純「梓おはよ~…ふぁ~」
パシャ!
純「あ!何撮ってんのよ~!」
梓「へへ、純の寝ぼけ顔ゲット♪」
純「今すぐ消してー!」
梓「純が私を『梓さま』って呼んでくれたら考える」
純「ひどい奴だ~」
元スレ
梓「放課後フォトタイム!」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1285761625/
憂「どうしたの二人とも?」
梓「あ、おはよう憂」
純「憂~…聞いてよ~…」
憂「なぁに?」
純「梓がいじめるんだよ~」
憂「梓ちゃん、純ちゃんをいじめちゃだめだよ」メッ
梓「はーい」
憂「ところでそれはデジカメ?」
梓「うん、これでさっき純を撮ってたんだ」
純「あくびしてるとこ撮られちゃいました」
憂「そうなんだ」
憂「…」ジー
梓「な、なに?」
憂「私は撮ってくれないの?」
梓「へ?ああ、憂も撮ろうか」
梓「行くよ~」
憂「はーい!」ニコニコ
梓「…」
憂「どうしたの?」
梓「なんかこういうの撮りにくいなぁ…」
憂「え?どういうこと?」
梓「なんていうのか…私は日常の風景を撮りたいから『ハイ、チーズ』って感じは…」
憂「そっか…」
梓「また今度ね」
憂「うん…」シュン
パシャ!
憂「ふぇ!?」
パシャ!
梓「憂のがっかりした顔と驚いた顔ゲット♪」
梓「ごめんね憂、こういうの撮りたくて一芝居しちゃった!」
憂「あはは、騙されちゃった♪」
純「ずるいよぅ!私は寝ぼけ顔1枚だったのに~」
梓「純のは撮ってもつまらないし」
純「ひどいー」
憂「梓ちゃん、純ちゃんも撮ってあげたら?」
梓「憂が言うなら仕方ないな~」
純「何よその言い方…」ブスッ
パシャ!
純「あーもう!撮るなら『チーズ』とか言ってよね~」
梓「そういうの撮りにくいっていったでしょ?」ニヤ
純「それは活きてるのか…」
梓「実際そうなんだよね、私は観光地を撮ったりするんじゃなくて…
私たちの日常を撮りたいんだよ」
憂「なんか素敵だね♪」
梓「いや、本当は写真のセンスがない言い訳なんだけどね」
純「そっかー、言い訳かー」
梓「…純に言われるとなんかムカツク」ムッ
私がカメラに興味を持ったのは先輩がたの影響だった
先輩がたが卒業式に私にくれた写真はとても暖かくて…
いつまでも大事にしたい大切なものなので
私ももう3年生、私たちの思い出や、これから来るであろう新入生のこれからの思い出を
大事に大事にとっておくために私は写真を撮りたい
純「梓ー?どうしたのボーッとして」
梓「にゃ!?私ボーッとしてた!?」
憂「もう授業始まっちゃうよ?」
梓「もう3年生なんだし…しっかりしないと…」
梓「ファイト!私!」
憂「おー!」
純「…みんなに見られてるよー」
梓「はっ!」
やっぱりダメだなぁ…私…
─キーンコーンカーンコーン
純「ご飯だー!」
憂「さっきまでヘナヘナだったのに元気になったね♪」
純「よっしゃ食うぞー」
梓「…」
憂「どうしたの梓ちゃん?」
梓「…ああ、私のことはかまわないでー」
純「変なの」
純「いただきまーす!」
純「うん、美味い!シェフを呼べ!」モグモグ
憂「は~い♪」
パシャ!
梓「純の食事シーンゲット♪」
純「ぎゃー!変態だ!変態がいるぞ!」
梓「変態じゃないもん」
憂「それで静かだったんだね~」
梓「日常のシャッターチャンスはいつどこにあるか分からないからね」モグモグ
純「えーい!仕返し!」
ピロリン♪
梓「うわ!ケータイで撮るとは卑怯なり!」
憂「じゃあ私も~」
カシャ♪
梓「あ、憂はカメラの音っぽいのにしてるんだね」
憂「設定したわけじゃないんだけどね」
純「携帯によって音違うよねー」
梓「憂のお弁当!」
パシャ!
純「じゃあ私は梓の~」
ピロリン♪
憂「私は純ちゃんの♪」
カシャ♪
梓「写真で見るとお弁当のできの差は歴然だね」
純「どういう意味よ~」
梓「たぶん今純が思ってる意味だよ」
純「むー…」
憂「あ、もうすぐお昼終わっちゃうよ!早く食べよ!」
─キーンコーンカーンコーン
純「やっと放課後だねぇ」ノビー
パシャ!
梓「タレ純ちゃんゲット♪」
純「うあー、どうして私はそういうのばっかり撮るのよー」
梓「その反応が楽しいから♪」
純「むきー!」
憂「ほらほら、早く行こうよ純ちゃん、梓ちゃん」
梓純「はーい」
ガチャ
梓「おはようトンちゃん」
憂「正確にはこんにちはかな?」
純「こんばんは説もある」
梓「このぐらいの時間は挨拶どれにしたらいいか分かりにくいよね」
憂「じゃあおはようでいいかな?」
純「ギョーカイジン的な感じでね」
梓「トンちゃんは何業界なんだろ…」
純「ほらほら~トンちゃん餌だよ~」
梓「あ、こら純!トンちゃんの餌あげすぎ!」
純「そう?」
梓「餌あげすぎるとトンちゃんが食べきれなくて水槽の水が汚れちゃうんだよ」
純「気をつけます気をつけます」
梓「聞いてないでしょ?」
純「聞いてないでーす」
梓「もー純ったらー」
パシャ!
梓「トンちゃんの食事シーンゲット♪」
憂「梓ちゃんすっかりカメラに夢中だね♪」
純「写真部に入ったほうがよかったんじゃないの~?」
梓「私はそこまで本格的に撮りたいわけじゃないし、軽音部じゃないと意味ないよ」
梓「カメラだって、詳しくないから私に買える良さそうなデジカメ買っただけだし」
純「ふーん」
憂「アルバムとかは作らないの?」
梓「アルバムかー、いいね!」
純「アルバムと言ったらやっぱ心霊写真でしょ!」
梓「なんでよ…」
純「今まで撮ったのに心霊写真とかないの?」ズイ
梓「ああ!やめてよ純!」
純「あ、これとか心霊写真じゃない?」
梓「…それは猫です」
憂「そうは見えないけど…」
梓「…逃げられたんです」
純「あー…」
純「猫といえば猫の写真多いね」
梓「あー、最初は練習で何撮ろうかなって思って、とりあえず猫撮ってたんだ」
純「何か親近感のようなものを感じて、とか」
梓「私は猫っぽくないもん!」
憂「えへへ、二人とも仲よしさんだね♪」
梓純「どこが?」
───
純「はぁー、練習おわり!」
憂「新歓ライブまであと少しだけどこれなら大丈夫そうだね!」
梓「憂も純もすごいよ、先輩がた以上かもね」
純「それ、いいすぎ」
憂「あはは、お姉ちゃんには敵わないよ~」
純「んじゃ帰ろっか」
憂「うん」
梓「あ…ちょっと私は残るかな」
純「ん?どうした、泊まり込みで練習?」
梓「違う違う、もうちょっと一人でこの部屋を堪能しようかなって」
純「あーあ、青春こじらせちゃったか」
梓「そんなんじゃないもん!」
梓「ただちょっと…この放課後を思い出にしたくてさ」
憂「だったら私たちももうちょっと残るよ」
梓「…うん、そうだね、じゃあ色々撮りますか!」
憂純「おー!」
純「唯先輩の残していったカエル!」
パシャ!
憂「まだあったんだね…」
梓「ムギ先輩の残していったティーセット!」
パシャ!
純「大丈夫なの?このままで」
梓「ムギ先輩が『私たちがいなくなってもティータイムは続けてほしいの』って」
憂「じゃあ私たちもしなくちゃだね!」
憂「お姉ちゃんのぬいぐるみ…」
パシャ!
憂「もう、全部持って帰ってなかったんだね」
梓「あ、それは澪先輩のだよ」
純「へぇ、澪先輩もぬいぐるみ持ってきてたんだ~」
梓「この本は律先輩の」
パシャ!
純「これも寄贈品?」
梓「これは忘れ物だと思う、あとで連絡しておこう」
梓「このホワイトボードにみんなでなんか書いて写真撮ろうよ」
憂「じゃあ私から」
憂「…」カキカキ
純「憂はなかなか絵がうまいねぇ」
梓「姉妹で画力に雲泥の差が…でも、まず絵を描きたがるのはさすが姉妹かな」
憂「こんな感じでどうかな?」
純「私たちと…トンちゃんかぁ、演奏してる感じ?」
憂「武道館ライブだよ♪」
梓「夢は武道館…か」
そういえば先輩がたも言ってたな…
今のところ夢は達成できてないけど、私たちも頑張ろう
純「書けた~」
憂「とっても個性的な絵だね!」
純「遠まわしにヘタクソってことですかい…」
梓「純画伯誕生の瞬間、だね」
純「あ~ずさ~!」
憂「次は梓ちゃんの番だよ!」
梓「うーん…」
何を書こう…
自分で提案しといて何も考えてなかった
私たちの絵は憂が書いたし…私も純のこと言えない画力だし…
そうだ!
梓「…」カキカキ
憂「…猫?」
純「梓?」
梓「ネコミミの私でした!」
純「ぷっ、なんでネコミミよ」
梓「うーん、ダメかなぁ…」
パシャ!
梓「うん、なかなかいい感じ」
純「どれどれ見せて」
憂「こうやってみると、先輩さんたちの思い出がこの部屋に詰まってるねー」
梓「私たちは残せるのかな?」
純「その前にまずこの部を残さないとねー」
梓「う…痛いところを…」
憂「そのための新歓ライブでしょ、頑張ろう!」
梓純「うん」
さわ子「あら、みんなまだ居たの?」ガチャ
純「あ、先生」
梓「今日はどうしていなかったんですか?」
さわ子「この時期は教師は忙しいのよ、
ティータイムもないから焦って来ることないし」
梓「後半が主な理由ですね」
憂「ティータイムはやっぱりやることにしました」
さわ子「それ本当!?」
憂「お茶は安いしお菓子は出ないですけどね」
さわ子「じゃあできるだけ来ることにするわ」
純「現金な先生だなぁ…」
さわ子「じゃあ私はこれで失礼するわ、早く帰るのよ」
純「何しに来たんだ、先生は…」
梓「あ、ちょっと待ってください!」
さわ子「何?」
パシャ!
さわ子「きゃ!」
梓「先生の見返り姿ゲット♪」
さわ子「…梓ちゃん」ゴゴゴゴ
梓「あ、悪気があったわけじゃ…すみません…」
さわ子「とうとう目覚めたのね!私頑張って衣装作っちゃうわ!」ダダッ
梓「あの…ちが…」
憂「行っちゃったね…」
純「ホントに謎だよあの先生は…」
梓「なんか先生がいなくなったら急に静かになったね」
純「もう夕方だし、他の生徒もほとんどいないからねぇ」
憂「帰ろっか」
梓「あ、最後に…」
パシャ!
純「夕景?」
梓「タイトルは『放課後』で」
憂「ふふ、梓ちゃんプロみたい」
梓「いやいや~」
純「あんまりうまくないけどね!」
梓「グサッ…」
梓「あ、なんかほわほわしたのが写ってる…」
純「心霊写真!?」
憂「うーん…でもなんか綺麗だね!」
梓「楽しい気持ちが写りこんだみたいだね」
純「楽しい感じに混じろうとした霊?」
梓「心霊写真はもういいから」
その特別じゃない夕日は…特別じゃない校庭を照らしている
なのにそれは私の心をグッとつかむ特別な景色
それは日常の、永遠に続くけどひと時だけの魔法なので
…明日はアルバム買わないとなぁ
純「おい梓、ボーッとしてるぞぅ!」
梓「にゃ?ああ、ちょっと考え事…」
憂「梓ちゃんしっかりしないと!」
梓「そうだね、景色に酔ってる場合じゃないよね」
純「梓ー、実は恥ずかしいセリフ考えてたんじゃないのー?」
梓「そ、そんなことないもん!」
憂「ふふ♪」
おわり