少女「これまでの人生、感謝されたことしか無かった」
男「そう。でも、それはいいことなんじゃない?」
少女「私だって、たまには人に恨まれたい。思い切り、罵詈雑言を浴びてみたいんだ」
男「そうなんだ。じゃあ>>5をしてみるとか」
元スレ
少女「私は悪人になりたい」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1428218302/
5 : 以下、\... - 2015/04/05 16:28:07.96 ZsKBnt3t0.net 2/19自殺
少女「自殺?」
男「うん」
少女「私は悪事が働きたいのよ?」
男「人に恨まれたいんだろ? 自殺すれば、君の近しい人が、きっと恨みごとを言ってくれるはずだよ」
少女「そういうものかしら」
男「少なくとも、僕は言うね。『なんで死んだんだ』ってさ」
少女「なるほど。分かったわ。それなら私、>>9で自殺する」
9 : 以下、\... - 2015/04/05 16:33:49.22 QkdlrleM0.net 4/19大通りで脱糞
男「なんでそんなに奇抜な方法に? 普通に首吊りとかでいいんじゃない?」
少女「ダメよ、そんなんじゃ。せっかく死ぬんだもの。私の人間としての価値を最大限に貶なきゃ。
そうした方が、死んでいった私に対して、みんな何か言いたくなるものなんじゃないかしら」
男「そうかな。僕には分からない」
少女「分からないでしょうね。人に恨まれたいがために、これから死んでいく人の気持ちなんて」
男「今からでも考え直さないかい」
少女「それは無いわ。じゃあ、そう言うことだから」
そう告げると、大きな通りの方へ向けて、少女は歩き出した。
~大通り~
少女「さすが日曜のこの時間ね。人通りも、車通りも普段より多いわ」
誰に言うとでもなく呟くと、少女は下半身の衣服と下着を脱ぎ去り、その場にしゃがみ込んだ。
通り行く人が数人、はたと足を止め、奇行に走る少女へと戸惑いの視線を送る。
少女「……っ!」
下腹部に力を込めると、大便の前にまず尿が出た。
それは濡れた地面を流れ、雨とともに歩道と車道の間の排水溝へと吸い込まれていく。
通行人「おいおい。何やってんだ……? あの子……」
好奇の目を向ける者。不快に顔を歪める者。スマートフォンと取り出す者。
遠巻きに見ている人々の反応は、様々なものがあったが、
少女はそれが目に入っていないかのように、手際よく排便行為を済ませるのだった。
通行人「うっ……。何食ったらこんな匂いになるんだよ……」
イヤラシイ笑みを浮かべていた数人も、少女の便の排出が始まると、
一様に鼻をつまみ、不快感をあらわにした顔を背けるのだった。
少女「……三日ぶりなんだもの。しょうがないでしょう」
これから死のうと考えている人間にも、多少の羞恥心はあるようで、
別段誰かに伝える気もないのに、ついと口をついて言い訳の言葉が出た。
遠くの方で、サイレンの音が聞こえる。
少女は慌ててお尻を拭くと、下着とプリーツスカートを身に着けた。
彼女がその場から立ち去ろうとしたとき、ちょうど一台のパトカーが現場に到着した。
警察「ちょっと待ってねー。君、いったい何してるのー?」
少女「……離してください」
パトカーから降りた2人の警官に脇を挟まれ、少女は身動きが取れなくなってしまった。
警察「そうはいかないんだよねえ。ちょっと通報があってね」
その頃にはやじうまの数は相当なものになっていたし、
警察の登場で、さらにその数を増しているようだった。
少女「私は死にたいんです! 離してください!」
少女は小さな身体を振って滅茶苦茶に暴れるが、
鍛えているであろう男二人の力にはかなわなかった。
警察「死にたい? それなら余計に離すわけにはいかない。君は>>18」
18 : 以下、\... - 2015/04/05 16:57:05.51 iuS4JFkzM.net 9/19俺が殺す
そう言った警察の一人が、腰に差した拳銃を抜いた。
黒光りするそれは、ホルスターとコードで繋がっていて、
『まるで、昔の電話機みたいだな』と少女は場違いにもそう思った。
警察「じゃあね。君には自殺させてあげない」
一発の銃声と、大勢の上げる悲鳴と怒号。
それらが混じり合うようにして、銃口の先から伸びる硝煙と共に、灰色の雨空に吸い込まれていった。
こめかみのあたりから鮮血を吹き出しながら、少女は水溜りの上に倒れ込んだ。
激しく飛沫の上がる音と、たくさんの足音が聞こえる。
――どうして、あんなことをしたのか。
そう問われると、警察は青ざめた顔で、
――分からない。
とだけ答えた。
一人の少女の命を奪った正義の使者は、
自責の念に駆られたためか、裁判の進む最中、自らの命を絶った。
彼の遺書はといえば、
『なんであんなことをしたのか、自分でもわからない』
そんな言葉で埋め尽くされていて、結局のところ、最後まで、真実は誰にも分からずじまいだった。
男「どうだった? うまいこと、人の恨みは買えたかい?」
少女「ダメだったわ。恨みを買ったのは、私とは違う、別の人だったみたい」
男「そう。それは残念だったね」
少女「ええ。とっても。恨みごとどころか、同情されてしまったわ」
男「だから『簡単な方法で自殺しろ』って僕は言ったんだよ。
変に気取ったことするから、おかしなことになるのさ」
少女「そうね。それは悪かったわ」
男「じゃあ次は、君の望みとは逆になってしまうけど、”償い”をしないとね」
少女「償い?」
男「ああ。君のせいで人が死んだ。君が殺したようなもんさ」
少女「あら。私だって彼に殺されたのよ?」
男「君が自殺を望んだからね。彼は被害者だよ。市民からの人望も厚い、真面目な警官だったのに」
少女「そうね。あなたはそうやって、全部私のせいにするのね」
男「君は悪人になりたいんだろう? 夢がかなって良かったじゃないか」
少女「こういうのじゃないのよ。私がなりたいのは」
男「まぁいいよ。君のわがままにいつまでも付き合っていられない。
君は、彼を殺した責任を負わなきゃいけないんだ。償いのために>>24するべきだよ」
25 : 以下、\... - 2015/04/05 17:33:57.26 UIgGXAjf0.net 14/19平穏な幸せを手に
男「君はね、平穏な幸せを手にするべきなんだ」
少女「えー、と。私の言っていたこと、もう忘れちゃった? 私はね、悪人になりたいのよ」
男「ああ、知っているさ。だからこそ、幸せに、平穏の中で生きて行くんだ。死んでいった彼のためにね」
少女「分からないわ。あなたが何を言っているのか」
男「頭の固い君に説明してあげるよ。
非難を受ける人というのはね、負のエネルギーの受け皿なのさ。
それとは逆に、幸せを振りまく人は、正のエネルギーの供給源なんだ」
少女「自分の考えを押し付けるのはやめて。あなたの方こそ頭が固いわ」
男「じゃあ分かりやすい例を挙げよう。
死んでいった彼は、頭のおかしな殺人者として世間に非難されているよね」
少女「そうね」
男「結局のところ、彼は君のわがままに巻き込まれただけなわけだけど、
それってどういうことだと思う?」
少女「さあ。質問の意図が見えないわ」
男「世の中の人に負の感情を植え付けたのは、他でもない君のわがままだ」
少女「だから私は悪人だって? そんなのは詭弁よ。
私を非難している人なんて誰もいないじゃない」
男「そこまでは言ってないよ。だから、君には償いが必要だって話さ」
少女「……ごめんなさい。言っている意味が、全く分からないのだけど」
男「じゃあ言い方を変えよう。自分の命を奪った君が幸せになったら、彼はどう思うかな」
少女「きっと、許せないんじゃないかしら」
男「そうだね。それで君は笑ってやればいい。悪人らしくね」
少女「へえ」
男「君は悪人になれる。償いもできる。まわりも幸せになる。誰も損しない、いい提案だと思うでしょ?」
少女「……あなたの口車に乗るようで、あまりいい気はしないけど」
男「そこが君の悪いところだよね。もうちょっと素直になりなよ」
少女「分かったわ。私、笑って、幸せに生きる。彼のためにもね」
男「うん。いいんじゃないかな」
少女「死んだ人間のために笑うって、ひどい悪人だと思わない?」
男「そうだね。ひどい悪人だね」
少女「ふふ。やったわ。私もようやく悪人になれた」
男「おめでとう。協力できたようで、僕もうれしいよ」
少女「ありがとう。これで長年の夢がかなったわけだけど、ついでに、もうひとつだけいいかしら」
男「なんだい。もうここまできたら、わがままがひとつふたつ増えようが構わないさ」
少女「あら、あなたも優しいところがあるのね。今、ふと思ったんだけど」
男「うん」
少女「私ね、善人になりたいの。どうしたらいいかしら」
終わり
30 : 以下、\... - 2015/04/05 18:01:04.64 vnq1VYObM.net 19/19読んでくれた方、レスくれた方、ありがとうございました。