男「豆をぶつけるのやめて」
女「鬼は外!!」
元スレ
女「今日は節分だね」 男「痛い、痛いって!」
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男「鬼じゃないって」
女「本当の鬼がいないんだもん」
男「いるわけないだろ」
女「それみたことか」
男「やめろ、痛い」
女「鬼は外! 鬼は外!!」
男「節分って地味な行事だよね」
女「ひな祭りとか七夕と同じレベルの行事」
男「基準がわからない」
男「2月って節分くらいしかイベントないからな」
女「いやいや、バレンタインが、あっ」
男「えっ」
女「チョコ貰えない人には、あってもなくても変わらないよね」
男「忘れてただけだ。可哀想な目をするな」
男「そういえば歳の数だけ豆を食べるみたいなのあったな」
女「もぐもぐ」
男「食べ過ぎ、18個でいいでしょ」
女「意外と美味しかった。とまらない」
女「100歳になったら100個食べなきゃいけないのか」
男「わからん」
女「ふーん、もぐもぐ」
男「もう落花生ふた袋目だぞ」
女「そういえば、ピーナッツと落花生の違いってなんだろう」
男「英語か日本語かの違いじゃないのか」
女「ふーん」
男「でも、ピーナッツって言った方がカロリー高そう」
女「意味わかんね、もぐもぐ」
男「あ、さん袋目はやめとけって」
女「私は落花生を食べています」
男「検索してみたら落花生もピーナッツも、やっぱり同じ物みたいだ」
女「へぇー」
男「スヌーピーが出てくる漫画もピーナッツってタイトルらしい」
女「え、スヌーピーじゃないの!? まじ? へえええ!」
男「めっちゃくいついたな」
男「節分は季節ごとにあるらしくて、本当は年に四回らしい」
女「ほー、そんなに豆食わなきゃいけないのか」
男「別に義務じゃないでしょ」
女「まかせて」
男「お、おう」
女「さてと」
男「お、食べ終わったか」
女「次は恵方巻だね」
男「まだ食べるのかよ、太るぞ」
女「太りません」
男「一応用意してあるけど」
女「やったー! 大好き!」
男「今年は西南西を向いて食べるらしい」
女「西南西ってどっち」
男「さあ」
女「ばかやろ、調べろ」
男「方位磁石があった」
女「あっちか」
男「食べている間は黙ってなきゃいけないのか」
女「……」
男「もう食べ始めてた」
女「ぷはーっ」
男「おつかれ」
女「窒息死するかと思った」
男「結構太いもんね」
女「苦しくてちょっと涙が出た」
男「そこまで必死になって食べ続けなくても」
男「食べている間に願い事をしていると叶うと聞いた」
女「食べ終わってから言うなよ」
男「ごめん」
女「でも知ってたからちゃんと願ってた」
男「さすが。なんて?」
女「痩せますようにって」
男「食べながら願うことじゃないな」
男「俺も食べよう」
女「あっ、ずるい」
男「なにがずるいんだ。お前は今食べただろ」
女「けどいいなぁー……」
男「もぐもぐ」
女(うぅ、食べてしまった……)
男(えぇー……なんで涙目になってんだこいつ)
男「ごちそうさま」
女「なに願ってたの」
男「女と付き合えますように」
女「んぇ、ばか、ばか」
男「痛い、ごめん、冗談だから豆ぶつけないで」
女「……」
男「いっそう激しくぶつけないで」
女「お腹いっぱい」
男「当たり前だ、食べ過ぎ、デブ」
女「うるせー、まだまだ軽いわ」
男「はいはい、すいません」
女「お詫びになにか美味しい物おごって」
男「それでいいのか」
男「しかし、節分って他にすることないよな」
女「そうだねー」
男「そういえば買った落花生についてきた鬼のお面がある」
女「今更だね」
男「つけてみてよ」
女「うん。よっと……がおー」
男「全然怖くない」
女「むしろ可愛い」
男「まぁ、どちらかといえば」
女「いっそのこと本物の鬼がくればいいのに」
男「だけど本当に来たらやられちまう」
女「投げる豆もなくなったしね」
男「金棒で無抵抗に殺されるね」
女「でも、それくらいのハンデがあっても私なら勝てそう」
男「いったいその自信はどこからくるんだ」
女「暇だー! スマブラしよーぜ」
男「節分関係ないな」
女「することないんだもん!!」
男「なら帰れよ! もうこんな時間なんだし!」
女「つめてえなー」
女「わかったよ、帰るよ」
男「きいつけてな」
女「送ってけよ」
男「はいはい」
女「まったく」
男「もう真っ暗じゃん」
女「寒い」
男「そりゃそうだ」
女「あ、あそこらへんの星」
男「ん?」
女「鬼の形してる」
男「えぇー、そうかあ?」
女「鬼座と名付ける」
男「お前にそんな権利はないと思うが」
女「あぁー、帰りたくないなぁ」
男「でも帰らなくちゃ」
女「ああ、着いちゃう」
男「着いちゃったね」
女「入りたくないなぁ」
「うるさい黙れ!」
「なによ、いつもいつもそうやって!」
女「ひっ」
男「外まで響く声……」
女「入りたくないなぁ」
男「またおじさんとおばさん、喧嘩してるのか」
女「最近毎日してる」
女「よく、わからないけど、離婚するらしい」
男「そりゃ、帰りたくないな」
女「うん、そうなの」
男「……よし」
女「どうしたの石なんか持って」
男「……福はうちいいいいいいいいっ!!」
ガシャーン
「……なんだなんだ!?」
「窓ガラスが割れたわ!」
男「逃げよう」
女「……ふふ、どうしたの石なんか投げて」
男「豆がないから代用させていただきました」
男「このくらい離れればいいかな」
女「びっくりした」
男「悪いな、窓ガラス割っちゃって」
女「よくわからないけど、なんかスカッとした」
男「こんな時間に可愛い娘が外出してるのに心配もされてないなんて
かわいそうだよな、お前」
女「もしかして、私のためにやってくれた?」
男「いや、俺の意思で投げたのさ」
女「石なだけに」
男「雰囲気こわれるなぁ」
男「やっぱり、それでも帰らなきゃね」
女「大丈夫かな……」
男「大丈夫さ」
女「お父さんとお母さん……うぅ、仲直りしてほしい、えぐっ」
男「今日はよく泣くな」
女「いつからこんなに仲が悪くなったんだろう」
男「大丈夫、お前のために離婚も考え直してくれるよ」
女「そうかなぁ」
男「恵方巻食べながらそれ祈ってたから大丈夫」
女「……恵方巻を信じる」
男「そうさ、恵方巻は凄いんだぜ」
女「…………ありがとう」
女「じゃあね、おやすみなさい」
男「うん。また今度」
女「…………もうすぐ節分も終わりかぁ……」
女「た、ただいまー……」
「女! よかった心配したんだぞ!」
「こんな時間までどこにいたの。でも無事ならよかった……」
女「えっ、ご、ごめんなさい」
「……すまんな、お母さんともう一度話し合ったんだ」
「あなたのことを全然考えてなかった。私たち、離婚しないことにしたの」
女「えっ、本当!?」
「ああ、お前が一番大切だからな」
女「うぅ……来年はみんなで、豆まきしようね」
「……? えぇ、そうね。なんでもしましょう」
「これからもずっとな」
「そういえば、さっき石を投げて窓を割ったやつがいたんだ」
女「へ、へぇ」
「なにか知らないかしら? まぁ、そのおかげで冷静になれたんだけれど……」
「それでも投石は投石だ。誰がやったか心当たりないか?」
女「うーん、鬼のしわざじゃないかな」
おわり
私は大豆派です