしたか?」
朝潮「そうですね……朝潮は、皆からあんなに頼りにされていたんですね…。寄せ書きを見て、そして、今朝の事で、よくわかりました」
提督「でしたら…貴女も無理はなさらないようにしてください。貴女の体調が悪くなると、悲しむ人が―」
朝潮「いえ、今回の風邪で、私は自分の限界と言うものが分かりました!」
提督「…………ん?」
朝潮「ですから、今後はこの限界を超えられるよう、精進していきたいと思います!」
提督「……ああ、そうですか。ですから―」
朝潮「ですので、これから訓練場に行って、昨日出撃できなかった分だけ訓練してきます!」
提督「」
朝潮「何か御用がございましたから、いつでもお呼びください!朝潮、全力で取り組ませていただきます!」
提督「………はい」
朝潮「では、失礼いたします!」
パタン
提督「……………」
提督(今回の件で、朝潮さんはあまり無理をし過ぎない方がいい、という事を伝えたかったのですが………)
提督(…………………………悪化した)
【終わり】
254 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/11 21:38:05.63 TrbPLu/40 140/565【キャラクター紹介】
≪朝潮≫
朝潮型駆逐艦一番艦。艦娘No.85。ロングな髪が特徴の少し大人びた駆逐艦。なんでも頑張り過ぎる性格で、それがたたって体調を崩す事もしばしばある。
暇な時は提督や間宮、鳳翔のの手伝いや訓練など、日々精進に励んでいる。その姿は、他の駆逐艦の皆から憧れとされていて、目指すべき目標としても、
頼れる仲間としても認識されている。自分の限界以上に行動して身を滅ぼすところが悪いところ。
好きな言葉は『粉骨砕身』。
―21時過ぎ、執務室―
提督「ふぅ…やっと書類が片付いたか…」
コンコン
司令長官「失礼するよ、黎明君」
提督「こんな時間に何の用ですか?」
司令長官「いやぁ、ちょっと言い忘れたことがあってねぇ…」
提督「?」
司令長官「明日、アメリカの海軍司令長官が来るから、よろしく頼むよ」
提督「…………………………………………………………は?」
司令長官「時間は12時で、案内は君に任せようと思うんだ」
提督「……誰が来るって?」
司令長官「海軍の司令長官」
提督「……どこの?」
司令長官「アメリカ」
提督「」
司令長官「?」
提督「一遍死んでみるかっ!!」ブン
司令長官「あぶなっ!?」
【メリケンからやってきた】
―12時過ぎ、司令長官執務室―
アメリカ海軍司令長官(以下、フリーゲート)(私の名はフリーゲート。アメリカ海軍の司令長官だ)
フリーゲート(数年前、全ての海洋に突如出現した敵、深海棲艦とやらによって、我が国を含む多くの国は海から駆逐された…)
フリーゲート(だが、我が国もただやられるだけでは済まない。反撃もした…だが、我が国の軍事力をもってしても、深海棲艦は倒せなかった…)
フリーゲート(そんな…世界最強と謳われた我が国の軍事力でも倒せなかった敵を、この平和ボケした東洋の小国はいともたやすく撃滅した…。私は、それが気に食わない。世界のトップを誇るアメリカが、敗戦後はすっかり平和ボケしたこんな国に劣っているという事が…! 現に、世界の目は、アメリカよりも日本に向いている…!ああ、気に食わん!!)
フリーゲート(今回の訪問…いや視察で、この国の未知なる力を探り、あわよくばアメリカでも再現して日本と対等、いいやそれ以上の立場に、返り咲いて見せる…!!)
タタタタ
フリーゲート「ん?」
司令長官「いやぁ、申し訳ございません、遅れてしまいました!」ペコペコ
フリーゲート「いえいえ、私もつい先ほど来たばかりで」
フリーゲート(こいつが日本の海軍司令長官か。見るからに平和ボケした輩だな。これなら、情報を持ち帰ることも楽勝だな)
司令長官「本来なら、私が案内したいところでしたが、私も多忙な身でして、案内は別の者に任せる事にしました」
フリーゲート(目的はあくまで偵察だ、誰が案内しようが同じだ)
司令長官「こちらが、案内をする私の補佐官、斑 黎明君です」
フリーゲート「ふむ?」
提督「どうも」ペコリ
司令長官「彼は、私の補佐官でもあり、一鎮守府の提督ですので、海軍の事を知り尽くしていると言っても過言ではありません。それに、優秀です。では、黎明君。くれぐれも粗相のないように、頼むよ?」
提督「はい、では、フリーゲート長官」
フリーゲート「うむ?なんだね?」
提督「本日、ご案内させていただきます、斑 黎明と申します。よろしくお願いいたします」
―数分後、廊下―
提督「…………」カツカツカツカツ
フリーゲート「…………」カツカツカツカツ
フリーゲート(ふん。海軍の割にはひょろい奴だな。こんな奴が司令長官の補佐官とは、すぐにぶちのめせるな)
提督「…………」ピタッ
フリーゲート「ん?」
提督「フリーゲート長官は、筋肉がすごいですね」
フリーゲート「へ?」
提督「貴方の腕にかかれば、私などひとたまりもないでしょう」
フリーゲート「え?あ、ああ…そうだね」
フリーゲート(うむ?私、今口に出ていたか?いや、そんなはずはない…。では、こいつは私の心を見透かしたとでもいうのか…?ううむ…やはり、神秘の国と言われているだけはあるな…侮れん)
提督「フリーゲート長官」
フリーゲート「は、はい?」
フリーゲート(思わず声が裏返ってしまったではないか!)
提督「こちらは工廠になります。簡単に言えば、艦娘との邂逅、艦娘に装備する艤装の開発、破棄、装備の改修などが行えます」
フリーゲート「ほう…艦娘との邂逅と言うのは、昔の世界で言えば、艦の建造と言う事かね?」
提督「はい。では、中に入りますが、危険な工具や艤装もございますので、お気をつけてください」ガシャン
フリーゲート(なかなかに重要な施設のようだな。よし、ここでも情報の一つや二つ、持ち出してやれ)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ガシャアアアアン
フリーゲート「おお…随分と広いな……」
提督「ここは、大型の艤装を扱う事もございますので、それなりの広さが必要なのです」
??「あ、提督~!」
提督&フリーゲート「?」
明石「すみません、提督~!」(32号電探を背負っている)
提督「明石さん」
フリーゲート(アカシ?確か、工作艦だったか)
明石「いやぁ、今お時間大丈夫でしょうか?」
提督「すみませんが、今はこちらの方をご案内している最中でして…」
明石「?この方は?」
フリーゲート「あ、ああ。私はアメ―」
提督「あ、フリーゲート長官」
フリーゲート「ん?」
提督(貴方の立場は、すみませんが‶某国の海軍司令長官‶という事にしていただけませんか?)ボソボソ
フリーゲート(何でだ?)ボソボソ
提督(まあ、色々と理由があるのです)ボソボソ
フリーゲート(ふむ…まあ、いいだろう)
明石「提督?」
フリーゲート「いや、失礼した。私は、某国海軍の司令長官、フリーゲートだ。よろしく、お嬢さん」
明石「某国?どこの国かは教えていただけないのですか?」
フリーゲート「え、ああ。そうだな」
提督「ところで、そちらの電探は?」
明石「あ、これですか?これ、夕張さんが開発してくれたんですよ!いやぁ、電探の数も少なかったですし、良かったですねぇ」
フリーゲート「あー、スマンが少し見せていただいても?」
明石「ええ、私は構いませんけど、提督は…」
提督「私も構いませんが」
フリーゲート「では、失礼して…」
フリーゲート(ふむ…こいつが日本の電探か…過去の海戦で使われたものとそっくりだな…。ちなみに重さは…)グイッ
フリーゲート(重っ!?なんだこれ!?全然持ち上がらんぞ!どんだけ重いんだこれ!何でこの明石とやらは簡単に背負っていたんだ!?)グイグイ
提督「フリーゲート長官?どうかしましたか?」
フリーゲート「あ、いや…こんな思いものを明石さんはよく簡単に持ち上げていたなぁ、と」
明石「まあ、艦娘ですからね。色々あるんですよ」
夕張「明石さーん!」
提督「あ、夕張さん」
フリーゲート(夕張?さっきの話に出てきた娘か…)クルッ
夕張「いや~、また電探作れました~!って、その人は?」←20.3cm連装砲&61cm四連装(酸素)魚雷&12.7cm連装高角砲&15.2cm単装砲装備
フリーゲート(ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!?)
提督「こちら、某国海軍司令長官、フリーゲートさんです」
夕張「ふ~ん…私は夕張です。よろしくお願いしますね」ニコッ
フリーゲート「よ、よろしく…」
フリーゲート(笑顔だ!凄い笑顔だ!!背中にどれだけ重いかわからん装備をいくつも点けているというのに、汗1つ掻いてない!!凄いパワーだぞ! ジャパニーズ・ヤマトナデシコはどこへ行った!?あれは都市伝説だったのか!!)
夕張「フリーゲートさん?」
フリーゲート「あ、いや、何でもないよ。うん」
提督「では、次の場所へ向かいましょうか」
フリーゲート「あ、ああ」
フリーゲート(いかんいかん……。ここにいては、女性と言うものを認識できなくなりそう…)
―14時過ぎ、入渠ドック建物前―
提督「ここは入渠ドックと、浴場のある建物です。入渠ドックは、艦娘の傷を癒す場所です。艤装の整備は、先ほどの工廠で行います」
フリーゲート「艦娘の傷を癒す?どうやってだね?」
提督「入渠ドックの仕組みは、風呂に似てますね。暖かいお湯に、艦娘の傷を治癒する特別な成分を含んだ‶何か‶を入れて、そこに艦娘が浸かる…まさに、風呂のような感じですね」
フリーゲート「ほう、入渠ドックにも風呂のシステムを取り入れているのか。流石、風呂好きの日本人だな」
提督「そのような認識でОKです。中も案内したいところでしたが、現在は入渠中の艦娘もいらっしゃるので、今回は控えていただきたいと思います」
フリーゲート「そうか…」
フリーゲート(風呂のような感じという事は…つまり先ほどの娘達が裸で入渠するという事か…。ならば、スキを見て中を偵察してやれば……)
提督「ちなみに…」
フリーゲート「ん?何かね?」
提督「かつて、入渠中の艦娘を盗撮しようとして、入渠ドックに侵入した輩がいたんですが……」
フリーゲート「?」
提督「その男、3日後に北方海域中枢部で、文字通り海の藻屑状態で発見されました」
フリーゲート「」
―15時過ぎ、中庭―
フリーゲート「ほう…中庭もかなり整備されているな…」
提督「艦娘の方々は、私達人間に近しい存在…というよりほぼ人間と同じ存在ですから、彼女たちの事を考慮して、このような設備もあります」
フリーゲート「なるほど…そこは、アメリカとは違うな。艦娘と言えども、所詮は兵器。兵器は兵器として扱えばいいものを…」
提督「そこは、日本とアメリカの認識の違いですね」
フリーゲート(ふん、やはり平和ボケしている)
キャイキャイ
フリーゲート「ん?あの子たちも艦娘かね?」
提督「ええ、彼女たちは駆逐艦の艦娘です」
フリーゲート「あんな小さな子供も艦娘なのか…」
フリーゲート(あれだけチビなら、簡単に拉致る事も可能だろうな…だが、それは後日―)
ドドドドドド
島風「おっそ―――――――――――――――――――――――――い!!!」ドーン
フリーゲート「あべしっ!?」ドザザ
島風「あ、おじさんごめーん」
提督「こらこら、島風さん。こちらはとある国の海軍司令長官ですよ?ご挨拶なさい」
島風「あ、そうなんだ。ごめんなさい、私、島風って言います。スピードなら誰にも負けません!」
フリーゲート「よ、よろしく…」
島風「あ、ところで提督。天津風見なかった?」
提督「天津風さんでしたら、駆逐艦寮の方へ向かいましたが」
島風「そっか、分かった!ありがとね!じゃ!」
ギューーーーーーーーーーーン
フリーゲート「な、何なんだねあの子は!?明らかに子供の速力とパワーじゃないだろう!アバ○ちゃんだってあそこまでぶっ飛んじゃあいないぞ!」
提督「フリーゲート長官、ア○レちゃん知ってたんですね。まあ、艦娘は見かけによらず凄い身体能力を持っていますので。また、戦艦並みの火力を、持っている艦娘もいますが」
フリーゲート「はっ!?」
夕立「あれ、提督さん…と誰?」
提督「ああ、夕立さん。ちょうどいいところに。フリーゲート長官、こちらが戦艦並みの火力を持つ駆逐艦、夕立さんです」
フリーゲート(ぎゃああああああ!!目が赤い!!なんだこの子!まるで血に飢えているようだ!!)
夕立「私、夕立って言います。よろしく!」
フリーゲート「よ、よろしく……」
フリーゲート(平和ボケって…全然ぼけてねぇじゃん!誰だよ平和ボケしてるなんて言ったやつ!!)
―19時、応接室―
フリーゲート(まったく…ただ、日本の脅威を感じてカルチャーショックを受けているだけではないか…)
提督「では、ささやかながら夕食をご用意させていただきました。味の薄い日本食は、アメリカの方には合わない思いますが、ご容赦ください」
鳳翔「大丈夫ですよ、提督?ちゃんと、アメリカの方も喜びそうな料理を作ってまいりました」
フリーゲート「ほ、ほう…中々楽しみだ…」
鳳翔「どうぞ」コトッ
ハンバーグ&唐揚げ&白いご飯&豆腐の味噌汁&サラダ
フリーゲート(な、何だこの料理は……別段豪華な料理と言うわけではないのに…なぜか、安心する…。そして、どこかアットホームな感じに、なってしまう…)
鳳翔「さあ、冷めないうちに召し上がれ」ニコッ
フリーゲート(しかも何この人の易しい笑顔!すごい泣きそう!!この聖母のようなほほえみは一体…!?)
フリーゲート「い、いただきます…」パクッ
フリーゲート「!!!」
鳳翔「お味の方は、いかがですか?」
フリーゲート(…………美味い…。超美味い…)
フリーゲート(って、いかんいかん!いい加減、何か有力な情報を持ち帰らねば!!)
フリーゲート「おほん、スマンが、トイレは?」
提督「ああ、外へ出たら廊下を右へ、突き当りにあります」
フリーゲート「あ、ああ。ありがとう」
パタン
―数分後、トイレ前―
ジャー
フリーゲート「ふぅ…冷静になれ、冷静に…」ガチャ
長門「ん?なんだ貴様は?」
フリーゲート「え、ああ。君は?」
長門「私は戦艦・長門。貴様は?」
フリーゲート「私は、アメリカ海軍司令長官のフリーゲートだ」
長門「………………………アメリカ?」ピクッ
フリーゲート「へ?何か…………あっ」
提督『貴方の立場は、すみませんが‶某国の海軍司令長官‶という事にしていただけませんか?』
フリーゲート(しまったあああああああ!!)
長門「今、何と?アメリカ?」
フリーゲート「あ、いや、そうじゃなくてダな……」
長門「アムェリクァァァ?」
フリーゲート「あの……何をお怒りで?」
長門「貴様が……アメリカの犬…か…ほおほう…」┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
フリーゲート「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!?なんだこのオーラは!?殺気を孕んでる!?」
長門「アメリカか……あの、米国か……憎たらしい…ああ、憎たらしい…私、自分を抑えられそうにないぞ……!!」
フリーゲート「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!Oh My God!!!」ダダダダダダダダダ
提督「あ、もうお帰りですか?お気をつけて」ガチャ
フリーゲート(二度と来るかこんな危険な国!!深海棲艦よりも怖いわああああああああい!!!)
提督「鳳翔さんの料理を食べて、ホームシックになってしまったのでしょうか…。ところで、長門さん?どうしましたか?」
長門「………はっ、私は、一体……」
※後日、フリーゲート長官から、『今後とも、日本とアメリカは平和的で温厚な友好関係を続けたいと心から願う』という要旨の文書が送られてきた。だが、『平和的で温厚』と言うワードが何度も使われていたことが、少し疑問だった。
【終わり】
270 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/12 22:41:35.71 Epddcpm00 149/565【キャラクター紹介】
≪マックス・R・フリーゲート≫
アメリカ海軍の司令長官。筋骨隆々としているが、本当は凄いヘタレで、日本の艦娘の性格・力・オーラに怖気づいてしまった。かつてアメリカは、
世界におけるトップだったが、深海棲艦を倒す技術を持っている日本に世界トップの立場を奪われたため、全体的なアメリカの立場は低くなった。
それを憂い、日本の海軍と艦娘を自ら偵察して情報を持ち帰り、その技術を利用してアメリカのトップ復活を図ろうとしたが、結果的に失敗に終わる。
好きな言葉は『攻撃は最大の防御』。
―21時過ぎ、執務室―
提督「…よし、今日の仕事は終わり、と」
提督「さて……」チラッ
提督(明日の秘書艦は…吹雪さんか)
提督(……そう言えば、吹雪さんが秘書艦になるのは、久々な気もしますが…)
―同時刻、駆逐艦寮・吹雪&白雪の部屋―
吹雪「…ん~んっ。今日の勉強は終わり、っと」
吹雪「さてと……」チラッ
吹雪(明日は、司令官の秘書艦か…)
吹雪(…そう言えば、私が提督の秘書艦になるのって、久々な気が……)
白雪「吹雪ちゃん?」
吹雪「へっ!?何でもないよ!?」
白雪「?」
【初期艦、秘書艦】
―翌日9時過ぎ、執務室―
提督「では、これより数日の間ですが、秘書艦の仕事をよろしくお願いします」
吹雪「は、はい!お願いされました!」ビシッ
提督「では、早速ですみませんが、この書類を片付けてもらいたいのですが…」
吹雪「あ、はい」
提督「私はここで書類を整理していますので、何かありましたら、どうぞ」
吹雪「分かりました」
提督「…………………」カリカリカリ
吹雪「…………………」ガサゴソ
提督「…………………」カリカリカリ
吹雪「…………………」ガサゴソ
提督「…………………」カリカリカリ
吹雪「……………ふふっ」
提督「?」
吹雪「………ふふふふっ」
提督「……毒キノコでも食べましたか?」
吹雪「違いますっ!」
提督「いえ、突然笑いだしたら、誰だって不審に思うでしょうが」
吹雪「え、ええ。確かにそうですけど…」
提督「何かあったのですか?」
吹雪「いえ…なんだかこうして、司令官と2人っきりで執務室で仕事をこなすのって、久しぶりだなぁ~って思って」
提督「ああ……それは確かに、私も思っていましたね」
吹雪「司令官も?」
提督「ええ、昨夜、今日の秘書艦が貴女だという事がわかった時に…」
吹雪「どれぶりですかね?私が秘書艦になったのって…」
提督「そうですね……もう、何か月も前でしょうか。新しい艦娘の方が来てからは、その方に仕事を覚えてもらうために秘書艦に任命してましたし…」
吹雪「でも、こういう事って、長い間付き合っていたコンビが考えそうなことですよね…」
提督「…まあ、貴女は私の初期艦ですし、単純計算で4年以来の付き合いですからね。そう考えるのも当然でしょう」
吹雪「…何か、司令官が最初に鎮守府に着任した時の事を思い出しますね…」
提督「そうですねぇ……あの頃の私は、不安でいっぱいでした…」
吹雪「それは、自分に提督としての仕事が務まるか…と言う意味でですか?」
提督「いえ、それもありますが……」スッ
吹雪「?」
提督「貴女みたいな子供が、本当に深海棲艦に打ち勝つ事ができるのだろうか、と不安に」
吹雪「そういう意味ですかっ!?」
提督「いえ、割と真剣にそう考えていたんですけど…」
吹雪「…ですけど、私ちゃんと深海棲艦倒しましたよね?」
提督「鎮守府近海で、駆逐イ級を倒したあれですか」
吹雪「はい!それで、司令官も見直したでしょう?」
提督「そうですね、ああ、本当に深海棲艦を倒せるんだ、と思いましたね」
吹雪「まあ、あの時は私も駆逐イ級や軽巡ハ級とか、下級の軍艦しか倒せませんでしたけどね…」
提督「いえ、それだけでも十分でした。私が、そして貴女が自信をつけるためには、それだけでも十分ですよ」
吹雪「でも、あの時の司令官…今と比べて全然違いましたね」
提督「?」
吹雪「あの時の司令官、すごい暗い感じでした…」
提督「……………」
吹雪「多分…多分ですけど…司令官が前に勤めていた会社で味わった苦痛が、完全には抜けてなかったんだと、思います。初期艦である私の下には、これから従う司令官の来歴が渡されていましたので…」
提督「…あの時は、すみませんでした。貴女に不安を煽るような態度を取ったうえ、分かるはずのない私の愚痴を聞いてもらってしまって…」
吹雪「いえ、私はむしろ良かったです」
提督「は?」
吹雪「…支えがいのある司令官だな、と」
提督「……ふっ、同じ感じで返されましたね」
吹雪「ええ、私なりの復讐です」ニコッ
―4年前、浦賀第弐鎮守府・正門―
※この斑提督が補佐官となる前は、浦賀の鎮守府の提督だった。
提督「………ここが、鎮守府」
吹雪「あ、貴方が斑 黎明司令官ですか?」
提督「………はい、私が、この鎮守府で提督として艦娘を指揮する事を任命された、斑です」
吹雪「よ、よろしくお願いいたします。私が、司令官の補佐をいたします、吹雪です」
提督「よろしくお願いいたします」
吹雪(なんだか…暗い感じの人だなぁ……)
提督(……いかん、この人にまで暗い態度を取ってしまっては…あの会社にいた時と同じ……)
提督「…………くっ」
吹雪「?」
―数週間後・21時過ぎ、執務室―
吹雪「司令官?」
提督「はい?」
吹雪「…何か、悩みとかがあるのでしたら、遠慮せずに話してくださってもいいんですよ?」
提督「……悩みとは、何の事ですか?」
吹雪「しらばっくれてもダメです。私の目から見ても、司令官は明らかに悩んでいます。それも、おそらく深海棲艦に対するもの…ではないでしょう?」
提督「…………………」
吹雪「私は貴方の秘書艦です。貴方の悩みを聞いて、貴方の中の蟠りを晴らしてあげるのも、私の務めです」
提督「…………………」
吹雪「…………………」ジッ
提督「……貴女みたいな方にまで、見透かされるとは、私もだめですね」
吹雪「…………………」
提督「……少し、私の話を聞いてもらってもよろしいでしょうか?」
吹雪「もちろんです」
―数十分後―
提督「………と言うわけです」
吹雪「………なるほど」
提督「………分かりませんよね、会社云々とか上司とか……」
吹雪「それでも、確実に言える事は1つあります」
提督「?」
吹雪「司令官は、両親もいない、友人も少ない…。そのせいで、自分の中で暴れる感情を上手く吐き出す事ができなかったんですよね?今までずっと、その心の中のモノを抱え込んでいたんですよね?」
提督「………………」
吹雪「だから、その時の苦い経験を消化できず、そのまま顔に出してしまい、それが司令官の元上司の方に感づかれて、また責められる…。ずっと、この繰り返しだったんですよね?」
提督「………………」
吹雪「…でも、今ここで私に話を聞いてもらった事で、司令官の中の蟠りも、少し晴れましたよね?」
提督「……そうですね、幾分か楽になれました」
吹雪「……今まで、その苦痛を、よく耐えてきましたね。私なんかにはとてもできません。同じような経験を私もしたら、きっとどこかで壊れています。その苦痛を、司令官は1人で乗り越えてきました」
提督「…………………」ジワッ
吹雪「司令官は、すごい方です………。今、ここには私と司令官しかいません。司令官が大声をあげて泣いても、私しか知りません。ですから、これまで溜まっていた司令官の涙、思いっきり流しちゃって大丈夫です」
提督「……………吹雪、さん…」ウルウル
吹雪「よろしければ、私の胸もお貸しします。ですから、今まで溜め込んでいたもの、全部今ここで、洗い流してください」スッ
提督「―――――――――――――――――――――――!!」ダキッ
その日、鎮守府に1人の男の泣き声が、響いた。
提督「…………………………………」
吹雪「司令官?」
提督「いえ、すみません。あの時の事を思い出してしまって……正直、あの時私はどうかしていたとしか思えないくらい、情けない姿を見せてしまい…」
吹雪「…あの時みたいに司令官が泣いた事、最近ありませんね」
提督「あのぐらいの痛みを味わった後は、特に痛みと感じる事がほとんどなかったですしね」
吹雪「……思えば、あれからもう4年も経っているんですね」
提督「そう考えると、長い月日が流れましたね。そして、貴女は今もここにいる」
吹雪「司令官」
提督「はい?」
吹雪「これからも、よろしくお願いいたします」スッ
提督「…はい、これからもお願いいたしますね」アクシュ
【終わり】
282 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/13 21:56:04.85 dYaW2grK0 156/565【キャラクター紹介】
≪吹雪≫
吹雪型駆逐艦一番艦。艦娘No.11(改二はNo.226)。斑提督の初期艦で、鎮守府最古参の駆逐艦。性格はいたって真面目で、仕事もてきぱきとこなす。
斑提督が着任した当初は、提督の暗い雰囲気から距離を置こうとしていたが、提督の過去の話を聞いた事で提督に抱いた印象が変わる。そして最終的に、
恋心を抱くようになる。料理、洗濯、裁縫と、家事全般が得意。駆逐艦たちの代表とも言える。
好きな言葉は『一意専心』。
―9時前、執務室―
提督「利根さんが風邪?」
筑摩『はい…朝起きたら、だるくて咳が止まらないらしく…熱を測ってみたところかなり高かったので…』
提督「寒暖差によるものでしょうか……。分かりました、利根さんは本日は休み、夜間の遠征参加も中止という事にします。それと、筑摩さん」
筑摩『はい?』
提督「筑摩さんは、今日1日利根さんの看護と言う感じで?」
筑摩『そう…ですね、はい。そうする予定でした』
提督「では、筑摩さんも本日は休みに、夜間の遠征も不参加という事で」
筑摩『申し訳ございません、提督…』
提督「いえ、お気になさらず。後ほど伺いますが、利根さんにお大事にとお伝えしてください。では」
ガチャン
提督「しかし…資源輸送任務は誰に任せるべきか……」
提督「シフト表で空いてるのは……」
提督「……第7駆逐隊に頼むか」
【出撃!第七駆逐隊】
―9時半ごろ、執務室―
提督「えー、本日の夜間遠征・資源輸送任務ですが、利根さんが風邪をひいたという事で、編成を変更し、貴女たちに遠征を任せたいと思います」
曙「何で私たちなのよ?」
提督「シフト表を確認したところ、貴女たちは本日、出撃・演習の予定等がなく、半ば休日のようなものでしたので…。あ、それとも何か、用事とかございましたか?」
朧「いや、そういうわけじゃないよ」
提督「では、申し訳ございませんが…そういう形でお願いいたします。貴女たちは昼は、夜間遠征に備えて休んでください」
潮「あ、あの…利根さんは大丈夫なんでしょうか…?」
提督「利根さんの容態は、それほど大したものじゃなさそうですが…後で一応様子を見に行きます」
漣「あーあ…でも、昼はどうやって過ごそうかな…」
提督「仮眠を取っても構いませんよ?ほとんど自由時間ですし…」
漣「じゃ、仮眠でも取ろうかな?昨日は遅くまでPC観てたし…」
朧「漣…またそんな事して…」
提督「いえ、それはまた漣さんの仕事ですし…」
朧「え?」
提督「まあ、それはまた後日話す事にして、フタマルサンマル(20時30分)にはもう一度執務室に来てくださいね」
潮「は、はい!」
曙「あーあ、クソ提督のせいで私の今日の予定が狂っちゃったじゃない」
漣「で、本音は?」
曙「やった、これで休める……って、何言わせてんの!」
―数十分後、駆逐艦寮・休憩室―
朧「そう言えば漣、提督がさっき、PCを観るのが漣の仕事って言ってたけど、あれってどういう意味?」
漣「あ、あれですか?えーっとですね、漣の仕事と言うのは、インターネット上のサイトで、海軍の機密に触れているような内容の話が無いか、巡回して調べる事なんです」
潮「???」
曙「どういう意味?ただのサイト巡回?」
漣「有り体に言えばそうですね。全国の提督には、ブログを開いている人も、自分の鎮守府の話をSSにして書いている人もいます。それで、そんな感じのサイトを開いて、海軍の機密に触れているような事項が無いかを調べるのが漣の仕事です」
朧「は~、なるほどねぇ。そんな仕事を…」
潮「た、確かに漣ちゃんって、インターネットのスラング?用語をよくしゃべってるし、適役なんじゃないかな…」
曙「ぶっちゃけ、インターネット見てるだけじゃない?そんなの仕事って言えるのかしら?」
漣「実際、機密書類をブログに張って炎上して、辞職した提督だっているんですよ?」
朧「バカッターじゃない…」
潮「いるんだね…考え無しにそんなことやる人が…」
漣「そんな輩を見つけるのが漣の仕事!はっはぁ!」
朧「わー」パチパチ
曙「……にしても、夜の遠征まで時間が空いちゃったわね……」
潮「私は…寝ようかな……」
朧「私もそうしよっかな」
漣「では、漣はサイト巡回…いや、自分の仕事を全うします」
曙「でも、ちょっとは寝た方がいいわよ?眠くなっちゃうし」
漣「分かってますって。ちょっとしたら寝ますよ」
漣(さらっと仲間…姉妹を気遣う曙…キタコレ!)
―数時間後、重巡洋艦寮・利根&筑摩の部屋―
提督「………………………」
利根「昨日はアイスを食べすぎてしまったからのう……爽はやめられん…」
提督「…………利根さん、1カ月アイス禁止で」
利根「なっ…!?後生じゃ!頼む!せめて1週間で…!」
―20時半、執務室―
提督「……で、こちらが資源を運ぶタンカーのルートを示した用紙、さらに私達が報酬としていただく資源のデータです」
曙「…………………」
提督「それと、最近は南西諸島海域で敵艦の会敵率が上がっていますので、十分に気を付けてください」
朧&潮&漣「はい」
曙「…………………」
提督「では、何か質問はございませんか?」
曙「1つあるわ」
提督「はい?」
曙「何で私が旗艦なのよ!?」
提督「いえ、これまでの戦果と、貴女たち第七駆逐隊の中では一番曙さんの練度が高かったので」
曙「でも私、旗艦なんてやったことないし!」
提督「大丈夫です」
曙「何をもって大丈夫なの!?」
提督「貴女がその場でやるべきと思った事を、その場で皆さんに指示すればいいだけです」
曙「むぅ~………分かったわ」
提督「他に何か、ご質問はございますか?」
全員「………………」
提督「…では、フタヒトマルマル(21時00分)には波止場に集合し、出発してください。いいですね、曙さん?」
曙「わ、分かったわ。それと、旗艦を務めるの何て初めてなんだから、あまり、期待しないでもらえると、その…」
提督「もちろんです。初めて旗艦を務められる方が、最初から完璧にできるとはあまり思えませんし…。ですがそれでも期待してますよ。曙さんなら、頑張れると信じてますから」
曙「…ええ、任せといて」
―21時過ぎ、鎮守府近海―
ザザザザザザザ
曙「えーっと…向こうの資源国にはフタゴーマルマル(25時00分=1時00分)に着くようにしないとね」
漣「え?それってつまり片道4時間、往復で8時間って事?」
朧「いや、帰りは多分時間がかかるだろうから、大体10時間ぐらいじゃないの?」
潮「それじゃ、帰るの朝になっちゃうね……」
曙「やれやれ…ま、やれるだけの事はやりましょ」
―24時前―
ザザザザザザザ
漣「むぅ……流石に眠くなってきた…」
曙「大丈夫?しっかりしなさいよ」
漣「ご心配なく!こんなこともあろうかと、コーラを持ってまいりました!」
朧「それってペプ○?それともコカ・○ーラ?ペ○シは嫌だな…」
漣「コ○・コーラの方ですよ?朧も飲みます?」
朧「もちろん!」
漣「潮は?」
潮「よ、よろしければ…いただきたいです」
漣「オッケーオッケー!飲んじゃっていいよ!」
曙(あれ?)
朧「んぐっ、んぐっ…ぷはぁ。コーラの炭酸が喉で弾けていい感じ…」
潮「はぁぅ……美味しい」
漣「ごくごくっ、ん~!美味しい!」
曙「あ、あれー?」
漣「ご心配なく!曙の分も用意してありますよ!どうぞ!」スッ
曙「あ、ありがと―あれ?空?」
漣「あ、間違えて曙の分まで飲んじゃった!ごめーん、テヘペロ♪」
曙「…………………………………………………」
漣「ちょ、待って待って!冗談冗談!ちゃんと曙の分もありますって、はい!だから撃たないで!撃たないで!!」
曙「まったく……いただきます」プシュッ
ゴクゴク
曙「………ふぅ」
―1時過ぎ、資源国・港―
曙「本日は、私達四人が貴方たちの船団を護衛させていただきます」
船員「ほぉ~…君たちみたいな小さい子も艦娘で戦場で働くのか~…」
朧「いえ、アタシたちは見た目は子供ですけど、実際は大人より力が強いですよ?」
船員「なるほどねぇ~…でもま、見た目だけじゃわからんなぁ」
漣「あ、じゃあ船員さん。漣と腕相撲でも―」
潮「あははは…ごめんなさい、気にしないでください」
船員「?」
―4時過ぎ、海上―
曙「なんだ、敵なんていないじゃない」
朧「肩透かしだったね…けど、敵と会わなくてラッキーだったかも」
漣「まったくですよ。会ったら会ったでイヤな事になりますし」
潮「あ、あの…」
曙「ん?どうかした?」
潮「前方の赤い光…なんだろ…」
漣「?ビルの光とか船の光とか?」
曙「いや……あれは……」
朧「?」
曙「雷巡チ級elite…!」
朧&漣&潮「!」
朧「あーん、会わないでよかったって言った矢先にこれ!?」
漣「ヤバス……タンカーは2隻だから、輪形陣で守れなくはないですけど……」
潮「日の出まではまだ時間があるから空母が来る可能性は低いし……」
曙「夜明けまでには倒さなきゃいけないって事ね…!潮、アンタは船団の護衛を徹底、朧と漣は戦闘準備。一応、タンカーの横についていて、私の合図で攻撃できるように準備をしておいて」
朧「了解。ソナーだと潜水艦の反応は無しっと」
漣「電探によると、敵艦は雷巡チ級elite一隻、駆逐ロ級eliteが2隻だけ、はぐれ部隊かな?」
曙「ラッキーね。最低でも3対3じゃない!朧、漣、行くわよ!」
朧「了解!」
漣「キタコレ!」
曙「先攻は私よ、いっけぇ!」バシューン
10cm連装高角砲+61cm四連装(酸素)魚雷カットイン!!
ズッドオオオオン
駆逐ロ級elite「!!!」撃沈
曙「よし!」
朧「油断は禁物よ、曙!次は向こう―!」
雷巡チ級elite「!」バシューン
6inch連装速射砲+21inch魚雷後期型 カットイン!
ボゴオオオン
漣「あぶなす!」中破
曙「漣!?」
漣「やられたらやり返す、倍返しだ!!」ドォン!ドオオン!
10cm連装高角砲 連撃!
ボッゴオオオオオン!!!
雷巡チ級elite「!?」撃沈
漣「Yeah!!」
朧「後はアタシだけって事ね!えーい!」バシュッ
61cm四連装(酸素)魚雷 発射!
バゴオオオオオン
駆逐ロ級elite「!?」撃沈
曙「よし、全艦撃沈!潮、タンカーの方は無事!?」
潮「は、はい!何とか大丈夫です!」
曙「じゃあ、さっさとこの海域からおさらばしましょう!」
漣「あー……服がボロボロ…なんも言えねぇ…」
朧「大丈夫?それにしても、潮をタンカー護衛に徹底させたのはどうして?」
曙「潮は不測の事態には即座に対応できない性格だから、今回みたいに急に会敵、しかも夜じゃ反応しづらいからね」
潮「そうだったんだ…ごめんなさい」
曙「大丈夫よ。それより、私達が戦っている中でタンカーをよく守ってくれたわね。ありがとう」
潮「う、うん!」
漣(イイハナシダナー)
―8時過ぎ、執務室―
提督「なるほど、そんな事が…」
朧「曙の英断で、何とかなったんだよ」
曙「ちょっ、褒めても何も出ないわよ!?」
提督「では、これからは曙さんに旗艦を任せましょうか」
潮「いいと思います」
朧「さんせー」
曙「やめなさいよこのクソ提督!!」
―同時刻、入渠ドック―
漣(入渠しながら食べる間宮アイス……圧倒的…っ!圧倒的安らぎ…っ!!)
【終わり】
―6時、軽巡洋艦寮・川内&神通の部屋―
ピピピッ、ピピピッ
神通「…………」ムクッ
ピッ
川内「くか~…くお~……」
神通「……………」シュルッ、パサッ
川内「夜戦~……むにゃむにゃ…」
神通「……………」スッ、バサッ
川内「大勝利~………ぐおおお…」
神通「……探照灯照射まで、3、2、1―」
川内「起きるよ神通!!」ガバッ
【神通さん】
―9時前、執務室―
神通「それでは提督、数日の間ですが、秘書艦として頑張ります」ペコリ
提督「ええ、よろしくお願いいたします」
神通「早速ですが、本日の予定を…」
提督「はい、今日の予定なんですが―」
ペラペラペラペラ
川内「はえ~…なんかやり慣れてる感がすごいね、神通」
提督「そりゃそうですよ。神通さんは、私の艦隊で最初の軽巡洋艦ですから」
川内「え、そうなの?」
神通「ええ、私が最初でしたね、確か……」
提督「神通さんが来たことで、戦闘が幾分か楽になりましたからね……」
川内「ねえねえ、神通が来たときってどうだった?」
提督「どうって言われましても……今と大して印象は変わってないような…」
―約4年前、執務室―
神通「軽巡洋艦・神通です。どうか、よろしくお願いいたします」
提督「軽巡洋艦……ですか」
吹雪「駆逐艦の私より、装甲も火力も高い艦です」
提督「なるほど……では、神通さん。この鎮守府の事とかをいろいろ学んでもらうために、少しの間秘書艦をお願いしてもよろしいでしょうか?」
神通「へっ、いえ、そんないきなり……」
提督「大丈夫です。私が教えてあげますので」
神通「で、では…お願いします」
提督「まあ、最初はおどおどした感じでしたけど、しばらくしたらとても優しい方だという事が分かりました」
川内「あー、まあ確かにそうだねぇ。神通は見た目通りと言うかなんというか、優しいからね。……今朝私の事無理やり起こしたけど」
神通「あれは目覚ましが鳴っても起きなかったからでしょう……」
提督「まあ、訓練の内容によく難癖…いえ、アドバイスを受けましたね」
川内「え?やっぱり?」
―神通着任から数日後、執務室―
神通「あの、提督」
提督「はい?」
神通「今日の駆逐艦の子たちの訓練メニューですけど、少し緩めではありませんか?」
提督「緩め、とは?」
神通「いえ、この時間でやる内容が少々少なめですし、その内容もすぐに会得できるようなものばかりです…」
提督「確かにそうですが、駆逐艦の子たちにも相応の体力と言うものがありますし、きちんと学習して覚える事も大切ですから。それを考慮して、このメニューにしたんです」
神通「ですけど……」
提督「…と言った感じに」
川内「あー…今と大して変わんないね」
神通「お恥ずかしいです…あの時は、新参者でありながら、口をはさんでしまいまして……」
提督「いえ、新人の目線でものを指摘してくれるというのはありがたいですから」
神通「でも…それで、提督と衝突してしまった事もありますし…」
川内「物理的に?」
提督「比喩表現に決まってるでしょう」
―神通着任から1週間後、執務室―
神通「どうしてわかってくれないんですかっ」
提督「いえ、貴女の言う事も分かりますけど、私は駆逐艦の子たちの事も考えてですね……」
神通「私だって、駆逐艦の子たちの事を考えて言っているんです!少ないメンバーで、いかに深海棲艦と対等以上に戦えるかを…。そして、そのためにどう訓練すればいいのかを提案しているんです!」
提督「どれだけ時間を掛けることになろうとも、駆逐艦の子たちが理解できるように教えていくべきだと私は考えているんです」
神通「もう……分かりました、失礼します」
バン
―数分後、休憩室―
神通「はぁ……あの提督は、少々甘いです」
吹雪「神通さん?」
神通「あ、吹雪ちゃん……どうしたの?」
吹雪「それは私のセリフです、神通さんの方こそどうかしたのですか?」
神通「?」
吹雪「顔が少し赤いですし…それに、何かイラついているようにも見えますし…」
神通「あ、すみません…。そう見えましたか?」
吹雪「ええ…」
神通「実はですね……」
かくかくしかじか
吹雪「はぁ……訓練のメニューが、緩い、ですか」
神通「新人の私から見ても、緩いようです。もう少し、あの時間であれば何かできると思ったのですが…」
吹雪「……うーん…神通さん」
神通「はい?」
吹雪「これは、私個人の見解なんですけど……」
神通「?」
吹雪「司令官は、おそらく自分の過去に経験したことを活かして、私達の訓練を緩くしたんだと思います」
神通「……はい?」
吹雪「えっと…詳しくは私の口からは直接言えませんが、司令官は海軍に入る前、働いていた職場で理不尽な目に何度も遭っていたんです。ですから、多分そこに思うところがあって、訓練の内容を薄めたんだと思います」
神通「海軍に入る前に?」
吹雪「ええ。司令官、自分の過去の事はあまり話さない主義らしくて……」
神通「……………そうだとしたら…少し、私は言いすぎたかもしれません…」
吹雪「でしたら、早めに謝った方がいいですよ」
神通「ですけど……許していただけるのでしょうか……。提督、厳しそうなお方ですし…」
吹雪「大丈夫です。司令官は、本当は凄く優しい方ですから」
神通「?」
―20時過ぎ、執務室前―
神通(結局、謝るのが怖くて夜になっちゃった……)
神通(でも、謝らなければ…)
コンコン
提督『はい?』
神通「私、です。神通です…」
提督「どうぞ、お入りください」
ガチャ
神通「失礼します…」
提督「どうかしましたか?」
神通「……謝りに、伺いました?」
提督「謝る?」
神通「…昼に、提督の作成した駆逐艦の訓練メニューについて、あれこれ難癖をつけた上に、提督に取るべきではない態度を取ってしまって、申し訳ございませんでした」
提督「…ああ、あの事ですか」
神通「…………」
提督「別に、怒ってはいませんよ。むしろ、嬉しく思っております」
神通「へ?」
提督「神通さんは、私の固執した形の訓練メニューについて、意見してくれました。それで、私の気付かないような事にも気づかされました。ありがとうございます」
神通「あ、どうも………」
提督「…神通さんは、艦娘になる前の過去の経験から、厳しくしようとしたんですよね?」
神通「…はい」
提督「………世の中には、『過去に自分がされて嫌だったから、相手にも同じことをして鬱憤を晴らす人間』と、『過去に自分がされて嫌だったから、相手には同じことをしない人間』の2通りがいます。神通さんは前者に近いですね。貴女の目的は、鬱憤を晴らす事ではありませんし。まあ私は、後者ですけど」
神通「あ、もしかしてそれは前の職場での経験、ですか?」
提督「…知っていたんですか」
神通「吹雪ちゃんから、そんな感じの経験をした、と言うのは聞いています」
提督「……確かに、私は過去に理不尽な経験を受けました。ですから、皆にはそのような経験をしてほしくない、と考えて、緩いメニューにしました。単なる私のエゴ、と受け取っていただいても構いません」
神通「いえ、そんな事は……」
提督「ただ、かつての私みたいに、心がボロボロになり、人を信じなくなるような事にはならないでほしい、と。それだけは願っています」
神通「……………」
提督「話を変えて、神通さんは今回の一件で意見をしっかりと言える芯の通った人だという事が分かりました」
神通「あ、ありがとうございます」
提督「これからも、私のそばでよろしくお願いいたします」ニコ
神通「!!!////」
神通「………………///////」
川内「神通?どうかしたの?顔紅いよ?」
神通「い、いえ…!!別に、そんな事はありません!」
提督「…まあ、深くは尋ねませんが。それより、書類整理に入りましょう」
神通「は、はい!」
川内「がんばれ~」
神通(思えば……私は、あの時の提督の笑顔を見て、好きになってしまったのですね……)
【終わり】
308 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/16 22:10:00.84 /ZjRX09A0 171/565【キャラクター紹介】
≪神通≫
川内型軽巡洋艦二番艦。艦娘No.47(改二はNo.159)。物静かな雰囲気とサムライのような改二姿が特徴的な、優しいお姉さん。しかし、訓練の時は鬼。
真面目な性格で、仕事もそつなくこなし、意見は真っ直ぐに言うタイプ。斑提督の鎮守府に最初に着任した軽巡洋艦で、駆逐艦の子たちの訓練メニューが、
緩い事を提督に指摘したが、その過程で提督の過去を知ることになる。そして、提督のある言葉と笑顔によって惚れた。結構一途。
好きな言葉は『質実剛健』。
―16時過ぎ、北海道・小樽第鉢拾伍鎮守府、執務室―
コンコン
小樽鎮守府提督(以下手稲)「はい」
響「失礼するよ、司令官」ガチャ
手稲「おや、お帰り。響」
響「遠征から帰って来たんだ。この時期になると、やっぱり寒くなってきたよ」
手稲「そうか、もうそんな季節になりましたか…。じゃあ、今日の夕飯は鍋にでもしてもらいましょうか」
響「そうだ、司令官に贈り物があるんだよ」
手稲「私に?いったい何かな?」
響「漁港のおじさんから、カニとかタコとか魚介類をもらったんだ」スッ
手稲「え、本当?ちゃんとお礼は言った?」
響「当たり前だろう」
手稲「そうか……そうだ」
響「?」
【北の国から】
―16時半過ぎ、関東・東京第壱鎮守府、執務室―
ジリリリリリン
提督「はい、第壱鎮守府提督です」
手稲『あ、斑提督。お久しぶりです、手稲です』
提督「おや、手稲さん。お久しぶりです。提督会談以来でしょうか」
手稲『そうですねぇ。あの時はお世話になりました』
提督「ところで、何か御用でしょうか?」
手稲『ああ、そうでした。実はですね、魚介類が偶然的に手に入ったんですよ。それも、旬の』
提督「?」
手稲『よろしかったら、視察もかねてウチに食べに来ませんか?』
提督「…正直、視察を望んでいる提督と言うのも珍しいと思いますが…」
手稲『どうしますか?』
提督「…分かりました。そろそろ、そちらの方の鎮守府も視察しなければと思っていたので、ちょうどいい機会です。2~3日後に、そちらへ伺います。詳しい日程が決まりましたら、また後日ご連絡します」
手稲『はい。では、また後日』
提督「はい、それでは」
ガチャン
提督「……ふむ、北海道か」
―19時過ぎ、食堂―
司令長官「視察なんでしょ?行って来ればいいじゃない」
提督「確かにそうなんですけど、北海道ともなると、日帰りで帰るのは少々難しいんです」
長門「なんだ?旅行にでも行くのか?」
提督「長門さん…。いえ、旅行ではありません。視察ですよ」
長門「私用ではない、と?ならば、貴様のいない間、鎮守府は私に任せておけ」
提督「…よろしいんですか?」
長門「ああ、ドンと任せておけ」
提督「では、お願いします」
司令長官「でも、北海道か~。もう今の時期になると、海も荒れるし、寒いんでしょ?」
提督「それが問題なんですよ…。船は使えませんし…飛行機しかないですから。それと、同伴させる艦娘の方も、寒さに強ければなりませんし……」
司令長官「寒さに強い艦娘と言えば……」
長門「…響か、阿武隈か…」
司令長官「まあ、そんな感じだよねぇ」
提督「さて…どちらを連れていくか…」
TV『ロシアのメドブェージェフ大統領は、北方領土を視察する旨を日本政府に伝え―』
提督「阿武隈さんにしましょう」
司令長官&長門「それがいいね」
―数日後、飛行機内―
阿武隈「提督、怖い!怖い!」
提督「だったら何で窓際の席にしたんですか」
阿武隈「え、だって……空綺麗じゃない」
提督「まったく……」
阿武隈「それより、これから行く鎮守府って、北海道にあるんだよね?」
提督「ええ、北海道の小樽にあります。以前、私の鎮守府に提督会談で来た方ですよ」
阿武隈「そんな事言われても、あたしはその日遠征だったんだもん。分からないよ」
提督「まあ、会ってみた方が早いですからね」
阿武隈「……ところで、言われた通り着替え持ってきたけど…もしかして、お泊り?」
提督「そうですね。そりゃ、北海道へ行って日帰りで帰るのは、難しいですから」
阿武隈(提督と2人っきりで旅行……きゃー!)
―数時間後、小樽駅前―
阿武隈「……寒っ」
提督「やはりこの時期になると、こっちの方は寒くなりますね」
手稲「あ、斑提督」
提督「手稲さん。出迎え、ありがとうございます」
手稲「予定より早かったですね」
提督「飛行機が良くも悪くも早く着いてしまって、1本前の列車に乗ってこれたんです」
手稲「まあ、積もる話はウチの鎮守府で話しましょう。さ、どうぞ」
提督「失礼します」
阿武隈(うわぁ、この提督、車運転できるんだ~)
―数分後、鎮守府前―
手稲「さ、着きましたよ」
阿武隈「やっぱり車から降りると、寒い……」
手稲「中に入ったら、お茶でもお出ししましょう」
阿武隈「って、あれ?ドアが二重になってる」
提督「北海道の方では、玄関を二重にして、中に寒い空気が入らないようにしてるんですよ」
阿武隈「へぇ~、そうなんだ……」
手稲「さ、どうぞ中へ」ガラガラ
―食堂―
阿武隈「はぁ~…落ち着く~…あったまる~…」
提督「ふぅ。緑茶は美味しいですね」
響「あ、東京の鎮守府の人かい?」
阿武隈「あ…こっちの響ちゃんか。初めまして、阿武隈です」
提督「どうも、斑です」
響「外は結構寒かったかい?」
阿武隈「もう、寒かったよ~…。まだ10月だっていうのに、12度?東京よりも寒いって!」
響「え、12度もあるんだ。今日は結構暖かい日だね」
阿武隈(出たー、北海道人の気温ボケ出たー)
手稲「お待たせいたしました。さ、参りましょうか」
提督「では、視察させていただきます」
手稲「阿武隈さんはどうしますか?」
阿武隈「あ、あたしも付いていく!」
手稲「では、行きましょう」
―廊下―
阿武隈「あれ…?なんか、床があったかい…」
手稲「この鎮守府は、床全体に温水パイプが張り巡らされているんですよ」
阿武隈「???」
提督「入渠ドックや浴場の温水をただ捨てるのではなく、タンクに貯めて、床下のパイプに送っているんです。それで、床が暖かいんですよ」
阿武隈「へぇ……ね、ウチの鎮守府でも―」
提督「これ、北海道の鎮守府でのみ敷設が許されているんですよ」
阿武隈「」ガーン
手稲「まあまあ、東京の冬なんてこちらの冬に比べたらずっと暖かいですって」
阿武隈「ふぇぇ…寒いのは嫌だもん…」
―艦娘の寮―
提督「皆さん、静かですね……」コツコツ
手稲「ええ。今日は海も荒れていますから、出撃は控えているんです。おそらく、皆さん寝ているんでしょうね」コツコツ
阿武隈「え、海荒れていたっけ?」
手稲「近海はそれほど問題はないのですが、あまり外の方に行ってしまうと、海が荒れてまともに進めないような状態なんです」
阿武隈「あ、そう言えば冬の海は荒れやすいって、聞いたかも」
手稲「まあ、近海の哨戒のために何人かは待機状態ですが、こういう日は漁師が近海で漁をしてるんです。それの邪魔をしないように、出撃は控えているんですよ」
提督「なるほど……」
阿武隈「へぇ~…やっぱり北の方じゃ、勝手が違うんだね…」
318 : 以下、名... - 2015/10/17 21:31:44.07 b4h/MwDb0 177/565メドヴェージェフは大統領じゃなくて首相だった気がする
>>318
申し訳ございません。>>1のミスです。正しくは、メドブェージェフ首相でした(SSにありがちな名前のチョイ変え)
―工廠―
ゴゴゴゴゴン
明石「あ、提督…と、司令長官の補佐官さん?お疲れ様でーす!」
手稲「お疲れさま、明石」
駆逐艦たち「こんにちは~!」
手稲「ああ、皆静かだなと思ったら、ここにいたんですか」
明石「いやぁ、ここは冬でも暖かいですからねぇ~」
阿武隈「ふわぁ~…確かに暖かい~……そして油臭い~……」
提督「やはりどこの鎮守府も、同じですね…」
手稲「ははは、まあ工場なんてそんな感じですよ」
明石「失礼だなぁ~。それじゃまるで、私がいつも油臭いって言ってるようじゃないですか~」
―入渠ドック―
手稲「おそらく、他の方たちは浴場で風呂に入っているんでしょうね。浴場は24時間開放していますから」
阿武隈「お風呂か…入りたいかも」
手稲「でしたら、後で入っていただいても構いませんよ?」
阿武隈「い、いえいえ!そんな、悪いですって!」
手稲「大丈夫ですよ。貴女も同じ艦娘。艦娘は皆仲間ですから」
阿武隈「…では、お言葉に甘えさせて後ほど……」
提督「私も風呂に入りたかったのですが…」
手稲「では、近くにいい温泉がありますから、そちらに後ほど行ってみますか?」
―19時過ぎ、食堂―
間宮「はーい!今日は、漁師の皆さんのご厚意でいただいた魚介類を使った鍋で~す!」ドサッ
皆「おお~…」
提督「これは、すごいですね…。カニ、エビ、イカ……」
阿武隈「ふわわ……すごい、こんなの、東京の鎮守府じゃ見たことないよ…」
手稲「さあ、暖かいうちに召し上がれ」
提督「では、いただきます」
阿武隈「い、いただきます!」
パクッ
阿武隈「…涙が出るくらい、美味しい…」
提督「さすが、本場は違いますね」
手稲「いかがでしょうか?」
提督「本当に、美味しいですね」
手稲「それと、視察の方は?」
提督「特に問題はありませんでしたね」
手稲「まあ、これから先は出撃も遠征もほとんどできなくなってしまいますし…」
阿武隈「え?」
手稲「さっき、言ったでしょう?冬の海は荒れやすいって。雪もひどくなっていきますし、荒れる度合いもどんどん強くなっていきます。ですから、艦娘の出撃も遠征も、困難になっていくんですよ。1カ月に2~3回出撃できればいいくらいで…」
阿武隈「え、そんなに!?」
手稲「それと、鎮守府の雪かきもしなければいけませんし、出撃のできないときは、市場の雪かきなどをして、ボランティアをしています」
提督「まあ、私達総司令部も北国の事情は把握しておりますので、北海道の鎮守府には冬の間は多めに資金援助をしているんです」
阿武隈「はぇ~……北国って、避暑には最適だと思ったけど、冬は大変なんだね…」
手稲「分かっていただいて嬉しいです。…それより、お二方はこれからどうします?」
提督「私達はホテルを取っていますが…」
阿武隈「!!」
手稲「おや、よろしければウチに泊って行っては?」
阿武隈「」
提督「しかし、ホテルのキャンセル料が勿体ないですし…」
手稲「そうですか……分かりました」
阿武隈「」ホッ
※その夜、ホテルでは別にやましい事はありませんでした。
【終わり】
322 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/17 21:58:50.90 iwNHuZk+0 180/565【キャラクター紹介】
≪手稲 功(ていね いさお)≫
北海道・小樽第鉢拾伍鎮守府提督。そして、北海道地方代表提督。性格は丁寧で物腰が低く、聡明な容姿だがどこかポヤンとした感じである。生まれは、
北海道だが訛ってはいない。雪国育ちであるためか、関東の気温の高さには驚き、北海道の気温の異常な低さには大して驚かない。その優しい性格ゆえに、
鎮守府の皆からは大いに信頼されている。冬の間はほとんど出撃や遠征、演習を行わない。というか行えない。嫁艦は響。
好きな言葉は『蛍雪の功』。
【衝突】
―10時過ぎ、執務室―
提督「最上さんと三隈さんが衝突?」
大淀「はい…先ほど、第一艦隊から入電が入りました…」
提督「会敵してもいないのにですか?」
大淀「はい」
提督「大破?」
大淀「ええ」
提督「撤退させなさい」
―数時間後、執務室―
提督「まったく、身内同士で衝突して撤退とは、笑えませんよ」
三隈「申し訳ございません…注意はしていたのですが、気が付いたらモガミンがすぐ近くにいて…」
提督「と言うか、貴女たちって鎮守府の中でもよく衝突するじゃないですか。この前だって…」
―数日前、廊下―
三隈「らんらららんらんらん♪」
ドカッ
最上「あたっ!?」ドサッ
三隈「あらっ!?」ドササッ
最上「あたたた…あれ、三隈?」
三隈「まあ…モガミン、お怪我は!?」
最上「いや、大丈夫だけど……」
―昨日19時過ぎ、食堂―
三隈「あら、今日は鮭の塩焼きがあるのですね」
最上「ちょっと!?」
三隈「あっ…」
ガッシャーン
提督「何度目ですか」
三隈「ええっと…まあ、結構ありますわね…」
提督「最上さんも、しょっちゅう三隈さんとぶつかってけがをするようじゃ体が持たないでしょう」
三隈「私もそう思って、何度も注意しているのですが、それでもぶつかってしまうのです…」
提督「……一度、三隈さんと最上さんは行動を別々にした方がいいかもしれませんね」
三隈「えっ!?」
提督「これまでは一応、色々やりやすいように遠征や出撃では同じ艦隊にしてましたけど、こうも同じことが何度も起こってしまうと、見直す必要がありますし」
三隈「ま、待ってください!」
ガチャ
最上「あれー?どうかしたの?」
提督「最上さん…それが、三隈さんが何度も最上さんとぶつかってしまう事が、どうも頻発してしまっているので…」
最上「あー、あれ?三隈が勝手にこっちに向かってくるんだよ」
提督「……え?」
三隈「あっ」
最上「さっきの出撃の時だって、ボクはちゃんとまっすぐ進んでいたのに、三隈の方がこっちに向かって曲がって来たんだもん。この前の廊下だって、ボクはちゃんと回避行動をとったんだけど、三隈が勝手に寄りかかって…」
提督「……………………」チラッ
三隈「」プイッ
提督「……………………おい」
三隈「てへっ、ですわ☆」
【終わり】
330 : >>1 ◆aKZmxL4TCc - 2015/10/18 21:49:04.76 wrWnprCZ0 183/565【キャラクター紹介】
≪三隈≫
最上型重巡洋艦及び航空巡洋艦二番艦。艦娘No.116(改二はNo.117)。どこかのんびりとした雰囲気が特徴の、少し不思議系なお姉さん。最上と仲が良く、
よく行動を一緒にしている。しかし、気が付いたらなぜか衝突してしまっている。実は確信犯。また、変なあだ名をつける事に定評があり、自らの事を、
‶くまりんこ‶と呼んでは皆をドン引きさせる。自慢の主砲をよく別の人に使われるのが少し困っている事。
好きな言葉は『好きこその物の上手なれ』。
続き
【艦これ】総司令部の日常【中編】