佐天「…(…え、な、何で…?…昨日、私普通に寝たよね…?)」
佐天「…(…これ、夢?でもこんなリアルな夢なんて…)」
初春「あっ、猫だー!可愛いー!」
御坂「っ!?ほ、本当だ…か、可愛いっ!!!」
佐天「…にゃあー(…初春と御坂さんだ……夢じゃない、コレは…現実…?)」
黒子「あら、まぁ、こんなところに猫なんて…りっぱな黒猫ですわね」
初春「あっと、そうだ…早く佐天さんのお見舞いに行かないとっ!」
佐天「にゃー(…わ、私のお見舞い…?…え、ど、どういうこと…?)」
元スレ
佐天「…(…猫になってる…)」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1269344052/
佐天「…(…猫になってる…)」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1285952297/
佐天「にゃー!にゃー!(…私も連れてってっ!)」
御坂「か、可愛いっ!…ね、ねぇ、この子も連れてっちゃ、ダメかな?」
黒子「お姉さま…私達はこれからお見舞いに行くんですのよ?」
御坂「猫くらいいいじゃんっ」
初春「そ、そうですよー!ほら、こんなに可愛いじゃないですかー!」
佐天「(あ、初春のぱんつ見えた)」
黒子「…はぁ…初春、佐天さんに猫アレルギーとかはあるんですの?」
初春「いえ、聞いたことありませんが…」
佐天「(うっはー、いい眺めー。猫も悪くないねー)」
黒子「…まぁ、それならば問題無いでしょう…首輪も無いですし、飼い猫では無さそうですわ」
御坂「やったっ!さぁ、猫ちゃん、いらっしゃいっ!」
佐天「にゃー(あー、初春のぱんつがー…でも猫って普段こんな目線だったのか…お得な奴らめ)」
初春「ああ、御坂さん、ずるいですーっ!」
御坂「もう抱っこしちゃったもんー♪」
佐天「にゃー(…あ、御坂さんの鎖骨が…)」ペロッ
御坂「うっひゃあっ!?」
御坂「やだくすぐったい」
佐天「にゃー(…へー、御坂さん、こんな反応するんだー、新鮮だなー)」
黒子「おおぅ…今のお姉さまのうっひゃあっ!?って声でもう!今晩のオカズには困らないんですのっ!!!」
初春「あ、もうこんな時間…早くお見舞いに行きましょうっ!」
御坂「そ、そうねっ!ほら、黒子!如何わしい妄想してないで急ぐわよっ!」
黒子「…はっ!?つ、つい、猫プレイでお姉さまとゴールインするところまで妄想してしまったんですのっ!!お姉さま!待ってくださいなー!」
御坂「こんにちはー!」
寮監「あら、いらっしゃい」
初春「佐天さんのお見舞いに来たんですけど…医務室ですか?」
寮監「…ええ、結局、朝から眠ったままだったわ…」
初春「…そうですか…」
佐天「にゃー」
寮監「…あら?猫ちゃん?どうしたの?」
御坂「あー、その…可愛くて、つい…あ、野良猫ですよっ!」
寮監「そう、まぁここはペットは不可では無いけれど…気をつけてね?」
初春「はい!じゃあ佐天さんのところに行ってきますねっ!」
佐天「…(…朝から眠ったまま…どういうことだろう…)」ペロペロッ
御坂「や、やだ、この子…指舐めてるっ!可愛いっ!」
15 : 以下、名... - 2010/03/23(火) 21:20:02.31 UbfVr2od0 6/35佐天さんの見舞いで寮監だと・・・?
18 : 以下、名... - 2010/03/23(火) 21:24:28.53 ipEPwHoa0 7/35すいません、見切り発車です
目的地も見つかりそうに無いので途中下車します
>>15
佐天さんって寮じゃなかったっけ?そのへん覚えてないです
19 : 以下、名... - 2010/03/23(火) 21:27:43.49 hQxQ0c6s0 8/35>>18
学生はみんな寮だね
寮監って書くと常盤台の方しか思い浮かばないってことだと思うよww
47 : 以下、名... - 2010/03/24(水) 05:05:01.66 JMhmOmfI0 9/35誰か続き書いちゃってください
猫視点のエロでもいいし
猫佐天と誰かの同棲でもいいし
48 : 以下、名... - 2010/03/24(水) 05:11:59.45 bth92c2k0 10/35書いてるんだけど、VIPのSSの書き方がわからん。
完全な脚本じゃないとダメ? ちょっとくらい地の文使ってもいいよね?
医務室のベッドに私の身体がある。御坂さんに抱かれた視点から、私は私の寝姿を見る。
初春「……まだ、目を覚ましていないようですね」
御坂「朝から眠りっぱなし……か。聞いただけじゃ大したこと無いような感じだったけど、こうして眠り続けてる姿見ると、ちょっと心配ね……」
私も心配だ。相づちがにゃー、という声であがる。私の鳴き声に萌えて、御坂さんがうめいた。
どうかしまして? といぶかしむ白井さんに、なんでもない、と取り繕う。
照れを押し隠す様子で、御坂さんは私を撫でまくる。気持ちいい。撫でられるっていいなあ。
初春「お医者さんも、ただ寝ているだけの状態だ、って言ってました」
黒子「ええ、すぐに目が覚めますわよ」
御坂「そうよね。……目が覚める様子がないならしょうがないわ。眠っている人の前で喋っているのもアレだし。一回外に出ない?」
眠ってる私を前に、明るく会話をする雰囲気じゃない。空気が少し、イヤだ。
みんなはなるべく考えないようにしてくれてるのがわかる。つまりはこれは、植物状態の可能性があるってことで。
御坂「あ、こらこら。勝手に歩き回っちゃダメだぞ」
もうちょっと自分の身体を観察せにゃ、と御坂さんの腕からベッドへ飛び降りたら、一歩も歩かないうちに抱き上げられた。
白井さんがハァハァと息を荒くする。ダメだぞ、なんて。そんな可愛い言い方がクリティカルヒットしたらしい。
私と御坂さんのしぐさに、空気が少し、変わる。私を心配げに見つめ続けていた初春の表情がちょっとだけ明るくなった。
初春「さすがにベッドに毛を落としちゃったりするとまずいですもんね。出ましょうか」
心配を胸に押し込めた苦笑。こういうとき、なんも出来ることがないってのが地味につらい。
それを紛らわすように、御坂さんは私の身体を撫で撫でする。私もそれで、紛らわされる。
外。
黒子「……さて、これからどうしましょうか、このまま三人で街をブラブラする……」
初春「あ、白井さん、ごめんなさい。私は―――」
黒子「……って気分でもありませんわよね」
御坂「だよね……。いったん帰ろか」
アゴをごろごろ。御坂さんの胸に抱かれるのがすっかり定位置になってしまってる。
常盤台のエースにこんなことされちゃっていいのかな、と今更ながらに思いあたる。
初春「じゃあ、私はここで」
黒子「ええ、また明日」
御坂「帰り道、気をつけてね」
去っていく初春のが後ろ姿がさびしい。マジで心配してくれてるのがわかる。
黒子「はやく、起きてくれるといいですわね……」
御坂「……うん」
同じことを感じている二人の沈んだ表情が胸に刺さる気分だ。御坂さんの胸に頬をすり寄せる。
御坂「うぁーなついてくれる猫ヤバイ……。励ましてくれてるの? 大丈夫だよ、佐天さんはすぐ目が覚めて、元気な姿見せてくれるよ」
にゃー、と相づちをうつ。
起きているといえば、起きているのだけれど。
意識だけ飛んで猫になりました、なんて言ったらそれこそ騒動の元になるんだろうなあ……。
口数少なく、てくてくと歩を進める二人。
黒子「ところで、お姉様?」
御坂「ん?」
黒子「……猫、部屋まで連れてくるつもりなんですの?」
御坂さんが「あ」と声をあげる。私も心の中で「あ」と声をあげる。
抱かれることに慣れすぎて、御坂さんから離れようなんて考えが浮かばなくなっていた。
御坂「……少しくらいなら、いいと思わない?」
黒子「……少しくらいなら、いいとは思うのですけれど……」
じゃあいいじゃん、と私の耳をカリカリ。
罰則とか考えると、私はここで離れた方がいいのかな、と思う。
目が覚めないってことは私の身体に猫が入ってるってことはなさそうだから、一晩二晩様子を見るためにどっか寝床が必要なのだけれど。
ただ、こんな姿でひとりで夜を明かすよりは、御坂さんの部屋のほうがやっぱりありがたい。
黒子「……まあ、帰ってから考えましょうか」
考え込んでいると、妥協した様子で、白井さんがため息をついた。
猫を愛でるお姉様を愛でるチャンスは確かに逃す手はない、なんて。ちいさなつぶやきが聞こえたような気がする。
部屋。
御坂さんが床に座って、目の前にポンと私を置く。キラキラした目で、私を見つめる。
首を傾げてみせると、彼女は恍惚のため息をつく。
近寄って鼻を寄せてみると、彼女はたまらない様子で身もだえする。
猫のどんな仕草も彼女には破壊力抜群らしい。御坂さんは大の猫好きなんだなあ、と感心する。
御坂さんの反応を私も私で楽しむようになってしまい、気づけば夜。
私を抱いて、御坂さんは眠りについた。
夜中の部屋で聞こえる、白井さんと御坂さんの二人分の寝息。
初春も、きっともう寝ている。医務室の私は、きっと、猫になる夢を見ている。
目が覚めたら、私は私の身体で目が覚めるのだろうか。正直なところ、それはとても不安で。
でも、猫になってるだなんて夢のようなできごとだから、どうにかなるんじゃないかなと、ヘンに楽観してる気持ちもあって。
御坂さんの寝顔を飽きずに見つめながら、私は胸の中の曖昧な気分を確かめる。
どこかで、自分の劣等感を引け目に感じて、ふたりを対等の友人というよりは、ちょっと目上の人に対するような一線をひいていたところが、私にはあって。
でも、猫になって。
レベル5の超電磁砲。常盤台のお嬢様。雲の上のアイドルのような存在だった御坂さんの、等身大の性格の一面を見て。
その横で、白井さんが、猫を愛でる御坂さんを視線で愛でながら興奮する、初春の同僚の、性格の一面を見て。
ふたりが、眠り続ける私のお見舞いに来てくれて、心配してくれて。
きっとこれは、良い夢なんじゃないかなあと、猫の身体で私は思う。
医務室のベッドの上で、身体を起こす。伸びをすると、関節がバキバキと盛大に鳴る。
学園都市。わけのわからない電磁波だの粒子だのが飛び交っている街だから、ヘンな夢の一つや二つも見るのだろう。
おはよう、と笑って。私は見舞客に挨拶をする。ご心配、ほんとうに、ありがとうございます。
見舞いのお礼に。楽しい夢の、おみやげ話があるよ。
佐天「みーさーかさん」
とある洋服のチェーン店。パジャマのコーナーの前で御坂さんを見かけた。
子供っぽい趣味の柄を持っているところを見られて、御坂さんはうろたえる。
御坂「あ、あの、佐天さん、これはね!?」
佐天「こっちの色のほうが似合うんじゃないですか?」
御坂さんに向き直って、彼女の身体にパジャマの大きさを合わせる。
佐天「私は、こっちのほうがかわいいと思いますよ」
可愛いもの好きのあなたを、私は笑わない。
end.
58 : 以下、名... - 2010/03/24(水) 06:29:42.65 YmsZ1mOt0 16/35お前の本気はこんなもんじゃねえだろ?
59 : 以下、名... - 2010/03/24(水) 06:32:08.77 yMO5WplOO 17/35良かった
60 : 以下、名... - 2010/03/24(水) 06:37:43.59 mEEgvolv0 18/35乙
良かった…
続きというかロングバージョンは暇な時間にスレを立てて書くんだろ
超待ってる
61 : 以下、名... - 2010/03/24(水) 06:42:26.97 bth92c2k0 19/35>>58
どういう意味だよw
>>59>>60
ありがとー
続きはないよー
64 : 以下、名... - 2010/03/24(水) 07:37:37.77 WBgTsxHC0 20/35うほーこれはよいものだ
美琴にとって懐いてくれる猫とか歓喜モノなんだろうな
描写も上手いし最高でした
>>64
ちょっとその視点を使ってみました
佐天さんが目を覚まさない。すわ幻想御手の再来か、と最悪の想像がよぎったが、街の中にとくにそういった予兆はないらしい。
野良らしい猫と出会ったのは、そんなとき。佐天さんになにがあってどうなったのかと、焦燥を抱えて歩を進めている途中のことだった。
目を覚まさない佐天さんを前に、私たちにできることはなにもない。佐天さんを起こしてやることも、初春さんを慰めてやることも。
沈んだ雰囲気のなかで、私は手慰みに腕の中の猫をいじる。一度だけベッドに飛び降りた以外は嫌がる様子はなく、今思えばむしろ私のために、その猫はじっとしてくれていた。
猫を持ち帰ったそれからは、就寝の時間までずっと猫をかまっていた。それは可愛い猫が私から逃げないうれしさだったり、佐天さんへの不安から目を背けたい気持ちだったりから現れた行為。
明日になれば、目を覚ましてくれるかもしれない。早く時間が過ぎて、明日になって欲しい。
その日の猫は、完璧に私を満たしてくれた。
猫を抱いて眠りについたその夜。夢を見た。
レベル5や常盤台のお嬢様などというブランドのせいで、私は他人に素をさらけだせない。世間体的に。
たとえばそれは、子供っぽい趣味だとか。
黒子はどっちかというと、コイツに弱さを見せるのはイヤだな、と雑言を投げつけたくなるタイプの悪友なので、そういう意味では、何でも話せる、どんなことでも聞いてくれる、別のタイプの友達がいたらなー、と漠然と思うことがある。
私から逃げずに、私を見つめている猫。私のそんな願いを笑う様子で、猫は、いっかい、鳴いた。
佐天さんの声に似てる、なんて、寝ぼけた頭で私は思う。
目を覚ましたら、腕の中の猫はどっかにいってしまっていて。部屋のどこにもいなくて。
黒子が、ためらった様子で私に呼びかける。猫を失った私を気づかうその声がうれしいから、私は笑って答えた。
佐天さん、今日、起きるんじゃない? そしたら黒子はさらに、私への心配を深めてしまったけれど。
電撃使いの体質のせいで、私は動物に嫌われる。だけれど、そのとき出会った子猫は私から離れようとせずに、素のしぐさを見せてくれた。
人を警戒しないのはともかく、私の体質を無視してくれる動物なんてそうはいないから。だから浮かれて、手放したくないと思ってしまった。
医務室へ野良を連れて行くなんて、それこそそこで寝ている佐天さんのことを軽んじた行為だろうに。
佐天さん本人にも、親友の初春さんにも、とても失礼なことをしてしまったと私は後悔する。
佐天さんが目を覚まして落ち着いた後に、私はそのことを謝罪した。初春さんは、まったく気にしていない、と言い。
そして佐天さんは、うれしそうに、私に笑いかけてみせる。
猫になっている夢をみた。と彼女は言う。
私も、あなたが猫になっている夢を見たよ、とは言えなかった。
幻想御手の副作用でも脳に現れたんじゃないだろうな、なんて、ちょっとした警戒ムードになってしまったから。
真剣に佐天さんを心配する初春さんを前にして、わけのわからんメルヘンなことを口に出来るはずもない。
だから、この話題はそれっきり。時間が経って、変わったできごとがあったなという程度に私は忘れかけていく。
とある洋服のチェーン店。パジャマのコーナーで立ち止まる。
他人にはおおっぴらにできない趣味の柄をコソコソしながら手にとってみる。
そのとき、彼女の声が、明るく私を呼びかける。
私から離れずにいてくれたふしぎな猫が生んだ、そんなできごと。
67 : 以下、名... - 2010/03/24(水) 09:12:39.23 WBgTsxHC0 23/35うおおお投下来てた!なんか嬉しいwwww
その表現力を分けてほしいです
にしても美琴と佐天さんが仲良いSSはすごくいいね!GJ
佐天「…(…猫になってる…)」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1269344052/
以前↑のスレで投下したSSを加筆修正したものです。
気がついたら、猫の身体で道ばたにいた。
昨日、私普通に寝たよね? 頬をつねろうとしてもそれはかなわない。私の動かす身体が猫の身体であることを改めて認識させられるだけ。
地面を踏みしめる四肢の感触がとてもリアルで、頭の中は眠気なんてこれっぽっちもなくさっぱりしていて。ねぼけて夢を見ているだけだとは思いたくても思えない。
しかたないので歩いてみる。これからどうしようか、そもそもなにがどうなってこうなっているのか、あてもなく周囲へ首を巡らしながら歩を進めていると、複数人の足音が後ろから近づいてくるのが聞こえた。
早い。走っている様子。どこかへ急いでいるのかなと私は立ち止まる。
道のど真ん中で立ち止まる猫の姿がその人たちにも目立ったようで、振り返ったその先では向こうも足を止めていた。そこにはよく見知った、三人の女子生徒。
「えっと……、猫ですね……」
「りっぱな黒猫ですわね」
私の姿に感想をこぼす初春と白井さん。猫を刺激せずどっかにいくのを待つ様子で、ちょっと困った表情。だけどこの姿で知り合いと対面することはいいのか悪いのか、私も私で戸惑ってしまい、アクションを起こせない。
ただひとり、御坂さんはその会話に参加せず、じっと私を見つめていた。
なんか、どうしていいやら微妙な沈黙が続くなかで、初春が口を開く。
「……あ、あの、こうしてる場合じゃないんですよね、行きましょう」
猫が動かないなら迂回しよう、とふたりを促す。「早く佐天さんのお見舞いに行かないと」。
その言葉を捉えた私の耳がピクリと動いた。ような気がする。
にゃー!
私も連れてって! と思わず声をあげて、私は彼女たちへと踏み出した。
「ちょ、ちょっと……」
猫を振り切って目的地へ向きなおるきっかけをつぶされて、初春はまた迷う。じりじりと私から離れようとする。
白井さんが、なんだこのヘンな空気はと言わんばかりに自分のこめかみをさする。
「連れて、いこっか、いっそ」
そんな雰囲気のなか、私を見つめて硬直したままだった御坂さんが言う。三人の足もとから初春のぱんつを見上げていた視線を、彼女へと移す。
声音が、妙に硬い気がした。
「お姉さま……わたくしたちはこれからお見舞いに行くんですのよ?」
「ね、猫くらい、いいじゃん?」
弁解する御坂さんの表情に、首をかしげる。声が硬いのは、緊張しているから?
「も、もうそれでいいですよ! 行きましょう!」
まるでトイレを我慢しているかのような、行動のきっかけがあればなんでもいいというような勢いの初春。白井さんはため息をつく。
「……まあ、首輪も無いですし、飼い猫でないのなら連れていってもかまわないのでしょうか……?」
そのつぶやきを聞いたとたんに、御坂さんはかがみ込んで私を抱え上げる。ちいさく、やったっ! とささやきながら。
御坂さんの表情が、真正面に。それは満面に溢れ出るうれしさを押さえようと、むずむずをこらえるような笑顔で。
その御坂さんの笑みが、どうしてか、ひどく気になった。
医務室のベッドに私の身体がある。御坂さんに抱かれた視点から、私は私の寝姿を見る。
「……まだ、目を覚ましていないようですね」
「朝から眠りっぱなし、か……。聞いただけじゃ大したこと無いような感じだったけど、こうして眠り続けてる姿見ると、ちょっと心配ね……」
私も心配だ。相づちが、にゃーという声になってあがる。私の鳴き声に萌えて御坂さんがうめいた。
どうかしまして? といぶかしむ白井さんに、なんでもないと取り繕う。照れを押し隠す御坂さんの感情が、私を撫でまくる手の動きから伝わるよう。
「お医者さんも、ただ寝ているだけの状態だ、って言ってました」
「ええ、すぐに目が覚めますわよ」
「そうよね。……目が覚める様子がないならしょうがないわ。眠っている人の前で喋っているのもアレだし。一回外に出ない?」
眠ってる私を前に、明るく会話をする雰囲気じゃない。空気が少し、イヤだ。
あえて楽観的なことを口にする白井さん。初春を外へ連れ出そうとする御坂さん。
なるべく考えないようにしてくれてるのがわかる。つまりはこれは、植物状態の可能性もあるってことで。
「あ、こらこら。勝手に歩き回っちゃダメだぞ」
もうちょっと自分の身体を観察せにゃ、と御坂さんの腕からベッドへ飛び降りると、一歩も歩かないうちに抱き上げられた。
白井さんの息が荒い。ダメだぞ、なんて。そんな可愛い言いかたがクリティカルヒットしたらしい。
私と御坂さんのしぐさに、空気が少し、変わる。私を心配げに見つめ続けていた初春の表情が、ちょっとだけ明るくなる。
「さすがにベッドに毛を落としちゃったりするとまずいですもんね。出ましょうか」
心配を胸に押し込めた苦笑。こういうとき、なんも出来ることがないってのが地味につらい。
それを紛らわすように、御坂さんは私の身体を撫で撫でする。抱かれて、撫でられて。私もそれで、紛らわされる。
「……さて、これからどうしましょうか、このまま三人で街をブラブラする……」
「あ、白井さん、ごめんなさい。私は――」
「……って気分でもありませんわよね」
「だよね……。いったん帰ろか」
ため息をつきながらアゴをごろごろ。猫の私はすっかり御坂さんの胸に抱かれるのが定位置になってしまっていて。
常盤台のエースにこんなことされちゃっていいのかな。いまさらながらにそんなことを思いつく。
「じゃあ、私はここで」
足を止めて、向き直る初春と私たち。
「ええ、また明日」
「帰り道、気をつけてね」
ふたりの別れの挨拶に会釈を返して、初春が去っていく。
その後ろ姿がさびしい。マジで倒れた私を心配してくれてるのがわかる。
「はやく、起きてくれるといいですわね……」
「……うん」
同じことを感じている二人の沈んだ表情が胸に刺さる。
重い雰囲気をごまかすように、私は御坂さんの胸に頬をすり寄せた。ちょっとした、現実逃避。
「なついてくれるのってヤバイなあ……」
私の動作にピクリと訝しんだ後、御坂さんはうぁー、と頬を揺るませる。
「ひょっとして励ましてくれてるの? 大丈夫だよ、佐天さんはすぐ目が覚めて、元気な姿見せてくれるよ」
うなー、と相づちをうつ。
起きているといえば、起きているのだけれど。
意識だけ飛んで猫になりました、なんて知らせたら。それこそ騒動の元になるんだろうなあ……。
「ところで、お姉様?」
口数少なく、てくてくと歩を進めるふたりの足音を聞いていると、ふと思い出したように白井さんが口を開く。
「ん?」
「……猫、部屋まで連れてくるつもりなんですの?」
御坂さんが「あ」と声をあげる。私も心の中で「あ」と声をあげる。
抱かれることに慣れすぎて、御坂さんから離れようなんて考えが浮かばなくなっていた。
「……少しくらいなら、いいと思わない?」
「……少しくらいなら、いいとは思うのですけれど……」
じゃあいいじゃん、と私の耳をカリカリ。
罰則とか考えると、私はここで離れた方がいいのかな、とは思う。
目が覚めないってことは私の身体に猫が入ってるってことはなさそうだから、一晩二晩様子を見るためにどっか寝床が必要なのだけれど。
ただ、こんな姿でひとりで夜を明かすよりは、御坂さんたちの部屋のほうがやっぱりありがたい。
「……まあ、帰ってから考えましょうか」
私がひとりで考え込んでいるうちに、白井さんが妥協する。
猫を愛でるお姉様を愛でるチャンスは確かに逃す手はない、なんて。ちいさなつぶやきが聞こえたような気がする。
御坂さんが床に座って、目の前にポンと私を置く。キラキラした目で私を見つめる。
首を傾げてみせると、彼女は恍惚のため息をつく。近寄って鼻を寄せてみると、彼女はたまらない様子で身もだえる。
猫のどんな仕草も彼女には破壊力抜群らしくて。彼女の反応を、私も私で楽しんでしまう。
はじめて見る、常盤台のエースの素の表情に時間を忘れて、気づけば夜。
私を抱いて、御坂さんは眠りについた。
御坂さんの寝顔を見つめながら。私は胸の中の曖昧な気分を確かめる。
目が覚めたら、私は私の身体で起きるのだろうか。正直なところ、それはまあ不安ではあるのだけれど。
でも、猫になってるだなんて夢のようなバカげたできごと。おさまるときも、夢から覚めるようにアッサリいくんじゃないかなあと、ヘンに楽観してもいいような予感もあって。
だから、私も夜の中で平然と目を閉じる。静かに部屋に満ちる、白井さんと御坂さんの二人分のちいさな寝息に身をゆだねるように。
初春も、きっともう寝ている。
医務室の私は、いま。猫になる夢を見ている。
「なんていうか、ありがとね」
愛玩動物を甘やかすような口調ではない、まるで対等の人間と話すような口調で彼女は笑う。
「私、動物に嫌われるタイプだから。あなたがそばにいることが、すごく楽しい」
動物は、御坂さんの体質から逃げていく。人間は、「レベル5」の肩書きを良かれ悪しかれ、意識してしまう。
たとえばそこには、超電磁砲ってすごいなーと騒ぐ私のようなのも含まれていて。
有名人として、超能力者として。彼女は、普通の人間が持っているものを羨ましがっているのだと私はそのとき気づいた。
能力者の街でそれを持てない私が、能力者が持っているものを羨ましがっているのと同じように。
素をさらけ出して猫と戯れるなんて誰にでもできることなのに。
御坂さんはそれを、一生一度の貴重な機会と扱うようにたいせつに抱く。
そんな彼女がいたたまれなくて、私は鳴いた。
なにを伝えようとしたのかは自分でもはっきりしなかったけれど。なにか、彼女と会話をしたいと思った。
猫の鳴き声にしかならないはずのそれは、どこか、人間が猫の真似をしているような不自然なものになって御坂さんの耳に届く。
私の声に似ている声が、彼女に届く。
目を丸くして私を見返す御坂さんの表情を最後に、夢は、そこでとぎれた。
私とほとんど変わらない年であんなにすごい。
どこかで、自分の劣等感を引け目に感じて。御坂さんと白井さんを対等の友人というには、ちょっと一線をひいていた一面がないとはいえなくて。そんな私は―――
医務室のベッドの上で身体を起こした。唐突に途切れた夢には余韻などまったくない、アッサリした目覚め。伸びをしたら、関節がバキバキと盛大に鳴る。
学園都市。わけのわからない電磁波だの粒子だのが飛び交っている街だから、ヘンな夢の一つや二つも見るのだろう。
……そう、ヘンな夢の、一つや二つ。
―――そんな私は、猫になる夢と、御坂さんの心を覗く夢を見た。
レベル5の超電磁砲。常盤台のお嬢様。雲の上のアイドルのような存在だった御坂さんの、等身大の性格の一面。
その横で、白井さんが、猫を愛でる御坂さんを視線で愛でながら興奮する、初春の同僚の、性格の一面。
そんなふたりの私生活の素のやりとりの中には、眠り続ける私へのお見舞いがあって、私への心配があったことを、私はずっと見ていた。
おはよう、と笑って。私は見舞客たちに頭を下げる。ご心配、ほんとうに、ありがとうございます。
お見舞いのお礼に。楽しい夢の、おみやげ話があるよ。
とある洋服のチェーン店。パジャマのコーナーの前で御坂さんを見かける。
子供っぽい趣味の柄のものを手にしながら挙動不審。
そんな姿が、ジャッジメントとして放課後も休日も街を駆け回ってがんばる白井さんと初春の様子に重なった。
あれはあれで青春なのかも、なんて、道を駆けるふたりの姿を微笑ましく思ったあのときの気持ちが、いまの御坂さんから思い出される。
べつに御坂さんは、今の自分を嫌いでいるわけじゃない。
レベル1からレベル5まで駆け上がった努力の日々は、現在の御坂さんを構成する大事な大事な一部。
だから、彼女が求めているのは、今の自分を否定するものではなく、ただただ普通っぽい、なにか。今は持っていない、けれどレベル1の頃には持っていただろうモノ。
超電磁砲。常盤台のエリート。そういった肩書きの印象を無視してくれる視線を、御坂さんは漠然と、懐かしがっているだけ。
幻想御手の一件で初春がわからせてくれた、能力よりずっと大切なものを抱えて、私は彼女のもとへと歩み寄る。
「みーさーかさんっ」
背後から明るく声をかけてやる。おどろきで、彼女の背筋が跳ねる。
「うあ、や、これはね!?」
見られたくないところを見られてうろたえるさまは、猫の可愛いしぐさに癒されるのに似た、和やかな風を私の胸にそよがせた。
「んー、こっちの色のほうがよくないですか?」
いっこ上の友人に向き直って、彼女の身体に服の大きさを合わせてみる。
「うん、こっちのほうが、かわいいと思いますよ」
可愛いもの好きのあなたを、私は笑わない。
その日、少しだけ、御坂さんとの距離が変わった。
私たちのなにかを変えたふしぎな猫の夢の、そんなできごと。
END.
佐天さんが目を覚まさない。すわ幻想御手の再来か、と最悪の想像がよぎったが、街の中にとくにそういった予兆はないらしい。
野良らしい猫と出会ったのはそんなとき。佐天さんになにがあってどうなったのかと、焦燥を抱えて歩を進めている途中のことだった。
目を覚まさない佐天さんを前に、私たちにできることはなにもない。佐天さんが起きない限り、初春さんの気分も晴れることはない。
沈んだ雰囲気のなかで、私は手慰みに腕の中の猫をいじる。
一度だけベッドに飛び降りた以外は嫌がる様子はなく、今思えばむしろ動物を愛玩したがる私のために、その猫はじっとしてくれていた。
猫を持ち帰ったそれからは、就寝の時間までずっと猫をかまっていた。
それは可愛い猫が私から逃げないうれしさだったり、眠る佐天さんへの不安から目を背けたい気持ちだったりの現れで。
明日になれば、目を覚ましてくれるかもしれない。早く時間が過ぎて、明日になって欲しい。その日の猫は、そんな私を満たすために、そこにいたのだと思う。
猫を抱いて眠りにつく。夢の中で、ふたりきり。
レベル5や常盤台のお嬢様などというブランドのせいで、私は他人に素をさらけだせない。……世間体的に、いろいろと。
たとえばそれは、子供っぽい趣味だとか。いろいろと。
黒子はどっちかというと、オマエに弱さを見せるのはイヤだ、と正面から雑言を投げつけることを許してくれるタイプの悪友なので。
そういう意味では、なんでも話せる、どんなことでも聞いてくれる、別のタイプの友達がいたらなー、と漠然と思うことがある。
あなたのように、私をまっすぐ見つめてくれる視線がひとつ、ほしいんだ。
そんなことを思ったら、猫は、いっかい、鳴いた。佐天さんの声に似てる、なんて。寝ぼけた頭で私は思う。
目を覚ましたら、腕の中の猫はどっかにいってしまっていて。部屋のどこにもいなくて。
黒子が、ためらった様子で私に呼びかける。猫を失った私を気づかうその声がうれしいから、私は笑みを浮かべて答えた。
佐天さん、今日、起きるんじゃない? そんなことを唐突に言われた黒子は、さらに私への心配を深めてしまったけれど。
電撃使いの体質のせいで、私は動物に嫌われる。だけれどあのとき出会った子猫は私から離れようとせずに、素のしぐさを見せてくれた。
人を警戒しないのはともかく、私の体質を無視してくれる動物なんてそうはいないから。だから浮かれて、手放したくないと思ってしまった。
医務室へ野良を連れて行くなんて、それこそそこで寝ている佐天さんのことを軽んじてるように見られても仕方ないのに。
佐天さん本人にも、親友の初春さんにも、とても失礼なことをしてしまったと私は後悔する。
佐天さんが目を覚まして落ち着いた後に、私はそのことについて頭を下げた。
初春さんは、まったく気にしていないと言い。
佐天さんは、うれしそうに私に笑いかけてみせる。
猫になっている夢をみた。と彼女は言った。私も、あなたが猫になっている夢を見たよ、とは言えなかった。
幻想御手の副作用でも脳に現れたんじゃないだろうな、なんてちょっとした警戒ムードになってしまったから。
真剣に佐天さんを心配する初春さんの前で、わけのわからんメルヘンを無責任に口にできるはずもなくて。
だから、この話題はそれっきり。
時間が経って、変わったできごとがあったなという程度に私は忘れかけていく。
とある洋服のチェーン店。パジャマのコーナーで立ち止まる。
他人にはおおっぴらにできない趣味の柄をコソコソしながら手にとってみる。
そんなとき、明るく私を呼びかける、あの猫の声。
その日、少しだけ、佐天さんとの関係が変わった。
私から離れずにいてくれたふしぎな猫が生んだ、そんなできごと。
END.
12 : 以下、名... - 2010/10/02(土) 02:19:34.40 nuDvYVM80 35/35VIPで以前書いた話の再投下が許されるのかどうか微妙なところだと思うんですが
以前のスレでロングバージョンの要望をもらったのがずっと心残りだったので投下させてもらいました
どうもありがとうございました。

