関連
さやか「見滝原の悪夢」【第一部】
さやか「見滝原の悪夢」【第二部】


213 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/23 00:01:11.82 bTtFtOF40 159/365

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

さやか「……誰?」

まどか「……さやかちゃん?」

ほむら「……」ジロ

まどか「…え?」

さやか「まどか。……あの転校生には気をつけて」

まどか「……え?」

214 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/23 00:02:50.27 bTtFtOF40 160/365

--休憩時間--

仁美「不思議な雰囲気の人ですよね、暁美さん」

さやか「……そうだね。普通の人間には見えない。……まどか、あんな奴に狙われる心当たりは……ないよね」

まどか「さやかちゃん、狙われるって……」


ほむら「ごめんなさい。何だか緊張しすぎたみたいで、ちょっと、気分が。保健室に行かせて貰えるかしら」

女子A「え?あ、じゃあたしが案内してあげる」

女子B「あたしも行く行く」

ほむら「いえ、おかまいなく。係の人にお願いしますから」

ほむら「鹿目まどかさん。あなたがこのクラスの保健係よね」

ほむら「連れてって貰える?保健室」

まどか「え?えっと……」

さやか「……まどか、あたしも体調悪くなった。保健室連れてってもらえないかな」

まどか「さ、さやかちゃん……」

ほむら「……」

215 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/23 00:05:02.18 bTtFtOF40 161/365

まどか「私が保健係って……どうして」

ほむら「早乙女先生から聞いたの」

まどか「そ、そうなんだ」

さやか「じゃぁそれを早乙女先生に確認させてもらうけどいい?」

まどか「さやかちゃん!」

ほむら「……あなたの好きにするといい」

まどか「えっと保健室は……」

ほむら「こっちよね」

さやか「すごいね転校生。保険係とか全くいらないじゃん。気分が悪いってのも何か嘘っぽいし」

まどか「さやかちゃん!いい加減にして!」

ほむら「……」

216 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/23 00:08:20.87 bTtFtOF40 162/365

まどか「ごめんね、暁美さん。……さやかちゃん、どうしたの?普段はこんな事しないのに……」

さやか「あたしは別に何も悪いことなんか」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「……ごめんまどか。……暁美さんも」

ほむら「……ほむらでいいわ」

まどか「え?」

ほむら「呼び方、ほむらでいい」

まどか「……ほむらちゃん」

ほむら「何かしら?」

まどか「あぁ、えっと……変わった名前だよね」

ほむら「……」

まどか「変な意味じゃなくてね。その、カッコいいなぁなんて」

ほむら「鹿目まどか。あなたは自分の人生が、貴いと思う?家族や友達を、大切にしてる?」

まどか「え……?えっと……。私は、大切だよ。家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達だよ」

ほむら「本当に?」

まどか「本当だよ。嘘なわけないよ」

ほむら「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」

ほむら「さもなければ、全てを失うことになる」

まどか「え……?」

ほむら「あなたは、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」

まどか「……」

ほむら「美樹さやか。あなたもよ」

さやか「……何さ」

ほむら「本当に大切な人の事を考えるなら、ただ、その人の傍に居てあげればいい。自分を捨てる必要なんて、ない」

さやか「……!!」

ほむら「まどかに言った話、それは全てあなたにも言えることよ」

さやか「……」

217 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/23 00:09:20.25 bTtFtOF40 163/365

--授業中(数学)--

ほむら「……」カキカキカキ

オオーーー

先生「……正解だ。次の問題を……美樹さやか」

さやか「え?は、はい」カキカキカキ

ナン…ダト…?

先生「……正解!?」

ほむら「……!!??」

まどか「さやかちゃん!保健室!」

さやか「いや、何でだよ!!」

--授業中(体育_走り高跳び)--

ほむら「……」ピョン

先生「県内記録じゃないの?これ……」

さやか「……授業中に魔法?」

まどか「さやかちゃん、次だよ!」

さやか「あ、うん」ピョン バキィ!

さやか「いたた……県内記録の高さのまま飛んだらこうなるか……」

まどか「よかった……いつものさやかちゃんだ」

さやか「いやだから何でだよ!!」

218 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/23 00:11:54.43 bTtFtOF40 164/365

--放課後--

さやか「『今とは違う自分になろうなんて考えるな。さもなければ全てを失うことになる』か……」

まどか「わけわかんないよね」

さやか「……まどか、魔法少女って知ってる?」

まどか「魔法少女って……たまにテレビでやってる?」

さやか「……ごめん。知らないならいいや」

仁美「まどかさん。本当に暁美さんとは初対面ですの?」

まどか「うん…常識的にはそうなんだけど」

まどか「……あのね…昨夜あの子と夢の中で会った…ような…」

さやか「夢?どんな?」

まどか「えぇと大きな歯車のついた人形が……」

さやか「……ワルプルギスの夜!?」

まどか「わるぷるぎすのよる?」

仁美「……ヨーロッパのお祭り、でしたかしら?」

さやか「まどか!その夢を詳しく!!!!」

まどか「さ、さやかちゃん。揺さぶらないででで」

仁美「さやかさん落ち着いて!!」

219 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/23 00:13:08.66 bTtFtOF40 165/365

まどか「……ほとんど覚えてないけど、たしかこんな夢だった……と思う」

さやか「……別の世界のまどかの出来事だった、とか」

まどか「え?」

さやか「いくつもの平行世界が存在するとするならば、そのどれかの世界のまどかが体験した一つの結末だったのかもしれないよ」

まどか「へ、平行世界って……」

仁美「さやかさん。それは流石に……」

さやか「……悪い。あたし変な電波受信してるみたい」

まどか「さやかちゃん。しっかりしてよぉ……」

仁美「こほん。……もしかしたら、本当は暁美さんと会ったことがあるのかもしれませんわ」

まどか「え?」

仁美「まどかさん自身は覚えていないつもりでも、深層心理には彼女の印象が残っていて、それが夢に出てきたのかもしれません」

さやか「確かにそっちのほうが現実的かも」

まどか「そうなのかな……」

220 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/23 00:14:48.00 bTtFtOF40 166/365

まどか「あれ、さやかちゃん。上条君のCDは……?」

さやか「あー……今日はいいや。真っ直ぐ帰るよ」

まどか「……わかった。じゃぁまたね。さやかちゃん」

さやか「またね、まどか」




『助けて』

まどか「え……?」

『僕を、助けて』

まどか「誰か、助けをよんでる……?」

221 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/23 00:15:56.58 bTtFtOF40 167/365

まどか「どこにいるの?あなた……誰?」

QB「助けて……」

まどか「あなたなの?」

QB「助けて……」

ほむら「そいつから離れて」

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

まどか「だってこの子、怪我してる」

まどか「ダメだよ、ひどいことしないで!」

ほむら「あなたには関係無い」

まどか「だってこの子、私を呼んでた。聞こえたんだもん!助けてって」

ほむら「……あなたは傷つけたくないけど、どかないというのなら」

さやか「そこまでだよ。転校生」

まどか「え?……さやか、ちゃん?……その格好は?」

ほむら「……あなたは……」

222 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/23 00:16:50.46 bTtFtOF40 168/365

ほむら「あなたが何故、魔法少女に?」

まどか「魔法少女?」

さやか「……あんたが何者なのか、あたしには分からない。でもこれだけは言える」

さやか「まどかを傷つけようとするのなら、あんたはあたしの敵だ!!」

ほむら「……!」

231 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/24 00:32:08.97 LeB5Kmze0 169/365

暁美ほむらについて、さやかは三つの可能性を考えていた
一つはこの平行世界では、暁美ほむらが全く別の人生を歩んでいる可能性
一つは全くの別人が暁美ほむらに摩り替わっている可能性
そしてもう一つが、キリカの言っていた、自分と同じ世界の良く知る人物である可能性
以前見滝原壊滅時、暁美ほむらの死体をさやかは確認していたが、
その死体は顔面が潰されており、とても本人だと断定できるようなものではなかった
……死体のでっちあげぐらい、キリカならやる
後ろめたいと言っていた理由も、これで説明がつくし

だが、その三つのいずれであろうと、まどかを傷つけようとした以上、さやかとしては現時点において転校生が敵であると考えざるをえなかった

さやかは二つの剣を召喚し、その内の一本の剣を暁美ほむらの頭上に投げつけた

ほむら「……」

ほむらはそれに対して回避行動をとる。そこで二刀流スタイルから一刀に切り替えたさやかは、一気に突撃する
だが、これは暁美ほむらに横に回避され、逆に背後を晒すこととなったさやかは、後ろから盾の横一閃の直撃を受ける
……この攻撃方法は、初めての杏子との戦いでさやか自身が使い、失敗したものだ
ただ、その時のさやかと今のさやかでは手札の数に大きな差がある

ほむら「……消えた?」

さやか「幻術だよ!」

杏子のロッソファンタズマから考案した、さやかのブル・ファンタズマ
杏子に言わせれば分身が2人までしか出せない必殺技とも呼べない代物だが、それでも囮としては、充分に使える
本当のさやかはその分身の後方
盾が回避されたほむらは、逆に完全に無防備な姿をさやかにさらすこととなってしまう
今までの平行世界でのさやかの戦術から動きを読んでいたほむらにとって、
これは完全に裏をかかれる形となった
……が、ほむらにはこの局面を一発で覆せる魔法がある
ほむらは自身の盾に手を触れ、時間停止を使った

232 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/24 00:35:18.30 LeB5Kmze0 170/365

ほむら「……」

時間の停止した世界。ほむらはさやかの背後に移動しつつ思考していた
今までこれほど早期にさやかが魔法少女になっていることはなかった
今の幻術を見る限り、この世界の美樹さやかは願いそのものが違うのかもしれない
……いずれにせよ、今はキュゥべえを鹿目まどかから引き離す事が先決だ
美樹さやかには早々に気絶してもらおう
さやかの背後をとったほむらは、時間を再び動かした

ほむらの盾による攻撃がさやかの背後へと襲いかかる
しかし、まるでそれを予測していたかのように召喚されたさやかの剣によって、ほむらの攻撃は弾かれた

ほむら「……!?」

呉キリカの速度低下、佐倉杏子の幻術
この2人の魔法少女に鍛えられたさやかにとって、
死角をとられる状況は日常茶飯事であった
当然その中で対抗策も身につけている
目の前のほむらが消えた瞬間、さやかは攻撃から死角への防御に一瞬で方針を転換していた

自身の剣の弾かれた音からさやかはほむらの位置を瞬時に察知し、
反転しながらほむらに向けて剣を放つ
これをほむらは背後に跳びつつ、盾で防御する
だが、これもさやかの予測範疇
投げた剣の数個をほむらの盾に辿り着く寸前で軌道変化させる

ほむら「……!」

その動きに対応しきれず、ほむらの盾は弾きとばされた
さらにさやかは投剣での追い討ちを仕掛ける

ここに来てほむらは、相手が巴マミ、佐倉杏子クラスの相手だと認識した
全力で挑まなければやられる
そう考えたほむらは、盾とは別のところに隠していた一丁の銃を取り出した

233 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/24 00:36:27.87 LeB5Kmze0 171/365

さやか「……な!?」

ほむらの取り出した銃はデザートイーグル.50AE
自動式拳銃の中では世界最高を誇るとまで言われる代物だ
過去に暴力団との抗争に何回か巻き込まれているさやかは、その威力を痛いほど味わってきている
魔力を帯びさらにその力を増した銃弾は、さやかの剣を弾き飛ばしつつ、さやか自身にまで襲いかかる

さやか「……どっからそんなものもってきたんだよ!」

さやかは再び攻撃から防御に転換した
これほどの遠距離武器を平然と出してくる相手に、まどかを守りながら戦いきれるのか?
本当ならまどかをすぐにでもこの場から逃がしたいのだが……

234 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/24 00:38:26.18 LeB5Kmze0 172/365

だが、さやかがまどかを守るべくほむらとまどかの間に移動したと同時に、ほむらの攻撃は止んだ

さやか「……?」

ほむら「……何故、あなたがここにいるの?」

さやか「……魔女の気配を追いかけてきたら、何故かまどかとあんたがここにいたんだよ」

まどかに逃げろと言えなかった理由がこれだ
逃げた先に魔女がいれば、そのまままどかは魔女によって殺されてしまうだろう

ほむら「私はその白いのさえ渡してもらえればそれでいい。他に用はない」

まどか「だ、駄目だよ!この子、放っておけない!」

ほむら「……そう」

さやか「……」

……まさか、あたしが転校生の銃弾を避けてまどかに当たる事を危惧して攻撃を止めた?
ここまでの戦闘で、転校生はまどかを攻撃していない
それどころか、まどかへ攻撃しないように配慮している様子すら見える
……さっきの発言はただの脅しで、本当はまどかを攻撃する気なんてなかったのかもしれない
だとすると……

さやか「目的は何?キュゥべえへの復讐?」

ほむら「……あなたに話す必要はないわ」

さやか「……ノートを貸してあげようと頑張った恩も忘れやがって」

ほむら「あれは志筑仁美のノートであってあなたのものでは……!?」

この世界、さやかからほむらにノートを貸したなんて事は当然ない
まして、仁美のノートをこっそりほむらに渡したなんて事も

さやか「……やっぱりあんたは……」

ほむら「そんな……まさか……!?」

まどか「……?」

235 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/24 00:40:39.28 LeB5Kmze0 173/365

その時、空間が歪んだ

ほむら「……!?こんな時に……」

さやか「……あっちから来たか!まどか、気をつけて!」

まどか「え?え?」

ほむらは再度盾を召喚した
さやかも剣を構えなおす

さやか「薔薇の魔女の使い魔か……」

ほむら「……」

まどか「なに、これ」

さやか「まどかは、あたしの後ろにいて」

さやか「転校……ほむら。左半分任せていい?あたしが右半分を片付ける」

ほむら「……わかったわ」

ほむらは盾からミニミ軽機関銃を取り出した
……本当にどこからそんなものを持ってきているのだろう
さやかは疑問に思ったが今は深く考えないこととし、空中に無数の剣を召喚した

ほむら「……!?これはまるで……」

さやか「いっけぇえええ!!」

さやかの刀身が一斉に発射された
発射された刀身は着弾点で爆発を引き起こし、使い魔達は木っ端微塵に弾けとんだ

ほむら「……美樹さやかが、これほどの魔力を?」

さやか「ほむら!左半分!」

ほむら「え、えぇ」

使い魔は瞬く間もなく消滅した

まどか「ふ、二人とも、すごい……」

236 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/24 00:42:41.73 LeB5Kmze0 174/365

魔女結界解けていく最中、さやかは再び剣をほむらに向けた
ほむらもさやかに銃を向ける
……だが、お互いに戦意はほぼ喪失していた

さやか「……もう一度聞いてもいいかな。ほむらは何故、こんな事を?」

ほむら「その白いの……キュゥべえとまどかが接触する前にケリをつけたかったの。……でも、もう手遅れね」

さやか「?」

「私の友達に何をしているの?」

そこには、マスケット銃をもった魔法少女が立っていた

ほむら「巴マミ……」

さやか「巴、マミ?」

巴マミについては、キリカから一通り話を聞いている
まどかと一緒にワルプルギスの夜と戦い、敗れ去った魔法少女
かつてあたしが熟読した『必殺技帳』の作者で、相当な魔力を持った魔法少女だったらしい
杏子がいうところの見滝原最強で、正義の味方
さっきの魔女を探していたのか。それとも……

マミ「あなたは私の友達を守ってくれたのよね?」

さやか「友達……キュゥべえの事?」

マミ「そうよ」

さやか「……まぁ、結果的には、そういう事になると思う」

まどかが持っていたから守ってしまっただけであって、別にキュゥべえを守る気は全くなかったのだけれど

マミ「なら、私が相手にすべきは貴方のようね。私の友達にこれだけの事をして、覚悟は出来てる?」

そういうと、マミはほむらに対してマスケット銃を構えた

ほむら「……」

さやか「ほ、ほむら!待っ……!」

ほむらは立ち去った

237 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/24 00:44:21.88 LeB5Kmze0 175/365

マミ「自己紹介はいらないかもしれないけど……私の名前は巴マミ。あなた達と同じ、見滝原中の三年生。そしてキュゥべえと契約した魔法少女よ」

マミ「さて……キュゥべえをこちらに返してもらえる?」

まどか「あ、はい」

さやか「待って。まどか」

まどか「え?」

さやかはキュゥべえに回復魔法を使った

マミ「……治癒魔法。それもかなり高度なものね」

さやか「……そうなんですか?」

前は自分を遙かに超えた治癒魔法の使い手がいたので、全くそんな実感はなかったが

QB「ありがとう。でも……美樹さやか。何故君が魔法少女になっているんだい?僕は君と契約した覚えはないのだけれど。これはさっきの暁美ほむらにも言えるけどね」

マミ「……あなたは何者?あの魔法少女について何を知っているの?」

さやか「あたしの素性については伏せさせてもらう。……それを言えるほど、あたしはあなたを信用していない」

マミ「……そう。まぁ、無理にとは言わないけど」

さやか「……あの魔法少女、暁美ほむらは昔の友人です。……今は、よくわかりません」

マミ「昔の友人……ね」

256 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/27 15:17:34.25 BDCJ0rCW0 176/365

マミ「まぁ、キュゥべえを助けてくれたことには感謝するわ」

さやか「……どうも」

ただ、これは良かったのか悪かったのか……

QB「……僕の名前はキュゥべえ。鹿目まどか。僕、君にお願いがあって来たんだ」

まどか「お……お願い?」

QB「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」

さやか「……」

まどかにはキュゥべえが見えていた
ほむらは多分、キュゥべえとまどかの契約を阻止したいのだろう
あたしは……あたしはこんな世界にまどかを引き入れたくない
何としてでもまどかの契約を阻止したい
……でもそれは、まどかの意思とは無関係の話だ

257 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/27 15:19:46.68 BDCJ0rCW0 177/365

--マミの家--

巴マミ……マミさんとキュゥべえは、まどかに対して魔法少女の説明をしてくれている
……重要な内容が随分省かれている気はするけれども
マミさんが隠していると考えるよりは、単純に知らないと考えるべきなのだろう
キュゥべえからあれを知らされた魔法少女は、あたしの知る限り、いない
……後でまどかには、補足で説明しておこう

さやか「しかし、何というおいしいケーキ……」

そういえば以前、キリカとこの家にお邪魔した時にも冷蔵庫に別のケーキが入っていたっけ
あの時、マミさんはもう死んでいて……
『必殺技帳』、今もどっかにしまってるのかな

マミ「美樹さん。ケーキをおいしいと言ってくれるのは嬉しいけど、ちゃんと話聞いてる?」

さやか「え、あぁはい!……でも、あたしはほとんど知ってる話ですし」

というより、杏子からほぼ全く同じ話を聞いた
あの一年、杏子とはぶつかった事は多かったけど、それでも大切な事はしっかり教えてくれた
決して気の抜ける相手ではなかったけど、それでもいい友人……だったんだと思う
杏子があたしの事をどう見ていたのかまでは分からないけど

マミ「知っている知識であっても、新しい発見があるかもしれない。ただ同じ意見として聞き流すのはあまり誉められた話ではないわ」

さやか「……すいません」

それも、杏子に言われたなぁ……この言葉に対して当時のあたしは自分なりに魔法少女を続けてきた意地もあって杏子に反発してしまった
それをキリカに電話で話したら、逆にキリカに馬鹿にされたっけ……
……思い出して、少し涙が出そうになる
あの世界のキリカも、杏子も、この世界にはいないのだ

マミ「……そこで提案なんだけど、鹿目さん。しばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」

まどか「えっ!?」

さやか「……な!?」

マミ「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ」

マミ「そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」

さやか「待ってください」

258 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/27 15:22:12.56 BDCJ0rCW0 178/365

マミ「どうしたの、美樹さん」

さやか「あたしは反対です。魔女との戦いに一般人を連れていくなんて危険すぎる」

マミ「私が守るから大丈夫。……なんだったらあなたもついてくればいいじゃない」

さやか「……」

この人は魔女との戦いで、自分が絶対死なないとでも考えているのだろうか

さやか「……まどか。一つ聞いてもいいかな」

まどか「な、何、さやかちゃん」

さやか「まどかはさ。顔を食われたり、生きながら両腕、両足をもぎ取られたり、溶かされて骨だけになったりする覚悟ってある?」

まどか「え……」

マミ「美樹さん!!」

さやか「マミさんがどれほど強い魔法少女かわからない。でも、たとえ相手がどんなに弱い魔女であっても、常に魔女に殺される可能性はついてくる。
もし仮にあたしがついていったとしても、結局それ自体は変わらない」

さやか「あたしもマミさんも殺されてしまったら、まどかが生き抜く方法はない。だから確認しただけだよ。何かおかしい事ある?」

マミ「それは……」

さやか「まどかが契約するかどうかについてまであたしが口を挟む権利はないと思う。でも、それが魔女に襲われてそうせざるをえない状況に追い詰められてなんて事だけは、あたしはごめんだ」

まどか「さ、さやかちゃん」

人も、魔法少女も、死ぬ時は簡単に死ぬ
危険を冒してまでと言っているにも関わらず、その最も基本的な考え方がマミさんからは抜けている
元から強かったのか、今が強すぎて忘れてしまったのか……
いずれにせよ、とてもこの人にまどかを任せられない

さやか「……残りの魔法少女に関する話はあたしからまどかに聞かせる。この件について、あんたにもう用はない」

さやか「行くよ、まどか」

まどか「さ、さやかちゃん!待って!!」

マミ「……」

259 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/27 15:24:04.13 BDCJ0rCW0 179/365

--帰り道--

……自分の言葉が間違えていたとは思わない
決して譲ってはいけない一線。そうであったとも思っている
……でも……自分以上に長く魔法少女をやっているはずのマミさんが、何故そんな結論に辿り着いたのか
……正義の味方は孤独だ
他の魔法少女の誰からも理解してもらえないし、理解してもらう必要もない
そんな道を歩まなければならない
それでも自分は、理解してくれる友人がいた
時に利害さえ合えば一緒に戦ってくれる仲間がいた
……マミさんはどうだったんだろう
ただ一人、孤独のままあたし以上の年数を正義の味方として歩んでいたんだとしたら……
ひょっとして、マミさんは同じ思いで戦ってくれる魔法少女が欲しかったんじゃないだろうか
だとすれば、あたしはそんな思いを踏みにじってしまった?
正義の味方の辛さはあたしだっていくらかは分かっていたはずなのに

さやか「最低だ。あたし……」

今すぐ戻ってマミさんに謝るべきか?
でも何を?
そもそも、自分の言葉は間違っていない
そう自分が考えている以上、マミさんに歩み寄る道がない
大体マミさんのプライドをズタボロに引き裂いておいて、今更何を言うのか

まどか「……さやかちゃんは、わたしが魔法少女になる事反対……なのかな」

さやか「……まどか?」

……そうだ。あたしがマミさんの代わりに、魔法少女について教えると言ったんだ。
まどかにいろいろ伝えてあげないと……

260 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/27 15:27:42.38 BDCJ0rCW0 180/365

さやか「……あたしは反対だよ。こんな危険な事、まどかにやらせたくない」

まどか「……そ、そうだよね」

さやか「でも、さっきも言ったけど、それでも魔法少女になりたいって言うなら、あたしにまどかを止める権利はない」

まどか「……」

さやか「魔女の元に連れて行くなんてのは論外だけど……マミさんの言っていた事はそういう意味じゃそこまで間違えてはいないと思う。結局魔法少女になるかどうかも、何を願うかもまどか自身の問題だよ」

まどか「……さやかちゃんは、どんな願いで魔法少女になったの?」

さやか「あたしの願いなんて……考えるまでもないじゃん」

当時、そこまでの考えはあたしにはなかった
でも、例えソウルジェムの真実を知っていたとして、あたしはやはりこの願いを叶えただろう

まどか「上条、君?」

さやか「正解!……ただ、昔仲間だった魔法少女のいうところによると、魔法ってのは自分の為に叶える方がいいとは言ってた。そうすれば全て自分のせい。後悔なんてあるわけないって」

まどか「自分の為……」

さやか「ま、あたしの願いも、あたしが恭介のヴァイオリンをもう一回聴きたかったってのが理由だしね。自分の為の願いでもあったわけでさ」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「でもね。それは同時に恭介を諦めるって事とイコールにもなっているんだよ。少なくともあたしにとっては」

まどか「え?」

さやか「理由は三つある。一つはそんな願いをして、恩人として取り入るなんて行為を、あたしは絶対に許せない」

まどか「でもさやかちゃんは上条君の為に」

さやか「……恭介をあたしに振り向かせたい。正直に言えば、あたしの願いにそんな思いが少しもなかったわけじゃないんだ」

まどか「……」

さやか「……そしてもう一つ。こっちの方が魔法少女としては重要な話になる。……『ソウルジェムの真実』。マミさんが伝えなかった話」

さやか「あたし達魔法少女は、魂をソウルジェムという形に変えられる。その瞬間、肉体はただの外付けハードウェアという扱いになる。……まぁ、あたしは今、この石ころが本体になってるってこと」

まどか「……え?」

さやか「これは口で言っても分かりにくいから、実演するね。そうだなぁ…」

丁度草むらがある。あの辺なら大丈夫だろう

さやか「まどか。あたしが倒れたのを確認したらしっかり脈を確認しておいて。後、……ちゃんと目立つように光らせておくから、絶対に取って来てね。頼んだよ」

まどか「え?え?」

さやか「じゃぁいきますか。……ピッチャーさやか!第一球!投げたぁ!!」

ソウルジェムを草むらにむけて放り投げた
意識が暗転する

261 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/27 15:28:45.88 BDCJ0rCW0 181/365

…ちゃん!さやかちゃん!!

さやか「ん……流石に第二球はやりたくないなぁ」

まどか「さやかちゃん!」

おもいっきりまどかに頬をひっぱたかれた

さやか「……いたた……まどか?」

まどか「今の説明をするのに、どうして投げる必要があったの?」

さやか「え?……そりゃ、実演だし。魂であるソウルジェムが外付けハードウェアとしてる肉体から離れるとこーなりますよーという……」

まどか「充分分かったよ……さやかちゃんが、自分の命をどれだけ粗末に考えているのかも含めて」

さやか「……いや、まどかなら絶対大丈夫という信頼があっての」

まどか「こんな事は金輪際、絶対にやめて。約束して」

さやか「……は、はい」

思わず気圧されてしまった

まどか「……さやかちゃん、本当に死んじゃったかと思ったよ……」

そしてまどかに泣きながら抱きしめられてしまった

さやか「……ごめん、まどか」

262 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/27 15:30:34.18 BDCJ0rCW0 182/365

さやか「でも今の説明をするとどうやっても最終的にこの流れに辿り着くんだから、じゃぁ最初からやっちゃえばいいじゃんっていう考えもないこともなくてですね」

まどか「そこはちゃんと説明してからやってよ!……それに、何も投げなくても、わたしがどこか安全なところに置いて、そこからさやかちゃんに離れてもらってとか、いろいろやり方があったと思う」

……言われてみれば

さやか「……まぁ、でも今のでわかったよね。ソウルジェムが魂にされる意味。肉体が外付けハードウェアにされるって意味。……そして、あたしが恭介を諦めている理由。こんな石ころになっちゃって、今更恭介に告白なんてできないよ」

それは、多分キリカなら鼻で笑うぐらいの理由
でも、あたしにとっては非常に重要なことだ
……まぁ、この真実を知った時、恭介は既にこの世にいなかったのだけれど

まどか「……」

263 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/27 15:33:20.07 BDCJ0rCW0 183/365

さやか「後、もう一つ。最初に持ってきてもいいぐらいの簡単な理由だったんだけど……」

さやか「魔法少女はあっさり死ぬ。あたしだって、今日帰りに魔女と戦ってあっさり命を落とすかもしれない。そんな身の上で、恋人とか……ねぇ」

まどか「あっさり命を落とすとか言わないでよぉ……」

またまどかに泣かれてしまった
……さっきの実演。魔法少女の命はこれぐらいあっけないというのを見せる意味合いもあったんだけど……やりすぎてしまったかもしれない

さやか「まどか。でも、それが魔法少女なんだよ」

さやか「今日保健室に行く時ほむらが言ってたのも多分その事なんだろうけどさ。魔法少女になるって事は、全てを失うけど、その変わりに願いを叶えるってことなんだ」

さやか「だからちゃんと考えなきゃいけない。誰の意思でもない、まどかの意思で。魔法少女になるべきか否か。魔法少女になるというなら、全てを犠牲にしてまで何を願うか」

まどか「わかったよ。わかったよさやかちゃん……」

……自分の片腕一本落として外付けハードウェアだから大丈夫的な実演も考えていたんだけど……今それをやったら、まどかとの友情に深刻な影響を与えてしまいそうな気がする

さやか「分かればよろしい。さやかちゃん流魔法少女説明コース第一はこれで終了!第二はもっとハードだぞー」

まどか「……もう、充分だよ」

さやか「……そっか」

まぁ、これでまどかが思いとどまるなら、それでもいい

264 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/27 15:34:43.07 BDCJ0rCW0 184/365

まどか「マミさん……ソウルジェムの話、知ってて教えてくれなかったのかな」

さやか「多分知らないんだと思う。キュゥべえ、基本この話は教えてくれないんだよ」

まどか「……そんなの、あんまりだよ……」

さやか「……まぁ、キュゥべえにもキュゥべえなりの理由があった……ような……」

確かエントロピーだとか、宇宙がどうだとか……

さやか「今の話、マミさんには内緒だよ。……タイミングを見て、あたしから話す」

ソウルジェムが本体
実にショッキングな内容ではあるものの、それを知っているかいないかは魔法少女の生死を大幅に分ける
ソウルジェムさえ守りきればある程度無敵だし、痛覚をいじれるというのは非常に大きい
何よりワルプルギスの夜と戦おうなんて時に、この事実を知らないで挑むのは危なすぎる
……その前にマミさんと仲直りしないと、か

まどか「……ところで、さやかちゃん」

さやか「何、まどか」

まどか「さやかちゃんって随分昔から魔法少女をやってる風な言い方してたよね」

さやか「え?……まぁ、うん。一年ちょっとぐらいだけど」

まどか「上条君の怪我治ってないし、そもそもその時まだ上条君怪我してないよね」

さやか「……あ」

265 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/27 15:38:22.82 BDCJ0rCW0 185/365

まどか「さやかちゃんの話、全然辻褄があってない。でも、今までの話が嘘だとも思えない。……どういうこと?」

まどか「そもそも今日、朝からおかしかったよね。あたし達と会った瞬間涙ぐんだり、先生に向かって変わらないなぁとか言ったり、ほむらちゃんを見た時物凄い警戒したり、他いろいろ」

さやか「ま、まどか、落ち着いて……」

まどか「ちゃんと説明してよ。さやかちゃんに、何があったの?」

……さっき、やりすぎたから、かな
まどかが、凄く怒っているような……

さやか「えぇと……説明しなきゃ、駄目?」

まどか「駄目」

さやか「絶対に?」

まどか「絶対に」

さやか「信じられないような内容だけど」

まどか「さやかちゃんが嘘を言わないなら、ちゃんと信じるよ」

それはどうやって判断するんだろう……

さやか「……内容的に、さっきのソウルジェムの秘密とかどうでもよくなるぐらいハードだけど、それでもいい?」

まどか「え……、だ、大丈夫だよ!」

さやか「……本当に?」

まどか「本当に!本当だよ!!」

……なるべくやわらかめに話そう

さやか「わかったよ。とはいえ、どこから話せばいいのか……」

さやか「とりあえず。うん。……あたし、実は未来から来たんだよ」

まどか「」

さやか「びっくりした?それとも信じられない?……まぁ、これは聞くも涙、語るも涙な話でさ……」

なるべくやさしめに、話した
あたしがやってきた事
一ヵ月後、見滝原に何が起こるのか
その後一年、あたしがどんな風に生きていったのかを

301 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/03 14:30:13.66 WHUgstMa0 186/365

まどか「……そんな話って……」」

さやか「……とても信用できる話じゃないよね」

まどか「……うぅん。さやかちゃんはそういう嘘つかないし、信じるよ。でも……」

まどか「……じゃぁわたし達、みんな死んじゃうの?」

さやか「そうならない為にあたしがここにいる。まぁ仲間にもあてはあるし、なんとかなるよ」

まどか「あてって……話に出てきた、キリカさん?」

さやか「そもそもこの世界でキリカは魔法少女になっているかどうかも怪しいけど……そっちじゃなくてさ。ほむらだよ。暁美ほむら」

まどか「え……で、でもさやかちゃん。ほむらちゃんと喧嘩になっちゃって」

さやか「ほむらが何を考えているのかはよくわからない。でも、まどかを助けたいって気持ちは一緒みたいだし、多分仲間になってくれる」

キリカの話だと、ワルプルギスの夜とずっと戦っていたみたいだし

さやか「それに、ゆまちゃんや織莉子さんはわからないけど……佐倉杏子がいる。マミさんだってちゃんと仲直りすれば仲間になってくれるかもしれないし。ワルプルギスの夜が弱体化してるって事も考慮すれば、4人でも充分倒せる相手だと思う」

まどか「……わたしも契約すれば」

さやか「……まどか!」

まどか「でも、ワルプルギスの夜って凄い強い魔女なんだよね。見滝原全てをどうにかしちゃうぐらいに。だったら、わたしも戦いたい!」

さやか「……まどか……契約するとして、叶えたい願いは何?」

まどか「そんなの決まってるよ。さやかちゃんの力になりたい!!こんな役立たずなわたしでも、さやかちゃんの力になれるならそれでいいいひゃいいひゃい!」

さやか「自分を粗末にしてるのはどっちだー!!」

さやかはまどかのほっぺたをつねった

302 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/03 14:31:06.95 WHUgstMa0 187/365

さやか「大体考えてもみてよ。あたしの為にまどかが魔法少女になったりして、それでまどかが傷ついていくのをあたしが耐えられると思う?それこそワルプルギスの夜が来る前に魔女化しちゃうよ。」

そもそもまどかの場合、ワルプルギスの夜の弱点にばっちり当てはまってしまい、見滝原壊滅どころの話じゃ話がすまない気がする……

まどか「……」

さやか「それに……なんで、自分の事が役立たずだとか思ってるのさ」

まどか「だって……わたしって鈍くさいし、何の取り柄もないし」

さやか「……」

まどか「人に自慢できる才能も何もなくて……さやかちゃんみたいになれたらって」

さやか「まどか。まどかを馬鹿にするなら、それがたとえまどかであっても、許さないよ」

まどか「!」

さやか「……ごめん、言い過ぎた」

さやか「でも……さ。あんたは優しくて、いつも人の支えになってくれる。……今だってそうだよ。ソウルジェムの秘密も知った。魔女化に事実も知った。……最後に絶望しかないとわかっているのに、あたしの為に全てを捨てようとした」

さやか「そんな事が出来る奴を何の取り柄もない奴なんて、あたしにはとても言えない」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「だから、その優しさをこんなところで使わないでよ。……まどかにはもっと長く生きてほしいんだ。それで、その優しさをもっといろんな人に分けてあげてほしい」

あの日までずっと、まどかがあたしに分けてくれていたように

まどか「さ、さやかちゃん。その言い方じゃまるで……」

さやか「魔法少女って、2年もやっていればベテランと言われる世界なんだよ。……それってどういう意味だと思う?」

まどか「……」

さやか「つまりは、その程度しか生きられないんだよ。魔女にやられるのか、魔女になるのか。同じ魔法少女に殺されるかもしれないし、案外ヤクザや米軍にズドンとかもあるかもしれない」

まどか「そんなの、嫌だよ」

さやか「……まぁでも、10年20年生きる人も稀にいるらしいけどね!あたしもそんな風に生きてみたいかな」

多分あたしの生き方じゃ、長生きは難しいだろうけど

さやか「……ま、ワルプルギスの夜はあたしがさくっとやっつけちゃうからさ。その後、ゆっくり考えなよ。全てを犠牲にしてまで、魔法少女になる必要があるかどうか」

さやか「駄目、かな」

まどか「……わかったよ、さやかちゃん」

303 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/03 14:32:39.93 WHUgstMa0 188/365

さやか「……じゃぁ、あたしはこっちだから。また明日、だね」

まどか「……さやかちゃん!」

さやか「な、何?」

まどか「さやかちゃんはさやかちゃんだよ!石でもなんでもさやかちゃんなんだからね!絶対自分を投げたりなんかしちゃ駄目なんだからね!!」

さやか「……す、ストレートな」

というか、まだ根にもってたのかまどか……

まどか「ご、ごめん」

さやか「……ううん。ありがとう。うん。そうだよね。もう少し自分を大切にしなきゃ、だよね」

杏子もゆまも、キリカだって何かあれば戻ってくるだろうから、最悪あたしがいなくなってもなんとかなる
そう考えていて、いつの間にか命の大切さとかそういった事を忘れてしまっていたのかもしれないな

……にしても、あいつ。ずっと近くにいたんだからまどかがあたしのソウルジェムを探していたのを、手伝ってあげてもよかっただろうに……

304 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/03 14:37:16.41 WHUgstMa0 189/365

さやか「さて、と」

ワルプルギスの夜までそれほど時間はない。そうなると今日中にやらなきゃいけない事がいくつかある

さやか「織莉子さんの住所は、確かキリカに前にもらってたはず……」

杏子のお菓子の隠し場所、ほむらでいうと、多分あの盾
魔法少女は、大抵物を格納できるスペースを持ち合わせている
ちなみにあたしの場合、それがマントの中だったりする
魔法少女化して、マントの中から以前キリカに教えてもらった、織莉子の住所の書いてあるメモを取り出した

さやか「よし、行ってみるか」

「その必要はないわ」

さやか「……最後まで、出てこないつもりかと思ったよ。ほむら」

ほむら「……呉キリカ。美国織莉子。2人に会いに行く必要はない」

さやか「どういう意味?」

ほむら「……この2人が魔法少女になれば、まどかを殺そうとする。だから、魔法少女にさせるわけにはいかなかった」

さやか「……」

ほむら「……彼女達の魔法少女化は、私が阻止した。彼女達が魔法少女になる事は、もうない」

さやか「2点聞きたい。1点目。まどかを殺そうとするってどういう事?」

ほむら「この世界のまどかの魔力は非常に高い。最強の魔法少女になって……最悪の魔女になる。美国織莉子と呉キリカは、それを防ぐ為にまどかを殺してしまう。……それだけは、避けなければいけない」

さやか「待ってよ。あたしのいた世界ではまどかはそこまでの魔力を持っていなかったはずだよ」

ほむら「あなたがいた世界と、この世界は違う。……巴マミにでも確認しなさい。彼女は相手の魔力を正確に測れる力をもっているはずだから」

さやか「……2点目。どうやって、キリカ達の魔法少女化を阻止したの」

ほむら「美国織莉子の願いは、『私が生きる意味を知りたい』。呉キリカの願いは、『違う自分になりたい』。願いの内容だけ聞けば全く異なる2つの願いだけれど、その思いをかなえる方法は別に魔法少女に拘る必要はないの」

さやか「……キリカと織莉子をくっつける?」

ほむら「呉キリカの願いをかなえるのはそれで充分。彼女の魔法少女化は、実はタイミング良く線路に置石一つ置くだけで阻止することができる」

さやか「……え?どういうこと?」

ほむら「ようは美国織莉子が呉キリカを発見するだけの時間があればいいの。美国織莉子が呉キリカを忘れていることなど、あるわけがないのだから」

さやか「……全然話が見えないのだけれど」

ほむら「むしろ問題は美国織莉子の方。あの父親が誰に恨まれていて、誰に陥れられそうになっているか、探すのに苦労したわ……」

さやか「……全然わかんないけど、つまりあの二人の願いは魔法少女にならずして、叶えられたってこと?」

ほむら「……少なくとも、あの2人が魔法少女なるだけの理由は、もうなくなった」

さやか「……そっか」

305 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/03 14:38:33.03 WHUgstMa0 190/365

さやか「ゆまって知ってる?千歳ゆま」

ほむら「彼女は高い魔力を持っていても、ワルプルギスの夜と戦うには技術が不足している。……彼女の両親には非常に問題があり家庭内暴力を繰り返されていた。何もしなければ最後は両親が魔女に殺され、彼女は佐倉杏子に出会うのだけれど……」

ほむら「千歳ゆまは今、児童養護施設に預けられている。彼女の願いは佐倉杏子を助ける事。佐倉杏子と会わなければ、彼女が魔法少女となる事はない」

さやか「……趣の魔女、は?」

ほむら「あれはもう始末したわ。確かに強い魔女ではあるけれど、対抗策さえ知っていればそれほど脅威ではない」

さやか「……ほむら、頑張ってたんだね」

おもわずほむらの頭をなでてしまった
そして思いっきり振り払われた

ほむら「やめて」

さやか「つ、つれないなぁ……」

ほむら「……あなたに聞いて欲しい事がある」

さやか「奇遇だね。あたしもほむらに聞いてほしい事があったんだ」

さや ほむ「ワルプルギスの夜を一緒に倒してほしい」

さやか「だよね」

ほむら「……えぇ」

316 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 22:36:12.13 LE1rHS1b0 191/365

--ほむらの家--

さやか「す、すごい部屋だ……」

ほむら「いつから私の尾行に気づいていたの?」

さやか「え?……えぇと、マミさんの家を出て少ししてから……かな」

さやか「まぁ、マミさんの家にあたし達がいた段階からほむらは確実にどこかで監視していると考えていたから、尾行に気づくのもそれほど難しくはなかったよ」

ほむら「……何故、そう考えたの?」

さやか「いや、だってほむらってまどかの契約阻止が目的なんだよね」

ほむら「……えぇ、そうよ。あの子を魔法少女になんかさせない」

さやか「なら、マミさんの部屋の中にあたし達がいた時間。あの場で契約される危険性を考慮すれば、ほむらとしては監視せざるをえなかったんじゃないかなって」

ほむら「……」

さやか「……実のところ、あの部屋盗聴器でも仕掛けてあったんじゃないかと、あたしはふんでいた」

ほむら「……でも、盗聴器だけ仕掛けていても、そこに私が干渉できなければどうしようもない」

さやか「でも、ほむらの能力って『時間操作』だよね」

ほむら「!?何故それを?」

さやか「今のはカマかけ」

ほむら「……」

さやか「ごめん。……ただ、あたしの幻術技に対してあまり対応できてなかったじゃん。同じ幻術使いならあれを見切るのはそこまで難しくないんだよ。そうなると、あんな風に死角をとれる技が、あたしの知ってる限り時間系ぐらいしかなかったってだけ」

ほむら「……あなたとの戦いで使ったのは『時間停止』。時間を止めて、その間にあなたの死角に移動したの」

さやか「……『時間停止』!?キリカの上位互換ぐらいに考えてたけど、そんな能力を……」

さやか「そうすると、死角なんてとらずとも、そのままとどめも狙えたってことか」

ほむら「いろいろ制約はあるの。それにそれを言い始めるなら、私とまどかが話していた時、あなたの武器の性質を考えれば、あそこで私を狙う事もできたはず」

さやか「……ソウルジェムの真実を知っているかどうか、あの段階では判断できなかったし。もし本物のほむらだったら殺すわけにはいかないし、そもそもあたしは人を殺したりとか、そういう事はしない主義なんだよ」

ほむら「……甘いわね」

さやか「……ほむらだって、あのデザートイーグル。明らかにあたしのソウルジェムからはずして狙ってたじゃん」

ほむら「あなたの投剣もね。大体刀身爆破の方が、ソウルジェムを狙うなら理想的なはず」

……つまりあの局面。お互い本気で、相手を殺さないで事態の収拾させる方法を探していたという……

さやか「……ちなみに、能力発動条件は盾に触れる事、であってる?」

ほむら「正解よ。やたら盾を狙ってきたのもそこに気づいていたからだったのね……なるべくばれないように使ったつもりだったのだけれど」

さやか「むしろそれが気づいた理由。ばれないようにやろうとされれば、当然そこに何かあるっていう目星ぐらいつける。……あたしの幻術で焦っていたんだろうけど、ちょっと露骨すぎたね」

……今話をしているのが本当にあの美樹さやかなのか?
思わず、ほむらはそう考えてしまった

317 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 22:40:44.86 LE1rHS1b0 192/365

さやか「話を戻すよ。盗聴器さえ仕掛けていれば、後は勘付かれないほど遠い距離にいたとしても関係がなくなる。それっぽい会話になったところで、『時間停止』で近寄って、ご破算にさせてしまえばいい」

ほむら「……私の『時間停止』は制限がある。いつまでも時間が止められるというものではない」

さやか「そうなんだ。……とすると、マミさんの部屋の構造、あのすごい大きな窓」

さやか「……あの辺りから考えて、ほむらは遠くから狙撃銃で狙いをつけていた?とか」

盗聴器で音を、狙撃銃の照準器で映像を捉える
……魔法少女同士の争いで狙撃銃を持ってこられる展開なんて、常識的に考えてほぼありえないと思ってもいいような気はするけれど、ことほむらの使っている武器を考えれば、それぐらいの常識は覆してくるのではないかとさやかは考えた

ほむら「……まどかとの話を聞いた限り、あなたは呉キリカと、佐倉杏子から教えを受けたのよね」

さやか「こういうノウハウはどちらかというとキリカかな。『魔法少女は魔法以外への対処ができていない子が多い』とか、『ベテランの魔法少女は、その行動全てに意味がある。常に一つ一つの行動について解釈をしながら戦え』とか、『舞台を演出しろ。相手の感情を操作することで、相手の行動もある程度限定させることができる』とか……」

さやか「まぁ最後のは『でも君には無理だろうから、せめて相手の狙いを読み取りながら戦うようにすること。この手の手合いは、それを逆手に取られていたなんて展開に弱かったりするから』って続く」

そういえば初めて杏子と戦った時も、わざと挑発したって言ってたなぁ
杏子はそれにのせられたふりをして、逆にゆまちゃんの攻撃へと誘導していた

ほむら「……すごい魔法少女になっていたのね。呉キリカは」

さやか「うーん……魔法少女になる前から結構凄い人だったんじゃないかな。キリカは。魔法少女としての経験はあたしと同じぐらいのはずだったんだし」

318 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 22:44:05.45 LE1rHS1b0 193/365

ただ、こうなってくるとほむらとしては一つ疑問があった。
そこまで思慮が及ぶのであれば、あの愚行が逆に納得いかなくなる

ほむら「なんであの時、あなたはソウルジェムを草むらにむかって投げたの?」

さやか「あぁ、あれ?あれはほむらがいるから大丈夫だと思っていたし。……あの場面。ほむらにさりげなく出てきやすい状況を作ることで、まどかとほむらをうまくくっつけるという狙いもあったんだよ」

ほむら「今更、あの子と慣れあう気はない」

……実はまどかの見つけやすい位置に、さやかのソウルジェムを移動させたりはしていたが

さやか「でも、ほむらはまどかに」

ほむら「何故、私なら大丈夫だと判断したの?少なくともそこまで信じられる判断材料はあの時点ではなかったはず」

ほむらがさやかの世界にいたほむらである事がわかったとしても
それが信用に足る人物であるという保障はどこにもない
そこがほむらはひっかかっていた

さやか「ん?だって親友じゃん。親友を信用しないでどうするのさ」

ほむら「………他には?」

さやか「……それだけ」

ほむら「ちょっと待って。本当に、それだけなの?」

まさか、ただ過去に親友だったからというだけで、信用したと?

さやか「……一応、あの後マミさんとの会話中に狙わなかったとか、あたしとまどかが二人きりになっても殺しにかかってこなかったとか、そういう理由もないことはなかったけどさ。そもそもほむらがあたしと一緒にいたほむらだと分かった時点で、疑う必要もないかなー……と」

ほむら「……」

元々美樹さやかは敵対した相手にはやたら厳しくあたるくせに、
友人になると途端に優しくなり、相手の行動を全て好意的に捉えてしまったり、無条件で相手を信用してしまうところはあった
呉キリカや佐倉杏子が指導しても、そこはそのまま残ってしまったということか……

ほむら「……あまり、人を信用するものではないわ」

さやか「でも、ほむらは変わったように見えて、実は結構昔のままに見えるけどな。相変わらずまどか至上主義みたいだし」

ほむら「そう見せかけているだけかもしれない。それに、別にあなたのことまで、私は気を遣うつもりはない」

さやか「……こんな話をしている時点で、結構気を遣ってると思うけど」

ほむら「……ここに関してこれ以上問答しても無駄ね」

この甘さは、少し用心する必要はあるかもしれない
そう、ほむらは考えた

319 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 22:47:40.06 LE1rHS1b0 194/365

さやか「……気になってた事があるんだけどさ。ほむら」

ほむら「何?」

さやか「髪型変えて眼鏡とったのはまぁ戦いやすさを考慮してって事だと思うけど……雰囲気、随分変わったよね」

ほむら「……何度も何度も時間を繰り返して、その数だけ失敗してきた。その中で性格も変わっていった。それだけの話よ」

さやか「それだけって……」

ほむら「……そういえば、あなたは最初会った時から私を警戒していたわね」

さやか「……ごめん」

ほむら「わたしだって、あなたが数学の問題をすらすら解いた時に、危うく時間遡行するところだったわ」

さやか「まじかよ!」

ほむら「冗談よ。この時間遡行は一ヶ月たたないと使えないし。……ただ、そうね。思わずワルプルギスの夜が来たのかと思って外を見てしまったわ」

さやか「どういう意味だよ!」

ほむら「気になるといえば……美樹さやかのそれ」

さやか「ん?指輪?」

ほむら「何故、指輪が2つあるの?」

さやか「あぁ……まどかとの話、聞いていたんだよね」

ほむら「……えぇ。聞いていたわ。……ひょっとしてそれって」

さやか「キリカのソウルジェムの欠片。それをあたしの魔法で指輪にしてるんだよ」

ほむら「そう……あなたの時代の呉キリカの魔法がかかっているのよね」

さやか「……うん。そう聞いたけど……使い方もろくに説明しなかったからなぁ、あいつ……」

ほむら「少し調べさせてもらってもいい?このコンピューターと接続してみる」

さやか「接続って……そんな事できるの?」

ほむら「できるわ。少しその欠片を貸してもらってもいい?」

さやか「……壊さないでね」

ほむら「……どの定義をもって壊さないというのか難しい代物だけど……わかったわ」

320 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 22:48:38.73 LE1rHS1b0 195/365

ほむらが奥でいろいろ設定をしている

さやか「それにしても……いろいろあるなー。見滝原の魔女のデータまで勢ぞろいだ」

さやか「……これがキーボードか、どれどれ……」

さやか「……いた、お菓子の魔女。こいつは嫌な魔女だったなー」

さやか「影の魔女に、鎧の魔女もいるな。……あれ、こいつ知らないな。人魚の魔女か。これに関してのみ妙に詳細なデータがあるけれど……って消えた!?」

ほむら「何を見ているの」

さやか「や、ほむらが設定してる間暇だったからちょっといろいろ調べてみようかと」

ほむら「変にいじらないで。あなたが触ると壊れそうだし」

さやか「そんな漫画じゃあるまいし……」

ほむら「……接続はできた。データを解析するわ」

321 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 22:51:41.18 LE1rHS1b0 196/365

ほむら「……これは、ワルプルギスの夜のデータ!?」

さやか「キリカ、あの一瞬でそんなもの……いや、キリカの事だからそういう展開も最初から予測していた……!?」

ほむら「知らないデータも多いわね……すごい。ここまで調べあげるなんて」

さやか「なんか、ヨーロッパまで行って資料を集めたとか行ってたよ」

ほむら「……呉キリカ。……魔法少女にならない方がいい事がわかっていても、少し惜しいわね……」

さやか「ほむら。思っていても、それは……」

ほむら「ごめんなさい。……このデータは使えるわね。コピーさせてもらう」

ほむら「……含まれているデータは3つ。抽出できるのはワルプルギスの夜のデータのみね。後は暗号化されている」

さやか「……暗号化?」

ほむら「必要な鍵がなければ抽出できないような仕組みの事よ。……ソウルジェムの欠片にデータを仕込んだり、それに暗号化を行う事事態とんでもない事だけど」

ほむら「ただ……2個の暗号化ファイルのうちの1個はひょっとすると……」

ほむら「……なるほど」

さやか「何かわかったの?」

ほむら「美樹さやか。その欠片を一度指輪に戻して」

さやか「え、……はい、戻したよ」

ほむら「それに魔力を注ぎ込んでみて」

さやか「……え?魔力って言われても」

ほむら「そのソウルジェムの欠片自体に、回復魔法辺りをかけてみなさい」

さやか「それでソウルジェムが復活することなんて」

ほむら「そういうことじゃない。いいから、やってみて」

さやか「うん。……ってえ!??」

ほむら「わかった?」

さやか「なんか頭の中に情報が……」

ほむら「暗号鍵の一つは、あなたの魔法よ」

322 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 22:58:14.73 LE1rHS1b0 197/365

?『偶然見つけられたのか、誰かに助けてもらったのかは知らないけどね。この中には私の魔法の基本構成を入れてある。これで君はソウルジェムの欠片を系由して、私の魔法を使う事が可能になったはずだ。私の『速度低下』、それなりに便利だから、うまく使うといい』

『後、このソウルジェムの欠片にはワルプルギスの夜のデータが含まれている。君には絶対使いこなせないだろうから、暁美ほむらにでも渡してしまうといい。それとももう渡しているのかな?……このデータを先に見ている可能性もあるので一応いっておくと、まさか髪型が変わったとか、眼鏡を外したとかその程度の情報で、暁美ほむらを別人だとか誤認しないように。あれは私達の時代にいた暁美ほむらそのものだ。多少性格は変わっているかもしれないが、まぁそういう事は往々にしてある。君だって1年前と比べればいろいろ変わってはいるだろう?』

『間違っても喧嘩売ったりしないように。……そこが一番不安だな。さやか、基本喧嘩っぱやいから。とにかく状況をしっかり見極めた上で行動を起こす事。意見が多少食い違ったからっていきなり喧嘩売るのではなく、相手の話を全部聞いた上で判断する事。喧嘩しないですみそうなら、そちらの道を選択する事……私の予想では、君は暁美ほむらとも、巴マミともぶつかりそうな気がするんだよ。この情報を先に見ているなら大丈夫だとは思うけど……いや、見ていても駄目かな』

『巴マミといえば、その頃の巴マミはキュゥべえと一緒に行動しているはずだ。ま、改めて話をするまでもないだろうけど、キュゥべえは魔法少女が魔女になった際に発生するエネルギーを集めている。ただ、あいつの行動原理を見る限り、魔女化よりか、人を魔法少女に変える事の方を優先する傾向があるね。質より量って考え方なのかな。この辺はキュゥべえとも話した事があるけど、結局はぐらかされてしまったな』

『何が言いたいかといえば、キュゥべえは魔法少女の契約の為なら嘘こそつかないけど、それ以外なら結構えぐい手も平気で使うということさ。あいつの利益とぶつかるような事があった場合、あいつの言葉は途端に信用できないものとなる。あいつの断定口調は信用できるけど、断定しない場合は情報の信用性は低く扱うこと。……キュゥべえの人心操作術はいろいろ学べる事も多いんだけど、君の場合そこから得られるものは、あまりないだろうなぁ……ま、この辺は聞き流してくれ』

『……最後の3つ目は、どうだろう。そもそもデータとしてうまく入っているのかな。一応この情報打ち込み時には、最後の魔法を発動した段階で上書きするような仕組みは作っているけれど……ま、データとして含まれていないなら。この部分も忘れてくれ。』

『だらだらと書き残してみたけど、これ使う事あるのかな……。まぁ、使わないですむなら、それに越したことはないんだけど。ちなみに、今ワルプルギスの夜と抗戦中。使い魔達もうまくやれているし、多分最後の魔法は無事発動するだろう。……基本私の嫌な予感は当たらないだろうし、この情報を残す意味あまりないんだろうな。ワルプルギスの夜が来るとかそんな予感がぴたりと当たっちゃったから、神経質になっているのかな。……最後の魔法発動時に消去しよう。万が一にでもこれを見られるのは、少し恥ずかしい』

『以下、情報の上書き部分。まさか本当に来るとはね……。結果的に、恥ずかしいと書いたことが恥ずかしくなってしまったね!まぁ君に自分の命の大切さとかそんな事は教えなかったし、大体にして自分の命の重さとか一切考えた事なかったけど……実のところ、少し今はわかった気はするんだよ。それこそ恥ずかしいから言わないけど』

『とはいえ、大体言いたい事は全て書き残してるし……あぁ、最後の三つ目。あれはデータとしては含まれているだろうけど、無視していいよ。……消せと言ってるわけじゃないよ。無視しろ、だからね』

『うーん……やっぱ遺言かな。……命を粗末にするな。かな。命を大切にする人間に対しては、逆に命を粗末に扱えって言うんだけどね。こんな所来ちゃってる時点で君にはやっぱこちらであっているのだろう。つまりは、命を使うなら状況を見ろって話。私としてはここが命の使いどころだと判断したけど……君が来るとわかっていたら間違っても使わなかっただろうな!いや、怒っているというよりは、ある程度予想はしていたくせに後悔してしまっている自分への……この辺はよく纏まらないな』

『っと、そろそろわれる。そうだな……折角だから絶対普段言わないような事を……。一応、私は君に頼っていたんだよ。実のところ、世界の救済と言っても何をやっていいかわからなくてさ。君の意見は結構参考にしていたんだ。君の言葉がなければ、私は今頃世界人類皆殺し計画を練っていたと思う、といえば分かるかな。それぐらいに私の正義は的を外れていたのさ』

『だから、そうだね。君と出会えた事は私の人生にとってはプラスだった。かけがえのないほどに。織莉子が一番なのは揺るがないけど、ま、君は二番目ぐらいにはいたと思う。こっから先いろいろ大変だろうけど、健闘を祈るよ』

323 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 23:04:58.72 LE1rHS1b0 198/365

さやか「キリカの奴、最後にわざわざこんなメッセージ残してたのかよ……あはは……」

ほむら「さやか……」

さやか「何が二番目だよ。何が頼っていただよ。そんな事、あいつ生きてる内に一言も言わなかったじゃないか……」

ほむら「……」

さやか「……あたしは何もできなかった!キリカを助けにいったのに、結局またキリカに助けられて!キリカの為に何もしてやる事はできなかった!!」

ほむら「それは違う。この世界のワルプルギスの夜を倒せば、救えるとキリカは言った。それならば、あなたのできることはまだあるはず」

さやか「……何、慰めてくれてるの」

ほむら「本人が言った事実よ。これに関しては私も同意見。パラレルではなく純粋に時間を戻しているのであれば、確かにそのパラドックスは発生するはず。……ワルプルギスの夜を倒しさえすれば、あなたの世界のキリカは復活する」

ほむら「一緒に倒しましょう。ワルプルギスの夜を」

さやか「……ほむらぁあ!」

さやかはほむらに抱きつき、泣きじゃくった
それを無碍に振り払う事は、ほむらには出来なかった

324 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 23:07:17.81 LE1rHS1b0 199/365

さやか「その、ごめん……」

ほむら「別に洗濯すればいいし……少しは落ち着いた?」

さやか「うん……もう大丈夫」

ほむら「では、そろそろ本題に入りましょうか。……今後、どういう行動をとっていくか」

さやか「その事だけど……マミさんと、佐倉杏子。この2人は味方につけるべきだと思う」

ほむら「佐倉杏子に関しては賛成だけど……巴マミは、判断が難しいところね」

さやか「というと?」

ほむら「魔女化の真実を隠し通せるなら問題ない。ただ、もし隠し通せなければ……最悪、巴マミは敵に回る」

さやか「……どういう事?」

ほむら「……そういえば、あなたも正義の味方思考よね。ソウルジェムが魔女を産む事を知ってどう思……いえ、なんでもないわ」

さやか「そこまで言って止めても……成程。魔法少女が魔女となるんだから、魔法少女も倒してしまえって考え方?」

ほむら「……そうよ」

さやか「魔女を倒した事で救えた人数が、自分が魔女となったことで犠牲となる人数を上回ればいいんじゃないかな」

ほむら「……その発想は、いろんな意味でなかったわ」

さやか「冗談だよ……。実はそれ、キリカとも話をした事があるんだけどさ」

さやか「ゾンビ映画で、ゾンビになる前の善良な一般市民を殺す奴は害悪以外の何者でもないよね。と言われた」

ほむら「その発想も、すごいわね……」

さやか「そりゃいつかは魔女になるかもしれないけど……それはそれとして、そこまでに何ができるか、だと思うんだよ。少なくとも、あたしはそう考えてる」

ほむら「『いつかは、今じゃない』か……」

さやか「あ、それゆまちゃん理論」

ほむら「あなたの世界でも言っていたのね」

さやか「というか、そんな事を杏子は言われたらしいよ」

325 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 23:10:59.94 LE1rHS1b0 200/365

さやか「まぁ、少なくとも魔女化の真実が分かったからといって、魔法少女を殺すって発想はあたしはないと思う。そりゃ少しは考えた事もあるけどさ」

ほむら「……魔女化の真実を知る状況によっては、巴マミはその考え方をもって暴走し、味方殺しを始めるの」

さやか「そ、それは……。ちなみに、その状況というのは」

ほむら「それは…………仲間内に、魔女が発生した時は大抵そのパターンね」

ほむら「敵の魔法少女が魔女になった場合は、まだそれなりに理性を保ってくれるケースも多いわ。その状況化であれば、説得も聞くこともある。……でも、これも敵味方纏めて皆殺しってケースもあったわね」

さやか「……最初に話してしまって、しっかり説得するというのは」

ほむら「あなたは人から魔女化の事を説明されて、納得できる?」

さやか「まどかやほむらや杏子やキリカやゆまちゃんに言われれば、信じる」

ほむら「で、巴マミから言われたら?」

さやか「……確かに、仲間になったばかりの人間にそれを言われて、とても信用できる話じゃない、か」

ほむら「戦力としては、欲しい。でもその戦力が敵に回られる事を考えると、判断が難しい。それが、巴マミという魔法少女なのよ」

さやか「うーん……取り敢えず明日会いに行く予定だし、ちょっとあたし自身、いろいろ探りは入れてみるよ」

ほむら「さっき喧嘩したのに?」

さやか「やっぱ聞いてたんじゃん……仲直りと、ほったらかしにした魔女の討伐。マミさんの実力も、この目で見てみたいし」

ほむら「そうね。……巴マミの実力は、初めて見るなら誰しもが感動するほどのものだ、とだけ言っておくわ」

さやか「……」

ひょっとしてほむらも、マミさんを師事していた時期があったりするんだろうか……

326 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 23:12:52.67 LE1rHS1b0 201/365

さやか「じゃ、そろそろ帰るね。まだやる事もあるし」

ほむら「こんな時間にやる事……ね」

ほむら「……上条恭介の、治療?」

さやか「正解」

ほむら「……仁美の事は、知ってるはずよね」

さやか「ん?仁美が恭介が好きってことは知ってるよ」

ほむら「多分また同じ事を言われると思うのだけれど、あなたはそれに対して何か対策を打っているの?」

さやか「……そこまでに、グリーフシードを集めまくる事、かな」

ほむら「……手の怪我が治らなくても、退院自体はしてしまうのよね……」

さやか「ま、大丈夫だよ。恭介が仁美と付き合うのはショックだけどさ。でも、それ以上に」

あれを繰り返す方が、もっと嫌だ

ほむら「……気をつけて。恋愛の悩みは、魔女化の理由としては、かなり多い部類に入る」

さやか「一応策がない事はないんだよ。結構自信もある。まぁ成功しても、グリーフシード大量消費展開は間逃れないだろうけど……また泣きついてもいい?」

ほむら「まどかに頼みなさい。あの子の方が、あなたの傷を癒してあげられる」

さやか「つれないなぁ……」

327 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 23:14:24.11 LE1rHS1b0 202/365

--恭介のいる病院--

さやか「この手の隠密行動も随分慣れたよなぁ……と、ここだ」

恭介「Zzz」

さやか「……恭介のヴァイオリン。また聞きたいけど」

恭介に近づいても、恭介と一緒になる事は出来ない
なら、近くにいればいるほど、辛くなってしまう

さやか「ひょっとしたら、ほむらにとってのまどかも同じ感じなのかな」

さやか「……考えても仕方ない。回復魔法っと」

願わくば、この世界ではこの魔法が無駄にはならないように

328 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/12/04 23:19:28.22 LE1rHS1b0 203/365

--マミさんの家--

マミ「……」

QB「美樹さやかの言っていた事は気にしなくていいと思うよ。少なくとも今日のレベルの魔女なら、君が負けるなんて事はありえない」

マミ「うぅん。美樹さんの言っていた事は正しい。一般人を危険に晒すなんて、私は魔法少女失格ね……」

マミ「決めた。明日美樹さんに会って、ちゃんと謝る」

QB「……ワルプルギスの夜がもうすぐ現れるって事は前に話したよね」

マミ「えぇ。それがどうしたの?」

QB「君と一緒に、暁美ほむらや美樹さやか、それに佐倉杏子が一緒に戦ったとしても、ワルプルギスの夜の打倒は、難しいだろう」

マミ「……!?」

QB「そうなれば、君達は死に、見滝原は壊滅する。多くの人間が犠牲になるだろうね」

マミ「……そん、な」

QB「鹿目まどかの素質は君も気づいているだろう?あの力があれば、ワルプルギスの夜を倒す事は充分に可能だ」

マミ「……でも、鹿目さんは」

QB「見滝原住民全ての命がかかっているんだよ」

マミ「……鹿目さんを犠牲にしろと?」

QB「別にそこまでは言ってないよ。ただ、鹿目まどかが魔法少女となれば、多くの人間を助けることができる。もし彼女が最終的に自分の意思でそれを望むのであれば、拒否するのもおかしな話なんじゃないかな」

マミ「……」

360 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/11 21:31:39.36 d/kwIbnw0 204/365

ほむら「……美樹さやか」

実力としては申し分ない
……だが、精神的な部分はどうだろう
ソウルジェムの真実を既に知っていてそれでも自分を保っている
見滝原の壊滅なんてものを乗り越えた上でここにいる
その時点で大丈夫だと考えてもいいのかもしれないが……

ほむらは浮かんでいる映像の一つを見る
そこには一人の魔女が映っていた
……人魚の魔女 その性質は恋慕
愛も正義も、全てを失った美樹さやかの姿

ほむら「……まどかだけが、私の友達。そう考えていたはずなのに……」

転校してきたばかりの自分に、お節介を焼いてくれた
今の変わり果てた自分を見て、それでも親友だと言ってくれた
自分と同じ時間を生き、方法は違うとはいえ同じように時間をわたってきた魔法少女
……この美樹さやかを失いたくない

ほむら「……」

ほむらは頭を振った
たとえどれだけ時間がずれていこうと、まどかを絶望の運命から救い出す
それが、それだけが私に残っている最後の道しるべ
そこに、美樹さやかは一切関係ない

……情を持ってはいけない
持てば、その死に引き寄せられてしまう
そうやって死んでいった魔法少女達をどれほど見てきたか

ほむら「……とはいえ、美樹さやかに頼らざるをえない状況なのも事実」

どの道さやかの魔女化は避けなければならない
さやかに魔女になられれば、また『詰み』だ
……それに今回、美樹さやかが戦力としてカウントが出来るというのも大きい
これだけの好機。これを逃したら、次はないと考えてもいいのかもしれない

ほむら「……今度こそ、まどかの運命を変えてみせる」

その為に、美樹さやかを利用する
……そう考えなければいけない

361 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/11 21:33:26.86 d/kwIbnw0 205/365

さやか「これで今日出来る事は粗方終了かな」

上条恭介の腕を治した後、さやかは本来の自分の仕事、『正義の味方』をこなしていた
今の時点で対処が打てるものは対処する
ワルプルギスの夜対策も重要だが、自身の本業を疎かにするわけにもいかない

さやか「……それにしても……ほむら、すごい変わっちゃってたな……」

まどかにべったりで、引っ込み思案
それでいて、名前の通り炎のような情熱も同時にあわせもっている
これがさやかの持っていた当時の暁美ほむらへの印象だった

今のほむらは……その炎を持ち合わせていない
乾ききっている
全てを諦めている
そんな目をしている

何度も何度も時間を繰り返したと言っていた
それはつまり、それだけ、あの絶望を見てきた事を意味する
……一体どれだけの絶望を、ほむらは経験してきたのだろう

さやか「……もうほむらに、絶望を見せてはいけない」

ほむらの目に、希望を取り戻す
全てを諦めたあの目に、今一度希望の炎を灯らせる

さやか「よーし!頑張るぞー!!」

朝日に向かってさやかは決意を新たにした
……この時点のさやかは、学校の存在を完全に忘れ去っていた

362 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/11 21:34:47.10 d/kwIbnw0 206/365

まどか「おっはよう~」

仁美「おはようございます」

さやか「おはよ……Zzz」

まどか「さ、さやかちゃん……。どうしたの、大丈夫?」

さやか「うぅん、単純に寝てないだけだから……Zzz」

仁美「歩きながら、寝てますわね……」

363 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/11 21:37:38.58 d/kwIbnw0 207/365

キリカの魔法の中に、ひょっとして寝不足対策みたいなものはないかとソウルジェムの欠片を探したが、そんな都合の良い魔法はなかった

さやか「……でも、キリカ初めに会った時、ほとんど寝ないで動きまわってたよな……」

つまりあれは魔法を使ったわけでもなく、本当に自力でこなしていたというわけか
ソウルジェムを無駄に濁らせるわけにもいかないし、そうなるとここで取るべき道は

さやか「Zzz」

まどか「さやかちゃん……」

学校に着くと同時に、さやかは机を枕代わりに、そのまま眠りに入った

364 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/11 21:38:27.25 d/kwIbnw0 208/365

--昼--

さやかちゃん!

さやか「……おはよう、まどか」

まどか「さやかちゃん……もぅ……」

さやか「今何時?」

まどか「もう、お昼だよ……」

さやか「そうなんだ……起こしてくれてありがとう、まどか」

365 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/11 21:42:50.62 d/kwIbnw0 209/365

--屋上--

さやか『ほむらもこよーよー!』

ほむら『私は巴マミとそいつの動きを監視しているだけ』

さやか『いや、確かにこいつが何でこんな所にいるのかは謎だけどさ……』

一触即発。今の状況を一言で言うとそんな感じだった
あたしとまどか 何故か屋上にいたキュゥべえ そしてそれを遠くで監視しつつお互いに牽制しあっているマミさんとほむら
まどかはマミさんとほむらには気づいていない
……あたしとしては、まどかを連れてすぐに逃げてしまいたいたかった
何故、昼ごはんを食べにきただけでこんな状況になってしまったのだろう

QB「願い事は決まったかい?まどか」

まどか「……キュゥべえ。わたしは契約なんてしない。少なくとも今は、まだ」

QB「……美樹さやか、君はまどかに何を吹き込んだんだい?」

さやか「ソウルジェムの正体」

QB「……まどか、君は美樹さやかの言う事をそのまま鵜呑みにするのかい?」

まどか「するよ。さやかちゃんは嘘つかないもん」

……や、まどか。流石にあたしも、今までの人生何回かは嘘ついてると思うよ……

QB「まぁ僕としても無理に契約をするつもりはない。契約がしたくなったら、いつでも声をかえてくれればいいよ」

まどか「……」

さやか「……あれ?キュゥべえってそんなキャラだっけ。もっとこう、契約!契約!みたいな感じだったような」

QB「……美樹さやか。君は本当に何者なんだい?」

さやか「……まぁ、いずれ話すよ」

既にまどかやほむらに口に出して説明した以上、キュゥべえには気づかれていると考えていいだろう
逆に気づいていたとして、今あえてこういう聞き方をする理由があるとすれば……マミさん、か?

366 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) - 2011/12/11 21:44:08.22 d/kwIbnw0 210/365

キュゥべえがいなくなり、マミさんの気配も消えた
この場にはまどかとあたし……そして、隠れているほむらの気配だけが残る

さやか『ほむら。いい加減出てこようよ』

ほむら『まどかに契約する意思がない以上、まどかにそこまで干渉する気はない』

さやか『……ほむら。話さなきゃ伝わらない事だって、あるんだよ』

ほむら『伝える必要なんて、ない』

さやか『……』

まどか「さやかちゃん、どうしたの?」

さやか「……ううん。なんでもない」

ほむらはいつの間にか、立ち去っていた

374 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:19:00.00 PEEzB+1I0 211/365

--夕方--

マミ「……いつまでそんな下手な尾行を続けるつもり?」

さやか「尾行していたわけでもないんだけどね……」

マミ「私を後ろから不意打ちでもしようとしていたの?」

さやか「あぁいえ、全くそういうつもりはなくて……えぇと……その……」

さやか「ごめんなさい!」

マミ「!?」

375 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:20:36.56 PEEzB+1I0 212/365

さやか「昨日のあれは完全に言いすぎだった!まどかはあたしの大切な親友で絶対失いたくないんだけど、それでもマミさんの言ってる事だってしっかり聞いてあげるべきだったのにあんな別れ方しちゃって、だから、えぇと……」

マミ「……その事はもういいわ」

本当は、謝らなければいけないのは私だったはずなのに

さやか「マミさん……」

マミ「それで?今日は何の用?魔女のグリーフシードを独り占めしたいから、ここから出て行けとかそういう話?」

さやか「そういうのではなくて……あたしは、見滝原に家もあるし、学校もある。というわけで、ここから出て行くわけにはいかない」

……自分のいた世界では家出してたけどね

さやか「で、マミさんも見滝原に家もあるし、学校もある。つまりマミさんもここから出て行くわけにはいかない」

マミ「何がいいたいの?」

さやか「共同戦線張らない?同じ街にいてかつ、お互いそこから出られない以上、あるとすれば共存の道しかないと思うんだけど」

マミ「……共存、ね」

マミ「グリーフシードを奪うのが目的なら、相手を殺してしまう方が共存よりも手っ取り早い。共存を提案しておいて、油断したところを……ってところかしらね」

さやか「あたしはそんな事考えない」

マミ「怪しいものね。魔女との戦闘中、いきなり背後から刺されれば私だって対処のしようがないわ」

さやか「む……」

376 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:21:41.13 PEEzB+1I0 213/365

さやか「そこまで言うならこうしよう。今からの魔女の戦い、好きな時に相手を狙っていいことにする」

さやか「ただし、あたしは絶対マミさんを狙わない。でもマミさんは好き放題あたしに向かって撃てばいい。さぁこれでどうだ!」

マミ「そんな言葉をそのまま信じると思う?」

さやか「あーもう……マミさん。拘束魔法もってる?」

マミ「え?……えぇ」

さやか「まずそれであたしを拘束してよ」

マミ「えぇ!?何を言っているの?」

さやか「いいから!」

マミ「……」

巴マミの拘束魔法。リボンが美樹さやかを完全に拘束した

さやか「……凄い。これだけのスピードで拘束されたら、かわす気だったとしても対処できたかどうか……」

マミ「……それでどうするの?」

さやか「マスケット銃を召喚して」

マミ「?」

さやか「信用できないならそれであたしを打ち抜けばいい。マミさんはこれで後顧の憂いなく魔女退治に集中できる……これでどう?」

マミ「……」

377 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:22:46.20 PEEzB+1I0 214/365

マミは拘束魔法を解いた

マミ「無茶苦茶ね。本当に撃ち抜かれたらどうするつもりだったの」

さやか「その時は見る目がなかったってことで……」

マミ「よくあなた、今まで生きてるわね」

マミ「……でもどうしてそこまで?グリーフシード狙いでないとしたら、あなたの目的は何?」

さやか「それは……」

マミ「……言えないってわけね」

さやか「……すいません……」

マミ「……ついてきなさい」

さやか「マミさん?」

マミ「あなたの実力、見せてもらうわ」

378 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:24:21.60 PEEzB+1I0 215/365

ソウルジェムを使って魔女探索を行う
地味な作業ではあるが、こればっかりは仕方がない

さやか「マミさん」

マミ「何?」

さやか「その……ほむらの事、どう思ってます?」

いい機会だし、うまくほむらが悪い奴ではない事を説明できれば

マミ「私の友達を攻撃した敵ね」

さやか「……ははは……そうだよね……」

取り付く島もなかった

マミ「そういえばあなた、暁美さんと友達だったのよね。あの子、前からあんな感じだったの?」

さやか「前は……自信なさげでいつも自分を責めてるような、ちょっと内気なところもあるけど、優しい子だった」

マミ「……あの暁美さんが?意外ね……」

さやか「……いえ、過去形じゃなく現在進行形か。今もあいつは自分を責めながら戦い続けている」

マミ「……あなたは、暁美さんと仲直りできたのかしら?」

さやか「え?……まぁ、はい」

マミ「私の友達を攻撃した暁美さんと仲直り、ね……」

さやか「……ほむらにとって、まどかは特別なんだよ。ほむらは、まどかを危険な目にあわせたくない。だから魔法少女にもさせたくない。キュゥべえに攻撃をしたのも多分そういう事情があったんだよ」

マミ「本当にそうなのかしら。……鹿目さんは物凄い素質を秘めている。そんな魔法少女が現れるのが邪魔なだけのように思えるわね」

さやか「そんな言い方……!!」

マミ「……ごめんなさい。私にはどうしてもあの暁美さんって子が信用できないの。あの子は底が見えなさすぎる」

さやか「……」

この話はもうやめよう。これ以上話を続けても薮蛇だ。

さやか「まどかが物凄い素質を秘めているって、どれぐらいのものなんですか?」

マミ「……そうね、私の見る限り、あの子は最強の魔法少女になると思う」

さやか「最強?具体的に言うと?」

マミ「低く見積もっても、一撃で見滝原を焦土にかえる程度の魔力は持っているでしょうね」

……

さやか「いやいや!そんな魔法少女危険すぎるよ!」

マミ「とはいえ、鹿目さんがそんな事に魔法を使う事はありえない。私の見る限り、彼女はそんな風にはならない」

……そりゃ確かにまどかはそんな事に魔法を使う事はないだろう
だが、そんな魔法少女が魔女になれば?

マミ「彼女が魔法少女になれば多くの人を救う事が出来る。……ワルプルギスの夜だって彼女の力があれば」

さやか「……え?」

マミ「着いたわ」

379 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:25:42.45 PEEzB+1I0 216/365

さやか「……!!マミさん!屋上!」

マミ「任せて!!」

屋上から女性が飛び降りてきた
それをマミさんがリボンをクッションにして受け止める
……マスケット銃が主体の魔法少女だと思っていたけど、どちらかというとリボンが主体なのかもしれない

さやか「命に別状はなさそうだけど、少し応急処置は必要そう」

マミ「回復魔法についてはあなたの方が優秀みたいだし、頼んだわ」

さやかは応急処置をその女性にすませ、巴マミと一緒に廃ビルの中に入っていった

380 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:28:12.84 PEEzB+1I0 217/365

--魔女結界--

さやかは剣を召喚し、マミはマスケット銃を召喚する
マミさんの武器を見る限り、まさか近距離主体ということはないだろう
……そういえば、遠距離型の魔法少女と組んで戦うのは初めてだ
キリカもゆまも杏子も、基本近距離だったし
なら、あれを試してみるのもいいかもしれない

刀身を使い魔に向けて放つ
そして剣から刀身を放ったことによって空になった弾層を排出する
それと同時にマントから新しい弾層を取り出し、剣に装慎する
これにより刀身は復活するので、それを再び使い魔に向けて放つ
この動作を高速で繰り返すことにより、刀身発射を連続で行うことが可能となる
あたしの剣。わざわざ弾層で刀身が復活するような仕様になってる事を考える辺り、これが本来の使い方なのかもしれない
……杏子やキリカやゆまちゃんが一緒の時は、刀身の爆発が危なくてあまり使う機会はなかったけど

マミ「……不思議な剣ね」

さやか「えぇ、あたしも何でこんな風になっているのかよくわかりません」

マミ「……魔法少女の武器はある程度その人の性質が現れるって話を聞いたことがあるけど……」

さやか「……飛び出して、爆発するのがあたしの性質……なのかな」

そう間違えてもいない気がする

マミ「ま、まぁでも一概にそうとも言い切れないかも。過去に私の会った事がある魔法少女にもいろんな子がいたし!」

さやか「へぇ、どんな?」

マミ「それはまた話す機会があれば……ね」

マミもまたマスケット銃を連続召喚しながら使い魔を撃破していく

381 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:31:47.86 PEEzB+1I0 218/365

マミの射撃技術
それはさやかにとって驚嘆に値するものだった
狙う、撃つ、銃を再召喚する
言葉にすればそれだけだが、その行程が恐ろしく速い
さらに、マミは自身への攻撃態勢に入っている危険度の高い敵を優先的に排除し、態勢に入れていない敵については優先度を低くして対処している
これだけの精密な射撃を的確な判断の元、高速に行っているのだ

……成程、杏子やほむらが絶賛するわけだ
あたしもあの一年で射撃には相当自信をつけていたつもりだったけど、それでもマミさんにはついていくだけで精一杯だ

しかしながら驚いているのはマミも同様だった
マミが敵に対してつけている優先度を完全に把握し、その上でマミにとってなるべく優先度の低い相手を狙い撃ちにしている
それと同時に自身に迫っている使い魔に対しても的確に対処している
つまり、さやかはマミの動きを完全に把握し、その上で自身に迫る使い魔の動き、マミに迫る使い魔の動き等複数要素から優先度をつけて戦っているのだ
この魔法少女は相当にマクロな視点で戦闘を行っている

マミ「……!!」

さやかの目の前に使い魔が出現した
だが、さやかはそれを無視してマミを背後から狙っていた使い魔を投剣で撃破する
さやかの目の前にいた使い魔は巴マミの手によって撃破された
……既にマミの狙いに入っていたのが見えていたので、あえてさやかは目の前の敵を無視したのだ

マミ「……呆れた。もし私が撃たなければ使い魔の攻撃が直撃していたわよ」

さやか「?マミさんの背後にも敵が迫ってたし、今のが最善の判断だったと思うけど」

マミ「……本当に、呆れた子」

グリーフシード云々言っていた自分が、少し恥ずかしい

382 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:33:35.67 PEEzB+1I0 219/365

--魔女の結界最深部--

さやか「薔薇園の魔女、か」

マミ「知ってるの?」

さやか「鋏や蔦を使った攻撃を得意としている魔女。かなり強いから気をつけて」

マミ「あなたこそ」

まず、さやかが先手必勝とばかりに剣を複数召喚し、刀身を発射した
しかし、それを薔薇園の魔女は空を飛んで回避する

さやか「……くっ!」

魔女の結界の中にいるせいか、前に戦った時より数段動きがいい
多少の調整は必要か

空をとぶ魔女に対しマミが銃を撃つが、ことごとくが回避されている
逆にマミに対して使い魔が纏わりつく

さやか「マミさん!」

さやかは一刀を召喚し、そのまま自らに速度向上の魔法をかけ高速の剣撃を放つ

さやか「スクワルタトーレ!!」

使い魔は一瞬で切り裂かれ、マミは解放された

マミ「ありがとう」

……?マミさん必殺技帳の技なんだから、それに対して少しぐらい突っ込みがあってもよさそうなものなのに

さやか「……ひょっとすると」

マミ「どうしたの?」

さやか「いえ……しかしあの魔女。意外とすばしっこい。なら、ここは」

『速度低下』
呉キリカの魔法をさやかは使った
薔薇園の魔女の速度が大幅に低下する

マミ「……やるじゃない。なら私も。レガーレ・ヴァスタアリア!」

マミは空を飛ぶ薔薇園の魔女の真下に向けて銃弾を撃ち込んだ
……なるほど。マミさんのマスケット銃。構成しているのは恐らくリボン
さやかは銃弾から何かが産み出されるのを確認し、必殺の魔法の準備に入る

銃弾から幾重にもわたるリボンが現れ、薔薇園の魔女を拘束する
マミは、必殺の魔法を放つべく、巨大な銃を召喚した
それとほぼ同時で、さやかも同じように巨大な剣を召喚している

マミ「……まさか」

さやか「多分思ってる通り!いっせーのでお願いします!」

マミ「……わかったわ。いっせーの……」

さや マミ「ティロ・フィナーレ!!」

巨大な銃弾と刀身が薔薇園の魔女を貫いた

383 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:35:18.73 PEEzB+1I0 220/365

マミ「まさか、私以外のティロ・フィナーレを見る事になるなんてね」

さやか「あたしも本家本元ははじめて見たよ」

マミさんの本家本元ティロ・フィナーレ
攻撃力こそ同等だが、精度と発射までにかける時間があたしのものと格段に違う……まだ、この魔法には上があるってことか

マミ「他の子には、その魔法は危険だから使わないように言ってきかせてるんだけど。……あなたにはそれは言う必要はなさそう。初めてよ、ここまで完璧に再現されたのは」

さやか「あたしのはまだまだ未熟ですよ。マミさんのものに遠く及ばない」

マミ「……私も追いつかれないように精進しないとね」

流石に自分の考えた魔法を自分以上に使いこなされてしまっては立つ瀬がない

マミ「さて、グリーフシードを落としたけれど」

さやか「む……いらない。何かグリーフシード目的で倒したと思われるのは嫌だ」

マミ「……今回の戦いはあなたの手柄でもあるわけだし……半分こ、しない?」

さやか「……う……」

マミ「今日の戦いを見て分かった。あなたはいろいろ私に隠してるみたいだけど、いい子であることは間違いない。……仲直りの意味もこめて、ね?」

さやか「……そういうことなら」

384 : SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) - 2011/12/31 20:36:27.24 PEEzB+1I0 221/365

マミ「……それにしても、キュゥべえから聞いた限りあなたはつい最近まで魔法少女じゃなかったみたいね。それなのにこの実力……」

さやか「……」

いっそ未来から来たと言っても信じてもらえるんじゃないだろうか
それでほむらの事も話してしまえば……ただ、信じてもらえなければ一気に不信感が増してしまう。ここでそれはあまり得策ではないようにも思える

マミ「それも、何か言えない理由があるのね。……まぁ、いいわ。今度私の家に遊びにこない?あなたと鹿目さんで。歓迎するわよ」

さやか「え……いいの?」

マミ「えぇ。もう今更、あなたに関して信用できないとか言う気はないわ」

さやか「……その、できればほむらも……」

マミ「……ごめんなさい。暁美さんは別」

さやか「……そう……だよね……」

マミ「でも、いずれ……そうね。今回は無理でも、暁美さんには私から、少しずつ話しかけるようにしてみる」

さやか「マミさん!」

マミ「その……暁美さんの気持ちもあるし、あまり期待しないでね」

さやか「大丈夫だよ。マミさんならきっと」

マミ「そうだったらいいんだけど……ね」

396 : VIPに... - 2012/01/11 23:22:04.62 n9OxnUSp0 222/365

--夜 ほむらの家--

ほむら「何故当然のように私の家に上がりこんでいるのかしら」

さやか「今回は友達の家に泊まりに行くって家族に伝えてから来たから、ばっちり!」

ほむら「何がばっちりなのかよく分からないけど」

ほむら「……それで、巴マミとはどうだったの?」

さやか「取り敢えず協力関係は築けそう。ほむらの事も許してくれそうな雰囲気だったよ」

ほむら「……流石ね。あれだけ険悪に別れておいて友好関係が築けるなんて」

さやか「……それを言うなよぉ。これでも反省してるんだからさ」

ほむら「言い方が悪かったわ。でも、あの警戒状態に入った巴マミと友好関係が築けるってすごいことよ。どんな手を使ったのかしら」

さやか「どんな手って……その場のノリ、かな」

ほむら「……それで何とかできてしまう事がすごいのよ」

そういう事が出来るのは、美樹さやかの強みだと純粋に思う
……私とは大違いだ

さやか「それとワルプルギスの夜の事なんだけど……ってほむら?どうかした?」

ほむら「何でもない。……ワルプルギスの夜がどうしたの?」

さやか「あ、うん……今日話を聞く感じ、ワルプルギスの夜の事をマミさんも知ってる風だった」

ほむら「恐らくキュゥべえから聞いたのね」

さやか「……ひょっとするとマミさんのまどかへの勧誘は、ワルプルギスの夜対策の部分もあるのかもしれない。願い次第な部分もあるとは言え、本来ルーキーをあれに挑ませるなんて愚策なんだろうけど……」

ほむら「まどかならば、ワルプルギスの夜を一撃で撃破する事も可能。そういう意味では、確かに対ワルプルギスを想定する上でまどかを魔法少女に勧誘させるという方法は間違えてはいない」

さやか「……あれを一撃、か」

それだけの力を持った魔法少女が魔女になった時、どれほどの絶望を産み出すのか……

ほむら「無論まどかを魔法少女になんか絶対にさせないし、魔女化の事を考えれば対ワルプルギスを想定していてもさせるわけにはいかない。……とはいえ、魔女化の事を巴マミに話すわけにもいかない」

さやか「でも、マミさんはワルプルギスの夜と戦うことに選ぶと思うよ」

ワルプルギスの夜のような存在を前にして、マミさんが逃げるようなことは考えにくい
あの人は多分一人になろうとワルプルギスの夜に立ち向かうだろう
ワルプルギスの夜が来る事を知らないのであれば、やり方はいくつかあったのだが……

さやか「少なくとも対ワルプルギスの夜に向けてマミさんと協力関係を結ぶ事は、もう避けるわけにはいかないと思う」

ほむら「……魔女の話を隠しつつ、まどかの勧誘は阻止しつつで付き合っていくしかないわね」

397 : VIPに... - 2012/01/11 23:23:32.88 n9OxnUSp0 223/365

さやか「……それにしても……」

ほむら「どうしたの?」

さやか「魔女化の事を抜きにして考えたとしても、ワルプルギスの夜と戦う為にまどかを勧誘する……なんて手をとる人にも思えなかったんだよ。……ちょっと贔屓目入ってるのは認めるけどさ」

ほむら「……巴マミがまどかを勧誘する理由はそれだけではない。……けど……」

巴マミは孤独さ故に仲間を求めている部分がある
……が、今回巴マミは魔法少女となった美樹さやかに出会った

ほむら「ひょっとすると今回は本当に、巴マミと友好的な関係を築けるかもしれないわね」

さやか「お!ほむら、何か策が?」

ほむら「策はあなたよ」

さやか「……マミさんは孤独だから、まどかを求めてる。ならあたしが仲間になれば、それは解消されるってこと?」

ほむら「そう」

さやか「……理屈はわかるけど、そういう打算めいたやり方はあまり好きじゃない」

ほむら「もしワルプルギスの夜の事がなかったとして、あなたは巴マミと協力関係は組まないの?」

さやか「それは……そりゃ、組もうと考えるだろうけどさ」

ほむら「難しく考えなくていい。あなたはあなたのまま巴マミと接すればいいのよ」

さやか「……わかった」

398 : VIPに... - 2012/01/11 23:26:35.17 n9OxnUSp0 224/365

さやか「そういえばほむらは今日何をやっていたの?」

ほむら「かざみのに行って佐倉杏子を探していたわ。……結局見つからなかったけど」

いつもならこの時期はキュゥべえ狩りを実施していた
その上で巴マミとコンタクトを取り、仲間にする
……その後佐倉杏子とも、場合によっては美樹さやかも仲間にしていた
そして美樹さやかの魔女化を避けることが出来た時、辿り着いた結末は……

ほむら「……」

さやか「ほむら……ほむら!!」

ほむら「……どうしたの?」

さやか「どうしたのじゃないよ!突然真っ青な顔になって」

ほむら「……なんでもないわ」

さやか「なんでもなくないよ。少し横になる?」

ほむら「なんでもないと言ってるじゃない!!」

さやか「……ごめん」

ほむら「いえ……今のは私が悪い。不快な思いをさせてごめんなさい」

さやか「ほむら……うん。何でもないならいいんだよ」

ほむら「……」

……巴マミは美樹さやかに任せる
マミに関して言えば、明らかに私よりさやかの方が相性がいい
そう考え、佐倉杏子の勧誘を前倒しで実施すべく探していたが……

ほむら「結局私は、あなたにばかり負担をかけているわね……」

さやか「いや、一日探して見つけられなかったぐらいで何言ってるのさ。あいつは居場所を転々としてるし、そう簡単に見つけられるような奴じゃない」

ほむら「それは分かっているのだけれど……」

まどかにソウルジェムの真実を伝えることが出来た
巴マミとも友好的な関係を築くことが出来そうだ
全て未来から来た美樹さやかのおかげで

さやか「ほむら、まさか自分が今何の役にもたってないとかそんな事考えてない?」

ほむら「……事実よ。これだけ時間を繰り返してきたのに、一体私は何を」

さやか「さやパンチ!(弱)」

ほむら「痛!」

399 : VIPに... - 2012/01/11 23:30:14.91 n9OxnUSp0 225/365

ほむら「……くない。むしろ心地いい。ってそんな馬鹿な」

流石にそんな気質は私にはない……はず

さやか「そりゃ回復魔法併用してるからね……ってそんな事はどうでもいい」

さやか「あたしが今までやった事を話してみるよ。まどかに魔法少女の真実を伝えた。自分やほむらが未来から来た事も伝えた。マミさんと喧嘩した。その後仲直りした。これぐらいかな」

さやか「うまくいってるからいいけど……もし、まどかがあたしの言う事を全く信用しなかったら?マミさんとの件だって完全に嫌われてしまう可能性だってあった。うまくいってるのは、ただそれが結果としてうまくいっただけの話だよ」

さやか「で、今回のほむらの杏子探索。結果見つからなかったらその行動が正しくなかったなんて言ったら違うよね。この段階で佐倉杏子が見つけられて、仲間にできるならそれに越したことはないんだから」

さやか「役にたつとかたたないとか、結果だけで見ればそりゃそうかもしれない。でもそれって全く意味がない事なんだよ。大事なのはその行動の内容。その観点で見た場合ほむらの行動は全く間違えていないし、役にたっていないとは言えない」

ほむら「……それは誰かの受け売り?」

さやか「……うん。実はこれもキリカの受け売りです」

良手が悪い結果を生み出す事もあるし、悪手が良い結果を生み出す事もある
大事なのは結果ではなく、その結果を生み出すに至った手段であるべきだ
悪手で成功した人間は、その悪手で後に手痛い失敗を経験する事になる
だ か ら 例えうまくいってもちゃんと振り返りを実施して、自分の行動に反映していかなきゃ駄目だよ!というキリカの教え
……多分、あたしの行き当たりばったりな行動に対する戒めの意味で伝えてくれた話なんだとは思う

ほむら「本当に、あなたに大きな影響を与えていたのね。キリカは」

さやか「あたし自身、このキリカの話をしっかり生かせていないと思うけどね」

結局今回も行き当たりばったりである

400 : VIPに... - 2012/01/11 23:32:13.25 n9OxnUSp0 226/365

ほむら「あなたの言うとおりね。少し弱気になってたみたい」

さやか「ほむら……その、さ。あたしじゃ頼りないかもしれないけど、相談事ぐらいには乗ってあげられるかもしれないよ」

薄々気づいてはいた
ほむらの精神状態は相当に不安定だ
……こんな悪夢のような時間を永遠と繰り返したのだから、当然だろう
むしろ今の状態を保っている事の方が奇跡に近い
何とか支えになってあげたいのだけれど……

ほむら「……心配かけてごめんなさい。でも、大丈夫だから」

さやか「……そっか」

ほむらは強いのだ
それを一人で支えきれてしまうほどに
そしてそういうあり方は、崩れてしまえば、脆い
普通の人間ならそこから建て直しもできるけど、魔法少女はそれがそのまま致命傷になることだってある
……見滝原が壊滅した時。キリカや杏子やゆまちゃんがいなかったら自分などとっくに魔女になっていただろう
支えてくれた人達がいたから、今自分はここにいることができる

さやか「ま、今ほむらとあたしは同じ目的の為に頑張ってるんだからさ。お互いの荷物はお互いで背負っていこうよ」

ほむら「……ありがとう。気持ちだけ受け取っておくわ」

401 : VIPに... - 2012/01/11 23:33:44.70 n9OxnUSp0 227/365

ほむら「荷物といえば……あなたの持ってきた荷物。随分大きいけど」

さやか「ん?そりゃワルプルギス戦までずっとここに泊まる予定だからね」

ほむら「……はい?」

さやか「家族の許可は貰ってきたから大丈夫だよ」

ほむら「あなたの家族に一度会ってみたくなってきたわ……じゃなくて!」

さやか「ワルプルギス戦まであまり時間がない。本当は学校もさぼっちゃいたいけどそんなわけにもいかないし……せめて最低限の時間は節約して行動したい」

ほむら「……別にいいけど。布団そんなに数あったかしら……」

さやか「大丈夫だよ。床があれば寝れるから。外でダンボールで寝るのに比べたら、それで充分だよ」

ほむら「……未来のあなたに何があったのか問い詰めたいところね……」

……そういえば、私が最初にいた時間。美樹さやかは行方不明になっていた
魔女に殺されたのかもしれないと考えていたけれど、こうして生存しているわけだから……

さやか「寝袋もばっちり買ってきたしね」

ほむら「……良かった。布団あった。ほら、寝袋に入らないで、ちゃんと布団使って」

402 : VIPに... - 2012/01/11 23:36:46.15 n9OxnUSp0 228/365

その後、今後の方針等を話しあった。
結局引き続きあたしはマミさんと一緒に行動し、ほむらは杏子を探索するというところで決着した

ほむら「さて、明日も早いし、そろそろ寝るわよ」

さやか「なんか友達の家に寝泊りとかひさしぶりだよ。ちょっとドキドキするよ」

ほむら「ドキドキ、ね……」

私は毎ループあなたの行動にドキドキしっぱなしだ
……今回も例外ではないが

さやか「そうだ、ほむら。これは聞いておきたかったんだけどさ」

ほむら「何かしら」

さやか「『人魚の魔女』ってあたしだよね」

ほむら「……」

さやか「後、あたしって魔法少女になったら大抵魔女になっていたのではないだろうか」

ほむら「…………」

さやか「よし、ビンゴ!」

ほむら「何で、こんなタイミングで」

さやか「ごめん。……多分気を使って隠してくれてそうだったからさ。そういう気遣いは不要だよって言いたかったんだ」

ほむら「……」

さやか「それだけ!おやすみ!」

ほむら「……まったく」

403 : VIPに... - 2012/01/11 23:40:17.15 n9OxnUSp0 229/365

この美樹さやかについて、理解できてきた
美樹さやかは強い
戦闘面でも、精神面でも
何よりちゃんとその場その場で考えて行動してくれているのが心強い
……が、反面今までの美樹さやかの抱えていた甘さや、感情での行動も目立つ
しかもさやかはそれを自分自身で理解をしてはいるのだ

ほむら「面倒な仲間を持ったものね」

そう思いつつ、それほど嫌でもないなと思っている自分がいる
……危険な傾向だ。私は多分、このさやかに好意を持ちつつある
この子を失った時、私はそれに耐え切れるのか……

さやか「Zzz」

……人の気もしらないで……

さやか「……恭介、まどか、仁美、ほむら……みんな死んじゃうよ……誰か、助けて……」

ほむら「……」

ほむら「……大丈夫です。ここにいますよ。美樹さん」

さやか「ほむら……よかった……Zzz」

……本当に、危険だ

418 : VIPに... - 2012/01/23 21:50:45.99 yD/IKsm50 230/365

まどか「な、何かドキドキするよ……」

さやか「うーん……本当はほむらも連れてきたかったんだけどねぇ……」

--回想--

ほむら「あなた達だけで行きなさい」

ほむら「……巴マミに誘われたのはあなたとまどかだけ。下手に私がついて行って険悪になれば、今後に影響が出る」

--回想終わり--

さやか「気にしすぎだと思うけどなぁ……」

まどか「スーハー」

さやか「……てい!」

まどか「わわわ!さやかちゃん!びっくりさせないでよー!」

さやか「いやーちょっとリラックスさせようと思って」

まどか「うー……さやかちゃんは未来から来てもさやかちゃんだよ……」

さやか「どういう意味だー!このこのー!」

まどか「やめてよさやかちゃん。やめてー」

419 : VIPに... - 2012/01/23 21:52:44.18 yD/IKsm50 231/365

まどか「……そういえばさやかちゃん。……上条君のお見舞いって行ってる?」

さやか「ん?行ってないよ。……恭介に何かあったの?」

まどか「上条君の手が突然治ったって。今はまだ足のリハビリ中だけど、それが終われば退院できるんだって」

さやか「……そりゃ、あたしが治しちゃったし」

本当は足も治してしまいたかったけど……腕の方と違い、恭介の足はしっかり全快する。折角ここまでリハビリを頑張って後少しというところなのに、それを魔法で治してしまったらそれまでの恭介の努力を全否定しまうような気がした

まどか「……さやかちゃん。上条君の事好きなんだよね」

さやか「……好きだよ」

まどか「なら、お見舞いに」

さやか「あたしはもう恭介の事と一緒になる気はないんだけど……今恭介に会ってしまえば、その決意が揺らぐ。そうなった時に、仁美が恭介に告白した時のソウルジェムへの影響が怖いんだ」

まどか「あ……」

さやか「……それに……気恥ずかしくてさ。ほら、あたし一年間恭介と会ってなかったし。眠ってる姿ぐらいならまだ大丈夫だけど、おきてる姿なんか見たらもうね」

どんな形であれこの気持ちに決着はつけるべきだとは思ってる
……でも、それをやるべきは今じゃない

まどか「ごめん……」

さやか「謝らないでよ。あたしの勝手みたいなもんなんだし」

まどか「……」

さやか「……この話はもうやめよう?それより今からマミさんちに行くんだからその事について話そうよ」

まどか「……うん」

420 : VIPに... - 2012/01/23 21:54:07.25 yD/IKsm50 232/365

まどか「……マミさん。わたしの事怒ってたりしてないかなぁ」

さやか「?どうしてさ」

まどか「だって……さやかちゃんがマミさんと喧嘩した時、わたしすぐにさやかちゃんを追いかけちゃって、マミさんの事全然考えてなかったし……」

さやか「やー……あれはあたしの責任だし。もうそこは仲直りしたんだから、まどかの事だって気にしてないと思うよ」

まどか「本当かな……」

さやか「……ケーキの量が半分こになってたり」

まどか「そんなのあんまりだよ!」

さやか「ぅぉぅ」

……おいしかったもんね。あのケーキ

まどか「あ……えぇと、別にケーキの為にマミさんの家に行くわけじゃなくて……」

さやか「よし、それならまどかの分まであたしがマミさんのケーキを食べてあげよう」

まどか「……さやかちゃんのいじわる」

さやか「あはは」

--マミの家--

マミ「待ってたわ。さぁ、上がって」

まどか「お邪魔します」

さやか「お邪魔します!」

まどか「マミさん。この前は本当にすいませんでした」

マミ「……あの件は私が悪かったと思ってる。美樹さんの言う通り、まだ魔法少女にもなっていない子を魔女との戦いに巻き込もうとするなんてどうかしてた。……本当にごめんなさい」

まどか「マミさん……」

マミ「……だから今日はその仲直り会の意味も込めて、いつもよりはりきってみました!」

さや まど「おー……」

ケーキにクッキーに紅茶にその他お菓子もろもろ……
以前来た時よりラインナップが豪華だ

マミ「おかわりもあるから、遠慮せずに食べてね」

421 : VIPに... - 2012/01/23 21:55:51.07 yD/IKsm50 233/365

いろんな話をした
それはまどかとあたしの出会いの話だったりまどかの演歌論だったりマミさんの昔の話だったり……
特に心に残ったのがマミさんの昔会った魔法少女の話、
その時の苦い経験……
多分これって杏子の事なんだろうな
……あいつにそんな可愛い時期があったなんてなぁ……

さやか「じゃぁその魔法少女は今、かざみのにいるんですか?」

マミ「いえ……あの子はもうかざみのに拘る理由がない。いろんな街を転々としているんじゃないかしら」

さやか「……」

あたしが会った時はゆまちゃんが一緒にいた
……あの頃の杏子はゆまちゃんに気を使ってあえて同じ場所に留まっていたのかも
そうすると、佐倉杏子は今現在かざみのにいない可能性もでてくる
ほむらに相談してみて、場合によっては探索規模を拡大させたほうがいいのかもしれない
……

さやか「マミさん。……ワルプルギスの夜の事、知ってるよね」

マミ「……えぇ。後一ヶ月……いえ、数週間もしない内にワルプルギスの夜が現われる」

さやか「マミさんの言ってた友人だった魔法少女。彼女やほむらと力を合わせて戦うのが、ワルプルギス戦では最善かと思う」

マミ「いえ、それは最善ではないわ」

さやか「……というと?」

マミ「鹿目さんに契約してもらい、ワルプルギスの夜を撃つ。それが最善策よ」

まどか「!?」

さやか「マミさん、まどかを……」

まどかを犠牲にするような案は賛成できないと言おうとして
それを言い切る前に視界が歪んだ

さやか「……あれ?」

まどか「さやかちゃん、どうしたの?」

さやか「うぅん。特に何かしたわけでもないのに、眩暈が……」

いや、この感覚は……

さやか「……やられた」

さやかは剣を召喚し左手に突き刺した
さらに痛覚を若干強化する
痛覚で一時的に眠気がはじけ飛ぶ

マミ「……」

そのまま右手に剣を召喚して
その剣はマミのマスケット銃で撃ち弾かれた

マミ「動かないで」

空中に複数召喚されたマスケット銃。それらは全てさやかに向けられている

さやか「……流石」

足元からリボンが発生し、さやかは完全に拘束された

422 : VIPに... - 2012/01/23 21:57:40.79 yD/IKsm50 234/365

マミ「まさかそんな方法で眠気を消そうとするなんてね……私の部屋を汚さないでほしかったんだけど」

さやか「……」

まどか「え?え?」

マミ「……悪いけど。鹿目さんをここに呼び寄せる為に、美樹さんを利用させてもらったわ」

まどか「……!」

マミ「鹿目さんにお願いがあるんだけど、いいかしら」

マミ「キュゥべえと契約をして、魔法少女になってくれない?」

まどか「!?」

423 : VIPに... - 2012/01/23 21:59:52.01 yD/IKsm50 235/365

さやか「……マミさん……」

さやか「……全部、演技だった?」

さやか「ほむらと仲良くするといった事も、仲直りといった事も、……今日、ずっと楽しそうに話をしてきた事も全て!」

マミ「そうよ。全ては鹿目さんをここに誘き出し、あなたを油断させる為の布石。……まさかここまでうまく踊ってくれるなんて思ってなかったけれどね」

マミ「……剣を消して、回復魔法を使ったら?拘束されててもそれぐらいはできるでしょう?」

さやか「……」

今痛覚がなくなれば確実にそのまま眠り落ちてしまう
ここでひくわけにはいかない

マミ「……まぁいいわ」

マミ「鹿目さん。ワルプルギスの夜についてどのくらい知ってるのかしら?」

まどか「……さやかちゃんから一通りの事は聞きました」

マミ「なら、話は早いわね。……ワルプルギスの夜を倒す為、あなたの力がほしいの」

さやか「マミさん。魔法少女になるってことがどういうことか」

マミ「私達……友達だったあの子の力を借りたとしても、ワルプルギスの夜は倒せない。このままでは見滝原は終わりを迎えてしまう。……でも鹿目さんの力ならその運命を変えることが出来る」

まどか「……わたしの力で?」

マミ「そうよ。救いのない絶望も、避けようのない悲劇も、あなたの力で覆す事が出来る。……鹿目さん。あなたの力をこの街の為に捧げてほしいの」

さやか「……キュゥべえがはっきり言ったの?あたし達ではワルプルギスの夜を倒せないって」

マミ「うぅん。難しいといっただけ」

さやか「……可能性が0じゃないのなら……」

マミ「可能性が0じゃないのなら立ち向かうつもり?1%でもあるのなら、99%無理だといわれても。絵に描いたような正義の味方ね」

マミ「……でも私は違う。私達にワルプルギスの夜を倒せる可能性が薄いのであれば、確実にワルプルギスの夜を倒す方法をとる。……その為には鹿目さんの力に頼るしかない」

まどか「でも、魔法少女は、ソウルジェムは……」

さやか「まどか!駄目!!」

今この状況で言っても信じてなどくれない
もし仮に信じてくれたとしても、この状況化では最悪の結末にしか繋がらない

まどか「でもさやかちゃん!このままじゃ……!!」

マミ「美樹さんに何か吹き込まれたのね。……鹿目さんの願い事を私が決めてあげる」

マミ「『美樹さんを蘇えらせてほしい』それが、あなたの願い。これでどう?」

まどか「!?」

さやか「……あんたはどこまで……」

マミ「そうね、その願いを叶える為には……」

マミは浮いていた銃の一つを手にとった

マミ「この銃を撃つ必要があるわね」

まどか「待って!……マミさん、待ってください……」

さやか「……まどか。大丈夫、策はある」

まどか「?……さやかちゃん?」

424 : VIPに... - 2012/01/23 22:03:15.73 yD/IKsm50 236/365

マミ「へぇ……この状況でどんな策があるというのかしら」

さやか「……ほむらをこの場所に呼ばなかった理由が分かる?」

マミ「……」

さやか「今、ほむらは遠くから狙撃銃でマミさんの部屋に狙いを定めている。もうあたしをマミさんが殺そうとしているのは見えている。今はテレパシーで止めてるけど、あたしを殺せばほむらはマミさんを撃つ」

嘘だ
今回ほむらに一緒に遊びに行かないかと誘ったけれど、ほむらをそんな風に待機するようには一言も言っていない
……マミさんはほむらに対して警戒している
なら、このハッタリは充分に有効なはずだ

マミ「……なるほど、ね。流石にあなたもそこまで馬鹿ではなかったというわけ」

マミ「でもね。別に相打ちでもいいの。最終的に鹿目さんが魔法少女にさえなってくれればいいんだから。鹿目さんが美樹さんを救う。ワルプルギスの夜も倒される。……私の命一つで全てがまるく収まる……違う?」

さやか「……!?」

つまりマミさんは自分の命を捨てる覚悟でこんな策を……

マミ「さようなら。美樹さん」

まどか「マミさんやめて!わかった!わたし魔法少女に……!!」

さやか「まどか!」

ほむら「その必要はないわ」

一瞬だった
浮かんでいた銃は全てへし曲がり、あたしを狙っている銃はマミさんの手に持っている銃ただ一つとなる

マミ「え!?」

ほむら「……」

最後の銃を盾で弾き飛ばし、ほむらの膝蹴りがマミさんの腹部に直撃した

マミ「ぐ!!」

さやか「ほむら……どうしてここに?」

ほむら「私はあなたほど甘くはない」

そういいながら、ほむらはあたしの手に突き刺さっていた剣を引き抜くと、その剣を使ってリボンの拘束を解いた

425 : VIPに... - 2012/01/23 22:04:45.69 yD/IKsm50 237/365

実のところ美樹さやかのハッタリはそれなりに的を射ていた
さやかは完全にマミを信用しきっていたが、私はあの一件以来巴マミを常に信用していない
……そもそも本当の意味で信用している人間なぞ私にいるのかと問われると疑問ではあるが
万が一にでも巴マミが凶行に及べばまどかの命が危ない
そう考えて近くに潜んでいた
結果、今回はそれが表に出たようだ

ほむら「さやか、回復魔法を使って少し休みなさい。このままではソウルジェムへの負担が大きい」

さやか「ん……でも、ほむら」

ほむら「ここはもう大丈夫。私を信用して」

さやか「……わかった。じゃぁ、後は任せ……」

と言いながら、さやかは崩れおちた

まどか「さやかちゃん!」

まどかが慌ててさやかを支える
……本当にぎりぎりのラインで耐えていたのだろう

ほむら「……さて」

ほむらは巴マミに向き直り……デザートイーグルを向けた

426 : VIPに... - 2012/01/23 22:06:54.26 yD/IKsm50 238/365

マミ「……痺れをきらして出てきたって訳?」

ほむら「美樹さやかの名誉の為に言うわ。さやかは何も考えてなどいなかった。ただ友人の家に遊びに行くと、まどかと一緒にはしゃいでいた。……こんな事が待っているなんて欠片も考えてなどいなかった」

ほむら「私がいたのは最初からあなたが信用できなかっただけ。私だけの意思であり、美樹さやかは一切関係がない」

マミ「……」

ほむら「……分かっているの?あなたはあなたを信用してくれた仲間の信頼を踏みにじったのよ!他ならぬあなた自身の手で!」

……私はいつの巴マミに向かって、この言葉を投げかけているのだろう

マミ「……私に本当の仲間なんて必要ないわ。あの子と別れて以来、今までだってずっと一人でやってきた。そしてこれからもずっと。美樹さんは利用した。鹿目さんもワルプルギスの夜を倒す為に利用する。ただそれだけよ」

ほむら「……!!」

衝動的に巴マミの頬を殴っていた
……『利用する』か
私だって巴マミとやってる事は対して変わらないのに

マミ「銃は使わないの?」

ほむら「あなたなんかに使う弾が惜しい」

マミ「……甘いのね。あなたも、美樹さんも」

ほむら「……何とでも言いなさい」

ふとテーブルを見た
ケーキは砕け散り、ティーカップがあちこちに四散している
……やめよう。考えたところでもうどうしようもない

ほむら「まどか。帰るわよ」

まどか「……うん」

427 : VIPに... - 2012/01/23 22:09:29.55 yD/IKsm50 239/365

--ほむらの家--

さやか「……ここは……」

ほむら「私の家。ついさっきまでまどかもいたけれど、遅くなったからもう家に帰らせた」

さやか「……完全に下手打ったね。あたし」

ほむら「あれの予測は不可能よ。私だって今日見張ってはいたけど、その実こんな事が起こるなんて想定もしていなかった」

友達をあれだけ欲している巴マミが友達を裏切るような行動をとるなんて……
恐らくキュゥべえに誘導でもされたのだろうが

ほむら「むしろそこよりも……手に剣を突き刺して眠気を抑えるなんて……無茶がすぎるわ」

さやか「……無茶しなきゃ、まどかは契約してたよ」

ほむら「それは……」

その通りだ。……私は何を言っているのだろう

さやか「……魔法少女は痛覚がコントロールできる。とはいえ分かりやすく痛みが発生している箇所がないと痛覚を発生させる事は難しい。……結局その一手分の遅さでマミさんにマスケット銃を召喚されてしまった」

でも仮に最初から剣を召喚していたとしてあのスピードに対処できただろうか
……厳しかっただろうな
マミさんからすれば確実性をとって睡眠薬を使ったんだろうけど……?

さやか「……でも、あれ?」

マミさんは全てが演技だったと言った
仲直りも、ほむらと仲良くすると言ったことも
……でも、本当にそうなのだろうか
そうであれば薔薇園の魔女との戦いの前、あたしにあれだけきつく当たってきた必要性が見えない
あそこであたしがきれてしまえばそれで終わりだったわけだし
マミさんが知りえる情報内で、普通あんな手を打つか?
……ひょっとしてマミさんの中でも、考えがゆれている?

ほむら「……とにかくこれではっきりした。巴マミは敵よ。ワルプルギスの夜が来るまでひたすらに勧誘してくるだろうから、私がそれを徹底して妨害することにする。……あなたは私の変わりに佐倉杏子をお願い」

さやか「……わかった」

全ては楽観的な推測だ
大体キュゥべえからワルプルギスの話を聞いたタイミングがいつかも分かっていないわけだし
……あたしは失敗した。マミさんの手に完全に踊らされた
そう考えるべきだろう

ほむら「……その、ショックだろうけど。あまり無理はしないようにね」

さやか「……ありがとう、ほむら」

428 : VIPに... - 2012/01/23 22:10:49.74 yD/IKsm50 240/365

--マミの家--

QB「失敗したね。マミ」

マミ「……えぇ、そうね。……でも、これで良かったのかもしれない」

QB「マミ?」

マミ「だってそうでしょ?ワルプルギスの夜の為に鹿目さんを犠牲にして、美樹さんや暁美さんまで傷つけて、こんな作戦成功するべきじゃない」

QB「見滝原はどうなってもいいというのかい?」

マミ「……そんなわけない。そんなわけないけれど……」

成功しなければいけなかった
でも失敗してほしかった
だから美樹さんにあんなに辛くあたったのに、それでもあの子はそんな私を信用してくれて……
暁美さんの言うとおり
私は自分を信頼して一緒に戦ってくれた仲間を、裏切ったんだ

マミ「……そうね。もう後にはひけない」

鹿目さんを契約させ、見滝原を救う
それしか道がないのだから仕方ない。でも……

マミ「……本当にこれでよかったのかな……」

485 : VIPに... - 2012/01/28 14:39:54.64 TUhPfVSl0 241/365

--ほむらの家--

さやかを先に寝かせ、ほむらは一人スクリーンを映していた
その中には今までの巴マミが映っている

ほむら「……これだけ早い段階でまどかが魔法少女の真実に辿り着くことは今までなかった」

それが巴マミの今回の行動に結びつくとしたら、間違いなくキュゥべえの仕業だろう
けれど……

ほむら「あの時の巴マミの指はトリガにかかっていなかった」

「さようなら。美樹さん」と巴マミは言った
だがその後本当に巴マミは引き金をひいただろうか
考えるまでもない
錯乱してもいない巴マミが仲間を殺すわけがない
つまりは、完全なブラフだ
あれで鹿目まどかが契約すると言えば儲けものといったところだったのだろう
契約しなければ「気が変わった」だの、「死体を処理するのが面倒だ」だの「部屋を汚したくない」だの適当な理由をでっち上げてまた別の手を打てばいい
美樹さやかの蘇生なんて願いに拘る必要性はどこにもない
ただ、まどかに願いを叶えさせてしまえば契約としては事足りる

……おかしな点は他にもある
私の不意打ちに対して巴マミは本当に何の反応も出来なかったのか?
その前に美樹さやかが狙撃銃なんて警戒を煽るような事を言っていたのに?
大体あの後普通に素手で殴ってしまったが、いくらなんでもあれは避けれる
そもそもまどかの契約を狙うのであれば、あの場面私達を逃がす理由がない
いくら不意打ちが成功したとはいえ局面としてはまどかと眠っているさやかを抱えている以上、あちらの方が有利だったのだ
では何故逃がしたのか?
……巴マミにはこちら側に状態が気になってしかたがない怪我人がいた
私の不意打ちをそのまま受けたのはその怪我人が治療できるような状況を作り上げる為
逃がしたのは、その怪我人の回復魔法がどこまでのものか断定できない以上、ここでの追撃はその怪我人を最悪危険にさらす事態になると判断した……
大方こんなところだろう
そもそも巴マミと戦って巴マミからの攻撃によるダメージを全く受けていないというのがおかしいのだ

ほむら「……どっちが甘いのよ」

巴マミが睡眠薬を使ったのは事実だし、美樹さやかの信頼を踏みにじったのも事実だ
巴マミは敵となった。それは間違いない
……ただ、巴マミが守りたかったものは見滝原の住民もあるだろうけど、それ以上に……

486 : VIPに... - 2012/01/28 14:41:42.06 TUhPfVSl0 242/365

--マミの家--

QB「ところでマミ。疑問があるんだけど」

マミ「……何。キュゥべえ」

QB「何故、美樹さやかを殺そうとしたんだい?君のやろうとしている事と矛盾しているじゃないか」

マミ「……殺す気はなかったけど殺すように見せる必要はあった。これであの子達は私の目的が何なのか絶対に辿り着くことは出来ないはず」

暁美さんの奇襲
確かに作戦は失敗したけれど、ある意味において大成功だった
美樹さんのブラフに乗った形とはいえ、結果としてこれ以上ないほどの演出となった
これで実は殺そうとしてなかったなどと気づく人間は誰もいない
もし仮に気づいたとしても、それを断定できる根拠は何もない

QB「でも、別にいちいち目的を隠す必要なんてないじゃないか」

マミ「……あなたはあなたの命を守る為にあなたの親友を危険な運命に巻き込むと言われたらどう思う?」

QB「……どうだろうね。ただ君達の価値基準で考えるなら命より重いものはないんだろう?なら親友を危険な運命に巻き込む方をとるべきじゃないのかな」

マミ「……あなたはそう考えるのね……」

487 : VIPに... - 2012/01/28 14:42:37.98 TUhPfVSl0 243/365

--次の日--

マミ「……もう、こんな時間。……パトロール、行かなくちゃ……」

今だって魔女に襲われている人がいるかもしれない
……気持ちを切り替えないと

マミ「まずは優先度の高いところから……歓楽街……病院……」

488 : VIPに... - 2012/01/28 14:44:35.28 TUhPfVSl0 244/365

--病院--

恭介「……さやか!?」

まどか「ごめんなさい……」

恭介「鹿目さんか……どうしたんだい?」

まどか「その、少し話があって……」

恭介「……入って」

恭介「……さやか。僕の腕が治ったって聞いてどうだった?」

まどか「……喜んでたよ。さやかちゃん、ずっと上条君の腕が治るよう祈ってたんだもん。喜ばないわけないよ」

恭介「……そうか」

さやかが恭介の事を諦めたといった日
お見舞いに行く事をやめた日
それ以降、まどかはこうして上条恭介のお見舞いに来ていた
……さやかちゃんは諦めたといっていたけど、好きなのに諦めるなんてそんな終わり方は悲しすぎる
何とかできないのだろうか
そう考え、病院のロビーをうろうろしていた所を、上条恭介に発見されたのが始まりだった

恭介「本当のことを教えてくれないかい?」

まどか「……本当のこと?」

恭介「さやかはもう、僕の事が嫌いになったんじゃないかな」

まどか「そんなこと……!!」

恭介「……無理もないさ。いつも沈んでいて、時に八つ当たりだってしたこともあった。そんな僕の傍にいつまでもいるほうがおかしいんだ」

恭介「……それに、思うんだ。怪我をする前から……いくら親友といっても、さやかは僕と一緒にいすぎた。ヴァイオリンだけが生きがいのような僕とずっと一緒にね」

恭介「こうして腕は治ったけど……さやかは僕の為に人生を縛られすぎている。……さやかにはもっと自由に生きてほしいんだ。僕なんかに構うべきじゃない」

まどか「……違うよ上条君!さやかちゃんは上条君の……」

看護婦「ごめんなさい。そろそろリハビリのお時間ですよ」

恭介「うん。わかった。……鹿目さん。それじゃまた」

まどか「……」

--病院の外--

まどか「……このままじゃ……」

上条君はさやかちゃんの事を大事に思っている
さやかちゃんだって上条君の事が好きなのに……

まどか「……なんで、うまくいかないのかな」

……まどかは気づいていなかった
孵化寸前のグリーフシードから発生した黒い霧が、まどかを包み込もうとしていることに

489 : VIPに... - 2012/01/28 14:46:23.72 TUhPfVSl0 245/365

ほむら「……!!」

まどかの反応が途絶えたのは病院のすぐ外……恐らく魔女だ
しかもあの位置に現われるとするならば、現状一番厄介なあの魔女……

ほむら「迂闊だった……!!」

美樹さやかが上条恭介のお見舞いに行かなければ、どうなるか?
この可能性を全く考慮できなかったなんて……!!
とにかくすぐに魔女結界まで

ほむら「……」

……ここからではテレパシーが届かない。ほむらは携帯電話を使った

さやか「やっほーほむ」

ほむら「魔女結界にまどかが捉われた。場所は見滝原の病院……上条恭介のいる場所よ」

さやか「!!」

ほむら「私は今から魔女結界まで向かう。あなたもお願い」

さやか「もう向かってる!」

490 : VIPに... - 2012/01/28 14:48:31.68 TUhPfVSl0 246/365

--魔女空間--

マミ「チョコレートにレーズンにクッキー……さながらお菓子の魔女といったところかしらね」

まだ魔女の結界は完全に完成しきっていない
今ならまだ病院に影響が出る前に対処する事が可能そうだ
……後ろに気配を感じマミは振り返った

マミ「……暁美、さん」

ほむら「……巴マミ」

マミ「……この前の決着でもつけるつもり?」

ほむら「今回の獲物は私が狩る。あなたは退いて」

マミ「……そういうわけにもいかない。魔女を倒すのが、私の役目よ」

……これぐらいしかもう、私には縋れるものがない

ほむら「今のあなたにこの魔女を任せるわけにはいかない……どいて」

今の巴マミは精神状態が不安定だ。まさか負けるとは思えないが、万が一がありえる

マミ「……」

ほむらに無数のリボンが絡みつく

ほむら「……巴マミ……!!」

マミ「そこで大人しくしていなさい。……結界も張ってる。使い魔程度なら近寄ることすら出来ないはずよ」

ほむら「……今回の魔女は今までの魔女とはわけが違う!!」

マミ「……そう。心に留めておくわ」

ほむら「待って!この先には……この先にはまどかが……!!

マミ「……」

巴マミは無言で去っていった

ほむら「……く……」

……最悪だ

491 : VIPに... - 2012/01/28 14:49:21.61 TUhPfVSl0 247/365

まどか「嫌……やだ……!!」

2度目の魔女結界
でも、今はさやかもほむらもいない
一生懸命隠れていたが……ついに見つかってしまった

使い魔「キキキ」

まどか「誰か、助けて……」

銃声が響きわたり、使い魔は一瞬で弾けとんだ

まどか「……あなたは……」

マミ「……」

492 : VIPに... - 2012/01/28 14:50:32.62 TUhPfVSl0 248/365

まどか「……マミさん……」

マミ「……何?」

まどか「わたしの契約……まだ諦めてないんですよね……」

マミ「……ここで強引に迫れば、あなたは契約してくれるのかしら?」

まどか「……」

マミ「……」

マミ「取引をしましょうか。私が魔女を倒したら、あなたには契約をしてもらう」

まどか「!?そんなのって……!!」

マミ「どうするの?あなたの答えに、病院の人間全ての命がかかっている」

……鹿目さんが断ろうと契約を決めようと、魔女を倒す事に変わりはないが

まどか「……」

マミ「答えられないなら、そうね。特別に別の条件を提示してあげる」

いつぞや、屋上で美樹さんが鹿目さんに話したと言っていた
……あの美樹さんが話した事だ。恐らく本当の事なのだろう
美樹さんは教えてくれそうになかったが、或いは鹿目さんなら

マミ「ソウルジェムの正体を私に教えてくれれば、この魔女は私が倒す」

まどか「え!?で、でもそれは……」

さやかちゃんにも口止めされていて……でもこのままじゃ……

マミ「どうするの鹿目さん。全てはあなた次第よ」

まどかは迷い、決意し、そして口を開いた

まどか「ソウルジェムは魔女を産むんです。ソウルジェムが完全に濁りきった時、ソウルジェムはグリーフシードへと変化を遂げ魔女へと産まれ変わる。それがソウルジェムの真実です」

マミ「……!?」

493 : VIPに... - 2012/01/28 14:51:58.48 TUhPfVSl0 249/365

信じられなかった
いや、信じたくなかった
……でも、一方で……

マミ「……それが事実として、私の体はどうなるの?普通の人間に戻るとも思えないけど」

まどか「……魔法少女になった時点で魂はソウルジェムに変化しているんです。つまりソウルジェムがなくなれば、魔法少女は死ぬ」

マミ「……突拍子がなさすぎて、とても信じられない」

……でも、あの美樹さんがそんな嘘をつくとも思えない

マミ「……約束は約束。魔女は私が倒す。……今からあなたを結界の外に移動させる時間的な余裕もない。ついてきなさい」

まどか「……はい」

494 : VIPに... - 2012/01/28 14:52:56.44 TUhPfVSl0 250/365

マミ「あれがお菓子の魔女、ね」

ぬいぐるみ……のようにしか見えない
まったく動きがないのが逆に不気味だ
……これまでの魔女とはわけが違う、か
……使い魔相手にいくらか手傷を負ってしまったあたり、
自分が本調子ではないのはもう見えている
……時間を長引かせれば、それだけ戦いが不利になる

マミ「一気に決める」

一連の連続攻撃の後、マスケット銃でお菓子の魔女を空に打ち上げ、必殺の魔法を放つ

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

巨大な銃弾はリボンへと変化して、お菓子の魔女を絡みとり、
一瞬で絶命させる……はずだった
だがしかし、お菓子の魔女の口から大きな蛇のような化け物が現われ……

495 : VIPに... - 2012/01/28 14:53:45.70 TUhPfVSl0 251/365

巨大なケーキにティーカップ
まるで不思議の国のような空間
……さっきまでいたお菓子の魔女の結界とは違う。ここはどこだろう?
……あの赤い髪は

マミ「佐倉、さん……?」

……違った
微妙に似ているが造詣が歪な……使い魔だ
よく見ると佐倉さん以外にも、美樹さんや鹿目さん、暁美さんにそっくりな使い魔もいる
ふと自分の姿を確認する

マミ「……」

異形のそれは、魔女そのものだった

496 : VIPに... - 2012/01/28 14:56:19.99 TUhPfVSl0 252/365

マミ「……死ぬ間際に見る夢……というわけでもなさそうね……」

……恐らくこれがソウルジェムの真実
魔法少女の末路

マミ「魔法少女が魔女になるなら……もう死ぬしか……」

遠くで話声が聞こえる

QB「願い事を決めるんだ!まどか!」

まどか「……」

マミ「……キュゥべえ?」

何故こんなところに……
いや、待て
つまりは……そういうことか

QB「早くしなきゃ君が死んじゃうよ!!」

まどか「……きゃあああああああ!!」

マミ「……」

鹿目さんの悲鳴が聞こえる
……無理もない。こういうものは聞かされるのと実際に見せられるのでは全く違う
お菓子の魔女の標的は、いまや私から完全に鹿目さんに移っている
今の私なぞ興味にも値しないといったところか

……この魔女結界が完全に動き出せば病院の人の多くは犠牲になるだろう
何より、このままでは鹿目さんが殺されてしまう
……大丈夫、まだ動ける

QB「さぁ契約を!!」

マミ「その必要はないわ」

まどか「……え?」

QB「マミ!?」

つい最近誰かが言っていた台詞をそのまま使い、銃を空に向けて撃った
まだ自分は戦えるという意思表示
お菓子の魔女が再びこちらを振り向いた
体が痛い。というよりもさっきの魔女の攻撃で体が半分近くなくなっている
左手、左胸、左足……左半身の大部分はもっていかれた
……だが、今の一撃で終わっていた可能性も考慮すればこれでも充分ましだ
本調子ではないし、動揺もあった
だけどソウルジェムがもし魂だとすれば、それさえ守りきれば一撃死は避けられるかもしれない。そう判断した上での回避行動が、吉と出た
私の魔法、命を繋ぐリボンを体に直接結びつけ、なくなった箇所の代用品とする
まどか「マミさん!!」

マミ「鹿目さん、もう大丈夫。……あなたは私が守る」

魔法少女が魔女となる
つまり、鹿目さんは最強の魔法少女となると同時に最悪の魔女となる
こんなもの、最善の策でも何でもない
まんまとキュゥべえに乗せられた……いや、判断したのは自分か
鹿目さんを魔法少女にすれば誰も死ぬ事はない
見滝原の住民を……鹿目さんも、美樹さんも、暁美さんも、そして佐倉さんも確実に死なずにすむ選択肢。それを私は選んだつもりだった
だが、そんなものはなかった
もし鹿目さんの魔力から魔女が産まれれば、世界が終わる
……みっともない愚行の挙句が、この様だ
せめて美樹さんや、鹿目さん、暁美さんに謝りたい
私が馬鹿だったと 本当に悪かったと
でも、もうそんな時間は残されてはいない
……ならば、私が最後にすべきことはそんな泣き言ではない

497 : VIPに... - 2012/01/28 14:57:43.48 TUhPfVSl0 253/365

さやか「ほむら!」

さやかはほむらを拘束しているリボンを一気に切り裂いた

さやか「……どうしてこんなことに?」

ほむら「話は後!私につかまって!!」

さやかはほむらの手を掴み
ほむらは時間停止を発動させた

さやか「これがほむらの……」

ほむら「私の手を離さないで。あなたの時間まで止まってしまう」

さやか「ほむら、マミさんはどこに?」

ほむら「この結界の最深部。魔女のところよ」

さやか「……ほむら、これって触れてさえいればいいんだよね」

ほむら「……そうだけど」

さやか「ならさ。ほむら、ちょっと私に背負われてくれないかな」

ほむら「?こう?」

さやか「よし。じゃぁ、一気にいくよ!!」

速度向上魔法を自身にかけ、さやかは一気に加速した

498 : VIPに... - 2012/01/28 14:59:42.12 TUhPfVSl0 254/365

さやか「……魔力の残り香?」

点々とソウルジェムが反応するレベルの魔力が塊となって放置されている。
これは一体?

ほむら「……それは恐らく巴マミのものよ。それを伝っていけば魔女の元に……まどかの元にも辿り着けるはず」

さやか「……でも、何故こんなものを?」

ほむら「最悪のケースの為の保険。でしょうね」

もし巴マミが死ねばあのリボンは外れる
そこで魔力の残り香を辿れば最短ルートで魔女の元に辿り着ける
……最悪の場合、私にお菓子の魔女を任せるつもりだったのだろう

ほむら「本当にあの人は……」

499 : VIPに... - 2012/01/28 15:01:29.83 TUhPfVSl0 255/365

マミ「私を食べ残したのが仇となったわね。好みのお菓子とは違ったのかしら?」

お菓子の魔女「!」

お菓子の魔女が急接近してくる
……さっきの噛み付き攻撃だ
一度見た手は二度と……と言いたいが、この代用品を使っている体では完全に回避する事は難しいか
また体の一部を食いちぎられる
だが当然ただでは終わらせない

お菓子の魔女「!?」

お菓子の魔女の口の中にマスケット銃を放りこんだ
……というより、お菓子の魔女が噛み付こうとした地点にマスケット銃を配置していた
今の状態では痛みでまともな射撃すらままならないが、
これならば外しようがない
マスケット銃をお菓子の魔女の口の中で撃ち放つ

マミ「……」

痛みがひどい上にリボンに魔力をまわしている状況では、マスケット銃の生成は精々一本ずつといったところか
……この魔女を倒すには充分だ

お菓子の魔女が再び襲い掛かる
だが、今度はさっきより遅い
恐らく噛み付く瞬間にまたマスケット銃を召喚される事を警戒しているのだろう
……狙い通り
お菓子の魔女の横につき、マスケット銃の銃口をその体に突きつけ、撃ち放つ

お菓子の魔女「!!」

怒った魔女が再び噛み付きにかかる
それを寸前までひきつけ、回避する
……直撃こそ避けれたものの、また攻撃を受けてしまった
……が、攻撃を受けた部分はリボンで再構成をした箇所。今お菓子の魔女は私のリボンを食べてしまったことになる。つまりは

お菓子の魔女「!?」

再びお菓子の魔女の口の中で爆発が発生した

……完全にこちらの手の上だ
何をすればいいか分からなくなっている魔女に対し、確実に手を打っていく

500 : VIPに... - 2012/01/28 15:03:15.55 TUhPfVSl0 256/365

さやかは思わず呆然としてしまった
マミさんの体はもう6割がた残っていない
足りないパーツを全てリボンで代用している
そしてそのリボンも既に真っ赤に染まっているような状態
……マミさんは痛覚遮断を知らないはずだ
いくら魔法少女の元々の痛みがかなり抑えられているとはいえ、あんな状態で動けるはずがない
でも、それなら今あたしが見ているものは何だ?

「まぁ少なくともあたしの知る限りでは最強の魔法少女だったな。能力とかそういう類の強さではなく、ただ強かったんだ」

かつての佐倉杏子の言葉を思い出す。見滝原最強、正義の味方巴マミ……

まどか「さやかちゃん!ほむらちゃん!」

さやか「まどか!?」

その声で我に返った

さやか「ほむらはあの魔女を頼む!あたしはマミさんの回復にまわる!」

ほむら「わかった」

ほむらは手榴弾を魔女に向かって投げつける
魔女の標的が巴マミから、暁美ほむらに変更される

ほむら「……来なさい」

501 : VIPに... - 2012/01/28 15:04:59.81 TUhPfVSl0 257/365

マミ「美樹さん?……良かった」

今、魔女と戦っているのは暁美さんのようだ
……あの魔女を圧倒、か
まさかあそこまで強いなんて

マミ「……どうやら、何とかなりそうね」

そういいながら、巴マミは崩れ落ちた

さやか「マミさん!今グリーフシードと回復魔法を使うから!」

マミ「……無駄よ。今の私の体が見えてないの?」

さやか「それは……!」

マミ「……そのグリーフシードはあなたの為にとっておきなさい。私なんかの為に使うのは勿体無い」

さやか「マミさん……」

マミ「……ちょっとだけ話を聞いてくれる?」

マミ「……魔法少女は魔女になる。ソウルジェムの正体ってそういう事よね?」

さやか「……!!」

マミ「でもこの事実が確信できた時、ショックではあったけど……少しほっとしちゃった。だってもうこれで鹿目さんを強引に魔法少女にするなんて事を考えなくていい。こんな馬鹿みたいな事はやめる事が出来るって」

さやか「マミさん……?」

マミ「……ワルプルギスの夜を倒す為に鹿目さんを魔法少女に巻き込むなんて手は取るべきではないとわかっていた。それでも……」

それでも、振り払う事が出来なかった
魔法少女になったあの日。家族を全て失ってしまったあの瞬間
ワルプルギスの夜によってそれが再現される
そんな事だけはどんな手を使ってでも避けたかった

マミ「……なんでもない。忘れて」

今更話して、何になるというのだろう

502 : VIPに... - 2012/01/28 15:06:09.55 TUhPfVSl0 258/365

魔女結界が消え去った
暁美さんがお菓子の魔女を倒したのだ

ほむら「……もう虫の息だった。あなたがあのまま戦っていても、勝つことはできたでしょうね」

マミ「あら、気を使ってくれているの?」

ほむら「……まさか」

まどか「マミさん!」

マミ「……美樹さん。……鹿目さんに、暁美さんも。ごめんなさい。私がどうかしてた。もう少しで……取り返しのつかない事を、私はしてしまうところだった」

マミ「謝ってすむ問題じゃない事もわかってるけど……本当にごめんなさい」

さやか「マミさん今はそんな事……!」

マミ「うぅん。今だからこそ、よ」

まさか本当に謝れるなんて
悪人の結末にしては恵まれすぎている

503 : VIPに... - 2012/01/28 15:08:12.40 TUhPfVSl0 259/365

マミ「ソウルジェムの濁りがひどい。これをこのまま放置すれば、私は魔女になる」

さやか「……!!」

ほむら「……自分でやるのがつらいなら……」

マミ「そこまで面倒を見てもらう気はないわ。これぐらい一人でやれる」

マミはマスケット銃を手にした

マミ「……最後は一人で逝きたい。悪いけど、ここから立ち去ってもらってもいいかしら」

ほむら「……わかった。行くわよさやか……さやか?」

さやかはマミのマスケット銃を切り捨てた

さやか「いつぞやのお返しってことで」

マミ「……こんな時に何を?」

さやか「はい、グリーフシード。これでもう少しもつよ」

マミ「……美樹さん……」

ほむら「さやか。もうあなたの回復魔法でも巴マミを回復させる事は不可能よ」

さやか「確かに、あたしの回復魔法なら不可能だろうね」

あたしのならね

ほむら「……!?この魔法は……?」

さやか「あたしの魔法で不可能でも……ゆまちゃんの回復魔法なら!」

ほむら「!?」

確かに千歳ゆまの魔法は回復魔法というよりは、肉体の再構成レベルまで達していた
あれならばひょっとしたら巴マミの傷を癒す事も可能かもしれない
でも、あれは千歳ゆまの膨大な魔力があったからこそ成立する魔法だ
もしさやかが使えば

さやか「こんな終わり、あたしは認めない。あたしの力で覆してやる!」

ほむら「馬鹿!やめなさい!!!」

千歳ゆまの回復魔法が、美樹さやかの手によって発動した

504 : VIPに... - 2012/01/28 15:09:24.47 TUhPfVSl0 260/365


深い水の中にいる
……実のところこの経験は別に初めてというわけではない
というより、無茶をした時は大抵このパターンだ
この光景についてずっと疑問に思っていたけど、
これってあたしの魔女となった姿が『人魚の魔女』だったからなんだ……
……まぁそんな事はどうでもよくて、問題は今回、結構深いところに沈んでいるということである
ちょっと自力での回復は難しいかもなぁ……どうしたものか……

まどか「さやかちゃん!!」

ほむら「さやか!!」

マミ「美樹さん!!」

声が聞こえる
……水が引いてきた

505 : VIPに... - 2012/01/28 15:12:41.18 TUhPfVSl0 261/365

目が覚めたら3人が目の前にいた

さやか「……おはよう」

まどかに抱きしめられ、ほむらには……殴られた

ほむら「あなたを大切に思っている人のことも少しは考えなさい」

ほむらの手にはグリーフシードが握り締められていた
多分あれであたしのソウルジェムを浄化してくれたんだろう

さやか「ごめん。助かったよ、ほむら」

さやか「……え?でも大切に思ってる人って」

ほむら「まどかよ」

さやか「……そうですか」

本当につれない……

マミさんは終始困ったような顔をしていた
……マミさんの体は見る限り、元に戻っているようだが……

さやか「マミさん、もう大丈夫?」

マミ「えぇ、大丈夫なんだけど、その……」

ほむら「ついさっきやっとまともに歩くことが出来るようになったところよ。……千歳ゆまの回復魔法を完全再現することは出来なかったようね。そのおかげであなたは助かったようなものだけど」

さやか「あー……」

見よう見まねではあったけど、何回も使ってるところは見てたし大丈夫だと思ったんだけどなぁ……

さやか「ごめんなさい。うーん……次使う時はもう少し構成を工夫して」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「……ごめん。流石にこの魔法は封印だね」

マミ「そういう事じゃなくて……なんで私の為に、こんな事を……?」

さやか「……?マミさんは困った人がいたら、手を差し伸べようとするよね」

マミ「……そんな感覚でこんな無茶を……」

さやか「ところで、さ。少なくとももうまどかを無理やり魔法少女にするって事は考えてないんだよね。なら提案があるんだけどさ」

さやか「マミさん。あたし達と一緒に、ワルプルギスの夜を倒そう!」

マミ「……」

あんなにひどい事を言われて
銃まで突きつけられて
信頼を完全に踏みにじられたのに

マミ「……本当に凄い子ね。あなたは」

さやか「え?」

マミ「わかった。私の力でどこまで役に立てるかわからないけど……できる限りあなたの力になってみせる」

一度は捨てた正義
もう取り戻せるなんて思ってはいないけれど
ただこの優しすぎる正義の為に、何か出来ることはあるかもしれない

506 : VIPに... - 2012/01/28 15:14:41.24 TUhPfVSl0 262/365

--マミの家--

さやか「というわけで再び仲直り会!!」

まどか「わー!!」

ほむら「再び、ね」

さやか「……こら。そこを突っ込まない」

マミ「じゃぁ紅茶と食べ物を買ってくるわね。……誰かついてくる?」

さやか「?冷蔵庫の中に食べ物はあるし、紅茶はそこの戸棚にあるじゃないですか」

マミ「何で人の家の事情に精通してるの!!じゃなくて……えぇと……」

ほむら「また睡眠薬や毒を入れるのを疑わないのか?と巴マミは言っているのよ」

さやか「……マミさん。それじゃ意味がない」

マミ「え?」

さやか「マミさんが入れた紅茶に、マミさんが作ってくれた料理。それをあたし達が食べる。これでやっと仲直りが成立する」

さやか「……信頼っていうのはさ。お互いにしっかり歩みよらなきゃいけないと思うんだ。毒だとかそういうのを恐れて食べないとかやってるようなら、いつまでたっても信頼なんてできないよ」

ほむら「……で、こんな子をあなたは仲直り会と称して嵌めたわけだけど」

まどか「ほむらちゃんそれは……」

マミ「……本当にごめんなさい」

さやか「ほむらもしつこい!てかお腹すいたし今から買ってきてとか待てない!!」

507 : VIPに... - 2012/01/28 15:16:14.41 TUhPfVSl0 263/365

まどか「おいしい!」

さやか「んーマミさんが作るものは本当においしいや。ほむらの家カップばっかだし……」

ほむら「……じゃぁここに住めば?」

さやか「冗談だってば。……でもご飯だけここに食べに来るというのはありかもしれない」

まどか「さやかちゃん、そこまでするならちゃんとお家に帰ろうよ……」

ほむら「それにしても……確かにおいしいわね」

マミ「あなたも普通に食べるのね……」

ほむら「これで毒が入ってなければあなたを信用することにするわ」

508 : VIPに... - 2012/01/28 15:17:56.05 TUhPfVSl0 264/365

ほむら「……で、あの時の会話についてそろそろ解説がほしいわね」

さやか「……ほむら、流石に引きずりすぎだよ」

マミ「うぅん。全部私が悪いんだし。……でも解説って何を?」

ほむら「そうね。『部屋を汚さないでほしかった』発言がその後一切攻撃してない事に対する目くらましのつもりだったとかそういうところからかしらね」

マミ「!!!!」

さやか「え?……あー」

ほむら「美樹さやかを殺そうとしたのもブラフ。違う?」

マミ「……その通りよ。美樹さんを殺す気なんて最初からなかった」

さやか「じゃぁ、『さようなら、美樹さん』とか言ったのは?」

マミ「あれはあなたの狙撃銃発言を受けて、そう言えば確実に暁美さんが動くと判断しての行動。暁美さんが攻撃してくれれば本当に殺そうとしたかどうかは有耶無耶にできる」

マミ「……それにあまり時間があるようには見えなかったし。早めにあの状況を区切りたいという考えもあった」

まどか「時間がない……ですか?」

さやか「どういうこと?」

ほむら「さやか、あなたがそれを……。単純な話よ。誰かが手に剣を突き刺していたから、それを即急に手当てする必要があったということ」

さやか「……あ」

ほむら「大方美樹さやかを眠らせて、それでさやかをうまく使いつつまどかを魔法少女に誘導するつもりだったんだろうけど……その骨格がいきなり崩れた」

マミ「……そうね。その通り」

さやか「……」

つまり、「剣を消して、回復魔法を使ったら?」は割と本心だったということか……

509 : VIPに... - 2012/01/28 15:20:56.34 TUhPfVSl0 265/365

ほむら「大体1パーセント云々もよく言ったものね。あなたはたとえ0パーセントでも街を守る為に突っ込む性格でしょうに」

マミ「……」

さやか「そういえばよく考えたら、あそこでいちいち浮かせてる銃を手に取る必要性もないよね」

ほむら「そもそも殺すつもりならさっさと撃ってしまえば良かった」

マミ「……浮かんでる銃を傾けるだけだと演出としては弱いし。銃を手にもった方がいろいろ小細工がやりやすかった」

まどか「ひょっとして相打ちの話も……」

マミ「その場のでっち上げ。美樹さんを殺す気がないんだから相打ちなんて狙えない。ただその後の発言を自然に見せる為の演出」

さやか「……」

ベテランの魔法少女の行動にはその一つ一つに意味がある、かぁ……

まどか「でも、何でさやかちゃんを殺そうと見せかける必要があったんですか?」

さやか「あ、それあたしも気になった」

そもそもそんな事をしたところでマミさんになんの利益もないはず

マミ「それは……」

ほむら「美樹さやかを殺そうとしていた場合と殺そうとしていない場合の『見滝原住民』の意味合いの違いを考えてみなさい」

さやか「え……つまり」

ほむら「巴マミは守ろうとしている対象に私達が含まれている事を悟られたくなかったのよ。多分分かりやすい悪役になった方が私達がやりやすいとかそんな理由で」

マミ「……」

さやか「あー……」

あたしを殺そうとしていた場合だと、見滝原住民を守る為にあたし達を犠牲にする魔法少女
あたしを殺そうとしていない場合だと、見滝原住民とまどかを含むあたし達みんなの命を守る為に、まどかを魔法少女にしようとする魔法少女……
確かに前者の方が悪役っぽい

510 : VIPに... - 2012/01/28 15:24:02.13 TUhPfVSl0 266/365

ほむら「……そんなところかしらね」

さやか「何かほとんど全てほむらが語ってた気がするんだけど……」

マミ「……ところで私も気になることがあるんだけどいい?」

さやか「え?どうぞ」

マミ「暁美さん。あなたの能力って『時間操作』であってる?」

ほむら「……何を根拠に?」

マミ「足跡よ。……あなたはこの前土足で入ったから、靴の跡が家の中にそのまま残っていた。この時点で空間移動はない」

マミ「ついでに言うと……鍵穴を銃で破壊して入ったでしょ?銃弾の音と同時にあなたが家の中に現われた……まず時間操作は疑うわよ」

マミ「後は今の会話ね。大体にしてあなたとは会ったばかりのはずなのに、少し情報を知りすぎている」

美樹さんを殺せない
この情報を断定できるだけの根拠は一切ない
でも、もしそれを感情論だけで持つのであれば
それはただ『情報を知っている』だけのレベルではありえない

マミ「美樹さん。あなたもよ。『スクワルタトーレ』。ずっとひっかかってたけど……あれは私が考えていた剣の必殺技じゃない。私の頭の中にしか入っていないはずの技を何故あなたが使っているの?とてもあんな言葉が偶然の一致で出るとは思えない」

さやか「……」

やっぱりこの時間ではまだマミさんの必殺技帳に『スクワルタトーレ』は記載されていなかったんだ……

マミ「あなた達は何らかの方法で私を知っていた。……例えば未来から来た、とか?」

さやか「!?」

……何でたったこれだけの情報でそのキーワードが導きだせるんだこの人は!

さやか「……ほむら、全部話しちゃっていいよね」

ほむら「……そうね。もうこの状況なら」



続き
さやか「見滝原の悪夢」【第三部・後編】(完)


記事をツイートする 記事をはてブする