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暦「うそつきー!」 戦場ヶ原「あらあら仕方が無いわね」
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暦「うそつきー!」 戦場ヶ原「あらあら仕方が無いわね」
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神原「阿良々木先輩!BダッシュのBはBLのBだ!」
ショートSSです。
誤字脱字は許してください。
では、始まります。
先日の騒動の後、戦場ヶ原から公認の公認をいただき、前にも増して気兼ねなく神原と遊ぶようになった。
戦場ヶ原に特に断りもせず、普通の友達同士が遊ぶように。
そんな元気溌剌と遊ぶ僕に、戦場ヶ原から話があるので家に来るようにと呼び出しがあった。
「どうしたんだ?」
「受験勉強はしているのかしら?」
「ああ、一応は」
「そう。遊んでばかりじゃ卒業も出来なくなるわよ?」
「ああ、その辺も大丈夫。それより、何の話?」
「ねぇ、最近何か変ったと思わない?」
「え?何?僕の事?戦場ヶ原の事?」
「神原の事よ。ウサギの脳からスズメの脳に格下げよ、阿良々木君」
「はいはい」
「はいはい?チュンチュンと返事をしなさい」
「スズメの脳で人間の言葉が話せるだけ凄いと思え!」
「あら?今日は逆切れ?何か良い事でもあったのかしら?」
「別に何にもないよ」
「そう。では、続きを」
「神原のどこが変ったんだ?」
「そうね。なんて言うか、阿良々木君と遊んでいる時の彼女って普通すぎるわ」
「普通?」
「ええ、普通。普通の女子が男子と遊んでいて楽しそうにしている様で―――気持ち悪い」
「気持ち悪いってなぁお前。そりゃ神原だって女の子だし、ときめいたりもするだろ」
「ときめき……」
「ときめきと言っても、恋じゃないぞ!断じてそれは無い。遊ぶのが楽しいって言う意味だ」
もしかして、戦場ヶ原は僕と神原が遊ぶ事を快く思っていないのか?
「そんなに強力に言い訳しなくても良いわよ。別に疑っている訳ではないし。共に仲の良い兄妹みたいな感じよね」
「ああ、お前の言う白黒の話で言えば『浮気』の方。断じて、『本気』の方じゃない。勿論、遊び相手であってそれ以上ではないからな」
「そう。でもあの子、変だわ」
「だから、どう変なのか、僕には分からない」
「男子には分からないかも知れないけど、あの子から―――」
「神原から?」
「あの子から百合成分が欠落しているわ」
百合成分。
確かに、物事を成分比率で表現する事はある。
戦場ヶ原に関しては、悪意という成分が殆どだが。
「は?何その成分。全くよく分かりません。出来たらその成分の化学式でも書いて貰おうか」
「スズメの脳で化学式が理解できるとでも?」
「ごめん、普通に化学式が理解出来ません」
結局、なんて事は無い。
戦場ヶ原的主観で神原を見ると、以前とは違っていると云う事だった。
で、僕はその裏付けをするよう命じられる。
偶然と言うか、確定事項である月2回の神原部屋清掃日であった今日、その原因を僕は発見する。
僕は、戦場ヶ原の家を出て、その足で神原邸へ向かう。
「いつもすみませんね」と神原の祖母に挨拶され、神原の部屋に案内される。
案内される事も無いのだが、一応は他人の家なので形式的に。
神原の部屋の前で祖母と別れ、軽く扉をノックする。
「阿良々木先輩か?入ってます、何も入れてはいないが。というか、この部屋に鍵は無いのでどうぞ!」
相変わらず、端的に物が言えない奴だ。
「お邪魔するよ―――」
僕はそこで驚天動地というか震天動地というか、どっちも同じ意味だが非常に驚いた。
「なんだこの部屋は!」
僕がそこで見たのは、青々とした畳に整頓された本棚。
いつもBL本に囲まれた神原の寝床―――布団らしき物があった所にはベッドが置かれていた。
「こりゃ一体……何があった?」
神原は少し恥ずかしそうに話し始める。
前回の掃除の後、祖母が部屋に来て辛辣な一言を言ったらしい。
「いつまでも私達は生きていないし、かといって阿良々木さんも来るとは限らないよ」と。
まぁ、それは当たり前の事だし、誰が考えても分かる事。
ただ、そんな事で神原が気持ちを入れ替え、部屋を綺麗にするとは思えない。
「で?努力でもしたのか?」
「いやそうじゃないんだ、先輩」
「なんだ?」
「その……散らかすものが無い」
「無い?」
「ああ、ここにあった私の宝物は全部無くなった!」
「何で?」
「捨てられた」
「誰に」
「祖父に」
「いつ?」
「阿良々木先輩が掃除してくれた翌日。おまけにベッドまで来た」
「うーん……成程」
「一度読んだ本を、もう一度買うのは気が引ける。ここにあるなら読み返しもするのだが、態々買うのもどうだろうか?と思うのだ」
確かに、それは言える。
絶対に必要なものでない場合、無くしたりしても再び買う事などないのが普通。
で、読み物が無くなって成分が薄まったと云う事か!
「で、お前はこれでいいのか?」
「先輩的には?」
「そりゃ綺麗な部屋なら僕の労力も軽減されるし、問題は無い。ただ―――」
「ただ?」
「お前にストレスが溜ったりしていないかなと」
「先輩は本当に優しいな。あの時、死んでもいいから戦場ヶ原先輩から奪うべきだった」
「死んだら意味ねーよ!」
「まぁ、そういう事で最近は家に帰ってもする事が無いので、食う寝る以外は近寄らない様にしている」
「何か表現が違うような気がするが?」
「正直、あまり家に帰って来たくないのだ」
僕も大事にしていたポケモンカードを父親に捨てられ、プチ家出した事を思い出した。
「そうか」
「そうなんだ、阿良々木先輩」
「なら、新しい本を買えばいいんじゃないか?」
「それが……祖父から『次にこんな卑猥な本を買ったら小遣いはやらん』と言われた」
「おお!お前のところの爺さん婆さんも進歩したな。今までが甘すぎたんだよ」
「笑い事じゃない!このままじゃ私は死んでしまうかも知れない」
「それぐらいで死んだりするか!」
「唯一、気が紛れるのは阿良々木先輩と遊んでいる時だ」
「そうか。なら遊びに行けばいい。今からまた出掛けよう。その方がいい。だから―――」
「ん?」
「さっさと着替えろ」
「気がエロとは私に何を要求するのだ、阿良々木先輩!」
少々、神原の事が心配になった。
僕は一旦部屋から出て、縁側の廊下で神原が着替えるのを待つ。
いつものタンクトップ+パンツ一丁から着替えて出てきた。
「お、お前!何だよその格好!」
「え?駄目なのか?」
「駄目じゃないが、今日は晴れだぞ?それに、その合羽は僕のトラウマを刺激する!」
神原は僕を襲った時の雨合羽姿で登場した。
「あはは、ほんの冗談だ。直ぐに着替えてくる」
神原は部屋に戻り、2分後には着替えを完了して出てきた。
「は、早ぇ」
「そりゃそうだ阿良々木先輩。先程の合羽の下には何も着けていなかったからな」
神原から変態成分は微塵も失われていなかった。
というか、百合成分が薄まった分、その他の成分が増量しているのではないだろうか?
下手すると、今まで取れていたバランスが崩壊し、酷いキャラになるかもしれない。
「どうした?先輩」
「あ、いや。何でもない」
神原もまた、うちの火憐と同じく、私服を着れば可愛いのにジャージや制服を普段着にしたがる。
まぁ、火憐に比べれば私服を着ても……おっと、兄馬鹿だな。
今日の神原は、黒いタンクトップに白いシャツ、カーゴパンツにスニーカーという僕が着てもおかしくない井出達だった。
「今日は帽子を被らないのか?」
「先輩は帽子萌えなのか?」
「なんだ、その萌えは!最近、なんでも萌えを付ければいいって風潮はけしからん!」
「何を言う、先輩。帽子萌えは立派なジャンルを確立しているぞ」
僕の知らない所では、ちゃんと確立されていたのか。
「朝、小学生が黄色い帽子を被って登校する姿、萌え以外の何ものでもないだろ?」
全く意味が分からない。
というか、八九寺に黄色い帽子を……むふふ。
「どうした先輩、顔が変だぞ」
「あ、いや。すまん。帽子萌え、確かに確立されていそうだ」
「ああそうだろ。ちなみに今日のこの格好に合う帽子が無い。もし、合いそうな帽子があるならプレゼントしてくれたまえ」
神原の日本語は非常に丁寧だが、何故かムカつく時がある。
素直に甘えて「買って頂戴」と言えないのだろうか?
さて、今日はどこに行こうか?
「とりあえず、お茶でも行こうか?」
「いいですよ。お店は阿良々木先輩に任せます」
「なら、ファーストフードでいいか?マックに行こう」
ハンバーガーでも食べながら、今後の対策について考えるとしよう。
僕らが家を出て、マックに向かおうとした時、僕の足が止まる。
正確には止められる。
物凄い力で、その方向への歩みを阻止されている。
「ん?先輩どうした?」
「いや、なんでもない」
「行きますよ」
「ああ」
しかし、一向に足が地面から離れない。
「どうしたんですか?」
「どうも僕の足はそちら側に行くのを拒んでいるようだ」
「おかしな事をいう先輩だな」
神原は僕の手を取り、思いっきり引っ張る。
が、それでも足は動かない。
「あれ?どうしたんだ?何か……」
「いや心配するな神原、原因は分かっているから」
「どうすれば離れる?」
「とりあえず、神原。ハンバーガーはやめて、ドーナツにしないか?」
「え?別に構わないが。阿良々木先輩がそれで良いと言うなら」
「ああ、助かる。ドーナツ屋の方へ歩いてくれ」
神原がマックからミスタードーナツの方へ方向転換すると、僕の足は地面から離れた。
(そう言えば、最近忍にも構ってやってないな)
「おお、足が離れた!先輩、それは何と言うマジックだ?」
「マジックじゃねえよ。超常現象の類だ」
「ほー、凄いな。流石、阿良々木先輩だ」
「別に褒められても嬉しい事じゃない」
僕達はそんな話をしながらミスタードーナツを目指す。
神原は相変わらず馴れ馴れしく、僕の腕にしがみつく。
これが学校の中で、結構な噂となっている。
『2年の神原さんがバスケ部を辞めたのは男が出来たから』
『その男は、3年の戦場ヶ原さんとも二股を掛けている』
『その男に揉まれると乳が大きくなる―――らしい』
などなど。
ちなみに、一番最後の情報源だけは特定できている。
そんな事よりも、3年にもなって学校で噂の渦中に身を置くとは思いも寄らなかった。
店に到着し、適当に頼み、適当な席に座る。
「先輩、そのドーナツの量はなんだ?箱2つとは?」
「ああ、気にするな。一つは居候の分。一つは戦場ヶ原への土産だ」
「この後、戦場ヶ原先輩の所に行くのですか?」
「そのつもりなんだけど」
「私も御一緒していいか?」
「ん?ああ、問題は無いと思うが、一応聞いてみる」
僕は電話を取り出し、戦場ヶ原へ架ける。
「―――という事なんだが、いいか?」
答えは自由選択だった。
「別に来てもいいわよ。その代り、私の前でベタベタしない様に。それは本気と見做して―――」
本当に困った人だ。
鵜呑みにすると後で酷い目に逢う。
かと言って、疑って構えるとその事を責められる。
「とりあえずOKみたいだ。食ったらいくか?」
「はい!」
少しの時間、僕は神原と他愛もない世間話で時間を過ごす。
で、さっき買ったドーナツの箱を神原が見ていない隙に足元の影に落とす。
影の中に箱が吸い込まれ消えて行った。
(これこそマジックだな。これで一財産築けそうだ)
「さて、戦場ヶ原のところまで競争して行くか」
「何!先輩、私に走りで勝負を挑むのか?」
「まぁ、ハンディを貰うからな」
「まぁ、多少のハンディなら致し方ない。では、その条件を聞こうか」
僕はドーナツの箱を神原の頭の上に乗せる。
「先輩、これは何の冗談だ?」
「その箱に触ってはイケないぞ」
「何?」
「それは戦場ヶ原へのお土産だ。落とすなよ。落とすと戦場ヶ原に怒られるぞ、嫌われるぞ」
鬼畜的発想をする男がいた。
勿論、僕だった。
「これでは走れないじゃないか!阿良々木先輩」
「ああ、そうだ。だから競争になるんだよ」
「何?」
「走らなければ勝負になる、だから競争を挑めるって事だ」
「成程、阿良々木先輩は頭がいいな」
神原もまた、うちの火憐と同じで非常に素直で単細胞だった。
神原は頭の上の箱を落とさない様に、千鳥足で戦場ヶ原邸へ向かう。
その姿が余りにも可笑しく、人目を集め過ぎたので途中で競争は止めにした。
面白さも度が過ぎれば、ただの虐めだからな。
戦場ヶ原の家に到着し、そのまま上がり込む。
「あら?もうきたの。お帰りなさい」
「いつからここが僕の家になった?お帰りなさいだなんて、照れるじゃないか」
「勘違いしないで。高貴な私が下衆な阿良々木君と住むなんて有り得ないわ。今すぐ『お帰りなさい』阿良々木家に」
「そっちの意味でかよ!」
ツッコミながら僕はドーナツを戦場ヶ原に渡す。
「こんな物で、私の処女を得ようだなんて、卑劣ね」
「お前、本当に大丈夫か?」
「悔しいわ。以前なら『流石童貞、物で釣ろうとしているのね』と言えたのに」
「やっぱり、今でも怒ってる?というか、気にし過ぎだろ!」
「気になんてしていないわ」
「ふーん、そうか」
「ええ、そうよ。で、今日は何の用かしら?」
「ああ。報告に来た」
「何の報告かしら?」
「えっと……」
この時、僕に悪意が芽生えた。
「実はな、童貞を卒業した上に、複数の女性と関係をもった事を報告に来た」
「それはどういう事かしら?」
「いや、神原相手に頑張ったと―――」
その瞬間、僕の先頭部にコンパスが突き付けられた。
「それは浮気かしら、本気かしら?返答次第では貴方にもドーナツになって貰うわ」
目が本気だった。
少し調子に乗り過ぎた。
「ごめん、全部ウソです。許してください」
神原の方に目をやった途端、
「戦場ヶ原先輩、今のは阿良々木先輩が勝手に作った冗談です、私は関係ありません!」
保身に走る神原。
「そういう冗談は好きじゃないわ。まぁ、今回はこれぐらいで―――」
コンパスの針が軽くおでこに当る。
「コン」と音がして。
「いて!」
赤い点から少しだけ血が落ちた。
僕の影の上に。
その血は跡かたもなく、ドーナツと同じように吸い込まれ消えた。
「あら、ごめんなさい。引くつもりが押してしまったわ」
そう言いながら、戦場ヶ原はタンスの上の薬箱から絆創膏を取り出し、僕のおでこに貼ってくれた。
別にこのぐらいのキズ、絆創膏なんて要らないのに……
が、よく見たらテープの部分が眉に掛っている。
「剥がす時は―――私が剥がすから」
戦場ヶ原に勝負を挑む時があるなら、全身の毛を剃り挑まなければならないと、僕は確信した。
「で、本当の話は何?」
「ん、あのな……」
何かを察した戦場ヶ原は、神原にコーヒーを入れる様に指示する。
神原もそれにしたがい、台所へ向かった。
「成分の件だが」
「あの件ね」
「実は―――」
僕は今日、見聞きした事を全部話す。
「そう。それが原因だったの」
「どう思う?」
「どうもこうもないわ。理由さえ分かればそれでいいの。御苦労さま」
「おい、それは無いんじゃないか?本人も少し参っているみたいだし」
「別に何の問題もないわ。というか、そういう不埒な世界から足を洗うと言うのはいい事よ」
確かに、戦場ヶ原の言う事は一理ある。
女子として、普通に男女間の恋愛に興味を持ってほしいと言う、戦場ヶ原の先輩として、姉貴分としての願いだろう。
「そっか。それならこの件は終わり。また何かあれば報告するし、相談する」
「ええ、そうして頂戴。一応、釘を刺しておくけど、普通の恋愛に目覚めたからと言って、相手が貴方であった場合、双方共切り捨てるので」
「分かってる。僕はその……戦場ヶ原一途だから」
「ふーん。三途の川に何度も足を運んだ人がよく言うわ」
「そのうちの半分は、お前が行かせたんじゃないか?」
「あら?タダで旅行が出来てありがたいと思いなさい」
本当にこいつは恐ろしい。
あの世行きのフリーパスを無尽蔵に持っていそうだし。
話を終える頃、神原がコーヒーを入れ戻ってきた。
「どうぞ」
神原が淹れたコーヒーを僕と戦場ヶ原が口にする。
そして、二人して吹き出した。
塩味のコーヒーだった。
「ミルクが綺麗に渦を描いたろ!」
そんなツッコミも、苦虫を噛み潰した顔をする戦場ヶ原の前では何の意味もなかった。
「神原、砂糖と塩の違いが分からないだなんて―――少し修行が必要ね」
先に帰された僕は、その後神原がどんな修行をしたのか、知る由もなかった。
火憐&月火
(略)

翌日放課後
「阿良々木先輩。因幡の白ウサギって凄いな」、校門前で待ち構えていた神原が話しかけてきた。
「ん?どうした?」
「いやー、塩って凄い」
何が凄いのかその文からは把握できなかったが、昨日の事を思い出し何となく理解した。
「今日もどこかに行きましょう」
一応受験生な僕を遊びに誘う神原。
まぁ、息抜き程度なら構わないが……
「で、今日は何をしたい?」
「なんでも。阿良々木先輩と居られるなら」
その発言は本当に恐ろしい。
頼むから、一線は越えないでくれよ。
とりあえず、校門を出て街へ向かう。
相変わらず神原は僕に馴れ馴れしくし、他の学生の視線を集める。
少し離れてくれないと、僕が死線を彷徨うことになる。
若しくは神原が四川あたりに売り飛ばされるかもしれない。
と!その時だった。
視線の遥か先に、ツインテールの小学女子を発見する。
(八九寺!)
髪型、服装、リュック。
どれを取っても間違いなく八九寺。
が、いつものように背後から忍び寄り抱き付けない。
何せ、今僕の横には神原がいる。
100m程先を歩く八九寺に、僕達は少しづつ近づく。
手が届く距離まで来た時―――
「阿良々木先輩、この子の髪型可愛いね」と神原が言った。
「ああ、そうだな」
と言った所で、僕も振り向いた八九寺も驚く。
「え!」
「ええー!」
「阿良々木さんが褒めるなんて地球の終わりの始まりです!」
「いや、驚くのはそこじゃねぇ!」
「ああ、いきなり抱きつかなかった事にでした」
「違うだろ!」
「ん?阿良々木先輩はこの子と知り合いなのか?」
見えている。神原には八九寺が見えている。
何かを察したように八九寺の動きが変る。
少し身構えたように見えた。
「阿良々木先輩、この子は?」
「ああ、僕の知り合いで八九寺。八九寺真宵って言うんだ」
「へー。八九寺ちゃんか。宜しくな」
「私、あなたの事が嫌いです」
八九寺は自分の任務を忘れてはいなかった。
「嫌われていますね。私は何かしたか?阿良々木先輩」
「いや、こいつはこういう反応をするんだ。初対面の人には」
「阿良々木さんには30回以上遭遇していますが、今でも嫌いです」
少し落ち込んだ。
確かに嫌われてもおかしくない事を何度となくやっているからな、僕は。
「はは、しかし可愛い子だな。幾つなの?小5って書いてあるから11歳か」
神原は八九寺に構おうとする。
それ以上すると噛み切られるぞ……
「止めてください!」
頭を撫でようとした神原を拒む八九寺。
が、神原の動きは早く、既に右手が八九寺の頭を撫でていた。
「止めてください!」
が、神原は―――
僕以上の動きで八九寺を撫でまわす。
「ああ、可愛い。何故にこんなに可愛いのだろうか?持ち帰って家で色々分解してみたい」
危ない発言の神原に、珍しく僕に助けを請う八九寺。
「その辺で止めておいてやってくれ、神原」
僕に制止され、ようやく神原は手を止めた。
止めた手は既に八九寺の制服の中、胸のあたりにあった。
(僕でも生触りはしていないのに!)
少しショックだった。
「な、な、なんですか、この女装した変態は!」
八九寺は憤りを超えて、放心状態一歩手前で僕に質問する。
「えっと、僕と戦場ヶ原の後輩。神原駿河って言うんだ。一応女子だ」
「そ、そうですか」息を切らしながら、距離を取る八九寺。
「ごめんな、神原は百合でロリでBL嗜好なドMストーカーな上、露出狂でエロ奴隷で、最近まではゴミ屋敷住人でもあったので、お前みたいなのに弱いんだ」
「阿良々木さんの御友人はそんな人ばかりですね!」
「そうか?羽川なんて結構普通だと思うが?」
「え?」
八九寺が驚いた。
「あの人が普通だなんて!どう見ても委員長キャラを作り上げている淫乱妄想電波ドSでしょう!」
なんて事を言うんだ!
忍野ですら、委員長の中の委員長と太鼓判を押したのに!
「で、この痴女さんと阿良々木さんは何をされているのでしょうか?」
「放課後暇なので、ぶらぶらしていた」
「イヤラシイ。ブラブラさせるのを自慢するなんて!」
「おいおい、お前も大丈夫か?八九寺」
「どうせするなら、ラブラブしてください」
それは殺されるので無理だ。
「ちなみに私はブラはしていない。もちろん下もだ!」
神原は色々と間違ってるよな、やっぱり。
そんな馬鹿な話を延々とやって、小一時間過ごした。
まぁ、最後は八九寺と神原は結構仲良くなったけど……
お互い、話せば共通の話題があるようで、僕は少し蚊帳の外みたいな感じだった。
八九寺と別れた後、神原邸経由で家に帰る。
「阿良々木先輩、今日は有難う。本当に気が紛れたよ」
「ああ、そりゃ良かった」
「特にあの八九寺ちゃんに会えたのは本当に良かった」
「お前ら、気が合いそうだな」
「女子同士、男子には言えない話も出来ました」
「お前、そんなに男女区別して話すか?」
「趣味の世界だけは別なのだ」
「そうですか、そうですか。ご自由にどうぞ」
今日付けで、僕の心の中の『可愛い女子ランキング』から八九寺の名前が消えた。
その代り『駄目な奴ランキング』にランクインした。
家に入る神原を見送る。
少し寂しそうだった。
帰っても自分の好きなモノが一つもない状況だから。
だから、八九寺に出会えたんだな。
まぁ、そのうち見えなくなればいいな。

火憐だぜー!
月火だよ!
今回は兄ちゃんが結構まともで妹として安心だぜ
だよね、お兄ちゃんが暴走すると……ハラハラするもんね
だよな、兄妹とか思われるの嫌だもん
でも、火憐ちゃん今回も名前だけ出てるね
ああ、馬鹿にされてるけどな
いいじゃない、褒めれててるし
そ、そうか?
私なんか、予告だけだよ?いっぺん作者を鉈で(ry
あーもう時間!じゃまたー!
次回「するがモンキーその六」
数日後、教室で戦場ヶ原と羽川と話し込んでいると、見慣れない女子が教室の前で呼んでると、クラスメイトが報告に来た。
「あら、ハブラギ君にお客様だなんて」
「僕はそんなにハブられていますか!」
「誰だろ?見た事無いわね。下級生かしら?」
羽川の推察通り、その女子は1学年下の女子で、神原のクラスメイトであった。
話を聞くところによれば、ここ数日神原が学校を休んでいるらしい。
確かに、全然会わなかったし、校門で待ち伏せもされなかった。
とりあえず話を聞いた僕は、心当たりが無いとだけ伝えた。
「と、言うことらしい」
僕は席に戻り、一部始終を話す。
「てっきり新しい彼女かと思ったわ」
戦場ヶ原のコメントは返事がし辛い。
「神原さん、何かあったの?」
羽川が心配そうに聞く。
「いや、多分風邪じゃないか?理由は良く分からないけど、一応、学校には連絡して休んでいるそうだ」
「そう。神原が風邪ね。それは阿良々木君が東大に合格する様な物ね」
「は?」
「どっちも有り得ないって事」
「そうまで言ったら阿良々木君が可愛そうよ」と羽川が助け舟を出すが、戦場ヶ原は鼻で笑ってあしらった。
「今日、学校が終わったらちょっと見てくる」
「ふーん。最近、神原の事にえらく御執心ね」
「いや、そういう訳では……」
「私が学校を休みがちだった時にはそんな素振りも見せなかったのに」
「おい!その頃のお前は完全に他人を排斥してただろ?」
「そうかしら?私はずっと声を掛けてくれるのを待っていたのよ?阿良々木君」
「あー暑い暑い!もう好きにしちゃって!」
羽川は、僕と戦場ヶ原の夫婦漫才に飽きたのか、自分の席に戻ってしまった。
「とりあえずお前も来いよ」
「いやよ」
「なんで?」
「面倒だし」
「面倒って……」
「何かあったとしたら、それは神原自身の問題か、阿良々木君との問題でしょう。私がそこに割って入る余地なんて無いわ」
正論の様で正論でないような気もするが……とりあえず、僕だけでも行ってみる事にした。
神原邸
門をくぐり、玄関を開け、声を掛ける。
奥から、神原の祖母が出てきた。
「こんにちは。駿河さん、大丈夫ですか?」と尋ねると、祖母は少し俯き加減に答えた。
「それがね。いくら呼んでも返事をしないんです。かと言って、食事を取らない訳じゃない。いつもの倍は食べるんですよ。なのに、学校は休むと……」
「ちょっと上がらせて貰っていいですか?」
「ええ、どうぞ」
僕は、家に上がらせて貰い神原の部屋へ向かう。
いつものようにノックする。
が、今日は返事が無い。
「神原、居るんだろ?僕だよ、開けていいか?」
その問いかけに、何か慌てたかのような物音がした。
しかし、返事は無かった。
「おい、神原。いるんだろ?皆、心配してるぞ。顔ぐらい見せてくれよ」
少しの沈黙の後、神原が返事をした。
「阿良々木先輩、すまないが帰ってくれないか」
「なぁ、どうしたんだよ?健康優良児代表みたいなお前が学校を休むなんて」
「なんでも無い。少し体調が悪いだけだ」
「それなら医者に行ってみないか?それとも―――左手の調子が悪いのか?」
僕は、脳裏に神原の左手が何か起きているのではと訝った。
が、神原はその件に対しても
「腕はいつもと変わらない。ただ少し気分が優れないだけなんだ。だから先輩、帰ってくれ」
言い訳、のち沈黙。
また静まり返った部屋の前で、僕は禅問答の如く神原に話しかける。
が、その日はそれ以上の進展は無かった。
これ以上神原を責めても、本当に精神的な病の場合は追い込む事になるので、僕は諦めて帰る事にした。
ただ気になるのは……
鍵の無い神原の部屋の戸が開かなかった。
恐らく中から閂の様な物をしているのだろうか?
ちなみに祖母に聞いたように、食事だけは確実に食べている。
一つも残さず、ペロリと。
なので、体の心配はなさそうだ。
あとは……やはり本を捨てられた事で少し参っているのかもしれない。
僕は一つ閃いたので、明日実行する事にした。
翌日、学校帰りに戦場ヶ原に声を掛ける。
「どうしたの?阿良々木君から下校時に声を掛けるなんて何かあったのかしら?」
本当にこいつは白々しい。
何でもお見通しの癖に。
「言っとくけど、私は今回の件、全く関係ないので何も協力しないわよ」
「そんな言い方しなくてもいいじゃないか?」
「神原が休んだぐらいで、阿良々木君が色々と気を揉むのもどうかと思うんだけどその辺はどうなのかしら?」
「お前、僕達みんな友達じゃないか!」
「友達?あら、私と阿良々木君もお友達に成り下がってしまったのね。やはり、私より若い神原がいいのかしら?」
僕はその時やっと気が付いた。
嫉妬。
戦場ヶ原は嫉妬している。
神原と遊んでもいいと言ったが、後悔しているという様な状況だろうか?
確かに、神原と遊び過ぎた感はある。
しかし、それは公認と言う形で―――
あっ……
僕が馬鹿だった。
鵜呑みにした僕が馬鹿だった。
公認だからといって、戦場ヶ原に断りもせず、報告もせず遊んだ事が原因だろう。
僕は素直に謝った。
が、結果はスルーされただけだった。
別に怒ってなどいないと言う。
今後も、一々報告などしなくて良いとまで言われた。
だからって、僕等の関係が壊れてしまう訳でもないらしい。
じゃあ、なんでそんなに拒むんだ?
「阿良々木君、今回の事は怪異でもなんでも無くて、神原自身の問題なのよ」
「それは分かってる」
「なら、彼女自身が自分で何とかしなきゃダメなんじゃないかしら?あまり甘やかすとあの子の為にならないわ」
「そ、そっか…」
確かに、言われてみればその通りだ。
僕達は、怪異がらみでは―――忍野の言葉を借りれば勝手に助かったが、その行動の中に少なからず誰かの力を借りた。
今回の神原の件は、誰かの力でどうにかできる物じゃないというのが戦場ヶ原の意見。
「でも、彼氏が困っているのに、それを放置するのは私の気が引けるし、阿良々木君を助けられるのなら、多少の尽力は惜しまないわよ?」
そこまで言うんだったら、最初から協力しろよ!
やっぱり、神原と遊び倒したのが癪に障ったようだ。絶対にそうだ!
謝って正解だったな。
「で、どうすれば神原の機嫌が良くなるのかしら?」
「それだけど―――」
「阿良々木君、本気?」
「ああ。一応真面目に考えた」
「ふーん……本当にその為だけなの?」
「ああ、そうさ」
「写真でも撮って、私を強請ろうと思ってるんでしょう」
「そんな事しねぇよ!」
「そう。分かったわ。では、一度家に帰って着替えましょう」
一旦、戦場ヶ原の家に行き、戦場ヶ原が着替えるのを待つ。
着替えて出てきた戦場ヶ原の姿は―――
髪を三つ編にし、かわいらしいブラウスに地味なロングスカートにショートブーツ。
何より、伊達メガネという格好で、正直どこかの委員長かと思った。
「一応、これは変装だからね。あと、私がそこに居る間、あなたの携帯は預かるから」
僕が戦場ヶ原にお願いしたのは、神原の好きなBL本を買って来て貰う事だった。
僕がお店に行って買えばいいことだが、流石に99%女性の店内に足を踏み入れるのは躊躇した。
そもそも店の名前が『乙女書店』の段階で、男子禁制だろう。
『早乙女書店』なら入店する事は出来ただろうが。
「ところで阿良々木君、何故お店の場所まで知っているのかしら?」
「ああ。何度と部屋の掃除をしている時にブックカバー見て覚えてたんだ」
「そう。てっきり阿良々木君もここで本を購入しているのかと思ったわ」
「購入出来るんなら、既に買ってるよ!」
「それもそうね」
「じゃ、買ってくるわ。ここで待って居て頂戴。間違っても出入りする私を写さないでね」
と念を押された。
携帯は預かって行くと言ってたが、
「店内で恐ろしい目に逢いそうになったら電話を鳴らすから直ぐにきて」
と言う事で、取られずに済んだ
本屋で危険もないだろう。
例え、特殊な趣味の人でも、一応は自制するだろう。
が、戦場ヶ原が入店して20分が過ぎた辺りから、少々心配になってきた。
一向に出てくる気配が無い。
かと言って、店の中は外から殆ど見えない。
心配になって、一度電話してみた。
「もしもし?」
「はい、何かしら?」
「大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。今、新刊とやらを販売しているコーナーに辿りついたので、今から選びます」
「了解」
僕は一安心して、電話を切った。
手持無沙汰なので、自販機で缶コーヒーを買い、それを啜りながら携帯のゲームで時間をつぶす。
で、さっき電話してから1時間が経った。
おかしい……
何かあったのだろうか?
もう一度戦場ヶ原に電話をする。
「もしもし、何かあった?」
「ええ、あり過ぎてどれを選べばいいか分からないわ」
「えっ……」
「今、いいところだから後でね」
切られた。
どうやら、戦場ヶ原は新刊コーナーの本を片っ端から読み漁っているようだ。
それから30分ほどして、紙袋を抱えた戦場ヶ原が出てきた。
「買ったわ」
「御苦労さま」
「ええ、本当に凄く苦労したわ」
「えっと……本が多くて?」
「いえ、内容が濃くて。つい読み耽ってしまったの」
「目覚めんなよ!」
「まぁ目覚めるのは別として、ああいうのも悪くないわね。神原には先見の明があったのかしら」
短時間の間に、戦場ヶ原が毒されている。
恐るべしBLの世界。
「阿良々木君も読んでみる?」
「いや、結構」
危うく、危ない世界に連れて行かれそうになった。
そこからバスに乗り、神原邸へ。
というか、このバスの距離をあいつは走って行ってたなんて、ある意味凄い。
家に到着し、いつものように上がり込む。
しかし、前日と同じように神原は殆ど話をしてくれない。
そんなやり取りの最中、僕より短気な戦場ヶ原が先に切れてしまう。
「神原。いい加減に開けなさい。貴方の為に変装までして本を買いに行った私を愚弄する気?開けないと―――」
戦場ヶ原が、扉に蹴りを入れる態勢を取った時だった、閂が外れる音がした。
「すみません」
神原は小さく謝りながら、扉を開けた。
部屋の中は相変わらず綺麗だった。
「で、どうしたんだよ?」
「いや、まぁ、色々と考える事があって―――」
「神原。貴女の猿並みの脳で何を考えたのかしら?」
おい!流石に猿は拙いだろ!
「はい、ごめんなさい。あの、私は、その、何が好きなのかなと」
「こういうのでしょ?」
戦場ヶ原が本を差し出す。
「いえ、もうそういうのは……」
BL本を渡されても全く反応しない神原。
何があったというのか!
「神原。あのね、貴女が何を好きになろうと私は構わないわ。
でもね、貴女が学校を休むと阿良々木君が心配して、うわの空で、
そんな阿良々木君を見るのが私には辛いのが分かる?」
うんうん。
え?
何今の?
「はぁ……」
「で、今は何にのめり込んでいる訳?」
「あ、いえ、別に」
「そんな事無い筈よ。何かに夢中になっているから学校に来ていないのでしょう?」
「そんな事はないです」
「そうかしら?あなたと私の付き合いは長いとは言えないけど、それなりよ。
だから貴女が何を考えているか多少なら分かるわ。
今は、新しい楽しみを見つけて耽っているんでしょ?違う?」
なんだか怖いやり取りだった。
戦場ヶ原が神原を詰問している時だった。
「コトッ」
何かが倒れる音がした。
「ん?」
「あ、なんでもないです、なんでも」
「神原?私に言えない事って何かしら?」
「べ、別に何も隠していません」
「隠しているのね」
「あ、いや……あの……」
僕は神原の部屋の中を歩きだした。
そんな僕を神原は目で追う。
「神原、こっちを見なさい」
と、戦場ヶ原のきつめの問いかけにも目を逸らさない神原。
「阿良々木君、押し入れを開けてみて」と戦場ヶ原に言われ、押し入れの取っ手に手を掛けた時だった。
神原がこっちに突っ込んできた!
鬼の様な形相で!
「そこは!駄目だ!」
が、次の瞬間、神原は青い畳に突っ伏し、動かなくなった。
戦場ヶ原が神原の足を引っ掛け、おまけに腕組みした状態で踏みつけていた。
「さぁ阿良々木君、今のうちに」
僕は恐る恐る押し入れの戸を開ける。
そこで見たのは―――
黒
駒
作者:入浴
赤
駒
まだパンツもはいてない
可愛い男の子だった。
猿ぐつわをされ、両手足を縛られた男の子。
いや、正確にはどこかで見た事のある子が男装していたと言うべきか。
猿ぐつわされていたその子の口元を解放してあげると、開口一番――
「阿良々木さん!阿良々木さんのお友達は変態だと思ってましたが、犯罪者でもあるんですね!死ぬかと思いました!」と激しい口調で捲し立てる。
「お前こそ、こんな所で何やってんだよ!八九寺!」
「うーうー」
怒りとベソを表現しながら、『八九寺』はその場にへたり込んでしまった。
「阿良々木君、その可愛い生き物は何かしら?どこかで聞いた事のある様な名前だけども、阿良々木君の仲間?」
「ああ、まぁ詳しい事は後にするとして、お前もよく知っている子だ。覚えてないか?」
「ん?八九寺?あー。あの子ね。あの子が何故ここに居るのかしら?」
「それは今から聞いてみるとする」
僕は突っ伏した神原の背中を軽くたたく。
「おい、神原!神原!起きろ!」
僕は神原を起こす。
「うわー!見つかった!見つかってしまった!これで私は犯罪者として警察に捕まる!」
神原は半狂乱で泣き叫ぶ。
「大丈夫だから!大丈夫だ。警察には言わないから、事情を説明しろ」
散々喚いた揚句、警察に言わないと言った途端、神原が冷静さを取り戻す。
「本当に?」
「ああ、言わないから」
そして、粗方の事情を説明しだした。
「朝、学校に行こうとしたら八九寺ちゃんと逢ったので、そのまま家に連れてきてご飯を食べさせたら――」
「食べさせたら?」
「あまりにも可愛かったので、その……」
「その、なんだよ!」僕は強めに問いただす。
「あの、可愛かったので部屋で着せ替えしてしまいました」
「はぁ?」
「それだけ?」
「はい、それだけです」
「じゃあ、なんでこんな事になってるんだ?」
「あの、それは先輩達が来たので、慌てて隠そうとして……」
「猿ぐつわか」
「はい」
「馬鹿だろお前!」
「すみません」
「阿良々木君、よく話が見えないんだけど?」
「まぁ、悪く言えば誘拐や連れ去りの類。ただ、八九寺と神原が面識があって、なお且つ八九寺が餌に釣られてホイホイついてきただけの事だ」
「犯罪ね」
「いや、八九寺は怪異だから、犯罪にはならないだろ?」
「ああ、そうね。私とした事がうっかり」
「え?怪異?」その言葉に神原が反応する。
「ああ、そうさ。八九寺は怪異。迷い牛というカタツムリの怪異だ」
「そ、そんな……」
「だから、犯罪は成立しないが、これが普通の子供だったら、お前今頃大変だぞ」
「ううう……」
「それから、八九寺。お前もご飯ぐらいで釣られるな!この馬鹿!」
「ご、ごめんなさい。でも、神原さん、ずっと優しかったし」
「そりゃ危害は加えないだろうけどさ」
「まぁ、いいんじゃない?阿良々木君。誰も不幸にならなかった訳だし」
「ん、まぁ」
「それに、今回の件で私も楽しい思いが出来たから」
おい!本屋の思い出は忘れてください!
「それよりも……八九寺、お前のその男装、似あい過ぎて怖いぞ」
「褒められました!」
「褒めてない!」
結局、この数日間、神原と八九寺は部屋の中で着替えたり、サブかカルチャーについて話したりして遊んでいたらしい。
今日も男装して遊んでいたら僕達が来て、どうしても部屋を開けろと言うので隠したと言う訳。
やれやれ。
今回のオチ
結局、八九寺は神原家に居着く事に。
ご飯が食べられるのでとか。
仲の良い事だ。
但し、神原的にはそうすると、家に帰りたくなるので八九寺が見えなくなってしまう可能性はある。
それでもと言うので、僕はそれ以上何も言わなかったし、聞かない事にした。
あと、八九寺は男装に目覚め、神原はショタ要素が強くなった。
その他諸々、成分比率が変だと思い、心配になった僕は、神原の祖父に掛け合い、多少の購読については目を瞑って貰えるよう話をした。
ということで、今日は新刊を買いに行くらしい。
「阿良々木先輩、ちょっと行ってきます」
「ああ、気を付けてな!」
「大丈夫です。Bダッシュで行きますから!」
「前から思ってたんだけど、BダッシュのBって何?」
「阿良々木先輩!BダッシュのBはBLのBだ!」
はは、そうですか。
あと、僕にも問題が発生していた。
「なぁ、戦場ヶ原、一つ聞いていいか?」
「何?小汚い非童貞が綺麗な処女様のプライバシーに何か興味でも?」
やっぱりまだ気にしてる!
「あのなー。それより、お前、八九寺の事、見えたよな?前は見えなかったのに」
「ええ、サスペンダー付き短パン姿を見たわよ?」
「あいつさぁ、家に帰りたくないと思うと見えてしまう怪異なんだよ」
「……」
「お前、家でお父さんと何かあった?家に帰るのが辛いのか?」
「阿良々木君、父とは今でもいい関係よ」
「そっか。でも家に帰りたくないんだろ?」
「ええ」
「それが気になってさ」
少しの沈黙の後、戦場ヶ原が言った。
「だって、阿良々木君の居ない家に帰るのは嫌なのよ」
「え?」
「阿良々木君がいないとs寂しいのよ。出来たら一緒に住みたいのよ、処女にこんな事言わせないで!」
ドロッた!
戦場ヶ原がドロッた!
結局、この話が元となって、高校卒業後、僕達は一緒に住む事となった。
同棲ではなく、戦場ヶ原が僕の家に下宿という形で。
その話はもっともっと先の話だけど。
おわり
136 : VIPに... - 2010/09/06 20:12:47.19 X44hR6Mo 41/41>>84さん
ネタ案、有難うございました。
大した内容ではなかったですが、喜んでいただけたでしょうか?
嫉妬する戦場ヶ原さんへの布石は、少しだけ打ったので時間があればまた。
ここまでありがとうございました。
パンツ履いてきます。

