風紀「ましてや校内。先生方にばれたら即退学なんだけどな」
不良「はぁ? ばれなきゃいいんだろ。毎度毎度うっせーんだよお前は」
風紀「これが仕事だからね」
不良「ああ、そう」
風紀「ほら。早くタバコ消して」
不良「だからうるせーって。お前に関係ねぇだろうが」
風紀「>>5」
元スレ
風紀委員男「未成年の喫煙は禁止されてるよ」不良女「ああ?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1424701134/
5 : 以下、\... - 2015/02/23 23:20:38.10 XitBsRiM0.net 2/40やるか
風紀「やるか」
不良「ああ? 何を……!?」
何かを言いかけた不良娘の腹部に、風紀の拳が深々と突き刺さっていた。
喉の奥から呻き声を漏らしながら、不良娘がゆっくりとした動作で地面に膝をつく。
風紀「何を? 正義の執行だ」
不良「ぎゃっ!? やめ……っ!」
懇願し、必死に顔をかばう不良女へ向け、風紀は踏みつけるようにして蹴りを繰り出し続けた。
風紀「……」
気を失い、地面に倒れた不良女を、風紀が冷たい目で見下ろしている。
不良女は血塗れで、制服もところどころ破れていた。
風紀「……こんな程度で済ますものか」
もうなんの反応も見せない不良女に向け、風紀は何度も蹴りを叩きこむ。
先程のとは違い、サッカーのフリーキックのようなフォームの、全体重を乗せた重い蹴りだった。
鈍い音が響くたび、不良女は寝返りを打つかのように転がる。
意識のないその身体は、まるで人形のようにも見えた。
風紀「風紀を乱す輩は、俺が許さん」
不良女の金髪に染め上げた長い髪の毛を掴み、上体を無理やりに起こす。
そして、口の端に血をこびりつかせた不良女の顔へ向け、風紀が曲げた膝をめり込ませる。
風紀「校則は絶対だ。破る者は人にあらず」
不良「や……っ! もうやべてぇ……」
5回ほどだろうか。
鼻っ柱に風紀の膝を受け、顔の歪んだ不良女は目を覚ました。
不良「もう……、やべばずがらぁ……。もうやべでぐだざいいい……」
頬にこびりついた赤黒い血液を洗い流すように、大粒の涙をこぼしながら不良女は懇願する。
不良「私……。死ん……! 死んじゃいまずよおおお……」
風紀「もう風紀は乱さないと誓えるか? 校則は破らないと」
そんな風紀を聞いて、不良女は一瞬呆けたような表情を見せた。
が、突然狼狽に呻くと、血塗れの頭を前後に激しく振る。
不良「ち、誓いますぅ! 絶対にもうじまぜえええん!」
風紀の足にしがみつき、自身の更生を必死に叫んだ。
風紀「ふむ……。そうか……」
ひどく冷めた目で、ほんの先刻まで虚勢を張っていた者の醜態を、風紀が見下ろしていた。
風紀「>>26」
27 : 以下、\... - 2015/02/23 23:43:56.46 wHbJePdt0.net 8/40じゃあタバコ吸うからくれ(ゲス顔スマイル)
不良「あ……。え……?」
虚を突かれ、微動だにできずにいる不良女のスカートのポケットへと、
風紀は乱暴に手を突っ込んだ。
そこから取り出した、やや潰れてしまったマルボロメンソールライトの箱から一本タバコを抜くと、
涼しい顔で火をつける。
風紀「ばれなきゃいい。そうだろ? なぁ」
醜く歪ませた口の端から、数筋の煙が漏れ出ていた。
風紀「ふう。そろそろ昼休みがが終わるぞ。そろそろお前も教室へ戻れ」
不良「きゃあああああああああっ!!!!!」
血塗れの不良女の額に、風紀がタバコの火を押し付け、消した。
不良女は両手で頭を覆い、身体を仰け反らせるようにして地面に倒れ込む。
風紀「あ、そうだ」
そんな様子を見て、満足げに踵を返した風紀が、再び不良女を振り返る。
風紀「俺、メンソールは嫌いなんだ。次は他のやつにしてくれよ」
未だ痙攣を続ける不良女へと、無表情でそう吐き捨てた。
教師「あ、風紀君」
教室へ戻ろうと、廊下を歩いていた風紀は、背後から呼び止められ振り返った。
そこには、不良女のクラスの担任が立っていた。
教師「不良女さんの件なんだけど……。どうだった……?」
新任の女教師が、不安げな表情で疑問を投げかけてくる。
軽い笑みを浮かべ、風紀は口を開いた。
風紀「大丈夫ですよ。僕がうまくやっておきましたから」
そんな風紀の言葉に、女教師は安堵のため息を漏らしながら、胸を撫で下ろした。
不良「くそ……。あの野郎……」
校庭の水道で顔を洗い流した不良女は、教室にカバンを取りに行くこともせず、
そのまま帰路についた。
不良「絶対ぶっ殺してやる……」
風紀に対する怒りは治まるどころか、時を追うごとに加速度的に積み上がっていった。
すれ違う人すれ違う人がこちらを見てくることも、不良女のストレスを倍増させる。
不良「教室に戻れ、だぁ? ……こんな顔で教室に戻れるわけがねぇだろ」
不良「へっへ……。どんな悲鳴を上げてくれるかな……、あの野郎は」
自宅へと戻ると、軽い治療を済ませたのち、
不良女は復讐へ向けての準備を着々と進めた。
不良「スタンガンで身動きを封じて……。金属バットでボコって……」
段取りを確認しながら、家にある”凶器”をリュックサックに詰める。
不良女は、その最中に、ふと手を止めた。
そして、口元を歪ませる。
不良「あとは……。>>49してやるのもいいか……」
49 : 以下、\... - 2015/02/24 00:07:36.04 AYlh0d77a.net 14/40逆レイプ
不良「ひっひ……。やる……。絶対に……、私は、あいつを、やる……」
悪意の詰まったリュックを背負い、殺意に歪めた心で笑う。
不良「楽しみだ……。へっへ……。うひ……、うひひひひ……」
家の玄関を開きながら、不良女はまだ子供だった頃を思い返していた。
物心つく前に親が離婚し、貧乏で何もなく、一人ぼっちでいつも過ごした。
男遊びばかりだった母親も、不良女が11歳になったころに再婚。
そして、その年に不良女は義父にレイプされた。
不良「あの苦しみ……。あの野郎にも味わわせてやる……」
不良女は信じて疑わなかった。
あれは死よりも、どんな痛みよりも苦しいものだったと。
教師「風紀君。ちょっといいかしら」
放課後の校内見回りをしようとしていた風紀は、女教師にそう呼び止められた。
教師「不良女さん……、あのあと家に帰ってしまったみたいなのよ」
オドオドとした態度で、上目がちに風紀を窺うように言う。
上体だけで振り返っていた風紀は、話が長くなりそうだと思い、身体ごと向き直った。
風紀「そうなんですか。それで、何か」
涼しい顔で、そう告げた。
教師「いえ……。あの……」
口元に手を当てたまま、女教師は何かを躊躇しているようだった。
そんな態度に、風紀は幾ばくかの苛立ちをつのらせた。
風紀「言いたいことがあるならはっきり言ってください。
不良女さんが帰ってしまったのは僕の責任だと?」
教師「そ、そういうわけじゃあ……」
煮え切らない様子の女教師に辟易し、短く嘆息を漏らしながら風紀は踵を返した。
風紀「僕は忙しいので。それでは」
校舎裏にさしかかった時だった。
不良女の残した血痕を消そうととこへ近づいたとき、風紀は何者かの気配を察知し、
すぐさまその身を引いた。
うさぎ小屋の陰から飛び出してきた何かが、風紀の鼻先をかすめる。
不良「……ッの野郎!」
不良女だった。
バチバチと火花を散らす黒い物体を、滅茶苦茶に振り回している。
風紀「なんだいそれは。復讐のつもりかな」
不良女「いぎゃっ……!」
腕を取られると、逆にスタンガンを押し当てられた。
鋭く刺すようで、それでいてひどい衝撃を残したその痛みによって、
身体の自由を奪われてしまう。
風紀「困るなぁ、逆恨みは。こっちは正義を行っただけだというのに」
地面に丸まった不良女の背中から、リュックサックをはぎ取りながら、
風紀は表情も変えずに言い放つ。
風紀「金属バットに拘束具、万力、爪剥ぎ……」
リュックの中身を改めながら、風紀は激しく笑った。
風紀「ははは! 君は拷問が好きなのかい!? とんだご趣味をお持ちのようで!」
未だ動けずにいる不良女の頭上から、醜い声が降ってくる。
風紀「これを俺にやるつもりだったのかな?」
口元のみに笑みを残した風紀が、
思い切り振りあげた右足を不良女のわき腹にめり込ませる。
小さな呻きが不良女の喉の奥から漏れた。
風紀「悪い子にはお仕置きしないとね……。君には>>69してあげるよ」
69 : 以下、\... - 2015/02/24 00:36:06.76 ZDANPZsG0.net 21/40全裸で磔にして校門に放置
不良「やだ……! やめてよぉ……!」
悲痛な叫びを上げ続ける不良女の身に着けている上下黒のジャージを、
風紀は表情一つ変えず引き裂いていった。
不良「いやぁ……っ! 誰か……。誰かぁ……っ!」
必死に抵抗を試みるも、先程のスタンガンの衝撃が残っているらしい、
筋肉の弛緩してしまった身体はほとんど言うことを聞いてくれなかった。
風紀「ふん。いくら声を張り上げたところで無駄だぞ。ここでいくら叫ぼうとも、
校舎のコンクリに吸い込まれていくだけだ」
不良女「うあああああっ!!! いやだよおおおおおっ!!!!!!」
不良女の頭の中を、過去の忌まわしい記憶が駆け巡っていた。
無理矢理に衣服をはぎ取られ、まだ幼い身体に凌辱の限りをつくされる。
死を望んだこともあった。
しかし、子供だった彼女には、その思いに沿うだけの力も頭も無かった。
不良女「う……。ごぷ……っ! おっげえええええっ!!!!」
上半身は完全に裸にされ、白い胸が露わになっている。
風紀の手が下半身の衣服へと伸びた時、精神的なダメージが極限に達した。
不良女「ごぼっ! げほ……っ!」
したたかに嘔吐し、大粒の涙をこぼしながら荒い呼吸をつく。
風紀の凶行を止める術は無いと確信した彼女は、絶望に固く目を閉じた。
風紀「ふむ。なかなかにいい身体をしているじゃないか」
地面に座り込み、一切の抵抗をやめてしまった不良女へ向け、
風紀はいやらしい笑みを浮かべながら、言葉を投げる。
風紀「学校指定外のジャージは校則違反だからな。これは没収としておく。
……ついでに下着もな」
言葉を言い終える前に、風紀は下品な笑い声を漏らした。
風紀「校門前に晒す前に……、どれ。ひとつお楽しみといこうじゃないか」
不良女は、自身の上へとのしかかる者の表情を見た。
それはとても。
とても、とても、とても、とても、とても。
醜くて、汚くて、嫌悪感しか呼び起こさない。そんな、見覚えのある顔をしていた。
風紀「なかなか良かったぞ」
何度も自身の欲望を不良女の中へと注ぎ込んだ風紀は立ち上がった。
その足元には、涙も枯れ果て、光を失った瞳の不良女が、
小刻みに身体を痙攣させながら、静かに横たわっている。
風紀「さて。では校門前に磔にするとしよう」
もうあたりは暗くなっていた。
遠くから聞こえていた運動部の声も、いつしか聞こえなくなっている。
風紀「せいぜい、明日の朝になる前に、発見されることを祈るんだな」
不良女は、もう何も考えられなくなっていた。
自身を作り上げている物が、全て過去の出来事だとするならば、
自分にはいったい何が残るのだろう。
答えの出せない疑問の答えを追い求め、
校門に縛り付けられた不良女は、全裸で奇妙な笑い声を上げ続けるのだった。
教師「え……。不良女さんっ!?」
翌朝。
朝の当番で出勤してきた女教師は、校門前の惨状を見て絶叫を上げた。
不良女「いひっ……。いひひひひひ……っ!」
身体的な痛みに加え、過去のトラウマを掘り起こされた精神的なダメージによって、
不良女の心は完全に破壊しつくされていた。
教師「どうして……! どうしてこんな……っ!」
血みどろの肢体を晒して狂ったように笑い続ける教え子に対して、
女教師はなんという言葉をかけていいのかが分からずにいた。
医者「怪我の方は、全治一か月というところですね」
教師「そうですか……」
女教師は学校を休み、不良女の付き添いで病院へと来ていた。
それが教師である自身の職務であると女教師は確信していたのだった。
医者「問題なのは、心の方です」
教師「心……、ですか」
救急車は、女教師が通報してから15分ほどして到着した。
永遠とも思えるその時間、不良女と一緒にいた女教師にはその言葉の意味が痛いほどに分かった。
医者「最前は尽くします。ですが、もしかすると、彼女の心は一生閉ざされたままになるでしょう」
心身ともにダメージを受けた不良女は、面会謝絶の状態となっていた。
しばらく病院に留まっていたが、することもないと医者に諭され、女教師は家に帰ることにした。
教師「あれは……」
ふと、目に留まった。
家に帰る前に、学校へと寄った時のことだ。
教師「風紀君。少し、いいかな」
珍しく、ジャージ姿の風紀へと声をかける。
振り返った風紀は、ややクマの落ちた顔で笑みを浮かべた。
風紀「……先生ですか。このたびは大変でしたね」
取り繕うに言葉を述べる。
風紀「ああ。制服は、少し飼い犬に噛まれましてね」
聞いてもいない疑問の言い訳を、風紀が口にした。
教師「不良女さんのことなんだけど。……何か知ってるでしょ」
鋭い眼光で睨み付ける女教師に、風紀はやや驚いたようだった。
風紀「あ、ああ。不良女さんのことは残念ですよ。風紀委員としてもね」
肩を竦め、言う。
風紀「でも、今回の件については僕も何も知りませんよ。
彼女は素行は悪いけれど、とても中身のいい生徒でした」
真剣な眼差しに、女教師は少し騙されてしまいそうだった。
……いや。これが本当ならどれほどいいかと、そう信じてしまいたい気持ちが強かった。
しかし、ここで後退しては何も掴めない。
女教師は、決死の思いで口を開く。
教師「悪いけど、不良女さんに直接聞いたのよ。今回の件の犯人は、あなたよね」
風紀「……ふうん。随分壊してやったと思ったんだけどねぇ」
ぞくり。
突然変わった風紀の様子に、女教師の背中に冷たいものが走る。
風紀「まだ喋れたんだ、あいつ。義父にレイプされたって聞いてたから、
犯してやれば完全にぶっ壊せると思ってたんだけど。詰めが甘かったか」
つまらなさそうに言って、風紀は女教師をまっすぐに見据えた。
風紀「こんなことなら殺しておけばよかった」
頭の中で半鐘が鳴り響く様な衝撃を残して、その言葉は女教師の中へと浸透していった。
静かに笑う風紀を冷汗交じりに睨み付け、女教師は口を開いた。
女教師「嘘よ」
風紀「は?」
校門前に、風が吹き荒れる。
女教師「嘘だって言ったの。私が行ったときにはもう、不良女さんはまともにしゃべれる状態じゃなかったわ」
風紀「で。なんだって?」
校舎裏。
不良女の残したどす黒い血痕に、真新しい赤いものが混じっていた。
女教師「う……。自首……、してちょうだい……」
鈍い音と、呻き声。
それが響くたびに、赤い鮮血が舞う。
風紀「ばっかだなぁ。捕まりたくないからここまでやってんだよ? 俺は」
沸々とした怒りが、風紀の内面を占めていった。
蹴りよりも、殴りつけてやりたいという衝動が湧き上がる。
風紀「生徒の気持ちを分かってくれよぉ。先生なんだからさぁ」
女教師の長く艶のある黒髪を引っ張り上げ、顔面に何度も握り込んだ拳を叩きこむ。
風紀「思春期ってのは難しいの。分かる? ねぇ?」
女教師が動かなくなっても、風紀の怒りは収まらなかった。
子どものころから何をやっても人よりうまくできた。
まわりの人間は馬鹿だと思っていた。見下していた。
風紀「ああ!? 何が”嘘”だよッ! なぁ!?」
新任の女教師なんて、うまく利用するだけのコマでしかなかった。
自分の評価を上げ、あわよくば性欲処理にも使ってやろう。
その程度にしか考えていなかった。
……のに。
それなのに。
風紀「俺に勝てると思ってたのか!? この馬鹿野郎がァ!」
顔面だけでは飽き足らなかった。
胸を。下腹部を。
重点的に破壊する。
風紀「女なんて見た目が悪けりゃただのゴミなんだよォ! いっくら頭が良くてもなァ!!!」
風紀「ひャハ……。ヒはははははは……」
血みどろの肉塊と化した女教師を見下ろして、風紀は静かに笑っていた。
風紀「ころ……っ。殺しちまった……。とうとう人を殺しちまった……」
今までに何度かそういうこともあった。
しかし、それは怒りによるものではなく、
これだけやっておけばこの人間は利用できるだろう、という打算によるものだった。
風紀「うヒハ……。ううははは……」
怒りに任せ我を失うなど、愚か者のすることだと蔑んでいたのに。
風紀「はは……は……」
自身のしでかしたことの重さに、現状を打破する手立てすら見いだせず、
風紀は笑うことしかできなかった。
風紀「?」
違和感があった。
ふとした時にたまに起きる、内から響く痛みだった。
風紀「ぐぷっ」
その正体に指が触れるより先に、口から熱いものが噴き出る。
わき腹から胃、食道、喉を焼いたそれは、赤い飛沫となって地面に零れ落ちた。
風紀「きさ……っ。貴様……」
違和感の主は風紀の指をも裂き、さらに鋭く内側を抉った。
口だけには飽きたらず、穴と言う穴から中身をぶちまけさせる。
新しく増えた腹部の孔からは、ピンク色の内臓が覗いていた。
不良女「見つけた……。私なりの答え……」
風紀のわき腹に包丁を突き刺し、血走ったまなこで、不良女は、言う。
不良女「私を形作るのは過去じゃない……。私を彩るのは……」
さらに深く刃物を突き刺しながら、赤い飛沫を浴びて、叫ぶ。
不良女「今……。アンタを殺す……! 今なんだよッ!」
風紀「はは……。馬鹿な……!」
必死に不良女の腕を押し返そうとしたが、それは叶わなかった。
風紀は、舞い散る赤い液体に、力の全てを奪われているような錯覚を覚える。
不良「糞親父は殺せなかった……。私がまだガキだったから……」
不良女は、この世のどこかでのうのうと笑って暮らす男の顔を思い浮かべた。
沈んでいた心が、眠らせて怒りが、静かに沸き立っていく。
不良「でも……! お前だけは……っ!」
風紀は、自身の視界に黒い部分が増えてきているのを自覚していた。
しかし、抗えない。力の及ばない恐怖というものを、風紀はこの時初めて感じていた。
不良「今なら殺せる……! 私の心を殺したお前を……!」
湿り気を帯びた音を立てて、鈍く光るものが風紀の中へと飲み込まれていく。
不良「今なら殺せるんだッ!!!」
もうどれくらいこうしているだろう。
ようやく長い冬が終わり、春の到来を知らせるぬるい風の中で、
不良女は一人、立ち尽くしていた。
不良女「これが……。これが……、私の限界……」
震える右手から、血塗れの包丁が落ちた。
地面にぶつかり、鈍い音を立てる。
不良女「私の人生って……、いったいなんだったのかな……!」
大きく見開いた双眸から涙をこぼし、力なく地に膝をつく。
不良女「ああ……。うああああ…………っ!!!」
伏せってむせび泣く不良女のかたわらには、
物言わぬ血塗れの身体が二体転がっていた。
『えー……。ガイシャは3人……。遺体はひどい損傷で……』
無線機が音を立てる。
新米の刑事はそのたびにため息を吐いた。
「おい。そんなんじゃこの先やっていけねぇぞ」
「……先輩」
新米の刑事が顔を上げる。
新米「でも……。俺よりも若い子達が……。こんなの、理解できねぇっすよ」
とある高校内で起きた凄惨な事件に、新米の刑事は胸を痛めるのだった。
新米「俺……。絶対犯人を捕まえてみせますよ……!」
ギラギラとした目つきで、新米の刑事は声を荒げる。
呆れたように嘆息し、先輩刑事がそれをたしなめた。
先輩「捜査で焦ったってろくなころはねぇぜ。……それにな」
声を潜め、先輩刑事は言う。
先輩「この事件……、犯人はいねぇかも知れねぇぞ」
新米「はぁ?」
怪訝な顔で、新米刑事は首を傾げる。
新米「そんなわきゃあねぇでしょうよ。じゃあ全員事故死ですか? 校舎裏で包丁を使って?」
肩を竦め、憤りを隠す素振りすら見せず、新米刑事は言った。
先輩「ちげぇよ」
先輩刑事は、再び嘆息する。
先輩「殺し合ったのかも知れねぇってことさ。ガイシャ同士でな」
新米「そんな……! こんな若い子達が……」
言いかけた新米刑事を、咎めながら先輩刑事は言う。
先輩「先入観を持つな。捜査の鉄則だぞ」
何かを言い返そうとしたが、言葉の見つからない新米刑事は口を閉ざした。
先輩「ワケの分からねぇ出来事なんて、世の中にはたくさんある」
新米「でも……! 動機のない殺人なんて、捜査すれば簡単に証拠は見つかるはず……!」
火のついたセブンスターを持った右手を掲げ、先輩がその言葉を制した。
先輩「そうじゃねぇ。真に難しいのはそこじゃねぇんだよ」
そして一口タバコを吸うと、先輩刑事は煙を吐く間も惜しんで口を開く。
先輩「動機はあっても、常人には理解できねぇってことがままあるのさ」
新米「はぁ……?」
そんなことがあるのだろうか。
新米刑事はしきりに首を傾げながら、タバコをふかす先輩刑事を見つめていた。
先輩「だってそうだろ。人類すべての正義が同じなら、戦争なんて起きねぇんだからな」
新米「……はぁ。そうっすね」
スケールが急に大きくなったので、新米刑事は話に付き合うのをやめた。
理由なき殺人など、この世に存在するわけがないのだから。
新米「さぁて。今日から忙しくなりますね」
死体を見ないようにして、新米刑事は立ち上がる。
若い3人を死体に変えた、悪しき殺人者のことを脳裏に浮かべながら。
終わり