1 : 以下、名... - 2010/08/08(日) 12:13:57.08 OTMYQ1MI0 1/15っていう展開希望
元スレ
澪「律のパンツ被って深呼吸してたら律が部屋に入ってきた」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1281237237/
「――あったあった」
なぜだろう
ひとは愛するものを“思い出”という形で残したがる
形あるものは壊れるし、無くなってしまう
でも、それは形がある限り永続的に側へ置いておけることの裏返し
私を憑き動かす思いもそんな些細ことがきっかけだった
愛して止まない律をいつも側に感じていたい
「律、――ごめんな?」
最初は文房具の類だった
筆箱に入っている消しゴムを拝借して家に持ち帰る
その消しゴムを眺め、律を思う
律の物が私の側にあるだけで嬉しかった
5 : 以下、名... - 2010/08/08(日) 13:09:47.29 L1M9pwTJ0 3/15律「出たな変態仮面!」
ある休日、母に怒られたことが次第にそれをエスカレートさせていく
「当分お外に遊びにいかせませんからね、わかったわね澪ちゃん?」
自室に戻る
頭のなかで母親の言葉がリフレイン
怒られた事への不安や恐怖よりも
――律と会えない
その寂しさが幼い私に圧し掛かる
「りつぅ――」
律に内緒で盗ってきた消しゴムに小さく嘆く
「――んっ」
私は律の消しゴムにそっと唇を寄せる
「なんだよー、泣くなよな、ちょっと会えないだけだろ?」
そんな声が聞こえた気がして、安心した
7 : 以下、名... - 2010/08/08(日) 13:12:54.61 MWTIf94x0 5/15律「私は澪がはいていたパンツをもう3日はき続けている」
律への思いが強まると比例してその衝動も強くなった
「ふふっ、消しゴムだろ、シャープペンの芯に――」
「ワイシャツのボタン、ノートの切れ端に――」
「とっておき、リコーダーの先っぽ」
机の上に並べられた盗品の数々
それ達を手に取ったり、舐めてみたり――
クセの悪さに嫌気も差した、が
「くぅーっ、しあわせだー」
幸福感や達成感がそれを圧倒的に上回っていた
悲しいかな、人は環境に慣れてしまう生き物
欲深き愚かな生き物
「――もっとだ」
「もっと、もっと、もーっと律を感じられる物が欲しい」
それが今日の失態に繋がる
高校生活が始まり、三月を過ぎた
私達の活動している“軽音部”はテスト週間で
活動を休止していたとある日
「おねがいっ、澪様、この通りです
愚かな私奴に勉強教えてやってください」
日頃勉強をしない律
テストに不安を覚えたのか、そう願い出てきた
――好機
ひょんな事から律の家に久々に上がりこむ機会を得る
コレクション(盗品)を増やすチャンスだ
「ま、まあしかたないな」
舞い上がりそうな気持ちを抑えつつそう返した
高校生になってから来てなかったもんな――
そう思いながら律の部屋を見回す
「よかった、――かわってない」
自分を措いて律が大人になってしまわないか
日頃、思うことも多い
安心して自然と口から言葉が出た
「お飲み物くらいお出ししますわぁ」
おどけながら台所に向かった律
先に部屋入った私
――時間は限られているな
自分を急かし、躊躇することなく洋服タンスに手を掛けた
すう、と一番下を引き出す
丁寧に畳まれた下着やシャツが並ぶ
「こういうところはしっかりしてるよな」
軽音部の皆が知らない、律の意外な一面を知っている
そう考えると少し口元が緩む
時間は迫る
「――失礼しますっ」
目を瞑り軽く礼、手を滑り込ませた
選別していく
白地に薄いオレンジのドットがあるショーツが目に止まる
“律らしい”フリルやレースの無い質素なデザイン
中央につけられている小さいリボンがまた可愛い
「おぉーっ」
手にとって広げると益々輝かしく見えた
――ここまでは順調だったと言える
宝を掘り当てたトレジャーハンターは愚行に及ぶのだ
「産地、――直送だっ」
妖艶なショーツに憑き動かされ、顔を内に入れる
我ながらおかしな奴だよ
「…………」
大きく息を吸う
乾ききった喉へその甘い匂いを流し込み、心を潤してく
身体中を律の匂いが駆け巡る、溢れそうなほどに――
「もう、――何も怖くないよ、律」
本当に怖くはなかった
――後ろで固まる律に気がつくまでは
全く信じていなかった第六感
それに呼びかけられ振り返ると律が居た
「――はは」
引きつった笑顔の律
私はゆっくりと立ち上がる
「フォォォォォォォォ、気分はエクスタシー!!」
意味を為さない単語を並べ律を怯ます
この場から逃げるのだ
アメリカンフットボールの選手のように勇ましく走り出した
「で、で、で、出たな変態仮面ッ!!」
ランナーはあっけなくタックルされ
「…………」
――捕まる
「うう、――ぇぐ、――ひっく」
情けない
ひととして恥ずかしい、見られたくない“クセ”を
大好きなひとに見られた
あの日のように、母親に怒られた少女がいた
すすり泣く
「ご、――ごめん、なさい」
目をあわせられない
大好きなひとに嫌われた、当然の結果だ
悔やんでも悔やみきれない
「ったく、何やってんだよ」
「ほーらー、立てー、変態仮面」
起こされる私
「…………」
「バカだなぁ」
――優しい顔
怒ってないの?
嫌いになってないの?
「お前、昔っから人の物パクってたもんな」
「えっ、――知ってた、の?」
「ああ、消しゴムに、シャツのボタン、
鉛筆に、リコーダーの先っぽ、んーまだあったっけ」
並べ挙げられる私の罪の数々
「…………」
「んで、今回はパンティーですかー」
律は何故か笑顔だ
「秋山澪さん、あなたの裁判の判決は」
「――無罪だ」
そう言い、にこりと笑う
「いいもん見せてやるよっ」
律は学習机の引き出しを開け、何かを取って帰ってきた
「っと、歯ブラシでしょ、キーホルダーに、
テストの答案、お泊まり会の時に澪が使ってたコップ」
「そして極めつけ、体操服だ!」
「――お互い様だな」
律は大きな声で笑った
「うん、――」
私もつられて笑った
二人の絆は深まった
と、思う
おわり
29 : 以下、名... - 2010/08/08(日) 15:29:05.68 4aX1bbjmP 15/15読んでいただいてありがとうございました。
まず>>1さんのスレタイが逸品。
あとは>>5>>7さんのレスからネタを頂きました。
『ギャグをあえてクソ面倒な表現でやる』
自分としては新たな試みで、いい経験させていただいたと思っています。
短い・駄文・時間かかりすぎ、多々ご迷惑をおかけしました。
ではまた