女友「いや、持って行かれてないだろ。包帯巻いてるだけで」
女「板チョコを溶かそうとしたら…!」
女友「ああ、足にこぼして火傷したわけね」
女「…持って行かれた!チョコを錬成しようとして…!」
女友「お前それが言いたいだけだろ」
女「これが…溶かして固めただけの物を手作りチョコと言いはる咎人の姿よ…!」
女友「うるせぇよ、作り直し手伝ってやるから着替えてこい」
女「はい」
元スレ
女友「お前その足…!」女「持って行かれた…!チョコを錬成しようとして…!」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1423830574/
女友「とは言ってももう材料も時間もないし、どうしたもんか」
女「材料無いなら私が錬成しようか?」
女友「出来るもんならやってみろや」
女「あー、ダメだ。錬金術は等価交換、元になる素材がないと」
女友「妥協してチョコクッキーにするか。これなら家にある材料で作れるし」
女「ほう、チョコとクッキーのキメラね?」
女友「バター足りるかな…まぁこれだけあればいけるか」
女「チョコとクッキーのキメラね?」
女友「うるせぇよ、聞こえてなかった訳じゃねぇんだよ!くだらないこと言ってないでバター溶かせお前」
女「はい」
女「チョコとクッキーのキメラもいいんだけど、チョコとケーキのキメラもいい。そのへんどう思う?」
女友「そのキメラって言うのやめろ」
女「チョコケーキがいいんですが」
女友「材料も時間もねぇんだよ、我慢しろ」
女「仕方ない」
女友「そういえばお前、よく料理とかするのか?」
女「料理は全然しないな」
女友「なんだよ、バレンタインだから頑張ってみたって奴か」ニヤニヤ
女「いや、普段の食事は錬成で作ってるから」
女友「いい加減にしろよお前」
女「女友はどうなんだ?料理」
女友「私はよく作るぞ。正直、その辺の女子よりは料理できる自信あるぞ」
女「それは心強い」
女友「クッキー程度なら余裕だな、菓子はよく作るから」
女「それはすごいな。プロじゃないか」
女友「プロは言い過ぎだろ、悪い気はしないけども」
女「いや、レシピ見ないで作れるとか国家錬金術師だろ」
女友「だから錬成はしねぇんだよ私は」
女「私はするけどな?錬成」
女友「だからやってみろや、見たら信じるから」
女「…錬成陣無しで?」
女友「うるせぇよ」
女「ノーモーション錬成で?」
女友「はよやれや」
女「……」
女友「……」
女「チョコを錬成するのに賢者の石は使わないって弟と約束したから…」
女友「お前一人っ子だろ」
女友「よし、あとはオーブンを暖めて焼くだけだな」
女「私が火をつけようか?」パチョッ
女友「いや、普通の電気オーブンだからスイッチ一つだ」ピッ
女「遠慮するな」パチョッ
女友「してねぇよ」
女「だから遠慮するなよ、私は指ぱっちんで炎を錬成できるからな」パチョッ
女友「指ぱっちんすらできてねぇんだよお前」
女「そろそろ出来ただろうか」
女友「おい、オーブン熱いから気をつけろ」
女「熱っ!」ガターン
女友「聞けよお前」
女「持って行かれた…!できあがり具合をチェックしようとして…!」
女友「うるせぇよ」
女「持って行かれた…!チョコクッキーを錬成しようとして…!」
女友「お前なんでやけどしたのに嬉しそうなんだよ」
チーン
女友「できたぞ、あとは冷めてからラッピングだな」
女「ほう、いい感じに焼けたな」
女友「以外と熱いからな、もう火傷するなよ」
女「熱っ!」ガターン
女友「言った側からお前。仕方ない奴だな、オロナイン塗っとけ」スッ
女「いや、問題ない。私の右腕はオートメイルだから。火傷はしない」ジンジン
女友「さっき『熱っ』て言ってたろお前」
女「オートメイルに痛覚は無い。心配するな」ジンジン
女友「つべこべ言わずに手ぇ出せ、塗ってやるから」
女「面目ない」
女「ラッピングできた」
テテーン
女友「ほう、料理はあれだがこういうのはうまいんだな」
女「錬成ならもっとうまくいくけどな」
女友「しつこいなお前は」
女「とにかくこれで明日のバレンタインは安心だ」??
女友「そりゃよかった、男に渡すんだろ?」
女「ああ、実はもう待ち合わせてある。でも一人は心細い、女友も来てくれ」
女友「イヤだよ、そういうもんは一人で行くもんだろ」
女「うるせぇ!行こう!」ドン
女友「お前がうるせぇよ、そいつ錬金術師じゃねぇだろ」
女「マンガは何でも好きです」
女友「見境ねぇなお前」
女「じゃあ帰る」
女友「おう、気をつけて帰れよ。最近物騒だからな」
女「そうだ、キメラ作るの手伝って貰ったお礼をしないと」
女友「キメラは作ってねぇよ。いいよ、礼なんて」
女「等価交換」
女友「はいはい、何くれんの?」
女「明日のバレンタイン。友チョコあげる、手作りチョコクッキーを」
女友「私と作った奴じゃねぇか、さっき食ったわ」
女「冗談。じゃあまた明日」
女友「はいはい、明日な」
ガチャッ
翌日
女「女友ー」
女友「おう、男にチョコ渡したんだろ?どうだったんだ?」
女「私だけ先に彼氏出来たら錬金術の使えないただの人間に成り下がるからやめた」
女友「うるせぇよ、素直に言え」
女「ふられました」
女友「そうか。まぁあれだ、スイーツ食いに行くか。スイーツ」
女「行く」
女友「昨日の礼に今日はお前がおごれよな」
女「わかった。じゃあ今度食べに行くときは女友がおごって。今日私がおごるからそのお礼に」
女友「はいはい、どうせまた等価交換だとか言うんだろ?」
女「そう。女友も錬金術のなんたるかがわかってきた」
女友「わかってねぇよ。ほら、さっさと行くぞ」
女「うん。私はイチゴと生クリームとスポンジのキメラにする」
女友「だからキメラって言うのやめろ」
おしまい