1 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 14:54:02.30 1dbtQqfQ0.net 1/44

「おーい妹、一緒にゲームしようぜー」

「あ、お兄ちゃん。いいよ、なにする?」

「そうだな、格闘ゲームなんてどうだ?」

「いいけど、いいの?」

「何が?」

「いや、じゃあやろっか」


30分後


「おえええあああええあ!!?」ガチャガチャ

「お兄ちゃん弱いなー」ポチポチ

「ぐっ……全敗、だと!?」

「練習と経験の差だよ」フッ

「」

元スレ
妹「シスコンって本当に気持ち悪い!!」
http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/news4viptasu/1426744442/

2 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 14:57:25.00 1dbtQqfQ0.net 2/44

「おーい妹! 映画見ようぜ映画ー」

「お兄ちゃんか……今忙しいから後でね」

「何やってるん?」

「ギルド間PvP。私居ないとうちのギルド駄目だからさ」カチャカチャッターン

「ふーん」

「それ、俺も出来る?」

「んー。多分。このゲームはプレイヤースキルより、立ち回りが大事だからね」

「ほお」

「ま、私にぴったりついてくれば簡単にはやられないよ」ドヤッ

「頼りになるなあ」

「それほどでも」ニヤ

3 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 14:58:54.86 1dbtQqfQ0.net 3/44

「あ、これ何だ?」キラーン

「うおぉぉ!お兄ちゃん、それ、すっごいレアなアクセサリーだよ!すごい!!」ガタッ

「お、そうなのか。じゃあ妹にやるよ」

「ほんとに!?わーい!!やった!」バンザーイ

「ま、このゲームの効率のいいクエスト回し?って奴とかいろいろ教えてもらったしな」

「そんなのwikiに書いてあるのに!お兄ちゃんってばちょろい!」

「ははは! 妹は本当にゲームが好きなんだなあ」

4 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:00:16.72 1dbtQqfQ0.net 4/44

「お、妹、暇そうだな」

「暇そうに見える?超忙しいんだなこれが」

「そうなのか?」

「いや、実はそんなでもない」

「何故、忙しいと言ったのか」

「言ってみたかった」

5 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:01:21.45 1dbtQqfQ0.net 5/44

「んじゃ、服買いに行くぞー」

「えー。いらないよ別に、困ってないし」

「年頃の子が制服以外にパーカー二着しかないのは流石に可笑しいぞ」

「そうかなあ……服買いに行く時間があったらレベルが2は上がるんだよなー」

「たまには自分のレベルも上げるべきだと思うがな」

「しょうがないな、付き合ったげる」

「」

6 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:02:36.60 1dbtQqfQ0.net 6/44

「おー、いつきてもこの服屋でけーな」

「気持ち悪くなって来た」

「妹は外に出るとすぐ気持ち悪くなっちゃうな」

「うーん、人混みのせいかな、あぁ、車が煙草臭いのもあるかも……」

「そうか」

「さっさと買って、かえろ?」

「そうだな、それじゃシャツから見てくか」

7 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:03:30.97 1dbtQqfQ0.net 7/44

「……ぉ、おー!」キラーン

「気に入ったのがあったか?……ってお前フリフリなのが好きなのか?」

「今ハマってるアニメのヒロインがこういうの着てるの。可愛いんだなあこれが」

「そうなのか」

「これにする!」

「駄目」

「何で!」

「フリフリすぎだ。家で着る分にはいいが、余所行きには奇抜すぎて使えないぞ。あと高すぎ」

「えー。可愛いのに」

「これとこれなんか落ち着いた色だし、いいんじゃないか?あ、こっちのパステルカラーもいいな」

「ほんとだ。お兄ちゃんセンスいいね」

「はっはっは」

8 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:04:39.86 1dbtQqfQ0.net 8/44

「さて、シャツもズボンも数着ずつ買ったし、後は下着か」

「え、ええ!?下着も買うの!?」

「当たり前だろ、お前のパンツ流石にくたびれて来てるぞ。小学生の頃から使ってるんじゃないのか」

「うっ」

「っていうかお前小学生の頃からサイズ変わってないのか……」

「五月蝿い!っていうか何で私の下着なんて見てるの!」

「そりゃ、洗濯はもっぱら俺の仕事だからな」

「おぉ……お兄ちゃん変な事してないよね?」

「ははは」

「おにいちゃあぁん……」

「冗談だ」

9 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:06:00.30 1dbtQqfQ0.net 9/44

「ちょっと待っててくれ」

「ん?何処行くの?」

「トイレだ」

「そ、そう。行ってらっしゃい。私ゲームコーナーにいるから」

「あいよ」


10分後


「お待たせ」

「随分長かったね?」ニヤリ

「聞くな」

10 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:06:51.38 1dbtQqfQ0.net 10/44

「よし、じゃあ帰るか」

「うん」

「ちゃんとシートベルトしろよ?」

「分かってるよーお兄ちゃんは心配性だなー」

「俺の免許がゴールドじゃなくなっちゃうだろー?」

「素直じゃないなー」

「(あれ?そう言えば、車の中、煙草臭くないな)」

11 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:07:47.59 1dbtQqfQ0.net 11/44

「ついたー」

「ついたー」

「疲れた」

「おいおい、流石に運動不足じゃないのか?」

「そうなのかなー休みの日は外出ないもんなあ」

「そういや、weeのゲームで、対戦の奴あったよな?」

「あるね」

「やるか?」

「やる!」

13 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:08:36.37 1dbtQqfQ0.net 12/44

「おえええあああええあ!!?」ブンブンブンブンブン

「お兄ちゃん弱いなー」ブンッ

「強すぎる……」

「弱すぎる……」

「違うんだよお兄ちゃん、力任せに振りまくれば良いってもんじゃないんだよ」

「ぐぬぬ」

「手、出して」

「?……こうか?」

「そそ、こっちの手でリモコンを……こう寝かせて」ヒッパリー

「おお、急に引っ張られるとコケそうになる」

「ごめんごめん。……んで、手首で、こう振る」ブンッ

「おお!」パコーン

「ね?良い所に当たるとリモコンからも音が鳴るから」

「ほんとだ」パコーン

「よし、もう一戦お願いします!」

「よろしい!」

14 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:09:52.61 1dbtQqfQ0.net 13/44

「ああ、また月曜日が来るのか」

「そうだな」

「月曜日と言えば?」

「学校だな、妹の場合」

「はあ」

「嫌なのか?」

「そりゃね。……あー、学生は皆嫌いなんじゃない?」

「それもそうだな」

15 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:10:51.03 1dbtQqfQ0.net 14/44

「……行ってきまーす」

「おー行ってらっしゃい」


バタン


「(しかし、妹は本当に学校が嫌いみたいだな)」

「(友達の一人でもいればあそこまで嫌がる事はなさそうだが……もしかして)」

「(趣味も周りと合わないらしいしなあ……いないのかなあ、友達)」

「ううむ」

16 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:13:09.37 1dbtQqfQ0.net 15/44

「おにいちゃあん……」

「どうした!?制服が泥だらけじゃないか!!」

「……うっう」

「……何があったんだ?」

「………………」

「(ただ事じゃなさそうだな……まさかとは思うが)」

「……学校で何か合ったのか?」

「ッ!……く、るまに、泥、跳ねられた、の」

「……そうか」

「そりゃ、災難だったな。シャワー浴びてこい。制服は俺が洗っておくから」

「…………うん」

17 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:15:52.97 1dbtQqfQ0.net 16/44

「(困ったな。明らかに何か隠してる)」

「(無理に聞き出すのはまずいだろうしなあ)」

「(言いだすのを待つか?)」

「(いや、しかし今すぐに対応が必要な事柄だったら、言いだすのを待ってなんか……)」

「……くそ、俺はそんなに頼りないのか?妹……」

18 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:18:44.93 1dbtQqfQ0.net 17/44

「私もう寝るね」

「今日は寝る前のネトゲってのはしないのか?」

「うん。今は特にイベントとかないし、ログインボーナスは昨日の寝る前に取ってたから」

「そうか、お休み」

「お休み」

19 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:19:58.40 1dbtQqfQ0.net 18/44

妹の部屋

「(……はあ、学校、行きたくないなあ。あいつらに苛められる為に行くのも馬鹿みたいだし、休もうかな……)」

「……うー」

「(勘づかれたかな?お兄ちゃん勘がいいしなあ……)」

「何で、泣いちゃったんだろ。お兄ちゃんに助けて欲しかったのかな……」

「(……馬鹿みたい。お兄ちゃんが優しすぎるから駄目なんだ)」

「(もう、馬鹿。馬鹿だ。私は馬鹿だ。妹と兄なんだぞ。兄妹だぞ。こんな気持ち、お兄ちゃんが知ったら気持ち悪がるに決まってる)」

「(……いくら、お兄ちゃんが優しくても……)」

「(考えたくない。寝よう)」

20 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:22:10.97 1dbtQqfQ0.net 19/44

「……行ってきます」

「おー、気をつけてな」

バタン

プルルルルル、ガチャ

「もしもし、俺だけど」

「あー、妹ちゃん確認したよ。じゃ、予定通りあんたも乗りなよ」

「分かった、裏から出るから」

「うい」ピッ


「悪いな、俺の車だと流石にばれると思ってさ」

「いいからさっさと乗れ」ガチャ

「はい」バタン

21 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:23:41.74 1dbtQqfQ0.net 20/44

「しっかし、お前も随分なシスコンだな」

「まさか、『妹が苛められてるかもしれないから尾行するための車を貸して欲しい』なんて電話が来るとは。しかも深夜2時に」

「面目ない。お前ぐらいしか頼める奴がいなくてな」

「いいさ、お前には助けられたことがあるしな。連休だったし。」

「……でも、別に車だけ貸してくれれば良かったんだが」

「あっはは、私も気になっちゃったんだよ。まるで昔の私とお前みたいじゃないか」

「そうかな」

「ああ、そうだよ。もし苛めだったら、あの時みたいに助けてやってくれよ」

「勿論だ。俺は世界で一番あの手の虐げるしか能のない連中が嫌いだからな」

「ふふ、妬けるな」

「からかうなよ」

22 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:25:02.24 1dbtQqfQ0.net 21/44

「っと、校内に入っちまったな、どうする?」チラッ

「うーん、双眼鏡のピントが上手く合わない」

「おいおい、準備良すぎだろ。シスコンは怖いな」

「んー妹はやっぱり孤立してるな。一人ぼっちだ」

「ん?お前から聞く妹は以外と社交性がありそうだったけどな」

「俺の前でだけだよ。極度のアガリ症でな、相当仲良くないと、口を開かん。」

「ああ見えて、繊細で臆病な奴なんだよ。それでも、友達の一人くらいは出来ると踏んでいたんだが」

「ちょっと貸せ。……おお、まじだ。まるで妹の周りに結界があるみたいだな」

「だろ」

23 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:25:52.08 1dbtQqfQ0.net 22/44

「……ふー。とりあえず授業中は何も起こらなかったな」

「そうだな。結界が張られてただけだな」

「まー私はあれだけでも結構、心に来そうだけどな」

「そうだな」

「………………」

「………………」

「遅いな」

「何かあったのかもしれない」

「授業中なんも無かったじゃないか」

「……妹は泥だらけで帰って来た。授業中に泥だらけにする馬鹿がいるかな?」

「学校が終わった後で苛めてる、ってことか?」

「只の可能性だが、結構な割合でありえそうだ」ガチャ

「おいおい、不法侵入だぞ」ガチャ

「言ってられるか!」

24 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:27:46.18 1dbtQqfQ0.net 23/44

「知らないぞ、勝手に入って」タッタッタ

「お前だって勝手に入ってるじゃないか」タッタッタ

「おい!あれ見ろ!」

「!」

25 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:30:03.86 1dbtQqfQ0.net 24/44

「やめて、やめて、痛い」

クラスメイト1「痛かねーだろーよ、お前のレベル、マックスまで行ってんだろ?」

クラスメイト2「きゃはは、レベルとかウケる!!」

クラスメイト3「て、ていうか、もう学校来んなって言ったのに何で来てんのか、い、意味不明なんですけど」

クラスメイト1「ほんとだよなぁ。まだわかんねーのかなー」

クラスメイト2「皆、あんたの事キモいって言ってるの。レベルマックスの勇者様はお家でゲームとお喋りしてなよ」

「……うっうぅ」

クラスメイト1「ほら、泣けよ。いつもみたいに『おにいちゃあぁあ~~ん』ってさ!」

クラスメイト2、「ぎゃはははははははは!!!」

26 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:31:29.73 1dbtQqfQ0.net 25/44

クラスメイト3「……き、きもちわりーんだよ!ゲームがお友達の上にブラコンかよ!」

クラスメイト2「てめーの兄貴は今頃、家でスコスコ一人でオ○ニーしてんよ!きゃはは!」

「ッ!お兄ちゃんのことを、その汚い口で語るなぁ!」ブンッ

クラスメイト2「おっと」ヒョイッ

クラスメイト1「おいおい、まじでブラコン?きも……。じゃあお兄ちゃんに助けでも呼べば?」

クラスメイト2「お兄ちゃんはオ○ニーしてるからこれないと思うけどねーぎゃはははは!!」

クラスメイト3「ちょ、ちょっと言い過ぎじゃ……」

「……呼ばない。」

クラスメイト1「あ?」

「呼ばないもん。お兄ちゃんは呼ばない。……私が呼んだら、お兄ちゃんは本当に来ちゃう。」

「お兄ちゃんに迷惑をかけちゃう。だから、私は呼ばない!」


「呼んでくれてもいいんだぞ、妹」

27 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:32:51.91 1dbtQqfQ0.net 26/44

「ッ!お兄ちゃん!?」

「何だ、妹?」

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!うえっ、うぇぇえぇん!!」ダキッ

「うん。大丈夫だ。大丈夫だぞ妹。俺がいるからな」

クラスメイト1「(ちょ、まじかよ。どうする)」ヒソヒソ

クラスメイト2「(どうするってなんだよ!もう顔見られちまっただろ!先手で謝るか?)」ヒソヒソ

クラスメイト1「(妹にか!?無理無理無理無理無理!だったら死んだ方がマシだよ!)」ヒソヒソ

「おい」

クラスメイト1、2、3「ひゃいぃ!!?」

「悪いな、家でオ○ニーしてなくて」

クラスメイト2「い、いや、とんでもないです」

クラスメイト1「(おい!何、下手に出てんだよ!もっと立場が悪くなるだろ!)」ヒソヒソ

クラスメイト2「(っざけんな!これ以上悪くなりようが無いだろ!謝ったもん勝ちだよ今は)」ヒソヒソ

クラスメイト3「……って、ていうかお兄さん勝手に学校の敷地入って良いんですか?」

クラスメイト1「!……そ、そうだよ!何勝手に入って来てんだよ!?ほーりついはんじゃねーのか!?」

28 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:33:31.43 1dbtQqfQ0.net 27/44

「ああ、頭がいてーな」

クラスメイト1、2、3「!!!!!」

「悪い、兄。こいつら私の知り合いなんだわ」

「女の?」

「ああ。前、こいつらが万引きしようとしててな」

「その時、私がこいつらを注意して、灸を据えた筈なんだがなぁ……」

クラスメイト1、2、3「す、すんません!姐さん!!!」

「やっぱ屑は屑でしかいられねーのかなー。悲しいなあ」

クラスメイト1「じ、自分は考えがあって」

「言い訳か?」

クラスメイト1「ひっ!」

「悪いな、兄。今度こそこいつらをしっかり矯正するから許してやってくんねーかな」

「俺が決めることじゃないな、どうだ妹」

クラスメイト2「ごめん!謝るよ!あん……妹の事を悪く言ったこと!本当にすまないと思ってる!」

クラスメイト3「私も!!ごめんなさい!本当にごめんなさい……」

クラスメイト1「お、おめーらずりーぞ!……わ、……悪かった、よ。……妹には、す、すまないことした」

29 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:35:36.07 1dbtQqfQ0.net 28/44

「……こいつら、お兄ちゃんのこと悪く言ってた。許せない」

クラスメイト2「お兄さんにも大変失礼な発言をしました!許してください!」

クラスメイト1「すいませんでした!!」

クラスメイト3「ごめんなさい……」

「……お姉さん」

「ん?私か?」

「はい。こいつらのことちゃんと叱ってくれますか?」

「ああ、約束しよう。」

「……信用します。お兄ちゃんの彼女みたいですし」ボソッ

「!?」

「ほう」

30 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:36:40.41 1dbtQqfQ0.net 29/44

「じゃあ、私はこいつら連れて行くから」

「はい、お願いします」

「お、おい!女、ちゃんと誤解をだn……」

「じゃあまたね、妹ちゃん。今度一緒に遊ぼうね」

「はい!……私の為に、ありがとうございました!」


「……行ってしまった。」

31 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:37:58.12 1dbtQqfQ0.net 30/44

「お兄ちゃん……ごめんなさい」

「何で謝るんだ?」

「お兄ちゃんにも、さっきのお姉さんにも、迷惑かけた……」

「……俺はショックだったよ」

「ッ!……ごめんなさい」

「妹が、俺をすぐに頼ってくれなかったのが」

「!」

「お前が何か隠してるな、って思った時、悲しかったんだ」

「俺は、そんなに頼りないのかな、妹にとって、俺は、只の兄でしか無いのかな、って」

「そんなことないッ!!」

「私にとってお兄ちゃんは!優しくて!優しくて!私みたいな妹でも構ってくれる」

「だいす……憧れのお兄ちゃんなんだ!」

「良かった。なあ妹。約束してくれないか。今度から、何かあったら必ず俺に相談する事を」

「うん。……うん」

「よし、帰るか!」

「うん!」

32 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:39:37.99 1dbtQqfQ0.net 31/44

「お兄ちゃん」

「妹か、ネトゲにログインしてなかったからもう寝てたかと思ってた」

「お兄ちゃん、寝るとこ?」

「そうだな」

「一緒に寝ても、いい……かな?」

「ああ、いいよ」

33 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:41:56.69 1dbtQqfQ0.net 32/44

「私ね、怖かったの」

「ああ」

「髪引っ張られたり、突き飛ばされたりもしたの」

「そうか」

「痛かったし、何度も泣いた」

「何でこんな目に遭うのかなって、そう思った」

「うん」

「でも、いじめられて、良かったな、とか、そう思ってる、私がいるの」

「?」

「こうして、お兄ちゃんに助けてもらえて、お兄ちゃんとこうしていられるのが、嬉しいの」

「馬鹿みたいでしょ?いじめられて良かったなんて」

「一緒にゲームして、買い物行って、お喋りして。そんな些細な事が、嬉しくて、楽しくて、ドキドキするの」

「ふふ、馬鹿みたい私。そんな妹いないよ。普通じゃない。異常だよ」

「ねえ、お兄ちゃん、お兄ちゃんって、シスコンでしょ?」

「そうだな」

「ふふ、ふ……」zzz

「お休み、妹」

34 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:44:37.06 1dbtQqfQ0.net 33/44

「…………」ムクリ

「お兄ちゃん。私、お兄ちゃんのことが好きだよ」

「優しくて、頼りがいのある、私のお兄ちゃん」

「私、ずるいから、お兄ちゃんと結ばれたいな、とかそんな馬鹿なこと考えちゃうんだ」

「兄妹だから無理なのにね。本当に好きだったら、お兄ちゃんの幸せを願うべきだよね」

「兄と妹が結ばれる事は無い。幸せにはなれないんだ」

「私、お兄ちゃんと結ばれるのは諦めるよ。だけど、今だけは、今だけは『私』でいさせて」

「……明日からは、私、ちゃんとお兄ちゃんの、『妹』になるから」

35 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:46:03.75 1dbtQqfQ0.net 34/44

「おはよう、お兄ちゃん」バサッ

「ん……早いな、妹」

「えへへ、お兄ちゃんの妹だからね!……っていうのは冗談で、昨日ネトゲやってなかったから学校行く前にログインだけでもして行きたくて」

「はは、妹は本当にゲームが好きだな」

「うん!帰ったら一緒にやろうねー!」

「そうだな!」


「行ってきまーす」

「おう、行ってらっしゃい」

36 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:47:12.84 1dbtQqfQ0.net 35/44

プルルル ガチャ

「おー、兄かー?」

「ああ、俺だ」

「とりあえず、きつめに叱ったからもう苛められる事はないと思うぜ」

「そうか、助かる」

「っていうか、もしかしたら友達になれるかもな」

「?」

「っていうのもな、苛めてた中にオドオドしてた奴がいただろ?」

「ああ、いたな」

「その子、クラスメイト3っていうんだけどな、あの子、元々は、妹ちゃんと仲良くなりたくて話し掛けたらしいんだ」

「そうなのか?」

「ああ」

37 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:49:00.75 1dbtQqfQ0.net 36/44

「クラスメイト3もゲーム好きらしくてな、それで妹ちゃんに話し掛けたんだってよ」

「しかしまあ、間が悪い事にそこに、クラスメイト1、2が来ちまって」

「ほら。ゲーマーって根暗なイメージがあるもんで、つい言っちまったんだってよ」

「妹ってゲーマーなんだろ?きもい!ってな」

「クラスメイト1、2に自分がゲーマー、つまり根暗だって思われたくなくて咄嗟に言っちまったんだと」

「なるほどなあ」

「つーわけで、今そういう複雑に絡んだ事情が解けたからゲームつながりで友達になれるかもな」

「それはありがたいな、妹には友達いなさそうだったし」

「しかし家で一人でスコスコしてんのは空しいと思うぞ?相手になろうか?」

「大きなお世話だ」

「そか!そりゃ残念!」

38 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:51:47.72 1dbtQqfQ0.net 37/44

1ヶ月後



「おーい妹、一緒にゲームしようぜー」

「あ、お兄ちゃん。いいよ、なにする?」

「そうだな、レースゲームなんてどうだ?」

「いいけど、いいの?」

「何が?」

「いや、じゃあやろっか」


30分後


「おえええあああええあ!!?」カチャカチャ

「お兄ちゃん弱いなー」カチカチ

「ぐっ……全敗、だと!?」

「コース取りとブレーキングの差だよ」フッ

「」

39 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:52:52.99 1dbtQqfQ0.net 38/44

「ん?お兄ちゃん何そのハートマークだらけのメール」

「あーバイト先の子から告白されちゃってな」

「えっ!そうなの!」ガタッ

「うん。……今、断りのメール作ってるとこ」

「なんで!」

「んー妹のことが心配だしなーシスコンなんだ、俺は」

「!」

「(お兄ちゃん、私の為に断るつもりなの……?)」

「(駄目だ!私がお兄ちゃんの幸せへの足を引っ張っちゃ!)」

40 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:53:54.87 1dbtQqfQ0.net 39/44

「……さいてー。さいてーだよ!シスコンなんて!!」

「気持ち悪い!気持ち悪いことなんだよお兄ちゃん!」

「シスコンなんて本当に気持ち悪い!」ダッ

「妹!」


妹の部屋


「っ!っは!はあ、はあ……」バタン ガチャ

「うぅ……うっ……何で…………何で」ポロポロ

「妹」トントン

「…………」

「ひくっ……ひぐ…………うぅ」

「妹、泣いてるのか?」

「泣いてな、……いッ!……ひぐっ」

41 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:55:34.96 1dbtQqfQ0.net 40/44

「妹、入れて」

「…………」ガチャ

「妹、ごめんな、俺、聞いてたよ。あの日の夜、寝たふりしてたんだ。」

「やっぱり、聞いてたんだね。おかしいと思った。お兄ちゃん、優しいから。聞いてたら、絶対お兄ちゃん、私の為に彼女作らないから」

「何で、何でよぉ、お兄ちゃん」

「いいじゃん、その子と付き合えば。そうすればきっと、幸せになれるよ」

「何で、何で?私は大丈夫だよ。私、妹、良い、妹になるんだからっ!」

「うん」

「妹は、妹はお兄ちゃんと恋愛したりしないもん」

「……なあ、妹、教えてくれないか。俺には分からなかったんだ」

「幸せになれるとか、なれないとか」

「結ばれるとか、結ばれないとか」

「なあ、教えてくれ、妹。俺には分からないんだ。何で妹は、『好き』にそんな制限を掛けようとするんだ?」

42 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:56:47.24 1dbtQqfQ0.net 41/44

「だって、だって、兄妹は、法律で結婚出来ない!愛し合えないし、周りからすれば、異常なんだよ!」

「だから、だから私、私じゃなくて妹になったの!お兄ちゃんの妹!妹なら、お兄ちゃんの側で、お兄ちゃんのこと支えられる!」

「結婚できないけど、ずっと近くで、お兄ちゃんの幸せを願っていられる!」

「ありがとう、でも俺は思うんだ。好きってのは例え幸せになれなくても、抑えられるようなもんじゃないって」

「俺は、お母さんもお父さんも、女も、妹も、コンビニの子だって好きだ。……その中でも俺は、妹といるのが、一番楽しい」

「だから俺は、妹が一番好きだ。シスコンだ」

「今はそれでいいと思う。妹が好きだなんて、異常だ。確かにそうかもしれない」

「結婚は出来ないし、愛し合う事も出来ない。でもそれは本当の意味での愛し合う事じゃない」

「妹に、俺以上に好きな人が出来ればそれでよし、出来なくても、本当の意味で愛し合う方法なんていくらでもある」

「……なにそれ、ずるいよ。そんなのずるい」

「ずるくたっていいさ、今はそれでいいんだ。今無理に結論を出さなくても、ゆっくり考えれば良い」

43 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 15:59:09.69 1dbtQqfQ0.net 42/44

「そうだ、これ」ガサッ

「!……これ、あの時のフリフリの服!」

「高かったからな。一月かかっちゃったけど」

「……お兄ちゃんもずるい」

「ねえ、お兄ちゃん」

「何だ?」

「お兄ちゃんって、実はお兄ちゃんじゃないでしょ?」

「そうかもしれないな」

「お兄ちゃんって、シスコンでしょ?」

「……そうだな」

「なあ、妹」

「なに?」

「妹って、実は妹じゃないだろ?」

「ふふっ、そうかも」

「妹って、実はブラコンだろ?」

「……そうだね」


「あははは!」

45 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 16:00:36.22 1dbtQqfQ0.net 43/44

「やった!やったぞ!」

「そ、そんな……なんで、こんな」

「初めて格闘ゲームで妹に勝ったぞ!1286敗1勝だ!」

「こ、こんなのありえん!イカサマしただろーこのシスコン!」

「ははは!なんとでも言えーこのブラコン!」

「ぐあー!もっかい!」カチャカチャ

「おーかかってこい!ここから俺の無双が始まるぜー」カチカチカチ

「……バカ。好き」ボソッ

「へ?今なんて……」


「好きあり!」



終わり

46 : pateri ◆nN6.y9OgBw2F @\(^o^)/ - 2015/03/19 16:02:58.78 1dbtQqfQ0.net 44/44

長々と失礼しました。
SS書くのは始めての体験でしたので、お見苦しい点も多々あったかと思います。
最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございました!

また機会があれば、SSを書いて、投下したいと思いますので、
その時は、また宜しくお願いします。

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