関連
勇者「女神から能力を授かった」【前編】
勇者「女神から能力を授かった」【中編】
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一週間後・師範の家
少女「……」ぺらっ
天使「……」
鬼娘「ただいまっす」
天使「…お帰りなさい」
鬼娘「魚が釣れたッスよ。あと、ご近所さんにイモをもらったッス」
少女「よかったじゃないか」ぺらっ
鬼娘「新聞ッスか?」
少女「うん……国中大混乱さ。魔物に危うく国を乗っ取られかけ、巨大な魔物が現れ、王が魔物になったんだ」
鬼娘「でも、おれたちの力で危機は乗り越えたッスよ! 屍体に寄生してたばっちい魔物も片付けたッス!」
少女「そのことも書いてるさ」
鬼娘「謝礼をたくさん貰えたんスよね!」
少女「出し渋っていたが、説得して誠意を見せてもらったさ」
少女「あの程度で脅迫とは言わないよ。それに彼らに貯めこませるよりも、僕たちが使った方がましさ」
鬼娘「この国は大丈夫っスかね?」
少女「東王は現在、正気を失っているからね。王位は剥奪され、弟が王位を継承するんじゃないかな。僕らには関係ない話だけれど」
鬼娘「はー、大変ッスね」
少女「うん」
鬼娘「ところでご主人の先輩さんは…?」
少女「…細い管で、栄養は摂らせているから、酷い衰弱はしていないよ」
鬼娘「……」
少女「眠り姫のお目覚めをどれだけ待てばいいのやら」
天使「…そのことなのですが」
少女「うん?」
天使「私は先に旅立とうと思います」
鬼娘「!」
少女「…勇者くんを追ってかい?」
天使「勇者さんはきっと魔国に向かっているはずです。姉の仇を討つために」
少女「きっと勇者くんは君の助けを拒むさ。そして君もあの娘みたいに斬り捨てられるだろうね」
天使「しかし…」
少女「…僕はこれを集める方が重要だと思う」
生命の審判は『破滅の欠片』を取り出した!
少女「これには数多の魂、そして滅びの神の力が宿っている。つまり魔王の力の根源だよ」
天使「……」
少女「魔王はいわば破滅の神がこの世界で暴れる為の依り代。しかし、今回は何だか色々ときな臭い」
天使「…そうですか?」
少女「まず前回までの人間との戦いは種を根絶させるような組織的大虐殺だったけれど、今回は少し違うように思う」
鬼娘「??」
少女「今回の件も含めて、人間を滅ぼすというよりは、国家機能を奪ったり植民地化を優先しているように思える」
天使「そうですかね…?」
少女「以前の人間の国への侵攻も、最低限の戦闘しかしていなかったのだろう?」
天使「それは、元人間である赤騎士がいたから…」
鬼娘「えっ、ニンゲン?」
少女「むしろ、それが一番の問題さ。かつての人魔大戦では、勇者と魔王の一騎打ちで決着がついたと言われているはずだ」
鬼娘「オレもそう聞いてるッス。勇者が魔王様を倒して、魔物は消えたと」
少女「しかし、魔王と勇者の魂は僕のもとに訪れなかった。それどころか、先代勇者は魔物となっていた」
鬼娘「えっ? …えっ」
少女「魔王は先代勇者を懐柔して、雌雄を決する戦いの終焉を偽装したようだね」
天使「…そんなことできるわけありません。神の目を欺くなんて…」
少女「しかし、君は赤騎士が先代勇者とは気付かなかったね?」
天使「私が察知しなくても、女神さまが気付くはずです」
少女「…ふむ。君の言う通りかもしれない。しかし、何にせよ、赤騎士は魔物として人間の制圧に加担した」
天使「…結局、何が言いたいのかよく分かりません」
少女「それはすまない…。僕が言いたいのは、魔王には今までとは違う目的があるのではないかということさ」
鬼娘「今までとは違う目的? そんなの聞いたことないッス」
少女「……」
鬼娘「な、なんスか!? なんで憐れみの目でみるッスか!?」
少女「まあ、大多数には知られていなかったのかもね、うん」
天使「…貴女の推測がある程度正しいとした場合、魔王の目的は何なのですか?」
少女「人間を滅ぼすのではなく、人間を支配したいのかもね」
鬼娘「で、でもニンゲンと分かり合えるッスかね。…自分が言っても説得力がないかもしれないッスけど」
少女「分かり合うとは思ってないんじゃないかな。人間を奴隷のように扱ったり、玩具にしたりするなんて有りそうな話じゃないか」
天使「……」
少女「何にせよ、今回の魔王はどうも世界の調和を乱そうとしているように思えてならない。創造と破滅は世界の均衡を作り、調和の基礎となるからね」
鬼娘「ほえー」
少女「だから今は勇者くんを探すよりやることがある」
鬼娘「分かったッス! 『破滅の欠片』を集めるんスね!」
少女「そう。そして、魔王が力を得ないようにするのさ」
天使「…しかし、その間に勇者さまに何かあったらどうするんですか?」
少女「そんな簡単に死ぬ男ではないと思うけれど、あまり長くそのままにしておくのは絶対に良くない」
鬼娘「…あの剣とか装飾品ッスね?」
少女「うん…あまりにも長く身に付けていたら精神が完全に蝕まれてしまうだろうね」
天使「…やはり早く何とかしないとダメではありませんか!」
少女「…彼は殺す気で来る。僕たちはそうじゃない。きっと、今のままじゃ、返り討ちで終わりさ」
天使「しかし…!」
鬼娘「焦るのは分かるッス。でも、現状を考えることは大事ッスよ」
天使「…だから、あの娘が目覚めるのを待てと? それこそ同じことになるだけなのでは?」
少女「…まあ、そうかもしれない」
天使「……」
少女「実際、いつ目覚めるか分からない以上、ここで足止めを食らったままでいるのも問題だ」
鬼娘「ちゃ、ちゃんと目覚めるッスよね…?」
少女「そう信じたいね」
天使「…分かりました。それなら、ここを拠点に『転移魔法』で、短期の行程で冒険しませんか?」
鬼娘「そんなことできるんスか?」
天使「『転移魔法』は即席で行使するのは容易ではありませんが、魔法を構成するのに充分な時間があるのなら、可能だと思います」
少女「便利だね。いざとなれば、魔国に乗り込んで奇襲できるんじゃないかい?」
天使「転移先はかなり限定的な上に、あまりにも邪悪な力があるところには転移できません。あと、生命エネルギーが豊富なところも、座標が正しく検知できなくて、悲惨な結果になりかねません」
鬼娘「悲惨な結果?」
天使「…聞きたいですか?」
鬼娘「……えっと、結構ッス」
少女「まあ、それくらいの短所はあっても充分反則的さ」
天使「あとは、続けて何度もできませんね。私にとってもかなり高度な魔法なんです」
少女「…まあ、そうなんだろうね。まあ、でもそれなら、勇者くんの情報集めも同時にできるじゃないか。最初から言ってくれれば良かったのに」
天使「…移動範囲の問題で短期的に勇者さんを探すのは困難に思われるので」
鬼娘「折衷案ということッスね」
天使「ええ…。それでは、勇者さんと『破滅の欠片』の探索を同時に進めるということでいいでしょうか」
鬼娘「分かったッス!」
少女「うん。欲を言えば、あの娘がすぐにでも起きてくれるのが一番いいんだけど…」
鬼娘「…そんなに悪いんスか?」
天使「外傷は完治していますが、どうやら心に大きな傷を負っているのが原因みたいです」
少女「『竜の呪い』も影響してるみたいだね」
天使「…目覚めてくれると良いのですが。お父さんもかなり堪えていますし」
天使(女神さま、あの娘に貴女の御慈悲を)
けんし「…………」
師範「気持ち良さそうな寝顔だな」
師範「最近は本当に寝坊助になったな。いつも規則正しい生活をしていたから疲れたのか」
師範「お前は本当に出来た子だよ。母親もいないのに、弱音なんてまったく吐かないで、甘えもしないで」
師範「何でも卒なくこなすしな。本当に手のかからない子で…剣なんて俺をすぐに追い抜きやがって」
師範「きっと疲れたんだよな。ぐっすり眠れよ」
師範「…だから、ちゃんと起きろよ」
魔国・とある洞窟。
ポツ…ポツ…
勇者「……」ジュウウゥゥ
口惜しや…口惜しや…
勇者「……っ」
高潔な誇りを失いしは口惜しや…
勇者の目の前に瘴気の沼が広がっている!
勇者(体はもう『魔人の鎧』の瘴気でグジュグジュだ…何も躊躇うことはない)すたすた
ジュウウゥゥゥゥゥゥ!!!!
勇者(痛みは鎧が食っている。生命力は女神の力で補えている……いける……)グジュジュウゥゥ…
「…何者だ」
勇者「…一応、勇者だ。『血塗られた盾』、お前が必要だ」
盾「…呪われし装備を身に付け、あまつさえ我を欲っする者が勇者だと?」
勇者「だから一応といっただろう」
盾「何故、勇者が我を必要とする?」
勇者「魔王を倒すための力が必要なんだ」
盾「…呪われし装備を身に付けた者に魔王が倒せると?」
勇者「魔王を倒すためなら、どんな力でも構わない」
盾「…愚かな」
勇者「そうだな」
盾「……」
勇者「力を貸して欲しい」
盾「…いいだろう」
勇者「助かる」
盾「だが、対価が必要だ」
勇者「…対価?」
盾「そうだ」
勇者「一体、何だ?」
盾「魔王を倒したら、その後の生を我に寄越せ」
勇者「……」
盾「それが対価だ」
勇者「…もしも魔王を倒せなかった時は?」
盾「貴様の魂をいただく」
勇者「…………」
盾「止めるか?」
勇者「……いや……分かった」
盾「……契約成立だな」
勇者「…ああ」
勇者は『血塗られた盾』を手に入れた!
洞窟の外。
盾「久しぶりの外だな」
勇者「……」
盾「…それで。いきなり囲まれているな。八方を見渡す限りの魔物の群れだ」
勇者「この数とは……俺も随分と買い被られたものだな」
戦狼「『悪魔の角』を単身で進んできたとは…やるじゃないか勇者よ」
勇者「…勇者、か」
戦狼「隠そうとしても我輩の鼻は誤魔化せんぞ」
勇者「別に隠しているわけではないが…。犬っころだけあって鼻が利くんだな」
戦狼「我輩を侮辱するとはな。我輩は魔王軍大将、戦狼だぞ」
勇者「…それは四天王とどちらが上なんだか」
勇者の攻撃!
戦狼は巨大な大剣で防ぐ!
戦狼「速い……が!」
戦狼の『痛恨の一撃』!
しかし空中に浮かぶ血塗られた盾が防いだ!
戦狼「チイィ…ッ!」
勇者(こいつ、赤騎士以外の魔物とは比べ物にならないほど強いな…)
盾「弱いな、勇者」
勇者「ああ…。取り巻きから殺すことにするよ」
勇者の猛攻!
魔王軍の精鋭たちを斬り殺していく!
魔物の攻撃!
魔物の攻撃!
魔物の攻撃!
しかし血塗られた盾が全て防いでいる!
勇者の猛攻!
勇者の猛攻!
勇者の猛攻!
勇者の猛攻!
戦狼「怯むな! こいつさえ討ち取れば魔物の勝利! 魂を魔王様に捧げろ!」
・
・
・
勇者「……」
盾「やっと静かになったな」
勇者「ああ…」
盾「何日…いや、何週間たったろうか?」
勇者「覚えていないな…戦狼が撤退してからは記憶にない…」
勇者はその場に仰向けになった!
盾「魔物の肉を食らい、血の海と屍の山で眠る。まるで鬼だ」
勇者「俺の知ってる鬼は性格の悪いクソ野郎と、アホ可愛いやつだけだ…」うとうと
盾「眠いなら眠ればいい。我が危険を防いでやる」
勇者「それなら…甘えさせてもらう…」
勇者は深い眠りに落ちた!
少女「…まだ、起きないか」
鬼娘「…ほんとにまた起きるッスよね?」
天使「…信じましょう」
少女「やれやれ、『破滅の欠片』はいくらか集まったんだけどね」
天使「前回ので9つめですか」
鬼娘「この前のも強かったッスね…」
師範「…おかえり」
天使「あ、ただいま帰りました」
師範「ご飯、作っておいたから食べるといい…」
少女「ありがとう」
鬼娘「ちゃ、ちゃんと休んでるッスか? 顔色悪いッスよ」
師範「…大丈夫だ」
鬼娘「どうにかならないッスかね? 可哀想ッス」
少女「…何とかしてあげたいけれど、僕たちには打つ手がないね」
鬼娘「お世話を手伝うので精一杯ッス…」
天使「私は、無力です…」
少女「君には言って欲しくないね」
鬼娘「おれが一番役立たずッス…」
天使「…勇者さんは、何度こういう気持ちを味わったのでしょう」
少女「君は本当に勇者くんが好きだね」
天使「そう、ですね」
少女「完落ち来ました」
鬼娘「ストーリー途中でデレデレだとヤンデレ化するのが定石ッス! 昔の偉人が言ってたッス!」
天使「なんなんですかっ」
どたどた
師範「大変だ! 村に巨大な魔物が現れた!」
天使「何ですって!?」
鬼娘「巨大…また破滅の力を取り込んだやつッスか?」
少女「その可能性が高そうだ」
師範「俺は足止めに行く! 娘を連れて逃げてくれ!」
天使「いえ、私たちが戦います。住民の皆さんを誘導して避難してください」
師範「そういう訳にはいかない!」
少女「僕たちはこんな見た目だけど、人間よりもずっと強いよ」
鬼娘「そうッス! さっさと逃げるッス!」
師範「この村は俺たちの手で守る必要があるんだ!」
少女「…はっきり言おう。君ごときでは、戦闘では役立たずだ。」
師範「わ、分かっている!」
少女「それなら、もっと自分にしかできないことをやってくれないか。村の人たちを安全に避難させるのも村を守ることだろう」
師範「し、しかし……」
鬼娘「…はあっ!」ドッ
鬼娘は拳圧で部屋の壁を砕いた!
鬼娘「これくらいできるッスか?」
師範「ムリムリムリムリ」
鬼娘「最低限、これくらいできないとほんと何の役にも立たないッス。おれも大して役に立ててないッスよ」
天使「そんなことはないと思いますけど…」
少女「色々と助けてもらってるよ」
鬼娘「ほ、ほんとッスか」ヘニャ
鬼娘「あっ、そ、そうじゃないッス! とにかく、戦闘に来られてもむしろ迷惑ッス。早く逃げるッス」
師範「…分かった。無力ですまない」
天使「……」
鬼娘「悪いことしちゃったッス」
少女「そんなことないさ。無駄な犠牲を出さないで済みそうだからね」
鬼娘「壁を壊しちゃったッス」
天使「そこですか」
少女「村が滅ぼされた壁どころじゃないから、しようがないよ」
鬼娘「っと、あれが魔物ッスね」
少女「竜か。厄介だね」
鬼娘「とりあえず…どりゃあっ!」
鬼娘は足元にあった木桶を勢いよく投げつけた!
竜?「……!」
少女「こちらに気付いたみたいだね」
天使「不意打ちで良かったと思うのですが」
鬼娘「あ、ごめんなさいッス」
天使「もう…」
天使は『電撃魔法・極』を放った!
竜?には当たらなかった!
天使「あれ?」
少女「おや、見事な回避だね」
天使「今度こそ!」
天使は『火炎魔法・極』を放った!
天使は『氷結魔法・極』を放った!
竜?には当たらなかった!
竜?には当たらなかった!
天使「ああ、もう…!」
鬼娘「ひらひら躱すッスねー」
少女「まるで、こちらが何をするかはじめから分かってるみたいだね。心の内でも読んでるんじゃないかい?」
天使「戦闘中なんですから、あなたたちも真面目にしてください!」
鬼娘「えー、だって自分が攻撃するには遠いッス」
少女「それに、どうも戦意が無さそうに見えるからね」
竜?は下降してきた!
天使「来ましたよ!」
しかし竜?は姿を忽然と消した!
天使「あれ?」
「あんな強力な魔法を撃ったら危ないだろ」
「竜の姿でしたら当然じゃありませんの。勇者さまに強くなったところを見せたいからって人目に着くところでも竜化するなんて」
「うるさいなあ…」
「村の人たちも心底怯えてしまっていますわよ、もう……きゃっ!」バタッ
「また何もないところでこけてるし…」
「う、うるさいですわ!」
少女「…女の子?」
天使「…エルフさん?」
エルフ「…あの時の天使か!?」
鬼娘「あ、青魔導師さま!?」
青魔「あら、鬼娘さんですの?お久しぶりですわ」
少女「え、なにみんな知り合いなのかい?」
天使「以前、協力してもらいました」
エルフ「命の恩人だ」
鬼娘「元直属の上司ッス」
青魔「昔の部下ですわ」
少女「へえ…」
師範の家。
師範「魔物を倒してくれて本当にありがとう。寝たきりの娘がいるのに家無しにならなくて良かった」
少女「当然のことをしたまでだよ」キリッ
エルフ「……」
青魔「貴女の不始末を穏便に済ませようとしてるのですから堪えなさいな」
エルフ「分かってるよ。だから黙ってるんだろ」
師範「ところで、そちらの娘さんたちは?」
青魔「私は勇者さまの婚約者ですわ」ニコッ
少女「えっ」
天使「なんですって!?」
鬼娘「青魔導師さまが、ご主人の婚約者…?」
エルフ「嘘だからな」
少女「勇者くんは、本当に女誑しだね…」
青魔「貴女も誑かされたのですわね」クス
少女「…さあ、どうだろうね?」
エルフ「そいつ、サトリだから隠し事はできないぞ」
少女「えっ」
青魔「大体の生き物の心は読めますわよ」
少女「…さっきみたいにドジを踏むのも油断させるためかい。抜け目ないね」
エルフ「残念だが、それは素だ」
青魔「うう…このやり取りは嫌いですわ」
エルフ「…ところで、あのスケベは?」
少女「勇者くんならここにいないよ」
鬼娘「スケベで通じるって可愛そうッス…」
青魔「どういうことですの?」
生命の審判は二人に今までの顛末を話した!
青魔「勇者さまのお姉さまが…」
エルフ「…まったく、世話の焼けるやつだな」
天使「魔国への道沿いに探してはいるのですが、情報がなくて…」
エルフ「そういえば、北の国で『魔人の鎧』の封印が解かれたらしいな」
天使「魔人の鎧?」
青魔「『呪われた装備』の一つですわ。聞いたところによると『邪悪なイヤリング』、『闇の剣』、『魔人の鎧』の三つですわ」
少女「ふむ。もしも、封印を解いたのが勇者くんなら、全て手に入れたことになるね」
天使「北の国、ですか。『破滅の欠片』を手に入れただけで、あまり情報収集はしませんでしたね」
鬼娘「それじゃあ、ご主人は今度こそ魔国に乗り込もうとしてるッスか」
エルフ「まさか、そんなことになってるとは思わなかった…」
青魔「そうですわね」
天使「ところで、どうやってここに来たのですか?」
エルフ「新聞を見たんだ。そして、東城で、魔物になってる王さまを助けたらこの村に国の英雄がいることを教えてもらったんだ」
青魔「それで、もしかしたらということでここまで来たのですわ」
少女「ちょっと待った。魔物になった王を治したのかい?」
青魔「私は魔物の使う魔法の類に明るいのですわ」
エルフ「そういうこと」
鬼娘「青魔導師さま、凄いッス…」
青魔「うふふ、それ程でも」
鬼娘「いつもドジってばかりのダメ上司とか思っててごめんなさいッス!」
青魔「…別にいいですわ…知っていましたし…」しょぼん…
鬼娘「あ、で、でも、本当に見直したッスよ!」
青魔「了解しましたから…もうやめてくださいませ…」どよん…
少女「…はあ、愉快な仲間たちだね」
エルフ「お前もだろ」
少女「君たちには敵わないよ」
天使「そんなことないですよね?」
鬼娘「そうッスね」
少女「……」
アハハッ
けんし「…………」
師範「賑やかだな…お前も加われれば良いのにな…」
けんし「…………」
エルフ「竜の呪いか。しかも、捨て身でかけたのか? 随分と強力なようだが」
師範「うおっ!?」
青魔「驚かせてしまって申し訳ありませんわ」
師範「いや…。あ、こいつは俺の娘でな」
エルフ「知ってるさ。こいつに脅迫されたことがあるからな」
師範「え?」
エルフはけんしの頭に手を置いた!
けんしの肌に紅い紋様が浮かんだ!
師範「ぬおっ…」
エルフ「大分進行してるな。早ければ、もって二日か」
師範「そ、そんな…! どうにかできないのか!?」
エルフ「呪いは解けるかもしれないが、必ず助かる保証はない」
エルフ(むしろ、ダメな結果になる可能性の方が高いみたい)
師範「…た、頼む! 助かる見込みが少しでもあるなら…!」ザッ
エルフ「…土下座されても困る。…青魔、手伝ってくれ」
青魔「何をすればよろしいんですの?」
エルフ「少し、心の中に潜り込んで、励ましてきてくれ。気力は大事だ」
青魔「難しいのに簡単に言わないでくださいな」
エルフ「出来るんだろ?」
青魔「ええ、もちろん…っと」
青魔導師はけんしの心の中に潜り込んだ!
青魔「…………」
師範「先ほどからピクリともしないが、大丈夫なのか…?」
エルフ「潜ってる間、体は無防備だからな。いくら悪戯してもばれない」つんつん
青魔「…………」
エルフ「……相変わらず無駄にデカい」ぽよぽよ
師範「ちょっ…」
青魔「おやめなさい」ごつっ
エルフ「あだっ、戻ってきてたか」
青魔「疲れましたわ…」
エルフ「どうだった?」
青魔「上手くいきましたわ。殺されかけましたけれど」
エルフ「何があった?」
青魔「黙っておくべきなのでしょうが…やはり、基本は勇者さまのことですわ」
エルフ「…まあ、だろうな」
青魔「簡単に言えば、勇者さまが自分より姉ばかり優先するからいじけてしまったのですね」
エルフ「…あいつ、本当に重度のシスコンだったんだな」
青魔「唯一の肉親ならば、それも当然ですわよ。私はむしろ好感に思いますわ。私が勇者さまに愛想を尽かすわけがないのですけれどね」
エルフ「ああ、そう…」
青魔「あなたも、ですけどね」
エルフ「あー、もうっ! うるさいっ!」
師範「あのー…娘は?」
青魔「煽って焚き付けましたわ」
エルフ「ん、この女ならその方がいいかもな。さてと…」
エルフは『竜化魔法』を唱えた!
エルフ「ぐっ、抑エメにシテ…」
エルフは部分的に竜の姿になる!
師範「ぬあっ!?」
エルフ「サて、上手クいケヨッ!」
魔王城。
側近「勇者が城近くまで来ましたか」
戦狼「…魔王軍は壊滅的状態だ。師団は全て壊滅し、残兵も殺されている」
側近「狂爺の研究はもう少し時間がかかります。足止めが必要なのですが」
戦狼「…ちょっとやそっと斬りつけても死なない上、盾による護りで致命傷を与えられない」
側近「頑強なのは女神の力によるものでしょう。呪われし装備を使う勇者なぞかつての記録にもありませんが」
戦狼「…マズいな。決して強くはないが、死なない。ゆっくりだが確実に迫ってくる」
側近「やはりバケモノですね」
戦狼「残っている強者は、我輩と…まあ、地獄闘士くらいのものだ」
側近「背に腹はかえられませんね…いざという時は集めていた『破滅の欠片』を幾つか使いましょう」
戦狼「破滅の神の力――魔王さまの力を使えるとは、身に余る光栄だが…」
「その必要はないわ」
側近「…!」
「ここは任せてちょうだい」
戦狼「し、しかし、万一のことがありましたら…」
「だからと言って、アナタたちが勝てるわけでもないでしょう?」
側近「…そうですね」
「それに…あの子に会いたいわ」
・
・
・
勇者「あれが、魔王城か」
盾「距離はそこまでではなかったが、邪魔が多くて手こずったな」
勇者「ああ。…あそこに、魔王がいるのか」
盾「正面から行くか?」
勇者「…いや、罠があるかもしれない。正面以外にも入り口はあるはずだ」
「その心配はもうしなくていいわよ」
盾「…!」
勇者「………………」
「久しぶりね」
勇者「……なんで」
勇者姉?「会えて嬉しいわ」
勇者「…姉ちゃん?」
勇者姉?「そうよ」にこっ
勇者「…死んだはずじゃ」
勇者姉?「生きてるわよ、こうしてね」
勇者「……そんな、どうして」
勇者姉?「あなたがいなくなった後、しばらくして兵隊さんに連れていかれてね。島流しにあったんだけど、そこで他の人たちと一緒に、魔物に浚われたの。それで…」
勇者「そして、魔物のクソ野郎に殺されたんじゃないのかよ!?」
勇者姉?「そんな汚い言葉を遣わないでちょうだい。…他の人は実験の材料となって、あなたの言う通り、亡くなったわ。先にいた人も、後に来た人も。ただ、私は別だった」
勇者「……?」
勇者姉?「私には特別な宿世があったのよ。…アンタは勇者になったんでしょ?」
勇者「…ああ」
勇者姉?「あなたは勇者になったのは偶然? それとも必然?」
勇者「…偶然だろ。俺にそんな資質があるとは思えない」
勇者姉?「本当に? でも、こうしてあなたは魔王の近くまで来て、魔王を倒そうとしてるじゃない」
勇者「それは、運が良かったから…それに、女神から能力を授かったから…」
勇者姉?「本当にアンタはたまたまの運だけでここまで来たと思ってるの? 誰かによって導かれて来たとは思わないの?」
勇者「……」
勇者姉?「私が生きてここに立っているのは定められた運命が歪んだからよ。こうして――」
勇者姉?「魔王になったのもね」
勇者「…何言ってるんだ」
勇者姉?「どうして、私が生きてるか教えてあげるわ。魂だけの存在となっていた魔王の器になったからよ」
勇者「…は?」
勇者姉?「魔王はかつての勇者と結託して世界に細工をしたの。戦いを演じて、敗北。しかし、魂だけは残るようにね」
勇者姉?「魔王は新しい器となる肉体を造らせていた。しかし、なかなか上手くいかない。魂が定着しない」
勇者姉?「魔王というのは特別な因果を持っているの。勇者と同じようにね。そして、私は勇者であるアンタの姉だから少しは因果があった」
勇者姉?「私は魔王の仮初めの器に過ぎないのよ。だから意識も記憶もアンタのよく知ってる私のものなの。もちろん魔王としての記憶と知識も断片的にあるけれど」
勇者「…嘘だろ、姉ちゃん」
盾「確かに尋常ではない気を感じる。勇者、奴の言葉は真実だと思っていいぞ」
勇者「……」
勇者姉?「アンタは勇者。そして、この歪んでしまった世界の運命を修正する使命もある。事の発端である魔王を倒すことによってね」
勇者「……」
勇者姉?「…ねえ、一緒に運命を壊しましょう。魔王と勇者、相容れない存在、そういった決まり事を私は壊したいの」
勇者「よく分からない…」
勇者姉?「共にいきましょう。そして新しい時代を切り拓くの」
勇者「……」
盾「勇者、どうするのだ?」
勇者姉?「さあ、私と世界を変えましょう」
はい
いいえ
勇者「………………」
勇者「いいえ」
勇者姉?「……」
勇者「…姉ちゃん、ごめんな」
勇者姉?「…………」
勇者「…きっと、もうほんとの姉ちゃんは死んだんだな」
勇者姉?「そんなことないわよ。私はここにいる」
勇者「もうほんとの姉ちゃんはいないんだよ」
勇者姉?「アンタは私じゃないのに、そんなこと分かるわけないでしょう? 私が本当はどんな人間かなんて知らないくせに」
勇者「…たしかに俺は分からないことばかりだよ。自分のことさえよく分かってない」
勇者「平凡なりにも、勇者らしく振舞えていたと思ってたし、世界を魔物から救う使命感を抱いていたつもりだった」
勇者「でも、姉ちゃんが魔物に浚われたと知ってからは、使命感なんて嘘っぱちだって気付いちゃったんだよ」
勇者「ただ、憎らしくて、悲しくて、自分の力の無さ、愚かさ、どうしてあの時その事を考えられなかったのか、なんてずっと考えるだけさ」
勇者「俺を勇者と慕ってくれるみんなに会わせる顔もなくて、そんな自分をそれでも止めてくれる大切な人を傷付けて…もう、どうしようもないヤツなんだ、俺は」
勇者「それでも…それでも、やっぱり俺は勇者だ」
勇者「姉ちゃんが魔王だって確かに認めてしまえるんだよ」
勇者「そして、姉ちゃんが苦しんでるのが分かるんだ。魔王によって魂を壊されてもなお、生かされ続けている姉ちゃんの身体が」
勇者姉?「そんなことないわ。アンタの言葉は論旨のすり替えよ」
勇者「…本当の姉ちゃんなんて分からないよ。正直、言葉でどう繕ったって分からないよ」
勇者姉?「それなら…」
勇者「でも、俺は今の姉ちゃんを受け入れるわけにはいかないんだ。勇者としても、弟としても」
勇者姉?「…なるほどね。ここにおいて、勇者と魔王の交渉は決裂。決戦に移るのね」
勇者「……」
勇者姉?「くっくっくっ、騙されなかったな、勇者。貴様の姉のフリをして、懐柔してやろうと思ったんだがなあ!」
勇者「やめろよ……姉ちゃん」
勇者姉?「演技だと言ったろ、バカめ」
勇者「それじゃあ…どうして…」
勇者「どうして泣いてるんだよ…」
勇者姉?「……っ」つうっ…
勇者「……俺はまた間違えたみたいだな。姉ちゃんは魔王になっても姉ちゃんだ」
勇者「いつだって俺の前じゃバレバレなのに強がって、弱虫な俺を励ましてくれて…」
勇者「今だって、バレバレの偽物のフリして、俺に辛い思いをさせないようにして…」
勇者「もういいんだ。姉ちゃんからは、もう、たくさん大切なものを貰ったよ」
勇者姉?「……」
勇者「いつもご飯を作ってくれてありがとな」
勇者姉?「…アンタに美味しいって笑ってほしくて頑張ってたのよ」
勇者「いつも布団や服を洗ってくれてありがとな」
勇者姉?「…アンタが稽古を頑張るのを応援したかったのよ」
勇者「…俺を育ててくれて、そばにいてくれてありがとな」
勇者姉?「アンタがいなきゃ、私は生きたいなんて思えなかったわよ」
勇者「…俺の姉ちゃんでいてくれてありがとな」
勇者姉?「私の弟でいてくれてありがとう」
勇者姉?「不思議よ…私、アンタを敵と認識しているの」ぽろぽろ…
勇者姉?「アンタのことを愛おしく思っているのに、アンタとのたくさんの思い出があるのに…それでも、完全な敵だと思ってしまうの」
勇者「それは、俺も同じだよ」
勇者姉?「ふふ、姉弟愛は勇者と魔王の因縁には勝てないのね」
勇者「比べることじゃないんだよ。もしかしたら、ちょっと壮大な姉弟ゲンカかもしれない」
勇者姉?「それは素敵な発想ね」
勇者「…………」
勇者姉?「…………」
勇者「魔王、勇者として、おまえを倒すよ」
魔王「勇者、魔王として、アンタを倒すわ」
勇者と魔王の戦いが始まった!
東国・故郷の村
剣士「…迷惑かけたわね」
少女「そんなことないさ。戻れて良かったね」
鬼娘「こ、こんな美人さんだったンスね…」
天使「無事に戻って本当に良かったです」
剣士「ええ……ありがと」
青魔「出来ることをしたまでですわ」にこ
エルフ「…感謝してるなら、もう前みたいのはやめろよ」
剣士「…何のことかしら?」
エルフ「分かってるくせに…」
青魔(…それが本当に何も覚えて何もいないようですわね)
師範「……」
剣士「父さん…その…」
師範「心配かけおって…のこのバカ娘め」
剣士「ええ…」
師範「ほんどに…良がっだ…」ボロボロ
剣士「ほんとに、心配かけてごめんなさい……」
少女「少し二人きりにしてあげようか」ぼそっ
天使「そうですね」ぼそっ
・
・
・
少女「どこで『竜化魔法』なんて修得したんだい?」
エルフ「海の国だ。長いこと修行させてもらった」
鬼娘「どこっスか?」
エルフ「世界で最も神聖な場所だ。世界が魔物によって滅ぼされた時でも、唯一、生命が存続できると言われてる」
青魔「海竜王さまが統治しておられるのですわ」
少女「海竜王…女神の使徒だね。僕の同業みたいたものだ」
エルフ「お前が海竜王さまと…」フッ
少女「あー、その感じなんかエルフっぽい」
鬼娘「高飛車な感じッスね!」
少女「無理やり屈服されて、性奴隷にされる感じのね」
鬼娘「んほおお、ッスね!」
エルフ「ケンカ売ってんのか」
天使「落ち着いてください。お二人もお止めください」
青魔「海の国は時の流れがこちらよりもかなり早いですから、あっという間に数年経ちましたわ…」
天使「それは、まあ…」
鬼娘「女にとっては致命的ッスね…」
青魔「そうなのです…」
エルフ「おれたちもサトリも魔物も、普通の人間に比べたらずっと長生きするんだから大した問題じゃないだろ」
・
・
・
剣士「さて、あのシスコンを探す旅に出るわよ。まずは敵の本拠地、魔国ね」
師範「えっ」
剣士「傷モノにされた責任を取らせなきゃ」
師範「き、傷モノだと!?」ガタッ
少女「いや、刀傷的な意味だと思うよ。…多分」
エルフ「もう少し安静にしていた方がいいぞ」
剣士「もう大丈夫よ。アナタたち全員と同時に戦っても負ける気がしないわ」ニコ
鬼娘「…勝てない気がするッス」
剣士「…まあ、恩人を斬りつけるほど人でなしじゃないわよ」
師範「…本当に行くのか?」
剣士「…親不孝でごめんなさい。縁を切られても文句は言えないわ」
師範「…バカ。お前がいるだけで最高の親孝行だよ。お前は俺の大切な娘だよ。本当に大切な家族だ」
剣士「……」
師範「…こんなこと、いつもなら言わないのにな。俺も年をとった」
剣士「…クサいこと言ったわね」
師範「…風呂には毎日入ってるぞ!」
剣士「…もうっ」にこっ
剣士(……アタシは、こんなにも愛されていることに、気づいていなかったのね)
エルフ「あの変態を探すのは当然として、その前にやることがある」
天使「何ですか?」
エルフ「まずは『破滅の欠片』を安全なところに預けるべきだ。あれは魔王の力そのものだしな」
少女「…確かに敵の本拠地に敵の力の源を持っていくわけにも行かないね」
鬼娘「でも安全な場所ってどこッスか?」
青魔「海の国ですわね。私たちが集めたものも海の国の聖域に安置しています」
剣士「…分かったわよ。その海の国とやらにはどうやって行くの?」
エルフ「北国からさらに北西に行けば入り口の小島に行ける」
天使「北国の北端までは、『転移魔法』で行けると思います」
少女「うっ…また剣の山かい。あそこ険しいんだよね…」
エルフ「『竜化魔法』で飛んでいけばいいだろ」
少女「お、それいい。君、最高だね」
鬼娘「途中で落ちたりはしないッスよね…?」
エルフ「問題ない」
青魔「…今まで何度か落とされかけましたわ」
天使「え……」
剣士「信用に置けないわね」
青魔「本当ですわ」
エルフ「いや、お前が悪い。例えば最初のとき――」
~~~~~~~~~~
青魔「竜の背に乗るだなんて初めてですわ。黄竜は乗せようとしませんでしたしね」
竜?「逆鱗ニハ触レルナヨ」
青魔「逆鱗…? あ、これですの?」ガシッ
竜?「ッッッ!?」グオオッ
青魔「きゃあっ! 暴れないでくださいませ!」
~~~~~~~~~~
エルフ「どうして触るなと言った直後に思いっきり触るんだよ!」
青魔「あ、あれはたまたまなんと言ったか分からなくて、つい……」
エルフ「一回だけじゃなくて何度もあるだろうが!」
鬼娘「うわあ…ドジっ子特性はなおってないんスね」
エルフ「こいつには苦労させられたよ、まったく」
青魔「むっ…! それを言うなら貴女だって!」
~~~~~~~~~~
竜?「ムム? 巨大ナ怪鳥ノ魔物怪鳥ガ……コチラニ気付イタヨウダナ」
青魔「お任せくださいませ!」
青魔導師は『針一万本』を放った!
無数の大きな針が怪鳥に突き刺さる!
青魔「怒りましたわね。真っ直ぐ来ますので左に避けてくださいませ」
怪鳥は突進してきた!
竜?「イヤ、イケル」
青魔「へっ!?」
竜?は怪鳥を受け止めた!
ぶつかった衝撃で青魔導師は空中に投げだされた!
青魔「きゃあああぁぁぁぁぁー!」
竜?「アッ」
~~~~~~~~~~
青魔「危うく殺されかけましたわ! 竜になると血の気が多くなるのはやめてくださいませ!」
天使「それは配慮が足りませんね」
エルフ「…そんなことあったか?」ふいっ
青魔「覚えているのに誤魔化さないでくださいませ!」
少女「遥か上空からの落下はぞっとするね」
鬼娘「うう…怖いッス」
剣士「乗ってみれば危険かどうか分かるわよ」
エルフ「そうだそうだ」
天使「多少の危険は仕方ありませんよ。それより、竜に乗るなんて初めてで楽しみです!」
魔国。魔王城。
側近「……」
戦狼「どちらが勝つか」
側近「魔王様が負けるわけがありません。今や魔王様は歴代で最強です」
戦狼「『破滅の欠片』か。本来は部分的に使うことが不可能なはずの破滅の力を随意に使えるからな」
側近「ええ、魔王様は己の力でお掴みになった覇道をもはや盤石のものになさっている」
戦狼「その魔王様を倒せる唯一の可能性とも言える勇者が死ねば、我らの勝利だ」
側近「…ふくく、そうなれば、我々の野望は殆んど達成されたようなものです」
戦狼「赤騎士――先代勇者が遺したものが、魔王様の覇道を完成させる。何とも皮肉だ」
側近「これも魔王様の御運命なのでしょう」
戦狼「御本人がお耳にすれば、お怒りになるぞ。あの御方は御宿命をお乗り越えなさるようお努めなさっているのだからな」
側近「…そうですね。しかし、御魂は魔王様でも肉体はか弱い人間であり勇者の姉…万一がないとも言え……」
魔王「ただいま…」
側近「…ふくく、言えましたね」
戦狼「ついに勇者が死んだか…」
側近「ふくく、魔王様の時代の始まりですね」
魔王「あの子は死んでないわよ」
側近「…はい?」
魔王「瀕死にまでは追い込んだのよ。呪われし装備は『盾』と『剣』以外は全て砕き、剣はこの通り私が奪った」ひょいっ
パシッ
戦狼「中々の一振りですな。……それで、勇者は?」
魔王「先代勇者に邪魔をされてね。止めを差す前に逃げられたわ。あ、その剣あげるわ」
側近「……くっ、赤騎士め」
魔王「それに、この体も思うように動かなくてね。ほら、やっぱり大切な弟だから」
戦狼「…はあ」
魔王「ああ、魔物は樹から産まれてくるから家族ってものがよく分からないのかな。家族は良いものよ」
戦狼「……」
側近「……」
魔王「とにかく、これくらい心配の種がないと逆に心配じゃない。だからこれでいいの」
側近「……」
戦狼「何はともあれ、ご無事なのが何よりです」
魔王「…それが、そうでもないのよね」
シュウウウゥゥ……
側近「お、御身体が……!?」
魔王「因果を持つとは言っても、か弱い人間の肉体では莫大な破滅の力を扱いきれないみたい。今すぐ朽ちるような心配はないけど、もうこの体で破滅の力は使えないわ」
戦狼「そんな…」
魔王「狂爺は?」
側近「今も研究室に籠りきりです」
魔王「完全な体はいつできるの?」
側近「長年の問題だった因果が、その体でかなり解消されたようなので、もう少しかと」
魔王「そう…早く造ってね。私はもう長くないから」
側近「……」
魔王「私は休んでいるわ」
魔王「…ふふ、あの子、成長したのね。この喜びは『魔王』ではなくて、私のもの…それは間違いないわ」
魔王「――最後に会えて良かった」
北国・剣の山
エルフ「そういえば、この辺りに恩人がいるんだ」
青魔「以前に助けていただいた魔物ですわね?」
エルフ「ああ。この近くに小屋があって、しばらく勇者と一緒に世話になった」
剣士「それは挨拶に行かなければいけないわね。将来の妻として」
天使「はい?」
青魔「あら、それは聞き捨てなしませんわね。それは私ですわ」
剣士「勇者はアタシを選ぶわよ」
青魔「大した自信ですわね」
剣士「他の選択肢を排除すればいい話だもの」にこっ
鬼娘「ひいっ!?」
エルフ「二人ともやめろって」
天使「そうですよ」
青魔「…いいえ。この際ですからはっきりさせましょう。貴女方は勇者さまを慕っているのかしら?」
剣士「愛してるわよ。殺したいくらいにね」
天使「そんなこと、絶対にさせませんよ」
剣士「…もうしないわよ、多分。それくらい愛してるってこと」
エルフ「歪んでるな…」
天使「……私だって、勇者さんをお慕いしてます。勇者さんは生命の恩人ですから」
青魔「生命の恩人だから好きというのは男女の愛とは違いますわ。私は異性として勇者さまをお慕いしております」
剣士「当然でしょ」
天使「……私もです」
エルフ「恥ずかしい奴らだな…」
剣士「アナタは?」
エルフ「お、おれは別に!」
青魔「私たちは二人とも勇者さまに想いを告げていますわ」
剣士・天使「!」
エルフ「い、言うなよぉ…!」かあっ
少女「おやおや…」
鬼娘「ほえー」
エルフ「お、お前たちはどうなんだよっ」
鬼娘「自分はご主人のこと大好きッスよ?」
天使「…あなたは何か違う気がします」
鬼娘「んー、そうッスかね? ご主人の子種ほしいッスよ?」
少女「げほっ…! 急に何を言うんだ君は」
鬼娘「そういう種族ッス」
少女「魔物は本来、混沌の樹から産まれるから生殖本能や機能はないと思っていたけど…」
鬼娘「わりと多様ッスよ。特に鬼はニンゲンと変わらないとこも多いッス」
青魔「鬼娘…貴女と敵対するとは思いもしませんだしたわ」
鬼娘「ふぇ? 自分は別にご主人を愛したいだけで愛されなくてもいいッス。自分が愛したいだけッス」
少女「ヒ、ヒロイン…」
天使「で、ですが愛し愛されることが一番の幸せですよ」
鬼娘「んー、自分にとってはご主人が幸せであることと、ご主人と自分の子どもを育てることが一番の幸せッス」
剣士「そんなことにはさせないわよ。…どんなことをしてでも」
少女「いちいち怖いね…」
エルフ「浮気は許さない」
少女「現状、これだけ想いを寄せられていると、難しいんじゃないかい?」ハハハ…
青魔「あとは、貴女だけですわ。生命の審判さま」
少女「さあ、どうだろうね。サトリなら心でも読んでごらんよ」
青魔「…くっ、上手に隠蔽なさりますわね」
少女「無駄に長生きしてないさ」
剣士「それでどうなの?」ずいっ
天使「どうなんですか?」ずいっ
鬼娘「どうなんスか?」
エルフ「……」じーっ
少女「いや、まあ僕は勇者くんとそんなに深い関係じゃないしね」
青魔「ですが、この前は、動揺していましたわね」
少女「…まあ、脈アリかナシかといえばアリってところだよ。君たちに混じってあーだこーだ言うほどではないってことさ」
天使「好意があるのに、すごすごと諦めるんですか!?」
少女「いや、だから…」
エルフ「…これ以上は勇者がいないと話が進まないだろ」
青魔「…そうですわね」
鬼娘「ご主人、どこにいるッスかね?」
剣士「世界中を虱潰しに探すだけよ。…地の果てまでもね」
少女「ヤンデレだね…」
・
・
・
天使「ここが、その小屋ですか?」
エルフ「ああ」
少女「誰もいないみたいだね」
剣士「相当、留守にしてるわね。換気してないから空気がこもってるわ」
エルフ「…礼を言いたかったが、いないならしょうがないな」
青魔「それでは、海の国に向かいましょう」
海の国・近海
青魔「もうすぐですわね」
鬼娘「風が気持ちいいッスね! エルフさんすごいッス!」
竜?「グルルル…」ドヤッ
天使「……」
少女「おや、顔色が悪いね?」
天使「ちょっと、気持ち悪くて…」
青魔「酔ってしまわれたようですわね」
剣士「大丈夫?」
天使「ダメかもしれません……うぷっ」
鬼娘「あっ」
竜?「ギャアアアア!! 背中デ吐クナアアァァ!」
海の国・入口。
鬼娘「心配してたよりもあっさり着いたッスね」
少女「そうだね」
エルフ「…ひどい目にあった」しくしく…
天使「す、すいません…うっ」
青魔「あらあら」さすさすっ
剣士「こんな小さい島が海の国なの?」
青魔「ここは数ある入り口の一つですわ。この下に海の国はありますの」
エルフ「そういうこと」
エルフは魔法の合言葉を唱えた!
地鳴りと共に小さな穴が開いた!
天使「これが…入り口ですか?」
エルフ「ああ。よっと」ぴょん
エルフは穴に飛び込んだ!
鬼娘「自分も行ってみるッス!」たっ
剣士「っと」ひょいっ
少女「みんな躊躇いなく行くね…それじゃあ次は僕が行くよ」
青魔「それならお先にどうぞ」すたすた…
つるんっ
青魔「きゃっ!?」
青魔導師は足を滑らせて仰向けに転びそうになる!
少女「うわ!?」どんっ
青魔導師は後ろから生命の審判にぶつかった!
少女「にゃ、にゃあああぁぁぁぁぁぁ……!」
生命の審判は真っ逆さまに落ちていった!
青魔「あらあら…」
天使「…だ、大丈夫でしょうか?」
青魔「問題ないですわよ…おそらくですけれど…」
海の国。
剣士「不思議ね。大きな泡の中に国があるなんて」
天使「青く透き通った水や、色彩豊かな海草が美しいですね」
鬼娘「ほえー、海の中なのに明るいッス」
青魔「海竜王さまのおかげですわ」
少女「へー…」げんなりっ
エルフ「海竜王さまは自室にいられるそうだ」
人魚「やっほー、ひっさしぶり!」
エルフ「人魚か」
剣士「お伽話や絵本でしか見たことないけど…実在したのね」
人魚「知ってるー? 最近、人間が漂流してきたらしいよん」
青魔「そこまで珍しいことじゃありませんわよね?」
人魚「まあ、難破した漁師が流れ着くのはねー。でも今回は漁師じゃないのよ! なんと勇者だって!」
六人「!!」
剣士「どこにいるの! ねえ、どこ!? 死にたくなければ、はやく答えなさい!!」ガシッ
人魚「ひっ…!?」
天使「お、落ち着いてください! 殺すのは勇者さまを見つけてからでも間に合います!」
人魚「ふぇっ!?」
少女「君も落ち着きなよ」
青魔「どこにいるんですの!?」
人魚「あ、青ちゃん、こ、怖いよ」
剣士「無駄口叩かないで早く言いなさい」イライラ
人魚「か、海竜王さまのお部屋に行けば分かるんじゃないの?」
エルフ「…っ」ダッ
鬼娘「はやっ!?」
少女「…彼はほんと愛されてるね。僕も安心したけどさ」
海の国・海竜王の間。
剣士「ここね!」
エルフ「ああ!」
バンッ
扉が勢いよく開かれた!
勇者「うおっ!?」
天使「勇者さ……」
勇者「て、天使さん…」
剣士「……」
勇者「げっ、先輩…!?」
エルフ「……」
青魔「……」
少女「……」
鬼娘「……」
剣士「……言いたいことは山ほどあるわ。怒りたいことも謝りたいことも」
勇者「……」
剣士「……でもね…先に言うことがあるわ」
剣士「――なんで女と同じベッドで眠ってるのよ!!」
海竜王「うるさいのう…」
青魔「か、海竜王さま…これは…」ぷるぷる…
ダークエルフ「説明していたたげますよね…?」ズズ…
鬼娘「わっ!? 黒くなってるッス!?」
天使「…………」ぶつぶつ…
天使は『全体即死魔法』を唱えている!
勇者「と、取り敢えず、落ち着いてくれ!」
海竜王「ふふ、勇者、昨日は激しかったな。妾も年甲斐もなく溺れてしまったぞ」
勇者「いや、それはアンタが…!」
少女「……誰でもいいんだね」ボソッ
鬼娘「ご主人、英雄色を好むッスね!」
剣士「取り敢えず、一回男根斬り落としましょ? ねえ、そうしましょ?」スラッ
ダークエルフ「……賛成ね」
勇者「ちょっ…」
青魔「……はあ。皆さん、落ち着きましょうか」
剣士「斬り落としてからね」
勇者「ひいっ…!」
青魔「貴女は少し性急過ぎますわ。事情を聞いてからでも良いのではなくて?」
剣士「……分かったわよ」
・
・
・
少女「つまり、海竜王は、勇者くんを逆レイプしたけれど、それは勇者くんの傷ついた体を癒すためだと?」
海竜王「うむ。妾の好みだったから欲情したのが大部分であるが」
剣士「…遺言はあるかしら?」
海竜王「美味であった。ご馳走さま」
剣士「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」ギリギリッ
鬼娘「簡単に剣を振っちゃ危ないッス!」ガシッ
エルフ「落ち着け! こんなんでも偉大な存在だから! こんなんでも!」ググ…
青魔「そ、そうですわ! こんなんでも!」ググ…
海竜王「そんな、ひどい…」
天使「……ふふふ、あはは」
少女(天使くんも相当キテるみたいだけど…)
剣士「あんたも簡単に犯されてるんじゃないわよ!」
勇者「ご、ごめんなさい?」
剣士「もう許せないわ。アナタ、ここでアタシとしなさい」
勇者「えっ」
剣士「もうこれ以上アナタが寝取られるのはイヤなの。ここで、アナタが誰のものかハッキリさせましょう?」
勇者「いや、ちょっと」
剣士「大丈夫よ、痛くしないから。先っぽだけだから」
勇者「それ、女の台詞じゃないから!」
海竜王「嫌がる者に強要するのは褒められたものではないの」
勇者「お前が言うなあ!」
勇者は魔国での経緯を話した!(あと服を着た)
剣士「お姉さんが…」
鬼娘「ヒドいッス…」
エルフ「魔物め。どこまでもコケにして…」
勇者「俺は、魔王を倒せなかったし、姉ちゃんを救えなかった」
天使「勇者さん…」
青魔「あまり自分を責めないでくださいませ」
勇者「…ああ、ありがとう」
少女「……しかし、完全な肉体か。早く手を打った方がいいね」
勇者「ああ。……だが、女神の力を使い過ぎたせいか、力が使えなくなってしまったんだ」
天使「何ですって!?」
剣士「あんな力ならなくてもいいじゃない」
勇者「いや、魔王に止めを刺せるのは勇者だけだ。姉ちゃんは…魔王は強い。勝つためには最低でも女神の力が必要なんだ」
海竜王「そうだの。今のままでは魔王を倒すことはできん」
剣士「…はあ、上手くいかないことばかりね」
・
・
・
少女「ここは良いところだね。夜でも光る魚たちでとても幻想的だ」
海竜王「そうだろう。…他の者たちは?」
少女「勇者くんとイチャイチしてるさ」
海竜王「そうか」
少女「…『破滅の欠片』は?」
海竜王「創造の女神の力宿る聖域に安置した。もう彼の女神と妾以外に手にすることはできん」
少女「……」
海竜王「妾を疑うたか? 心配は要らぬ、妾は生命の守護者ぞ」
少女「…そうだね。性分だから許してほしい」
海竜王「気にするでない。…しかしこれは、妾の領分を越えているが…そうも言ってられんようだの」
少女「うん。今回の魔王はどうもおかしい。世界の理を壊そうとしている」
海竜王「…生命の審判よ。砂上の楼閣なき今、器を持たぬ魂はどうなっている?」
少女「…どうしてそのことを?」
海竜王「妾は千里眼を備えておる。妾自身はここから動けぬがの」
少女「なるほどね……窮策だけれど僕の中で一時的に停留しているよ」
海竜王「…主は大丈夫か?」
少女「まあ、これが僕の本分だからね。多少無理してでも責任は果たさなければいけない」
海竜王「いじらしいの」
少女「どうも。……それで、勇者くんの力はいつ回復するんだい?」
海竜王「女神の力は以前健在だ。ただし勇者という出力装置に限界が来ていた」
少女「女神のエログッズの力かい」
海竜王「たわけ。そんなもの一側面に過ぎん。創造の女神の性の力であるぞ」
少女「…創造と性衝動は切ってもきれない、ということかい? 女神の本質的な力だと?」
海竜王「うむ。そんな力をそのまま人間に授けたら必ずや深刻な事態になる」
少女「つまりは女神がわざと加工したと?」
海竜王「うむ。いやしかし元々は本当に自分が愉しむためだったのかもしれんの」
少女「…僕は女神に会ったことはないのだけれど、そんなに適当なのかい?」
海竜王「妾たちの創造主だぞ?」
少女「う…何という説得力」
海竜王「まあ、しかし女神が間違って渡したというのは、どうにも白々しい」
少女「何か企んでいるのかな?」
海竜王「そうかも知れんの」
少女「それじゃあ天使くんも共謀かい? とてもそうは見えないけれど」
海竜王「あの天使はまだまだ新参なのだろう」
少女「そうだろうね。以前話したことがあるけれど、一千年前の人魔大戦以前のことについてはあまり詳しくないようだ」
海竜王「お主は、どれくらいの時から存在しておるか?」
少女「…さあ? 少なくとも僕の記憶では、破滅の神が現れたことは一度もないよ」
海竜王「ふむ。草創期以前を知らぬか」
少女「そうだね。僕はいつだって勇者が勝つ物語しか知らない」
海竜王「それより以前は、滅びの神となった魔王が幾度も世界を滅ぼしていたんだがの」
少女「…へえ。それじゃあ滅びの神を知っているのかい」
海竜王「…いや。妾の千里眼では知覚できなかった。使命のため、直接見ることも適わぬ」
少女「それじゃあ、滅びの神を見た者はまだいないと?」
海竜王「見た者は滅びた、が正しいの」
少女「……」
海竜王「話を戻そうかの。勇者の力がいつ戻るか。ぶっちゃけ分からん」
少女「うーん…最近は足踏みしてばかりだね」
海竜王「お主らはの。しかし勇者はかなり無茶を繰り返しておる。それに仮初めの器とはいえ、一度は魔王とも闘っておる」
少女「そうなんだろうけど…」
海竜王「…思うように行かぬのは詰めの一歩手前だからだ。焦っては大局が覆るぞ」
少女「…年の功だね」
海竜王「おいコラ」
・
・
・
夜。
盾「…もっと早く解放しろ」
勇者「悪かった。色々と立て込んでて」
盾「おのれ…あの年増め。我を拘束するなぞ無礼な奴め」
勇者「…一応、偉大な存在らしいぞ」
盾「無理やり己を犯した者を庇うとは、殊勝だな、勇者」
勇者「いや、庇ってないし…もう言わないでくれ…」しくしく…
盾「女々しいな。男ならば女を抱けば喜ぶのではないのか」
勇者「俺もそうだと思ってたけど、抵抗もできないまま、無理やりやられるのは、普通に怖かった…」
盾「でも、致したのだろう? つまり望んでたということだろう?」
勇者「…俺、男なのに…お尻は…指を入れるところじゃないのに…」しくしく…
盾「……う、うむ」
盾「しかし、お主、意外と女に好かれとるのだな。曲がりなりにも勇者ということか」
勇者「…あー」
盾「しかし、我との契約を忘れてはおるまいな」
勇者「…分かってるよ。魔王を倒したら…だろ」
盾「これは呪いでもある。必ずや執行される」
勇者「…今は魔王を倒すことだけを考えさせてくれ。魔王だけは必ず倒す」
盾「魔王は強かったな」
勇者「ああ…。姉ちゃんの時でさえ、一撃も与えられなかった。赤騎士が、先代勇者が助けてくれなければ止めを打たれていた」
盾「突然出てきた人の形をした光か」
勇者「もし魔王が完全な体を手に入れたらもっと強い。きっと手に負えなくなる」
盾「…お主が死んだ時は魂を貰うぞ」
勇者「勝つ。先代勇者、姉ちゃん、みんなのために。…世界のため、人類のため、は俺には向いてないみたいだ」
盾「くっくっ、目的は何であれ、お主に出来ることは、その身体で出来ることだ」
勇者「ああ、その通りだ。俺は今度こそ魔王を倒す」
盾「だが、勇者としての力を失ってるんだろう?」
勇者「…そうなんだよなあ」
盾「力が戻らぬうちは魔王を倒すなぞ夢のまた夢だぞ」
勇者「…分かってるさ。明日の朝起きたら、戻ってればいいのにな」
勇者「……言っても仕方ない。寝るか」
――――うしゃ…。勇者よ…。私の声が聞こえますか。
女神「私です…創造の女神です…」
女神「勇者よ。魔王はかつてないほど強大な力を手に入れてしまいました」
女神「しかし、あなたの肉体は今、魔王を倒すための力を出し切れません…」
女神「…かつて私は7日間で世界を創りました」
女神「そして私があなたに授けた力はおよそ私が持つ全ての7分の1」
女神「数字には大いなる力があり、その力は重なるほど力を補強します」
女神「私の力は創造の力。創造とは即ち今を経て未来への繋がること…」
女神「…つまりあなたたち人にとっては子孫を残すということ」
女神「勇者よ…7人の女性と性交するのです。さすればあなたは力を再び行使できるようになり、また更なる力をも使えるでしょう」
女神「ただし、誰にもこの託宣を告げてはなりません。その場合、私の力は戻らず、この世界は破滅へと向かうでしょう」
女神「勇者よ……破滅の神は必ず倒さねばなりません…そう…必ず……」
・
・
・
勇者「……酷い夢を見た」
盾「ずいぶんうなされていたぞ」
勇者「……ふざけんなあぁ! マジでふざけんなああああぁぁぁぁぁ!!!!」
勇者「なんなの!? ねえ、なんなの!? 久しぶりに夢に登場したと思ったらバカにしてんの!? おい!?」
盾「……何の話だ?」
勇者「がああああぁぁぁぁぁ!!」
盾「…付き合ってられん」
血塗られた盾は窓から部屋の外へと出て行った!
勇者「はあ…くそっ!」
勇者「何を真面目な顔でとんでもないこと言ってんだあの女神は!」
勇者「うがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
勇者(世界を救う――それはつまり彼女たちを救うことでもあるから、最悪を逃れるためには必要だ)
勇者(そのためには女神の力を取り戻すことが必要不可欠だ)
勇者(…そのためには、7人の女性と交わる必要がある。ほんと酷い話だな)
勇者(もしも、俺が7人としなければ、世界は崩壊。みんな死んでしまうのは間違いない)
勇者(しかし、力を取り戻すためには、不誠実にならざるを得ない。彼女たち以外の女性と行為に及ぶにせよ)
勇者(…それも今の状況じゃ難しいかもしれない)
勇者(かりに彼女たちと事に及び、その後はどうする? 俺は盾に残りの生命を明け渡す契約を交わしている)
勇者(俺は責任を取れない。彼女たちにどこまでも不誠実にならざるを得ない)
勇者(想いを寄せてもらっているが、どうしようもないんだ)
勇者(…いっそ嫌われてしまうようにするか?)
勇者(その場合、女神の力はどうやって取り戻す?)
勇者(俺は海竜王の助け無くしてここから出られない。そして海竜王に事情を話すこともできない)
勇者(それじゃあ、この海の国の中で相手を探すか? そこまで性行為を重要視していない種族がいる可能性もある)
勇者(しかし、下手をすると、もし成功したとして、その相手が先輩の手で殺されてもおかしくない)
勇者(とことん嫌われてから、他の女性に頼む)
勇者(…時間がかかり過ぎる可能性が大きいな。魔王が強くなるのをうかうか待つわけにもいかない。こんなことで無駄な被害を生み出すのはダメだ)
勇者(最善の道は何だ?)
勇者「……ああぁぁ! 分かんねえぇ!」ぐしゃぐしゃっ
少女「やれやれ、騒がしいね」ガチャッ
勇者「!」
少女「どうかしたのかい?」
勇者「い、いや。ちょっと悪い夢を見て…」
少女「そういうことか。…調子はどうだい?」
勇者「…能力はまだ戻ってない」
少女「いや、君の体調だよ」
勇者「…体調自体はすこぶる快調だ。このままここにいるのが申し訳ないくらい」
少女「やれやれ、勇者だからってそう無茶しなくてもいいんだよ。悪夢も見ているみたいだし」
勇者「だが、じっとしてるわけにもいかないだろ。こうしている間も魔王はもっと強くなるかもしれない」
少女「…君は呆れるくらい真面目だね」
勇者「…ほっとけ」
少女「ダメだね。そんなに真面目だと潰れてしまう。危なっかしくて目が離せない」なでなで
勇者「…あまり子ども扱いするなよ」
少女「気に入らないかい?」
勇者「あんまり…。子どもだからな」
少女「ふふ、可愛いいやつだよ、君は」
勇者「ほっとけ」
少女「真面目な話、あまり思い詰めても仕方ないよ」ぽふっ
勇者「…ああ」すっ…
少女「もちろん、君の気持ちは分かるけどさ」すすっ
勇者「…なんで距離を詰めるんだ?」
少女「君が距離を空けるからさ」
勇者「…近い」
少女「いいじゃないか」
勇者「……」
少女「それとも君は僕が嫌いなのかい?」
勇者「そ、そんなことはないけど」
少女「ふふ、だよね。無理やり襲ってきたくらいだもんね」
勇者「うぅっ…」
少女「僕の体を無理やり触って…擦り付けて…」くすっ
勇者「それは…本当に悪かった。償いきれないくらい悪いことをした」
少女「…きもちよかった?」ぴとっ
勇者「へっ?」
少女「僕の手で包まれて、しこしこされるのはきもちよかったかい?」ぼそぼそっ
勇者「あ、うっ…」カアッ
少女「無理やり唇をむさぼって…舌を絡めて…ねえ、どうなの?」ぼそぼそっ
勇者「……き、きもちよかった」
少女「……ふふ」
勇者(…や、やば。心臓の鼓動が速すぎて苦しい。頭に血が回らない…)
勇者(ダメだ、落ち着け、彼女を傷付けるようなことをするな…師範の裸を想像しろ…)フゥ…
少女「……ねえ…またしたい?」
勇者「……っ」ゴクッ
少女「あれ以上のことをさ…」
勇者「お、おれ…は…」フゥ…フゥ…
少女「…僕はちょっと興味あるかな」ぼそっ
勇者「……」プチッ
ぐいっ
少女「わっ…」どさっ
勇者「ふぅ…ふぅ…」がばっ
少女「んっ、ちゅ…んっ…んっ…」
少女「ぷはっ…ふふ、キスって気持ちいいね」
勇者「お、俺…」
少女「シよっか?」
勇者「……!」コクコク
少女「ふふ、必死になって…可愛いね」
少女「…いいよ。ただし…」
勇者「な、なんだ?」ハァハァ
少女「…僕のことをずっと愛してくれる? 他の女の子に言い寄られても」
勇者「あ、えと……」
少女「……」
勇者「…………」
少女「……そう」
勇者「あ、違くて! その…ここで簡単に誓っても嘘だと思われるだろ」
少女「…それもそうだね」
勇者「俺…お前の底知れない雰囲気とか、落ち着いた素振りとか凄く素敵だと思う。それに、とても女の子っぽいところもあって…魅力的だよ」
少女「…っ。恥ずかしからやめてよ…」
勇者「まだ短い付き合いだけどさ…お前のことどこまでも好きになれる気がする…」
少女「…それはありがとう。…それなら、こういうことは本当はもっと後にするべきなんだろうけど…」
勇者「…そうだよな。ご、ごめんな」すっ…
ぎゅっ
少女「…いいよ。君は責任感の強い男だと思うし……僕も君と同じだよ」
勇者「……ありがとう」ギュッ
勇者「……こ、ここだよな?」ニュルッ
少女「っ…んっ、そう…っ。いっきに、たのむよ…」
勇者「あ、ああ…」
ニュルルルッ
少女「……っぅぅ!」
勇者「うぁっ…き、きつ…!」
少女「っうぅ、ふぅ…ふー…」
勇者「だ、大丈夫か?」
少女「ん、うん……いや、ちょ、ちょっとまって…」
勇者「あ、ああ。で、でも…やば……っ!」ドクッ
少女「えっ?」
勇者「ご、ごめん…俺…」
少女「……ふふ、いいよ。気持ちよかった?」なでなで
勇者「き、きもちよすぎて…」
少女「よかった。……ねえ、ちょっとこのままでいよう?」
少女「…また大きくなってきたね?」
勇者「あ、あの今度こそ…」
少女「うん…僕もだいぶ痛みが薄らいできたから」
勇者「う、動くぞ」
ぐっ
少女「んっ…」
ぎしっ…ぎしっ…
勇者「あ、あんまり保たないかも」
少女「んっ、あせらずにゆっくりしようよ」
勇者「あ、ああ。痛みは?」
少女「大丈夫そう。心配しなくていいよ」
勇者「よかった…」ぎゅっ
少女「……」ちゅっ
勇者「むっ…」
少女「ん…ちゅ…」
ずちゅ…ぬちゅ……
少女「んんっ…ちゅ…れろっ…」
勇者(…密着して繋がるの、気持ちいいな。もっと…)グイッグイッ
少女「んあっ……んっ…」
ぎし…ぎし……っ
勇者「…また、でそっ…!」
少女「ん、いいよ。イッて、ねっ、いっぱい出して」ぼそっ
勇者「うあっ……!」どくどく…
少女「んっ、すご…これも気持ちいい…」
少女「さてと、これでも後片付けは完璧かな」
勇者(やってしまった。無責任なことをしてしまった)
勇者(俺は、魔王を倒したら、彼女とは一緒にいられないのに…)
勇者「なあ…」
少女「こういうのは、バレると面倒だし、内緒にしようか。まあ、青魔導師には無理だとしてもね」
勇者「あ、ああ…」
少女「……僕はとても寛容だからね」
勇者「え?」
少女「君が他の女の子と情事に及んでもある程度は知らん振りするよ」
勇者「……」
少女「ふふ、勇者くん」ぎゅっ
勇者「おっ…」
少女「好きだよ」ぼそっ
勇者「あ…お、俺も…」
少女「君の一番になってみせるからね」ちゅっ
勇者「っ!」
少女「ふふ、覚悟してなよ」にこっ
がちゃっ
少女「それじゃあ、また後で」クスッ…
ばたんっ
勇者「……やばい、溺れちまいそう」
・
・
・
鬼娘「本当に不思議ッス! さっきはどうしてもご主人の部屋にたどり着かなかったッス!」
剣士「斬っても、すぐに修復が始まってどうしようもなかったわ」
少女「へえ…不思議なこともあるね」しれっ
海竜王「ここの防衛装置だ」
エルフ「前は無かっただろ」
青魔「あら、ありましたわよ」
エルフ「それはお前が同じところをぐるぐる回ってただけだろ」
天使「それは…」
剣士「本当に抜けてるわね」
青魔「うう…」
海竜王「血は見たくないのでな」チラッ
天使「…?」
少女「……やれやれ」ボソッ
勇者(ああ、気を回してくれたみたいだな……ということは見られてたのか……)
青魔「…勇者さま?」
勇者「な、なんだ?」
青魔「…………いえ、何でもありませんわ」
エルフ「……? 何かあったか?」
青魔「相変わらず勇者さまは素敵で格好いいと思いまして」
勇者「お、おう…ありがとう…」
エルフ「何言ってるんだ、お前。目が腐ってるんじゃないか?」
天使「それは聞き捨てなりませんね!」ばんっ
剣士「アタシの勇者に色目を使い、侮辱するなんて許さないわよ!」チャキッ
鬼娘「天使さん…最近おかしいッス! 剣士さんもいつも通りおかしいッス!」
少女「無闇に干渉すると巻き添えを食らうよ」
海竜王「愉快な輩だの」
勇者「はは…勘弁してくれ…」キリキリ
・
・
・
勇者「…モテるのは、嬉しいけど、申し訳ない気持ちになってくるな…」
勇者「…あー、海の青が綺麗だな」
青魔「勇者さま」
勇者「…うおっ、青魔導師」
青魔「…何がありましたの?」
勇者「えっ?」
青魔「貴方さまの心がまったく見えなくなってしまいましたわ」
勇者「えっ」
勇者(…女神によるものか?)
勇者「そ、それは…」
青魔「……」
勇者「…ごめん。今は言えない」
青魔「そう、ですの」
勇者「ごめんな…」
青魔「いいえ。貴方さま勇者ですもの。私に言えないこともありますでしょう」じっ…
勇者(…相変わらず、すべてを見透かしそうな青い瞳だよな)
青魔「…愛しい人の心が見えないとこんなにも不安になりますのね」
勇者「……」
青魔「他の人々はこのような不安を感じながら人を愛するのですね。なんて怖くて…なんて素敵なんでしょう」にこっ
勇者「そう思えるのは、きっと君が素敵だからだよ」
青魔「……うふふ、恥ずかしい台詞ですわね」
勇者「…そうだな」
ぎゅっ
青魔「嬉しいですわ」
勇者「…それはよかった」ぎゅっ
青魔「ん……うふふ、本当の勇者さまにしてもらったのは初めてですわね」
勇者「…ごめんな。俺は君にひどいことばかりしてる」
青魔「そんなことありませんわ」
勇者「……」
青魔「……もしも、そう思うのならば、貴方さま自身のご意志で、私を抱いてくださいませ」
勇者「……俺は」
青魔「……」ブルブル…
勇者(…震えてる。返事を聞くのが怖いのか)
勇者(…変な同情心や、女神の力のためだとか、そういうことで彼女の気持ちには応えたくない)
勇者(俺は…)
勇者「青魔導師。俺は君が欲しい」
青魔「……」
勇者「君が求めたからじゃない。俺が君を欲しがってるんだ」
勇者「…ただ、俺は不誠実だ。本当に不誠実だ。俺は、自分の意思で生命の審判を抱いた。そして彼女のことも愛している。そして、きっと責任を取れない」
青魔「……」
勇者「…俺はこんな最低な告白しかできない最低の男なんだ。殺されても文句は…」
ぴとっ
勇者「……」
青魔「私は、貴方さまを愛しておりますわ。貴方さまがどれだけ不誠実にならざるを得ないとしても、私は誠心誠意を以って貴方さまを愛しますわ」
勇者「っ…ありがとう」ぼろっ…
青魔「お泣きにならないで、私の愛しい勇者さま」
勇者(本当に君は、どこまでも優しい…)
この後めちゃくちゃセッ○スした。
勇者(…青魔導師、ほんとに優しいよな。甘えてしまった)
勇者(本当に最低だよな。都合のいいように彼女のことを扱って)
勇者(俺は出来る限りの範囲で彼女も精一杯幸せにしてあげたいが…)
勇者(…そういえば、血塗られた盾はどこに行ったんだ? 探してもどこにもいなかったが)
勇者(海竜王なら知ってるかな)
勇者(行ってみるか)
青魔『んむ…いかがかしら…?」チュプッ
勇者『き、きもちいい』
青魔『うふふ…もっと強くしますわね…んっ、んっ…んっ」!グッポグッポ…!
勇者『うぅ…それやば…!』
海竜王「いい映りだの」もぐもぐ
勇者「おい」
海竜王「おお、勇者か。妾を孕ませに来たか?」もぐもぐ
勇者「んなわけあるか! 何してんだお前は!」
海竜王「お主らがまぐわってる映像を見ながら飯を食っとる」もぐもぐ
勇者「はあっ!? …というか、食うのをやめろ!」
海竜王「女子が飯を食べるところをまじまじと見るものでないぞ。スケベな奴め」
勇者「どの口が言うんだゴラァァァァ!」
勇者『うぁ…でる…っ』
青魔『んんっ!? …ん…ぅ…」ずるる…ずっ…
勇者『ふぅ…』
青魔『んくっ…。ふふ…3回目なのにたくさんでましたわね。中々飲み込み辛かったですわ』にこっ
海竜王「妾が空腹で尺八をしたら主の一物を噛みちぎるかもしれんぞ」
勇者「頼まねえよ! 取り敢えずこれを消せ! 今すぐ消せ!」
海竜王「ふう、仕方ないの」
海竜王はエッチな映像を消した!
海竜王「しかし、急にガッつきはじめたの。今までは誠実ぶっておったのに」
勇者「そ、それは…」
海竜王「ふぅむ…何かあったようだの」
勇者「…悪いが今は何も言えない」
海竜王「言えぬのならよい。して何用だ」
勇者「あ、血塗られた盾が見当たらないから、どこにいるか聞こうと思ってな」
海竜王「ああ。アレならば、妾が預かっとる。しばらくは任せておけい」
勇者「そういうことなら頼んだ」
海竜王「しかしあの盾と難儀な契約を交わしたようだの」
勇者「…ああ。力が欲しくて形振り構ってられなかったからな」
海竜王「無茶をしおって」
勇者「うん…」
海竜王「…お主が交わした契約は妾にも解けぬ。すまぬの」
勇者「…いや、俺の責任だから。それに、契約してなかったら魔王と闘った時にもう死んでたろうしな」
海竜王「…まあ、幾分か契約を和らげることも可能だろう」
勇者「そんなことができるのか?」
海竜王「妾を誰だと思うとる。それくらい造作もない」
勇者「…ありがとう」
海竜王「なに、その分、お主らの痴態映像を流して余興とするから気にするでない」
勇者「張っ倒すぞ」
海竜王「逆に張っ倒して犯してくれるわ」
勇者「ぐ…青魔導師のためにもやめてくれ」
海竜王「…ふむ。お主だけならば良いかの?」
勇者「はっ?」
海竜王「あへ顔だぶるぴーすで、国一番の人気者になるぞ」
勇者「はっ? ……はっ?」
海竜王「さて、今日はどこまで広がるか限界に挑戦しようぞ」ワキワキ
勇者「い、いや…」
信じて送り出した勇者が(以下略)
・
・
・
勇者(…なんか嫌な夢を見た気がするけど気のせいだよな。うん、気のせいだ。気のせいであってください)
勇者(…夜も遅いし、寝よ)
「……おい」
勇者「…………」
「起きてるか?」
勇者「…………」
「……おーい」
勇者「…………」
「……寝てる、よな」
ギシッ…
勇者(……?)パチッ
モゾモゾ…
勇者「…んー、だれだ?」グシグシッ
びくっ
エルフ「……」
勇者「…お前か。なんか用か? どうして俺のベッドに?」
エルフ「たあっ!」ぐっ
勇者「うお!?」どさっ
エルフは勇者を組み伏せて馬乗りになった!
勇者「な、なんだよ?」
エルフ「な、なんでもない!」
勇者「なんでもないならなんで…」
エルフ「うるさいっ」
勇者「お、おう…」
エルフ「……」
勇者「なぜそんなに睨むんだよ」
エルフ「……お前、約束を覚えてるか」
勇者「や、約束…?」
エルフ「最後に別れた時に言ったろ。俺は強くなるからお前も強くなれって」
勇者「…あ、ああ。覚えてるよ」
エルフ「…おれは、まだ見せれてないけど、強くなった」
勇者「そっか…流石だな」
エルフ「お前はどうなんだ?」
勇者「俺は…女神の力を失って、弱くなったよ」
エルフ「…女神の力か。お前にはそれしかないのか」
勇者「…ないよ。俺は女神の力がなければどこまでも脆い人間だ。魔法も使えないし、剣の腕だって常人の範囲を超えない」
エルフ「それじゃあ、今のお前は役立たずだな」
勇者「…ああ」
勇者(…その通りだ。俺は少なくとも女神の力を取り返さなきゃ役立たずなんだ)
勇者「……」
エルフ「…お前みたいなのを好きにならなきゃ、良かった」
勇者「っ…すまん…」
エルフ「お前は、足を引っ張ることが多いし、こうやって迷惑ばかりかける…」
勇者「…うん」
エルフ「しかも、変態だし、女たらしの最低野郎だ」
勇者「お前の言う通りだよ」
エルフ「お前は…お前は…」
エルフ「……ああ、もう違う!」ズズ…
ダークエルフ「違うのよ! そういうことが言いたいんじゃないの!」
ダークエルフ「惚れたもん負け! 私の負けなの!」
ダークエルフ「期待を裏切られたって、他の女と寝てたって!」
ダークエルフ「それでもやっぱり好きなんだもん! 好きなの!」
ダークエルフ「あなたのことが大好きなの!」
勇者「……」
ダークエルフ「……っ」
ばっ
ボロンッ
勇者「ちょっ…なにして…!」
ダークエルフ「うるさいっ! いいからおとなしくしてて!」
すりすり…
勇者「お、おい…」
ダークエルフ「……なによぉ…わたしじゃ大きくならないの…」じわっ…
勇者「…そんなわけあるか! ガマンしてるに決まってるだろ!」
ダークエルフ「ガマンなんてしないでよ! わたしのこと、抱いてよ…」ぐすっ…
勇者「落ち着けって」ぎゅっ
ダークエルフ「あぅ…」
勇者「本当にごめんな。俺のせいでお前を焦らせてごめん」なでなで
ダークエルフ「……ぅぅ」ぎゅぅ…
勇者「気持ちを伝えてくれてありがとう。すごく嬉しい」
ダークエルフ「ん……」スゥ…
エルフ「…ふん、随分女慣れしてるな」むすっ
勇者「…そうでもないよ」
エルフ「…はあ、ある程度制御できるようにはなったけど、まだまだ完璧には程遠いな。感情の変化がばればれだ」
勇者「鈍い俺にはその方が助かるかも」
エルフ「……ばか」
勇者「ははは」
エルフ「…股間丸出しで爽やかに笑うな」
勇者「あっ……」あせっ
エルフ「待て!」ガシッ
勇者「えっ?」
エルフ「その、元々そういうつもりできたから…」かあっ…
勇者「…いいのか?」
エルフ「…おれ、でも、わたし、でも勇者のことが好きなのには変わらないから」
勇者「俺も、お前のことは、好きだけど…」
エルフ「青魔導師も好き、か? それとも他の女?」
勇者「……ああ」
エルフ「…いいよ、それでも、好きでいてくれるなら、いくらでも都合のいい女でいてやる」
勇者「……」
勇者「……」
エルフ「でも、ちゃんと愛してくれないと…拗ねるぞ」
勇者「ぷっ…」
エルフ「わ、笑うなよぉ…」
勇者「悪い、いや、お前かわいすぎだろ」
エルフ「エルフ族は強くて可愛い最強の種族だからな」
勇者「初めて聞いた」
エルフ「初めて言ったからな」
勇者「でも、本当だな」がばっ
エルフ「あっ、ちょっと…」
そして伝説(朝チュン)が始まった!
・
・
・
鬼娘「あんっ…あはっ♡…うしろから突かれるの…っ、支配されてるって実感できて好きッス♡」
鬼娘「ご主人…じぶんできもちよくなって…あんっ…はげし…♡」クネクネ…
鬼娘「も、もうイキそうッス♡ ご主人も…一緒に…あんっ」
鬼娘「んん…だ、射精すなら、膣内にくださいッス♡ご主人の子種、びゅーびゅーってしてほしいッス♡」
鬼娘「あんっ、きたっ♪ イク…イクイク…ッ♡」ビクビクッ
鬼娘「アハッ…正真正銘ご主人の雌奴隷にされちゃったッス♡」ドロッ…
鬼娘「も、もう一回ッスね♡ ご主人のための雌穴なんだから好きに使ってくださいっス♡」
・
・
・
天使「はんぅ…好きっ…好きですっ勇者さん…!んんっ」
天使「好き好き好き…っ! ぎゅってしてくださいっ…んんっ」
天使「勇者さん勇者さん…ちゅっ…んんっ…」
天使「い、イク時は一緒が…んっ、いいですっ…ぁんん!お、お願いします…!」
天使「い、イキそうですか…っ? あんんっ…わ、わたしも…勇者さんっ」
天使「こ、このまま! このまま膣内で出してくださいっ…! 勇者さんでわたしを満たしてくださいっ…!」
天使「んんんっ…! 勇者さん! 好き好きぃ…ぃっ」
天使「はぁ…はぁ…。勇者さん、愛してます」ギュッ
天使「…ふふ、わたし、とても幸せです…怖いくらい…」
天使「勇者さん…」チュッ
・
・
・
それからどうなった?
勇者「…………」ゲソッ
鬼娘「ご主人、大丈夫ッスか?」ツヤツヤ
天使「元気がありませんね」ツヤツヤ
青魔「お疲れならわたしがお世話いたしますわ」ツヤツヤ
エルフ「お前は昨日もだろ!」ツヤツヤ
少女「君も今朝から勇者くんのを搾り取ってたじゃないか…」
青魔「勇者さまっ」むぎゅっ
エルフ「勇者!」ぎゅっ
鬼娘「ご主人!」むぎゅう…!
天使「勇者さん…」むにゅむにゅっ
少女「両手どころか前後左右に花とは恐れ入ったよ。男冥利に尽きるね」
勇者「ハハハ…」ゲソッ
勇者(…結局、世界を救うためにみんなに手を出したのは失敗だったかもしれない)ゲッソリ
勇者(こ、このままじゃ女神の力を取り戻す前に死んでしまう…)
勇者(は、はやく女神の力を取り戻さないと…)
勇者「せ、せんぱいは、どこに…?」
天使「そういえばしばらく見ていませんね」
エルフ「確かに。…というか、これだけ女の子に囲まれて、まだ他の女のこと考えてるのか?」ムスッ
勇者「い、いや、そういうんじゃなくて…は、ははは…」
海竜王「昼前からベタベタしおって」
青魔「あら、海竜王さま」
海竜王「お主らの爛れぶり、もう国中で噂になっとる」
天使「えっ…」
海竜王「流言したのは妾だがの」
勇者「おいなにやってんだ」
エルフ「た、ただれてなんか…」
海竜王「食事だけ用意して一日中ヤりまくってたメスの言葉とは思えんの」
エルフ「うっ…で、でもあれはおれだけじゃ…というか、海竜王さまもいただろ!」
海竜王「だからこそ言っとるというに」
勇者(あれは死ぬかと思った…)
少女「勇者くんが力尽きても天使くんが魔法で回復させて、永遠に耽る。ひどいものだったね」
鬼娘「そういいながらノリノリだったじゃないッスか」
少女「はて、そうだったかな?」
海竜王「お主らの情事は映像に残しておるぞ」ピッ
『アン…アッ…イクッ…!』
天使「きゃあっ…!」かぁ…
勇者(結局、残してたのかよ…)
青魔(うっ…動物のように本能のまま求めて…客観的に見ると中々見るに堪えませんわね)かぁ…
少女「…ごほん、それは消してもらうよ」
海竜王「どれを? お主が勇者に甘えながらねだっているものか? それとも少し拗ねて勇者の気をひこうとしているところか?」ピッ、ピッ
『たまには…僕だけを見て欲しいな…』
青魔「きゃー! きゃー!」
天使「ひゃぁぁ…」
少女「……っ」かぁ…
鬼娘「赤くなってるッス!」
エルフ「へえ、お前もそういう反応をするんだな」
勇者「もうやめてやれよ…」
海竜王「反応が面白いからついの」ピッ
プツンッ…
勇者「ところで先輩はどこにいるんだ?」
海竜王「…さあ?」
少女「…千里眼を持っているんじゃないのかい?」
海竜王「うむ。しかし全てを同時に見れるわけじゃないからの。今は魔王の仲間どもを中心に見ておる」
天使「けれど、今彼女がどこにいるかは分かるのでしょう?」
海竜王「…それが、探しておるが見つからんの」
エルフ「…どういうことですか?」
海竜王「今、あの娘子はこの世界のどこにも存在しておらん」
青魔「……っ?」
鬼娘「し、死んじゃったんスか!?」
勇者「…!」
海竜王「…いや、亡骸どころか死の痕跡すら見つからんの。文字通り消えてしまっているの」
勇者「先輩が…消えた…?」
少女「……」
エルフ「…あいつなら何の問題もなさそうだな」
鬼娘「そうッスね。先輩さんは強いッス」
少女「…異常なまでにね」
海竜王「……」
青魔「…海竜王さま?」
海竜王「…ところで、一つ、悪い報せがある。非常に、の」
天使「……もしや」
海竜王「うむ」
海竜王「魔王が復活した」
・
・
・
魔国・魔王城。
側近「ふくく…。ふくくくくく…ふくくははははは!!」
狂爺「ヒッヒッヒ、ヒッヒッヒッヒッヒッヒ…ヒッヒャッヒャッヒャッヒャッ!!」
戦狼「気持ち悪い笑いをさらに気持ち悪くしてどうした?」
地獄闘士「せっかくのティーが台無しですよ」
側近「ふくく…これが笑わずにいられますか。ついに…ついに!」
狂爺「ヒッヒッヒ、仕事を終えてしまった」
戦狼「……!? そ、それはつまり…!」
側近「ええ、ええ! 魔王さまの完全復活です!」
戦狼「……ワオオオォォォォンッ!!」
地獄闘士「歓喜の遠吠えですか」
狂爺「長かったんジャ。この千年の研究にようやく決着がついた」
地獄闘士「あなた方は先代の時分から生きていらっしゃるのでしたね」
側近「ふくく、全てを魔王さまに捧げてきました」
狂爺「ワシらはこのためにずっと活動しておったからのう」
戦狼「して、魔王さまは?」
魔王「ここにいるぜ」
戦狼「!!」
魔王「図が高ェ。跪け♪」
魔物たちは魔王のもとに跪いた!
魔王「ふう…ようやく肉体に魂が定着してきやがった」
狂爺「お、お加減はいかがですジャ」
魔王「…もっと見た目は何とかならなかったのかよォ?」
狂爺「規格上の問題で…」
魔王「ちっ…。あ、側近、こっち来て♪」
側近「は、はい」すたすた
魔王の攻撃!
側近「…!?」ドタッ
地獄闘士「おやおや」
魔王「お前さあ、使えなすぎ。俺様が完全復活するまでに人間を制圧しておけと言っただろ」げしっげしっ
側近「ごふっ…も、申し訳ありません…」
魔王「その上、『破滅の欠片』もほとんど集まってないって、どういうことなんだよ、ああ?」ごっ
側近「げふっ!?」
魔王「使えない部下はいらねーんだよ」
側近「ず…ずびまぜん…」
魔王「…おいジジイ」
狂爺「な、なんでしょう?」
魔王「この役立たずを改造しろ。ぶっ壊れてもいいから使えるくらいには強くしろ」
側近「!?」
狂爺「あ、で、ですが…」
側近「か、かしこまりました…必ず魔王さまのお役に立ちます」
狂爺「しょ、承知ですジャ」
魔王「おい、犬っころ♪」
戦狼「い、いぬ…っ、我輩でしょうか」
魔王「他に誰がいるんだよ。テメェは空の国を陥落してこい。俺様を見下ろすなんざ不届き千万だぜ」
戦狼「か、畏まりました!」
魔王「あまり街は壊すなよ。あそこは俺様の新しい住処にするんだからな」
戦狼「はっ!」
魔王「さてと…」
地獄闘士「お茶をお淹れ致しましょうか?」
魔王「…テメェは何もんだ?」
地獄闘士「…私は魔物、地獄闘士。もちろんあなた様の手駒ですよ」
魔王「テメェ、おかしいぞ。なんだ、なにがおかしい」ギロッ
地獄闘士「私は魔物で、あなた様に服従している。それ以外の答えをお望みでしょうか?」
魔王「…けっ、まあいい。テメェが俺様の指示に従っている間は生かしといてやるよ」
地獄闘士「さすが、覇道をゆくものは違いますね」
魔王「ふん…。筋肉達磨、後で俺様についてこい」
地獄闘士「畏まりました。どちらまで? 地獄までついていきますよ、ふふ」
夜・海の国・勇者の部屋の前。
天使「あっ」
エルフ「うっ」
少女「おや」
青魔「あらまあ」
鬼娘「鉢合わせッスね」
天使「もう皆さん、毎日毎日…! 勇者さんの体のことも考えてください!」
エルフ「そういうお前こそどうしてここに来たんだよ」
天使「そ、それは…お疲れの勇者さんを癒してあげようかと…」ゴニョゴニョ…
鬼娘「ご主人に種付けしてほしかったんスね」
少女「僕は違うよ」
青魔「私も一番の目的は違いますわ。…いえ、一番はそうかもしれませんが、他の用事もありますの」
エルフ「えっ…お、おれもだぞ。ま、魔王のこととか」
天使「何ですか、その急に付け足したような反応は」じとー
エルフ「そ、そんなことないっ」
鬼娘「牽制し合ってる間に自分が一番乗りッス!」
天使は『氷結魔法・極』を放った!
鬼娘の全ての細胞が瞬時に凍り付いた!
鬼娘「」カチンコチン
少女「え、えげつない…」
青魔「それはさすがに可哀想ですわよ」
天使「うぅ…だって…」
エルフは『火炎魔法・大』を放った!
凍り付いた鬼娘の体が解けた!
鬼娘「武神さま! ひたすら石を積む修行を終えたッス! …あれ、武神さま?」
少女「それ、見ちゃダメなものだよ…」
青魔「そんなことよりも一旦中に入りませんか?」
天使「…そうですね」
「「「「「…………」」」」」
天使「…お先にどうぞ」
エルフ「…いや、最初にいいよ」
青魔(一回冷静になると入り辛いアレですわね…)
少女(気まずさが気まずさを呼ぶアレだ…いやでも、いつもみたいなことをする予定ではないし…もちろんなったら嬉しいんだけどさ)
鬼娘「ごしゅじーん!」ガチャッ
天使とエルフは『氷結魔法・極』を放った!
鬼娘「」カチンコチン
青魔「ちょ、ちょっと…!」
「「つ、つい」」
少女「やれやれ……おや?」
エルフ「…勇者がいないぞ。厠か?」
天使「むう…」
鬼娘「」カチンコチン
青魔「取り敢えず、この娘を何とかしてくださいませ…」
地獄闘士「ふふ、麗しき花のようなお嬢さん方の、小鳥のような愛らしいご歓談はよいものですね」
海の国・聖域の手前。
勇者「……」
海竜王「勇者…どこに向かっておる」
勇者「…海竜王」
海竜王「この先は聖域。立ち入れるは妾だけぞ」
勇者「先輩を迎えに行く」
海竜王「……」
勇者「いるんだよな?」
盾「うむ。我はしかと見たぞ。あの理不尽に強い娘がこの奥に立ち入っていくところをな」
勇者(…どうでもいいけど、盾なのに目があるんだよな…どれが目が分からんけど)
海竜王「…血塗られた盾、解呪の陣を抜け出していたか。魔王の動向に気を取られ過ぎたかの」
盾「この女狐は信用に置けんぞ。我を浄化しようとしおった!」
勇者「うーん…それはむしろ信用におけるかも」
盾「な、なんだと!」
海竜王「勇者、そやつは、血を啜り続けて許しがたいまで腐りきった魂の持ち主。使い手を滅ぼすことしか考えていない存在ぞ。あまり信用するな」
勇者「…そうかもな」
盾「生命を救ってやってるのに失礼なヤツめ!」
勇者「…悪いが、どちらもある程度信頼してるし、完全には信頼しきれてない。だからこの目で確認するんだ」
盾「むむ…不本意だが、我こそが真実なのだからな。早く道を空けよ、裏切り者め」
海竜王「この先は、女神の勅命より、勇者といえども通せぬ。そもそも、どうして我を疑う? 我は創造の女神の分身よ。勇者に与するこそすれ、仇なすことなぞ有り得ぬ」
勇者「…別にあなたが、敵だとも思っていない」
盾「む、我の言葉を信じぬのか!」
勇者「そういうわけでもない」
海竜王「……」
勇者「味方だからといって、利害が完全に一致してるとも限らないだろ」
海竜王「…ほう?」
勇者「あなたからして、先輩は都合の悪い存在ではないか、というのが一番の仮説だ」
海竜王「何故だ。たかが人間の娘ではないか」
勇者「たかが人間の娘…それにしては先輩はあまり人間離れしてるからな」
海竜王「……」
勇者「本当に、『たかが人間の娘』、なのか?」
海竜王「……ふっ、お主はどんな答えを望む?」
勇者「……」
海竜王「『実はあの娘こそ本当の勇者』か? 『実はあの娘こそ本当の魔王』か?」
勇者「……」
海竜王「答えはの、『分からぬ』
だ」
勇者「……?」
海竜王「『闇の剣」を守護する一族の末裔であることは確かだ。しかし、その家系にはさして因果が存在しない。お主のように特別な運命も与えられていない」
盾「??」
海竜王「…分からぬのだ。どうしてあの娘はあんなにも強い? どうしてまだあれほどまでに資質を持つ? 答えは、妾にはわからぬ」
勇者「…結局、何がいいたいんだ?」
海竜王「あの強さは謎であり、それ故にあの娘も謎なのだ。つまり危険だ」
勇者「…それは暴論じゃないのか」
海竜王「今回の魔王と勇者の因果はひどくねじ曲がっている。一分の危険も持ち込んではいけない」
勇者「……」
海竜王「それに、妾が娘をこの奥に監禁したと思っとるのかもしれんが、それは違う」
盾「なんだと?」
海竜王「あの娘は本来立ち入れないはずのこの先に、妾の知覚せざる内に入り込み、そして姿を消した」
勇者「……」
海竜王「…この先には、聖域と、もう一つ、妾が番をしているものがある。おそらくあの娘はそれに取り込まれた」
勇者「…なんなんだ、それは?」
海竜王「妾さえも全容が掴めぬ不可解なものだ。正直、この件は、妾でさえも持て余しておる。魔王との決着に当たって、藪蛇になるかもしれん」
勇者「……」
海竜王「妾も調査はするが、本格的に行動するのは、魔王と決着をつけてからがよいだろう」
勇者「……」
海竜王「先ほど、何も言わなかったのはすまぬ。分かってもらえたかの?」
勇者「……」
ズズズ…
盾「な、なんだ?」
ボコココココ…………
勇者「……?」
ズオオッッ
聖域の奥から無数の影が現れた!
海竜王「なっ…無間地獄からか…!」
勇者「うおおおっ!?」グオッ
勇者は謎の影に掴まれた!
盾「勇者!?」
海竜王「おのれ……勇者はやらぬぞ!」
海竜王は『聖霊魔法』を放った!
しかし謎の影には効かなかった!
勇者「――っ」
勇者は影に取り込まれた!
盾「…なっ、勇者!」
海竜王「……千里眼でも勇者の所在が掴めぬ」
盾「なんなのだ、これは!」
海竜王「…あの娘によるものか?」
魔王「面白そうなことになってんな」
「「!?」」
魔王「ハロー♪」
海竜王「…魔王っ! 貴様の仕業か!?」
魔王「ちげーよ。そんなことより、破滅の力、返してもらうぜ」
海竜王「……なぜここまで入れる。聖域は滅びの神さえも拒絶するはずだがの」
魔王「なんだ? まだ気付いてないのかよ?」
海竜王「…なんのことだ」
魔王「…さーてね。簡単に言っちまえば、そういう差別、流行らねェわけ」
魔王「俺様とその他愚民、これからはそれだけだ」
・・・
鬼娘「やい、地獄闘士! この前の借りを返すッス! 」←解凍された
天使「東国で戦った魔物ですね…」
青魔「地獄闘士…手練れとは聞きますが、私たちの相手には力不足でなくて?」
ダークエルフ「手は抜かないわよ」
少女「僕は見てても大丈夫じゃないかな?」
地獄闘士「ふーむ、いささか分が悪いですね」
鬼娘「武神さまにミッチリ修行してもらったッス! 免許皆伝ももらったッスよ!覚悟するッス!」
天使「それは幻じゃ……」
地獄闘士「…ふむ、少し本気を出しますか」
ムキキキキキッッッ
少女「う、さらに筋肉が……」
ダークエルフ「…見苦しいわね、さっさと消し炭になりなさい!」
ダークエルフは『火炎魔法・極』を放った!
しかし地獄闘士は魔法を手でいなした!
ダークエルフ「!?」
少女「…油断しない方がいいみたいだね」
地獄闘士(あまり本気を出して魔王さまに目の敵にされても困りますからね、ほどほどにさせてもらいますよ)
青魔「…あなた、何者なんですの!?」
地獄闘士「はてさて何でしょう? とりあえず非力なお嬢さん方、少し眠っていてください」
天使「……来ますよ!」
地獄闘士「あるいは永遠に」ニタッ
???年後・???。
勇者「……」ザッ…ザッ…
勇者は惚けた顔で荒れ地を歩いている…。
ザアァァァァァァァァ……
勇者「……」ぽけー
「久しぶりね? 引きずりこんだもののずっと会えなくて寂しかったわ」
勇者「うあ?」ぽけー
「もう言葉も忘れてしまったのかしら? もう何千年…いいえ何万年かしら? もしかしたらそれ以上の時間が過ぎたものね」
勇者「あー? しぇんぱ…?」ぽけー
剣士?「ええ、そうよ」
勇者「しぇんぱ! しぇんぱ!」キャッキャッ
剣士?「ふふ、言葉を忘れても、アタシのこと覚えてくれてるのね? すごく嬉しいわ」
勇者「あー、あー」
剣士?「…やっぱり『内部者』に、『境界』は耐え難いものなのね。無間地獄の異名は伊達ではないのね」
勇者「しぇんぱ」ぐすっ…
剣士?「アタシに会えて泣くほど嬉しいの? ありがと」ナデナデ
剣士?「寂しかったわよね? 無限に等しい時間を無限に広がる空間で独り過ごしたんだもの」
剣士?は勇者を抱き締めた!
剣士?「大丈夫よ、アタシがそばにいるからね」
勇者「あー?」
剣士?「これからはアタシがアナタの世話をしてあげる。アナタに美味しいものを食べさせてあげるし、フカフカのベッドで眠らせてあげる。溜まって苦しくなったらコスコスしてあげるし、おしめも変えてあげるからね」
剣士?「アナタはここでアタシと永遠の時間を過ごすの。年を取ることもなく、飢えることもなく、何も喪わない幸せな時間をね」
剣士?「アナタの因果はアタシが断ち切ってあげる。どんな因果もね」
剣士?「アタシはアナタのお姉さんよ。アナタの大好きな大好きなお姉さん」
勇者「あー」キャッキャ
剣士?「ふふ、嬉しいね」ナデナデ
・
・
・
剣士?「ほら、ご飯よ。たくさん食べなさいね。アナタの好きなものばかりでしょう?」
・
・
・
剣士?「おトイレしたの? だいじょうぶ。お姉ちゃんがおしめを変えてあげるからね」
・
・
・
剣士?「少し、言葉も覚えましょう? アタシはおねえちゃん。言ってごらん」
・
・
・
剣士?「苦しいの? 大丈夫、お姉ちゃんに任せて。ほら、力抜いて…ね? 痛くない?」
・
・
・
剣士「フカフカのベッドで寝ましょうね」
・
・
・
剣士?「ほら、ご飯よ。たくさん食べなさいね。アナタの好きなものばかりでしょう?」
・
・
・
剣士?「おトイレしたの? だいじょうぶ。お姉ちゃんがおしめを変えてあげるからね」
・
・
・
剣士?「少し、言葉も覚えましょう? アタシはおねえちゃん。言ってごらん」
・
・
・
剣士?「苦しいの? 大丈夫、お姉ちゃんに任せて。ほら、力抜いて…ね? 痛くない?」
・
・
・
剣士「フカフカのベッドで寝ましょうね」
・
・
・
剣士?「ほら、ご飯よ。たくさん食べなさいね。アナタの好きなものばかりでしょう?」
・
・
・
剣士?「おトイレしたの? だいじょうぶ。お姉ちゃんがおしめを変えてあげるからね」
・
・
・
剣士?「少し、言葉も覚えましょう? アタシはおねえちゃん。言ってごらん」
・
・
・
剣士?「苦しいの? 大丈夫、お姉ちゃんに任せて。ほら、力抜いて…ね? 痛くない?」
・
・
・
剣士「フカフカのベッドで寝ましょうね」
・
・
・
剣士?「ほら、ご飯よ。たくさん食べなさいね。アナタの好きなものばかりでしょう?」
・
・
・
剣士?「おトイレしたの? だいじょうぶ。お姉ちゃんがおしめを変えてあげるからね」
・
・
・
剣士?「少し、言葉も覚えましょう? アタシはおねえちゃん。言ってごらん」
・
・
・
剣士?「苦しいの? 大丈夫、お姉ちゃんに任せて。ほら、力抜いて…ね? 痛くない?」
・
・
・
剣士「フカフカのベッドで寝ましょうね」
・
・
・
剣士?「ほら、ご飯よ。たくさん食べなさいね。アナタの好きなものばかりでしょう?」
・
・
・
剣士?「おトイレしたの? だいじょうぶ。お姉ちゃんがおしめを変えてあげるからね」
・
・
・
剣士?「少し、言葉も覚えましょう? アタシはおねえちゃん。言ってごらん」
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・
・
剣士?「苦しいの? 大丈夫、お姉ちゃんに任せて。ほら、力抜いて…ね? 痛くない?」
・
・
・
剣士「フカフカのベッドで寝ましょうね」
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剣士?「ほら、ご飯よ。たくさん食べなさいね。アナタの好きなものばかりでしょう?」
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剣士?「おトイレしたの? だいじょうぶ。お姉ちゃんがおしめを変えてあげるからね」
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剣士?「少し、言葉も覚えましょう? アタシはおねえちゃん。言ってごらん」
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剣士?「苦しいの? 大丈夫、お姉ちゃんに任せて。ほら、力抜いて…ね? 痛くない?」
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剣士「フカフカのベッドで寝ましょうね」
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剣士?「ほら、ご飯よ。たくさん食べなさいね。アナタの好きなものばかりでしょう?」
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剣士?「おトイレしたの? だいじょうぶ。お姉ちゃんがおしめを変えてあげるからね」
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剣士?「少し、言葉も覚えましょう? アタシはおねえちゃん。言ってごらん」
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・
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剣士?「苦しいの? 大丈夫、お姉ちゃんに任せて。ほら、力抜いて…ね? 痛くない?」
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・
・
剣士「フカフカのベッドで寝ましょうね」
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・
・
剣士?「ほら、ご飯よ。たくさん食べなさいね。アナタの好きなものばかりでしょう?」
・
・
・
剣士?「おトイレしたの? だいじょうぶ。お姉ちゃんがおしめを変えてあげるからね」
・
・
・
剣士?「少し、言葉も覚えましょう? アタシはおねえちゃん。言ってごらん」
・
・
・
剣士?「苦しいの? 大丈夫、お姉ちゃんに任せて。ほら、力抜いて…ね? 痛くない?」
・
・
・
剣士「フカフカのベッドで寝ましょうね」
・
・
・
剣士?「ほら、ご飯よ。たくさん食べなさいね。好きなものばかりでしょう?」
・
・
・
剣士?「おトイレしたの? だいじょうぶ。お姉ちゃんが変えてあげるからね」
・
・
・
剣士?「アタシはおねえちゃん。言ってごらん」
・
・
・
剣士?「苦しいの? 大丈夫、お姉ちゃんに任せて。ほら、力抜いて…ね? お手手かお口じゃないとダメだけどガマンしてね?」
・
・
・
剣士「ほーら、フカフカのベッドで寝ましょうね」
・
・
・
剣士?「ほら、ご飯よ。アナタの好きなものばかりでしょう?」
・
・
・
剣士?「おトイレしたの? お姉ちゃんがおしめを変えてあげるからね」
・
・
・
剣士?「アタシはおねえちゃん」
・
・
・
剣士?「苦しいの? ほら、力抜いて…ね? 」
・
・
・
剣士「ほーら、フカフカのベッドで寝ましょうね。あしたは砂遊びしよっか?」
・
・
・
剣士?「ほら、ご飯よ」
・
・
・
剣士?「おトイレしたの?」
・
・
・
剣士?「おねえちゃん」
・
・
・
剣士?「お姉ちゃんに任せて」
・
・
・
剣士「ベッドで寝ましょうね」
・
・
・
剣士?「ご飯」
・
・
・
剣士?「お姉ちゃん」
・
・
・
剣士?「おねえちゃん」
・
・
・
剣士?「お姉ちゃん」
・
・
・
剣士「寝ましょ」
・
・
・
ごはんごはんごはんねるねるねるねるねるおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんごはんごはんごはんねるおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんおねーちゃんごはん
?????年後。無限地獄。
剣士?「どれだけのじかんがたったのかしらね?」
勇者「あー?」
剣士?「いつからアタシたちはここにいたのかしらね?」
勇者「あー?」
剣士?「アタシたちはどうしてここにいるのかしら?」
勇者「あー?」
剣士?「ううん、どうでもいいのよ。だってこんなにしあわせだもの」
剣士?「えいえんのしあわせをかんじているもの」
勇者「あー」ぐいっぐいっ
剣士?「あはは、くるしくなっちゃったの? いいよ、いつもみたいにおててでしてあげるから。おててかおくちじゃないとダメだからね」
剣士?「…どうして、おててかおくちじゃないとだめなのかしら」
勇者「あー! あー!」ぐいっ
剣士?「こらっ、わるいこにはしてあげないわよ」
勇者「あーうー」
剣士?「ふふ、ウソウソ」
勇者「あーあー」ぐいっぐいっ
剣士?「あはっ、そこキモチイイっ、おまた…」
勇者「あーあー!」
剣士?「…おまたにおまたをくっつけたらどうなるのかしら?」
ゾクッ
剣士?「あっ…やっぱりダメ! なんかダメなの!」
勇者「あー!」グッ
ググッ
剣士?「ダメェェェェッッッ!!」
カッ!!
勇者は女神の力を完全に取り戻した!
勇者「…………」
剣士?「あ…ああ……」
勇者「俺は…………そうだ…帰らないと」
剣士?「ダメェェ! ダメよ!」
勇者「俺がいる場所はここじゃない…俺は…」
剣士?「行かないでよ! アタシはそっちにいてはいけないの! アタシを置いていかないでよ…!」
勇者「…先輩」
剣士?「アタシは外部者! アナタたちの因果に縛られようとしても出来損なってしまう異物よ!」
勇者「…そんなこと」
剣士?「本当は存在しちゃいけないの! 許されない! アナタたちの世界を狂わせたのはアタシたちよ!」
勇者「……どういうこと? 『アタシたち』って?」
剣士?「アタシたちのせいなのよ…。全部…全部…」
勇者「……」
剣士?「でも、アナタといたいのよ。アナタが好きなの。愛しているのよ」
剣士?「アタシを、捨てないで……」
勇者「…………」
グイッ
勇者「先輩、一緒に行こう」
剣士?「…ダメなのよ、行けない」
勇者「ダメなんかじゃない」グイッ
剣士「もう、無理なのよ。アタシはもうダメなの。アナタはもうアタシを愛してくれない」
勇者「うるせえ!! いいからついてこい!!」
剣士?「なっ…い、いつからそんな乱暴な男になったのよ!」
勇者「俺は昔からこうだよ! アンタがちゃんと俺を見てなかっただけだろ! アンタにとって都合のいい俺しか見てなかったからだろ!」
剣士?「…そ、そんなことっ」
勇者「ヤンデレだかメンヘラだか知らないが、グチグチうるさいんだよ! 本気で俺のこと好きなら黙ってついてこいよ!」
剣士?「…っ」
勇者「本当に世界を狂わせたのが自分だっていうのなら、尻拭いをするのも自分だろうが! ただし、俺はお節介を焼くからな! どんだけ嫌がろうが、絶対にな!」
勇者「女神さまや海竜王が文句を言ったって知らねえ! 好きな女のためなら道理を全力で引っ込めてやる!!」
剣士?「……」
勇者「はあ…はあ…」
剣士?「ア、アナタ…」
勇者「な、なんだよ」
剣士?「ア、アタシのこと好きって…!」ぱあっ
勇者「…ああ」
剣士?「本当!? ねえ、本当なの!?」ユサユサ
勇者「も、もちろん」グラグラ
剣士?「嬉しいわ! 本当に嬉しい!」ギュウウゥゥ
勇者「お、おう」
剣士?「アナタが愛してくれるなら、アタシ、邪魔するものは全て叩き斬るからね」
勇者「あ、ああ、うん……。ただ叩き斬るものは相談してから決めてほしいかなー、なんて」
剣士?「帰りましょう! 魔王も魔物も破滅の神と女神も海竜王も、邪魔する者はみんな叩き斬ってやるんだから!」
勇者「お、おう…?」
剣士?「さあ、帰るわよ!」
海の国・聖域
魔王は破滅の欠片を手に入れた!
魔王「これで破滅の欠片が全て揃ったわけか。俺様の勝ちだな」
海竜王「ま、魔王…な、なぜお主が聖域に入れるのだ……」
魔王「そんなもん、決まってるだろ。お前の言う聖域が俺様も破滅の神も拒んでないから。つうか、拒んでたら、破滅の欠片も安置できないだろ、バカ」
海竜王「そ、それならば、なぜ…」
魔王「破滅の神がここを滅ぼして、生物を根絶やしにしないかって? そんなの、破滅の神がここを滅ぼそうとしないからだろ」
海竜王「…なっ」
魔王「簡単なことだけどな。気付かないように制御されてたんだろ」
海竜王「…貴様は何がしたいのだ? 滅びの神は何を考えている?」
魔王「滅びの神なんて知らねェよ。俺様は、世界を滅ぼすんでなく支配したいわけ。そんで、この世界のくだらない系を変えたいわけ。ということで聖域ドーン」
魔王の『暗黒』!
聖域は跡形もなく消し飛んだ!
海竜王「き、貴様! なんてことを!」
魔王「そんなこと言ってる場合かよ。次に消えるのはアンタだぜ。年増サン♪」スゥ…
海竜王「……っ」
魔王の『暗黒』!
海竜王「……ぐうぅっ」シュゥゥ…
魔王「さすがに渋といな。どれ、もう一発♪」
魔王の『暗黒』!
海竜王(威力が上がって…っ!?)
海竜王「……!」シュオォォォォ…
魔王「破滅の力がより馴染んできたな。もう一押し♪」
勇者「はあっ!」ビュッ
魔王「!」サッ
海竜王「ゆ…しゃ…」
魔王「…よォ、勇者! また会ったな!」
勇者「……お前が、魔王?」
魔王「はーい♪ 完全体の魔王でーす♪」ちまっ
勇者「…ふん、随分と可愛らしい姿だな」
剣士「完全に幼女ね」
魔王「えへへー♪ ゆーしゃおにーちゃん♪ 死んで♪」
魔王の『暗黒』!
しかし血塗られた盾が防ぐ!
盾「契約者への攻撃は我が防ぐ」
魔王「…うっざ」
海竜王(妾のことも少しは守れというに……)
剣士「死んでもらうわよ」
剣士の『神風斬り』!
しかし魔王には届かない!
剣士「ちっ、邪魔な障壁ね」
魔王「おー、怖い怖い」
剣士の『亜空切断』!
魔王「おっと、それはヤバいかも」
魔王は瞬間移動する!
剣士「すばしこいわね」
魔王(…このニンゲン、筋肉達磨と似た感じがするな)
地獄闘士「魔王さま、そちらは如何ですか?」バサッバサッ
魔王「噂をすれば。筋肉達磨、一旦帰るぞ」
地獄闘士「もうよろしいのですか?」
魔王「一番の目的は達成したしな。勇者のオンナどもは倒したか?」
地獄闘士「ふふ、まさか。私の手には負えませんよ」
魔王「…ちっ、まあいい。帰るぞ」
勇者「待て!」
魔王「やーだ♪ じゃーねー♪」
剣士「……」
地獄闘士「ふふ…」
勇者「魔王、絶対にお前を倒す!」
魔王「やってみろよ、ゆーしゃおにーちゃん♪」
翌日・海の国。
天使「海竜王さまは?」
エルフ「傷は魔法で完治したが、まだお目覚めになってはいない」
少女「……」
エルフ「青魔導師は?」
鬼娘「不安になった国の亜人たちに説明をしに行ったッス」
エルフ「…俺も何か他に被害がないか見てくる」
天使「少し休んだ方がいいですよ。あの魔物との戦いでかなり消耗しているでしょう?」
エルフ「いや、大丈夫だ。この国には恩と親しみがある。こういう時に返さないと」
エルフは部屋を出ていった!
剣士「あの二人、いやに焦ってるわね」
少女「そりゃ、焦りもするだろう。魔王どころかその配下にすら手も足も出なかったんだ。悔しいだろう」
鬼娘「うぅ、地獄闘士があんなに強いなんて知らなかったッス…」
剣士「…アイツは他の魔物と同じだと思わない方がいいわ」
少女「…知ってるのかい」
剣士「知ってる、というより思い出したのよ。アイツが同族だってね」
天使「……え、魔物だったんですか!?」
剣士「違うわよ。とにかく、アイツは特別だから戦ってはダメよ」
勇者「……」
少女「…君は何者なんだい?」
剣士「……アタシは」
魔王「異世界から来た、ねェ…」
地獄闘士「ふふ、そういう反応になりますよね」
魔王「異世界ってのは破滅の神が眠る空間とか、女神のいる空間とかってことか?」
地獄闘士「いいえ、そういったこの世界に繋がりを持つものではなく、本当に何の関わりもない、完全な『外部』なのですよ。ただし、『無間地獄』とも呼ばれる場所で接点をもつため、そこから来ました」
魔王「まさに地獄よりの使者ってか。それじゃあ、その姿はなんだ? 少し奇妙な気配を感じるが魔物そのものだ」
地獄闘士「この世界に存続するには因果が必要ですからね。意思に関わらず無理やり因果に組み込まれたのですよ。あなた様のいう奇妙な気配が因果から外れた本来の私でしょうね」
魔王「…あの海の国にいたニンゲンもか」
地獄闘士「ええ。前回会った時はかなり因果が複雑になっていて気付きませんでしたが、あれも同胞です」
魔王「その話が真実として、どうしてこの世界に来た? 目的はなんだ?」
地獄闘士「元の世界が消滅したのですよ。だから、こちらに来たのです。ちょっとばかり壮大な難民だろうと、その目的は安住ですよ、それ以上はありません」
魔王「……」
地獄闘士「魔物になった以上、あなた様が消えれば私も消える運命。あなた様に仕えるのは何も不思議ではないでしょう」
魔王「……ふん、俺の癪に障らないうちは消さないどいてやる」
地獄闘士「ふふ、さすが偉大な王でいらっしゃいますね」
剣士「アタシたちが来たせいで、因果が乱れてしまった。それが今のこのおかしな魔王と勇者の戦いに発展してしまったのよ」
天使「そんな…女神さまはそれを知っているのでしょうか」
少女「知っているだろうさ。だから勇者くんに特別な力をもたせた」
天使「そ、それじゃあ私はなんで下界に…?」
鬼娘「要らない子だったからッスかね?」
天使「一緒にしないでください!」
鬼娘「ヒ、ヒドいっす!? 」←勇者とのアレが雑だった人
天使「あなたよりはマシです」←同じくらい雑だった人
鬼娘「うぅ……」
少女「まあまあ、やめなよ」←そこそこ丁寧だった人
天・鬼「「けっ」」
少女「……えー」
剣士「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…←一番雑だった人
勇者「俺は悪くない…悪くないぞ…」ゴニョゴニョ
人魚(…こんな人たちが世界の希望なのよねー)←ご飯を持ってきた
数日後・魔国・魔王城。
魔王(…『アレ』が起動しねェ。…先代勇者め、封印魔法に妙な細工しやがったな。腐っても勇者ってか)
魔王(…まあ、いい。破滅の力自体は使えるんだ。今のところ問題はねえ)
狂爺「魔王さま」
魔王「なんだ、ジジイ」
狂爺「戦狼から空の国の制圧が完了したとの連絡がありました」
魔王「見積もりより早かったな。なあの犬っころ、中々やるじゃないか」
狂爺「それと、側近の改造ですが、もうしばらくお待ちを」
魔王「さっさとしろよ。手は抜いてないよな」
狂爺「勿論ですジャ。一度始めると、本気になってしまう性分ゆえ」
魔王「くっく、期待してるぜ」
地獄闘士「魔王さま、お茶でございます」
魔王「ん」
地獄闘士「おや、魔法の術式ですか?」
魔王「知りたがりは賢明じゃねェぞ」
地獄闘士「これは失礼しました」
魔王「まあ、これは余興だけどな」
地獄闘士「余興?」
魔王「勇者と魔王の最終決戦。少しくらい遊びがないとつまらんだろ」
地獄闘士「ほう」
魔王「そのための結界魔法だ。ま、完成してからのお楽しみだ」
更に数日後・海の国。
剣士「というか、海竜王が起きるのを待つ必要はないでしょ。女神の力も戻ったんだし」
鬼娘「確かにそうッスね」
青魔(それで勇者さまの心がまた読めるようになりましたのね)
エルフ「…海竜王さまが目を覚まさないのに、海の国を放っておけないだろ」
剣士「こうやって待っている間にも、魔王は他の場所を滅ぼしているかもしれないわよ? 力も取り戻しているかもしれないわ」
青魔「それは、そうですけれど…」
勇者「…いつでも出られるように出発の準備だけはしておこう」
天使「そうですね…」
少女「一旦、全員の持ち物を集めて、再分配しよう」
青魔「それなら私の古代魔法が役に立つと思いますわ」
勇者たちは所持品を並べた!
エルフ「…こうしてみると結構あるな」
天使「この間、海竜王さまにもらった装備もありますよ」
青魔「それでは…」
青魔導師は古代魔法『品物鑑定』を唱えた!
・『生命の樹の種』今は無き生命の樹の種。生命力に溢れている。
・『光の剣』魔を払う聖なる力が宿った剣。即死魔法が効かなくなる。
・『日輪の兜』古代の賢王が身に着けた兜。知略に長けるようになる。
・『勝利の鎧』身に付ける者に勝利をもたらすとされる鎧。頑強性と柔軟性を併せ持つ。
・『武神の籠手』かつて武を極めた者が身に着けた籠手。攻撃力、防御力を増進させる。
・『エルフのマント』エルフのお姫さまが想い人の無事を祈って織ったといわれるマント。あらゆる攻撃が躱しやすくなる。
・『祝福の指輪』敬虔な祈りで浄められた指輪。邪悪な呪いや災厄から持ち主を保護する。
・『閃光のスカーフ』とても軽くて柔らかいスカーフ。閃光のように早く動けるようになる。
・『女神のオーブ』女神の力が宿る桃色の宝玉。魔法の威力を格段に高める。
・『奇跡の腕輪』持ち主に様々な奇跡的な幸運をもたらす腕輪。信じる気持ちが奇跡を起こす。
・『水の羽衣』海の国の名産品。ただし海竜王によって市販品以上の性能になっている。
・『竜のローブ』海竜王の力が宿ったローブ。刃物で斬りつけると逆に刃物がボロボロになる。
・『天使のローブ』仄かな光を放つ薄いローブ。海竜王によって作られた。
・『死神のローブ』返り血が目立たない海竜王お手製の黒いローブ。除菌消臭の効果もあるスグレモノ。
・『武闘着』動きやすさと体のラインの出やすさを重視して作られた装備。
・『血塗られた盾』大きな代償を払うことで、堅固な守りが獲得できる。
・『慈愛のリング』浄化された邪悪なイヤリングの残骸。とても慈悲深くなる。
・『エルフの弓』両親の形見の弓。小ぶりで扱いやすい。
・『盗賊のナイフ』小ぶりなナイフ。鞄を裂いてスリをするのに便利。
・『青魔導師のロッド』疲れたとき寄りかかれて便利ですわ。
・『青いとんがり帽』かぶれば今日からあなたも青魔法使いですわ。
・『鬼娘の手甲』硬いものは歯を食いしばって殴るッス!
・『魔法金属のこん棒』撲殺天使さんの相棒。
7人「…………」
勇者「後半適当じゃね?」
青魔「え、えーと…」
少女「まあまあ。さっそく分配していこう」
剣士「生命の樹の種」
勇者「一応、俺が持つよ。多分、俺の持ち物は少なそうだし」
剣士「光の剣」
少女「それは間違いなく君だね」
天使「完全に認められていますからね…」
剣士「日輪の兜」
鬼娘「被るッス! 天才ちゃんになるッ …あうっ」バチチッ
天使「拒まれてますね…」
青魔「えーと…四苦王さまがよろしいと思いますわ」
少女「自分が守護してきたものを自分で使うとはね…でも認めてくれてるのなら問題ないか」カポッ
鬼娘「うー…」
剣士「勝利の鎧」
少女「それも君だろう」
勇者「俺は装備できないしな」
剣士「武神の籠手」
鬼娘「自分ッス! 武神さまと夢の中で修行してきたッス!」スチャ
エルフ「げ、幻覚…。まあ、それでも良さそうだな」
剣士「エルフのマント」
青魔「ふふ、これはあなたでしょう?」
エルフ「…おれでいいなら、おれに使わせてくれ」
剣士「祝福の指輪」
少女「天使くんがいいね。他が呪われたら天使くんが解呪できるだろうし」
天使「ありがとうございます」
剣士「閃光のスカーフ」
勇者「先輩かエルフかな」
エルフ「おれはマントを譲ってもらったし、それは遠慮するよ」
剣士「女神のオーブ」
勇者「魔法が得意な人…天使さんか生命の審判、青魔導師、エルフ。候補が多いな」
天使「青魔導師さんがよろしいかと。まだ伝説の装備を持っていませんし」
青魔「…分かりましたわ。しかし、できる限り共有いたしましょう。私たちにとってかなり有用ですもの」
剣士「奇跡の腕輪」
少女「勇者くんに装備してほしいところだけどね…」
勇者「できないからな…やっぱりそれを手に入れた先輩がいいと思う」
剣士「水の羽衣」
エルフ「これ絶対に青魔に向けてだと思う」
天使「そうですね。とても似合うと思います」
剣士「竜のローブ」
青魔「これはエルフのでしょう?
勇者「竜に変身できるようになったんだっけか? 俺はまだ見てないけど」
天使「う、嫌な記憶が…」←吐いた
エルフ「それはおれのセリフだ…」←かけられた
剣士「天使のローブ」
鬼娘「直接的ッス」
少女「ひねりも何もないね」
剣士「死神のローブ」
少女「僕、だろうなあ…。死神か…」
少女「死神少女見参☆あなたの生命を刈り取るよ!」キラッ
6人「……」
少女「な、なんてね…あは、あはは……」カァ…
勇者(かわいい)
剣士「武闘着」
鬼娘「これは俺ッス! 武神さまに見せたいッス」
勇者「さっきから出てくる武神さまって誰だ?」
天使「ふ、触れないであげるのが優しさですよ」
エルフ「そ、そうそう」
青魔(氷漬けにしたことを知られたくありませんものね)
剣士「血塗られた盾」
盾「我は装備品扱いか」
勇者「まあ、盾だしな。こいつは俺が持ち主ということになってる」
少女「代償というのは?」
勇者「え、えーと、なんだっけなぁ」
青魔「……」じー
勇者「うっ…」
勇者(……青魔導師は今日もめちゃくちゃ可愛いなー! どうしてあんなに可愛いんだろう! はやく水の羽衣を着た青魔導師が見たいなー! あんな可愛い子に好かれるなんて俺は幸せ者だなあ!)
青魔「……」ぼっ
勇者(青魔導師可愛いめちゃくちゃ可愛い、優しいところも、気が利くところも、たまにドジッちゃうところも全部かわいい。かわいいかわいい)
青魔「あ、も、や……」ぼぼぼっ
青魔導師は読心をやめた!
青魔「あう…」ぷしゅー
エルフ「…どうした?」
勇者「さ、次に行こう! 次!」
剣士「……慈愛のリング」
勇者「これも俺だな。あのお婆さんにもらった呪われた装備の残骸を海竜王に浄化してもらったんだ」
天使「慈悲深くなる…魔王に情けをかけそうですね」
エルフ「スパッと倒してもらいたいけど」
少女「君たちが、持った方がいいんじゃないの?」
剣士「エルフの弓、盗賊のナイフ」
エルフ「なんか出すまでもなかったな、すまん」
勇者「その弓、形見だったんだな」
エルフ「ん、まあな。最近は2つともあまり使ってなかったけど。」
剣士「青魔導師のロッド、青いとんがり帽」
少女「かなり適当な鑑定だったね」
天使「とんがり帽もロッドもとてもお似合いですよね」
剣士「鬼娘の手甲」
鬼娘「武神さまの籠手があるし、これは使わないッスね。でも長年の相棒だし持ってくッス」
剣士「魔法金属のこん棒」
天使「相棒じゃないですよ! ただの拾い物です! だいたい撲殺天使って何ですか!? 失礼ですよ!」
少女「じっさい撲殺天使…いや、なんでもないよ」
勇者「これで全部か。おさらいするか」
勇者:生命の樹の種、血塗られた盾、慈愛のリング
天使:魔法金属のこん棒、祝福の指輪、天使のローブ
エルフ:エルフの弓、盗賊のナイフ、エルフのマント、竜のローブ
青魔:青魔導師のロッド、青いとんがり帽、女神のオーブ、水の羽衣
剣士:光の剣、勝利の鎧、閃光のスカーフ、奇跡の腕輪
少女:日輪の兜、死神のローブ
鬼娘:鬼娘の手甲、武神の籠手、武闘着
勇者「あとは敵の情報もできるだけ共有したい。まず俺が一人で魔国に乗り込んだ時に出会った戦狼という魔物がとても強かった」
鬼娘「戦狼さまは魔王軍の大将ッス」
剣士「赤騎士とはどちらが強いの」
青魔「白兵戦なら同等以上らしいと聞き及んでいますわ」
剣士「…ふうん、結構強いのね」
エルフ「あとは、この前の馬鹿筋肉か…」
剣士「アイツとは戦っちゃダメよ。本気のアレと戦えるのは私くらいね。出会ったら生き延びることを第一に考えなさい」
5人「……」
青魔「魔王の側近もいるはずです。とても性格が悪くて腹黒いですから、お気をつけてくださいませ。魔法が得意なはずですわ」
鬼娘「側近さまはいい噂を一切聞かないッス」
勇者「あとは…魔王か……」
勇者(……魔王の姿が変わったということは、姉さんは、もう…)
天使「魔王はどのような姿を…? やはり凶悪な偉丈夫ですか?」
勇者「いや、見た目は可愛らしい幼女だ」
剣士「かわいい…」ギロッ
勇者「あ…いや…」
盾「見た目は非力そうだが、女狐を一方的に蹂躙するような凶悪なバケモノだ」
勇者「そ、そうそう。だから気をつけてくれ」
コンコン
勇者「はい」
人魚「あ、大丈夫ですか? 最中だったりしません?」
勇者「あー、変な気を遣わせてごめんなさい…」
人魚「あ、いえいえー。それよりも! 海竜王さまが呼んでるのよー! はやくきてきてー!」
全員「!」
海竜王「あー、お主ら、心配かけたの」
エルフ「いえ…ご無事でよかったです」
海竜王「手も足も出んかった。そもそも戦ったのも初めてだしの」
鬼娘「ほへー、そうだったんスね」
海竜王「戦うというのは……怖いの。戦争はもう数えられぬくらい見てきたが、皆あのような気持ちだったのかと、今になって知ったわ」
少女「ふふ、まだまだ学ぶことは多いよね。僕もそうだけどさ」
海竜王「こんなにも恐ろしいことをお主たちに強いていたのだな……すまぬの」
剣士「今更ね。笑わせるわ」
エルフ「おい!」
海竜王「いや、よい。……娘よ、お主が何者かは大体察しがついておる」
剣士「…そう」
海竜王「その上で頼む。どうかこの世界のために戦ってくれ」
剣士「イヤよ」
勇者「先輩!」
剣士「……アタシはね、世界のためなんかじゃなくて、コイツのために戦うのよ。まあ、あとは父さんと……ここにいる私の敵たちのために?」
青魔「…うふふ、ありがとうございます」
剣士「……その見透かした笑いはやめてちょうだい。見透かしてるのだろうけれど」
少女「いや、サトリじゃなくても分かるさ。ありがとう」
鬼娘「先輩さんは天邪鬼ッスね!」
剣士「オロすわよ」
鬼娘「ヒェ…」
海竜王「勇者、女神の力は復活したようだの」
勇者「…ああ、お陰さまで」
海竜王「くっくっ、エロの力、魔王にとくと示してやれ。くそ生意気な幼女を陵辱してしまえ」
勇者「うわぁ…なんでそんな返事し辛いことを言うかな」
海竜王「おっとすまぬ。つい本音が」
天使(わざとですよね)
青魔(わざとですわね…)
海竜王「魔王を倒し、生きて帰ってこい。勇者、そしてお前たちならばできる」
勇者「…ああ!」
・
・
・
勇者「魔王は空の国に根城を移したのか」
エルフ「天使さんの転移魔法と、おれの竜化魔法、どっちでも行けるみたいだ」
少女「転移魔法は、きっと決まった場所に出るよね。そうすると待ち伏せされる可能性が高いわけだ」
剣士「竜になって飛んでいっても認識されれば同じよ」
鬼娘「どうするッス?」
勇者「そうだな…二つに分割するか。最初に転移魔法、それから直接乗り込む」
少女「どっちにしろ対策されてると思うけどね。できれば相手の作戦に乗りたくないな」
剣士「虎穴に入らずんば、よ」
天使「私、竜はちょっと…」
エルフ「おれも天使さんは乗せたくない…」
青魔「やはり分割の方がよろしそうですわね」
少女「それならこれでどうだい?」
転移魔法:天使、少女、鬼娘、剣士
正面突破:エルフ、青魔、勇者
剣士「む、それならアタシは正面突破にするわ」
少女「残念だけど、勇者くんと君は分かれてもらわないと困る。これがいやなら勇者くんと君は交換だ」
剣士「なんでよ!」
少女「防御力の問題だ。女神の力、それから血塗られた盾の防御力は高い。正面突破に耐えるには少ない人数での起動力と高い防御力がいる。もちろん、天使魔法も然り。だから君たちは分ける必要がある。そして、正面突破の人数を減らす必要がある」
エルフ「ま 確かに乗せる人数が多いと大変だな。勇者なら青魔が落ちても、助けられるし」
勇者「自在に紐が出せるからな。なんだかんだ便利だ」
剣士「……分かったわよ。早くこないとアタシが魔王を倒すからね」
天使「本当に倒してしまいそうですね」
鬼娘「そうッスね」
天使「転移魔法の準備ができました」
鬼娘「さあ、行くッスよ!」
青魔「私たちもすぐに追いつきますわ」
天使「行きますよ」
天使は転移魔法を唱えている!
剣士「勇者!」
勇者「……!! は、はじめて勇者って…」
剣士「絶対に、勝つわよ」
勇者「お、おう!」
剣士「子どもは3人は欲しいからね!」
勇者「お、おう!?」
天使は『転移魔法』を放った!
4人は空の国に転移した!
勇者「……」
青魔「私たちも準備をしましょう」
勇者「そ、そうだな」
エルフ「…女1人、男1人」
勇者「お、おう?」
青魔「私は勇者さまとの子どもなら何人でも嬉しいですわ」
勇者「へあっ!?」
エルフは『竜化魔法』を唱えた!
勇者「お、おお! かっこいい!」
勇者は目を輝かせている!
勇者「竜に乗るってやっぱり男の夢だよなー! エルフ、ありがとな!」
竜?「…フン、逆鱗ニハ触レルナヨ」
青魔「あ、逆鱗はコレですわ」ぺたっ
竜?「…ギャアアァァァァァッッッ!!」
青魔「あっ」
勇者「分かってる。悪意はないんだよな」
竜?は天高く飛び上がった!
空の国・新魔王城。
魔王「――来たか。二手に分かれるなど無駄なことを……どうせ分断されるのにな」
魔王「さあ、楽しい時間の始まりだ♪」
――――――――
鬼娘「うえ…なんかいつもと違って変にグニャグニャして気持ち悪くなったッス」
天使「特殊な結界魔法が張られていたようです……剣士さんとは離れてしまいましたね」
少女「即死の魔法でないだけ良かったと考えるべきかな」
鬼娘「…誰か来たッス!」
戦狼「新しい魔王城によくぞ来た。我輩は戦狼。貴様らの相手は我が致す」
鬼娘「う、戦狼さまッスか」
戦狼「…フン、魔物の分際で勇者に与するなぞ恥晒しめ」
鬼娘「うるさいッス!」
戦狼「万が一にも魔王さまが死ねば、魔物は死に絶えるというに愚かな」
天使「!」
鬼娘「……」
戦狼「本当にバカだな」
鬼娘「……バカでもアホでもいいッス」
鬼娘「大好きなご主人のために、死ねるなら、なんの後悔も恐怖もないッス! 鬼を舐めるなッス!」キッ
天使「…鬼娘さん」
戦狼「底抜けのアホクズめ」チャキッ
天使「…! 見てください! あの剣…!」
戦狼「ほう知っているか……魔王さまからいただいた闇の剣の威力、とくと見るがいい!」
少女「いやあ、もう勇者くんが使ってるの見たしね」
天使「そうですね、大体知ってます」
戦狼「……」
鬼娘「うぅ…いぬ…犬なんかに、負けないッスよ…!」
戦狼「……」イラッ
少女「あ、君の手甲借りてもいいかい」
鬼娘「へっ? 四苦王さまも拳でい、犬と戦うんスか?」
少女「そういうわけじゃないけど」
戦狼「…犬、犬、犬犬、うるさいわ! 斬り殺してくれる!」
――――――――
剣士「…久しぶりね。そう、ほんと久しぶり」
地獄闘士「ふふ、そうですね。まさか敵になる日が来るとは」
剣士「…手加減は一切しないわよ」
地獄闘士「…ふふ、どうして唯一の生き残りである私たちが戦わなければいけないと? あなたもこちらの味方に着きなさい」
剣士「…お断りするわ」
地獄闘士「あなたが私に勝てると?」
剣士「あら? アナタがアタシに勝てるのかしら?」
地獄闘士「…やれやれ」
地獄闘士「本当に憎らしい妹ですね」
――――――――
青魔「あいたた…ここはどこですの?」
エルフ「分からん、魔法で飛ばされたらしい。勇者ともはぐれた」
狂爺「おやおや、青魔導師ちゃんジャないか」
青魔「狂爺!? …お久しぶりですわね」
狂爺「ははは、相変わらずめんこいのう。飴ちゃんいるかの?」
青魔「お気持ちだけで結構ですわ」
狂爺「おやぁ、飴ちゃん、好きジャったろ?」
青魔「いつの話ですの? 私はもう立派な淑女ですわよ」
エルフ「よく転ぶ淑女もいたもんだ」
青魔「うるさいですわ!」
狂爺「そうかいのー、この飴ちゃんは特別な新作なんジャが…」
青魔「うっ、狂爺の手作りですの?」
狂爺「うむ。舐めると、ニンゲンが魔物になっちゃう飴ちゃんジャよ」
ダークエルフ「…東国の王といい、人間が魔物化する事件の黒幕はあなたなのね」ズズ…
狂爺「ほう、ダークエルフ! 珍しい材料ジャ」
青魔「狂爺…旧くからの知り合いでも許しませんわ!」
狂爺「ヒッヒッヒ、あのちゃっこかった青魔ちゃんから叱られる日がくるとは……長生きはするもんジャ」
狂爺「のう、側近?」
ズルズル…
側近?「ドウシテ壁防イデ私喜バレルシナインデス?」ギチチ…
ダークエルフ「う…なにあれ」
青魔「そ…側近……“コレ”が……っ!?」
側近?「お肉ノ父母渡スノ心臓アガルンデス」ギィィ…
狂爺「改造した結果、強くはなったが、完全に自我が壊れてしまったんジャ。今じゃ魔法を連発するだけの肉の塊ジャよ」
ダークエルフ「アナタ、絶対に許さないんだから…!」
狂爺「ヒッヒッヒ、怖いのう」メキャメキャ…
狂爺の肉体が変容していく!
青魔「な……」
極キメラ「ヒッヒッヒッ、若いモンには負けんぞ?」
――――――――
魔王「さて、役者は出揃った。最終決戦の始まりだな」
魔王「雌雄を決する戦い、どちらが勝つか楽しみだなあ。もちろん俺様だけど」
魔王「なあ、勇者♪」
勇者「魔王…」
魔王「少しくらいは楽しませろよ?」
勇者「無駄な語りはもう結構だ…いくぞ!」
勇者は女神の力を解放した!
魔王「もう始めんのかよ。早漏め」
複数のピンクローターが魔王へと飛びかかる!
魔王「様子見してんじゃねえよ。そんなんじゃ障壁は貫けねえよ」
ピンクローターは魔王周辺に展開する障壁に阻まれた!
勇者「……」
勇者は右腕を超極太ディルドに変化させた!
ディルド「やあ( `・ω・)」
勇者「撃ち抜くぞ」
ディルド「任せてよ( `・ω・)」
勇者は超威力のスペルマ弾を放った!
しかし魔王は発射直前に勇者の後ろに瞬間移動した!
魔王「威力は認めるけど、隙がでけえよ」
勇者「人のことは言えないな」
勇者は広背筋を触手に変化させて魔王を襲う!
魔王「うぇ!?」
魔王を障壁ごと確保した!
勇者「今度こそ頼むぞ」グルッ
ディルド「撃ち抜いてみせる( `・ω・)」
しかし魔王は再び瞬間移動した!
勇者「ちっ…掴んでもダメか」ズルル…
魔王「はっ、どっちが魔物か分からないな」
勇者「俺が分かればいい」
勇者は見た目を巨大蜘蛛に変化させた!
魔王に高速で迫る!
魔王「子どもだましだな」
魔王の『滅火』!
全方位を焼き尽くす破滅の炎!
勇者「!」ジュウウゥゥ…
魔王「こんなものかよ、勇者?」
勇者「……っ!!」
勇者は大蜘蛛の腕6本を極太ディルドに変化させた!
魔王「っ!」
超威力のスペルマ弾を乱れ撃つ!
魔王「小賢しい!」
魔王の『邪光』!
破滅の光が勇者に降り注ぐ!
しかし血塗られた盾が防いだ!
魔王「っ!」
盾「我がいることを忘れるなよ」
スペルマ弾が魔王の障壁を破った!
魔王「ちぃっ…」
盾「ふん、これで邪魔な壁は消えたな」
魔王「障壁なんざ、すぐに復活す…」
勇者「ガルルルッ」
大型犬に変化した勇者が魔王の首筋に噛み付く!
魔王「がああァっッ…!?」
そのまま下半身を拘束具と縄に変化させて魔王を捕縛した!
魔王「ぎ……ッ」
さらに両腕を拷問具に変化させた!
グチュチュチュ……
ブチブチ……
魔王「ッッッ……!!」
勇者は髪の毛を巨大触手に変化させて魔王を捕食しようとする!
魔王「ふ……ざけんなァァ!」ブワッ…!
魔王は破滅の力を解放した!
――――――――
側近?「私オ高クテ証拠欲シインデス」
青魔「…強いですわね」
青魔(思考が支離滅裂で読むと精神を消耗しますわ。狂爺の心も何かおかしいですし…)
極キメラの間髪入れぬ猛攻!
ダークエルフはなんとか全て躱す!
ダークエルフ(はあ…はあ…エルフのマントがあってよかった)
側近?は『侵蝕魔法』を放った!
青魔「…っ、エルフ!」
青魔は『風魔法・大』を変質させて放った!
ダークエルフ「…おっと…どうも!」
極キメラ「ひらひら躱すのゥ。それならこれはどうジャ」サァァ…
ダークエルフ「…『解毒魔法』!」
ダークエルフは撒かれた毒の粉を無効化した!
極キメラ「さすがはエルフ族、薬草や毒草には精通しとるのゥ……ジャが」ニヤッ
青魔「…エルフ! 毒以外にも何かありますわ!」
ダークエルフ「…っ?…虫! …『電撃ま…っ!」
ダークエルフはその場に倒れ込んだ!
エルフ(か、体の、感覚が…)
極キメラ「神経麻痺させるだけの虫ジャ。充分ジャがの」
側近?はエルフに『猛毒魔法』を放った!
青魔「…させませんわよ!」
青魔導師は『飛沫の吐息』を放った!
『猛毒魔法』はかき消された!
エルフ(……青魔、ごめんね)
青魔「何を弱気になってるんですの! ここは私が切り抜けますわ!」
極キメラ「ヒッヒッヒ、二対一ジャ。勝ち目はないぞ」
青魔「勝ちますわよ!『万能強化』! そして『閃烈光』!」
側近?「暗イヲ囲マレテ石ト足聞コエルンデス」
極キメラ「目くらましとは…古典的ジャ」
青魔(効いてますわね! あとはエルフが回復するまで、予想の裏をかいて逃げますわ!)タッタッ
ガッ!
青魔「きゃっ!?」
青魔導師はエルフを抱えたまま転んだ!
エルフ(…おいっ!)
青魔「うぅ……」
側近?「ナントコノワシが好キト申スカ」
極キメラ「…ヒッヒッヒ、何もないところで転ぶ癖は治っとらんの。まあ、ワシは非常用の目が何十とあるから目くらましは意味ないが」パチパチパチパチッ
(タスケテ…タスケテ…)
(クルシイナァ…)
(ダレカァ、タスケテクレェ…)
青魔「…!?」
極キメラ「この肉体は多くのマモノとニンゲンを混ぜ合わせた混合獣の完成形ジャ。それくらい当然ジャろ」
青魔「…どこまでも生命を侮辱していますわね!」
極キメラ「ヒッヒッヒ、そうせんと得られぬものもあるんジャ。側近、大きいのをかましてやれ」
側近?「滅ビユク者コソ美シイ」
側近?は「『究極破壊魔法』を放った!
青魔「…貴方たちなんかに負けませんわよ! ――『大宇宙幾何』!」
二つの魔法が相殺する!
青魔導師は猛攻を続ける!
青魔「『風魔法・極』! 『針一万本』! 『死神の爪』!」
極キメラ「グウゥ……青魔法如きにやられる肉体ではないんジャ!」
極キメラの『骨弾連射』!
青魔「ぅっ…!」
青魔導師の体を貫いた!
極キメラ「側近、今ジャ!」
側近?「オキノドクデスガ冒険ノ書ハ消エテシマイマシタ」
側近?は『究極破壊魔法』を放った!
青魔「……っ」
――――――――
剣士の『絶影』!
地獄闘士は受け止める!
剣士の『亜空切断』!
地獄闘士は躱す!
剣士の『天地両断』!
地獄闘士は受け流す!
剣士「…ふん、デタラメな強さね」
地獄闘士「どの口がいいますか。まあ、次は私から…」
剣士「させないわ」
剣士の『諸行無常』! 『生者必滅』!
地獄闘士「っ、ハッ!」
地獄闘士は斬撃を殴りとばす!
剣士「ほんと、デタラメ…!」
地獄闘士の『衝天掌』!
剣士は体を捻って躱す!
地獄闘士の『破砕掌』!
剣士は躱しきれない!
剣士「ぐっ…」
地獄闘士の『超・連続打』
剣士はまともに食らってしまった!
剣士「…っ」
地獄闘士「兄にかなう妹がいると思っていたのですか?」
剣士「…勝った気でいるんじゃないわよ」
地獄闘士の『正拳突き』!
剣士の腹部に直撃した!
剣士「うっ…ふ…! ふん、こんなものなの?」
地獄闘士は剣士を掴み上げた!
グシャッ
剣士「……」つぅ…
地獄闘士「…生意気な。少し折檻が必要ですね」ゴッ
剣士「――っ」
ゴッ…ゴッ…ゴッ…ゴッ…
――――――――
戦狼「この程度では話にならんぞ!」
鬼娘「うぅ…うるさいッス!」
戦狼は鬼娘を吹き飛ばした!
鬼娘「はぎゃっ…! うぅ…やっぱり犬は苦手ッス」
少女「やれやれ…。君、彼は犬じゃなくて狼だ。犬じゃないなら何も怖くないだろう?」
鬼娘「犬じゃない…?」
少女「そう。だから君が恐れることなんて何もないのさ」
鬼娘「…そうだったんスね! もう何も怖くないッス!」
戦狼「だからずっと犬じゃないと言ってるだろ! 貴様らァ…!」
少女「それなら犬じゃないって証明してみなよ」ぽいっ
生命の審判は『鬼娘の手甲』を戦狼に投げた!
鬼娘「ああ!? なにするんスか!?」
ぷぅぅーん…
戦狼「うっ…くっさ…ッ!?」
鬼娘「!!」ガンッ
少女「この程度で臭がるということはやっぱり犬かな?」
鬼娘「…犬っころめー!! 許さないッス!! ギタギタにしてやるッス!」むきーっ
少女(僕も結構臭いと感じてしまったけど、黙っておこう。おかげで効果はありそうだし)
天使「…もう! 真面目にやってください!」
天使の『連続魔』!
『電撃魔法・極』!
『電撃魔法・極』!
『雷帝の裁き』となった!
戦狼「魔法は効かぬ!」
戦狼の魔封剣!
天使の魔法を吸収した!
天使「うっ…連続魔でもダメですか…」
少女「肉弾戦が強くて、魔法が効かない。僕たちにとって最悪の相性だね」
鬼娘「それなら自分が頑張るッス! うおー!」ダダッ
戦狼「ふん、無策に突っ込みおって…この臭女!」
鬼娘「にゃっ…ゆ、許さないッスよォ…!」ブンッ
戦狼「食らわん!」ゲシッ!
鬼娘「ぎゃふっ!」
少女「……天使くん、ちょっと耳を貸して」ちょいちょい
天使「はい…?」
鬼娘「うりゃー! 特攻ッス!」ダッ
戦狼「意味が分かってるのか!? ふん、遊びはこれまでだ…!」チャキッ
少女「剣を使ってるならば…」
生命の審判は『拘束魔法』を放った!
戦狼「ぬっ…」ギチ…
天使「魔封剣を使えないんですね!」
天使は『拘束魔法』を放った!
戦狼「ヌゥ…ッ…!」ググ…
鬼娘「隙だらけッス!」
戦狼「…ハァッ!」ブチチッ
戦狼は『捕縛魔法』を打ち破った!
鬼娘「でやッ!」
鬼娘の『痛恨の一撃』!
戦狼「――っ!」
戦狼は大きく仰け反る!
鬼娘「まだまだァ!」
鬼娘の『追い討ち』!
戦狼「……」ギロッ
戦狼の反撃!
鬼娘は袈裟懸けに斬られた!
鬼娘「ぁ…」
戦狼「ふん、先ずはお前からだ、アホクズめ」
鬼娘「……ぅ」
戦狼は鬼娘に止めを刺そうとする!
少女「訂正してもらうよ」
戦狼「……ッ!?」
生命の審判は召喚した大鎌で戦狼の足を切り裂いた!
少女「その娘はアホだけど、クズなんかじゃない」
戦狼「い…つの間に…!」
戦狼(姿が透明になって…いや、それだけならニオイで……っ! あのクサイ手甲のせいで嗅覚がマヒして…!)
少女「やぁっ!」ビュオッ
戦狼「そんなヤワな攻撃が通じんぞ!」
少女「……」にっ
戦狼(…!!)
天使「っ……『連続魔』!」
『聖霊魔法』!
『星霊魔法』!
『夢幻の鎮魂歌』となった!
戦狼「――――っ」
少女「……君の負けだ」にこっ
・・・
シュウウウウウ……
凄まじい砂埃が舞い上がっている!
天使「…………」
シュウウ……
鬼娘「……ぅ」ぐたっ…
天使「……鬼娘さん!」
天使は駆け寄り、彼女に『回復魔法・極』を放った!
鬼娘「……うう、た、助かったッス。…あ、戦狼さまは!」
天使「…この瓦礫の下です」
鬼娘「…すごい瓦礫の山ッスね。…でも、自分は何ともなかったッスよ」
天使「……おそらく彼女の『障壁魔法』によるものでしょう」
鬼娘「四苦王さまッスか? どこッス?」
天使「……」
――少女『長期戦は圧倒的に僕たちが不利だ。素早く決める必要がある』
――少女『僕が攻撃したら、僕ごと渾身の一発を叩き込むんだ。鬼娘くんがいても構わない』
――天使『し、しかし、巻き添えに…』
――少女『大丈夫、僕を信じてくれ』
天使(あの状況で咄嗟に同時に二つの障壁魔法をかけるなんて不可能なはず…いや、でも彼女なら……)
天使「……きっと、きっと、近くにいます」
ガラッ
天使「!」
鬼娘「あっ、四苦王さ…」
戦狼は『道連れ』の呪いを天使にかけた!
戦狼「ふぅ…ふぅ…ふはは、貴様だけでも殺してやる!」
天使「……」ブチッ
戦狼「貴様らは必ず根絶やしに――」
メゴオォッッ――!!
天使の攻撃!
戦狼「きゅぅ…」チ-ン
戦狼を倒した!
呪いは『祝福の指輪』に阻まれて発動しなかった!
天使「ふぅ…ふぅ…!」
鬼娘「ひぃ……」
カラカラッ…
「「!!」」
少女「や、やあ…」
天使「……よかった、無事だったんですね!」ぎゅぅ…
少女「ま、まあね。『日輪の兜』のお陰でね」
少女(……ほんとは、『不可視化魔法』で隠れて、驚かせようと思ってたんだけど…悪ふざけで撲殺されたくないからね)
鬼娘「あ、闇の剣ッス! 師範さんに返すッス!」
鬼娘「……えへへ、おれたちの完全勝利ッスね!」ぶいっ
――――――――
カランッ…
光の剣が剣士の手から落ちた!
地獄闘士「…ふぅ、やり過ぎましたかね」
剣士「……けほっ」
地獄闘士「…もう一度だけ、機会を与えます。私と共に来なさい。断るならば、あなたを因果ごと破壊します」
剣士「…………」
地獄闘士「さあ、どうするのですか?」
剣士「……アナタの目的はなんなの?」
地獄闘士「目的? 住みよい世界に定住する、それだけでしょう? 魔王さまのもとでなら、私たちは最も恵まれた安穏を享受できますよ」
剣士「……アタシにはね」
地獄闘士「はい?」
剣士「…産んでくれた母さんと、優しい父さんと、シスコンで女好きのヘタレな旦那(予定)がいるわ。あとは……まあ、鬱陶しい仲間もできたけどね」
剣士「…みんな、優しくて、素敵で……アタシの大切な家族よ。そんな家族を捨てて、アナタを取ることなんて死んでもあり得ないわ」
地獄闘士「…残念ですが仕方ありませんね。因果ごと消滅してください」スッ
剣士「それもお断りよ…………躰即是剣」
地獄闘士の『一撃必滅』!
しかし剣士には当たらなかった!
ボトッ
地獄闘士「…私の腕が……?」
剣士「……剣即是躰」
剣士は光の剣を握った!
ぶわあっ……!
地獄闘士「……バカな。もう瀕死のはず…どこに、こんな闘気が…!?」
剣士「逆境だからこそ」すうっ
地獄闘士「悪足掻きは…やめなさい…!!」
地獄闘士の『無限掌』!
剣士「奇跡は起こるのよ」ふっ
『会心の一撃』!!
地獄闘士「な、んで…因果ごと…き、消えたく…な……あ、ああぁァァァァァァァァァァァ!!」
地獄闘士を倒した!
剣士「…この世界に連れてきてくれたことだけは感謝してるわ。おかげで大切な人たちに会えたもの」
――――――――
側近?「ヘンジガナイ。タダノシカバネノヨウダ」
青魔「……ぅ」
極キメラ「ヒッヒッヒ、あの魔法を食らってまだ息があるか」
エルフ(……動いて…動いてよ! わたしの体! また、大切な人が死んでいくのを見てるだけなの!?)
ぎゅっ
青魔「…大丈夫ですわ。わたくし…は…あなたを、置いていったりしませんわ」にこっ
エルフ「…っ」
極キメラ「泣かせるのぉ。安心しろ、屍体は並べて研究に使ってやるわい」
側近?「ブキハ装備シナイト意味ガナイゼ」
側近?の『吸命魔法』!
青魔導師の生命力を吸い取る!
青魔「あ、ああ……っ」
エルフ「……っ」
エルフ(もういやだ…見てるだけはいやだ…!)
エルフ(わたしはもう、目の前で大切な人を喪いたくない! 喪いたくなんかない!)
エルフ「――――ァァァアアアッッ!!」
エルフは『竜化魔法』を進化させる!
極キメラ「…なにが起こっとるんジャ?」
側近?「ヒトノモノ取ッタラドロボー」
エルフ?「そうね、わたしの親友から泥棒するのはやめてよ」
エルフ?は『電撃魔法・極』を二発放った!
側近?「ヌワーーーッ」バチチッ
極キメラ「…なぜ動ける? 神経毒の効果はまだ続くはずジャ」
エルフ?「そう、毒が鬱陶しいから体を再構成したの」
エルフ?は『火炎魔法・極』を二発放った!
極キメラ「ぐぅ…!?」
エルフ?「ダークエルフの力と竜の力を兼ね備えた…ハイエルフとでもいえばいいのかな」
青魔「…エルフ」
エルフ「ありがとね…。『回復魔法・極』」
青魔導師の傷が癒えた!
青魔「…まだ感謝を述べるには早いんじゃなくて?」
エルフ「…うん。さあ、あいつらを倒すよ!」
青魔「もちろんですわ!」
側近?「ユウベハオ楽シミデシタネ」
側近?の『連続魔』!
『腐蝕魔法』!
『吸生魔法』!
『災禍の哄笑』となった!
エルフ「…こんなもの!」
青魔「消し飛ばしてみせますわ!」
エルフは『究極破壊魔法』を放った!
青魔導師は『大宇宙幾何』を放った!
女神のオーブが二つの魔法と二つの想いを完全に融合させた!
合体魔法!!
『新星大爆発』!!
側近?「モシワシノ味方ニナレバセカイノ半分…」シュオッ…
側近?を欠片一つ残さずかき消した!
エルフ「わ、我ながら恐ろしい威力…」
青魔「ですわね…」
極キメラ(…こりゃ逃げるが勝ちジャわい)コソコソ…
青魔「あら、どこに行くんですの?」にこっ
極キメラ「ぐぅ…っ! 急用ジャ! また会おう!」
極キメラは逃げ出そうとした!
しかし、体が動かない!
極キメラ「ほっ…!?」
青魔「貴方の体ならば、私が古代魔法で乗っ取りましたわ。準備に心が複数あって手間取りましたが……」
極キメラ「な、なんジャと!?」
青魔「序盤、本当に私がただ傍観していたと思ってた貴方には予想外ですわよね?」
極キメラ「……す、すまぬ! 今後は心を入れ替えるから許してくれ! 本当ジャ! 今までのことも命令されて仕方なくやってたんジャ!」
青魔「……狂爺、貴方、私がサトリであることをお忘れになって? 貴方の変えようのない穢れた心、私には全てお見通しですのよ?」
極キメラ「ぐぅぅ……!」
青魔「……多くの方々の生命、そして心を陵辱した罪、とくと味わいなさい!!」
青魔「古代魔法『心理爆破』!」
狂爺の心が極微小に弾けていく!
青魔「狂爺、一瞬の間に、貴方の心だけが慣れることのない可算無限回の致命的痛みを受けますわ」
青魔「私たちからして一瞬の時間、永遠に死に続ける――それが貴方の受ける罪です」
極キメラ「――――」
極キメラを倒した!
エルフ「…どぎつい技ね」
青魔「ええ…本当に…。こんな無慈悲な魔法、失われて正解ですわ」
エルフ「…でも、その魔法を復活させたことは後悔しないでよ。だから…わたしたちが会えたんだから」
青魔「…うふふ、気遣い感謝しますわ」
エルフ「そういうんじゃないって」
青魔「分かってますわよ。…ありがとう」
――――――――
魔王「勇者ァ、こんなもんかよォ」
勇者「……」
魔王「…いやァ、普通こんなもんか。これくらいだと破滅の神と大差ないもんな。勇者の手に負えないよな」
魔王の『破壊』!
血塗られた盾が庇った!
盾「ぬぅ…!」
血塗られた盾に一筋のヒビが入る!
魔王「立てよォ。俺様は力が有り余ってんだからよォ」
魔王の『邪光』!
勇者「……」びくっ
魔王「暇つぶしに、お前の体を端から削りとってくぞォ。耳、爪、指、手の腹、つま先、手首、踵……」
勇者「まお…!」
勇者は髪の毛を電撃ムチに変化させた!
しかしすぐに消し炭にされた!
魔王「足首、腕、腕、腕…」
勇者「……」ビクビクッ
魔王「…はァ、つまんね」
盾(…これが、魔王の真の力か。勇者では太刀打ちできんぞ)
魔王「……無敵はつまんねェな。勇者、お前ならば少しは楽しませてくれるかと思ったんだがな」
勇者「……」
魔王「もう障壁も張ってないんだぜ? ほら、傷の一つも負わせてみろよ」
勇者「……魔王、その強さで、お前は何をするんだ?」
魔王「…テメェの姉が全ていったと思うがな。俺様の目的はこのチャチなシステムをぶち壊すことだ。勇者だの、魔王だの、創造と破滅だの、くだらねェ」
勇者「…それならば、俺を殺した後は、もう誰も殺す必要なんてないのか…?」
魔王「そりゃそうだ。魔王は本来、破滅の神がこの世に顕現するための器に過ぎない。俺様の一番の目的は、破滅の神の力を俺様のものにすることだ。そして、それはほとんど達成したと言ってもいい」
勇者「そ、それなら、もう人を殺すな! みなのために平和を築け!」
魔王「はあ? なんで、俺様より弱いゴミどもを俺様の好きに扱っちゃいけないんだ?」
勇者「……!」
魔王「弱さは、悪だ。俺様は悪が嫌いだ。だから消す。何もおかしくないだろ」
勇者「……」
魔王「お前らの人道主義や道徳なんて、弱いゴミ同士の馴れ合いだろう。俺様が尊重する理由もない」
勇者「……よく分かったよ。お前が独りよがりの可哀想なヤツだってことは。だから、俺がお前に並んでやる」ぐぐ…
魔王「…かっこいー♪」
魔王は破滅の力を一点に集中させている!
魔王「やってみろよ!」
魔王の『絶無』!
血塗られた盾が防ぐ!
盾「くぅ……!」
血塗られた盾が大きくひび割れる!
勇者は女神の力を剣へと変形させる!
勇者「…っ、喰らえ! 『性義の剣』!」
魔王「……はっ」
魔王は瞬間移動で攻撃を躱した!
魔王「もういいよ、お前。がっかりだわ」
魔王の『破壊』!
しかし発動しなかった!
先代勇者『…魔王、勇者は殺させない』
人形の光が魔王の攻撃を抑えつける!
魔王「…また出てきたか。裏切りに、裏切りを重ねやがって」
先代勇者『…元をたどれば、私の弱さが起こした不始末、私が始末をつける』
魔王「ああ、テメェの協力でうまくここまでうまくいった。ありがとよォ、裏切り者さん」
先代勇者「…勇者、私が抑えつける! 私ごと斬れ!」
勇者「……っ、ああ!」
魔王「…あーあ、夢にも思わなかったぜ」
魔王「こんなに上手くいくなんてな♪」
先代勇者『…がァァァァ!?』
勇者「!?」
魔王は先代勇者の魂を破滅の宝玉から弾き出した!
魔王「ようやくテメェを引きずり出せて、テメェの封印魔法が綻びた。厄介な封印を編み出しやがって…」
先代勇者『な、なにをするつもりだ…』
魔王「こうするんだよ」
魔王は『破滅の宝玉』を再構成する!
魔王「さあ、楽しい楽しい『世界の終わり』の始まりだ。最高の特等席から見届けな」
東の国・勇者の故郷の村。
師範「あの子たちは無事だろうか…」
師範「…? なんだ、やけに空が暗いな…」
北の国・剣の山麓の村。
村人A「…今日も冷えるだ」
村人B「…おがしぐねすか? いくらなんでも寒すぎだべ」
村人C「んだな。なんだがゾワゾワするぞ」
村人D「イヤな気がするぞ…」
西の国・魔法の街。
大魔導士「……」
見習いA「師匠、また寝てる…今は講義の時間なのに…」
大魔導士「……っ」パチッ
見習いB「きゃっ!?」
見習いC「……おや、大魔導士さまが急にお目覚めになるなんて珍しいですね」
大魔導士「…なんということじゃ」
見習いA「どうしました?」
大魔導士「大いなる災厄が訪れる……」
中央国・南の町。
傭兵1「最近は平和だなぁ。仕事がねぇ…」
傭兵2「最近は魔物の軍勢との小競り合いすらなくなったもんな」
傭兵3「傭兵稼業も廃業かな。仕事探さないと」
傭兵4「俺も国に帰るよ。蓄えも少しできたし、国で店でを開くつもりだ」
傭兵1「しっかりしてんなー。ん、なんだあれ?」
傭兵2「なんだぁ? 遠くに豆粒みたいのが見えるぞ。なんか…動いてるような…」
傭兵3「……あの距離だと多分魔国だぞ」
傭兵4「巨大な魔物? はは、まさか。……まさかな?」
海の国。
海竜王「…………」
人魚「どーしたんですかー。生理痛がひどい時みたいな顔してますよー?」
海竜王「……こうなることは、想像していたが、実際に見るとやはり応えるの」
人魚「つ、突っ込んでくださいよー! ……何が見えたんですか?」
海竜王「……混沌の樹だ」
空の国。
盾「混沌の樹が魔物に…」
魔王「破滅の神は、魔王と混沌の樹の融合によって顕現する。つまり、アレは俺様の片割れだ」
魔王「見てろよ、勇者。お前が守ろうとしたものが壊れていくところをな」
先代勇者『……そんなことは、させんぞ!』
魔王「魂だけのお前に何ができる? お前はもうすぐに完全に消滅する。お前の役割は全て終わりだ」
先代勇者『ぐっ、うぅ……』シュゥゥゥ…
勇者「…先代勇者、俺の身体に入れ。同じ勇者なら因果とかいうやつも大丈夫だろ」
先代勇者『!! …だ、だが、お前の魂も変容するぞ…』
勇者「勇者になった時点で今更だよ。それに、恩人を目の前で見棄てられるほど器用な人間じゃない」
先代勇者『……勇者』
魔王「くっくっ、泣かせるねェ」
先代勇者『勇者…お前は、強いな』
先代勇者の魂は、勇者の中に入った!
先代勇者『…お前こそ、真の勇者だ。俺の分も、頼む』
勇者「…!!」
先代勇者の魂は勇者の力となった!
魔王「…くはっ、魂を食らったのかよ。もうニンゲンじゃねェな」
勇者「……バカやろう」
魔王「結局、先代勇者は何一つ勇者らしいことをせずに消滅か。クソまたいな存在に相応しい最期だな」
勇者「……それは違う」
勇者は『聖霊魔法』を放った!
魔王「!」
魔王の『暗黒』!
魔王(そ、相殺だと…っ!?)
勇者「はあっ!」
勇者の攻撃!
魔王「食らわねェ!」
魔王は瞬間移動で躱す!
勇者の『連続魔』!
『聖霊魔法』!
『星霊魔法』!
『結晶魔法』!
『三千世界の黙示』となった!
魔王の「…っ」
魔王の『絶無』!
相殺する!
魔王(…なんだこの強さは…!? 足し合わせたなんてもんじゃねェぞ! どうなってやがる!?)
グオオオオオォォォォ!!
魔王(……っ、『混沌の樹』が攻撃されている!?)
勇者「…みんなが戦っているのか…全員無事だったみたいだな」
魔王「…はっ、こっちに加勢せず、混沌の樹の方に行くとはな…オンナどもに見捨てられたな、勇者」
盾「なにを言っとるんだ、貴様は?」
魔王「あ?」
勇者「俺を信頼してるからあっちに行ったんだろ。俺がお前を倒すと信じてくれてるから」
勇者「だから俺は、みんなのためにもお前を倒す!」
魔王「言ってくれるじゃねェか…!」
グゴオォォォォ…………ッッ!!
魔王(チッ、押されてやがる…! どいつこいつも使えねェ!)
勇者「はあっ!」
勇者の攻撃!
魔王「ぐっ!」
魔王は瞬間移動で躱す!
勇者「そこ!」スパッ
魔王「ぐっ…!?」ポタタ…
勇者「まだまだ…!」
勇者の攻撃!
魔王は障壁で何とか防ぐ!
障壁は勇者の一撃で砕けた!
魔王「な、なんでこんな…!」
勇者「うおォォォ!」
魔王「っ…雑魚が調子に乗るなァァ!!」
カッ!
勇者「ぐぅ…!」
魔王は破滅の力を極限まで集約する!
勇者「……!!」
魔王「……全力で貴様を潰すッ!」
勇者「――負けられないんだ!!」
勇者の『真・連続魔法剣』!
『究極破壊魔法』!
『究極破壊魔法』!
『究極破壊魔法』!
女神の力が臨界点を超える!
『創世の剣』となった!
魔王「……!!」
勇者「……独りよがりの王さま気取り! 一からやり直してこい!」ダッ
魔王「ふん、破滅の力をなめるなよ…ッッッ!!」
魔王は集約した破滅の力を解き放つ!
魔王「……滅びろッッ!!」
魔王の『零』!
勇者「魔王ォォォォォォォォォォッッッ!!」
魔王「勇者ァァァァァァァァァァッッッ!!」
創造と破滅の力がぶつかり合った!
1を0にするか、0を1にするか。
それは結局、意思が決めるものである。
――ただ、そう。
始めから信じていた者と、最後に信じた者。
一方にのみ女神が微笑むのならば。
いったい、どちらに微笑むのだろうか。
ドサッ
魔王「……こ、この俺様が……っ」
盾「我がいることを忘れるな、と言ったろう」
勇者「はぁ…はぁ……お前、その姿は…」
盾「――我こそは『英雄の盾』。お前の、その誇り高き勇敢なこころが、我の呪いを解いたのだ」
魔王「ふ、ふざけるな……まだ…まだだ……」
盾「貴様の負けだ、魔王。潔く認めよ」
魔王「俺様は…おれさまはァァァァァッッ! 負けねェェェェッッ!」
ズズズズズズ……
魔王の体に混沌の樹の魔力が流れ込む!
勇者「……!!」
ズズズズズズ……
盾「な、なにをしている!」
魔王「…ふははは! ユウシャ、テメェには勝たせねェ!」ボココ…
勇者「っ!」
魔王「……全部、全部ぶっ壊してやる!」ミキミキ…
カッッッッ!!
『滅びの神」が顕現した!
鬼娘「げっ…混沌の樹が吸い込まれたと思ったら、今度は空の国が降ってくるッス!?」
剣士「あれが落ちたら一たまりもないわ。バラバラに壊すわよ」
天使「し、しかし中には勇者さんが…!」
剣士「アイツならきっと大丈夫よ」
少女「…いや、壊す必要もなさそうだ」
エルフ「…!? 空の国が跡形もなく消えた…!?」
青魔「な、なにが起きてるんですの…? …! あれは、勇者さま…!」
天使「い、いくら勇者さんでもあの高さからの落下は流石にまずいですよ!」
鬼娘「う、受け止めるッス」
剣士「死ぬから止めときなさい」
少女「大丈夫だよ、最適な落下のために落下速度は調整されているようだ」
エルフ「…あの盾ね。なんか見た目が変わってるような…」
少女「『英雄の盾』かな」
青魔「!」
エルフ「…勇者」
どさっ
勇者は魔国の大地に着地した!
剣士「勇者!」
エルフ「ヒドい怪我…『回復魔法・極』」
勇者「……ぐっ、あ、ありがとう。それよりアイツを…!」
「――――」
鬼娘「……まだ敵がいるッスか!」
青魔「魔王……いいえ、もっと強大な……っ」
盾「滅びの神だ」
剣士「…!」
天使「そ、そんな……な、なんで……?」
エルフ「…どうしたの?」
少女「…やはり、そういうことか」
天使「な、何をしているんですか……?」
天使「……女神さま!」
女神「――――」
剣士「女神さまって…創造の女神さまのことよね? 同じ神だから似てるだけじゃないの?」
勇者「…いや、あれは間違いなく、創造の女神さまだ。女神の力がそう語っている」
天使「……っ」
少女「――創造と破滅は表と裏」
鬼娘「ふぇ?」
少女「万物は生まれては消え、消えては生まれる。この流転の中でこそ、調和は保たれる。それならば、創造を司る者がまた破滅を司るのも自然なことだろう」
エルフ「じゃあ、あれが世界を創造した女神…」
剣士「創造の神と滅びの神が同じだったなんて…酷い自作自演ね」
女神「――――」
天使「じょ、冗談ですよね! 」
女神「――――」
天使「た、たしかに、女神さまは、がさつで、ずぼらで、そのくせ見栄っ張りで、性欲の強い干物女です!」
青魔「…貴女、本当に女神さまの使いなんですの?」
天使「で、でも、女神さまは、誰よりも世界を愛し、生命を愛していたじゃないですか! そんな女神さまが自ら世界を滅ぼすなんて嘘です!」
女神「『削除』」
天使「……ぁ」
勇者は『英雄の盾』で天使への一撃を防いだ!
盾「…勇者、さすがの我でも神の一撃はそう何度も防げんぞ」
勇者「……分かってる」
天使「女神…さま…」
勇者「天使さん、あれは君が知ってる女神さまじゃない」
少女「…そうだね、完全に正気じゃないみたいだよ」
女神「『削除』」
エルフ「また来た!」
しかし英雄の盾が防ぐ!
盾「ぬぐぐ…! き、きつい!」
剣士「…戦うしかなさそうね」
女神「――――」グニャァ…
青魔「…な、なんですの? 女神さまの姿が歪んで見えますわ……」
鬼娘「自分もッス!」
勇者「…不完全な復活なんだ。依代だった魔王は瀕死だったから」
少女「僕たちの方も善戦したしね。万全じゃなくてもおかしくない」
盾「だからと言って、勝てるのか…」
剣士「…さあ、それは試してみれ
ば分かるわよ。神さまはどれくらい強いのかしらね!」
剣士の『超次元斬り』!
しかし効果はなかった…
剣士「……やっぱり人知を超えてくるわね」
女神「『削除』」
青魔「っ!」
勇者は英雄の盾で青魔導師への攻撃を防いだ!
盾「グゥゥゥゥ…」
勇者「…大丈夫か?」
盾「当然だッ! 我は英雄の盾だぞ!」
剣士「…もう一度、全力で行くわよ」すうっ
剣士の『会心の一撃』!
しかし効果はなかった…
鬼娘「でやぁっ!」
鬼娘の『痛恨の一撃』!
しかし効果はなかった…
天使「…っ」
天使の『連続魔』!
『究極破壊魔法』!
『究極破壊魔法』!
『天地崩壊』となった!
しかし効果はなかった…
エルフ「『究極破壊魔法』」!
青魔「『大宇宙幾何』!」
合体魔法『新星大爆発』となった!
しかし効果はなかった…
少女「…攻撃は無効か」
エルフ「ど、どうすれば…」
勇者「…有効そうな手はある」
天使「ほ、本当ですか!?」
勇者「…破滅の神は魔王と混沌の樹が融合して顕現する。そこに生命の樹を混入させたらどうだ?」
少女「…なるほど、もしかしたら弱体化できるかもしれない」
剣士「…けれど、生命の樹の種を発芽させるには適切な場所が必要なはずよ」
少女「混沌の樹がなくなった今、おそらく場所は問題ないはず。むしろ栄養剤が必要なんだけど…」
勇者「……ん、大丈夫」
青魔「……勇者、さま」
勇者「多分、大丈夫だって」
女神「――――」
滅びの神は呪文を唱え始めた!
少女「!」
天使「…『滅亡魔法』です! 詠唱終了まで……五分もありませんよ!」
鬼娘「や、やばいッス!」
エルフ「……だけど、今なら攻撃できないはず!」
勇者「これで、最後だ!」
勇者は『生命の樹の種』を抱えて滅びの神へと突進した!
女神「――――」
滅びの神は詠唱を続けている!
女神の『削除』!
勇者「っ!?」
しかし英雄の盾が防いだ!
盾「さ、さすがにもう無理だ…」
勇者「…助かった、ありがとう!」
女神「――――」
勇者「女神さま……さっさと目を覚ませ!」グゥ…
勇者は女神の力を解き放った!
眩い光が世界を包む!
――――み……ま。女神さま。俺の声が聞こえますか。
勇者「なんて、一回やってみたかったんですよ」
女神「……勇者」
女神「私の意識があるということは滅びの神を退けたのですね」
勇者「そうみたい、ですね。よく分からないんですけど」
女神「…ついに魔王、そして滅びの神を倒し、歪んだ運命を正しましたか。空前絶後の偉業です」
勇者「…俺は、みんなの力に助けられただけです。自分で何かをしたわけではありません」
女神「…いいえ、あなたのその心が、大きな運命を作り出したのです」
女神「それは、紛れもなくあなたの力です」
女神「あなたこそ…真の勇者です」
勇者「……ありがとうございます」
女神「……勇者よ、お別れです」
勇者「……俺は、死ぬのですか?」
女神「いいえ。あなたは元の世界に帰り、生を謳歌してください」
勇者「……女神さまはどうするのですか」
女神「私は天界に帰ります。…天使のことよろしくお願いしますね」
勇者「……」
勇者「この世界から消えるつもりですね」
女神「……」
女神「まさか」
勇者「俺は女神の能力をもっているのですよ」
勇者「あなたのしようとしていることは分かります」
女神「あなたたちはもう、与えられた創造と破滅の調和を乗り越えられるだけの強さがあります」
女神「頻繁な初期化を必要とする時代は終わりました。もう滅びの神は必要ないのです」
女神「私は新しい創造と破滅の秩序を作らざるを得ませんが、あなたたちならばそれにも打ち勝てるでしょう」
女神「……だから、この世界に私はもういない方がいいのです」
勇者「女神さま、あなたは誰よりも世界を、そして生命を愛している」
勇者「そんな女神さまが消えるなんて…俺は絶対に嫌です」
女神「…あなたは『慈愛のリング』の影響を受けているのです。一時の優しさで行動してはいけません」
勇者「……そうかもしれません」
女神「……」
勇者「でも、この言葉に嘘はありません。俺は、女神さまと一緒にいきたいです」
女神「…何億年もの間に、充分過ぎるほど、私は多くのものをもらいました」
女神「これ以上は、もう我が儘になってしまいます」
女神「だから、あなたのその優しい言葉だけで私はもう満足なのです」
勇者「……本気で言ってるんですか?」
女神「…もちろんです。心残りは一切ありません」
勇者「…………ふっ」
女神「……何がおかしいのです?」
勇者「オ○ニーしかしたことない億年ド処女が何をのたまってるんですか」
女神「なっ……! しょ、しょ、処女ちゃうわ!」
勇者「処女女神! セッ○スも知らずに消えるな!」
女神「な、なんなんですか!? あなたは!?」
勇者「消えるには早いって言ってるんだ!」
女神「本当に罰当たりな勇者ですね! ……大体わオ○ニーの方がいいに決まってるでしょう!? だいたいセッ○スなんてたいがい期待外れじゃない! そんな気持ちよくないっていうし! その点、オ○ニーは最高! 己を一番よく知るは己! オ○ニーでこそ最高の快感を得られるんだよ!」
女神「あなただってあの娘たちとのセッ○スで死にかけてたじゃない!自分の満足できるところでやめられる! あらゆる趣向が試せる! ドン引きされることもない! 自分の理想を想像できる! オ○ニーには何一つセッ○スに劣ってるところがないわ!!」
女神「オ○ニーの良さを知らないなんて本当に未熟者です!」
勇者「女神さま。あなたの言う通りオ○ニーは素晴らしい」
勇者「……けれど、セッ○スは一人ではできないんですよ」
女神「ッッッ!!」
勇者「そしてセッ○スとオ○ニーは比較するものじゃない! だからあなたは億年ド処女なんだ!」
女神「……っ」ガクッ
勇者「女神さま…」ぽんっ
女神「やめて! 私に乱暴する気でしょう? エロSSみたいに!」
勇者「……処女こじらせすぎ」
女神「…うるせぇ、ヤリチンが! テメェみてえな澄ました顔でヤリまくってる男と女がだいっきらいなんだよ!」
女神「…私だってセッ○スしたいわよ! でも相手もいないんだもの! みんな女神って聞くと恭しくして劣情を抱かないんだもん!」ウワ-ン
勇者「……」
女神「あー、どっかにいないかなぁ! 超イケメンで私のこと大事にしてくれて、ベッドでも甘い言葉を囁いてくれる人いないかなぁ!?」チラ
勇者「…探せばいるんじゃないですか? 一緒にいきましょう」
女神「あ、で、でも、そ、そこまでイケメンでなくても、良い人ならいいかも!」チラチラ
勇者「それならきっとたくさんいますよ。一緒にいきましょう」
女神「……うがぁぁ! 私にはそんなに魅力がないのかぁ!!」
勇者「…………」
女神「だ、ま、る、なぁ!!」
勇者「女神さまは魅力的ですよ」
女神「メンドくさそうな顔で言うなぁぁ!!」
勇者「…どうしろと」
女神「決めました。消える、やっぱり私は消えます」
勇者「はあ…」
女神「で、でも、どうしてもって言うならちょっと考えるかもしれません」チラ
勇者「どうしても」
女神「雑だなぁ! さっきまであんなに引き止めてたのに雑になったなぁ!」
勇者「いや、ちょっとメンドくさくなってきた」
女神「最低のヤリチン野郎ね! 『慈愛のリング』効いてないんじゃないの!?」
勇者「効いてますよ。効いてなかったらとっくに見放してます」
女神「…もう消える。どうせ処女こじらせた腐れ年増は消えたほうがいいのよ」
勇者「……女神さま」
女神「なによ、もうなに言ったって消えるからね。見た目だけ若い更年期性欲の塊ヘンタイババァはさっさとオサラバしますぅ!」
勇者「俺と結婚してくれませんか」
女神「はいはい、そうねー結婚ねー、すごいねー」
女神「……は?」
女神「い、いまなんて…?」
勇者「結婚してください、女神さま」
女神「は…え、なんで……?」
勇者「女神さま、面倒くさいですよね。多分、俺の他に嫁の貰い手がつかないと思います」
女神「やかましいわ!」
勇者「でも、やっぱり見ていてほっとけないです。それに、俺、結構年上好きですし」
女神「…ふは、ふはは、じょ、冗談はやめてよ!」
勇者は女神に口付けした!
勇者「冗談じゃないですよ」
女神「……」ぽかんっ
女神「……ッ!」かぁぁ…
女神は赤面している!
女神「なな、なにしてんの…!? アホか!」
勇者「女神さま」ギュッ
女神「ちょっ…手…」
勇者「ずっと俺のそばにいてください」
女神「えっ? ……あっ、は……はい」
・
・
・
それからどうなった?
勇者「何とかなった」
少女「いやいや……」
勇者「お、調子はどうだ。」
少女「…まだ戸惑ってるよ。魂の管理をしなくなる日がくるなんて思ってもみなかったからね」
勇者「でも、楽になったろ」
少女「そうでもないよ…。天使くんに家事を厳しく教えられてるし」
勇者「そ、そうか」
少女「…ま、君の奥さんとして頑張るよ」
勇者「お、おう」
少女「ふふ、それに、これからはもっと頑張らないといけなそうだしね」
勇者「?」
・・・
褐色娘「む…勇者! 帰ってきたか」
勇者「ああ、『英雄の盾』か。ただいま。いやあ、ちっこいな」ナデナデ
褐色娘「ええい! 頭を撫でるな! ……貴様の生を我に寄越す約束ではなかったか!」
勇者「だから結婚したんだろ。共に同じ人生を歩むということは生を渡したのと同じ…ってことで納得したろ」
褐色娘「それは詭弁だ!」
勇者「いや、でも、そういうことにしなかったら、多分、お前、先輩に斬り捨てられてたぞ…」
褐色娘「ぐ…う…そうだが……だ、だいたいこの体もなんだ! 女神め! 余計なことをしおって!」
勇者「まあまあ。その姿も可愛くて好きだぞ」
褐色娘「あぁっ、うぅ……責任とれよ!」
・・・
鬼娘「あ、ご主人! お帰りなさいッス!」だきっ
勇者「おう」
鬼娘「えへへ」
勇者「どうかした?」
鬼娘「えへへ、ご主人を見ると嬉しくてこうなっちゃうッス」
勇者「お前、ほんと犬みたいだな」
鬼娘「い、犬ッスか? 犬はまだちょっぴり苦手ッス。虫も抵抗あるッス」
勇者「犬は可愛いと思うけどな」
鬼娘「そ、そうッスか?」
勇者「うん。で、お前は犬みたいで可愛い」ナデナデ
鬼娘「えへへ。ご主人にそう言われるなら犬でもいいッス」
勇者「…バカだなぁ」
鬼娘「…バカでいいッス。バカじゃなかったらご主人の味方でいれなかったッスもん」
勇者「うん?」
鬼娘「だって魔王さまを倒したら普通、魔物って消えちゃうんス」
勇者「…まあ、前はそうだったな。今はまた変わったから、俺は未だに勇者なんだけども」
鬼娘「でも、バカだからご主人のために何も考えず戦えたッス! だからバカでいいッス!」
勇者「…お前はいいバカだよ。うん、可愛いバカだ」
鬼娘「えへへ…そういえばッスね!」
勇者「ん?」
鬼娘「えへへ、まだ秘密ッス」
勇者「?」
・・・
青魔「あら、勇者さま。お帰りなさいませ」
エルフ「おかえり、勇者」
勇者「うん、ただいま。青魔導師、弁当ごちそうさま」
青魔「お粗末さまですわ」
勇者「いやいや。…ただ、塩と砂糖、間違えてたぞ」
青魔「……えっ、ご、ごめんなさいませ!」
勇者「まあ、全部食ったけど、次は気をつけてな」
青魔「…! は、はい!」にこにこ
エルフ「勇者、明日はわたしが作るからね。残しちゃダメなんだから」
勇者「ん、全部食うよ、ありがとな、エルフ」
青魔「……」
エルフ「……」
勇者「ん、どうかしたか?」
エルフ「ちょ、ちょっと、今後の魔法指導の方法について考えてただけ」
青魔「そ、そうですわ!」
勇者「おう、二人とも評判いいし、頑張ってくれ」
青魔「……」
エルフ「……」
・・・
天使「いい加減働いてください! 特に今日くらいは働いてもいいじゃないですか!」
女神「やだ! もっとゴロゴロするんだ!」
天使「他の方々はみんな仕事をしているんですよ!
女神「私は特別なんだー!」
海竜王「客が来てるんだから、少しはシャキッとして欲しいの」
女神「しょっちゅう来るやつは客じゃないわ」
天使「客というか家族ですからね。でも女神さま、他の人にもそういう態度じゃないですか。そういうのは失礼ですよ」
勇者「賑やかだな…」
天使「あ、勇者さん、お帰りなさい」にこっ
勇者「ただいま。海竜王も来てたのか。体はもう大丈夫なのか」
海竜王「うむ。お主が、篤く看病してくれたしの」
勇者「看病…? 貪られた気が…」
女神「勇者! きいてきいて! 天使ちゃんがいじめるの!しかも海竜王ちゃんまで!えーん! 」
天使「いじめてません! そもそもなんですか、その口調は! 年を考えて…」
女神「あっ?」ゴゴゴ…
天使「ヒッ……」
女神「勇者は年上が好きだから年上でもいいもんね!」
勇者(実年齢で俺より年下なのって鬼娘だけなんだけどな)
天使「と、とにかく少しは部屋の外に出てください!」
勇者「天使の言う通りだよ」
女神「うぐっ、嫁を働かせるなんて甲斐性なし!」
勇者「い、いや、別に働けと言いたいんじゃなくて…」
天使「勇者さんは甲斐性なしなんかじゃありません! だいたい、あなたはいつも…」くどくど…
女神「あーうー」
勇者「じゃあ、俺はこれで。海竜王、ゆっくりしてってな」
海竜王「うむ。主の家ということは妾の家でもあるしの」
天使「とにかく、今でも一応女神なんですからしっかりしてください! 弛んでます!」
海竜王「心のだらしなさがそのうち体に出そうだの」
女神「ふぎゃっ!?」
海竜王「体までだらしなくなったら勇者でも見向きもせんぞ?」
女神「そ、そんなことないよ。勇者ちゃんはどんな姿でも私のこと好きだもんね」
海竜王「勇者はもう行ったぞ」
女神「そんな、ヒドい…」
天使「はぁ、女神さまはもう…」
海竜王「…しかし、時期が時期だ。女神もあまり天使を怒らせるな。天使もすぐに怒るでない」
女神「うっ…はい」
天使「…そうですね」
・・・
剣士「ただいま」
勇者「お帰り」
剣士「今日は早かったのね」
勇者「まあね」
剣士「……」クンカクンカ
剣士「……浮気はしてないわね」
勇者「しないよ…死にたくない」
剣士「散々言ってるけど、許すのは一桁までだから。二桁いったら……」
勇者「分かってる! 分かってるから! 正直今で精一杯だから」
剣士「ほんと文字通りね」
剣士「数を減らしたいのなら気軽にいってちょうだい。減らしてあげるから」
勇者「…いや、そういうのほんといいから!」
剣士「…冗談よ。……一割は」
勇者「九割本気かよ…絶対にやめてくれよ」
剣士「ま、アンタがアタシを愛してくれるうちはね」
勇者「…愛してるよ」
剣士「そうでないと、困るわ。特にこれからはもっとね」
勇者「……?」
勇者(父さん、母さん、姉ちゃん。今でも俺は勇者として元気にやっています)
勇者(女神の力と先代勇者の力、あと嫁たちの力で、どんどん出てくる魔物を倒したり、人助けをしたりしてます)
勇者(毎日毎日、大変ですが、充実しています)
勇者「お、なんか今日の料理は豪華だな」
剣士「……やっぱり忘れてるのね」
勇者「……え?」
少女「勇者くん、誕生日おめでとう」
勇者「……あ、今日俺の誕生日か!」
鬼娘「おめでとうッス!」
エルフ「おめでと」
天使「今日はいつも以上に頑張りました」
褐色娘「今日は勇者にとって特別な日らしいからな我も手伝ったぞ」
女神「わー、おいしそー!」
青魔「私から勇者さんにプレゼントがありますわ」
エルフ「わたしも…というか全員そうよ」
勇者「ま、まじか」
海竜王「妾の贈り物は凄いぞ」ドンッ
精力剤’s<ヤァ‼
勇者「……」ヒクッ
海竜王「さすがにこれだけでなく、他にもあるぞ」
勇者「…みんな、ありがとうな」
少女「もう一つ勇者くんに重大発表があるよ」
勇者「うん?」
少女「……赤ちゃんできちゃった」
勇者「……え、えっ?」
褐色娘「我もだぞ」
勇者「……えっ?」
鬼娘「自分もッス!」
勇者「……え」
青魔「私たちの愛しい子、名前は何にしましょう」
エルフ「まだ男か女かも分からないでしょ。…わたしたちの子の名前は勇者がつけてよね」
勇者「……」
天使「えへ、勇者さん、喜んでくれます…よね?」ぽっ…
海竜王「妾に子を産ませるなぞ、贅沢なヤツめ」
女神「女神をも孕ませるなんてとんでもない勇者ねー!」
勇者「…」
剣士「ふふ、アタシたちの愛の結晶、大切に育てましょ」さすさす…
勇者「」
問.女神から能力を授かるとどうなる?
答.女神含む嫁がたくさんできる。
勇者(……父さん、母さん、姉ちゃん)
勇者(……俺、一気に九児の父になります)
勇者「女神から能力を授かった」
完。
914 : 以下、名... - 2015/12/20 22:04:07 fKrtVY62 789/789これで終わりです。
長編を完結させたのは3年振りくらいですが、ちっとも上手くなってる気がしない。9ヶ月もかかってぶん投げなかったのが一番の成長な気がします。
最後まで見てくれた方に多謝。最初から付き合ってくれてる人とかいたら泣いて喜んでしまう。
またご縁があったらよろしくお願いします。

