1 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 00:55:12.64 rXdhWV6W0 1/36

「はははは、なにを言うマイシスター」

「いえあのだから、私は先輩の妹じゃなくて…」

「こんなにかわいい娘が、俺の妹じゃないわけない!」

「ふぁ!?」

「俺を手紙で呼び出しながらも、時間を指定してなかったことを思い出し
 昼休みから今までずっと体育館裏で待ち続け、北風にさらされて、ちょっと
 凍えながら一人たたずみ、俺の姿を確認した途端、子犬のように走り寄って来る!」

「え? ああ、その、だって…先輩をお待たせするわけにはいかないですし」

「萌え!! こんなかわいい萌えキャラが俺の妹以外のなんだというんだ!!」

「もっ…モエですか?」

元スレ
女「ち、違います! 私、妹じゃありません!」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1285516512/

2 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 00:57:24.46 rXdhWV6W0 2/36

「さぁ、いつものように『お兄ちゃん』と呼んでごらん?」

「あ、はい…お兄ちゃん?………ええと、いつもそんな風に呼んでないのですが?」

「………なんだい、我が妹よ!」

「いえあの、先輩が呼べと」

「な、なんだって!! 特に理由もなく、俺のことを『お兄ちゃぁん』と甘い声で呼んだというのか!?」

「はぁ…はい、まぁ、そうですけど」

「『うふふ、呼んでみただけ』ってことか…? なにそれ、お前はお兄ちゃんを萌え殺したいのか!!」

「そ、そんな滅相もありませんっ! 私はただ先輩に告白を……そ、そだ! せ、せんぱい、私、あの」

「ノンノン! お・に・い・ちゃ・ん」

「ふぁ?」

「もしくは、『にぃにぃ』と囁いてくれてもいいぞ」

「ええと、にぃにぃ?」

「ふぁぁぁんたすてぃぃっく!!」

5 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 01:03:01.58 rXdhWV6W0 3/36

「いかん…いかんぞ……体育館裏とはいえ、神聖な学び舎でそんな…」

「にぃにぃ?」

「だ、ダメだ…それは破壊力が強すぎる………俺の防御力では耐え切れん
 できれば、予期しない状況で昔使ってた呼称がポロリと出てしまった的な
 シチュエーションで呼んでくれ…そして、呼んだあとに『あ、やっちゃった』みたいな
 感じで頬を赤く染めて欲しい」

「は、はぃ、がんばります…」

「うん、『にぃにぃ』は当面禁止だな…ここぞ、というときに使ってくれ」

「はぁ…そ、それでその先輩」

「お兄ちゃん」

「お、お兄ちゃん」

「ふむ…二人きりじゃないときは『兄さん』って呼ぶようなバランスがあると、なお良いかもしれない」

「………あ、あの、話を進めてもいいですか?」

7 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 01:12:22.71 rXdhWV6W0 4/36

「なんだい? お兄ちゃんは、妹の頼みならなんだって聞いちゃうぞ? 現金? 土地? それとも株かい?」

「い、いいえっ、そういうんじゃなくて! というか、お金とかいりませんからっ!」

「なんだと……つまり、誕生日プレゼントにブランド物のなにかが欲しいと」

「言ってませんっ!! ていうか、聞いてくださいっ!!」

「む…そうか。よし、お兄ちゃんはお前の発言を逐一完全に聞いているぞ! さあ、何でも言いなさい!」

「わ………わ、私と…その」

「うんうん」

「つ、つつつつつつ付きっ…付き合ってください!」

「…ふむ」

「………ぁの」

「…残念だが」

「…ぁ」

「現代日本では、兄妹で結婚はできないんだ…お兄ちゃん、嬉しいけど、お前の気持ちには応えられないよ」

「だ、だから、妹じゃないって言ってるじゃないですかぁぁぁぁぁっ!!!」

9 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 01:20:32.25 rXdhWV6W0 5/36

「はぁ…っ…はぁっ…」

「女の子が、そんな大声を出すものじゃないぞ」

「………だ、だれのせいで」

「ふむ、しかしなんだな。妹にここまで慕われているというのも悪くない。 むしろグッドだ」

「あ、あの、先輩? 私はですね、先輩とは知り合ったばかりの赤の他人…っていうか、
 その、赤の他人じゃない関係になりたくはあるんですけど」

「よし。 お兄ちゃん嬉しいから、帰りにクレープとかおごっちゃうぞ!」

「え? やったぁ!」

「うんうん。 イチゴでもバナナでも好きなトッピングを存分に頼むがいい!」

「わぁい! うーん、なににしようかなぁ………じゃなくて、先輩!?」

「おいおい、他人行儀な…二人きりのときは『お兄ちゃん』って呼んでもいいんだぞ?」

「呼びませんよ!?」

「そうかー素直じゃない妹にはクレープはおごれんなー」

「お兄ちゃん! バナナチョコが食べたいです!」

11 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 01:31:00.73 rXdhWV6W0 6/36

「はむっ」

「どうだ? うまいか?」

「はい、おいしいです、お兄ちゃん――って、違うでしょ!」

「なんだ? もしかして、お兄ちゃんのベリーベリーミックスの方が良かったか?
 仕方ないなぁ、半分こしてやろう」

「わぁい♪――って、違います!」

「…そうか? 遠慮しなくてもいいぞ? 他に食べたかったら、ホクホクポテトバロンでもなんでも」

「ほ、ホントですか!? じゃあ、ちょっと――って、ナチュラルに甘やかさないで下さい!」

「なにを言う? お兄ちゃんは、お前をドロドロに甘やかすために存在してるんだぞ? ほら、口にチョコついてる」

「あ、すいません、どうも……って、あの、そもそも私は妹じゃなくて」

「お前が妹じゃなくてなんだと言うのか?」

「だから……い、今はまだ同じ学校の後輩です」



12 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 01:37:59.59 rXdhWV6W0 7/36

「そうだ…それも我が妹の一面、人間誰しもいろんな面を持って生きているものだ」

「はぁ…そうなんですか」

「例えば、そこの交番の彼だって、今は警察官だが、家に帰ればお父さんであったり、誰かの息子だったりするだろう?」

「はい、そうですね」

「そう、お前は学校では俺の後輩かもしれない………しかぁしっ! 家では俺の妹であることを否定できまい!!」

「な、なるほど…?」

「つまり、お前は、俺の妹なんだ」

「そ、そっかぁ…私って、先輩の妹だったんですね――って、家が全然違うじゃないですか!」

「そんなたかが数キロ…宇宙的に見れば誤差だ」

「違うご町内ですよ! もっと視野をローカルに持ってください!」

「兄とは、妹より常に視線を高くして、妹を危険から守ってるものだからな…」

「…え、なにそれかっこいい……じゃなくて、先輩、私は」

「さて、近ごろは日が暮れるのも遅くなったなぁ……そろそろ帰ろうか?」

「あ、そうですね……って、一緒に帰るんですか!?」

14 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 01:46:20.50 rXdhWV6W0 8/36

「どうした?」

「あ、いえ、あの、こんな時間に失礼するのは、ちょ、ちょっと、駅前まで行ってきます!!」

「…はぁ? なんでまた?」

「や、やっぱり、ご家族の方に迷惑じゃないかなとか? その、最初が肝心らしいですし、
 菓子折りの一つでも持ってこなきゃダメですよね!? すいません全然気がつかなくて
 今すぐ行ってきますので! あ、あのご家族の方は甘い物とか平気でしょうか?
 もしも、なにかアレルギーとかがあれば教えていただけると助かります! というか、
 こういうときって、お菓子とかじゃなくて、コンブとかアワビの干物とかだったりするんでしたっけ?
 どうしよう…乾物屋さん開いてるかな…ええと、先輩近くに乾物屋さんってありますか?」

「……そういうのいいよ。気にしなくていい。俺の家族は、妹一人…お前だけだよ」

「ふぇ?」

「さ、冷えてきたし。ウチに入ろう」

「は、はぁ…?」

15 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 01:55:03.50 rXdhWV6W0 9/36

「ただいまー。 さあ、マイシスター! そんなところでぷるぷるしてないで入りなさい!」

「お、おじゃまします…」

「はははは。 帰ったときは『ただいま』だろ?」

「は、はぁ…た、ただいま帰りました…」

「うん、おかえり」

「んだよ…クソ兄貴か。遅かったな」

「ひゃぅっ」

「うるさいぞ土人。いつ帰ってこようが俺の勝手だろう」

「あーはいはい………って、ハァ!? あんた、何連れて帰ってきてんだ!?
 …抱きマクラとかそういうのじゃ、飽き足らず…誘拐だぞ!?このバカ兄貴……って、あれ、お前」

「あーすまないなぁ…マイシスター…このガングロヤマンバ土人はウチに住み着いてる妖怪の一種で」

「って、先輩、妹さんおられるんじゃないですかっ!!」

19 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 02:05:20.01 rXdhWV6W0 10/36

「…いいんちょ?」

「こら、土人。発音が悪いぞ。日本語をしゃべれ、日本語を」

「え………あ、その、時代の最後尾を頑なに突っ切ってるヤマンバっぷりは…きょーちゃん?」

「…おい、クソ兄貴、なにてめ、ウチのクラスのいいんちょ拉致しちゃってるわけ? けーさつ呼ぶぞ?」

「だから、『ちょ』じゃなくて『長』と発音しろ、この原住民。そんなことではジャパンでやっていけないぞ」

「あ、あの、あのね、ラチとかそういうんじゃなくて…私がついて来ただけで」

「ハァ? あんたバカ? なにこの変態クソ兄貴について来てんの? 甘いもん食わされてデブるよ?」

「…なんだ、我が妹と土人は知り合いだったのか?」

「はい、きょーちゃんとは同じクラスの友達です………て、あれ、この場合、土人がきょーちゃんの方だよね?」

「…そうらしいな。で? なんでウチに来てんの?」

「俺の妹だからな」

「クソ兄貴は黙れ」

「ふぎゅぅ!? マイシスター! 土人が! 土人が、か弱い俺に暴力をふるうよ! なにも悪いことしてないか弱い俺に暴力をふるうよ!」

「先輩は黙っててください」

「ふぎゅぅ!?」

21 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 02:14:46.87 rXdhWV6W0 11/36

「……告白しようとしたら、妹と誤認されて、連れてこられたと」

「うん、そうなの」

「あの、一つ聞いていい? ウチのアレのどこが気に入ったわけ?」

「え? えーと…ひとめぼれ?」

「…いいんちょ、って普通に乙女だよな」

「そう? そうかな? えへへ、照れるなぁ」

「いや、褒めてないから」

「…褒めてないんだ」

「はぁっ……ま、わかったっしょ? アレ、変態だって。やめといた方がいいよ、あんなバカ…って、言われなくても醒めてるか」

「え?」

「いや、百年の恋も醒めるっしょ?……って、あたしに何言わせんだ、あんた」

「………う、うーん?」

「……まぁ、どーでもいいけどさ」

22 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 02:23:49.11 rXdhWV6W0 12/36

「女同士の密談は終わったかい!? はははは。お兄ちゃんは妹の交友関係には寛容な方だからね!
 土人とはいえ、女の子の会話をジャマしない度量に満ち溢れているのさ!」

「え、あー…そうですか、どうもです」

「いいんちょ、メシまだだろ? 食ってく?」

「え? いいんですか?」

「ああ、今日カレーだし」

「まぁ、土人が作ったものだから味付けは保証しないけどね」

「ハァ? 文句があるなら食うなよ、クソ兄貴」

「ははっ…文句があるなら出て行ってもいいんだぞ、土人?」

「………」

「………」

「え、ええと…わ、わーい! カレーうれしいなー! 私カレーダイスキー」

「そうかそうか! ならば、この兄が大盛によそってあげようではないか!」

「………」

25 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 02:32:10.69 rXdhWV6W0 13/36

「いいんちょ? 辛くね? だいじょぶ?」

「う、うん…か、からいけど……だいじょぶ……ごめ、おみず…」

「無理をしなくていいんだぞ? 所詮、土人だから、カレーは辛ければ辛いほどいいと思ってるからな」

「…ハっ? どっかのクソ兄貴が、もっと繊細な舌持ってりゃ、こんな味付けにしてねーよ」

「………それって、先輩が辛いの好きだからこんな味にしてるってこと?」

「え………」

「ばっ……バカ? バカなの? いいんちょ、バカだな? バカだろ?」

「………そ、そんなにバカバカ言わないでよぅ」

「そ、そうだぞ! バカかもしれんが、たしかにバカかもしれんが、そんなにバカバカ言うことないだろ?」

「…うぅ…せんぱいまで、バカバカ言うし……からいし…」

27 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 02:40:30.76 rXdhWV6W0 14/36

「…うぅ…ごちそうさまでした…」

「…おそまつさん」

「よく頑張ったな。さすが俺の妹だ。さあ、ここにおいで、お兄ちゃんが、甘いモノをあげよう」

「クソ兄貴は、皿洗いだろ。働けよ」

「……すまない、マイシスター。皿をちゃっちゃと洗ったら、すぐにお前にカントリーマァムを食べさせてあげるからね」

「いえ、あの、私もお手伝いします」

「いーんだよ。 あいつ皿洗いくらいしかできねーんだから」

「そんなことないぞ! 風呂掃除だってできる! 換気扇だって掃除できる!」

「あー…わかったから。そういうのいいから、早く皿洗えよ」

「く、くそう! 覚えてろよ!」

28 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 02:46:47.98 rXdhWV6W0 15/36

「…ええと、楽しいお兄さんだね?」

「ハァ? それマジで言ってんの?」

「あー…ごめん」

「べつに。あたしもあいつのこと兄とか思ってないし」

「あ、あー……そう?」

「んだ?てめ、いいんちょ、しばき倒すぞコラ?」

「うわーこわいこわい」

「………ったく、少しは怖がれっつーの」

「むりだよ。友達だもん」

「…あんた、入学したときからそうじゃん」

「んー…ということは、入学したときから友達だったんだよ」

「ハァ? わけわかんね」

「ははっ…わけわかんないねー」

31 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 02:51:30.25 rXdhWV6W0 16/36

「そういえば、ご両親は? 遅いの?」

「いや、死んだ」

「あ、そうなんだ………って、え……あ、ごめん」

「別にいいし。いちお、保護者は叔父ってことになってる」

「その叔父さんは?」

「他のとこに女作って住んでんじゃね?」

「…そなんだ」

「って、結構遅くなったけど、だいじょぶ? あんたこそ、親に連絡入れないでいいの?」

「あ、うん。いいの。ウチは死んでないけど、居ないから」

「あ、そーなん?………えっと、ごめん?」

「ううん。私も気にしてないから」

「…そっか」

32 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 03:01:34.58 rXdhWV6W0 17/36

「かなり暗いんだけど…いいんちょ、駅の向こう側だっけ?」

「うん。大丈夫、一人で帰れるよ」

「いいって、クソ兄貴に送らせ――るのも危険か」

「なにを危惧してるのかわからないけど、マイシスター、お風呂が沸いたよ! さ、暖かい内に入りなさい!」

「え? で、でも、替えの下着とかパジャマとか持ってきてないですし」

「ハァ? 何バカ言ってんの? バカなの?」

「はぁ…土人はこれだから困る。俺の妹が俺の家の俺が洗った風呂に入ってなにが悪いというんだ?」

「…まさか、泊めるつもりじゃ」

「意味がわからない。兄妹は一つ屋根の下で暮らすものだろう! そこに愛はあるのかい!?」

「ハァ!? いやなにそれ、わけわかんないし……バカだバカだとは思ってたけど、そこまでバカか!?」

「ええと、それじゃ…きょーちゃん、悪いんだけど下着とか借りてもいい?」

「いいけど――って、あんたも何考えてんの!?」

33 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 03:10:05.55 rXdhWV6W0 18/36

「ええと、お泊りダメ?」

「だ、ダメ…っていうか、あんたいいの? このバカ、変態だよ? 妹のパンツを
 手洗いするような変態クソ兄貴だよ? そんなやつの前に洗濯物出しちゃダメだって!」

「仕方ないだろ。タグにそう書いてあるんだから」

「大丈夫。ちゃんと洗濯物は袋とかに入れて見つからないようにしとくから」

「あれ? お兄ちゃん意外と信用ない?」

「…あるわけねーだろ」

「じゃ、すいません、先にお風呂いただきますね」

「うむ」

「いや、『うむ』じゃねーよ、なについて行こうとしてんだよ?」

「妹の背中を流すのも兄のつとめ…だからな!」

「わけわかんねーし。ていうか、なにそれ? なに握り締めてんの?」

「スク水だが、なにか? 妹と風呂といえばスク水だろう」

「…ああそう、なるほどね――って、わかるかボケェっ!!!」

「ひぎぃっ!!!」

34 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 03:17:16.47 rXdhWV6W0 19/36

「ふぅー…いい湯だった」

「………」

「いいんちょ? どうしたん?――ま、まさかクソ兄貴になにかっ」

「…わかってはいたけど」

「ハァ? な、なにされた? あの変態…」

「こんなにサイズが違うなんて…」

「…ああ、下着……そりゃそうだろ」

「…なんとかなるかなーって思ったんだけどなぁ…」

「いや、ならねーよ…なると思ったときの心理状態を疑いてーよ…」

「それに…メイク落としたら、きょーちゃん、普通に美人さんだし」

「は、ハァ? てめ、な何言ってんだこの?」

「………なんか、れっとーかん…」

36 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 03:21:55.24 rXdhWV6W0 20/36

「はははは。気にするなマイシスター!」

「せ、せんぱい!?」

「なにナチュラルに人の部屋に入ってきてんだよこのクソ兄貴」

「さ、これを使いなさい。今しがたコンビニで買ってきたよ」

「…あ、これ…下着?」

「サイズがわからなかったからね、とりあえず、一通り買ってきたよ」

「………なんかこれ、柄が全部、水色と白のボーダー…」

「しましまは男のロマンだから」

「てか、この柄、コンビニで売ってるっけ?」

「……売っているとも!!」

「そ、そんな豪語されても」

「…ま、いいけどさ」

37 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 03:32:12.07 rXdhWV6W0 21/36

「あとはパジャマだが」

「あ、パジャマはきょーちゃんにジャージでも借りるので」

「ノンノン! これを着てくれ!」

「!?」

「………ワイシャツ?」

「そう……俺の、お兄ちゃんのワイシャツだ…」

「先輩のワイシャツですか? くんくん」

「においを嗅ぐなよ…」

「それを着て、明日の朝俺を起こしてくれ。お兄ちゃん、妹がそれを着て
 起こしてくれないと起きることができないから」

「はぁ…そうなんですか。がんばります」

「納得すんなよ…」


39 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 03:37:21.58 rXdhWV6W0 22/36

「ということは、普段はきょーちゃんが、これを着て起こしてるんですね」

「そ、そんなことあるわけないだろ!!」

「そうだぞ。 土人がそんな格好してても全然嬉しくないし……な…って、土人、いつもの土着宗教メイクはどうした?」

「え? あ、そ、そりゃ、風呂に入ったらメイク落とすし?」

「そ、そうか………なんか久しぶりだな」

「かわいいですよねー。メイクしない方がいいのに。ていうか、髪も、肌も戻した方が似合うと思いませんか?」

「は、ハァ? な、なに言ってんの? つか、クソ兄貴の前でそういうこと言わないでくれる?」

「それは…ええと『恥ずかしいからお兄ちゃんの前で褒めないでよ』ってこと?」

「言ったか? あたしが何時何分何秒地球が何回回ったときにそんなこと言った?」

「えと、21時38分40秒くらい…地球がだいたい50億回くらい回ったときかなぁ」

「うぅっ…」

「え、ええと、じゃ、じゃあ、そういうわけだから! 明日の朝は頼んだぞ! マイシスター!!」

41 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 03:44:10.45 rXdhWV6W0 23/36

「ごめんねーベッド借りちゃって」

「いいけど…つか、ホントにそれ、寝巻にすんの?」

「え? うん。洗濯してあるけど、なんか先輩のにおいがしていいかなって」

「うわぁ………マジでアレに惚れてんだ…」

「うん、まじまじ」

「正直ひく」

「そう? いい人だし、おもしろい人じゃない…ていうか、きょーちゃんこそ、それ、パジャマ?」

「……そうだけど?」

「学校指定のジャージが?」

「…そうだけど?」

「じゃあ、このベッドの隙間に落ちてた先輩ときょーちゃんの両方の匂いがするワイシャツは…」

「きゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」

42 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 03:52:22.13 rXdhWV6W0 24/36

「お、落ち着いて、落ち着いて? 近所迷惑になっちゃうよ? 先輩、心配して見に来ちゃうよ?」

「え、あ……う…ち、ちが、違う……そう、違うのっ」

「ええと、『たまたま着るのがなくて、クソ兄貴のクソワイシャツをクソ寝巻代わりにしてただけだから!』…みたいな?」

「そうそれ! つか、あたし、そんなにクソクソ言ってねぇっ!」

「ええと…じゃあ、タンスに入ってるショーツの半分以上がボーダーなのは?」

「……あ、あたしの趣味」

「へぇ、兄妹共通の趣味なんだね~」

「そ、そうだけど? 悪い?」

「仲良いんだね、兄妹」

「べ、別に、仲良くなんかないし! つか、見ててわかったっしょ?」

「…仲良いんだね、兄妹」

「……な、仲良くないしぃ」

47 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 04:06:25.59 rXdhWV6W0 25/36

「……はぁ、先輩の過干渉がイヤになって誤った高校デビューをしてしまったと?」

「だ、だって、ウぜーってもんじゃないし、わかるだろ!?」

「うーん?」

「なにそのわかるんだけど同意しかねるみたいな顔」

「だって、私、甘やかされるの嬉しいし。私一人っ子だから、うらやましいなぁって思うけど」

「そーっすか。言っとくけど、あたし一時期体重80あったからな? アレに付き合ってると同じ目に会うぞ?
 ……あのクソ兄貴が毎日カントリーマァムを食わせたせいで…今の体重になるまでどれだけ…」

「いやーそれは、お兄さんに甘えきってたきょーちゃんも悪いでしょ?
 それに体重が増えたくらい、先輩はどうでもよさそう」

「『丸々と太った俺の妹も丸くてかわいい』とほざきやがった…」

「それが、ちょっと方向性を間違ったメイクと改造をしただけで…『こんなの俺の妹じゃないっ!』と」

「……まるで見てきたようにモノを言うな」

「時間おしてるしねぇ…」

48 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 04:10:09.87 rXdhWV6W0 26/36

「これくらいファッションじゃん? いいだろ?」

「ええと、女性の視点から見ても人外かなーって思う」

「フォローなし!?」

「あー…なるほど、『お兄ちゃんなら変わり果てた私でも受け入れてくれる』って信じてたんだね」

「……そ、そういう風にみえる?」

「いやでも、これショック大きいよ? 茶髪と日焼けならともかく…あのメイクはねー」

「やっぱダメ?」

「ていうか、あれ、自分でカワイイと思ってやってるの?」

「そんなわけないじゃん」

「だよね」

49 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 04:14:52.50 rXdhWV6W0 27/36

「よろしい! 私に任せて!」

「…なにを?」

「きょーちゃんと先輩を仲直りさせてあげる!」

「………マジ?」

「うん! まじまじ! 仲直りしたいんだよね?」

「あ、あたしは……まぁ…それなりに………でも、兄貴は」

「ううん、先輩だって、仲直りしたいに決まってるよ。だって、
 あそこまで“妹”を求めるのって、やっぱり、きょーちゃんのことが好きなんだよ」

「そ、そうかな?」

「うん! 任せて、未来の義妹のためにがんばっちゃうよ!」

50 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 04:19:19.68 rXdhWV6W0 28/36

「………義妹?」

「うん?」

「え?…マジでアレと結婚とかしたいわけ?」

「もち」

「えーっとさ、いいんちょ? やめときなって…身内が言うのもなんだけど、変態だし変態だし変態だよ?」

「ふぅん」

「いや、『ふーん』って、あんたマジメに」

「きょーちゃんが『あたしのお兄ちゃんを取らないで!』って言うなら考えてあげる」

「は、ハァ?」

「言わない?」

「ハァ? い、言うわけないだろ? 何考えてんの? マジありえないし」

「ふーん、そう。 じゃあ、頑張ろうね! 未来の義妹!」

「…あたしは、あんたが、なんでそこまであのクソ兄貴に惚れてるのか聞きたい」

「うーん…話してもいいけど………時間が押してるからなぁ…」

55 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 04:26:25.09 rXdhWV6W0 29/36

(むぅ…遅いっ……もう夜が明けて随分経つというのにマイシスターは何をしているのか…)

(まさか…俺の部屋に来るまでの間に酔っ払いの運転するダンプカーにっ……心配だ…)

(……ん?…足音が)

「せんぱい? 起きてますか?」

(来たな…マイシスター………ふふふ、お兄ちゃんたる者、そう簡単には起きんぞ…覚悟しておけ…)

「失礼しますー…わ、まだ寝てる。寝てるよ」

「ぐーぐー」

「…なんていうか、ウソっぽい寝息だよね」

「んぐっ…ぐーぐー」

「さ、そろそろ、起こさなきゃ…ね?」

56 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 04:32:45.52 rXdhWV6W0 30/36

「お、お兄ちゃん…起きて」

「ぐーぐー」

「お兄ちゃんっ……起きないと遅刻するからっ…」

「うー…あと5ふんー…ぐーぐー」

「…きゃぅっ…お、お兄ちゃん? こっ…この手はなぁに?」

「………そこに妹の尻があれば、さわってしまう……兄とは罪深いものだな…ぐーぐー」

「っ!!!………お、お兄ちゃん? 起きよ? なんか、あたし、右手がうずうずするっていうか…」

「ふっふっふ…お兄ちゃんを起こしたければ、いつものように布団ダイブをしてくるがいいよ…ぐーぐー」

「……いいけど、あたし、体重減ったって言ってもそこそこあるよ?」

「はっはっは…お兄ちゃんはお前の重さくらい受け止められ……って」

「じゃあ、行くよ! お兄ちゃん!」

「え? な、なに、なんでおま………ぐぶふぉっ!!!!!」

58 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 04:39:15.81 rXdhWV6W0 31/36

「完璧なエルボードロップだったね! 決まったね!」

「ありがと。 なんかもう、殴りたくて仕方なかった」

「げほっ……おい土人…貴様、兄妹の朝のスキンシップを妨害するとはいい度胸…
 ……って、め、メイクはどうしたぁっ!?」

「なにそれ?」

「なにそれって、あの、民俗学的に何らかの価値が見出せそうな土着信仰に基づく
 謎のフェイスペインティングだよ!」

「やめた。飽きた」

「飽きた…って、おま、い、一度やると決めたことは最後までやり通せって
 お兄ちゃんいつも言ってるだろ!――って、あ、ちが」

「…うん、そうだったね、お兄ちゃん」

「え」

「ね、お兄ちゃん…あたし……あたしさ、また、お兄ちゃんの、妹になってもいいかな?」

60 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 04:46:53.17 rXdhWV6W0 32/36

「…肌ももう焼かないし、髪も…とりあえず黒く染めようかなって思うんだけど」

「お前…」

「あたし、戻れるかな? お兄ちゃんの妹に」

「………バカ」

「あ…そ、そうだよね…今さら何言ってんだろ、あたし…」

「お前が、俺の妹じゃなかったときなんてないよ」

「……おにいちゃん」

「お前が土人の顔してても、お兄ちゃんに反抗的なことしても…ずっと、俺はお前のことを
 妹だと思ってたさ」

「あ、あたしも、お兄ちゃんがパソコンの絵に話しかけてても、抱きマクラと食事とってても
 お兄ちゃんのことお兄ちゃんだって、ずっと思ってた」

「………おいで、マイシスター」

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃぁんっ!」

63 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 04:49:48.82 rXdhWV6W0 33/36

「はい、そんなとこで…ちょっと待ったーーー!」

「え」

「…?」

「『今、大事なとこなんだけど』っていうのは、わかります。もち、わかってます。
 でも私も大事なお話があるんです、先輩」

「俺?」

「はい。先輩、好きです」

「なっ!?」

「…私と、お付き合いしてくれませんか?」

「………え」

65 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 04:54:48.80 rXdhWV6W0 34/36

「ふぅ…やっと、言えたぁ…」

「あ、あんた…このタイミングで?」

「うん、ようやく、妹は私じゃないって、先輩に認めてもらえたしね。 ですよね、先輩」

「あ、ああ…ごめんな、その、いろいろと」

「いえいえ。それで、先輩、私、告白したんですけど?」

「あ、うん…そうだな……いや、俺さ、両親いないし…妹の面倒も見なきゃいけないからさ…悪いんだけど」

「にぃにぃ♪」

「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅっ!?」

「にぃにぃ…私も、にぃにぃといっしょがいいです」

「うぁ…うぁうぁ…」

67 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 05:03:07.57 rXdhWV6W0 35/36

「ちょっ…いいんちょ?」

「ねぇ…にぃにぃ…いいですよね? 私ももう妹みたいなものですし。ね? にぃにぃ?」

「い、いいかも」

「って、このクソ兄貴! なに言ってんの!!」

「ふっふー悔しかったら、きょーちゃんも『にぃにぃ』って呼んだらいいじゃない?」

「え?……に、にぃ…って、言えるか! そんなん言えるか!」

「うーん、きょうもいいあさだなぁ…マイシスターズ!」

「え、なに複数形にしてるの? 『お兄ちゃんの妹は一人だけ』じゃなかったの? ていうか、いいんちょ、それでいいの?」

「今は、まぁ、いいかなぁ…ほら、どうせ兄妹は結婚できないし。最後に勝つのは私かなぁって」

「……結婚するしないは、お兄ちゃんの自由だけど?」

「ふぅん…お兄ちゃんの幸せより自分のワガママをとるんだ。きょーちゃんって、やっぱりかわいいね」

「こらこら、二人とも平和な朝に争うのはやめないか…ごらん、きょうもカラスが生ゴミを」

「お兄ちゃんは黙ってて!」

「にぃにぃは黙っててください」

「ふぎゅぅ!?」

68 : 以下、名... - 2010/09/27(月) 05:03:49.78 rXdhWV6W0 36/36

おしまい

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