真尋「珠緒は可愛いね」
珠緒「八坂君ったら~もう!」
余市「ニャル子さんとより仲良しじゃないかい?」
真尋「僕、あいつ苦手だしな」
クー子「じゃあ私が貰い受ける」
ニャル子「……」
元スレ
ニャル子「真尋さんが珠緒と付き合っている」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340444087/
ニャル子「どういう流れでお二人がそんな関係になったってんですか!」
真尋「ばっ、バカ! そんなこと言わせるな恥ずかしい!」
珠緒「けっこう突然だったよね。八坂くんって意外と乙女で、可愛いラブレターなんか出しちゃったりして」
真尋「わーーーーーっ!」
珠緒「でも呼び出した後は男らしい告白だったり」
真尋「お、おい……///」
ニャル子「わっ、私の前でイチャつくのはやめてください!」
真尋「なんで僕たちがイチャつくのにお前の顔色を窺わなきゃいけないんだよ」
ニャル子「だって真尋さんも私の気持ち――」
真尋「あー、ちょっと待って。その『真尋くん』ってのさ、やめてもらえないかな」
真尋「まだ彼女からも呼ばれていない名前をお前から呼ばれるのはちょっと……」
ニャル子「そんな……」
珠緒「それはあんまりだよ八坂くん……って、そうか。私が名前で呼べばいいのか」
珠緒「ま、ま、まひ……キャッ、恥ずかしい///」
真尋「急がなくても、僕たちのペースでいいんじゃないかな、暮井」
真尋「という訳でニャル子……いやホテプ。僕のことは苗字で呼んでくれ」
ニャル子「ホテプって何ですか!」
真尋「暮井の名前も呼んでないのにニャル子と呼ぶのはどうかと思って、適当に」
ニャル子「珠緒さんっ、私の気持ち知ってましたよね!?」
珠緒「ごめんねニャル子ちゃん。でも、好きになっちゃったんだもん、しかたないよね」
ニャル子「しかたなくねーですよ! なんでよりによって真尋さんなんですか!」
真尋「あー、はいはい、そこまで」
真尋「僕が悪かったよ。お前に伝えるの忘れてた」
ニャル子「真尋さん……」
真尋「僕たちこれからデートだから、今日の晩飯づくり遅れるんだ」
ニャル子「そんな報告はどうだっていいんですよ!」
真尋「じゃ、そういうことだから。行こうか、暮井」
珠緒「うんっ」
ニャル子「うう……」
ニャル子「まっ、待って下さいよぉ」
真尋「なんだホテプ、いい加減しつこいぞ」
ニャル子「……わかりました、わかりましたよ!」
ニャル子「これは冗談ですね!? デートのふりして私の誕生日プレゼントを買いに行くとかそういう……」
真尋「お前の誕生日なんか知らねーよ……」
ニャル子「じゃ、じゃあっ」
真尋「前に僕、言ったよな、普通に暮らしたいって」
真尋「それだけが理由じゃないけど、だからお前じゃなくて人間の暮井と付き合ってる。わかるだろ?」
ニャル子「…………」
真尋「もう追ってくるなよ」
珠緒「それで今日はどこに連れて行ってくれるの?」
真尋「少し歩くんだけど、評判のいいお菓子屋さんがあってさ」
真尋「そこに行こうと思うんだけど……暮井、バームクーヘン好きだろ?」
珠緒「わぁ、うれしいっ///」
真尋「おいおい、急に抱きつくなよ。そんなにバームクーヘンが好きなのか?」
珠緒「そうだけど、そうじゃなくて……八坂くんが私の好みを覚えていてくれたことが嬉しくって」
イチャイチャ
ニャル子(私は振られてしまったんでしょうか……)
トボトボ
ニャル子(この恋は、もう諦めなければいけないんでしょうか……)
ニャル子「ただいま……」
クー子「おかえりニャル子。話は全部、聞かせてもらった」
ニャル子「うっ、ク―子……!」
クー子「とりあえず落ち着くといい。お茶を用意しておいた」
ニャル子「へっ? なんだか妙に優しいじゃねーですか」
クー子「ニャル子の傷を抉るなんてことはしない」
クー子「私はただ、そこに付け込んで落とすだけ……」
ニャル子「ぜってー引っ掛かりませんからね」
クー子「さあニャル子、私の胸に飛び込んで……」
ニャル子「んなもんはお断りだってんですよ!」
ガッ!
クー子「いたい……けど、悪くない……」
ニャル子「私はまだ諦めませんよ!」
ニャル子「クックック、二人がまだ苗字で呼び合っている以上、まだまだ付け入る隙はありありですからねぇ」
クー子「ニャル子、人の恋路を邪魔するものは……」
ニャル子「邪神が馬に蹴られたくらいで死にますか!」
ニャル子「見ていてください真尋さん」
ニャル子「このニャル子が、必ずあなたを珠緒さんの魔の手から救いだしてやりますよ!」
クー子「ニャル子、私も手伝う」
ニャル子「はぁ? なんでアンタが」
クー子「ニャル子の笑顔が私の幸せ……」
ニャル子「クー子……で、本心は?」
クー子「少年の邪魔をするニャル子の邪魔をしつつデートしたい……」
ガッ!
クー子「……こんなにキツく縛るなんて……乱暴する気? エロ同人みたいに」
ニャル子「んなわけねーですよ。放置です放置」
ニャル子「さてさて、あの二人は……あっ、あの店ですかね」
ニャル子「……いた。……なかなかオシャレな店じゃないですか」
ニャル子「なのにどうして真尋さんの隣が私じゃなくて珠緒さんなんですかねぇ!」
ニャル子「なんだか無性に腹が立ってきましたよ」
カロンカロン
<イラッシャイマセー オスキナセキヘドウゾ
ニャル子「なにを話しているんですかね」
真尋「どうかな、ここのお菓子は」
珠緒「うん、すごく美味しいよ」
真尋「よかった」
珠緒「お店の雰囲気もいいし、お茶も美味しい。よく見つけたね、こんなところ」
真尋「まぁ、その……暮井に喜んで欲しくてさ。ちょっと探してみたんだ」
ニャル子「くっ……真尋さんがデレてる……!」
真尋「お茶、なくなったな。おかわりもらうか?」
珠緒「うん」
ニャル子(チャンスですよ。ここでタバスコでもブチ込んじまえば、珠緒さんは吹き出して真尋さんは幻滅)
ニャル子(無事に二人は別れて真尋さんが私のところに戻ってくる――はず!)
ニャル子(珠緒さんに恨みは……まぁあるっちゃあるんで、素直にくらいやがってください!)
ニャル子(店員の隙をついて……よしっ!)
ニャル子(さぁ珠緒さん、盛大にぶっ放しちゃってください!)
珠緒「コクッ」
ニャル子「殺ったか!?」
珠緒「ブフーーーーーーッ!!」
真尋「うわっ、暮井!?」
珠緒「ごごご、ごめんなひゃい! やひゃかくん!」
真尋「とりあえず染みになる前に拭かないと」
珠緒「えっ……じ、自分で拭くよ!」
真尋「いいからホラ、動くなって」
ニャル子(あの女ッ……真尋さんにお茶をぶっかけておきながら、あまつさえ拭いてもらうなんて!)
珠緒「あっ、そこは……」
真尋「えっ? うわっ、ご、ごめん!」
珠緒「ううん、気にしないで。その……八坂くんなら、嫌じゃないから……」
ニャル子(あんのアマぁあああああああッ!)
ニャル子(色仕掛けですか! お茶吹いた後に色仕掛けですか!)
真尋「……それで? 一体どうしたんだ?」
珠緒「えっと、このお茶が――」
真尋「なんて、聞くまでもないよな。おいニャル子!」
真尋「……じゃなかったホテプ! 出てこい、近くにいるんだろ?」
ニャル子「…………うー、ニャー」
真尋「誤魔化しても無駄だぞ。お前の『殺ったか!?』って声、ちゃんと聞こえてたんだからな!」
ニャル子「うっ……いやー、気のせいじゃないですかね?」
真尋「そんなわけあるか」
真尋「お前なぁ……」
珠緒「ニャル子ちゃん……」
ニャル子「ま、真尋さんが悪いんですよ!」
ニャル子「私の気持ちを知っているくせに、なにも言わずに私を捨てたりするから!」
ざわ・・・
ざわ・・・
真尋「おおいっ、人聞きの悪いことを言うな!」
ニャル子「私をキープになんてするからぁッ!」
ざわ・・・
ざわ・・・
真尋「してないっ! ていうか店の中でそういう事を叫ぶなぁっ!」
店員「あの、お客様……」
珠緒「あっ、お騒がせしてすみません。静かにしますので……」
真尋「ホテプ、座れよ」
ニャル子「真尋さんの隣でいいですか?」
真尋「ダメに決まってるだろ。お前はそっち」
珠緒
真尋 ニャル子
真尋「まぁ……確かにお前に何も言わなかったのは悪かったかもしれない」
真尋「だからそれで僕を恨んだって構わない」
真尋「だけど暮井に矛先を向けるのは違うだろ! 暮井は僕の告白を受け入れてくれただけなんだ」
珠緒「いいよ八坂くん。私がニャル子ちゃんから八坂くんを取っちゃったのは事実なんだから……」
珠緒「ごめんねニャル子ちゃん」
ニャル子「まだ取られてねーですよ!」ガタッ
ニャル子「なんですか、ちょっと付き合ったからって私に勝ったつもりですか!」
真尋「座れホテプ」
ニャル子「あ、はい……ゴホンッ!」
ニャル子「――ハッ、しょせん高校生の恋人関係なんてママゴトみたいなもんで、数カ月で破局するもんって決まってんですよ!」
ニャル子「恋人になったくらい、何だって言うんですか!」
真尋「じゃあ今は僕たちのことを認めてくれるんだな?」
ニャル子「……へっ?」
珠緒「ありがとう、ニャル子ちゃん」
ニャル子「えっ、ちょまっ――!」
珠緒「そうだね。け、けっ……結婚! ……するまでは、ライバルってことだよね?」
真尋「け、結婚……///」
珠緒「負けないよニャル子ちゃん。『真尋くん』は絶対に渡さないからねっ!」
ニャル子「…………」
ニャル子「――えっと……あれ?」
ニャル子「……どうしてこうなったorz」 END
93 : 以下、名... - 2012/06/23(土) 23:35:13.97 hwMsFKH10 20/52あんまり暗くならない感じで
それなりの落とし所だと思ったんだがダメか?
俺ニャル子あんまり詳しくないから、これ以上はキツイでんがなまんがな
ニャル子「…………なんでですかね」
ニャル子「なんでこの女、じゃなくて珠緒さんが私たちのうちにいるんですかねぇ」
真尋「お前のうちじゃなくて僕のうちだ、ホテプ」
真尋「そして見ず知らずの宇宙人を何人も居候させてるんだから、知り合いの一人を追加しても問題ないはずだ」
真尋「あ、知り合いじゃなくて恋人か」
珠緒「えへへ」
ニャル子「(ここは正攻法でいくのは無理そうですね、邪道で責めますか)」
ニャル子「それはそうと居候するとしても部屋はどうするんですか?」
ニャル子「うちには、もう空き部屋はありませんよ」
真尋「それはお前たちがいなくなれば……」
ニャル子「おっと、そうはいきませんよ、私たちは惑星保護機構の一員ですからね」
ニャル子「宇宙の一員なら協力しませんと……」
真尋「ったく……じゃあ僕の部屋にくるか?」
珠緒「うん」
ニャル子「」
ニャル子「そもそもっ、珠緒さんがっ、どういった経緯でっ!」
ニャル子「八坂家に住むことになったんですか!」
真尋「だから言ったじゃないか」
真尋「『珠緒』の家族が長期間、偶然にも家を空けることになったって」
真尋「大事な女の子を一人で住ませられるわけないだろ?」
ニャル子「さらりと下の名前を……っ!」
真尋「母さんもしばらく狩りに出るっていうし、それなら一緒に住んだ方がいいかな、と」
ニャル子「私は認めませんよ、そんなあり得ないエロゲー展開は!」
ニャル子「現実がそんなに都合いいわけないじゃないですか!」
真尋「毎度ご都合主義的な結界を使ってるお前が言うか?」
真尋「まぁ何はともあれ、だ」
珠緒「よろしくねニャル子ちゃん」
ニャル子「私と真尋さんの愛の巣がぁ……」
真尋「なに言ってんだ。僕と珠緒の愛の巣だ」
真尋「まぁ安心しろ、お前たちに迷惑はかけないよ」
ニャル子「そういう問題ではなくてですねぇ……」
真尋「じゃあ珠緒、僕たちの部屋に案内するからついて来て」
珠緒「うん」
真尋「あんまり片付いてないかもしれないけど」
珠緒「大丈夫だよ。私、真尋くんの彼女だもん。散らかってたら片付けるよ」
真尋「……そ、そうか。あっ、荷物重いだろ? 僕が持つよ」
珠緒「あ、ありがと///」
ニャル子「…………これはマズイ。非常にマズイですよ」
ニャル子「一つ屋根の下どころか同じ部屋だなんて……」
ニャル子「しかも、絶対に認めませんが恋人という説まであるあの二人が……」
ニャル子「とりあえずナイスタイミングでお茶や菓子を運んで様子を見ますか」
コンコンッ
ニャル子「お、お茶を……」
ガタッ ガタタッ
真尋「な、なんだっ?」
ニャル子「ですからお茶をお持ちしました」
ニャル子(なんですか、その慌て様は! 一体なにをしてやがったんですか!)
真尋「あ、ああ――ありがとう。入っていいぞ」
ニャル子(ベッドに二人掛け、不自然な距離、赤い顔……そんな、まさか!)
ニャル子「い、今なにをしていたんですか!」
真尋「なっ、何ってその……なぁ」
珠緒「う、うん。えっと――……ポッ」
ニャル子「ポッ、じゃねーですよ!」
真尋「おいホテプ、暴れるな!」
ニャル子「黙っていてください真尋さん!」
ニャル子「そこの不届き者に聖なる神の裁きを下さなくては!」
真尋「お前は聖なるじゃないだろ」
珠緒「…………///」
真尋「言っておくけどな、やましい事は何もしてないぞ」
真尋「ただちょっと、珠緒の指が綺麗だったから触っていただけだ」
珠緒「えへへ///」
ニャル子「指なら私だって綺麗ですよ! さぁさぁどうぞ、好きなだけ触ってください真尋さん」
真尋「いや、お前はいい」
ニャル子「そんなぁ~、白魚のようですよ? 摩擦係数ほぼ0のすべすべですよ!?」
真尋「僕は珠緒の指だから触っていただけで、他の子の指には興味ない」
珠緒「真尋くん……///」
ニャル子「ぬあああああああああッ!」
珠緒「あっ、ニャル子ちゃん……行っちゃった」
珠緒「ニャル子ちゃん」
ニャル子「……珠緒さん、なんですか? 惨めな私を笑いに来たんですか?」
珠緒「違うよ。今日のお夕飯、ニャル子ちゃんと一緒に作りたいな、と思って」
ニャル子「真尋さんは?」
珠緒「これからお世話になるから、今日は私が作ることにしたの」
珠緒「でも五人分ってちょっと多いから、ニャル子ちゃんに手伝ってもらえればな、と思って」
ニャル子(これは……千載一遇のチャンス!)
ニャル子(ここで珠緒さんが担当した料理に一服盛れば――)
ニャル子(……なんて、考えてはいけないことですよね)
ニャル子(たぶん私を励まそうとしての申し出でしょうし)
ニャル子(確かに、真尋さんに私の手料理を食べていただけるなら、少しは気分も晴れるかもしれません)
ニャル子「わかりました珠緒さん、一緒に作りましょう」
珠緒「うんっ」
ニャル子(いい人ですね、珠緒さん。気遣いもできて、可愛くて……)
ニャル子(これなら真尋さんが惚れるのも……って、いやいや!)
ニャル子(私だって負けてませんよ――多分)
ニャル子「はぁ……」
夕食
ハス太「ねえ、なんで珠緒ちゃんがいるの?」
真尋「ああ、今日からしばらく泊まることになったんだ」
珠緒「よろしくね」
ハス太「そうなんだ、よろしく」
ハス太「…………」
ハス太「ね、ねえ、どうして二人はそんなにくっついているの?」
真尋「あれ、言ってなかったっけ。僕たちつき合ってるんだ」
ハス太「え、ええ~~~~~っ!?」
バターン!
真尋「おいハス太、大丈夫か?」
クー子「ショックで倒れただけ、大事ない」
ハス太「そんな……真尋くんが……」
真尋「おいハス太、泡吹いてるぞ」
珠緒「そこまでショックを受けられると……」
クー子「私は二人の仲を祝福する。おめでとう」
珠緒「クー子ちゃん……ありがとう、嬉しいよ」
クー子「これでニャル子は私のもの……」
ニャル子「んなわけあるかぁああああッ!」
ニャル子「この前は言葉尻を捕らえられて丸く収められましたけどねぇ!」
ニャル子「だったらこっちだって言いくるめてやりますよ!」
ニャル子「結婚するまでライバルだってんなら、結婚するまでは邪魔していいってことですよねぇ!」
真尋「珠緒、これ美味しいよ」
珠緒「よかった。真尋くんのために頑張って作ったんだよ」
ニャル子「人の話を聞けぇええええッ!」
真尋「うるさいぞホテプ。飯は静かに食え」
真尋「……パクッ」
ニャル子(あ、あれは私が作った――)
ニャル子「それはど、どうですか真尋さんっ」
真尋「ん? んー、まぁ美味いよ」
ニャル子「それ作ったの私なんですよ、わ・た・し!」
真尋「そうか」
ニャル子「…………」
真尋「…………」
ニャル子(それだけーーーーっ!?)
クー子「ニャル子……料理は食べ物をおいしく食べるためのもの」
クー子「だから料理が美味しいのは当り前……」
ニャル子「いや、そうかもしれませんけど」
クー子「大丈夫。ニャル子の手汁が入った料理は、私にとって通常の三倍以上の価値がある……」
ニャル子「クー子の分はビニール手袋をはめて作ったのでご心配なく」
クー子「ひどい……」
ニャル子「その代わり真尋さんの方には愛情込めて一番搾りを注ぎ込みましたから――」
真尋「え゛っ……」
ニャル子「ああっ、嘘です嘘です! やだなーもう、冗談ですよぉ」
真尋「…………」
ニャル子「信じてください、真尋さん」
真尋「ったく、お前が言うと冗談に聞こえないんだよ」
真尋「おかげで食欲が一気になくなったぞ」
ニャル子「あう……すみません」
珠緒「…………」
真尋「珠緒?」
珠緒「あ、あーん……」
真尋「ちょっ、さすがにそれは――」
珠緒「だってせっかく作った料理、食べてもらいたいもん。ねっ、あーんしてっ?」
真尋「そんなことしなくたって、僕が珠緒の手料理を残すはずがないだろ?」
珠緒「そんなこと……」
真尋「ああ、いや違う! そういう意味じゃなくて、さすがにコイツらが見ている前では恥ずかしいと……」
珠緒「…………」
真尋「くっ――あ……あーん///」
珠緒「ふふふっ///」
ニャル子「んな゛っ」
クー子「ニャル子もあーん……」
ニャル子「あーん……って誰がしますかバカクー子ぉ!」
カポーン
真尋「まったくホテプの奴……せっかく一緒に暮らし始めたのに、なかなか珠緒と二人っきりに慣れないじゃないか」
ガラッ
真尋「!?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
ニャル子(なかなか隙を見せやがりませんね、珠緒さん)
ニャル子(でもまだまだ諦めませんよ、私は。ためらっていては愛ではありません)
ニャル子(押して押して寝取る……いや、取り戻すくらいの意気込みでなければ)
ニャル子(幸い珠緒さんは押しが弱い様子)
ニャル子(今のうちに真尋さんが入っているお風呂に突撃ですよ!)
ガラッ
ニャル子「んまっひろさぁ~~~~ん」
ニャル子「いつもニコニコあなたの隣に這い寄r……」
珠緒「にゃ、ニャル子ちゃん!?」
真尋「お、おお、お前っ、勝手に入ってくるなぁ!」
ニャル子「なぜ珠緒さんが先に這い寄っているですかぁ!」
珠緒「いやー……あはは。ちょっと真尋くんの背中を流しに……」
ニャル子「色仕掛けですか! それとも既成事実を作ろうってんですか!?」
真尋「お前じゃあるまいし……珠緒はちゃんと水着を着てるだろ?」
ニャル子(私は……私はいつから珠緒さんの押しが弱いと錯覚していた……!?)
真尋「だから、その、全裸のお前はさっさと出ていけ」
ニャル子「そんなぁ……珠緒さんは良くて私はダメなんですか?」
真尋「それ以前の問題だ!」
ニャル子「しかしお二人を残して行くわけには……」
真尋「はぁ……珠緒、僕の方はもういいから部屋に戻っててくれないか?」
珠緒「ごめんね、ゆっくりしてるところ」
真尋「ああいや、気持ち良かったよ」
ニャル子「気持ちよかった!?」
真尋「違うっ! 変な想像するな」
珠緒「/// 行こっ、ニャル子ちゃん」
就寝前
真尋「どうかな、僕の家は。すぐに慣れそう?」
珠緒「真尋くんがいるからかな、すごく居心地よくて、もう慣れちゃったよ」
真尋「それはよかった」
真尋「――で」
ニャル子「…………」
真尋「なんでお前が僕の部屋にいるんだ?」
ニャル子「そりゃーもちろん真尋さんの貞操をお守りするためですよ!」
珠緒「何もしないよぉ!」
ニャル子「真尋さんの入浴中に這い寄っておいて、そんな戯言が信じられますか!」
真尋「信じてくれよホテプ」
ニャル子「いくら真尋さんの頼みでも、こればっかりは信用できませんよ!」
ニャル子「若い男女が二人っきりで一夜を明かすなんて……不健全極まりないですよ!」
真尋「今まで散々這い寄っておいて何を言うか」
真尋「そもそも本当に、何もするつもりはない」
ニャル子「本当ですかねぇ」
真尋「僕たちは適当に付き合ってるわけじゃないんだよ。一時の感情に流されるわけがない」
ニャル子「ふぐぅっ……!」
ニャル子「なにもしないと言うなら、私もこの部屋で寝ていいですよね!?」
真尋「なんでそうなる……」
ニャル子「いいじゃないですか、ねえ珠緒さん!?」
珠緒「え? う、うん」
ニャル子「ほら!」
真尋「珠緒がそう言うなら、まあ――」
ニャル子「決まりですね。今日は三人で寝ましょう!」
クー子「ニャル子、それは間違い。正しくは四人……」
別室
ハス太「さーて、明日に備えてそろそろ寝よう」
ニャル子「なんでクー子がいるんですか」
クー子「そこはお察し……」
真尋「まぁ僕としてもクー子がいてくれた方が安心かな」
珠緒「布団はどうするの?」
真尋「コイツらが自室から持ってくれば三人分になるわけだけど……」
クー子「持ってくるのはひとつで充分」
クー子「私はニャル子の布団で一緒に寝るから、二人は少年のベッドで寝るといい」
ニャル子「そんなのダメに決まってんでしょーが! だったら私が真尋さんと寝ますよ!」
真尋「いやいや……」
珠緒「それはダメだよニャル子ちゃん」
珠緒「だから――私をニャル子ちゃんの布団に入れてもらえるかな」
真尋「そうだな、それが妥当だ」
ニャル子「しかたありませんねぇ。今日のところはそれで勘弁してあげます」
クー子「だったら私もその布団に入る……」
ニャル子「すみませんねクー子。私の布団は二人用なんですよ」
クー子「イジメ、ダメ、絶対」
珠緒「なんだか賑やかだね、真尋くん」
真尋「やれやれ……お前ら、夜中に騒ぐなよ?」
…………
……
真尋「zzZ」
クー子「zzZ」
クー子「……んあっ、ニャル子ぉ……ニャル子ぉ……!」
クー子「zzz」
珠緒「二人とも寝ちゃったね」
ニャル子「そうですね。珠緒さんは寝つけませんか?」
珠緒「うん。真尋くんの部屋だと思うと、ちょっと緊張しちゃって」
ニャル子「…………」
珠緒「…………」
ニャル子(なぜ真尋さんは私じゃなくて珠緒さんを選んだのでしょう)
ニャル子(私の方が真尋さんのことを好きなはずなのに。一目見た時から好きなのに……)
ニャル子(私が邪神だからでしょうか)
ニャル子「……珠緒さん」
珠緒「ん?」
ニャル子「珠緒さんは真尋さんのどこが好きなんですか?」
珠緒「どこって……全部?」
ニャル子「もっと具体的に挙げられませんかねぇ」
珠緒「そう言われても……なんとなく、かな」
ニャル子(なんとなく!? そんなんで真尋さんに選ばれたっていうんですか!)
珠緒「素直じゃないところが可愛いなって思ったりもしたけど、つき合ってからは真っ直ぐ向き合ってくれてる」
珠緒「性格は変わるものだし、見た目だって時間が経てば変わる」
珠緒「きっとそれでも好きでいられるから……やっぱり何となく、なんだと思う」
ニャル子「…………」
珠緒「ニャル子ちゃんは?」
ニャル子(そんな話を聞かされたら、一目惚れしたなんて言えないじゃないですか……)
ニャル子「ま、まぁ私もそんなところですかね、はは……」
ニャル子(認めないといけないのかもしれませんね、真尋さんと珠緒さんの仲を)
ニャル子(――多少は、ですけど)
…………
……
チュンチュン
真尋「…………ん」
ニャル子「でへへ……まっひろすわ~ん……zzZ」
真尋「うわっ、ホテプ。コイツなんで僕の布団に……」
珠緒「真尋くぅん……zzZ」
真尋「珠緒まで……」
クー子「んーっ、んーっ」
真尋「また縛られたのか」
クー子「」コクッコクッ
真尋「まったく、朝から普通じゃないな」
真尋「ほら起きろ、二人とも」
ニャル子「むにゃむにゃ」
珠緒「うーん……zzZ」
真尋「まぁ、気持ち良さそうだし、もう少し寝かせておくか」
真尋「さて、朝食でも作るとするか」
クー子「んーっ、んーっ」
真尋「今解き放ったらホテプに襲いかかるだろ?」
真尋「起こしたくないから、後で珠緒に解いてもらってくれ、じゃ」
ハス太「おはよう真尋くん」
真尋「ああ、おはようハス太。早いな」
ハス太「ニャル子ちゃんとクー子ちゃんが部屋にいないんだけど……」
真尋「アイツらなら僕の部屋で寝てるけど」
ハス太「え?」
真尋「だから、珠緒と三人で僕の部屋で寝てるよ。あ、クー子は起きてるか、一応」
ハス太「ほ、ちょっ――うぇっ……うおぇあ!?」
バターン!
真尋「ハス太ぁーーーーーーっ!」
ハス太「」ブクブク
真尋「さて、朝食ができたわけだけど」
ニャル子「いやー、相変わらず料理が上手ですねぇ真尋さんはー」
珠緒「ホント、美味しい……」
真尋「それはまぁいいんだけど……両側からくっつかれると食べにくいんだが」
真尋「ていうかさ、珠緒は怒らないのか? ホテプが僕にひっついてるのに」
珠緒「真尋くんが心変わりしたらニャル子ちゃんを選べばいいよ」
珠緒「誰がどうアタックしようと、私は振られるまで真尋くんの彼女として甘えるだけだから」
真尋「はぁ……ニャル子、お前も少しは自重しろよ」
ニャル子「珠緒さんの許可も下りたことですし、私は今まで通り真尋さんに甘え続けますよ」
ハス太「じゃ、じゃあ僕も――」
ニャル子「すみませんねぇハス太くん。この真尋さんは二人用なんですよ」
ハス太「そんなぁ……」
クー子「私もいつも通り、ニャル子に甘える……」
ニャル子「すみませんねぇクー子。このニャル子は真尋さん用なんですよ」
クー子「そんなのは関係ない……」
真尋「ちょっ、クー子! こっち側に四人も座れるか!」
クー子「少年までスネ夫くんみたいなことを言わないで欲しい」
ハス太「向かい合って一対四なんて酷いよぉ」
真尋「待て待て、何のためにテーブルに四つの辺があると思って――!」
ガチャン
ハス太「あ……」
クー子「ふぃー、ふぃー」
珠緒「吹けてないよ、口笛」
真尋「お、お前らなぁ……いい加減にしろぉーーーーーーっ!」
終わる