八幡「・・・は?」
雪ノ下「・・・いえ、何でもないわ」
八幡「いや、何でもない訳ないだろ。何でそんなこと聞いたんだ?」
雪ノ下「私でもなんとなく思いついたことを言うことはあるのよ?」
八幡「一瞬びっくりしただろうが・・・」
雪ノ下「ええ、だから気にしないでちょうだい」
八幡「あ、ああ・・・」
由比ヶ浜「やっはろー!」ガラ
雪ノ下「由比ヶ浜さん、いらっしゃい」
八幡「うす」
由比ヶ浜「あれ? ヒッキー目の下にクマができてるよ?」
八幡「昨日はちょっと夜更かししたんだよ」
由比ヶ浜「へぇ~・・・で、何をしていたの?」
八幡「何でそんなこと言う必要があるんだよ」
由比ヶ浜「別に言ってくれても良いじゃん」
八幡「・・・アニメ見てた」
由比ヶ浜「うわ・・・」ヒキ
元スレ
雪ノ下「比企谷君、昨日は遅く寝たのね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415451907/
八幡「おい、そんなに引くことないだろ」
由比ヶ浜「だって夜更かしするほど夢中になっているとか・・・ヒッキーマジキモい」
八幡「一度に全話見たんだよ、一回見だしたら止まらなくなってな」
由比ヶ浜「ヒッキーキモい、ヒッキモい」
八幡「略すなビチヶ浜」
由比ヶ浜「ビッチって言うなし!」
雪ノ下「・・・それで比企谷君、どんな内容の物を見たのかしら?」
八幡「興味あるのか?」ニヤ
雪ノ下「その濁った三白眼の奥に秘められた深い闇は一生纏わりつくわね。あと気持ち悪いわ」
八幡「お前は俺を罵倒したいだけだろ」
雪ノ下「その切迫した気色悪い顔から読み取るに、大方美少女モノのアニメでも見ていたんでしょ」
八幡「・・・・・・」
由比ヶ浜「ヒッキー図星!? マジキモい!」
雪ノ下「それで、比企谷君」
雪ノ下「感想は?」ニコ
八幡「・・・こまちたすけて、にいちゃんいじめられているんだ」
由比ヶ浜「どんだけ小町ちゃんが好きなの!? 度が過ぎるよ!」ムー
雪ノ下「比企谷君、私の話を聞いていなかったの?」
雪ノ下「その美少女とやらが大勢出てくるアニメを見て、貴方はどう思ったの?」
雪ノ下「ねぇ、どう思ったの? <●> <●>」ジッ
八幡「ひっ」ビク
由比ヶ浜「え、あの・・・ゆきのん?」アセアセ
雪ノ下「どうせ感情移入して楽しんでいたんでしょ? どこまでも気持ち悪い男ね。身の程を弁えたらどうかしら? 貴方とは全く正反対の可愛らしい妹さんや由比ヶ浜さん、そして私がいるのにそんな低俗なことをしているの? これ以上何を求めているの? 貴方は集団生活が困難な籠の中の鳥、いつまでも同じ生活を続けていれば良いのよ。貴方が新しいことを試してみようとしても、それは無意味なことよ。今すぐ止めなさい。事が裏目に出て貴方が性犯罪者に成り上がるのがオチよ。大人しく日常を満喫していなさい・・・良いわね?」ギロ
八幡「」
由比ヶ浜「」
八幡「(今日の雪ノ下は一体どうしたというんだ・・・)」
八幡「(何か腑に落ちないな)」
八幡「(ま、罵倒をされるのには慣れたしな。明日は俺と一緒に寡黙してしまった由比ヶ浜のフォローをしてあげんとな)」
八幡「(昨日は趣味に時間を使ってしまったから、今日は勉強するか)」
八幡「・・・・・・」カキカキ
八幡「・・・・・・」カキカキ
八幡「・・・・・・」カキカキ
八幡「・・・・・・」カキカキ チラ
八幡「(今は0時前か・・・)」カキカキ
八幡「・・・・・・」カキカキ
八幡「・・・・・・」カキカキ
八幡「・・・ココアが飲みたいな」ボソ
八幡「(いや、もう少し問題を解いてからにしよう)」カキカキ
八幡「・・・ふぅ、こんなもんか」
八幡「(そろそろ作りに行くか)」ガタ
― キッチン ―
八幡「・・・え?」
八幡「(何でココアが机の上に置いてあるんだ・・・?)」ゾワ
八幡「(小町は寝ているし・・・いつの間にか俺が寝ぼけて作っていた・・・?)」
八幡「・・・どう見ても作ったばかりの物だ」
八幡「(じゃあ、これは誰が作ったんだ・・・?)」ビクビク
八幡「・・・飲む気にもなれんな。さっさと寝よう・・・!」ビクビク
八幡「・・・という訳なんだよ」
由比ヶ浜「えぇ~? ヒッキーが寝ぼけていたんじゃない?」
八幡「そんな筈は・・・!」
由比ヶ浜「だって、今朝にはそのココア無くなっていたんでしょ?」
八幡「ああ、不思議なことにな・・・」
由比ヶ浜「ヒッキー一昨日夜更かししたから疲れているんだよ」
八幡「そうか・・・」
雪ノ下「・・・ところで比企谷君」
八幡「何だ?」
雪ノ下「そのココアは飲まなかったのよね?」
八幡「ああ」
雪ノ下「どうして飲まなかったの? 貴方は飲みたかった筈ではないのかしら? <●> <●>」ジッ
八幡「え・・・」ゾク
八幡「何で俺が飲みたいと思ったことを知っているんだよ・・・?」ビクビク
雪ノ下「質問に答えなさい、比企谷君」
雪ノ下「どうして飲まなかったのかしら? <●> <●>」ジッ
八幡「流石に自分で作った覚えのない物を飲める訳ねぇだろ・・・!」ビクビク
八幡「なぁ雪ノ下、何か起こっているのか? お前怖いぞ・・・?」ビクビク
由比ヶ浜「そ、そうだよゆきのん、ちょっと落ち着こう・・・?」ヒキ
雪ノ下「・・・そうね、流石に自分で作った覚えのない物を飲める訳ないわよね」
雪ノ下「ごめんなさい、比企谷君、由比ヶ浜さん。ちょっとからかってみただけだわ」
八幡「・・・シャレにならん」
由比ヶ浜「も~ゆきのん止めてよぉ・・・」ホッ
雪ノ下「比企谷君の正直な気持ちを聞きたくて・・・ね?」ジッ
八幡「」ゾワ
八幡「(昨日のあれは本当に幻だったのだろうか・・・?)」
八幡「(はっきりと覚えているし、あれは確かに現実だった・・・)」
八幡「(それに最近の雪ノ下の様子が少しおかしい・・・)」
八幡「(一体どうしちまったんだ・・・)」
八幡「な、小町、今日はお兄ちゃんと一緒に寝よう! な!?」
小町「お兄ちゃん必死過ぎ・・・唐突にどうしたの?」ヒキ
八幡「一昨日にあんなことがあったから何か妙に怖くて仕方がないんだよ・・・!」
小町「あれは寝ぼけていただけでしょ・・・流石にキモいよ、お兄ちゃん」
八幡「小町、頼む!」ドゲザ
小町「馬鹿やってないで、早く寝てね」バタン
八幡「そ、そんな・・・」ガク
八幡「怖い・・・怖い・・・怖い・・・!」ガクガク
八幡「(今日も何かが起こりそうで怖い・・・胸騒ぎがする・・・!)」
八幡「今日ほど誰かと一緒にいたい日はない・・・!」ビクビク
八幡「(クソ・・・こんな目に逢うならボッチになるんじゃなかった・・・!)」ビクビク
八幡「(部屋は暗くしたが、寝ようにも寝られないぞ・・・辛い)」ビクビク
ギシ・・・ ギシ・・・
八幡「(・・・小町か?)」
ギシ・・・ ギシ・・・ ギッ
八幡「(足音が俺の部屋の前で止まった・・・なぁんだ小町! あんなこと言っておいてちゃんと来てくれたじゃないか! このツンデレさんめ! 八幡的にポイント高いよ! 可愛い奴め、思いっきりギュッてしてやる!)」
カチャ・・・ ギィ・・・
八幡「・・・・・・」
カ・・・チャン・・・ トス・・・ トス・・・ トス・・・ トス
八幡「(添い寝か? 添い寝ですか? 妹と添い寝! ソイネ! それイイネ!)」
シーン・・・
八幡「(アクションがないな・・・まさかここで恥ずかしがって留まっているのか? 可愛い奴め、お兄ちゃんはいつでもウェルカムだよ!)」
八幡「(どれ、恥ずかしそうに思い留まっている可愛い小町の姿を薄目で拝見するか!)」ソーチラ
雪ノ下「<●> <●>」
八幡「」
八幡「」カクン
八幡「」
八幡「」
雪ノ下「・・・ふふ、おやすみなさい、八幡」チュ
八幡「(・・・あの夜、何が起きたのかよく覚えていない)」
八幡「(今までにないくらいの恐怖を味わったような気がする)」
八幡「(しかし、あれから怪奇現象は起きていない)」
八幡「(あれは全て、俺の幻覚だったのだろうか・・・?)」
雪ノ下「・・・そろそろ下校時刻ね、帰りましょう」
由比ヶ浜「そうだね」
八幡「・・・おう」
八幡「(そうだ、俺は疲れていただけなんだ・・・深く考えるのは止めよう)」
由比ヶ浜「じゃあね、ヒッキー、ゆきのん。また明日!」フリフリ
雪ノ下「ええ、さようなら、由比ヶ浜さん」フリフリ
八幡「・・・また明日」フリフリ
八幡「さてと、俺達も帰るか・・・」
雪ノ下「・・・ところで比企谷君」
八幡「ん? 何だ?」
雪ノ下「洗面所の歯磨き粉が切れかかっているわよ。新しいのを買っておきなさい」ニコ
八幡「え」
――― 終 ―――