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さやか「見滝原の悪夢」【第一部】
--1年後--
QB「あと1ヵ月後にワルプルギスの夜が現れる。出現地点は見滝原。ただ、今回のワルプルギスの夜は1年前とは比較にならない。かざみのも、君の街も巻き込まれるだろう」
さやか「……ワルプルギスの夜ってこんなに早く出現するものなの?」
QB「前例はない。こんな事は僕の知る限りはじめてだ。何か理由があるのかもしれないけれど、僕にはわからない。この話はキリカにも杏子にも伝えている。キリカはワルプルギスの夜を調べていたし、何かしらの回答を持っているのかもしれない」
さやか「キリカがワルプルギスの夜を……?」
QB「そういえば、キリカは君にその事を伝えていなかったね。何か理由があったのか、それとも何も考えていなかったのか」
さやか「……」
QB「いずれにせよ。これでまた多くの人命が失われるだろう。戦うか、逃げるか、選ぶのは君達自身だ」
さやか「……選択肢なんかないの、分かりきってるくせに……」
あたしが今住んでいる街も、杏子の街も消える。
見滝原の惨劇が再び訪れる。
そんな事をあたしが許すわけにはいかない。
ただ……勝てるのか?今のあたしがワルプルギスの夜に。
とにかく何とかしてみんなを先に脱出させないと……
が、その心配は杞憂に終わる
政府から住民に直接退去命令がでたのだ
キリカからメールで呼び出しがあった。
--織莉子の別荘--
キリカ「ひさしぶりだね。元気にしてた?」
さやか「物凄い頻度で電話かけてるくせに……知っての通り、元気だよ」
キリカ「しかし、これだけ人がいないと寂しいものだね」
さやか「……キリカがやったんじゃないの?これ」
キリカ「こんなこともあろうと、この1年でコネクションを拡大させておいたのさ」
どう拡大すれば国が動くほどまでにコネクションを拡げられるのか
キリカ「ちなみに魔法少女総動員をしかけようと思ったけど……流石に、こんなネタに乗る魔法少女は1人もいなかったな」
さやか「……そう」
キリカ「ま、あの2人を除いて、ではあるけどさ」
杏子「キリカ、ひさしぶりだな。さやか、あんたも来てたか」
さやか「杏子!」
ゆま「キリカお姉ちゃん!ひさしぶり」
キリカ「ゆま。……全然大きくならないね」
ゆま「……」
キリカ「うーん。魔法少女になったら成長が止まるなんて話も聞いたことがないんだけど……やっぱり食生活のバランスの問題なのかな。まったく保護者は何をやっているのやら」
杏子「キリカ。喧嘩うってんなら喧嘩うってるって言え」
さやか「キリカの皮肉に全部付き合ってたらきりがないよ……」
キリカ「さて、それはさておきっと。……来るらしいね。ワルプルギス」
さやか「らしいねって……」
キリカ「もう少し遅くてもよかったんだけどね。笑い方が下品な上に謙虚さもない。彼女にしたくない候補トップ10ぐらいだったんじゃないかな」
さやか「流石にそれは言い過ぎなんじゃないかな……」
杏子「……で?ワルプルギス退治の作戦会議で私達を呼び出したんだろう?」
キリカ「うん。まず、これを見て欲しい。私が調べたワルプルギスの夜のデータだ」
キリカが指をならすと、それは現れた。
宙に無数のパネルが現れ、そこにいくつもの情報が記載されている。
ゆま「すごい……」
杏子「この無意味な演出はさておき、よくここまで調べたな。キリカ」
キリカ「何、それなりに情報提供者もいたしね。……じゃぁま、はじめようか」
さやか「ねぇ、キリカ。何で他の魔法少女は誰も助けにこないんだろう」
キリカ「利が少ないからだよ。今回のワルプルギスの夜は、前回以上の強敵だ。たかだかグリーフシード一つの為に戦う理由がない」
さやか「でも、街がみんな消えちゃうんだよ!」
杏子「魔法少女ってのは何かしらどこか歪んでいるからな。あんたみたいに、一直線の見方ができる奴のほうが少ないのさ」
さやか「……キリカや、杏子や、ゆまはどうなの?」
キリカ「無駄話はここまでにしよう」
さやか「キリカ!」
キリカ「意味のない問いだよそれは。何で私達がそのグリーフシード1つしか手に入らない、利のほぼない戦いに挑もうとしているのか。それは四種四様に理由はある。君の気に入る理由じゃなければいちいちそれに突っかかるつもりかい?」
さやか「……!」
キリカ「まったく……1年前から少しは成長してきていたと思っていたのに」
さやか「ごめん……」
杏子「こいつは基本孤独だったんだよ。誰も正義なんて掲げるような魔法少女はいなかったからな。そこは察してやれ」
キリカ「ん?杏子やゆまは正義の味方だろう?」
杏子「誰がだ!」
キリカ「ダークヒーローなんて言葉もあるんだよ」
杏子「そりゃどちらかというとあんただ!」
キリカ「む……」
さやか「その、悪かったからさ。話を進めようよ」
キリカ「……ワルプルギスの夜に弱点はない。正確に言うと弱点はあるが、今回それを使う事はできない」
さやか「どういう事?」
キリカ「それを説明するには、まずワルプルギスの夜がどういう魔女かを説明しなくてはいけない」
キリカ「ワルプルギスの夜は、『舞台装置の魔女』。いま、その舞台で演劇されている題目は『ファウスト』。奴の目的は全人類をその『ファウスト』の世界に引きずり込むのが目的だ」
さやか「……ファウスト?戯曲の?」
杏子「それで、ワルプルギスの夜か……」
ゆま「???ファウストって?」
キリカ「残念な男が死んだら、昔の女に救済されましたって話だよ」
さやか「……待て。それはいくらなんでもはしょりすぎだ」
キリカ「詳しい話は『ファウスト』を読んでくれ。その辺に転がってる。……すこし、ゆまには……というより、いろんな人にとってあれは難解というか、結構げんなりするストーリーだけどね」
キリカ「今回の話で重要なのは、このファウストにおける最後の救済についてだ」
キリカ「ファウスト第二部、第五幕。メフィストフェレスとの契約に従い主人公ファウストはその魂を奪おうとする。だが、それは天使達によって阻止され、かつてファウストが愛した女性、グレートヒェンの祈りによって救われる」
キリカ「……が、この舞台はそれがおこらない。結末に辿り着けない。ゆえにこの舞台を終わらせるには、誰かこの魔女でない別の誰かが終わらせてあげる必要がある」
キリカ「……グレートヒェンによる救済を行う。これがワルプルギスの夜の弱点さ」
さやか「……つまり、どうすればいいと?」
キリカ「簡単な話さ。救済を訪れさせるだけの願いと素養を持った子を連れていってあげればいい。その子がこの魔女を倒せばその子は救済の魔女、いわゆるグレートヒェンになって舞台は終焉する」
キリカ「ただし、そんな結末を選べば、世界そのものが終幕を迎えかねない。その魔女はワルプルギスの夜以上の脅威となるだろう。さらに、ワルプルギスの夜は『舞台装置の魔女』だ。舞台が一度終わったぐらいで劇場が破壊されることはありえない」
キリカ「つまり、この弱点は絶対突いてはいけない類のものなのさ……さて、君達の願い事を一つずつ確認していきたい。君達は何を願いに魔法少女になった?」
キリカ「……とどめを刺すべきは、私だね。ゆまは論外。さやかや杏子も人の為の願いというのが危ない。私なら、あれは正真正銘の自分の為の願いだったから、少なくとも救済の魔女なんてものになる心配はない」
さやか「……キリカの願いって何だったの?」
キリカ「自分の為の願い、さ」
杏子「おい、あんた。人に願いを聞いておいて自分だけ言わないっていうのはないんじゃないか?」
さやか「杏子!」
キリカ「……変わりたい。違う自分になりたい。これが私の願いさ。織莉子に振り向いてもらう自信がなかった私は、振り向いてもらえる自分になれるよう、そんな契約をしたんだ」
杏子「……」
さやか「……」
ゆま「……」
キリカ「幻滅したかい?今まで君たちが見ていた私は、偽者だったんだ」
さやか「……そんなことない。誰かに振り向いてもらいたいって気持ちは、あたしにも分かる」
ゆま「……私も」
杏子「……あたしの願いの根底だって、本質的にはそれなのかもしれない」
キリカ「……ごめん。その、少しだけ不安だったんだ。そう言ってもらえるといろいろ救われるよ」
さやか「大体キリカはキリカ。それに本物も偽者もないさ!」
キリカ「君は本当にシンプル思考だね。ちょっと羨ましいかな」
さやか「……このこのー!」
キリカ「痛い痛い」
杏子「そろそろ話を続けないか?」
杏子「とどめを刺すのがあんただとして……だ。肝心の策はあるのかい?」
キリカ「一応、とどめをさせるだけの切り札はある。ただ……恐らくこのワルプルギスの夜は、以前より比較にならないほど強くなっている。それを撃てるだけの状況に持っていくのは、厳しいかもしれない」
杏子「キュゥべえの話でも気になってたんだけどさ……何でワルプルギスの夜が以前より強くなってるんだい?」
キリカ「どうもワルプルギスの夜というのは、出現する度にその場所の呪いを吸い取って強くなっていくものらしい。ただ……以前に現れたわずか一回でこれだけの力の格差が発生したというのは、過去の事例から重ね合わせても少し考えにくい」
さやか「どういう事?」
キリカ「一つ仮説にすらならない仮説はある……1年前のあの日、ワルプルギスの夜は平行世界でも同じように出現していた可能性がある」
ゆま「平行世界?」
杏子「……何を言っているんだ?」
キリカ「多世界解釈。つまりはワルプルギスの夜はパラレルワールドを移動していたんじゃないか?という説さ。なんらかの理由で、ワルプルギスの夜は1年前のあの時間に固定されていた。その時間をなんども別世界をいききすることになり、魔女としての力をここまで蓄えてしまった。また、その影響でその時間の周辺は非常にワルプルギスの夜が出現しやすい時間帯と化してしまい、それが今回の早期出現の原因となった……とかね」
さやか「でも、キリカはそのパラレルワールドを見たわけじゃないんだよね」
キリカ「そうだね。見てはいない。ゆえにこれは一つの仮説にもならない仮説なわけだ……どの道、考えても答えはでないところか」
キリカ「後はワルプルギスの夜自体の攻撃方法か。前回のワルプルギスの夜で私が確認されているのは、炎、黒い光線、あとは地震、暴風等の自然現象だね。ビルを飛ばしてきたりとかもあったか。使い魔も出してはいたが、抱きついてくるのが面倒なぐらいで、直接的な攻撃はなかった。近寄られたら対処するぐらいでいいのかもしれない」
キリカ「ただ、今回強くなってこれ以外の攻撃が増えているかもしれない。あくまで私が見た限りの情報ということで、こちらはとどめておいてくれ」
キリカ「話としては以上だ」
ゆま「つまり、どういうこと?」
杏子「要約すると、だ」
世界の救済に近い願い事・素養を持った魔法少女はワルプルギスの夜を倒しやすい。ただ、その魔法少女が魔女になってしまうので、その魔法少女で倒すのは駄目。
・ワルプルギスの夜は出現するたびに強くなっている。
多世界移動しているかもしれないけど、そっちは確証なし
・ワルプルギスの夜の攻撃方法は炎、黒い光線、地震・暴風等の自然現象、建造物の投撃、使い魔の抱きつき戦法等。ただし今回のワルプルギスの夜は攻撃手段が増えている可能性がある
杏子「こんなとこかな」
キリカ「……うん。まぁそんなとこ」
さやか「となると……結局キリカがとどめを刺すまで、力押しでもってくしかないってことか」
キリカ「ま、この4人で連携を強めれば勝算はあるかもしれない。私だってあの時と比べれば相当強くなってるはずだしね。……君達がどの程度の実力になっているのかはわかってないけど」
さやか「あたし達からしても、キリカがあの後どれぐらい強くなったのか分かっていないわけで……ま、これからしばらく特訓だね」
----そして、一ヶ月の月日が流れた
--見滝原--
ゆま「あっちこっちにグリーフシードが転がってる……」
杏子「魔女も昔と比べるとほとんどいないな」
さやか「これはどういうことなんだろう」
キリカ「充分に予測できた話だと思うけどな」
キリカ「希望と絶望は差し引き0。それが魔法少女世界の基本原理だ」
キリカ「……絶望を生み出すには、当然それ相応の希望が必要となる。見滝原はあの後人間も侵入不可能な立ち入り禁止区域となった。あの後魔女が獲物にできるものなんて、たまに訪れる魔法少女ぐらいだ」
キリカ「そうなれば、魔女はそのエネルギーをどうやって手に入れればいい?……とも食いだよ。そうやって魔女はどんどんグリーフシード化して、数を減らしていったというわけさ」
キリカ「無論、今残ってる魔女はそうやった戦いを勝ち抜いてきた言うならば猛者だ。決して油断はできない。……それはさておいて落ちてるグリーフシードはしっかり回収していこう。こっから先消耗戦になるだろうしね」
杏子「まぁそりゃ簡単にはいかないよな」
さやか「何でワルプルギス出現予測地点だけあんなに魔女が……」
キリカ「ワルプルギスの夜を歓迎でもしてるつもり…なのかね。ちょっとあれは私にもわからないな」
ゆま「どうしよう」
キリカ「どうするも何も……ワルプルギス戦で他の魔女まで相手にするわけにもいかない。やるしかないね」
さやか「じゃぁま、いきますか!」
キリカ「さやか。試してみる?」
さやか「OK。いくよキリカ!」
キリカ「二手で!」
さやか「百手!」
さや キリ「スクワルタトーレ・インフィニート!!」
青と黒
2つの光が複雑に交差し、魔女達を貫く
さやか「今の一撃でどれぐらい倒せたかな!」
キリカ「5人は逝ったかな。もっとも魔女の全体数が全く把握できていないけどね」
杏子「ま、ようは全部倒しちゃえばいいんだろ?こんな奴ら楽勝さ!」
ゆま「杏子、油断しないで!」
杏子「……わかってるよ。ゆま」
杏子「しかし……後ろに影の魔女。前方に鎧の魔女……1年前の再現か」
さやか「なら、こっちも一年前の再現といきますか!みんな、時間稼ぎお願い!」
突進してくる鎧の魔女に対して、キリカ、杏子の連携で向かい打つ
影の魔女の遠距離攻撃に対してはゆまが衝撃波で弾き飛ばす
……対影の魔女対策。見滝原突入前に予め打ち合わせしておいた連携だ
そして、さやかの術が完成する
さやか「前衛2人。退避して!!」
キリカ「意外と早いね」
杏子「ぶっぱなしてやれ!」
さやか「ティロ・フィナーレ!!」
放射される巨大な蒼い刀身
魔女という魔女が消し飛んでいく
キリカ「前よりも威力が増している?」
杏子「あの時に比べればさやか自身の魔力も精度が格段に上がっているからな」
ゆま「せいやぁ!」
さらにゆまの衝撃波が追い討ちで残った魔女を弾き飛ばす
杏子「ま、うちのゆまも負けてないんだけどな」
キリカ「……何もいわないよ」
その時、一人の魔女がさやかに単身突撃をしかけた
杏子「!!さやか、そいつは気をつけろ!」
その魔女は趣の魔女。杏子にとっては苦い思い出のある強敵だ
さやか「な!?」
さやかは二刀の剣で切り裂く。魔女からどっと血が溢れた
キリカ「……!?さやか、避けて!!」
その血はさやかにまとわりつき、爆ぜた
ゆま「さやかお姉ちゃん!今すぐ」
さやか「大丈夫。今のは予測できた」
ゆま「……え?あれ?」
さやかはいつの間にか別の場所に移動しており、趣の魔女はそのままキリカと杏子の連携攻撃で倒された
杏子「……幻術か!」
さやか「どうだ杏子!名付けてブル・ファンタズマ!」
杏子「たった一人の分身で何をいってるのやら」
さやか「二人まではいけるぞ!」
キリカ「それより……予測できたってどういうこと?そちらのほうが気になったよ」
さやか「え?……うーん。目かな?」
キリカ「……目?」
さやか「何かさ。あたしって相手の目を見ると何となく相手の思考が読み取れるんだよ。今回の場合、突進してきた魔女の『目』が明らかに裏を狙ってる気がしたから、それで幻術魔法を使ったんだ」
キリカ「……両方に眼帯をつけたほうがいいかな」
さやか達は戦い続け、次第に魔女の数は減っていく
倒されているのもあるが、明らかに魔女が何かが現れるのを察し、場を退いていく
そして、夜が訪れた
さやか「ついに来た……!」
杏子「さて……やってやろうじゃん!」
ゆま「頑張るよ!」
キリカ「打ち合わせどおりに、一気に仕掛ける!」
まず、キリカが仕掛ける
極限まで増やした爪での衝撃波、ワルプルギスの夜が揺らぐ
さらに、今度は杏子の複数召喚による投槍とゆまの衝撃波
そして最後はさやかの、巨大な剣の大量召喚
つまりは
さやか「ティロ・フィナーレ!!」
ティロフィナーレの連打。現状さやか達4人で遠距離では最大の攻撃力を誇る連続攻撃
だが、これでワルプルギスの夜にとどめがさせるなどとは4人とも考えていない
さやかは撃ち終わった剣に再びマガジンを込め、杏子とゆまは突進の姿勢をとる
キリカはさやかに攻撃をあわせる。ここからの永続攻撃
だが、それは2つの技によって打ち崩された
?「ティロ・フィナーレ!」
?「フィニトラ・フレティア!!」
その2つの魔法はさやかを弾きとばし、杏子とゆまの体制を崩し、キリカの攻撃を踏みとどまらせた
魔法そのものも脅威だが、それ以上にこの2人が今ここで現れたということは、少なくともさやかと杏子の動揺を誘うには充分であった
さやか「……まどか!?」
杏子「何であんたがそこにいるんだよ……巴マミ!!」
まどか「アハハハハハハハ!!アハハハ!!」
マミ「アハハ!アハハハハハハハハ!!」
キリカ「……死んだ魂を呼び出した?か。これは……」
織莉子「・・・アハハハハハハ!!!」
キリカ「……く!!」
死んだ筈の三人の魔法少女
舞台に招かれた魔法少女達は、たださやか達を殺す為に呼び出された
もう、彼女達に意思はない。もう、何も届かない
さやか「まどか!あたしだよ!わからないの!!」
杏子「マミ……畜生!マミに何をしやがった!!」
さやかと杏子の声は、銃弾と矢で答えられた
キリカ「さやかと杏子が動けなくなると……厳しいな」
最もキリカ自身、織莉子に碌に攻撃ができていないので何も言えない部分はあるのだが
攻撃していないのではない。攻撃が当たらない
織莉子お得意の未来予知。敵に回すとここまで厄介か
キリカ「こんなところで」
こんなところで終わってしまうのか
ゆま「……終わらない!」
ゆまの一閃がマミとまどかを弾き飛ばした
杏子「マミ!」
さやか「まどか!」
そしてそのまま織莉子へと向かっていく。
が、その動きは織莉子の未来予知によって完全に読まれている。
キリカ「……」
キリカの速度低下を放った。狙いは織莉子ではなく味方であるゆま。
織莉子の攻撃はゆまが来るはずだった場所を狙い、そのまま空を切った。
キリカ「……?これは?」
ひょっとすると……
杏子「ゆま!なんであんな無茶を!」
ゆま「ゆまね……いつかは、今日なのかなと思ってた。あの『魔女』はゆま達には勝てない。それでも、四人一緒なら……そう思ってた」
ゆま「でも、こんなの違う。こんな死に方は嫌だ。だからたとえみんなにどう思われても、ゆまは生きる」
杏子「……ゆま」
ゆま「キョーコ……マミも、まどかも、織莉子も、ワルプルギスも、ゆまが倒すよ」
杏子「……ハ!いっぱしきどってんじゃねぇよ。巴マミはあたしが倒す。……そういや、決着もつけてなかったしな」
杏子「正義の味方のあいつがワルプルギスのせいでこんな事させられてるんだ。……解放してやらないとな」
さやか「……でも、まどかはここに……」
キリカ「幻覚のようなものだよ。大体君は既に一年前に見ているはずだ。鹿目まどかがどうなったのかを」
さやか「……」
キリカ「ワルプルギスの夜を倒さない限り、みんなあの中で救われない役者を演じ続けるんだ。……君はそのまま、役者に加わるつもりなのかい?」
さやか「……」
杏子「マミ!あの時はお互い本気じゃなかった。今なら決着がつけられそうだよな!あんたとあたし、どっちが上かをさ!!」
マミ「アハハハ!!」
杏子の槍とマミの銃が交差する。『発射』をさせない。『狙い』の段階で潰していく。
さやか「……ごめん。まどか。あたしは前に進む」
さやかの中で全てが納得できたわけではない
まだ、まどかを救う道は残されているかもしれない
でもそのためには、ワルプルギスを倒さなければならない
なら、ここで立ち止まっているわけにはいかない
まどか単体の能力としては、弓矢に多少の追尾性能はあるが、それだけだ
……魔法少女としての経験がまだ浅い
さやか「遅いよ、まどか」
魔法少女になって1ヶ月にも満たない当時のまどかと、魔法少女を1年以上やっているさやか
『狙い』にかける時間から既に差があった。
まどかの弓がさやかを狙う前に、さやかの刀身がまどかを弓を弾き飛ばした
キリカ「ゆま、さっきの突進をもう一回頼むよ」
ゆま「キリカお姉ちゃん…?わかった、いっくよぉ!!」
ゆまは織莉子に向けて突進をかける。当然これは織莉子に読まれ、反撃の手を撃たれる
それに対してキリカは衝撃波を送り、織莉子の攻撃のことごとくを打ち落とす
これによりゆまを攻撃する手段は何もない。織莉子はそのまま回避を選択しようとする
だが、それを読んでいるキリカが回避する方向に向かって速度低下を飛ばす
最終的にゆまへの回避手段を失った織莉子はそのままゆまの攻撃で弾き飛ばされた
キリカ「やっぱりか……この織莉子の未来予知は一手先と十手先しか見ていない。当時の悪癖そのままだ。これだから三、四手辺りでドジふむんだって」
ゆま「……キリカお姉ちゃん?」
キリカ「なんでもない。昔の話さ」
杏子「戦術を変えてきたか」
ワルプルギスの夜はマミとまどかと織莉子を後ろに下げ、大量の使い魔達を召喚し、そちらを接近戦に当ててきた
以前キリカがあった時は抱きしめてくる程度だったが、今度の使い魔は杖や槍、様々な武器をもっている
キリカ「或いはあれも魔法少女の成れの果てなのか?」
杏子「こう使い魔が多いと厳しいな……」
一応さやか達は全員遠距離攻撃は使えるものの、基本スタイルは近距離だ
マミやまどか等の遠距離特化型魔法少女に距離を置かれると途端に厳しくなる
さやか「……杏子、一つ仕掛けよう」
杏子「それしかないな」
キリカ「……よし、ゆま。援護にまわるよ」
ゆま「らじゃー!」
杏子「ロッソ・ファンタズマ!」
さやか「ブル・ファンタズマ!」
杏子の幾重にもわたる幻影、そしてさやかの2つの幻影がワルプルギスの夜に近づく
杏子の幻影はいくつもまどかやマミの遠距離攻撃に潰されるが、杏子本体には当たらない
さやかは使い魔が大量にいる地点に故意に移動することで、まどかやマミの攻撃を利用し、使い魔を撃破していく
キリカ「姑息だなぁ、相変わらず」
さやか「あんたにだけは言われたくない」
マミ「ハハハ!・・・ハ?」
杏子「よう、巴マミ」
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
杏子「……」
それも、杏子の幻影だ
杏子「……なったんだよ。ロッソファンタズマは無敵の魔法技にさ」
杏子の無数の槍が巴マミを貫いた
巴マミはワルプルギスの夜の魔力で復活する
が、杏子やさやかは既に空中を浮かぶビルを移動し、ワルプルギスの夜のすぐ近くまで来ている
そして同様に後ろからゆまとキリカも近づく
ワルプルギスの夜を、詰めた
さやか「スクワルタトーレ!!」
キリカ「一手で十手!」
杏子「ロッソファンタズマ!!」
ゆま「え?…えぇと、ていやぁ!!!」
4人の攻撃がワルプルギスの夜に襲い掛かる
壮絶な連続攻撃
召喚された使い魔や魔法少女達も必死でさやか達を引き離そうとするも、
ワルプルギスの夜本体に張り付かれては、うかつに攻撃もできない
まどか「フィニトラ・フレティア!!」
さやか「悪いけど、当たれないよ」
さやかの避けた先にいたワルプルギスに、まどかの弓は直撃する
その時、ガクン。という音がなった
ワルプルギスの上で大暴れしている杏子やゆまは状況がつかめていない
さやか「……離れて!」
ワルプルギスが一気に反転しようとしている。杏子やゆまはその衝撃で弾き飛ばされた
キリカ「……!させるか!」
キリカがワルプルギスの夜に速度低下をかける。これでいきなりの全滅は避けられた
さやか「杏子!ゆま!」
まどか「ゴメンネ!サヤカチャン!!」
さやか「……ぐ!」
まどかの弓がさやかを貫いた。さやかはそのまま落下していく
キリカもそれを追いかけるようにワルプルギスから距離をとった
キリカ「さやか、大丈夫?」
さやか「かすり傷……とは言わないけど。ゆまちゃんお願い」
ゆま「わかった!」
ゆまはさやかに回復魔法をかけた
ちなみに杏子とゆまは既に回復済みだ
さやか「ふぅ……」
さやか「でも、どうしよう。もう一回あそこまで近寄るのは……もう無理かな」
さっきまでの比にならない使い魔が襲い掛かってくる
これらの対処はできるが、もうワルプルギスの夜への攻撃は難しいだろう
キリカ「ただ、一匹一匹の動きは鈍くなっている。そこそこにあちらも追い詰められてはいるみたいだ」
杏子「……たく、おっしぃなぁ!あと少しだったのに!」
杏子「ごめんな。ゆま。あんたは置いていくべきだった」
ゆま「キョーコ。怒るよ。……ゆまは、大丈夫だよ。キョーコと一緒に死ぬなら、それでもいい」
さやか「まだ諦めないけどね!後一撃で案外倒せちゃうかもしれないし」
さやかもそう言いつつ、気づいていた。
もう、時間がない。
ワルプルギスの夜のあれが来る。
以前の比にならないほどの威力を伴うであろうあれが。
もう、4人全員助からないだろう。それでも、最後まで意地は通す
杏子「いくぜ、ゆま!」
ゆま「うん。キョーコ!!」
さやか「キリカも……キリカ?」
ただ、他の3人とは明らかに違うものを、キリカは見ていた
キリカ「……ここまで計算どおり。いや、計算以上か」
キリカ「よくやってくれたよ。ワルプルギスの夜のダメージは顕著だ。ここまで召喚している使い魔達の能力を落としてくれたなら、やっとあれが発動できる」
杏子「……何か策があるのか?」
キリカ「あるよ。最後の切り札がね」
さやか「キリカの最後の切り札……」
さやかは以前、聞いていた。キリカにとって最後の切り札というのは……
さやか「キリカ!それは駄目だよ!!!」
キリカ「君達はよく動いてくれた。ワルプルギスの夜、予定通りとどめは私に殺らしてもらう」
キリカはソウルジェムを手元に呼び寄せ
ソウルジェムを自らの鍵爪で切り裂いた
ソウルジェムを破壊せず、それでもソウルジェムに大きなヒビが入る
キリカのソウルジェムが濁り始める
そういえばさやかに以前問われたことがあった
こんな石っころになってしまった事が嫌だとか確かそんな内容
それに対して私は手に入れた力を何に使うかの方が重要だとかそんな事を言った気がする
ずっと疑問だった
石っころになろうと、所詮は自分の命だ
たかだが自分の命程度のものをどうして他の人はそんなに大切に考えられるのだろう?
かつて、私は全てが嫌いであり、興味がなかったフリをしていた。
まぁ実のところ妬んでいただけで、私を気にしてくれる人なんかいないという自信のなさの現われだったわけだけれど
……或いはこの自信のなさが、そのまま自分に対する価値観になっていったのかもしれない
それとももっと昔に何かあったのか……
願いによって手に入れた『速度低下』
私は自身のコンプレックスであった動きの鈍さを解消させ、自信を得ることができた。
これによって私は変われたのか、それとも願いによって私が変わったのかはわからない。どちらにしろ、私は以前より前向きに、物怖じせず人と話せるようになった
だが、結局私の私自身に対する価値観はそのままだ
役に立たない駒から役にたつ駒に変わった程度
それは本当に変われたといえるのだろうか
キリカ「なんて答えが、案外ここにあるかもしれないと思ってたんだけどね」
GRAVE YARD。そう書かれた立て札に、中にあるのは殺風景な部屋
そして、自分と織莉子の2つの墓標
キリカ「……魔女は確か、一番手に入れたいものが手に入らないと聞く。……織莉子の墓は分かるとしても、私の墓……か」
或いは世界の救済なぞお前達には成し遂げられないという意味合いなのか
だとしたらお笑いだ
私は今からその救済を成し遂げるのだから
何故人は自分を大切に考えられるのか?その答えは結局よくわからないままだ
まぁでもそれでいいのだろう。こうしてあれを倒せるのは、今の価値観のおかげでもあるのだから
キリカ「しかし、墓場で笑い続けるというのは少し不謹慎じゃないのかい?お客人。それでも大切なお客様には無礼がないようにしなければいけないんだっけ?」
相対するはワルプルギスの夜、使い魔、魔法少女の魂
ただ、こちらももてなしの準備は充分だ
キリカ「ではご堪能を。私の『絶望』、とくと味わうがいい。『最強の魔女』」
キリカの使い魔が一斉にワルプルギスの夜へと襲い掛かった
杏子「ワルプルギスの夜が消えた……どういうことだ?」
さやか「キリカは使ったんだよ。最後の切り札……魔女の力を」
杏子「……!……確かに魔女の結界を使えば、ワルプルギスの夜のあれは防げるかもしれない。でもそんな事をすればキリカは……」
杏子「……あれの攻撃を防げるとしても、あれを倒しきるだけの武器はないはず。それともまだ何かあるのか?……」
キリカは自らの墓標に腰をかけた
単純に立っているのがきつくなってきたわけだけど
まぁ今からの術式を構築するのに支障があるわけでもない
キリカ「強いから結界に隠れる必要がないってのも理屈だけどさ。魔女の結界って言うのは自分の願いとか人生とか、そういうものの結晶なわけさ。それを捨てておいてよくも『最強の魔女』なんて名乗れるよね。君も」
もしワルプルギスの夜が結界を持っていたら、見滝原の他の魔女たちと同様に、私の結界は形すら保てなかっただろう
キリカ「……や、そう名づけたのは別の誰かなのか。確か君の性質は『無力』だっけ。うん、実に今の君をよく現しているね」
キリカの結界の影響か、ワルプルギスの夜の魔力が正常に通達されていない
使い魔も魔法少女も動きがさらに散漫になっている
そしてキリカの使い魔は質より量だ。その圧倒的数でワルプルギスの夜をねじ伏せる
使い魔も、魔法少女も、そしてワルプルギスもこれに全く対処が仕切れていない
織莉子「アハハハハハハ!!」
キリカ「しかし、こうして織莉子がここにいる時点で私の願いはある意味成就していることになるんじゃないかな。そうなると魔女の一番大切なものが手に入らないというのもまた微妙な……手に入ってはいないのだからいいのかな」
そんなどうでもいいことを話しつつ、術式は確実に構築する
魔女の結界に閉じ込め、その中でワルプルギスの夜の最終攻撃を撃たせる
魔女の結界は魔女が倒されない限り消えることはない
ひっくり返される文明は、私の結界の世界だけだ
まずこれで見滝原の惨事の再来は防げる
が、ここまでいったなら当然その上を目指すべきだろう
何者も成し遂げられなかったというワルプルギスの夜打倒
……倒せないのであれば止めてしまえばいいのだ
自分の持つ速度低下の延長線上にある速度の永久停止
無論自分の魔力量では足りないが、そこは魔女結界
ようは魔法少女としての希望のエネルギーに、魔女の絶望のエネルギーを足して撃てばいい
ワルプルギスの夜の炎がキリカに襲いかかる
キリカはそれを使い魔を使って防ぐ
巴マミのティロ・フィナーレ、鹿目まどこあのフィニトラ・フレティアもキリカには届かない
キリカ「そんな偽りの正義で、私の絶望が倒せるものか」
ワルプルギスの夜「……ガガガガガガ!!」
キリカ「……なんだ?」
ワルプルギスの夜が小刻みに震える
そして、新たな魔法少女が召喚された。その姿は……
キリカ「……なんだ、これは」
さやか「アハハハハハ!!」
杏子「アハハハハハハハハハハ!!」
キリカ「ハハハハハハハ!!」
ほむら「アハハハハ!!」
キリカは必死に使い魔を召喚する。
しかし、ワルプルギスの使い魔だけならいざしらず、相手の魔法少女は7人
キリカ「さやかの遠距離攻撃や、杏子がロッソファンタズマがないだけましか……でも、これは一体?」
ふと、よぎる。
パラレルワールド説。
これらはひょっとして、別の世界で死んだ杏子やさやかなのではないか
そして、あの盾の魔法少女は恐らく……
キリカ「まだだ。あと少しで術式が完成する、そうすれば……」
キリカの使い魔を突き破り、さやかの剣がキリカのソウルジェムに襲い掛かる。
キリカ「……君か」
さやか「アハハハハハハ!!」
さやか「さっぱり状況はわかんないけどやらせるかぁああああ!!」
さやかの剣をさやかが防いだ
キリカ「……え?」
キリカ「さやか、何でここにいるんだ」
さやか「キリカが苦戦してるんじゃないかと思ってさ。案の定じゃん。来て見てよかったよ」
さやか「それにしても……いやーあたしが増えているとは思わなかった。あれは杏子?キリカもいるし、もう一人は……誰?まぁ、いずれにしても、あたしとキリカの敵じゃぁないね」
キリカ「そういう事じゃない!!」
キリカ「何故ここに来た?まさか私の命が救える可能性があるとか、そんな事を考えてきたんじゃないよね。もしそうなら、君は一年前から何も変わっていない。本当に救えないよ」
さやか「……一年前と変わってないのはキリカだって同じだよ」
キリカ「……?」
さやか「キリカはいつだってそう。一年前の見滝原でだってあたしに一切黙って自分勝手に動きまわってるし、終わったらあたしに相談もせずに旅に出ちゃうし。今回だってそうだよ。魔女化するなら、一言言ってくれてもいいのにさ」
キリカ「……言ったら間違えなく止めてたろう。君は」
さやか「止めはしなかったかもしれないけど、一緒にいたいと言ったと思う」
キリカ「……さやか?」
さやか「……キリカ。あんたが命を張っててさ。それでのうのうと生き延びて、そういうのは嫌なんだよ。それならあたしはここで死ぬ道を選ぶ」
キリカ「……君は」
さやか「それに、キリカ一人にワルプルギスをもってかれるのも癪だしね」
キリカ「……」
ふと気づいた。
……人を大切に思うのなら、自分を大切にしないといけない。
そうでなければ自分を大切に思う人が、その分まで自分を大切にしようと考えてしまう
そうなれば結末は……
なるほど、これが答えだったのかもしれない。……気づくのが遅すぎた
キリカ「ひょっとすると、織莉子が死んだのも私の責任なのかもしれないね」
さやか「?」
襲い掛かる7人の魔法少女。
さやかはキリカの使い魔をうまく使いつつ、巧みにそれをさばく。
だが、そう長くはもたないだろう。
キリカ「……」
だが、キリカは術式を新たに再構成する。速度停止ではなく、さらにその向こう側へ
キリカ「さやか。君に一つ頼み事をさせてほしい」
さやか「……ここから出てけとか、そういうのは嫌だよ」
キリカ「私も助かる。君も助かる。うまくいけば見滝原住民全員復活も夢じゃない。そんな手札を私は持っている」
さやか「…!??」
キリカ「『時間逆行』。ワルプルギスの夜と君を1年前まで戻す。もっともその世界は私達の知る世界ではないかもしれないけど、そんな事は問題にならない」
キリカ「大事なことは、ここにいる私達が既に今のワルプルギスの夜と遭遇しているという事実だ。もし、君が1年前のワルプルギスの夜を倒したりした場合、今のワルプルギスの夜はどうなると思う?」
さやか「えぇと……どうなるの?」
キリカ「……君は……まぁいいけどね。当然因果破綻が発生するはずなんだ。既にワルプルギスの夜は死んでいるのに、今ワルプルギスの夜が現れるはずはない」
キリカ「さらに言うと、ワルプルギスの夜って随分昔から出ているみたいだけどさ。『ファウスト』をゲーテが書いたのってそこまで昔じゃないはずなんだよ」
キリカ「にも関わらず昔にも出現しているという事は……ワルプルギスの夜は過去も未来も飛び回っている可能性がある」
キリカ「そうなると、因果破綻の行き着く先は、相当に大きい。それこそ見滝原の住民全員復活なんてこともありえるぐらいに」
さやか「でも……そんな事したら、大変な事になりそうな気が」
キリカ「ま、宇宙の再構築ぐらいは発生するかもね」
さやか「スケールでかいね!」
キリカ「時間移動ってそれぐらいスケールの大きな話なんだよ」
キリカ「少なくとも私は助かるはず。ワルプルギスの夜がどんな道を辿っているのであれ、その前に倒されてしまえばここのワルプルギスの夜は存在しなくなるわけだから」
キリカ「で、だ。さやか。挑戦してみる気はないかい?私が挑戦してみたい気持ちもあったんだけど、あいにくこの魔法、自分には撃てないしね」
さやか「でも…1年前でも、あたしに勝てるのかな。……こんな化け物」
キリカ「これよりはいくらか弱体化しているはず。それに」
キリカ「君の行った先には、私達と同じ時間を生きていた、君の良く知る人物がいるはずだよ」
さやか「……?」
キリカ「疑問ではあったんだ。その魔法少女の願い、キュゥべえに確認したけど、もし正しく叶えられたとすればあの場で彼女も戦っていなければおかしい事になる。ただ、そんな魔法少女の名前は私自身全く聞いたことがなかった。そんな事が起こりえるのか……」
キリカ「そのことと、今回ワルプルギスの夜に召喚された魔法少女を見る限り、パラレルワールドというのもそれなりに現実味を帯びてくる。一年前にワルプルギスの夜が固定されてしまったのも、ひょっとするとこの辺りが原因かもしれない」
さやか「その魔法少女って?」
キリカ「行くのであれば、行った先で君が確かめるといい。……ま、私はちょっと後ろめたさもあって言いにくいというのもある」
さやか「……?」
キリカ「……辿り着く先は因果の最終地点。彼女の最後の戦いだ。どうもこの世界において彼女は結局負けてしまったみたいだけれど……。案外君ならその運命を変えられるかもしれないね」
キリカ「さて、どうする?」
さやか「わかった。やってみるよ。ワルプルギスの夜に勝てるかわからないけど……それでも頑張る。キリカを助けてみせる」
キリカ「……魔女というのは一番大切なものは手に入らないようにできているらしい。だけど」
二番目ぐらいは救えたっていいはずだ
さやか「……キリカ?」
キリカ「これを持っていくといい」
さやか「石?」
キリカ「さっき私がソウルジェムを切り裂いた時にできた欠片だよ。いくつか魔法もかけといたし、何かの役にたつかもしれない」
さやか「……わかった。大事にする」
さやかの剣が弾き飛ばされた
魔力も底を突きかけている
だが、ここでキリカの術が完成した
キリカ「いくよ!呉キリカ、最後にして最大の魔法だ!!」
まず、時間逆行。その基本となる術式を残り全ての魔力を使って放つ。
無論それだけでは魔力の総量が足りなすぎるので、速度低下を使い、発動のタイミングを遅らせる。ここで、キリカのソウルジェムは完全に砕け散った
さやか「キリカ!」
だが、そこからが本番だ。これにより発生する希望から絶望への総転移。宇宙の寿命すら延ばせる力。これをキュゥべえのところに行く前に、こっちで総取りする
そして魔女化したキリカ、こちらについてもそのエネルギーを全て自らの放った魔術に吸収させる
キリカの一年。元々速度低下の魔法を持っていただけあって、時間逆行までの理論については簡単に辿り着いた
問題はそのエネルギーをどうやって確保するか、だ
これに対してキリカが出した答えがこの方法であり、その為の術式に1年を費やした
希望と絶望、そして希望から絶望への相転移
キリカの全てをかけた魔法が、今解き放たれる
『時間逆行』
ワルプルギスの夜の逆行に巻き込まれるようにさやかの空間も捻じ曲がる
薄れ行く意識の中、さやかは最後にキリカの顔を見た
既に魂は消え、肉体だけとなったそれは、確かに笑っていた
--エピローグ (改変されてしまうかもしれない出来事)--
ゆま「あの魔女、弱かったね……」
杏子「全ての魔力を使い果たした後って感じだったな……」
杏子の手にしたグリーフシード。これは恐らく、呉キリカのものだ
結局ワルプルギスの夜を、キリカは倒せたのか
さやかはどうなってしまったのか
それはもう佐倉杏子には分からない
さやかがキリカを助けに行くといった時、杏子もゆまも行こうとしたのだ
だが、さやかは自分の街を頼むと杏子達に頼み、一人で行ってしまった
かくしてワルプルギスの夜の脅威は去った
第二の見滝原の悲劇は、避けられたのだ
杏子「……畜生!あいつら……」
ゆま「……キリカお姉ちゃん。さやかお姉ちゃん……」
QB「やってくれたね。キリカに、さやかも」
杏子「……キュゥべえ!てめぇ今更!!」
QB「まったく……僕達の手に入れるはずのエネルギーまで使って、どんな魔法を使ったのやら」
杏子「……?」
QB「ま、君達はここからが大変だよ。見滝原の悪夢の再来だ」
ワルプルギスの夜が現れ、離れていた魔女
それらが、少しずつ間合いをつめている
杏子「ハ!あんな奴ら今のあたし達の相手になるかよ!」
ゆま「キョーコ!」
杏子「ゆま、生き抜くよ!あいつらの分まで!」
--おしまい--
199 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) - 2011/11/12 23:46:25.42 PXMpa3+00 157/365おっしまい!
いやぁ何とか綺麗に……纏まってない……ような……
二手で百手は実のとこ、このSSを書く前から考えていたネタだったりする
いや、何かスピードタイプの2人の合体技とか熱いよねーとか思ってた
……こんな展開になるとか思いもしなかったけどな!
まぁでも二部でキリカ最後持ってくとこだけは考えてたので、一部であんま目立たせたくなかったんだけど、その結果があれだよ!w
ちなみに設定の頃は確か織莉子が生き残ってて、魔女を人間が見えるような試作兵器作っちゃって、それで魔法少女の存在意義がなくなり魔法少女達が狩られる時代が遠からず来る事になる
そんな中ワルプルギスの夜が現れ、魔法少女達はそれぞれの死に場所を選ぶ為、ワルプルギスの夜に挑む。そこでさやかちゃんがワルプルギスの夜の空間移動に巻き込まれ……とかそんなだった
最初に織莉子が死んだ時点でもう方向性全然違うよ!って話なわけで
とにかく、今までご愛読ありがとうございました!
読んでくれたり、コメントくれる人いなかったら絶対途中で終わってた
大事な事だから二度言うぜ。本当にありがとうございました
こっそり三部とかはじめるかもしれないけど、それはそれということで
続き
さやか「見滝原の悪夢」【第三部・前編】

