6 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 19:56:06.28 YfYBGXBo0 1/80

「ってうわぁあああああ!!?」
 
月火「」

「月火ちゃん……月火ちゃん!!」
 
月火「」
 
「な、なんでベットの上から自分の髪で宙ぶらりんなんだ!?しかも、おもいっきり首に巻きついてるし!」
 
「って悠長に驚いてる場合じゃない!!速く助けないと……!なんかもう顔色が青色通り越してドス黒い……だが、まだ助かるかも知れ」
 
月火 ボトリ ぐしゃあ
 
「月火ちゃぁあああああん!!?首がとれたぁあああああ!!!おぇえええ…」



元スレ
暦「おーい、月火ちゃ……」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1297594170/


【関連】
暦「おーい、火憐ちゃ……」
http://ayamevip.com/archives/45338774.html

7 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 19:58:18.29 YfYBGXBo0 3/80

一分後
 
(首が生え換わる時って、ぽんって音がするんだな……)
 
月火 すやすや…
 
「なにはともあれ、さっきはすげーショッキングな光景だったけど……」
 
月火「むにゃむにゃ…」
 
「こう、何事もなかったかのような寝顔をされるとな」
 
月火「うーん……むにゅむ…」
 
「あれだね、キスをしたくなっちゃうね。月火ちゃん」
 
月火「……」
 
「……」
 
月火「……すやすや…」
 
「おー。口ですやすや言う奴初めてみたなぁ」


8 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:01:38.31 YfYBGXBo0 4/80

月火「……なんだあ。気付いてたんだお兄ちゃん」

「当たり前だろう。何年、兄ちゃんやってるんだと思ってるんだ。妹の嘘の見抜き方と月一アレの日ぐらいは完璧に把握できてるぞ」

月火「お兄ちゃん、それ絶対に自慢にならないよ。てか、いいかげん実の妹に対して下ネタを振るのやめてよもう」

「兄のキス待ちをしていた月火ちゃんには言われたかないな」

月火「あれは違うんだよ。お兄ちゃん、残念ながら間違ってるよそれは」

「なんだと!?あの可愛らしい寝顔をして置いて、心の奥底では邪なことでいっぱいだというのだろうか……」

月火「前に中学生に乙女はいないって言ったけど…そこまで思いつめなくてもいいからね…」



9 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:03:57.60 YfYBGXBo0 5/80

「じゃあなんだっていうんだ!?あの間と、わかりやすい嘘は、どう解釈しても恋人通しのじゃれあいだったろうに!!」

月火「あのね、お兄ちゃん。まずは私たちの関係性を話することが大切かもしれないよ?」

「関係性?ははっ、月火ちゃん。笑わせないでくれよもう。そんなの決まってるじゃないか」

月火「え、うん……ごめんね。なんかお兄ちゃんがちょっと私を妹以上…ていうか、女として見ているてきな発言を聞いちゃったからさあ」

「もう、ちっちゃい妹は馬鹿だなぁ。あれだろ?僕が奴隷で月火ちゃんがご主人さまだろ?」

月火「恋人関係より酷い!?なに、お兄ちゃん私の奴隷だったんだ!?」

「恋人関係とか……だとなんか、しっくりこなくてな。なんなら奴隷ならどうだって思ったら意外としっくりきたみたいな感じだな」

月火「一人で納得されても……私的にはこまっちゃうなぁ…」

「嬉しいかないのか?命令いっぱいし放題だぜ?」

月火「まあかなり嬉しいけど」

(なんていい笑顔で返事するのだろう……可愛いけど可愛くない!

11 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:06:39.86 YfYBGXBo0 6/80

月火「晴れて、私はお嬢様になった」

「イッて、僕は奴隷でタッた」

月火「変にエロい感じな言葉にしようとしないで。しかも全く上手くないし…」

「申し訳ありませんお嬢様……」

月火「あ、でもそれはいいかも。なんか奴隷っぽくなけど。いいね、お兄ちゃんノリがイイね」

「いえいえ。お嬢様がお気に召されてたのであれば……」

月火「ほーぅ。お兄ちゃん、なんか上手いね。そんなみみっちいことだけなんか上手だよねえ相変わらず」

「お嬢様。起床の御時間でございます…」

月火「うむ。では、そろそろ起きようぞっ」がばっ

「っ……」

月火「……、お兄ちゃん。私、さっきまで布団で寝てたんだよね?」

「さ、左様でございます…」

月火「じゃあ、なんで私、裸なわけ……?」

12 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:10:48.00 YfYBGXBo0 7/80

「……脱がしてな」

月火「脱がしたの?」

「……」

月火「服、脱がしたの?」

「…えっとな、これにはわけがあってだな月火ちゃん……」

月火「じゃあ教えてよお兄ちゃん。妹の服を、しかも寝ている間に脱がす理由を」

「…それはその…あれだよ…」

月火「あれ?あれってなに?」

(本当のこと言えるわけねぇえええ!!首がとれた時、なんかテンパってて脱がしちゃったとか……)

月火「なんで黙るの?やっぱり…妹の私に対して欲情してたんだ…」

「違う!!それは断じて違うと言いたい!!」

月火「それで、今朝我慢できずに…火憐ちゃんも居ないことをいいことに……ベットに忍び込んで…」

「月火ちゃん!ストップ!なんか変な妄想モード入ってるから……っ」

13 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:15:27.02 YfYBGXBo0 8/80

月火「それに、この状況もよくよく考えるとおかしいよね」

月火「なんで、ベットの上で一緒に寝てるの?兄ちゃん?」

「そ、それは…なりゆきというか…なんというか…」

月火「なりゆきで、そっか、服脱がしてなりゆきで一緒にベットで寝てるんだ。そーなんだ」

「ま、まってくれ月火ちゃん!!僕の話をきいて…」

月火「何を聞くって言うの?もう、言い逃れできないよこれは。断罪だね」

「執行猶予なし!?そ、それは流石に酷い!」

月火「ひどかーない。むしろ心やさしい月火ちゃんは、いますぐにでも伝家の宝刀『たんぽぽの綿毛式歯ブラシ』を使わないんだよ」

「それ前に僕が買った奴だ!?しかも歯ブラシをなんに使うってんだ……!!」

月火「わからしてあげようか……?兄ちゃん……」

「なんかよくわからないけど、手つきが異様にやらしい!?ちっちゃい妹こわい!!」

14 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:18:11.63 YfYBGXBo0 9/80

月火「大丈夫任せておいて。歯ブラシを使い方を間違った方向で使うことで中学で有名なんだよ」

「それ絶対に良い有名度じゃないだろ…やめろよな、ただえさえお前らは注目浴びてんだから…僕と違ってさ」

月火「いいんだよ私たちの心配なんてっ。それとさり気なく愚痴を容れないで!それよりも、自分の身の心配でもしときな!!」

「いや、心配だ。自分の身よりもお前ら……そうじゃないな、月火ちゃんのことが心配だな」

月火「え……どうしたの急に…?」

「こんな状況でいうのも何だけどさ、僕は本当にお前らのことは……とりあえず凄いと思ってるんだよ。普段言わないけど」

月火「え、う、うん……そうだったんだ。それは意外かも……えっとそ、それで?」

「ああ…だからさ、よくわからないけどそんな風に…こう変な有名度があがるのはどうかと思うんだ」

月火「まあ……私もときどき思うけど…」

「だろう?火憐ちゃんもそうだが、特に月火ちゃんはやり過ぎる傾向がある。自分でもわかってるよな?」

月火「うん…カッとするとよくわかんなくなるし…」

15 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:23:29.93 YfYBGXBo0 10/80

「だからな、僕はお前のことが心配でたまらないんだ」

月火「妹のことを心配し過ぎるのもあれだけど……まあ、兄ちゃんが言いたいこともわかるよ」

「妹を心配しない兄がどこにいるんだ。いっつもお前たちには色々と僕が立ちまわっているんだぞ?」

月火「うっ……。それを言われるとどうしようもないけどさ」

「そうだろう。特にお前ら二人の子供っぽさは目立つよな。特に胸とか。胸とか。胸とか」

月火「胸連呼するな!」

「んじゃお尻」

月火「ついでとばかりに言わないでっ!……兄ちゃんも身長が残念なくせに…」

「今の発言は見逃せないな!誰が二頭身の怪物君だよ!!」

月火「いってないいってないから。阿良々木家に勝手に住んでるブラウニーとしかいってないから」

「お手伝い妖精!?その認識は流石に酷いよ月火ちゃん!!」

16 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:27:05.89 YfYBGXBo0 11/80

月火「そんなことはどうだっていんだよ兄ちゃん。とりあえずは兄ちゃんの言い分を信じてあげるから、何かあってこの状況だとすれば……
   まずはこの状況をどうするかだよ」

「どうでもよくはないが……まあ、月火ちゃんが落ち着いてくれればそれでいいけどな。というか別にこのまま寝ててもよくないか?学校休みだろ今日」

月火「休みだけど、それがどうして実の兄と一緒に寝なきゃいけないの……」

「ここに丁度いい枕があるし。あーやわらかい」

月火「それ私のお腹だから。お兄ちゃん枕じゃないよ。私のお腹だから」

「微妙にあったかいし……これは素晴らしい枕ですね月火ちゃん」

月火「生きてるから暖かいよねそれは。それとだんだんと顔が下のほうに近づいていってるけど、故意だったらぶっとばすよ?」

「ふぅ~」

月火「あひゃあ!?」

18 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:30:06.51 YfYBGXBo0 12/80

月火「変態!!変態!!それは明らかにやってはいけないことだったよお兄ちゃん!?」

「ああ、すまない。ちょっとあくびが出てしまったからさ……ちょっと我慢できなくて…」

月火「うそだね!明らかにふぅーってやってたよあれはっ!」

「え?どんな風に?もっかいやってみて」

月火「んもぅ、だからこうやってふぅーってやってたでしょうお兄ちゃん!」

「あははーひょっとこ顔の月火ちゃんかーわーいーいー」

月火「……そろそろ手が出てもいいって、お兄ちゃんは覚悟できてるんだよね?そうだよね?」

「あ、月火ちゃんてまだ毛───」もぞもぞ

月火「どっこせい!!!」

「うぁああああ!!!」どすん

19 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:33:31.93 YfYBGXBo0 13/80

「いたたた……ん?あれ……何か僕すんごいとやってた気がする…」

月火「しらんわ!!ふざけとるんかお前は!!」

「うわ!?なんで本気でキレてるの月火ちゃん!?」

月火「己の心によーくきいてみろバカたれ!!中学生にもなって毛が生えてなくて悪かったなどアホ!!」

「よ、よくわからないけど……僕、月火ちゃんを怒らせることしたっけ?」

月火「ど頭かち割れば…その虫食いだらけの脳味噌が稼働するかもしれんなぁ…どれ、ワイの脳味噌鼻に色や……」

「なにその月火ちゃんの眼の色!?こわいよ!そんな色していいのは迷子の少女ぐらいでいいからね!!」

月火「なに意味のわからんこといっとるんや……どっこいしょ」

「えっ……ちょ、月火ちゃん?裸でベットまたいだら色々と丸見え…」

20 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:38:26.46 YfYBGXBo0 14/80

月火「なにをいってはるん。そないしないとお兄ちゃんに近づけないやないか」

「それはそうだけど、ちょっと自分の姿を考えて行動をとった方が良くないかって」

月火「それはいいんや。別に」

「なにもよくないぞ!?そしてなんでこっちににじり寄ってくるんだ……」

月火「だからいってるやろ……」

「……っ!?両手で僕の、顔を掴んで……なにをするんだ?」

月火「…………」

「月火ちゃん?」

月火「……えへっ」

「え?なにを急に笑ってむぐぅ!!?」

月火 ちゅぅうううう

「!!!!?????」

22 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:42:46.08 YfYBGXBo0 15/80

月火「ちゅ、ちゅ、ちゅううううううう」

(ぬ、ぬわあああああ!!な、なんで僕は月火ちゃんにキスされてって……)

月火「ちゅ…ちゅる……れろ…」

「舌は駄目だっ!!」ドン!

月火「きゃ…!」

「つ、月火ちゃん……!!なんで急にキスなんか……!?」

月火「……お兄ちゃん、なんでそんなに拒絶するの」

「は?!当たり前だろ、脈絡なく急にキスなんかしたらびっくりする……ていうか脈絡どころか兄妹だからな!」

月火「お兄ちゃんだって急に脈絡なくキスしてくるでしょ」

「それはそうだ兄だし……って違う!それは今は関係ないってか、あれ、でも月火ちゃん怒ってたじゃん!!そこからなんで急にキスなんか…!!」

月火「……」

23 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:46:58.84 YfYBGXBo0 16/80

「と、とりあえず何か着てから……」

月火「このままでいいよ。だって、するから」

「……一応聞くけど、なにを?」

月火「えっち」

「………。は?」

「はぁあああああ!!?なんでだよ!!意味がわかんねぇよ!?」

月火「だってしたんでしょう。もう火憐ちゃんと」

「へ?」

月火「だから、私に黙って火憐ちゃんに手を出したんでしょうお兄ちゃんは」

25 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:52:50.83 YfYBGXBo0 17/80

「え?月火ちゃんなにをいって…」

月火「だって聞いたんだもん。火憐ちゃんが、なんか顔を赤くして「もう兄ちゃんにしかあたいの処女を奪える奴はいない…」って。それってもう手を出したんでしょ?」

「なにそれ!?まったくもって濡れ衣どころの話じゃないぞ!?」

月火「じゃあなんで火憐ちゃんあんな反応してたの?お兄ちゃんの話が出てくるたびに変な感じになるから聞きだしたら…そんなこといったんだよ?」

(な、なんだそれは…まったく本当に身に覚えがないぞそれは……あっ!もしかして前にあった夜泣き石の時の記憶が微妙に残っているとか……でもまさか!!それは
  ちゃんと忍に消させたはずだから……)

「それは……いや、でも待て。その火憐ちゃんの反応が変だっていうのは分かったが、それがなんで月火ちゃんに関係が出てくるんだ?」

月火「……わかんないの?お兄ちゃん」

「ああ、わかんないな」

月火「本当に?本当にお兄ちゃんわかんないの?」

「ああ、わかんない……な」

26 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:56:04.85 YfYBGXBo0 18/80

月火「なら……わからしてあげようか。なにをしたら分かってくれる?もう一回……キスしたら分かってくれるかな。それとももっと凄いことしたらわかってくれるのかな」

「つ、月火ちゃん?」

月火「……やっぱだめだ。止まらない、駄目だって、こんなこと駄目だってわかってるのに。止まらないんだよお兄ちゃん…」

「ど、どうしたんだ本当に……なんかちょっと変だぞ月火ちゃん…」

月火「変でいいんだよ。もう、変でいいからお兄ちゃん……お願いだからお兄ちゃん……もう一回私に……」

「」

(我がタートルがはんのうしたでござる)

「のわぁあああああああ」どたどたどた

月火「お兄ちゃん!?どこいくの!?」

「………ッ!!」がちゃん!ばたん!

27 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 20:58:59.10 YfYBGXBo0 19/80

暦の部屋

「しのぶぅぅうううううううううう!!」がちゃん!ばたん!

「なんじゃ。主よ」ズニュルウ

「なんだじゃない!見てたというか知ってるだろうあの状況!?」

「ああ、そうじゃな。主が妹君に欲情して……」

「そんなところじゃない!あの月火ちゃんの状況だ!!あれってどう考えても前に合った火憐ちゃんと同じような気がするんだけど!?」

「そうじゃな…ふわぁ…眠いのぅ」

「なんでそんな呑気って言うか乗り気じゃないんだ……これは一大事だろ」

「なんじゃ。主は、またもう片方の妹君がなにかに取りつかれたとでも思っているのかの?」

「だってそうだろ。あんなことをいうちっちゃ妹じゃない。兄に欲情する妹なんているわけないからな」

「……そう思ってるのは主だけかもしれんがな。まあよかろう。そうじゃな、そしたらオチというか後日談じゃな」

「それは早い。まだ後日じゃないしな」

「めんどくさい主じゃ。そういう所にいちいち気にかけるのじゃから色恋を見落とすんじゃ」

29 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:02:16.23 YfYBGXBo0 20/80

「なに!?それは聞き逃せないことだぞ……」

「主の妹は別に取りつかれたわけじゃないじゃろう。それはわしが保証する」

「無視された……」

「あれは残り香じゃ」

「……残り香、なんだそれ?」

「以前に片割れの妹君が取りつかれおった──あの夜泣き石の残り香じゃ」

「すまん、僕にも分かるような感じで解釈してくれ。まったくわからん」

「……仕方ない主じゃ。簡略的にいうとの、主の片割れの妹君が取りつかれておったときに、濃く体内に溶け込んでおったせいで体液、粘膜での接触が感染のもとじゃったじゃろ」

「確かそうだったな……だから僕が歯磨きをした時、手に火憐ちゃんの唾液がついて僕も感染……変態になってしまった」

「あれはあれで大変だったのじゃぞ。取りこまれたのは多少じゃったからすぐ戻ったものの、逆に少量だった上に取り除くのが難解じゃった。感謝してもらいたいものじゃ」



※ちなみに前作があるので気になる方は
 「おーい、火憐ちゃ……」をぐぐってみてください。

30 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:04:35.91 YfYBGXBo0 21/80

「ああ、だからそのあとたんまりとドーナッツおごってやっただろ。忘れたとはいわせないぞ。僕の雀の涙ほどの小遣いを全部使ったんだから」

「あれっぽっちでかの。主はちっちゃい男じゃのう……」

「なんだと!?僕のどこが低身長だってんだ!!これでも日本人の平均身長を四捨五入したら全然いけるほうなんだからな!」

「それじゃと誰でも良いような気がするのじゃが……まあいい。これも使える身として主の心情を図るのも務めじゃ」

「僕の記憶する限りではそんなこと会った気がしないんだが……それはいい。で、火憐ちゃんの件がなんで関わってくるんだ?」

「……感染する元は体内の液体、つまり妹君から発せられる液体は全て感染元となるんじゃ。ならばそれだと妹君が生きている限りは出していく物が必ずあるのじゃ」

「……待て。だんだんとわかってきた。つまり、するとこれは火憐ちゃんの液体は全部が感性しやすい状況だったということは…」


34 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:07:05.67 YfYBGXBo0 22/80

「流石に足らない頭でもわかってきたかの。そうじゃ、呼吸じゃ」

「自然に罵倒するな。……すると火憐ちゃんが感染してからその間、この阿良々木家で呼吸していた間は空間中にその感染の空気がたんまりとあった……そういうことか?」

「そうじゃな。ついでにいうと、今もあるのじゃが」

「なに!?この廊下にもか?」

「あるの。というかこの家中に広まっておるの」

「な、なんだってーーー!!!火憐ちゃんを直してから大分、期間が開いてるんだぞ…もちろん換気なんてあの母親がしないわけないし…」

「だから残り香じゃ。匂いはそれほど単純には取れん。しみついたものはなかなか取れんしの」

「なんか主婦みたいな言い方だな……」

「ワシもこの甘ったるい匂いが鬱陶しくての。何度か取り除こうとしたんじゃが……無理じゃった。ぱなくしみついてて、取れん取れん」

「そんなにおうのか?まったく匂いなんてしないけどな」

36 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:09:44.69 YfYBGXBo0 23/80

「主にはわからんじゃろう。吸血鬼に残された能力の残骸のおかげじゃ」

「そうか……じゃあどうするんだ。この残り香のせいで月火ちゃんが変になってしまっとして……その残り香をどうにかしなくちゃいけないんだったら…」

「この家をぶち壊すしかないの」

「大胆過ぎだろ!!なに僕の彼女的な思考なわけ!?あ、もうそんなんじゃなかったなアイツは…」

「自然にのろけんでほしいの。……ま。確かにこれは短絡すぎかの。別のやりかたはあるにはあるのじゃがの」

「あるのか!?家を壊す方向じゃなかったら構わない。それを教えてくれ!!」

「ごーるでんちょこどーなつ」

「へ?」

「取引じゃ主よ。方法を知りたくば、それを要求する。反論はなしじゃ」

「……ちなみに何個だ?」

「店にあるの全部」

「そんなの無理だ!!!」

37 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:12:58.66 YfYBGXBo0 24/80

双子の部屋

「……おーい月火ちゃん…」がちゃ

月火「……」

「……」ぱたん

月火「……なに、お兄ちゃん」

「いや……その急に抜け出しちゃったしな。その、月火ちゃんどうしたかなって……うん」

月火「……どうもしてないよ。どうもしてないから」

「そっか。でも、そんな床で裸で体育座りしてたら…風邪引くぞ?」

月火「ひかない。私、身体丈夫だから」

「そうだったな。月火ちゃんって風邪ひいたことあったっけ?」

月火「ないよ。真冬の海に飛び込んでみたことあったけど、全然。風邪どころか泳ぎが逆に上手くなっちゃった」

「初耳すぎてびっくりどころか経緯が物凄く気になる暴露だな……もうそんなのやめろよ?危ないから」


38 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:15:48.58 YfYBGXBo0 25/80

月火「嘘つき」

「へ?……なんでだよ、僕は本当に月火ちゃんを心配して…」

月火「嘘だ。だってさっきも私のこと心配してるって、誰よりも私の子と心配してくれてるっていってのに……」

「……」

月火「私のこと放っておいて、どこかいっちゃったじゃんか。ちゃんと私の話聞かないで、何処かいったよね」

「……そ、それはだな…」

月火「それは?」

「…………」

月火「ほら。何も言えない。それって私のことが全然心配じゃないってことじゃないの?てかそうだよ。私なんてお兄ちゃんにとって何でもない存在なんだ。
   みんなみんなが特別で、私だけが違う……酷いよそれって」

39 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:20:56.58 YfYBGXBo0 26/80

「それは違う!!兄が妹のことを心配しない奴なんていない!!それにお前だけが違うなんて!!それは……月火ちゃんが一番わかってくれてるだろ…?」

月火「……」

「お前ら二人……でっかいほうとちっちゃいほう。どっちも僕にとっては大事な家族だ。血を分けた大切な血縁だ。それ以外に…それ以外に月火ちゃんを大事に思う気持ちに変わりなんてない!!わかってくれ、なんて間抜けなことは言わないさ。でも、それでも僕ははっきりと言える!」

月火「お兄ちゃ……」

「ごめんな月火ちゃん。お兄ちゃんとして、僕は精一杯のことをお前にするよ。なにがあっても、月火ちゃんを不安にさせることはしない。命に誓って誓う」

月火「……それってずるくない?兄として、私を大事に思ってるけど、私の思いを受け取るのは嫌ってことだよね……?」

「……そうとも取れるな、うん」

月火「でもキスとかはするんだよね?」

「兄としてな。最大限のキスをしてやるさ」

月火「嫌っていったら?」

「無理やりする」

月火「じゃあ、いいよっていったら?」

「全力でする。もうぐわぁーと」

41 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:24:16.05 YfYBGXBo0 27/80

月火「じゃあ、いいよ。してお兄ちゃん」

「キスをか……?」

月火「うん、お願いします。阿良々木月火は貴方に接吻を求めます」

「……わかった。じゃあ目をつぶってくれ月火ちゃん」

月火「……」すっ…

「…………」

月火「…………」

「……なに薄眼開けてんだ。こら」

月火「いや、どんな顔でしてくるのかなって気になって」

「それだとこっちもし難いだろ。ちゃんと目をつぶれって」

月火「はいはい……これでいい?」

「ああ、それでいい」

43 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:30:27.74 YfYBGXBo0 28/80

「……」

(……さて、第一段階突破だな。何か色々とやってしまった感があるけど、今は置いておこう)

(忍。出て来い)

「……」ズニュルゥ

(用意はいいか?……ってなんだよその顔)

(なにもありはせん。ただ主の女たらしは罪どころか鬼畜じゃなと思うてな。いかんせん、あの女の言うことも間違いじゃなかったの)

(なにを言ってるんだ。それよりも準備はできてるのかって)

(言われんでもできとるわ。それよりも主のほうはいいのかの?)

(もう覚悟済みだ。妹のためだ、なんでもすると決めた)

(ならワシの報酬も忘れずにの。……さて今ひとつ信用に欠ける主のためにおさらいしておくかの)

(なんだよそれ。……だがそれも良い気がする。なにかここで説明しておかないとわかってもらえない可能性があるからな)

(メタ発言はほどほどにの。そして実はこれは上手く現状を分かってない人もいるためにやっとるんじゃ。べ、べつにお主らのためにおさらいするんじゃないんじゃからな!)

(お前もな。あとツンデレがベタすぎる…)

44 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:35:50.46 YfYBGXBo0 29/80

回想

「主の妹は……はっきりいえば吸収機じゃ」

「吸収機?なんだそれ、掃除機みたいなものか?」

「そうじゃ。吸うのはごみではなく匂いじゃがな。主の妹は確か、不死身のホトトギスじゃったよな」

「そうだ。それが関係あるのか?」

「……怪異というのは、怪異に対してある程度〝抗体〟を持つことがあるんじゃ。その理由は怪異の外的干渉が普通の人間よりも多いからじゃ」

「それはつまり、その残り香に例えるなら怪異はその残り香を吸収しやすいということか?」

「そうじゃな。つまりはの、主の妹はホトトギス……は怪異といっても不可思議ではない。現に干渉力が高くて異常をきたしておる」

「その表現は些か抵抗があるが……まあ確かにそうみたいだな。でも、怪異には抗体があるんだろ?じゃあなんで月火ちゃんは駄目なんだ?」

「怪異として未熟だからじゃよ。確かに主の妹は怪異……でも完璧にそうだとは言いきれないのじゃ」

「未熟?どういう意味だ?」

45 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:40:36.80 YfYBGXBo0 30/80

「経験じゃ。主よ、経験とは大事な物じゃ。ワシは今回、原因を残り香と表現したが厳密に言えばそうじゃないのじゃ」

「そうじゃないって……じゃあなんだっていうんだよ」

「雰囲気じゃよ。その匂いから発せられる雰囲気……まあ例えるならば、主がベットの下に隠している制服物のエロDVD…」

「待て!!どうしてその存在を知っている……って当り前か…」

「主がワシに隠せるものなどあると思いかの?いささかそれは安易な考えじゃなかろうかの。けらけらけら」

「……」

「話を続けるかの。その『集まれ制服っ娘っ!あんな娘もこんな娘も実はあんなに大胆だったスペシャル!』というエロDVDを見てれば…」

「なぜ商品名をいう必要があった!?もうエロDVDだけでいいだろ!!」

「……仕方ないのう。主はちっとは寛大な心を持つべきだとワシは思うぞ」

「こればっかりは寛大になっちゃいけないと思うんだが……」

46 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:44:10.64 YfYBGXBo0 31/80

「とりあえずじゃ、主はそれを見た時は性的興奮を感じるじゃろう?」
 
「それはまぁ……男なら当たり前のことだ」

「しかし、主はその映像に出とるわけじゃない。映像と同じことをしているわけでもない。鑑賞側として、第三者側として、客観側として、興奮を覚えるわけじゃ」

「そりゃそうだ。自分がやっていないくても、その行為を見てれば誰だってそうなるだろうさ」

「それが雰囲気じゃ。映像に映されるその現場を見ることによって、主は雰囲気にあてられて興奮する……つまりは、この雰囲気というのが」

「残り香…か。つまり残り香というものに当てられた者はその匂いの雰囲気に乗せられて変わってしまうと…てか、それって怪異とかは関係なくないか?人としてどれだけエロいことに対して抵抗があればそうでもない気がするんだが」

「そうじゃな。しかし同じこの世に居る者として経験が必要なのも、人と怪異も一緒のものじゃよ。」

「そんなものなのか……」

「それによかったの。主よ、妹はまだ処女ということがわかったの。影響力が高いにしてもじゃ、これだけ乱れることというのは経験が少ないということじゃからな」

「なんで妹が処女ってわかったら僕が喜ぶって知ってるんだ……」

「否定はしないのじゃな……」

47 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:49:01.13 YfYBGXBo0 32/80

「とりあえずはちっちゃい妹が残り香の雰囲気に当てられて、それでいてその残り香を吸収しやすいのは分かった。だけどそれが解決の糸口になるんだ?」

「相変わらず頭が固いのお主は。これだけ説明すればわかるもじゃよフツー」

「忍野みたいなこというなよ……それになんだ女子高生みたいな言い方は」

「ワシも日々進化しているということじゃよ。……つまりはな、主の妹は吸引機。じゃがその保持しておく力が少なくすぐに暴走を起こしてしまうのじゃ」

「じゃあどうするんだ?というか今さら何だが、そんなに月火ちゃんの吸収力はすごいのか?」

「完全ではないがの、それでもワシよりも取り去っておる。じゃからあの部屋には少ししか残っておらん。じゃからその吸収力を使って、家中にある残り香を取り除くのじゃ」

「なるほど。月火ちゃんを家中に連れ回せばいいってことか……」

「そこでワシが主の妹の容量を増やすために、魔力を注入する。ちょいと噛みつけば大丈夫じゃ」

「……後はつけるなよ。それと妹が吸血鬼化とか笑えないからな」

「当り前じゃ。そんな力も残っておらん。じゃから少し、主から血をもらうからの」

「……仕方ない。少しだけな」

50 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:52:09.79 YfYBGXBo0 33/80

回想終わり


(すごいの。この回想の間はたったのコンマ1秒じゃ)

(親切設計だ。深く突っ込んだら駄目だ)

(……さて、それでは噛みつくからの。多少の痛みを感じるはずじゃから、その瞬間に接吻でもなんでもして気を紛らしておいてくれの)

(わかった。こっちに注意をひいとけばいいんだろ。それぐらい僕にだってできる)

(間違っても深いほうはしないでおくれの。いくらなんでも兄妹でのまぐわりあいを見続けるのもワシも嫌じゃからの)

(しないわ!つべこべ言わずはやくやるぞ!!)

(こちとらお主待ちじゃ。そっちこそ早くしたらどうじゃ)

(なにかイラついてませんか忍様……どうしたんだよ。らしくないぞ)

(な、なんでもないわっ!主が妹との接吻ごときにちんたらしとるからイラついてるだけじゃ!!)

(結局イラついてるんじゃないか……わかったよ。ほら、もうするから)

52 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 21:59:22.46 YfYBGXBo0 34/80

「………」

月火「お兄ちゃ……?」

「ああ、わかってる。今、するぞ……」

「ん……」ちゅっ

月火「ふみゅ」

「……ん?」

月火「…………」

「………あ、あれ。す、すまん、なんか目つぶりながらやったら鼻にやっちまったわ!……てへへ~」

月火「……」

(主様よ……それは正直、どうかと思うぞ……)

(うるさい!!いざ改めてやれと言われたらすっげー恥ずかしいんだぞ!!というかほらっ!やったぞ!はやく噛むんだ忍!)

(…………)ズヌゥリュウ…

(ってこら!?なんで影に戻るんだ!?忍!?)



56 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 22:08:18.92 YfYBGXBo0 35/80

月火「お兄ちゃん……」

「は、はいっ!!」

(な、なんだこのちっちゃい妹から溢れ出すオーラは……!?ぼ、僕なにかしでかしてしまったか……!!)

月火「お兄ちゃんがさ、彼女で来たって聞いた時、それはもう驚いたものだよ…私たち……」

「え、は、そうなのか……それはまあ僕を好きになってくれるモノ好きがいるなんてそれは僕自身もびっくりだったし…というか何で急にそんな話を……」

月火「かわいそう」

「へ?」

月火「彼女さんすっごい可哀そう。なんかものすごく目をつぶれば、お兄ちゃんのチキンぶりを発揮してエロ展開全部台無しにしてる光景がものすごく浮かぶよ……」

「何を失礼なことを!!馬鹿言うんじゃない月火ちゃん、僕とアイツはそれはもうドラマチックな初キスをだなっ!」

月火「じゃあやってよ」

「……ほえ?」

月火「じゃあそのドラマチックなキスを、わたしにやってよお兄ちゃん。わかるよ兄妹だもん、恥ずかしいんでしょ?突然するのとか、面白半分でするときはできるけど、こう改めてするときはとっても……ハズいんだよね?」

「ぐ……流石は参謀役…」

月火「どれだけお兄ちゃんの妹してると思ってるのかね。暦越後谷よ」

57 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 22:12:03.21 YfYBGXBo0 36/80

「ああ、おまえの言う通りだよ。すっげー恥ずかしい。それがどうした。だって実の妹だぞ?キスをするってどんだけだよ」

月火「それはもう今さらだよね。妹限定キス魔のお兄ちゃん」

「なんかのゲームのタイトルでありそうだからやめてくれそう呼ぶの……」

月火「それでどうするのお兄ちゃん、するの?しないの?」

「……当たり前だ。兄に二言はない」

月火「流石お兄ちゃん。そんなところが大好きだよ」

(ぐはっ……!!残り香のせいで月火ちゃんのテンションがあがってるから……仕方ないとしてもこれは来るものがあるね!!)

(……)

(あ、ああ……わかってるよ…だからなんかプレッシャーみたいなの送ってくるな忍…)

月火「じゃあシチュエーションからだね。どんなところでしたのお兄ちゃん」

「そっから!?というかそれってただ単に恥ずかしい話の暴露だよねそれ!!」


58 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 22:15:08.27 YfYBGXBo0 37/80

月火「もうっ!兄に二言はないんでしょお兄ちゃん!だったら正直に吐く!」

「えー……妹にそれはちょっとなぁ…」

月火「その妹に恋愛相談したことのある兄がいうせりふじゃないよ!それはやく!」

「しかし、なんでちょっと興奮してるんだ月火ちゃん」

月火「だって〝あの〟お兄ちゃんがだよ!?あのお兄ちゃんがこ、恋バナしてくれるなんてちょっと……やばいよねぇって感じだから?」

「僕に聞かれても困る」

月火「んもう!!男ならシャキッと!!はい、どこでしたの?」

「………そ、その…車で少し先に行った…山奥…」

月火「山奥!?それはまた大胆に出たんだねお兄ちゃん……通報されなかった?」

「されねーよ!!そうじゃなくて、あっちの方が色々と通行手段とか決めてて、それで、なんか思い出の場所だとかいってて…」

月火「なるほどー。お兄ちゃんの彼女さんの思い出の場所で、なるほどそういうことかー」

「な、なにがなるほどなんだよ月火ちゃん……」

月火「……お兄ちゃん、その彼女さんに尻に敷かれてない?」

「!」


67 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 22:58:02.11 YfYBGXBo0 38/80

月火「やっぱそうだんだ~。うんうん、なるほどね……お兄ちゃんはリードされる方が良い。と……まあ知ってたけどね。鈍感だし」

「流石は数多の恋愛相談を受けただけあるな……たったこれだけの質問で見破られるとは……」

月火「わたしの凄さわかった?いっつも馬鹿にしてたけど見直した?」

「ちょっとな。ちょーっとな」

月火「正直じゃないんだから。さて、山奥って言うとピクニックだったの?」

「違う。星空を見に行ったんだ……それはもう綺麗だったよ」

月火「わぁあ…それはロマンチックだね。そして、そこで盛り上がった二人は熱いキスをした───と」

「よせやーい。照れるじゃないか」

月火「じゃあしよっか。それ」

「え?でも今って昼じゃん……」

月火「カーテン閉めればいいでしょ。そら、こんな風に」しゃっ

「まあ…暗くはなるが、それよりも先に月火ちゃんとりあえず服着ない?」

69 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 23:06:28.55 YfYBGXBo0 39/80

月火「うんっ!いいかんじだね!雰囲気あるある!」

「無視された……」

月火「そして、二人は空を見上げるために……なにか敷いて寝転がったんじゃない?」

「そこまで予想できるのか……流石は参謀…」

月火「いや、それはただ単に予想できるから……うん、じゃあ寝転がろう」ころん

(裸で床に寝転がる妹……シュールだな)

月火「どうしたの?」

「いや、なんでもない……僕は隣に寝ればいいのか?」

月火「その時の場所でいいよ。隣だったんでしょう?」

「ああ、まあな」ごろん

月火「……」

「……」

月火「暗いね」

「カーテン閉めたからな。それは暗いだろ」


70 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 23:17:27.69 YfYBGXBo0 40/80

月火「それは妄想でカバーしよう!お兄ちゃんとくいでしょ!」

「得意じゃねーよ!?いつからお前の中で僕は妄想得意になってるんだっ」

月火「えーだって、前「僕は人間耐性がなんちゃら」っていってたじゃない。それって明らかに妄想豊な人としか…」

「それはもう忘れてくれ!もう僕としては忘却すべき思い出の一つとなりかけてるから蒸し返さないで!」

月火「我儘のお兄ちゃんですねー。よしよし」

「……なに、そのキャラ。きもいんですけどー」

月火「うん?なんかそんなことしたくなってきたんだよ……」くいくい

「僕のアホげで遊ぶな。ちぎれたらどうするんだ」

月火「ちぎれるの?あ、そういえば……やっぱなんでもない」

「あっなんだよ?こらごまかすなよ。なに、ちぎったの?僕のアホげちぎったことあんの?え、てか千切れるんだ本当に──」


71 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 23:26:24.34 YfYBGXBo0 41/80

月火 ちゅ

「───お、ま、また急にしたな月火ちゃん……しかもなんでデコ」

月火「彼女さんとも大体こんな感じじゃなかった?ふふ、なんかそんな気がするだよね」

「……それは秘密だ」

月火「とりあえずはお兄ちゃんからじゃないのは確かだよ。それは絶対だよ」

「……じゃあ今日は、今は、僕からしてみるか」

月火「え」

暦 つっ

「ほら、どうだ。してやったぞ僕から」

月火「………うん。そうだね」

「んだよ。ぼーっとして……そんなに僕のキスがよかったか?ふはは、ほんのちょっとだけだったけれどな」

月火「ううんすっごく良かったよ。どきどきした」

「そ、そうか……ならよかった」

(ときめいてないときめいてない妹相手にときめいてない)


72 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 23:35:26.07 YfYBGXBo0 42/80

「…………」

月火「…………」

「………」

月火「………」

(ハッ!そういえば忍はどうした!?あれから何も言わないが……というかキスしたぞ!ちゃんとやってくれたんだろうな!)

(やったわ主よ。主が妹相手に本気で欲情しとる隙にな)

(よ、欲情シテナイデス)

(……まあ好かろう。じゃが問題発生じゃ)

(ど、どうしたんだ……?)

(最初の作戦通り、ひとかみすればよかろうと思っておったんじゃが、そうもいかんらしい。どうやら器容量がもうちっと足りんみたいじゃ)

(ということはなんだ、一回噛んだだけじゃだめってことか?)

(そうじゃな。実際、この部屋にある残り香は消滅したが、その消滅したぶんだけ主の妹のタンクがいっぱいになることになるんじゃ)

(……じゃあということは、あれか?今から家じゅうに連れまわすとしても、その場その場でキスをしろっていうことかよ!?)

74 : 以下、名... - 2011/02/13(日) 23:44:46.10 YfYBGXBo0 43/80

(ビンゴじゃ主様よ。では、がんばっての)

(ちょ……それは流石に……)

(元はと言えば主のせいなのじゃぞ。あの時、鼻なんぞにせずしっかりとすれば原因が早急にわかり、それなりの対処もできたじゃろうて)

(だ、だけどそれも今と同じだろう?結果論じゃないか!僕は決して悪いとは言わないぞそれ!!)

(正論は人も妖怪も傷つけるのじゃ)

(それ僕のセリフだ!)

(妹を助けたいのじゃろう?)

(ぐっ……それはそうだが…っ!!)

(じゃったら大人しくひとつやふたつの接吻など我慢せい。最初の時の威勢はどこいったのじゃ!)

(……ああ、わかったよ。なんとかする妹とキスをすればいいんだろう!!やってやろうじゃないか!!)

(そうじゃ主よ!!!それでこそ我が主様じゃ!!!)

「あははははははははははははは!!!」

月火「!?」

78 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 00:09:27.58 W0in4s3J0 44/80

リビング

月火「家の中でのデート」

「そうだ!いつも見慣れた場所でも、見方一つで色々と変わって見えるもんだ。例えばそう、あのいっつもお袋が大事に育ててる花とか……」

月火「花とか?どうするの?」

「見方一つで、広大な草原に広がる一面の花畑に……」

月火「には見えないよね。というか最近、お母さんとか仕事忙しくて手入れしてないから枯れてるしね」

「お前たちがちゃんと世話しないからだろ!お袋から頼まれてたじゃん!」

月火「お兄ちゃんもでしょ!いっつもわたしたちに押しつけてるけど、お兄ちゃんも何度もお願いされてるじゃない!」

(……主よ。あまり怒らせる事は不可じゃぞ。めんどくさいことになるのでな)

(……ああ、わかってるよ)

「………いいから見る!これはお花畑!想像に頭を膨らませるんだ!」

月火「なんでよもう……これなら本当に公園でもいって普通に遊べばいいよもう」

「なに、お前ってばまだ公園とかで遊んでんの?」

月火「公園で自分の場所はここだけだとか思ってた人に言われたくないよ」

「なんでしってるんだ!」

79 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 00:17:54.90 W0in4s3J0 45/80

月火「……でも、こうやって二人きりで家にいるって、なんだか不思議だよね」

「ん……そうかもな。お前ら大体、二人でいるし」

月火「そうだね。確かにわたしたちはいっつも一緒。どこにいくにしても離れることはほとんどない」

「でも、最近そうでもないだろ。二人で別々の友達と遊んだりしてるみたいじゃないか」

月火「んー…そうだね。確かにそう、だね。だって今日もそうだしね」

「そういえば今日は火憐ちゃんどうしたんだ?朝から見かけないけど」

月火「え?彼氏のところに決まってるじゃない」

「ああそう……」

月火「……なになに嫉妬してるのお兄ちゃん?火憐ちゃんが奪われるとか思って?」

「馬鹿言え。そこまで妹思いじゃねーよ」

月火「むしろ、それを思うことも妹思いすぎることだと思うんだけどね……あはは、さっきは変なこと言ってごめんね?」

「?さっき?」

月火「火憐ちゃんに手を出したとか、そういうこと」

「なんだ、勘違いだとわかってくれたのか」

82 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 00:30:05.49 W0in4s3J0 46/80

月火「うん、まあチキンなお兄ちゃんじゃあの火憐ちゃんを押し倒すことなんてできないだろうし」

「………」

(偉い言われようじゃの主よ。主が暴走した時の姿を見せたらどうおもうじゃろうか)

(うるさい!)

月火「わたしの……勘違いだったのかなぁ……」

「そうだよ。そうに決まってる……」

月火「…………」

(………なんでそこで偉いさびしそうな顔をするんだお前は)

「…………」

「月火ちゃん、あっちむいてほいしようぜ」

月火「へ?なに急に……」

「じゃんけん!」

月火「え、あ、ぽんっ!」

「パー。僕の勝ちー、んじゃあっちむいて、ほい!」

月火「ほ、ほい!」ぷい!

84 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 00:38:02.68 W0in4s3J0 47/80

「これも僕の勝ちだ。というか月火ちゃんってあっち向いてほいの時、絶対最初に右見るよな」

月火「なにそれ、図ったんだお兄ちゃ……」くる…

暦 ちゅ

月火「ふむっ!?」

「すっ……ふふ、そしてこれも僕が勝ちだ。騙されたなちっちゃい妹よ!!ふははー!!」

月火「むー!いきなりはひどくないかな!?ちゃんと順序良くやるのがデートってもんだよ!!」

「そんなものは僕には通用しないのだ。これが僕のやりかたであるのだから」

月火「なにカッコよくすませようとしてるの!?許せない行為だよそれって!ひきょーだよ!!ひきょーものー!!」

「なんとでもいえ!ふははー!!」

(……どうだ、成功したか?)

(……成功じゃ鬼畜糞野郎主様よ)

(なんか呼び名の最初に暴言としか取りえないものがくっついてないか忍…?)

(愛嬌じゃ。笑って済ませ)

(どんな愛嬌だよ!?どこからも愛しさを感じれる部分がなかったぞ!?)

86 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 00:50:50.95 W0in4s3J0 48/80

「よし、じゃあ次は居間にいこうか。あそこは畳という草原を思わせる香ばしい匂いが充満しているぞ!!」

月火「……もうお兄ちゃんの想像力は変態並みだね。知ってたけど」

「この際、妹にキスしまくってるんだ変態でもなんでも構わん!!よしじゃあ居間の襖をあけ───」

がちゃがちゃ

「!?……この音は……玄関!?」

(まずいの……)

(ど、どうした…!?誰か来たのかわかるのか?)

(ああ、そうじゃな。ワシはいつも主の影で生きておる。じゃから人いう判断をするとき、足音を基準にしておるのじゃ)

(そうなのか初めて聞いたな。そ、それで誰が来たんだ?!てか誰がきても困るけど!!)

(これは確か───もう一人の片割れの妹じゃ)

「!な、なんだって────」

火憐「あああああもううざってぇえ!!!ふん!!!!」ばきぃ!!

87 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 01:01:31.69 W0in4s3J0 49/80

火憐「なんでこう、人が急いでる時に限ってよお、世界って上手くまわんないんだろうなって……」

火憐「………」ぷらーん…

火憐「しまったぁあああああ!!??勢い余ってドア壊しちまった!!ちくしょう、また兄ちゃんに怒られる!?」

火憐「………」がちゃがちゃ

火憐「……くっつかねーか、まあ仕方ねえや。兄ちゃんに罰受ければそれでいいだろ。うんうん」すたすた

がちゃ

火憐「ただいまー……ってあり?誰もいねーの?月火ちゃーん?にいちゃーん?」トントントン

「………ふぅうう…二階にいったか…ひとまず安心だな」

月火「ねえ、なんで隠れるのお兄ちゃん?」

「お前が裸だからだろ!?そして傍に僕がいたら、火憐ちゃん絶対勘違いするだろうからな!」

月火「大丈夫だよ。火憐ちゃんならわかってくれるって」

「無理だ!絶対無理だ!!あの良く言って単細胞の火憐ちゃんがどう転んでも勘違いという未来しか思いつかないぞ僕は!!」

89 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 01:10:15.03 W0in4s3J0 50/80

「つぅーか勘違いというか、本当のこと言ってもややこしくなるから、ここは見つからないことが賢明だ…」

月火「ふぅん。そうなんだ、だからって勢い余って居間の押し入れの中ってどうなのお兄ちゃん」

「隠れるって言えば押し入れだろ。客用の布団もあるしな、隠れるならぴったりだ」

月火「ついでにいうなら私たちもぴったりくっつきあってるね」

「それは言わない約束だぞ月火ちゃん」

月火「そんなこと、一回もまだわたし聞いてないよ?」

「ん…?どうした、なんかすっごい汗をかいてないか月火ちゃん…?」

月火「わかっちゃった?いまね、すっごくドキドキしてるんだよ」

「ああ、僕もだよ。今にも口から心臓がでそうで怖い」

(この状況がばれたら物理的に本当に出されるかもな。火憐ちゃんに)

月火「はぁ……んっ……」

「!……ど、どうした急に声をあげて?」

月火「ううん、ちょっと感じちゃって……」

「感じちゃって!?」

93 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 01:43:38.85 W0in4s3J0 51/80

「お、おい本当に大丈夫か?具合でも悪いのか?息苦しいとか?」

月火「はぁ…はぁ…違うんだよ、お兄ちゃん。あのね、よく考えてみてね…んっ!」

「お、おう……なにを考えるんだ?」

月火「今、わたしたちの格好ってさ…」

「え?ああ、僕がお前を後ろから抱いて……座り合ってる状態だよな」

月火「ひゃうっ………そ、そうだよ?ちょうどお兄ちゃんの股の間にわたしがいて……背中をお兄ちゃんに預けてる……ひうっ!」

「つ、月火ちゃん……?なにを言いたいんだよ…」

月火「ね、ねえお兄ちゃんワザとなの……?腕……すっごい…こすってて……あっ!んっ…」

(腕……?僕はいま、月火ちゃんの身体を抱きしめてる……)

「それはちょうど、胸のあたり……?」

月火「あっ!だめっ……そんなにこすっちゃいたい……けど…きもち、」

「すまん!月火ちゃん本当ごめん!!」ばっ!!!

「あたっ1!!!」ゴン!!!

(頭ぶつけた……吸血鬼化してるが……それでも痛いなちくしょう……)


火憐「………物音?」

95 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 01:54:33.34 W0in4s3J0 52/80

「はぁ……はぁ……」

月火「はぁ…はぁ…んっ……んはぁ……」

(な、なんだか…頭が朦朧としてきた……頭ぶつけたせいか…?そんな馬鹿な。この身体そんな程度の衝撃で…)

「はぁ……ん、月火ちゃん大丈夫か?すまん、早く気づかなくて……」

月火「は、ん……んっんっ……あ…ん…」

「ちょ……月火ちゃん…?なにして…?」

月火「お兄ちゃんのせいだよ……わたしはなんにも悪くないよ。こんな風にわたしをしたのは…したのは……おにいちゃぁあん……」

「な、僕の手を取ってなにを……」くちゅ

月火「んっ……」

「ななななななんんんかぬれっ────」

ダン!!

暦 びくぅぅ!!

火憐「……ここからだよな。物音したのって」

(し、しまった…!さっきぶつけた音でばれたのか……!?やばい、どうする……!!)

97 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 02:08:39.06 W0in4s3J0 53/80

火憐「…………」ずしずし…

(居間に入ってきた……!いくら火憐ちゃんでも押し入れぐらいは確かめるだろう、というかもし本当に泥棒とかだったら探さずにまっさきに警察に連絡してね本当わね!!)

月火「はぁ……はぁ……おにいちゃん…おにいちゃん…」

「ちょっと静かにしててくれ月火ちゃん……!!そんなに声上げてたら火憐ちゃんにバレるから……!!」

月火「むりだよぉ……頭がぼーっとして…もう、きもちいいことしか頭なくて……ここ、とてもくるしぃよお…」

「どこかなぁ…お兄ちゃんちょっとわかんないなぁ…」

月火「はぁ…はぁ…どこって……わたしの大事なところだよ…?」

「ああそうか心臓か!人って心臓めっちゃだいじだもんな!それは一本取られたわ月火ちゃん!!」

月火「はぁ……はぁ……だめ、もうだめ。がまんしてたけど……さわっていいかなもう……?」

「なにを!?」

月火「自分の……わたしのだよ……それと、お兄ちゃんの、も……」

「それはだめだ!もういろいろ含めてダメすぎてダメだもうだめ!!!」がしっ

月火「こわれちゃう……はぁん!……もうこれ以上、じらされたらわたしこわれちゃうから……!!」


99 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 02:20:58.73 W0in4s3J0 54/80

(これはだめだ……こんな風に声を上げてたら、絶対にばれる……!!)

「ええい、くそっ……!」ぐいっ

月火「おにちゃ…んむっ」

「んっ……むぅ……ん」ぎゅうう

月火「ん、あ……ちゅる……おに……」

「黙ってろ……んむ……ちゅる…」

月火「……っ!……っ……っ…!!!」

「………………………れろ」

月火「……………………レロ」

火憐「んー……気のせいだったかぁ?なんか絶対いると思ったんだけどなぁ。ま、いっか」

火憐「さて、まあ準備できたしいくっかな。月火ちゃんには男んところいくっていったけど、本当は修行にいってたって言えば最近は怒るしよぉ」

火憐「んじゃいってきまーす!!」

月火「………」

「……ぷはっ……はぁ……はぁ…」

月火「んはっ……はぁっ……はぁっ…」


101 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 02:36:27.63 W0in4s3J0 55/80

すぅ……とん

「……行ったか。危ないところだった本当に」

「……大丈夫か月火ちゃん?もう大丈夫だぞ、出てきても…」

月火「…………………………………………………」

「月火ちゃん……?」

月火「お兄ちゃん、何も言わずにだまって脱衣所からバスタオル持ってきて」

「え、あ、ああ……バスタオルをか?」

月火「いいから早く」

「わ、わかった。すぐ持ってくる」

(どうしたんだアイツ……急に大人しくなって。ま、まあちょっと色々とありすぎたのは否めないけど…)

(熱いキスじゃったな主よ。見とるこっちが恥ずかしくなるぐらいにの)

(今頃出てきやがった……今までなにしてたんだこら、忍)

(ずいぶんな言い草じゃのう主よ。ワシは一生懸命、主にはりさけんばかりに叫んでおったというのに。聞こえてなかったようじゃがの)

(え?そうなのか?)

102 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 02:44:07.30 W0in4s3J0 56/80

(そうじゃよ。あの居間、そして押し入れの中。大量の残り香で充満しておったわ。主が若干、取り込まれるほどにの)

(……ああ、なるほど。それで月火ちゃんもあんな風におかしくなったのか…)

「お。あったあったバスタオル」ひょい

(……まあ主がとっさに取った接吻のおかげで、難を逃れたがの。もうちっとでワシが飛び出してそのまま噛みつくところじゃった)

(それはそれでよかったんじゃないのか?だってあの状態の月火ちゃんだったら、ちょっとの痛みなんて気づかなそうだったけどな)

(じゃからいったじゃろうて。大量の残り香があそこにはあったと。そのためには大きく噛みつくことによる魔力を注入せねばならん。
  それはたいそう、痛くて声を上げてもしたがたなかったと思うぞ?)

(じゃあなんだ。まがりにもあそこでキスをしてよかったということか)

(主の鬼畜に乾杯じゃのう)

(鬼畜いうな吸血鬼)

104 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 03:02:11.26 W0in4s3J0 57/80

「ほら、月火ちゃん。バスタオル」

月火「………ありがとう」ぱたん

「閉められた……なんだっていうんだ。その押し入れからでないつもりなのかよ?」

月火「でるよ!……でもちょっと待って!」

「ああ、わかった」

月火「……ねえ、なんにも言わないのお兄ちゃん?」

「なにをだよ」

月火「……」

「んだからなんだよ。はっきりいえってらしくない」

月火「わ、わたしが…その…へんになったの、とか……」

「………」

月火「………ご、ごめん。やっぱなんでもないよ。忘れて…」

「なんとも思わないわけないだろ。月火ちゃん」


105 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 03:08:19.30 W0in4s3J0 58/80

月火「………そう、なのかなやっぱり。わたしなんて言えばいいか…ちょっと暴走してたとかしか言いようがなくて……」

「ああ、わかってる。心配するな月火ちゃん」

月火「……うん……そだね…ごめんなんか本当に…」

「おいおいだからって、気に病むことはないからな。僕は僕だ、お前が考える兄というのが月火ちゃんの例え醜態を見せつけられて引くようなやつだったら」

月火「だったら……?」

「いますぐ変えるんだ。そして新たにこう書き変えろ」

「シスコンである阿良々木 暦はこれぐらいへっちゃらである。とな」

月火「………」

「だめか?」

月火「ううん、だめじゃないよ。すっごくいい」

「そっか。だったらそう頭の中の僕を編集しといておいてな。頼んだぞ」

月火「うん、わかった。……お兄ちゃんは妹のエロい姿を見ても大丈夫……っと」

「なんか違くないそれって!?」

115 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 07:56:24.45 4SZ+p9su0 59/80

 それから、僕らは次々に家の中を歩き回った。 
 居間を後にした僕らは次に阿良々木暦の自室……つまり僕の部屋へと訪れた。そこではさっきまでの気まずさと相まってなかなかキスするというながれは途方もなく恥ずかしく感じたのはいうまでもない。もうこんな思いをするのはアイツの時だけで十分だ。
 そして次は両親の自室。そこからはなんなく終わり、トイレ、お風呂、そして庭へともにいった。
 この間、ちっちゃい妹はずっと裸だった。なにかのポリシーでもあるのだろうか。流石に庭に出るときにまでその格好はまずいと僕は止めたが、

月火「これで、いいんだよ」

 と、兄としてはいささか衝撃的な告白を妹からされてしまい、激しく混乱する。これは酷い。いくらなんでも残り香のせいで気分が中てられるのだとしても、妹の口からは決してそんな言葉を聞きたくはなかった。

 そして、僕らはすべての場所を回りきり。
 またおなじくして、僕らは最初の部屋である───双子の部屋へと戻ったのだった。 

「無事帰還……と。お疲れさん、今日のデートはこれまでだな」

月火「……うんそうだねー。お兄ちゃんお疲れ様」

「ああ、なかなかハードなデートだった……自ら志願しておいてなんだが、もうしたくない」

月火「あははー。そうだね、お兄ちゃん頑張ってたと思うよ」

「……なあ、月火ちゃん。本当に楽しかったか?僕となんかとデートしてて?」

月火「んん?どうしちゃったの急に?」

118 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 08:09:41.56 4SZ+p9su0 60/80

「いや、だってなんかこう……変かなって思ってさ。月火ちゃんがこうして素直に、なにかしたい。これがしたい。って僕に言うのって結構珍しいじゃないか」

月火「ん~……まぁ、そだね。やりたいことはいっつも自分で決めてやるし、誰かに相談とかほとんどしないよね」

「それはそれでお前の魅力だと思うよ。いやなに、口説いてるわけじゃないからな。そこのところは勘違いするなよ」

月火「なにそのちょいツンデレ。萌えちゃうから言わないでよもう」

「実の兄を萌え対照として見るな!……さて、これで終わりだな」

月火「……そだね」

「………」

月火「………」

(……というかやはり、お前の僕の呼び方疑問持つ方がいたなやっぱ)

(……さりげなく、というか書いてる人の趣味を混ぜてみたのじゃが、あんがい突っ込まれるのも嫌じゃない物じゃのう…)

(やめてくれ。前回から主主言わしちゃったからどうしようかと迷った挙句にそうしたって言いにくいじゃないか)

119 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 08:23:30.13 4SZ+p9su0 61/80

(それ以前に、もっと突っ込むべきところたくさんあるんだから、矛盾なんていくらでも探せば出てくるぞこれって)

(その場くおりてぃーじゃ。しかたないことじゃのう……さて、主よ。これで終いじゃ)

(ああ、これからどうすればいい。今の僕にでもわかる……月火ちゃんに溜まりにたまった桃色の煙みたいなのが)

(残り香、じゃ。阿良々木家にある全ての残り香が今、一人の身体に取り込まれておる。今は暴走となってはおらんが、じきにワシの打ち込んだ魔力もなくなり、主の妹の取り込み始めるじゃろう。その前にかたをつけるんじゃ)

(わかった。そういえばまだ、取り込み終わった後のことをきいてなかったな。どうするんだ?思いっきり吸うとか?)

(違うの。殺すのじゃ)

(────は…?)

(殺すのじゃよ主様よ。その主の妹に完璧に取り込んだ残り香はもう、どのような手段をしてもとれはしないのじゃ。いったじゃろう? ぱなくしみついてて、ワシでも取り除けんと)

(お前、それで僕に妹を殺せって……そんなことをいうのか?)

(別にワシがしてもいいのじゃぞ。かまいはせん、いくら弱体化したとしても、主様の血を少し分けてもらってるのじゃからな。このような子ども一人、簡単にひねりつぶせる)


121 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 08:37:12.90 4SZ+p9su0 62/80

(馬鹿言うな!!そんなことお前に───)

(じゃろうて、じゃから主様がするのじゃ。いやじゃろう?他人に手をかけられる妹の姿など見たくはないじゃろう?)

(そういうことじゃない!もうお前が人を殺す、というのが単純に許せないだけだ……っ。そんな問題は、今は関係ないだろう?
  だから安く殺すとかいうんじゃない忍)

(……相変わらず、甘っちょろい考えをもっとる主様じゃ。それで、どうするのじゃ主様よ。その手で妹を殺す心構えはあるのかの?
  混乱せず理解しているのならば、主の妹は不死身のホトトギスじゃ。殺しても殺しても、主では完全に消滅にいたらせることは不可能じゃろうて)

(……ただ単純に、生命が停止する範囲までに死に至らせればそれでいいのか?)

(ああそうじゃ。それなら主様でも、そのけた外れの腕力をもってすれば可能じゃろう。痛みを感じさせぬよう、一瞬でな)

(…………)

(嫌、かの?やはり血を分けた兄妹を殺す、というのはいささか抵抗があるのはワシとて理解しておる。じゃが……)

(ああ、わかってる。だから今まで黙っていたんだろ。僕になにか変な考えを浮かばせないよう、気を配ってさ)

(………主様は特に、妹などとなると、少々で過ぎたことをするとワシ的にも思ってての。吸血鬼にする、なんてことを言い出しそうで怖かったのじゃ)

(んな馬鹿なことはいわねえよ。でも、最初にもし、そんなことを言われてたら考えはしたかもしれないしな)


122 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 08:48:33.54 4SZ+p9su0 63/80

(変な気遣いさせてすまない忍。わかったよ、覚悟を決める。兄だからな)

(……そうかの、それならいいのじゃ)

(どうした?まだなにかいいたそうだな?)

(……………)

(なんだよ。黙ってちゃなにも伝わんないぞ。言いたいことはいって、初めて思いとなるんだ。想ってるだけじゃ、なにも伝わらないからな)

(主様よ……)

(ん、どうした?)

(よく思い返すのじゃ。なにも主様は間違ってはおらんぞ、これが正しいと思うものを選んできた主なら大丈夫だと思うのじゃが)

(……?忍、お前はなにをいって……)

(じゃが失敗は許されん。最善の選択を、期待しておるぞ。あのときと、あの場所でのことを、ワシはちゃんと覚えてるからの)

(お、おい忍!?どういうことだ!おい!!)

(………なんだよ。どういう意味だよ全く……)ザシュ

「………え?」ぽたぽたぽた…

「………つ、月火ちゃ……?」

124 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 09:01:04.37 4SZ+p9su0 64/80

月火「…………」ぐりぃぎちゅ!

「ぐぁあああ!??がはぁッ!!」ドン!!

月火「きゃ……」どさっ

「な、なんだっていうんだ…………は、らにナイフが刺さって…?」

月火「……なぁーんだ。ちゃんと刺さったと思ったのになぁ。ちゃんと内臓破壊したと思ったのになぁ。案外、丈夫なんだねお兄ちゃん」

「月火ちゃん……?これは、どういう……!!」

月火「わたしの物になってよ。お兄ちゃん」

「は、はぁ?いきなりなにを……」

月火「もういったじゃない。わたしはお兄ちゃんがほしくて堪らない。どんなことをしても欲しい。わたしのものにしたい。わたしだけのなかで一生、その中で一生、身体の中で一生いっしょういっしょういっしょう……」

「初めて聞いたぞそんなこと!!お前は本当に、なにを言ってるんだ……」

月火「もう誰にもわたさない。彼女さんにも、翼先輩にも、するが先輩にも、せんちゃんにも……そして火憐ちゃんにも」

月火「お兄ちゃんはわたしだけのものっ!!!だれにも!!!絶対にわたしはしない!!!」

月火「だから…しんでよお兄ちゃん」

125 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 09:13:16.32 4SZ+p9su0 65/80

「………」

月火「…………」

「……お前に好かれるというのは、正直、兄としては気持ち悪いとしていいようがないな……だけど、いち男としてそこまで好かれるのはいささか他人には自慢できることなのかもな。それは」

月火「わたしだけがお兄ちゃんを思える…想える…たったそれだけのこと。死んでも、わたしがいつまでもいつまでも想ってってあげるよ?」

「それで完璧ってか……。僕がお前に殺されて、それでちゃんと思いは伝わるのか?」

月火「伝わるよ。思いを伝えるのなんて、言葉をつなげることだけじゃない。行為そのものが、想いとなってつながることもあるんだよ」

「行為、そのものが……?」

月火「そうだよ!!だからわかったんだ……わたしの愛だって……わたしが言葉だけじゃなくて、自分だけのことだけじゃなく、身体で、この手で伝えられる最大限の愛の伝え方だってさ!!!やっと気づいたんだよ!!」

「やっと気づいた…?お前、僕を刺す前に、なにかやってたの────」

「………まさか、お前、あの時部屋でぶら下がってったのって……」

月火「ふふ、あはは1!!!あははっはあはは!!!」

「自殺、してたのか……?あれは、お前が望んでしていたことなのか……?」

127 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 09:34:05.26 4SZ+p9su0 66/80

月火「なんだぁ、やっぱりわたしって自殺してたんだぁ……なんか記憶が曖昧でよく思い出せないけど、うん、そうだよ?わたしが望んで自殺しました!」

「な、なんでそんなこと───」

月火「だって想われたいから。お兄ちゃんにずっとずっと、想われ続けたいから。どうしたらお兄ちゃんが私のことをちゃんと見て、そしていつまでも想い続けてくれるのか考えた結果があれだったんだよ。くるしかったなぁ。いたかったなぁ。でもそんなの、お兄ちゃんのことを思えばそれまでだもん」

「馬鹿言え!!だからって、そんなことが許されるワケがないだろう!?なにが思われたいだよ、んなヤンデレみたいなこというんじゃねえよ!」

月火「なにを今さら。これってもうヤンデレじゃない?うわーお、これでもう不人気な妹の方とかいわせられなくなるねお兄ちゃん」

「今さら人気なんか気にするんじゃない……」

月火「だいたい、あんな…あんな妹属性を完璧に兼ねそろえた火憐ちゃん、ひきょーだもん1!!」

「ひきょうとかいうなよ……同じ血を分けた姉妹だろうが」

月火「あんなのは違うよ!!!たとえが…わたしたちが顔がそっくりでも、あんなのとは絶対家族なんて───」

「……っ!!」

月火「っ…」ばしん!!

「……例えお前が本調子じゃないとしても、それが本気で思ってるんだとしても、絶対にそんなことは言うな。月火ちゃん、喧嘩するのはいい。悪口や文句、馬鹿にするのはどれだけやってもいい」

「でも、それだけは言うな。家族なんかじゃない、それだけは僕は許さない。兄として、お前の兄としてな」

128 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 09:44:58.12 4SZ+p9su0 67/80

月火「なに、それ……わたしより、火憐ちゃんがだいじってこと!?」

「違うさ。お前もアイツもどっちも大事だ。だが今の言葉で決心がついた。お前は一回、寝るべきだ」

月火「うるさい……うるさいうるさい!!うらぎりもの!!ころしてやる!!」

「無駄だよ。月火ちゃん、お前に僕は殺せない」

月火「無駄なんかじゃない!!わたしがしていることは……決して無駄なんかじゃない!!ころすんだ!そしてお兄ちゃんに、ちゃんとわたしの想いを……気持ちを……ちゃんとちゃんと伝えるんだって!!ずっとずっとわたしだけを見てほしいって!!」

「忍。僕の血を吸え」

「……」ズニュルゥ

「いいのかの?」

「…ああ、ここは兄の出番だ。誰も出るべきものじゃない僕たちだけのお話だ。結局は、そういうことだろう忍?」

「……では、限界まで吸い上げるからの。暴走するのでないぞ」かぷ

「まかせとけ……ぐっ!!……」

「終いじゃ。これで主もアレが可能じゃぞ」

「サンキュー忍。今度、お礼も兼ねてドーナッツ増やしてやるよ」

129 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 09:55:35.78 4SZ+p9su0 68/80

「それは楽しみじゃ。では、また後での」ズニュル

「ああ、また後でな」

月火「ひぐっ……ぐすっ……わたしはっ……ぐっす…お兄ちゃんをただ……」

「……ああそうだな。お前はただ、僕を好きすぎただけだ。それをちょっと間違っただけなんだ」

月火「ぐす……じゅるる……だってお兄ちゃんはいっつもほかの……」

「そうだな。最近は、いっつもほかのやつとばっかで遊んでた。ぜんぜんお前とも遊んでやれなかったな」

月火「わたし、は……一人で、……お兄ちゃんの目に映ってないのかなって……ぐす……」

「そうじゃない。お前はいつも僕の目の前にいるぞ。だってそれは家族だからな」

「お前の兄で、血を分けた兄妹で、そして大事な大事な家族だ………」

月火「わたしは…」

「目をつぶれ月火ちゃん。また今度、目を開けた時、もうなにもかもちゃんと終わってるからさ」

月火「…………」

「だから僕はいっただろう?……ごめんな月火ちゃん。お兄ちゃんとして、僕は精一杯のことをお前にするよ。なにがあっても、月火ちゃんを不安にさせることはしない。命に誓って誓う」

130 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 10:15:14.70 4SZ+p9su0 69/80

 後日談というか、今回のオチ。

「「『夜泣き石』……日本古来からある伝説の一つじゃ。各地にさまざまな『夜泣き石』があるのじゃがその伝承の仕方は一つも同じものはない。ただ、名の通り夜になるとただの石が大きく泣きだすのが特徴じゃな。その原因が殺された霊が乗り移ったのじゃろうとか、まぁ色々と推測はある。そして、今回は極めて珍しいタイプじゃろう」

「あれ……なんかすごいデジャビュを感じる…」

「同じこと書いてることろからコピペしてきものじゃからな。超便利」

「ちょっとなにいってるかわからないなぁ……というか、夜泣き石の件はもう解決しただろう?なんで今さら蒸し返すんだ」

「今回の件と深い関係はあるのじゃ。残り香とな」

「どういう意味だ……?」

「……夜泣き石。それは今回の元となる石に憑依したのは、性に飢えたものじゃった。それは過去に性行為を行えなかったものによる怨念と後悔、それが集まり塊となり石となった」

「夜泣き石、世を亡きし石、そして意思。世から亡き者となったその意思は、世を嘆き、現世での過去の自分を悔み、毎夜毎夜と嘆き苦しむ。無いものはあるものを羨み、または過去の自分と照らし合わせ想いを募らせる」

「夜泣き石とは、人の想いじゃ。亡きものの意思を世にうったえるためだけに生まれた負の産物。人を想うことを大前提として、今日も石たちはうめくのじゃ」


135 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 10:30:06.49 4SZ+p9su0 70/80

「亡き思い、亡き意思……夜泣き石。そんなものがもし、とある人に好意をもつ人間にとりつけば、荒れ狂うじゃろうな」

「火憐ちゃんのときは、そこまで派手なことではなかった気がするんだが……」

「ケースバイケースじゃ。なにもすべてがそうじゃないじゃろう?人間も妖怪も、同じ想いで生きているわけじゃないからの」

「……その一旦、火憐ちゃんにとりついた夜泣き石が、残り香となって月火ちゃんに取り付き、波長が合った……」

「ただ、それだけのことじゃ」

「……でも、月火ちゃんは自殺をしたんだ。その想いに負けて、考えをゆがませられて」

「それは違う。勘違いをしては困るぞ主様よ」

「どういう意味だよ?」

「自殺、それはいつにだってありえることじゃ。人というのはちょっとしたことで、すぐに崩れるほど脆いからの」

「……確かにお前にとっては脆い存在かもしれない。でも自殺をする、という意思までをもつのは、それは変じゃないのか…?」

「じゃあ聞くがの。主様はいっかいもこの生きてきた中で、死にたいと思ったことはないのかの?」

「それは……確かに、ないとは言い切れないけど、それは冗談とか、いたたまれなくなったときとかで別に本気で思ったわけじゃ…」

「それでもそれは純粋な自己殺人意欲じゃ。死にたい、この世からいなくなりたい。それを少しでも思えばの」

137 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 10:44:04.38 4SZ+p9su0 71/80

「そんな、ものなのか……」

「残り香はただのトリガーとなっただけじゃ。主の妹はなにかしらの自殺する意思を持ってていて……それが残り香によって押し出された」

「……お前は……いつから、いや、どこからわかっていたんだ?」

「なにがかの?」

「月火ちゃんのこと、そして、僕のことだ」

「主の妹のことは、見つけた時からじゃ。じゃが主様のこととは一体何じゃ?」

「……僕が月火ちゃんに対して、苦手意識があったことだよ」

「……………」

「……………」

「はて?」

「わかってなかったのかよ!?いやいやいや、いまさらながら思い返してみるとさ、忍ってやけに月火ちゃんと僕がいちゃこらしてる時、機嫌悪いと思ってたからさ」

「それって、僕が月火ちゃん相手に…その苦手というか、僕的には克服していたつもりだった部分が浮き彫りになって、残り香を吸収させるときの効率を下げてたんじゃないかって……思うんだけど、あ、その顔を見ると違うみたいだな、うん、ごめん!」

「おまえっ……、主様はっそんなんじゃからっ……ワシはっ…!!」どかっばきっ

「ちょ、ま、待てよ!!今は休憩中だろ!?ストップストップ!!!」

138 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 10:56:27.15 4SZ+p9su0 72/80

「もう休憩はお終いじゃ!これからまたみっちりとしぼりとっていくからの!!!」

「いや、本当にまってくれって!!これでも最大吸血鬼化から思いっきり残り香すいとって、物凄く精神的に疲れてんだからな!!」

「主様が無理やりそうやったじゃろうが!!基本的は残り香というのは吸い取ることはできんのじゃ!!じゃがこちら側に移すことは可能じゃから、止めはせんかったが……そうやってちんたらしとけば主が取り付かれてしまうぞ!!」げしげし

「んだから頑張って、欲求元を変換して、こうやって組み手ならぬ破壊手をしあってるわけだろ!?いたいいたい!!吸血鬼化でいたいってどんだけの威力でけってんだ忍!!」

「はぁっ……はぁっ……じゃったらはよう立ち上がるのじゃ!!主様の中にはまだまだ沢山の残り香残っておる。それを浄化して発散させるにはたくさんの身体的な死を行い、血液を流すのじゃ。ほら、頑張るのじゃぞっ!!」ゴッッ!!

「ふぬるぷげ!?」

「おー!頭がふっとんでったのー!」

暦バカー ドウスンダコレー

「しらん。勝手に再生するまで、ワシは身体をぼこぼこにしとくからの!!」どごばきがべきばがびっげいぎびヴぃぎげいい!!

「うわぁ……僕の体が見る見るうちにミンチに……」

ぴりりり

「……ん?」

140 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 11:15:06.77 4SZ+p9su0 73/80

ぴりりりりり…

「端っこに置いてあった携帯が……メール、いや電話か。お、身体戻った。服まで戻るってすげー便利だよなぁ」ぴっ

「はい、もしもしー」

『………阿良々木君?もしもしわたしだけど』

「ん、その声は…羽川か。どうしたこんな夜中に」

『んーっとね、とりあえずはこんばんわかな。ごめんね、ちょっと急に用を思い出して電話したんだよ』

「用?なにか用なんかあるのか?」

『………えっとちょっと手短に言いたいんだけど、そうもいかないというか、あれなんだよね…』

「なんだよ羽川。らしくない物言いだな」

『………。じゃあはっきりいうよ?』

「どんとこい」

『ご主人はさっさとお前はそこから逃げろといってるニャ』


141 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 11:26:39.88 4SZ+p9su0 74/80

「羽川……!?お、おまえ……!!」

『ふふふにゃ、驚いてるにゃ。とつぜん俺にかわってすげーおどろいてるにゃ!』

「猫語まで、マスターしたのか……?」

『なにをいってるにゃ!?おれだにゃ!!障り猫のおれだにゃ!!』

「はーねーかーわーかーわーいーいー」

『にゃーー!!やっぱコイツうざいにゃ!!嫌いだニャ!!……でもちょっと可愛い言われてストレス軽減してるご主人もどうかと思うニャ…』

「それでどうした猫。あとそれとどうでもいいけどお前のせいで、最近、本当にねこが嫌いになってきたぞ」

『いい気味にゃ。そのままあのふわふわとした毛並みに触れずそのまま死を迎えればいいのにゃ!!』

「なにをいう!こちとら犬っていうあのかわいらしいもふもふをだな……」

『ひとつ注意をするにゃ。人間』

「……なんだよ急に。注意ってなんだ」

『人間、けーたいのめーるはたしかめたかにゃ?』

「メール…?なんでまた」

『いいから早く。確かめてないのならにゃ』


142 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 11:34:06.25 4SZ+p9su0 75/80

「はいはい…わかったよ確かめればいいんだろ…」

『一回切るにゃよ?つなげたまま確かめるんだニャ』

「わかってるって。んー…なになに…………新着メール452件……!!!?なん、なんだこれは…」

「誰からいったい……」

戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ
戦場ヶ原ひたぎ


「ひぃぃい!?」

144 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 11:43:20.81 4SZ+p9su0 76/80

「どういうことだよこれ猫!?お前の仕業か!?」

『なわけないにゃ。こちとらそんな暇なんてないにゃ』

「じゃあなんでこんなにもガハラさんからメールが……っって、なんかまた増えつつある!?こわい!!」

『……こっちとしてもそれが知りたいんニャ。どうしてだがこっちも…』

「ああ、それは残り香じゃな」

「し、忍!?」

「思い返してみい。主の家にいたのは、なにも家族だけではないじゃろう」

「………べ、勉強会……?」

「そうじゃな。そこで少量でも吸い取っておったんじゃろう。それが後になにかをきっかけに押し出されて……おっと!」がしゃん!!

「ど、どうした忍!?」

「ふむ……バレたようじゃな。ほれ、地面にコンパスが刺さっておる。何処かからか投擲してきたのじゃろうて」

「文房具……やばい、ものすごくやばい気がする……」

『だめにゃ…やっぱお前、人間のせいだったにゃか……こっちもそろそろ俺が押さえるのも限界になってきたにゃ…』

「ね、ねこ!?」

『しっかり責任取れにゃ人間……発情した猫は、それはもうしつこいにゃ?ブツ……ぷー ぷー』

145 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 11:54:58.77 4SZ+p9su0 77/80

「………どうしよう忍」

「忍!?あれ、どこいった忍!あ、さては逃げやがったなお前!!」

がさごそ

「ひぃいい!?」

神原「おー!阿良々木先輩!!」

「へ、あ、か、神原……?なんでここに……」

神原「いやいや阿良々木先輩こそ、わたしのランニングコースでナニやってるんだ?」

「ナニとかいうな!つかここ神社の裏空地だぞ……夜中にここまでランニングにきてるのかお前は」

神原「そうなのだよ!最近、なんかめっきり運動に対する意欲が下がってたとおもってたんだが……いまだと逆に走ってないと苦しくてな」

「苦しい……?……いやまて、お前最近って僕んちに遊びに来たことあったりするか…?」

神原「なにをいう阿良々木先輩。わたしのような弱輩者が阿良々木先輩のような高貴なお家に招待されるなどありえるわけないではないか」

「いつも通り過剰表現だなお前は。で、本音は?」

神原「先輩の妹さんをストーキングしててちょっとお邪魔した」

暦 だっ!

神原「ちょ阿良々木先輩!!なぜ走って逃げるんだ!!」

146 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 12:03:59.35 4SZ+p9su0 78/80

「確実に…いっていい…!!あいつは感染してる……!!」

神原「阿良々木せんぱーい!!ちょっとまってくれー!!待たなくてもパンツぐらいは置いてってくれー!!」

「だれが置いていくかばか!!大人しく家に帰ってねとけ変態後輩!!」

 ひゅっ!

「うわ!?なに飛んできた……ってカッター!?」

「って、あれ……なんか先の方にある木の根あたりになにかぶら下がって…というか磔にされてるのってあれは……」

「……」きゅいいいい…

「うなぎだ!!へびとかじゃなくてうなぎだあれ!うなぎが木にはりつけにされてる!?」

千石「らーん…ららら♪」

「…………………」くいっ

(やばいやばいやばい。ぜったいに千石も感染してた絶対……!?)

149 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 12:09:21.11 4SZ+p9su0 79/80

「どうするこれ……僕どうする……」だだだだだだ

「………」

「ハッ!目の前にだれかいる……!!」きぃいいいい 

「はぁ…はぁ……すみません、ちょっといそいでいたもので……ぶつかりそうになってすみません…」

「………」

「お怪我はないですか?」

戦場ヶ原「……」

「ないみたいですね、それでは!」

戦場ヶ原「…………」がっしり

「はなせ!」

戦場ヶ原「…………」ぼそぼそ

「耳元でそっとなにか囁かないで!めっちゃすんごいこといってるよそれガハラさん!」

150 : 以下、名... - 2011/02/14(月) 12:14:31.87 4SZ+p9su0 80/80

『阿良々木せんぱーい!!どこだぁー!!できればせめて上着のにおいを嗅がせてくれるだけでもいいぞー!』

『ららー……暦お兄ちゃんのにおいがする…こっちからかなぁ…♪』

『にぁおぉーん…ごろにゃぁーん……』

戦場ヶ原「………あららぎきゅ」

「いっやああああああああああああああ!!!!!!」


owari

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