男「えっ」
女「そういうのいいですから!」
男「いや、えっ」
女「はやく殺してください!」
元スレ
男「冥土の土産に教えてやろう」 女「いや、いいです!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1422630562/
男「冥土の土産に教えてやるって言ってんのに」
女「どうせ殺すんでしょう?」
男「そりゃまぁ……」
女「死ぬなら聞いても意味ないじゃないですか!」
男「だから教えてやろうって話なんだけどな」
女「その構えている銃、本物ですよね」
男「もちろんだ」
女「あ、やっぱりホントに殺すつもりなんだ」
男「ああ」
女「どうぞ撃ってください」
男「調子くるうな……」
男「俺が誰か興味ないのか?」
女「この時間に家に忍び込むなんて泥棒ですかね」
男「いや、違う。俺は」
女「あー! いいですいいです!」
男「俺の正体は」
女「言わなくていいですって!」
男「……」
女「……」
男「わかった。俺が誰かは言わない」
女「はい」
男「そのかわりお前が誰か教えてくれ」
女「いいんですか殺さなくても」
男「急ぐことはない」
女「悠長ですね」
女「私が誰か知らないんですか?」
男「知らないな」
女「なのに私を殺そうとしている」
男「そうだ」
女「謎は深まるばかり」
男「だから冥土の土産に教えてやるってば」
女「殺さないなら聞いてあげてもいい」
男「駄目だ。絶対に殺す」
女「じゃあ聞いても仕方ないですね」
男「お前の言っていることがよくわからん」
女「冥土に土産を持っていけるのかって話ですよ」
男「そんなの、死んでみないとわからないさ」
女「死の間際に中途半端になにかを伝えられても
もやもやしながら死んでいくだけじゃないですか」
男「そういうものかな」
女「死んでみないとわからないんですけどね」
女「まさか殺し屋とかじゃないですよね」
男「答えていいのか?」
女「いいですよ」
男「殺し屋だ」
女「なぜ私を狙って殺し屋が……しまった、もやもやする」
男「結局自分であてやがったな」
女「くそ、どういうことだ」
男「じゃあ殺すぞ」
女「待て、馬鹿やめて、今死ぬのは一番だめ」
男「殺し屋はそんなにお人よしじゃない」
女「私はもやもやしながら死んでいくのか」
男「そうだな。気まぐれに生かすのもここらへんでやめよう」
女「これだから聞きたくなかったんだ……」
男「当てたのはお前だ」
女「わかりました……殺してください」
男「そのつもりだ」
女「はやく」
男「強がっててもさっきから震えてるぞ」
女「そりゃ怖いでしょうが!」
女「なんで私は殺されるんだろう」
男「そんなの心当たりがあるだろう?」
女「家の財産ですか」
男「ビンゴだぜ。大富豪のお嬢様」
男「お前の家は敵も多そうだしなぁ」
女「私のこと知らないんじゃ?」
男「ここの家の娘ってことくらいわかるさ」
女「名前は?」
男「知らない」
女「教えません」
男「訊く気もない」
男「俺は三日以内にこの家の娘を殺すように雇われた」
女「三日以内?」
男「ああ、依頼を受けたのは今日だがはやいうちに済ましておこうと思ってな」
女「なんで私は殺されるんですか?」
男「知らないさ。俺は金さえ出してもらえれば依頼を受ける」
女「本当ですね?」
男「?」
女「あなたに依頼します」
男「依頼だと?」
女「金さえ出せばどんな依頼も受けるんですよね?」
男「まあ、そうだが」
女「お金なら腐るほどあります」
男「嫌なお嬢様だな」
女「命にはかえられません」
女「私に殺しの依頼をした人を、殺してください」
男「向こうの依頼のほうが先だぞ?」
女「私は三日以内に殺せば大丈夫なはずです」
男「……確かにそうだが、ターゲットからの依頼を受けるだなんてバカげてる」
女「はい、バカげていますね」
男「俺はバカげたことが大好きだぜ」
女「決まりですね」
男「依頼主もまさか自分が狙われる側になるとは思っていないだろうな」
女「あ、忘れていました。そうですね、二日以内に依頼主を殺してください」
男「依頼主を殺して、最後にお前を殺せばいいのか」
女「ややこしいですね。大丈夫ですか?」
男「俺としちゃどうでもいいことだ。金を用意しておきな」
女「私も連れて行ってください」
男「なんでだ?」
女「こんな可愛い子を殺そうとしたやつが誰なのか知りたいんです」
男「自分で可愛いっていうか」
女「可愛くないですか?」
男「淡々と殺し屋と会話するあたりがキュートだぜ」
女「ばかにしてますね」
男「しかし連れて行くとなると邪魔になるな」
女「あっ、邪魔ってひどい」
男「殺し屋は冷酷なのさ」
女「私の依頼を受けるんですから、私の言うこときかなきゃだめですよ」
男「そんなルール初めてきいたぞ」
女「とにかく、今すぐ出ましょう」
男「この時間からか」
女「それともとりあえず一緒に寝ますか?」
男「なんだ、一緒に寝るって」
女「ベッドがひとつしかないので」
男「殺し屋はよほど信頼した相手の前でしか眠らない」
女「可愛い女の子と一晩をともにするチャンスなのにもったいないですね」
男「ほら、はやくいくぞ、ほら」
女「とうっ! 外にやってきました」
男「なんだそのジャンプ」
女「テレビ番組のロケとかで場所を移動する時にやるじゃないですか」
男「えー、映像を繋げてする演出か」
女「それですそれです」
男「今は誰も撮っていないけどな」
女「あ、カブトムシがいる」
男「夜の電灯に集まってきているんだな」
女「捕まえよう」
男「連れて行く気かよ」
女「十匹くらいいます! かごが欲しいところですね」
男「え、しかも全部捕まえるの」
女「カブトムシは諦めました」
男「それがいい」
女「家にコーカサスとかヘラクレスがいっぱいいるので」
男「いいなぁ」
女「えへへ、いいでしょー」
女「コンビニの看板がみえます」
男「お嬢様はコンビニとか普段行かないか?」
女「はい。ちょっと行ってなにか買ってきてください」
男「えぇ、なんでだよ」
女「あなたは私の依頼を受けたんだから言うことをきいてもらいます
パシリにもならなければいけません」
男「殺し屋のルールにパシリだとかそんなものはない」
女「私もついて行きますから」
男「それパシリじゃないじゃん」
女「私はパシリの付き添いです」
男「銃を持って入るとコンビニ強盗みたいだな」
女「しっかり隠してくださいね」
男「おまけに若い女の子を誘拐したみたいだ」
女「初めてのコンビニ」
男「コンビニごときでわくわくするなんて可愛いな」
男「何事もなくコンビニを出た」
女「お爺ちゃんの店員さんが一人でレジにいましたね」
男「コンビニ強盗に襲われたら危ないな」
女「殺し屋がそんな心配しますか」
女「えへへー、アイス買っちゃった」
男「お嬢様もこんな安いアイス食べるんだな」
女「なっ、安くないですよ、ハーゲンダッチュですよ!」
男「噛んだな」
女「噛んでない」
女「私の家、お金持ちなんですけど」
男「知っている」
女「親の都合で普通の学校に通っていたんです」
男「ほう」
女「だけど、お金持ちってだけで友達ができなくて」
男「ほうほう」
女「孤立していたんですが、あの、ん」
男「話すのはアイス食べ終わってからでいいよ」
女「食べ終わりました」
男「つづきをどうぞ」
女「孤立していた私に声をかけてくれた子がいたんです」
男「いいやつだな」
女「どうでしょう。とにかく私はその子と仲良くなったんです」
男「良い友だちだな」
女「でも、実はその友だちも孤立していたんです」
男「そうなのか」
女「友だちはいじめられていました」
女「いじめられていた友だちは不良にお金を要求されていました」
男「どこの学校にもいるんだな。そういうやつ」
女「私はいじめを助けようと不良たちにお金を渡したんです」
男「ほーう」
女「そうすると不良たちは、今度は私にお金を要求するようになりました」
男「そりゃそうだ」
女「そんななか、私のお父さんが事態を知ったんです」
男「おっ、権力かなにかで助けてくれたのか?」
女「いいえ。お父さんは厳しい人でいじめを受けたことを嘆いて怒りました」
男「……」
女「私は事態の原因である友だちに二度と会うなと言われました」
男「それから?」
女「友だちにそのことをメールで伝えて……それっきりです」
男「なるほど」
女「私は、間違っていたのでしょうか」
男「間違ってるってなにが?」
女「あの時、いじめを助けなければよかった気もして……」
男「知らん」
女「え」
男「そんなこと知らん」
男「真面目な相談を殺し屋にされても困る」
女「そんな、雰囲気に乗って話したのに」
男「金持ちの苦悩なんかきいてもわからねえよ」
女「殺し屋さんはなにか悩みないんですか?」
男「ないね」
男「俺は酒もタバコもしていないんだが」
女「なんの話ですか」
男「ある時、知り合いが酒を飲まないなんて
人生の半分を無駄にしてるって言ってきたんだ」
女「はぁ……??」
男「またある時、仕事で近づいたマフィアのボスが
タバコを吸わないやつは人生の半分を損しているってな」
女「……」
男「酒とタバコをしていないだけで俺の人生はゼロにされたんだ
価値観なんて人それぞれってことさ」
女「よくわかりません」
男「なんで俺が殺し屋をやっているかわかるか?」
女「そんなのわかるわけないじゃないですか」
男「実は、家族が殺し屋に皆殺しにされて
復讐をしてやろうと自分も殺し屋になったんだ」
女「えぇっ、本当ですか」
男「嘘だ」
女「むー」
男「そんな壮大な過去はない。俺が殺し屋になったのは」
女「……」
男「人を殺したかったからさ」
女「よく……わかりません」
男「そうだろうな」
女「価値観の違いってやつでしょうか」
男「そうさ。話を戻すが、お前は友だちを助けようと
やりたいことをやったんだろ?」
女「はい、まあ」
男「じゃあそれでいいじゃないか。やりたいことをやるのが人間だ」
女「そうでしょうか」
男「俺が人を殺したいから殺すのと同じさ」
女「一緒にしないでください」
女「無差別に人を殺したりしないんですか」
男「俺はそんなにクレイジーじゃない」
女「殺し屋は最高にクレイジーですよ」
男「依頼がなければ殺さない。殺し屋にもポリシーがある」
女「やっぱりわからないです」
男「話しているうちについたな」
女「どこですか?」
男「見ればわかるだろう。駅だ」
女「駅?」
男「まさか歩いてずっと移動するつもりだったのか
俺は車なんて持っていないぞ」
女「言われてみれば」
男「そんなことに気づかないなんてバカだな」
女「この時間さすがに他に人いませんね」
男「しまった!」
女「どうしましたか」
男「終電は終わっているし、今きても始発まで待たなければならない」
女「そんなことに気づかないなんてバカですね」
女「待ちますか」
男「仕方ないな」
女「まだ時間はありますしね」
男「寝ていてもいいぞ」
女「そうですね。眠いです」
男「始発がきたら起こしてやる」
女「襲わないでくださいね」
男「絶対にないから安心しろ」
女「なんか、ちょっと、ひどいなぁ……」
翌朝
男「少し早いが起きろ」
女「んあっ、おはようござます」
男「寝ぼけているな」
女「わかってますよお、しっかり殺しに行きましょー」
男「他の人がそろそろやってくるから、そういうこと大きい声で言うな……」
女「寝起きって嫌いなんですよ」
男「なんで」
女「寝顔、というより寝起き顔なんですが、すごくブサイクになるんです」
男「大丈夫、可愛かったぞ」
女「いや、ほんとにブサイク」
男「大丈夫大丈夫」
女「大丈夫じゃないです、ブサイクです」
男「最近の子はめんどくさいな」
女「私電車に乗るの久しぶりです」
男「俺もそうだな」
女「流れていく景色を眺めるのもいいですよね」
男「そうだな」
女「電車になりたいな」
男「それは共感しかねる」
男「ここでおりる」
女「どこへ行くんですか?」
男「ここから見えるな。あのビルだ」
女「あそこに私を殺そうとした人がいるんですね」
男「朝に行ってもいないだろうし、少し時間をつぶそう」
女「朝からやっているお店とかありますかね」
男「コンビニ」
女「うーん、あんまり時間つぶせないかなぁ」
女「このゲーセン、24時間営業ですよ!」
男「おお、凄いもんだな」
女「UFOキャッチャーでなにかとってください!」
男「うーん、苦手なんだよなぁ」
男「うわー、なんでこれとれないのマジ」
女「UFOキャッチャーって難しいですよね」
男「俺はUFOキャッチャーが上手いやつは全員変態だと思ってる」
女「わけがわからない偏見ですね」
男「あああ! これ絶対とれないよ無理!」
女「とてつもなく下手くそですね……」
女「もっと楽しめるゲームをしましょう」
男「なにか対戦するか?」
女「あ! これやりましょう!」
男「いいのかそれで……」
女「はい! はやくはやく」
男「殺し屋にシューティングゲームを挑むなんて正気か」
女「うにゅぅ……とてつもなく強い」
男「おもちゃとはいえ銃を構えて撃つゲームで負けるわけがない」
女「百発百中ですね」
男「殺し屋だからな」
女「しかしこうして普通にゲーセンで遊んでいると……」
男「とても殺し屋とターゲットにはみえないよな」
女「まるでカップルですよね」
男「は?」
女「って何言ってるんですかばかー!!」
男「いやいや、お前がひとりで何言ってるんだ」
男「そろそろ行こうか」
女「はい」
男「あのビルに心当たりはないのか?」
女「さあ……我が家を憎んでいる人ならいくらでもいるでしょうからね」
男「おそろしいなお金持ち」
女「でっかいビルだなぁ」
男「ここの会社の社長が依頼主だ」
女「どうやって入るんですか」
男「まあ見てろ」
男「入った」
受付「あの、どちらさまでしょうか」
男「社長に殺し屋がきたと伝えてくれ」
受付「はい?」
カチャッ
女「あ、銃を見せた」
受付「はっ、はい!? ただいま!」
男「これがはやい」
女「乱暴だなあ」
女「社長室に案内された」
男「良い部屋だな」
社長「きたな殺し屋。もう少しスマートに入ってくれよ」
男「失礼失礼」
社長「仕事は済ませたのか」
男「いえ、この通りターゲットはぴんぴんしています」
女「えへへ」
社長「なに? そいつは誰だ」
男「え、誰って……」
社長「俺が依頼した家の娘はこいつだぞ」
男「……その写真は、誰だ!?」
社長「どうやら仕事に失敗したらしいな」
男「うーむ、まったく意味がわからない」
女「いいから! はやく殺さないと!」
男「そうだな。依頼優先だ」
バキューン
社長「ぐふっ、なん……だと……」
男「やったか」
???「おいおいおい、よくも依頼主をやってくれたな」
男「お前は……! 同業者か!」
殺し屋2「お前が仕事をしくじった時にお前を殺すよう雇われていたのさ」
女「ひぃ、この人も銃を持ってる」
殺し屋2「依頼主は思いがけず殺されたが、殺し屋として仕事はこなす」
男「まずい! しゃがめ!」
女「えっ!」
殺し屋2「死ね!」
バキューン
女「ひいいい」
男「イチかバチかだ」
女「ふえ!?」
男「いくぞ!」
ガシャーン
殺し屋2「ちっ、女を抱えたまま窓ガラスを割って飛び降りやがった
下手したら死ぬぞ……だが逃がすものか!」
男「もうだめかと思った……なんとか受け身をとって助かった」
女「はぁ、はぁ、怖くてもらしそうでした」
男「すぐに追ってくるだろう。移動するぞ!」
女「ひえぇ」
男「そこに止めてある自転車に乗ろう」
女「えぇ、自転車!?」
男「車を盗っているひまはない」
女「二人乗りですか?」
男「俺がこぐほうが速い。はやく乗れ!」
女「とてつもなく速いですね……」
男「筋力がなければ殺し屋はつとまらん」
女「なんだかこうして自転車を二人乗りしていると青春みたいですね」
男「よくわからないな」
女「殺し屋さん、かっこいいですね。好きです」
男「えー?」
女「あっ、聞こえていないならいいです」
男「突然の告白ありがたいが、今はそんな場合じゃない」
女「聞こえてたんですね……ありがたいんですね」
男「とりあえず……ここまでくればいいだろう」
女「山奥まできましたね。自転車もぼろぼろだ」
男「ところで話がある」
女「告白の返事ですか」
男「そんなふざけたことじゃない」
女「ひどい……こっちは本気なのに」
男「あの社長が言っていたことだ」
女「……」
男「俺も勘違いをしていた。あの家に子供は一人しかいないと聞いていたし
名前をきかなくても写真を見なくても、間違えないと思っていた」
女「…………」
男「お前は、あの家の娘……じゃないんだな?」
女「はい。私は……あの家の娘の、友だちです」
男「……昨日聞かせてくれた話に出てきた友だちか?」
女「はい。殺しのターゲットになっていたのは私ではなく私の友だち
つまり、あのお金持ちの家の娘です」
男「いったいどういうことなんだ」
女「私はいじめられていました」
男「そう言っていたな」
女「そんな私をお金持ちの彼女が助けてくれたんです」
男「……」
女「しかし、それが原因で私に会えなくなってしまい、
なんと彼女は親の言いつけで転校をすることになったんです」
男「転校……」
女「彼女からはメールでそのことを伝えられただけでした」
男「……」
女「私は最後に、せめて直接謝ろうと思い、彼女をたずねました
メールで打ち合わせたとおり、親に見つからないように深夜に」
女「彼女は鍵を開けてくれて部屋に招き入れてくれました」
男「ほう……」
女「私は謝り、彼女は私は悪くないと言ってくれました」
男「いい友だちじゃないか」
女「彼女は話の途中、玄関の電気を消し忘れたことに気づいて部屋を出ました」
男「……」
女「あの家は広く、玄関まで行って戻ってくるのにも数分かかるんです」
男「さすが、お金持ち」
女「そんな時、あなたがきました」
女「状況は信じられませんでしたが、殺し屋だと名乗るあなたは
私を彼女と勘違いしているようでした」
男「うん。勘違いしていた」
女「今度は私が、彼女を助けてあげようと思ったんです」
男「……だからあんなにはやく死にたがったのか」
女「ところがなんだかんだあなたは私を殺さなかった」
男「お前が調子をくるわせたからな……」
女「私はあなたを逆に雇うことを思いついた」
男「あとは知っての通りってわけか」
女「彼女を殺そうとしたやつを許せなかった」
男「ちょうど本当のお嬢様が部屋にいない間の出来事ってわけか……」
女「家を出る時が一番神経を使いました
出くわさないように慎重に道を選びましたから」
男「なるほど。そういうことか」
女「すいません。騙していて……」
男「殺し屋に謝ることはないさ。お前がターゲットじゃないなら関係ないことだ」
女「……」
男「それに疲れた……少し眠らせてくれ」
女「えっ!? いいですけど……あ、もう寝てる……」
女(眠ってくれるくらいには私のこと信頼してくれたってことかな)
数時間後
男「起きた」
女「わりとはやいですね」
男「いちおうお前からの依頼は完了した
次は本当のお嬢さんを殺しに行かなきゃいけない」
女「やっぱり……殺すんですか」
男「…………生きて帰れたらな」
女「え?」
殺し屋2「みつけたぞ」
女「くっ、こんなところまで」
殺し屋2「わざわざ崖っぷちにいるなんてなぁ」
男「逃げ場がないな」
女「……私たち死ぬんですかね」
男「ああ。死ぬだろうな」
女「なんでこの殺し屋は私たちを殺すんでしょう」
男「そう依頼されたからだろう」
女「だけど依頼主は死にました」
男「たとえ依頼主が死んでも受けた仕事はこなす
それが殺し屋のポリシーなんだ」
女「だから、あなたは彼女を……あの家の娘を殺すんですか?」
男「ああ。万が一、今を生きて切り抜けられたら殺しに行く」
殺し屋2「ごちゃごちゃうるさいぞ」
男「どうする? またイチかバチかになるんだが、この崖を飛び降りるか」
女「そんな。死にますよ」
男「どのみち殺されるぞ」
女「だけど……あなたがもし死ななかったら、
私の大切な友だちが殺されてしまいます」
男「お前だけ助かる方法なんかあるか?」
女「私自身を殺す依頼は受けていないはずです」
男「ああ、なるほど。殺し屋のポリシーとして依頼以外では殺さない……か」
殺し屋2「くっくっく、これだけ仕事を邪魔されたんだ。二人とも殺すさ」
女「……ですって」
男「クズな殺し屋だな……」
女「殺し屋なんてみんなクズです」
女「やっぱり、飛び降りますか」
男「いいのか?」
女「はい。それしか方法がなさそうです」
男「よし、いくぞ」
女「あ、最後にひとつだけいいですか」
女「告白の返事。教えてくださいよ」
男「そのことなんだが、殺し屋をやっているクズ
特に友だちを殺そうとした俺を好きとか正気の沙汰じゃないぞ」
女「私もよくわからないんですが、これも価値観の違いってやつでしょうか」
男「ふふ、本当に意味がわからない」
女「私のこと好きですか!? 嫌いですか!?」
男「そうだな、冥土の土産に教えてやろう」
女「……いや、やっぱいいです!」
男「なんだまたか」
女「冥土の土産ってそれ死ぬの確定じゃないですか」
男「この崖から飛び降りたら普通死ぬ」
女「そんなのわからないですよ」
男「じゃあもし死んだら、あの世で返事をするさ」
女「多分殺し屋さんは地獄に、私は天国に行くので難しいですね」
男「ずうずうしいやつだな」
殺し屋2「いい加減に殺すぞ」
男「いくぞ!」
女「はいっ!」
殺し屋2「死ね」
バキューン
二人は、崖から飛び降りた。
この高さから落下したら、普通は死ぬだろう。
普通は死ぬが、今回どうだったかはわからない。
もしも生きていたとしたら、殺し屋のポリシーから
やはりお金持ちの娘を殺しに行くのだろう。
女が生きていたならば、好きな男が好きな友だちを殺しに行く状況に
どのような行動をとるのだろうか。
二人が飛び降りた先は誰にもわからないのだ。
~おしまい~
109 : 以下、\... - 2015/01/31 03:02:43.22 beD8Vk3x0.net 84/87中途半端なようだがこれで終わりだ。
読んでくれた人がいたら嬉しい限り。
過去作
女「こんばんはー!」 男「夜の11時だぞ」
http://ayamevip.com/archives/42478382.html
男「金を出せ!」 女「そんなことより誘拐してください!」
http://ayamevip.com/archives/42382573.html
男「あぁ、死にてえ……」 女「死にましょう!」
http://ayamevip.com/archives/42158186.html
111 : 以下、\... - 2015/01/31 03:05:12.43 beD8Vk3x0.net 85/87宣伝
http://namakemono0308.seesaa.net/?1420395645
@kouhuku0308
またスレを立てることがあるかもしれないが
その時はよろしくよろしく。
113 : 以下、\... - 2015/01/31 03:05:46.88 oQ3i6mhp0.net 86/87>>109
この終わり方に決めた理由が聞きたい
117 : 以下、\... - 2015/01/31 03:20:41.50 beD8Vk3x0.net 87/87>>113
作中で価値観がどうこうだとか言っているんですが
別にそういったことを偉そうに伝えたいわけじゃなくて
単純にこんな性格の殺し屋がいたら面白いかなと思って書いただけなので
そこを表現することは自分なりにできたかなと思っています。
それ以降の展開は読み手からしたら、どっちに進む話を望むのか考えたんですが
どちらかの展開を選択した時の「この展開を読みたかった」という気持ちよりは、
望んでいない展開になった時の「この展開は読みたくなかった」が強くなる気がしたんです。
それを考えたうえで、述べた通り一番書きたかった部分を書けたので
ここで話を終わりにさせていただきました。

