上条「はよーす」
青髪「おはー。何やカミやん、今日は早いんね」
上条「ただでさえ出席がやばいからな……」
青髪「このまま留年したらクラスメイト全員から先輩って呼ばれる日々が始まるでぇ?」
上条「それだけは勘弁してくれ」
青髪「ええやないかー。先輩、ちょっとパン買ってきてくださいよとか言われてまうと思うと胸の高鳴りが抑えれんで」
上条「いじめじゃねえかそれ! ……ん? どうしたんだよ土御門。やけに静かだな」
土御門「んー」
上条「何か機嫌が悪いような風に見えるんだけど」
土御門「そんな事はねえぜい。俺様いつものぜっこーちょー」
上条「むー……ならいいけどさ」
土御門「何でコイツはいらん時ばっかり勘が鋭いんだか……」
上条「あ?」
土御門「何でもねえよー」
元スレ
上条「転校生ってどういう事だよおい」鈴科「うるせェ。死ね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1271958563/
月詠「はーいおはよーございまーす。ホームルーム始めますよー」
月詠「またまた突然ですが転校生が来ましたー」
青髪「な、なんだってー!?」
月詠「そしてまたまた女の子ですよー。残念でした女の子たちー」
姫神「被った……。また……影が薄く……」
月詠「では転校生ちゃんどうぞー」
ガラッ
青髪「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!」
上条「え……? って、おい、まさか……」
土御門「……」
「鈴科……百合子、だ……ヨロシク」
上条「」
以下ダイジェストでどうぞ
「転校生ってどういう事だよおい」
「うるせェ。死ね」
「オマエ女だったのかよ」
「そォだよ悪いかよ。死ね」
「しかもなんで早速こんな状況になってますかね」
「俺が知るかよ。死ね」
「せんせー。精神衛生上非常によろしくないんでやっぱり元の席戻っていいですかー」
「おいちょっと待てよ、アク……鈴科」
「……なンだよ」
「せっかくクラスメイトになったんだしさ、仲良くしようぜ」
「やなこった。誰がオマエらみてェなのと仲良しオママゴトなンか――」
「あっれー? オマエら一体何仲良しこよしぶっこいてンですかァ?」
「――え?」
「はン、土御門がまたぞろ何かやってやがると思ったら……こォいう事かよ」
「……オマエには関係ねェだろォが」
「確かに関係ねェなァ、百合子ちゃンよォ」
「だったらさっさと失せやがれ。俺は今メチャクチャ機嫌悪ィンだよ」
「おィ上条。一つ言っとくけどよォ――――コイツに何かあったらブチ殺す」
「どういう事だよコレは! どうなってやがる!?」
「………………見ての通りだろ」
、 、 、 、、 、 、 、 、、 、 、 、 、
「なんでオマエが二人いるんだよ!?」
「……」
「どうなってやがる!? どういう事か説明しろ鈴科ぁ!」
「……そォだなァ、まずは改めて自己紹介するか」
、 、 、、 、
「始めまして上条当麻」
「学園都市のレベル5第一位、一方通行――――そのオリジナル、鈴科百合子だ」
「……よォチビ」
「チビって言うなー。発展途上なんだよ、ってミサカはミサカは精一杯ポジティブに生きてみる」
「ガキは元気でいいなァ」
「今帰り?ってミサカはミサカは可愛らしく首を傾げてみたり」
「自分で可愛らしくとか付けンな。そォだよ」
「……ふーん?」
「なンだよォ」
「セーラー服も似合ってるじゃない、ってミサカはミサカは微笑んでみたり」
「……お迎えだぞ、チビガキ」
「で、でも」
「いいからさっさと行け。あンまり困らせンな」
「う、うん……それじゃ、またね、ってミサカはミサカは名残惜しそうにお別れを言ってみる」
「ンな顔するな。何もコイツを取って食おうなンか思ってねェよ」
「勝手に代弁するンじゃねェ」
「チッ……まったく、ムカツク野郎だ」
「うるせェよ」
「さっさと連れて帰れ。ガキのお守りは疲れるンだよォ」
「頼んだつもりはねェけどな」
「そォ思うならちゃンと捕まえとけ。その辺の怖い兄ちゃンたちの世話になっても知らねェぞ」
「ふ、二人とももうちょっと仲良くしようよ、ってミサカはミサカは思わず言ってみたり」
「おー、いたいた」
「……チッ、うるせェのが来た」
「そろそろ午後の授業始まるぞ」
「サボる。邪魔すンな」
「なあ鈴科」
「昼寝の邪魔するなって言っただろォが。死ね」
「素朴な疑問なんだけど」
「コイツ人の話聞いちゃいねェ……」
「なんでオマエ、うちの学校なんだ?」
「……」
「俺なァ、無能力者なンだよ」
「おィそこのウニ」
「誰が寿司ネタだ高すぎて食えませんよええチクショウ! あれ、一方通行」
「ツラ貸せ」
「な、なんだよ、またやろうってのか!?」
「ちげェよ何ビビッてンだよ……ちょっと付き合え」
「俺が言えた義理じゃねェのは分かってるンだが」
「ああ」
「……アイツを、百合子を頼む」
「ああ」
「即答しやがった……」
「なあ、教えてくれ一方通行。鈴科にいくら聞いても答えてくれねえんだ」
「……あァ」
「鈴科は、オマエは、一体なんなんだ」
「鈴科百合子は、廃棄されたレベル5だ」
「レベル5第一位、鈴科百合子はある日突然能力を失った」
「原因は分からねェ。だが結果として、アイツは無能力者に転がり落ちた」
「そこで統括理事会は……事もあろォかアイツのクローンを作りやがった」
「ソイツはやっぱり妹達と同じよォに使い物にならねェほどのゴミだったんだがよォ……」
「何体作ったのかは知らねェ。けどよ、山のよォに作った」
「ソイツらに何をさせたと思う。山ほど作ってどォした」
「ソイツらはなァ、自分を殺せって言われたンだよ」
「数え切れないほどの『鈴科百合子』を作って、ソイツらを互いに殺し合わせたンだよ」
「だがらちが開かねェ。全然進みはしなかった。何年掛かる予定だったと思う。百八十年だぞ。笑わせる」
「途中で誰かが個体差を出してみよォと言い出した。少しずつ遺伝子配列弄って遊び始めた」
「結果大当たりだ。実験は加速度的に進み、ものの三ヶ月で第一位は返り咲いた」
「だがそれは鈴科百合子じゃなく……この俺、『一方通行』だって訳だ」
「それは同時に限界だった」
「気付いたらよォ……慣れたンだよ、飽きたンだよ、自分を殺すのに」
「だが、そのまま欲張った連中は、今度は御坂を殺せと言ってきた」
「同じように量産した御坂を、妹達を殺せと言ってきやがった」
「あとは……知ってのとォりだクソッタレ」
「そして、『一方通行』が出来上がったところで、『鈴科百合子』はお役御免になった」
上条「……鈴科」
鈴科「オマエ何を乙女の恥ずかしィ秘密暴露しやがってンですかァ? 死ねよ」
一方「……」
鈴科「ッケ、だンまりかよ。……おィ上条」
上条「なんだよ……」
鈴科「今聞いたことは忘れろ。さもなくば死ね」
上条「……んな事できるかよ」
鈴科「ったく、我侭なこって……」
一方「おィ、百合子」
鈴科「なンだよ第一位、オマエと話す事なンかねェよ。気安く口利いてンじゃねェ」
一方「……チッ」
鈴科「ケッ、ザマァねェな。ったく、どいつもコイツもよォ……」
鈴科「寄って集って俺の癇に障ってンじゃねェよ。死ね。オマエら残らず死ンじまえ」
一方「……」
鈴科「じゃァなァ。明日までに死ンでおいてくれると助かるンだがよォ」
上条「……鈴科!」
鈴科「ッチ……なンだよ」
上条「……、……。……また明日な」
鈴科「……死ねよクソッタレ」
上条「……なあ、一方通行」
一方「……なンだよ」
上条「オマエさ、シスコンだったんだな」
一方「…………はァ?」
上条「っはーよかったー」
一方「おィコラ何がよかったンだよ」
上条「オマエもそういうとこあるんだな」
一方「……なンだよそりゃァ、クソ」
上条「だったら簡単な事じゃないか……よっし、敵が見たぞ」
一方「はァ?」
上条「そうと決まればほら、行くぞ」
一方「行くって、どこへ」
上条「作戦会議だよ。ここじゃなんだしな、どっかに腰据えてやろうぜ」
一方「オマエ何言ってンだよ。意味分かンねェ。作戦ってなンの作戦だよ」
上条「そんなの決まってんだろ」
一方「……」
上条「仲直りしようぜ。いがみ合ってるよりその方がいいだろ」
一方「オマエ……前から思ってたけどよォ」
上条「なんすか」
一方「頭湧いてンじゃねェのか?」
上条「うるせえよ失礼な!」
一方「クソ、なンでよりによってこォいう展開になるンだよ……」
上条「……それにさ」
一方「あァ?」
上条「オマエにとって、アイツは一人しかいない肉親じゃねえか」
一方「……チッ」
上条「学園都市の第一位が女の子の一人もオトせないようじゃ沽券に関わるぞー」
一方「この期に及ンでまだ俺の前に餌チラつかせンのかよ……ったく、タチがわりィなコイツは」
上条「ん? どうしたよ最強」
一方「……なァオマエ……そンな事が本当にできると思ってンのかァ?」
上条「ああ」
一方「また即答しやがった……」
上条「だってほら、そうだろう? 誰も悲劇なんて見たくねえんだよ」
一方「……」
上条「どうせなら思いっきり馬鹿やってさ、喜劇にしてやろうぜ」
一方「本当にそォ思ってるならオマエは本物の馬鹿だよォ」
上条「馬鹿で結構。それで客が笑ってくれるならよ」
一方「客……だァ……?」
上条「さあ行こうぜ。主役はオマエだ、一方通行」
一方「…………上条」
上条「ん?」
一方「どォやら、俺も馬鹿のよォだ」
上条「……っは、はは……いいじゃねえか上等ぉ!」
一方「ったく、もォアレイスターの野郎なンざどォでもいい。あっちの事情なンか知るかよボケ」
上条「そうだよ、元々俺らは学生なんだ。大人のいう事無視して馬鹿やってナンボだろうが」
一方「血みどろの惨劇にはもォいい加減飽きてンだよ。ご都合主義だろォが上等だ」
上条「ああ、一緒に馬鹿やって拍手喝采貰ってやろうぜ主人公!」
一方「アイツもアイツだ、チクショウ。オマエがいつまでも悲劇のヒロイン気取りだっていうなら――」
「――まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!!」
.
SECRET STAGE "the Wrong Accelerator for the Grand Guignol" was Started...
ARE YOU READY?
.
16 : VIPに... - 2010/04/23 03:21:40.01 m.VT9EQo 14/262というわけで上条一方鈴科の三すくみルートです
番外中の番外ということで、いつものタイトルコールは序盤で
既に残酷劇は終わり、残るは荒唐無稽な茶番劇のみ
舞台側も客席側も適度なハイテンションが必要ですがどうかご容赦を
それでは誰も彼もが勝手気ままな悲喜劇の続きと参りましょう
【関連】
(上条×美琴 本筋1)
御坂「これって……デートよね……」
(本筋2)
御坂「じゅーでんー」
(本筋3)
御坂「ぴぃ!?」
(本筋4 黒子追加裏ルート)
美琴「じゅーでんちゅー」
(美琴ルートアナザー)
御坂「電池切れそう」
(本筋5 通行止め編)
打ち止め「じゅーでんー」
(色々迷走)
美琴「ぴぃ!?」当麻「お、久し振り」
(美琴ルートアナザー2)
御坂「ほ、ほら……あーん……」
(本筋6 通行止めリメイク)
打止「じゅーでんー」一方「」
(本筋6 通行止めリメイク2+α)
一方「余り俺を怒らせンなよォ、ブチ犯すぞ」打止「いいよ」【前編】
一方「余り俺を怒らせンなよォ、ブチ犯すぞ」打止「いいよ」【後編】
(黒子ルート)
白井「デートしましょう」上条「……はい?」
(よい子は見ちゃダメな浜面×絹旗ルート)
絹旗「デートしましょう」浜面「……はい?」
上条「ただいまー」
禁書「遅いよごはんー……あれ?」
一方「……よォ」
禁書「ねえとうま」
上条「なんでしょうか」
禁書「お知り合い?」
上条「友達だ」
一方「……だそォだ」
禁書「……そっか、うん。いらっしゃい」
一方「ちょっと邪魔させてもらうぜ」
禁書「そ、それはいいけどとうまご飯はー!?」
一方「これでも食ってろ」
禁書「とうま! お茶お出しして!」
上条「オマエには一度きっちり居候のイロハってのを叩き込んでやらないとならねえな!?」
上条「さて、とりあえず家に来たのはいいんだけどさ」
一方「なンだよ」
上条「どうしよう?」
一方「……まさかオマエ何も考えてねェンじゃないだろォなァ」
上条「よく考えたら上条さん女の子と仲良くなろうとしてみた事がなくてですね」
一方「よく言うなァ。いつも周りに女侍らせてンのによォ」
上条「オマエもしかして俺がハーレムキングみたいに見えてるのか?」
一方「それ以外のなンだってンだよ」
上条「どう見ても違うだろ! 片っ端から剣呑な連中ばっかりだぞ!?」
一方「あァ……この朴念仁を少しでも頼った俺が馬鹿だった……」
上条「んで、どうするよ?」
一方「うるせェよ、オマエが誑かしたンだろォが。きっちり責任取りやがれ」
上条「うーん。とは言ってもぶっちゃけ俺そういうのよく分からねえしなあ」
一方「なンでコイツがモテるンだよ……」
禁書「それじゃあ分かるような人はいないのかな、状況がよく分からないけど」
上条「それだ!」
一方「あてはあンのかよ」
上条「あるある。得意そうな奴がいる」
一方「土御門とか言ったら殺すぞ」
上条「違う違う。いかにもな奴がいるんだよ」
一方「いかにもォ……?」
上条「あー、もしもしー? 俺。上条さんですよー。うん、急で悪いんだけど今ヒマ?」
一方「……なンだろォなこの感じ。すげェ嫌な予感がしてならねェ……」
上条「おっけー。すぐ来るってさ」
一方「誰だよ」
上条「んー?」
一方「なンだよその顔は」
上条「俺もよく知らねー」
一方「なァ殴っていいか?」
禁書「ごちそーさまでした」
一方「それにしてもよく食うなァ、オマエ……全部食いやがった」
禁書「満足ー」
上条「俺らの分まで食いやがった……」
一方「しかたねェ……コンビニでも行ってくるかァ」
上条「だなぁ……よっと」
一方「あァいい、俺が行ってくる。ソイツが来た時にオマエがいねェとめンどくせェだろ」
上条「ああそっか。悪いな」
一方「どォいたしましてェ……ンじゃちィと待ってろ」
上条「おう、お帰り」
一方「……なァ、一つ聞いていいかァ?」
上条「ん?」
一方「なンでコイツがここにいるんだ?」
上条「俺が呼んだから」
一方「あァ。確かにコイツは得意そうだなァ……でもいくらなンでもねェだろ」
垣根「よぉ第一位、今日も不健康そうなツラしやがって。ちゃんと食ってるか?」
一方「どォしてよりによって垣根帝督なンだよォ!?」
一方「なァさっきまでのシリアス全開のノリはどこ行ったンだよどォしてこのメルヘン野郎が出てくるンだよォ!?」
垣根「うるせぇよ厨二病患者」
上条「えー、だってコイツ適役じゃね? いかにもな格好してるしさ」
垣根「テメェがいるってのは気に食わないがこの際仕方ねえ」
上条「悪いな垣根」
垣根「いいさいいさカミやんの頼みなら」
一方「なンでオマエらそんなにメチャクチャ仲良さそうなンですかァ!?」
上条「細けえこたいいんだよ」
垣根「頭かてぇなぁ」
一方「もしかしてこれ俺が悪いのか? 俺がおかしいのかァ?」
垣根「それで、俺に相談ってなんだよ」
上条「実はとある女の子と仲良くしたいんだけどな」
垣根「またまたー、カミやんモテモテじゃねぇか」
上条「俺じゃなくて、こっち」
垣根「…………、一方通行」
一方「……なンだよ」
垣根「小学生はさすがに犯罪だからな」
一方「なンで毎回毎回そォなるンだよ俺が一体何をしたァ!?」
垣根「違うのか?」
上条「俺のクラスメイト」
垣根「高校生だと……馬鹿な、俺の常識が通用しねぇ……!?」
一方「一体どこにそこまで違和感を覚えるよォな部分があるンだよそンな常識クソと一緒に捨てちまえ!」
垣根「んで、どんな娘なんだ?」
上条「鈴科百合子っていうんだけどよ」
垣根「へぇ、可愛い名前じゃん。写真とかないのか?」
上条「写真はねえけど、参考資料ならそこに」
垣根「ん?」
一方「……俺の、その……姉だ。仲良くしたいのは」
上条「マジ似てるから」
垣根「………………ふぅ」
一方「何か文句あるのかよォ」
垣根「ああ、一方通行。俺今までオマエの事勘違いしてたよ」
一方「なンだいきなり、気持ちわりィ」
垣根「オマエ……ロリコンじゃなくてシスコンだったんだなぁ!」
――カチッ
一方「殺す」
上条「お手数ですが表でお願いします」
上条「お帰り」
垣根「なんだよ、シスコンとかコイツにも可愛いとこあるじゃん……ププ」
一方「肉片にして冷蔵庫にブチ込ンどけばよかったか」
上条「そのネタは勘弁してくれぇ!」
一方「暴れてたら腹減ったァ……」
垣根「自業自得だろうが」
上条「その、一方通行。残念なお知らせが」
一方「あァ?」
上条「コイツの目の前に食い物放置しといたらどうなるか分かってるだろ」
禁書「ごちそーさまげぷ」
一方「あれ……俺の晩飯は……?」
上条「すまん、戸棚に緊急用のどん兵衛があるからそれで勘弁してくれ」
一方「何が悲しくて俺はどン兵衛啜らなきゃならねェンだ……」
上条「うちの居候がご迷惑を……」
一方「……まァいいが」
垣根「オマエ本当に小さめサイズの女の子に弱いな」
一方「やっぱりコイツの脳一度グッチャグチャにしていいかァ?」
上条「飯食いながらよくそういう事言えるな……」
垣根「よし、そろそろ本題に入ろうぜ。結局俺を呼んだ理由ってなんなんだよ」
一方「はァ? オマエ話聞いてなかったのかァ?」
上条「だから、コイツが姉貴とちょいと険悪だから仲直りしたいんだよ」
垣根「それはいいけどよぉ、なんで俺なんだ?」
上条「いやだって、垣根さん女の子の扱いとか上手そうじゃないっすか?」
垣根「ばっ、そんな訳ねぇだろ」
一方「……あァ?」
上条「またまたー、どうせ女の子何人も泣かせてるんだろ」
垣根「そんな訳ねえだろ!」
上条「……あれ?」
一方「おィ、どォも雲行きが怪しいンだが」
垣根「そ、そもそも俺、女の子とか手も繋いだ事ないし……」
一方「……はァ? じゃァなンだよ、オマエまさか」
垣根「まさかなんだよ」
一方「童貞か?」
垣根「ばっ! テメェ何言ってンだよ! そういうのは結婚まで取っておくもんだろうが!」
一方「」
一方「……上条」
上条「なんすか」
一方「チェンジ」
上条「いや、いくらなんでもそれ酷くね? わざわざ来てくれたってのに」
垣根「マジ外道だよなコイツ」
一方「オマエはマジで使えねェな」
垣根「表出ろ」
一方「上等じゃねェか」
垣根「うぜぇ、コイツマジうぜぇ」
一方「それはこっちのセリフだメルヘン野郎」
上条「あ、もう一人心当たりがあったから呼んどいた」
一方「今度は大丈夫なンだろォなァ」
上条「大丈夫大丈夫。アイツはマジでモテるから」
一方「本当に大丈夫だろォなァ……」
ピンポーン
垣根「お、来た来た」
上条「開いてるぞー」
ガチャ
海原「おや、これは皆さんお揃いで」
一方「」
海原「なるほど、そういう事ですか」
上条「どうだ?」
海原「自分でよろしければ微力ながら手伝わせていただきますよ」
上条「よっし!」
一方「なァなンでコイツなンだよ他にいねェのかよ」
上条「えーと、他に相談できそうな相手は、土御門と青髪ピアスと……あと浜面?」
一方「コイツが一番マシに見えてきて仕方ねェ」
海原「しかし一方通行、あなたに姉がいたとは驚きですよ」
上条「多少複雑な家庭環境だけどなぁ」
垣根「姉、ねぇ……」
禁書「なんか男臭くて近付けないかも。私の居場所がどんどん狭くなってる気がするんだよ」
海原「そうそう禁書目録、おみやげがあります」
禁書「ケーキだー!?」
垣根「さりげない気遣い……これが本物の実力っていうのか……!」
上条「真似できる気がしねえ! レベルが違いすぎるぞ!?」
海原「しかし相手が姉となると少し勝手が違うと思うのですが」
一方「オマエ妹いるだろォが」
海原「ですからあれは師弟関係のようなものだと何度言えば!!」
上条「それくらいにしておかないとメイド軍曹まで乗り込んできそうだからストップストップ」
垣根「あれ、もしかしてコイツら結構モテる? ぼっち俺だけ?」
一方「あのドレスの女はどォした」
垣根「アイツは仕事上の関係だよボケ」
海原「そういえばこの前繁華街で一緒に歩いているのを見ましたが」
一方「ホラどォしたよ言い訳してみろよ」
垣根「あ、あれはアイツが買い物に付き合えって言うから。ただの荷物持ちだよ馬鹿野郎」
上条「なんだかんだでオマエもモテるんじゃねえか! チクショウ俺だけかよ!」
三人「「「………………」」」
上条「……あれ?」
一方「とりあえずコイツ一度シメとくか」
上条「え? あれ? ちょっ、ま、暴力反対ー!?」
海原「仲良くなる。いいでしょう。しかし仲良くなるにはまず相手にそれなりに好意を持たれなければなりません」
上条「何事もなかったかのように再開しやがった……」
一方「オマエは寝とけ」
海原「こちらから一方的に好意を押し付けるだけでは駄目です。まず自分が相手にとって好ましいと思われるようにするのが前提条件です」
一方「オマエがそれを言うかよ」
垣根「ためになるなぁ……」
海原「その点あなたはダメダメですね。零点どころかマイナスです。お話になりません」
上条「落ち着け一方通行! まずは海原先生のご高説を聞こうじゃないか!」
一方「っ……いいだろォ、どこがいけねェ」
海原「その気質と、なんと言っても一番の原因は口調ですね」
一方「あァ?」
海原「刺々しすぎるんですよ。もう少し柔らかくできませんか」
一方「なンだそりゃァ」
海原「悪ぶるよりも女性に対しては優しくした方がモテますよ?」
上条「予想外にまともな展開だ……!?」
一方「優しく、ねェ……」
海原「しかし口調は……ふむ、過激な表現をもう少し抑えるだけでいいかもしれませんね」
垣根「なんでだよ」
海原「この世にはこういう言葉があります」
上条「それは……?」
海原「ギャップ萌え、と」
一方「」
垣根「なんだそりゃ?」
海原「たとえばこの禁書目録、食欲魔神キャラとして認識されています。見ての通り胃が異次元に繋がっているのではないかというフードファイターっぷり」
一方「それがどォした」
海原「取り出したるは自分があとで食べようと買っておいたチョコバー。これを彼女にあげます」
禁書「え、くれるの!? とうま、この人いい人だ!」
上条「オマエそればっかりだな!?」
海原「ここでちょっとお耳を拝借」
禁書「う? え……えー……」
海原「箴言、第11章第24節?」
禁書「うー……分かったんだよ……」
一方「あン?」
禁書「えと、その……」
一方「なンだよ」
禁書「……これ、あげる」
一方「…………、……はァ?」
禁書「さっき、あなたの分も、食べちゃったから」
一方「あ、あァ……」
禁書「……ごめんね?」
海原「いかがでしょう」
上条「あ、あのインデックスが……食べ物を……!?」
海原「自分の食べたいのを我慢してチョコバーを差し出す。普段周りを省みないほどの旺盛な食欲を披露しているにも関わらず」
垣根「つまり……どういうことだってばよ?」
海原「普段とは正反対の意外な一面を見せる。特にそれが相手を気遣うようなものであればなおさらです」
垣根「なるほど……」
海原「古今東西男女問わずこの手のギャップにはことさら弱いのです。不良が捨て猫を拾ったりとか」
垣根「確かにそれは好感度が上がるな……!」
海原「昨今話題のツンデレもこの部類ですね。人間不意を突かれると弱いのです」
一方「……おィ」
禁書「な、何かな」
一方「いらねェよ。別にそンなに腹減ってる訳でもねェ。オマエが食え」
禁書「……!」
一方「なンだよジロジロ見て。気持ちわりィ」
禁書「ありがとう……!」
一方「礼を言われるよォな覚えはねェよ。うるせェから大人しく食べてろ」
禁書「うん!」
上条「……」
垣根「…………」
海原「……あなたという人は、まったく」
一方「…………なンだよ」
上条・垣根「「先生よく分かりました!」」
一方「」
海原「そんな感じに何気ない感じを装いつつ適度に不器用な感じでやるといい感じです」
上条「こいつちっちゃい子には比較的優しいんだよなあ」
垣根「やっぱりロリコンじゃねぇか」
一方「よし三度目だ。今度はきっちりミンチにしてやるから表出ろォ!」
海原「まあまあまあ、落ち着いてください」
一方「なンだよ邪魔すンな」
海原「その血生臭い言動も少し抑えてですね」
一方「うるせェよ。俺に指図すンじゃねェ」
海原「お姉さんと仲良くしたいのでは?」
一方「オマエもブチ殺しといた方がいいかァ?」
上条「だからそれをですね一方通行さん」
一方「ぐっ……」
海原「よし、じゃあこうしましょう」
上条「というと?」
海原「二人とも、日頃彼に思うところはあるでしょう」
垣根「山ほどあるなぁ」
海原「自分もあります。そこで」
一方「何かとてつもなく嫌な予感がするンだが……」
海原「この機会に吐き出してすっきりしましょう」
一方「帰る」
海原「いえいえいえいえ待ってください。あなたのためですよ一方通行」
上条「そうだなオマエのためだもんな」
垣根「仕方ねえなあ一肌脱いでやるよ」
一方「離せ離しやがれ離せェえええ!!」
海原「さて、小一時間ほど一方的に文句を言ってすっきりしたところで、一方通行の様子は如何でしょうか」
上条「説明的なセリフをありがとうなんかイっちゃってる感じな虚ろな目なんですけど大丈夫かコレ?」
一方「今度コロス……精神的に回復したらコロス……」
垣根「普段打たれ弱いからこうなるんだよなぁ」
上条「さて、一方通行を廃人っぽくしたところでもう結構な時間なんだけどよ、オマエら大丈夫なのか?」
海原「おやいけない。これでも品行方正な優等生なのでそろそろ戻らないと」
垣根「んじゃ今日はお開きかね」
一方「帰って寝てェ……」
上条「んじゃ続きは明日ってことで、いいかな?」
垣根「いいともー、って言えばいいのか?」
海原「それでは自分は彼を送っていきますね」
一方「もォやだ……なンで俺が百合子のためにこンな目に遭わなきゃならねェンだ……」
上条「オマエが言い出したんだろ」
海原「それではこれで」
一方「じゃァなァ……」
上条「うぃーす、おつかれー」
垣根「……」
上条「どうしたんだ垣根、帰らねえのか?」
垣根「……なぁカミやん。一つ頼みがあるんだが」
上条「ん?」
垣根「……その……ええと」
上条「なんだよ」
垣根「今度さ……」
上条「ああ」
垣根「す…………鈴科さん紹介してくれねぇ?」
上条「」
上条「え、何? 何言ってるの垣根君……?」
垣根「いやさ、ほら一方通行の野郎、結構見た目女っぽいじゃん」
上条「あー、確かに。アイツ黙ってれば男か女か分からねえもんな」
垣根「しかもどっちかっていうとキレイ系じゃん。始めてみた時俺女だと思ったし?」
上条「うむ。確かにそこらのモデルとか俳優並みに美形なのは分かる」
垣根「ぶっちゃけ超好みなんだよ!」
上条「」
垣根「おいおい男かよーって感じだったんだけどさ、鈴科さんってアイツとそっくりな女の子なんだろ?」
上条「否定はしない。が」
垣根「が、なんだよ」
上条「言動まで似てるぞ。口癖は間違いなく『うぜェ』と『死ね』だ」
垣根「……イイじゃねぇか……やっべぇ、ゾクゾクする」
上条「」
上条「……垣根」
垣根「なんだよ」
上条「一方通行で我慢しとけ」
垣根「は? 何言ってんだ?」
上条「え、ダメ?」
垣根「だってアイツ男だろぉ? 俺にホモの気はねぇぞ」
上条「うん、さすがにそこの一線は越えないんですね」
垣根「当たり前だろ」
上条「でも一方通行って女だぞ」
垣根「………………えっ」
上条「うん、ごめん嘘」
垣根「なんだよ驚かせんなよ」
上条「上条さん今の間にちょっとドキドキです」
垣根「カミやんー」
上条「なんでせう」
垣根「次はねぇぞ」
上条「す、すみません……」
43 : VIPに... - 2010/04/23 17:22:34.47 m.VT9EQo 36/262さて、毎度のごとく展開まったく考えてないので頼んだぜ
>>50
50 : VIPに... - 2010/04/23 18:24:38.63 ov2LTwDO 37/262ヒーローマン
Go!!!!
51 : VIPに... - 2010/04/23 18:32:09.35 m.VT9EQo 38/262無茶振りにもほどがあるんだぜ……
53 : VIPに... - 2010/04/23 18:43:53.67 m.VT9EQo 39/262ヒーローマン見てない、ってか実はAngel Beat!も見れてないんだぜアニメ孤島
すまん再安価で>>55
55 : VIPに... - 2010/04/23 18:56:21.09 VhGCeDYo 40/262美琴が鈴科と遭遇。一方だと勘違いしてなんとなく険悪な雰囲気に。
打止「おっかいっものー、おっかいっものー、ってミサカはミサカは即興の歌を口ずさんでみたりー」
鈴科「あンまりはしゃいでると転ぶぞォ」
打止「大丈夫だよー、そんな事しないもんー」
鈴科「はァ……めンどくせェのに捕まった……」
打止「毎度の事ながら服がちょっと怖いかも、ってミサカはミサカは素直な感想を率直に述べてみたり」
鈴科「うるせェ。人の趣味に文句言うンじゃねェよ」
打止「どうせならもっと可愛い服着ればいいのに、ってミサカはミサカは提案してみる」
鈴科「オマエ本当にそォ思ってンのかァ?」
打止「うん」
鈴科「……似合わねェよ」
打止「そんな事ないと思うんだけどなあ、ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
鈴科「あァうるせェうるせェ。ホラ、小遣いやるから菓子でも買って来い」
打止「わーい、ってミサカはミサカは素直に買収されてみる!」
鈴科「はァ……ったく、ガキのお守りも疲れるなァ」
「ったく、めンどくせェ」
はァ、と溜め息を吐いて鈴科はベンチに腰を下ろした。
休日の大型スーパーの休憩スペースは若者のグループや家族連れで賑わっていた。
どうにも自分を気に入っているらしい黄泉川から打ち止めを預けられ、寮でゴロゴロと惰眠を貪る計画を今朝早々に絶たれ鈴科は不機嫌だった。
(とはいえ、あのガキには何の罪もねェンだがなァ)
無邪気に食品売り場に駆けていった少女の背を見送りながら鈴科はまた溜め息を吐く。
どうにも最近、思うように事が進まない。
気に入らないクラスメイトの不要な干渉で騒ぎ立てられ、事あるごとに今日のように打ち止めに振り回され、果てはあの忌々しい白い影が視界の端をちらつく。
それもこれも、自分が能力を失ったからだ。他者を寄せ付けず超能力者の頂点として君臨していた、あの絶対的な力を失ってから。
第一位。その称号がどれほどの虎の威だったのかを日常はまざまざと見せ付けていた。
能力を失った鈴科百合子はもはや学園都市には不要の存在だった。代替品の方が優秀なものだからどうしようもない。
用済みの烙印を押された鈴科には学園都市に居場所はない。そして鈴科自身にも、未練などなかった。
学園都市。日本という国の中に存在する異郷。発展しすぎた科学の犇めき合う異形の街。
その頂点に立ってみて分かる。
この街は狂っている。
この街に住む人々が、ではない。
この街の仕組みが、でもない。
街そのものが、だ。
対外的にそれなりの体裁を保っているものの、一皮剥けば血と薬品と硝煙の烟る奈落だ。
ここに一度足を踏み入れたものはそこから抜け出せない。どんなに苦しくて足掻いても、どろりとしたものが足を掴んで離さない。
その最奥まで踏み外してしまったのならなおさらだ。爪弾きにされたにも拘らずどうしようもないほどにそれは纏わりついてくる。
この街はどうにも犯しい。もちろん自分も含めて。
「ック……ククク、クハハッ」
何故だかとても可笑しくて、近くを通った大学生くらいの男が目をぎょっとさせるのも構わず鈴科は小さく嗤った。
「――何気持ち悪い声出して笑ってんのよ。夢に出てくるでしょ」
横から苛々とした声をかけられ鈴科は振り向く。
どこかで見たような少女が立っていた。
平日だというのに、店内の喧騒からはどこか浮いたどうにも独特の存在感のある制服。
ショートに整えられた髪には花を模した髪留め。けれどその可愛らしさも少女の醸す雰囲気によってぶち壊されていた。
少女は心底嫌そうに眉を顰め鈴科を見て――睨みつけていた。
険のある顔には見覚えがないものの、その顔立ちはよく知っている少女と同じものだった。
いや――一度だけある。無理やり見せられたある日の能力者同士の戦闘データ。
その中に彼女は今と似たような顔で写っていた。
「……御坂、美琴。第三位か」
見覚えがあるのは当然だ。 ラストオーダー
自分がつい今しがたまで一緒にいた『打ち止め』と呼ばれる人工の生命。その原型となったのは他でもない彼女なのだから。
「アンタこんなとこで何やってんのよ」
「いちゃァ悪いかよ」
アクセラレータ
「ええ悪いわよ。アンタは私の日常に登場しないで、『一方通行』」
その名で呼ばれるのは久し振りだなと思うが、そこで気付く。
彼女は自分の事を指して言ったのではない。
そもそも鈴科は彼女とは面識がないではないか。だとしたら。
ぎり、と奥歯が軋む。
「うるせェよ羽虫が。ワンワン唸ってンじゃねェ。死ね」
たとえこちらが知らぬ者でさえ、容赦なく『鈴科百合子』の存在は否定される。
苛々としているのを隠そうともせず鈴科はベンチから立ち上がる。
びくり、と身構えられるが鈴科は忌々しそうに彼女を見遣り舌打ちした。
視線で人が殺せたら。そう鈴科は思う。
無論そんな能力はもちろん、鈴科にはなんの超常の力もない。
今ここで目の前の少女に攻撃されたら、なす術もなくこちらが一方的に蹂躙される事は目に見えている。
けれど、鈴科にはそんな事はどうでもよかった。
「死ね、クソビッチ」
吐き捨てるように呟いて、鈴科は彼女に背を向けた。
彼女は何か言おうとする素振りをするものの、鈴科は構わず客の賑わう店内に消えた。
「……なんで……なんでアイツが出てくるのよ」
ぽつんと後に残された少女は呟く。
彼女は気付いていない。その目がつい今しがたまで目の前にいた相手と似ている事を。
「――ふざけんな」
バヂン、と空気の爆ぜる音がした。
上条「はーい、第二回鈴科姉弟を仲直りさせよう会議ー」
一方「あァクソ、こォなりゃもォヤケだ。頼むわ」
垣根「つってどうすんだよ。昨日みたいに集まっただけじゃねぇか」
上条「大丈夫ですよ、上条さんちゃんと考えてますから」
一方「本当かよォ……」
垣根「そういえば海原はどうした?」
上条「やむを得ない事情により本日は参加をご遠慮いただきました」
一方「……何かもォ先が読めた気がする」
上条「そろそろ来るかなー」
垣根「あん? 誰か呼んだのか?」
上条「ああ。知り合いを二人ほど」
垣根「お、おい……まさかそれ女じゃねえだろうな」
上条「そうだけど?」
垣根「帰る」
上条「おいおい、どうしたんだよ垣根。何か問題でもあるのか?」
垣根「あるに決まってんだろ!」
一方「何が問題なンだよォ」
垣根「……だってよぉ」
上条「うんうん」
垣根「女の子とか、俺何を話していいのか分かんねえじゃん」
上条「……垣根」
垣根「なんだよ」
上条「大丈夫だ」
垣根「何を根拠に」
上条「根拠はないけど多分大丈夫だ」
垣根「どっからその言葉が湧いて出てくるんだよオマエの脳はっ!?」
上条「まあまあ、一方通行のためだ」
垣根「俺は別にコイツなんてどうでもいいんだけどよ」
上条「(鈴科姉とこれを機会仲良くなれるかもしれない)」
垣根「やっぱり男同士の友情って大事だよな、うん」
一方「好きにしてくれェ……」
上条「あーらら、最初っからグロッキーですか」
垣根「どうすんだよコイツ」
上条「なるようになるんじゃね? お、来た来た。おーいこっちー」
垣根「適当だなぁ……って、おい、おいおいおいおいぃ!?」
上条「ゲストの麦野さんと御坂さんです」
麦野「」
御坂「」
垣根「」
一方「もォどォにでもなァれェ」
71 : http://twitter.com/aramaki_vip2ch[sage saga]">管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch - 2010/04/26 04:07:20.76 cbRKaWgo 48/2623レスしか進んでないけど寝ます
↓展開シチュぷりーず
72 : http://twitter.com/aramaki_vip2ch[sage]">管理人、Twitterを始める http://twitter.com/aramaki_vip2ch - 2010/04/26 06:59:15.08 wFpRieM0 49/262ていとくんが麦のんに弄られる展開で
御坂「…………ちょっと来なさい」
上条「なんすか」
御坂「いいから。来なさい」
上条「……すまん。ちょっと」
御坂「どういう事よこれは」
上条「どういうって……」
御坂「なんでアイツが――一方通行がここにいるのよ」
上条「だってアイツの事なんだもんよ」
御坂「はぁ?」
上条「ちょっと悩み事があってよ。それでちょっと協力してもらおうと……」
御坂「――アンタ、それ本気で言ってる訳?」
上条「本気でも何も……」
御坂「アイツが何をしたか忘れたんじゃないでしょうね!?」
上条「――――」
御坂「それを承知で私を呼び出すなんて……アンタふざけてんの?」
上条「……御坂」
御坂「何よ。言っとくけどね、もしアンタがとち狂ったような事言い出すならどうなるか分からないわよ。今ちょっと電圧高めだから」
上条「俺はただ……」
御坂「ただ?」
上条「みんなに仲良くしてもらいたいだけだよ」
御坂「――――――あは」
上条「……御坂?」
御坂「あは、は、ははは、はははははははははははは!! 何? アンタそれ本気で言ってる訳なの?」
上条「本気も何も……」
御坂「――ふっざけんなぁ!!」
御坂「アンタ、本当に馬鹿よね。ええほんと、救い様のない馬鹿ね」
上条「できるかできないかなんて、そんなのやってみねえと……」
御坂「そういう発想ができる時点でアンタはやっぱり馬鹿なのよ。そんな事できるわけないじゃん」
上条「っ――」
御坂「何を妙な幻想抱いてんのよ。そんな都合のいい話この世の中にある訳ないでしょ」
上条「……たとえそうだとしても、俺は」
御坂「その幻想をブチ殺す、って? 平和ね、アンタ」
上条「平和……?」
御坂「アンタ、自分のクローンがいつの間にか作られていた事ある? 自分のDNAマップがいつの間にか軍事目的に利用されてた事ある?」
上条「っ――」
御坂「自分とまったく同じ人間が目の前に現れた事ある? 自分が殺されるために生まれてきたって言われた事ある? 一〇〇三一回も自分を殺された事ある?」
上条「御坂――」
御坂「目の前で自分を殺された事、ある?」
御坂「それでも、そんな幻想をブチ壊せるってならやってみなさいよ」
――バヂッ
げんじつ
御坂「けどね――私の幻想は、アンタの右手ごときじゃ壊せないわよ」
りそう
上条「……例えそれが馬鹿げた幻想をだとしても、俺はそれを追いかける」
御坂「交渉決裂ね。帰るわ」
上条「待て、御坂――!」
御坂「触るなっ!」
上条「っ――」
御坂「じゃあね、馬鹿野郎。アンタ最低」
上条「…………、……御坂」
「なん……で……」
「なんでよりにもよって……アンタがあんな奴の味方するのよ……」
「ほんと、最悪だわ……信じらんない」
「ふざ、けんな……」
「ちくしょう……ちくしょぉ……!」
「アンタにそんな顔でいて欲しくない……アンタにそんな言葉をかけられたくない……!」
「アンタの手は……そんな風に使って欲しくない……!」
「ばか……やろぉ……っ」
. ゆめ
「こんな最悪な幻想……見たくないよぉ……っ」
垣根「おい、カミやんどうしたんだよ。遅かったじゃねぇか」
上条「ああ……悪い」
垣根「あれ、あの子どうしたんだ?」
上条「急用が、できたからって」
垣根「ふぅん?」
麦野「ちょっと上条ー、私まで呼び出しといてアンタ何よ。アンタがいなくなっちゃったら話進められないでしょ」
上条「ああ、すまん」
一方「…………」
麦野「それで、何なの? レベル5を四人も揃えて。一人帰っちゃったけど」
上条「それなんだけどよ……」
一方「……俺も帰るわ」
麦野「はぁ? アンタまで何言い出すのよ」
上条「一方通行……」
一方「……すまねェ」
垣根「なんだよアイツ、俺がわざわざ来てやったってのに」
麦野「まったくよ。私がせっかく来てあげたってのに」
上条「……」
麦野「んで、なんだったのよ」
上条「あー、そのですね」
垣根「おぃカミやん……」
上条「垣根君が誰か女の子紹介してくれって」
垣根「おいカミやんんんん!?」
頭痛がする。まるで頭をガリガリと掻き毟られているような錯覚。
それと耳鳴り。頭の血管を血液がごうごうと流れる音が聞こえる。
気持ち悪い。吐き気がする。
今日も視界の端ををチラつく電磁波は、まぶたを閉じても見えてしまう。
酷く目障りだ。だから手を伸ばした。
ぐいっ、と握り潰すように『力』を入れると、全部綺麗に消え去った。
これでよし。
すれ違った高校生くらいの少女が携帯電話を不思議そうに見つめていたがどうしたのだろうか。まあどうでもいいか。
空は見上げたくない。太陽から発せられた高濃度の磁力線やら放射線やらが大気に捻じ曲げられぐにゃぐにゃとうねっているから。
だから下を見て歩いた。太陽から隠れるように建物の影を伝い歩く。建材の放つ冷気が心地よかった。
ビルとビルの僅かな隙間。路地と呼ぶには細すぎ、暗すぎるそこに、何故か誘われるようにして入った。
ぶぅ……ん、とエアコンの室外機が低い音を立てていた。
表は飲食店なのか、ゴミを入れる青いポリバケツが嫌な臭いを発している。
ばちんと鳴らして分解してやる。爽やかな空気が肺に吸い込まれたけれど、体の奥に溜まった嫌な物は吐き出せなかった。
汚れるのも構わずその場に座り込んだ。
両手を見る。力を入れるとばぢぢっと青白い電気の帯が走った。
「……なんでこんな事できるようになっちゃったのかな」
ぼそりと呟く。
なんのために自分はこの力を手に入れたのだろうか。
何を目指して自分を鍛えてきたのだろうか。
ひたすらひたすら自分の脳を狂わせて、何をしようとしてきたのだろうか。
この力はなんのためにあるのだろう。
……答えは出ない。
「――なーんでこんな事になっちゃったのかな。どこで間違えたんだろ」
何故だかとてもおかしくて、涙が出そうになった。
じゃり、と砂を噛む音に、けれど顔を上げなかった。
見なくても分かる。分かってしまう。嫌になる。けれど顔を見なくて済むのなら都合がよかった。
オリジナル
「――こんな所で何をしているのですかお姉様、とミサカは尋ねます」
耳にこびりつく違和感。信じられないけれどこれは自分の声と同じらしい。
「よぉ……何しに出た妹」
「お姉様はミサカの事を妹と呼んでくれるのですね、とミサカは目を細めます」
そんな事知るか。不本意ながら世間様からは双子の妹に見られるだろう。
忌々しくも愛おしい自分の分身。その事実は嫌でも突きつけられる。他でもない自身の力によって。
ここに観測者はいないけれど、他でもない自分が観測者だ。
箱の中を知るのは神様と猫自身だけだ。
「こんな所で何をしているのですか、とミサカは再度尋ねます」
「うっさい。アンタには関係ないでしょ」
顔を向けぬまま、手を振りあっちへ行けと示す。
けれど動く気配はない。磁石にでもなったつもりか。
「いいえ、関係あります、とミサカは否定します。ミサカはお姉様がそのような格好をしている事に強い不快感を抱いています、とミサカは包み隠さず感情を吐露します」
「感情、ね。アンタがそんな言葉を吐くとは。随分とご立派になられたじゃない。それもアイツのおかげか」
我ながら嫌な台詞だと自重する。隠そうともせずそんな事を言えるそんな自分が堪らなく嫌だった。
嫉妬しているのだ。この少女は彼のそのまま好意を受け取り、素直にそれに応える事ができる。
自分はそんなに器用にできていない。
「こんなとこで油売ってる暇があったらアイツんとこでも行ってきたら? この先のファミレスにいるわよ。おねーさまちょこっとケンカしちゃってさー、今がチャンスよ」
どうしてこんなに心とは真逆の事を言ってしまえるのだろう、と不思議に思う。
自分の中の思考だの感情だのが好き勝手やりたい放題に暴れている。ともすれば全部吹き飛ばしてしまいたいほどに。
これは自分のせいなのか、それともアイツのせいなのか。ぐちゃぐちゃの思考回路では答えなんて出やしなかった。
「知っています、とミサカは簡潔に事実だけを伝えます」
――――、――。
止まった息を無理矢理吐き出し、そっか、と呟いた。
店の外から見られていたのだろうか。
だとすれば、なんとなく会話の内容も想像がついているだろう。
察しのいい子だ。何せ九九七〇人分もの思考を持っているのだから。
そんな事を考える自分がどうしようもなく惨めで、死にたくなった。
「それで、お姉様はこんな所でなにをしているのですか、とミサカは三度尋ねます」
「なんでも、いいでしょ。ほっといて」
「そういう訳にはいきません、とミサカは拒否します」
……いちいち癇に障る。
「ちょっと今気分が悪いの。そっとしといて」
ばちん、と空気が爆ぜる音がした。
「何度も九官鳥のように同じ言葉を繰り返すのは嫌ですが、何度でも言いましょう。拒否します、とミサカは宣言します」
パーソナルリアリティ セカイ
ぎし、と歯が軋んだ。何が自分だけの現実だ。そんな物があったとして、現実は優しくなんてない。
学園都市で三番目にぶっ壊れている自分でさえ現実の前ではこうして容赦なく蹂躙される。
ふつ、と昏い衝動が湧く。子供の癇癪のように、当り散らしてぶち壊したかった。
けれど理性がそれを止め、
けれど路地裏の腐った空気を雷光が舞った。
本気ではない。威嚇だけだ。そう思って右手を向けた。
それだけでこちらの苛立ちが充分に分かるだろう。容赦なく感電させた。
けれど。
「――――ぁ」
不思議な感覚に顔を上げる。
暗い路地裏に一際輝く青白い電光。
じじ、と空気を焼く音を立てるそれは、蛇のように、鎖のように見えた。
そしてその先に立つ、自分と同じ顔をした少女は、自分と同じように右手をこちらに向けていた。
その腕に雷光を纏わせながら、澄んだ目でこちらを見つめていた。
「――お姉様」
一歩、こちらに近付く。
靴が砂を噛むそれがなんだかとてつもなく恐ろしい物の足音に聞こえた。
「お姉様、とミサカは繰り返し呼びかけます」
もう一歩、こちらへ近付く。
「ミサカはお姉様に強い不快感を抱いています、とミサカは率直な感想を述べます」
一歩、一歩、一歩。
「何故お姉様がそのような格好でいるのか。ミサカにはそれが我慢なりません、とミサカは手を広げます
あと、一歩。
「何故お姉様がそのような顔をしているのか、ミサカには我慢なりません、とミサカは手を伸ばします」
あと、――――。
「来るなぁああああああ!!」
突き飛ばすように伸ばした雷光を纏った腕は、けれど掴まれた。
暖かく、柔らかい手に握られた。
そこを基点に、ぱりぱりと空気を小さく爆ぜさせながら二人の腕を小さな光が走ってゆく。
「――お姉様」
何度も何度も、彼女は呼びかける。
そして。
「いきましょうお姉様、とミサカは手を引きます」
その言葉に、どうしてと尋ね返した。
どうして自分なのか。
どうして他の誰かではないのか。
どうして手を握るのか。
どうして他の誰かではないのか。
「そんな事決まっています、とミサカは抱き起こします」
そしてその少女は、もう見飽きた顔で、笑ってこう言った。
「それがお姉様だからで、それが妹だからです、とミサカは結論付けます」
けれどその見飽きた顔の少女の笑顔を、美しいと思った。
「いきましょうお姉様。あの方の所に、とミサカは手を引きます」
重かったはずの体は、思ったよりも軽かった。
「何をそんなに不貞腐れてるの、ってミサカはミサカは尋ねてみる」
「うるせぇよ。オマエは何か、俺に満面の笑顔でも求めてんのか」
「そんなぶすーってした顔よりはいいと思うんだけどなあ、ってミサカはミサカは思ったままを言ってみる」
「オマエ本当にそう思ってんのか。この前上条に笑ってみろって言われてやったら『オマエそれ怖っ! マジ怖いっ!?』って言われたぞ」
「そうかな、ってミサカはミサカは小首を傾げてみたり。ミサカは好きだけど、ってミサカはミサカは個人的な意見を述べてみる」
「誰もオマエの趣味嗜好を聞いてねぇよ」
「ミサカは好きだな、ってミサカはミサカは繰り返しながら笑いかけてみたり」
「……わりぃ。ちょっと今はそんな顔できそうもねぇ」
「いいよ。あなたが作り笑いできるほど器用じゃないってのは知ってるから、ってミサカはミサカはあいたたた」
「不器用ですみませんでしたねぇ!」
「ほっぺ引っぱらないでー、のびるー、ってミサカはミサカは涙ながらに懇願してみたりー」
「あーこの顔どっかで見た事あるなぁ……カエルか」
「ゲコ太は可愛いけどゲコ太顔になるのは嫌ぁー! ってミサカはミサカは頑なに拒絶してみるー!」
「何言ってんのか分かんねえよ」
「……もしかして落ち込んでる? ってミサカはミサカはほっぺを摩りながら顔を覗きこんでみたり」
「……そんな訳ねぇだろ」
「傷付いた? ってミサカはミサカは質問を変えてみる」
「そんな訳ねぇよ。…………ただ」
「ただ? ってミサカはミサカは繰り返してみたり」
「……思い知っただけだよ」
「…………」
「ちぃとばかし上手い事話が進んで調子に乗ってた馬鹿が現実見ただけだ。馬鹿が馬鹿を見た。それだけの話だ」
「…………」
「ったく、何を浮かれてたんだろうなぁ、俺は。そんな都合のいい話がある訳ねぇだろぉが」
「……それで」
「あん?」
「それで、あなたはこれからどうするの、ってミサカはミサカは尋ねてみる」
「…………オマエは、どうしたい」
「ミサカに聞かないで。ミサカはあなたじゃないし、あなたもミサカじゃない。ミサカを言い訳にはしないで、ってミサカはミサカは静かに言い切ってみたり」
「……悪い」
「ううん。でもあえて言うなら……あなたのしたいようにすればいいと思う、ってミサカはミサカは笑ってみたり」
「結局変わらねぇじゃねぇか」
「あなたはもう少し自分に素直になるべきだと思う、ってミサカはミサカは日頃思っていた不満をここぞとばかりにぶつけてみたり」
「…………そうだな」
「もう一度聞くよ? あなたはどうしたいの、ってミサカはミサカは手を握りながら尋ねてみる」
「………………俺は」
「うん」
「……もう……残酷劇なんて御免だ。人殺しなんてたくさんだ。血生臭い話はこりごりだ」
「うん」
「アイツが言ったんだよ。誰も悲劇なんて見たくねぇって。もう救いのない悲劇なんてたくさんだ」
「うん」
「だからこれは罪滅ぼしだ。相殺なんてできるはずもねぇ。が、そのまま踏み倒すなんていう情けねぇ事もしたくねぇ」
「……できるよ、ってミサカはミサカはあなたの手を強く握ってみる」
「……、……」
「ミサカがそれを手伝うよ。ミサカはあなたに助けられたから、こんどはミサカがあなたを助ける番だよ、ってミサカはミサカは笑ってみたり」
「いや、オマエは何もしなくていい」
「え? ってミサカはミサカは思わず訊き返してみたり」
「コイツは俺の舞台だ。幕引きは自分でやるさ」
「……うん。分かった、ってミサカはミサカは少し寂しそうに笑ってみる」
「そんな顔するんじゃねぇよ。オマエはそこで見ていてくれ」
「…………、……うん」
「見ていろ。最後には喜劇にしてみせる」
「うん。楽しみにしてるよ、ってミサカはミサカははにかんでみたり」
「ああ、少しだけ待っていてくれ。それで……その時は笑って拍手でもしてくれ、ラストオーダー」
――なんだ、これは。
いったい何があったんだ。
何を吹き込んだらあの殺人鬼があんな台詞を吐くようになった。
意味が分からない。まるで狂った悪夢だ。
白昼夢ではないかとさえ疑った。
けれど脳波は正常で、その意味するところは自分は正気なのだという事だった。
セカイ
――じゃあ何か。現実が狂ってるのか。
「――以上、ライブでお送りしました、とミサカは中継を終わります」
正気なのか狂気なのか分からない。
いつもの感情の読めない表情で妹が首を傾げた。
「………………っは」
滑稽で仕方なかった。
だから思わず笑ってしまった。
何故か涙が出るほど犯しかった。
「……お姉様?」
「何よこの茶番は。これじゃあまるで……」
世界はいつだって優しくなんかない。
救いなんてあるはずがない。世界は惨劇に彩られている。そうでなければ救いがない。
どうしようもなく現実というものは残酷で、誰も彼もが思わぬ悲劇に嘆くのだ。
理想なんて通用しない。現に自分は理想とは遠くかけ離れた存在ではないか。
道化は、自分だった。
「私が悪者じゃない……」
「アイツに救いなんてあるはずがない。今さら救われようなんて虫がよすぎるじゃない」
カミサマってものがもしいたら、やっぱり誰もに平等なんだろう。
誰もに等しく残酷で、誰もに等しく救わない。
そうでなければおかしい。そうでなければ――
「あの子達が救われないじゃない……」
今までに生まれ殺された一〇〇三一の命はなんだったというのだ。
生まれてきた事を祝福もされず、生まれるより前からその存在を秤に掛けられ、その計算された通りに使い潰された。
そんな悲劇があったにもかかわらず。
「なのに……なんでアイツはあんな事が言えるのよ……」
もしも現実が目覚める事のない悪夢ならば。
その時はどうすればいいのだろう。
この救いのない世界から、自分はどうすれば救われるというのだ。
「――救いとはなんでしょう、とミサカは問いかけます」
自分と同じ顔をした少女は言う。
「この世に神なんて存在しない。あるのは、あるがままの事実だけ。ならば人は何によって救われるというのでしょう、とミサカは問いかけます」
「それ、は……、……」
答えられなかった。
答えを知っている気はした。
けれどそれを言ってしまったら言い訳にしてしまったようで。
だというのに、彼女は続けた。
「あなたですよ、お姉様、とミサカは手を取ります」
――何を、言っているのだろう。
息が詰まりそうになった。
どうしようもなく胸が苦しくて、ともすれば溺れてしまうのではないかと錯覚するほどに。
何故だか視界がぼやけてしまって目を伏せた。
「お姉様がそう思ってくれるからこそ、ミサカは救われるのです、とミサカは結論付けます」
この街に、救ってくれるカミサマなんていやしない。
いたとしてそれはきっと機械仕掛けの木偶の坊だろう。
「ですからお姉様、とミサカは手を握ります」
けれど、救いはあった。
この地獄みたいな街にも救いはあった。
「お姉様もまた、救われていいと思うのです、とミサカは僭越ながら愚考します」
それは他でもない、合わせ鏡の先の自分だった。
「それでもなお救われぬと言うのなら――ミサカが救い出してみせます、とミサカは宣言します」
どうしてだろうか、その一言で救われた気がした。
『――なんだ』
「……アンタ、私に協力してほしいって言ってたわよね」
『ああ……』
「交換条件よ。私にも協力しなさい」
『は?』
「まださっきのファミレスいる? いるならアイツを呼び戻しなさい。今すぐ」
『……』
「別に店の前でドンパチやるつもりはないわよ。ちょっとアイツに一言言わなきゃ気がすまないだけ」
『……、……分かった』
「ん。あとさ……」
『なんだよ』
「……さっきは、ごめん」
『気にするな』
「……うん」
一方「……なンだよ」
御坂「ちょこーっとね。アンタに用があるのよ」
一方「……打ち止め、店ン中入ってろ」
打止「で、でも……ってミサカはミサカは口篭ってみたり」
一方「世話ァ焼かすンじゃねェよ」
打止「……うん」
御坂「ごめんね。ちょっと待ってて。すぐ済むから」
一方「…………、……ンで、なンだよ」
御坂「アンタさ、本当にできると思ってんの?」
一方「何がだよ」
御坂「罪滅ぼし」
一方「……聞いてたのか」
御坂「とある筋からタレコミがね」
一方「チッ、アイツらかァ……」
御坂「アンタに責められる筋合いはないと思うけどね」
一方「……そりゃァそォだなァ」
御坂「で、どうなのよ。やれると思ってんの?」
一方「やれるかじゃねェよ。やるかやらねェかだ」
御坂「……あっそ」
一方「それだけか」
御坂「もう一つ」
一方「……なンだよ」
御坂「んーとね、ちょっと、アンタ」
一方「あン?」
御坂「能力使うんじゃないわよ」
パキ――
「歯、食い縛んなさい。アンタが最強だっていうなら証明してみなさいよ」
「――――あァ」
げんじつ
「でもね――私の幻想殺しはちょっとばかり響くわよ――!!」
ガヅッ――!
御坂「……さすがにアイツみたいにはいかない、か」
一方「――ッペ、やっぱ現実ってのは堪えるなァ」
御坂「痛かった?」
一方「この程度どォって事もねェよ」
御坂「上等。行くわよ」
一方「あァ?」
御坂「勘違いしないでよ。私はアンタを許した訳じゃない。私はアンタを絶対に許さない」
一方「…………」
御坂「でもね、悲劇なんて私ももう見たくないもの。あの子達の分までハッピーエンドにしなきゃ承知しないわよ」
一方「ドイツもコイツも好き勝手言いやがる」
御坂「悔しかったら見返してみなさいよ」
一方「……ケッ」
上条「お帰り」
御坂「……ふん」
麦野「アンタも大変ねえ」
垣根「可愛くねぇなぁこのお嬢様は」
御坂「うるさいわね!」
打止「やっぱりみんな仲良しが一番いいな、ってミサカはミサカは思ってみたり」
一方「だ、そうだ。オマエら気合い入れやがれ」
御坂「で? 結局なんの話なのよ」
上条「ええと……垣根と麦野のデートコースの話だっけ?」
麦野「ちげぇよ!!」
117 : VIPに... - 2010/04/29 22:31:51.38 xnXxniUo 75/262はい、結局どう足掻こうがこうなりました
久し振りですね>>120さんそれじゃお願いします
120 : VIPに... - 2010/04/29 22:59:58.29 96TGhNoo 76/262打止と戯れるむぎのん
麦野「しっかし何よこの状況。超能力者が雁首そろえてさ」
垣根「一位から四位までそろい踏みか。そうそうねぇよな」
上条「削板呼ぶ?」
一方「アイツはダメだ……勘弁してくれェ……」
御坂「私もアイツはちょっと……」
垣根「俺も……」
麦野「あら、私は結構好きだけどな」
四人「「「「!?」」」」
打止「ソギイタって誰?」
麦野「んー、一言で言うなら……熱血馬鹿?」
御坂「これ以上ないくらいに的確な表現ね」
麦野「みさかー、アンタ妹なんていたのー? 紹介してくれてもいいじゃない」
御坂「なんでアンタに紹介しなきゃならないのよ」
麦野「だって可愛いじゃない」
御坂「まさか……アンタもロリコンだってのか……」
麦野「ちげぇよ!?」
垣根(ビクゥッ!?)
一方「地が出てンぞ」
垣根「む、麦野さんって子供好きなんですか」
御坂「また変態か……」
麦野「だから違うって言ってんでしょ。ほら、子供は邪気がないし」
一方「やらねェぞ」
御坂「いつからアンタの物になった」
麦野「ねぇチビミサカ、うちの子になんない?」
打止「ううん、嬉しいけど、ってミサカはミサカは言葉を濁らせてみたり」
麦野「どうして?」
打止「そんな事したらこの人が泣いちゃうから、ってミサカはミサカは横目で視線を投げかけてみたり」
麦野「残念。振られた」
一方「……るせェよ。なンで俺の方見るンだよ」
麦野「御坂ー、アンタさ、コイツが義弟になるってどうなのよ」
御坂「」
垣根「(子供好き……素敵だ……!)」
上条「(おいテメェ鈴科はどうした)」
垣根「(いやなんつーかよ、こういうちょっとツンツンしてる女の子がタイプなんだよ俺)」
一方「おィ垣根、ガラス越しにドレスの女がすげェ目でこっち見てるンだが知り合いか」
垣根「ぴぃ!?」
麦野「垣根ってあんなキャラだっけ」
一方「知るか。俺に言うな」
御坂「あ、殴られた」
上条「もう少しお淑やかな女の子はいないんですか……俺の周りみんなデンジャラスなんですけど」
一方「シスターはどォした」
上条「事あるごとに噛み付かれてるんだけど」
一方「大変だなァ……」
麦野「ところでいつになったら話は進むのよ」
上条「もう少しそこのチビミサカで遊んでてください」
麦野「まあいいけどさ。あ、そだ。さっきなんか買ったらついてきたんだけどこれいる?」
打止「げ、ゲコ太……!? ってミサカはミサカはあまりの事に言葉を失ってみたり!?」
御坂「!?」
麦野「この姉にしてこの妹ありか……」
125 : VIPに... - 2010/04/30 01:56:18.28 tkl8876o 80/262アルコールだめだなあ、やっぱり
眠いんで今日はここまで。あとは頼んだ>>130
130 : VIPに... - 2010/04/30 19:29:46.13 KQmS2fQ0 81/262垣根が殴られるまでの経緯をkwsk描写
定規「あなたここで何してるのよ!」
垣根「い、いやカミやんに呼ばれてさ……」
定規「呼ばれたからって何よ、デレデレしちゃって」
垣根「オマエには関係ないだろ」
定規「っ……!」
垣根「それにそんなに気に入らないんだったらオマエの能力で距離を離しちまえばいいだろ」
定規「「……垣根」
垣根「なんだよ」
定規「――――距離単位〇」
垣根「それって直接的な距離だよなげぼぁっ!?」
135 : VIPに... - 2010/04/30 20:35:05.57 tkl8876o 83/262だめだ上手く処理できなかった。きっとこのスレでは心理定規はていとくんの幼馴染
もっかい>>138
138 : VIPに... - 2010/04/30 21:45:33.24 8CFa3AAO 84/262心理定規参加でていとくんガクブル
一方「……なァ、すげェいまさらなンだが」
上条「どうした?」
一方「なンでコイツら呼ばなきゃならなかったンだよ」
上条「せっかくなので女性視点からも助言していただこうかと」
一方「ツンビリ、ヤンデレ、能力任せってか呼ンでねェ、ガキは論外」
女性陣「「「「ちょっと待てぇ!」」」ってミサカはミサカは声を荒げてみたり!」
上条「実は若干共通点ないか?」
麦野「そもそも私なんで呼ばれたのか未だに聞いてないんだけど」
御坂「私も」
垣根「言ってねぇのかよ」
上条「そういや忘れてた」
一方「…………ちょっとトイレ行ってくらァ」
麦野「ちょっと待て」
一方「離せェえええ!」
御坂「そんで、なんなのよ」
上条「コイツが姉貴と若干険悪でよ、仲直りがしたいんだと」
御坂「………………はい?」
定規「姉ぇ?」
麦野「……一方通行」
一方「……なンだ」
麦野「アンタってばロリコンだけじゃ飽き足らずシスコンもだったの!? あは、あはははは! 傑作だわあはははは!!」
一方「よし表に出ろ原子崩し、そろそろ忘れてるみたいだから思い出させてやるよ三下ァ!!」
上条「怖っ! なんかすげえビカビカ光ってる!」
御坂「これで被害が出ないのが不思議よねー」
垣根「ちょっと麦野さんに加勢してくる」
定規「あなたは黙ってここに座ってなさい」
垣根「(カミやん助けてくれ)」
上条「オマエら仲いいなあ」
垣根「ダメだ……コイツら俺の常識が通用しねぇ……!」
御坂「アンタも大変ねぇ」
定規「な、なんの事?」
御坂「キャラ食われた気がする……」
打止「みんな仲良しで善哉善哉ー、ってミサカはミサカはお汁粉を食べながら言ってみたり」
上条「アレが仲良く見えるのか……脳内フィルター恐るべし」
上条「お帰りー」
一方「疲れたァ……」
麦野「アンタから喧嘩売ってきたんじゃない」
御坂「よくやるわよね、アンタたち……」
定規「それで、一方通行の姉って初耳なんだけど、どうしてそうなってるの」
上条「複雑な家庭環境がと言いますか」
一方「……」
御坂「何こっち見てんのよ」
一方「……なンでもねェよ」
御坂「何よコイツ……」
打止「……」
「お姉様ー、ってミサカはミサカは抱きついてみたり」
突然じゃれ付いてきた妹に、少し戸惑うも嬉しかった。
彼女達はミサカネットワークなる独自の思考リンクを形成し、お互いの感覚や思考を共有している。
という事はこの小さな妹も、先ほどの路地裏での会話を聞いていただろう。
そもそも彼は気付いていないようだが、ネットワークを介して会話のやり取りを流していたのだ。確実に何があったのか把握している。
その上でこうも無邪気に接せられると少し複雑だ。
恥ずかしさと申し訳なさと、そして嬉しさが頭の中で鬩ぎ合う。
けれどこの少女は、何事もなかったかのように接してくれているのだ。ならばそれに応えようと、微笑んだ。
「おわ? どうした妹ー」
そのまま膝の上に乗せた。
羽織っている男物のシャツは彼の物だろうか。
なんだか一人だけピリピリしているのが馬鹿らしくなる。
けれど。
それでもなお、たとえそうだったとしても、それとこれとは別だ。
赦しはできない。
自らの背負った十字架がそれを頑なに拒む。ここで赦してしまえば、あの実験の全ては否定されてしまう。
けれど、 、 、
それとこれとは、別だ。この無邪気な小さい妹が一身に信頼しているのはそれ相応の何かがあるのだろう。
だから、せめてこの場、表面上くらいはなんとか誤魔化してやっていこう。
そんな事を思っていると、
――、――――、――、――、――――。
握られた手に、つんとした感触があった。
それが何かはすぐに分かった。日頃知った感覚。この学園都市になくてはならないもの。
(PING……かな?)
返すと、短い文章が送られてきた。
――hello world
(……HTTPか)
実に分かりやすい。
ミサカネットワークに接続する事はできずとも、こうして直接的に擬似ネットワークを形成する事はできる。
――こんにちは妹
了承の意味も込めて、そう返した。
とたん、物凄い勢いで情報が流れ込んできた。
>>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10
>>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10
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>>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10 >>10
がづん、と脳を揺さぶられるような感覚に目眩がした。
これと似たような経験がある。とある教師とのやり取りの際、意図せずして垣間見てしまった彼女の記憶。その時と似ていた。
きっとこれは、彼女たちの記録なのだろう。
処理速度ギリギリのラインで送られてくるそれは、全て彼に関する物だった。
がりがりと脳を圧迫するそれを認識しながら、妹を握る手に力を込めた。
そして気付く。
二人の同じ顔をした姉弟。自分たちとよく似た境遇の二人。
知らなかった。それは言い訳に過ぎない。
それでもなお自分を責めずにはいられない。
つい数時間前、鈴科百合子という名の少女に、会っている。
御坂「――――、一方通行!」
一方「……なンだよいきなりでけェ声出しやがって」
御坂「いい? 絶対よ? 約束しなさい」
一方「何をだよ」
御坂「アンタが救うのよ――あの子たちにできたのにアンタはできないなんて言わないでしょうね」
一方「……、……あァ」
151 : VIPに... - 2010/05/01 00:45:32.60 1FOQZdko 93/262うん、なんか意図したとおりに伝わる表現なのかよく分からないけど>>148は何となく察してください
想定済みのシーンはここまで。こっから完全に白紙。容赦なく白紙。欠片すらなし
マジへるぷみー↓
152 : VIPに... - 2010/05/01 00:54:03.66 QyGVdrso 94/262一瞬荒らしかと思ったぜ
kskst
153 : VIPに... - 2010/05/01 00:55:45.75 vBs.2c2o 95/262あれか、デジモンの背景に良く出てくる文字列的な感じか
電子的な思いの奔流というか
kskst
155 : VIPに... - 2010/05/01 01:07:28.88 7LDN2sAO 96/262出始めに態度から変えようということで一方さんにお姉ェちゃんって呼ばせる
で百合子にキモがられ本気で落ち込む
御坂「んで、どうすんのよコレ」
一方「どォって」
麦野「険悪って、そもそもどんな感じなのよ」
上条「口癖は死ねとうぜェだ」
打止「消えろとか普通に言ってくるね、ってミサカはミサカは思い返してみたり」
一方「…………」
定規「あ、落ち込んだ」
垣根「最強が情けねぇなぁ」
上条「シスコンの部分はコイツを見る限り大いに賛成だな」
一方「もォ味方が一人もいねェ……」
垣根「大丈夫だ俺たち友達だろ?」
定規「二人の距離を伸ばしたい……」
御坂「通じるの?」
垣根「知らん」
麦野「ふーん、へー」
定規「何よ」
麦野「なんでもー?」
上条「ソイツで手っ取り早くやっちまうのは反則っぽいしなあ」
一方「なンで俺が百合子の事でこンなに心労負わなきゃならねェンだよ……」
上条「それだ」
一方「はァ?」
上条「御坂姉妹を見てみろよ」
御坂「ん?」
打止「んー? ってミサカはミサカはお姉様の真似してみたり」
麦野「そう、それ」
垣根「どれだよ?」
上条「コイツら姉弟分が足りないんだ。最初見たとき何事かと思ったし」
一方「まァ俺と百合子は姉弟って感じでもねェしなァ」
定規「なるほど。それで、どうするの」
麦野「御坂姉妹の真似してみれば?」
一方「例えばァ?」
麦野「お姉様って呼んでみるとか」
一方「」
打止「口の端からコーヒー垂れてるよ、ってミサカはミサカは指摘してみたり」
上条「ああ、それいいな。それなら軽いジャブに良さそうだ」
一方「どの口がそンな事言いやがる!?」
御坂「んじゃ試しにちょっと言ってみなさいよ」
一方「………………お」
定規「お?」
一方「…………おねェ……さま」
垣根「ぶゎははははははははははははははは!!」
上条「ぎゃははははははははははははははは!!」
一方「殺す。今度という今度はマジで殺す」
打止「背中から何か生えそうな気配がー! ってミサカはミサカは大規模災害を予見してみたりー!?」
麦野「やだ……涙目になった一方通行ちょっと可愛いかも……」
御坂「えっ」
定規「えっ」
上条「いくらなんでもお姉様はねえな」
垣根「お互い精神衛生上よろしくないな」
一方「帰っていいですかァ……」
定規「それじゃお姉ちゃんとかは?」
御坂「はいどうぞ」
一方「……おねェちゃン」
麦野「あれ? なんか発音が違う気が?」
御坂「ワンモアー」
一方「おねェちゃン」
打止「うーん……ってミサカはミサカはどことない違和感に首を傾げてみたり」
一方「おねェちゃン!」
麦野「あ、ごめん。やっぱその年と顔でお姉ちゃんはないわ」
一方「」
上条「いや、お姉ちゃんで行こう」
定規「どうして?」
上条「姉貴、せめて姉さんの方がコイツらしい! だが思い出せあの言葉を!」
垣根「……はっ!?」
上条「そう! ギャップ萌えだぁっ!!」
一方「いっそ殺してくれェ」
御坂「アンタが言い出したんでしょ。巻き込んだ責任取りなさいよ」
一方「やるのか……やるのかァ……」
麦野「コイツ精神面は結構打たれ弱いのね」
打止「がんばれー、ってミサカはミサカは他人事だと思って無責任に応援してみたり」
鈴科「あーあ、クソっ、かったりィ。葱買うの忘れてた」
鈴科「やっぱり味噌汁には葱いるよなァ……なきゃァ駄目だよなァ」
鈴科「たまに料理してみよォと思ったらコレだよ。クソ、だりィ」
鈴科「…………あン?」
一方「……」
鈴科「チッ……マジで慣れねェ事はするもンじゃねェな」
一方「……」
鈴科「何か用かよ」
一方「…………、……よ」
鈴科「あァ?」
一方「よォ……おねェちゃン……」
鈴科「……俺?」
一方「……うン」
鈴科「…………」
一方「…………」
鈴科「………………きめェ」
一方「」
鈴科「え、何? ギャグ? 罰ゲーム? 新手の嫌がらせ? 精神攻撃かァ?」
一方「」
鈴科「ちょっと……ガチできめェンですけど、こっち見ないでくれますかァ?」
一方「」
鈴科「あと病院行け。頼むから頭ン中一度リセットしてくれ。それか死ね。今すぐ死ね。自分に掛かってる慣性速度逆にして吹っ飛んでってくれ。地球の自転の」
一方「」
鈴科「じ……じゃァな。頼むから次会うときは死んでてくれよォ」
一方「」
御坂「お、おーい……?」
一方「……」
上条「えっと……その、なんだ……色々すまん」
一方「……」
打止「も、もしもーし、ってミサカはミサカは目の前で手をひらひらさせてみたり」
一方「……打ち止め」
打止「ぴぃっ!?」
一方「ハハ……やっぱり俺にオマエらの真似なンて無理だったぜェ……」
上条「一方通行! しっかりしろ一方通行ー!」
一方「オマエらは……幸せに……なァ……」
上条「なんだよ、喜劇にするんじゃなかったのかよ! 幸せになるんじゃなかったのかよ一方通行ぁぁああ!!」
麦野「弱い、コイツ弱すぎる」
垣根「百合子さん、素敵だ……」
定規「」
一方「ラン、ランララランランラン、ラン、ランラララン……」
定規「いい感じに壊れてるね」
垣根「口から未元物質出てんぞ」
一方「ラン、ラン、ルー」
上条「おーい、帰ってこいー」
麦野「だめだこりゃ」
御坂「妹、軽く電気ショックでもやってやんなさい」
打止「あいあいさー、ってミサカはミサカは恐々ながらばちってやってみたり」
一方「ぴィ!?」
定規「なんか急にプリン食べたくなってきた」
御坂「私も……」
一方「はァ……なンかマジ嫌ンなった……やる気でねェ……」
上条「諦めるな! 諦めたらそこで試合終了だぞ!」
垣根「そうだ! 百合子さんと仲直りしたいんだろう一方通行!」
御坂「下心が丸見えね……」
定規(イライライライラ)
麦野「なんでこの男どもはこんなに暑苦しいのよ」
一方「もォいい……やっぱり俺には仲良しこよしなンて無理なンだよォ……」
打止「そんな事はないよ、ってミサカはミサカは断言してみたり」
一方「ンァ……?」
打止「あなたの周りを見てみればいいよ、ってミサカはミサカは微笑みかけてみる」
一方「――――あァ、そォだな」
麦野「ほんと、男ってみんな馬鹿ね」
御坂「それは限りなく同意するわ」
定規「まったくもって」
垣根「よし、んじゃファミレスに戻ってまた作戦会議といくか。腹も減った事だし夕飯にしようぜ」
打止「さんせー、ってミサカはミサカは諸手を挙げて同意してみたり!」
一方「……なァ、ところでよォ。今恐ろしい事に気付いたンだが」
御坂「ん? 何よ」
一方「シスター、放っておいて大丈夫なのかァ?」
上条「」
禁書「飢え死にするかと思ったんだよ!」
上条「備蓄のカップ麺はどうした。ディスカウントショップで箱買いしておいただろ」
禁書「とっくに底を突いてるんだよ!」
上条「」
一方「ギャアギャア喚くなうるせェ。腹減ってンなら好きなだけ注文しろ」
禁書「ほんと!?」
上条「お、おいそんな事言っていいのか?」
一方「構わねェよ」
麦野「男前だねえ」
定規「この面子、なんだか彼が哀れに思えてきた……」
打止「大丈夫だよ、ミサカもお小遣いやりくりしてる口だから、ってミサカはミサカは慰めてみたり」
上条「幼女に哀れまれた……」
垣根「これが甲斐性の差か……」
御坂「そういえばアンタバイトとかしないの?」
上条「バイト……バイトかぁ……」
定規「あ、それだ」
垣根「ん? 何がだよ」
定規「あなた、アルバイトしてみたら?」
一方「はァ? バイトォ?」
定規「それで何かプレゼントするとか。いいんじゃない?」
麦野「なるほどねー」
上条「ほら、女の子誘っておいて正解だったろ? こういうアイディアは男だけじゃ出てこねえ!」
御坂「念のため言っとくとアンタの手柄じゃないからね」
一方「言っとくが俺は結構貯金あるぞ」
定規「あなたがちゃんと汗水たらして稼いだお金じゃないでしょ?」
一方「……まァな」
定規「と言うよりもそのために苦労したって事実が大事なのよ」
一方「でもよォ、オマエよく考えて物を言えよな? このナリで何ができンだよ」
麦野「あ、そっか」
垣根「すっかり忘れてた」
御坂「コイツら……」
上条「確かにそこがネックだよな。バイトって大体立ち仕事だし」
定規「打ち込みの仕事とかもあるんじゃないの?」
一方「研究所がバイトごときに少しでも内部情報漏らす訳がねェだろ。警備員や風紀委員はボランティアだしなァ」
麦野「うーん。何かいい案はないものか……」
177 : VIPに... - 2010/05/02 01:39:12.86 y1RgKxIo 111/262何かいい案はないでしょうか、>>180
180 : VIPに... - 2010/05/02 01:47:03.96 uHhIE5so 112/262ベビーシッター
御坂「……そういえば」
一方「あン?」
御坂「……ま、いっか」
一方「なンだよ」
御坂「アンタ、子供相手は大丈夫?」
垣根「待て御坂早まるな!」
一方「垣根、オマエ屋上」
上条「なんかあるのか?」
御坂「知り合いの先生がね、置き去りの子の施設で勉強を教えてるんだけどさ。ちょっと色々忙しいらしくて助手を探してたのよ」
一方「それを俺にやれってかァ?」
御坂「どう?」
一方「子供……なァ……」
上条「どうした渋い顔して」
一方「……ガキの相手は正直苦手だ」
定規「どの口がそんな事を言うのよ」
打止「なんでこっちを見るのかな、ってミサカはミサカは子供扱いされた事に不満を訴えてみたり!」
御坂「どうする?」
一方「…………ぬゥ……」
垣根「百合子さんのためだぞー」
一方「ぬゥゥ……!」
禁書「ぷぃー、おなかいっぱいー」
上条「まったく空気読みませんねこの子は!」
禁書「何をそんなに悩んでいるの?」
一方「あン……?」
禁書「あなたが誰かのために何かをしようと思うなら、それはきっと尊い事なんだよ」
一方「……」
禁書「だから誇りを持ってそれを為せばいいんだよ」
一方「……そォかい」
禁書「うん」
一方「……よし。御坂、その人に頼んでくれ」
御坂「はいはい。……ま、精々頑張りなさい」
上条「い……インデックスがまともに聖職者っぽい事を言った……!」
禁書「とうま、デザートはとうまの頭でいいかな」
上条「あなたこれ以上食べる気ですかうわちょやめぎゃああああ」
定規「ところでこの子誰?」
麦野「さあ?」
御坂「という訳で、コイツこき使ってください」
木山「……あまり言いたくないが、杖を突いているようだが大丈夫かね。子供の相手は重労働だぞ」
御坂「使い潰す気でどーぞ」
木山「いいのかい?」
一方「……あァ」
木山「本人が言うのならいいが……。ちょうどよかった。今日一日よろしく」
御坂「あれ、一日でいいの?」
木山「とりあえず試用期間だ。そこから先は今日の働き振りを見てからだな」
一方「……よろしく頼む」
木山「こちらこそ頼むよ」
187 : VIPに... - 2010/05/02 03:06:25.15 y1RgKxIo 116/262というわけで保父さんにしてみました。木山先生かわいいよ木山先生
展開プリーズ>>190と言って寝る
190 : VIPに... - 2010/05/02 04:41:22.30 sqUInIDO 117/262実は百合子ちゃんのバイト先だった
木山「そういえばまだ名前を聞いていなかったな」
一方「…………一方通行だ。そう呼ばれている」
木山「はて、どこかで聞いたような……」
一方「どォせくだらねェ事だ。思い出さなくていい」
木山「……君も険しい顔だね」
一方「何か文句でもあンのか」
木山「私の車に乗る子は皆そういう顔をするのでね……」
一方「あァそォですかい」
木山「しかしその仏頂面では子供たちが怯える。もう少し険が取れないものかな……」
一方「……努力はする」
木山「そうしてくれ……ふ」
一方「なンだよ」
木山「何、彼女の友人は皆個性的で面白いなと思ってね」
一方「……そンな大層なもンじゃねェよ」
木山「さあ、ついたぞ」
一方「うぷ……酔った」
木山「事の外顔色が悪いが大丈夫かい……」
一方「元からだから気にすンなァ……」
木山「そうか……ま、まあ頑張ってくれ」
一方「つーかよォ、助手ったって俺何すればいいンだァ? 教鞭取るなんて無理だぞ」
木山「うん、子供の相手をしてくれ」
一方「……言ってる意味がよく分からねェンだが」
木山「子供がじゃれてくるのをあしらってくれ。一人だと本当に骨が折れるんだ……」
一方「」
園長「あら木山先生。今日もよろしくお願いします」
木山「どうも」
園長「そちらの方は?」
木山「手伝いを買って出てくれた心優しい少年だ」
一方「頼むからその紹介の仕方はやめてくれ虫唾が走る」
園長「それはそれは。よろしくお願いします」
一方「……あァ」
木山「まあ簡単な小学校レベルの勉強だ。よかったらそっちも見てやってくれ」
一方「手が空いたらな」
あすなろ園。
それが一方通行が連れてこられた施設の名だった。
チャイルドエラー
社会問題となりつつある、置き去りと呼ばれる孤児に近い彼らを保護する施設。
その園長室、安っぽいソファに腰掛けながら一方通行は話を右から左に聞き流していた。
最も学園都市の暗部に近いはずのその施設は、それでも子供たちの声が響いていた。
子供たちがいる部屋が近いのだろうか。時々甲高い声が聞こえてくる。
スピーカーのハウリングのような声が不快だった。
打ち止めと呼ばれる少女よりも幼い彼らの声は時に暴力的なまでに耳に突き刺さる。
確かにこれは骨が折れそうだ、と一方通行は心中で一人ごちた。
けれど柔和な笑みを崩さず話を続ける初老の女性と、隣の相槌を打つ白衣の女性は嫌な顔一つしない。
もしかするとこれも性差なのだろうか。女性という生物は子供に対して強い耐性があるのかもしれない。
……だからといってやっぱりやめますという訳にはいかない。そもそも自分から言い出したのだ。
あの自分を毛嫌いしているはずの少女の手間をかけさせてまで始めた事だ。退く訳にはいかない。
それに。
(音を上げたらアイツらに何言われるか……)
騒がしい連中を思い出して、一方通行は薄く苦笑した。
確かに木山の言うとおり、彼らは友人と呼べるのかもしれなかった。
ガチャリと扉を開けると、部屋の中の子供たちの顔がぐりんと一斉にこちらに向いた。
部屋中の黒い眼球が皆こちらを凝視し、妙なプレッシャーを感じた。
けれど次の瞬間、それは一気に砕け散る。
部屋の中にいた子供たちが揃いも揃って破顔した。
「――あー! 木山せんせー!」
我先にと駆け寄ってくる子供の波に、一方通行はたじろぐ。
小さな扉の前は木山の周りに集まった子供たちであっと言う間に埋め尽くされてしまった。
「こらこら、部屋の中に入れないじゃないか」
困ったように嗜める木山は、けれどどこか嬉しそうですらあった。
木山春生という女性は、正直なところ魅力的とは言い難い。
そもそもが無愛想だし喋り方もどこか陰鬱でこちらの気が滅入るほどだ。
化粧気がないという以前に髪も肌もろくに手入れをしていないのが見て取れる。
その上目の下には黒々と隈ができているし、服も皺のよったスーツの上から研究所でもないというのに薄汚れた白衣を羽織っている。
けれど子供たちはそんな木山に満面の笑顔でじゃれついている。
子供という生き物は嘘をつけない。大人ほど賢しくない彼らは思ったままをそのまま表に出してしまう。
だからこれは彼らの本音だ。子供たちは一人残らず木山春生を慕っている。
いったいどこにそんな要素があるのだろう。一方通行は不思議に思う。
そして、もしかすると――彼女を見ていれば、自分が本当に欲しい物が分かるのかもしれない。
(――いや待て……コイツがァ……?)
自分の考えを自分で疑問視しながら一方通行は渋い顔をする。
そんな彼を、一人の少女がじっと見つめていた。
視線に気付いて見遣ると、少女は臆するでもなく、ただ首を傾げて。
「おにーちゃん、だーれ?」
無邪気に、ただただ純粋に、そう尋ねた。
……こういう場合なんと返せばいいのだろうか。
言葉に詰まる一方通行に子供たちの視線が次々と突き刺さる。
「………………えェと」
わいわいと周りに集まってくる子供たちに、一方通行は気圧される。
何故だか物凄い圧力を感じる。困った事に彼にはこういう時どうしていいか分からなかった。
戸惑っているうちに子供たちは好き勝手に言い始める。
「せんせー、誰このにーちゃん……ねーちゃん?」
「髪白いー。目赤いー。うさぎさんみたいー」
「ふりょーだふりょー」
「木山せんせーの彼氏?」
「いくらなンでもそれはありえねェ」
即座に真顔で切って捨てた。さすがにその発想は予想外だったが。
「この人が今日君たちの勉強を見てくれるそうだ」
あっけらかんと言う木山に一方通行は噛み付く。
「おィちょっと待て話が違うぞ」
「大丈夫だ。基本は私がやるから君は問題集をやる時にでも手伝ってくれればいい」
「……チッ」
「構わんかね?」
「……あァ」
毒を喰らわば皿までだ。諦めて腹を括る。
じゃれついてくる子供たちが鬱陶しいと思いつつ、何故かあまり嫌ではなかった。
子供たちは概ね従順だった。
木山が手を叩いて声をかけるとすぐに席についた。
多少賑やかなものの授業は思いの外スムーズに進んだ。
マーカー片手にホワイトボードに向かう木山は、先ほどとは打って変わって明朗快活だった。
張りのある声が部屋に響く。それはあくまで機械的なものではない。
世話しなく動く木山の目は手にした教科書を見ていない。それは常に子供たちの方を向いていた。
観察している、と言うと語弊があるかもしれないが、木山は子供たちの反応を見ていた。
声の調子。授業の内容。何より子供たちが理解しているか。それらをつぶさに視線だけで感じていた。
「…………、……」
正直一方通行には木山が恐ろしく見えた。どうしてここまで真剣に子供たちと向き合えるのだろう。
木山の本職は教師ではなく研究者のはずだ。白衣から微かに臭うそれはインクと薬品の物だ。嗅ぎ慣れた臭いを間違えようがない。
だというのに、今目の前にいる彼女は、疑う余地もなく『教師』だった。
勉強という名の知識を叩き込むだけではない。教え諭し導く。子供たちの――生徒の事を想っている者の目だった。
彼女の声は相変わらず淡々としているものの、言葉の端々にはそれが如実に現れている。
その姿はどこか、あの安全ピンだらけの白い服に身を包んだ異邦人の少女を連想させる。
つまり――これが天職という奴なのだろう。
圧倒的ともいえる距離を感じる。彼女はこれを自分にやれと言うのだろうか。
子供はおろか、誰かに物を教える事などしたはずがなかった。あくまで彼は『学生』だ。木山とは立場がまるでまるで正反対だ。
とても真似できるとは思えないが……しかしだからといって試してみようともしないのは癪だった。
この時、一方通行は彼女に憧れに近い物を見ていたのかもしれない。
木山を見る子供たちの目は澄んでいて、まるで宝石のようだった。
一方通行は想う。彼女はどんな気持ちでこの視線を受け止めているだろうか、と。
教室の後ろの方で椅子に腰掛け、相変わらずの仏頂面で木山を眺めていた一方通行は、ふと視線を感じる。
狭い教室を見回すと、先ほど最初に彼に声をかけてきた少女と目が合った。
悪意は感じない。かと言って好意と言うにも違う。
街中で空に浮かぶ飛行船を見るような、ロールシャッハ・テストのカードを見るような、どこか虚ろな目。
じぃ…………とこちらを見つめるその視線の意図を一方通行は測りかねる。
訝しげな視線を向けると、少女はばつが悪そうに視線を教壇に戻した。一体なんだったのだろう。
同じように教壇に視線を向けてみる。彼女たちは何を見ているのだろう。少し気になった。
正直なところ、一方通行には木山の授業は幼稚すぎた。
国語の教材に選ばれた寓話。擬人化された動物の話。何故か数学の話に飛躍しているが。
アイソーポスやフォンテーヌの話では油断の招く失敗や勤勉を謳ったもののはずだ。
けれど木山が物語の結末の前にした問いは、それとは大きく異なっていた。
「君たちは兎と亀と、どちらに勝ってほしい?」
「…………はァ?」
思わずそんな言葉を吐いた途端、教室の中で声が爆発した。
思い思いに兎だ亀だと声高に主張する彼らを一方通行は呆気に取られながら眺めていた。
そんな様子を木山はしばらく満足げに眺めてから、手をパンパンと叩いて静かにするように言った。
「言葉には出さずに思い描いて欲しい。君たちはこの話がどうなると思う。この話の結末はどうなると思う」
たっぷりと数十秒、しぃん――と無言の時を置いてから、木山は頷く。
「うん、まあ亀が勝つんだがね」
そんな夢もへったくれもない事を平然と吐いた。
当然のようにまた騒がしくなるがすぐに木山はまた手を叩く。
「けれどそんな事は関係ない。君たちの考えたシナリオでいい。それでいいんだよ」
木山は頷く。
「君たちの思い描いたシナリオは、今この瞬間確かに存在した。亀が勝つ、兎が勝つ。どちらにしてもだ。君たちの考えたそれは真実なんだよ」
一方通行は、そこでようやく悟る。木山が何を言わんとしているのか。
それはこの街では常識中の常識、けれど彼らのように小さい子供たちにはまだ馴染めないでいるであろうその単語を。
「君たちの描いたそれは、真実だ」
パーソナルリアリティ
――――自分だけの現実
お伽噺を実際のものとする、願いの形。
ここにいる子供たちの大半は能力開発もろくに受けていないだろう。
もしかすると最初からそんなものは知らないのかもしれない。
そんな子供たちに、木山は器具も電極も薬品も使わずに、語りかける。
世界中のどこよりも個性を尊重する場所。学園都市。
一方通行は気付く。彼らは『子供たち』ではない。
木山は始めから彼らを集団として認識してはいない。
信じられない事に、一人一人、個人に向かって同時に喋っている。
何故か寒気がした。
彼女の目は、耳は、脳は一体どんな風になっているのだろう。
一方通行の目には、木山は今まで見た誰よりも恐ろしい怪物に見え、
けれどあの時右手を強く握った彼のように見えた。
授業の終了を木山が告げ、一方通行は思わず溜め息をついた。
よくよく考えてみれば彼は『普通の授業』を受けた事がない。何故か猛烈に疲れていた。
慣れない場所で慣れない物を受けたからだろうか、疲労とは別に妙な高揚感を覚えていた。
深呼吸をし、目を瞑る。ほんの二、三秒で落ち着いたが、同時に一つの疑問が浮かぶ。。
自分だけの現実、という物を一方通行は真の意味で理解していない。
元来この能力は鈴科百合子という少女の持っていたものだ。自分はそれを間借りしているだけに過ぎない。
植えつけられた経験や価値観から、まるでマニュアルを丸暗記するかのように用いているだけだ。
だとすれば――この能力を発言した彼女は一体何を思っていたのだろうか。
一方通行という名の、誰よりも強く、けれど何も知らない少年は気付く。
自分は鈴科百合子の事を何も知らない。
思わず苦笑した。仲良くなれなくて当然だ。
ただただ盲目的に彼女と仲良くなりたい、そう利己的に思っていただけなのだ。
その名の通り、一方通行な思いを押し付けようとして上手く行くはずもない。
何かが判った気がした。
傲慢でしかないと自分でも思う。
けれど、それが例え誰かに作られた思いであったとしても、彼は愚直なまでに思う。
孤独な少女を救ってやれるのは自分だけなのだ。
かつて一人の少女が自分を孤独の縁から救ってくれたように。
ふぅ、と溜め息を吐き、木山を見た。
教材を纏めるのに何故か手間取っていた。
先ほどの印象とは随分と違う、なんだか妙に愛嬌のある彼女に一方通行は溜め息をもう一度吐いた。
邪魔にならないように縮めていた右手の杖をジャガッと伸ばす。
ふらつく足に力を入れ、立ち上がった。
とたん。
「うおー! すげーなそれ!」
……声のした方を向くと少年が目を輝かせながらこちらを見ていた。
「何それ! かっけー!」
思わず舌打ちをする。見る間に周りに子供たちが集まってきた。
この程度の物は学園都市のそこかしこに転がっている。だというのにどこが琴線に触れたのか、まるで新しいおもちゃを見つけたかのように無遠慮にべたべたと杖を触ってくる。
「すっげー! ヒーローの武器みたいだ!」
「……あァ、なるほどなァ」
テレビでやってる子供向けのアニメか何かのそれに確かに似ている。
この杖も、首元のチョーカーに似せた電極も、彼らの目には変身ヒーローのそれと大差なく写っているのだろう。
そんな素敵なものとはかけ離れた代物を意識して、一方通行はにやりと笑った。
「あンまり触ンなよォ? バチッとくるぞ」
少し脅かしてやるとびくっと手が離れた。
けれど彼らは興味津々といった顔で見ている。
なんだか妙に愉快だった。
「ねぇ」
集まってきた子供たちの中の一人が口を開く。
視線を向けると――先ほどこちらを見ていた、あの少女だった。
少女はどこか呆とした表情で、無邪気に――残酷に問う。
「お兄ちゃんって、ヒーローなの?」
「――――――」
息が詰まる。
子供という生き物は、実に残酷だ。邪気のない分余計に性質が悪い。
悪意のない攻撃はざくりと突き刺さった。
けれど一方通行はどこかで既視感を覚える。数瞬考えて、思い当たった。
――ああ、彼女達だ。
その理由も目標も規模も違うけれど、確かにあれは悪意のないものだった。
この少女は知らない。自分はヒーローとは対極に位置する存在だ。
両手は血に塗れ、両足は屍を踏んでいる。
だというのに――。
「木山センセェが言ってたろ」
右手で杖を突きながら、左手を伸ばし、少女の頭を撫でた。
「オマエがそォ思うンなら、そォなンだろォな」
せめて彼女の無垢な心の中では、そうあって欲しかった。
少しだけ居心地が悪くなって部屋の外に出る。
相変わらず扉越しには子供たちの喧騒が聞こえてくるが、廊下は無機質にしんとしていた。
ひんやりとした空気が肌を冷ましてゆく。
長い廊下。何故かひしひしと圧力を感じる。
視線の遣り場に困って睥睨すると、最初に通された『園長室』という表札が目に留まる。
背後の教室に戻るのも、かといって他の知らない部屋に入るのも気が引ける。
少しだけ休ませて貰おう。そう思って戸を開けた。
「………………」
中は無人だった。
元はどこかの学校のものだったのだろうか、やけに年季の入ったロッカーや机が無言で並んでいた。
形ばかりの来客用のスペースに置かれた安っぽいソファに腰を下ろしてようやく肩の力を抜いた。
思わず溜め息が漏れる。確かにこれは骨の折れる仕事だ。
打ち止めにしても、あの小さな体のどこにこれだけのパワーが収まっているのだろうか。それが何人もいるのだから手に負えない。
思い切り脱力して、ソファに体を埋める。
疲れた、というのが正直な感想だった。けれど何故だか、不快ではない。
実は結構向いているんじゃないだろうかなどと愚にもつかない事を思い浮かべていると、不意に園長室の戸が開かれた。
「おーい、園長ー」
びくりと、体が固まる。
入ってきたのは帽子を目深に被った少年。野暮ったいジャージの上から首にタオルをぶら下げていた。
「裏庭の草抜き終わったぞ……って」
目当ての人物が留守なのに気付いて、嘆息する。
はぁ、と溜め息を吐いて、少年は緩く首を振り辺りを見回した。
目が、合った。
「――――オマエ、何してやがる」
それは果たしてどちらの言葉だったのか。
帽子の間から覗く白い髪と、こちらを睨みつける赤い瞳。
ぎし、と食い縛った歯が軋んだ。
「オマエこそこンなところで何してやがる」
……鈴科百合子だった。
一方「…………」
鈴科「……なンとか言ったらどォなンだよ」
一方「……オマエ、学校はどォした」
鈴科「サボったに決まってンじゃねェかよ」
一方「行けよ」
鈴科「やなこった。やってられっかあンなもン」
一方「……サボってまでこンなとこで何してンだよ」
鈴科「俺の勝手だろォが。オマエこそ何やってンだよ」
一方「……バイトだよ」
鈴科「はァ? バイトォ? オマエがァ?」
一方「悪いかよ」
鈴科「そンなもンしなくても金あるだろォが。俺でさえ持て余してるくらいなンだからよォ」
一方「……、……」
鈴科「バイト、ねェ。仮にそォだとしてここに何しに来やがった」
一方「……関係ねェだろ」
鈴科「いいや関係あるね。オマエがここで何かやらかそォってンなら……」
一方「……だとしたら、どォする」
鈴科「殺す」
一方「…………オマエに」
鈴科「できる訳がねェ、とか思ってンじゃねェだろォな」
一方「やれンのかよ」
鈴科「やれるに決まってンだろ。自分の弱点くらい分かってる」
一方「――よくもまァそンな口から出任せが言えるなァ」
鈴科「なンなら試してみるか」
一方「じゃァ逆に聞くけどよォ……まさか弱点があったとして、それをみすみす放置してるとか思ってンじゃねェよな」
鈴科「…………」
一方「…………」
鈴科「…………、」
一方「……別にオマエの考えてるよォな事をしよォとなンかしてねェよ」
鈴科「じゃァ何しに来た」
一方「……子守りだよ」
鈴科「はァ?」
一方「子守りの手伝いだよ、チクショウ」
鈴科「……オマエが?」
一方「……悪いかよ」
鈴科「――ック、ハ、なンだよそれ。笑えねェギャグだな」
一方「ギャグじゃねェよ。木山っつー奴に頼まれたンだよ」
鈴科「木山ァ? ……あァ、あの白衣のキショいオバハンか」
一方「その格好の方がウケるがなァ」
鈴科「オマエが年増とヨロシクやってる間に俺は汗水垂らしてたンだよ」
一方「学校サボって何やってンだよ」
鈴科「だから俺の勝手だろォがっつってンだろ。それとも何か、俺はオマエに何かする度逐一報告しなきゃならねェってのか」
一方「そォは言ってねェだろ。サボってまでなンで草毟りなンかやってンだよ」
「私がお願いしたからですよ」
そう、鈴科の背後から姿を現したのはあすなろ園の園長だった。
「何かさせろと言われたのでお願いしたんです。もう余り無理ができる年でもないので」
「……どこがだよ。ピンピンしてるじゃねェか」
苦虫を噛み潰したように顔を顰める鈴科に、園長は苦笑した。
それから一方通行の方に向き直り、ごめんなさい、と頭を下げた。
「身内の方だとは思ったんですがね、内緒にしておいた方がいいと思って」
「こンな奴身内なンかじゃねェよ」
「冗談でもここでそのような事を言わないでください」
ぴしゃりと言い放つ彼女に、鈴科はばつが悪そうにそっぽを向いた。
「なァ、一体なンでコイツがここにいるンだよ」
「それは……」
少し迷うような素振りをして、園長はちらりと鈴科を見遣る。
「……昼飯、作ってくる」
「すみません、お願いします」
「味は期待するンじゃねェぞ」
吐き捨てるようにして背を向ける鈴科に、園長はああそう、と付け加える。
「今日は二人分多くお願いします」
「………………チッ」
ばたんと荒っぽい音を立てて閉じられた戸を少しだけ眺め、一方通行は園長に向き直る。
「……まさか最初から分かっててやってたのか」
じろりと睨まれるが園長はいいえまさか、と首を振った。
「木山先生があなたを連れてくるのは予想外でしたし、彼女もいつ来るのか分かりませんし」
「その物言いだとアイツはしょっちゅう来てるみてェだな」
「ふらりと来ては大抵そこで寝ていますよ」
園長は顔を綻ばせた。
けれど一方通行の顔はまだ苦いままだ。縮めた杖を振り、先を促す。
「でェ? なンでアイツがここにいるンだ。一番重要なところを聞いてねェ」
頷いて、園長は部屋の隅にある戸棚からカップを取り出した。
「コーヒー、飲みますか」
目の前にはコーヒーカップ。どこかからの寄贈品だろうか、他とは違い妙に高そうな臭いがした。
けれど中に揺れているのは、カップに似合わない安っぽいインスタントのものだった。
立ち上る湯気を一方通行は呆、と見ていた。
「彼女が、なぜここにいるのかでしたね」
かちゃ、と磁器が鳴る。
園長は思い返すように目を瞑り、小さく頷いてから口を開いた。
「近くをふらついていたので拾いました」
「野良猫かよ」
「猫、ですか。言い得て妙ですね。確かにあの子は猫に似ているかもしれません」
思わずツッコミを入れたが、彼女は目を瞑ったまま顔を綻ばせた。
「遠くから、じっと庭で遊ぶ子供たちを見ていたんですよ。不機嫌そうな顔で、にこりともせず」
確かにそれはいかにも鈴科らしいかもしれない、と一方通行は思う。
いつか、雑踏をつまらなそうに眺めている彼女を見た事がある。
しかしその時、彼女は果たして何を考えていたのだろう。
だから思わず声をかけました、と園長は言う。
何を考えているのかは分からなかった。けれど。
「一人拗ねている子を見たようで、放っておけなかったんです」
「……、……」
「ここは行き場のない子たちの居場所ですから」
だから彼女にも何も言わなかった。そう言う。
居たいのなら居ればいい。押し付けるような事はしない。
元より鈴科はここにいる子たちとは違い、きちんと学校に通える。けれどそれからも逃げたかった時は。
ただ、邪魔されずに昼寝をする程度の場所になれればいい。
そう言ったのだと園長は頷いた。
昼寝場所と少しの食事の礼にと雑用を買って出たのは鈴科の方だという。
ただし子供たちには隠れて。子供が嫌だったのか、顔を合わせ辛かったのか、それとも。
それでは猫というよりまるで気紛れな妖精だ。
ふらりと気付かない間に現れ、少しの手伝いをして消える。そんな童話があった。
けれど。
「アイツの事知ってて言ってンのかよ」
「名前以外は知りませんよ。学校はおろか年やどこに住んでいるのかも。彼女が何かの能力者なのか無能力者なのかも知りません」
「……そォかい」
彼女にとってそれは重要な事ではないのだろう。それらはあくまで鈴科に貼られたラベルに過ぎない。
鈴科百合子という、呼ぶに困らぬ名前があれば充分なのだろう。
それ以外の、もっとずっと大事な事はきっと分かっているのだ。
「………………」
ふと違和感を覚える。
鈴科の行動。矛盾というには些細な、けれど大きなもの。
鈴科百合子は基本的に人と馴れ合うのが嫌いだ。
それは上条から学校での彼女の生活を聞いていて知っている。
けれど――例外がいる。
打ち止め、芳川桔梗、黄泉川愛穂、上条当麻。
もっとも芳川や黄泉川は鈴科も若干倦厭している節があるし、上条に至ってはあの日以来まともに言葉を交わせていないらしいが。
若干微妙なところだが、あすなろ園園長。
少なくとも彼女の態度を見る限り嫌っている訳ではないと思う。
そして何より、彼女が見ていたという子供たち、雑踏。
――もしかすると鈴科百合子は、
「……チッ」
小さく舌打ちした。
何かが掴めそうな気がした所で、思考の糸は急にふつりと切れ霧散した。
「…………」
鈴科は厨房でほうれん草を切っていた。
いくら子供とはいえそれなりの人数がいる。全員分の昼食を作るのでも結構な量になる。
ざぐざぐとまな板一杯になったそれを鍋にぶち込みながらも鈴科はどうにも呆としていた。
面倒なのであまりしないが料理は嫌いではない。
あれこれ献立を考えるのも億劫だが、それはそれで楽しいとも思う。
けれど――。
ぴたりと鍋を混ぜていた手が止まる。
「……なンで俺がアイツの分まで作らなきゃならねェンだよ」
口にして、しまったと思う。
脳裏に浮かぶのは自分と同じ顔をした少年。ばつが悪そうに眉を顰めた顔が余計に苛立ちを加速させる。
意識した途端に顔が歪んだのが分かった。ぎしりと奥歯が鳴った。
アルバイトだなどと嘯いてはいたが、そもそも金には不自由していないはずだ。
鈴科でさえ何もしなくても暮らしていけるくらいの金が口座に眠っている。
だというのに現役の――非常に癪な事実だが――学園都市の第一位がわざわざベビーシッターの真似事をしてまで金が必要だとは思わない。
真っ先に疑ったのはまた何か妙な実験にこの施設を利用する事だ。 レベルアッパー
木山春生の事は知っている。この夏に大規模な能力者の昏睡事件を起こした幻想御手事件の首謀者だ。
そもそも彼女はあの悪名高い木原幻生の元で小児用能力教材開発所に収容されていた子供たちを丸ごと『爆破』した前科がある。
何度か様子を見に教室を覗き込んだ事があるが、とてもそんな人物には見えない。
が、疑念は尽きない。そこに一方通行が現れたのだ。疑うなという方がおかしい。
けれど。
「…………嘘を吐いてるとは思えなかったけどなァ」
認めたくはないが、信頼できる言葉に思えた。何を考えているのか理解できなかったが。
けれどわざわざ、何故選りに選ってこのあすなろ園に。
偶然の一言で片付けるには少々複雑な状況に鈴科は苛立たしそうに息を吐いた。
「…………」
鍋の中に勘で量を測り味噌をぶち込みながら鈴科は苛立ちを隠そうともせずに言った。
「出来てる。持ってけ」
「…………あァ」
見なくても分かる。きっと困ったような申し訳なさそうな顔をしているだろう。
それの顔を思い出して、気味が悪いとさえ思う。自分と同じ顔がそこにいるだけでも吐き気がするというのに。
背後でかちゃかちゃと食器の音がする。
配膳用の台に並べているのだろう。片手でご苦労な事だ。
「…………」
何を考えている、と問いかけようとした。
けれどどんな答えが返ってきたとして、どれだけまともな答えだとして、それを鵜呑みにする事はできないだろうと思い直す。
ならば問いは無意味なだけだ。無駄な労力と気力を消耗するのも馬鹿らしいと鈴科は無言で鍋をかき混ぜる。
「…………」
無言の部屋に、かちゃかちゃと軽い音だけが響く。
何もかもが気に入らない。何故この場所でコイツと二人きりにならなければならないのだ。
悪態を吐こうにも言葉が出てこなかった。どうしようもなく拒絶しているのに、心が――なんというか、疲れていた。
仕方ないので無視を決め込む。意識して周りの気配を遮断する。
なに、料理に集中すれば造作もない。けれどもう鍋の中は冷めるのを待つばかりだった。
あとは勝手にやるだろうとその場を離れようとするが、片手で重い鍋を動かすのは無理だろう。
小さく舌打ちする。重い。仮にも自分は女だ。少しふらつきながらも配膳台に鍋を載せようと持ち上げる。
「――――」
そして、普段なら絶対にやるはずもないのだが、視界の端に白い人影が写るのにどうしようもなく意識がそちらを向いてしまい、
ほんの少しだけ、けれど致命的なまでに指の力が抜け、鍋は物理法則に従い鈴科の手から離れた。
――――カチッ
まるで写真で区切ったかのように、そこだけ時間が静止した。
ひっくり返った鍋からは薄茶色の液体が飛び出し、けれどそのままぴたりと固まっていた。
「何やってンだよオマエ」
ぞろりと気味の悪い動きをして液体が鍋の中に戻る。
飛び込んできた一方通行は鍋の側面を手に張り付かせながら鈴科の方を見ずにぼそりと呟いた。
「……うるせェ」
「素直に礼も言えねェのかオマエは」
……がぢ、と頭の中で何かが泣いた。
「生憎オマエにかける言葉を他に持ってねェンでなァ」
顔が軋んだ音を立てた気がした。
本当に自分の脳を恨む。何故視線で人を殺せる能力を開花させなかった。
「――死ねよ、クソッタレ」
背を向け吐き捨て、鈴科は逃げるように厨房から出て行った。
「…………」
手にした鍋を台車に載せ、首元のスイッチを切り、一方通行は呟く。
「……アイツ、自分の飯はどォすンだよ」
答える相手はいなかった。
239 : VIPに... - 2010/05/05 22:51:33.09 mOl3VnEo 142/262only my railgun流れるまで待機してたけど出たので再開
でも安価>>244
244 : VIPに... - 2010/05/05 23:21:43.09 utWeWhso 143/262一方「アーン」 鈴科「………アーン」
みたいな!口移しも可。
片手での作業に手間取りながらもなんとか配膳を済ませ、一方通行は息を吐いた。
子供たちも彼がこういう作業がし辛い事を理解しているようで、率先して手伝った。
(…………)
違和感を覚える。何故この子供たちは自分の手伝いをするのだろう。
普通これくらいの子供は他人の事など省みない。だというのに。
まるで飼いならされているようで気味が悪かった。
「どうした? 座らないのかね」
子供たちと一緒に机を囲み食膳を前にする木山に一方通行は背を向けた。
「先食ってろ」
簡潔に告げ、部屋を出る。
「――――」
ひんやりとした廊下の空気を感じながら左右を見回し、少し考えた後ゆっくりと歩き始めた。
「――――」
ざ、と砂を噛む音に、けれど振り返らず顔を顰めた。
「……飯、園長室に持って行っといたぞ」
「いらねェ事をしやがる」
吐き捨て、鈴科はぶちりと草を千切る。
「失せろよ」
「飯食えよ。ただでさえ体弱いンだ。ぶっ倒れンぞ」
「その時はその時だ」
「いいから食えよ」
「俺に指図するンじゃねェ。オマエはそンなに偉いのかよォ」
「……」
「おーい、兄ちゃーん!」
「…………げ」
「兄ちゃんいねえとご飯食べれないだろ……だれ?」
「……」
「……」
「……分身の術?」
「ちげェよ」
「ありえねェよ」
「……」
「……」
「……」
「せんせー! 兄ちゃんが増えたー!」
「…………」
鈴科は仏頂面で机に肘を突き、手に顎を乗せ虚空を睨みつけていた。
気に入らない気に入らない気に入らない。繰り返し心中で毒付く。
「……食べないの?」
隣に座った少女が少し怯えた表情で尋ねる。
無理もない。不機嫌オーラをびしびしと発している鈴科に声をかけるだけでも相当の勇気が要っただろう。
鈴科がぎろりと見遣ると少女は首を縮めた。
その様子が酷く可哀想に見えて、鈴科は観念してため息を吐いた。
「分かった、食べるよ」
ぱあっと輝く少女の顔から目を逸らし、鈴科は苦虫を噛み潰したような表情で目の前のトレイを凝視する。
……自分の分の昼食。作ったのは他でもない鈴科自身だ。
とうとう子供たちに発見されそのまま集られて混乱していたら、気付いたら一緒に昼食をとる事になっていた。
どォしてこォなった、と小さく呟く。が、観念して箸を伸ばした。
「……、……」
向けられる視線に苛々とする。
何が面白いのか、先ほどからちらちらとこちらを見る一方通行に鈴科は意識して思考から除外する。
何度も言っているが効果はない。けれど鈴科は強く念じる。
うぜェ。死ね。
さすがに周りを考えて口には出さなかったが。
「…………」
重苦しい空気が部屋を支配する。不本意ながらその発信源は鈴科だ。
だから嫌だと言ったのに、と言い訳する。馴れ合いは嫌いだ。何故自分が仲良くオママゴトをしなくてはならない。
ちまりちまりと箸を進めるが料理は一向に減る気配がない。
正直なところさっさと片付けてしまって逃げ出したかったのだがどうにも食指が伸びない。
それもこれも全部コイツのせいだ。
と、結局思考は最終的に一方通行の方を向いてしまい、鈴科はどうしようもなくなる。
思考するのさえ止めたかったがさすがに無の境地は自分には遠すぎた。
「ピーマン嫌い?」
そんな事を問われ、いいやと首を振る。
別に偏食がある訳ではない。そもそも自分で作ったんだし。
「……えと」
少し迷うような仕草をして、隣に座った少女は鈴科の前の皿に箸を伸ばす。
なんのつもりだ、と思うが、すぐに分かった。
「………………あーん」
困ったような、泣きそうな顔の少女を前に、鈴科は天井を仰いだ。
どれもこれも全部アイツのせいだ。
呪われてしまえ。そんな非科学的な事を本気で思った。
まるで親の敵でも睨み付けるかのように箸の先の野菜炒めを凝視する。
なんだこれは。拷問か。民主主義の国はこれだから嫌だ。
周囲の視線は自分に釘付け、まるでロックスターにでもなった気分だ。クソッタレ。
「……、……。……」
目を瞑り、たっぷり十数秒呪いの文句を脳内で叩きつけてから――鈴科は目を開く。
夢ならよかったが、目の前の可愛らしい小さな箸に抓まれた野菜炒めは『わりぃけどこれ現実なんだわ』と主張していた。
観念するしかなかった。
「…………、……あーん」
申し訳程度に口を開いて、野菜炒めを食べた。
ごりごりと歯の上でなんだか嫌な音を立てる野菜を噛み砕く。
コールタールみたいな味がした。口にしたことはないが。
「おいしい?」
「…………あァ」
他の選択肢を潰され、鈴科は乾いた笑みをむりやり浮かべて頷くほかなかった。
そこからしばらく鈴科は動物園にいる気分を味わう事になる。
見る側でなく、見られる側だが。
周りの子供たちがかわるがわる「あーん」をしてくるのだが一度了解してしまった手前拒否する事もできず、鈴科は半ばやけくそながら餌を差し出される雛鳥よろしく大人しく啄ばむしかなかった。
そうしていつの間にか目の前の皿が綺麗に片付けられようとした時、大人用の箸が割り込んできた。
「………………」
ぎぎぃ、と錆びた機械のようなロボトミーな動きで箸を持つ手を視線で辿る。
夢ならベッドで眠っている自分を蹴り起こしたかった。
いや、そのまま永眠させてもいいとさえ思う。
だが現実は非情なもので、嫌な予感は当たるものだった。
「………………あーン」
今すぐ絞め殺したかった。
なんというか、そう、死刑宣告を受けた気分だった。
「………………」
正直それが実際のものだったらどんなによかったか。
鈴科は本気で死んだほうがマシだと思った。
「………………」
じぃ――――と周りの視線が突き刺さる。
容赦ない無言の圧力の中、四面楚歌ってのはこういうのをいうんだろうななどと実に的確な四字熟語を思い浮かべる。
つまるところ、逃げ場無し。
「………………」
レベル0ライフ
出来る事なら空でも飛んで逃げたかったが、生憎鈴科は相変わらず絶賛無能力者余生を満喫中で、どうしようもなかった。
しかし超能力者だった過去を無駄に生かして何パターンもの打開策を講じるが、悉くがやっぱり無駄な努力に終わり結局絶望を噛み締めるだけだった。
「………………」
万策尽きた、としか形容できなかった。
もう一度仰ぎ見て、そちらも低い天井に塞がれているのを見て諦めた。
「………………」
毒を食らわば皿まで、と自分に言い訳して、
「………………あーン」
自殺した。
「……ごちそォさま」
手を合わせ、鈴科は食器を纏める。
周りは鈴科ばかりに注目していたのでまだほとんどの子供が食べ終えていなかった。
数人、いかにも元気そうな少年が早々に食べ終えて部屋の端でふざけていたが鈴科はちらりとそちらを見やっただけでトレイを持ち上げた。
普段なら食べ終わった食器は纏めて厨房に持っていくのだが、鈴科は無言で席を立ち部屋を出る。
一刻も早くこの場から逃げ出したかった。
小走りで厨房に逃げるように飛び込み、大きい流し台にトレイごと食器を放り込んだ。
吐く息は荒く、鈴科の白い頬はうっすらと紅潮していた。何故か、と一瞬考えて、
ガンッ! と流し台に拳を振り下ろした。
そんなのは決まっている。
怒りだ。
何もかも全部あの気持ち悪いのが原因だ。どこか脳が妙な具合にイカれたに違いない。
クローン体って奴は妙なところでバグるからいけない。所詮模造品に過ぎないのだから消耗品であるべきなのだ。それを。
「…………どこまでも追いかけてきやがる」
彼にそのつもりはないのだろうが、鈴科は強迫感を覚えていた。
まるでサスペンス映画のような、正体不明の影に追われているようにすら感じる。
どこまで逃げても必ず追いかけてくる。
どうして、と小さく呟いた。どうして自分は追いかけられなければならないのか。
何も悪い事はしていないのに、とは言わない。けれど何故、選りにも選って彼に追われなければならないのか。
自分はもう用なしの残りカスだ。
学園都市に必要な部分は全部彼が持っていってしまったし、鈴科も全部投げ打ったはずだ。
地位も名誉も権力も才能も努力も結果も呪いも祝福も意味も価値も全部が全部、それを選択する意思すらも奪われた。
鈴科にはもう何も残っていない。
あるとすれば――そう、『鈴科百合子』という名と、どうしようもない嫌悪感だけだった。
「おーい」
声に振り返ると、先ほど部屋の端で何やらわいわいとやっていた少年たちがいた。
鈴科の真似をしたのだろう、食器を載せたトレイを持ってきていた。失敗したか。
彼らに聞こえないよう小さく舌打ちして、鈴科は、
「にーちゃん何やってんの」
「俺は女だクソガキ」
思わず顔が引きつった。
いやまあ確かにベクトル操作能力が云々、ホルモン分泌がどうのこうの。
能力を失ってからはある程度ホルモン分泌が正常に戻ってきたのか最近少し体が女らしくなった気もするが。
と、そこまで考えてから、鈴科は顎に思わず力を入れる。
彼らが勘違いするのも仕方がない。
それはもう、アイツが勘違いするほどに瓜二つなのだから。
「……、……」
子供のためだろうか、低い流しを後ろ手に掴み体重を預ける。
ぎしりと指が痛んだが気にはならなかった。それよりも酷い頭痛が鈴科を苛んでいた。
どうしようもない吐き気を覚える。しかしその対処法を鈴科は知らない。
「…………」
子供たちは俯いた鈴科を不思議そうに見、そろそろと近付いてきた。
そして――――
「ぴィ!?」
突然の事に思わず喉から愉快な声が漏れた。
近付いてきた彼らの一人がおもむろに鈴科の前に立った。
彼は少しの間じっと鈴科の顔を見上げたかと思うと。
…………ええと、状況だけ端的に表すなら。
胸を、揉まれた。
いや、正確には鈴科としては大変不本意ながら揉むほどの大きさも弾力もないので胸部に小さな手を押し付けられそのままわきわきと指で触感を確かめられたのだが。
予想外という次元を超えた出来事に鈴科は唖然としてただ少年が「んー……」と何やら難しそうな顔で思案するのを見ていた。
そのうち遠巻きに見ていた一人が真剣な顔で口を開いた。
「……どうだ?」
「………………びみょー」
迷わず拳骨で殴った。
「人の胸揉ンで『びみょー』じゃねェよ何しやがるクソガキィ!?」
「いってえええ!!」
「うん、その反応は男じゃないなあ」
何やら冷静に頷く他数名。
鈴科は右から順番に拳骨を降らせると、
「――オマエら全員出てけェェええええ!!」
心の底から一人にして欲しかった。
274 : VIPに... - 2010/05/11 02:43:42.21 eTwUXFIo 155/262ここまでしか考えてない<(^o^ )>
明日(ってか今日)はGEP落ちるのかなあ……
まあ落ちたら落ちたでもしかすると暇だったらVIPでうろうろしてます。禁書かは知らないけど
後は頼んだ
>>277
277 : VIPに... - 2010/05/11 03:53:08.21 bZGAPY.o 156/262一方さんに抱きつく百合子
「いってー……」
「何も殴る事ねえよなー」
「あン? どォしたオマエら」
「ねーちゃんに殴られた……」
「……あァ?」
「クソっ……クソォ……」
頭痛と吐き気が酷い。
酩酊感に似た目眩に襲われながらこめかみを押さえる。地面がぐにぐにと波打っている気さえした。
プリンの入ったカップにスプーンを突き立ててグチャグチャにかき混ぜるイメージ。
どろりとした白いヨーグルトのようなものが眼窩から流れ出てきそうになって、鈴科は思わず流しに顔を突っ込んだ。
びちゃびちゃと粘液質の音を立ててついさっき食べた昼食がシンクにぶちまけられる。
鼻を突く臭いに顔を顰める。涙が出てきた。
口蓋にへばりついたキャベツの断片を舌で剥がし吐き捨てる。
味は、と聞かれても答え様がない。既に口内は胃液のもので満たされている。
空えずきを繰り返しながらもざぶざぶと水道水で顔と口と喉を洗った。
鼻の奥にまだ嫌な臭いがこびりついている気がして、鼻から水を流し込んで吐き出した。また涙が出たからもう一度顔を洗った。
冷たい水が火照った顔に心地良い。
涙と涎と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔をがりがりと擦る。
耳鳴りが喧しかった。わんわんと怨嗟の声が聞こえる。
耳を塞いでも消せないのは分かっていたので無視しようとするが鼓膜の奥でがなりたてて酷く煩かった。
ずぐずぐと体の中身が溶け落ちる。足ががくがくと震えてしまい、立つのも苦痛だった。
……このまま、どろどろに溶けてしまえたらとさえ思っ
「――――百合子ォ!!」
「……ッカ、オマエ、何しに来やがった」
「――!」
「汚ねェ面、向けてンじゃねェよ……マジ気持ちわりィ」
「――? ――、――」
「ギャンギャン囀ンな……オマエ、口からクソ垂れンのが、そンなに好きなのかよ……」
「――――。――、――!」
「クソ、喧しい……うぜェ……」
「――――――!!」
「オマエ、やっぱり……さっさ、と……し……」
「――!? ――――!! ――――――
「――――」
…………、
「――――」
…………。
「――――」
……、…………。
「――――」
………………………………。
白い天井があった。
「………………ンあ?」
薄ぼんやりと光る蛍光灯に思わず目を細めて、鼻につく消毒液の臭いに顔をしかめた。
ち、ち、と小さい音に視線を向けると、点滴が小さく波紋を広げていた。
「……病院、か」
体を起こして見回せば、清潔な、それなりに広い個室だった。
他人が煩わしいのは嫌なのでありがたいが、どこか空虚な物悲しさを感じさせる。
世界と断絶されたような喪失感。死後の世界というのはこういうものだろうか、と思って、
くは、と息を吐いた。別に死後の世界なんて信じてもいないし、そこに厄介になったところで別にどうという事もないだろう。
見れば服も病人用のそれに変えられていた。
淡い空色の薄い服。肌寒さを感じさせないのは完璧なまでに効いている空調のせいだろう。
サイドボードには薄紫のササユリが活けられていた。何かの嫌がらせだろうか。
「…………、……あァ、そォか」
思い返して、鈴科はベッドに背中から倒れ込む。
「……クソ。死ね、クソッタレ」
しばらくベッドに横になり、もしかしてナースコールか何かした方がいいだろうかと思い始めたとき病室のドアがノックもなしに開かれた。
「…………あ」
「……なンだ、オマエかよ」
ふわりと視界に飛び込んできた白に医者かと一瞬見紛うが、それは鈴科のよく知る相手だった。
「目、醒めたんだ。調子はどう、ってミサカはミサカは少しだけおっかなびっくり尋ねてみたり」
薄紅色のキャミソールの上から明らかに丈に合わない男物のシャツを羽織った少女は、目に僅かに怯えの色を滲ませながらベッドの横まで小走りに寄った。
鈴科はそんな少女に、ふ、と息を吐いた後頭を軽く叩くように撫でた。
「別にいつもどォりだよ。なンでこンなトコにいるのか不思議なくらいだ」
その答えに少女は安堵した様子で頭を撫でられるがままにした。
「よかった。先生を信用してない訳じゃないんだけどやっぱり心配なものは心配だもんね、ってミサカはミサカは胸を撫で下ろしてみたり」
「心配させちまったかよ。そりゃァ悪かったな」
「倒れたって聞いて思わず飛び上がっちゃったんだから、ってミサカはミサカはあえて誇張を使ったけれどその時の心境は文字通りだって断りをいれてみる」
「オマエ、サイズも小さいけど肝も小さいなァ」
「む。小さいのはミサカの意思とは反するというか仕方ないんだって、ってミサカはミサカはそう言いつつも若干コンプレックスを抱いていてみたり」
「オマエはそれくらいがちょうどいいさ」
そう言って髪をくしゃりとやると、少女は嬉しそうに目を細めた。
「しかしまたなンで俺はこンなトコに厄介になってンだァ?」
「貧血と栄養失調だって、ってミサカはミサカは呆れ返ってみたり」
「……そォいえば最近あンまり飯食ってなかったなァ」
「だからあれほどサプリメントとかに頼っちゃダメって言ったのに、ってミサカはミサカは無駄だと分かっていつつも嗜めてみる」
「つってもよォ、めンどくせェンだよ」
「そんな事言って病院に担ぎ込まれるほうが面倒だと思うけど、ってミサカはミサカは指摘してみたり」
「ハ。まァ正論だなァ」
「もうこの際ファミレスとかお弁当とかでもいいからちゃんと食べて。ただでさえ体弱いんだから、ってミサカはミサカは散々口を酸っぱくして言ってるのを思い返しつつも言ってみる」
「気が向いたらな。オマエも人が頼みもしないのにいらねェ節介焼きやがる」
「だってそうでもしないとあなたが…………、……ってミサカはミサカは言葉を濁してみたり」
「ったく……この花もオマエかよ」
「あ、ううん、違うよ。それはあの人が持って…………ってミサカはミサカは……」
「……そォか」
「…………」
「なンでオマエがそンな顔するンだよ」
「……だって」
「別に嫌だとは言ってねェだろォが」
「……嫌じゃないとも言ってないけどね、ってミサカはミサカは揚げ足を取ってみたり」
「…………、……」
「……ごめんなさい、ってミサカはミサカは場の空気を悪化させた事に謝罪してみる」
カラ――――
「…………チッ」
「……よォ」
「なンでオマエがいるンだよ」
「いちゃァ悪いかよ」
「あァ悪いね。オマエの面見てると病状が悪化する」
「…………」
「なンでそこで黙るンだよ。気持ちわりィ」
「うるせェよ」
「ここのところ輪をかけて気持ち悪いったらありゃしねェ。折角病院にいるンだしよォ、ちょうどいいから見てもらえよ、脳」
「…………」
「だからなンでそこで黙る」
「…………」
「……ッチ、死ね、クソッタレ」
「……、目、醒めた事、言ってくるね、ってミサカはミサカは言ってみたり」
「……あァ」
「…………」
カラ――――パタン
「……」
「……」
「……何ジロジロ見てンだよ」
「……別に。なンでもねェよ」
「ハッ、言う事に欠いて『別に』だとよォ。まったくオマエってヤツは最っっ高にうぜェな」
「…………」
「おい、何か言ったらどォだよ」
「…………」
「やっぱり死ねよ、オマエ」
「…………」
何かが、ぷつんと切れた。
それから少しの間、何があったのか鈴科は覚えていない。
気付いたらぐしゃぐしゃになったシーツの広がるベッドの上に一方通行を押し倒し、その上に馬乗りになっていた。
簡易着が乱れていたが気にはならなかった。そんな事より左手がじくじくと痛む。点滴の針が抜け、血が滲んでいた。
一方通行はじっと鈴科を見上げていた。
血みたいに真っ赤な目が堪らなく気持ち悪い。その奥に鈴科の顔が映っているのも含めて。
まるで合わせ鏡だ。
手は自然に動いた。自然に、機械的なまでの無感情に鈴科の細い指が伸び――
「――――」
く、と一方通行の首に巻きついた。
「――――」
赤い瞳に写った自分の顔はぐちゃりと奇怪に歪んでいる。
だというのに、一方通行はまるで人形のような無表情で鈴科を見上げていた。
「――――」
首に掛かる指に力が入った。白い肌に頚動脈の影が浮かび奇妙に蠢く。
まるで皮膚の下を線虫が這っているようで気持ち悪い。
「――――、」
コードが邪魔だ。チョーカーから伸びるそれが実に鬱陶しい。
「――――、」
ゆらりと一方通行の右手が鈴科の顔に伸びるが、気にしなかった。
殺す気なら最初からいくらでも出来たはずだし、たとえ今触れた瞬間に頭をトマトみたいに潰されたとしても別によかった。
この忌々しい顔を見ずに済むのなら。
「――――」
けれど、
「――――百合、子」
手は優しく頬に添えられた。
「――ハ、なンだよ」
赤い鏡面に写る自分が揺れる。
鈴科には彼の行動が理解できなかった。
「オマエ、それ、一体なンのつもりだよ」
「……オマエには無理だ」
呟くようにして吐かれた言葉に、鈴科は思わず歯を食いしばり、指に力を込めた。
奇妙なオブジェのように首が歪むが、彼は相変わらず人形めいた無表情で、どこか呆と鈴科を見上げていた。
「オマエには殺せねェよ」
「な、ンだよそれ。俺じゃオマエは殺せねェってのかよ。そのナリでよくそンな事が言えるなァ」
「……ちげェよ」
――――小さくカチリと音がして。
「オマエに誰かを殺すなンて、できねェよ」
そう、彼は何故か、苦笑した。
……目の前が真っ暗になった。
崩れ落ちた鈴科を抱き止め、一方通行は体を入れ替えるようにしてベッドに寝かせた。
「…………」
ぐしゃぐしゃに乱れていたシーツを綺麗に掛け直し立ち上がる。
手元のスイッチを操作して杖を伸ばし、左手でチョーカーのスイッチを切った。
「…………」
途方もない脱力感が圧し掛かる。一瞬ふらつくものの杖がそれを支えた。
何かが杖に触れる。
「…………」
見遣ると小さな紙袋が転がっていた。
無言でしばらくそれを眺めていたかと思うと杖で軽く蹴り飛ばし、そのまま病室を出ていった。
「…………」
からりと戸を引き、ふと首だけで病室を振り返りそれから溜め息を吐いた。
「……黙ってりゃァ少しは可愛げがあるンだがなァ」
――――パタン
298 : VIPに... - 2010/05/13 22:30:19.31 9FDYcgMo 170/262むりやり安価消化したところで中断
次のシーンとラストの展開(?)は決めてるんだけどそこまで上手く舵が取れない……
次に目が醒めた時はもう夕方だった。
「……オマエらつくづく暇だよなァ」
「はい?」
「なンでもねェよ」
溜め息を吐き、鈴科は頭の上に疑問符を浮かべるツンツン頭から顔を背けた。
なンでコイツがここにいるンだよとかどォしてオマエはナチュラルに顔出せるンだよなどとぶつぶつと呟きながら、鈴科は視線のやり場に困って窓の外に向けた。
空は綺麗な茜色に染まり、陽に照らされた雲は黄金色に輝いて見えた。
そこで気付く。珍しい物が見えた。
「――――おィ」
「ん? どうしたよ」
「空。見てみろよ」
椅子から腰を上げ、上条は鈴科の視線を追った。
四角いアルミサッシに切り取られた空に浮かぶ雲。
まるで浜の白波のように並んだ中に、おかしな物が見えて思わず目を細めた。
「…………虹?」
まるで玉虫の羽のように淡く七色に広がる雲があった。
虹とは違う。まるで透けるほど薄く切ったオパール箔を貼り付けたような色の入り乱れた雲が薄ぼんやりと浮かんでいた。
「知ってるか。あれ彩雲って言うンだ」
要は虹と同じように太陽光が雲の水滴で回折して七色に輝くだけの極ありふれた気象現象なのだが。
「あれな、瑞兆らしいぞ」
「ずいちょー?」
「ラッキーって事だよ」
呆れたように言う鈴科に、上条はなんだか感心した様子でうんうんと頷き、
「確かに。あんなに綺麗なんだもんな。見れてラッキーだ」
そういう意味じゃねーよ、と嘆息して思わず自分が身を乗り出していたことに気付く。
何故だか妙に気恥ずかしくなり、それから馬鹿らしくなって、鈴科は体を直す。
上条がベッドの上に身を乗り出して空を覗いていて、つまり顔が至近距離だった。
「――――――」
思わず殴りそうになって、止めた。
上条は鈴科の様子に気付きもせず、手を水平にかざして無邪気な顔で空を眺めていた。
クリスマスプレゼントの箱を開ける子供のような顔で、でも時折妙に難しい顔をして、上条は空を見上げる。
その表情が、その眼が妙にきらきらしていて、鈴科は何も言えなくなる。
上条の瞳に映った雲がまるで黒曜石のように見えた。
「……おい、いつまでそォしてる気だよ」
急に掛けられた少し怒気を孕んだ声に上条はびくりと肩を震わせ、
身を乗り出して妙な体重の掛け方をしていたお陰で足を滑らせて鈴科の上に倒れ込んだ。
「……人がいないのをいい事に押し倒してンじゃねェよ」
「すみませんすみません事故です悪気はなかったんです!」
妙な具合にシーツが絡まったのかもがもがと暴れる上条の頭を膝で蹴り上げた。
「いてぇ……」
「一応俺も女だがよ、オマエ明らかに趣味悪いな」
「は? 何言ってんだよオマエ」
「茶化しただけだ馬鹿」
「……結構オマエ可愛いと思うけどな」
「……医者呼ンだ方がいいか?」
「熱とかねえから! そんな顔で俺を見ないでくれええ!!」
「いやこの場合は脳外科だろォ」
「余計に酷いっ!?」
「オマエがトチ狂ったよォな事言うからだろォが」
「別におつむの具合が悪い訳じゃねーですよー」
「じゃァ眼科だな」
「少なくとも青髪ピアスが反応するくらいには美人だって」
「誰だそれ」
「ひでえ。容赦ねえ」
「ま、倒れたって聞いたけど元気そうでよかった」
「馬鹿どもが勝手に騒いだだけだ。っつーかどォしてオマエにまで病院送りが回ってンだよ……」
「打ち止めが」
「……余計な事しやがる」
「言ってやるなって。凄い心配してたんだからさ」
「そォかい」
「淡白だなぁ……」
「うるせェよ悪いか。オラ、もォ面会時間終わるだろォが。さっさと出てけ」
「む。折角人が心配して来たってのになんだよそれ」
「来てくれとも心配してくれとも頼ンでねェ。邪魔だ目障りだ失せろ」
「ひっでぇ……ま、病人の横で騒いでもなんだしな。帰るよ」
「んじゃまた明日な。学校来いよ?」
「……気が向いたらな」
「そう言うなって。小萌先生も心配してんだからさ」
「知るか」
「……あ、そうだこれ。ほい」
「あァ? なンだよ」
「じゃーなー。学校来いよー」
カラ――――パタン
「……人の話まったく聞かねェな、アイツ」
「なンだよコレ……」
「…………あァ、見舞いか」
「頼みもしねェのに余計な事しやがる」
「……まァ貰っといてやるか」
「……」
「…………」
「………………あ」
「ふゥン……少しは気が利くじゃねェか」
「つっても豆がねェがよ」
「…………」
「まァインテリアにはちょォどいいか。俺の部屋も殺風景だしなァ」
「……ッチ」
「……たまには挽いて淹れてみるか。せっかく貰った事だし」
「ったく……どこをどォしたらコーヒーミルなンて発想が出てくるンだよ」
「うーす。おはよー」
「……」
「おはー」
「……」
「おはようございます鈴科さん」
「……」
「返事くらいしてくれてもいいじゃないですかねぇ!?」
「……」
「……鈴科さん?」
「…………あァ、おはよォ」
「……」
「なンだよその顔はァ」
「……いや、なんでもねーっす。さーって、一時間目なんだったかなーっと」
「……フン」
「……だーっ、わっかんねー」
「はァ? オマエ何言ってンだよ。コレ中学生レベルの問題だろォ」
「分かんねーもんは分かんねーんだよ」
「どこをどォ解いたンだよ……ちょっと見せてみろ」
「え? ちょっ、鈴科」
「はァ? オマエなンでこォなるンだよ」
「俺にも何がなんだか」
「はァ……ここにコイツを代入してだな……」
「ふむふむ……あー、なるほどなー」
「オマエそンなンでよく学園都市にいられるなァ」
「……鈴科」
「あン?」
「サンキューな。助かった」
「……そォかい」
上条「うあー、腹減ったー」
青髪「カミやんー、飯行こーぜー」
上条「おう。土御門ー」
青髪「……あれ、おらへんね」
吹寄「土御門ならさっき弁当箱抱えてどっか行ったわよ」
上条「なにーっ!? あの野郎今日は舞夏の弁当かー!!」
青髪「許すまじ! 許すまじ愛義妹弁当!!」
上条「ここは条約に則り彼奴の兵糧を挑発すべきと愚考しますぞ大佐殿!」
青髪「うむ! さあ上条軍曹、あのにっくき裏切り者を探し出し血祭りに上げるのだ!」
上条「いや、面倒臭いからそれはオマエがやってくれ」
青髪「ひどぉっ、ボクらの友情ってそんなもんだったん!?」
上条「腹減って追いかけっこする気力がねーんだよ……さっさと食堂行こうぜ」
青髪「まぁせやね。鈴科さんもどない?」
鈴科「…………」
ガタン――ガラガラ――
青髪「……ふぅ、つれへんね」
鈴科「おい、そこの馬鹿二人」
上条「ん?」
鈴科「……早くしねェと売り切れるだろ」
上条「…………ははっ」
青髪「はは、こりゃ凄い。カミやんどんな魔法使ったん?」
上条「何もしてねえよ」
鈴科「先行くぞ」
青髪「ちょ、待ってーな鈴科さーん」
青髪「鈴科さんは何にしたん?」
鈴科「A定」
上条「今日なんだった?」
鈴科「鶏唐とキンピラとと海草サラダ」
上条「ぐ、惹かれるな……」
鈴科「じゃァ頼めばよかっただろォ」
上条「こちらにはやむを得ない事情があるんですよ……」
鈴科「……せめて何か乗せろよ」
上条「し、失礼な! 葱山盛りですよ!」
青髪「要するに素うどんやね」
上条「素パスタよりはマシだ!」
鈴科「……大変なンだなァ」
上条「同情はやめてくれ……余計辛い……」
鈴科「仕方ねェなァ、ほらよ」
上条「あ」
鈴科「いらねェならいいけどよ」
上条「そうじゃないけど、いいのか?」
鈴科「大食いって訳でもねェよ」
青髪「ええなーカミやん。んじゃボクも」
上条「うおー! いきなり俺の昼飯が超豪華に!」
鈴科「大げさだなァ」
青髪「カミやん感激屋やさかい」
上条「やっぱり持つべき物は友達だな」
鈴科「友達ィ? 誰が」
上条「オマエら以外に誰がいるんだよ」
鈴科「友達……ねェ」
青髪「カミやん友達少ないもんね」
上条「誰を指して言ったかだよ! そんなに寂しい人生嫌ですよ!」
青髪「せやねー、カミやん女の子の友達多いもんねーちくしょおおお!」
上条「だああっ! 唐揚げだけは! これだけは譲らん!」
青髪「ボクかて女の子から優しくされたいんやー!!」
鈴科「オマエら飯くらい静かに食えよ」
上条「珍しく肉が入ったから今日の午後は大丈夫かな」
鈴科「オマエいつもどんな食生活してンだよ……」
青髪「あれ、カミやん今日は午後HRだけやで?」
上条「え? マジ?」
鈴科「そォいえばそンな事朝言ってたなァ」
上条「っしゃー! それじゃあどっか遊びに行こうぜ!」
青髪「せやね、最近ご無沙汰やったし。鈴科さんもどない?」
鈴科「…………」
上条「鈴科?」
鈴科「……まァたまには付き合ってやるかなァ」
青髪「うっしゃー!」
上条「お、そうだ。折角だし何人か呼んでいいか?」
青髪「女の子来るなら大歓迎ですけど!」
上条「返事次第だなー。ちょっと聞いて回ってみる」
鈴科「おィ」
上条「……ああ、アイツは呼ばねえよ」
鈴科「…………当たり前だろォ」
上条「深刻だな、ここの問題も」
鈴科「無問題だ。アイツの事は関係ねェだろォが」
上条「……どういう意味で?」
鈴科「…………俺、は」
上条「鈴科が?」
鈴科「…………、……」
上条「鈴科?」
鈴科「なンでもねェよ。好きにしろ」
青髪「んでカミやん、誰呼んだん?」
上条「女の子たくさん」
青髪「神上さんと呼ばせてください」
上条「苦しゅうない。が、色々お上から言われそうだから普通にしていてくれ」
青髪「らじゃー」
鈴科「騒がしいのは嫌いなんだがなァ……」
上条「う、カラオケの予定なんですけど……」
鈴科「…………まァいいけどよォ」
上条「悪いな」
鈴科「たまにはいいだろォ」
上条「っと、来た来た。おーい」
青髪「カミやん……」
上条「ん?」
青髪「なんでこんな美人さんばっかやねんちくしょおおお!!」
垣根「」
定規「」
麦野「」
フレンダ「」
滝壺「」
絹旗「」
浜面「」
白井「」
御坂「」
鈴科「帰っていいか」
「ちょっと人数多すぎじゃない? マイク回ってこないじゃない」
「わたくしお姉様と一緒ならどこだろうが構いませんの」
「結局呼べるだけ呼んだんじゃないの?」
「ちょっとー、ドリンクこれだけなの?」
「へいパシリ、超ダッシュしてこい」
「やっぱり俺の扱いってそれなんですよね!?」
「大丈夫、私はそんなぱしりを応援してる」
「フォローになってへん気がするけど可愛いから正義」
「おい幹事さんよぉ……ここの支払いは俺に任せろそれくらいさせてくれ何水臭い俺とオマエはマブダチだろ」
「ありがてぇありがてぇ」
「イライラ……」
「…………たまに気紛れ起こすとこォなるから嫌なンだよ」
垣根「トップバッター誰行くよ?」
麦野「そりゃあ幹事でしょ」
上条「えー、何歌ってもブーイングの嵐が待ち受けてるのが目に見えてるんですけどー」
フレンダ「結局、男は度胸ってヤツよ」
青髪「ほいお嬢さん、リクエストナンバー行っちゃってーな」
滝壺「迷うね……」
絹旗「超フィーリンクでいいんですよこんなの。どうせ盛り下がるんですから」
浜面「…………」
上条「なんだよその哀れむような目はー!?」
浜面「いや、なんてーの? ……頑張って生きてればきっといい事あるさ」
上条「もう既に不幸イベントフラグ立ってる? 立っちゃってます? 立ってるのかよおおお!?」
滝壺「あ、そうだ」
定規「ん?」
滝壺「>>333で」
上条「」
垣根「どうせそう来ると思ったw」
333 : VIPに... - 2010/05/15 20:30:52.63 iuChf/Yo 189/262シャンラン節
上条「入ってるのが不思議です!」
垣根「俺はカミやんが歌える事の方が不思議だよ!」
青髪「カミやん凄いねー、色んな意味で」
滝壺「意外とお上手でした」
麦野「はいはい盛り下がったところで次行こうかー」
フレンダ「じゃあ次絹旗ね」
絹旗「ええっ私ですか!?」
フレンダ「アンタ結局どんなの歌うのかなーって。麦野とはたまにカラオケ行くけどアンタと行った事ないし?」
絹旗「ぐぬぬ……映画馬鹿を舐めた事を超後悔させてあげます! 本気で行きますよ! 『My Heart Will Go On』!」
定規「なっ……いきなりハードルが上がった……!?」
浜面「え? 何これ? なんでバトルモードになってんの?」
絹旗「次浜面ですからね!」
浜面「ええええ!?」
滝壺「大丈夫、私は無難な邦楽を無難に歌うはまづらでも応援するから」
浜面「ぐおおおおお!! 『』! はいフレンダ!」
フレンダ「じゃあ映画繋がりでヘアスプレー」
垣根「お、洋楽か? じゃあ『Emerald Sword』」
麦野「私ジュディマリいこーっと」
青髪「リア充についていけへん」
『スパークリンザシャイニライツ、アウェイクトゥル、ディザイア、オンリィマィレェガンキャンシューティッかーなーらーずー』
白井「鉄建制裁っ!」
『そげぶっ!?」
白井「それはお姉様の持ち歌ですのー!!」
青髪「ええやんボクもキャラソン欲しいんよ!」
白井「名前は元よりせめて日常要員を抜けてから仰ってくださいな!」
定規「なんか親近感が湧いた……」
垣根「メインキャラには分からねぇよなこの気持ち……」
フレンダ「あれ……なんでだろう、目から涙が」
店員「飲み物お待たせしましたー」
麦野「(っ……イケメン……! なんかエキゾチックな雰囲気が……!)」
滝壺「……あれ?」
絹旗「どうかしましたか?」
滝壺「…………どこかで会った事ある?」
麦野「!?」
絹旗「た……滝壺さんが超ナンパですと!?」
店員「気のせいですよ」
滝壺「そう?」
店員「はい。では自分は仕事があるので。皆さんごゆっくりどうぞ」
上条「…………ちょっとトイレ行ってくる」
上条「おいこら何してやがるテメェ」
エツァリ「ははは、忘れられたかと思ってましたよ」
上条「なんで御坂の前に堂々と出てきてんだよ!?」
エツァリ「嫌ですね、自分は極ありふれたどこにでもいるアステカ系魔術師ですよ」
上条「他はどうかしらんがこの学園都市に限ってそれはねえよ!」
垣根「ツレションしにきたぜー。やっぱり海原だったか」
エツァリ「少しでいいので常識が通用してください」
垣根「心配するな。自覚はある」
上条「なんでオマエここにいるんだよ」
エツァリ「いえ何、鈴科さんが気になったもので」
垣根「俺の天使は渡さねえええ!!」
上条「羽! 羽出てるから!」
海原「名前が面倒と言われたので化けの皮を被ります」
上条「便利だなあ……」
垣根「んでオマエ何しに来たんだよ」
海原「鈴科さんと上手くやれてるかと心配になりまして」
垣根「これから上手くやるところだ」
上条「もしもし本来の目的忘れてませんか」
垣根「俺と百合子さんの仲を取り持つ会じゃなかったのか」
上条「垣根くんの馬鹿っ、非常識っ、そげぶっ」
海原「新ネタですね」
垣根「いいパンチだったぜ……」
上条「それでなんの話だっけ」
海原「ええと金星の位置は、と」
上条「すみません真面目にやります。やりますから真面目にやってくれ話を進めてくれ!」
垣根「どの口がそんな事を言いやがる」
海原「スレの趣旨を再確認します」
垣根「俺と百合子さんの仲を取り持つスレ」
上条「いい感じに壊れてるなあコイツ」
海原「一方通行と鈴科さんの仲です」
垣根「そういえばいたなそんなヤツ」
上条「駄目だコイツ」
海原「なのになんです。気付いたらあなたが仲良くなってるじゃないですか」
上条「え? 俺?」
垣根「このエロゲー野郎!」
上条「ちょっと待て。毎度毎度フラグ建築士だのなんだの言われてるけど今回ばかりは身に覚えがないぞ」
垣根「この期に及んでしらばっくれやがる」
海原「これだから……」
上条「最近友人が冷たいです」
「…………」
小奇麗なパーティルームの片隅、ソファに埋もれながらどうしようもない疎外感を覚えていた。
視線のやり場に困って、備え付けの曲のカタログを眺める振りをしながら溜め息を吐く。
どうしてこんな事になったのか。答えは明白だ。
あの馬鹿の言う事に適当に返事をしていたらこうなった。
要するに自業自得。周りの賑やかな空気がどうしようもなく堪らなくて、もう一度溜め息を吐いた。
「ほら、結局まだアンタ歌ってないじゃない」
「……まだちょっと」
金髪の少女にマイクを薦められるが、曖昧に返事をして再び読んでもいないカタログを捲った。
嫌な奴だと自分でも思う。
場の空気は自分のいる一角だけ明らかに悪くなっている。
けれどどうしようもなかった。どうしようもなく気まずい。
舌が喉に張り付くような感じがして注文したジュースを口に含む。
けれど喉の渇きは癒えなかった。
「アイツら遅いな……」
呟きに顔を上げると、部屋を出て行く背中が見えた。
「…………」
少しだけ思案して、辺りを見回す。
皆いい感じに盛り上がっているようであまり気にしていないようだった。
部屋に取り残された少年二人が他の面子に無理矢理アニソンをデュエットさせられていた。少し同情する。が。
「……、……」
そっと席を立つ。できるだけ気配を殺して分厚い戸を開けた。
それから少しだけ迷って、ちらりと部屋を振り返る。
部屋の中は相変わらず明るい笑顔と声で満たされていた。
そんな中、一人行儀よく静かに座っていた――白井と目が合う。
「――――」
彼女はどうしてだか緩く微笑み、
「…………」
それにどういう顔を返したのかもよく分からずに戸を閉めた。
小走りに立てた足音に、彼女は振り返る。
「…………」
案の定物凄い目付きで睨まれた。
「…………」
けれど臆す事などできなかった。
「…………その」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………ごめん」
「何がだよ」
「…………あの時。勘違い、しちゃって」
「……あァ」
「だから、ごめん。酷い事言っちゃった」
「………………オマエさ」
「え?」
「誰だっけ」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………御坂、美琴」
「ふゥン」
「…………」
「…………」
「…………ぁ」
「…………」
「えと……アンタの、名前は?」
「鈴科百合子」
「……すずしな、ゆりこ」
「あァ」
「…………綺麗な名前ね」
「…………そォかよ」
自分でも不思議なほど鈴科は平然としらばっくれた。
どうしてそんな真似をしたのか自分でもよく分からない。
いつものように悪態を吐いて睨め付けてもよかったはずだ。
何か歯車のようなものが妙な具合におかしくなったとしか思えなかった。
だのに何故だか気付けば鈴科は茶番を演じていた。
彼女を哀れんだ訳でも何か思惑があっての事でもない。自然とそんな言葉が口から出てしまった。
上条の馬鹿が移ったか、とも思う。けれど鈴科は別に彼女に義理立てする理由はないのだ。
そこでようやく気付く。
(あァそォか…………別にコイツを嫌う理由もねェンだ)
そう。
鈴科は御坂の事を知らないし、御坂も鈴科を知らない。
鈴科が御坂に何かした訳でもない。御坂が鈴科に何かしたのでもない。
最初から相手なんて見えていなかった。
ただお互いに蜃気楼のような相手を挟んで敵対していただけなのだ。
そして、妙な事は重なるもので、鈴科は珍しく気紛れを起こした。
彼を羨ましく思ってしまった。
無能力者だというのに、能力が全てを語るこの学園都市にいてなおあれだけの笑顔の中にいる彼に。
そして――愚かしくも、想ってしまった。
自分も彼のように笑えるだろうかと。
『だから! 俺は身に覚えがないんだって!』
「……何やら馬鹿が騒いでやがるぜ」
「ほんと、他のお客さんの事も考えてほしいわよね」
「騒ぐのは部屋の中でやれってンだ」
『だって百合子さんに何かプレゼントしたんだろ?』
「……ふーん?」
『違うっつってんだろ』
「何貰ったのよ」
「……コーヒーミル」
『何が違うんだよ」
「へぇ、アイツにしては気の利いた――」
「あれは俺じゃなくて一方通行が――」
――――何か大切なものが砕けたような音が聞こえた気がした。
「――――は」
どうしてだか、笑いが込み上げてきた。
「はは、」
目眩がして思わず顔を掴んだ。
「はは、くは、くかはは」
どうやら何か壮大に馬鹿な勘違いをしでかしていたようだ。
「かは、かか、くこか、きかかか」
それが自分でもどうしようもなく可笑しくておかしくて冒しくて犯しくてオカシクテ、
「こきかこくかこきくくけけかけこくけここくかくここきくきけかきこくこけけかかか――――!」
何を今更、と鈴科は嗤う。
オリ
元からこの街は盛大に狂っているというのに。
救い
どこにも逃げ場などありはしないのに。
だからだろうか。
よく晴れた夏空みたいな色の車に目を奪われた。
「――――――」
その車はゆっくりと鈴科の傍まで徐行し、そして停まる。
パワーウィンドウがモーター音を唸らせながら下りる。
「――――やぁ」
その向こうから顔を覗かせた彼女は、どこか疲れたように笑った。
「……私のマンションはすぐそこだが風呂を貸そうか?」
嫌がったのに無理矢理車に放り込まれて連行された。
「………………」
熱い湯に浸かっていると冷え凝った体が溶けてしまいそうだった。
体が弛緩する。けれど頭はまだどこか朧気なままだった。
「………………なァ」
だからだろうか。気付いた時には口が勝手に動いていた。
「人生って……難しいなァ」
自分でもどうしてそんな事を呟いたのかよく分からなかった。
けれどドアの向こうで洗濯機を動かしていた木山は返事をした。
「そうだな、難しい。どんな複雑な数式も足元にも及ばない難問だ」
「…………」
「けれど間違えないで欲しい。それは君にしか解けない問題だ」
そう言った彼女はどんな顔をしているだろうか。
そして自分はどんな顔をしているだろうか。
見遣った鏡は、湯気に曇ってしろくぼやけていた。
風呂から上がり、服を乾かしている間だけとシャツを借りた。
「……」
「コーヒーは嫌いだったかい」
「……いや」
マグカップを受け取りソファに腰掛ける。
「険しい顔だ。もう少しリラックスしてくれて構わんよ」
「余計な世話だ」
にべもない鈴科に木山は、ふ、とため息を吐く。
「そんなに肩肘を張らなくてもいいだろう」
「うるせ――」
「何、一生を費やすに値する難問だ。けれど気楽にやればいいだろう」
「…………」
「私も未だ頭を悩ませている身で偉そうな事を言えた義理じゃないが……その内きっと分かるだろうさ」
「…………」
「何せ人生は長い。途方もなくね」
「…………」
「難しく考える必要はないさ。投げ出す事は能わぬが、何度だってやり直せるだろう」
「…………」
「何故ならほら、君はここにいるのだから」
「……コギト=エルゴ=スム、か」
「思考を放棄したら負けだよ。悩みたまえ若人。君たちの特権だ」
――――ピンポーン
「と、来たようだね」
「あァ?」
「……少し待っていてくれ」
「…………なンだよ」
「――――――、」
「…………よォ」
「なンでオマエがここにいやがる」
「私が呼んだからね」
「っ――選りに選ってなンでコイツなンだよ!」
「君の知人を他に知らなかったのでね……さて、私は少し買い物に出かけてくるよ」
「はァ!? おいふざけン――」
「すぐ戻ってくるから帰らないでくれよ。家に帰って誰もいないのは少し寂しいんだ」
「――――」
――バタン
「――――」
「…………」
「――――」
「…………」
「――――百合子」
「話しかけンじゃねェよ。死ね」
「――――」
「…………」
「百合子」
「だから話しかけンなっつって……」
「一つだけ教えてくれ、百合子」
「……なンだよ」
「オマエは――」
「一体俺の何が気に食わないンだ」
「…………何、って」
「オマエは俺のどこが気に食わないってンだよ。俺がオマエに何をしたンだ」
「っ……」
「教えてくれよ。俺の何がいけない。何が気に食わない」
「…………そンなの、決まってるだろォが」
「――――」
、 、 、 アクセラレータ
「オマエだよ、『一方通行』」
「一方通行、一方通行、一方通行――『一方通行』!」
「…………」
アクセラレータ
「そうだよ、オマエが『一方通行』だ。俺じゃなく、な」
「…………」
レベル5
「学園都市の最強、超能力者序列第一位、あらゆるベクトルを支配する能力者」
「…………」
. 、 、 、
「それがオマエだ――だが間違うな」
「…………」
、 アクセラレータ
「それは俺じゃねェ。俺は『一方通行』じゃねェンだ」
「…………」
「俺の『一方通行』はオマエに奪われた。意味が分かるかァ?」
「…………」
「俺はオマエに否定されたンだよ。そンな相手を嫌わない方がおかしいだろォが」
「オマエが望むだとか望まないだとかそンな事はどォでもいい」
「オマエの存在そのものが俺を否定するンだよ」
「俺の生きてきた歴史を全部オマエが持っていきやがった」
「『俺』はオマエに奪われたンだよ」
「ならよォ――『俺』じゃなくなった俺は、一体誰だ?」
「分かるか『一方通行』。この意味が分かるか?」
「俺はオマエに殺されたンだよ」
「…………」
、、 、、
「思えばアイツらもよく黙ってられンなァ。『自分』を殺されたってのによォ」
「オマエが……否定するなよ」
「ハッ、どォした。同類相憐れむってヤツかァ? 仲良く乳繰り合ってりゃいいじゃねェか。クソッ」
「ちげェよ……そンな事言ってるンじゃねェよ」
「――――じゃァ、なンだってンだよ」
「オマエが……オマエが『俺』を否定するンじゃねェよ、百合子ォ!」
「『一方通行』は俺だ、そンな事は百も承知だよォ!」
「俺がオマエの『一方通行』を奪った、確かにそォだよ!」
「でもな百合子、それをオマエが否定するンじゃねェよ!」
「他でもねェオマエが俺を否定するなよ! オマエが否定してやるなよ!」
アクセラレータ
「確かに『オマエ』は 『 俺 』 じゃねェけどよォ……」
「だったら、『俺』は一体誰だよ」
オリジナル
「『俺』は『オマエ』なンだよ、『鈴科百合子』! 『鈴科百合子』を、他でもないオマエが否定するなァ!!」
「――――」
鈴科百合子
「じゃァ俺は一体誰だよ! 俺は一体何物だ! 俺が『一方通行』じゃないとしたら誰なンだよォ!」
「――――」
アクセラレータ
「オマエにとって『一方通行』は代名詞にはなってもオマエそのものにはならねェよ!」
「――――」
「現に目の前に俺がいるのにオマエは俺の目の前にいるじゃねェか! でもよォ!」
「――――」
「俺にとっての『鈴科百合子』は俺の存在理由そのものだ!」
「――――オマ、エ」
「俺のたった一人の姉貴を否定するンじゃねェよォォおおおお!!」
「――――」
「……少なくとも『鈴科百合子』は俺じゃねェ。オマエだよ」
「――――」
「オマエが『俺』をいくら嫌ったっていい。でもよォ……オマエ自身まで否定しちまうなよォ……」
「――――」
「鈴科百合子はオマエ以外にありえねェンだよ……」
「――――」
「…………」
「――――ァ」
「…………」
「ハ、ハハ、クハハッ――こりゃケッサクだ――」
「……百合子……?」
アクセラレータ
「誰も彼もが俺を『一方通行』としか見てなかったってのに――」
「他でもないオマエ自身が俺を肯定してたンだなァ――」
「なァ――俺は誰だ?」
「そンなの決まってるだろォが。鈴科百合子だよ。それ以外に言い様があるか」
「そォだよなァ――オマエは鈴科百合子じゃねェもンなァ」
「……百合子」
「なンだよ」
「俺だけじゃねェよ」
「あァ――?」
「アイツら皆、オマエの事を鈴科百合子って呼ぶンだぜ」
「――――ァ」
『鈴科。サンキューな。助かった』
『鈴科さんは何にしたん?』
『……すずしな、ゆりこ…………綺麗な名前ね』
「俺は――鈴科百合子だ」
「あァ」
「じゃァ――オマエは――」
「さあなァ」
「――――」
「そンな事はどォでもいいだろ」
「――でも」
「俺は俺だ、百合子。オマエの存在が俺を肯定する。それでいいンだよ」
「――」
「鈴科百合子は『一方通行』じゃねェよ。だから……」
「だから――?」
「オマエは『鈴科百合子』をやってりゃいいンだよ。めンどくせェ事は全部俺に押し付けてりゃいいンだ」
「――――」
「オマエはオマエの好きにやればいい。『一方通行』なンて下らねェもンに付き合わなくていいンだ」
「でも――それじゃァオマエが救われねェじゃねェか――」
「……ッハ、百合子ォ、オマエ本当に馬鹿だなァ」
「――――」
「その一言で俺は救わるンだよ、百合子」
「だから今度はオマエが救われる番だ、百合子」
「――――俺は、救われてもいいのか?」
「いいに決まってンだろ」
「――――」
「『一方通行』は俺だ。オマエの罪も咎も不義も悪も闇も恥も穢れも俺が引き受けてやる」
「――――」
「この街に許してくれる神なンていねェかも知れねェ。だったら俺が許してやる。俺がオマエを許してやる」
「だからオマエは真っ白に咲いてればいいンだよ、百合子」
「俺は――」
「俺は……」
「俺は、鈴科百合子だ――」
「俺は、『一方通行』だ……」
「『一方通行』じゃねェ――俺をそう呼ぶな」
「鈴科百合子じゃねェ……それはオマエだ」
「俺は――俺が鈴科百合子だ――! 俺の名前と人生は俺だけのものだ――!」
「……何を大声で言っているのかと思えば。外まで聞こえていたよ」
「――オマエ、ら」
「いや何、何故かばったり出くわしてしまってね……聞けば皆君の友人だそうじゃないか」
「友、人」
「ったく、いきなりどっか行くから探したじゃねえか」
「おじゃましまーす。アンタたち並ぶとほんと見分けつかないわね」
「今度謝っとけよー。みんな心配してたんだから」
「どうしてそこにミサカが呼ばれなかったのか不満で仕方ないんだけど、ってミサカはミサカはここぞとばかりに自己主張してみたり」
「いいじゃない。今度一緒に遊びに行きましょ……みんなでさ」
「ったく……これだからコイツらいつもこれだからなァ。嫌でもこっちまでノリに引きずり込まれる」
、 、 、、 、
「――初めまして。あなたのお名前は?」
「――鈴科百合子だよ、小さいの。オマエはなンていうンだ?」
「私の名前はインデックスっていうんだよ。よろしくね、ゆりこ」
"the Accelerator for Their Misunderstanding Each Other because She is Purity"is over.
399 : VIPに... - 2010/05/23 04:00:13.15 z7B1fZEo 224/262自分でもよく分からないけどなんとか終了
メアリ・スー化が激しいけれどそこはIFなので
何はともあれお付き合いいただきありがとうございました
サブタイがいつになく長い
「――――おい」
「あァ? オマエから来るなンて珍しいな。なンだよ」
「うるせェ。大した用じゃねェよ……オラ」
「…………なンだよコレ」
「見て分かンねェのかよ。どォ見てもコーヒーだろ」
「いや、そォじゃなくてだな……」
「……まァ、その、なンだ」
「…………」
「オマエに貰った物だからな」
「……もしかしてこれオマエが淹れたのかァ?」
「そォだよ悪いかよ」
「…………」
「なンだよその顔は」
「い、いや、なンでもねェよ」
「いいから黙ってさっさと飲めよ」
「急かすなよ……ン……」
「……どォだ」
「………………苦ェ……」
「そこは嘘でも美味いって言えよクソが」
「いや、だって、マジで無駄に苦いだけだぞ……あ」
「なンだよ」
「もしかして……豆まで自分で煎ったのか」
「…………」
「さすがにそれは難しすぎるだろォ!? それが出来れば喫茶店やれるぞォ!?」
「うるせェよじゃァオマエがやってみろよ!?」
「…………」
「…………」
「……今度色々やってみるか」
「……そォだな」
「美味いコーヒー飲ませてアイツら驚かせてやろォぜ」
「あァ。ソイツは確かに傑作だなァ」
402 : VIPに... - 2010/05/23 05:50:19.49 z7B1fZEo 227/262おや……すみ……げふぅ
一方「おいクソ姉貴」
鈴科「なンだよ愚弟」
一方「オマエさっきから何やってンだよ」
鈴科「あァ? ……まァ、ちょっとな」
一方「鏡の前で百面相して、にらめっこの練習ですかァ?」
鈴科「うるせェよ。つーかオマエ人の部屋で何してンだよ」
一方「漫画読みに来ただけだよ……ン、携帯鳴ってンぞ」
鈴科「!」
一方「はァい? もしもしィ」
鈴科「ああああああ!? 何勝手に人の携帯出てンですかァァああ!?」
一方「…………おいコラちょっと待て。なンでオマエが百合子に用があるンだよ」
鈴科「返せ! 出て行け! そして死ねェェええええ!!」
一方「なンだよアイツ。あンなに慌てて……」
一方「しかしどォしてあのクソ野郎が百合子に電話なンか……」
一方「ってかいつの間に電話するよォな仲になったンだァ?」
一方「……」
一方「…………」
一方「………………待て、待て俺」
一方「いや、まさか、そンな」
一方「ははは、ありえねェって。いくらなンでもそれはねェよ」
一方「…………」
一方「いや……あの一級建築士の事だ。いつの間にかフラグ建てていてもおかしくは……」
一方「……」
一方「…………」
一方「………………」
一方「百合子ォォおおおお!?」
鈴科『うるせェ電話中だドア叩くンじゃねェドアホ!!』
一方「何が……アイツら一体何があったってンだよ……」
打止「あ、おかえりー。お邪魔してまーす、ってミサカはミサカはベッドの上に寝転がりながら漫画片手にポテチ頬張ってみてたり」
一方「…………あァ、打ち止めかァ……」
打止「……どうしたの? ってミサカはミサカはいつになく覇気が感じられないあなたに不安を隠せなかったり」
一方「………………百合子が」
打止「が?」
一方「………………上条と電話してやがる」
打止「それで? ってミサカはミサカは続きを促してみる」
一方「…………え?」
打止「うゆ? ってミサカはミサカは可愛らしく首を傾げてみたり」
一方「……驚かねェの?」
打止「それのどこにびっくりする要素があるんだろう、ってミサカはミサカは若干真剣に悩んでみる」
一方「あれ? おかしいの俺の方なのか?」
打止「最近仲いいよあの二人、ってミサカはミサカは一応教えておいてみたり」
一方「なン……だと……」
鈴科「――あァはいはい。分かったよ」
鈴科「――そォじゃなくてだな。いいだろそれくらい。たまには付き合いやがれ」
鈴科「――うるせェなァ、ったく。昼飯くらいオゴってやっからよォ。それでいいだろォ」
鈴科「――現金な奴だなァ、オマエ」
鈴科「――だー、うるせェ。グチグチ語ってンじゃねェよ。オマエの不幸自慢なンか聞きたくねェよ」
鈴科「――は?」
鈴科「――いきなり何言ってンだよオマエ」
鈴科「――うるせェ。馬鹿。死ね」
鈴科「――あァ。それじゃァ十時にな」
鈴科「――」
鈴科「……」
鈴科「……いきなり妙な事言ってくるンじゃねェよ。調子狂うじゃねェか、クソ」
鈴科「……あー……明日何着てくかなァ」
鈴科「……チッ、めンどくせェ」
打止「…………能力の無駄使いだよね、ってミサカはミサカは苦笑いしてみる」
一方「うるせェ今それどころじゃねェンだよよく聞こえないだろォが静かにしろ」
打止「明日十時、第四学区駅前噴水広場、ってミサカはミサカは呟いてみる」
一方「なンでそれをオマエが知ってるンだよ」
打止「ミサカネットワーク舐めてもらっちゃ困りますぜお客さん、ってミサカはミサカはにやり笑いしてみたり」
一方「…………打ち止め」
打止「うん。言わなくても分かってるよ、ってミサカはミサカはあなたの理解者である事を提示してみる」
一方「ふ、ふふふ……明日十時なァ……もし百合子に妙な真似しやがったらどォなるか分かってンだろォなァ三下ァ……」
打止「ミサカももちろんついていくよ、ってミサカはミサカはここぞとばかりに自己主張してみたり」
一方「正直クソ姉貴のお守りなンざしたくねェがアイツが絡ンでくるなら仕方ねェよなァ」
打止「あなたって結構シスコンだよね、ってミサカはミサカはぼそりと呟いてみる」
一方「もしアイツが誰得な展開を考えてるってンなら――」
打止「その愛情を少しくらいミサカに向けてくれても……ってミサカはミサカは自らの願望を述べてみたり」
一方「あのクソ馬鹿をブチ殺す……!!」
打止「うわー実力行使で行く気満々だー、そして聞いてないー、ってミサカはミサカは若干の不安を隠し切れずにいてみたり」
鈴科「……」
鈴科「……さ、さすがにこの時間だとまだ来てねェよなァ」
鈴科「……」
鈴科「……そォだよなァ、アイツが早く来るとか殊勝な事するはずがねェもンなァ」
鈴科「……」
鈴科「……」
鈴科「……」
鈴科「……ううう」
一方「なァ、打ち止め」
打止「なんでしょう、ってミサカはミサカは周りの目を少し気にしながらもゴーグルを装着してみたり」
一方「もしかしてアイツ結構張り切ってる?」
打止「えー、普通じゃない? ってミサカはミサカはしらを切ってみたり」
一方「おい、しらってなンだよしらって」
打止「このニブチン、ってミサカはミサカは呆れ返ってみる」
鈴科「……」
鈴科「……」
鈴科「……」
鈴科「……」
鈴科「……」
鈴科「来やしねェ……!!」
一方「アイツを待たせるなンていい度胸してるじゃねェか三下ァ……」
打止「まだ九時半ですけど、ってミサカはミサカは思わず時計を確認してみる」
一方「それとこれとは別だろォが!」
打止「どうしてそんなに必死なんだろう、ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」
一方「俺は……俺は絶対に……」
打止「絶対に? ってミサカはミサカは繰り返してみる」
一方「アイツだけは義兄と呼びたくねェ……!」
打止「いくらなんでも飛躍しすぎだと思う、ってミサカはミサカはレベル5の思考力に戦慄を隠せずにいてみたり……!」
鈴科「……さっきからなンか妙に視線を感じるなァ」
鈴科「アルビノがそンなに珍しいかァ……?」
鈴科「……」
鈴科「お、おかしな格好はしてねェと思うが……」
鈴科「……いや、しかし」
鈴科「ううむ……」
鈴科「…………ぐあァァ」
打止「今日の服はどうでしょう、ってミサカはミサカは話を振ってみたり」
一方「いつもより気合いは入ってンなァ」
打止「そうだよねー。いつもはあんまり気にしてないもんね、ってミサカはミサカは同意してみる」
一方「アイツほっとくとジャージで出歩くしなァ……」
打止「いくらなんでもそれは年頃の乙女としてどうなの!? ってミサカはミサカは思わずツッコミを入れてみたり!」
鈴科「…………」
鈴科「い、一応ファッション誌とか参考にしたンだが……」
鈴科「やっぱりダメか……」
鈴科「愚弟のはさすがに参考にならねェか……アレは参考にしちゃァダメだよなァ……」
一方「やっぱりアイツ俺の読んでンじゃねェかァあああ!?」
打止「せめて女性用のを見ようよ、ってミサカはミサカはあの格好にようやく合点がいってみたり」
一方「よく見たらあのシャツ俺のじゃねェか!?」
打止「あー、通りで見覚えがあると思った、ってミサカはミサカはようやくもやもやが晴れてすっきりしてみる」
一方「くっそォ……後で貸出量請求してやる……」
打止「どうせコーヒーで済んじゃうんだろうけどね、ってミサカはミサカは先読みしてみる」
結標「あれ? もしかして姉の方? 似たような格好してるから分かんなかったわよ」
鈴科「なンだオマエ、こンなとこで珍しいな」
結標「最近料理に目覚めちゃってね。エスニックとか挑戦してみようと思って」
鈴科「はァ、そりゃァまた熱心な事で」
結標「そういうアンタは?」
鈴科「……別になンだっていいだろォ」
結標「あ、もしかしてデート?」
鈴科「ちげェよ!?」
結標「そのムキになるところがあやしーんですけどー。で? 相手は誰よ。ちょっと教えなさいよ」
鈴科「何勝手に決め付けてンだよォ!?」
一方「うわァ、まためンどくせェのが……なンでアイツらあンなに仲良さそうなンだよ」
打止「あなたが思ってるより結構交友関係広いかも、ってミサカはミサカは暗にあなたももう少し社交的になるべきだと示唆してみる」
一方「」
結標「へー、ふーん、ほー、上条ねぇ」
鈴科「何か文句あるのかよォ」
結標「いいええ? なんだ、アンタもやるじゃない」
鈴科「だからちげェっつってンだろォ!?」
結標「状況証拠は揃ってるわよ!」
鈴科「物証を用意しろよォ!」
結標「で? その彼は一体全体どこにいるのよ」
鈴科「……まだ来てねェよ」
結標「待ち合わせしてるんでしょ?」
鈴科「十時」
結標「まだちょっとあるじゃない」
鈴科「そォだな。いいからアイツが来る前にオマエはどっか行け」
結標「えー」
鈴科「えーじゃねェよ! なンでオマエがそこで嫌そうな顔するンだよ!?」
結標「だってからかえないじゃない」
鈴科「オマエ性格悪いって言われねェか!?」
結標「あ、噂をすれば」
鈴科「!?」
上条「おーす、なんだよオマエら騒がしいな」
鈴科「おせェよっ!」
上条「いでぇっ!? 珍しく時間より早く来てんのになんで蹴られなきゃならねえんですか!?」
鈴科「うるせェ、いっぺン死ね」
結標「ほらほら、女の子がそんな物騒な言葉使わないの。彼に嫌われちゃうわよ」
鈴科「誰の事だそれは」
上条「もしかして俺の事?」
結標「他に誰がいるのよ」
上条「あっははー、オマエ冗談のセンスあるなー。なんで俺が鈴科みてぇな物騒なヤツと」
鈴科「――――死ねェっ!」
上条「ぎゃああああ腿の裏に突き刺さるような一撃がああああ!!」
結標「いいわねー、人目もはばからずイチャイチャできて……。はぁ……私も彼氏欲しい……」
鈴科「だから違うっつってンだろォ!?」
結標「はいはいごちそーさま」
鈴科「――! ――!!」
一方「ちょっとあの馬鹿ブチ殺してくる」
打止「待って堪えてちゃんと蹴られたからそれでチャラにしてー! ってミサカはミサカは必死に制止してみるー!」
一方「クソ……何和気藹々としてンだよアイツらァ……」
打止「……もしかして混ざりたい? ってミサカはミサカはぼそりと呟いてみたり」
一方「馬鹿言え。なンで俺が仲良しこよしオママゴトしなきゃならねェンだよ」
打止「それにしては最近帰りが遅いけど、放課後一体何してるんだろ、ってミサカはミサカは分かってるけど聞いてみる」
一方「ばっ、あれはアイツらが無理矢理……!」
打止「断り切れないのがいい証拠だよね、ってミサカはミサカはやれやれだぜ、って首を振ってみたり」
結標「…………あなたたち何やってんの」
一方「」
打止「」
結標「ロリコンでシスコンでストーカーとかもう救いようがないわよね」
打止「抑えてー! 堪えてー! ってミサカはミサカは全力でしがみついてみるー!」
一方「オマエいきなりこっちに出てくるンじゃねェよ!?」
結標「だって邪魔しちゃ悪いでしょ。それくらいは空気読むわよ」
一方「そのままブチ壊してこいよ使えねェなァ!」
結標「嫌よ。なんでこんな面白いイベントを」
一方「…………は?」
結標「ニヤニヤしながら監視するに決まってるでしょ! よし、そうと決まれば、っと。めるめる」
一方「……おい、何してやがる」
結標「こんな時の相互補助関係よ」
一方「…………まさか」
土御門「呼ばれて飛び出てにゃにゃにゃにゃーん」
海原「やあ皆さんお揃いで」
一方「」
打止「案の定カオスな展開に、ってミサカはミサカは毎度の事だけど呆れ返ってみる」
土御門「シスコンは仕方ないぜぃ、なぜならそれは遺伝子に組み込まれた宿命だから!」
一方「オマエはデコメイドとヨロシクヤってろ!」
土御門「しっかしなんだいこの展開は。誰得ー」
海原「自分は得しますが」
一方「あァ?」
海原「このまま上手く行けば! 御坂さんに近付く脅威が一つ減るという訳で!」
一方「ほォ……オマエ、俺に敵対するってのか……」
海原「この際それも辞さない覚悟です」(キリッ
一方「御坂御坂って、オマエあの義妹はどォした!」
海原「ですから彼女とは師弟関係のようなものだと何度言えば……!」
土御門「にゃー、それでも義妹には違いないんだぜぃ」
結標「あー……今絶望的な事に気付いたわ」
打止「どうしたの? ってミサカはミサカは男性陣から微妙に距離を取りつつ尋ねてみたり」
結標「……全員ロリコンで……しかもその上シスコンだわ」
男共「「「ショタコンに言われたくねェよ!」ぜぃ!」です!」
結標「よし、そろそろ誰がチームリーダーか決めましょうか……!」
一方「上等じゃねェか。オマエはよっぽど連敗記録伸ばしてェみたいだなァ……!」
海原「御坂さんの為なら世界を敵に回しても構いません……!」
土御門「うおおおおお!! 今こそ俺の固有結界『メイド・イン・ヘヴン』の封印を解く時ぃいいい!!」
打止「……ところで馬鹿やってる間にどっかいっちゃったんだけど、ってミサカはミサカは一人蚊帳の外を決め込んでみる」
419 : VIPに... - 2010/05/23 12:13:13.70 z7B1fZEo 243/262はい続きのVIPの続きです
>>420
420 : VIPに... - 2010/05/23 13:38:59.45 uEwiQuko 244/262うひょーwktk
425 : VIPに... - 2010/05/23 16:12:38.99 z7B1fZEo 245/262じゃあwktkする感じのを一つ>>430
430 : VIPに... - 2010/05/23 18:07:50.30 i9sFWBMo 246/262上条さんお得意の事故によるキッスイベント
相手は百合子じゃなくてもかまわないけど。
上条「ところで鈴科」
鈴科「なンだよ」
上条「俺どこに連れてかれるんだ……?」
鈴科「なンでそンなに不安げなンだよ。小動物みてェな目してンじゃねェ似合わねェ気持ちわりィ」
上条「酷い言われようだ……」
鈴科「別に取って食おうなンざ思ってねェよ」
上条「ですよねー、はははさすがに鈴科さんそこまで鬼じゃねーですよねー」
鈴科「まァこき使おうとは思ってるがな」
上条「ひぃっ!? わたくし何をされるんでせうか!?」
鈴科「…………、」
上条「ん?」
鈴科「……まァ行けば分かる」
上条「それがすっげー怖いんですけど」
結標「追いついた……!」
一方「おうご苦労さン」
土御門「人使いが荒い連中だぜぃ……ごぶふぅっ」
海原「まああなたの場合それくらいしか取り柄がありませんし」
土御門「便利キャラでよかったにゃー」
結標「これが超二次元空間理論、『次のコマで無傷』……!」
土御門「まー俺ってピエロが適役だしにゃー」
海原「おやまた見失いました」
一方「……」
結標「……」
土御門「……またやるの?」
一方「やれ」
結標「やりなさい」
土御門「あれ死ぬほどきついんすけど。ってか死ぬか生きるか五分五分ってとこなんすけど」
一方「黙ってやれよ」
結標「それ以外取り柄が無いんだから役に立ちなさいよ」
土御門「もう嫌だこんなギスギスした職場ー! 俺にはメイド喫茶のオーナーになって全国展開するという若干現実的な野望がー!」
海原「それくらいはやりそうで怖いですね」
一方「好きにやればいいがそれとこれとは話が別だ」
結標「まさかあなたカーナビ以下? むしろコンパス以下? ただの磁石未満なの?」
土御門「いいぜ……オマエが俺をただの石ころ扱いするってなら、まずはそのふざけた幻想を……!」
一方「いいからやれっつってンだろォが!!」
土御門「あっ、やめて! 杖で叩かないで傷口が開く!」
上条「なんだ、輸入食品……?」
鈴科「あァ」
上条「なんだ、オマエ料理できるのか」
鈴科「どォしてそンなに意外そうな顔するンだよォ」
上条「いやだって、なんとなく……イメージ?」
鈴科「それくらい一人暮らししてりゃァ嫌でもできるようになるだろォが」
上条「まあそうだよな」
鈴科「もっとも、オマエのとこのちっこいのは食い専っぽいけどなァ」
上条「アイツにも料理教えてやってくれよ!」
鈴科「……気が向いたらな」
上条「言ったな! 約束だぞ! 頼むよほんとぉおおお!」
鈴科「大変そォだな、オマエも……」
上条「む、なんか……匂い?」
鈴科「こっちだこっち」
上条「あー、分かった。なるほどなー」
鈴科「サントスとブルマンとアンデスを400ずつ、キリマンとグァテマラとスプレモとモカ=マタリを200ずつ。豆のままで」
上条「俺に持てって事か……2キロか」
鈴科「これくらい別にいいだろォ。飯奢ってやるから」
上条「まあいいっすけど」
鈴科「なら文句言うな。オラ次行くぞ」
上条「え、もしかしてまだ増えるんですか」
鈴科「文句あるのかよォ」
上条「……いえ、ないですハイ」
上条「ぐおぉぉ……」
鈴科「この程度でだらしがねェなァ」
上条「つっても……この量は……ぐぎぎ」
鈴科「まさかオマエ俺に持たせる気かよ。女の細腕に」
上条「こんな時ばっかりそんな事言いやがって、くそぉ……」
鈴科「……」
上条「ぬ、ううう……」
鈴科「……ふゥ。そろそろ飯にするかァ」
上条「そうしようそうしよう。休憩しよう、させてくれ……」
鈴科「ホラこっちだ、キリキリついてこい」
上条「そこのマックでいいじゃん……!」
鈴科「馬鹿かオマエ。この状況で何言ってやがる」
上条「はぁ……?」
鈴科「喫茶店に決まってンだろ。2キロくらい先に美味いらしい店があるンだよ」
上条「遠い! 遠すぎる!」
鈴科「黙って歩けオラ」
上条「あっ、ちょっ、やめて、上条さんのキュートなお尻蹴らないで」
鈴科「つべこべ言わず歩け。それとも痔になりてェのか」
上条「それだけは勘弁してください!」
カランカラン――
佐天「いらっしゃいませー、ってあれ上条さん」
上条「佐天? 何やってんだこんなとこで」
佐天「見ての通りバイトですけど」
鈴科「なンだ知り合いかよ」
上条「ああ。御坂の友達」
佐天「今日は御坂さん一緒じゃないんですね」
上条「なんでそこで御坂なんだよ。今日『は』って。あんなのと四六時中いられるかっつーの」
鈴科「……なンて言うかよォ」
上条「ん?」
鈴科「唐突に思い出した言葉があるンだが……」
佐天「あたしも……」
御坂「あんな『の』とはどういう了見かしら」
上条「」
御坂「何よアンタたち。仲良くデートって訳?」
鈴科「ちげェよ!」
上条「ただの荷物持ちだよ。ったく、こき使いやがって……」
鈴科「文句があるなら飯抜きな」
上条「すみませんでしたーっ!」
鈴科「そォ言うオマエはなンだよ……しかも子連れか」
御坂「そこで拾った」
打止「あれ、いつの間にかミサカの扱い酷くない? ってミサカはミサカは己の処遇に果てしない絶望を感じてみたり!?」
御坂「なんかびびーって、反応したから思わず」
上条「便利だなほんと」
打止「今回は逆にそれが仇と……おっと、ってミサカはミサカはベタに口を噤んでみたり、とミサカはミサカは小声で呟きつつそろそろこの口調面倒だなあと思いを馳せてみる。そんな今日この頃」
鈴科「…………」
打止「…………えへー、ってミサカはミサカは笑ってごまかそうとしてみたり」
鈴科「……まァいいが」
上条「?」
佐天「ほらほら、お客さん席にどうぞー。ちゃっちゃと注文してくださいランチタイムは忙しいんですから」
上条「サンドイッチとかばっかりなんだな」
鈴科「喫茶店だからなァ」
御坂「私チーズとトマトのパニーニ」
鈴科「ミックスサンドのセット。シーザーサラダとブレンドで」
上条「案外普通……ってか無難? なのばっかり選ぶんだな」
鈴科「一番その店の色が出るしなァ」
上条「ふーん……じゃあ俺もそれで」
打止「フルーツサンドとヨーグルトスムージー、ってミサカはミサカは迷わず注文してみる!」
鈴科「甘いのばっかりじゃねェか……」
打止「子供ですからー、ってミサカはミサカは開き直ってみたり」
佐天「かしこまりましたー。ちょっと待っててくださいねー」
一方「クソッ……打ち止めめ、裏切りやがった……!」
結標「御坂に捕まったならしょうがないじゃない。それよりこっちまで見つからなくてよかったと思うべきよ」
土御門「その時はどうせまた俺が捨て石になったんだろうにゃー……」
海原「食料調達してきましたよ」
結標「あっちは美味しそうな物食べてるっていうのに、こっちはアンパン……寂しいわね」
一方「もっとマシな物はなかったのかよ。あとコーヒーはどこだ」
海原「張り込みの際はアンパンと牛乳が日本の基本スタイルだと聞きまして」
結標「誰よコイツに外人の勘違いする日本みたいなの教え込んだの」
土御門「伝統って大事だぜぃ」
結標「そういえば由緒正しい家柄とかいう設定もあったわね……」
一方「落ちぶれてるけどなァどォ見ても」
土御門「メイドさんディスってんじゃねぇぞ三下がぁああああ!!」
一方「自覚はあるンじゃねェか!」
鈴科「…………むゥ」
上条「何難しい顔してんだ?」
鈴科「……あーダメだ。やっぱり判ンねェ」
御坂「何が?」
鈴科「豆の配合」
上条「判ったら判ったですげぇと思うんだけど……」
鈴科「さすがに利きコーヒーは早かったなァ」
佐天「それを判られたら商売上がったりですよ。はい御坂さん、チョコレートサンデー」
鈴科「まァ一つだけ言える事は、ここのコーヒーは美味いって事だ」
上条「そりゃ同感」
御坂「……アンタさぁ」
鈴科「あン?」
御坂「思ったより楽しそうでよかったわ」
鈴科「……馬鹿言え」
御坂「そう?」
鈴科「……」
御坂「今度またカラオケ行こっか、みんなで。なんだかんだで結局アンタの歌聞いてないし」
鈴科「…………気が向いたらなァ」
打止「はいはいはーい! 今度こそはミサカも忘れないでね! ってミサカはミサカはここぞとばかりに自己主張をしてみたり!」
上条「なー御坂ー」
御坂「何よ」
上条「それ、一口くれ」
御坂「えー、まあいいけど」
上条「やたー」
御坂「…………はっ!?」
上条「ん?」
御坂「あああアンタ何言ってんのよ!?」
上条「何って……一口くれって言ってるんだけど」
御坂「…………」
上条「…………?」
御坂「わ、分かったわよ。あげればいいんでしょ、あげれば!」
上条「お、おう?」
御坂「…………あ」
上条「あ?」
御坂「…………あーん」
上条「」
上条「うーむ、甘くて美味い」
鈴科「オマエらよくやるなァ……」
上条「あまり触れないでください」
御坂「だ、だってコイツがくれって言うから……!」
鈴科「でもあーンはねェだろ、あーン……は……」
上条「どうした鈴科」
鈴科「なンでもねェよ……」
御坂「あ、ちょっと。口のとこ」
上条「ん? ……あれ?」
御坂「反対反対」
打止「そこですかさずいただきー! ってミサカはミサカは直接いってみたりー!」
上条「」
御坂「」
鈴科「」
一方「」
上条「………………そんなところで何をなさってるんでせうか一方通行さん」
一方「遺言はそれでいいか、三下」
上条「いつになくマジな気がするのは気のせいでしょうか」
一方「おかしな事を言うなァオマエ。俺はいつでもマジだぜェ……」
上条「いやマジはマジでも能力使用モードはどうなんでしょうかなんでスイッチに手が伸びてるんですかあああっ!」
鈴科「…………おい」
一方「なンだよ邪魔するなよ」
鈴科「珍しく意見が合ったなァ……」
御坂「私も混ぜてもらっていいかしら……」
上条「え? 何? 何この展開?」
打止「結局いつものあれでオチなのね、ってミサカはミサカは張本人にも関わらず容赦なく避難してみたり」
佐天「お、お客さん店内で能力のご使用はー!」
三人「「「死ねェェええええっ!!」」」
上条「え、ちょ、俺悪くねえ! 悪くねえってちくしょー不幸だー!!」
456 : VIPに... - 2010/05/25 02:49:44.32 uMAoss.o 262/262はい、いつもの不幸だーオチでした
という事でここで終了です。お付き合いいただきありがとうございました


辞めてしまえ。