2 : ぶたごり - 2015/08/24 10:28:46.13 nhd/ATek0 1/79

【結婚披露宴場】

司会「それでは新郎新婦の入場です」

パチパチパチパチ

小町「結衣さーん!めちゃくちゃ似合ってて綺麗ですよ!」


姫菜「結衣綺麗だねぇ。それにしても旦那さんは強気攻めって感じ」ジュルリ


優美子「ちょっ、海老名。ここでそんなこと考えんなし」


隼人「結衣もようやく結婚だな」


戸部「っべー!結婚組の仲間入りっしょ!」


材木座「ぽむぅ。確かに美しい…………だがしかーし!我の嫁には劣るな」


彩加「でも由比ヶ……じゃもうないのか。綺麗だよ」


いろは「いやー、結婚組はテンション高いですね。ね、先輩たち?」


八幡「…そうだな」


雪乃「…そうね」


「ぐぬぬぬ」

元スレ
八幡「雪の下の思い出」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440379638/

3 : ぶたごり - 2015/08/24 10:30:17.40 nhd/ATek0 2/79

八幡(今日は由比ヶ浜の結婚披露宴だ。大学のとき付き合った先輩と結婚したらしい)

八幡(28歳にもなると結婚していく人が周りに増えていくな)

八幡(高校卒業のとき由比ヶ浜には告られ振ってしまったが、ちゃんと新しい恋愛ができていてよかったと思う)

4 : ぶたごり - 2015/08/24 10:31:09.13 nhd/ATek0 3/79

八幡「よ、久しぶりだな」

雪乃「おめでとうございます。綺麗よ。とても似合っているわ」

結衣「あ、ヒッキーにゆきのん!来てくれてありがとね」

雪乃「…………親友の結婚なのだし来ない訳ないでしょう」

結衣「ゆ、ゆきのん」

八幡「ま、おめでとさん」

結衣「ありがと。後悔してる?」

八幡「いやしてない。大丈夫だ」

結衣「それはそれでなんかムカつく!ヒッキーもゆきのんと早くね」

八幡「…………は?」

結衣「え?だから
優美子「結衣ー!こっちにも構えし」

結衣「あ、うん!ならまた後でね、ゆきのん、ヒッキー!」

5 : ぶたごり - 2015/08/24 10:32:52.80 nhd/ATek0 4/79

×××

八幡「…………ふぅ」

雪乃「あなたの正装はいつ見ても違和感があるわね」

八幡「そういうお前は似合いすぎだっつの」

雪乃「葉山くんと三浦さん、戸部くんと海老名さん、小町さんと川崎さんの弟さん」

八幡「材木座は声優と、戸塚は仕事先の人と結婚していったしな」

雪乃「周りの人が先に結婚して、取り残させる気分はどうかしら?」

八幡「まぁ、めでたいよな。それに取り残させることに関しては、今までもそうだったから特になんとも思わんな」

八幡「お前はどうなんだよ?今まで人の前を歩いてたみたいもんだろ」

雪乃「そうね…………私もあなたと同じようなものかしら」

八幡「そんなもんだよな」

6 : ぶたごり - 2015/08/24 10:36:26.77 nhd/ATek0 5/79

いろは「先輩たちなにのんびりしてるんですか?盛り上がりましょうよ」

八幡「柄じゃねーんだよ」

いろは「そうですかー。雪ノ下先輩は?」

雪乃「わたしも柄ではないだしょうね」

いろは「ふーん……。ところで先輩たちはいつ結婚するんですか?」

八幡「……は?」
雪乃「……え?」

7 : 八幡 - 2015/08/24 10:38:01.66 nhd/ATek0 6/79

いろは「え?その反応何ですか?」

八幡「いや…………え?お前何言ってんの?」

いろは「先輩と雪ノ下先輩はいつ結婚するのかなー、って言ってるんですよ」

雪乃「……ちょっと一色さん?私が比企谷くんと結婚?何でそうなるのかしら?」

いろは「だってお二人付き合ってるじゃないですか」

八幡「……ちょっと待て。なんだその話?俺と雪ノ下が付き合ってる?」

いろは「…………えぇっ!?付き合ってないんですか!?」

雪乃「何故そのような話になっているのかしら…………」

いろは「みんな付き合ってると思ってましたよ」

いろは「そうか、付き合ってないのか」ボソボソ

八幡「どうした?」

いろは「い、いえっ!わたしはちょっと結衣先輩たちのところ行ってきます!」タタタッ

8 : 八幡 - 2015/08/24 10:42:12.80 nhd/ATek0 7/79

八幡(俺が雪ノ下と?)

雪乃「私が比企谷くんと?)

八幡「…………」

雪乃「…………」

八幡「なぁ」
雪乃「ねぇ」

八幡「…………」

雪乃「…………」

八幡「先にいいぞ」
雪乃「先にどうぞ」

八幡「…………」

雪乃「…………」

9 : 八幡 - 2015/08/24 10:43:12.55 nhd/ATek0 8/79

八幡「あー、あれだ。不快な思いさせたなら謝る」

雪乃「いえ、別に……噂程度だし。あなたも迷惑しなかったかしら?」

八幡「迷惑も何も今知ったことだしな」

雪乃「…………そろそろクリスマスよね」

八幡「ん?あ、ああ、そうだな。来週だったよな」

雪乃「比企谷くんは
戸部「っべー!もう料理きてんじゃん。うめー!!」モグモグ

姫菜「がっつかないでよねー」

隼人「比企谷たちは結衣のところに行かなくていいのかい?」

八幡「最初に行ってきたよ」

八幡「それで雪ノ下。悪いけどもう一度言ってもらってもいいか?」

雪乃「…………いえ、何でもないわ」

八幡「……そうか」

10 : ぶたごり - 2015/08/24 10:44:05.81 nhd/ATek0 9/79

八幡(その後も由比ヶ浜の結婚披露宴はスムーズに進んでいった)

八幡(由比ヶ浜は泣いていた。自分の幸せを祝ってもらえて嬉しく、そして感動したのだろう)

八幡(雪ノ下は泣いていた……だろうか?下を向いていてよく分からなかったが泣いていたのだろう。親友の幸せが嬉しいのだろう)

八幡(なら俺は。俺はどうだろう?)

八幡(一度振った相手の幸せをどう感じた?答えは簡単だ…………)

八幡(由比ヶ浜の幸せは素直に嬉しかった)

16 : ぶたごり - 2015/08/24 13:20:07.35 MPNFUOf4O 10/79

×××

【職場】

八幡(由比ヶ浜の結婚披露宴から数日が過ぎ、いつも通りの家畜ライフが続いていた。いざ行け干物妹ライフが羨ましすぎる)

八幡(クリスマスも近いせいか、仕事先の人はクリスマスの話で盛り上がっていた)

同僚A「えぇっ!?先輩合コン来れなくなったんですか!?」

先輩A「悪りぃな。ちょっと誘われちまってな」

同僚A「クリスマスの合コンどうしようか?」

同僚B「あと1人だろ?人数だけでも合わせないとマズイよな。暇そうなやつ誘うか」

同僚A「……となると」チラッ

17 : ぶたごり - 2015/08/24 13:21:24.76 MPNFUOf4O 11/79

八幡(帰るか)ヨイショ

同僚A「ひーきーがーやー!」ドンッ

八幡「いって…………なんだよ?」

同僚A「お前彼女いないだろうしクリスマス暇だろ?人数合わせでいいから合コン来てくれよ」

八幡「いや、その日はちょっとアレだから」

八幡(てか人数合わせって言っちゃうのかよ。まぁ、隠されるよりはっきり言われるだけマシだけど)

同僚B「強がんなって。とりあえずよろしくな。そんじゃお先に」

同僚A「よろしくなー!」

八幡「えぇー…………」

18 : ぶたごり - 2015/08/24 13:22:36.66 MPNFUOf4O 12/79

×××

【帰宅中】

八幡(俺が合コンとかはっきり言って無理だ。引き立て役にしかならないだろう…………くそ、引き立てや君を思い出してしまった)

八幡(そう言えばこの前雪ノ下は何を言おうとしていたのだろうか?)

八幡(クリスマスとかなんか言っていたけど…………まぁ、ないよな)

八幡(にしても今日は電車の中は一段と人が多いな。…………ん?あれ一色だよな?)

いろは「…………ん」

おっさん「」スリスリ

いろは(やだ、怖い。声が出ない)

おっさん「ハァハァ」スリスリ

八幡(おいおいマジかよ。こんなことって本当にあるんだな。じゃなくて流石に無視は出来ねぇよな)

19 : ぶたごり - 2015/08/24 13:23:51.69 MPNFUOf4O 13/79

おっさん「ハァハァ」モミモミ

いろは「…………や、だ」

いろは(なんで私がこんな目に合うの?嫌だよ)

おっさん「けっこう大きいね」ボソッ

いろは「ひっ」

いろは(やだ、キモい、気持ち悪い。…………助けて。誰か、助けて!!)

八幡「あー、そこら辺でやめた方がいいんじゃないですか?」パシッ

おっさん「……へ?」

いろは「せん……ぱい?」

八幡「それ痴漢ってやつですよね。犯罪ですよ」

おっさん「俺が痴漢?証拠とかあんの?」

八幡「ええ、まぁ。悪いけど写真撮らせていただきました。これです」スッ

おっさん「…………ちっ」

八幡「次の駅で降りましょうか」

20 : ぶたごり - 2015/08/24 13:25:34.70 MPNFUOf4O 14/79

×××

八幡(その後一色に痴漢をしていたおっさんを駅員に突き出した)

八幡(あんなことがあった後で一色を1人で帰らせるわけにも行かないので、家まで送ることにした)

八幡「…………」テクテク

いろは「…………」テクテク

八幡「…………」テクテク

いろは「……何も言わないんですか?」

八幡「何を言えばいいんだよ」

いろは「大丈夫か?とかいろいろあるじゃないですか」

八幡「あれ見て大丈夫だとは思えねーよ。だからこうして送ってるんだろーが」

いろは「……ありがとうございます。あと、写真ですが」

八幡「もう消しといたから安心しろ」

いろは「ありがとうございます」

22 : 八幡 - 2015/08/24 13:30:08.02 MPNFUOf4O 15/79

八幡「別にいいけどよ。それよりまだ着かないの?疲れてきたんだけど」

いろは「軟弱ですね。もう着きます。そこのアパートです」

八幡「ならよかった。これからは気をつけろよ。じゃあな」

いろは「」ギュッ

八幡「…………一色さん?」

いろは「はい?何ですか?」ニコッ

八幡「何ですか?じゃなくてさ、何で袖掴んでるんでしょうか?」

いろは「何ででしょうね?」ギュー

八幡「質問で返されても困るんだが」

23 : 八幡 - 2015/08/24 13:31:23.04 MPNFUOf4O 16/79

いろは「……少し上がっていきませんか?」

八幡「……………………はい?」

いろは「あ、いや、その……そ、そう!あれです!助けてもらったお礼でもと思いまして」

八幡「だったら高校のとき生徒会の仕事手伝ったお礼が先だろ」

いろは「む、今さらそんな話を……。それに先輩疲れたって言ってたじゃないですか!少し休憩した方がいいんじゃないですか?」

八幡「んー、でもなぁ」

いろは「」フルフル

八幡(震えてる……のか。まぁ、仕方ないよな)

八幡「なら少しお邪魔するわ」

いろは「はい!行きましょう!」

25 : ぶたごり - 2015/08/24 15:23:35.54 MPNFUOf4O 17/79

×××

【いろは家】

八幡(うん、なんか軽い気持ちでお邪魔するとか言っちゃったけど…………)

八幡(女性の家に1人で上がるのとか初めてだから、どうしていいか分からない!!!!」

八幡(なんだこれ、緊張してきたぞ。それにけっこう綺麗にしてるんだな)キョロキョロ

いろは「あの……あまりジロジロ見ないでください」

八幡「す、すまん」

いろは「いえ、別にいいですけど。それと…………着替えてもいいですかね?」

八幡「ならお前風呂入ってこいよ」

いろは「…………へ?」

26 : ぶたごり - 2015/08/24 15:25:17.70 MPNFUOf4O 18/79

八幡「だから着替えるならついでに風呂入ってこいって言ってんだよ。なんか変か?」

いろは「ちょっ……え?ちょっと待ってくださいよ!!何するつもりですか!?いきなりそんな///順序と言うものが…………」

八幡「いや、そういうのじゃないから。お前体洗いたくないのか?その……触られただろ?」

いろは「何ですかその言い方?何かやらしいこと考えてません?」

八幡「考えてねーよバカ。お前人が心配してやってんのに」

いろは「……なら少しお風呂に入ってきますね。覗かないで下さいよ」

八幡「何それフラグ?」

いろは「殴られたいですか?」ニコッ

八幡「ごめんなさい調子に乗りました」

27 : ぶたごり - 2015/08/24 15:26:15.90 MPNFUOf4O 19/79

八幡「お前が風呂入ってる間暇だから飯作っててやるよ」

いろは「え?いいんですか?いや、でも悪いですよ」

八幡「いいのか悪いのかどっちだよ」

いろは「んー…………」

八幡「まぁ、冷蔵庫の中とか見られるの嫌なら別にいいけどよ」

いろは(……はっ!これは先輩の手料理になるのでは?)

いろは「いえ、別にいいですよ。お願いしていいですか?」

八幡「おう、任せろ」

いろは「それではお願いします。覗かないで下さいね」

八幡「お前どんだけ信用してないんだよ…………」

28 : ぶたごり - 2015/08/24 15:27:27.47 MPNFUOf4O 20/79

×××

八幡(さて、何を作ろうか。ひとまずは材料確認だな)

八幡(ふむ、ふむ。こ、これは!!)

八幡(なんか腐ってる…………。見なかったことにしよう)

八幡「よし、作るか」

30 : ぶたごり - 2015/08/24 16:14:02.68 MPNFUOf4O 21/79

×××

いろは(先輩がいるのにお風呂に入るなんてわたし何してんだろ)

いろは(それにお礼するとか言いながら、料理作ってもらうってどうなの?)

いろは(…………やっぱり先輩優しいよね。今日も助けられちゃったし)

いろは(うっ、嫌な方も思い出した。しっかり洗っておこなきゃ)ゴシゴシ

いろは(あれ?わたしちゃんと下着用意したっけ?)

いろは(…………してない!してないよわたし!!先輩に風呂入れって急かされたから忘れてた)

いろは(ど、どうしよう。家の中には先輩がいるからなぁ)

いろは(うーん、やっぱり先輩に少し出ててもらうしかないよね)

31 : ぶたごり - 2015/08/24 16:15:09.43 MPNFUOf4O 22/79

いろは「せ、せんぱーい!」

シーン

いろは(お風呂場からじゃ聞こえずらいのかな?)

いろは(タオル巻いて、顔だけ出して。よし)

いろは「せーんぱーい!聞こえてますか?」

シーン

いろは(ん?さすがに聞こえるはずだけどな)

いろは「先輩!聞こえてるなら返事しなさい!」

シーン

いろは(むっ、少しムカつく。こっちから出向いてやる)

32 : 八幡 - 2015/08/24 16:16:21.07 MPNFUOf4O 23/79

いろは「ちょっ、何で無視するんですか…………ってあれ?いない?」

いろは(ご飯は作り終わって置いてあるし。でもなぜ一人分だけ?先輩自分の分は作らなかったの?)

いろは「…………もしかして帰っちゃった?」

ガチャ

八幡「再びお邪魔しますだな…………は?お前タオル一枚で何してんだよ!?」

いろは「あ……み、見ないでください!あっち向いて!!目潰しますよ!!!」

八幡「怖い!怖いよ発言が!てか上がったならさっさと着替えろ」

いろは「う、うるさいうるさい!とりあえず外で待っててください!!着替え終わったら呼びますから!」

八幡「はい…………」

33 : ぶたごり - 2015/08/24 16:18:49.87 MPNFUOf4O 24/79

×××

八幡「で、お前何でタオル一枚だったんだよ」

いろは「それはもういいんです。それよりどこに行ってたんですか?」

八幡「ちょっとコンビニまで」

いろは「何でですか?」

八幡「何これ?取り調べみたいになってんだけど」

いろは「いいから答えなさい」

八幡「……酒買いに行ってたんだよ

いろは「そうですか。何でお酒を買いに行ったのですか?」

八幡「お前ん家になかったからだよ」

いろは「あったら勝手に飲んでたんですか?」

八幡「いや、俺のじゃなくてお前の分なんだけど」

いろは「へ?」

八幡「嫌なことがあったら酒でもと思ってな。大人の特権だ」

いろは「わたしのため、ですか?」

八幡「いや、んー……どうなんだろうな」

いろは「そこではっきり言えないのが先輩らしいですね」

八幡「なんだよそれ」

いろは「でも、ありがとうございます」ニコッ

八幡「…………おう」

34 : 八幡 - 2015/08/24 16:19:35.21 MPNFUOf4O 25/79

八幡「ようやく俺も帰れるわな」

いろは「……帰るんですか?」

八幡「まぁ、帰るだろ。明日も仕事だから帰って寝たいしな」

いろは「…………傷ついている女性を置いて帰るんですか?」

八幡「なんだその言い方は。俺が傷つけたみたいな言い方すんじゃねーよ」

いろは「むー、仕方ないですね。なら少しだけ一緒に飲みましょう。そしたら解放してあげます」

八幡「はぁ?なんでそうなるんだよ」

いろは「いいじゃないですか。…………どうしても嫌っていうなら別にいいですけど……」

八幡「……なら少しだけな」

いろは「はいっ!」

35 : ぶたごり - 2015/08/24 16:22:14.92 MPNFUOf4O 26/79

〜数時間後〜

いろは「しぇーんぱーい。ちゃんと飲んでますかー?」フラフラ

八幡「お前飲みすぎだろ。もうやめとけ」

いろは「しぇんぱいが飲めって言ったんらないれすかー」

八幡「……軽くってつもりだったんだけど。ほら、水飲め」

いろは「はぁ〜〜い」ゴクッ

八幡「少しは落ち着いたか?」

いろは「…………い……すね」

八幡「は?」

いろは「らいたいれすね!なんれわたしがあんな目に合わなきゃいけないんれすか!!」バンッ

八幡「うおっ、なんだいきなり!それとテーブル叩くんじゃねぇよ。ビックリするだろ」

いろは「ビックリしたのはわたしの方れすよ!電車でいきなりあんなことされるんですから!!!」

八幡「いや、俺に言われてもな……。それとお前ろれつ回ってねーぞ」

いろは「答えてくらはい!なんれわたしがあんな目にあったんれすか!!答えなさいしぇんぱい!!」

八幡「だから俺に言われてもな…………」

いろは「こ〜た〜え〜な〜い〜とぉ〜〜、き◯玉潰しますよ」ニコッ

八幡「ちょ、ちょっと一色さん?あなたって酔うとこんなになっちゃうんですか?」

いろは「こ〜た〜え〜な〜さ〜い」ズイッ

八幡「ひぃっ!く、来るな」

いろは「…………」ニタァ

八幡(こ、怖えぇぇ!!)

36 : 八幡 - 2015/08/24 16:23:39.86 MPNFUOf4O 27/79

八幡「あ、あれだ!一色の女性としての魅力が凄かったんだろ。だから理性が吹っ飛んで痴漢しちゃったー、みたいな感じだろうなうん。きっとそうだ」

いろは「…………ぱい………………か?」

八幡「さ、さっきから聞き取りずらいんですが……」

いろは「しぇんぱいもわたしに魅力感じましゅか?」

八幡「…………は?」

いろは「…………しぇんぱいもわたしにあんなことしたいって思いましゅか?理性なくなっちゃいますか?」

八幡「ど、どうだろうな?」

いろは「せんぱい」ズイッ

八幡「は、はいっ!」

いろは「……せんぱいならいいですよ」ヌギッ

八幡「やっ、ばか!何脱ごうとしてんだお前」

いろは「…………女に恥、かかせないでくださいね?」

八幡(はぁぁぁ!?何この展開?正直おいしすぎますよ!…………いいのか?こんなことあっていいの?)

いろは「…………」

八幡「一色さん?」

いろは「…………」zzZ

八幡「……ね、寝てる!?このタイミングで!?」

いろは「…………」zzZ

八幡「まぁ、よかった?のだろうか。むしろ惜しかった?」

いろは「…………」zzZ

八幡「はぁ、帰るか。…………毛布くらいかけといてやるか」

38 : ぶたごり - 2015/08/24 16:27:37.55 MPNFUOf4O 28/79

×××

〜翌日〜

チュンチュンチュンチュン
ホーホケキョ

いろは「…………ん、朝?わたし何でこんなとこで寝てるの?」ズキッ

いろは「いっつ、頭痛い。先輩は?昨日のこと…………あれ?何があったんだっけ?」

いろは「何これ?書き置き?」

『朝飯作って冷蔵庫の中入れといたから、温めて食っとけ。あとお前悪酔いしすぎだったからな。飲み過ぎるのは気をつけろよ。どうせ二日酔いするだろうから、頭痛薬置いといた。ちゃんと飲めよ』

いろは「…………先輩」

いろは(わたしの家に頭痛薬なかったのに。わざわざ買ってきてくれたんだ)

いろは(昨日わたし何かしたのかな?また迷惑かけちゃったのだろうか?)

いろは(迷惑かけたとしても、朝ごはんまで作っててくれるなんてやっぱり優しいな)

いろは(やっぱり先輩には迷惑かけてばっかりだな)

いろは(やっぱり諦めきれないな)

いろは(やっぱり………………………………好きだな)

いろは(わたしは先輩のことが、好きだ)

39 : ぶたごり - 2015/08/24 16:29:42.86 MPNFUOf4O 29/79

×××

【八幡家】

八幡(昨日は大変だった。仕事後の方が大変ってなんだよそれ)

八幡(まぁ、プチラッキースケベもあったから、疲れた分は返してもらったって考えておこう)

八幡(一色には悪いけどな。そしてあんな事があったら、なんだか少しだけ気まずくなりそうだ)

ピロリン

八幡(一色からメール?)

『朝ごはんごちそうさまでした!美味しかったです。ところで…………昨日のことあまり覚えてないんですけど、変な事とかなかったですか?』

八幡(…………うん、覚えてないならよかった。あいつそういうタイプか。適当に返しとくか。特になんもなかったぞ、と)

ピロリン

八幡(返信はやっ!)

『何もないならよかったです。ところで、先輩はクリスマスに予定があったりするんでしょうか?ないと思いますけど。暇なら付き合ってあげてもいいですよ!』

八幡(クリスマスか。合コン……とはなんだか言いづらいな。会社の奴と飲みに行く予定がある、こんなもんか)

ピロリン

八幡(だから返信はえぇよ。なに?俺が送る前に返信書き出してるの?)

『先輩が会社の人と…………?珍しい事もあるんですね(笑)暇になったらいつでも誘ってくださいね。仕方なく付き合ってあげます』

八幡(はいはいと。さて会社行くか)

44 : ぶたごり - 2015/08/24 20:54:11.72 nhd/ATek0 30/79

×××

【クリスマス】

八幡「……はぁ」

同僚A「何ため息ついてんだよ!今からお楽しみだってのに」

同僚B「合コンだな。可愛い子いるといいな」

同僚A「俺は見た目じゃなくて中身で選ぶがな」

同僚B「とか言いつつ?」

同僚A「見た目がいいにこしたことはない」

同僚B「それな!」

八幡(合わねぇ。こいつらのテンションは俺に合わねぇ)

八幡「本当にここ終わったら帰っていいんだよな?二次会とかあっても行かねーぞ」

同僚A「大丈夫大丈夫!最初の人数さえあっておけばそれでいい」

八幡「……あっそ」

同僚B「それではいざ尋常に……」

同僚A「行くぞー!」

八幡「はいはい…………ん?」

45 : ぶたごり - 2015/08/24 20:55:19.94 nhd/ATek0 31/79

沙希「」テクテク

男A「でさー……」

沙希「そ、そうですか」アハハ

沙希「その、早く行かないとみんな待ってますよ」

八幡(川崎?あいつはクリスマスにデートか?)

八幡(てか彼氏出来てたのか。全然知らなかったな)

八幡(一言くらい言ってくれればいいのに。まぁ、別にいいけど)

同僚A「どうした比企谷?」

八幡「あー…………いや、なんでもない」

同僚B「なら早く行くぞ」

46 : ぶたごり - 2015/08/24 20:57:10.89 nhd/ATek0 32/79

×××

同僚A「あ、いたいた」

女A「遅いよー!女性またせんなー」

同僚A「悪りぃ悪りぃ。こいつらが俺の同僚な」

同僚B「初めまして同僚Bです!」

八幡「ども」

女A「こっちがあたしの会社の人ね」

女B「こ、こんばんわ。あ、初めまして、がいいのかな?女Bです……。よろしくお願いします」

同僚A「……ん?あと1人は」

女A「なんか仕事が長引いてて遅れるらしいよ。後から来るから先に始めてよ」

同僚A「そうか、なら今日の出会いに……」

女A「あたしはあんなとこと知ってるけどね」

同僚A「知ってるから。じゃないと今日集まれてないから」

同僚A「まぁ、いいや。それでは……」

「「「かんぱーい」」」

49 : ぶたごり - 2015/08/24 21:07:13.08 nhd/ATek0 33/79

〜数十分後〜

同僚B「いやー、楽しいな。今年のクリスマスは可愛いこと一緒で最高だな」

女B「な、何ですかそれ。可愛くないですよ」

同僚A「お前相変わらずだな」

女A「あんたもそうでしょ」

八幡(はい、こうなることは分かってましたよ。俺だけ何のためにここにいるんだって話よ)

八幡(別に分かってたからいいんだけどよ。早く終わらねーかな)

イラッシャイマセー

・「」キョロキョロ

女A「あ、来た。こっちこっち」

八幡(あー、残りの一人か。別に俺には関係ないか)

同僚A「お、おい、メチャクチャ綺麗じゃね?」ボソボソ

同僚B「やばい……な」ボソボソ

・「待たせてごめんなさい。思っていたより仕事が長引いたしまって」

女A「全然大丈夫だよ」

同僚A「ど、どうも、同僚Aです」

同僚B「は、初めまして。同僚Bです」

八幡「比企谷八幡です」

・「……え?比企谷くん?」

八幡「……は?」チラッ

50 : ぶたごり - 2015/08/24 21:08:05.38 nhd/ATek0 34/79

雪乃「……結婚披露宴以来ね」

八幡「……雪ノ下?なんでお前が?」

雪乃「……あなたこそ、何故いるのかしら?」

女A「え、え?知り合い?」

同僚A「なになに?どういう関係?」

雪乃「……高校のときの同級生よ。同じ部活でもあったわね」

八幡「そんな感じだな」

女A「そうなんだ。ま、全員揃ったことだし乾杯し直そうよ」

同僚A「それでは改めて……」

「「「かんぱーい」」」

雪乃「比企谷くん、乾杯」スッ

八幡「おう、乾杯」コツン

51 : ぶたごり - 2015/08/24 21:09:57.75 nhd/ATek0 35/79

八幡「……で、なんでお前はこんなとこいんの?」

雪乃「私の意思でここにいるのではないわ。人数不足で困っていたらしいのよ。……まぁ、無理矢理って感じかしら」

八幡「俺と同じだな。こっちも強制参加だよ」

雪乃「そう。それと…………勘違いされるのは嫌だから言っておくわ」

雪乃「私はこういったことに参加するのが初めてなの」

八幡「……そうか」

雪乃「だから……その、普段はこんなところに来たりしないわ」

八幡「俺もだな。てか何をそんなに熱弁してんだ?」

雪乃「べ、別に軽い女だと勘違いされるのが嫌だっただけよ」

八幡「……勘違いするわけねぇだろ。お前のことは……その、なんだ、それなりに分かってるつもりだからよ」

雪乃「…………そう」

八幡「…………そうだよ」

52 : ぶたごり - 2015/08/24 21:11:22.79 nhd/ATek0 36/79

女A「なになに〜?二人だけの世界に入ってない?」

八幡「それはないな」
雪乃「それはないわ」

同僚A「うっわ!息ピッタリだし」

女B「雪ノ下さんのこんな一面見るの初めてかも」

雪乃「彼と息が合うくらいなら数分止めてた方がマシだわ」

八幡「いやお前それ普通にきついだろ。ちゃんと息しろ。空気はうまいぞ」

同僚B「な、何その絡み?」

女A「あはは、比企谷くんだっけ?君面白いかも」

雪乃「!!」

八幡「いや、そんな面白くもないですよ」

雪乃「そ、そうね。あなたが面白い人間だったらもっと友達がいたはずなのにね」

八幡「それはあなたもでしょう。人のことを言えるのかしら?」

雪乃「」ムカッ

女B「に、似てる、かも」

女A「やっぱ面白いじゃん!」

同僚A「比企谷ってそんなキャラだったのか」

同僚B「会社だとそんな素振り見せねーしな」

雪乃「」ギロッ

八幡(やば、調子に乗りすぎてしまった)

雪乃「比企谷くん」ニコリ

八幡「わ、悪りぃ」

八幡(その後なんだかんだで時間は過ぎ、一次会は幕を閉じた)

53 : ぶたごり - 2015/08/24 21:13:31.98 nhd/ATek0 37/79

×××

同僚A「次どうするよ?」

八幡「あ、俺は帰るから」

同僚B「お、そうだったな。じゃーな」

雪乃「……比企谷くん、帰るの?

八幡「おう。その予定だったしな」

雪乃「そう。…………私もここで失礼するわ」

同僚B「えー?雪乃ちゃん帰っちゃうの?」

八幡「…………」ムカッ

八幡(ん?何ムカついてんだ俺は?)

雪乃「え、ええ。それとその呼び方はやめてもらってもいいかしら?」

女A「何か予定あるの?」

雪乃「……そんなところかしら。ごめんなさい」

女A「大丈夫!無理矢理なのに付き合ってもらってありがとね。ならまた明日」

同僚A「バイバイ雪ノ下さーん」

54 : ぶたごり - 2015/08/24 21:14:56.11 nhd/ATek0 38/79

八幡「さて、俺らは帰るか」

雪乃「…………本当に帰るの?」

八幡「は?さっきもそう言ったじゃねーか。それにお前も予定があるんだろ?」

雪乃「…………ないわ」

八幡「……マジ?」

雪乃「…………ええ、本当は何もないのよ」

八幡「雪ノ下が嘘をつくとはな」

雪乃「……そうね、このままだと嘘にるわ」

八幡「そうだな」

雪乃「…………だけど今から予定を入れたら嘘にはならないわ」

八幡「なんかズルいなそれ」

雪乃「あなた程でもないと思うのだけれど」

八幡「で、どうすんの?」

雪乃「今から私と一緒に過ごしてくれないかしら?」

八幡「……俺が?」

雪乃「あなた以外いないでしょう。それとも私とじゃ嫌かしら?」

八幡「別に嫌じゃないけどよ」

雪乃「けど?」

八幡「…………嫌じゃない」

雪乃「だから?」

八幡「お前面倒くさいな」

雪乃「それもあなた程ではないと思うのだけれど」

八幡「……はぁ、付き合ってやるよ」

雪乃「付き合わせてあげるわ」ニコッ

八幡「でもどうする?クリスマスだしどこも人だらけだぞ。俺もお前も人混みは苦手だろ」

雪乃「それもそうね。…………一つ、いいところがあるわ」

八幡「どこだ?」

雪乃「付いて来たら分かるわ」

八幡「??」

55 : ぶたごり - 2015/08/24 21:17:33.79 nhd/ATek0 39/79

×××

いろは(う〜、クリスマスなのにわたし何してるんだろ。何もしてないんだけど)

いろは(先輩も会社の人と一緒だろうしすることないなー。他の男の人と遊ぼうっても思わないし)

いろは(……先輩、楽しんでるのかなぁ?)

八幡「」テクテク

いろは(え!?あ、あれ、先輩?もしかしてもう帰りなのかな?……ふふふ、チャンスかも。よし、声かけちゃおう)

いろは「せーんぱ…………」

八幡「結局どこ行くんだよ?」

雪乃「しつこいわね。懐かしいとろこよ」

八幡「懐かしいところ?」

雪乃「そう。付いてからのお楽しみよ」

いろは(雪ノ下先輩?え、なんで一緒にいるの?先輩は会社の人と一緒じゃなかったの?)

いろは(……なんて考えても分からないよね。いや、考えなくてもクリスマスに一緒にいるなら、普通付き合ってるんだよね)

いろは(そっか………………って、ん?普通はそうだけど、あの二人って言っちゃあれだけど普通じゃないよね?)

いろは(だったらもしかしてまだチャンスはある?)

いろは(気は乗らないけど気になるから後付けちゃおう)コソコソ

いろは(うぅ、わたしクリスマスに何してんだろホント)

56 : ぶたごり - 2015/08/24 21:43:12.47 nhd/ATek0 40/79

×××

八幡(この道ってもしかして)チラッ

雪乃「さすがにもう分かったかしら?」

八幡「あ、ああ。何となくだが。それしかないだろこの先は」

雪乃「ご名答」

八幡「…………でも開いてないだろ?」

雪乃「そこは私がなんとかするわ」

八幡「なんとかってお前…………」

いろは「」コソコソ

雪乃「……比企谷くん」ボソッ

八幡「っ!お前いきなり耳元で囁くな!」

雪乃「静かに。誰かに付けられてるわ」ボソボソ

八幡「マジで?でも誰だよ?」ボソボソ

雪乃「そこまでは分からないわ。でも後ろに確かに誰かいるわ。あ、振り向かないでね」ボソボソ

八幡「……仕方ねぇ。そこの角曲がったら待ち伏せするぞ」ボソボソ

雪乃「危なくないかしら?」ボソボソ

八幡「大丈夫だろ。こっちは二人もいるし。それにいざってときはお前が抑えつければいい」ボソボソ

雪乃「はぁ…………。そこで俺が抑えつけると言わないのね」ボソボソ

八幡「これはあれだ。お前のこと信頼してるから任せるぜ的なやつだ」ボソボソ

雪乃「物は言いようね。それでは行きましょうか」ボソボソ

57 : ぶたごり - 2015/08/24 21:45:28.74 nhd/ATek0 41/79

いろは(な、なんだか近くないあの二人?何をそんなに近寄っているんだろう)

いろは(あっ、曲がった。急がないと見失っちゃう)タタタッ

いろは「っ!!」

八幡「一色!?」

いろは「あ……」

雪乃「一色さんだったのね。私たちを尾行していたようだけど何か用かしら?」

いろは「い、いえ、別にたまたま通りがかっただけですよ?」アセアセ

八幡「嘘はいいから。別に変に疑ってる訳じゃない。なんか用があったんだろ?」

いろは「う…………」

雪乃「一色さん?」

58 : ぶたごり - 2015/08/24 21:46:30.57 nhd/ATek0 42/79

いろは「せ、先輩は今日同僚の人と一緒じゃなかったんですか?」

八幡「……さっきまで一緒だったよ」

いろは「そうですか。それでなんで雪ノ下先輩と一緒なんですか?」

八幡「たまたま会っただけだ。お互い暇になったから一緒にいるだけだ」

いろは(暇になったら誘ってって言ったのに……)

いろは「その、わたし帰りますね。それでは」

八幡「おい、なんか用じゃなかったのか?」

雪乃「…………」

いろは「え、えへへ。何もないですよ」

雪乃「……比企谷くん。一色さんを送って行ってあげなさい」

いろは「!?」

八幡「お前はどうすんだよ?」

雪乃「私は大丈夫よ。ちゃんと送って行ってあげなさい」

いろは「え?え?」

八幡「…………」チラッ

雪乃「…………」コクリ

59 : ぶたごり - 2015/08/24 21:47:40.64 nhd/ATek0 43/79

八幡「……はぁ、分かったよ。一色、行くぞ」

いろは「え?雪ノ下先輩はどうするんですか?」

八幡「あいつは多分大丈夫だろ。それにお前はこの前の件もあるからな。さっさと行くぞ」

雪乃「比企谷くん、少し来なさい」

八幡「?」

雪乃「きちんと向き合いなさいよ」ボソッ

八幡「それってどういう
雪乃「いいから。逃げないでね」

八幡「…………まぁ、よく分からんが分かった」

雪乃「……さよなら一色さん」

八幡(一色にだけか……。まぁ、そういうことなんだろう多分)

60 : ぶたごり - 2015/08/24 21:49:31.83 nhd/ATek0 44/79

×××

【いろは家】

いろは「あ、その、なんかすみません。また迷惑かけちゃって」

八幡「別に大丈夫だ。じゃあな」

いろは「あ……」

八幡「どうした?まだなんかあんのか?」

いろは「…………」

八幡「何もないならもう行くぞ」

いろは「……残りのクリスマス、わたしと過ごしませんか?」

八幡「…………なんで?」

いろは「その、理由という理由は…………」

八幡「…………」

いろは「……ある、んですけど」

八幡「…………」

いろは「その…………先輩と一緒がいいです。先輩と一緒にいたいです」

八幡「……それはどういう意味でだ?」

いろは「…………言わないと、分かりませんか?」

八幡「分からねぇな」

いろは「そうですか…………。分かりました」スーハー

八幡「一色?」

61 : ぶたごり - 2015/08/24 21:50:36.69 nhd/ATek0 45/79

いろは「」スーハースーハー

いろは「よし、先輩!!」

八幡「 ……はい」

いろは「先輩のこと好きになっちゃいました!これからも先輩と一緒にいたいです!隣にいたいです!だから……」

八幡「…………」

いろは「だから!わたしと付き合ってください!!」

八幡「…………」

いろは「お願いします!」

八幡「…………一色」

いろは「……はい」

62 : ぶたごり - 2015/08/24 21:52:17.07 nhd/ATek0 46/79

八幡「…………すまん。お前の気持ちには答えることは出来ない」

いろは「…………」

八幡「その、なんと言う
いろは「ま、だと思ってました!」

八幡「……はい?」

いろは「先輩はなんだかんだで分かりやすいですからね。振られることも分かってました」

いろは「これはわたしの自己満足です!またまた迷惑かけてすみません」

八幡「…………分かりやすいって何がだよ?」

いろは「分かってますよね?」

八幡「分からん」

いろは「またまたー。いい加減素直になれって感じですよ!じゃないとわたしはどうなるんですか?」

八幡「どうなるって……」ハッ

いろは「どう……なるんですか」グスッ

八幡「…………」

いろは「あ、あれ?わたし……泣いてる?」グスッ

いろは「なんでだろ?なんでなんだろう?先輩に振られちゃったからかな?」グスグスッ

八幡「…………すまん」

いろは「許しません…………と、言いたいですけどせっかくのクリスマスですからね。許してあげなくもないです」グスッ

八幡「なんだその曖昧な言い方は。とりあえず涙拭け」スッ

いろは「誰のせいですか」フキフキ

63 : ぶたごり - 2015/08/24 21:53:33.34 nhd/ATek0 47/79

いろは「さて、それでは条件付きで許してあげます」

八幡「条件?変な条件だと嫌だぞ」

いろは「いえいえ、そんなことはないですよ。クリスマスっぽくいきましょう」

八幡「クリスマスっぽく?」

いろは「クリスマスプレゼントください!それでチャラにしてあげます」

八幡「いや、そんないきなり言われても……。俺何も持ってないぞ」

いろは「仕方ないですね……。ならこれがプレゼントで」ギュッ

八幡「ちょ、ちょい、え!?何で抱きついてんの?」

いろは「チャラにするんですからこれくらいサービスしてくださいよ」ギュー

いろは「本当はキスがしたかったんですよ」ボソッ

八幡「……一色」

いろは「はい?」ギュー

八幡「その……聞こえてるから。こんだけ近いんだし」

いろは「…………///」カァァ

いろは「……バカ。聞こえてない振りくらいしてくださいよ」ギュッ

64 : ぶたごり - 2015/08/24 21:55:13.79 nhd/ATek0 48/79

八幡「……その、いつまで続くのでしょうか?」

いろは「…………よく考えたらこれはわたしから先輩へのプレゼントになりますね」パッ

八幡「え?そうなの?」

いろは「そうなのです。なので先輩、クリスマスプレゼントください」

八幡「……なんで目を閉じてんだよ?」

いろは「なんででしょうね?プレゼントまだですか?」

八幡「……動くなよ」

いろは「……はい」

八幡「…………」

いろは「…………」ドキドキ

八幡「」ギュッ

いろは「……へ?」

八幡「……これでいいんだろ」ギュッ

いろは「いや、その……普通ここは抱きしめるじゃなくて。さっき聞こえてたのなら尚更…………」

八幡「……何の話だ?」ギュッ

いろは「先輩はズルいです」

八幡「……そうかもな」ギュッ

いろは「……ありがとうございました」パッ

65 : ぶたごり - 2015/08/24 21:56:00.37 nhd/ATek0 49/79

いろは「少しの間ですけど幸せでしたよ」

八幡「少しじゃなくて、これからも幸せになれよ」

いろは「不幸にした本人が何を言ってるんですか?」

八幡「幸せじゃなかったのかよ」

いろは「……先輩は幸せになってくださいね」

八幡「と言ってもな、今はそんな相手いねーよ」

いろは「本当にそう思いますか?」

八幡「…………」

いろは「やっぱり分かりやすいじゃないですか」

いろは「それでは、送ってくれてありがとうございました」

八幡「じゃーな」

八幡(……さて、俺はどうするかな)

68 : 八幡 - 2015/08/24 22:18:18.94 nhd/ATek0 50/79

×××

【総武高校前】

雪乃「…………」

八幡「……よ」

雪乃「……あら、来たのね」

八幡「まぁな。てかお前も待ってたじゃねーかよ」

雪乃「一色さんはもういいの?」

八幡「なんの話だ?」

雪乃「しらばっくれてもいいけど、大体分かるわよ」

八幡「さすがは雪ノ下さんだな」

雪乃「それで、いいのかしら?」

八幡「……ああ。もう大丈夫だ」

雪乃「そう。それなら行きましょうか」

69 : ぶたごり - 2015/08/24 22:19:15.85 nhd/ATek0 51/79

八幡「行きましょうかって言ってもここに入るつもりか?鍵閉まってるぞ」

雪乃「私が開けるわ」

八幡「え?お前鍵持ってるの…………何してんだよお前」

雪乃「見て分からないかしら?ピッキングよ」カチャカチャ

八幡「分かった上で聞いてんだよ」

ガチャッ

雪乃「開いたわ」

八幡「お前どこで覚えたんだそんなこと」

雪乃「……社長の金庫を」

八幡「はぁ!?お前何してんの!?」

雪乃「冗談よ。それと大きな声出さないで」

八幡「……変なスペックまで上げてんじゃねーよ」

雪乃「入りましょうか」

71 : ぶたごり - 2015/08/24 22:23:34.14 nhd/ATek0 52/79

×××

【元奉仕部部室】

雪乃「この部屋も懐かしいわね。10年ぶりくらいかしら」

八幡「てかこんなことしていいのか?冷静に考えたら不法侵入だろ」

雪乃「いいわけないじゃない。けれど高校時代に他の生徒と比べてバカやってなかった分を、今この校舎に返してもらいましょう」

八幡「雪ノ下も屁理屈言うんだな」

雪乃「誰の影響かしらね?」

八幡「……さぁな」

八幡「懐かしいな」

雪乃「そうね。懐かしついでにちょっとした余興でもしましょうか」

八幡「余興?」

72 : ぶたごり - 2015/08/24 22:25:22.48 nhd/ATek0 53/79

雪乃「…………そうね、ではゲームをしましょう」

八幡「ゲーム?」

雪乃「そう。ここが何部か当てるゲーム。さて、ここは何部でしょう?」

八幡「お前これって……」

雪乃「」ニコリ

八幡(少しくらい付き合ってやるか)

八幡「他に部員っていないのか?」

雪乃「いないわ」

八幡「……文芸部か」

雪乃「へぇ……。その心は?」

八幡「特殊な環境、特別な機器を必要とせず、人数がいなくても廃部にならない。つまり、部費なんて必要としない部活だ。加えて、あんたは本を読んでいた。答えは最初っから示されていたのさ」

雪乃「はずれ」

八幡「……はははっ」

雪乃「ふふふ」

八幡「本当にただの余興だったな」

雪乃「あなたが初めてここに来た時の会話よ。それにしてもよく一字一句も間違えずに言えたわね。気持ち悪い」

八幡「間違えてないって分かってる時点で、お前も覚えてたんじゃねーか」

73 : ぶたごり - 2015/08/24 22:29:17.81 nhd/ATek0 54/79

雪乃「この部に入ってよかったかしら?」

八幡「……悪くはなかったよ」

八幡「そーえばいつの間にか俺はここが特等席になってたんだよな」ヨイショ

雪乃「私がここだったわね」ヨイショ

八幡「…………」

雪乃「結構離れていたのね。間に由比ヶ浜さんがいたから気づかなかったわ」

八幡「それに二人とも本ばっかり読んでたからな」

雪乃「……そう考えたらお互い下ばかり向いていたのね」

雪乃「あの時のあなたと私は、向かい合えていたかしら?」

八幡「出来てたんじゃねーの?向かい合いすぎてぶつかり合いもしたしな」

雪乃「すれ違いもあったけれど」

八幡「いつの話だ?交通事故?文化祭?」

雪乃「…………素直になれなかった気持ちの話よ」

八幡「…………」

74 : ぶたごり - 2015/08/24 22:30:48.21 nhd/ATek0 55/79

雪乃「…………今はなれるかもしれないわね」

八幡「…………どうだろうな。人は簡単には変われねぇよ」

雪乃「そうね。あなたはそう言うわよね」

雪乃「けれどこんな言葉はあるわよね。『恋は人を変える』」

八幡「……そんなの意識の問題だろ。そいつ自身は変わってねーよ」

雪乃「ねぇ比企谷くん…………」



雪乃「あなたは私を変えたわ」



八幡「……お前、それってどういう意味だ」

雪乃「…………」

八幡「…………本気か?」

雪乃「……嘘はつかないわ」

八幡「雪ノ下……」

75 : ぶたごり - 2015/08/24 22:32:04.60 nhd/ATek0 56/79

雪乃「…………雪」

八幡「は?」

雪乃「雪が降ってるわ」

八幡「ホワイトクリスマスだな」

雪乃「ふふ、あなたには似合わない言葉ね」

八幡「うるせーよ。……てか雪のせいでいっそう寒くなってきたな」

雪乃「……比企谷くん、手を出しなさい」

八幡「なんで?」

雪乃「いいから」

八幡「……はいはい」スッ

雪乃「」ギュッ

八幡「……手を握る必要はあるんですかね?」

雪乃「……寒いでしょ。この方が暖かくなるわ」

八幡「まぁ、そうだけどよ……」

雪乃「それとも紅茶でも飲むかしら?もしかしたらあの頃のが残っているかもしれないわよ」

八幡「飲まねぇよ。腹壊すだろ」

雪乃「…………」ギュッ

八幡「…………」

76 : ぶたごり - 2015/08/24 22:33:12.52 nhd/ATek0 57/79

雪乃「…………」ギュッ

八幡「……その、待っててくれねぇか?」

雪乃「何をかしら?」

八幡「さっきの言葉に対する答えをだよ。その……少しでいいから」

雪乃「……仕方ないわね。待っててあげる。あなたの答えが出るのを」

八幡「……悪りぃな」

雪乃「その時はこの手を握り返してくれるのかしら?」ギュッ

八幡「……それも待っててくれ」

雪乃「そう」パッ

雪乃「そろそろ帰りましょうか」

八幡「……そうだな」

雪乃「比企谷くん」

八幡「……なんだよ?」

雪乃「面倒くさいことを考えずに素直な気持ちで答えを聞かせてね」

八幡「分かってるよ」

雪乃「…………そうじゃないと『本物』ではないのでしょうね」

八幡「……………………言うなよ。恥ずかしいだろ」

雪乃「私は嫌いではないわ。その言葉」

八幡「そうかよ」

雪乃「帰りましょうか」

八幡「送ってくよ」

77 : ぶたごり - 2015/08/24 22:33:51.40 nhd/ATek0 58/79

八幡(そして、雪ノ下を家まで送り俺も帰宅した)

八幡(雪ノ下に答えを求められた。俺はその答えを出す時に、あの手を握り返すことは出来るだろうか?)

八幡(全部俺が決めることだ。これは俺の問題だ)

八幡(だが、やっぱり相談してしまいそうだな。そしてきっと話を聞いてくれるだろう)

八幡(…………あの妹なら)

78 : ぶたごり - 2015/08/24 22:48:22.95 nhd/ATek0 59/79

×××

【比企谷家実家】

八幡(クリスマスも終わり、今年も残すを一日だけとなった。つまり今日は大晦日である)

八幡(俺は未だに雪ノ下への返事をしていない)

八幡(ここ数年、大晦日の過ごし方は決まっていた)

八幡(実家に帰る。小町も帰ってくる。…………普通だとこんなものなのだろう。だが、小町が結婚してからというものの…………)

比企谷母「あ、どうぞ。遠慮しなくていいですよ」

川崎母「毎年お邪魔してすみません。ご迷惑じゃありませんか?」

比企谷母「いえいえ、今年も残り最後を楽しみましょう」

八幡(年末年始には、比企谷家族と川崎家族の大集会が開かれるのである)

79 : ぶたごり - 2015/08/24 22:51:00.44 nhd/ATek0 60/79

大志「お兄さんお久しぶりっす」

八幡「おう、久しぶりだな」

八幡(もうお兄さんと呼ばれるのも諦めがついた。だっていちお義兄さんなんだもん。それに悪いことだけでもない。なぜなら…………)

京華「お義兄ちゃん久しぶりー!」ダキッ

八幡「久しぶりだな。元気にしてたか」

京華「うんっ!お義兄ちゃんは?」

八幡「元気元気」

八幡(義妹が出来たのだから!いやマジ可愛い。小町と張り合っちゃう)

八幡(まぁ、もちろん川崎家といとこになった訳だから、あいつもいるわけで…………)

沙希「け、京華!いきなり抱きついたりしないの。危ないよ」

八幡「危ないって何がだよ。俺か?俺が比企谷菌でもぶり返したのか?」

沙希「……はぁ、あんた相変わらずだね」

八幡「お前もな」

沙希「……久しぶり」

八幡「久しぶり。まぁ、ゆっくりしていけ」

沙希「うん」

八幡(こんな風に過ごすのが毎年恒例の年末年始になっていた)

80 : ぶたごり - 2015/08/24 22:55:18.37 nhd/ATek0 61/79

×××

八幡(比企谷家と川崎家が全集合して時間も少したち、俺たちは年越し蕎麦を食べていた)

小町「お兄ちゃん今年はどうだった?何か変わったことでもあった?」

八幡「ぶふっ!!」

大志「ちょっ、お兄さん!蕎麦かかったっす」

小町「お兄ちゃん。いきなり蕎麦吹き出さないでよ!汚いよ!かかったのが大志くんだからいいけど」

大志「え?小町ちゃん?」

沙希「あんた何してんのさ。ほら、拭いてあげるから動かない」フキフキ

八幡「す、すまん」

小町「」ニヤニヤ

沙希「……なんかあったの?」

八幡「…………まぁ、生きてりゃ誰でもなんでもあるだろ」

沙希「……そ」

小町「ふーん、お兄ちゃんも大変そうだね。主に仕事だけだろうけど」

八幡(な、なんだか小町には話しづらくなってしまった気がする)

81 : ぶたごり - 2015/08/24 22:57:23.09 nhd/ATek0 62/79

八幡「お前らは今年どうだったんだよ?なんか変わったことあったのか?」

京華「あ、京華はクラスの人に告白されちゃった」

八幡「なんだと!?おい、今すぐ連れて来なさい!俺の許可なく京華に手を出すとは身の程知らずめ。大人の力見せてやる」

小町「なんでお兄ちゃんが一番動揺してるの」

大志「しかも大人の力とか言い出してるっすよ。高校生に何する気なんですか」

沙希「そ、それで京華はその人のことどうしたの?」

京華「もちろん振ったよ」

小町「もちろんなんだね」

京華「だって京華はお義兄ちゃんと結婚するんだよ。ね?」

八幡「はっはっは。よく分かってるじゃないか」

沙希「け、京華……。冗談はその辺にして蕎麦食べなさい」

京華「はーい」

八幡「え?冗談なの?」

京華「んー、美味しいね」ズルズル

沙希「当たり前でしょバカ。そんなのあたしが認めないし」

八幡「シスコンはまだ継続中か」チッ

沙希「あんたに言われたくないんだけど」

82 : ぶたごり - 2015/08/24 22:59:31.10 nhd/ATek0 63/79

八幡「川崎はなんかなかったのか?」

小町「お兄ちゃん。ここに川崎はたくさんいるから、誰に話しかけてるかわからないよ?」

沙希「…………」

八幡「川崎沙希はなんかなかったのか?」

大志「まさかのフルネームで対応してきたっすね」

小町「いい加減名前くらい呼べばいいのに。京華ちゃんにも大志くんにも呼び捨てのくせに」

八幡「別にいいんだよ。川崎で呼び慣れてるし。な?」

沙希「あ、そ、そうだね。今さら呼び方変えられても…………分かりづらいし」

沙希「それにあたしは今年特に何もなかったかな」

八幡「ん?お前クリスマスの日誰かと一緒じゃなかった?」

沙希「え?え?ちょっ…………えっ!?何で知ってんの!?」

八幡「何でって…………。見かけたからな」

京華「お姉ちゃん彼氏できたの?」

沙希「違う!違うからね!二人だけじゃないから!会社の人で飲んでたの!それでちょっとしつこい人がいたって話で…………」

八幡「彼氏じゃなかったのか」

沙希「あ、当たり前でしょ!彼氏とかいないから」

八幡「そうか」

沙希「本当だからね!」

八幡「わ、分かったよ。何をそんなに何度も言ってるんだ」

沙希「…………///」

小町「」ニヤニヤ

83 : ぶたごり - 2015/08/24 23:00:44.37 nhd/ATek0 64/79

京華「あー!もう今年も終わっちゃうよ。カウントダウンしようよ」

京華「ごぉーー!」

小町「よーん!」

大志「さぁーん!」

沙希「……に」

八幡「え?あ?い、いち」


「「「あけましておめでとう」」」


小町「よし、年も開けたね!それじゃ初詣行こうか」

京華「行く行く!お義兄ちゃんも一緒に行こう」グイッ

八幡「よし、なら行くか」

沙希「本当妹には甘いよねあんた」

沙希(……あたしだって誕生日はあんたより遅いんだよ)

八幡「どうした?早く行こうぜ」

沙希「……うん」

84 : ぶたごり - 2015/08/24 23:03:31.56 nhd/ATek0 65/79

×××

【神社】

八幡「人が…………多すぎる」グデー

小町「お兄ちゃんダウンが早すぎるよ」

八幡「ちょっ、マジで無理。ここで休憩しとくから、お前ら先に行ってていいぞ」

小町「一人で大丈夫?」

八幡「あー、大丈夫大丈夫」グデー

沙希「……はぁ、本当だらしない。あたしが付いててあげるから、小町たちは心配しないで行った来ていいよ」

八幡「え?いやでも
小町「ホントですか?いやー、沙希さんなら頼りになります」

小町「さ、大志くんも京華ちゃんも行こっ」

大志「それでは先に行ってるっす」

京華「お義兄ちゃんと一緒がよかったけど仕方ないよね。また後でね」

八幡「…………」

沙希「…………」

八幡「迷惑かけてすまん」

沙希「別にいいよ。なんか飲む?買ってきてあげる」

八幡「……すまん、お言葉に甘えさせていただきます」

沙希「何がいい?」

八幡「MAXコーヒーで」

沙希「あんたまだそれ好きなんだ。分かった、待ってて」タタタッ

85 : ぶたごり - 2015/08/24 23:05:01.67 nhd/ATek0 66/79

八幡(新年早々迷惑かけまくりだな俺)

八幡(元旦か……明後日は1月3日、雪ノ下の誕生日だよな。…………どうしよう」

・「何がどうしようなの?」

八幡「……は?」

結衣「やっはろーヒッキー!あけましておめでとう!」

八幡「……由比ヶ浜」

結衣「もう由比ヶ浜じゃないんだけどね」

八幡「あ、そうだったな。えっと……」

結衣「あーもう、由比ヶ浜でいいよ。あ、ゴメン先に行ってて」

結衣旦那「おう。後から連絡くれ」

結衣「うん!」

86 : ぶたごり - 2015/08/24 23:08:57.28 nhd/ATek0 67/79

八幡「……いいのか?」

結衣「大丈夫だよ。だってヒッキー悩んでるんでしょ?どうしたの?」

八幡「あー……まぁ、ちょっとな」

結衣「ゆきのんと何かあったんでしょ」

八幡「んだよ、雪ノ下に聞いてたのか」

結衣「んーん、ゆきのんからは何も聞いてないよ。でも当たってたんだ」

八幡「まぁ、その…………告白、みたいなのをされた」

結衣「みたいなのってなんだし」

八幡「そんな感じなんだよ」

結衣「返事はしたの?」

八幡「…………まだ」

結衣「答えは出てる?」

八幡「どうだろう」

結衣「あたしの時はその場で振ったよね」

八幡「うっ」

結衣「いろはちゃんのときも」

八幡「……なんで知ってんだよ」

結衣「それはいろはちゃんから連絡来ましたので」

八幡「マジかよ」

結衣「それでゆきのんのときは保留なんだよね」

八幡「……そうなってるな」

結衣「ならもう答え出てるんじゃん」

87 : ぶたごり - 2015/08/24 23:09:48.37 nhd/ATek0 68/79

八幡「そう……なんだろうか」

結衣「そうだよ。ちゃんと分かるようにあたしが言葉にしてあげる」



結衣「ヒッキーはゆきのんのことが好きなんだよ」



八幡「…………」

結衣「ね?」

八幡「……そうだな。ありがとう由比ヶ浜」

結衣「んーん、ゆきのんにもヒッキーにも幸せになってほしいから」

八幡「ありがとよ。もう大丈夫だ」

結衣「どういたしまして。うまくいったら報告すること。それじゃね」

八幡「またな」

88 : ぶたごり - 2015/08/24 23:13:29.14 nhd/ATek0 69/79

×××

沙希(あたしが飲み物を買って戻ってきたら、あいつは由比ヶ浜と二人で話をしていた)

沙希(とても入れる雰囲気ではなかった。趣味が悪いようだけど、盗み聞きみたいなことをしてしまった)

沙希(雪ノ下が比企谷に告白した。比企谷も雪ノ下を好きだと認めた)

沙希(そっか。これが失恋という気持ちなのか)


『サンキュー!愛してるぜ川崎!』


沙希(あんな言葉一つであたしはあいつのことを気にかけていた。あたしも単純だなぁ)

沙希(でもこの気持ちはあたししか知らない。そしてこの想いは誰にも伝わることなく終わった)

沙希(なら、ならば、最後まで自分の中で終わらせよう)

沙希(上手くいく恋愛に手を出すのも相手に悪いしね)

沙希(誰かに相談したら言われるかもしれない。『気持ちは伝えた方がいいよ』などと言われるかもしれない)

沙希(なんで伝える方がいいみたいに思うのだろう?伝えない方がいいこともあるのに)

沙希(そしてこの気持ちは伝えなくていい気持ちだ。だからあたしは自分で終わらせる)

沙希(間違ってはいない。間違いなんて言う人は伝えることの間違いを知らないだけだ)

沙希(だからあたしはいつも通りにしよう)

沙希「お待たせ。はいこれ」スッ

八幡「ありがとよ。お参りの前に先におみくじでも引いとくか。そこにあるし」

沙希「うん」

89 : ぶたごり - 2015/08/24 23:15:45.65 nhd/ATek0 70/79

×××

八幡「…………末吉」

沙希「あんたらしい微妙な結果ね」

八幡「お前はどうなんだよ?」

沙希「ふふん」ピラッ

八幡「大吉……だと」

沙希「あんたとは大違いだね」

沙希(神様は何も分かっていない。元旦から失恋したあたしが大吉なわけないのに)

沙希(神様はきっと見ていない。だから大吉などをあたしに引かせるのだ…………ん?)


恋愛:諦めなさい


沙希(あたしのおみくじの恋愛の欄に書かれていた一言に目がついた)

沙希(諦めなさい、か。そっか……そうだよね)

沙希(なんだよ神様。ちゃんと見てるじゃないかい)グスッ

八幡「か、川崎?どうした?」

沙希「何が?」グスッ

八幡「何で泣いてるんだ?」

沙希「…………えっ?」グスッ

八幡「大丈夫か?」

沙希「だ、大丈夫!……目にゴリが入っただけ」

八幡「ゴ、ゴリ!?ゴリラが入ったの?」

沙希「…………ゴミだよ!噛んだんだよ!いちいち突っ込むな」

沙希「……ふぅ。じゃあそろそろ小町たちと合流しよっか」

八幡「……そうだな」

90 : ぶたごり - 2015/08/24 23:16:29.19 nhd/ATek0 71/79

八幡(俺のおみくじは末吉だった。だが一つだけいいことが書いてあった)


恋愛:上手くいくでしょう


八幡(いつもなら流し見みするような項目も今年は目が止まった)

八幡(神に頼ったような結果だけど、少しは自信がついた)

八幡(そして1月3日。雪ノ下の誕生日を迎える)

91 : ぶたごり - 2015/08/24 23:18:42.29 nhd/ATek0 72/79

×××

雪乃「ねぇ、比企谷くん」

八幡「どうした?」

雪乃「いきなり新幹線に乗せられた私は、一体どこに連れて行かれてるのかしら?」

八幡「あれ?言ってなかったか?」

雪乃「言ってないわよ。とぼけないで」

八幡「着いたら分かる」

雪乃「……私の真似事かしら?」

八幡「そんなもんだ。お前もクリスマスに行き先教えなかっただろ」

雪乃「にしても遠出している気がするのだけれど」

八幡「新幹線だしな。近場じゃないだろ」

雪乃「…………はぁ。分かったわ。大人しく着いて行くわ」

八幡「ありがとよ。ほら降りるぞ」

雪乃「京都?」

八幡「おう。京都だ」

雪乃「なぜ京都に…………」

八幡「日帰りだしいいだろ。どうせ来たんだし楽しんでいこうぜ」

雪乃「あなたが一方的に連れてきたのだけれどね」

八幡「さーて、どこか行きたいところあるか?」

雪乃「いきなり言われても…………」

八幡「よし、飯食おう。ラーメンだラーメン」

雪乃「え?ラーメン?」

八幡「そう、ラーメン」

雪乃「ここに来て食べるラーメンってあなたまさか……」

八幡「」ニヤリ

雪乃「…………はぁ」

92 : ぶたごり - 2015/08/24 23:19:41.07 nhd/ATek0 73/79

×××

八幡「ふぅー、食った食った。どうだったよ?」

雪乃「……凶暴な旨味だったわ」

八幡「感想変わんねぇなお前」

雪乃「いきなりこんなところに連れてきて、まさかラーメンが食べたかっただけじゃないでしょうね」

八幡「……まぁ、ラーメンは食いたかったな。だけどそれはついでだ」

雪乃「なら本当の目的は何かしら?」

八幡「次どこ行く?」

雪乃「聞いてるの?」

八幡「聞いてるよ。いいから楽しむぞ」

雪乃「…………仕方ないわね。そこまで言うなら覚悟しなさい。次はここに行くわよ」

八幡「お、おう。いきなり気合い入ってんな」

雪乃「これは気合いでもやる気でもないわ。ヤケクソよ」

八幡「そ、そうか」

雪乃「そうよ。早く行きましょう」

八幡「はいはい」

93 : ぶたごり - 2015/08/24 23:21:12.36 nhd/ATek0 74/79

×××

八幡(そして俺と雪ノ下は京都巡りをした。気づけば日は落ち始め夕日に変わっていた)

八幡「つ、疲れたな」

雪乃「いろいろ回ったからね。修学旅行では二人で回ることもなかったのだし、行きたいところに行けたでしょう?」

八幡「それはお前もだろ。まぁ、お前と二人ってのも悪くないな」

雪乃「…………そう」

雪乃「そろそろ帰らないと夜になるわよ?」

八幡「そうだな。なら最後に一箇所行くか!」

雪乃「まだあるのね」

八幡「最後だって」

雪乃「分かったわ。最後まで付き合いましょう」

八幡(そして俺は雪ノ下を連れてあるところへ向かった)

八幡(それは戸部の告白が届かなかった場所)

八幡(それは修学旅行のときの奉仕部への依頼を達成した場所)

八幡(つまり俺がいろいろなものをぶち壊した場所だ)

94 : ぶたごり - 2015/08/24 23:22:21.28 nhd/ATek0 75/79

雪乃「ここは……」

八幡「さすがに覚えてるだろ?俺たち奉仕部の悪い思い出の場所だ」

雪乃「なぜこんなところに連れてきたのかしら?」

八幡「…………この場所は悪くない。なのに俺たちの中で悪い思い出の場所のままではあるよな」

雪乃「原因はあなただったけどね」

八幡「分かってるよ。だからこの場所を俺たちにとって、いい思い出の地に変えたいんだ」

雪乃「??」

八幡「雪ノ下…………」



八幡「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」



雪乃「!!」

八幡「…………」

雪乃「……本気かしら?」

八幡「ああ。本気だ」

雪乃「それにしても言葉も全く変えないなんてどうゆうこと?」

八幡「言葉通りだ。ずっと前から好きだった。憧れなんかじゃない。好きだった」

雪乃「そう……………………」

95 : ぶたごり - 2015/08/24 23:23:33.41 nhd/ATek0 76/79

八幡「返事は…………いつでもいい」

雪乃「馬鹿ね」

八幡「……はい?」

雪乃「私の方が先だったでしょう。今のは比企谷くんが私の告白に返事をしたのよ」

八幡「ということは…………」

雪乃「」スッ

雪乃「今回こそ、私の手を握り返してくれるわよね?」ニコッ

八幡「……当たり前だろ」ギュッ

雪乃「ふふっ」

八幡「はははっ」

96 : ぶたごり - 2015/08/24 23:24:46.95 nhd/ATek0 77/79

雪乃「…………」

八幡「…………雪」

雪乃「えっ?」

八幡「また、雪が降ってきたな」

雪乃「そうね。冷えそうだわ」

八幡「それにしても俺もお前も思い出に浸りすぎたな」

雪乃「私は総武高校へあなたを連れて行った。あなたは修学旅行先であっまた京都へ私を連れてきた」

雪乃「……雪が積もってきたわね」

八幡「俺たちの思い出の分積もってくれてるんだろ」

雪乃「そう…………。けれどまだまだ降り続きそうね」

八幡「そりゃそうだ。新しく始まったばかりだからな」

雪乃「どこまで積もるかしら?」

八幡「どこまでも積もるだろ。これからは二人分雪が降るからな」

雪乃「…………」

八幡「誕生日なのに振り回して悪かったな」

雪乃「構わないわ。楽しかったもの」

97 : ぶたごり - 2015/08/24 23:26:14.97 nhd/ATek0 78/79

雪乃「ところで比企谷くん。私まだ貰っていないと思うのだけれど?」

八幡「…………何をでしょう?」

雪乃「分からない?」

八幡「分からねぇな。雪ノ下がそんなことを自分から言い出すのも意外だ」

雪乃「普通は言わないでしょうね」

八幡「だろ?」

雪乃「でもあなたには言うわ。…………私はあなたの彼女だから」

八幡「…………………彼女の初めてのわがままなら仕方ねぇわな」

雪乃「用意してくれてたの??」

八幡「いやしてなかった」

雪乃「あなたって人は…………仕方ないわね。これでいいわよ」

八幡「これって何ですか?何で目を瞑っているんですか?」

雪乃「…………私の初めてのわがままよ。ダメ……かしら?」

八幡「……ダメじゃねぇな」

八幡(最近こんな光景を見た。今回は間違わねぇな)

雪乃「……なら」

八幡「……おう」

雪乃「…………」ドキドキ

八幡「…………」ドキドキ

雪乃「…………」ドキドキ

八幡「」チュッ

雪乃「……///」

雪乃「…………その、ありがとう」

八幡「…………ど、どういたしまして」

98 : ぶたごり - 2015/08/24 23:28:44.12 nhd/ATek0 79/79

八幡(こうして俺と雪ノ下は結ばれた。ここまで長い道のりだったと自分でも思う)

八幡(そして俺と雪ノ下はここで誓ったのだ)

雪乃「言っておくけど私は結婚を前提じゃないと嫌よ」

八幡「気が早いな。…………まぁ、俺もお前以外とは考えられねぇが」

雪乃「その内両親に挨拶に来なさい」

八幡「マジかよ。いや、そうなるよな…………。はぁ」

雪乃「あなたの気持ちは分かるけど観念しなさい」

八幡「……了解」

八幡(俺たちの思い出が降り積もった場所で)

八幡(この雪の下で)

〜完結〜

記事をツイートする 記事をはてブする