葉山「ああ、親の仕事の関係で貰ったんだけど良かったらどうかな?」
八幡「……どうかなって言われてもな、お前と一緒に行くのか?」
姫菜「隼×八!? 隼×八なのっ!?」
葉山「いや、悪いんだけど俺は行けそうに無くてね。無駄にするのも何だし配ってるんだ」
八幡「わざわざ俺に聞かなくてもお前なら配る相手もたくさん居るだろ」
葉山「チケットはかなりの枚数貰っているから気にしなくても大丈夫だよ」
八幡「そういうことじゃなくてだな……ぼっちの俺がチケットなんて貰ってどうしろっていうんだよ」
姫菜「一緒に行けば良いじゃない! 二人で仲良く行けば良いじゃないっ!!」
葉山「ははは、ヒキタニくんも相変わらずだね。…………姫菜も、ね」
八幡「おい、こいつの保護者はどこ行ったんだよ。この際、由比ヶ浜でも構わんが」
葉山「うーん、優美子は近くに居ないな。結衣も見当たらないね」
姫菜「『俺と用事、どっちが大切なんだ隼人っ』『八幡……もちろん君だよ』 ぐふふ……」
八幡「……わ、わかった。貰えるなら貰っておく」
葉山「あ、ああ、……じゃあ10枚ぐらいで良いよね?」
元スレ
八幡「ディスティニーランドのチケット?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387967569/
八幡「おう、さんきゅ」
八幡(ふふふ、10枚も売ればあればかなりの収入になる。まったく、錬金術は最高だぜ!)
葉山「ちなみにそれは売ったりしないでくれよ?」
八幡「お、おう。……も、貰ったものをう、売るなんて…………するわけないだろ」
葉山「そうだよね。いくらヒキタニくんでもそんなことするわけないよな」ニコッ
八幡(ちっ……こうなったら小町か戸塚と行くか。……これってデートになるのか?)
葉山「そうだ、君にだけ特別にルールを作ろうか」
八幡「えっ、何? ルール? 何で俺だけなんだよ。やっぱりイジメだろ、これ」
姫菜「ずっと手を繋いで過ごすっていうルールはどうかな? かな!?」
八幡「いや、だから葉山とは行かねぇって……」
姫菜「しゅーん……」
葉山「それでルールの内容なんだけど、ヒキタニくんの知り合いを誘うってのはどうかな?」
八幡「お前もどうかなじゃねぇだろ……何考えてるんだよ」
葉山「10枚あるならペアで5人と行けるよね。もちろんちゃんと相手は変えて」
八幡「おい、やっぱりイジメじゃないか。俺に5人も誘う相手なんて居るわけ無いだろ」
葉山「ヒキタニくんなら大丈夫だよ」ニッコリ
八幡「何を根拠に大丈夫って言っているんだよ……俺だぞ? ぼっち舐めんな」
葉山「ははは、ちゃんと5人誘わないとそのチケットは買い取ってもらうから」
八幡「は? 買い取りだと? ならいらねぇから、このチケットは返すわ」
葉山「それじゃあ楽しんで来てくれ。それじゃあ俺は他の人にも配ってくるから」
八幡「あっ、おいっ!? ちょっ、待てよっ!?」ガシッ
葉山「……駄目かな」
八幡「こんな強引なのはお前らしくないぞ……葉山」グイッ
葉山「…………ヒキタニくん」
姫菜「八×隼キターっ! 隼×八からまさかの八×隼! ハァハァ……フヒヒ」
八幡「……何か訳有りか? 奉仕部で良ければ話だけでも聞いてやらないことも無いぞ」
葉山「………すまない」
八幡「別に謝って欲しいわけじゃねぇよ。まぁ、無理に聞き出そうと思っちゃない――」
葉山「実は陽乃さんに――」
八幡「あっ、大事な用事思い出した。いやぁ、八幡うっかりうっかり。そういうことで――」
葉山「待ってくれるかな? 話を聞いてくれるんだろ?」ガシッ
八幡「ばっ、違ぇよっ、聞いてやらないことも無いって言ったけど聞くとは言ってねぇっ!」
姫菜「やっぱり隼×八! 隼! 八っ!!」
葉山「わかっていると思うけど、ちゃんと誘わないと陽乃さんは後が怖いぞ」
八幡「…………おうふ」
葉山「本当に君は陽乃さんに好かれているんだね。一応達成したら陽乃さんからご褒美があるらしいよ?」
八幡「嬉かねぇし、俺玩具扱いだろこれ……ご褒美ってのも怪しいし。やらないと駄目か?」
葉山「陽乃さんに確認してみる? なんなら携帯に掛けてみるけど」
八幡「おい、バカ、やめろ。ったく、俺が誘っても誰も行かないだろ……」
葉山「念のために言っておくけど、誘えたらちゃんと行ってもらうからね」
八幡「何で俺がこんな目に……。誘う人数5人は多すぎじゃね? 1人に減らすべきだろ?」
葉山「人数も陽乃さんの指示だよ? 最低でも5人って」ニッコリ
八幡「笑顔で逃げ道塞ぐんじゃねぇよ……断られてもカウントして良いんだよな?」
葉山「うん。その場合は買い取りは無しで良いけど、あとで相手に確認するから嘘ついても駄目だからね」
八幡「それも雪ノ下さんの指示か……お前も大変だな」
葉山「昔からの付き合いだからね。もう慣れたよ……」
優美子「あれ、なにしてんの隼人。ヒキオとなんて珍しい」
葉山「ああ、優美子、いやちょっとね。俺がヒキタニくんと話しているのそんなに珍しいかな?」
八幡(そりゃぼっちの俺と人気者の葉山が話していれば珍しいだろうなぁ。けっ)
優美子「と言うかヒキオが誰かと喋ってるの珍しいじゃん」
八幡(おい、それじゃあ相手が葉山じゃなくても珍しいってことだろ。否定は出来ないが)
葉山「ははは、ヒキタニくんも話してみれば意外と喋るんだけどね」
八幡(お前も要らないフォローしてんじゃねぇよ……意外って何だよ、意外って)
優美子「ま、あーしはヒキオがどんだけ喋るかなんて興味ないけど……ん?」
八幡(はいはい、興味持てない人間ですみませんね。ぼっちは大人しくしてますよ)
優美子「ヒキオが持っているのってディスティニーのチケットっしょ?」
葉山「うん、余っていたからヒキタニくんにあげてたところなんだ」
優美子「へー、じゃあ隼人一緒に行かない? まだチケットあるんでしょ?」
葉山「悪いんだけど俺は当分行けそうに無くてね。そうだ、ヒキタニくんと一緒に行ったらどうかな?」
優美子「は? ヒキオと?」
八幡「えっ、ちょっ、は、葉山!? おまっ、何を言って!?」
葉山「このチケットは男女ペアでしか使えないんだ。ヒキタニくんもまだ相手が居ないみたいだしね」
優美子「ヒキオとかぁ……あーし、久しぶりに行きたいし隼人が駄目ならしょうがないか」
八幡(おいおいっ、チケットは1人1枚ずつで、そもそも男女ペア指定なんてどこにも書いてないぞ!?)
八幡(それに男は俺じゃなくても戸部とか大岡とかいるだろ!? 葉山ぁ……どういうつもりだ!?)
優美子「じゃあヒキオ、今週にでも行くし。どうせ暇っしょ?」
八幡「あ、いや、暇と言えば暇だが……俺なんかと行ってもつまらないだろ、な?」
優美子「は? あーしが誘ってあげてるのに断るって言うの? ヒキオの癖に」
葉山「まぁまぁ、優美子も落ち着いて。ヒキタニくんも折角だから行ってくれば良いよ」
八幡「お、おい。どういうつもりだ葉山! 何で三浦と行かないといけないんだよ!」(小声)
葉山「どういうって……ヒキタニくんも大変だろうから1人くらい手伝ってあげようと思ってね」(小声)
八幡「余計なお世話だっ、よりにもよって三浦となんてハードルが高すぎるっての!」(小声)
葉山「大丈夫だよ、優美子はこう見えて面倒見が良いからヒキタニくんも楽しめると思うよ?」(小声)
八幡「普段話もしない奴と遊びに行ったって気まずいだけだろ……」(小声)
優美子「あんさー、結局行くの、行かないの? あーし、はっきりしないの嫌いなんだけど」
葉山「ヒキタニくんも行くってさ。ヒキタニくんは素直じゃないからね」
八幡「本当に俺とで良いんだよな? あとで文句言われても知らないからな」
優美子「ヒキオしつこすぎだし、キモ」
葉山「今のうちにいろいろ決めておくと良いよ。それじゃあ俺は用事があるからこれで」
八幡「……で、決めるって何を決めるんだ? 今までそんなもんやったことないんだが」
優美子「……はぁ、ヒキオに任せても無理っぽいし、あーしがいろいろ決めて良いよね?」
八幡「お、おう? そりゃ構わないが……えっと、本当は何を決めるんだ?」
優美子「そりゃ何に乗るかとか時間に決まってるっしょ。それより、ほら」
八幡「ん? 携帯? 携帯がどうした?」
優美子「あーし、ヒキオの番号知らないし。連絡取れないと困るっしょ」
八幡「えっ、えっと……」
優美子「……はぁ、ヒキオの携帯貸しな、あーしがやるから」
八幡「お、おう……頼む」
優美子「…………うわぁ……登録数、少ないし」ポチポチ
八幡「うるせっ……掛けたい相手以外登録してあっても邪魔なだけだろ」
優美子「ほら終わったし。つーか、結衣の番号あんじゃん。もしかしてヒキオってストーカー?」
八幡「……俺、一応由比ヶ浜と同じクラスで同じ部活なんだけど」
優美子「そんなん知ってるし。冗談に決まってるっしょ」
八幡「冗談に聞こえねぇんだよ……過去にも……うぅ……トラウマが」
優美子「ちょっ!? ヒキオ何で泣きそうになってんの!? あ、あーしが悪かったしっ」
八幡「ちょっとメール送っただけだろ……何でストーカー扱いになるんだよ……うぅ……」
優美子「ほ、ほらっ元気出すし! あーしならいつでもメールして良いし! ねっ?」
八幡「み、三浦ぁ……ありがとう」
優美子「!?///」キュン
八幡「三浦って優しいんだな……どこかの姉妹と違って」
雪乃「……何か不愉快なことを言われた気がするわ。……この感じ比企谷くんね」イラッ
陽乃「……何か比企谷くんとお話をしなきゃいけない気がするなぁ、うふふ」ゴゴゴ
八幡「!? 悪寒がっ!?」ゾクッ
優美子「怯えてるヒキオ……かわいいかも///」
八幡「そ、それで予定とかは三浦に任せて良いんだよな?」
優美子「いやいや、あーし何を考えてるの!? こいつはヒキオだしっ///」
八幡「み、三浦? あの……三浦さーん?」
優美子「でも目さえ何とかすればヒキオって悪くないんじゃ……///」
八幡「……えー、何でいきなり無視されてんの? 始めっから無視ならよくあるんだが」
優美子「まぁ? あーしがヒキオを一緒に居ても恥ずかしくない男にすれば良いだけだし?///」
八幡「何だか良くわからないが、あとは任せるな? そっちで鼻血を流してる海老名さんも含めて」
優美子「あ、あーしが……ヒキオと……///」
姫菜「ハァハァ……ごちそうさま……///」
八幡「何だったんだ? 急に独り言を始めるし……まぁあとでメールしておくか」
八幡「これでメーラーダエモンさんだったら泣くぞ、本当に」
八幡「しかし葉山のせいで1人は完了か、葉山のせいで。……この恨みいつか果たす」キリッ
八幡「つーか、……やっぱりチケットには男女ペアなんて書いてないよな……って危なっ!?」
沙希「!? ……何だ比企谷か。よそ見しながら歩いてるんじゃないよ、ぶつかるところだったろ」
八幡「わりぃわりぃ、川……川……川崎?」
沙希「何で疑問系……あんた人の名前…………それってディスティニーの?」
八幡「ん? これか? 葉山に貰ってな。何、興味あんの、お前」
沙希「いや、……別に。そこに遊びに行ったことあんまり無いし」
八幡(チラッと見ただけでディスティニーのチケットってわかる奴が興味ないって……)
八幡「あんまり無いって何回かはあるんだな」
沙希「まぁね、弟たちが行きたがって連れて行ったりしてた」
八幡「それって面倒見てただけでお前遊んでないだろ……ブラコン」ボソッ
沙希「あ?」
八幡「イエ、ナンデモナイデス」
八幡(川崎か……俺が誘っても断られるだろうから、誘うだけ誘ってさっさとカウントを増やすか)
八幡(チケットはどうせタダだしあげても良いしな。これぞWin-Winの関係ってやつだな)
八幡「良かったら行くか? 2枚あるから」
沙希「えっ!? それって……あたしと? ひ、比企谷と一緒にって……デート!?///」
八幡「嫌ならチケットは渡すから弟とでも……って、は? デート?」
沙希「いやいやっ、ちょっと待ってっ! 心の準備が出来てないからっ!///」
八幡「心の準備が必要ってどういう意味だ、こら」
沙希「ひ、比企谷がど、ど、ど、どうしてもって言うなら行ってあげても良いよっ?///」
八幡「声裏返ってるぞ……。別に嫌なら――」
沙希「わ、わかった。一緒に行ってやるよっ、お昼代勿体無いから、お、お、お弁当作って行くからっ///」
八幡「お……お弁当? えっ、何でそんなに張り切ってるんだ?」
沙希「は、初めてなんだから手を繋ぐまでだからなっ! それ以上はやらないからなっ!///」
八幡「会話しているはずなんだが話が噛み合わないってどういうこと?」
沙希「うぅ~///」
八幡「まっ、普段は噛み合う以前に、小町と戸塚以外とは会話すら無いんだがな」
沙希「か、勘違いしないでよっ、どうせあんたのことだから一緒に行く人いないんだろっ?///」
八幡「いや、別に小町が居るしさっき三浦と――」
沙希「しょうがなく一緒に行ってやるからっ! っ、そういうことだからっ!!///」ダッ
八幡「おーい、勝手に話を終わらすなよ……ってもう居ないし」
???「いやぁ、先輩も隅に置けないですねー。わたし凄いところ見ちゃいましたよ」
八幡「…………さて、傷ついた心を癒すためにMAXコーヒーでも飲みに行くか」
???「ちょっと先輩、無視しないでくださいよー」グイグイ
八幡「引っ張るな。俺のことを甘えるように引っ張って良いのは小町と戸塚だけだ」
八幡「あっ、あとは俺と結婚して生活を引っ張ってくれる人なら大歓迎だな」
???「うわぁ……」
八幡「何の用だ、一色。俺の人生設計にケチつけるなら出るとこ出るぞ」
いろは「出るとこってどこですかー? ま、出たとしても先輩に負ける気はしませんが」
八幡「用が無いなら話しかけて来んなよ、思わずドキドキしちゃうだろ」
いろは「わたしに話しかけられてドキドキしちゃうんですか? 先輩も可愛いところあるんですねー」
八幡「違ぇよ、普段話しかけられることが無いから落ち着かないだけに決まってるだろ」
いろは「えー? わたしじゃあ嬉しくないですか? こんなに可愛い後輩なのに~」
八幡「自分で言うな。そういうのは葉山にでもやれ」
いろは「葉山先輩には効果無いんですよね~。なんでですかねー?」
八幡「知らねぇよ。お前の本性見抜いてるからじゃねぇの?」
いろは「本性ってなんのことですかー? わたしはわたしですよー?」
八幡「それはわかってる奴の答えだ。ったく、お前は隠さない方が可愛いと思うけどな」
いろは「っ……い、いやですねぇ。先輩それってナンパですか~? さっきの人みたいに」
八幡「俺がナンパなんてするわけがない。ナンパどころか声すら掛けられねぇよ」
八幡「たとえ声掛けても、相手に気づかれないまである」
いろは「でも誘えてましたよねー、ひょっとして脈ありなんじゃないですか~?」
八幡「んな訳があるか。んじゃな、俺は千葉県民のソウルドリンクを飲んでエネルギーを補給してくる」
いろは「へ? 千葉の……って何です? そんなことよりチケットって余ってないんですか?」
八幡「おまっ、そんなことって……お前も千葉県民だろ、何で知らないんだよ。チケットはまだ有るけど」
いろは「じゃあ一緒に遊びに行きませんかー? せんぱ~い」
八幡「行きません。…………あっ、いや、ちょっと待て。俺が誘うから断ってくれね?」
いろは「はい? 何でそんなめんどくさいことをしなきゃいけないんです?」
八幡「俺にもいろいろあるんだよ。察しろよ、諦めんなよ、諦めんなよお前ならできるって!」
いろは「あっ(察し) それじゃあ先輩、誘ってみてくださいっ」
八幡「わかってくれたか、一色。よし! 良かったら俺とディスティニーランド行かない?」
いろは「はいっ! 行きましょう先輩! えへへ、楽しみですね~」
八幡「アイエエエエ! いろはす!? いろはすナンデ!?」
いろは「えー? 先輩が誘ったんですよ~?」
八幡「俺のキャラじゃない真似までしたんだぞっ、お前察した上で言っているだろ!」
いろは「まぁ、先輩が誘う時点で何か訳ありっぽいですしねー」
八幡「わかっているなら断れよ……。お前なら連れて行ってくれる男には困らないだろうが」
いろは「そうなんですけどー。疲れるんですよね、気を使わないといけないので」
いろは「その点先輩は気を使わなくても良さそうですし、それに……」
八幡「それってどうでも良い相手ってだけだろ……。それで?」
いろは「あっ、いえ。それじゃあ番号交換しちゃいましょうか?」
八幡「結局行くのかよ……。ったく、好きにしろ。登録は任すわ、ほれ」
いろは「はいはいー。…………先輩、登録されてるのって」ポチポチ
八幡「登録されている数少なくて悪かったな、必要ねぇんだよ」
いろは「……女の人ばっかりじゃないですか」ムスー
八幡「は? 男の名前もあるだろ。それに何で機嫌悪くなってんだよ」
いろは「えー、女の名前ばっかですよー。結衣先輩とか三浦先輩とか……この、彩加って人も」
八幡「た、たまたまだって。 ほら、終わったなら返せ」
いろは「はーい、それじゃあ後で連絡しますね~」
八幡「おう。基本的に予定はお前に任すわ。んじゃな」
いろは「…………ホント先輩って面白いですよねー。それに……」
いろは「それに他の人と違って……先輩と居るのは楽しいですし」ボソッ
八幡「……ふぅ、やっぱりMAXコーヒーの甘さは疲れた心に染み渡るわぁ」
八幡「とりあえず、あと2人誘えば良いのか……逃げてぇなぁ……」
静「おや、こんなところに居たのかね」
八幡「ひょっとして探してたんですか? 俺、何かしましたっけ?」
静「いや、そういう訳では無いよ。安心したまえ」
八幡「それなら何の用ですか? この後まだ忙しいんですけど」
静「実は陽乃から君が何やら面白いことをしていると聞いてね」
八幡「別に面白くもなんとも無いですよ。つーか、あの人平塚先生に何で教えてんの」
静「それで……何だ。順調かね? もしかして5人誘い終わってしまったりとかは……」
八幡「まだ最低でも2人ですね。はぁ……こんなことして何が楽しいのやら」
静「そ、そうかそうか、まだ2人も残っているのか。それは大変だなー……チラッ」
八幡「という訳でもう行って良いですか? 出来れば今日のうちに終わらせたいので」
静「!? あー、陽乃からは相手は生徒で無いと駄目だとは聞いていないよな?」
八幡「ええ、そうですね。おおっ、ということは小町と戸塚で終わるじゃないか」
静「!? い、いや、待ちたまえ! そ、そういえばただしうちの学校の女性限定と聞いたぞ!」
八幡「マジですか……戸塚も駄目ですかね? あっ、葉山が居るからバレるか……ちっ」
静「そ、それで……チラッ。あと2人も残っていたら大変だろう……チラッ」
八幡「?」
静「くっ。あ、あれー? ここにディスティニーの特集が載っている雑誌が何故かあるなー」
八幡「はぁ? うわぁ……すごくチェック付いてますね」
静「うむ、何かの役に立つだろうから貸してあげよう、誘うのに使いたまえ」
八幡「ありがとうございます。先生がこんなに優しいなんて……何かあるんですか?」
静「普段から優しいだろ、私は。……それにしても休みの日は暇だなぁ……チラッ」
八幡「そうなんっすか? 婚活とか良いんでっ!?」ドスッ
静「比企谷?」
八幡「ごほっ、いえ……何でもないです」
静「わ、私は優しいからな。比企谷に協力してやらなくも――」ブブブ
八幡「あっ、すいません電話みたいです」
静「(´・ω・`)」
八幡「ん? 大志からか。それじゃ平塚先生、用が無いなら失礼します」
静「あ、ああ……頑張りたまえ」
静「(´;ω;`)」
八幡「ふぅ……もう少しで先生を誘うことになりそうだった。……何か用か?」ピッ
大志『あっ、お兄さんっすか?』
八幡「お前のお兄さんではないっ」ピッ
八幡「ったく、イタズラ電話か」ブブブ
八幡「……んだよ。イタズラ電話なら間に合ってますが?」ピッ
大志『ひどいっす! イタズラじゃないっすよ、川崎大志っす』
八幡「はいはい、それで何の用だ」
大志『うすっ、お兄さんうちの姉ちゃんに何か言いました?』
八幡「お兄さんじゃねぇって。うん? 何かって何だ?」
大志『わかんないっす! 姉ちゃんから妙に浮かれた内容のメールが来たっす』
八幡「浮かれた内容? どんな内容だよ……さっき会ったときは普通……ではなかったか」
大志『男が好きなお弁当のオカズを聞いて来たりっす。お兄さんがらみと推測するっす』
八幡「はははっ、知らないなー。あとお兄さんって誰のこと? じゃあな」
大志『えっ、お兄さんはお兄――』ピッ
八幡「…………あと2人か」(現実逃避
八幡「と言ってもこの学校で女性限定となるとあの2人しか居ないよなぁ」
八幡「くそっ、何で戸塚が駄目なんだ。戸塚で良いだろ、むしろ戸塚が良い」
結衣「あれ? ヒッキーこんなところで何してんの?」
八幡「由比ヶ浜か……このタイミングで来るとは」
結衣「? そうだ、優美子と姫菜の様子がおかしかったんだけどヒッキー何か知らない?」
八幡「知るわけ無いだろ、ぼっちの俺が」(震え声
結衣「? ヒッキー声が震えてるよ? まぁ、姫菜はある意味いつも通りだったけど」
八幡「ところで由比ヶ浜。ディスティニーランドって遊びに行ったりするのか?」
結衣「ディスティニー? うん、家族とか優美子たちと一緒にね」
八幡「そうか。飽きるほど行ってんだろうな」
結衣「え? 何度行っても飽きないよ? あっ、今度ゆきのん誘ってみようかな?」
八幡「そこで何だが、由比ヶ浜。俺と一緒に行かないか?」
結衣「うん、良いよ? あー、でもゆきのん人が多いとこ苦手そうだしなぁ」
八幡「お、おう。思ったよりあっさりしてんのな」
結衣「でも聞いてみないとわからな……って、ヒッキー何て言ったの?」
八幡「ん? だから思ってたより反応があっさりしてたなって」
結衣「そうじゃなくてっ! ひ、ひ、ヒッキー、一緒にって……」
八幡「ああ、そう言っただろ。もしかして会話した内容も覚えられないアホの子に……」
結衣「違うしっ! い、い、一緒にって……ふた、2人で!?」
八幡「そういうことになるな」
結衣「そ、それってデート!? ヒッキーとデート……えへへ///」
結衣「ヒッキーから誘ってくれるなんて……。あ、あたし頑張るからっ!」
八幡「は? 頑張る要素なんてあるのか?」
結衣「ヒッキーって苦手な食べ物って無いよね?」
八幡「おい、まさか……」
結衣「ヒッキーの為にお弁当作って行くね!」
八幡「!?」
結衣「えへへ……楽しみだなぁ///」
八幡「やめてくださいしんでしまいます」
結衣「だ、大丈夫だし! ちゃんとママに教わるしっ!」
八幡「まぁ……ちゃんと味見するなら。……大丈夫だよな? 小町を残して死にたくは無いぞ」
結衣「またシスコン……。一番のライバルって小町ちゃんなんじゃないかな……」
八幡「……その……何だ、俺も……楽しみにしてるからな」
結衣「ヒッキー……ヒッキーがデレた///」
八幡「はっ、俺はいつも素直でデレるようなことないだろ」
結衣「それ、嘘だし。ヒッキーいつも捻くれてるし」
八幡「俺が捻くれてるんじゃない、世の中が捻くれてるんだ」キリッ
結衣「やっぱり捻くれてる。マジキモいし」
八幡「……やっぱりディスティニー行くの止めるか」
結衣「ちょっ!? ヒッキー酷い! ヒッキー嘘だよね!? ね!?」
八幡「……ああ、大丈夫行くって。八幡、嘘つかない」
結衣「ホント? ヒッキー嘘つかないよね?」グイグイ
八幡「由比ヶ浜……良い匂い…………じゃなくて近い」
結衣「あっ、ご、ごめん///」
八幡「……と、とりあえず後で連絡くれ」
結衣「う、うん……わかった///」
八幡「……何ださっきの。冷静になれ比企谷八幡、お前には甘い雰囲気は似合わない」
八幡「我! 空気! 也! 我! 孤高! 也! 我…一人なり!」
八幡「ふぅ……心の一方“影技、ぼっちの術”」
八幡「自己暗示終了……さて、いよいよラスボスだな」
八幡「うぃーす」ガラガラ
雪乃「あら? 誰かと思ったら……誰だったかしら?」
八幡「おい、誰かと思ったならせめてその誰かの名前を言えよ」
雪乃「ごめんなさい、それ以上近づくと警察を呼ぶわよ」
八幡「その”ごめんなさい”は謝罪の”ごめんなさい”じゃないだろ!?」
雪乃「その腐った魚の目は……もしかして比企谷くん?」
八幡「もしかしなくても俺だろ……」
雪乃「そうよね、そんな目をした人間がそう何人も居ても困るものね」
八幡「はいはい、そうですね」
雪乃「まぁ良いわ。紅茶淹れるけど飲むかしら?」
八幡「おう、頼む。……はぁ、雪ノ下を誘うのか。絶対罵倒されるだろ」
雪乃「比企谷くん、溜息なんてついて……私まで不幸になりそうだから止めてくれる?」
八幡「おい、少しはこっちの心配してくれ」
雪乃「私が比企谷くんの心配を? 私が? 比企谷くんの? 心配を?」
八幡「……もう良い。これ以上はライフが0になる」
雪乃「もともとそんな目をしている時点で0みたいなものじゃない」
八幡「おい、だから止めを刺すな。泣いちゃうだろ」
雪乃「はい、どうぞ。今日はいつもと違う葉を使っているの、心が落ち着くと思うわ」
八幡「……優しいんだか冷たいんだかわからん奴め」
雪乃「私は優しいわよ。駄目なものは駄目とはっきり教えてあげてるもの」
八幡「それじゃあまるで俺が駄目な奴みたいじゃないか」
雪乃「…………驚いた、あなた自分が駄目な人間だと言うことに気づいていなかったのかしら」
八幡「お前と会話しているとせっかくの紅茶を飲んでも心が落ち着かねぇよ」
雪乃「それって私と会話をするのが嬉しいからかしら?」
八幡「こんな会話で嬉しがってたらドMじゃねぇか」
雪乃「いいのよ? 嬉しいのなら感謝してくれても。ドMが谷くん」
八幡「ドMじゃねぇって。だから感謝もしない」
雪乃「感謝すら出来ないなんて……これだから比企谷くんは」
八幡「ところで雪ノ下。良かったら俺と――」
雪乃「ごめんなさい」
八幡「オウフ、速攻だったわー。全部言わせろよ、遊びに誘うくらい……まぁ良いけど」
雪乃「……遊びに? 比企谷くんと?」
八幡「ああ、2人っきりでって感じだったんだが」
雪乃「ふたっ……それって私とデートを?///」
八幡「まぁ男女2人で遊びに行くことをデートと定義するなら、そういうことになるな」
雪乃「あ……その…………ど、どこに行くつもりだったのかしら?」
八幡「ディスティニーランドのチケットを貰ったんでな。ディスティニーに」
雪乃「ディスティニーランド……パンダのパンさん……比企谷くんと……///」
八幡「チケット余るし、雪ノ下の分は小町とでも行くか」
雪乃「!? 比企谷くん、ちょっとそこに座りなさい」
八幡「は? 既に座っているが?」
雪乃「こほん。特別にディスティニーランドへ一緒に行ってあげるわ」キリッ
八幡「え? いや、さっき断られ――」
雪乃「勘違いしないで。あなたは荷物持ちだから」
八幡「なら俺が行かなくても良いだろ、葉山とか居るし」
雪乃「……………………はぁ」シュン
八幡「…………あー、雪ノ下。やっぱり……俺と行くか?」
雪乃「!? えっ……そうね……そ、その……い、一緒に行きましょう///」
八幡「そ、そうか」
雪乃「ええ……楽しみにしてるわね///」
八幡「……んん、ちょっと用事思い出したから教室に戻るわ」
雪乃「そ、そう。わかったわ、戻ってきたらまた紅茶を淹れてあげる」
八幡「おう。んじゃまた後でな」ガラガラ
雪乃「ふふっ、比企谷くんから誘ってくれるなんて、ね///」
八幡「何か奉仕部に行きづらくなってんだけど……どうなってんだ」
八幡「これで5人……ミッションコンプリート……はぁ……」
葉山「こんなところに居たんだね、ヒキタニくん。調子はどうだい?」
八幡「葉山……。とりあえず終わったよ、確認してもらっても構わないぜ?」
葉山「へぇ……もう終わったんだ。凄いね」
八幡「雪ノ下さんにも言っておけ。もうこういうのは止めてくれって」
葉山「ああ、それなら自分で言ったら良いと思うよ? 俺が言っても無駄だろうし、ほら」
八幡「ん? お前の携帯? 出ろってことか? ……もしもし」
陽乃『比企谷くん、ひゃっはろー』
八幡「雪ノ下さん……何か用ですか?」
陽乃『あれ~? ご機嫌斜めだね? どうしたのかな~?』
八幡「……いえ、別に。5人誘い終わりましたよ、もう良いですか?」
陽乃『おおー、もう終わったんだ。雪乃ちゃんも誘ってくれたかな?』
八幡「……ええ、一応は。一度は断られましたけど」
陽乃『あはは、雪乃ちゃんも相変わらずだねぇ』
八幡「それで……あの、もう良いですよね?」
陽乃『うん? ああ、ご褒美の話かな? 比企谷くんも欲張りだねぇ』
八幡「人の話聞いてもらえます? もう切って良いですか?」
陽乃『頑張った比企谷君には……何とっ!』
八幡「……何です?」
陽乃『じゃじゃーん! この陽乃さんとディスティニーランドにデート――』ピッ
八幡「……葉山、携帯返すわ」
葉山「……ああ。ん? 陽乃さんからメールだ。ヒキタニくん宛に……良くわからない内容だけど」
八幡「は? 用はもう終わっただろ。……内容は?」
葉山「えっと、『比企谷くん、今日何か失礼なこと言わなかった?』って」
八幡「!?」
葉山「何なんだろうね、陽乃さんはここには居ないのに……ってヒキタニくん?」
葉山「気が付いたらヒキタニくんが居なくなってる……」
八幡「怖い、さすが雪ノ下さん怖い」ガクガク
八幡「あのときの悪寒は勘違いじゃなかった……今日だけで精神削られまくったな」
八幡「はぁ……癒しが欲しい」
戸塚「八幡ー!」
八幡「天使!? いや、戸塚!? ど、どうした戸塚」
戸塚「うん、八幡を探してたんだ。八幡に聞きたいことがあったから」
八幡「俺に? 何でも聞いてくれ、好きなタイプはとつ……天使だ」
戸塚「天使? えっとね、葉山くんからディスティニーのチケット貰ったんだけど一緒に行かない?」
八幡「それってで、で、デート!? お、俺で良ければいくらでも行くぞ!」ドン
戸塚「ホント!? 良かった。八幡と遊びに行くの久しぶりだから楽しみだね」
八幡「ああ……本当に楽しみだ」ホッコリ
戸塚「それで八幡は何か乗りたいもの有る?」
八幡「それならここに先生から貰った雑誌が有るから一緒に見ようぜっ」
戸塚「あれ? でもこの記事って恋人特集みたいだけど……」
八幡「ああ……それで良いだろ? 何か問題でもあるのか?」
戸塚「まぁ、調べるだけなら同じだよね。それじゃあ何にしようか?」
八幡「葉山、今回は特別に許してやる。戸塚に感謝するんだな」
戸塚「八幡?」
八幡「いや、何でもない。俺は戸塚が乗りたいものが乗りたい」キリッ
小町「それで、ゴミいちゃん。小町に何か言いたいことは無いのかな?」
八幡「いえ、あの、その……」
小町「うん……何かな?」ニコニコ
八幡「でぃ、ディスティニーランドに遊びに行くことになりまして……」
小町「うんうん、それでそれで?」
八幡「………………」
小町「どうしたの、お兄ちゃん? 黙っているなんて小町的にポイント低いよ?」
八幡「お、おう……小町怒ってる? 激おこぷんぷん丸?」
小町「何を言っているのかな? 小町だけ誘われなかったことを怒っているとでも?」
八幡「あ、あはは……そうなんじゃないかなーって」
小町「あははー。それで小町に何か言いたいことは?」ギロッ
八幡「こ、小町も行くか? ディスティニーランド」
小町「お兄ちゃん?」
八幡「ごめんなさい。俺とディスティニーランドに遊びに行ってくださいっ」
小町「しょうがないなー、小町が特別に一緒に行ってあげる!」
八幡「ほっ……小町の機嫌が直って、お兄ちゃんは嬉しいです」
小町「あっ、もちろんいろいろお兄ちゃんの奢りだかんね?」
八幡「ダニィ!?」
小町「あれあれー? 何か問題があるのかな?」
八幡「あ、はい。問題ないです」
小町「うんうん、聞き分けの良いお兄ちゃんは小町的にポイント高いよ!」
八幡「そんな理由なら八幡的にポイント低いぞ……」
小町「あ、そだ。お兄ちゃん、デート頑張ってね。頑張って将来のお嫁さんゲットだよ!」
八幡「……よく考えたらこれからが地獄じゃねぇか。なんて日だっ!」
終わり