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一方通行「フラグ・・・ねェ」【1】
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2スレ目
一方通行「フラグ・・・・・・なのかァ?」  風斬「そうですよ!」【1】
一方通行「フラグ・・・・・・なのかァ?」  風斬「そうですよ!」【2】
一方通行「フラグ・・・・・・なのかァ?」  風斬「そうですよ!」【3】


681 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:07:49.60 ATF4xwAo 329/466


一方通行「ふゥン」

アンジェレネ「あ、えっと・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ササッ

一方通行「返事しただけだろォが・・・・・・」

アンジェレネ「ご、ごめんなさい・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くぁぁ、・・・・・・おはようございますー・・・・・・」



ルチア「シスター・アニェーゼ! 起床が遅すぎますよ!」

垣根「また何か出てきた・・・・・・」

アニェーゼ「うっさいですね、いいじゃないですか、まだ朝食も出ていないし。
      それより、何ですかこの騒ぎは」

アンジェレネ「き、今日は朝からお客さんが来てまして」

風斬「初めまして、風斬氷華です」ペコッ

アニェーゼ「あぁ、こりゃご丁寧にどうも。 アニェーゼ=サンクティスです」

神裂「ここにいるほとんどのシスターが彼女の部下なんですよ」

アニェーゼ「部下って言い方はどうかと思いますけどね」

一方通行「んン? オマエが履いてるその靴、もしかしてチョピンか?」

アニェーゼ「! へぇ、ご存知なんですか。 今でもこれを知っている人がいるとは」

682 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:09:12.87 ATF4xwAo 330/466


一方通行「ふン、修道女にもオシャレなヤツがいるンだな」

アニェーゼ「ほほう、わかりますか、わかりますかこのオシャレポイントが!
      あなた、顔立ちは怖いですがなかなか肥えた目を持ってるみてぇですね」ニヤリ

一方通行「十六世紀の中頃に流行った厚底靴だな、それを今時の人間が履くことは
     まず無ェンだが、何だ? オマエのこだわりか何かなのか?」

アニェーゼ「そうなんです、こだわりなんですよ! そこをわかる人間がなかなかいねぇんで
      もう半ば諦めかけてたんですよ。 いやぁ、今日は朝から運がいいですね私」

一方通行「見た感じ、そのチョピンは厚底の部分が着脱式になってンな。
     その日の気分によって外したり、模様違いの厚底に取り替えたりしてるってわけだ」

アニェーゼ「普段は寮内では外してるんですけど、今日は朝起きたとき、
      『何か良い事があるな』と思って黄色の厚底を装着してみたんです!」フンスッ

一方通行「黄色って・・・・・・、オマエそれ風水的な意味合いのモンだろ。
     いいのかよ、修道女がそンなンで」

アニェーゼ「細けぇ事はいいんですよ。 事実、こうして私のこだわりポイントを
      一発で見抜くような人に出会えた。 それだけで風水というのも
      案外バカにできねぇモンだと思えましたし」

683 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:10:41.46 ATF4xwAo 331/466


一方通行「修道服と厚底のミスマッチはどォかと思うがな。
     その修道服もアレンジしてるだろ? 魔術的な意味合いでもあンのか?」

アニェーゼ「えぇ。 そしてこの厚底と修道服という組み合わせがまたオツなんですよ。
      このチョピンも、十六世紀当時の規律に従った横幅に調節してまして・・・・・・」ペラペラ






ルチア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

アンジェレネ「・・・・・・し、シスター・アニェーゼ・・・・・・」

垣根「この二人、わずか五秒で意気投合しやがった」

エイワス「そういえば一方通行は、さりげにファッションに詳しかったりしたものな」

風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私もオシャレ、勉強しよう」ボソッ

神裂「?」

684 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:12:10.55 ATF4xwAo 332/466


垣根「お前ら二人もあのアニェーゼとかいうガキの部下なのか?」

アンジェレネ「は、はい・・・・・・そうです。 元アニェーゼ部隊です」

風斬「『元』?」

エイワス「『法の書』を巡った件で、アニェーゼ部隊は壊滅してしまったのだよ。
     そして『アドリア海の女王』の一件で、アニェーゼ部隊はローマ正教に追われる形になった。
     その時にイギリス清教の保護下に入ることになったアニェーゼ部隊が、ここにいるシスター達の事だろう」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」

ルチア「・・・・・・随分と詳しいのですね、ドラコ=アイワズ」

エイワス「なんとなく、そんな感じのことが起こったのだろう、と思っただけだ」ニヤ

垣根「まぁ法の書とかカリブ海の海賊がどうとか言われてもさっぱりだけどな」

アンジェレネ「あ、アドリア海の女王です・・・・・・」



「あの、ありがとうございました!」

「是非また、祈祷させてください、天使様」



ガブリエル「b,rhkotho人気者fjighi大変jfoergjog」フゥー

垣根「よぉ、サイン会は終わったのかよ」

風斬「なんて言ったって天使ですからね、こういう所に来ると人気者ですね」ニコッ

ガブリエル「kfogkrgk彼gjrgjdirg何処fniefh」キョロキョロ

エイワス「一方通行ならアニェーゼ=サンクティスと熱い議論を交わしているよ」

ガブリエル「pbnxcsdgoh畜生dfjdfuvnbn」ガクッ

685 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:13:22.35 ATF4xwAo 333/466


~三十分後~


オルソラ「皆さまー、朝ご飯の準備が整ったのでございますよー」

ルチア「わかりました。 さぁ皆さん、席についてください。
    ほらそこ、いい加減大天使様から離れてさしあげなさい!」

ガブリエル「fkorgiohj私mbvsdhk平気igcasdnkgn」ウェルカム

風斬「あ、配膳手伝いますよ」

オルソラ「しかし・・・・・・」

垣根「コイツはこういうヤツなんだよ、手伝わせてれ」

オルソラ「ではすみませんが、よろしくお願いしますね」

風斬「はい」

686 : 垣根「悪い、噛んだ。>>685は『手伝わせてやれ』だ」 ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:14:49.22 ATF4xwAo 334/466



―――――――――――――――


アニェーゼ「ほぉー、これはまた随分とスタイリッシュな杖ですね・・・・・・」ガシュ パシュン

一方通行「別にフォルムにゃこだわってねェンだけどな」

アニェーゼ「この伸縮機能は、攻撃用とかですか?」

一方通行「いや、戦闘の際は邪魔だから収められるよォにしてンだ」

アニェーゼ「邪魔? でもこれが無いと立っていられないって・・・・・・」

一方通行「俺が能力を使うときは、自立を能力で補うからいらねェンだよ」

アニェーゼ「能力・・・・・・。 あの忌々しいツンツン頭を思い出しちまいますね」

一方通行「ここにも関わってンのかよ、あの三下」

687 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:16:36.66 ATF4xwAo 335/466



ロンドンの朝。暖かな陽射しと小鳥がさえずる中、『必要悪の教会(ネセサリウス)』の女子寮は
朝食の時間となっていた。


オルソラとその他のシスター達が作ったパスタやサラダなどが、各席へと並べられていく。
手伝いを申し出た風斬も、他のシスター達に習ってパスタが盛られた皿を並べている。


長机の一つの一番端に座るのは、『天草式十字凄教』の女教皇にして、
『必要悪の教会』所属の魔術師、神裂火織。自家製の梅干が入った瓶の蓋を弄っている。

その左には元ローマ正教のシスターにして、元アニェーゼ部隊のリーダー、アニェーゼ=サンクティス。

アニェーゼの隣には一方通行(アクセラレータ)が座っている。アニェーゼが誘ったのだ。
どうやら気の合う人間と出会えたことがよっぽど嬉しかったらしい。
エイワスやミーシャ=クロイツェフなど、もっと奇妙な存在もいるというのに、あまり関心はないようだ。
修道女としてそれはどうかと思うが。


その一方通行の左隣には、元アニェーゼ部隊の一人、アンジェレネが座っている。
彼女は先にその席へ座っていたのだが、運悪く(?)一方通行がその隣の席へ座ってしまったのだ。
まだ一方通行が無意識に放つ禍々しい雰囲気に慣れていないようだ。


今更席を変えるのも何だか気まずいと思い、結局席を立つことが出来なかった彼女の顔は、どこか青ざめている。
チラチラと一方通行に視線を向けるのだが、一方通行がそれに気付きアンジェレネの方に向くと、
プイッと顔を逸らしてしまう始末だ。


そんなアンジェレネの隣には、同じく元アニェーゼ部隊のシスター、ルチアが座っている。
シスター達の中でも背が高い彼女は、何かと隣のアンジェレネに小言を言っているようだ。
ルチアの更に盛られたパスタは、普通の量よりも少なめになっていた。これが彼女の適量らしい。

688 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:18:24.89 ATF4xwAo 336/466



一方通行を含めた女子寮のメンバーの正面には、『天使同盟(アライアンス)』の一員がいる。


神裂火織の正面には、今日の朝食当番、元ローマ正教のシスター、オルソラ=アクィナスがいる。
『今日のアニェーゼさんはどこかイキイキとしているのでございますよー・・・・・・』など、
何か独り言をブツブツ呟いている。また寝ているのだろうかと神裂は浅くため息をついた。

アニェーゼの正面、オルソラの左には垣根帝督が座っていた。
なぜか一方通行とアニェーゼの方を見て、ニヤニヤと笑みを浮かべている。
周りにいる何人かのシスターがなぜか垣根の方に視線を向けているのだが、本人は気付いていない。

一方通行の向かい側には、風斬氷華が座っていた。
目の前の料理に目を輝かせながらも、たまに一方通行の方を見ては視線を下に向ける、
という行為を繰り返している。彼の様子が気になって仕方が無いという様子だ。

アンジェレネの向かい側には、エイワスが座っていた。
エイワスは何人かのシスターと談笑していた。『突然の来客』の中でも、異彩を放つ存在だ。
やはりシスター達も興味があるようで、中にはミーシャだけでなくエイワスにまで祈りを捧げている者もいた。

そしてルチアの向かい側の席には、最大最強のサプライズゲスト、本物の大天使、
ミーシャ=クロイツェフが君臨していた。

見た目の不気味さとは裏腹に、どこか可愛らしいその仕草に、天使としてだけではなく
無垢な子供のような存在としてすっかり馴染んでいるようだ。
目の前にいるルチアも最初こそ酔心しきっていたが、今は落ち着いたようだ。

689 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:19:43.06 ATF4xwAo 337/466



「では皆さん、食事の前の祈りを捧げましょう」


神裂がそう言うと、途端に寮内が静寂に包まれた。
エイワス以外の『天使同盟』は何が起きたのか理解出来ていないようだ。


「オイ、なンだよこりゃ?」


一方通行が隣にいるアンジェレネに問いかけると、彼女はビクッ!と身体を震わせて、


「わ、私達の寮では、食事の前に祈りを捧げるんです・・・・・・」


と、身体をびくびくと震わせながらも答えてくれた。
一方通行とアンジェレネの間で、初めて会話が成立した瞬間だった。

690 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:21:27.37 ATF4xwAo 338/466


アニェーゼ「(適当にそれっぽくやっとけばいいんですよ、こういうのは)」ボソッ

一方通行「(オマエ本当にシスターなのかよ・・・・・・)」ヒソヒソ

垣根(こういうの見ると異境の地って感じがするなぁやっぱ)

風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」シーン

エイワス「おお、我が救世主(メシア)よ、我の思いのままに云々・・・・・・(適当)」

ガブリエル「――――――――――」


―――――――――――――――


神裂「では皆さん、いただきましょう」


「「「いただきまーす」」」


風斬「! うん、すっごく美味しい!」モグモグ

一方通行「まァ、悪くね――」

エイワス「悪くねェ、か。 ふふ、テンプレだなぁそれは」

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ムカッ

垣根「手作りでこの味は大したモンだな。 俺らの料理はインチキばっかだからな」

ガブリエル「lgperghkerph美味jfigjirhin」ズルルルルルルルルルルルルルルル モッチャモッチャ

ルチア「インチキ、とは?」モクモク

691 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:24:04.42 ATF4xwAo 339/466


エイワス「私の炊飯器調理法をインチキだとでも言うつもりか、垣根帝督」

アンジェレネ「す、炊飯器調理法・・・・・・?」

神裂「炊飯器での調理というと・・・・・・、炊き込みご飯とかでしょうか?」

風斬「あ、私達、炊飯器があれば大抵の料理は作れちゃうんですよ」

オルソラ「まぁ、それは興味深いのでございます」パチッ

神裂「オルソラ、あなた寝ていたでしょう・・・・・・」

ルチア「大抵の料理って・・・・・・、例えばこのパスタなども?」

エイワス「パスタなんかは初歩中の初歩だな。 私は炊飯器で揚げ物も作れるぞ」

アンジェレネ「えぇっ!? そんなのどうやって・・・・・・」

神裂「揚げ物って・・・・・・構造的に不可能なのでは・・・・・・」

一方通行「・・・・・・あのパーキングエリア陥落事件でマスターしたのか、オマエら」

風斬「そ、そうです。 あの時は必死だったから無我夢中だったんですけど、
   いつの間にか扱いこなせるようになってて・・・・・・」

オルソラ「聞いたことがない調理法でございますわね」

アニェーゼ「それも、科学が発達した学園都市だからこそ成せる業なんですか?」

垣根「普通の人間にゃ出来ねえよあんなの」

エイワス「何を言う、"ヨミカワ神"は人間である身ながらこの調理法を確立させたのだぞ」

一方通行「オマエの中で黄泉川は神と同列の存在になってンのかよ
     つかオマエにとっちゃ神はちっぽけな存在じゃなかったか?」

692 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:26:32.70 ATF4xwAo 340/466


オルソラ「その調理法、私などでも出来るのでございましょうか・・・・・・?」ワクワク

エイワス「コツさえ掴めば誰でも出来るのが炊飯器調理法の素晴らしいところだ。
     どれ、『必要悪の教会』にもこの業を広めてしまおうか」

オルソラ「是非ともお願いします、感謝するのでございますよ」パァァ

一方通行「あァ・・・・・・。 また一つ、魔術組織がヤツの手に堕ちたか・・・・・・」

アニェーゼ「貴方達は、この教えを広めるために世界を回って旅してんですか?」

一方通行「ンなわけねェだろ。 俺達は迷子になったンだよ」

アニェーゼ「迷子? あの時のサーシャみたいなギャグですかそれ?」

風斬「サーシャ?」

ルチア「十月に入った頃でしょうか、サーシャ=クロイツェフというロシア成教の修道女が
    ここに訪問してきたのです。 後の世界大戦の話で」

一方通行「なンだと?」

風斬「わ、私達もその、サーシャさんに会うために学園都市を出たんです!」

神裂「そうだったんですか? しかしなぜあなた方が彼女と・・・・・・」

一方通行「オマエなら予想つくだろ。 英国女王に会ったときは大した情報を得られなかったンだ」

ルチア「! あなた達、英国女王と謁見を?」

垣根「俺は知らねえけどな」

一方通行「バッキンガム宮殿に行って、女王や三馬鹿姉妹、護衛のオッサン二人と
     喋ってメシ食って風呂入って帰っただけだもンなァ、ありゃ」

ルチア「な、何をやっているのですかあなた達は・・・・・・」

693 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:32:45.00 ATF4xwAo 341/466


アニェーゼ「そりゃまた随分と楽しそうなことをしてるじゃねぇですか」

風斬「ヴィリアンさんとのロンドン巡りは楽しかったですよね、天使さん」

ガブリエル「gkvsdgbm堪能kgerhkoj」ガツガツ

アンジェレネ「あ、あの・・・・・・それ私のパスタ・・・・・・」

一方通行「おいガブリエル。 他人の分までメシ食ってンじゃねェよ。
     食い意地だけはいっちょ前なンだからよオマエは」

ガブリエル「kgvvgonjp失敬xsa bnlyyjk」

ルチア「あなたもですよ、シスター・アンジェレネ。
    例の如くお皿一杯にパスタを盛って・・・・・・」

垣根「つか、何でお前だけパフェとかアイスクリームとかがあんだよ。
   ガキだから優遇されてんのか?」

アンジェレネ「ぎくっ。 こ、これはですね・・・・・・」

ルチア「パフェ・・・・・・? あ、シスター・アンジェレネ!!
    あなた、そこに隠している物を出しなさい!」

アンジェレネ「あぁっ・・・・・・、い、いいじゃないですか~・・・・・・」アワアワ

一方通行「何も取り上げる事ァねェだろ」

ルチア「いいえ、なりません。 常に節制を心がけることが
    立派な修道女になるための第一歩なのです」

一方通行「はっ、厳しいなァ。 これじゃ修道女ってより小言が絶えねェ姑だぜ」ケラケラ

ルチア「むっ」ギロリ

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぷぷっ」

694 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:34:05.24 ATF4xwAo 342/466


ルチア「し、シスター・アンジェレネ! あなた今、私を笑いましたね!?」

垣根「鬼姑か、違いねえや」ハハ

ルチア「ぬぐぐぐぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ゴゴゴ

神裂「・・・・・・あの、話題を戻してもよろしいでしょうか?」

一方通行「あ? なンの話してたンだっけか」

風斬「何でサーシャさんに会いに行くのかって話ですよ!」

垣根「俺もよく分かってねえんだけど、何でロシアまで行くんだっけ?」

神裂「大丈夫なんですかあなた達・・・・・・」

一方通行「えェーと、あれだよ。 そォ、星の欠片について聞きに行くのと、
     なンとかしてガブリエルの言葉を翻訳出来ねェかを探りに行く」

神裂「星の欠片・・・・・・?」

一方通行「そォだよな? エイワス」




エイワス「うむ、そして炊飯器に少量の油を加えるのだ。 ここが難しい、
     僅かでも分量を間違えれば、死が待っている」

オルソラ「ふむふむ・・・・・・、命がけの調理法なのでございますねー・・・・・・」メモメモ




一方通行「ちっ、聞いちゃいねェ」

垣根「何人かのシスターもちゃっかりお料理講座に混じってやがる」

695 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:38:17.21 ATF4xwAo 343/466


アニェーゼ「その、星の欠片ってのは一体何なんですか?」

一方通行「ベツレヘムの星って知ってるか?」

神裂「・・・・・・!」

ルチア「第三次世界大戦で用いられた、空中移動要塞の名称ですね」

一方通行「話が早くて助かる。 その星の欠片を探してンだ」

アニェーゼ「ベツレヘムの星は崩落したと聞いてますが、まさかその瓦礫を探してんですか?」

一方通行「あァ、その欠片の一つにガブリエルの召喚に用いられた儀式場が残ってるはずなンだ」

神裂「儀式場・・・・・・。 恐らく、ベツレヘムの星の右方に当たる部分の事ですね」

垣根「右方?」

神裂「中央に本体を象徴する『城』が置かれていまして、そこから四方に長い架け橋が渡っているんです。
   進行方向が『前方』だと仮定した場合、『右方』の部分だけが突出して長いんです」

一方通行「そこにある儀式場で、ガブリエルは召喚されたってか?」

神裂「私はそう聞いています」

垣根「魔術サイドにも空中移動要塞なんてモンがあんのかよ?」

ルチア「ベツレヘムの星は大戦時、ロシア成教の魔術師二百人の魔力によって制御されていました。
    科学的な要素はあのベツレヘムの星にはありません」

垣根「はぁー、科学サイドもトチ狂ってるが、魔術サイドも大概だな」

一方通行「バッキンガム宮殿に行ったとき、儀式場が残っている星の欠片は
     今も空中を彷徨ってるって結論が出た」

神裂「な、なんですって!」ガビーン

696 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:40:15.71 ATF4xwAo 344/466


ルチア「・・・・・・ベツレヘムの星は完全に崩落したと聞いてます。
    そんなことがあり得るはずが・・・・・・」

アニェーゼ「ベツレヘムの星を浮遊させるために施された魔術の効果が、
      まだ残ってるってんですか?」

一方通行「恐らくな。 ガブリエルが時々空を見上げてボーっとしてる時があるンだ。
     ていうかガブリエルがまだこの世に存在し続けてるって時点で確定的なンだよ」

神裂「なるほど・・・・・・」

風斬「しかも、その星の欠片に迷彩術式? みたいなのを使って、
   視認できないように誰かがしているみたいなんです」

ルチア「? そ、それは何のために?」

一方通行「それが分かりゃ俺達は旅なンざしてねェよ」

垣根「それでロシアへ行って情報を掴もうってわけか、ようやく把握したぜ」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

神裂「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・事情はわかりました。 ただ・・・・・・」

風斬「?」

神裂「我々『必要悪の教会(ネセサリウス)』が、援助をすることは出来そうにもありません」

一方通行「・・・・・・、ま、そォだろォな」

神裂「分かってて・・・・・・話したんですか?」

一方通行「別に隠すことでもねェし、だろ?」

風斬「はい、そうですね」

697 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:41:28.78 ATF4xwAo 345/466


ルチア「・・・・・・呑気な集団だと思っていましたが、あなた達は世界に影響するかも知れない
    ような行動を起こしていたのですね」

垣根「んな大袈裟な話かぁ?」

神裂「天使に関することで行動を起こすと、どうしても様々な魔術組織と関わらなくては
   ならないでしょう? 世界には数多くの魔術組織が存在します」

ルチア「それを科学サイドの頂点、学園都市の人間が調査しているだなんて・・・・・・
    否定するつもりはありませんが、前代未聞です」

一方通行「『天使同盟』の存在も、だんだん気付かれ始めてるみてェだしな」

アニェーゼ「私達にバラしちまってよかったんですか?」

風斬「エイワスさんがここに案内してきた時点で、問題は無いんだと思います」

垣根「よくわかんねぇけど、『天使同盟』とイギリス清教って、
   一時的に協定を結んでるらしいからな」

神裂「は?」

一方通行「なンでも、イギリス清教のトップ様と話しつけてきたンだとよ。
     あそこで炊飯器調理法をレクチャーしてるバカが」

ルチア「な・・・・・・な・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」

アニェーゼ「・・・・・・こいつはまた、とんでもねぇお客人が来ちまってたみてぇですね」

一方通行「まァ俺はそンなンどォでもいいンだけどな。
     嘘か本当かはそのトップ様に確認でもしてみりゃいいんじゃねェのか?」

風斬「それ、ステイルさんがやってくれてるはずですよ?」

神裂「す、ステイル!? ステイル=マグヌスの事ですか?!」

698 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:42:57.14 ATF4xwAo 346/466


一方通行「ンだァ? 知り合いなのかよ?」

神裂「そ、そりゃあ彼も『必要悪の教会』の魔術師ですから」

垣根「あぁ、そういやそんなこと言ってたな」

神裂「ステイルは学園都市に来たんですか?」

風斬「は、はい。 何でも天使さんをイギリス清教に引き込むよう
   えっと・・・・・・何でしたっけ、ローラ? って人に頼まれて来たそうなんです」

ルチア「」

アンジェレネ「」

アニェーゼ「」

神裂「・・・・・・き、聞いてませんよそんな話は・・・・・・」

垣根「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺達さ、もしかして余計なこと喋りまくってねえ?」

風斬「ま、まずかったでしょうか・・・・・・?」

一方通行「知らねェよ。 明日は明日の風が吹く、ってなァ」

ルチア「そ、そんな悠長な・・・・・・」

アニェーゼ「とりあえず、貴方達『天使同盟』ってのがイギリス清教と
      太いパイプで繋がっちまってるようなトンデモ組織だってのはわかりました」

一方通行「だァから組織じゃねェっつうの」

神裂「・・・・・・開いた口がふさがらないというのは、こういう事を言うんでしょうね」

699 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:45:00.79 ATF4xwAo 347/466


一方通行「俺達の自己紹介はこンなモンでいいか?」

ルチア「えぇ・・・・・・。 十分に理解しました」

垣根「で、どうするんだよ? 俺達を危険分子とみなして、ここで消しちゃうか?」ニヤッ

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ビクッ

一方通行「やめろクソボケ。 俺達ァそンな事しに来たンじゃねェだろォが」

アニェーゼ「そういや気になってたんですが、何しに来たんですか? ここに」

風斬「えっと・・・・・・、」

一方通行「・・・・・・。 特に用はないな」

ルチア「」ガッターン

アンジェレネ「し、シスター・ルチア!?」

垣根「おいおい、今時ズッコケなんてリアクションするやついたのかよ・・・・・・」

風斬「エイワスさんが、ここに挨拶しておきたいと言ったので来たんです」

一方通行「わざわざメシまでご馳走になっちまってなァ」

神裂「あ、いえ、それはいいんですけど・・・・・・」

垣根「あん? ちょっと待てよお姉さん。 それ、梅干か?」

神裂「え? はい、そうです。 自家製の梅干なんですよ」

一方通行「自家製? 凝ってンなァ」

700 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:46:48.48 ATF4xwAo 348/466


ルチア「そ、そういえばあなた達は日本人ですから、ウーメボシとは馴染みが深いのですね」

風斬「ウーメボシ?」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ガタガタ

一方通行「なンかチビシスターが露骨に震えてンですけど」

アニェーゼ「あぁ、シスター・アンジェレネは梅干が大の苦手なんですよ。
      前に一度、梅干一粒をそのまま口に放り込んじまってノックダウンしてんです」

風斬「それはさぞ酸っぱい思いをしましたね・・・・・・」クスッ

一方通行「梅干ってのはなァ、基本的にそのまま食うモンじゃねェンだよ。
     まァそのまま食ってもいいし、そういう菓子も日本じゃ売られてンだけどよォ」

アニェーゼ「パスタに梅干ってのはアリなんですかね?」

一方通行「そォいうのもあるなァ。 和風パスタっつって」

アニェーゼ「やっぱ私の食べ方は間違いじゃなかったんですね」ニタリ

一方通行「あとはまァ・・・・・・、おいチビシスター。 そのサラダちょっと貸せ」

アンジェレネ「え、あ、はい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」オズオズ

一方通行「おーいエイワス、ナイフとか持ってねェか?」



エイワス「ん? ナイフエッジデスマッチでも始めるつもりか?」



一方通行「違ェよ、いいから持ってンなら貸せ」

エイワス「気を付けろよ」スッ

神裂「持ってるんですか・・・・・・」

701 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:48:12.73 ATF4xwAo 349/466


一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」カチッ スパスパッ

ルチア「おぉ・・・・・・、ウーメボシが鮮やかに細切れになっていく・・・・・・」

垣根「能力の無駄遣いにも程があるだろ」

一方通行「うるせェ。 ・・・・・・ンで、こうしてサラダに和える」サッ サッ

アニェーゼ「サラダに梅干って合うんですか?」

一方通行「おら、手軽で簡単『和風サラダの梅干和え』だ」トン

アンジェレネ「えー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

神裂「多分美味しいですよ、食べてみてはどうです?」

アンジェレネ「うぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」プルプル

垣根「マジで小動物みてえだなこのガキ」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、むぐ」パクッ

風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうですか?」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、美味しい・・・・・・」ボソッ

ルチア「おぉ、アンジェレネが野菜とウーメボシを同時に克服しました」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」パクッ ムグムグ

一方通行「だろ? 何でも調理次第なンだよ」

垣根「お母さん・・・・・・」

一方通行「誰がお母さんだ」

702 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:50:04.02 ATF4xwAo 350/466


ルチア「あ、あの・・・・・・」

一方通行「あン?」

ルチア「よろしければ、私にも振舞ってもらえないでしょうか?」

アニェーゼ「あ、そんじゃ私も頂いちゃいましょうかね」

一方通行「自分でやれよ自分で・・・・・・」カチッ スパスパッ

アンジェレネ「さ、サラダに梅干というのもあるんですね」

一方通行「割りとメジャーだと思うがな。 茹でた鶏肉を裂いて野菜と梅肉を和えたり、
     ごぼうや大根、白ごまなンかとも相性が良いな。 生野菜だけなら酢も加えるといい」

風斬「お母さん・・・・・・」

一方通行「誰がお母さんだ誰が!」

神裂「一方通行は料理に詳しいんですか?」

垣根「そのツラで」ボソッ

一方通行「別に詳しいってワケじゃねェンだけどな。 あと垣根、オマエあとで殺す」

アンジェレネ「あ、あの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一方通行「なンだよ」

アンジェレネ「あ、ありがとう・・・・・・ございます・・・・・・」ボソボソ

一方通行「・・・・・・。 別に礼を言われるよォな事じゃねェだろ」チッ

風斬「ね? 一方通行さん、こう見えても優しい人なんですよ」ニコッ

一方通行「風斬ィ、余計な事は言うンじゃねェ」

704 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 12:59:03.21 ATF4xwAo 351/466




                          【次回予告】



『え!? い、一体どういう・・・・・・』
―――――――――――元ローマ正教のシスター・ルチア




『熱量、電気量、運動量、光、等々、ベクトルがありゃ俺に操れねェモンはねェ』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)




『じゃ、じゃあ第二位ってあくせらよりはショボい能力なんじゃ・・・・・・』
―――――――――――元ローマ正教のシスター・アンジェレネ




『梅干を口にぶち込まれてえかクソガキ』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・垣根帝督

705 : ◆3dKAx7itpI - 2010/11/30 13:00:26.14 ATF4xwAo 352/466






『だって、一方通行さんとお話をするの、とても楽しいんですもの
 少なくとも私は、あなたとの会話が楽しくてしょうがないのでございます』
―――――――――――元・ローマ正教のシスター・オルソラ=アクィナス




742 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/01 23:51:19.94 4U.GTYYo 353/466


垣根「そうそう、こんな悪人面でもアマちゃんだからなコイツは」ケケケ

一方通行「殺して欲しくてしょォがねェみてェだなァ、メルヘン君?」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」チラッ

一方通行「いちいち顔を確認すンな!」

アンジェレネ「ひぃぃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱ怖い・・・・・・」ビクッ

アニェーゼ「貴方の能力は、こうやって梅干を鮮やかに切れる能力なんですか?」

一方通行「そンな限定的な能力で第一位張れると思ってンのか?」

神裂「一方通行(アクセラレータ)という名は知っていたのですが、能力の詳細までは
   知りませんね。 どういった能力なんですか?」

一方通行「言ったって理解出来ねェと思うンだけどな。 フルンティングのオッサンや
     ウィリアムのヤツもあンま分かってなかったし」

垣根「この世のありとあらゆるものを拒絶する根暗能力だよ」

一方通行「てめェブッ殺・・・・・・と言いてェが、あながち間違いじゃねェな」

ルチア「根暗? どういうことなのです?」

一方通行「あァー・・・・・・、この世に存在するベクトルを自由に操れるってモンだ」

アニェーゼ「ベクトル・・・・・・? 方向・・・・・・向きの事ですか?」

一方通行「そォそォ、くっだらねェ能力だよ。 例えば・・・・・・、あそこ見とけ」

ルチア「? 食後に積まれたお皿があるだけですが」

一方通行「・・・・・・」カチッ トン


      カチャン   カチャカチャカチャカチャ

743 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/01 23:53:00.42 4U.GTYYo 354/466


アンジェレネ「!!!」

ルチア「え!? い、一体どういう・・・・・・」

アニェーゼ「適当に積まれてた皿が、キレーに並べられてますね・・・・・・」

神裂「指で机を叩いた衝撃のベクトルを、あの皿のところまで伝えたということですか?」

一方通行「簡単に言えばそォいうこった」

垣根「なんでお前は能力使ってやることがいちいち主婦なんだよ」

風斬「遠くにいるシスターさん達も何が起こってるのかわからないって顔してますね・・・・・・」

一方通行「熱量、電気量、運動量、光、等々、ベクトルがありゃ俺に操れねェモンはねェ」

エイワス(君の能力の本質はそんなものじゃないのだがね。
     『ベクトル変換』も『反射』もただのオマケに過ぎないよ)

アニェーゼ「それ、魔術も操れたりするんです?」

一方通行「『反射』は厳しいな。 せいぜい逸らす程度だ。
     威力が天使レベルのモンになるとヤバい、死ぬ」

ルチア「なんとも奇怪な・・・・・・」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ブルブル

風斬「だ、大丈夫だよアンジェレネさん。 人に向けて使うことはないから」

一方通行「時と場合によるけどなァ?」ニヤァ

風斬「一方通行さん、めっ!」

一方通行「ぐ・・・・・・」シュン

744 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/01 23:54:03.18 4U.GTYYo 355/466


ルチア「あなたも能力者だという話ですが、一体どのような能力を?」

垣根「あん? 俺か?」

神裂「第二位と言っていましたね」

アニェーゼ「第二位? 序列が決まってんですか」

風斬「一方通行さんは第一位です」

アンジェレネ「じゃ、じゃあ第二位ってあくせらよりはショボい能力なんじゃ・・・・・・」ボソボソ

垣根「梅干を口にぶち込まれてえかクソガキ」

アンジェレネ「じょ、冗談ですっ」

一方通行「コイツのはアレだ、メルヘンチックな世界に浸れる能力(笑)」

垣根「そのメルヘンチックに血ヘド吐かされたのはどこのモヤシだったっけなぁ?」

神裂「メルヘンチック・・・・・・?」

745 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/01 23:55:25.75 4U.GTYYo 356/466


神裂「メルヘンチック・・・・・・?」

垣根「見せたほうが早えな。 そんなホイホイ見せるようなモンでもねえんだけど」ガタッ

ルチア「・・・・・・? (なぜ立ち上がる必要が・・・・・・)」


           ブワッ    バッサァ


神裂「おぉ・・・・・・!」

ルチア「これはまた・・・・・・」

アンジェレネ「て、天使の羽・・・・・・?」

垣根「どうだ? スゲーだろ?」

一方通行「結局自慢してンじゃねェか」

746 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/01 23:56:45.53 4U.GTYYo 357/466


アニェーゼ「確かにこいつはメルヘンチックですねぇ」

垣根「メルヘン言うなってんだ」

神裂「・・・・・・で、これがどういう結果をもたらすのですか?」

垣根「『未元物質(ダークマター)』っつってな。 詳細はめんどくせえから省くが、
   俺はこの世の物理法則を塗り替えることが出来るんだ」

一方通行「省略し過ぎだろ」

ルチア「不可思議にもほどがあります・・・・・・」

アニェーゼ「なぜ天使の翼の形状なんです? こう言っちゃなんですが、似合ってませんよ」

垣根「心配するな、自覚はある。 俺の意思でこうなってるワケじゃねえんだよ」

747 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/01 23:58:15.96 4U.GTYYo 358/466



「あ、あの!」


垣根「あ? 何だよ」

「い、祈りを捧げてもよろしいでしょうか?」

垣根「おい待て! 俺は天使じゃねえ、人間だ!」

風斬「まぁ、あんな翼を生やしちゃ仕方ないですよね・・・・・・」アハハ

一方通行「ふン、ざまァみろ」

神裂「『未元物質』・・・・・・、なるほど。 あなたの能力にも名前があるんですよね?」

一方通行「だから『一方通行(アクセラレータ)』だって言ってンだろ」

神裂「え? では、あなた自身のお名前は・・・・・・?」

一方通行「・・・・・・一方通行(アクセラレータ)」

神裂「?」

748 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/01 23:59:57.43 4U.GTYYo 359/466


アニェーゼ「ボケてんですか?」

一方通行「ボケじゃねェよ! 昔っからこォ名乗ってンだからしょォがねェだろ」

ルチア「なぜ本名を名乗らないのですか?」

一方通行「・・・・・・ガキの頃から実験漬けだったからなァ、この名前の方が馴染みがあンだよ」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

神裂「・・・・・・何だか、申し訳ないことを聞いてしまいましたね」

一方通行「構わねェよ、慣れてるからな」

アニェーゼ「じゃあ、自分の名前は覚えてないんですか」

一方通行「ありきたりな名前だよ。 苗字は二文字、名前は三文字の
     日本人の中じゃ珍しくもねェ名前だ」

アニェーゼ「気になりますね、教えてくださいよ」

一方通行「やなこった。 なンでオマエらなンかに」

751 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:04:06.67 aeTYAbUo 360/466


神裂「まぁ、人にはそれぞれ事情がありますもんね」

一方通行「そォいうこった。 もォこの話はオシマイだ」

アニェーゼ「私たちは名乗ったってのに。 名乗らないってんなら、
      それ相応の代価を頂いちまいましょうかね」

一方通行「なンでそォなンだよクソシスターが」



オルソラ「皆さまー、そろそろ朝ご飯の時間は終わりなのでございますよー」



アニェーゼ「ちょうどいいです、シスター・ルチア、アンジェレネ、
      一方通行に皿洗いを手伝わせちまいましょう」

一方通行「誰がするかそンなこと!」

752 : 大変失礼しました・・・・・・ ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:05:13.26 aeTYAbUo 361/466

――『必要悪の教会(ネセサリウス)』の女子寮・キッチン


一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ジャー カチャカチャ

オルソラ「結局、手伝ってくださるのでございますね」

一方通行「うっせェよ・・・・・・」

オルソラ「それにしてもあのドラコという方、とても知識豊富なのでございますねー。
     おかげで私、ものすごく効率的なお料理の方法を学ぶことが出来ました」

一方通行「そォか」

オルソラ「"ヨミカワ神"が発案した炊飯器調理法。 科学とは素晴らしい発達を
     しているのでございますね」

一方通行(黄泉川ァ・・・・・・、オマエ、魔術サイドで神に昇格してンぞ)

オルソラ「それで、あなた達は今後、どうするおつもりなのでございますか?」

753 : 大変失礼しました・・・・・・ ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:06:25.33 aeTYAbUo 362/466


一方通行「個人的にはここからとっとと出ていきてェとこなンだがな。
     一応ロシアっつゥ目的地もあるし」

オルソラ「あ、それなのでございますが・・・・・・今のロシアの状況はご存知で?」

一方通行「なンかあったのか」

オルソラ「いえ、ただ第三次世界大戦が終結してからまだあまり経ってないので、
     なんでも、厳しい警備体制が敷かれているらしいのでございます」

一方通行「もしかして、入国も厳しい状況なのか?」

オルソラ「そう聞いているのでございます。 物資輸送便以外の飛行機は
     飛んでいないのだとか」

一方通行「ちっ・・・・・・、めンどォな事になってンな。 どの道、俺らに
     空から入国って手段は消えてンだけどよ」

オルソラ「?」

一方通行「なンでもねェ」

754 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:08:51.33 aeTYAbUo 363/466


オルソラ「私たちは、あなた達がここに居続けても問題はございませんが」

一方通行「出発の目処が立つまで、か?」

オルソラ「えぇ。 あなた達のお話はきちんと聞いておりました。
     重大な使命を背負っているのでございますね」

一方通行「だから、ンな大袈裟なモンじゃねェって」

オルソラ「イギリス清教と協定を結んでると聞いてたときはさすがに驚きましたが・・・・・・」

一方通行「驚いているよォには見えねェンだが」

オルソラ「私達に何か出来ることがあれば、何でも言っていただいて構いませんので
     ございますよ。 微力ながら、支援させていただくのでございます」

一方通行「それがオマエら、イギリス清教のモットーか」

オルソラ「イギリス清教でなくとも、困っている人に手を差し延べるのが
     シスターとしての務めでございます」ニコッ

一方通行「困っている人・・・・・・ねェ。 困ってるっつゥよりは
     うンざりしてるって言い方のが正しい気もすンだがな」

オルソラ「うんざりしているようには見えないのですが?」

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・てめェ」

オルソラ「うふふ」ニコッ

一方通行「・・・・・・、ま、目処が立つまではここに居ることになるかもしれねェ」

オルソラ「えぇ、どうぞどうぞ。 他のシスター達も喜びますし、私も嬉しいのでございます」

一方通行「なンで?」

オルソラ「だって、一方通行さんとお話をするの、とても楽しいんですもの。
     少なくとも私は、あなたとの会話が楽しくてしょうがないのでございます」

755 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:10:42.87 aeTYAbUo 364/466



―――――――――――――――


アニェーゼ「・・・・・・、で、そこで私が蓮の杖(ロータスワンド)ですっこーん! と、
      強烈な一撃を叩き込んで! 戦いは終結したっつーわけなんですよ」

垣根「別にその『法の書』を巡る戦い自体は疑わねえけどよ、どうもウソくせえな。
   今の話の通りだと、その上条とかいうヤツも、ステイルも、天草式なんたらかんたらの
   メンバー全員も、お前が一人で叩きのめしてんじゃねえか」

アニェーゼ「そうですよ?」

ルチア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シスター・アニェーゼ」ジロッ

アニェーゼ「な、何も間違っちゃいねぇじゃねぇですか!」

垣根「お前みてえなちんちくりんに、そこまでの武勇伝が築けるとは思えねえんだがなぁ?」

アニェーゼ「誰がちんちくりんですか、このホストかぶれが・・・・・・」

風斬「あれ? アンジェレネさんは?」

756 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:12:29.41 aeTYAbUo 365/466





アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ジー




垣根「何やってんだあのチビ?」

アニェーゼ「さっきからずーっと、キッチンの方を覗いてますね」

ルチア「恐らく、一方通行を見ているのでしょう」

垣根「ほう・・・・・・?」

ルチア「異教徒とはいえ、いつまでも人に対してあの怯えようでは失礼です。
    きっと、一方通行に慣れようと努力しているのですよ」

風斬「な、なるほどっ。 そういう事ですか」アセアセ

垣根「おい、俺らはお前らと手ぇ組んだんだから異教徒じゃねえだろ」

757 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:13:51.19 aeTYAbUo 366/466






「おい。 私の朝飯、まだ残ってる?」




758 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:14:51.12 aeTYAbUo 367/466


神裂「シェリー。 あなた、また彫刻に夢中になってたんですか?
   今何時だと思ってるんです」


風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!! え・・・・・・!?」


シェリー「いや、今日は普通に寝過ごした。 今まで寝てなかった分を取り返そうと思ってね。
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ? なんだ、随分と賑やかじゃねぇか」

垣根「また何か出てきたぞ。 挑発的な格好してんなぁあの姉ちゃんも。 薄いネグリジェときたか」

ルチア「シェリー=クロムウェル! 客人の前でなんて格好をしているのですか!」

シェリー「客人? んなモンが来てるなんて知らなかったんだからしょうがねぇだろ。
     それにしても珍しいわね、こんな所に客人だなんて」

風斬「あ・・・・・・」

垣根「ん? どうしたんだよ風斬」

神裂「?」

シェリー「んん・・・・・・? ・・・・・・あれ、お前、虚数学区の・・・・・・?」

アニェーゼ「うん? 知り合いなんですか?」

風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

シェリー「知り合いってわけでもねぇけどよ。 何でお前がこんなところにいるの?」

風斬「あ、え、えっと・・・・・・」

垣根「・・・・・・、なるほど。 穏やかな間柄ってわけじゃねえみてえだな」

759 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:16:08.63 aeTYAbUo 368/466


シェリー「そういう事よ。 って、男じゃねぇかお前。
     ここって男子禁制とかじゃなかったの?」

神裂「いいえ、そんな決まりはなかったと思いますよ。 こちらは垣根帝督。
   そしてこの方は――」

シェリー「あれだ、えーと・・・・・・かざ、かぜ・・・・・・。 あぁ、やっぱ覚えられねぇな」

風斬「・・・・・・風斬。 風斬氷華です」

シェリー「そうそう、風斬。 久しぶりだな」

風斬「・・・・・・はい。 あの時はどうも」

アニェーゼ「(・・・・・・シスター・ルチア。 何ですかこの重苦しい空気は)」ボソボソ

ルチア「(わ、私に聞かれても困ります)」ヒソヒソ

シェリー「ちっ、そう警戒しないでよね。 もうお前をどうこうする気は無ぇんだしよ」

風斬「あ、す、すみません・・・・・・」

760 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:17:02.92 aeTYAbUo 369/466


シェリー「・・・・・・ふーん」ジー

風斬「?」

シェリー「で、朝飯は?」

神裂「で、じゃないでしょう! まだ残っているかもしれませんから、
   自分でキッチンへ取りに行ってはどうですか!」

シェリー「はいはい。 わかりましたよ」タッ

垣根「俺のことはスルー?」

シェリー「お前も学園都市の人間か? まぁその辺は・・・・・・」チラッ

風斬「え?」

シェリー「"かぜきり"に聞くとしよう。 そこで一緒に飯食おうよ」

垣根「俺に直接聞けよ! ムカつく女だなコイツ」

761 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:18:05.27 aeTYAbUo 370/466


風斬「あ、私はもう食事は頂いちゃってて・・・・・・」

シェリー「どうせ出されたモンしか食ってないんでしょ? いいのがあるんだ」

ルチア「・・・・・・献立以外の食物は口にしないでいただきたいのですが」

シェリー「相変わらず細けぇなぁルチアは。 鬼姑一直線じゃない」

垣根「あ、やっぱそうだよな」ハハハ

ルチア「誰が鬼姑ですかっ!!」ギロッ

垣根「今のは俺じゃねえだろ!?」ビクッ

シェリー「ほら、来いよ。 遠慮なんかしねぇでいいからさ」

風斬「あ、はい・・・・・・じゃあ」ガタッ

垣根「おい風斬」

風斬「大丈夫ですよ垣根さん。 私はもう、あの時とは違います」

垣根(いやあの頃って言われても知らねえんだけど)

シェリー「・・・・・・。 あの辺に座ろうか」スタスタ

762 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:19:37.25 aeTYAbUo 371/466



―――――――――――――――


一方通行「あァ~クソッ!! 何百枚あンだよここの皿はァ!!!」ゴシゴシ

オルソラ「ファイトーでございますよー・・・・・・」Zzz

一方通行「ンな呑気に構えて・・・・・・って寝てるしィィィィィィ!!!!!!」ウガー

カテリナ「すみません、まだこれだけあるのでどうか・・・・・・」

一方通行「誰だよオマエは!! えェいクソ! こォなりゃもォ仕方ねェ!! 
     第一位の本気ってのを見せてやるよ!!」カチッ



「おぉー、す、すごい! みるみるお皿が洗い終わっていく・・・・・・!」

「先ほど、シスター・アニェーゼ達が話していたとおり、やはり学園都市第一位というのは
 世界で一番専業主婦に相応しいという意味の第一位なのですね・・・・・・!」

「何だかカッコイイ・・・・・・」



一方通行「誰が専業主婦だァ!? そンで俺の場合は"専業主夫"だろォが!」カチャカチャ


―――――――――――――――


アンジェレネ「・・・・・・でもエプロン姿、ちょっと似合ってるなぁ・・・・・・」ジー

シェリー「アンジェレネ? 何やってんだこんなとこで」

アンジェレネ「ッ!!? しぇ、シェリー・・・・・・!」ビクゥ

763 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:20:51.85 aeTYAbUo 372/466


シェリー「お前がいつもこっそり盗んでるパフェあっただろ? あれ、どこにあるの?」

アンジェレネ「あ、えーと・・・・・・そこの冷蔵庫の一番上の段にありますよ。 あと盗んでるんじゃないです」

シェリー「どうも」スタスタ

風斬「(あ。 一方通行さん、エプロン着てる・・・・・・)」クスッ

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

風斬「・・・・・・。 彼のこと、まだ怖い?」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょ、ちょっとだけ」ボソッ

風斬「ふふ・・・・・・。 でも、話してみたらわかるけど、本当にいい人なんだよ。
   ちょっとだけ不器用で、ひどいくらいの鈍感だけど」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

風斬「悪い人が、あんな風にエプロン着てお皿洗いなんてすると思う?」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」フルフル

風斬「でしょ?」ニコッ

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

アンジェレネ「・・・・・・お皿洗い、手伝ってきます」タッ

風斬(ふふ、良かった。 ・・・・・・)

風斬(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私もあれくらい積極的になれたらなぁ)ズーン

764 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:22:47.04 aeTYAbUo 373/466



―――――――――――――――


シェリー「・・・・・・何やってんだ? オルソラ」

オルソラ「ふかふかのウサギさんなのでございますよー・・・・・・Zzzzz」ムギュー

一方通行「おいオマエ、ここの魔術師か!? 頼むからコイツどけてくれェ!」イライラ

シェリー「なんだお前? お前も学園都市の人間か?」グイッ ポイ

オルソラ「あぁっ・・・・・・」ドサッ

一方通行「ったく・・・・・・。 あァ、俺も客人の一人だ」

シェリー(変わった容姿だなコイツ・・・・・・。 ちょっと芸術的かも)ジー

一方通行「なンだよ? オマエも暇なら皿洗い手伝え」

シェリー「断るわ、めんどくせぇし。 私はシェリー=クロムウェルよ」

一方通行「ちっ・・・・・・。 一方通行(アクセラレータ)だ」

シェリー「アクセラレータ? 外人か?」

一方通行「そォ見えるか? 能力名をそのまま名乗ってンだよ」

シェリー「ふーん。 よろしく、一方通行。 ところでお前、ストーカーされてるぞ」

一方通行「何?」

アンジェレネ「す、ストーカーなどではありません!」

一方通行「チビシスターか、何しに来やがった」

アンジェレネ「あ、あの・・・・・・私もお皿洗い手伝います・・・・・・」

765 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:25:05.57 aeTYAbUo 374/466

一方通行「あァ? 必要無ェよ、見て分かンねェか? この俺の凄まじい皿洗いっぷりを」カチャカチャ

シェリー「お前は自動食器洗浄機か? また学園都市からのプレゼントかしら」

一方通行「こォいう能力なンですゥー」

シェリー「皿を素早く洗える能力? はは、笑えるわねーそれ」ケラケラ

一方通行「・・・・・・今のは俺の言い方が悪かったな」

アンジェレネ「て、手伝います」カチャカチャ

一方通行「ちっ、好きにしろ」

シェリー「お前ら、今日来た客だろ? 何者なのかはこれから聞くが、
     もう懐かれてるんだな」

アンジェレネ「な、な、懐いてなんか・・・・・・!」

一方通行「そォだぞ。 コイツ、ずっと俺に怯えっぱなしでよォ。
     なンとか言ってくれ」

シェリー「何とか言えったって、私はお前のことなんか知らねぇっつうの。
     ま、強いて言うなら・・・・・・"台所に立てる男に悪いやつはいない"」

一方通行「ダメだ、もォイギリス清教の中じゃ俺は専業主夫って事で決定しちまってる」

シェリー「はは、まぁ頑張ってよ。 オルソラ、パフェ貰ってくぞ」

オルソラ「何でウサギさんはお餅をぺったんぺったんつくのでございましょうかー・・・・・・」Zzzz

一方通行「こンのクソシスター、ウサギって誰のこと言ってンだ・・・・・・」ジャー

アンジェレネ(そっか、ウサギだと思えば少しは・・・・・・)チラッ

一方通行「あン?」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぷっ」

一方通行「あァッ!!?」ガルルル

767 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/02 00:33:50.75 aeTYAbUo 375/466




                          【次回予告】



『・・・・・・居場所、か。 それでなのか、お前の目つきっつーか、"顔つき"が変わったのは』
―――――――――――イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』の魔術師・シェリー=クロムウェル




『今度は私も・・・・・・、力不足かもしれないけど、私も側に居られるだけの存在になりたくて。
 それで『天使同盟』の皆さんについていってるんです』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』の構成員・風斬氷華




『えー、おほん。 『車輪伝説』というのは、古来より多くの聖人は殉教・・・・・・愚かなる権力者達の
 手によって処刑される事で、その生涯に幕を降ろしてきました。 そういった拷問、あるいは処刑
 の歴史の中に、車輪が数多く登場するのです。 これらは無数の刃や釘を突き刺した巨大な車輪で
 聖人を八つ裂きにするために作られました。 ところが、車輪は聖人に触れると同時、ひとりでに
 爆発したという報告が多数寄せられているのです。 悪竜退治の聖ジョルジュしかり・・・・・・、
 アレクサンドラ王家の聖カテリナに至っては、爆発した車輪の破片で処刑場に集まった四千人以上
 の見物人が死亡したと言われています。 それが『車輪伝説』です。 その『車輪伝説』が意味する
 教えは以下のとおり。 ――罪なき者に罰は当たらず、罪ある者にこそ罰は下る』
―――――――――――元『ローマ正教』のシスター・ルチア




『三行で説明しろ』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)




『股がどうとか言われても分かんねえからさ、実際に見せてみろよ』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・垣根帝督

793 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:21:00.19 FApojIUo 376/466



―――――――――――――――


シェリー「ほら、これ食えよ。 食後のデザートってやつね」コトッ

風斬「あ、どうもありがとうございます・・・・・・」

シェリー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で、何者なんだよお前らは?」

風斬「え、えーと・・・・・・私たちは『天使同盟(アライアンス)』と申しまして」

シェリー「『天使同盟』? 聞いたことねぇな」

風斬「あの、キッチンにいた一方通行さんが発足した組織なんですけど・・・・・・」

シェリー「ふんふん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

794 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:23:07.10 FApojIUo 377/466



風斬氷華はシェリー=クロムウェルに全てを話した。

『天使同盟』発足のきっかけ。これまでの経緯。『天使同盟』の構成員の紹介。
そして『天使同盟』の目的も、包み隠さず。

しかし、風斬はそれだけではなく、シェリーと初めて対峙したあの日のことからの話もした。
九月一日の事件から今日までの、全てのことを。


風斬は最初、女子寮でシェリーの姿を見たときに全身に寒気が走った。
九月一日のあの日、シェリー=クロムウェルが学園都市に襲撃してきたあの日も事を思い出して。


『くっく。 しかしこれって殺すのも面倒臭そうね。 ああ、それなら試してみるか。
 ひき肉になるまでぐちゃぐちゃに潰しても元に戻るかどうか』


あの日、風斬氷華は自分が"バケモノ"であると知った。
警備員(アンチスキル)の放った跳弾が風斬の頭に直撃し、その中身を見て、戦慄した事を覚えている。

そしてシェリーが魔術によって操るゴーレム、『エリス』の凄まじい攻撃によって、
風斬は完膚なきまでに、文字通り"ぐちゃぐちゃ"にされた。

だが、数秒経てば元通りになるその身体の方が、彼女にとっては恐怖であり、絶望だった。

795 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:24:32.10 FApojIUo 378/466



『いい加減気づきなさいっての。 ここまでやられピンピンしてるテメェがまともな人間なはずねえだろが』


あの時の風斬は、ひどく混乱していた。
自分が"人ならざる者"であると知り、謎の魔術師にワケもわからぬまま攻撃され続けていたのだ。


どこへ逃げればいいかなんて、分からない。

どこにも逃げる場所なんて、ありはしない。

『虚数学区』で生まれた自分に、"居場所"なんて無い。


いっそのこと、自分のことを殺してくれないかと思った。
この魔術師なら、そんな力もあるに違いないと思った。


けど、そんな時に、風斬の前に光が差した。


『今からお前に見せてやる。 お前の住んでるこの世界には、まだまだ救いがあるって事を!』


その日、風斬は一人の少女と友達になった。
バケモノである自分に出来た、最初の友達。『禁書目録(インデックス)』。

そしてもう一人、バケモノである自分を何の躊躇もなく救ってくれた、ツンツン頭の少年。


『そして教えてやる! お前の"居場所"は、これぐらいじゃ簡単に壊れはしないって事を!』


こんな自分にも居場所があるということ教えてくれた、あの少年。上条当麻。

796 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:29:26.21 FApojIUo 379/466



上条は見事、ゴーレムを操るシェリー=クロムウェルをその右手で倒し、風斬を救ってみせたのだ。


そこから九月三十日の事件が発生し、ヒューズ=カザキリへと覚醒し、学園都市を彷徨った。
その時も、上条当麻に守ってもらった。


十月十九日、第三次世界大戦が始まった。
風斬は大事な友達である上条当麻を救うために、自らロシアの地へと飛翔した。


――――そこから、風斬の人生は急展開を向かえることになる。


ロシアの戦場で、一方通行(アクセラレータ)とミーシャ=クロイツェフに出会ったのだ。
最初、背中から巨大な竜巻を生やした少年が飛び出してきたときは、何事かと驚いたものだ。

彼は異形の姿の風斬を見ても、普通の人間を相手にしているような口ぶりで話しかけてきた、ような気がする。
そして彼との共闘によって、ミーシャ=クロイツェフを無力化する事に成功したのだ。


その時も風斬は探していた。自分の居場所を。
上条当麻が教えてくれた、こんな自分にも居場所があると示してくれたから。


第三次世界大戦が終結した後の事は、今思い出しても笑みがこぼれてくる。


偶然にも、帰りの航空機で一方通行と再会した風斬。
たまたまその時の気分で航空機に乗り込んだのだが、そこに彼までやってくるとは思わなかった。

その時も一方通行は風斬に対して普通に接してくれた。上条当麻と同じように。

797 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:30:25.51 FApojIUo 380/466




『何を今さら気にしてンだよ』

『え?』

『自分が化物じみた存在だってのを、だ。 俺だってそォだ、化物は一人じゃねェ』


あの時の言葉は、凄く嬉しかった。


そして、ミーシャ=クロイツェフとの再会。
今でも自分たちを振り回している、『神の力(ガブリエル)』。本物の、大天使。

ミーシャを見たときの一方通行のリアクションは、今思い出すとクスッと笑ってしまうものだった。


798 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:33:34.33 FApojIUo 381/466


ミーシャ=クロイツェフの情報を手に入れるためにイギリスへ足を運んだ際に、エイワスと出会った。
シェリーに紹介する際は、一応"ドラコ=アイワズ"だと言っておいた。

エイワスもまた、風斬と同じような存在。『ドラゴン』というコードネームで隠された守護天使だ。


「・・・・・・。 その守護天使サマは今、シスター達へお料理教室を開いてるみてぇなんだけど?」

「あ、あはは・・・・・・。 基本的に自由奔放な方なんです」


そしてバッキンガム宮殿で英国女王や三大王女、騎士団長やウィリアム=オルウェルと知り合ったのだ。
・・・・・・結局、一緒に食事をしたり、お風呂に入ったり、ロンドン観光くらいしかしなかった気もするが。

風斬はその時、シェリーにもベツレヘムの星の欠片の件について話した。


「なるほど、お前らはそれを探しまわってるってわけか」

「はい、だから次はロシアへ行く予定なんです」


イギリスから帰る際に、垣根帝督と出会った。
どうやら一方通行と垣根帝督は犬猿の仲らしく、かつて学園都市で殺し合いを行い、
垣根帝督は見事に一方通行に"虐殺"されたそうなのだ。


「垣根帝督ってあそこにいる男でしょう? 生きてるじゃねぇか」

「何でも、脳が残っていたために生命活動までが終わっていたわけじゃないそうなんです。
 そこをエイワ・・・・・・、ドラコさんが修復して元に戻したらしいんですよ」


学園都市へ戻った風斬を待っていたのは、黄泉川愛穂が発案した計画、
『天使同盟逢引計画(エンジェルズ・スポット)』だ。

この計画で、風斬の心を整理することが出来た。

799 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:35:27.42 FApojIUo 382/466



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・////」

「あ? どうしたのよ、顔真っ赤にして」


一方通行とのデートを思い出し、思わず赤面する風斬を不思議そうに見つめるシェリー。
気を取り直して、風斬は続きを話して行った。


「イギリス清教と協定を結んだだと? どういう意味よそれ」

「や、やっぱり驚きますよね。 神裂さんや他のシスターの方々も驚いてました」


ミーシャと一方通行のデートの時に起きた、ステイル=マグヌスの襲来。
だがなんとか事なきを得た『天使同盟』は、エイワスの提案によりイギリス清教と一時的な協定を結ぶ
事になった、らしい。


「ミーシャ=クロイツェフもいたんだろ? よく殺されなかったなステイルのヤツ」

「首、へし折られてましたけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

801 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:38:22.67 FApojIUo 383/466

そこからはもう語ることがない。現在進行形で『天使同盟』の物語は続いている。
エイワスが用意したクルーザーで航海していたら、ここに辿り着いたというわけだ。


「ロシアへ行くって話はどうなったんだよ」

「そ、それが急にドラコさんがここへ挨拶をしておきたいと言い出しまして・・・・・・。
 ほら、協定を結んだってさっき話したじゃないですか。 それの挨拶だとか」


シェリーは食べ終わったパスタをその辺を歩いていたシスターに渡すと、
キッチンから取ってきたパフェをスプーンでつつきながら黙りこんでしまった。

そして風斬がひと通り喋り終わったことを察すると、開口一番にこう言った。


「・・・・・・居場所、か。 それでなのか、お前の目つきっつーか、"顔つき"が変わったのは」


800 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:36:55.96 FApojIUo 384/466


風斬「え? 私の顔つき、ですか?」

シェリー「あぁ。 九月に会った頃とはまるで別人だぞ、今のお前は」

風斬「そ、そうでしょうか・・・・・・?」

シェリー「まぁ、そういうのって自分じゃ気が付かないモンだけどよ。
     なんつうか、迷いが無くなってるのよね」

風斬「迷い・・・・・・」

シェリー「さっきキッチンにいた・・・・・・えっと、『国道通行(カントリーロード)』だっけ」

風斬「全然違います、一方通行(アクセラレータ)さんです」

シェリー「そう、一方通行がくれた居場所ってのが、バケモノのお前を救ったってところか」

風斬「・・・・・・はい。 一方通行さんだけじゃなく、"彼"や、いろんな人達に助けてもらってます。
   でも・・・・・・、もうそれだけじゃダメなんです」

シェリー「?」

風斬「今度は私も・・・・・・、力不足かもしれないけど、私も側に居られるだけの存在になりたくて。
   それで『天使同盟』の皆さんについていってるんです」

シェリー「・・・・・・そうかよ。 そりゃ結構な事だ」

風斬「あ、何かすいません、偉そうな事言っちゃって・・・・・・」

シェリー「良いんじゃないの? それくらいの方が一方通行好みかもしれねぇぞ?」

風斬「そ、そうですね・・・・・・。 ・・・・・・って、えぇっ!!?」ガタンッ

802 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:39:45.55 FApojIUo 385/466


シェリー「何だよその表情は。 まさか今の話で私が気付いてないとでも思ったのかしら?」ニヤリ

風斬「わ、わわ、私はあの別にそのそういうんじゃないってワケじゃないんですけどあのその」アタフタ

シェリー「落ち着け、言ってることがわかんねぇ」

風斬「うー・・・・・・///」プシュー

シェリー「私はてっきり上条当麻かと思ってたんだけどなぁ」

風斬「か、彼はそういうのとは違うんですよ。 大切な友達であることは今も変わりませんけど」

シェリー「じゃあ一方通行はお前にとって何なんだよ?」

風斬「え、それは・・・・・・大事な・・・・・・」

シェリー「・・・・・・大事な、何?」

風斬「だ、大事な・・・・・・一人の男性っていうか・・・・・・その・・・・・・///」カァァ

シェリー「あーあー、惚気けてんじゃねぇよクソッたれが。 熱すぎてパフェのアイスが溶けちゃったじゃないの」ドローリ

風斬「そ、それは関係ないじゃないですかっ!」

シェリー「青春してるようで結構だ。 聞いてりゃ一方通行ってのもとんでもないバケモノみたいだし、
     お似合いなんじゃないか?」

風斬「お、お似合い・・・・・・///」

シェリー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バケモノって言われても、憤慨したりしないのね」

風斬「・・・・・・もう、割りきっていますから」

803 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:40:51.38 FApojIUo 386/466


シェリー「そう。 まぁそんくらいの方が私も取っ付き易いし、いいんだけどよ」パク

風斬「あ、話すのに夢中で食べるの忘れてた・・・・・・」パクパク

シェリー「あーんしてもらえよ、あーん」

風斬「え!? あ、一方通行さんにですか・・・・・・?」

シェリー「他に誰がいるのよ、呼んでくるから待ってろ」ガタッ

風斬「だ、だだだ、ダメ~~~~ッ!!」ギュゥ

シェリー「ッ!? あっぶねぇな、何だよいいじゃないの別に」

風斬「そ、そういうのはもっとちゃんとアレしてからじゃないと・・・・・・」

シェリー「アレって何? お前盛ってんのか?」

風斬「ち、違いますよ!!////」グググ

シェリー「痛ぇ痛ぇ、分かったから離してくれ・・・・・・」

風斬「もう・・・・・・からかわないでください・・・・・・」

シェリー「んな照れる事ねぇだろ。 乙女ちゃんだなぁ」


―――――――――――――――


アニェーゼ「・・・・・・別に険悪な雰囲気ってワケでも無いですね」

垣根「何だったんだよあの時の空気は・・・・・・」

神裂「でも、シェリーが二人っきりであんなに話をするなんて、珍しいですね」

ルチア「きっとお二人にしか分からない事情がおありなのでしょう」

804 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:41:44.17 FApojIUo 387/466



―――――――――――――――


一方通行「あァ・・・・・・、やっと終わったァ」ゲンナリ


「あの、ありがとうございました!」

「助かりました、いつも数が多いので・・・・・・」

「あのー・・・・・・、もしよかったら」


一方通行「元はといえば俺から言い出した事だ、礼はいらねェよ。
     だからさっさと散れ」シッ シッ

オルソラ「・・・・・・。 ふぁ、お、お皿を洗いませんと・・・・・・!」ガバッ

一方通行「もォ終わっちゃいましたよォ? オルソラさァン・・・・・・?」ゴゴゴ

オルソラ「あらあら。 夢でウサギさんが食器を片してくれていたのでございますが、
     まさか正夢だったなんて・・・・・・。 驚きでございます」

一方通行「その無駄にでけェ胸ひん剥いてやろォか?」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」フキフキ

一方通行「おうチビシスター。 ありがとよ、手伝ってくれて」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」コクン タタタッ

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まァだ怖がられてンのかねェ」

オルソラ「照れているのでございましょう」フフフ

一方通行「意味がわかンねェよ」

805 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:43:36.95 FApojIUo 388/466

――『必要悪の教会』の女子寮・食堂


垣根「・・・・・・で、俺が必殺の『未元物質(ダークマター)』をぶちかまして、
   鮮やかに一方通行の野郎をぶっ飛ばし、"ピンセット"を巡る戦いは終わったってワケだ」

アニェーゼ「別にその"ピンセット"とやらを巡る戦いについては疑うわけじゃねぇんですが、
      今の話の通りだと、そのグループって組織も、アイテムも、ブロックも、メンバーも、
      全部貴方が叩きのめしてるじゃねぇですか」

垣根「そうだぞ? 何たって俺の『未元物質』には、常識が通用しねえからな」


エイワス「ウソは感心しないな、垣根帝督」


垣根「げっ、エイワ・・・・・・ドラコ! 何盗み聞きしてんだよ」

アニェーゼ「やっぱウソじゃねぇですか、見栄張りすぎなんですよ」ケラケラ

垣根「ほとんど本当だ! 一方通行とは痛み分けに終わっただけで」

ルチア「ドラコ=アイワズ。 ありがとうございます、シスター達のお相手をしていただいて」

エイワス「礼には及ばんよシスター・ルチア。 私もつい興奮してしまってね」

ガブリエル「kvpegk麺jvgrojgo要求jfewjgi」ヌッ

ルチア「て、天使様っ」ビクッ

垣根「お前まだメシ食ってたのかよ」

エイワス「この寮のパスタの在庫が無くなってしまった。 申し訳ない」

神裂「いえ、お気になさらず。(在庫がなくなった・・・・・・? 一体どれだけの量があると・・・・・・)」

806 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:44:57.83 FApojIUo 389/466


アンジェレネ「し、食器の片付け、終わりましたっ」タタッ

ルチア「シスター・アンジェレネ、今日はあなたは食器の片付け当番ではないはずですが?」

一方通行「俺が洗ってたところを手伝ってくれたンだよ」カツッ

垣根「何ぃ? 臆病者のくせにけっこう積極的じゃねえか」

アンジェレネ「そ、そういうのじゃないです・・・・・・」ボソボソ

ルチア「垣根帝督、シスター・アンジェレネに妙な発言をするのは控えていただけませんか?」

垣根「はいはい、小姑さん」

ルチア「ちょっと車輪を取りに行ってきます」

神裂「落ち着いてくださいルチア!」アセアセ

一方通行「風斬はどこだ?」

エイワス「ほら、向こうに座っているよ。 シェリー=クロムウェルと談笑しているようだ」

一方通行「あァ・・・・・・。 あいつ、彫刻家か何かか?」

神裂「どうしてそれを?」

一方通行「ほんの僅かだが、肩と髪に粉塵が付着してたからな。 そォ思っただけだ」

ルチア「彼女は王立芸術院で美術講師をしているのです。 いつも部屋で彫刻をしてばかりなので
    その時の粉塵が残っていたのでしょう。 もう少し身だしなみに気を使って欲しいものです」

垣根「美術講師? 人は見かけによらねえな」

807 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:46:08.69 FApojIUo 390/466

一方通行「ところで、さっきの車輪ってのは何なンだ」

ルチア「え? あ、あぁ、私の魔術は聖カテリナの『車輪伝説』を基にした物なんです」

ガブリエル「kfsdgoerjh車輪kgerohjo伝説dsdvmbmj」モグモグ

一方通行「オマエその皿自分で洗えよ」

垣根「何だよ、車輪伝説って。 競輪大会かなんかの話か?」



ルチア「えー、おほん。 『車輪伝説』というのは、古来より多くの聖人は殉教・・・・・・愚かなる権力者達の
    手によって処刑される事で、その生涯に幕を降ろしてきました。 そういった拷問、あるいは処刑
    の歴史の中に、車輪が数多く登場するのです。 これらは無数の刃や釘を突き刺した巨大な車輪で
    聖人を八つ裂きにするために作られました。 ところが、車輪は聖人に触れると同時、ひとりでに
    爆発したという報告が多数寄せられているのです。 悪竜退治の聖ジョルジュしかり・・・・・・、
    アレクサンドラ王家の聖カテリナに至っては、爆発した車輪の破片で処刑場に集まった四千人以上
    の見物人が死亡したと言われています。 それが『車輪伝説』です。 その『車輪伝説』が意味する
    教えは以下のとおり。 ――罪なき者に罰は当たらず、罪ある者にこそ罰は下る」



垣根「・・・・・・つまり、どういう事だってばよ?」

一方通行「三行で説明しろ」

ルチア「車輪が
    爆発したら
    ヤバい」

アンジェレネ「し、シスター・ルチア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

アニェーゼ「本当に三行で説明しちまいましたね・・・・・・。 己の魔術を」

神裂「ルチアも段々と彼ら色に染まり始めてますね・・・・・・」

エイワス「ふふ、我々としては大歓迎なのだがね」

ガブリエル「fkwegkoeg把握jbtjntn」フムフム

808 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:48:08.30 FApojIUo 391/466


一方通行「まどろっこしいな魔術ってのは。 爆発させてェンなら手榴弾でも
     なンでも投げてりゃいいじゃねェか」

ルチア「元も子もない事を言わないでください!!」

神裂「魔術師とは、魔術師になり魔術を行使できるようになった時点で魔術師なのです。
   近代兵器だけを使用したりしたら、それは魔術師ではありません」

垣根「普通に銃とかナイフとか使う魔術師だっているだろ」

エイワス「その銃やナイフに魔力、あるいは魔術的要素を加えるのが魔術師なのだよ」

一方通行「・・・・・・まァ、俺も魔術を使ったことがある身だからな、バカには出来ねェか」

神裂「何ですって・・・・・・? しかし・・・・・・」

エイワス「その通りだ。 能力開発を受けている者が魔術を行使すれば、死に至る」

ルチア「・・・・・・? で、では一体・・・・・・」

一方通行「知るかよ。 実際使って死にかけはしたがなァ」

アニェーゼ「何の魔術を使ったんですか?」

一方通行「『歌』だ。 聖歌だったか・・・・・・いや、よく覚えてねェけど」

アンジェレネ「う、歌・・・・・・ですか?」

エイワス「確か『禁書目録』が用いる魔術の応用だったな。 彼はそれを利用して、
     ある一人の少女を救ったのだ。 自分の身など気にもせず、な」

一方通行「そこまで言う必要無ェだろォが・・・・・・」

アンジェレネ「ひ、人を・・・・・・救ったんですか?」

一方通行「・・・・・・あァ。 言い訳もごまかしもしねェ。 救ったよ間違いなくな」

809 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:49:13.63 FApojIUo 392/466


ルチア「・・・・・・確かに、風斬氷華の言うとおり、人は見かけにはよらないのですね。
    どうやらあなたは『とても優しい心の持ち主』でいらっしゃるそうで」

     
             ピキッ


一方通行「?」


     ――――――――やめろ。


アニェーゼ「一方通行さん?」

エイワス「・・・・・・どうしたのかね、一方通行?」

一方通行「・・・・・・い、いや、何でもねェ」

アンジェレネ「?」

810 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:50:13.65 FApojIUo 393/466


ガブリエル「kdfbjoetj貴方pamgjdfdf」ガバッ

一方通行「心配くれンのはいいンだが、抱きつくなァッ!!」ゲシッ

ガブリエル「scjnmvr照屋gjoergjt」ドシャァ

ルチア「だ、大天使になんという事を!」アセアセ

垣根「いつものことだ、『天使同盟』は天使の威厳だの何だのは一切通じねえ」

アニェーゼ「改めてとんでもねぇ組織だと痛感しました・・・・・・」

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
     ・・・・・・あ。 お、おいチビシスター、オマエも何か魔術が使えるンだろ?」

アンジェレネ「は、はい。 一応」

垣根「おー、見せて見せて」

エイワス「君は確か『十二使徒マタイの伝承』をモチーフにした魔術を使うのだったね」

アンジェレネ「え、どうしてそれを・・・・・・?」

一方通行「エイワス、オマエちょっと黙ってろ」

811 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:51:32.93 FApojIUo 394/466


アンジェレネ「その通りです、私は『十二使徒マタイの伝承』を基にした魔術を使います」

垣根「股がどうとか言われても分かんねえからさ、実際に見せてみろよ」

アニェーゼ「せっかちなヤツですね」

アンジェレネ「・・・・・・こ、ここに硬貨があります」チャリ

ガブリエル「khgothocs手品gjerojgti」ワクワク

エイワス「失礼だぞ、ミーシャ=クロイツェフ」

アンジェレネ「それをこの硬貨袋に入れて・・・・・・」チャリンチャリン

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

アンジェレネ「頭上に投げます」ポイッ


       バサッ

垣根「! おぉっ」

一方通行「硬貨袋から羽根が生えやがった」

アンジェレネ「そして詠唱します。
       Vien. Una persona dodici apostli. Lo schiavo basso che rovina un mago
       mentre e quelli che raccolgono.
       (きたれ。 十二使徒の一つ、徴税吏にして魔術師を打ち滅ぼす卑賤なるしもべよ)」


     ヒュン   ズドッ


垣根「ッ!!? 痛ってえっ!!」

一方通行「なンだ? 硬貨袋がすげェスピードで飛ンでいったぞ」

アンジェレネ「あ、ご、ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

812 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:52:44.99 FApojIUo 395/466


垣根「ぐ、お・・・・・・こめかみに大砲でもぶち込まれたのかと思ったぜ」ズキズキ

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、で?」

アンジェレネ「い、以上です・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一方通行「え、こンだけ?」

アンジェレネ「うぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」シュン

ルチア「シスター・アンジェレネの魔術には、追尾機能もあるのですよ。
    他にも硬貨袋の口紐で対象を縛ったりとか」

一方通行「つまりはこの硬貨袋をヒュンヒュン飛ばして攻撃するって事か」

垣根(そんなの普通に殴ったりすればいいじゃん、ってのは言っちゃいけねえのかな)

エイワス「シスター・アンジェレネ。 君、魔術の行使が杜撰だと言われたことはないかね?」

アンジェレネ「えっ・・・・・・」ギクッ

アニェーゼ「わかるんですか?」

エイワス「ふむ、的はずれな指摘ならば申し訳ないのだがね。
     例えば先程の詠唱、もっと省略することが出来ると思うのだが」

アンジェレネ「あ・・・・・・」

エイワス「それと、もう少し丁寧に暗号化したほうがいいだろう。
     内側の術式を安定させるのに手一杯で、外側に気が回っていない」

アンジェレネ「・・・・・・それとほぼ同じような指摘を受けたことがあります」

エイワス「やはりそうか、余計なお世話だったかな」

アンジェレネ「い、いいえ、ありがとうございます」

垣根「ていうか何で俺の方に飛んできたんだよ、その硬貨袋・・・・・・」ズキズキ

813 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:53:43.33 FApojIUo 396/466


アニェーゼ「貴方、本当に博識なんですね」

エイワス「いやいや、下手の横好きと言うのかな。 ただ魔術に興味があるだけの能無しだよ」

ルチア「下手の横好きであれ程の指摘は出来ないと思うのですが・・・・・・」

一方通行「アニェーゼ、オマエはどンな魔術を使うンだよ?」

垣根「あぁ、それならさっきちょっとだけ聞いたな。 "偶像の理論"がどうとかだったっけ」

アニェーゼ「まぁそんな感じですね。 ちょっと待っててください」タタタ

一方通行「なンだ? また道具を使うのかよ」


―――――――――――――――


アニェーゼ「お待たせしました。 これを使うんです」スッ

一方通行「おっ、魔術師っぽいじゃねェか。 杖なンてよォ」

垣根「それ言ったらお前だって杖持ってるじゃねえか」

アニェーゼ「こいつは『蓮の杖(ロータスワンド)』っつってですね。
      第五物質の"エーテル"を象徴した『象徴武器(シンボリックウェポン)』なんですよ」

一方通行「ふゥン (全然わからン)」

エイワス「『象徴武器』とは火、水、風、土、エーテルの五大元素を象徴する武器の事だ。
     ロールプレイングゲームなどでも割と出てきているから聞いたことくらいはあるんじゃないか?」

一方通行「俺あンまそォいうのやらねェからなァ。 ていうかお前RPGとか知ってンのかよ」

ガブリエル「jgtojhto私mbdwdeg水hfhfpgkpk」

エイワス「そうだな、君は水だ。 君の場合は『象徴』ではなく司っているのだが」

ルチア「その五大元素に、それぞれ象徴される武器があるんです」

814 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:55:13.23 FApojIUo 397/466

エイワス「その通りだ。 例えば火なら"杖"、水なら"杯"、風は"短剣"、土は"円盤"、
     そしてシスター・アニェーゼが用いる"蓮の杖"はエーテル、という具合だ」

神裂「お料理教室の次は魔術教室ですか・・・・・・」

アニェーゼ「ただ、私の蓮の杖はエーテルを扱うことによって、他の四大元素全ての武器としても
      同時に使用できるっつう特徴があるんですよ」

垣根「確かにRPGにもそういう類の魔法はあるな」

一方通行「今度は俺に使ってみろよ、手加減はいらねェ」カチッ


アニェーゼ「そう言われちゃやる気になっちまいますね。 じゃあ・・・・・・、
      
      Tutto paragone. Il quinto dei elementi.  Ordina la canna che mostra pace ed ordina.
      (万物照応。 五大の元素の基の第五。 平和と秩序の象徴『司教杖』を展開)
      Prima.   Segua la legge di Dio ed una croce. Due Cose diverse sono connesse.
      (偶像の一。 神の子と十字架の法則に従い、異なる物と異なる者を接続せよ)」


アニェーゼ「えいやっ」ガツーン

一方通行「・・・・・・、ッ!?」ゴチン

アニェーゼ「ありゃ? もう一度、そりゃっ!」コツーン

一方通行「ちっ、やっぱ上手く・・・・・・痛ェ!」ガツン

アニェーゼ「・・・・・・軌道を、逸らされてる?」

一方通行「一体なンだ? オールレンジで衝撃が来やがる。 しかも不可視ときたもンだ」

アニェーゼ「魔術の知識が無い人に説明するのは難しいんですが、これは偶像の理論を応用してるんです」

エイワス「ようは杖を傷つければ、連動した他の物を同時に傷つけることが出来るということだ」

垣根「杖で床を叩いた衝撃が、一方通行にダメージを与えてんのか」

アニェーゼ「なぜか貴方には上手く当たらないんですけど」

815 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:56:26.84 FApojIUo 398/466


一方通行「俺の能力だ。 どォやらその『蓮の杖(ロータスワンド)』とやらは逸らすくらいは出来るらしい」

アニェーゼ「むむ・・・・・・、何だか悔しいですね」

一方通行「だがまァ、なかなか面白ェじゃねェか。 オマエの魔術」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」シュン

一方通行「・・・・・・あ、いや、別にオマエの魔術がショボいとか言ってンじゃねェぞ」

垣根「そういう魔術って、習得するのにどれくらい時間が掛かるんだ?」

神裂「使うだけなら今すぐにでも使えますよ。 
   手順を正しく踏めば素人でも使えるのが魔術です」

一方通行「俺ですら出来たからなァ、そりゃ当然だろ」

垣根「手順さえ踏めば・・・・・・か。 なるほどね」

神裂「ですが、あなた達は絶対に使用しないでくださいね。 一方通行は運良く助かりましたが、
   普通なら本当に死んでしまいます。 拒絶反応が軽い魔術もありますが、それでも障害が
   残る可能性だってあるんですから」

垣根「分かってるよ、誰も使うとは言ってねえだろ」

一方通行「しっかし、面白ェっちゃ面白ェが、イマイチこォ・・・・・・パッとしねェな。
     オマエらシスターの使う魔術は」

ルチア「む、聞き捨てなりませんね」

アニェーゼ「"ここ"に来ておいてそんな発言をするなんて、いい度胸してるじゃないですか」

アンジェレネ「どうせ私の魔術はショボいですよ・・・・・・」ボソッ

816 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 12:58:09.57 FApojIUo 399/466


一方通行「バッキンガム宮殿に行ったときに聞いたンだが、フルンティングのオッサンの
     "ソーロルムの術式"だか何だかは結構すげェと思ったンだけどな」

エイワス「あれはまた色合いが違う魔術だろう。 ソーロルムの術式は北欧の伝承が基だぞ」

垣根「地域によっても伝わってる魔術は違うって事か」

神裂「それだけじゃなく、その人間によっても得手不得手がありますからね」

アニェーゼ「奥深いモンなんですよ、魔術ってのは」

一方通行「そォいうモンか。 まァ勉強になったわ」

神裂「あ、あれ、私の魔術については聞かないんですか・・・・・・?」

垣根「お前のはどうせその長ったらしい日本刀でズバズバ殺陣するだけだろ?」

神裂「し、失礼なっ! 私だってれっきとした魔術師です!」

ルチア「神裂火織は聖人ですからね。 強力な魔術を行使します」

神裂「いやぁ、そんな大したものではないんですけど」テレテレ

一方通行「満更でもねェって反応だな」ケラケラ

垣根「星人? お前宇宙人か何かなの?」

神裂「"星人"ではなく"聖人"です! 偶像の理論によって、自身の身に天使の力(テレズマ)を
   宿すことが出来る凄い人なんですよ私は!」ムキー

一方通行「自分で言ってちゃァ世話無ェだろ・・・・・・」

817 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 13:00:13.55 FApojIUo 400/466


エイワス「いやいや、聖人は本当に凄いぞ。 世界に二十人程しかいない存在でもあるしな」

垣根「出たな、世界で○○人しか存在しない系」

神裂「・・・・・・バカにしてます?」

垣根「いや、そういうつもりはねえけどよ」

一方通行「天使の力(テレズマ)・・・・・・。 フルンティングに聞いた気がすンな、その言葉」

神裂「彼の場合はカーテナを英国領土で発動することによって、聖人の力を上回ってしまうのですけどね」

垣根「ここにいる聖人って神裂だけなのか?」

アニェーゼ「そうですね、他はシスター達とシェリーくらいしかいませんし」

エイワス「一方通行、君が出会ったウィリアム=オルウェルは"二重聖人"とも言える力を持っていたのだよ」

一方通行「倍率ドン、更に倍ってか」

エイワス「他にも英国所属の聖人だと、シルビアという女性がそうだな。
     それと、ブリュンヒルデ=エイクトベルという聖人もいる。
     所属していた魔術結社は滅びてしまっているようだがね」

一方通行「オマエただ自分の知識を披露したいだけじゃねェだろォな」

垣根「具体的に、聖人になったらどうなるんだ?」

神裂「簡単に言うと身体能力が人間のそれとは比較にならないほど跳ね上がります。
   腕力、脚力、耐久度、反射神経、視力、聴力、全てです」

エイワス「一方通行、君でさえ黒翼を使わなければ太刀打ち出来ないかもしれない程に
     強化されるというわけだ」

一方通行「スーパーマンになれるって事か」

818 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 13:01:58.60 FApojIUo 401/466


垣根「その力を使っての白兵戦だけか? お前が出来ることは」

神裂「この七天七刀も使いますよ。 例えば一瞬で七回もの斬撃を繰り出す
   神速の抜刀術と見せかけて、刀を鞘内でほんの少しずらして動作の影で
   操る七本の『鋼糸(ワイヤー)』で対象を切るという使い方があるんです」

エイワス「『七閃』か。 あれは実に美しい」

神裂「もうあなたの異常なまでの知識にはツッコまないでおきます」

垣根「ワイヤーか、渋いじゃねえか」

神裂「で、でしょう? カッコよくないですか?」

一方通行「威力も見た目も申し分無さそォだな。 聖人だからこそ出来る技ってヤツだ」

神裂「その鋼糸を使って、三次元的な魔方陣を描いたり、結界まで張れちゃうんですよっ!」

垣根「おぉ、なんかカッコイイじゃねえか」

一方通行「格ゲーとかでいそォだよな、そォいうキャラ」

神裂「そうでしょう、そうでしょう」




アニェーゼ「・・・・・・相手が魔術に関してあまり知識がねぇからっつって、
      自慢してるだけじゃねぇですかアレ?」ヒソヒソ

ルチア「今まであのような機会が無かっただけで、本人としては
    一方通行達の反応が嬉しいのでしょう」

アンジェレネ「・・・・・・どうせ、・・・・・・どうせ・・・・・・」

819 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 13:04:44.71 FApojIUo 402/466


神裂「そ、それでですね、私はいわゆる、切り札とも言える奥義を持っているのですが、
   どうです、聞きたいですか?」

一方通行「ここまで喋っといておあずけは無ェだろォ」

神裂「そ、そこまで言われては仕方がないですね、特別にお教えしましょう」フフフ

垣根「楽しそうだなぁ、コイツ」

神裂「その名は・・・・・・、『唯閃』」キリッ

一方通行「おォ・・・・・・、なンかいい響きだな。
     (すき焼き屋でコイツが使ってたのってどっちだったかな・・・・・・七閃か?)」

神裂「ふふ・・・・・・、『唯閃』は、正真正銘の神速の抜刀術なのです。
   私独自の呼吸法で魔力を精製し、聖人の力を用いて・・・・・・スパーン!! と、」

垣根「シンプルなのがまたいいな。 飛天御剣流奥義みてえだ」

ガブリエル「bmv,erpgkh記憶fjweifhiwg有jdfeojf」アー

エイワス「おや、覚えているのかねミーシャ」

一方通行「覚えてるって、『唯閃』とやらをか?」

神裂「『唯閃』を使った私は、不完全とはいえミーシャ=クロイツェフとも
   互角に渡り合うことが出来ましたからね・・・・・・、あれはいい勝負でした」ウンウン

エイワス「神裂火織はロンドンでも十指に入る魔術師だからな」

神裂「いや~、そんな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・///」テレテレ



ルチア「・・・・・・いいのでしょうか? 自分が持つ切り札までも、あのように
    あっさりと明かしてしまって」ボソッ

アニェーゼ「さぁ? ちょっと舞い上がっちまってますからね、今の神裂は」ヒソ

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ズーン

820 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 13:05:49.37 FApojIUo 403/466



―――――――――――――――


エイワス「こんなところではないかな、『必要悪の教会(ネセサリウス)』の紹介は」

一方通行「いやァー、正直全然期待してなかったが、最後に魔術師の凄さが理解できたわ」パチパチ

垣根「居合と魔術の融合ってのはマジでカッコイイと思うぜ」パチパチ

ガブリエル「hkrthtjho感服jvigjhibh」パチパチ

神裂「え、えへへへ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・/////」テレテレ

アニェーゼ「・・・・・・騎士団長(ナイトリーダー)にボコボコにされたクセに」ボソボソ

神裂「聞こえてますよアニェーゼ!! あれは私自身が油断していたのが原因です!
   万全な体勢で戦っていれば遅れはとりませんでしたっ!」ムキー

ルチア「後方のアックアにもズタボロにされていますよね」

神裂「あの男は二重聖人などというワケのわからない物を使用していたので、ノーカウントです」

822 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 13:07:11.68 FApojIUo 404/466


アンジェレネ「大天使様と"互角"って・・・・・・、正直かなりヤバい状況だったって聞きましたけど」

神裂「あの戦いは天使を切り伏せて終わるような戦いではなかったのです。
   大事なのはそこではありません」

一方通行「まァまァ、そォ僻むなよオマエら。 オマエらのも見事だったぜ。
     車輪がどォとかいうのは見てねェからわかンねェけど」

ルチア「このような場所で私の魔術を使って、天使様に万が一の事があったらどうするのです!」

アンジェレネ「わ、私達より大天使様の心配なんですね・・・・・・」

垣根「でもやっぱ、神裂の魔術が一番分かりやすくてかっこよかったわ、うん」

神裂「あなた達には今度、天草式十字凄教についてもご紹介したいですね」

一方通行「機会がありゃァな、是非頼むわ」

垣根「そうだな、いやぁホント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

823 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 13:07:53.85 FApojIUo 405/466







垣根「神裂みたいに歳食ってると、魔術も洗練されるモンなんだなぁ」




827 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/03 13:14:24.68 FApojIUo 406/466




                          【次回予告】



『あはぎゃはっ! いい体してンじゃねェかオルソラさンよォ!!
 こいつはもォ襲ってくださいってアプローチだと受け取って構わねェンだよなァ!?』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)




『きゃー! あーれー、助けてなのでございますよー』
―――――――――――元・ローマ正教のシスター・オルソラ=アクィナス

875 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:07:11.34 w2D06Eco 407/466





―――――結局その日は、『必要悪の教会』の女子寮に泊めてもらった。



876 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:08:12.38 w2D06Eco 408/466



『天使同盟(アライアンス)』の一同がロンドンへ再来して二日目。

今日の朝食は違ったが、昼食はオルソラが当番のようで、
食堂は多くのシスターで埋め尽くされていた。


昼食時間も朝と同じような流れだった。一方通行も適当な席へと座る。
風斬はシェリーという名の魔術師と話し込んでいる。エイワスから軽く話を聞いたが、
どうやら風斬とシェリーは学園都市で出会ったことがあるらしい。

その時の経緯は聞いていないが、あの様子だと出会った時から仲が良かったに違いない、
と一方通行は勝手に納得した。

エイワスはアンジェレネと一緒にいた。何でも、アンジェレネが使用する魔術に関する
レクチャーをしてあげているようだ。
アンジェレネは時々、うんうんと頷いたり、驚きの表情を作ったりしている。

エイワスは『誰にでも分かる魔術のいろは』とかいう教室でも開けばいいと思う。
あいつをここに置いてロシアへ行けるいい口実だ。


ガブリエルは相変わらず多数のシスターと談笑していた。そこにルチアと神裂火織も交えて。
どこかへ出掛ける度に知り合いが増えていき、彼女はとても満足している様子だ。

877 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:10:20.16 w2D06Eco 409/466



(このまま天使が街を出歩くのが普通になったらどォすンだ・・・・・・)


一方通行は少し寒気がした。

いつの日か、世界人口の四割くらいが天使になっている未来が来るかもしれない。
天使との対話の際には自分がダブルオークアンタを駆るのかな、
と意味のわからない心配をする一方通行だった。


「jgerhjitvsd垣根jhdithjtk何処gjerughgu」

「垣根はいつでも、空の上から俺達を見守ってるよ。 心配すンな」


垣根帝督の姿が見当たらない事に気付き、キョロキョロと辺りを見回すガブリエルに
適当な言葉を掛ける一方通行。彼のアレは自業自得だ。
だがおかげで、『唯閃』という凄まじい抜刀術を見ることが出来たのが収穫か。


(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オルソラのヤツに話しとかねェとな。
 マジでしばらくここの世話になっちまうかも知れねェ)


一方通行はさっさと昼食を食べ終えると、エイワスとニ、三言話をし、風斬のいる席へ向かった。。
アニェーゼに『今度は皿洗い手伝わないんですか?』とからかわれたが、無視を決め込んだ。

878 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:11:24.60 w2D06Eco 410/466



―――――――――――――――


風斬「それでですね、天使さんがダイオウイカを釣り上げて・・・・・・」

シェリー「『天使同盟』ってアホの集まりなのか?」



一方通行「風斬、オルソラのヤツ見なかったか?」

風斬「あ、一方通行さん。 いえ、ずっとここにいたのでちょっとわからないです」

一方通行「そォか。 キッチンにもいねェからどこに行ったかわかンなくてよ」

シェリー「あいつなら自室で何かやってんじゃねぇの? いつもそうだし」

一方通行「自室? どこにあるンだ、ここの寮広すぎンだよ」

シェリー「廊下の一番奥の左側よ。 オルソラになんか用なのか?」

879 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:12:12.59 w2D06Eco 411/466


一方通行「あァ。 さっきドラコのヤツと少し話してな。
     ロシア連邦が落ち着くまでここにいていいか聞こォと思ってよ」

風斬「え? どういう事ですかそれ?」

シェリー「あぁ・・・・・・大戦の影響でばたついてるからなぁあの国。
     入国が難しいんでしょう」

一方通行「どォもそォらしいな」

風斬「私は別に構いませんけど・・・・・・、そんなの私達ならどうにでも出来るんじゃないですか?」

シェリー「こいつ・・・・・・やっぱ変わったよ」

一方通行「これ以上の揉め事、俺ァごめンだ。 事は穏便に運びてェンだよ」

風斬「す、すみません。 そうですよね」

880 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:13:47.99 w2D06Eco 412/466


シェリー「じゃ、何か。 お前らここに住んじまうのかよ?」

一方通行「そこまでは言わねェが、しばらく居続けるハメにはなっちまうかもしれねェって話を
     オルソラにしてくるンだよ」

風斬「もしそうなったら、さすがにご迷惑ですよね・・・・・・」

シェリー「別にいいんじゃない? 部屋なら空いてるだろうし」

一方通行「それなら助かるンだがな、まァダメなら適当にホテルでも探すしよォ」

風斬「みんなでお願いしに行ったほうがよくないですか?」

一方通行「『君は我々を率いるリーダーなのだから、君が交渉してきたまえ』、だとよ。
     あのクソ野郎、人をパシリ扱いしやがって・・・・・・」

シェリー「なんだ、お前がリーダーなの?」

一方通行「立候補なンざした覚えねェけどな。 なぜかそォなっちまってる」

シェリー「なるほど、お前が『天使同盟』を立ち上げた張本人だからか」

一方通行「あァ? ・・・・・・オマエか、風斬」

風斬「い、一応これまでの経緯くらい話しておいたほうがいいかと思って・・・・・・。
   勝手なことをしてすみません・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一方通行「あァ、別に責めてるワケじゃねェからそンな落ち込むなよ」

シェリー「くく、『優しい』ねぇ。 愛しの一方通行様は」


         ピキッ


一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

風斬「しぇ、シェリーさん!!」アワアワ

881 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:14:50.33 w2D06Eco 413/466


シェリー「(ここでトドメさしちゃいなさいよ、奥手だなお前は)」ヒソヒソ

風斬「(そ、そういうのは私が決める事です!)」ヒソヒソ

一方通行「何二人でこそこそ喋ってやがる」

風斬「な、なんでもありませんよっ!」アセアセ

シェリー「こりゃ時間掛かるなぁ・・・・・・」

一方通行「?」

風斬「じゃ、じゃあ一方通行さん。 オルソラさんによろしくお願いしますね!」

一方通行「あァ。 オマエらは適当にここでくつろいどけ。
     ・・・・・・"リーダー"命令ってなァ」

シェリー「嫌がってる割にはノリノリじゃねぇか」

一方通行「もォ何かどォでもよくなってきた、全てが」

風斬「そういえば垣根さんはどこに?」

一方通行「オマエ、昼メシの前にやった『唯閃』を見なかったのか?」

風斬「あ、お話に夢中になってて・・・・・・。 『唯閃』ってなんですか?」

シェリー「・・・・・・まさか」ププッ

一方通行「あのバカは殺しても死にゃしねェバカだ、放っとけ」

風斬「?」

882 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:15:32.24 w2D06Eco 414/466



―――――――――――――――


一方通行「・・・・・・一番奥の・・・・・・、左側っつってたな、あのライオン女」カツッ カツッ

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」カツッ カツッ

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここか」

一方通行「オルソラ、俺だ。 居るかァ?」コンコン

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・寝てンのかァ?」コンコン

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一方通行「ちっ、おいオルソラァ」ガチャ

一方通行「あン? 鍵閉めてねェのか・・・・・・」キィ

一方通行「入るぞ」カツッ

一方通行「・・・・・・綺麗にしてあンなァ」キョロキョロ

            
             ジャー


一方通行「んン? この音・・・・・・」

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一方通行「あァー・・・・・・、シャワー浴びてンのか。 危ねェ危ねェ」

883 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:16:29.98 w2D06Eco 415/466



一方通行は鍵の閉まっていないオルソラの部屋へ入った。
もちろん入る前にも一応声はかけたが、返事がないので仕方がない。

部屋に入ってニ、三歩歩いた時点ですぐに気付いた。
シャワーを出している音。どうやらオルソラは今、シャワーを浴びているようだ。


ここで漫画やアニメの主人公なら、シャワーの音に気付かなかったとか
たまたま部屋の主がカーテンを開けっ放しで裸を見てしまうというハプニングが起こるのが定番だが、
一方通行にそのような幸福、もとい災難は起きなかった。


オルソラが使用しているであろうバスルームには、しっかりとシャワーカーテンが掛かっていた。
一方通行は一度、黄泉川宅で前述したようなハプニングに遭遇したことがあるのだが、
あれは打ち止めが騒ぎまくって面倒だったものだ。

シャワーカーテン越しにオルソラの肢体のシルエットがしっかり見えているのだが、
あの一方通行がそんなことで慌てふためいたりなどしない。
目の前に裸の女性が挑発的に誘ってきても、まず病院に電話をするのが一方通行だ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・例えが悪かった。一方通行じゃなくても病院に電話する人もいるかもしれない。


(あンなくっだらねェ面倒事はもォごめンだからなァ)


はァ、と浅いため息をつき、頭をポリポリとかく一方通行。
どうやらさっき彼が放った声は聞こえていないようだった。


「おい、オルソラ。 俺だ」


今度こそちゃんと聞こえるような声でオルソラに声をかけてみる。

884 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:18:08.00 w2D06Eco 416/466



彼女の体を洗う動きが止まった。
今度はしっかりと聞こえたみたいだ。


ここでも定番のハプニングは一方通行には降りかからない。
いきなり声をかけられた女性が驚き、足を滑らせスッテンコロリン。
バスルームからあられもない姿で飛び出してしまい、『き、きゃあああ~!』などと
いうイベントは発生しなかった。


(『禁書目録(インデックス)』の話じゃ、三下のヤツはしょっちゅうそォいった
 イベントが起きてやがったみてェだが・・・・・・。 はっ、ご愁傷様ってなァ)


嘲笑とまではいかないが、一方通行はインデックスの話をふと思い出し、苦笑する。

その時、


「はいはいー」


と、オルソラの呑気な声が聞こえたと思ったら、


彼女は自らシャワーカーテンを全開にし、一方通行と目が合った。
完全無防備、完全無欠、全力全開で、オルソラは生まれたときの姿で一方通行とご対面している。
防具なしでクエストに出掛ける縛りプレイでもしているのだろうか。

885 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:19:54.75 w2D06Eco 417/466



「自分から出てくンのかよ!!!?」


思わずツッコミを入れてしまう一方通行。これには食堂にいるはずのエイワスも思わず苦笑い。
まさかその手で来るとは、さすがの学園都市第一位も予想がつかなかったようだ。

だが、もしかしたらオルソラはそういう性格なのかもしれない。
男性に自分の全裸を見られても特に気にしないといった、どこか抜けている性格。


それならそれで気を遣わずに済むな、と一方通行は冷静に分析していたのだが、


「あ、あらあら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


オルソラはほんの僅かに赤面し、シャワーカーテンを自分の体に巻きつけてしまった。
全くと言っていいほど、その艶やかな体は隠しきれていないのだが。


「恥じらっちゃうのかよッ!? ンじゃなンで自分から出てくるンですかァ!?」


一方通行のツッコミは止まらない。

886 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:21:05.34 w2D06Eco 418/466



「申し訳ございません。 シスターの誰かかと思ったのでございます」


シャワーカーテンを指でつまみながらモジモジさせているオルソラ。
ついさっきまでシャワーを浴びていたものだから、彼女のショートヘアが所々顔に張り付いている。

そして上半身から下半身へ、水滴がツツツーと流れるその様は、一般男性なら
思わずアスカロンが赤く輝いてしまいそうな色っぽい姿だったが、一方通行は青ざめていた。主にツッコミの疲れで。


「シスターが『俺だ』とか言わねェだろォ! 普通に考えりゃ分かる事じゃねェか!」

「まさかあなたが私の部屋に入ってくるとは思わないのでございますよ」

「む、それは確かに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 俺にも非があるかもしンねェ」

「あら、いけません。 シャワーが勿体無いのでございます」

「少しでも反省した俺の気持ちを返せッ!!」

887 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:22:12.94 w2D06Eco 419/466


どうも話が噛み合わない一方通行とオルソラ。いや、むしろ息ぴったりと言えるのだろうか。
オルソラはシャワータイムの続きをおっ始めていた。カーテンを閉めることも忘れて。

わしゃわしゃとシャンプーを泡立てながら髪を洗う彼女の姿に、一方通行は呆れるしかなかった。


「・・・・・・カーテン閉めるっつう選択肢はねェのか?」

「今はシャンプー中でして。 申し訳ないのですが、閉めていただけるとありがたいので
 ございますが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「じゃァちょいとそこまで行くけど、いいンだな」

「それは・・・・・・、困るのでございますよ。 やっぱり結構でございます・・・・・・///」

「俺が結構じゃないンですよオルソラさン。 頬を赤らめながら言われても説得力ねェし」


どっちにしろ俺が見せつけられるハメになるじゃねェか、というツッコミを入れる気力もなくなった。
仕方なくカーテンに近づき、乱暴に閉める。完全に閉まりきっていないのだが、彼も彼女も気付いていない。
ガクッ、と頭をうな垂れた一方通行は、適当な壁に背を預けた。

888 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:23:43.74 w2D06Eco 420/466



「それで、いかがしたのでございましょう」

「ン、あァ。 ちょっと相談っつうか、しばらく俺らがしばらくここに世話になっちまうかも
 って話をしに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「あ、よろしければ一方通行さんも一緒にシャワーどうでございますか?」

「オマエは俺をどォしたいの? 入っちゃってもいいのかよ、あァ?」

「はっ、言われてみれば恥ずかしいのでございますね・・・・・・。
 なぜかあなたには寛大になってしまうのでございますよー・・・・・・」

「ここ、喜ぶところ?」


誰に言うでもなく質問してみる一方通行。
もちろん、彼も一応そういう類の常識は持ちあわせているので、
一緒にシャワータイム、ということはしないが。


「あの、私の姿、ちょっと見えているのではございませんか?」

「少しだけな。 別に見たりしねェから気にすンな」

「ソファーの上に置いてあるものも、出来れば
 見ないでいただけるとありがたいのでございます」

889 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:25:06.74 w2D06Eco 421/466


一方通行がソファーの方へ視線を向けると、丁寧に折りたたまれた修道服の上に、
これまた色っぽい下着の上下が置かれていた。というか見るなと言われた一秒後に見てしまった。


「あァ・・・・・・。 うン、いやもォそォいうピンクな話題はいらねェから」

「ぴ、ピンクだなんて一方通行さん・・・・・・、よく堂々とそんなことが言えるのでございますね///」

「オマエがフッて来たンだろ! いい加減にしねェとオマエの下着を
 色々分析しちまうぞこのクソシスター」

「下着の"色"と"色々"をかけているのでございますね。 下着一枚」

「誰がそンな低俗な洒落を言うか! って、え? 下着くれンの!?」

「一方通行さんは私の下着が欲しくてここに来たのでございますか?」

「あっ、違う! くっそ、汚ェぞオマエ・・・・・・」

890 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:26:47.33 w2D06Eco 422/466



「で、ではもしや・・・・・・下着ではなく修道服を? 申し訳ないのでございます。
 その修道服、もう既に洗濯済みなのでございますよ」

「オマエの中で俺って臭いフェチなのかよッ!!?」


今すぐ修正しろォ!!と、憤慨する一方通行。
わざわざイギリスまで来たのに(本意ではないが)、学園都市の第一位は臭いフェチです
と自己紹介してさようなら、ではあまりにも後味が悪すぎる。


「では一体、どのようなご用事で?」

「何だと思う? てか何だったか・・・・・・、あれ?」

「ま、まさか・・・・・・。 ・・・・・・一方通行さん、私、まだ心の準備が」

「飛躍しすぎだろォ!! ナニ考えてンだよ、つか考えちゃいけねェだろ
 シスターがそンなことを!!」

「私、まだ何も言っていないのでございますが」

「ああああああああクソッたれがァァァァァ」

891 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:28:00.96 w2D06Eco 423/466



「で、ではもしや・・・・・・下着ではなく修道服を? 申し訳ないのでございます。
 その修道服、もう既に洗濯済みなのでございますよ」

元々コミュニケーション能力に長けているとは言えない一方通行が、
独自のルールに基づいて会話をしているオルソラに敵う道理などありはしなかった。


「ていうかオマエ、キャラ変わってねェ? 出会ってばかりの俺が
 こンなこと言っても説得力ねェけどよォ」

「あら、すみません一方通行さん。 今、何時くらいなのでございますか?」

「ン・・・・・・、時計が見当たらねェから正確な時間はわからねェが。
 もォすぐ夕方になるンじゃねェか?」

「まぁいけません。 そろそろお夕食の準備をいたしませんと」

「早いな。 やっぱあれだけの人数のメシ用意するにはこンくらいからじゃねェと間に合わねェのか」

「えぇ、食料の買い出しもしないといけないので」


オルソラは今日の夕食の当番もしなければならないのか、と少し驚く一方通行。
彼女が当番の時は食堂が満席になると神裂が言っていたが、あれは本当の話だった。
昼食の時も満員御礼状態だった食堂を見て思った。

892 : 買い足しではなく買出しです、すみません ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:29:48.39 w2D06Eco 424/466



「めンどくさそォだな、手伝おうか?」

「まぁ、非常にありがたいのでございますよ。 買出しのお手伝いも
 していただければ言うことはないのでございますが・・・・・・」

「まァ、そンくらいならいくらでもやってやる。 世話ンなっちまってるしなァ」

「感謝するのでございます、一方通行さん」


昔の自分なら絶対にこんなことは言わなかっただろう。
キャラが変わったンじゃねェの?、とオルソラに指摘した一方通行だが、
彼も人の事は言えない。

こうして人に気を遣うことは、やはり慣れない。
自然にコミュニケーションが取れているだろうかと、一方通行は
九月三十日の黄泉川との会話を思い出す。

893 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:30:50.22 w2D06Eco 425/466



「もうすぐシャワーが終わりますので、お部屋でくつろいでいって欲しいのでございますよ」

「下着が転がってるような部屋でくつろげるワケねェだろ」

「一方通行さんは本当に下着の話題がお好きなのでございますねー」

「そォじゃねェ、そォじゃねェンだよちくしょう。 つうかそンな話を
 しにきたンじゃねェ!!」

「はて、何のお話をしていたのでございましょう?」

「あれだ、えーと・・・・・・」

「あぁ、お夕食のお話でございますね。 私、今日さっそく
 炊飯器調理法を実践してみようと決めているのでございます!」


フンスッ、と鼻息を荒げるオルソラ。どうやらエイワスに教わった炊飯器調理法を
早くもマスターしたようだ。素晴らしいを通り越して恐ろしい。


「どォ考えてもアレ、エイワ・・・・・・ドラコのアレンジが加わりまくってンだろ・・・・・・」

「そこに私のアレンジを加えることによって、更なるレパートリーの拡大が
 実現できるというわけなのでございますよ!」


彼女が作った朝食、昼食は確かに美味だった。あれが更に美味しくなるというのなら
と、少し期待してしまう自分が悔しい。一方通行は彼女の後ろ姿を見ながらそう思った。

894 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:31:34.53 w2D06Eco 426/466



「オマエ、料理上手いよなァ。 風斬が絶賛してたぞ」

「そんな、照れるのでございますよ。 でも、お料理は楽しいのでございます」

「オマエと結婚する男はさぞ幸せだろォな」

「も、貰っていただけるのでございますか・・・・・・?///」

「だから話を飛躍させンなっつうの!!」


せっかく普通の会話が出来たと思った矢先にこれだ。
一方通行は呆れを一周してむしろ元気が出てきた。

そして、話題がズレまくっていることに気付く。


895 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:32:38.55 w2D06Eco 427/466



「いやオルソラさン。 俺、そンな話しに来たンじゃねェンだって」

「そうでございましたね、確か・・・・・・私の下着の色について分析するとかなんとか」

「そォ、それだァ」


ようやく元の話題に戻ることが出来、安堵の息を吐く一方通行。


「清楚な感じじゃねェとダメ、みてェのは無いンだな。 白とか」

「うふふ、それは偏見なのでございますよ一方通行さん。
 シスターだって見えないところではお洒落くらいするのでございます」

「あァ、アニェーゼとかもそォだもンなァ。 あいつは靴とか服までオシャレにこだわってるが」

「というか、なぜ私の下着が白ではないとご存知なのでございますか?」

「いやだってあそこに・・・・・・、・・・・・・」

「み、見るなと言ったのに・・・・・・。 私、恥ずかしさのあまりに口から白熱光が出そうでございます」

「水爆実験で目を覚まし、東京を襲った怪獣はオマエだったのか・・・・・・」

896 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:33:44.52 w2D06Eco 428/466



指で額を押さえ、心頭滅却に勤しむ一方通行。
このままでは三日くらいオルソラと頭の悪い内容のトークをしてしまいそうだ。


「ところでよォ、オマエらってもォローマ正教に追われたりはしねェの?
 いくらイギリス清教に匿ってもらってるっつってもよォ」


何とかくだらない話題を逸らすため、さして興味もないことを聞いてみる。


「そのイギリス清教が保護してくれているので、私たちはこうして
 平和な日々を過ごすことが出来るのでございますよ」


なんとか食いついてくれた。まともな会話が出来ただけで
何でこうも喜ばなくてはならないのか、と一方通行は何回目かもわからないため息をつく。

897 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:34:54.00 w2D06Eco 429/466



「所詮、イギリス清教にとってオマエらってのは小宗派の一つに過ぎねェって事か」

「アニェーゼさんは、イギリス清教にローマ正教の分派を作ってやろうと、
 今でも企んでいるおつもりみたいでございますけど」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何考えてンだあのガキ」


そんなことを企んでいるの事が漏れてしまったらどうするんだと思ったが、
それはそれで何だか面白そうだとも考える。


「オマエはイギリス清教で何の役職に就いてンだ?」

「現在は暗号解読を主に務めているのでございますよ」


暗号解読。
ロシアであの羊皮紙を手に入れた時、オルソラがいれば
もっと早く打ち止めを助けることが出来たのだろうか。

もっとも、あの時の一方通行には理解出来なかっただけで、魔術師からすれば
小学生のドリル程度の代物なのかも知れないが。

898 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:36:09.59 w2D06Eco 430/466



「・・・・・・ま、後の祭りってヤツだわなァ」

「?」

「何でもねェ」


風斬からヒントを得たとは言え、打ち止めは自分の力で救った。
そう思う、そう思いたい。
シャワーが流れる音を聞きながら、一方通行は遠い目をしながらあの時のことを思い出す。


・・・・・・、よしよし、だんだんいい感じにシリアスになってきている。


「オマエ、ここに来る前は何をしてたンだ?」

「ローマ正教の布教活動を、各地で行っておりました」

「へェ、ローマ正教の押し売りセールスマンか」

「えぇ、『今ならこの電動歯ブラシもおつけするのでございますよー』とか。
 大変でしたけど、やりがいがあったのでございますよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

899 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:37:35.06 w2D06Eco 431/466


元とはいえ、ローマ正教のシスターがローマ正教をネタにしてボケてもいいのだろうか。
オルソラの場合はボケじゃなくマジなのかも知れないが。

というかこの女、早くもシリアスな雰囲気をデストロイしにかかっている。


「・・・・・・まァ今のは俺にも落ち度があるか。 コイツと喋ってるとつい
 言わなくていいことを言っちまう」

「そうでしょう。 だって、あなたは私と喋っていると、とても楽しいのでございますもの」

「逆だ逆! 何で勝手に決めつけンだよ! オマエの立場から出るセリフじゃねェだろそれは!!」


オルソラと会話をしていて、楽しいだと?
一方通行は即座に否定にかかるが、なぜか思い止まってしまう。
否定、出来ない。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちっ」

「うふふ」

900 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:38:54.00 w2D06Eco 432/466


彼女は最初に髪を洗う派だったのか、今度はタオルで体をゴシゴシと洗い始めた。
いよいよ持って、一方通行がここにいるわけにはいかなくなる。


「・・・・・・あァー、さすがに出ていこォか?」

「あなたなら、私は平気なのでございますよ」

「誘ってやがるンですかァ?」

「い、いえそんな・・・・・・そういう意味ではないのでございますけど///」

「恥じらうポイントがおかしくねェかオマエ!?」


壁に預けた背をズルズルと沈め、ドサッと座り込む一方通行。
やはり女性としての羞恥心はあるらしく、さっきから一方通行に対して正面を向いてこない。
ていうかそんなことをやってきたらもはや修道女ではなく、ただの痴女だ。

あるいは、客人に対して出て行けとか、見ないで、とかは失礼だからとでも思っているのだろうか。
オルソラの考えを把握出来ない一方通行は疲労がたまるばかりだ。

901 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:39:50.86 w2D06Eco 433/466



「でも、やはり女である身としましては、体を見られて何の反応も無いというのは
 ショックなものがあるのでございますよ・・・・・・」

「あはぎゃはっ! いい体してンじゃねェかオルソラさンよォ!!
 こいつはもォ襲ってくださいってアプローチだと受け取って構わねェンだよなァ!?」

「きゃー! あーれー、助けてなのでございますよー」


いい具合に壊れ始めた一方通行。
オルソラも律儀に乗っかってきて、ペタンとしゃがみ込みながら笑顔で怯えている。
・・・・・・笑顔で怯えているというのも、なんか妙な感じがするが。


「さァて、どこから舐め尽くしてやろォかなァ・・・・・・?」

「だ、大ピンチなのでございますよー・・・・・・」


指をわきわきと動かし、口を三日月のように開き、醜悪な笑みを作る一方通行。
徐々に徐々に、全裸でしゃがみ込んでいるオルソラに近付く。
彼はもう既に、彼女が使用しているバスルームへと入っていた。

これを誰かに見られたら、速攻でイギリス警察のお世話になっている状況だ。

902 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:41:05.49 w2D06Eco 434/466



「クカカカクキコカキコ!! さァ、ショータイムの始まりだぜェ・・・・・・?」

「ほ、本当に・・・・・・本気なのでございますか・・・・・・?」

「急に素に戻ンなよ!!!」


これでは本当に一方通行がオルソラを襲おうとしているだけにしか見えない。
プルプルと体を小刻みに震わせ赤面するオルソラを見て、一方通行の心に
実はコイツ、とンでもねェ悪女なンじゃねェか?と、疑惑が生まれていた。


「ったく、くだらねェ事やらせンじゃねェよ」

「一度男性の方と、こういうおふざけをしてみたかったのでございます」

「おふざけにも限度ってモンがあンだろォが!!」


てへへ、と舌を出しながら言うオルソラに激昂する一方通行。
この女、いつか本当にひどい目に会うのではないかと思うと、
なんだか目が離せなくなってしまう。

903 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:41:49.00 w2D06Eco 435/466



「あー・・・・・・恥ずかしかったのでございます・・・・・・」

「こっちのセリフだクソボケ」


さっきのやりとりを垣根帝督辺りにでも知られたら、一方通行は終わりだ。
ミーシャには何をされるかわからないし、エイワスなんかはそれをネタに一生からかってくるだろう。


「風斬なんかは普通にドン引きしそォだな。 二度と口も聞いてくれなくなるだろォな」

「なぜでございますか?」

「ただでさえ、風斬の中での俺の評価は最底辺なンだよ」

「"評価"と"氷華"をかけているのでございますね。 下着一枚」

「オマエついにノーブラノーパンになっちまったぞ!?」

904 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:42:48.88 w2D06Eco 436/466



「それで、なぜ風斬さんのあなたへの評価が低いと?」

「風斬なだけに"評価"なンだな。 下着一枚」

「やったー、なのでございますよー」

「欲しいのかよ!!」


悪ノリしてしまう一方通行。やはりこの部屋に来てからのくだらない会話の原因は、
一方通行にも非がある。いや、非がありすぎる。


「いやな、単純に俺が風斬に恥ずかしい思いをさせてばっかなンだよな」

「まぁ・・・・・・そのようなこと、私にお話ししてもよいのでございますか?」

「トラウマまでは植えつけてねェから!」


相変わらず話を飛躍させてしまうオルソラ。
仮に風斬に対してそんなことをしようとしたら、本当に殺されてしまう。
ギャグパートでの風斬はエイワスすら凌ぐ最強の存在なのだ。


「漫画とかでよくあンだろ、着替え中の下着姿のヒロインをたまたま見ちまったり、
 水着がポロリしちまって、それを至近距離で見ちゃったー、とかよォ」

「なるほど。 上条さんも、そのような事が多かったと聞いてるのでございます」

「あァ、ン? やっぱオマエもあの三下の事知ってンのか」

「えぇ、三下さんとは何度かお会いしてまして」


もうここしかない。
真面目な話をするチャンスは、このタイミングしかあり得ない。

オルソラにまで三下呼ばわりされる上条当麻の話題について話そうと、
一方通行は気を引き締める。

908 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/05 07:48:27.46 w2D06Eco 437/466




                          【次回予告】



『おぉ・・・・・・、携帯電話とは"はいてく"なのでございますねー・・・・・・』
―――――――――――元・ローマ正教のシスター・オルソラ=アクィナス




『・・・・・・、くっく。 もしかしたらあの二人、"お楽しみ中"なんじゃねぇの?』
―――――――――――イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』の魔術師・シェリー=クロムウェル




『フラグ・・・・・・なのかァ?』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)




『そうですよ!』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・風斬氷華

939 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:09:33.58 jF1U6iAo 438/466



「どォいうトラブルがあったンだよ? どォせまた何らかの事件か何かだろォが」

「えっと、最初に会ったのは・・・・・・。 九月の上旬頃でございますね」

「あァ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、それで?」

「え? それだけでございますが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」


こいつ、真面目な話をするつもりは無いのだろうか。
仕方なく一方通行がパスを出す。

940 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:10:48.70 jF1U6iAo 439/466



「いや、なンかあったから三下と会ったンだろ?」

「バスの乗り方がわからなくて、バス停でうろうろしていたら
 三下さんがいらっしゃって・・・・・・」


ダメだ。バスがどうとかではシリアスにはなり難い。
もっと話の本質を聞き出さなければ、と一方通行は割って入った。


「いや待て、そのバスの話はどォでもいい。
 三下の事だ、何らかの事件があったはずだ」

「私が『法の書』の解読に成功してしまい、争奪戦となった話でございましょうか?」


『法の書』。
これだ、ここを掘り下げていけば間違いなくシリアスを彩れる。
一方通行はしてやったりといった笑みを浮かべ、舌なめずりをする。


目の前に全裸のオルソラがいる状況で舌なめずりをする一方通行は、完全に変態にしか見えなかった。

941 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:11:29.36 jF1U6iAo 440/466



「『法の書』? 魔術的なアイテムなのか?」


まずは『法の書』について聞き出すことにした一方通行。
正直あまり興味はないのだが、これで話題のストックを溜めておける。


「えぇ。 『法の書』は"クロウリー"という名の魔術師が記した魔道書でございます」

(クロウリー・・・・・・? アレイスターと同じ名前じゃねェか)


まさか学園都市の統括理事長が魔術師でした、なンてオチはねェよな、と一方通行は
考えたが、すぐに無駄な考えだと判断し、話の続きを促す。


「『法の書』の内容は、"クロウリーが召喚した守護天使エイワスから伝えられた
 『天使の術式』を記した物"と言われています」


一方通行は思わずズッコケという古いリアクションを起こしそうになった。

942 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:13:39.53 jF1U6iAo 441/466



(エイワスだとォ!? あいつ、そンな事やってやがったのかよ。
 だがそォだとすると、やはりクロウリーってのは・・・・・・)


もちろんそのエイワスのくだりも、逸話でしかないのだが。


「他にも様々な内容の学説が存在してまして、先ほど申した守護天使エイワス説も
 事実である証拠は何一つ無いのでございます」

「あ、あァ・・・・・・、何だ。 そォいうことかよ」


あらゆる諸説の一つ、ということか。一方通行は少し安心した。
それにしても、いい流れだ。


「『法の書』を解読した時、十字教は終末を迎える、と言われてるのでございます」

「よォは発射方法が分からねェ核ミサイルみてェなモンか」


魔術サイドにもそんな代物が存在しているのか、と一方通行は
さっきまで関心が無かった『法の書』に、少し興味が出てきたようだ。

943 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:14:58.58 jF1U6iAo 442/466



「でもオマエ、その『法の書』を解読しちまったンだろ?
 え、何? もォ十字教って終わっちゃってンの?」

「いえ、私が解読したのは仕組まれていたダミーの解読法だったのでございます。
 ダミーとはいえ、解読には膨大な時間を要したのでございますが・・・・・・」

「なるほど、掌で踊らされてただけのピエロだったってわけか」

「私やシェリーさんでも、それっぽい文までしか辿りつけなかったのでございます」


"私や"と言っている辺り、魔術的な暗号の解読には自信があるようだ。
だからこそ、イギリス清教の暗号解読を担当しているのだろうが。


「それで? ダミーとはいえ解読しちまったンだろ? それってよォ、
 他の組織にバレたりしたらマズいモンなンじゃねェのか?」

「えぇ、そのせいで、私はローマ正教から追われる身となったのでございます」


魔術サイドにとっては例えダミーだろうと大問題なのだろう。
恐らく手痛い目に会ってしまったに違いない。

944 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:16:10.13 jF1U6iAo 443/466



「それからどォなった?」

「紆余曲折ありまして、今はイギリス清教に保護してもらっているというわけなのでございます」

「紆余曲折に思い出詰まりすぎだろォ!! 何面倒くさくなってンだよ!!」


結局、こうなってしまうのだ。
オルソラが誰と会話をしてもこうなってしまうのではない。
オルソラが一方通行と会話をするからこうなってしまうのだ。

つまり、オルソラは純粋に、一方通行との会話を楽しんでいた。

上条当麻とも何度か出会い、会話をしたが、ここまでおバカな会話はしたことがない。
ましてやそれが男性と、となると尚更だ。


「女の子のプライバシーを暴こうなんて、罰が当たるのでございますよー♪」

「裸を見せつけて下着をフル装備でプレゼントするよォな女にプライバシーはねェよ!」

945 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:17:56.65 jF1U6iAo 444/466


最近出会ったばかりだというのに、一方通行という男性はこうも会話を弾ませてくれる。
正直、今はシャワーを浴びている状態なので本当に恥ずかしいのだが、
それ以上に一方通行と会話をするのが楽しくて仕方がない。


「ちなみに今、上手い駄洒落が言えたら何が貰えるンだ? 修道服?」


言わなくていい事をいちいち言う一方通行も、満更ではないのだろうか。


「さすがに修道服を差し上げるわけにはいかないのでございます。
 シスターである身、修道服は手放せません」

「ま、そりゃそォだよな。 冗談で言ったンだが」

「ですので、私自身を差し上げる形になるのでございますよ・・・・・・///」

「修道服が泣いてンぞォ! あと頬を赤らめンな、妙な誤解が生まれる!」

946 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:19:31.92 jF1U6iAo 445/466


無論、オルソラはこんなことを言うキャラではないのだが、彼女は今、頑張っている。
客人である一方通行をもてなすという意味合いもあるのだが、
彼ともっと喋っていたいがために、一生懸命話題を提供しているのだ。それも無意識に。

会話がイマイチ咬み合わない部分は、彼女の天然が出ているのだが。


「いかがいたしましょう?」

「いらねェよ、全部キャンセルで」

「一度注文した商品は、キャンセル不可なのでございます。 ご了承ください」

「自分のことを商品だなンて言うンじゃねェ・・・・・・」


はァ、とため息をついて呆れる一方通行。
シスターや寮の魔術師の前では、さすがにこんなキャラじゃないんだろうなと思いたい。


「そのキャラ、作ってンのかァ?」

「キャラ・・・・・・と言いますと?」

「天然か・・・・・・、強すぎるぜこの修道女」


ならば自分にも落ち度があるだろう。調子にのってノリすぎてしまった。下着一枚。もう無かった。

947 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:20:36.98 jF1U6iAo 446/466



「一方通行さん。 それで、ご相談というのは?」

「リアルで『ふりだしに戻る』を実行しやがったこの女ァ!」


今度こそ、ズッコケリアクションをかましてしまった一方通行。
そういえばそのためにこの部屋に来たことを忘れていた。


「これじゃオマエの裸を覗きに行ったよォなモンじゃねェか・・・・・・」

「や、やはり覗いていたのでございますか?」

「あ、いや、見てねェ見てねェ。 大丈夫だ」


実際はカーテンの隙間から結構なパーセンテージで見えていたのだが、
一方通行はそんなことを気にしない。


「ではあなたは、私の下着をゲッチュしにこのお部屋へ来たということに・・・・・・」

「それだけはやめてくれェ! そンな第一位は嫌すぎる!」

「? では一体・・・・・・?」

「相談しに来たっつってンだろォがァ!!」

948 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:22:02.01 jF1U6iAo 447/466


というわけで、ようやく、ようやく本題に入ることが出来た一方通行は、
さっそく話を切り出す。これからの事についてだ。


「ロシアに行ける手立てが見つかるまで、ここに居させてくれねェかな」

「えぇ、最初から私は許容してるのでございますよ? よろしくお願いするのでございます」


本題、終了。
改行合わせて三行で事足りる相談だった。


「ではシャワーを終わらせますので少々お待ちを。 買い足しのお手伝いを
 お願いするのでございます」

「あァ、別に構わねェ」

買い足しとはいえ、あの人数だ。結構な大荷物になるだろう。
一方通行だけでなく、もう一人くらい連れてっていったほうがいいかも知れない。
もう復活しているであろう垣根帝督でも連れて行くか、と一方通行は考えた。

949 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:25:26.95 jF1U6iAo 448/466

――『必要悪の教会(ネセサリウス)』の女子寮・オルソラの部屋


オルソラ「あのー・・・・・・バスルームから出るので・・・・・・その、」

一方通行「わかった。 ドアの前に行く」カツッ カツッ

オルソラ「はー・・・・・・、とても楽しいシャワータイムでございました」ペタペタ

一方通行「そりゃご機嫌な事で。 くっだらねェ時間の浪費だぜ・・・・・・」

オルソラ「・・・・・・くだらなかった、のでございますか・・・・・・?」

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

オルソラ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」シュン

一方通行「冗談だよ、冗談。 いい暇潰しくらいにはなった」

オルソラ「ふふ、安心したのでございます」ニッコリ

一方通行「チッ・・・・・・」

オルソラ「・・・・・・見ないでくださいね」ゴソゴソ

一方通行「はいはい」ハァ

オルソラ「んしょ、っと・・・・・・。 あら?」

一方通行「?」

オルソラ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ペタペタ

一方通行「おい、どォした」

オルソラ「これは・・・・・・、携帯電話、というものでしょうか?
     インデックスさんのを一度使ったことがありますが・・・・・・」

一方通行「ッ!? あ、オイ、それ俺のだ!」

950 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:26:13.34 jF1U6iAo 449/466


オルソラ「あっ」パカッ

一方通行「何躊躇なく開けてンだよオイ!!」カツッ カツッ

オルソラ「きゃっ、見ないでと言いましたのに・・・・・・」

一方通行「俺のセリフだバカシスターが!! それに下着つけてるからいいだろ!」

オルソラ「そ、そんな・・・・・・///」

一方通行「その下着は俺のなンだろ?」

オルソラ「そういえばそうでございましたね」

一方通行「納得するのかよ・・・・・・」

オルソラ「まぁ・・・・・・。 可愛らしい子が画面に写っているのでございます」

一方通行「ちょ、オイ、マジで見るなって!」ガバッ

オルソラ「この子は一方通行さんの妹でございますか?」ヒョイ

一方通行「回避すンな! そしてそのクソガキは俺の妹じゃねェ」グァッ

オルソラ「おぉ・・・・・・、携帯電話とは"はいてく"なのでございますねー・・・・・・」ピピッ ピッ

一方通行「勝手に操作すンじゃねェよてめェ!!」バッ

オルソラ「きゃっ!」ドサッ

951 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:26:59.16 jF1U6iAo 450/466

――『必要悪の教会(ネセサリウス)』の女子寮・食堂


風斬「・・・・・・一方通行さん、遅いですよね」

シェリー「三十分以上は経ってるわ。 確かに遅ぇな」

風斬「交渉でもしているんでしょうか・・・・・・?」

シェリー「それはないわよ。 オルソラがここにしばらく居させろなんて頼みを
     断るわけが無ぇし。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

風斬「どうかしましたか?」

シェリー「・・・・・・、くっく。 もしかしたらあの二人、"お楽しみ中"なんじゃねぇの?」ニヤニヤ

風斬「? お楽しみ中・・・・・・って?」

シェリー「わかんないの? 男と女が部屋で二人きりなんだぞ?」

風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なっ////」

シェリー「ちょいと行ってみるかな」ガタッ

風斬「あ、一方通行さんはそんな人じゃありませんっ!」ガタッ

シェリー「わかんねえぞ? あいつ、相当の手練なんだろ?
     オルソラなんざ押し倒しちまったら一発よ」

風斬「絶対にないもん! そんなこと!」

シェリー「はっ、乙女だなぁ。 まぁどっちにしたってそろそろ夕食の準備の時間だ。
     とりあえず呼びに行こうぜ」

風斬「は、はい」

952 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:27:59.10 jF1U6iAo 451/466

――『必要悪の教会(ネセサリウス)』の女子寮・長廊下


風斬「うわぁー・・・・・・。 いっぱい部屋があるんですね」キョロキョロ

シェリー「アニェーゼ達が来る前は、無駄な数でしかなかったんだけどな」

風斬「私達、泊まることになったらどこの部屋になるんですか?」

シェリー「ニ階と三階に空き部屋があったはずだから、その辺になるんじゃない?」

風斬「こういうところって、何だか憧れるなぁー・・・・・・」

シェリー「どこに憧れるんだよ・・・・・・」

風斬「オルソラさんのお部屋、あそこですよね?」

シェリー「あぁ。 さーて、こんなに遅くなって何やってんだか」ククク

風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ドキドキ


「回避すンな! そしてそのクソガキは俺の妹じゃねェ」

「おぉ・・・・・・、携帯電話とは"はいてく"なのでございますねー・・・・・・」

「勝手に操作すンじゃねェよてめェ!!」

「きゃっ!」


シェリー「なんだ? 騒がしくねぇか?」

風斬「な、何をやってるんでしょう・・・・・・?」

シェリー「おいオルソラ、シェリーだ。 開けるぞ」ガチャ

953 : 矛盾発生、『天使同盟』は一度泊まっている。 申し訳ありません ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:29:47.83 jF1U6iAo 452/466


シェリーが扉を開けると同時に、風斬も部屋の中を覗き込む。


そんなわけあった。
一方通行とオルソラは部屋の中にいた。

一方通行がオルソラを押し倒していた。その直後の状態で硬直し、こっちを見ている。
オルソラは、下着を着用しているのみという、素敵で愉快な格好だった。


その様子を見た風斬も、『ザ・ワールド』を喰らったような状態になっている。
風斬の頭上にロードローラーが落ちてこないのが不思議なくらいだった。

シェリーもまた、石のように固まってしまっている。ゴーレムを操る魔術師なだけに。


一方通行はこの時、周りの時間が超スローモーションになっていることに気付く。
この状況をなんとか打破しなければ、自分は死ぬ。そういうことに違いない。

ここまで、0.01秒。

954 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:31:13.41 jF1U6iAo 453/466


一方通行は学園都市最高の頭脳をフル回転させ、この状況を突破出来る選択肢を
頭にスラスラと並べていく。千と十九通りの中から最終審査に選ばれたのはこいつらだ。


①ありのままに起こった事を全て隠さず話す。(最も現実的だが、話し終える前に殺される可能性がある)

②あえてウソをついてみる。(①と同様、言い終える前に殺される可能性がある)

③ベクトル変換能力を駆使し、オルソラから素早く離れる。(時すでに遅し。 絶望的選択肢)

④シェリーと風斬を殺し、自分も死ぬ。(最悪の選択肢。しかも風斬は無理っぽい)

⑤助けて! ドラコえも~ン!(例え助けてもらったとしても、その後が怖すぎる)

⑥あえてオルソラを襲ってみる。(非現実的な選択肢その1。彼女に罪はない)

⑦オルソラどころか、シェリーと風斬も襲い、口封じを試みる。(非現実的な選択肢その2。後処理が限りなく絶望的)


ここまで、0.37秒。シェリーがパステルのような物を取り出している。早過ぎるだろ。

955 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:32:57.19 jF1U6iAo 454/466



(ど、どォする!? どれを選択すればこの状況を乗り越えられるッ!!?)


スタンドを使用しているとしか思えないほど、今この空間の時は止まっている。
一方通行はこの間に打開策を考えなければならない。


(やっぱ無難に①・・・・・・!? いやここは②にかけてみるしかねェか・・・・・・!!)


ここまで0.55秒。 風斬の表情が微妙に変わっているような気がする。
悲鳴でもあげられてみろ、④か⑤辺りを選択しなくてはならない。

シェリーの方を見ると、パステルのようなもので空中に何かを描く瞬間だった。
この女に関してはもはや何をしても手遅れなんじゃないだろうか?


(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・⑦。 いや、風斬だけはダメだ! あいつにそンな事出来ねェ!!)


万事休す。どれを選択してもダメ。シェリーやオルソラはともかく、
風斬は二度と口を聞いてくれないに違いない。

956 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:34:09.49 jF1U6iAo 455/466





(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま、ある意味自業自得、か)


ここまで0.89秒。一秒でも経てばシェリーは何らかの魔術を発動できるだろうし、
風斬も悲鳴を、いや、悲鳴より先に雷鳴が轟くかもしれない。風斬のあれは雷では無いらしいが。

一方通行は悟った。悟りきった。この刹那の間に菩薩へと昇格した。
そして昇天も、もう時間の問題だ。


(あばよ、クソッたれの世界。 打ち止め、番外個体、約束は守れなかっ・・・・・・)


その時、
昇天して行く予定の天空から、光が差した。気がした。

ここまで、0.98秒。


「待つのでございますよ、シェリーさん」


⑧オルソラに弁明してもらう。

957 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:35:44.72 jF1U6iAo 456/466

――『必要悪の教会(ネセサリウス)』の女子寮・オルソラの部屋


シェリー「―――っ?」

風斬「・・・・・・っあ、え・・・・・・?」

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」シーン

オルソラ「お二人は、恐らく誤解をしているのでございます」

シェリー「いや・・・・・・、誤解っつうか、まだ何も言ってないんだけど」

風斬「こ、これはどういうことなんですか・・・・・・?///」カァァ

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ブツブツ

オルソラ「私がいけないのでございます」

風斬「え・・・・・・」

シェリー「な、何? まさか、お前から誘ったってわけなの?
     もしかして私ら、マジで邪魔しちまったか?」

オルソラ「あ、いえいえ、そういうことではなく」

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ボソボソ

風斬「あ、一方通行さん?」

シェリー「こいつ、完全に茫然自失になってるぞ」

オルソラ「私が一方通行さんに、ちょっかいをかけてしまったのが原因なのでございます」

シェリー「ちょっかい?」

風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

958 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:38:27.78 jF1U6iAo 457/466


信じられなかった。
今、目の前の下着姿の女は何を言った?


「私が一方通行さんの携帯電話を取り上げて、イタズラをしたのでございます」


そう、それが事実だ。だが事故とはいえ、オルソラを押し倒してしまったのは自分だ。
あとコンマ数秒経っていたら、一方通行は新たな人生を歩んでいただろう。


通常の時間の流れに直して巻き戻すと、一方通行とオルソラがもつれ合って倒れ、
風斬とシェリーがドアを開けた瞬間、『待つのでございますよ、シェリーさん』というわけだ。


・・・・・・どんな判断力だよ。風斬とシェリーがここに入ってくることを
あらかじめ知っていたとしか思えない。

シェリーもシェリーだ。ドアを開け、まだ部屋の中が完全に見えていない状態の時には
既に懐からパステルのような物を取り出していた。
一方通行が特に何もしていなくても魔術を発動させる気だったのだろうか。恐ろしい。

959 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:39:20.63 jF1U6iAo 458/466



「それで一方通行さんが携帯電話を取り返そうとして、もつれ合って、
 バターン。 というわけでございます」


一方通行は、目の前にいるオルソラが女神に見えた。
こんな状況でも、自分を庇ってくれるオルソラの優しさに涙が出そうになった。


―――――けど、そんな些細な優しさですら、今の一方通行にはもう。



「ほ、本当なんですか?」

「・・・・・・俺がそンな事するよォなヤツに見えンのか?」


とりあえず冷静に、一方通行は風斬を諭す。
部屋に入ってきたのが風斬でよかった。彼女なら自分の性格を分かってくれる。

960 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:40:52.98 jF1U6iAo 459/466



「・・・・・・そうですね。 一方通行さんはそんなことするような人じゃありませんよね」


ニコッと笑顔を見せ、納得してくれた風斬。
やはり分かってくれた。風斬を信じて良かった。


「・・・・・・あー、まぁオルソラがそういうんならそうなんだろうなぁ。
 こいつ、どっか抜けてるとこあるし」

「あの、一方通行さん、そろそろ・・・・・・」

「ン、あァ」


言われて、一方通行はオルソラから離れる。
誤解とは言ったものの、さすがにいつまでもこんな体勢ではマズい。


「いや、悪かったな一方通行」

「別に、分かってくれたならそれでいいンだよ」

「あぁ、そうじゃなくてよ」


あァ?と一方通行は首を傾げる。シェリーは『やってしまった』といったような表情だ。
ライオンのような金髪をポリポリと掻いている。


「なンだよ?」

「私さ、ゴーレムを作る素早さは自信があるのよ」


言いながらシェリーは人差し指を一方通行の右へと向ける。
それに釣られて一方通行も右へと顔を向けると、


「ぶごッッ!!!?」


家具等で製造されたゴーレムの腕だけが壁から伸び、一方通行の顔面へコークスクリューブローをかました。

961 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:42:07.01 jF1U6iAo 460/466


一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ボロッ

風斬「だ、大丈夫ですか一方通行さん?」

シェリー「生きてて良かった、ホント、ごめん」

一方通行「・・・・・・いや、いい」

風斬「全く・・・・・・ちょっと目を話した隙にフラグを建てるんですからなたは・・・・・・」

一方通行「フラグ・・・・・・なのかァ?」

風斬「そうですよ!」プンスカ

一方通行「まァとにかく、これで目が覚めたわ」

オルソラ「ねむねむだったのでございますか? ならやはりあなたも
     シャワーを浴びればよかったですのに」

風斬「・・・・・・シャワー?」

962 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:43:04.59 jF1U6iAo 461/466


一方通行「・・・・・・ (落ち着け、一方通行。 この展開だと・・・・・・どォなる?)」

オルソラ「えぇ、先程まで私もシャワーを浴びておりまして、
     そこに、」

一方通行「お、オルソラさァン!! そこはオフレコで―――」

オルソラ「一方通行さんが私の部屋へ入ってきて、バスルームで談笑していたのでございます。
     うふふ、それで楽しくなっちゃって、つい遅くなったのでございますよ」ウフフ

一方通行「ちょっと脚色してンじゃねェよ!! バスルームで談笑はしてねェだろ!!」

オルソラ「でもカーテンは開けっ放しでございましたし・・・・・・あなたが居た所は
     バスルームの範囲で間違いはないと思うのでございますよ?」

一方通行「そォでございますね」

風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シェリーさん、すみませんが・・・・・・」

シェリー「ま、こればっかりはしょうがねぇよなぁ。 わかったよ」カキカキ

一方通行「ちょ、待っ、『反射』―――」スッ

シェリー「遅い」シュッ


             メメタァ

963 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:43:48.18 jF1U6iAo 462/466

――『必要悪の教会(ネセサリウス)』の女子寮・食堂


オルソラ「さてさて皆さまー、お夕食の準備をするのでございますよー」

シェリー「買出しに行くんだろ?」

オルソラ「あ、そうでございました。 では皆さまには先に他の献立を
     作っておいてもらうのでございます」


「わかりましたー」

「了解でーす」


一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」フラフラ

エイワス「一方通行、聞いてくれ。 今、シスター・アニェーゼが・・・・・・」

アニェーゼ「ちょっ、余計な事は言わなくていいんですよっ!!///」

一方通行「あァ・・・・・・?」

ルチア「ん? どうなさったんですか、その怪我は」

アンジェレネ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一方通行「なンでもねェよ、なンでも・・・・・・」

アニェーゼ「何かあったんですか?」

風斬「知りません」プイッ

エイワス「ふふふ」

ガブリエル「c,wsgkroghjk疑惑vkeobhij」キュピリーン

964 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:45:03.77 jF1U6iAo 463/466


一方通行「はァ・・・・・・。 で、買出し行くンだろ?」

オルソラ「えぇ、よろしくお願いするのでございますよ」

エイワス「すっかりパシリ扱いだな、第一位」

一方通行「放っとけ、ていうかオマエも手伝え」

エイワス「すまない、私はこれでも忙しくてね」

アニェーゼ「仕方ねぇですね、ここは私が、」

アンジェレネ「は、はいっ! 私も手伝いますシスター・オルソラ!」ビシッ

ルチア「おや、珍しいですね。 シスター・アンジェレネから申し出るとは」

一方通行「オマエも見習えよ」

エイワス「ふふ、善処しよう」

風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ムッスー

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あのー、風斬さン」

風斬「気をつけて行ってきてくださいね・・・・・・」プイッ

一方通行「・・・・・・了解だァ」

エイワス「やれやれ、困ったものだな君も」

ガブリエル「jhtoijhony私khrojkyot買出jkbhojho」ビシッ

一方通行「オマエはここでシスターに足でも舐めさせてろ」

オルソラ「それでは、行きましょうか」

966 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/07 09:50:17.03 jF1U6iAo 464/466




                          【次回予告】



『・・・・・・あなたが話したいというのでしたら、
 私はどんなお話でも耳を傾けるのでございますよ?』
―――――――――――元・ローマ正教のシスター・オルソラ=アクィナス




『実験・・・・・・?』
―――――――――――元・ローマ正教のシスター・アンジェレネ




『"二万通りの戦闘環境で、とある人間を二万回ブチ殺す"っていう、
 愉快で素敵なクソッたれの実験だ』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)

991 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/08 13:48:27.03 smYdR.Ao 465/466


一方通行「ところでよォ」

オルソラ「何でございましょう?」

一方通行「どォいう店に買い物へ行くンだ?」

アンジェレネ「こ、ここです、ここ」


http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1291783492/


一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くっだらねェ」

オルソラ「まぁまぁ。 良かったらあなたもどうぞ」

992 : ◆3dKAx7itpI - 2010/12/08 13:54:57.72 smYdR.Ao 466/466

そろそろヤバめなので次スレを立てました。宜しければ>>991からご来店ください。

相変わらずの駄文まみれなSSですが、どうか、次スレでもよろしくお願いします。



次スレ(3スレ目)
一方通行「フラグ・・・・・・じゃねェだろ」  エイワス「まだそんな事を言っているのか」


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