男「なんだよ」
女「ゲームしよう」
男「嫌だよ」
女「負けるのが怖いんでしょ?」
男「そうだよ」
女「意気地なし」
男「うっせ」
女「ねぇ」
男「なんだよ」
女「紅茶淹れて」
男「自分で淹れろよ」
女「面倒くさい」
男「お前こそ面倒な奴だな」
女「そういいながらも淹れてくれる優しい君が大好き」
男「そりゃどうも」
女「ねぇ」
男「なんだよ」
女「お菓子とか無いの?」
男「自分で買って来い」
女「やだ」
男「何故」
女「寒いから」
男「俺だって寒い」
女「君が行けば私は寒くない」
男「沸いてんのかてめー」
女「買ってきて」
男「仕方ないな」
女「本当に優しいね」
男「ほっとけ」
女「お夕飯は私が作るね」
男「楽しみにしてるよ」
女「ねぇ」
男「なんだよ」
女「寒い」
男「こたつ入ってるだろうが」
女「君の温もりが欲しいの」
男「……そりゃどうも」
女「来て」
男「ココアいれるから、待ってろ」
女「ん、待つ」
女「ねぇ」
男「なんだよ」
女「今日もバイト行くの?」
男「当然だろ」
女「行かないで」
男「お前を食わせるのも大変なんだぞ」
女「……随分真面目になったんだね」
男「うっせ、お前こそ随分落ちぶれたな」
女「私は君が居れば、それだけでいいから」
男「……しっかり留守番してろよ」
女「……うん」
女「ねぇ」
男「……」
女「ねぇってば」
男「なんだよ……寝かせてくれよ……」
女「隣に、入っていい?」
男「勝手にしてくれ……」
女「……」もぞもぞ
男「……お前、あったかいな……」
女「男もあったかい」
男「……おやすみ」
女「おやすみ」
男「zzz……」
女「……男、大好き」
女「ねぇ」
男「……ん…?」
女「朝」
男「あぁ……了解」
女「朝ごはん作ったから」
男「さんきゅ、んじゃ起きますか……」
女「着替えてきてね」
男「分かってるよ」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「今日は休み?」
男「あぁ」
女「じゃぁ出かけよう」
男「今度な」
女「今日」
男「今日は買出しとかに行かなきゃだから駄目」
女「……まだ食材はある」
男「少ないだろ、また今度遊びに行こう」
女「……うん」
女「ねぇ」
男「なんだよ」
女「ココア飲みたい」
男「牛乳無いから無理」
女「じゃぁ買ってきて」
男「たまにはお前が行け居候」
女「やだ」
男「俺もやだ」
女「飲みたい」
男「買出しに行く時に買ってくるから待ってろよ」
女「待てない」
男「……ったく仕方ないな」
女「ねぇ」
男「そろそろ行ってくる」
女「ん、早く帰ってきて」
男「分かってるよ」
女「待ってるから」
男「あぁ、行ってきます」
女「行ってらっしゃい」
男「ただいま」
女「おかえり、結構買ったね」
男「冷蔵庫には何も無かったからな」
女「そっか」
男「今ココアいれてやるから待ってろ」
女「ん」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「眠い」
男「そうか」
女「一緒に寝よう」
男「何でだよ」
女「寒いから」
男「湯たんぽじゃないんだから……」
女「二人で寝ればあったかいし、もう何度も一緒に寝てるじゃない」
男「そうだけど……俺はまだ寝ないからな」
女「けち」
女「……」
男「おん…ありゃ、寝てやがる」
女「…ん…」
男「ったく、こたつで寝るなと何度言えば分かるのやら」
女「おと、こ……」
男「さて、毛布でも持ってきてやるかな」すたすた
女「すき、だよ……」
女「ねぇ」
男「お、起きたな」
女「毛布かけてくれるくらいなら、布団で一緒に寝てくれてよかったじゃない」
男「運ぶのが面倒だったんだ」
女「なにそれ」
男「人間は重たいぜ?」
女「もういい、ココア」
男「ほらよ」
女「……気が利くじゃない」
男「いい加減分かってきただけだ」
女「……ありがと」
男「おう」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「おなか空いた」
男「すっかりニート生活が板についてきたようで」
女「どうでもいいからご飯」
男「はいはい、今作るよ、ナポリタンでいいよな?」
女「ん、早くね」
男「了解」
女「ねぇ」
男「なんだよ」
女「まだ?」
男「今作ってるよ」
女「おなか空いた」
男「分かった分かった」
女「はやくー」
男「待ってろってば」
女「うー……」
男「ほら、出来たぞ」
女「待ちくたびれた」
男「悪かった悪かった」
女「いただきます」
男「どうぞ召し上がれ」
女 モグモグ
男「美味そうに食べるな、お前は」
女「男の料理は美味しいから」
男「そりゃどうも」
女 モグモグ
男「……」じー
女「……食べてるところ見つめないで」
男「んー……」じー
女「……何?」
男「今夜は和食にしようかな」
女「魚」
男「了解」
女 モグモグ
女「ごちそうさまでした」
男「お粗末さまでした」
女「粗末じゃない」
男「そうか、それはありがとう」
女「ん」
男「ほら、食後のミルクティー」
女「ありがと」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「ミルクティー、美味しい」
男「そりゃよかった、もう一杯いるか?」
女「いいの?」
男「あぁ」
女「じゃぁ、お願い」
男「はいよ」すたすた
男「ほら」
女「ありがと」
男「……」じー
女「……何?」
男 ナデナデ
女「ん、いきなり何?」
男「その割にはうれしそうだな」ナデナデ
女「うん、うれしいから」
男「そうか」ナデナデ
女「うん」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「頭なでられるの、きもちいい」
男「そうか」
女「もっとして」
男「それはやだ」
女「なんで」
男「なんとなく、かな」
女「けち」
女「ねぇ」
男「ミルクティーのお代わりか?」
女「お昼寝」
男「眠いのか?」
女「うん、膝枕」
男「ぐーたらするなよ、あまり」
女「いいの」
男「太るぞ」
女 ピクツ
男「そしたら見捨てるかもな」
女「起きてる」
男「よしよし」ナデナデ
女「んー……」ウットリ
女「ねぇ」
男「どうかしたか?」
女「辛くない?」
男「何が?」
女「……やっぱり何でもない」
男「そうか」
女「うん、ココア」
男「分かった、ちょっと待ってろ」
女「うん」
男「ほら」
女「ん、ありがと」
男「ココア好きだよな、お前」
女「男も好きでしょ?」
男「まぁ、そうだな」
女「男が飲んでるのを見て、好きになった」
男「そうか」
女「ん、美味しいよ」
男「そりゃどうも」
女「ねぇ」
男「なんだ……って寄りかかるなよ」
女「これでよし」
男「何がだよ」
女「私と男の距離」
男「あぁ」
女「零距離」
男「そうか……」
女「うん、私の最適距離」
男「まったく……」ナデナデ
女「んー……」ウットリ
女「すー…すー…」
男「ありゃ、いつの間にか寝てしまったか……」
女「んー……すー…」
男「可愛い奴、無防備に男の前で寝るなよな」
女「おとこ……」
男「たまにはいいか」
女「だい、すきぃ……」
男「……俺もだよ、女」ギュッ
女「ん……」
女「ねぇ」
男「おはよう、もう夕飯出来るよ」
女「いつの間にか夜」
男「ぐっすり眠ってたしな」
女「寒くなかった、一緒に居てくれた」
男「分かるのか」
女「男がぎゅって抱きしめてくれてた」
男「そうか。ほら、今日の夕飯は焼き魚だぞ」
女「魚好き」
男「早く食べようぜ」
女「食べる」
女 モグモグ
男「美味いか?」
女「ん」モグモグ ゴクン
男「どうだ?」
女「男の料理が美味しくない筈がないよ」
男「そりゃよかった」
女「ん」モグモグ
男 ズズズ
女 モグモグ
男「味噌汁うめぇ」
女「魚美味しい」
女「ごちそうさまでした」
男「はい、お粗末さまでした」
女「ねぇ」
男「ココアはちょっと待ってな」
女「そうじゃなくて、お風呂」
男「お風呂?」
女「一緒に入る?」
男「今度な」
女「けち」
女「ねぇ」
男「ほら、ココア」
女「ありがと」
男「で、何で一緒に風呂という考えが生まれた」
女「なんとなく」
男「女の子なんだから、滅多やたらに言うもんじゃないよ」
女「こんなこと男以外に言わない」
男「まぁ、そのうちな、考えておく」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「夜」
男「そうだな」
女「冷え込む」
男「寒いか?」
女「うん、隣いい?」
男「勝手にしろ」
女「勝手にする」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「あったかいね」
男「そうだな」
女「男湯たんぽ、価格は無料」
男「どこの不良品だよ」
女「違う、私専用、私に限り無料」
男「……そうか」
女「うん、私だけの男」
女「ねぇ」
男「ん?」
女「お風呂入れる?」
男「あぁ、多分入れるよ」
女「一緒に入ろう」
男「それはまた今度な」
女「どうして?」
男「色々あるんだよ」
女「よくわかんない」
男「いいから入ってきちゃえよ」
女「うん」
男「……さて、布団の準備するかな」
男「どうせ寝るのは一緒なんだろうからな、女の分は敷かなくても大丈夫か」
男「こんなもんかな」
女「上がった」
男「おう、んじゃ俺も入ってくるよ」
女「ん」
女「布団が一つ、これは当然」
女「どうしてバスタオルが用意されていない」
女「……」
女「用意しておこう」ゴソゴソ
男「上がったぜ」
女「お帰り」
男「ただいま、で、このバスタオルは?」
女「私初めてだし」
男「しないしない、戻して来い」
女「けち」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「あったかい」
男「そりゃ布団かけてるな」
女「やっぱり男は私専用の湯たんぽ」
男「そうか」
女「うん、あったかい」
男「お前もあったかいな」
女「ん」
男「それじゃ寝ようぜ」
女「おやすみのキス」
男「しないよ」
女「どうして?」
男「こうやってくっついてればいいだろ?」
女「男が足りないの」
男「なんだそりゃ」
女「キス、して?」
男「……仕方ないな
チュ……
女「ん……」
男「これでいいか?」
女「ん、おやすみ、男」
男「あぁ、おやすみ、女」
女「ねぇ」
男「ん……?」
女「朝」
男「あぁ、もう朝か……」
女「おなか空いた」
男「分かった、起きるよ」
女「早く作って」
男「分かった分かった、ふぁ~あ」
男「今日の朝ごはんは、納豆だ」
女「納豆」
男「納豆好きだろ?」
女「好き」
男「じゃ、食べようぜ」
女「いただきます」
男「いただきます」
女「ねばねば」
男「そうだな」モグモグ
女「糸を引く、蜘蛛の糸」
男「お前は蜘蛛の糸を食べたいのか?」
女「絶対に嫌」
男「ならちゃっちゃと食べちゃいなさい」
女「うん」モグモグ
女「ごちそうさまでした」
男「ごちそうさま」
女「ねぇ」
男「今日はバイトだぞ」
女「うん、ココア」
男「はいはい、ちょっと待ってろ」
女「早くしてね」
男「了解」
男「ほら」
女「ココア」
男「何か特別な思い入れでもあるのか?」
女「私がここに来たときに出してくれたのが男のココア」
男「そうだっけか?」
女「ココアは私の特別」
男「そうか」
女「男のいれてくれるココアが一番美味しい」
男「そいつはよかった」
女「男、そろそろバイトの時間」
男「ん、そうだな、女はゲームでもしてな」
女「うん、行ってらっしゃい」
男「おう、行ってきます」
リキッドォォォ!! スネェェェク!!!
女「……やっぱり」
女「男がいないとダメ」
女「一人じゃ何をやってもつまらない」
イイセンスダ……
カンセイシツ!エンゴシロ!!
女「ねぇ」
女「……一人は寂しい」
女「早く、帰ってきて、男」
カンセイシツチャントエンゴシロヨォ!!
男「ただいまー」
女「おかえり」ゴキゲンヨウ サイゴノレイヴン
男「やってるなぁ」
女「うん」メインシステム セントウモードキドウシマス
男「うぇ、両手ブレードだけで……」
女「慣れれば簡単」
男「そんなもんかねぇ……」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「バイト、楽しい?」
男「そこそこかな」
女「そう、ココアが飲みたい」
男「お前も少しは働くことを考えたらどうだ?」
女「夜のお勤めなら」
男「それはいいよ」
女「ねぇ」イッツミッソー!
男「なんだ?」
女「対戦しない?」グリフィス2! グリフィス3!
男「嫌だってば」
女「どうして?」
男「勝てないもん」
女「男には勝てなくても戦わなきゃいけないときがある」
男「それが今この時、とでも?」
女「そう」
男「遠慮しとくよ」
女「へタレ」
女「ねぇ」
男「何だ?」
女「男は頑張ってる」
男「そうだな」
女「私は家で一日中ぐーたら」
男「そろそろ働いてくれるとうれしいよ、俺は」
女「いっそ二人でぐーたら」
男「どうやって生活するんだ、ほらカレーできたからゲーム片付けろ」
女「ん、うん」
女「ねぇ」
男「ん?」モグモグ
女「男が居ない間は寂しい」
男「ん、それは仕方ないだろ、我慢しなさい」
女「お風呂」
男「そこでどうして風呂に」
女「一緒に入ろう」
男「却下」
女「けち」モグモグ
女「ごちそうさまでした」
男「お粗末さまでした」
女「男の隣は私の特等席」ススス……
男「いきなりどうしたんだ?」
女「ここは私だけしか居ちゃいけないの、他の女は居ちゃダメ」
男「俺の隣に居ようとする奴はよっぽどの物好きだな」
女「そう、だから私は物好きなの」
女「ねぇ」
男「ん?」
女「ほっぺちゅー」チュー
男「いきなりなんだよ」
女「くびちゅー」チュー
男「やめろ、こそばゆい」
女「男は私のもの」
女「私は男のもの」
男「そう宣言するなら働いてほしいかな」
女「やだ」
女「ねぇ」
男「なんだよ」
女「どうして一緒にお風呂入りたくないの?」
男「恥ずかしいし、歯止めが利かなくなるだろ」
女「私はそれでも構わない」
男「俺が構うんだ、とにかくダメ」
女「けちけち、男のけち」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「ミルクティーが飲みたい」
男「ん、ちょっと待ってろよ」
女「男の淹れるミルクティーは美味しい」
男「おだてても何も出ないからな」
女「ミルクティーが出てくればそれでいい」
男「そうか」
女「ついでに男から一緒に入るって言葉が出てくればなおいい」
男「残念だが、その言葉は出そうに無いな」
女「残念、早くミルクティー」
男「はいはい」
女「ねぇ」
男「何?」
女「いつになったら私の初めて奪うの」
男「君実は眠いでしょう、だからさっきからお風呂一緒に入ろうだとか言ってるんでしょう」
女「そんなこと、ない、と思う」
男「眠いならさっさと風呂入ってさっさと寝ろよ」
女「男と一緒に寝るの」
男「分かった分かった」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「お風呂入れる?」
男「多分そろそろ入れるよ」
女「お風呂入ってくる」
男「おう」
男「んじゃさっさと布団の用意しておくかな」
女「生まれ来る~事が罪ならば~」ザー
女「愛し合う、想いも、罪でしょうか~」ザー
女「繋がれた~古の赤い鎖~」キュッ
女「断ち切れないままで~」チャポン
男「何歌ってるんだ、あいつ……」
女「キ~スし~て~ぐっば~い」
女「ありと~あらゆるもの~」
男「リトルグッバイ?」
女「そう」
男「さて、俺も風呂入ってくるかな」
女「早くね」
男「寂しがりやめ」
女「うん、寂しがりやだから、男から少しの時間でも離れたくないの」
男「早めに上がるよ」
女「ん、うん」
男「あー……極楽極楽……」
男「仕事の後の風呂はいいな、やっぱり」
男「っと、早めに上がらないとな、女が怒る」
女「遅い」
男「これでもかなり早く上がったんだが」
女「一分」
男「一分で入って上がれと?」
女「そう」
男「なんつー無茶振りを……」
女「次はもっと早く」
男「善処はする」
女「ん」
女「ねぇ」
男「なんだよ」
女「二人だとやっぱりあったかい」
男「そうだな……ところで女」
女「何?」
男「少ししたいことがあるんだけど、いいか?」
女「うん」
男「んじゃ遠慮なく」チュー
女「な、首に……ん……」
男「満足」
女「……男が、珍しい」
男「かもな、そろそろ寝ようぜ」
女「これで終わり?」
男「あぁ、実を言うと、まだ物足りないんだけどな」
女「……なら最後までしてくれてもいいのに」
男「そんなことすれば明日辛くなるだろ、バイトあるんだぜ?」
女「……じゃぁ、休みの日」
男「機会があれば、な。おやすみ、女」
女「おやすみ、男」
チュ……
男「おい」
女「ん、何……?」
男「朝だぞ、もう朝ごはんできてる」
女「……ねぇ」
男「なんだ?」
女「私は眠い」
男「朝だから起きなきゃダメ」
女「やだ」
男「朝ごはん抜きね」
女「起きる」
男「よろしい」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「美味しい」
男「そいつはよかった」
女「今日もバイト?」
男「あぁ」
女「さぼろう」
男「生活できなくなるぞ」
女「いい」
男「ご飯食べられなくても?」
女「それは困る」
男「だからさぼらないよ」
女「うん」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「時間」
男「ありゃ、もうか」
女「ココア」
男「時間そろそろだから自分で作って飲んでくれ、行ってきます」
女「行ってらっしゃい」
女「……やっぱり、男のココアじゃないと美味しくない」ゴクゴク
女「……」ぼー
女「……んー……」
女「優等生で通っていた私はいつしかニートに」
女「なんでこうなったんだっけ」
女「ねぇ」
男「ん、なんだ?授業終わったのか?」
女「終わった」
男「んじゃ昼飯行きますかね」
女「話は終わってない」
男「ってか、あんた誰?」
女「女、どうして君はいつも寝ている?」
男「真面目に受ける奴も居ないだろ」
女「そうでもない、君が不真面目すぎるだけ」
男「うっせ」
女「もしかして、ついていけない?」
男「……何に?」
女「授業に」
男「……まさか」
女「テスト前くらいなら協力してあげる」スタスタ
男「へいへい」
男友「男ー、メシろうぜー」
女「お待たせ」
女友「どうしたの?」
女「授業態度が不真面目な奴を叱ってきた
女友「よくそんな人間に臆面も無く話しかけられるわね……」
女「お昼」
女友「うん?」
女「ご飯」
女友「あぁ、それじゃ食べようか」
女「うん」
男友「さっきの、もしかして女さん?」
男「知ってるのか?」
男友「男こそ知らないのか?テストの結果って毎回張り出されるだろ?」
男「そういやそうだったな」
男友「その中で毎回一番上に名前があるし、あの容姿だろ?何人の男が玉砕したのやら」
男「ふぅん……まぁいいや、とっとと飯食べようぜ」
男友「ん、そうするか」
女「出会いはこんな感じだったはず」
女「中学二年生、もう五年くらい一緒に居る事になる」
女「……男のココアが飲みたい」
女「ゲームでもしよう」
男「ただいまー」
女「お帰り」ファルコンパーン!!ゼングントツゲキー!!PKファイヤー!!ミキッタ!
男「あー、疲れた」
女「男、ココア」ゲームセット
男「たまには自分でいれろよ」
女「自分でいれても美味しくない、男のがいい」
男「ったく、しょうがない奴だな」
女「そういって苦笑しながらいれてくれる優しい君がたまらなく愛しい」
男「はいはい、ちょっと待ってろよ」
女「やっぱりこの味」
男「普通のココアだ」
女「男が私のためにいれてくれたココア、愛が感じられる味」
男「恥ずかしい事言うなぁ」
女「このココアをいれてくれる君が大好き」
男「そいつはどうも」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「おなか空いた」
男「思ったんだけど、お昼食べてないだろ」
女「動かないからお昼はおなか空かない」
男「さいですか、んじゃ作り始めるかなー」
女「期待してる」
男「たまには作ってくれよなー」
女「気が向いたら」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「まだ?」
男「まだ」
女「遅い」
男「無茶言うなよ、俺だって急いで作ってるんだから」
女「早く作って早く隣に来て」
男「はいはい、ちょっと待ってろ」
男「ほら、出来たぞ」
女「早く隣」
男「分かった分かった」
女「いただきます」
男「召し上がれ」
女 モグモグ
男 モグモグ
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「あーん」ズイッ
男「やめんか恥ずかしい」
女「やめない」
男「……あーん」パクッ モグモグ
女「美味しい?」
男「作ったのは俺なんだけどな」
女「気持ちが大切」モグモグ
女「ごちそうさまでした」
男「お粗末さまでした」
女「ねぇ」
男「ん?」
女「お風呂、入れる?」
男「もうちょい待ってろ、ココアでもいれてやるから」
女「ココア」
男「おう」
女「飲む」
男「なら少し待ってろよ」
女「うん」
男「ほら、ココア」コト
女「ありがと」
男「たまには別の飲み物を飲みたいとか考えないのか?」
女「考えない、男のいれてくれたココアがあれば生きていける」
男「そんなわけないだろうが、それほど気に入ってくれてるってのは嬉しいけどな」
女「うん、大好き」
男「……そうか」ナデナデ
女「んー……」ウットリ
男「そろそろ風呂入れるんじゃないか?」
女「ねぇ」
男「うん?」
女「一緒に入ろう」
男「俺男、お前女、OK?」
女「一緒に入ろう」グイグイ
男「話聞こうぜ」
女「結局一人で入ることになってしまった」ザー
女「どうして一緒に入りたくないんだろう」ザー
女「男はよく分からない」キュッ
女「早く上がろう」チャポン
男「まったく、最近の女の積極さはなんなんだかな」
男「この流れで働いてくれると嬉しいんだけどなー」
女「上がった」
男「おお、んじゃ俺も入ってくるかな」
女「早くね」
男「分かってるよ」
女「分かってるならいい」
男「そうかい」
女「うん」
男「極楽極楽」 チャポン
男「風呂を考えた奴は偉大だ、金一封を送るべきだ」
男「そんな金ないけど」
男「気持ちだけでいいか」
女「遅い」
男「前よりは早くなっただろ?」
女「あまり変わってない」
男「それは悪かったな」
女「早く寝よう」
男「はいはい」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「男の腕の中、あったかい」
男「そうかい」
女「零距離」
男「ほら、もう寝ろ」
女「ん、おやすみ、男」
男「おやすみ、女」
fin
女「ねぇ」
男「ココアか?」
女「牛乳じゃなくて、男の、ココアが」
男「馬鹿言うんじゃありません」
女「じゃぁ普通のココア」
男「はいはい」
女「ねぇ」
男「何だ?」
女「男は私に手を出さない」
男「そうだな」
女「私は男に手を出す」
男「やめなさい」
女「やだ」クビチュー
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「私達、中学生の時に出会った」
男「そうだな」
女「随分、付き合いも長い」
男「あぁ」
女「だから」
男「甘めのミルクティーが飲みたいわけだ」
女「言わなくても分かる君が大好き」
女「ねぇ」
男「なんだ?」
女「私達が出会った頃の事、覚えてる?」
男「あぁ、一応な」
女「五年くらい前?」
男「そうだな、中学生の頃だったわけだし」
女「ねぇ」
男「……女、だっけか?」
女「名前を呼ぶ事を許可した覚えはない、また教えた記憶も無い」
男「手厳しいこって」
女「また遅刻」
男「文句あるか?」
女「別に、気になった」
男「お前には関係ない、得意の勉強でもしていてくれ」
女「言われなくても」
男「……はて、あいつ教えた記憶が無いって言ってたが……」
男友「どうかしたか?」
男「いや、きっとど忘れしていたんだろう」
男友「はぁ?」
女「ねぇ」
女友「何?」
女「私はあいつに名前を教えた記憶が無い」
女友「ど忘れしてたんじゃないの?」
女「嘘、私が忘れるなんてない」
女友「または、女って有名人だからでしょ」
女「ない」
女友「いやあるって」
男(授業だりー、寝ておこう)
女(……また寝てる……)
男「ふぁーあ、ようやく終わった」
女「ねぇ」
男「あ?またお前か、何の用だ」
女「私の名前」
男「女」
女「どこで知った?」
男「自分で名乗ったんじゃないか」
女「そんな筈ない」
男「いや、思い出してみろよ」
女「……そんな筈ない」
男「嘘付け」
女「……しくじった」スタスタ
男「え、おい」
男「なんなんだ」
男友「女さん、なんだって?」
男「名前を教えてないとかどうとか、向こうの勘違いだったみたいだけど」
男友「つーか、何やったんだ?」
男「何が?」
男友「女さんて、話しかけられても端的に会話終わらせるんだよ」
男「まぁ、確かに結構自分勝手っぽい話し方だったな」
男友「それが積極的に話しかけてくるなんて、何かしたのか?」
男「……特別、何かした覚えは無い、と、思う」
男友「どーだかなー」
女「しくじった」
女友「どうかした?」
女「私は既に教えていたらしい」
女友「名前を?」
女「今までの人生最大の汚点」
女友「悲観することでもないと思うけど」
女「女友には分からない」
女友「でも、どうして構うの?」
女「授業態度が不真面目」
女友「そんなことで」
女「視界の隅にちらついて目障り」
女友「それが、恋です」
女「茶化すな」
男「こんな感じだっけ?」
女「そう」
男「あの頃は本当に真面目だったんだよな、お前」
女「だから視界の端で寝てるのが本気で目障りで鬱陶しかった」
男「お前こそ、授業態度云々やかましかったけどな」
女「男が悪い」
男「そいつは悪かった」
女「でも、今こんな状況」
男「そうだな」
女「想定外」
男「片や元優等生と片やさぼり魔がか?」
女「違う、こんな関係が」
男「あー、そうだな、確かにあの時は考えもしなかった」
女「中学はずっと敵だった」
男「接近したのは高校からだったか?」
女「そう」
女「また君」
男「こっちの台詞だ、高校まで同じだとは思わなかった」
女「勉強の妨げにはならないでほしい」
男「なるかばーか」
女「学力で見るなら私が上」
男「うっせ」
男「これはやかましい高校生活になりそうだ」
女「勉強の出来ない高校生活になる」
池面「君可愛いね、中学どこ?」
女「……○○中」
池面「へぇ、ねね、メールアドレス交換しようよ」
女「お断り」
池面「そんなこと言わずにさ」
女「しつこい」
男「……」イラッ
女「なんなの」
池面「友達になりたいんだ」
女「初対面から馴れ馴れしい友達は要らない」
池面「そんなこと言うもんじゃないよ」
男「おい」
池面「え?」
男「女、嫌がってるだろ、その辺にしとけよ」
女「……」
池面「あ、あぁ……ッチ、彼氏持ちかよ……」ボソリ
男「女、大丈夫か?」
女「……ねぇ」
男「なんだ?」
女「君が助けてくれるのは予想外」
男「困ってれば助ける」
女「……君への見方を改める」
男「そりゃどうも、普段どう見られてたのか非常に気になる次第だ」
女「名前」
男「あ?」
女「君の名前」
男「あぁ、男だ」
女「しっかり覚えておく」
男「覚えなくてもいいけどな」
女「そう」
女「ねぇ」
男「女か、何か用か?」
女「部活」
男「部活?来いってか?」
女「違う、無いなら一緒に帰ろう」
男「あー帰宅部だから大丈夫だ」
女「じゃぁ帰ろう」
男「まぁいいけど」
女「また放課後」
男「あぁ……」
男「どういう心境の変化だ?」
キーンコーンカーンコーン
女「ねぇ」
男「ん、じゃぁ帰るか」
女「帰る」
男「どういう心境の変化だ?」
女「何が?」
男「一緒に帰ろうとか言うの」
女「言ったはず、男の見方を改めた」
男「他に友達居るだろに」
女「文句ある?」
男「別にないけど」
女「ならいい」
男(相変わらず素っ気無いな、こいつ)
女「ねぇ」
男「なんだよ」
女「少しは真面目に勉強する」
男「またそれかよ、別にいいだろ」
女「もうすぐテスト」
男「……そうだっけ?」
女「大丈夫?」
男「……今から勉強すれば大丈夫だろ」
女「分からないところがあったら教えるから」
男「そりゃありがたいな」
女「遠慮はいらない」
男「是非ともそうさせてもらうかな」
女「うん」
男「この頃から一緒に居たんだっけか」
女「うん、勉強教えるためにこの部屋に来た」
男「そうだったな、そういえば」
女「冬、寒い中来た私に出してくれたのがココア」
男「まぁ、身体冷え切ってるだろうと思ってな」
女「そういう気配りが出来るところが大好き」
男「はいはい、ココア飲むか?」
女「飲む」
男「ほら」
女「ん、ありがと」
男「俺達が付き合ったのは、やっぱり勉強の時だっけ?」
女「そう、ココアは美味しいし、男は優しい、だからいつの間にか好きになってた」
男「優しさにつけこんでニート生活かおい」
女「本当は男のところにお嫁に就職するつもりだった」
男「うそくせー」
女「これは本当」
先生「女、お前は頭いいんだから、いい大学に出ないか?」
女「いいえ、嫁になりたいと思っています」
先生「……嫁?」
女「はい」
後日
女父「お前、高校卒業後は嫁になりたいとか」
女「うん、好きな人が居る」
女父「せっかく勉強してきたんだ、もっと上のレベルを目指そうと思わないのか?」
女「うん、自分勝手かもしれない」
女父「父さんは許さないぞ、第一紹介されてもらってもいない」
女「紹介したら許してくれる?高校卒業したばかりで結婚なんてダメって言う」
女父「それはそうだ、相手は同級生なんだろう?高校卒業したばかりでは生活も安定しないだろう」
女「分かってる、男にも迷惑かけることくらい」
女父「ならどうしてだ」
女「私のわがまま、男と離れたくないっていう私のわがまま」
女父「……勝手にしろ、父さんはもう知らん」
女「うん、親不孝でごめんなさい」
女父「謝るな、お前が立派になって父さんは嬉しい」
女「……ありがとう、お父さん」
女父「……あぁ」
女「それで結婚しようって言ったら『ごめん、俺が就職出来るまで入籍は待たないか』って言った」
男「あー言ったような気がする」
女「だから私は『お嫁』に就職できず、今に至る」
男「あー、悪かった、俺もバイトしながら就職活動はしてるんだけどさ、なかなかな」
女「だから私は、もうしばらくニート生活を楽しむことにする、ココア」
男「いつか俺の嫁に就職させてやるからな、それじゃ待ってろ」
女「男、愛してる」
男「あぁ、愛してるよ、女」
Fin.
247 : 以下、名... - 2009/12/29(火) 20:43:33.72 5kkE2/bX0 111/111過去から現在へ繋がる後半
つまり女がニートになったのは、男のせいでお嫁に就職し損ねたからなんだよ!!