加賀「お疲れ様です!! い、今オリョール帰りですか!?」
伊58「そうでち。確か今日は……180回目の出撃でちね」
加賀「いや、ホント、お疲れ様です!!」
伊58「気にしないでくれち。補給したらすぐまた行ってくるでち」
加賀「すみません! うちら大食いのために、本当、すみません!!」
瑞鶴「……」
伊58「全然大丈夫でち。加賀はもう鎮守府に来て1年立つでちね。後輩の前でそんな姿はダメでち。ちゃんとしてくだち」
加賀「は、はいっ! すみません!」
伊58「じゃあ、明日の作戦もあるだろうし、休むでち」
加賀「ありがたき幸せッッ!!」
瑞鶴「……」
加賀「あんた何してるのっ! 今から補給に向かうゴーヤさんに敬礼しなさい!」
瑞鶴「え、ええ? なんでよ。たかが潜水艦じゃん。あいつ」
加賀「ああ!?」
元スレ
加賀「ゴーヤさん!お疲れ様です!」伊58「おう」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433583874/
瑞鶴「え、え、加賀さん怒ってる?」
加賀「当たり前よ!! 貴方今、なんて言ったか分かってるの!?」
瑞鶴「た、たかが潜水艦って……」
加賀「鉄拳!!」ビシ
瑞鶴「あうっ!」
加賀「……」
瑞鶴「な、何するんですかっ!! いきなりっ!!」
加賀「五航戦の恥をぶん殴ってやりました」
瑞鶴「いや、それにしてもグーはないでしょグーは! たかが古くから居る潜水艦のことバカにしたくらいで……!」
加賀「今すぐにその口を閉じなさい五航戦。ゴーヤさんの悪口は赤城さんが止めてもこの加賀が許さないわ」
瑞鶴「……いや、なんでそこまで……」
加賀「貴方、この鎮守府に来てどのくらいたったかしらね」
瑞鶴「んーっと。多分、半年くらい、ですかね」
加賀「……そう」
瑞鶴「……なんなんですか。それが」
加賀「……今でもまだ……その偉大さが広まらないのね」
瑞鶴「?? どういう、こと?」
加賀「私達艦娘が、いつもなんの苦もなく出撃できるのはゴーヤさんのおかげです」
瑞鶴「い、いや。そりゃあ分かってますよ。潜水艦が燃料回収とかそういう役目を担ってくれるから、私たちは出撃できてます」
瑞鶴「でもですね。私達空母が艦載機を使って消費するのは、ボーキサイトじゃないですか。別に潜水艦のおかげじゃないし」
加賀「鉄拳Ⅱ!!」ビシ
瑞鶴「おうっ!」
加賀「燃料ももちろん必要でしょうが」
瑞鶴「い、いや、そうだけどさあ!」
加賀「それに、ゴーヤさんが回収してきてくれるのはそれだけじゃないわ」
瑞鶴「え?」
加賀「漂流していた艦娘……記憶を失くした子達。これまでにゴーヤさんは、何人の命を救ったと思う?」
瑞鶴「あ……」
瑞鶴「……」
加賀「……この鎮守府が動き出したのは2年前。それくらいは知ってるわね? 五航戦」
瑞鶴「まあ……そのくらいは」
加賀「当時、初めて今の提督が着任した。そのときは駆逐艦の材料や人材も不足していて秘書官という存在がおらず、何も鑑がない状態だった」
瑞鶴「……」
加賀「そんなとき、たまたま建造で生まれたのが伊58先輩よ」
瑞鶴「はあ」
加賀「提督もすごく困ったそうよ。潜水艦なんてろくな攻撃もできないし、勝率も悪い、他の艦娘を見つけることもできず、敵艦も殲滅できない」
瑞鶴「……」
加賀「それでもゴーヤさんは頑張ったわ。死に物狂いで。毎日。ずっと」
瑞鶴「……」
加賀「そして、彼女の集めた資材のおかげで私は生まれることができた。赤城さんと出会うこともできた」
加賀「この鎮守府もすごく賑やかになった」
瑞鶴「……でも」
瑞鶴「今だって、燃料集めしかできてないじゃないですか。しかもそんな古くからいるのに、まだレベル99なんでしょ?」
加賀「……」LV129
瑞鶴「……」LV124
加賀「ていっ!」ビシ
瑞鶴「ぎゃ!」
加賀「練度の問題ではないわ」
瑞鶴「う、うう……いや、そうかもしれないですけど……」
瑞鶴「加賀さんだってそう思いません? ケッコンカッコカリさえすれば、58さんだって強くなれるのに」
加賀「……強くなっちゃ……ダメなのよ……」
瑞鶴「なんでですか。出撃の時の燃料が増えるから? 弾薬を多く消費するから?」
加賀「……」
瑞鶴「そんなの結局言い訳じゃないですか。提督は鎮守府の資源を多く使わせないために、58さんとケッコンしないんでしょ?」
瑞鶴「なのに昔からいなかった私たちとははケッコンする。じゃあおかしいじゃないですか。提督に大事にされてないってことですよ。提督は、私たちの方が大事ってことです。本当にゴーヤさんを大事に思ってるなら、昔からずっと一緒にいたゴーヤさんと一番始めにケッコンするはずでしょ」
加賀「……」
瑞鶴「だから、『たかが潜水艦』と言ったんです。私の言うことは間違ってますか? 練度の低い艦娘に、この鎮守府にいる意味があるんですか?」
加賀「……れ」
瑞鶴「え」
加賀「黙れ。……何度言わせるの。ゴーヤさんを馬鹿にするような言葉は許さないわ」
瑞鶴「……」
~居酒屋 鳳翔前~
伊58「……」
伊58「お腹すいたでちね……」
伊58(休憩時間は10分だし、鳳翔のところで少しご飯でも食べるでち)
ガラッ
伊58「やってるでち?」
鳳翔「あ、ゴーヤさん! いらっしゃい。もちろんやってますよ」
伊58「よかったでち。今日の定食はなんでち? 食欲薄いから、魚がいいでち」
鳳翔「お任せください。今日の特上の焼き魚をお持ちしますね」
伊58「ありがとうでち」
金剛「きゃははーー! そこでねー? ミーが提督に言うわけデース! 提督、バーニングラーーーーブって!!」
金剛LV131
比叡「さすがお姉さま!! 既にケッコン済ですし、このまま提督とゴールインするんじゃないですかあ!?」
比叡LV112
榛名「こ、金剛お姉さま! 私も提督をお慕いしております……! そう簡単に提督はお渡ししません!」
榛名LV130
伊58「……今日も戦艦達は元気そうでちね」
鳳翔「ゴーヤさんのおかげですよ」
伊58「そんなこと、ないでち」
鳳翔「……」
伊58「ゴーヤができるのは、燃料を稼ぐこと、それと狙いになるデコイになること、それぐらいしかできないでち」
鳳翔「……」
伊58「それじゃ……提督の夢は叶わないでち。深海棲艦から海域を取り戻す。ゴーヤはその力にはなれないでち」
鳳翔「……そんなことないです。ゴーヤさんがいなければ、私達艦娘は出撃さえできないのですよ」
伊58「今はもう、そんなことないでち。潜水艦もたくさんいるし、資源も毎日遠征や寄付で足りてるでち」
鳳翔「……」
伊58「だから……ゴーヤはいなくても、もう……」
赤城「黙りなさい!!!」
伊58「え……」
金剛「わっ、ビ、ビックリしたデース」
比叡「ど、どうしたのですか? 赤城さん」
赤城「さっきから聞いていれば、提督がどうのこうのと! 情けない!!」
赤城「ゴーヤさんが貴重な時間を使ってお食事してるの! その時くらい静かにできないのですか!」
伊58「……赤城っち……」
金剛「OH! ゴーヤさんがイーティングしてたのデース? ごめんなさい、気付かなかったデース」
比叡「せ、潜水艦の方々は、食事も入渠も早いですからね」
榛名「すみません赤城さん……し、静かにしますので……」
伊58「あ、赤城っち。いいよ、そんな。58はご飯を食べれれば問題ないでち」
赤城「いや、でも……!」
金剛「ちょっとでも、居心地が悪くなったネー」
金剛「毎日海の匂いのする、レベルの低い潜水艦がいるからカナー?」
比叡「お、お姉さま! そのようなことは、その……!」
榛名「そ、そうです金剛お姉様! いくらゴーヤさんがもう鎮守府に不必要と言っても……!」
伊58「……」
赤城「あ、あなたたちはっ!! 人間の良心というものがないんですか!!」
金剛「オウ、大食いの貴方に言われたくないデース」
金剛「比叡? 榛名? ここは空気が悪いデース。間宮さんの甘味屋へ移動しましょウ!」
比叡「は、はい……」
榛名「……すみません、失礼します……」
赤城「く……!」
伊58「……」
赤城「すみません、ゴーヤさん……他の艦娘の育成がままならず……」
伊58「あはは、そんなことないよお~。全然気にしなくていいでち」
赤城「か、彼女らは失礼すぎます! ゴーヤさんのおかげでこの鎮守府はもっているというのに……!」
伊58「……そんなこと……ないでち」
鳳翔「……」
伊58「さっき鳳翔にも言ったけど、もうこの鎮守府は安心でち。ゴーヤが無理せずとも燃料は集まるし、なによりゴーヤの次に配属された、立派な赤城や加賀がいるでち」
赤城「ゴーヤさん……」
伊58「鳳翔は怪我で引退したけれど……それでも艦娘の気持ちを聞いてあげる良き居酒屋の女将になったでち。ゴーヤが言うことは他に何もないでち」
鳳翔「……いいえ。ゴーヤさん。私達はまだまだ若輩です。ゴーヤさんのご指示、ご鞭撻がないと」
伊58「……分かってるでち」
鳳翔「え……」
伊58「……提督が、一番古い私を海域へ出す意味」
赤城「いや、それは……!」
伊58「……ただの任務の早回し」
伊58「それだけでち」
赤城「……」
鳳翔「……」
伊58「……いいんでち」
伊58「ゴーヤは……ゴーヤは提督の喜ぶ顔が見られれば……」
赤城「そ、そんなことありませんっ! 提督は、その……! ゴーヤさんことも考えて……!」
伊58「大丈夫でちよ。赤城」
伊58「ケッコンをされない時点で、ゴーヤの存在価値はわかっているでち」
赤城「いや……そんな……!」
伊58「これから先、どんどん厳しい海域が出てくる。そうなれば、他の重雷の攻撃力アップのためにも、ゴーヤみたいな古い艦は、艦娘を降りるべきなのでち」
赤城「ダ、ダメです! そんなこと!!」
赤城「私達初期空母は、ゴーヤさんに命を見つけてもらった存在……! なのに、ゴーヤさんが艦娘を降りるなんて……!」
伊58「……」
鳳翔「……ゴーヤさん。できましたよ」ゴト
鳳翔「鯛の煮付け定食です」
伊58「……ありがとでち」
鳳翔「これは、ゴーヤさんが突破してもらった海域で釣れた鯛です」
伊58「!」
鳳翔「……だから……58さんが突破してくれなかったら……この魚を味わえないんですよ」
伊58「……」
鳳翔「……自分はもうダメだとか、他の艦娘に任せればいいだとか……そんなこと言わないでください」
鳳翔「私たちには……まだまだ貴方が必要です」
伊58「……」
伊58「……」
伊58「……」
伊58「……グス……」
伊58「……ま、まだまだでちね。鳳翔」パク
伊58「この魚には、塩が効きすぎでち」
鳳翔「……うふふ」
◇
伊58「さあ、今日も行くでち!! オリョールでち!!」
伊19「ええー? 今日もオリョールぅ?」
伊168「……流石にもう、飽きたわね……海のスナイパーの名が泣くわ……」
まるゆ「ま、まあまあ、そんなこと言わずにぃ~」
呂500「そうですって! ゴーヤ先輩の言うことは絶対ですって!」
伊19「……いや、そういうのはいいけどさあ」
伊58 LV99
伊19 LV128
伊168 LV131
まるゆ LV119
呂500 LV108
伊19「なーんで。今でもゴーヤが仕切ってるのか分からないなの」
伊58「……」
伊168「そうよねえ。一人だけ潜水艦でケッコンしてないし……」
まるゆ「そ、それは、多分、隊長に考えがあって……!」
呂500「そうですって! 提督は、色々、考えているですって!」
伊58「……」
伊19「でもぉ~。改になったイク達を差し置いて、ゴーヤ先輩が旗艦をするのは納得いかないなの!」
伊168「まあ、そうよねえ。旗艦で経験値をいっぱい稼ぐ必要もないし」
伊58「……」
まるゆ「でも……ゴ、ゴーヤ先輩は……先輩ですから……」
呂500「う、うん……」
伊58「……」
伊58「い、いいでちよ。イク」
伊19「えっ」
伊58「そうでちね。考えてみても、レベル限界のゴーヤが旗艦になる意味はないでち」
伊19「……」
伊58「だ、だからその。イクが今回から旗艦をやるべきでち!」
伊19「……そうなの」
伊19「じゃあ、やるなの! ありがとうゴーヤ先輩!!」
伊58「あ、あはは……。頑張るでち! イク!」
伊19「うん!!」
伊58(……これでいいでち……)
伊58(……これで……)
その日、潜水艦組は初めてオリョールのボスにS勝利を上げたでち。
ゴーヤが旗艦だった頃はありえないことでち。これも旗艦の19のおかげでち。
伊58「ふう……」
旗艦じゃないのに、入居せずにベッドへ眠れるのは久しぶりでち。
とっても心地よいでち。
でも同時に、不安と恐怖が襲ってくるでち。
提督(おっ、今日はイクがMVPかあー! すごいな、さすが旗艦だなあ)
伊19(えっへへー! 提督、もっとイクを褒めるのお~!)
提督(おう、よしよし。頑張ったな。イク)
伊19(提督に頭なでなでされるの、とっても気持ちいいのおおおおお!!)
伊58「……」
伊58「昔が懐かしいでち」
伊58「昔は……提督も……毎回ゴーヤを褒めてくれたでち」
伊58(提督うううううーーーーーー!!!)
提督(おお! ゴーヤ! どうだった!?)
伊58(やったでち……!)
伊58(オリョールで……オリョールで初めて……戦術的勝利したでちいいいい!!!!!)
提督(おお……!)
提督(おおおおおお!!! やった!! やったぞゴーヤ!!)
伊58(えへへ、ゴーヤの魚雷さんは、お利口さんなのでち!!)
提督(いや! 魚雷は艦娘がいないと動かないぞ。ゴーヤ、お前の戦法のおかげだ!)
伊58(そ、そんなことないでち……! 提督ぅ、照れるでち……!)
伊58(あ、そうだ。海域でこんな子がいたでち。金剛……? っていうらしいでち)
金剛(よ、よろしくデース……記憶はないけど……ゴーヤ先輩に拾われたのデース)
提督(おおおおお!! これは歴戦の戦艦、金剛じゃないか!! よくやったぞ! ゴーヤ!!)
伊58(えへへ……!)
伊58「……」
伊58「……何年前の話を思い出してるでち」
伊58「もう鎮守府は安泰。たくさんの艦娘がいる」
伊58「それでいいでち」
伊58「……」
伊58「……ゴーヤは……」
伊58「……もう……」
伊58「いらないでち……」
それから、何週間かたったある日。
ゴーヤは提督室に呼ばれたでち。
伊58「えっ」
提督「……聞こえなかったか?」
提督「解体だ」
伊58「……」
あまりにも突然な、残酷な命令でち。
もう。
ゴーヤは、この鎮守府に必要ないと判断されたでち。
伊58「そう……でちか……」
提督「……」
伊58「……残念でち……」
提督「……」
伊58「……でも……でも、ゴーヤは提督のこと信じてるから、この処分も仕方ないと思ってるでち。分かってるでち」
伊58「あはは……すごく、すごく……楽しかったでち。提督いつも面白いし、優しいし、いい人だし」
提督「……」
伊58「新艦のローマとリットリオは大丈夫でちか? まだ友達が少ないから不安でち」
伊58「秋津洲も、きっと不安がってるでち! 攻撃ができないからって自信なくして……!」
提督「……ゴーヤ」
提督「後のことは、任せてくれ」
伊58「っ!」
伊58「……」
今の一言でわかったでち。
ああ
ゴーヤはもう。
ここで
終わり。なのでち……
伊58「そうでちか……」
提督「……」
伊58「……しょ……」
伊58「しょうがないでちね!」
提督「……」
伊58「ゴーヤは潜水艦だし……他の戦艦や……可愛い重巡と比べて華もないし……」
提督「……」
伊58「初めからいた……う、うっとおしい艦娘だと思うし……」
提督「……」
伊58「あはは……ちょ、ちょっとの悪態ぐらい許してでち……! ゴーヤ……提督のこと好きだったから……ちょっと……いじわるしたくなったでち……」
提督「……」
伊58「……」
提督「……」
伊58「……止めない、んでちね。提督」
提督「ああ」
伊58「……」
伊58「そっか……」
提督「……解体室には足柄が待ってる。行ってくれ」
伊58「……」
伊58「うん……」
仕方ないでち。
これが上の決断。そして今後の海域突破における最善策なのでち。
これが……一番いいのでち。
提督「あー……ゴーヤ」
伊58「……ん?」
私は精一杯涙を抑えながら、提督を見ました。
だって。これが最後だから。
艦娘として……人間として……人として、最後だから。
提督とずっと付き合って来た私としては、解体される艦娘として涙を見せる訳にはいかない。
だって。
私が解体の時に泣いたら。
提督は、他の強い艦娘が解体されるとき、もっと悲しむでしょう?
提督「あれだ」
提督「その……」
伊58「……?」
珍しく寡黙な提督が恥ずかしそうにしてるでち。
提督「改にさせなかったのはな……」
バタン
金剛「ゴーーーヤせんぱあああああーーい!!」
伊58「へっ?」
金剛「もうダメデース!! これ以上見ていられまセーン!! ごめんなさあああい!!」
伊58「こ……金剛……?」
比叡「失礼します!! ゴーヤ先輩!!」ダキッ
伊58「ひ、比叡、どうしたでち?」
榛名「……すみません。ゴーヤ先輩」
赤城「うふふ……まだ、分からないのですか?」
伊58「え……」
続々と艦娘が提督室へ入ってくるでち。
あの子も。
あの子も。
摩耶「おいおいおーい! いきなり抱きしめるやつがあるかよー!」
オリョールで見つけたあの子。
伊19「もうー! 解体室で待ってたなの!! これじゃ台無しなの!!」
建造で生まれたあの子。
翔鶴「全く……加賀さんも瑞鶴も素直じゃないんだから……わざわざ普通の会話を、ゴーヤさんに聞こえるように言わなくたって……」
5-4で彷徨っていたあの子。
妙高「……ゴーヤ先輩。ほら、提督が待ってる」
ボスドロップで出た、あの子。
Roma「早くいきなさいよね……! 姉さんはそこまで待ってくれないわよ!」
Littorio「まあ、romaったら……!」
特別な海域で来た、あの子達。
提督「……」
伊58「……提督……」
どういうこと……?
提督「いや、だから、その。さあ」
伊58「……ゴーヤはなかなか、納得しないでちよ」
提督「うーむ……なんと言ったものか……」
鳳翔「……提督さんが、全艦娘様へお伺いしたのですよ」
伊58「鳳翔!?」
鳳翔「うふふ」
提督「お、おい鳳翔。全部は言わないでくれよ」
鳳翔「分かってますとも」
鳳翔「……ゴーヤさんを以後、ずっとお側に置きたい」
鳳翔「だから、君たちにはすまないが、あの子を改造しないでくれ、って」
提督「う……」
伊58「……」
提督は恥ずかしそうに帽子を深くかぶりました。
金剛「あーーーっ!! テーイトクー! それは恋人の前でしか見せないって言ったのにー!!」
金剛は相変わらず、提督のやることなすことに気をかけているようです。
加賀「……ケッコンカッコカリをした艦娘は、そう簡単に人間に戻れない」
加賀「だから提督は、あなたを改造しなかったのです」
伊58「……」
瑞鶴「わ、私達ってさ! 戦う存在じゃない!」
瑞鶴「ホントなら……その……け、ケッコンとか……幸せな人生に憧れるけどさ……」
赤城「私達を差し置いても、幸せになってほしい人物がいた……」
赤城「それが……提督にとって……ゴーヤさんなのよね? ……瑞鶴さん」
瑞鶴「さ、さあねー!」
伊58「……」
提督「そ、そんな睨むなよ」
提督「お前に気付かれずにするのに、結構苦労したんだぞ」
伊58「……その割にオリョール率高かったでち」
提督「は、恥ずかしかったんだよ!」
伊58「ええ?」
提督「いや本当な、主力じゃなくなっても毎回毎回優秀すぎる程燃料持って返るし……他の敵艦の攻撃を受けてくれるし……!」
伊58「……」
提督「お前をお嫁さんにもらったら、正直うちの鎮守府は困るだろお!?」
伊58「それは……嬉しいでちけど……」
伊58「今は他の潜水艦も育ってるし、ゴーヤがオリョールを回ることに関係はないと思うでち」
提督「いや、関係あるんだ!」
伊58「……えっ?」
提督「お前しか……その……稼いでくるやついないし……信用できないし……」
伊19「なんなの提督ー! それはイクを信用してないってことなのー!?」
提督「そ、そういう訳じゃないんだが……」
伊58「……」
提督「ていうかぶっちゃけなあ! お前をもうオリョールに行かせたくなかったんだよ! オレは!」
伊58「へっ?」
提督「だってよお……!」
提督「苦労も任務も、いつも一緒にこなしてくれた、たった一人の初期艦じゃんお前!!」
伊58「!」
提督「駆逐艦も軽巡もいないなかさあ……レアとも言われる潜水艦が来て……全然勝率も上げられなかったけど……」
提督「君がいてくれたおかげで! 今の鎮守府があるんだ!!」
提督「だからさあ!」
提督「お前に傷ついてほしくないんだよ!! 何よりも!! どんなものよりも!!
伊58「……」
提督「だから!!」
提督「だから……改造したくなかったんだ……」
提督「お前に……これ以上……負担を与えないように……」
伊58「……」
提督「ごめんっ。その、オレ……その辺の真っ当な提督じゃないし……仕事さぼってるばっかの提督だから……偉そうなこと言えないけど……」
赤城「うふふ……。うふふふふ……」
加賀「……提督……バレバレ」
提督「い、いいだろうが! 本当のプロポーズくらいオレも緊張するさ!」
伊58「……」
あれ
おかしいでち
ゴーヤの目から
涙が止まらないでち
提督「なあ、ゴーヤ」
提督は真っ赤な顔してゴーヤの肩を掴むでち。
こんな顔見たことない。
普段情けないようで、それでも艦娘のことを気にかけてくれる提督。
いつも艦娘側の気持ちになっていてくれる提督。
変わりないでち。
これが……私の知る提督でち。
伊58「……グス……なに? ……提督」
私は目に涙をいっぱい浮かべながら聞き返しました。
その涙がこぼれ落ちない様に。
涙が流れ落ちないように。
だって。
プロポーズされる時に、乙女が泣いていては、提督がうまく言えないでしょう?
提督「オレは……情けない男だ」
提督「君ら艦娘を使わないと、世界すら救えない」
提督「でも」
提督「世界を平和にすると同時に、君を幸せにすることが……僕の使命なんだ」
提督はそう言って、私の唇にキスをしてくれました。
周りを囲んでいた他の艦娘からは、拍手と啜り声が聞こえます。
幸せ。
提督。ゴーヤはとっても、幸せです。
艦娘でもいい。
人間じゃなくても、兵器でもいい。
今生きてる時間……たった一秒でいいから……
提督、私と、一緒に居てください
艦
87 : 以下、名... - 2015/06/06 23:17:25.44 OLqFgFMu0 32/32ご愛読ありがとうございました。
色々ご意見あると思いますが、ただただ不憫なゴーヤを幸せにしてあげたかっただけです。
日々疲れているゴーヤに、少しでも幸せがあるように……
文句等言われても、言い返せません。
だってゴーヤが好きですから。
いつもありがとうね、ゴーヤ。
君のおかげでいつも艦隊は出撃できます、ありがとう。