男「何を言ってるんだお前……」
女「私を誘拐するつもりなんでしょう?」
男「まあ……そうなんだが」
元スレ
男「黙ってついてこい」 女「誘拐ならおすすめしません」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1430578772/
女「なんで私を誘拐しようとするんですか?」
男「こんな時間に人通りの少ない道を歩いているお前が悪い」
女「それはそうですね」
男「これナイフ。わかるか?」
女「わかりますよ。バカにしないでください!」
男「怖くないのか……?」
女「怖いですよ」
男「全然怖がってるようには見えないな」
女「じゃあ怖がってあげましょうか」
男「なんだそりゃ」
女「キャーー! 殺される!!」
男「黙れ、人が来るだろ!!」
女「誘拐の目的は身代金ですか?」
男「他に何があるんだ」
女「私のカラダ目当てかも」
男「自意識過剰なやつだな」
女「私は可愛い現役JKですからね」
男「自分で言うなよ」
女「可愛くないですか?」
男「うるせえな」
女「身代金が目的ならおすすめしません」
男「だからなんでだよ」
女「成功率が極めて低いからです」
男「そんなことわかってんだよ」
女「いいえ、わかってません」
男「とにかくついてきてもらおうか」
女「わかりました。そこの車に乗ればいいんですね」
男「やけに素直だな……」
女「あなたの家まで連れていかれるんですね」
男「ああ、そうだ」
女「誘拐された実感がわいてきました」
男「俺は誘拐した実感がまったくないよ」
男「なんでそんなに協力的なんだ」
女「積極的な人質なんです」
男「そんな人質いねえよ」
女「でも、いるんです」
男「とにかくさっさと出発するぞ」
女「まってください!」
男「あ?」
女「シートベルト!」
男「うるせえな……」
女「まだつかないんですか?」
男「もうすぐだ」
女「ちゃんとシートベルトしたんですね」
男「事故でも起こしたら計画が破綻するからな」
男「ついた。ここだ」
女「結構、その、ぼろいですね」
男「うるせえな」
女「でも、好きな形です」
男「なんだそりゃ」
女「中は意外と綺麗」
男「ちょっと待て。勝手に入っていくな」
女「だって誘拐したんでしょう?」
男「誘拐犯の家に先導して入っていく人質がいるかよ」
男「さてと、そろそろお前の親が心配しているころか?」
女「まだ11時ですよ」
男「午前中ならまだしも、夜の11時だぞ」
女「そんなのわかってますよ。外が暗いから」
男「もう充分遅い時間だ」
女「最近の高校生はこんな時間、遅いうちに入りません」
男「恐ろしい時代になったな」
女「あなたの時代とは違うんです」
男「俺も結構若いんだけどな」
男「じゃあどうするかな」
女「知りませんよ」
男「……食パン食べる?」
女「なんでですか」
男「いや、安かったからたくさん買ってただけ」
女「食べませんよ」
男「うーむ」
男「もういいや、電話しよう」
女「そうですか」
男「家の電話番号わかるか?」
女「ちょくちょくバカにするのやめてください」
男「よし、脅迫する」
男「……もしもし、娘さんは預かった」
女母「……はい……?」
男「わかっているのか? 娘さんは俺が誘拐した」
女母「はい……」
男「返してほしければ10万円用意しろ。場所は」
女母「あ、い、いいです」
男「……は?」
ツーツーツー
男「…………切れた」
女「……」
男「……」
女「…………だからおすすめしないって言ったんですよ」
男「イタズラだと思われたか……?」
女「いえ、そうであったとしても、なかったとしても」
男「……?」
女「私愛されてないんですよ、親から」
男「えっと……」
女「…………」
男「…………」
女「………………」
男「………………食パン食べる?」
女「……そうですね。少しお腹がすきました」
女「……」モグモグ
男「……」
女「……やっぱりかあ」モグモグ
男「食べてるところは」
女「はい?」モグモグ
男「食べてるところは少し可愛いな」
女「嬉しくありません」モグモグ
女「食パンご馳走様でした」
男「お、おう」
女「……」
男「……」
女「……10万は安くないですか?」
男「あ、いや、あんまり高いと払ってもらえないかもしれないし」
女「なんですかそれは」
男「要求に1億円とかする犯人はもはやネタだし、そんなにたくさんお金をもらっても使いきれないし」
女「控えめな誘拐犯さんですね」
女「まあ結局、10万の価値もなかったわけなんですけどね」
男「……」
女「感覚が狂ったのか、10万の価値を私につけてくれたあなたがありがたいです」
男「……そいつは狂ってるな」
女「さて、私をどうしますか誘拐犯さん」
男「どうするって……いってもな……」
女「人質としての価値はゼロです」
男「うーむ」
女「つまり、ただのJKです」
男「言い方がいかがわしい」
女「しかも可愛い」
男「解放しようか。別に殺したりするつもりも必要もないしな」
女「まあ、解放されても、私を望まない家に帰るだけなんですけどね」
男「……やっぱりやめた」
女「……はい?」
男「もう少し誘拐しておく。貴重なJKだしな」
女「言い方がいかがわしい」
男「しかも可愛い」
女「そうなんですよ。仕方ないですね」
男「別になにをするわけでもない。もう遅いから寝よう」
女「もう寝るんですか」
男「日が変わってるぞ。それとも最近の高校生はこんな時間遅くないのか?」
女「はい。これからが本番ですよ。トランプしたり恋話したり」
男「修学旅行かよ」
男「布団はひとつしかない」
女「いえいえ、私はいいですよ。使ってください」
男「誰がお前に使わせると言ったんだ」
女「だいたい紳士なら女子に譲るかと」
男「俺の使ってた布団なんか汚くて女子に使わせられるか」
女「ほー……」
男「でも俺だけ布団ってのも紳士的じゃない」
女「紳士なんですかね」
男「だから布団はひとつあるけれど、二人とも使わない」
女「公平で良いですね」
男「おやすみ」
女「襲ったりしないんですね」
男「そんなことしたら捕まっちまうからな」
女「あはは、誘拐犯がなに言ってんだか」
女「……起きてますか?」
男「……」
女「ううー、寝たのかな。つまんないー」
男「……あざとい」
女「起きてるじゃないですか」
男「うるせえな」
女「少し、私の話をしてもいいですか」
男「勝手にどうぞ」
女「ええ、もう少し興味を持ってくださいよ」
男「めんどくせえな」
女「私、妹がいるんですよ」
男「結局話すのかよ」
女「妹はなんでもできるんです。出来の悪い私と違って将来有望」
男「ああ、だからお前は愛されないのか」
女「さきに言わないでくださいよ」
男「だいたいわかるからな」
女「デリカシーのない人だな、まったく」
男「そんなに珍しい話じゃない」
女「そうでしょうか」
男「俺は三兄弟の末っ子だが上二人は優秀でよく比べられてた」
女「なんだ、仲間じゃないですか」
男「長男は一流企業に就職。次男は俳優の卵」
女「三男は?」
男「フリーター。金がないので誘拐を計画」
女「こうならないように気をつけなきゃ」
女「私の父は小さい会社の社長で、跡取りをどうするかいつも考えています」
男「でも女子なら、関係ないんじゃないか?」
女「いえ、女子しかいないので婿養子をとらないといけないんですよ」
男「あー、いい跡取りを得るために魅力的な娘が必要なわけか」
女「そういうことです」
女「だから親は妹を可愛がってるんですよ」
男「なるほど」
女「妹もまんざらじゃないようで、私を見下すし」
男「かわいそうに」
女「私なんかじゃ嫁の貰い手がみつからないんだそうです」
男「へー」
女「あ、私、嫁にどうですか?」
男「いいよ」
女「さっきから適当に返事してません?」
女「……でも、誘拐されても心配されないなんて、思わなかったなあ」
男「まあ、妹と比べられてもだな。結局自分は自分だ」
女「それはそうですけど」
男「気にしなきゃいいんだ。親なんか、自分が生きてるうちに死ぬんだ」
女「それはそうですけど」
男「だから泣くな」
女「……うるさいですね」
女「あの!」
男「なんだ」
女「少しだけ、ありがとうございました」
男「誘拐されてお礼言うとかバカか」
女「おやすみなさい!」
男「おう」
翌朝
女「……ふぁ」
男「目が覚めたか」
女「……おはよございまっす」
男「おはよう」
女「そういえば、誘拐されたんでした」
男「そうなんだよ、なんだろうなこの状況」
女「寝ている間に変なことしました?」
男「自意識過剰だっつーの」
女「寝顔見ました?」
男「それは見た。俺の方がはやく起きたから」
女「お嫁に行けない……」
男「どのみち嫁の貰い手がいないって話だっただろ」
女「むー」
女「今日は何をするんですか?」
男「昨晩は失敗したからな」
女「……?」
男「新しく誘拐をするんだよ」
女「えええ!」
男「うるせえな、朝から大きい声出すな」
女「私だけじゃ満足できないってことですか」
男「満足できねえよ。人質として」
男「さて、出発だ」
女「こんな朝っぱらからですか」
男「誘拐に時間帯なんて関係ないんだ」
女「いやいやありますよ、人目につきますよ」
男「他にすることねえんだよ」
女「これだから無職は」
男「フリーターだ」
女「じゃあ私とデートしましょう」
男「なにいってんだ」
女「どうせ暇なんでしょう」
男「誘拐犯とデートするなんて物好きだな」
女「愉快で良いじゃないですか」
男「ふーん、たしかに愉快だ」
男「というわけでついて来たが俺金ないぞ」
女「わかってますよ。誘拐を実行するくらいですからね」
男「わかってるならいい」
女「お金はかかりませんから」
男「ありがたい。みんなもこういうデートをすればいいのに」
女「あ、ここですここ」
男「ほう、川か」
女「はい、水が綺麗でしょ? 河川敷デートです」
男「これはいいな。流れを見ているだけで気持ちが安らぐ」
女「犯罪をする気が消えるでしょ」
男「いや、そこまでじゃないかな」
男「よっと」
女「……おー。水切り上手いんですね」
男「お前もやってみろよ」
女「石さんがかわいそうなのでやりませんー」
男「なんだそのキャラは」
女「えいっ」ポチャン
男「へったくそだなー」
女「うるせえなあー」
男「なんだそりゃ」
女「あなたの真似です」
男「似てねー」
女「こんなに天気がいいと眠くなりますね」
男「そうだな」
女「不思議ですね、誘拐犯と人質がこうして河川敷に来てるのも」
男「ああ、誘拐したのがお前じゃなきゃこうはならなかったさ」
女「結果的によかったじゃないですか」
男「よくねえよ。これからまた別の相手を誘拐しなくちゃいけない」
女「二人目なら慣れたものでしょ」
男「いや、三人目だ」
女「三人……?」
男「お前の前に先月、一人誘拐したことがある」
女「え!?」
男「誘拐したのがお前と同じくらいの年のクソガキでな。家も金持ちで甘やかされて育ったんだ」
女「そんな家から身代金を受け取ったなら、安泰じゃないですか」
男「その一家が気に食わなかったから、貰った金は全部燃やした」
女「バカだなー。実にバカだなー」
男「あまりにむかついたから、しっかりと教育してやった」
女「なにをしたんですか、怖いですね」
男「えいっ」パチン
女「うわ、びっくりした」
男「猫だまし。これひとつで言う事を聞くように教育した」
女「何それこわ!」
女「そろそろお昼ですね」
男「よし、行くぞ」
女「え、まだ誘拐にははやくないですか?」
男「狙っている相手がもうすぐ塾から帰ってくるからそこを襲う」
女「よくこの短い間で調べましたね」
男「お前の持ち物を漁ったらわかった」
女「え? ……いったい誰を誘拐するんですか?」
男「お前の妹だ」
女「えっ、あっ、私が間違えて持ってきていた妹のスケジュール帳か」
男「そうだ。昨日お前が寝てから荷物を漁ったら見つけた」
女「ていうかJKの荷物を勝手に漁らないでくださいよ!」
男「大丈夫だ、変な物は入ってなかった」
女「あたりまえです!」
女「それでなんで妹を?」
男「お前の親は妹になら金を払うんだろ?」
女「……払うでしょうね」
男「なら迷うことはない。巻き上げよう」
女「酷いですね」
男「犯罪者だからな」
女「ちょっと複雑な心境です」
男「いいじゃないか。お前を嫌ってる親が困ることになるんだ」
女「……それは愉快ですね」
男「よし、決まりだ」
女「行きましょう」
男「ここからだと15分くらいか」
女「偉い、ちゃんとシートベルトしていますね」
男「うるせえな」
女「安全運転でお願いします」
男「ちっ、赤か」
女「あの、こんな時に言うのもなんなんですけど」
男「なんだよ」
女「昨日、あの時間にあの場所でなにをしてたと思います?」
男「あー? 知らねえよ。家出でもしてたのか?」
女「そんな感じです」
男「まあ今までの話を聞くとそうかなと」
女「私、誘拐されるのを待ってたんです」
男「……はあ?」
女「ほら、さっき先月も誘拐をしたって言っていたじゃないですか」
男「ああ」
女「それですよ。誘拐事件があった話を聞いて、私も誘拐されないかと思って、何度かあの時間に人通りの少ないところをぶらぶらしてたんです」
男「なんで進んで誘拐されようとしたんだ」
女「先月の誘拐事件は人質が無事だったらしいですし、親を困らせたかったからってのもありますね」
男「結局困らなかったみたいだけどな」
女「それはまあ」
男「だからあんまり驚いてなかったのか」
女「はい。キターって思ってました」
女「でもまさか、本当に同じ人に誘拐されるとは」
男「お前なあ、もっと手荒なやつに襲われてたらどうするつもりだったんだ」
女「どのみちいいと思っていました。親が困って私の心配をしてくれれば」
男「もっと自分を大切にしな」
女「……優しい誘拐犯ですね」
男「ついたぞ。あそこだ」
女「確かにあの塾です」
男「もう出て行ったかな」
女「あ、いました! あのツインテールです!」
男「あれか。……可愛いな」
女「うるさい!」バシッ
男「少し痛い」
男「ツインテールが似合う子は本当に可愛い子だけだ」
女「急になにを言ってるんですか」
男「いや別に」
女「私と妹、どっちが可愛いですか」
男「知らねーよそんなこと」
女「私もツインテールにしましょうか」
男「うるせえな、見失うだろ!」
男「よし、裏路地に入った」
女「チャンスですね、やりましょう」
男「えらく協力的だな」
女「個人的な恨みがありますからね」
男「いくぞ」
女妹「! びっくりした、お姉ちゃんか」
女「久しぶり」
女妹「昨日会ってないだけじゃん。家に帰ってこないでなにしてたの?」
女「お母さんから聞いてない?」
女妹「なにが?」
女「誘拐されたんだよ、私」
女妹「誘拐? ふざけてるの?」
女「ふざけてないよ。そしてこれからアンタも誘拐される」
女妹「……私、お姉ちゃんと違って遊んでいるひまないの。どいて」
男「遊びじゃねえんだな、黙ってついてこい」
女妹「誰!?」
男「お前に今あてているのはナイフだ。意味わかるか?」
女妹「わかったわよ。なんなのいったい……」
女「はやく車に乗って」
女妹「お姉ちゃん、私にこんなことしたらタダじゃすまないわよ」
男「よし、乗り込んだな。途中で逃げようとしたら殺すぞ」
女妹「こんなことしていいの? お父さんが黙っていないし、それに私の彼氏も許さないと思うわよ」
女「出発しましょう」
女妹「聞いているの? 私の彼氏は空手の大会で優勝して」
男「うるせえな! シートベルトをしろ!!」
男「よし、とりあえず家までは無事に連れてこれたな」
女妹「……私を誘拐してどうしようっていうのよ」
男「殺したりはしないから安心するんだな」
女妹「目的は身代金? それとも私を襲うつもり?」
男「お前のカラダにはまったく興味がない」
男「さて、二度目の電話だ」
プルルルル……
女母「もっ、もしもし」
男「昨晩ぶりだな」
女母「……あなた、本当に誘拐犯だったのね」
男「そうだ。もう一人の娘さんも誘拐させてもらった」
女母「お金ならいくらでも出すわ。娘を返してちょうだい」
男「2時間以内に1億用意しろ」
女母「1億!?」
男「払えないのなら娘は殺す」
女母「待って! そんな大金、一度会社に行かないといけないわ」
男「父親のほうに連絡しろ。金は会社の方に俺が取りに行ってやる」
女母「……わかったわ」
男「しっかりと用意しておけ」
ガチャ
男「……1億とかマジかよ」
女「もはやネタですね」
女妹「あたりまえよ。うちはそのくらい金を稼いでいるんだから」
女「私の時は10万も払わなかったのに」
男「いいじゃねえか。金でしか価値を表せないような人間はろくなやつじゃねえ」
女「ところで会社まで取りに行って大丈夫なんですか?」
男「確かにそこで捕まる可能性はあるが、少し考えがある」
女妹「今に見てなさいよ……」
男「あ、そういえばお前んちの会社、なんて名前なんだ」
女「ああ、○○産業よ」
男「なんだと……なるほど」
女「どうしたんですか?」
男「ちょっとな」
時間が経ち、○○産業ビル
女「よし、行きましょう」
男「絶対に俺から離れるな。離れたら殺すぞ」
女妹「わかってるわよ……!」
男「しかし小さな会社の社長でも1億払えるんだな」
女「親は妹を溺愛していますからね」
男「突入」
女父「……! お前か、誘拐犯は」
男「マジかよ、社長が入り口のところにいるなんて」
女父「はやく娘を解放してくれ」
男「とりあえず一人」
女「わっ」
女父「……そっちじゃない。もう一人の方だ」
男「金をよこせよ」
女父「ほら!」バッ
男「おっと」キャッチ
女父「そのトランクの中に一億入っている」
男「よく現金ですぐに用意したな。うわ、たくさんあっていくらかわかんねーや」
女父「はやく娘を返せ」
男「はいはい、ほら」
女妹「お父さん!」
女父「無事か、よかった」
女父「よし、これでもう安心だ」
妹彼氏「僕の出番ですね」
男「どっから出てきたんだコイツは」
女父「ふふふ、警察がくるまでの足止めをよろしく頼むよ」
妹彼氏「大丈夫です、ナイフ一本持っているくらいじゃ負けません」
女妹「きゃー、やっちゃって!」
男「なんだあいつ」
女「ほら、れいの空手の大会で優勝したとかいう妹の彼氏じゃないですか」
男「ふーん…………ん? ……ん??」
妹彼氏「手加減しませんよ」
男「おー、こい」
妹彼氏「うおおおおおお!」
女「危ない、避けて!」
男「おら!」パチン
妹彼氏「なっ!?」ビクッ
女「猫だまし……?」
男「あっち行け」
妹彼氏「……は、はい」
女父「なっ、なにをやってるんだ」
女妹「えっ」
女「……まさか」
男「久しぶりだな、また誘拐してやろうか」
女「もしかして妹の彼氏って一ヵ月前の誘拐事件の被害者……?」
女「猫だましで言う事を聞くようにしたって本当だったんですね」
男「まあな」
女父「何をしている、はやくやれ!」
妹彼氏「すいません、あいつに猫だましをされるとトラウマが、うああああ」
女「本当になにをしたんですか……」
男「教育」
男「あれれ? そっちの戦力はそれだけですか」
女「そうみたいですね」
男「警察来る前に帰らないと。あ、えっと、ついてくる?」
女「……はい!」
女父「んぐぐぐ」
男「それじゃ、娘さんは誘拐させてもらう。10万だろうが1億だろうが、いくら金を払っても返さないからよろしく」
女「だそうです」
男の家
男「なんとか帰ってこれた」
女「それはそうなんですけど、なにをやっているんですか?」
男「灯油をまいてる」
女「ですよね。なにをするんですか」
男「これからこの家を燃やす」
男「お前の妹には場所がばれているし、これからは逃亡生活だな」
女「それで家を燃やすんですか?」
男「ああ。それでもついてくる?」
女「もちろんです。愉快じゃないですか」
男「あ、そうだ。電話をかけよう」
女「誰にですか?」
男「一番上のお兄様」
男「もしもし」
男兄「なんだ、久しぶりだな」
男「今日は会社お休みですか?」
男兄「ああ。無職のお前と違って一流企業で働く俺には貴重な休日なんだ」
男「無職じゃなくてフリーターね。俺は俺で忙しいの」
男兄「なにが忙しいってんだ」
男「今は家を焼いてる」
男兄「なんじゃそりゃ。お前もいい加減しっかりと働けよ」
男「今日兄さんの会社に行ってきたんだよ」
男兄「ん、え!?」
男「なーにが一流企業だよ。○○産業って小さな会社じゃないか」
男兄「……」
男「今まで全然調べなかったからわからなかったけど、それでよく俺を見下していたもんだ」
男「ま、実際俺はフリーターだから、小さな会社にでも就職してる兄さんのほうが凄いんだけどさ」
男兄「……」
男「あ、社長の娘さん可愛いよな」
男兄「お前はなんでそんなことまで知っているんだ」
男「どっちのほうが好み?」
男兄「ああ? なんとなく妹さんの方かな」
男「やっぱり兄さんとは馬が合わないな」
ガチャ
女「すっきりしましたか?」
男「うーん、微妙」
女「あー、もうとっととここから逃げた方がいいですよね」
男「そうだな」
女「トランクだけ車につんでおきますね」
男「中身は捨てていこう」
女「えー、1億円を!?」
男「こんなにたくさんあっても使いきれないだろ?」
女「まあそうですけど」
男「さよなら」ポイポイ
女「ああ、1億円が」
男「これでいいんだ」
俺はあっさりと1億円を燃やした
たしかにこれじゃなんのために誘拐したのかわからん
だが、あの父親から巻き上げた金を使うのがなんだか癪だったんだ
まあなんとかなるだろう
金がなくても、どうにかなる
また今度河川敷デートでもするさ
いつか終わりがくるときまで
車を、走らせる
~おしまい~
208 : 以下、\... - 2015/05/03 03:36:18.15 25PqrL1R0.net 91/92遅くまで読んでくれてありがとう!
途中で予想されたけれどその通り、星秋でした
過去作の紹介だ、よければ読んでみてくれ
男「あぁ、死にてえ……」 女「死にましょう!」
http://ayamevip.com/archives/42158186.html
男「金を出せ!」 女「そんなことより誘拐してください!」
http://ayamevip.com/archives/42382573.html
女「こんばんはー!」 男「夜の11時だぞ」
http://ayamevip.com/archives/42478382.html
男「冥土の土産に教えてやろう」 女「いや、いいです!」
http://ayamevip.com/archives/42575302.html
女「今日は節分だね」 男「痛い、痛いって!」
http://ayamevip.com/archives/42623247.html
女「愛してます」 男「知ってる」
http://ayamevip.com/archives/42743915.html
男「明日はバレンタインデーだね」 女「気づかなかった」
http://ayamevip.com/archives/42785160.html
女「ひな祭りだ、うぇーい」 男「うぇーい」
http://ayamevip.com/archives/43032077.html
女「昨日どんな夢見た?」 男「美女が出てきた」
http://ayamevip.com/archives/43304494.html
男「好きだ!」 女「エイプリルフールですね」
http://ayamevip.com/archives/43451804.html
宣伝
http://namakemono0308.seesaa.net/?1420395645
Twitter @kouhuku0308
212 : 以下、\... - 2015/05/03 03:38:36.54 25PqrL1R0.net 92/92なんだか今回は必要以上に長くなっちゃった感じ
本当にこの時間まで読んでくれた人はありがとう!
また今度SS書かせてもらいます
よければブログの方も覗いてみてくれ
以上、星秋でした。おやすみなさい!