関連記事
先頭: ほむら「キュゥべえをレイプしたらソウルジェムが浄化された」#01
前回: ほむら「キュゥべえをレイプしたらソウルジェムが浄化された」#02
632 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 00:28:35.06 H/PtuHbAO 303/1642

――――?

「やだよ……ボクを独りにしないで……」

「――なぁ、『――』」

「っ」

「前、しただろ?――宇宙の話」

「……うん」

「いつか宇宙も終わっちまうのかな……宇宙人がいるなら、会ってみたかったねぇ」

「ボクなら、ボクの能力ならきっと大丈夫だよ……だから――」

「ダメだ」

「何故!?」

「間に合わねぇよ。このままなら、俺は魔女になっちまう……お前を、殺したくない……」

「――っ。『最強』なんだろう……?」

「いやぁ……やっちまったね。『最強』ってのは、比較対象が居て始めて『最強』らしい……『全能』を願っておけば良かったな、ハハッ」

「そんな……そんなの、わけがわからないよ……」

「――生きろ」

「……」

「生きてくれ……少しでも長く……俺たちのいた、世界を……俺たちがいた、証を……」

「――分かったよ、生きる、生きるから! まだ逝かないで、ボクといてよ……独りは嫌だよ――寂しいよっ!」

「ありがと、う」



空に、薙刀が浮かんでいた。

それは、死に行く魔法少女の武器。



「さよならだ、『――』」

「待っ――――」

その黒き魔法少女のソウルジェムは、自らの武器によって砕けた。





世界に残されたソウルジェムは、たった一つで。

世界で動いている物は――

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」

――泣いている彼女だけだった。

633 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 00:38:21.03 H/PtuHbAO 304/1642

――――現在。白き魔法少女の未来への絶望と渇望される救済

QB「さあ、キミの魔法(チカラ)を試してごらん」

「――」パァッ

「(未来が見える……ここは、見滝原なの?)」

「(街が崩れていく……なんて力)」

「(あれが魔女だと言うの……?)」

「(これが私の運命だというのならば、なんとしても止めてみせるわ……)」

「(――――アレ、は?)」

「あ、あぁ――ぅああ……」ガクッ

QB「願いは叶ったかい?」きゅっぷい

「(……あれは誰にも倒せない)」

「(あれを解き放っては、いけない――!)」

QB「どうしたんだい、顔が真っ青だよ。具合でも悪いのかい?」

「織莉子」

織莉子「(どうすればいい――どうすればあれを阻止出来る!?)」

織莉子「っ」ピキンッ

織莉子「――キュゥべえ、いいお知らせよ」

QB「きゅっ?」ぷいっ

織莉子「私の魔法は、貴方の役にも立つみたい――貴方にとってとてもいい、魔法少女の素体がいるようよ」ニコ

QB「へぇ……それは楽しみだね」

634 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 00:44:33.84 H/PtuHbAO 305/1642

――――杏子、何も知らず。

ズバッ

魔女「――……」

杏子「一丁あがりってな」シュンッ

杏子「しっかし……この街を受け持ってる魔法少女はいないのか?」

杏子「グリーフシード取り放題じゃねぇか。ここ、アタシのシマにしちゃおうかな」フゥ

少女「……」ウズクマリ

杏子「……ふん。(血まみれの死体……両親かねぇ)」

杏子「おい、ガキ」

少女「…………」

杏子「……」チッ

杏子「災難だったな……でも、現実なんてこんなもんさ。震えて泣いたって、死んだ両親は帰ってこないよ」

杏子「――生き残った幸運に感謝するんだね」

少女「…………」

杏子「……ふん」クルッ

スタスタ……ピタ

『おねえちゃん――』

杏子「……(何で妹の事なんて思い出しちまうかねぇ……)」カツ、クルリ

杏子「そんな顔したって、誰も助けちゃくれないよ」

少女「…………」

杏子「……あぁもう」ポリポリ

スッ

杏子「……くうかい?」

少女「…………」

杏子「…………」

少女「…………」

杏子「…………」

635 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 00:50:15.88 H/PtuHbAO 306/1642

――――ハンバーガーうまい

少女「ハグハグ、ハムハフハフ、マミマミッ」ガツガツ!

杏子「……いいか。それ食ったらどっか行けよ、分かったな?」ハァ

少女「マミマミマミ……けほけほっ」ゴホゴホッ

杏子「ったく、しょうがねぇな……ほら、水飲め」

少女「ん、んっ」クピクピ

杏子「お前、がっつきすぎだろ……ちゃんと飯食ってるのか?」タラー

少女「ふぅ……」バブ、ポヨンッ

『なんで』

少女「ッ」ビクゥ!

『お前だけ生き残った!?』

少女「う、あ」

636 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 00:55:34.52 H/PtuHbAO 307/1642

――――杏子に壊された結界

少女「――う、ううん……ここは?」ムクッ

少女「……すごーい、ヘンなお花が咲いてるー」キョロキョロ

少女「パパとママは、どこだろ……」

ズル、グチャッ

少女「――ママ?」クルッ

「あ……あ……、いたい、いたい、たすけ――」

少女「――う、ワァァァァァァァァァァァァ!!!」

637 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 00:59:18.53 H/PtuHbAO 308/1642

――――

少女「ママ……パパ……」

杏子「……お前の両親を殺したのは、魔女って化物さ」

少女「っ」ハッ

少女「まじょ……?」

杏子「あぁ。それでアタシはそれと戦う魔法少女って訳さ」

少女「…………!」

杏子「まるでお伽噺みたいだろ?」

杏子「……でもな」

杏子「お伽噺みたいに愛と正義に溢れてるわけでも、まして救いがあるわけでもねぇ」

杏子「……居なくなっちまった家族も戻ってきやしない」グッ

少女「…………」

杏子「だから食い物だって、これからはお前一人で――」

少女「ゆま」

杏子「うん?」チラッ

「『お前』じゃなくて――」

ゆま「――ゆま。千歳ゆま」

杏子「……はっ、そりゃ上等な名前だ」ヘラッ

638 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 01:02:40.22 H/PtuHbAO 309/1642

ゆま「おねえちゃんは、正義の味方なの?」

杏子「けっ、そんないいモンじゃねぇよ。そんなんはマミだけで十分――いや、何でもねぇ」ポリポリ

ゆま「じゃあ――わたしも戦えるかな」スタッ

杏子「あぁ?」

ゆま「わたしも魔法少女になって魔女と戦いたい!」

杏子「(……バカが)」ギリッ

杏子「くだらない事を言うもんじゃねぇよ」

ゆま「――だってパパもママも死んじゃったもん!わたしもうどこにも行くとこないもん!!」クワッ

ゆま「ねぇ、どうしたら魔法少女になれるの……わたし、何だってやるよ!」

杏子「……甘ったれんな」スック

639 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 01:08:58.49 H/PtuHbAO 310/1642

杏子「……文字通り、命懸けなんだ」

杏子「同じ命を懸けるなら、まっすぐに生きる事に懸けな」スタスタ

杏子「じゃあな」

ゆま「…………うぐ」プルプル

杏子「……」

ゆま「でも……だって、わたしひとりじゃ……だって、だって……」ヒグヒグ

杏子「…………」

杏子「…………」

杏子「……ったく、マジでしょーがないな。いいか、耳をかっぽじってよく聞けよ」

杏子「アタシは『おねえちゃん』じゃねぇ、佐倉杏子だ」ビシッ

ゆま「キョーコ?」

杏子「あぁそうだ。一人で生きる方法ならアタシが教えてやるから――泣くな」ポムッ

ゆま「うんっ」ニパッ

640 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 01:20:09.86 H/PtuHbAO 311/1642

――――見滝原、とある場所

QB「(お茶の間のみなさん、こんにちきゅっぷい。キュゥべえです)」シュッタシュッタ

QB「(何故ボクが体系に不適切なアスリート走りをしているかといいますと……)」シュタタタタ……

ほむら「逃げても無駄よ25000匹目!」マシンガンー

QB「(暁美ほむらが凄まじい剣幕で追ってきます。なにあれバイオ2のタイラントくらい怖いんだけど)」

QB「っていうか……」スタタ、ヨンソクホコウ!

QB『マミィィィィィィィ!!?近くにいるんだろう!?キミの知り合いの暁美ほむらがボクを殺そうとしてるよ!て言うか現在進行形で死にそうだよ!?』テレパッスィィィィ!!

マミ『まさかー(棒』

QB『いやこれマジだからァァァ!!耳毛懸けても良いからァァァ!!?』テレパシィィィ!

ほむら「死ねぇぇぇ、ガンダァァァム!!」ズキューン!!

QB「るいすっ」パタリッ

QB『ほら死んだ!!今死んだよボク!!?』テレパッ

マミ『まさかー(笑)』

QB『何が可笑しいんだよォォォ!!?ひぃぃ追ってきた!!?』

QB「にげ、逃げるよっ」トテテッ

ほむら「……ふぅ」カキンッ

641 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 01:21:06.79 H/PtuHbAO 312/1642

スタッ

マミ「あら、こんなところで何をしているの?(棒」

ほむら「25000」ホムッ

マミ「……お疲れさま」フゥ

ほむら「別に?」ニヤ

マミ「……正直に言っていい?」

ほむら「?」

マミ「情報アドバンテージって、良いわね……」ホフゥ

ほむら「でしょ?」ホムンッ

642 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 01:23:03.92 H/PtuHbAO 313/1642

――――まどか、早朝

まどか「――ぅワァァァ!!……?」ガバァッ!

まどか「…………」ハァッ、ハァッ

まどか「……夢かぁぁぁぁ」フハァァァァ

――――学校!

早乙女「転校生よ!」クワッ

ほむら「暁美ほむらです、よろしく」ホムリ

中沢「(昏睡レイプしたい……)」

ほむら「……」チラッ

まどか「……夢の中で――」ハッ

さやか「お、なになにー……前世の恋人ー?」ニヤニヤ

まどか「――罵倒した、ような」

さやか「なにそれこわい」



――――邂逅、そして別離



ほむら「保険室に案内してくれないかしら」ホムッ

まどか「あ、うん。分かった、着いてきて」カタッ

――――

ほむら「ねぇ、鹿目まどか」カツカツ

まどか「なにかな?」テクテク

ほむら「貴女には――いや、長ったらしい言葉は不要かしら」

ほむら「護りたいモノがある?誰かの役に立ちたいと思う?」

まどか「それは……うん。そうなれたら、それはとっても嬉しいなって」ウェヒヒ

ほむら「そう、ならいいわ」ホムッ

ほむら「……恨んでくれて構わない」ポツリ

まどか「?」

643 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 01:24:35.08 H/PtuHbAO 314/1642

――――CDショップ

まどか「……ん?」

QB『助けて……助けて鹿目まどか……』テレパシー

まどか「……誰?」

QB『お願い……早く助けて……迅速に――やべぇ来たァァァ!!?』テレパスッ

まどか「な、なんだか良く分からないけど、急がなきゃ!」タッ

さやか「まどか?」

644 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 01:27:24.96 H/PtuHbAO 315/1642

――――路地

QB「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」シュタタタタタッ!

ほむら「ちっ、しぶとい」カチャ、カキンッ

QB「まだ弾薬残ってるのかいチクショォォォォォォ!?」きゅっぷい!

ほむら「つかまえたぁ」ギュムッ

QB「ナウシカもびっくりの回避運動も長くは続かなかったか、あぁ……試作品の個体になるのかな……」ハカナゲ

ほむら「――試作品ですって?」

QB「あぁ、もう別にいいか……実を言うとね、ボクはあと一回しか死ねないんだよ……」きゅっぷい……

ほむら「(知ってる)」ホム

QB「替えのボディが切れたみたいでね……プロトタイプの人型個体しか無いらしい」ハァァ

ほむら「(……確か前は新型だったはずなのだけれど――いや、つまりこの情報が真実であろうが虚実であろうがインキュベーターには意味を成さないと言う事ね)」

ほむら「そう」パッ

QB「見逃してくれるのかい?」

ほむら「今はね」ファッサァ

まどか「……ほむらちゃん?」

ほむら「――あら、まどか」

さやか「転校生?アンタなんでこんなところに……」

QB「やぁ鹿目まどか!ボクの名前はキュゥべえ!」きゅっぷい!

QB「キミを呼んだのはボクなんだ」

645 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/09 01:32:41.10 H/PtuHbAO 316/1642

まどか「え?」

ゾワゾワゾワ……

さやか「ひっ、何これ。回りが……?」

QB「魔女の結界だ……まどか、この世界にはね、魔女と呼ばれる怪物がいるんだ……それは人を殺してしまうよ」

まどか「えっ、えぇっ?」

QB「でもキミには素質があるみたいなんだ。ボクと契約して、魔法少女になってよ!」きゅっぷい!

QB「ほら、怪物が来たよ!早く契約を!」

使い魔「――!」パタパタ

まどか「ひっ」ビクッ

さやか「なにこれ、わけわかんないよ!」

「下がって!」スタッ

ババババン!

マミ「ふぅ……」チャキンッ

さやか「す、すご……一瞬でやっつけちゃった」

まどか「……貴女は?」

マミ「…………」グッ

マミ「自己紹介が遅れちゃったわね。私は巴マミ、この街を管轄する魔法少女よ」ニコッ

ほむら「遅かったわね」

マミ「あら、定刻通りに参上したわよ」

ほむら「……確かに」ククッ

654 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:40:34.39 ktTGhBeAO 317/1642

――杏子の子育て

ゆま「うわー、ゆまホテル初めて!」タタタッ

杏子「おい、走るなよ?」ハァ

杏子「(金は持っとくもんだねぇ……)」

ゆま「わぁい、ベッドふかふかー」ボフッ、モフモフ

杏子「まだ寝るには早いぞ」

ゆま「あ……ごめんなさい」ヌギヌギ

杏子「――ば、バッキャロウ!!?そういう意味じゃねぇ!!服を着ろ――」カァッ

ゆま「?……お着替えじゃないの?」

杏子「へ?――あ、あぁー……いや何でもない、忘れろ」

ゆま「キョーコ?」

杏子「忘れろ、頼むから」ハァァァ……

杏子「……ひと仕事するぞ」

ゆま「……うん」コクッ

655 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:41:39.58 ktTGhBeAO 318/1642

――――良い子は真似するな!

杏子「おとり万引き!」

ゆま「上手く泣き真似できてた?」



杏子「銭湯に忍び込む!」

ゆま「気持ち良いねキョーコ!」

杏子「騒ぐなって……」



杏子「スリ!」

ゆま「長いおサイフ取りやすいね!」



杏子「で、その金で洗濯だ」

ゆま「コインランドリーって便利だね!」



杏子「なぁ兄さん、アタシ買わない?」シナッ

「……へぇ、中学生?小遣いでも欲しいのか?」

杏子「家出してるんだ……だから」シュン

「(うほ、ラッキー……)ふーん、じゃあいいよ」

杏子「ホテルは――」

「いや、俺ん家近いから泊まっていけよ」ニヤニヤ

杏子「えっ……」

杏子「(なんてね。バーカ、そこまでお見通しだよ)」

ゆま「あわわ」ハラハラ



杏子「家ん中漁っても現金10万しかねぇ、しけてんな」

「」チーン

ゆま「キョーコ?」ポカーン

杏子「あ、これは割りと大人になってからじゃないと無理だからな」キヒヒッ

656 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:43:33.48 ktTGhBeAO 319/1642

――――戦利品とご飯

ゆま「……う」モグ……

ゆま「これきらーい」ウェー

杏子「――バカヤロウ!!食い物を粗末にするんじゃねぇ!」バンッ

ゆま「――ご、ごめんなさい……」ウルウル

杏子「…………」ハァ

杏子「ピーピー泣くなよ、もう怒っちゃいないからさ」ポムッ

杏子「ちゃんと全部食うんだぞ?」

ゆま「――うんっ!」パァァァ

アグアグモグモグゲフンゲフンッ

杏子「ゆっくり食えよ……」タラー

ゆま「キョーコ、全部食べたよっ!」ペカー!

杏子「はいはい、ご苦労さん」

ゆま「えへへっ」ニパッ

杏子「ははっ」ニッ

杏子「(まぁ……)」

杏子「(悪く、ないかな)」

657 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:44:15.52 ktTGhBeAO 320/1642

――――魔女の結界、杏子とゆま

魔女「――――」

杏子「ゆま、危ないから下がってな」

ゆま「うん……気を付けてね」

杏子が対峙している魔女は、頭巾を被った少女のような容姿をしていた。
それが手を触手の様に伸ばして、使い魔と共に攻勢を仕掛ける。

だが、杏子には培われ練り上げられた経験がある。

槍を縦に一閃、それで腕を叩き落とした。

魔女「――――」

杏子「逃がさねぇよ、バカ」

回避とも撤退とも着かぬそれを行う魔女が、胴体から真っ二つになる。

杏子「(やったか?)」

小さい少女は見ていた。

強くて、凛々しい――佐倉杏子と言う魔法少女を。

ゆま「(すごい……わたしもあんな風になれたら……)」

だが狡猾なもので、ぼんやりと杏子を見る彼女の頭上に魔女の上半身が『居た』。

頭部から牙を出して――しかし槍に貫かれて弾けた。

結界が少しずつ消えていく。止めは、刺せたようだ。

658 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:45:00.64 ktTGhBeAO 321/1642

――――

杏子「ゆま、大丈夫か?……あー顔が血まみれだ、貸しな」フキフキ

ゆま「う、うん」

杏子「(――――!)」ピクッ

杏子「(このデコ……魔女にやられたケガじゃねぇな……火傷――タバコの跡……か?)」

杏子「…………親、か?」

ゆま「――――」ハッ

ゆま「…………」カタカタ

杏子「……話したくなけりゃ、訊かないけどな」

ゆま「…………」

ゆま「…………」

ゆま「……わたし、ほんとはパパもママも好きじゃなかった」

ゆま「パパとママはケンカばっかり」

ゆま「パパは全然家にいないし」

ゆま「ママはゆまにいじわるするの」

ゆま「パパが帰ってこないって」

ゆま「パパがおそとに遊びにいっちゃうのは、ゆまがかわいくないせいだって」

ゆま「すごく、いじわるするの」

杏子「……世知辛いねぇ」

659 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:47:56.10 ktTGhBeAO 322/1642

杏子「でもまぁ――」

『――魔女め!』

杏子「親に裏切られる気持ちなら、分からなくもないよ」

ゆま「――!?」

杏子「……あたしも似たようなもんさ」ヘッ

ゆま「……」

ゆま「……わ、わっ」ギュッ

ゆま「わたしはっ!」

ゆま「強くなりたい!!」

杏子「……」

ゆま「ねぇ、キョーコはなんで魔女と戦ってるの!?」

杏子「それしかやることがねぇからだよ」

ゆま「キョーコが強いのは魔法少女だから?」

ゆま「……(ゆまがいじめられるのは――ゆまが弱いから)」

ゆま「(キョーコだっていつか、ゆまをすてちゃうんだ)」

ゆま「ねぇ、友達は?学校は?魔法少女ってほかにもいるの!?」

杏子「ごちゃごちゃ言ってないで――」

QB「いるよ」きゅっぷい

660 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:49:49.72 ktTGhBeAO 323/1642

杏子「……オマエ」

ゆま「?」クルッ

QB「魔法少女はたくさんいる……そして――織莉子の言った通りだ」ゼーハー

QB「ゆま、キミにもその素質があるみたいだ」ハァハァ

杏子「何でバテてんだよ……」

QB「ちょっと弾幕シューティングしてたんでね……」ゼェハァ

杏子「虫姫さまウルトラ?」

QB「蜂大往生だね……」

杏子「そりゃ難儀だったみてぇだな……」

ゆま「はわわわわー!」パァァァ

ゆま「ぬいぐるみがおはなししてるー!」キャッキャッ

QB「ボクはぬいぐるみじゃなくて、キュゥべえだよ。よろしくね、ゆま」きゅっぷい!

杏子「(コイツ、なんで……)」ムッ

杏子「(それに、『織莉子』……?)」

ゆま「ぎゅーっ」ミシミシ

QB「きゅっぷぇぇぇぇ……中身出るから止めてぇぇぇ……」グニャングニャン

661 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:51:48.66 ktTGhBeAO 324/1642

――――

ゆま「はなしたよ」

QB「わぁ、耳毛ベロンベロンになってる……もうこれ、耳毛じゃない」

QB「気を取り直して、さっきも言ったけど、キミも魔法少女になることはできるよ!」ぷいっ!

ゆま「ほんと?」パァッ

ゆま「わたしもキョーコみたいになれるの!?」

QB「本当だよ。それに、魔法少女になれば――」

杏子「それ以上、ガキに余計なこと吹き込むんじゃねぇ」グイッ

QB「止めて止めて耳毛取れる――えいっ」バシッ

QB「しかし、杏子にしては珍しいね」ヒリヒリ

杏子「うぜぇ!」ケッ

662 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:54:19.58 ktTGhBeAO 325/1642

杏子「……それより、この街の魔法少女はどこにいっちまったんだ?」グイッ、ギュッ

ゆま「わぷっ」モフンッ

QB「あぁ、どうやらやられてしまったらしいよ」

杏子「やられた……って魔女にか?」

QB「いや、やったのは別の魔法少女のようだね」

杏子「……ほぉ」ガサゴソ……ムシャッ

杏子「…………」モグモグ……

杏子「んっ……で?一体ソイツ何モンだ?」

QB「さあ?それはボクにもわからないんだ……」フゥ

QB「……まぁ、グリーフシードは限られているわけだし、想定できないことではないだろう?」

杏子「(……匂うな)」

QB「杏子、キミも気をつけてね。まぁボクはいざとなったらそっちの――」

ゆま「!」

杏子「――オイ」

QB「……はいはい、分かったよ」フヨフヨ

ゆま「(飛べるんだ……)」ホエー

杏子「相変わらず胡散臭い……猫、か?」

ゆま「……キョーコ?」オズオズ

杏子「……ゆま」ポフッ

杏子「魔法少女になろうなんて、考えるな」

ゆま「――――」

663 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:54:49.62 ktTGhBeAO 326/1642

――――

なんでだろう。

キュゥべえはわたしも魔法少女になれるってゆったのに。

なんでキョーコはだめってゆうんだろう。

『お前なんか何も出来ないんだ!!』

『バカガキ――』







役立たず







やっぱりキョーコも

ゆまのこと

役立たずって思ってるのかな。

664 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:57:19.26 ktTGhBeAO 327/1642

――――白き月

織莉子「ああ、深い。とても深い」

織莉子「人の思いは、かくも深い」

織莉子「人の思いが、神を創り」

「悪魔を創り」

「そして全てさえ創ってしまうのだわ」

QB「全てか……それは素晴らしいね」

織莉子「そう……貴方もそれを感謝すべきだと思うわ、キュゥべえ」




「貴方の望んだものが、創られるのだから」





665 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 00:59:43.67 ktTGhBeAO 328/1642

――――マミ宅

さやか「マミさん、これめっちゃうまっすよー!」ケーキウマー

まどか「もう、さやかちゃんったら」ウェヒヒ

マミ「喜んでもらえて嬉しいわ……ところで暁美さん、魔法少女の事は?」

ほむら「……説明しようかしらね」パパンッ

さやか「(手拍子?)」

ほむら「まどかに魔法少女の説明してくれる専門家いないかなー」ホムー

QB「やぁ鹿目まどか!」モフッ!

まどか「きゃあっ!?何処から出てきてるの!」

さやか「(まどかのスカートの中から出てきた……)」

まどか「序盤のさやかちゃんはカッコ内が大活躍だね!」

さやか「描写マスターさやかちゃん!今日もカッコつけてます!」キラーン!

666 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 01:01:09.02 ktTGhBeAO 329/1642

QB「かくかくしかじかきゅっぷいぷい!」

まどか「わぁ……マミさんたちカッコイイなー……」

さやか「正義の味方ってやつ?くぅーっ、いいねぇ!」

マミ「(……暁美さんはいつもこんな気持ちでいたのね)」

ほむら「でも、一つだけ気を付けないといけない事があるの」

まどか さやか「?」

QB「――っ」

ほむら「グリーフシードが無くなって、ソウルジェムが穢れ切ってしまったら、魔法少女は魔女になってしまうの」ホムッ

まどか「えっ……」

さやか「じゃ、じゃあ魔女って……」

マミ「……元魔法少女って訳ね」

QB「……イレギュラーの暁美ほむらはともかく、マミまで何故知っているんだい?」

マミ「暁美さんから聞いただけよ」

QB「……まぁいいや、そういう事だよ。ま、でもグリーフシードさえ補充し続ければ楽ができるしね」

まどか「ふーん……」

さやか「ちょっと怖いなぁ……」

667 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 01:02:30.38 ktTGhBeAO 330/1642

――――マミとほむらだけの部屋

マミ「さて、鹿目さんたちと接触して説明は終わったわね」

ほむら「魔法少女が魔女化する事も伝えた……美樹さやかの戦力は期待出来なくなったかもしれないわね」ホムッ

マミ「キュゥべえのフォローもあったけれど、魔女になる、なんて聞いたらやりたがらないでしょう」

ほむら「……だと良いのだけれど」

マミ「一応、魔法少女体験コースはやるのね?」

ほむら「えぇ……敵が元人間と分かっていれば、考え方も変わるでしょうしね」ホムン

マミ「りょーかい。じゃあ最初は……薔薇の魔女だったわね」

ほむら「私が行かなくても何とかなるけれど、一応行くわ」ホムリ

マミ「分かったわ」

668 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/10 01:03:51.85 ktTGhBeAO 331/1642

――――魔法少女体験!

さやか「わわっ、小さいのいっぱいだ!」ワタワタッ

使い魔「――――」

ほむら「……」パンッ

まどか「ほむらちゃんは、戦い方が生々しいね……」

マミ「さぁ、親玉ねっ」シャキンッ

ティロ・フィナーレ(省略

マミ「見せ場……」マミーン

ほむら「こんなノリで行ける内が花よ?」ホムッ

まどか「あの子も元は人間だったのかな……」

ほむら「そうかもしれないわね……でも、仕方ないのよ」

まどか「…………」

さやか「しかしマミさんカッコイイですね!」キラキラ

マミ「えへへ、照れちゃうわよ?」テレリコテレリコ

キャイキャイ

ほむら「…………」

ほむら「(元気にしてるかしら、杏子)」ホムッ

676 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:31:32.24 ESNst08AO 332/1642

――――ホテル、夜

杏子「…………」

ゆま「キョーコ……」クゥクゥ

杏子「……」クスッ

杏子「(……キュゥべえはなんでゆまに目を付けたんだ?)」

QB『織莉子の――』

杏子「(織莉子ってのは何者だ?)」

杏子「(魔法少女狩りってのも気になるし、なんだか妙な事になってきたな)」ハァ

杏子「……」チラ

ゆま「むにゃむにゃ……」

QB『いざとなったら、そっちの――』

杏子「――やっぱ、関わるべきじゃなかったんだな……」

杏子「(――魔女の気配!)」ガバッ

杏子「ちっ、おちおち考え事もできねぇ、なっ」ダッ




織莉子「あら、行ってしまったのね」


――かわいそうに

677 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:32:12.36 ESNst08AO 333/1642

――――魔女の結界の中

魔女「――――♪」

魔女が結界の中を闊歩していた。
巨大な頭に一本足、ソレを着物と髪飾りで修飾している。

アンバランスでグロテスクなその魔女は、しかし心底楽しそうに身体を引き摺っていた。

杏子「……」

その頭上から、先手必勝と言わんばかりに槍を振るう。
死角から仕掛けたはずのそれを、魔女は済んでのところで躱した様に見えた。

肉片が一つ、確実に落ちている。

魔女「――――」

杏子がもう一度背後から斬りかかるが、それは飛び下がって凌がれてしまった。

魔女とにらみ合う。

杏子「まったく……ふざけた顔しちゃってさ」

杏子「お前、空気読めよな!」

魔女を突き、殴り、転倒させる。
さほど、強くない。
だが、故に。

杏子「(なんだ――嫌な予感がする)」

678 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:33:20.78 ESNst08AO 334/1642

――――ホテル、ゆま

ゆま「……うん?」ムニャ

ゆま「キョーコ?」ムクッ

ゆま「キョーコ、どこ?どこにいっちゃったの?」キョロキョロ

スゥ……

織莉子「佐倉杏子。彼女はまだ現世にいるのかしら」スッ

織莉子「それとも最早死神は彼女を連れ去って仕舞ったのかしら」

ゆま「……しにがみ?」クルッ

ゆま「だれ……?」

ゆま「キョーコ、死んじゃうの?」カタカタ

織莉子「……」ニコッ

679 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:34:12.52 ESNst08AO 335/1642

――――

杏子「これで、終わりだ!」ドスッ!

ズバンッ!

魔女「」

杏子「あっさり終わったな。あのやな感じは気のせいか」

杏子「ふわぁ……もう一眠りするかな。グリーフシードも今は必要ねぇのになぁ」パシッ

杏子「――――」パリンッ

杏子「(グリーフシード……?)」パラパラ



は ず れ



杏子「っ」

杏子「(結界が変化してる……割れたのは外面だけって事かい)」

680 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:34:51.79 ESNst08AO 336/1642

杏子「行くぜ」

杏子は自分の前に、魔力の壁を展開する。
だがしかし、その防壁を魔女の放った花の波が易々とすり抜け、背後からは小さい使い魔が大量に沸きだしていた。


杏子「くっ……チマチマとウザい奴だな!」

魔女は上から、杏子に強襲をかける。
躱し、距離を取るが――花の波が回り込んでいた。

杏子「くそっ、挟まれたっ!?」

魔女が今だとばかりに迫りくる。
このままでは杏子に一撃、手痛い殴打が与えられるだろう。

だが、彼女は笑ってみせた。

杏子「――なんてな!」

彼女の槍が、多節根となって周囲例外無く薙ぎ払う。
迂闊な魔女の身体を、鯰の様に裂いた。

杏子「アタシの武器に合わせて攻撃を散らしたんだろうが、範囲攻撃が出来る槍もあるってことさ」

余裕と、そして自負。

杏子「オマエ、甘く見すぎだよ」

681 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:37:44.48 ESNst08AO 337/1642

――――ゆま

ゆま「はぁ、はぁっ……」タタタタッ

キョロキョロ……

ゆま「キョーコ!どこにいるの、キョーコ!!」

いない。

織莉子『――』

ゆま「う、うっく……」ウルウル

ゆま「キョーコ、キョーコ……」トテトテ

ゆま「――あうっ」コケッ

ゆま「うう……いたいよぉ……」ググ……

ゆま「キョーコ……早く見つけないと、キョーコが……」ヨロヨロ

QB「…………ふぅ」

ゆま「――え?」

QB「杏子が、どうかしたのかい?」

682 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:38:22.03 ESNst08AO 338/1642

――――血みどろの魔女と杏子

魔女「――、――――」

魔女は既に満身創痍だった。
身体の至るところが裂け、そこからどす黒い血が際限無く流れ出ている。
それでもしぶとく蠢いていた。

杏子「こんなに梃摺ったのは久しぶりだ、誉めてやるよ……何の自慢にもなりゃしねぇが」

杏子が止めを差そうと槍を構えて突っ込んだ。

それを待っていたかの様に魔女の流した血が杏子に飛んでくる。
思いもよらない攻撃に、少し戸惑ってしまった。

杏子「血? 目眩ましか――しゃらくさいな」

所詮悪足掻きに過ぎないその液体を槍で払う――が、それは突然形を得て杏子の四肢に掴み掛かった。

杏子「な――」

魔女の血は瞬時に熱を持ち――



――杏子の両の手足を焼き切った。




683 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:38:52.35 ESNst08AO 339/1642

杏子「(――まいったな、これ死ぬじゃん)」

達磨になった身体が地面に叩き付けられる。
痛みは不思議と感じない。

杏子「(けっ、しけた人生だったなぁ……)」

杏子「(一度くらい幸せな夢ってやつを見てみたかったけど……まあ、いいか――)」

魔女が杏子を喰い千切ろうと、ゆっくり、ゆっくり近付いてきて。

杏子「――もう、終わりだし」

「――――だめっ!!!」

誰かの、叫び声が、聞こえた。

684 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:39:20.62 ESNst08AO 340/1642

――――

魔女の口が空気を食む。
突然消えた獲物を探して周囲を見回した。

なんという、間抜け。

魔女「――!?」

鎖が魔女を縛り付け、そのまま大きく空へと投げ飛ばされる。

鎖をほどいて引き戻し、それは再び槍の形を取った。

自身の身体を弓弦の様に引き絞り、槍は巨大な矢と成りて魔女を貫き粉砕する。

佐倉杏子が、傷一つない姿でそこに立っていた。

685 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:40:09.59 ESNst08AO 341/1642

――――消える魔女の結界

杏子「命拾いしたみたいだな……なんでアタシ生きてるんだ?」

杏子「自力でどうにかなる損傷じゃなかったはずだが――」

杏子「勝利の女神でもついてるってか……下らねぇ」ククッ

「そうだよ」ヒョコッ

杏子「(――魔法、少女?)」

ゆま「やったね、キョーコ!」ニパッ

杏子「――――ぁ」



QB『ゆまにも魔法少女の素質があるよ』

686 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:43:04.19 ESNst08AO 342/1642

ゆま「キュゥべえのゆったとおりだ!ゆまだって戦えるよっ」パタパタ

杏子「……」ツカツカ

ゆま「『治療魔法』ってゆう魔法なんだって。キョーコがケガしたらいつでも治してあげる!」エヘンッ!

杏子「――――」パンッ

ゆま「え……?(たたかれた……)」

杏子「ゆま」

杏子「なんで」

杏子「魔法少女になった?」

ゆま「だって……」シュン

杏子「――だってじゃねぇ!!」ガッ

杏子「言っただろぉが!!――魔法少女なんかになるなって!!!」ガクガクッ

687 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:43:39.15 ESNst08AO 343/1642

ゆま「だって、だって……」



織莉子『杏子さんをお探しかしら?』

織莉子『彼女は魔女と戦って、そして、死ぬ運命』



ゆま「だって!!」



ゆま『キョーコのいるところわかるの?』

織莉子『貴方に運命の輪が回せるのかしら?』

ゆま『おねえちゃん教えて!』



ゆま「織莉子がゆった……!」



織莉子『可愛いだけの、役立たずさん』



ゆま「ゆった、ゆったよ!!うわぁぁぁぁぁ!!」

杏子「お、おい、ゆま?」

ゆま「あああ、あ、ゆま、ゆまは!!」

ゆま「やくたたずじゃない……役立たずなんかじゃないっ!!」

ゆま「キョーコの役に立つ!!言うことなんでもきく!!好き嫌いだって言わない!!」

だから、だから――





ゆまをひとりにしないで。

688 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:44:42.25 ESNst08AO 344/1642

ゆま「ひっく、ううぅ……」

杏子「……バカだな」グッ

杏子「他人の為に魔法少女になんかなったって……なんにもなりゃしないのに……」

ゆま「キョーコ……?」

ゆま「……キョーコ、泣いてるの?」アセアセ

ポフンッ

杏子「ばーか、泣いてなんかねぇよ」ナデナデ

杏子「(織莉子……この落とし前は必ず付けさせてやる……っ!)」ギリィッ

689 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:46:10.72 ESNst08AO 345/1642

――――どこかの血溜まり

「ん、電話……?」ピッ

「やぁ、織莉子。なんだい?」

パシャンッ

「今夜? うん。いいよ、キミの頼みを断るわけないじゃないか」ニパッ

ピチャッ

「でも、少し時間をくれないかな」

クチャッ

「――ちょっと、汚れちゃったんだ」ニイッ

690 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:47:24.55 ESNst08AO 346/1642

――――病院

まどか「さやかちゃん、上条君は?」

さやか「……ダメかなぁ、ちょっと不安定みたい」ハァ

まどか「心配だね……」

さやか「――まどかっ、これ……」ハッ

まどか「グリーフシードだ……真っ黒だよ!?」

QB「よっと」きゅっぷい!

まどか「キュゥべえ!」

QB「これはマズイね……もうすぐ孵化しそうだよ」

さやか「……まどか、マミさんとほむらのアドレス知ってる!?」

まどか「二人とも知らないや……ど、どうしよう!?」ワタワタ

さやか「……なら、まどかは二人を呼んできて!アタシはここで見張ってるから……」

まどか「さやかちゃん!?」

QB「ならボクも残ろう。最悪マミに居場所を伝えられるしね」ぷいっ

まどか「……分かった、気を付けてね、さやかちゃん!」タッ

691 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:51:07.36 ESNst08AO 347/1642

――――マミ宅

マミ「しかし、魔女が出るタイミングが分かるって言うのは便利ねぇ……休日が出来た気分よ」フワァ……

ほむら「まぁ、そうとも言えるわね」クタァー

マミ「ちょっと、人の身体を布団替わりにするの止めてちょうだい……」ゴロゴロ

ほむら「この脂肪がちょうど良いのよ……」モニュモニュ

バターン!!

まどか「マミさん!……あ、ほむらちゃん、も……?」ピシッ

ほむら「どうしたのまどか。そんなに慌てて」シャキンッ

マミ「今残像見えたわよ貴女」ムクリ

まどか「……はっ!?それより大変なの!病院にグリーフシードが――」

マミ「――!?」

ほむら「(――時期が早い?)」

ほむら「行くわよ、マミ」

マミ「もちろん、暁美さん」

692 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:52:49.40 ESNst08AO 348/1642

――――魔女の結界内

QB『来たみたいだね、マミに暁美ほむら!』テレパシー


QB『少しの刺激で孵化してしまいそうだ、なるべくゆっくり近寄ってほしい』

マミ『そう。美樹さん?』

さやか『はい、何ですかマミさん?』

マミ『QBを連れて物陰に隠れていなさい。グリーフシードは放っておいて良いわ』

さやか『え――』

QB『マミ、キミはまさか』

マミ「さぁて、リベンジマッチよ」ニッ

ほむら「まどか、私に掴まって。急ぐから」

まどか「う、うん」ギュッ

マミ「さぁ、今日と言う今日は最初から全力で片付けるわよ!」ジャキンッ

693 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:54:08.39 ESNst08AO 349/1642

――――魔女の舞踏

「思えば、私はずっと怯えていた」

大量の使い魔に気付かれて、しかし彼女は狼狽えない。

「生きる事に。死ぬ事に」

彼女はマスケットを召喚し、その小物を踊るように撃ち付ける。

懐かしい戦い方。

以前の自分とは違う、以前の自分。

「でも今は、背中を任せられる仲間がいる。共に秘密を背負った仲間がいる。世界の真実も知っている」

「もう、何も怖くない」

使い魔らが弾丸の様に飛び掛かってくる。

大量のマスケットが地面に突き刺さり、それらを順番に撃って殴って捨ててまた構えて――巴マミには届かない。

「身体が軽い……こんな気持ちで戦えるなんて」

背後をチラリと見た。
暁美ほむらが鹿目まどかを抱えて追従している。

知らず、笑顔が溢れた。

694 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:54:50.85 ESNst08AO 350/1642

――――結界の奥

マミ「大丈夫、美樹さん?」

さやか「はい、何とか……」

ほむら「よっと」

まどか「降りるね」

二人の魔法少女がさやかの元へと駆けつけた。
キュゥべえは無表情に訴え掛ける。

QB「全く、今日のマミは無茶をするね。魔女はもう孵ってしまっているよ。大人しいモノだけれどね」

溜め息が見えるようだ。
魔女は高い椅子に座っていて、ぬいぐるみみたいな容姿をしていた。
見た目だけなら、可愛らしくも見える。

魔女「――」

マミ「悪いのだけれど、一気に決めさせて!」

マミが椅子の足をマスケットで叩き壊し、結果魔女は空からゆっくり墜ちてきた。

695 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:56:19.13 ESNst08AO 351/1642

それをフルスイングで殴りつけ、壁に叩き付けた。

魔女にリボンが巻き付く。
これで逃げられはしない。

巴マミの構えたマスケットが、巨大なライフルの様に変化して、魔女を――

マミ「ティロ・フィナーレ!」

――貫いた。

止めだ。
しかし、終わらない。



――知っている。

さやか「マミさんっ!!?」

魔女の口から、黒い使い魔が現れてマミに喰らいついた。

マミの上半身は、使い魔の口の中に隠れてしまっている。

まどか「マミさぁんっ!?」

696 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 01:59:34.27 ESNst08AO 352/1642

ほむら「無事よ」

ほむらだけが落ち着いていた。
マミは知っているのだから、対策を取らないはずがないと。

事実、マミは無事だった。

マミ「甘い……わよっ!」

使い魔「――?――!?」

梃で無理矢理抉じ開ける様に、使い魔の口が開かれていく。
マミが片手ずつ、上下の唇を支えていた。

その手にはガントレット。
背中には銃身の翼。

背中の翼が分解されて、使い魔の口の中に集まって合体し――巨大な銃口を為した。

使い魔「――、――!!?」

当然、使い魔は暴れるがビクともしない。
その時点に至って、ようやく使い魔は理解した。



――魔女だ。



マミ「その汚い口の中に銃口を突き付けられる気分はどう? お祈りは済んだ? 後悔は済んだ? 内蔵をぶち撒けて無様に這いつくばる準備はオーケー?」

使い魔「――」

マミ「じゃあ、さよなら。出会った不運を呪って死になさい」

点火。

銃撃は使い魔の長い身体を貫き進みながら炸裂を続け、それを例外無く粉々にした。

残骸の雨が降り注ぐ。

マミの背中に翼が戻って、そして魔女は事切れた。

697 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 02:00:40.30 ESNst08AO 353/1642

――――友軍奮闘の魔女、凱旋

さやか「――かっけぇ……」ホェー……

まどか「綺麗――」

ほむら「やるじゃない、マミ」ホムッ

マミ「ありがと」ニコ

QB「しかし凄い力だったねマミ!一体キミはどこでそんな力を身に付けたんだい?」

マミ「秘密よ、キュゥべえ」

QB「ううむ……なら仕方ないね」

マミ「さ、凱旋しましょ。みんなでケーキでも食べましょうか?」

さやか「さんせーい!」ヤッター

まどか「ご馳走になります」ティヒヒッ

マミ「じゃ、行きましょ?」スタスタ

ほむら「……(何かひっかかる……)」

ほむら「っ!?――マミ!!」

698 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 02:01:58.57 ESNst08AO 354/1642

マミ「どうしたのかしら――魔法少女?」ハッ

さやか「――酷いケガだよ!?」

まどか「……いや、もしかしてこの子――」ビクッ

QB「もう死んでいるね」

さやか まどか「ひぃっ」ギュッ

ほむら「……見ておきなさい、魔法少女になるって事は、こういう可能性もあるの」

マミ「……変ね、傷口が鋭利過ぎるわ」サワッ

ほむら「!?」ハッ

ほむら「――インキュベーター、答えなさい。貴方、何か知っているんじゃなくて?」

QB「ふむ、聞かれたなら答えるけれど、最近魔法少女が魔法少女を殺しているようなんだ」

さやか まどか「えっ――」

QB「奇跡的に虫の息だった子は『黒い魔法少女』と言い残して死んだね。暁美ほむら、キミかい?」

ほむら「違うわ、私は紫よ。色も分からなくなったのかしら」ホムッ

マミ「そんな……」

QB「恐らく、グリーフシード欲しさだろうね。取り分が単純に増えるから」

699 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 02:03:11.45 ESNst08AO 355/1642

さやか「じゃあ、魔女にならないために――?」

マミ「いえ、それは無いわね。私たち以外は『知らない』筈よ」

ほむら「――――っ!」サァッ

ほむら「マミ、別行動よ。帰りましょう、まどか」ザッ

マミ「えっ、暁美さん?」

まどか「ほむらちゃん――?」

ほむら『インキュベーターのいない場所で話したい。明日また学校で』ホムパシー

マミ『――分かったわ』マミパシー

マミ「じゃあ、今日はやっぱり解散ね。お茶会はまた今度にしましょ?」

さやか「……あの人はどうするんですか?」

マミ「……行方不明か、変死か。どちらが幸せなのかしらね……」ギュッ

さやか「くそっ……そんな事あって、いい訳ない……」

まどか「さやかちゃん……」

700 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 02:05:05.97 ESNst08AO 356/1642

――――昼休み、学校、屋上。マミとほむら

ほむら「――と言う事があったの」ホムッ

マミ「なるほど……その呉キリカと美国織莉子が……」

ほむら「奴らの目的はまどかの殺害に寄る、まどかの魔女化阻止よ」

マミ「……やらせはしないわ」ギリッ


ほむら「そう。まだまどかを殺させる訳にはいかない」

マミ「私は何を?」

ほむら「魔法少女狩りについて、奴らの足取りを調べて。機会があるようなら、杏子にも接触してみてほしいの」

マミ「分かったわ」

ほむら「このパターンは初めてだから、どうなるか先が見えないわ。気を付けて」

マミ「心配ご無用よ。油断なんかしないから、ね」ニッ



ほむら「あ、そういえば……マミ、私に魔法少女狩りについて質問してみてくれないかしら」ホムリ

マミ「え?……いいけど。『魔法少女狩りについて、何か知らない?』」

ほむら「『知らないし、知った事では無いわ』」キョニュウッ

マミ「……目の錯覚かしら、何だか暁美さんの胸が……あ、戻った」ゴシゴシ

ほむら「錯覚って言うなぁ……」ホムホム……

701 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 02:07:16.09 ESNst08AO 357/1642

――――ほむら

ほむら「……」キョロキョロ

まどか「ほむらちゃん、どうしたの?」キョトン

ほむら「いえ、何でもないわ。早く帰りましょう?」ホムッ

まどか「急に送ってくれるなんて、変なほむらちゃん」ティヒヒ

ほむら「(まだ織莉子が動いてる様子は無いわね……)」

ほむら「(私がマミと行動していたお陰で、マミと行動していたまどかを見張れたのは不幸中の幸いね)」ホムッ

ほむら「(……美国織莉子。もしかしたら、彼女は利用出来るかもしれない)」

702 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 02:07:44.67 ESNst08AO 358/1642

――――マミ

マミ「とは言っても……手掛かりが見つからないわね」ハァ

QB「やっぱり、マミは犯人を見つけたいのかい?」

マミ「まぁ、魔法少女殺しなんてのは見過ごせないわね」

QB「なるほどね」きゅっぷい

703 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/13 02:09:27.93 ESNst08AO 359/1642

――――必然的に一人。病院

さやか「恭介ー、さやかちゃんがお見舞いに参りましたよー!」

上条「……さやかか」ハァ

さやか「今日はまた珍しいCDを持ってきたんだよっ」カチャカチャ

上条「――てくれよ」ボソッ

さやか「え?」

上条「止めてくれって言ってるんだ!!」ガシャン!

さやか「恭介!?」

上条「こんなモノ聴きたくない!!もう僕には弾くことすら叶わないのに!!」ガシャン!ガシャン!

さやか「恭介、止めて……血が!!」ギュッ

上条「ハハハっ、笑っちゃうだろ?痛みなんか全然感じないんだ。もう治らないんだよ」

さやか「そ、そんな事ないよ。きっといつかは――」

上条「医者に言われたんだ。もう、奇跡か魔法でもないかぎり治らないんだ……」

さやか「…………」

さやか「……あるよ」

上条「……ないさ」

さやか「ううん、ある」



さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ」

715 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:25:01.19 mp+tem9AO 360/1642

――――杏子とゆま、見滝原

杏子「……」

杏子「(実際に魔法少女狩りが起きてる現地に来てみたが……なかなか尻尾は掴めねぇな)」

ゆま「キョーコ、この街……なんだかもやもやする」

杏子「あぁ……生け簀かねぇ匂いがするな」

QB「やぁ杏子!」ピョコンッ

ゆま「キュゥべえ!」ニパッ

杏子「てめぇか……何しに来やがった」

QB「いや、ここには他の魔法少女がたくさんいる。キミには都合が悪いんじゃないかと思ってね」きゅっぷい

杏子「たくさんだ?マミ以外に誰がいるってんだよ」

QB「ボクの知っている限り二人はまだこの街にいるはずだ。他の子は逃げたりしているしね……あ、そうそう。こないだ新人が増えたんだ!」

杏子「新人?」

QB「マミの知り合いでね――」








QB「美樹さやかって言うんだ」

716 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:26:35.88 mp+tem9AO 361/1642

――――魔女に口付けられた人々、何処かの倉庫

まどか「仁美ちゃん……しっかりして!」

仁美「――――」ケタケタ

ほむら「……マズいわね。魔女の気配よ」チャキッ

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「魔女を倒せばこの人たちも正気に戻る……まどか、そこの洗剤を外にぶち撒けて」ホムッ

まどか「わ、分かった――えいっ!」バシャアッ!

人々「――――」

まどか「ひっ、こっちに来ないでっ!」ビクッ

ほむら「――らぁ!!」バキッ!

「――――」

まどか「ほ、ほむらちゃんっ!?」ワタワタ

ほむら「素手よ。死にはしないわ」ホムッ

ほむら「結界の入り口を探しましょう、おっと」ヒョイッ

仁美「あ――」スカッ

ほむら「その脇腹にロケットパンチ!」ドゴムッ

仁美「けはっ」

まどか「――ほむらちゃん!」

ほむら「(あ、素だったわ今)」ホムーン

ほむら「私だって出来ればやりたくないわ。早く振り切りましょう」キリッ

まどか「う、うん」

717 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:27:38.05 mp+tem9AO 362/1642

――――結界内

ほむら「――!?(この気配、まさか!?)」

まどか「――ほむらちゃん、助けてぇっ!」ノビー

使い魔「――」

ほむら「っ、しまった!」



「どぉりゃあぁぁぁぁぁっ!!」ズバッ!



スタッ

ほむら「(やってしまった……全く失念していた。以前のパターンで魔法少女にならなかったといって、今回もそうであるという証明にはならない……)」クッ

さやか「大丈夫、まどか?ほむらも、案外抜けてるんだね」ニッ

ほむら「……言いたい事は山ほどあるのだけれど、先ずは目の前の敵を叩きましょう。手伝ってくれる?」チャキッ

さやか「断る理由が無いよ。どんと来い!」シャキンッ

718 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:28:28.52 mp+tem9AO 363/1642

――――殲滅完了

さやか「へっへー……初めてにしちゃやるでしょ?」ニッ

ほむら「……そうね」

ほむら「(強かった……わね)」

ほむら「私は一体何をやっているのっ……!」ガンッ

さやか「ほ、ほむら?怒ってるの……?」

ほむら「……覚悟は、あるの?後悔は、無いの?」

さやか「――うん、覚悟はできてる。後悔なんて、あるわけない」

ほむら「……そ。ならいいわ。グリーフシード、持っておきなさい」ポイッ

さやか「ありがと、ほむら」パシッ

ほむら「極力無茶はしないで。やられそうなら魔女から逃げて。そして……けして絶望なんかに押し潰されないで」

さやか「分かってる。なぁに、このさやかちゃんが魔女なんかに為るわけないさっ!」ハハハッ

ほむら「……そうね。それならどんなに良いか」

719 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:29:20.44 mp+tem9AO 364/1642

――――まどか帰宅

まどか「じゃあねほむらちゃん。送ってくれてありがとう」ニコ

ほむら「気にする必要は無いわ……じゃあ、私はこれで――」

まどか「あっ、待ってほむらちゃんっ」

ほむら「何かしら」クルッ

まどか「……さやかちゃんの事、お願いできるかな。やっぱり、私不安なの」

ほむら「……貴女は優しいわね」ニコリ

ほむら「安心して。私が今『ここ』にいるのは美樹さやかの為なのだから」

まどか「……?よく分からないよ」

ほむら「任せなさいって事よ」ホム

まどか「……なるほどー。ありがとうね、ほむらちゃんっ」

ほむら「どういたしまして……フフッ」

720 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:33:02.56 mp+tem9AO 365/1642

――――薔薇園が綺麗な家

「ドロレス、ストロベリーカップ、銀世界、プリンセスダイアナ……えーと、あと何だっけな」ミズヤリッ

織莉子「バラが好きなのね。もっとたくさん植えましょうか?」

「キリカ」

キリカ「へ?え?」キョトン

織莉子「あら、どうしたの?」

キリカ「あれ?織莉子が好きなんじゃないの、バラ」

織莉子「いいえ、お父様が好きだったのよ」

キリカ「なーんだ……なら、この情報は記憶から削除しておくよ」ハァ

織莉子「折角覚えたのに勿体無いわ」

キリカ「イヤイヤ、勿体無いのは私の頭の容量だよー……」

キリカ「私は織莉子(きみ)以外の情報なんていらないよ」

織莉子「キリカ、それでは貴女は無知な子供になってしまうわよ?」ヤレヤレ

キリカ「あう……」

721 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:34:26.39 mp+tem9AO 366/1642

キリカ「キミはいつも私を子供扱いするんだ。たった121日と三時間年上なだけでさ!」キーキー

キリカ「じゃあさ、『キミのお父様が好きなものならもっと知りたい』と、私はこう答えるべきだったの?」

織莉子「それは困るわ」クスッ

織莉子「私はお父様を尊敬しているのに、貴女がお父様に興味を持ったら――お父様に嫉妬してしまうかもしれないわ」

キリカ「なんだい、矛盾してるなぁ」ニヤニヤ

キリカ「織莉子のがワガママな子供じゃない?」

織莉子「――っ」キッ

キリカ「う」ドキッ

キリカ「えっ、ええー!ヤダヤダ怒らないでよっ!キミに嫌われたら私は腐って果てるよ!」ピョンピョンッ

織莉子「キリカ、そのまま動かないで」

ガンッ!

キリカ「(魔女……?)」

ガシャン

キリカ「おぉ!前から思ってたんだよね、この家にあるといいなってさ」

魔女「…………」

キリカ「ブルジョアは鎧置くのがしきたりなんでしょー?」

織莉子「初耳だわ……」タラリ

722 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:36:05.18 mp+tem9AO 367/1642

魔女「――――」ズドンッ

織莉子「(当たらないわ)」

キリカ「へへっ」ダッ

魔女「?」

織莉子「キリカ、紅茶に砂糖は何個入れる?」カチャカチャ

キリカ「三個!あとジャムも三杯!」フワッ

織莉子「まるでシロップ飲んでるみたいね」クスリ

キリカ「あぁ、もうっ!」シャキンッ

キリカ「またそーやって子供扱いするんだっ!織莉子なんか、織莉子なんか――」

織莉子「嫌い?」

キリカ「だいっ、好き!!」ズバンッ!

魔女「――……」ピシピシッ

ガラララ……

キリカ「へん。弱いね……私と織莉子の邪魔をするなんて、とんだ間女だよ――大した事なかったけれどねっ」ドヤッ

織莉子「お見事だわ、キリカ。ただ――紅茶が台無しになってしまったけど」

キリカ「――破片刺さってらっしゃるーっ!?」ウワァァァ

723 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:37:11.39 mp+tem9AO 368/1642

――――寄り添う黒と白

織莉子「もう……世話の焼ける子だわ」ヒザマクラ

キリカ「……」クゥクゥ

織莉子「散々騒いで寝ちゃうんだもの」クスッ

キリカ「むにゃむにゃ……」

織莉子「…………」ナデナデ

織莉子「……キリカ。貴女が居なければ、私はとっくに壊れていたでしょうね。私たち、ずっと――っ」ピクッ

織莉子「……嗅ぎ廻られている?」

織莉子「……御免なさい、キリカ。また貴女を使うわ」

織莉子「あれだけはなんとしても止めなくては――私と貴女の世界を守る為に」




QB「……何を企んでいるんだろうね。彼女たちは」ボソッ

724 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:38:27.89 mp+tem9AO 369/1642

――――学校、昼休み屋上

マミ「……そう。美樹さんも魔法少女になったのね」

さやか「そ、そんな辛気臭い顔しないで下さいよっ。アタシだってマミさんみたいに戦ってみせます!」エヘンッ!

ほむら「さやか、私たちはしばらく魔法少女狩りについて調査する……その間、魔女の始末を頼めるかしら」

さやか「――うん。やるよ。任せて」コクッ

QB「さやかならきっと魔女なんかには負けはしないだろうね!」ヒョコッ

さやか「キュゥべえ?」

マミ「どういう意味かしら?」

QB「さやかの素質はまどか程じゃあないが、それでも契約当初のマミを遥かに凌ぐ才能があるよ……普通の魔女なんかじゃ相手にもならないんじゃないかな?」きゅっぷい

さやか「照れるなぁ……ってまどか?」

ほむら「――やはり、ね。もう結構よインキュベーター。失せなさい」ホムリ

QB「やれやれ、つれないね暁美ほむら。じゃあ、おいとまするよ」スゥッ

725 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:40:25.18 mp+tem9AO 370/1642

さやか「……まどかが、魔法少女?」

ほむら「知らなくていいわ」フイッ

さやか「何それ、どういう事!?」

マミ「……鹿目さんは、凄まじい才能を秘めているの。それこそ、神を凌駕せんばかりの、ね」

ほむら「――マミ!」

マミ「隠しても無駄よ。なら、話せる内に正直に言った方がいいに決まってるわ」

さやか「……そっか、まどかが」ギュッ

さやか「ほむらはまどかを、こっちに来させたくないんだね?」

ほむら「……えぇ。こんな危険な事をさせたくはない……貴女にだって、そう思っていたわ」

さやか「アタシは……叶えたい願いがあったから」ハハハ……

マミ「願いは、確かに叶ったの?」

さやか「…………」

上条『手が――手が動くんだよ、さやか!』

さやか「うん。叶いました」ニッコリ

マミ「……そう」……ニコ

726 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:41:13.65 mp+tem9AO 371/1642

――――屋上、マミとほむら

マミ「どうするの?」

ほむら「既に手は打ってあるわ。美樹さやかは必ず救ってみせる」

マミ「予測済みって訳ね……流石じゃない」

ほむら「予測なんてしていないわ」ホムッ

マミ「あらそう……で」

ほむら「呉キリカを早く補足したい……囮を続けてちょうだい。向こうからアプローチを掛けてくるのを待つしか無いのは歯痒いのだけれど」ホムゥ……

ほむら「まどかはいつ殺されてもおかしくない……私は極力離れないわ」

マミ「地道な作業ね……」ハァ

727 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/16 01:42:10.74 mp+tem9AO 372/1642

――――路地裏、さやか単騎

さやか「お……見つけた。使い魔だね」バサァッ

さやか「剣にはこういう使い方もあるんだっ!」ヒュンヒュンッ

使い魔「キヒヒヒヒ!」ヒョイヒョイッ

さやか「あーですよねー当たりませんよねー……なら――」








杏子「ん……結界か?」ピクッ

ゆま「入る?」

杏子「……手掛かりがあるかもしれねぇしな、魔女ならついでに倒す。行くか?」

ゆま「うんっ」

杏子「良い返事だ」ニッ

738 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:20:16.86 IXdRuYoAO 373/1642

――――結界内

杏子「使い魔か、結界の深度が低い……ん?」

ゆま「だれかいるよ」

杏子とゆまの目線の先には、使い魔と戯れている様に見える魔法少女がいた。
見たところ、経験が少なそうだ。

杏子「全く、なっちゃいねぇな……噂の新人ってやつかねぇ」

斬りかかろうとする青い魔法少女の前に、死角から槍を突き刺した。
驚いて足を止めたようだ。

さやか「な――何よアンタ!」

杏子「オマエこそ何やってんだよ。あれ、使い魔だぞ?」

ゆまも杏子の後ろに着いてきていた。

ゆま「グリーフシードを落とさないんだよね?」

杏子「あぁそうだ。だからオマエもあんなのほっとけって……二、三人食わせりゃ魔女になるだろうし」

さやか「……何、ですって?」

さやかの剣を握る手に力が籠る。
使い魔はもう逃げてしまった。

さやか「使い魔だって、放っておけば人を襲うんだよ!」

杏子「ハァ?……それが普通だろ。使い魔が人を食べて、それをアタシらが食べる……食物連鎖って知ってるだろ」

ゆま「ゆま知ってるよっ」

杏子「そっか。えらいな」

優しく笑いながら、杏子はゆまの頭を撫でた。
言動とのアンバランスさに、さやかの頭は混乱する。

739 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:21:58.11 IXdRuYoAO 374/1642

が、一つだけ分かっている。

『グリーフシード欲しさに――』

さやか「(まさかコイツら……)」

さやか「……アンタらがそういう考えなら、アンタらは私の敵だよ」

杏子「……構えた剣を下ろしな。今なら冗談で済ませてやるよ」

さやか「黙れよ。上から見てて、何それ。ベテランでも気取ってんの?」

杏子「……ハァ。他人の為、なんて言うつもりかよ……面倒だな」

「正義の味方のつもりなのかねぇ」

火を着けてしまった。

さやか「お前ぇっ!!」

さやかは杏子に向かって斬りかかる。
彼女に取って、誰かの為に戦う自分を否定されるのは、自己の存在の否定に他ならない。

譲れないのだ。

杏子「くっ、言って聞かせても分からねぇなら……痛い目を見せるしかねぇよなぁっ!」

ゆま「キョーコっ!」

槍と剣が鍔競り合う。
お互いに得物をぶつけ合い、火花を散らした。

さやかの剣閃は鋭く、重い。
経験が圧倒的に劣っているはずなのにも関わらず、初撃から杏子を押した。

杏子「――へぇ、やる、じゃんかよっ!」

杏子も培った技術を遺憾なく振るう。
早く、かつ流れるような動作のそれが、さやかに防御を選択させた。

杏子「どうだ――!?」

740 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:24:39.16 IXdRuYoAO 375/1642

選択させた、ように見えた。

剣の腹で槍を受け止めたさやかは、そのままそれに体重を掛ける。

杏子の槍が、豆腐の様に圧し斬れた。

杏子「――ヤバ」

い、とは言えなかった。

さやかが真っ直ぐに突き出した剣先は、杏子の右目を直撃しようとしていた。
しかし、それはゆまの鎚によって、ギリギリのところで切っ先を反らされる。

杏子には汗を垂らす暇すら無い。

ゆま「キョーコっ――」

さやか「退きなよ、子供だからって……容赦しないよ」

全員が一定の距離を取った。

ゆまが杏子の前に立ち塞がる。
杏子も砕けた槍を捨て、新しい槍を錬成した。

さやかが心底可笑しそうに笑う。

さやか「なんだ、大した事ないじゃん……そんな腕で、アタシに指図するつもりなの、小悪党?」

格下を見る目付きに、ゆまの手前殺していた暴力性が蘇る。

杏子「……あんまり嘗めんじゃねぇぞ。殺すぞ」

さやか「やってみれば?」

ゆま「キョーコはあくとうなんかじゃないよっ」

さやかはゆまを一瞥して、また目線を外す。

741 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:25:26.44 IXdRuYoAO 376/1642

さやか「人を見殺しにするのが悪党でなくてなんなのよ。魔女になりたくないから、誰かを殺すの?」

杏子「はぁ?何を言ってやがる」

さやか「……知らないんだね。なら知らないままの方がいいわ――」

さやか「アンタが魔女になったら、真っ先に殺して、グリーフシードを遠慮なく頂かせてもらうわ」

さやか「いや、アンタらみたいな奴らはもうここで魔女になった方がいいのかな……」

杏子「なに訳の分からねぇ事を……」

さやかが剣を叩き付けてくる。
杏子はそれを受け止めて、回転しながら槍を振り抜いた。
宙返りしてそれをさやかは躱す。
ゆまがそこに向かって鎚を振り落とした。

ゆまの鎚が剣の壁に阻まれる。
さやかが召喚したそれは、壁から刺となってゆまの皮膚を裂いた。

ゆま「うぐっ……」

杏子「――てめぇ、覚悟しろよ!!!」

手加減が、何処かへ行った。

742 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:29:59.35 IXdRuYoAO 377/1642

――――まどかとほむら

QB「まどか、大変だよ!」ピョコンッ

まどか「どうしたの、キュゥべえ?」

ほむら「(――この気配、杏子が来てるの!?)」ホムッ!?

QB「さやかが他の魔法少女と戦っているんだ!」

まどか「――それってまさか……こないだみたいに魔法少女同士で――」ハッ

まどか「さやかちゃんが……殺されちゃう……?」ブルッ

QB「急がなくていいのかい?」

ほむら『マミ、聞こえる!?マミ!』テレパシー

まどか「案内して、キュゥべえ!!」ダッ

QB「分かったよ、まどか!」タタッ

ほむら「っ、ま、待ちなさいまどか――!」バッ

マミ『何かしら?』テレパシー

ほむら「あっ、あっ……」

まどか「――――」タタタッ

ほむら「(……いや待って)」

ほむら「このまま行けば、まどかは契約してでもさやかを止めるでしょうね……なら」











ほむら「むしろ都合が良いわね」

743 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:32:48.51 IXdRuYoAO 378/1642

マミ『どうしたの?』

ほむら『あの路地裏で杏子とさやかが接触したわ。少し取り乱してしまったけれど、これから収拾に行く。報告だけよ』

マミ『何ですって……早くしないと鹿目さんが契約してしまうわよ!?』

ほむら『分かってるわ』プツッ

ほむら「……このまま、前へ進む。必ず、まどかを最後まで守る」

744 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:37:56.04 IXdRuYoAO 379/1642

――――血濡れの路地裏

真っ赤なコーティングを施されたコンクリートが、夕日を受けて光っていた。

杏子とさやかの意地が、その参事を産み出している。

さやかは祈りを願いに契約した。
故に人一倍回復力がある。

杏子にはゆまが付いていた。
ゆまの願いは『杏子を守りたい』だった。
故に他を癒す術を持っている。
特に杏子に至っては、死の淵からでも無傷へと成らせる事ができるのだ。

さやか「ぐっ……」

杏子「ちっ……」

それが意味するのは、千日手。
傷は癒えても疲労は癒えない。
お互いがお互いに精神を削り合っていた。

だがそこに、一射放たれる。

その弓撃は杏子の槍を弾き飛ばした。
さやかがその方を向いて、驚愕する。







まどか「さやかちゃん、大丈夫!?」

745 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:39:30.44 IXdRuYoAO 380/1642

――――

さやか「なっ……まどか、その恰好……」ハッ

まどか「魔法少女だよ。でも、その話は後」クルッ

まどか「アナタ達は、誰?」

QB「……杏子にゆまじゃないか。何故君たちが――まさか君たちも魔法少女狩りに関わっているのかい?」

杏子「……な訳ねぇだろ。アタシらだって魔法少女狩りについて調べてんだからな」ヨロッ

ゆま「キョ、キョーコ……」ポワー

杏子「悪い、ゆま……」

さやか「コイツを信用なんてしちゃダメだよまどか。グリーフシードの為なら人殺しだって厭わないんだからさ」チッ

まどか「どういう事?」

さやか「使い魔に人間喰わせて育ててからグリーフシードを回収するんだってさ」

まどか「そんな……酷いよ」

杏子「…………」

ゆま「――なら死ぬの?」

まどか さやか「?」

ゆま「ゆま達はグリーフシードが無いと強い魔女に勝てないよ。死んじゃうんだよ?」

ゆま「怖いよ。当たり前だよ?」

ゆま「使い魔と戦うのだって怖いよ。なんで、怖いのに、やっても得しないのにやらなきゃいけないの?」

さやか「――」バシッ

ゆま「あうっ」ドサッ

杏子「――ゆまに手ぇ出すんじゃねえっ!!」ヨロ……ザッ

746 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:44:38.69 IXdRuYoAO 381/1642

さやか「回復力はアタシの方が上みたいだね」

さやか「減らず口を叩かないでよ、ガキんちょ」

さやか「それを何とかするのがアタシら魔法少女じゃん」

さやか「アタシらがやらなきゃ誰かが死ぬんだよ?本当に分かってんの?」

さやか「魔女に勝てない魔法少女って、意味無いじゃん」

さやか「アンタだって願いを叶えたんでしょ?ちょっとぐらいその対価を払わなきゃ、とは思わないの?」

杏子「……みんながみんな、正義の味方になりたかった訳じゃねぇだろうが」

さやか「なら今すぐ魔女になれば?」

まどか「さやかちゃん……もうそれくらいにしてあげようよ。どうも魔法少女狩りには関係無いみたいだし……さやかちゃんは無事だったし、ね?」

さやか「……まどかがそう言うなら。ほら、どっか行きなよ。見逃してあげるからさ」

杏子「なん、だと……」ギリッ

ゆま「キョーコ……」

杏子「……覚えてろよ」ガシッ、タッ

ゆま「わっ」ダカレッ

747 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:48:35.90 IXdRuYoAO 382/1642

――――路地裏、ほむら合流

ほむら「……まどか、貴女――」

まどか「ゴメンね、契約しちゃった」ティヒヒ

まどか「でも、これで私もみんなのお手伝い出来るよ!」

ほむら「そうね……でも、グリーフシードの残りには気を付けて」

まどか「分かってる。魔女になんかならないよ」

さやか「しっかしまどかも魔法少女かー。新人コンビが結成できるねぇ」ニヒヒッ

ほむら「浮かれてはダメよ。それで、相手は?」ホムリ

さやか「逃がしたよ。キョーコだとかゆまだとか言ってたけど」

ほむら「(やはり……にしてはさやかの損傷が少ない。やはり――因果が集中しているのね)」

ほむら「彼女も悪い魔法少女では無いわ。私から話しておく」

さやか「はっ、あんな奴ほっとけば良いのに」

ほむら「そうもいかないのよ」ホムッ

QB「…………」

748 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:54:49.27 IXdRuYoAO 383/1642

――――マミ合流

マミ「大丈夫かしら――鹿目、さん、それ」

まどか「あ、マミさん!私もこれから一緒に戦いますっ」ギュッ

マミ「え……え――?」ポカン

ほむら「らしいわ。頑張りましょう?」ホムン

さやか「これだけ魔法少女がいれば、何にだって負ける気しませんね!」ニコニコ

マミ「……そうね」

マミ「来たばかりだけれど、解散しましょ。美樹さん、ボロボロじゃない」

さやか「いやーあはは……」ポリポリ

マミ「ゆっくり休む事、良いわね?」

さやか「はーい」

749 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 00:57:53.79 IXdRuYoAO 384/1642

――――翌日。マミとほむら、杏子へ

マミ「……鹿目さんを放っておいて良いの?」

ほむら「……構わないわ」

マミ「じゃあ、貴女の願いはどうするの?このままじゃ――」

ほむら「いたわ。杏子よ」ホムッ

マミ「……」

杏子「……なんだてめぇら。マミに……噂のイレギュラーかい?」

ゆま「さやかって子の仲間だなっ!えいっ」メクリッ

マミ「ひゃっ」

ほむら「……マミ、黒はまだ早いと思うわ」ホムゥ

マミ「ひどいわ……」メソメソ

杏子「ゆま、コイツらは話せる奴らみたいだから……あーあ、マミのやつマジ泣きじゃんか」ハァ

ほむら「黒はまだはや――」

杏子「人が必死にフォローしてんのに追い討ち掛けてんじゃねぇよぉぉぉぉ!?」ガビーン!!

750 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 01:00:08.65 IXdRuYoAO 385/1642

――――

杏子「ところで……マミ。さやかってのはお前んとこのだろ」ジトッ

マミ「う」ギクリ

杏子「次は本気で殺すからな……久々にキレちまってんだよ」ギリィッ

マミ「あの子は一途だから……」

ほむら「大方『正義の味方?バカじゃねーの』とか言ったんでしょうけどね」ホムッ

杏子「……どっかで見てたのかよお前」



ゆま「……おねえちゃん達は、何しに杏子に会いに来たの?」

マミ「……魔法少女狩りについて、よ」

杏子「アレか……聞いてはいるが尻尾が掴めない。お手上げだよ」

杏子「――そうだ。お前ら、『織莉子』って知ってるか?」

マミ「…………」チラッ

ほむら「…………」コクッ

ほむら「知っているわ」

杏子「何だって!?……詳しく聞かせてくれないか?」

751 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 01:04:46.24 IXdRuYoAO 386/1642

――――

ほむら「――という訳よ」ホムリ

杏子「魔法少女狩り、呉キリカ、美国織莉子……成る程な」フム

杏子「だが、その話を聞く限りじゃ……ピンクの奴が危ないんじゃねぇのか?」

ほむら「彼女は魔法少女になってしまった。なら奴ら如きに遅れは取らない」

杏子「へぇ……凄い自信だね」

杏子「用はそれだけだな?ならアタシは用事が出来たんでこれで――」



ほむら「私からも頼みがあるの」

杏子「あぁ?」クルッ

ほむら「近い内に、この街にワルプルギスの夜が来る」

杏子「……そりゃあ確かか?」

ほむら「えぇ」コクリ

マミ「間違い無いわ」

ゆま「それは、強い魔女?」

ほむら「そうよ。一度舞えば街は滅茶苦茶でしょうね」

杏子「……アタシらに手伝えってか?」

ほむら「物分かりが良くて助かるわ」ホムッ

杏子「……アタシらにも被害がくるからな。手伝ってやるよ」ハァ

マミ「……」ホッ

ほむら「ありがとう。それと、これを」スッ

杏子「リボン……?アタシのと似てるな」マジマジ

杏子「――――っっ!!!?」グラリ

ゆま「キョーコ!?」ガシッ

ほむら「――どうしたの、杏子?」

マミ「な、何?」ワタワア

752 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 01:06:55.24 IXdRuYoAO 387/1642

杏子「う、うう……何だ……」



『あぁ。妹も生きてりゃ……こんぐらいだったのかねぇ』

『ありゃあ使い魔だろうが。何無駄な事してるんだよ』

『言っても聞かねえ、殴っても分からねぇ、おまけにクズとなりゃあ……もう潰すしかねぇよな!』

『余所見されて、ありがとうだろうがこのド素人が!!』

『マミに新人に暁美ほむら、三人相手とあって、一人手の内が分からねぇとあっちゃあ……引くしかないか』



杏子「これは……」



『……痛くないか?』

『その話、詳しく聞かせな。アンタ、ただの色ボケかと思ったが……』

『どうやら実力は確かなようだし、慧眼も持ち合わせてるようだね』

『くうかい?』



杏子「アタシの……魔法……」



『……場所を変えようか』

『嘘だろ……コイツ死んでるじゃねぇか!!?――』

『当たり前だ!それじゃアタシたち、みんなゾンビにされたようなもんじゃないか!』

『そ、じごーじとく。何をするにも自分の為だけなら、それが引き起こす何事もそう考えられるし、それが出来りゃ誰も恨まない』

753 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 01:09:11.35 IXdRuYoAO 388/1642

『そんな時、キュゥべえと出会ってね。アタシは願ったよ、『みんなが親父の話を聞いてくれるように』ってね』



杏子「『伝える』魔法……忘れたはずの、魔法……?」



『私たちは魔法少女なんだぞ!!』

『だが粋だ。乗ったぜ、私は何をすりゃいい?』

『さやかが心配だ……私は行くぜ――』

『まぁ見てなって。アタシが戦い方ってのを教えてやるよ』

754 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 01:09:42.13 IXdRuYoAO 389/1642

『さやかぁぁぁぁぁっ!!!マミぃぃぃぃぃっ!!』

『――まだ諦めちゃいねぇ……さやかだってマミだって、元に戻るはずだっ!』

『アンタ、さやかやマミと仲良かっただろ?……そういう奴が必死に呼び掛けたら、気付いてくれるかもしれねぇ』

『失敗するんだろう、アタシ』

『マミを頼むよ。アタシはさやかを何とかしてみるからさ』

『頼むよ、神様。こんな人生だったんだ――せめて一度くらい、幸せな夢を見させてくれよ……』

『っ!?――そりゃあ上々だ!』

『……でもさやかは無理らしいな、やっぱり』

『その子を頼むよ。アタシの独り善がりに付き合わせちまった……』

『ただ……また失敗して、アンタが過去へ戻るんなら――アタシたちを助けてくれよ』





『その時はソイツを、そのアタシに渡してくれりゃ――こちとらこれ幸いってね』





杏子「……さやか」ポツリ

755 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/18 01:10:32.64 IXdRuYoAO 390/1642

ゆま「キョーコ、大丈夫?」オズオズ

杏子「……失敗したのか、ほむら」

ほむら「っ!!?」ドキッ

マミ「――貴女、前の記憶が?」ハッ

杏子「マミもか……へへっ、前のアタシも粋な事してくれるぜ」クックッ

杏子「ん?……なぁ、ほむら。私なりに情報を整理してみたんだが」



杏子「お前、この周、最初から捨てる気だったな?」

マミ「えっ」

ほむら「…………」

ほむら「…………」





ほむら「……そうよ」

771 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/19 00:56:51.06 0UpkY6ZAO 391/1642

――――

マミ「どういう事……説明して!」ガッ

ほむら「…………」

杏子「……さやかの力が不自然に強くなっていたな」

マミ「……それが何か関係――あっ」

杏子「お前、この周は『まどか』じゃなくて『さやか』を助ける事が目的だったんじゃないか?」

ほむら「……そう言って指し差さえないわ」ホムッ

マミ「――因果の集中、ね。鹿目さんが強力な魔法少女になった様に、美樹さんにも一周分の力が集まったって訳ね」フム

ほむら「そうよ。予想外ではあったのだけれど」ホムゥ

マミ「(ん……じゃあ美樹さんが契約したから、鹿目さんも関係無くなってしまった?……いや)」

マミ「……暁美さん。貴女今グリーフシード、幾つ持ってる?」

772 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/19 00:57:57.46 0UpkY6ZAO 392/1642

ほむら「……そこまで気付いたのね。私の手持ちは1000弱よ」

マミ「……あれだけあったグリーフシードは?」

ほむら「貴女のソウルジェムになったわ」ホムッ

マミ「い、いや、そうじゃないの。あの後貴女魔女と戦ってたじゃない?その分のグリーフシードは……」

ほむら「……私の羽は、この時間軸では魔力をバカみたいに喰うの。一匹倒すのに一個ならまだまし……ってレベルなのよ」フゥ

ほむら「実際相手が一匹だけならまだしも、5000よ?回復しながら戦ってやっとだったわ」ヤレヤレ

杏子「……じゃあ、もしさやかが魔女化したら――」ゾッ

ほむら「助けられない事が確定している……分かったかしら?」

マミ「成る程……」

773 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/19 00:59:41.11 0UpkY6ZAO 393/1642

マミ「(……ん。何かしら。何か引っかかる……)」ムゥ

ほむら「マミ」ホム

マミ「――何かしら」

ほむら「この時間軸でやる事はもう一つあるの」

杏子「へぇ、そりゃ何だい?」

ほむら「……美国織莉子の協力を得る事よ」

ゆま「織莉子の?」キョトン

杏子「おいおい、ソイツはほむらにとっても敵なんだろう?」

ほむら「……彼女の能力は『識ること』――インキュベーターの情報を、引き出せるかもしれない」

マミ「……確かに、キュゥべえについて私達は知らなさ過ぎる」

杏子「? 何かあったのか?」

ほむら「あれ、魔法少女だったみたいなの」ホムッ

杏子「――えぇぇぇぇぇ、えーえー!!?」ガーン!

ほむら「イーツーカキミガ……って何言わせるのよ」ホムリ

杏子「……詳しく聞こうか」

774 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/19 01:01:08.53 0UpkY6ZAO 394/1642

――――

杏子「ワルプルギスの夜……なるほど、使い魔が猫キュゥべえで、あれが本体……まぁ、あり得ない話じゃねぇよなぁ……」フム

ほむら「つまり、奴らにも感情が存在していて、尚且つ自分達でエネルギー生産はしたくない、という訳かしらね」

マミ「……本当に家畜みたいね、私たち」

ほむら「牛?」ホムッ

マミ「喧しい」ペシッ

ほむら「あう」スリスリ

杏子「……しかし、織莉子にどうやって協力させるんだよ。アイツはまどかが魔女になるのを防ぎたいんだろ?」

ほむら「それに関しては私に案があるわ。任せてちょうだい」ホムンッ

杏子「ならいいけどよ……じゃあ目下のとこは?」

ゆま「……魔法少女狩りの犯人がゆまたちに出会うのを待つんだね?」

ほむら「あら、見かけによらず賢いのね。そうなるわ」

マミ「私たちは差し詰め魚釣りの餌ね」

ほむら「そう。咬めば取れない返し針入りの、ね」ニヤッ

775 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/19 01:03:05.42 0UpkY6ZAO 395/1642

――――病院、人魚の向かう道

さやか「え、恭介は退院……?」

さやか「そ、そうですか。ありがとうございました」シュン




――恭介宅

さやか「(……バイオリンの音が聞こえる。恭介、元気になったんだね)」クスリ

さやか「かえろっ――」クルッ

さやか「……アンタ、何の用?」ジロッ

杏子「……謝ろうと思ってさ」

ゆま「…………」ギュッ

さやか「何を謝るっての?今まで見殺しにしてきた人たち?」

杏子「お前にだよ。悪かったな……その、あんな言い方して」シドロモドロ

さやか「はぁ……?急に何のつもり?意味分かんない」

杏子「――――うぅ」ツゥ

さやか「え、はぁ――何で泣くのよっ!?」アセッ

杏子「……なん、でも、ない」プルプル

ゆま「キョーコ……」ギュ

杏子「ごめん、ごめんな、さやか……」ポロポロポロ

さやか「……あぁもう!?分かったから泣きやんでよー……後味悪いじゃんかー」アワワ

776 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/19 01:05:40.18 0UpkY6ZAO 396/1642

――――

さやか「落ち着いた?」ハァ

杏子「すまねぇ……」チーン

ゆま「ティッシュまだいる?」ハイ

杏子「いい……」

さやか「……で、何で泣く訳よ」

杏子「……元気なお前と話せたから」

さやか「……ますます意味分かんないじゃん」

杏子「なぁ、さやか」

さやか「名前で呼ぶな、アンタ――」

杏子「アンタじゃねぇ。佐倉杏子だ」

ゆま「千歳ゆまだよ」

さやか「……で、何ですかね杏子さんは?」

杏子「……そうだった」グシグシ

杏子「後悔するな。悩んだ時は、頼れる奴に話せ」

さやか「はぁ?」

杏子「そんだけだ。今はな――ゆま、行こう」スック

ゆま「もういいの?」

杏子「あぁ……これで良い。じゃあな、さやか」

さやか「……行っちゃったよ。何なの、アイツ」

さやか「でも……何だろ。悪いヤツ、じゃないのかな」ズキッ

777 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/19 01:07:38.03 0UpkY6ZAO 397/1642

――――さやか、パトロール中

さやか「みんなで手分けしてパトロールするから早く終わるなー……よし、この辺りは大丈夫、かな」フゥ

「ぅあぁあああーっ!!?」クワッ

さやか「ひゃっ!?」ビクッ

「ないよ!ないよぅーっ!!」ガサガサッ

さやか「(無くし物かな?)」

「どうしよう!ないよー……」ジタバタ

「――もうだめだ、生きていられない!さよなら私!」

さやか「(……あ、編みぐるみ落ちてる。これかな?)」ヒョイッ

さやか「……探し物は、もしかしてこれかな?」スッ

「」グリンッ、パシッ

さやか「わお」

「ウワぁー!会いたかった、もう離さない!」ギュムー

さやか「(……変わった子だなぁ)」フゥ

グイッ

さやか「へ?」ガクンッ

「キミのおかげで愛は死なずに済んだよ」

キリカ「私は呉キリカ。恩人に礼をしたい」

さやか「え、恩人?」キョトン

キリカ「ダメ!?恩人は礼を拒否なの?」スンスンッ

さやか「……じゃあ、有難く受け取るよ」ニコッ

さやか「私は美樹さやか。さやかでいいよ」

778 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/19 01:09:10.03 0UpkY6ZAO 398/1642

――――アイス屋

キリカ「……恩人はさ、ほんっとーにそれでいいの?」ムゥ

さやか「いいよいいよ。むしろ本当におごってもらっていいの?」ムグムグ

キリカ「むしろ足りない!私の愛がその冷たいお菓子と同等とは思われたくないよ」

さやか「愛、かぁ……」ハッ

さやか「ね、それってさ……誰かからのプレゼントなの?」モジモジ

キリカ「……ああ、あ……うん。そう、そうだよ」ドモリ

さやか「……そっか。大好きな人みたいだね」ホゥ……

キリカ「…………」

さやか「キリカ?」キョトン

キリカ「す、好きとか!」

キリカ「そんな軽々しいものじゃないぞっ!」

さやか「き、キリカ?」ビクッ

キリカ「愛は全てだ。好きだの大好きだの、愛を単位で表すような奴は――愛の本質を知らないっ!」

さやか「っ」チクッ

キリカ「いい!?恩人、キミは本当の愛ってのを知っているの!?」ズイッ

さやか「本当の、愛――」

キリカ「だって――」





――愛は、無限に有限だよ。

ゴウッ!

さやか「――っ!?(魔女の結界!?)」ザッ

779 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/19 01:11:38.94 0UpkY6ZAO 399/1642

キリカ「え?へ?」

バクンッ

さやか「やっば、飲み込まれた!」ヘンシンッ

魔女「――――」

さやか「くっそ……中にキリカがいるからやりにくいな……どうする?」



――愛は無限に有限なんだ。



さやか「――キリカ?」ハッ



――だから私は彼女に無限に尽くす。



――恩人を故人にするのも



キリカ「無限の中の一部だよ!」ズバッ!

魔女「――……」

さやか「(魔女が一撃!?……って言うか魔法少女――)」ゾクッ

キリカ「……」スゥ……

ズバァッ!!

さやか「(爪――アタシを狙った!?)」

さやか「……カッコつけてる場合じゃないみたいだね」チャキッ

キリカ「……」ユラァ

さやか「この切り傷……アンタ、魔法少女狩りの犯人?」

キリカ「うんっ」ニコッ

さやか「――オッケー、ぶっ飛ばす!」ダッ!

792 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/20 01:41:28.91 2xpLZK8AO 400/1642

――――

速い。
さやかはまず、そう感じた。

不自然だ。
次に、そう感じた。

さやか「ぐぅ……」

キリカ「ほらほらほらほらぁ!!どうしたの!恩人は慎み深いのかなぁっ!?」

さやか「(コイツ、おかしい……っ)」

狂った様に爪を振り回すキリカに気圧されるさやか。
さやかの剣が折れたりはしないが、それでも手数が多すぎる。

さやか「でりゃあっ!」

キリカ「遅いよ恩人。生まれたばかりの赤ん坊かい?」

可能な限りの剣速を叩き出しても、易々と黒の魔法少女は躱してしまう。

それも、『見て』から。

さやか「(やっぱりだ、コイツが速いんじゃない――)」

さやか「(アタシが遅くなってる)」

さやかの両肩が鋭利な爪で切り裂かれ、蘇る。
キリカの表情に、僅かだが驚きが混じった。

キリカ「恩人はなかなかしぶといね」

さやか「そりゃどう、もっ!」

793 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/20 01:42:22.15 2xpLZK8AO 401/1642

さやかがキリカを倒すにはどうすればいいか、それは至極簡単な事だった。

遅くなるなら、それより、より速く動く。

さやか「――それ、だけっ!」

キリカ「おぉっ、やるね恩人っ!」

速さがキリカに追いつく。
火力はキリカを凌駕する。

鋭い斬撃を何度も繰り出し、さやかはキリカを追い詰めていった。
爪でそれらを捌くキリカの表情は、だと言うのに余裕を孕んでいた。

キリカ「いいねいいね恩人、もっとだ!」

ゆらゆらと、暖簾の様に剣先を反らしていく。
ゆっくり、そして確かに、さやかに疲労が溜まっていった。

さやか「――はぁ、はぁっ……」



――身体が重い。

知らない、動け。

――息が苦しい。

だったら止めろ。

――死にたくない。

心は止めて。

――勝ちたい。

躰で動く。



さやか「――う、おぉぉぉぉぉっ!!」

794 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/20 01:43:30.96 2xpLZK8AO 402/1642

咆哮。

さやかの速度が倍加する。
それに僅か、反応が遅れたキリカ。

切っ先が眼球に触れるか触れないかのところで――キリカは厭らしく笑った。

キリカ「――ごくろーさん」

決死のそれも、難なく避けられてしまう。
何て事は無い。更に速度を落とされただけなのだ。

さやかの全身を脱力が包む。
崩れ落ちるその身体に、キリカの爪が突き刺さ――らなかった。



鎖がキリカを縛り付ける。



キリカ「な――」

キリカの背後から声が掛かった。

「歯ぁ喰いしばれ」

キリカが顔だけ傾けて見れば、其処には怒りを体現したかの様な、真紅の魔法少女。

佐倉杏子が、拳を握っていた。

杏子「アタシの一撃は――」

いくら速度を低下出来ようが、身動きが取れないのでは回避しようが無い。

故に、その一撃は必然。

杏子「――ちっとばっか響くぞ!!」

杏子の右拳が見事にキリカの頬を貫き、その肢体は槍の拘束を振り切る勢いで弾け飛んだ。

キリカ「かっ――」

さやか「アンタ――」

杏子「無事か、さやか!」

倒れているさやかを、杏子は抱き起こした。
直ぐに治療を試み、それは中断させられた。

796 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/20 01:44:54.39 2xpLZK8AO 403/1642

キリカ「――無粋無粋無粋ぃぃぃ!! 一対一の殺し愛!! 邪魔する奴は馬に蹴られて月まで飛んでけぇっ!」

幽鬼の様な不気味さで、呉キリカは立ち上がる。
頬の腫れは見えない。
防御に魔力を回してダメージを抑えたようだ。

杏子「ちっ……全治半年ってくらいにゃかましたろうに……」

ゆま「キョーコ、速いよ」

遅れてゆまが到着する。
どうやら杏子が先行していたようだ。

杏子「悪い。さやかを頼む」

さやか「アンタら……」

ゆま「治すよー」

ゆまの治癒魔法がさやかの身体を癒してゆく。
険しい顔が、一転して安らかになった。

キリカ「仕方ないから恩人は後回しだ、そこのポニテから三枚におろしてや――」



杏子「負けだ、お前」



杏子がそう言ったタイミングで、キリカの右足を銃弾が通り抜ける。

キリカ「え――」

キリカは立つ事が出来ずにその場に崩れ落ちた。
理解が追い付かず、しかし血液は流れ出て。

杏子「その能力は確かに一対一なら無類の強さを発揮するだろうがな――」

二人、空から降ってきた。

マミ「反応出来ないならどうという事はないわ」

ほむら「どうする?まだやる、呉キリカ?」

さやか「マミさん、ほむら……」

797 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/20 01:47:38.61 2xpLZK8AO 404/1642

――――圧倒的、ほむらサイド

キリカ「何故……救援と言っても早すぎる……」ググ……

マミ「まだ立つ元気があるのね……」チャキッ

キリカ「結界のある内に、始末始末始末しなきゃ。でなきゃ、ダメだ」ユラリ

ほむら「マミ、『アレ』出来る?」ホム

マミ「やってみようかしら」スゥ……

マミ「結界、展開――上書き……完了したわ」フゥ

キリカ「なっ――なっ!?」

杏子「へぇ、魔女の結界まで張れるのか……マミの中は夕焼けが綺麗だな」ホウ

ゆま「マミの羽すごーい……」キャキャ

さやか「何、これ……」ポカン

マミ「これちょっと恥ずかしいわ……消していい?疲れるし」テレリ

ほむら「いいわよ」ホムッ

キリカ「(結界が、消える――?)」

キリカ「……キミたちは一体、何なんだ?」

ほむら「神よ」

マミ「魔女よ」

ゆま「ゆまだよっ」

杏子「グルメキングだ」

さやか「えっ、えっ、び、美少女だっ」

ほむら「…………」ウワー

マミ「…………」アラアラ

ゆま「…………」エェー

杏子「…………」ポムポム

さやか「撫でるなぁっ!?」カアァッ

798 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/20 01:50:42.51 2xpLZK8AO 405/1642

キリカ「ふざけた連中だ……全く、すっかりやられてしまったよ」ドサッ

マミ「貴女――」

キリカ「何も言わないよ。私に関する全ての要求を完全に拒否する」

杏子「……死ぬぞ?」

キリカ「ふふふ……結構だ!たかだか死ぬ程度で私の全てが守れるなら、大いに結構!」ニィィ

ほむら「――くっくっ、何を勘違いしているの?貴女の全てが『美国織莉子』だなんて、私たちは既に知っているわ」

キリカ「――なんだと?」

799 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/20 01:53:03.60 2xpLZK8AO 406/1642

キリカ「じゃあ――まさか、貴様っ!!?」ハッ

ほむら「私たちは海老で鯛を釣った――壁」ホムッ

杏子「はいよ」カキィンッ

「――――っ?」ハッ

ドドドドンッ!

さやか「くっ……(遠距離攻撃?)」バサァッ

キリカ「ダメだ、ダメだよ織莉子、来てはいけない」ガクガク

ほむら「その鯛を切り身にしてね……ほら」

織莉子「……暁美、ほむら」キッ

ほむら「美味しい美味しいマグロが釣れたわ」ニヤァ

マミ「(白い……)」

杏子「(魔法少女、か。見つけたぜ)」

織莉子「私の事……ご存知のようね」ギンッ

ゆま「ひっ」ビクッ

さやか「(なんてプレッシャー……)」ゾクッ

マミ「っ」ゾワ

杏子「ちっ……」チャキッ

織莉子「貴女方とはまたお会いすると思いますわ。きっとその時、貴女たちは自分の愚かさに気付くでしょう」スッ

キリカ「織莉子……」カクッ

織莉子「御機嫌よう……」スゥ……

さやか「(逃げる……くそっ)」

ゆま「うぅ……」ガタガタ





ほむら「いや、何勝手に帰ろうとしてるのよ貴女」ガシィッ

800 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/20 01:54:14.65 2xpLZK8AO 407/1642

織莉子「……何か?」

ほむら「あら、不思議なようね。でも御生憎様――」

ほむら「貴女には借りがあるの」ズズ……

織莉子「(――動けない。いや、動く気が起こらない……?)」ゾクン

ほむら「それを水に流して、今私は貴女を生かしているのよ」

織莉子「――くっ!」ボムッ

杏子「っ、煙幕か――」

ほむら「心配無いわ、やって」スッ

ガガガガガガガガッ!!!

織莉子「なっ!?」ビクッ

さやか「(逃げる先に矢の雨――って事は)」

まどか「……役に立ったかな?」ティヒヒッ

ほむら「グッジョブよ、まどか」グー

801 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/20 01:55:26.31 2xpLZK8AO 408/1642

織莉子「鹿目まどか……っ」ギリッ

まどか「……何だか睨まれてる、ような」

ほむら「分かったでしょう?貴女は自らノコノコ罠に嵌まったの。観念なさい」ホムッ

織莉子「……分かったわ。でも――」

杏子「ゆま、呉キリカを治してやってくれないか?」

ゆま「分かったよ」コクリ

織莉子「え――」

ほむら「勘違いしているようね」

ほむら「貴女と私の目的は同じ」

織莉子「貴女……一体。訳が分からない」

ほむら「その上で、少しお願いがあるの……話を聞いてもらえないかしら」

織莉子「……拒否権は?」

ほむら「試しに使ってみればどうかしら?」

織莉子「……分かったわ。話とやらを聞きましょう」

ほむら「聞き分けが良くて助かるわ」ニッコリ

814 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:16:48.02 381t5epAO 409/1642

――――

ほむら「まどかとさやかは帰るべきよ。後はこっちでやっておくから」

さやか「何だよそれ、私たちは除け者って訳?」ムッ

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「違うわ。もう今日は遅いし、貴女たちには両親もいるでしょう?」

ほむら「『魔法少女』が貴女たちの日常を侵すのは見たくないのよ」ホムリ

ほむら「私たちには無い物だし、大切にしてほしいの」

さやか「ほむら……ごめん」

ほむら「気にしてないわ。だから、お帰りなさい」ホムッ

まどか「分かったよほむらちゃん。じゃあ後は任せるよ」

ほむら「任されたわ」ホムンッ

815 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:20:15.48 381t5epAO 410/1642

――――

ほむら「上手く丸めこめたわ」ホム

マミ「……つくづく貴女は敵に回したくないと思うわ」ハァ

杏子「同感だね。目的の為なら味方でも騙すんだからな」

ほむら「みんなの為よ。心外ね」ホムン

杏子「分かってんよ。じゃあ……」

キリカ「織莉子、私の後ろに」ザッ

織莉子「いえ、構わないわ。この期に及んで殴りかかってくるとも思えない」

キリカ「……」スッ

816 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:21:56.19 381t5epAO 411/1642

ほむら「さて、ただとは言わないわ。何か知りたい事があるなら、先に聞くわ……と言っても『識る事』が能力の貴女が知らない事と言えば、限られるわね」

織莉子「……何故私の能力についてそこまで理解出来ているのかしら?」

ほむら「貴女には一度裏を掛かれた事があってね」

織莉子「――驚いた。貴女は、あの終焉にいた暁美ほむらと同一なのね」

ほむら「いえ、それは語弊があるわ。私は貴女の終焉とは違った形でワルプルギスの夜を越えた暁美ほむらよ」

織莉子「っ。その世界は、滅びを迎えなかったと言うの?」

ゆま「?」

杏子「……」

マミ「…………」カチャ……

キリカ「…………」ジャリ……

ほむら「えぇ。鹿目まどかによって、世界は『救済』された」

織莉子「――何ですって?」

817 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:23:46.87 381t5epAO 412/1642

――――

ほむら「以上がまどかの行なった救済の内容よ」

織莉子「……なんて事。私の――私の描く救済の……なんてちっぽけな事か」クラ

キリカ「織莉子」ガシッ

織莉子「あぁ……ありがとうキリカ、大丈夫よ」

キリカ「織莉子、冷静になるんだ。コイツの言っている事は、コイツの頭の中にある夢物語と区別を付ける事が出来ない」キッ

織莉子「えぇ、分かってはいるの……もう一つ良いかしら?」

ほむら「どうぞ」

織莉子「私の目的を、貴女は知っているの?」

ほむら「鹿目まどかを殺して彼女の魔女化を防ぎ、災厄の『救済』を防ごうとしている、でしょう?」

織莉子「……貴女は、『私と貴女の目的は同じ』と言ったわ。それはつまり……」

ほむら「鹿目まどかが魔女にならなければ――いや、つまりはあの魔女が呪いを振り撒かなければ、貴女は満足するのでしょう?」

織莉子「……えぇ、そうよ」

ほむら「なら大丈夫よ。鹿目まどかが魔女化する原因は、ワルプルギスの夜戦での過剰な消耗が原因だから。私たちでワルプルギスを倒せば問題解決よ」

818 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:25:50.91 381t5epAO 413/1642

織莉子「そんな簡単に……っ」

ほむら「そう思うなら、見る?」

織莉子「何を――」

ほむら「マミ、さっき思いついたのだけれど……結界張って貰える?」

マミ「分かったわ」ジャキン、バサァッ!

シュウゥ――

キリカ「……またここか」チッ

織莉子「これは……?」

マミ「自己紹介するわ。孤独の魔女、巴マミよ」ニコ

織莉子「魔女……?どういう事?」

ほむら「彼女は一度魔女になったのよ」ホム

織莉子「――有り得ない。魔女になった魔法少女は……」

ほむら「『有り得ない』なんて事は『有り得ない』。可能性を潰すのは過去の私だけで十分よ」

ほむら「例え魔女化してしまっても、大量のグリーフシードがあれば浄化してソウルジェムに戻す事が出来る。マミには凡そ5000個使ったわ」

織莉子「5000……?何処からそんな――」ハッ

織莉子「――貴女、時間逆行者なのね」

ほむら「花丸をあげましょう、美国織莉子。その通り、私は未来の果てから遥かな過去へ戻り、この時まで戦い続けた魔法少女」

ほむら「年齢は覚えてないわ。もしかしたら、五桁かも……といった所かしら」

819 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:27:17.66 381t5epAO 414/1642

キリカ「……何故そんなヨボヨボのおばあちゃんがこんな時代に」

ほむら「まどかを救う為よ、呉キリカ」

ほむら「愛は無限なのよ」

キリカ「――へぇ、言うじゃないか。僅かだけれど、その点に関しては好感を覚えるよ」

マミ「まだかしらー?これ疲れるのよ」パリパリ……

ほむら「はいはい――じゃあ、いくわ」ザッ

2倍――

4倍――

8倍――

ゆま「わっ」グラグラ

キリカ「空間が、揺れてる……コイツ、何を!?」

16倍――

32倍――

64倍――

ほむら「あ、今日調子良いかも」ホムッ

織莉子「あ……あ……」

ほむら「貴女には見えるのね、因果線の束が」

128倍――

256倍――

512倍――

1024倍――

杏子「おいおい、やっぱりほむらはやるねぇ……」ニッ

ほむら「お褒めに預かり光栄至極……解放」バサァッ



一同「――――」




820 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:30:47.83 381t5epAO 415/1642

ほむら「どう、分かったかしら……これが未来の私」

織莉子「(凄まじい力……)……私は、こんなモノを相手に……」

キリカ「……凄い」

ほむら「あ、ヤバい。グリーフシード食べたい」ポテッ

杏子「――バッキャロォォォォォォ!?見栄張って無茶すんじゃねぇぇぇぇぇ!?」ガビーン!?

織莉子 キリカ「えぇぇー……」

821 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:31:46.76 381t5epAO 416/1642

――――補給完了

ほむら「うっかり魔女になるところだった」テヘペロ

マミ「巻き込まれて甲冑着込むところだった」マッサオ

杏子「洒落にならねぇから勘弁してくれ……」ゼーハー……

織莉子「……貴女たちの力量は分かったわ。特に巴マミの戦闘力は高いようね。確かにこれならワルプルギスの夜だって倒せそうかしら……」

ほむら「心配なら、貴女たちも手伝ってくれないかしら。鹿目まどかは魔女化しないし、街は守れる。一石二鳥よ?」

織莉子「……一つ、懸念があるの」

ほむら「?」

織莉子「未だに私には鹿目まどかが魔女になるビジョンが見えている……これは、どういう事なのかしら?」

822 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:32:34.70 381t5epAO 417/1642

ほむら「以前、貴女が鹿目まどかを殺す事に成功した場合でも、貴女はその場面を見ていたわ。起こる未来と変えるべき未来は、必ずしも一致しないのでは無いかしら」

織莉子「……まだ迷っているのよ。貴女、それらしい事は言っているけど、目を見れば分かる。まだ何か隠しているわ」

ほむら「……」チラッ

マミ「……?――っ」プイッ

杏子「…………!?」カァッ

ほむら「……ワルプルギスの夜の正体を知っているかしら?」

織莉子「正体?」

ほむら「あれはインキュベーターよ」

織莉子「な――」

823 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:33:52.18 381t5epAO 418/1642

キリカ「――バカも休み休み言うんだ!流石にそれは嘘にしか聞こえないよ!」

ほむら「インキュベーターは魔法少女よ。そう、それについて私からお願いがあるの」

織莉子「一体何を……?」

ほむら「インキュベーターについて、『識る』魔法を行使してみてほしい。私たちも、彼女についての情報は少ない」

ほむら「まぁ、百聞は一見に如かずって言うし……実際見て貰った方が早いわね」ホムッ

ほむら『キュゥべえ』テレパシー

QB『?……なんだい暁美ほむら』

ほむら『今どこにいるのかしら?』

QB『まどかと一緒にいるけれど、何か用かい?』

ほむら『えぇ。良かったら来てもらえるかしら。大丈夫、もう貴方を殺したりはしないから』

QB『ボクがそっちに行く利が無いね』

ほむら『魔法少女狩りの犯人を捕まえたのだけれど……』

QB『何だって……分かった行くよ。少しだけ待っていてくれないかい?』

ほむら『分かったわ』プツッ

824 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:35:02.39 381t5epAO 419/1642

ほむら「ばーか。案の定まどかに掛かりっきりになってるわ、あの獣」ニヤッ

杏子「……おい、まさかまどかを帰したのって」

ほむら「キュゥべえの牽制も兼ねてたに決まってるじゃない。まどかが魔法少女になったのだから、インキュベーターとしては是非とも魔女になってほしいはずだもの」

織莉子「それは、どういう意味?」

ほむら「あ、知らないのね――」

825 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:37:41.59 381t5epAO 420/1642

――――

織莉子「宇宙のエネルギー……」

キリカ「話が飛躍し過ぎて訳が分からなくなってきたよ……」

ほむら「貴女たちは既にこの問題に足を突っ込んでしまったのよ。簡単ではない、問題にね」

織莉子「……私は、鹿目まどかを殺せばそれで世界は救われると思っていた」

ほむら「それは大きな間違いよ。魔女とインキュベーターから解放されて初めて、私たちは救われるの……」

織莉子「……待って、なら貴女の目的と現状が噛み合わな――」

QB「やぁ暁美ほむら!」きゅっぷい!

ゆま「キュゥべえだ!」パァッ

ほむら「いらっしゃい。そしてさようなら」パンッ

QB「わーお」パタリ

一同「殺したぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」ガーン!?

826 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:39:34.64 381t5epAO 421/1642

織莉子「えっ、ちょっ」

キリカ「落ち着いて織莉子!ラスボスがしちゃいけない顔になってる!?」

「もう、困るなぁ。予備が無いって言うのに」モチャモチャ

ゆま「(白い髪の女の子?随分長いツインテールだね……身長は小さめでゆまとおんなじくらい。大人用のブカブカなTシャツにハーフパンツ。肌が凄い白い……あ、ツインテールの先に輪っかみたいなアクセサリー付いてるー)」

杏子「偉いぞゆま」ナデリコ

ゆま「えへー」ニパッ

織莉子「貴女は……?」

QB「ボクはキュゥべえだよ!」きゅっぷい!

――――さやか家

さやか「何か仕事取られた気がする……」ハッ

さやか「気のせいか……寝よ」グゥ

827 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:42:55.24 381t5epAO 422/1642

織莉子「……」クラ――

キリカ「織莉子しっかりー!?現実から目を背けないでー!?」ガッシィ!

織莉子「大丈夫、大丈夫よ」ヨロリ

ほむら「……」

QB「あれ?キミたちは余り驚かないようだね」

ほむら「そんな事はどうでもいいの。分かったかしら、美国織莉子」

織莉子「……確かに、これは」フム

QB「何だか蚊帳の外だけれど、キミたちが犯人だったんだね。織莉子、キリカ」

QB「キミたちのお陰で微妙なロスが出てしまったよ。寛大なボクだから許してあげるけれど、それは微量なロスだったからだよ?」

QB「これが大変な損失を巻き起こすなら、キミたちの処分も考えていた所さ」きゅっぷい!

キリカ「」カチン

杏子「どうどう……」

ほむら「ね、でしょ?」ホムッ

キリカ「あぁ、そうだね」イライラ

織莉子「なるほど……確かに思い当たる節が」ホー

QB「?」っぷい?

828 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:43:24.14 381t5epAO 423/1642

――――

ほむら「で、お願いできるかしら?」

織莉子「……個人的に興味もありますわ。やりましょう」

QB「何をするつもりだい?」

織莉子「……動かないでくれるかしら、キュゥべえ」キィン――

829 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:45:18.86 381t5epAO 424/1642

――――ドコカ

織莉子『ここは……?』キョロキョロ

織莉子『感覚的に感じる……随分昔のビジョンとしか分からないわ……ワルプルギスの夜のビジョンは、日にちまで頭に入ってきたと言うのに』

織莉子『いや……もしかしたら日付の概念が無い程の過去?』

織莉子『しかし何も無い……一応地面があるけど、20cmくらいの深さの浅瀬が延々と地平線まで続いている……右も左も』

織莉子『何だか不気味ね……それに、寂しい。夕焼けだけは今と変わらないのね』

織莉子『キュゥべえについての知識がこれ……?これでは何のヒントにもならないわ』



「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」



織莉子『叫び声……?』

織莉子『――あ、あれは……ワルプルギスの夜?』

織莉子『いや、にしては小さい……服が似ているだけだわ』



「――だれかいるの?」グリンッ



織莉子『こっちを見た?……いや、私はここに居る訳ではないわ。しかし、回りには誰も……?』

織莉子『顔が見え――やはりキュゥべえだったのね。それは魔法少女の服かしら……成る程、ワルプルギスの夜そっくりな訳ね』

830 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:45:56.55 381t5epAO 425/1642

QB「まだいきのこりがいたんだ!」チャプチャプ



織莉子『近付いてくる……幻覚でも見ているのかしら。しかし、生き残り?どういう事?』



ねぇ、キミはだれ?



織莉子『』ゾクッ

831 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:46:51.17 381t5epAO 426/1642

近付いてくる。

大丈夫だ、私を知覚しているのでは無い。



「もうキミだけしかボク以外がいないみたい」



私はこの空間に存在しているのでは無い。
私の肉体は見滝原だ。

なら何故。



「さみしいよ」



なら何故。



「いっしょにいようよ」



何故目の前にまで迫った魔法少女は、私に手を伸ばしているのだ?



「いっしょに、ね?」



大丈夫だ。
触れられはしない。

そうだ。



「よかった。ボクまだひとりぼっちじゃないよ」



笑顔が眩しい。涙を湛えていても。

私の頬に触ろうとしているようだ。

落ち着け。
落ち着け。
私はただの思念だ。

この世界はただの情報に過ぎない。












冷たい手。

832 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:49:23.82 381t5epAO 427/1642

――――現実

織莉子「うわぁぁぁぁ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ぁぁぁぁぁ!!!!!」ビクンッッッ!!!

キリカ「織莉子っ!!?」ガッ

キリカ「織莉子、どうしたの織莉子、しっかりして!!」ユサユサ

織莉子「アぁぁぁァぁうゥゥぁぁぁぁぁぁ、あぁぁぁぁぁぁぁ、わあぁぁぁぁぁ!!!!!」ビクンビクン!!

ゆま「ど、どうしたの……?」

杏子「おい、ほむら!?一体こりゃ何なんだ!?」アセッ

ほむら「な、な……」ポカン

QB「? やっぱり人間はよく分からないね。突然絶叫し出すなんて、頭がおかしくなったのかい?」

織莉子「ぁぁぁぁぁ…………ぁぁ」ビクッ……

キリカ「織莉子、織莉子!?おい、何とかしろよ暁美ほむらぁ!!」

マミ「――暁美さんっ!」カッ

ほむら「っ」ハッ

ほむら「――はぁぁっ!!」スッ

スパァァァァァ――――ン

833 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/21 00:50:35.58 381t5epAO 428/1642

キリカ「え」

杏子 ゆま「」アングリ

マミ「やれやれ……」ホッ

織莉子「――――」パチクリ

ほむら「ふぅ……」ファッサァ

ほむら「マジカルほむらちゃんはりせんよ」キリッ

キリカ「……いや、目は覚めたみたいなんだけどさ、釈然としないよ……織莉子、大丈夫?凄い汗だよ」フキフキ

織莉子「――少し、休ませて」グッタリ

ほむら「……なら、私の家に招待するわ。飲み物くらいなら出しましょう」ホムッ

キリカ「毒味はするからね」

ほむら「どうぞご自由に」

856 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/22 22:22:15.89 4LVwKcCAO 429/1642

――――ほむら宅

ほむら「上がって」ホムッ

キリカ「……」キョロキョロ

ほむら「……別に危害を加えるつもりは無いって言っているでしょう」ハァ

キリカ「信用出来ないね」

キリカ「第一、私は魔法少女狩りをしていたんだぞ。キミらの安い正義感をチクチク刺激してるんじゃないかい?」ヒヒッ

ほむら「こちらに害が無ければ関係無いわ」ホムッ

杏子「正義の味方なんてガラじゃないんでな」

ゆま「杏子が無事ならゆまはそれでいいよ」

マミ「……とっくの昔に止めちゃったわ」

キリカ「……へぇ、なかなかどうして、キミたちも大概な変わり者だね」

織莉子「……お話ししている所申し訳ないのだけれど、お水を頂けないかしら……」クラクラ

ほむら「ワインでいい?」ホム?

キリカ「水だっつってんだろうがぁぁぁぁ!?」ガウッ

ほむら「もう、ワガママね……」ホムホム……

杏子「いや、なんかもう……悪い」

QB「ところで何でボクは縛られてるのかな?」タラー

マミ「……」ニッコリ

QB「無言の笑顔と言うのはなかなかに魔的だと思うんだよマミ」

857 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/22 22:32:40.29 4LVwKcCAO 430/1642

――――

キリカ「んっ……」コクンッ

キリカ「大丈夫だよ、織莉子」ハイ

織莉子「ありがとう、キリカ」クピクピ

マミ「……随分仲が良いのね」

織莉子「…………私が魔法少女になって最初に見たモノは、世界の終焉でした」

ゆま「織莉子――」

杏子「しっ」パッ

ほむら「……それは、余り良い気分じゃないでしょうね」

織莉子「私が鹿目まどかの殺害を思い至るのに時間は掛かりませんでしたわ。しかし、あまりの絶望に心がダメになってしまいそうだった」

織莉子「そんな私を支えてくれたのが、キリカ。彼女がいなければ、私はとうに壊れていたでしょう……」

キリカ「織莉子……」ギュッ

織莉子「苦しいわ、キリカ」

858 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/22 22:42:18.08 4LVwKcCAO 431/1642

マミ「しかし、だからと言って鹿目さんを殺そうとするのは戴けないわ」

キリカ「何でかな?アイツは凄い化物になるじゃないか。今絞めなきゃ何時絞めるのさ」

杏子「化物になるって決まった訳じゃねぇだろうが――」

ほむら「まぁ待って。マミ、貴女には話したわよね」

マミ「……何を?」

ほむら「『正しい事』は必ずしも『正しい事』では無い……彼女らの言い分も捉え方によっては正義。そうでしょう、ゆま?」

ゆま「……うん。だって織莉子のゆうとおりにやれば、杏子は全然平気だよ?」

杏子「ゆま!」バッ

ゆま「極端な話だけど、そういう事でしょ?ほむらおねえちゃん」

ほむら「えぇそう。織莉子は必ずしも間違っている訳では無い。それを踏まえて、私は相談を持ち掛けたの」

織莉子「……貴女がそんな事を言うなんて思っていませんでしたわ」

ほむら「まぁ、色々と、ね……気分は優れるかしら。さっきの話を聞きたいのだけれど」

QB「ボクも些か興味があるね」ゴロゴロー

杏子「止まれ芋虫」

織莉子「じゃあ――」

859 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/22 22:51:56.17 4LVwKcCAO 432/1642

――――

織莉子「――と言うビジョンが見えたわ。あのキュゥべえ……いや、貴女に倣ってインキュベーターと呼びましょうか。それが何故私を知覚したのか……はたまた私の幻覚なのかは分かりません」

織莉子「だけど、確信できるのは……あのまま彼処にいたら、きっと帰って来れなくなっていただろう、と言う事……」

ほむら「予想以上にマジカルほむらちゃんハリセンが効いたみたいね……しかし、そのビジョンは気になるわね」ホム

マミ「(突っ込まないわよ……)」

杏子「(突っ込んだら負けだ……)」

――――さやかん家

さやか「――マジカルほむらちゃんハリセンってなんやねーん!……むにゃむにゃ」グーグー

860 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/22 23:08:43.63 4LVwKcCAO 433/1642

――――

ほむら「仮定を立てるに、そこはインキュベーターの母星かしら……」

ほむら「(……滅んだが故に地球へと来たのかしら)」

織莉子「分からないわ。ただ、遥かな過去……だって事しか知識が入って来なかったわ」

杏子「……ほむらはそういやどのくらい過去から戦ってたんだ?」

ほむら「……そういえば、そう昔では無いわ。アダムとイヴをギリギリ見たくらいだから……それより過去は魔法少女もいないと思っていて……」ホムッ

ほむら「初めてインキュベーターが来たのは何時なのかしらね……キュゥべえ?」

QB「良く覚えていないよ。何せ随分昔の事だからね。キミたち人間の事を記憶する必要も無いしね」

861 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/22 23:20:42.05 4LVwKcCAO 434/1642

QB「しかし魔法少女姿のボクと言うのは興味深いね。ボクにはソウルジェムが見当たらないから、それはあり得ないけれど」

ほむら「(……まだ余計な情報は与えなくていいわね)」チラ

一同「……」コクッ

ほむら「何にせよ、それは貴重な情報よ。ありがとうと言わせて頂くわ」ペコッ

織莉子「いえ、私の力が後の役に立つなら……」

織莉子「……ところで――」

QB「ねぇ、そろそろこれをほどいてくれないかな?いい加減窮屈だよ、全く。ボクは暴れたりしないって言うのに、キミたちといったらいつも非合理的だね」

キリカ「」イラッ

ほむら「……あ、そうだ。貴女たち――」

ほむら「――ソウルジェム穢れてないかしら?」

862 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/22 23:30:00.31 4LVwKcCAO 435/1642

杏子「――っ」ビクッ

マミ「――っ」ドキッ

ゆま「?」

杏子「ほむら、もう用事は無いな?アタシらは帰らせてもらうぜ。ゆま、行くぞ」スック

ゆま「うん、分かった」トテトテ

マミ「……私もお暇するわ。何かあれば連絡して」スタスタ、ガチャッ

QB「ようやくマミもほどいてくれたよ」フゥ

織莉子「うーん……僅かに穢れが見えるけれど」

キリカ「それが何か関係でも?」
ほむら「実は……」ゴニョゴニョ

織莉子 キリカ「――!?」

QB「内緒話は感心しないな、暁美ほむら。キミは一体何を企んでいるんだい?ボクには全く想像が付かないよ」ヤレヤレ

ほむら「知りたい?」ニィ

QB「その問いに首を縦に振って、キミが解をくれるならね」

ほむら「なら御望み通りくれてやるわ」

ビリィッ!

QB「――え?」パチクリ

865 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/22 23:41:28.61 4LVwKcCAO 436/1642

QB「――え?」パチクリ

織莉子「ちょ、ちょっと!?」ドキッ

キリカ「おぉ、なるほど……このシチュエーションは、なかなかそそるね」ニヤ

ほむら「あ、分かる?」ビリビリ

QB「何をするんだい暁美ほむら!服が勿体無いじゃないか、簡単には直らないんだよ?」パタパタ

ほむら「暴れないで」チゥー

QB「むぅっ!?むぐぅ、ふむー!?」バタバタ

織莉子「おぉ……」マジマジ

キリカ「(舌を捩じ込んでるのか……手馴れてるなー)」フムフム

ほむら「んっ……」ハムハム

QB「ぅむぅ…………」パタパタ……パタ……

ほむら「ふう」チュポンッ

QB「ふわぁ……」クテー

ほむら「出来上がったわよ」ホムッ

織莉子「……お見事」

キリカ「何でも出来るんだね、キミは」アキレ

867 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/22 23:53:33.34 4LVwKcCAO 437/1642

――――

ほむら「じゃ、手本を」ジャーン!

織莉子「お……大きい……」ウワァ……

キリカ「こらー、純粋な織莉子にそんな人間凶器を見せつけるな」

QB「暁美ほむら、キミは一体何をするつもりだい!?」バタバタ

ほむら「かくかくしかじか」ホムッ

QB「グリーフシードの替わり……って、そんなバカな!?」きゅっぷい!?

ほむら「論より証拠よ。ほらこっち来なさい」ズルズル

QB「ひっ……止めてくれないか、そんな大きいモノを入れてしまったらこの身体が死んでしまうよ!」カタカタ

ほむら「んなアホなー」ホムッ

QB「聞いてぇぇぇ!?」ガーン!?

868 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 00:08:44.72 m/RrKYFAO 438/1642

ほむら「まぁ試しだからさっさと出すわよ」ズニュンッ

QB「ひあっ」ピクンッ

ほむら「ホントに良く濡れるわね。スムーズでヤりやすいわ」パンパンパンパンッ!

QB「――いきなり、あああぁっ!」キュウッ

ほむら「お、分かってるじゃない。しっかり絞めて、ねっ」ズプンッ

織莉子「…………(確かあの体位は……正常位、よね)」ジーッ

キリカ「(織莉子が凄い真剣に見てる……まぁでも確かに……)」チラッ

QB「やっ、くぅぅぅ……」ピクンピクンッ

キリカ「……こりゃ、エロいと思うよ。うん、まぁ、あれだ。些細な事だけどさ」

869 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 00:16:44.26 m/RrKYFAO 439/1642

ほむら「あ、出る」ドクンッ

QB「んっ――んはぁっ!」ギュウゥ……

ほむら「くっ……ふぅぅっ……」ブルブル……

ヌポンッ

QB「はぁ……はぁ……」グッタリ

ほむら「ふぅ……で、ほらこれ」スッ

ほむら「ソウルジェムピカピカー!」ペカー!

ほむら「まぁ私は元々あんまり穢れてなかったからなのだけれど……あと、あまり出しすぎるとコイツ魔女入りグリーフシード孕むからその処分だけ気を付けるのよ」

870 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 00:24:37.66 m/RrKYFAO 440/1642

織莉子「ふざけてるわ……」

キリカ「しかし現実だね。どうする、織莉子。論理的には使った方が効率は良いけれど、倫理的には遠慮したいなぁ」ポリポリ

ほむら「あら、意外なのね。ネジがまだ残っていたの、アナタ」ホムリ

キリカ「いいや、とっくの昔に全部弾けとんださ……いいよ、なら私からやろう。付けてくれる?」ヌギヌギ

ほむら「……随分、何と言うか、スレンダーなのに胸が……」ホムゥ……

織莉子「あ、ぁ……」カァ

キリカ「ほら、早くしてよ」ズイ

ほむら「はい……どうかしら」

キリカ「普通だね。まぁ変な形は嫌だけど」

QB「う……キリカ、まさか……」

キリカ「あ、心配しないで。初めてだから加減が分からないだけだから」

QB「ひっ、うわぁっ!」ズリズリ

ほむら「こら、逃げるんじゃないの。ほら、押さえてるから早く」グイッ

871 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 00:32:50.83 m/RrKYFAO 441/1642

QB「やめてぇ……怖いんだよ……?」ウルッ

キリカ「こりゃ気分いいや。まぁ、テキトーによがってよ」ズップンッ

QB「かっ――」パクパク

ほむら「はいうしろー」ヌププ……

QB「あ――は――」クタァ

ほむら「あ、良い感じの緩み」ヌッコヌッコ

キリカ「あぁ、なかなかだねこれは……くふふっ」ニュプニュプ

872 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 00:40:13.58 m/RrKYFAO 442/1642

織莉子「……あっ、あのっ……」

ほむら「ん?」ヌコヌコ

QB「あっ、あっあっ……」ポケー

織莉子「あの……私も、その……」モジモジ

キリカ「織莉子も付けれるかい?」

ほむら「もちろん。それっ」ポムッ

織莉子「わふっ……」ギンギンッ

キリカ「わぁお……さっすが織莉子」

織莉子「はっ、はぁぁっ……キュゥべえ、口開けてっ!」ヌポッ

QB「むっ!?……むぐぅ……」チュプチュプ

織莉子「あぁっ、凄い……っ」ビュルビュル……

QB「んく……ぷあっ」プハッ

織莉子「何で止めるのっ!?」ヌポンッ!

QB「んっ!?んー!んぅー!」

織莉子「はぁっ、はぁっ……」ペタンペタンペタンッ

ほむら「んっ……出る……」トプンッ

キリカ「あー、きもちー」ヌップヌップ

QB「うぐ……うぅ……」ポロポロ

873 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 00:49:49.70 m/RrKYFAO 443/1642

キリカ「こりゃ役に立つね……あー……出る」ドクドクッ!



『役に立つなぁ』



QB「――!?」ビクンッ

ほむら「あ、イッた?」ヌグヌグヌグッ!

QB「むー!?むぅー!!」ビクビクンッ!

織莉子「すわ、ないでぇ……あはぁ」ビュルッ

織莉子「はわぁ……」トローン

ペタンッ!

織莉子「飲んで……飲んでぇ……」トップトップ

キリカ「織莉子、可愛い……」チュッ

織莉子「キリカ……」チュッ……

ヌポヌポ……

ほむら「(でも腰は止まらないのよね……締まりが何か物足りないわね、乳首でも弄りましょうか)」ツネッ

QB「――っ!!」

ほむら「おー……跳ねてる跳ねてる」ニュプニュプ



『早くしないと来ちゃうよ』



QB「――――」ゾク

織莉子「ふう……」ヌルンッ

QB「う……織莉子?」ハァハァ


――もういいのかい?

874 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 00:58:37.82 m/RrKYFAO 444/1642

織莉子「へ?」



『ねぇ言って?そしたら興奮して早く出せるからさっ』



キリカ「(指で口を広げた?)」

QB「らひて?ベアトのおくひのらか、ヌポヌポッて、つかって、いっぱいらひてぇ……おくひまんこいっぱいにひていいお?」アウー

トロー……

織莉子「――――っ!」ヌポッ!

QB「んきゅっ♪」チュウチュウッ

ほむら「(ベアト……?)」

ほむら「(――! 『ベアトリクス』ね!……インキュベーターの名称、なのかしら。偶然の一致とは思え――)」

ヌププッ

ほむら「こ、こらっ、勝手に動くなっ」ゾクッ

キリカ「あっ、あっあっあっ、あっあっあっあっあっ」カクカクカクッ

QB「もっといっぱいきもちよくなってねっ、みんなのためにガンバるよっ!」クネクネッ



『そうそう。アイツだけじゃズルいもんね』
『エロいよー、ベアトちゃん早くー』



QB「あっ、あっ、きもちいっ……あむっ」パクッ

織莉子「ああああああまた出る……」トプトプ……

875 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 01:01:36.62 m/RrKYFAO 445/1642

キリカ「ヤバい……くぁぁ」ホケー

ドクンッ!

織莉子「おかしくなるぅ……はぁっ」ヌポッ

QB「ぷはっ、にゅうぅ……おまんこじゅせーしてるぅぅ……きもちーっ!!」キュウウゥッ!

キリカ「あっ、吸わ、吸われ――」カクカクッ

ほむら「(くそっ、スイッチ入った……)あ、くぅぅ……」ドピュッ

QB「あはっ♪おしりトロトロー。えいえいっ♪」グーリグーリ

ほむら「ばっ、かぁぁぁ……!?」ドクンドクンドクンッ!!

QB「いっぱいでてるー……きもちいい?」チュッ

ほむら「やかまし――ふむっ」ビクッ

レロレロ、チュウゥゥ……

QB「……ぷはっ、ほむらトロトロー♪」ニパッ

ほむら「くっ……この」キッ

QB「あは、ほむら固くなってるー♪」

織莉子「キュゥべえ、早く……」ハアァッ……

QB「あーん、ろーぞ?」クパァッ

織莉子「ふぅっ……」ガシッ

QB「むぅ?」グイッ

織莉子「あああっ」ガポガポガポッ!!

QB「んふっ、んぐぅっ!」ガクガクガクッ

キリカ「あ、しまるぅ……」パパパパパンッ!

キリカ「くぅ……孕めぇ……っ」トプントプン……

876 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 01:03:04.88 m/RrKYFAO 446/1642

織莉子「くふっ」ニュポンッ

織莉子「……あれだけやっておいてなんだけど……キュゥべえは苦しくないの?」

QB「きもちーよっ、おりこのおちんちんがボクののどゴリゴリッてすると、ボクいっぱいきもちよくなっちゃうっ」アーン

QB「もっとしてぇ……」トロン

織莉子「……」チラッ

キリカ「……変わるかい、織莉子?」ハァハァ……

織莉子「っ」ガバッ

キリカ「わっ……あぁ、なるほど。ほむら、外してー」

ほむら「……」ピッ

キリカ「オッケー……初めてだから、ゆっくりね?」ニコ

織莉子「き、キリカ……ああっ」ズププ……

ほむら「始まっちゃったわね……ま、そんな気してたけど」フゥ

877 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 01:05:11.23 m/RrKYFAO 447/1642

ほむら「二人のソウルジェム輝いてる……完璧に出しきったのね」ホムッ

QB「ねーほむら、むかいあってしようよ。それでボクのおまんこにたねづけするのっ」ニパッ

ほむら「……なんか癪ね」ニュプッ

QB「あはぁっ♪ほむらのたねづけチンポきたぁっ!」ダキツキッ

ほむら「あっ……こらっ」

QB「せーしっ、せーしっ、しゃせーっ、しゃせーっ!」クチュクチュクチュッ!

ほむら「あっ、あぁっ」グップグップ

QB「んー♪」グリグリ……

グボッ

QB「あはぁぁぁっ♪ほむらのおちんちんダメなとこはいったぁ♪」ポヤン

QB「ねぇほむらぁ……おかーさんにしてよぉ……♪」シナッ

ほむら「っ……この淫キュベーター!」ドックン!

QB「あはぁ」ゾクゾク

織莉子「キリカ、キリカっ」ペッタペッタ

キリカ「織莉子、おりこぉ……」チュチュッ

878 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/23 01:07:24.49 m/RrKYFAO 448/1642

――――ほむら宅、寝室、その後

キリカ「くぅ……」スヤスヤ

織莉子「すぅ……」クゥクゥ

QB「きゃうんっ♪」ビクンッ

ほむら「んっ……」ブルッ

QB「はぁ……ほむらのせーしいっぱぁい……」ホケー

ほむら「……貴女、何で事に及ぶと、そんなに性格変わるの?」ヌヌヌ……ニュポッ

QB「へぇ……?」ポワン

QB「だって言ったじゃないか……そっちの方がエッチだって……」

ほむら「……何の事?」

QB「――――あれ、何だっけ。何だっけ……」

QB「何処かで……?」

ほむら「…………インキュ、ひゃっ!?」ゾクッ

QB「どーでもいいや、きもちいーし」ペロペロチュパチュパ

ほむら「あっ、くぅ……」ビュビュッ

890 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 00:58:44.69 O+qPab8AO 449/1642

――――ほむら宅、翌朝

織莉子「うう……ん?」ムクッ

織莉子「……」クシャ

織莉子「寝てしまったのね……髪がクシャクシャだわ」フワァ……

織莉子「それに何だかカピカピ……後始末はちゃんとしなきゃいけないのね」ハァ

QB「むにゃむにゃ……」スースー

キリカ「うぅ……織莉子?」ネムー

織莉子「そうよ、キリカ」

キリカ「あぁ……昨日はうす暗かったから良く分からなかったけれど、股に血が付いちゃってるや」

織莉子「……今更ながら、申し訳なくなってくるわ」シュン

キリカ「構わないよ。キミに抱いて貰えるなんて本望極まりないよ」ニコッ

キリカ「ところで、部屋の主が見当たらないけれど……」キョロ

織莉子「そうね……あ、書き置き?」カサッ

891 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:00:37.64 O+qPab8AO 450/1642

目が覚めたらシャワーを浴びると良いわ。
気になるならキュゥべえも湯船に叩き込んでおいて。

朝食にサラダとサンドイッチを用意しておいたわ。
リビングのテーブルにラップをかけて置いてあるから、良かったら食べて。

私は学校に行っているから、戸締まりをお願いしたいわ。
玄関の鍵がサラダのお皿の脇にあるから、出る時に閉めてポストに入れておいて。

貴女たちと時間を取って話せて良かったわ。
願わくばお互いの行く道が、お互いの行く手を塞がん事を。

暁美ほむら



織莉子「……やっぱり、よく分からない人間ね」

キリカ「私らが学校行ってないのも、知ってるのかなぁ?」

織莉子「さぁ、どうでしょうね……お風呂、借りましょうか」

キリカ「キュゥべえは?」

織莉子「……起こしましょう。見ていて痛々しいくらいドロドロだもの」

キリカ「見た目に似合わず情熱的なんだね、暁美ほむらは。ほらキュゥべえ起きなよ」ユサユサ

QB「うぅん……」ムニャ……

892 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:04:21.07 O+qPab8AO 451/1642

――――前衛的な風呂

キリカ「……彼女は何時の時代を生きているんだろうね」ポカン

織莉子「遥か未来ではないかしら……しかし広いわ」アゼン

QB「これはマーライオンだね。見覚えがあるよ」

織莉子「湯船に浸かるのは身体を流してからにしてくださるかしら……ほら座って」ザバー

QB「きゅっぷぷぷぷぷいっ」プルプルプル

キリカ「こら、頭振るなよぅ……」コシコシ

893 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:05:57.24 O+qPab8AO 452/1642

――――カポーンという音とは一体。

織莉子「湯船にお湯が予め張ってある辺り、暁美ほむららしいと言うかなんと言うか……」ハフゥ……

キリカ「一宿の恩を感じるね。それだけだけどさ」ノビー

QB「決して一飯ではないんだね」プカプカ

キリカ「あぁそうだ。私たち何も口にしてないや」

織莉子「(……結局聞きそびれてしまった)」

織莉子「(暁美ほむらの話を信じるなら、既に暁美ほむらは酷く失敗してしまっている)」

織莉子「(暁美ほむらは『貴女と私の目的は同じ』と言った。それは多分、『鹿目まどかを魔女にしない』と言う意味……)」

織莉子「(確かにあの力なら……いや、しかし……妙に引っ掛かるのは何故?)」

織莉子「――――っ! そうなのね、暁美ほむら……っ!」ギリッ

キリカ「ど、どうしたのかな?」

織莉子「キリカ、暁美ほむらはやはり敵よ。彼女、この世界にとっくに見切りを付けてる……」

QB「ふむ、成る程……なら暁美ほむらは時間逆行者かい?」

織莉子「……何か心当たりでも?」

QB「いや何、些細な事なんだけれどね」

QB「彼女、まどかが魔法少女になるのを阻止しに来なかったんだよ」

894 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:07:10.89 O+qPab8AO 453/1642

織莉子「彼女はその時点で既に諦めていた、と言う事ね……」

キリカ「つまり?」

織莉子「暁美ほむらは今私たちがいる世界なんて、どうでもいいのよ……なら何故未だにこの時間軸に残っていた……?」ハッ

ほむら『貴女に――』

織莉子「――やられた。彼女の目的はインキュベーターの情報収集。ならもう用が……急がなければ!」ザバァッ!

キリカ「何を始めるんだいっ?」ザバッ

織莉子「……キュゥべえ。暁美ほむらが魔女になる可能性は?」

QB「限り無くゼロに近いね。彼女の精神は絶望に慣れきってしまっている。強いていうなら今既に魔女なのかもしれないね」

織莉子「なら、貴女に利益は無い……無くなっても構わない」

QB「勿体無いとは思うけれど、まぁ、そうだよ」

織莉子「キリカ、動きましょう」

キリカ「成る程、私にも分かったよ――」





「暁美ほむらを殺すんだね」


895 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:09:59.79 O+qPab8AO 454/1642

――――道すがら

織莉子「インキュベーターの気配は?」ヒソッ

キリカ「……無いね。でも、ちゃんと分かってるよ」ニコ

キリカ「鹿目まどかも始末するんだろう?」

織莉子「えぇ。幸い鹿目まどかはこちらの事情を知らない。無事に会えた暁美ほむらを見て、気も緩んでいるでしょう」

織莉子「昨日の今日……仕掛けるなら今しか……」

キリカ「でも、こうなる事も読まれているかもしれない。今考えればあの書き置きの文章も、不自然だと感じるね」

織莉子「道を違えているのは百も承知……随分と暁美ほむらは皮肉屋なのね」

896 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:10:59.08 O+qPab8AO 455/1642

キリカ「学校に着いたら?放送室でも乗っ取ってジャックライブでもするかい?」ニヒヒッ

織莉子「……いえ、唐突に。本当に、いきなり仕掛けるわ。暁美ほむらに対して小細工はやめましょう。幾ばくかの犠牲は、やむを得ない……」

キリカ「結界を張れば良いんだね?」

織莉子「……本当に出来るの?」

キリカ「巴マミが出来るんだ。キミの為に私が出来ない訳がない」ニッ

織莉子「消耗を考えると、時間も余り無さそうね……暁美ほむらが上手く掛かってくれるといいのだけれど……」

織莉子「(いや、掛ける……暁美ほむらは確実にこちらに気付いている……だけど、こちらがそれに気付いているとは、思ってのかしら?)」キッ

897 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:12:16.41 O+qPab8AO 456/1642

――――学校、朝礼前

中沢「よう上条、体の具合はどうだ?」バシッ

上条「もう大分良くなったよ。リハビリも兼ねて、自力で学校に来ているんだ」

中沢「そりゃ良かった。いやぁ、随分ヤバい怪我だったと聞いてたんだけどな……そりゃあれだけ熱心に介護されてりゃ治りますか」ニヤリ

上条「何の事だい?」ポケッ

中沢「おいおい惚けんなって。知ってるぜ、ほぼ毎日……おっと、声がでかいな」ヒソッ

中沢「ほら、美樹の奴がお前んとこに見舞いに行ってるって話だろうが」

上条「あぁ。さやかはそんなんじゃないよ。僕とさやかは幼なじみだからね」

中沢「はぁ……こりゃあ美樹も報われないんだろうなぁ……」アキレ


さやか「(恭介、何話してるんだろ……?)」

まどか「さやかちゃん、行かないの?」

さやか「……ううん、今はいいや」フルフル

仁美「…………」

ほむら「(中沢君はスペック高いわね。精神的な)」ホムッ

898 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:13:24.72 O+qPab8AO 457/1642

――――授業中

ほむら「……来たわね」

早乙女「暁美さん? 気分でも悪くなったのですか?」

ほむらは何かを感じとり、椅子から立ち上がった。
それは紛れも無く、二人の魔法少女の気配。

結界が、校舎を包み込んでゆく。

さやか「な、なっ!?」

まどか「ほ、ほむらちゃん。これ――!?」

二人も異変を感じ取ったのか、何かに対して身構える。
結界が命を奪う事は、嫌でも知っているのだから。

ほむら『マミ、杏子、ゆま!!』

しかし暁美ほむらは不敵に笑う。
この展開は読めていた。
故に、対策を用意しているのは必然。

テレパシーで三人の魔法少女に連絡を取る。

899 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:14:47.37 O+qPab8AO 458/1642

校舎は三階建てだ。
マミの教室は三階。ほむら達の教室は二階。
手薄な一階には杏子とゆまが待機していた。

マミ『来たわね……』

ほむら『えぇ、作戦通りに』

杏子『さて、いっちょやってやりますかね』

ゆま『ひとだすけ、だね!』

ほむらに取って、この作戦の結果は別に大した意味を持たない。
しかし、パーフェクトに達成すれば――それは、織莉子を説得する上での材料と成り得るのだ。



結界が張られてしまった。



ほむらは教室内の二人に向かって叫ぶ。

ほむら「――皆を避難させるのよ!」

早乙女先生の肩に張り付いた使い魔が、まどかの放った矢によって爆ぜるのと同時だった。

900 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:16:53.21 O+qPab8AO 459/1642

――――阿鼻叫喚の校舎、逃げ惑う人々、三階

「ひ、ひぃぃ……助け――」

マミ「伏せて!――ティロ・フィナーレ!!」

マミが必殺の祝詞を挙げると、意思を持ったかの様な、多数のマスケットが一発として外す事無く使い魔を貫いた。

逃げる使い魔は追って撃ち抜き、迫る使い魔は羽が撃ち払う。

孤軍奮闘を任されるべき強さであった。

「と、巴さん……?」

マミ「さ、早く立って逃げましょう。皆の行った方へ逃げるのよ?」

「あ、ありがとうっ!」

少女を見送って、マミはマスケットで背後に近寄る使い魔を叩き潰す。

マミ「数だけはご立派なんだから……」

彼女のガントレットは、鈍く輝いていた。

901 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:18:32.75 O+qPab8AO 460/1642

――――阿鼻叫喚の校舎、逃げ惑う人々、一階

杏子「ほいさ、ほいさ、ほいさっさぁっ!!」

ゆま「よいさ、えいさ、ほいさっさー」

一階には教師と一年生が居た。
一番結界外へと早く辿り着ける場所である。
故に、杏子達が使い魔を相手しているだけで、自ずと一般人は出口に向かう。

久々の大暴れに杏子は少しばかり昂る心を抑えきれていないようだった。

「きゃっ!?死――」

杏子「残念、死ねないよ」

槍で女教師に飛び付こうとしていた使い魔を串刺しにして破裂させる。
杏子は自然な笑顔でその女性に手を差しのべた。

杏子「立てるかい?」

「は、はい」

杏子「そりゃ上々だ。この悪い夢の出口はあっちだ。しっかり目覚めるんだよ」

「あなたは――」

杏子「アタシは、通りすがりの――」

鎖となった得物が周囲を薙ぎ払う。
杏子を包囲していた使い魔らが一斉に細切れになった。

杏子「――うーん、シスター、って事にしといて。ほら、行きなっ!」

「は、はいっ」



――数が多いな。

杏子はそう思った。
ジリジリと使い魔たちとの距離が詰められていく。
ゆまと背中合わせにそれらと対峙していた。

杏子「へっ、見ろよ親父。アンタの娘の魔女は、人助け真っ最中ですよってな」

ゆま「頑張ろうね、キョーコ」

杏子「もちろんだ――佐倉杏子、推して参るっ!」

902 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:20:04.14 O+qPab8AO 461/1642

――――阿鼻叫喚の校舎、逃げ惑う人々、二階

まどか「早く、みんな逃げて!」

早乙女「鹿目さん、あなた……?」

さやか「まどか、マズいよ……私達が魔法少女だってバレたら――」

さやかのその保守的な言葉は、

まどか「私たちは、魔法少女だよ!」

まどかの一言に掻き消される。
さやかの目は、ここに至ってようやく覚めた。

ほむら「行けるわね?」

さやか「――もちろん!」

教室内に三人の魔法少女が降り立つ。
それを唖然と眺めるクラスメイト達。

上条「さやか……? うわっ、なんだコイツ!」

上条恭介に張り付いた使い魔は、今にもその左手を喰い千切ろうとしていた。

さやか「恭す――」



中沢「中沢パンチィィィ!!」

使い魔「きゅっ」

中沢「中沢キックゥゥゥ!!!」

使い魔「きゅうっ」

中沢「中沢パワーボム!!」

使い魔「ぷぎゅっ!」

使い魔が上条の腕から間一髪のところで剥がれ落ちる。
ほむらもこれには唖然とするしかないようだ。

ほむら「(……中沢さん凄い)」

903 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:20:59.77 O+qPab8AO 462/1642

さやか「どりゃあっ!!」

まどか「えいっ!」

さやかとまどかの二人は、教室の外――廊下の安全を確保していた。
使い魔程度では、因果圧縮の影響を受けた二人を止める事など出来ないのだ。

中沢「暁美さん」

ほむら「へっ?」

急に話し掛けられて少し動揺するほむら。
中沢の表情は真剣だった。

中沢「キミらが何なのかは知らない……けど、この状況を打破しうるんだろう?」

ほむら「……そうよ。貴方達を無事に外に逃してあげるわ」

中沢「出口があるんだね?」

ほむら「えぇ、さやかとまどかが案内してくれるわ」

中沢「そうか――皆、避難しよう!先生!」

早乙女「あっ。み、皆さん、先生に着いてきて下さい!」

先生の指示に従って、怯えるばかりの生徒達はこぞって廊下へと飛び出した。

ほむら「まどか、さやか!皆を援護しながら結界の外へ!」

まどか「任せてっ」

904 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:23:53.64 O+qPab8AO 463/1642

まどかとさやかが使い魔の群れを切り開いていく。
当然、生徒達の中には上条恭介や志築仁美もいて。

仁美「さやかさん、まどかさん……?」

上条「さやか……?」

まどか「エヘヘ……バレちゃったね、さやかちゃん」

さやか「……後で話すから、今は逃げる事だけ考えて」

上条「……分かったよ。怪我しないでね、さやか」

上条と仁美は先生に着いて走っていった。

さやか「……よっし」

さやかの笑みが、上条恭介の与えた力なのだろうか。



中沢「……よし、バットがあった」

ほむら「貴方も早く逃げなさい」

中沢「殿をやるんだ。手ぶらじゃ怖いさ。誰もやりたがらないだろうし」

ほむら「……へぇ。ふふっ、意外な一面を見た気分ね」

中沢「隣の中沢君、よろしくな」

ほむら「……なら、貴方にこれを渡しておくわ。困ったら使いなさい。ピンを引くだけでいいわ」

中沢「手榴弾……はぁ、世界は訳が分からない事に包まれているんだなぁ……ありがとう、暁美さん」

中沢はそれだけ言って、生徒達の一団の最後尾に着いた。
近寄ってくる使い魔をバットで打っているのが、ほむらには微笑ましくすら思えた。

ほむら「あれくらいの根性があれば、上条恭介もいっぱしだろうに……」

ほむら「さて、私は私の仕事をするとしましょう」

そしてほむらは屋上へと駆ける。
結界の主の気配がする、最上の階へと。

905 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:25:07.20 O+qPab8AO 464/1642

――――静かな校舎、魔法少女二人、屋上

ほむら「…………」

織莉子「……来ましたね、暁美ほむら」

ほむらが屋上に辿り着くと、そこには織莉子とキリカが佇んでほむらを待っていた。

ほむら「(見た所、罠も仕掛けていないようね……甘いわ)」

キリカ「一人かい?他のお仲間達はどうしたの?」

ほむら「貴女達なんて私一人で十分よ。結界を張ったのが運の付き――」

言いながらほむらが自己を解放しようとして、目前に迫ったキリカを知覚した。

爪での斬撃を済んでの所で躱すほむら。

ほむら「くっ――」

キリカ「そんなのさせる訳ないないない!! 当たり前に当たり前だ!」

爪がほむらの脇腹に突き刺さる寸前、ほむらは時間を止める事が出来た。

ほむら「……なかなか。だけど、致命的。能力が私の劣化過ぎるのよ、貴女」

ほむら「銃弾は撃ってから弾丸が停止する。故に回避の時間を与えてしまう。ならどうするか分かる?」

時の止まったキリカに話し掛ける。
右手は強く握り、大きく振りかぶって。

ほむら「時間を止めて、物理で殴る!」

身体能力を限界まで引き上げたそれ。

ほむらの手が触れた瞬間に、キリカの時間だけは動き出した。

906 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:25:52.92 O+qPab8AO 465/1642

キリカ「かっ――」

拳はゆっくりと、キリカの頬にめり込んでいく。

ほむら「貴女に足りないのは、優雅さ美しさ気品しなやかさ……そして何よりも――」

時間停止を解除する。
織莉子の時も動き出した。

ほむら「――速さが足りない!!」

そしてキリカの身体は常識を塗り替える勢いで、吹き飛んだ。

壁に叩き付けられる音が、鈍く重い。

織莉子「キリカっ!?」

キリカ「――大丈夫だよ、こんなダメージかっぱっぱさ!」

907 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:26:23.10 O+qPab8AO 466/1642

軽口を叩きながら立ち上がるも、キリカの足は震えていた。

地団駄を踏んで、キリカはそれを圧し殺す。

織莉子「援護するわ、キリカ!」

キリカ「オッケー、全速全開フルブーストだっ!!」

織莉子が光の玉を放ち、その間を塗って猛スピードで接近するキリカ。

ほむら「懲りないのね」

ほむらは再び時間を止めようとする。






それは命取りだというのに。

908 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:28:20.25 O+qPab8AO 467/1642

キリカ「(キタっ!)」

キリカには策があった。

暁美ほむらは安定と安全を求める。
だから最初にあの因果圧縮とやらを使ってくるのは読めていたのだ。

それは全力で阻止する。
これによって暁美ほむらに無意識下で『潰される技は容赦無く潰しにくる』と思わせた。

次に、時間停止の攻撃を受ける。
能力的に、キリカはほむらの劣化である事は明らかだった。



これがいけない。



ほむらが放った一撃は、ほむら自身に『これなら通る』『潰されない』と思わせてしまった。
自分の能力に信頼を置いてしまった瞬間でもある。

故に、キリカらが次に放った自棄にも見える一撃にも――『同じ選択肢を取ってしまった』。

ほむらがその選択をして時間を止めようとする、一瞬。



一瞬さえあれば、キリカには十分なのだ。

909 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:28:58.49 O+qPab8AO 468/1642

あの『全開』という言葉さえ、その為のブラフ。

キリカ「ホントの、全開っ!」

極限まで引き延ばされた、一瞬。
その中でキリカは言った。

キリカ「織莉子の為なら――刹那すら、永遠にしてみせる」

ほむらがキリカの企みに気付いて、ゆっくりと動く。
ほむらのソウルジェムを狙って、キリカは爪を――



キリカ「キミの時間は私のモノだ、暁美ほむら」



降り下ろした。

910 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/26 01:30:09.47 O+qPab8AO 469/1642

――――

一瞬の油断で、命を落とすのだ。

暁美ほむらは再び噛み締めた。

咄嗟に出した拳銃が爪を弾き、反れた爪先はほむらの左腕を肩から切り落とした。

ゆっくりと、盾とソウルジェムごと落ちてゆくソレ。



ほむら「マズ――」

キリカ「まだだっ!!」



キリカが腕を前に振ると、爪だけが矢の様に空を裂き――ほむらの左腕を突き刺しながら遠くへ飛んでいった。

ほむら「なっ――」

織莉子からすれば瞬く間の出来事で、彼女らからすれば長い攻防だった。

ほむらの左腕を連れた爪はしばらく飛んで、そのまま結界内の壁に突き刺さった。



距離はおおよそ100メートル強。



ほむら「(――みんな、頼ん、だ、わ、よ――)」

ほむらは薄れゆく意識の中、それだけ思考して――事切れた。

933 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/28 01:27:29.64 pQZtojFAO 470/1642

――少し前、校舎、二階。

さやか「――オッケー、これで全員だね!」

まどか「みんな一階に行ったみたい……うん、気配もしないよ」

マミ「三階も全て殲滅したわ。私は一階に行って佐倉さんの援護に向かうわね」タッ

さやか「しっかしほむらのやつ、何処に行ったんだろう……人に任せっきりでさ」ムゥ

まどか「あと行ってない所は……屋上だね。もしかしたらそこに居るかもしれないよっ」

QB「ダメだ。行ってはいけないよ、まどか」ヒョコッ

まどか「キュゥべえ?」

さやか「なんでよ。もしかして誰か居たらどうすんのよ」

QB「その『誰か』がいるから問題なんだ。織莉子達だよ、この結界を作り上げたのは」

さやか「っ、アイツらやっぱり!」ギリッ

QB「今ほむらが交戦しているけど、キミたちが行くのは危険だ。キミたちが死んでしまってはいけないよ」

まどか「で、でもほむらちゃんが危ないよ!さやかちゃん、行こうっ!」タッ

さやか「分かった!」ダッ

QB「……マズいね。まどかまで始末されてしまっては、折角の大量のエネルギーが台無しだ。やれやれ……」トテテッ

934 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/28 01:28:12.90 pQZtojFAO 471/1642

――――屋上。横たわるほむらのシ体。

織莉子「やったわね……一番の問題点を突破出来たわ。後はソウルジェムを砕くだけよ、キリカ」

人心地着いたのか、織莉子は深く溜め息を吐いた。
暁美ほむらの無力化は、彼女にとって大きなターニングポイントである。

キリカ「了解だよ織莉子。念入りに潰しておくから待ってて」

ゆっくりと、ほむらのソウルジェムへと歩くキリカ。
足音が静かな空間に、不気味に響く。

キリカ「しかし100メートル以上、ソウルジェムを身体から離さなければならないのも面倒だなぁ」

くつくつと、笑いを抑えられない様子のキリカ。
彼女にとって、殺人など取るに足らない要素なのだ。

織莉子はしゃがみ込んで、横たわるほむらの顔を見る。
目を閉じ、ただ眠っているようにも見えた。

935 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/28 01:28:53.02 pQZtojFAO 472/1642

織莉子「……貴女はきっと、遥か遠くを見ていたのでしょうね」

ほむらの頬に手を当て、こちらに向かせる。
鼓動など無くて。

織莉子「でもそれではダメなの。それでは足元の花を踏み潰してしまう」

織莉子「貴女にとっては些細な命かもしれない。でも、だからといって、黙って弄ばれる理由にはならない」

織莉子がほむらの身体に語り掛けるそれは、まるで懺悔。

殺す事に対しての告解。

だが、その行為は許されない。
乱入者の、弓射によって妨げられる。

織莉子「な――」

織莉子の予知能力でも間に合わないレベルの、キリカの遅延魔法が無ければ避けられなかったレベルの、攻撃。

鹿目まどかが弓を強く、強く引き絞っていた。

936 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/28 01:29:58.86 pQZtojFAO 473/1642

キリカ「っ、どこから――?」

「後ろ」

キリカ「え?」

キリカが背後の声に振り返ると、其処には激昂したさやかが剣を振りかぶっていて。

キリカは咄嗟に爪を重ねてそれを受け止めた。
接触した瞬間、圧倒的な破壊の意志が両腕を軋ませる。

キリカ「ちっ!?」

キリカはさやかから距離を取り、織莉子の傍らで、騎士の如く構えた。

さやかは覚束ない足取りで、まどかに近寄る。
それはまどかを護衛するとかでは無く、ただ単に前衛と後衛だから。

倒す為に。

さやか「ねぇ、まどか」

まどか「なぁに、さやかちゃん」

さやか「ほむら、死んでるのかな」

まどか「きっと大丈夫だよ。マミさんなら治癒の魔法も使えるし」

さやか「かなぁ。もしダメだったらどうしようか」

まどか「うーん、分かんないや。とりあえず、今は、ね?」

さやか「うん。そうだよね」

空気が震えている。
織莉子は光の球を展開し、キリカは遅延魔法の強度を上げた。

まどか「よくも、ほむらちゃんを――」

さやか「――殺したなぁぁぁぁぁっ!!!」

937 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/28 01:31:36.10 pQZtojFAO 474/1642

轟音がして、キリカはそれがさやかが地面を蹴った音だと気付く。

遅延魔法は掛けていた。
しかしその上で、さやかは並みの魔法少女程度の速さでキリカに斬りかかる事が出来ている。

キリカ「バカ、バカかぁっ!?」

キリカはその剣閃を捌ききるだけで手一杯だった。
暁美ほむらの場合は明確な隙が合ったが、美樹さやかはそうではない。

身体動く限り、彼女は止まる事をしないだろう。

稲妻より速く、弾丸より重く、その上切っ先は鋭い。
致命の一撃でない一撃が存在していないのだ。

さやか「うぉぉ、おぉ、おぉぉぉぉらぁぁぁぁぁ!!!」

キリカ「へ、へへへっ、やるねぇやるよぉ、面白いねっ!!戦ってる時は元気じゃあないか、姉妹(きょうだい)!流石恩人、凄いよぉっ!」

キリカは、故に心踊る。
こんな敵を織莉子に近づけてはならない。
その敵を排除出来ると言う、最高の愉悦を感じているのだから。

938 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/28 01:35:10.88 pQZtojFAO 475/1642

織莉子「死になさい、鹿目まどか!」

織莉子の光球がまどかに向かって飛来する。
時間遅延の魔法は織莉子には掛かっていない。
まどかの動きも予知出来る、だからまどかがいくら弓を引こうと矢は当たらないのだ。

ゆっくりと、確実に仕留めるれるはず――

その考えは、しかし甘い。

光の球を全て射抜き落として、尚且つまどかは二射ほど織莉子を狙って放ったのだ。
驚愕と共に、それを半身になって織莉子は躱す。
服に少し、擦り跡が描かれた。

織莉子「――化物」

その余りの力に、織莉子の顔には引き攣った笑みが張り付く。
汗は当然冷えていた。

まどか「なんでほむらちゃんを殺したの?」

まどか「ほむらちゃんが何をしたの」

まどか「答えてよ」

まどか「応えて」

まどかが番えた矢は太く、引き絞った弓弦はギシギシと悲鳴を上げていた。

織莉子「……彼女は貴女を守る為に死んだ」

織莉子「――世界を絶望に追いやる、貴女を!!」

まどか「――く」

まどかの周囲全てを光の球が眩く照らす。
数えきれないそれらを見て、だがまどかは揺るがなかった。

939 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/28 01:36:12.66 pQZtojFAO 476/1642

織莉子「瞑れて、潰れなさい!」

全方位からアトランダムに体当たりを仕掛けてくる光の球。

だが、無駄なのだ。
鹿目まどかは、普通の魔法少女ではない。

まどかは、まず最初の光球を、くるりと回って避けた。

迎撃。
回避。
身体を捻る。回避。
空中で半回転。回避。
逆さまのまま三射。命中、迎撃。
着地。
バック転。回避。
弓を杖に。
杖を使って、優雅に踊る。迎撃。迎撃。回避。迎撃。迎撃。

回避。回避。迎撃。回避。

織莉子「潰れろ――潰れろぉっ!!」



まどか「…………えへへっ」



織莉子に寒気が走った。

自棄になって光の球を操り続ける。

回避。回避。回避。嘲笑。

迎撃。

回避。回避。回避。回避。回避。

回避回避回避回避回避回避回避。

回避回避回避回避回避回避回避回避回避回避回避回避回避回避。



織莉子「何故、何で――」

まどか「だってね」

織莉子「っ」

まどか「身体が勝手に動くから」

全てを躱し、息すら切らさず鹿目まどかはそこにいた。

勝てない、一人では。

織莉子がようやくその現実を思い至って、キリカを強く呼ぶ。

織莉子「キリカ――!」

キリカ「もちろんさ、織莉子」

940 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/28 01:37:29.16 pQZtojFAO 477/1642

さやかと斬り(ころし)合っていたキリカが、鍔競り合いしていたさやかの剣を弾いて大きく織莉子へと跳躍する。

キリカ「マズいね。どうやら暁美ほむらを過大評価していたようだ。身体的なスペックは、彼女らの中では寧ろ低めのようだったらしい」

織莉子「あの剣士に、鹿目まどか……特に鹿目まどかの方は、ただでは勝てないわ」

キリカ「なぁに、もう少し待ってよ」

キリカが意味深な笑みを浮かべる。
キリカが織莉子を守る様に前に立って、そして理由を理解した。

織莉子「――キリカ、貴女ソウルジェムが……」

キリカ「もうすぐで濁りきるからさ、そこから二人でアイツらを片付けよう。ね?」

織莉子「……ありがとう、キリカ。必ず、成し遂げて見せるわ」

さやか「何ごちゃごちゃ話してんの?」

さやかが織莉子に鋭く剣を叩き付ける。
キリカは織莉子を突き飛ばしてそれに爪を絡めた。

941 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/28 01:38:05.97 pQZtojFAO 478/1642

キリカ「門も無いし、建家も無いけど、私は織莉子の門番だ!」

力を入れて、さやかを投げ飛ばす。
さやかはその勢いで一回転してふわりと着地した。

キリカ「ノックはエチケットだ!ピッキングはお断りだ!押し売りは――」

キリカの全ては織莉子の為に。

キリカ「――門前払いに決まってるんだよぉ!!」

激しく打ち合う前衛。
キリカが魔女になるまで、あと僅か。

942 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/28 01:39:16.92 pQZtojFAO 479/1642

『――さん!』

まどか「?」

まどかの脳裏に言葉が響く。
マミ達からのテレパシーだ。

マミ『鹿目さん!今そっちはどうなっているの!?随分大きな力を使っているよう――』

まどか「戦っています」

杏子『誰――』

まどか「魔法少女狩りの犯人です」

ゆま『何で――』

まどか「ほむらちゃんを殺したからです」

マミ『まさか、ありえ――』

まどか「今も目の前に横たわっています」

まどか「左腕がありません」

マミ『――分かったわ!出来るだけ時間を稼いで――』

まどか「無理です」

杏子『何でだよ!』

まどか「すぐ、片付くから」

マミ『早まらないで、私が行くまで待って――』

まどか「あぁもぉうるさいなぁマミさん!!!黙ってよ!アイツ殺せない!!」

マミ『――』

まどか「あ、ゴメンなさいマミさん。でもダメなんです」

まどか「私、こんな気持ちで戦うの初めてだから」

――――一階。避難完了。

マミ「……急ぐわよ、取り替えしが着く内に」

杏子「あぁ!」

ゆま「うん……っ!」

958 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:04:29.26 SpQQ9KhAO 480/1642

――――

さやか「どらあぁぁぁぁ!!」

まどか「…………」

感情は同じはずなのに、二人の反応は正反対だった。
ただ確かなのは、両人とも手加減が無いという事実だけ。

織莉子はまどかが放つ矢を避けながら、ある作戦を立てた。
と言っても、そう大層なモノではない。

あの二人にはチームワークが欠けていた。
先行して突進してくるさやかと、ただ静かに射続けるまどかと。

その点において、織莉子達は圧勝している。
ならば、キリカと付かず離れずの戦闘。これに徹するに限る。

そして、存外役に立つ――

織莉子「ふん……」

まどか「……へぇ」

――暁美ほむらの身体。
盾にする上でこんなに適切なモノはない。

キリカ「どうしたどうしたどうしたの!随分生温いね、今キミらと私らは殺し合ってんだよ!?」

さやか「くそっ、卑怯者っ!」

キリカとさやかが再び競り合う。

織莉子「戦術、と言ってもらいたいですわね」

さやか「しまっ――」

織莉子の光球がさやかに命中し爆発を起こした。

959 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:05:22.84 SpQQ9KhAO 481/1642

まどか「さやかちゃ――」

キリカ「チェックメイト」

まどか「――ん?」

先ほどまでさやかと肉薄していたキリカが、まどかの背後に現れる。

振りかぶった黒い爪は、既にまどかではどうにもならない程近くにあって。

織莉子「キングを撃つなら、まずクイーンを……」

まどかが反応し、弓を合わせようとするが間に合わない。

キリカ「チェスの鉄則さ――」



杏子「なら、ナイトを忘れてもらっちゃ困るね」



杏子の槍がキリカをその胴体ごと殴り飛ばす。
身体をくの字に追って、キリカは地面で身体を酷く擦った。

織莉子「佐倉杏子……っ」

マミ「なら私はビショップかしら?」

織莉子が杏子に向かって放った光弾が、マミの正確な射撃によって全て撃ち落とされる。

二人の魔法少女が、まどかとさやかを庇うように織莉子達の前に立ち塞がった。

さやか「う……杏子?」

杏子「大丈夫か、さやか」

まどか「……マミさん」

マミ「頭を冷やしなさい。今の貴女、まるで獣よ」

960 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:06:21.16 SpQQ9KhAO 482/1642

キリカが、自分のボロボロの身体を無理矢理持ち上げる。
顔には覚悟と、笑み。

織莉子「キリカ……」

キリカ「あぁ、マズいけど、ようやく私はキミの為に――安らかに絶望出来そうだ」



「それは困るのだけれど」



カツン、と音がして、キリカは自分の背中を見る。
暁美ほむらの左手が、キリカのソウルジェムに触れていた。

グリーフシードを握って。

キリカ「あ、あ、あ」

左腕は右腕に握られていて、当然右腕の先には――

ほむら「貴女に絶望してもらっちゃ困るのよ」

――暁美ほむらが居た。

織莉子「な、何故――はっ」

ゆま「へへ、ルークだよ!」

ほむらの左腕を回収したのはゆまだった。
杏子とマミの乱入によってゆまから気を反らせ、ゆまの怪力で左腕を圏内に投げたのだった。

ほむらの復活にさやかとまどかは面を食らう。

さやか「ほむら!?アンタ生きて――」

まどか「ほむらちゃん!!」

まどかがほむらに飛び付く。
生憎右腕は左腕を持つので精一杯なので、抱き返せはしないが。

ほむら「心配掛けたわね、まどか」

まどか「ホントに、ホントに良かったよぅ……」

ほむら達を希望が包む。
同じ分、織莉子達を絶望でくるむ。

961 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:07:12.04 SpQQ9KhAO 483/1642

織莉子「まだ、まだ――っ!?」

織莉子「(ダメ、私のソウルジェムはもう――)」

キリカ「まだ行けるよ、織莉子」

ソウルジェムの穢れを全てほむらによって浄化されてしまったキリカが、しかし諦めず構えていた。

穢れが無いという事は、また全力で戦えるという事に他ならない。

キリカ「ねぇ暁美ほむら。確かにこれで私は、しばらく魔女になれないよ」

キリカ「だけれどバカだろう?私の能力を全開にすれば、ここにいる魔法少女全てを葬る事だって出来るんだよ?」

キリカ「キミとの戦いでの消耗があればこそ、そこの美樹さやかと鹿目まどかは私に追い付けていたんだ」

キリカが爪を構える。
対してマミ、杏子が各々の得物をキリカに向けた。
遅れてまどかが弓を引き絞り、回復したさやかが剣を握り、ゆまがハンマーを担ぎ上げる。

ほむらは、何もしない。

ほむら「そうね。よっぽど出鱈目な魔法少女でないと」

キリカ「――やらせないっ!」

ほむら「みんな、二秒で良い――時間を稼いで!」

キリカは速さに任せてほむらに向かって突貫する。
だが、ほむらの復活によって彼女らには統率が生まれてしまった。
故に、キリカ一人では荷が重い。

962 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:08:15.38 SpQQ9KhAO 484/1642

マミ「いくわよ鹿目さん!」

鹿目「はいっ!」

マミとまどかが放った射撃を、

ゆま「えーいっ!」

ゆまの衝撃波が拡散させ、

杏子「よく狙えよ!」

さやか「分かってる!」

隙無くさやかと杏子が斬りかかる。
予測不能な攻撃に、ほんの僅かだけ攻めあぐねて――ほむらに翼が生えた。



ほむら「さて、王手よ」

キリカ「しま――」



キリカが、飛来した剣の雨霰に切り裂かれた。
密度が凄まじい。

キリカ「くそ――くそぉ――」

ほむら「避けられない攻撃なら、避けられないでしょう?」

ほむらが千切れた左腕にマスケット銃を構えて、右手で放つ。
その弾丸はキリカに向かって真っ直ぐ飛んでいった。

だが。

織莉子「ぐっ……」

キリカ「――織莉子!キミが盾になっちゃ意味がないじゃないか!?」

織莉子「貴女を……失うくらいなら……」

血塗れのキリカがズタズタになった身体を引きずって、凶弾に倒れた織莉子に寄り添う。

ほむらはキリカらに歩み寄り、二人に拳銃を突きつけた。

963 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:11:21.25 SpQQ9KhAO 485/1642

――――敗北と勝利と敗北

ほむら「何故こんな事を?」

織莉子「何度――」

ほむら「?」

織莉子「何度繰り返したの?」

織莉子「あと何度繰り返すの?」
ほむら「……」

織莉子「貴女が歩いた昏い道に、望んだモノに似た景色は、ないのでしょう?」

キリカ「織莉子、喋っちゃダメだ……キミにはもう魔力が殆ど無いんだ、回復も出来なくなってしまう……」

織莉子「私は……私は貴女とは、違う」

織莉子「道が昏いなら自ら陽を灯す……違う道に逃げ続ける貴女が、私を倒していいはずがない……」

ほむら「……それで納得するの?」

織莉子「何……が?」

ほむら「道なぞ誰が決めた。絶望を受け入れろと誰が決めた」

ほむら「道が無ければ自分で作る。壁が在ったら壊して進む」

ほむら「それの何が悪い。私の通った後ろが道だ」

ほむら「貴女はただ単に道に現れた壁を前に座り込んでいるだけ。それで――それで良いの?」

織莉子「私は――」

QB「キミは本当に困った子だね、織莉子」

ほむら「……インキュベーター」
織莉子「インキュベーター……」

964 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:12:27.25 SpQQ9KhAO 486/1642

まどか「キュゥべえ?」

QB「ボクの目を彼女から逸らす為に、ゆまの存在を教えたり、魔法少女狩りなんて騒ぎを起こしたんだね」

QB「しかしキミは暁美ほむらの思惑に気付いた。だからこんな強攻策に出たんだね」

QB「残念だったね。ボクとしてもまどかに死んでもらっちゃ困る。暁美ほむらには感謝しているよ」

ほむら「……それはどうも、かしらね」

織莉子「……何故、何故全てを理解して、まだインキュベーターの手の上で踊ろうとするの……?」

織莉子「私はこの見滝原を、世界を守る為に戦ってきたというのに、貴女達は――」

杏子「……」

マミ「……」

ゆま「……」

さやか「何言ってんだか。やってる事と噛み合ってないじゃん」

キリカ「美樹さやか……」ギリッ

さやか「大体――」

まどか「さやかちゃん」

さやか「……はいはい」

織莉子「――鹿目まどかは最悪の魔女になるのよ、生かしてはおけない!!」

まどか「――え」

ほむら「まどかを殺させはしない。私が」

まどか「ほむら、ちゃん?」

965 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:13:46.60 SpQQ9KhAO 487/1642

ほむら「その点では、私はインキュベーターと目的が同じ。でも、貴女とも、目的は同じなの」

織莉子「――嘘ね。貴女はこの世界での目的をもう終えたはずよ。故に私は貴女を殺そうとした」

ほむら「……何か勘違いしていないかしら?」ホムッ?

ほむら「私はワルプルギスの夜まで行くつもりなのだけれど」ホムリ

織莉子「え?」

織莉子「(まさか、本当にワルプルギスの夜を、鹿目まどか無しで越えるつもりなの?)」

ほむら「それに驚いているの。貴女とは和解出来たと思っていたのに」ショボン

キリカ「えっ、えっ?」

ほむら「貴女にだって分かっているでしょう?魔法少女のシステムが有る限り、世界に平和なんて訪れない」

織莉子「…………だけど」

ほむら「どうせなら、過去も未来も、世界全てを救済しましょうよ。貴女と私なら、それも可能になる」

織莉子「だけれど、分からない……貴女は鹿目まどか以外に切札があるって言うの?」

ほむら「……」チラッ

QB「話を続けていいよ、暁美ほむら。非常に興味深いからね」きゅっぷい!

ほむら「今は言えないわ」

織莉子「……そう」

966 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:14:49.00 SpQQ9KhAO 488/1642

ほむら「はっきり言わないと伝わらないわね。織莉子、仲間になりなさい……いえ、仲間になってくれるかしら?」

さやか「ほむら!?」

織莉子「……ダメよ。私は、関係の無い人々まで巻き込んでしまった。私は既に許されない――」



ほむら「ちなみに今回の犠牲者はゼロよ」



織莉子「……何ですって?」

ほむら「ね?」

マミ「えぇ。一人たりとも死んでないわよ」

杏子「なかなか骨が折れたがね」

ゆま「ケガした人も治したし」

さやか「……まぁ、私とまどかなら余裕って言うか」

ほむら「で、他に何か?」

織莉子「……この茶番は、全て私を手に入れる為――」

ほむら「さて?」ホムッ

織莉子「――くくっ、あはははははは!!」ケラケラ

キリカ「織莉子?」

織莉子「良いわ。どうせここで死んだ身、貴女がどのような物語を紡ぐのか興味も湧きましたわ」

織莉子「共に参りましょう。それが赦されるなら」

ほむら「礼を言うわ、織莉子」

967 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:16:25.52 SpQQ9KhAO 489/1642

――――結界の解けた学校

ゆま「治れー」ユマー

マミ「治れー」マミー

さやか「アタシ治れー」サヤカー

織莉子「なんて回復力……」

ほむら「ようやく腕も元通りだわ」ホムッ

ほむら「グリーフシードよ、使いなさい」ポイッ

キリカ「ふん……織莉子、ソウルジェムを」カツッ

織莉子「んっ……」シュウゥ……

杏子「…………よし。ほむら、終わったぜ。これで学校の奴らは一大イベントな避難訓練を開催したと勘違いするよ」フゥ

ほむら「お疲れ様。幻術も凄いのね、貴女」

キリカ「後始末までご用意か。すごいすごいねぇ、暁美ほむら」ケッ

ほむら「何とでも言いなさい」ホムン

968 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:17:45.59 SpQQ9KhAO 490/1642

さやか「しかし、すっかり死んだと勘違いしてたよアタシは。ほむら生きてたんだねぇ」ヘラヘラ

キリカ「何を言ってるんだキミは。暁美ほむらは確かに死んでたじゃないか」

さやか「はぁ?じゃあ何でほむらが今生きてるのさ」

ほむら「あ、まだ――」

キリカ「だってソウルジェムから離れたら身体が死ぬのは当然至極だろ?本体はソウルジェムなんだからさ」

杏子「――てめぇ!」ガシッ

QB「おや、意外に知っているんだね皆。少し驚いたよ」

さやか「ソウルジェムが、え?」

キリカ「私たちはとっくにゾンビなんだよ」ケラケラ

969 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/07/31 14:18:19.86 SpQQ9KhAO 491/1642

――――解散後

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「……何?」

まどか「私、魔女になるの?」

ほむら「……ワルプルギスの夜と戦えば」

まどか「……ならさ、もし、もしもだよ?」

まどか「私が魔女になりそうになったらさ……私を殺してくれないかな……?」

まどか「私、魔女にはなりたくないよ……」グスッ

ほむら「そんな事、させないわ。だから、悲しい事を言わないで」ギュッ

まどか「ほむらちゃん……」キュッ

982 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/08/01 00:46:10.93 gy00pEdAO 492/1642

――――さやか宅、その晩

さやか「……」ボフッ

さやか「キュゥべえ」

QB「なんだい?」ヒョコッ

さやか「……私は、もう人間じゃないんだね」

QB「キミたち人間の一般的な表現を使うと、『化物』という言葉が一番しっくりくると思うよ」きゅっぷい

さやか「騙したのね」ギリッ

QB「……ボクはちゃんとお願いしたはずだよ。そこに認識の違いを見出すと、キミたちはいつも『騙された』と言うんだ。全く、わけがわからないね」フゥ

さやか「魔法少女は魔女になる……そうじゃないんだね」

さやか「魔法少女は……既に魔女なんだ……」グスッ

さやか「優しいなぁ、みんな。アタシに教えないでくれたんだ」

さやか「うっ、うぅ……」

983 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/08/01 00:47:45.59 gy00pEdAO 493/1642

――――マミ宅、早朝

杏子「…………」キガエキガエ

杏子「うっし、行くか」ナデリ

ゆま「行こー」ニパッ

マミ「もう行くの?」

杏子「あぁ、昨日は飯と風呂と宿、世話になったな」

マミ「別に良いわよ。一人暮らしだし……良かったら住んでもいいわよ?」

杏子「流石にそこまで甘えられはしないよ。しないが……」チラ

ゆま「?」

杏子「……考えとくよ。サンキュ、マミ」

杏子「さぁ、さやかん家行くぜ。多分凹んでるだろうしな。マミも学校行くんなら、まどかのフォローも忘れんなよ?」

マミ「勿論よ。あの子は案外強いから、必要ないかもしれないけれど」クスッ

杏子「違いない、ははっ」コツコツ

ゆま「待ってよキョーコー」トテトテ

984 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/08/01 00:49:08.63 gy00pEdAO 494/1642

――――通学路

まどか「……」トボトボ

まどか「(ソウルジェムが、私の魂……この身体は入れ物……)」

まどか「(なんだか、ママに申し訳ないな……)」

仁美「……なんだか元気がございませんね。何かお悩みですか、まどかさん?」

まどか「う、ううん、何でもないの!」ブンブンッ

ほむら「なら良いのだけれど」ホムッ

まどか「わぁっ!?」ビクーン!

マミ「おはよう、鹿目さん」ニコッ

まどか「二人とも……」

仁美「……知らない方ですの」

まどか「あ、この人は巴マミさん。三年生で先輩だよ」

ほむら「同級生に友達がいないから登校ついでに拉致してきたわ」ホムッ

マミ「ちょっとぉぉぉ!?」ガァン!?

まどか「……ふふっ。なんだか悩んでるのがバカみたいだよ」ウェヒヒ

マミ「(ほっ……鹿目さんは大丈夫そうね)」

ほむら「(あとは、杏子。頼んだわよ)」

985 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/08/01 00:50:53.13 gy00pEdAO 495/1642

――――さやか宅、朝

さやか「……寝起き最悪」モゾ……

『いつまでショボくれてるんだい?』テレパシー

さやか「……?」シャッ



キリカ『やぁ。ちょっと外に出ないかい?』ヤッホー



さやか「アイツ……っ」ガバッ

ダダダダダッ!

ガチャッ!

さやか「アンタ、どの面下げて――」ガウッ

キリカ「わお、なんて恰好だ恩人。いくら何でも寝間着は良くないよ。女の子なんだから、身嗜みはしっかりしなきゃ……」パッパッ

さやか「え、あ、はい」ポカン

キリカ「もしかして洋服を持っていないのかい?私はキミの制服姿しか見た事が無いから、強ち嘘でもなさそうだ」アキレ

さやか「そんな事ないわよ――」

キリカ「ならその恰好はやっぱり誉められないよ。ほら失礼するよ。着替えを手伝ってあげよう。着替えさせてあげよう。着替えさせろ」ズカズカグイグイ

さやか「こ、こらっ、引っ張るなっ」

キリカ「お邪魔しまーす!……両親はお出かけ出勤と洒落込んでるようだ。なかなか都合が良い」ズルズル

さやか「ちょ、ちょっ、待ってっ」バタバタ

986 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/08/01 00:52:22.16 gy00pEdAO 496/1642

キリカ「ここがどうやらキミの部屋臭いね、二重の意味で。さてクローゼットには……へぇ、なかなか普通にお洒落するんだ。これとこれと……失礼」フニッ

さやか「へ、え?」

キリカ「ふむふむ。見た目より胸囲が自己主張している……ならこっちの服にしよう」バサバサ

さやか「あ、あぅ……」カァ

キリカ「テンション上がってキター!!」ガッバァ!

さやか「(いきなり前動作無くプラトーンのポーズ!?)」ビクビク

キリカ「ほら脱いで恩人」ヌガシヌガシ

さやか「きゃ、キャァァァァァッ!!?」パタパタ

キリカ「上着ー、ズボンー、あ、寝る時はそりゃブラ外すよね。それからパンツー」ヌガシー

さやか「速い速い!?」

キリカ「キミが遅いのさ」キリッ

さやか「無駄な魔力使ってんじゃないわよバカァァァァァ!!?」

987 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/08/01 00:55:17.24 gy00pEdAO 497/1642

――――散歩中

さやか「酷い目にあった……」テクテク

キリカ「それは誰だい?ボクにも『ヒドイメ』さんを紹介してほしいな」テックテック

さやか「……アンタと話すと疲れるわ」ハァ

キリカ「そりゃあ話すという行動自体にエネルギーを消費してるからに決まってるよ、うん決めた!」ビッシィ!

さやか「……で、何よ。悪いけど、アタシまだアンタの事認めてないから」

キリカ「認められるのがそもそも前提からして可笑しい。何様だよ、キミは」

さやか「……ケンカ売りに来たの?」

キリカ「私がこういう口調をすれば怒るのに、キミは私にそういう口調で言葉をぶつけるんだ。デッドボールの大バーゲンだよ」

さやか「……で?」

キリカ「私は恩人に個人的に興味があるのさ」カツ、カツ

キリカ「聞けばキミは好きな男の為に祈りを捧げたそうじゃないか。素晴らしい。その気持ち、まさしく愛だ!!」ジャーン!

さやか「あ、愛って……叫ぶな、恥ずかしい……」テレテレ

キリカ「私は、自分の為に願ったからね。直接、織莉子の為にはならない。キミに尊敬の意すら抱くよ」

さやか「はぁ……?」

キリカ「凄い、って事さ」

988 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/08/01 00:56:30.42 gy00pEdAO 498/1642

さやか「……誰かを助けたいと願う事が、凄い?」

さやか「当たり前の事を当たり前にして、何が凄いのよ?」

キリカ「その考えが、常軌を激しく逸脱してコースアウトだ。恩人」スタスタ



キリカ「この世のすべてがキライだった」

さやか「え……」

キリカ「ううん、興味がなかった」

キリカ「『そうなんだ』で全部返せるような、スカスカの会話。バカ丸出しの友情ごっこや恋愛ごっこ」



「あぁ、ぜんぶ、くだらない」



さやか「…………」テクテク

キリカ「そんな時、織莉子に出会った」

キリカ「きっかけは些細で、しかしくだらなくない」

キリカ「私はコンビニで財布を落としたんだ。当然お金が床に散らばってしまった」

キリカ「その時、彼女は一緒に拾ってくれたんだ。当然、知らない同士だよ?」ニコニコ

キリカ「私は、他人に優しくされる事は余り無かったけど、それだけじゃない……彼女に惹かれる何かがあったんだ」

さやか「……それだけ?」

キリカ「――恩人」ガッ、グイッ

さやか「ぐぅ――!?」ブラーン

989 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/08/01 00:57:22.64 gy00pEdAO 499/1642

キリカ「今、恩人は私を激しく侮辱したぞ。理解したか?」ギリギリ……

さやか「ご、ゴメン……ケホケホッ」ドサッ

キリカ「……キミだって、上条とやらをバカにされたら怒るだろ。それと同じじゃないかい」

さやか「……ゴメン」

キリカ「……まぁいいや。それで、あの日以来、私は街で織莉子を探すようになった」

キリカ「元々サボりがちだった学校にはもうほとんど行かなくなっていたけど、そんなことは気にもならなかった」

キリカ「ようやく見つけたのは、駅のホームでだった」

キリカ「偶然を装って声を掛けようと思った」

キリカ「一度会った事があるんだし、私の事を覚えてると思った。思ってた。でも」

キリカ「私のことなんか、覚えてるわけがない」

キリカ「何もかも興味がないなんてウソだった」

キリカ「何にも興味ないフリをして、みんなを見下したフリをして、妬んでいたんだ」

キリカ「私なんかの事を気に留めてくれる人なんて、いない」



「変わりたい――違う自分になりたい」



さやか「…………」

キリカ「それが私の願いなんだ」

990 : 伊吹 ◆LPFQRD/rxw - 2011/08/01 00:58:19.12 gy00pEdAO 500/1642

キリカ「織莉子の為に、織莉子の前に立つに相応しい、織莉子の為の私になりたかった。そうでないと、私は彼女の目すら見られない臆病な人間なんだ」

キリカ「愛する人に、恋い焦がれる人に気付かれないなんて、私には耐えきれない」

キリカ「だから、私はキミを凄いと思っているんだよ」

さやか「……だから、あんなにボロボロになっても戦うの?」

キリカ「その通りだ。いくら傷付こうと、いくら手を汚そうとも構わない。彼女の為なら、この身喜んで矛となり盾となる」

さやか「…………アタシは、そんな立派なモノじゃないな。アンタ、変なヤツだけど、よっぽど凄いよ」

キリカ「恩人?」キョトン



――――さやか宅、無人

ゆま「キョーコ、どしたのー?」

杏子「……いないのは予定外なんだけどなぁ……仕方ねぇ、そこらを探すか、ゆま」

ゆま「分かったー」



続き: ほむら「キュゥべえをレイプしたらソウルジェムが浄化された」#04


記事をツイートする 記事をはてブする