これはとある鎮守府のとある提督と、とある艦娘のお話。
一見のんびり、一見のほほん、そんな提督と艦娘のお話。
-執務室-
提督「暇っすね」
榛名「いいえ、忙しいですよ?」
提督「そうかなー、最近は平和だし、艦娘達も和気藹々で楽しそうだし、の~んびりとしててい~んでない?」
榛名「それは仕事を終わらせた提督のお言葉ですよ?」
提督「つまりなんだね、榛名くんは俺が仕事を放棄していると?」
榛名「ものすご~く、放棄してらっしゃいます」
提督「そうはいってもなぁ、俺もまだここに着て間もないし、いきなり出動任務がくるわけもなく…」
榛名「もう、だからといって怠けていい理由にはなりません!そういうの、榛名は許しません!」
提督「榛名ってなんか世話焼き女房みたいでいいよね」
榛名「な、なっ……!変なこといきなり言わないで下さいっ!///」
提督「あ、照れた?照れたね、今!」ニヤニヤ
榛名「知りません!榛名は演習にいってきます!」プンスカ
ガチャ バタンッ!
提督「俺の秘書艦は愛い奴よの~っと…」
元スレ
【艦これ】提督「暇っすね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404046254/
コンコン…
提督「はいよ~。誰だい?」
???「提督?入っても宜しいですか?」
提督「いいよいいよー、盛大にどうぞー」
???「で、では…失礼します」
ガチャ…
赤城「あ、提督。一航戦赤城、本日付でこちらの鎮守府へ着任致しました」
提督「んお?あれ、榛名からなんも聞いてねぇぞ」
赤城「え、はい?」
提督「あぁ、秘書艦に新着の艦娘の情報とか管理してもらってんだ。朝のスケジュール報告には今日付けで着任する艦娘は居なかったと思うんだけどなー」
赤城「そ、そうだったんですか?ど、どうしましょう」シュン…
提督「まぁまぁ、待て待て。えーっと、確かここに夕張から貰った謎の装置がっと…」
赤城「あ、あのー…?」
提督「お、あったあった! えーっと、ここのスイッチをオンにして…ゴホン!あー、こちら提督、こちら提督である。暇を持て余す第一艦隊の艦娘諸君は至急、提督の居る執務室までくるように、以上!」
赤城「い、今のは何なのでしょう?」
提督「おう、なんかうちの夕張ってのが作ってくれた機械でな、ほら、よく警報とかでサイレン鳴ったりして周りに注意喚起したりする装置あるだろう?」
赤城「はい、ありますね。警報装置ですよね?」
提督「そーそー。それの原理を流用して夕張がいつでも私達を呼べるようにって作ってくれた拡張スピーカーってやつなんだと。おっと、話が少し脱線したか。とにかく、お前が着任してくるのを榛名が報告漏らしただけかもしれんので、その確認も含めてな。ついでに着任するならするで、正規空母のお前には第一艦隊へ着任してもらおうと考えてるからついでにメンバーの紹介ってワケだ」
コンコン…
???「てーとくー?よーんだー?」
提督「おう、呼んだぞ。入れ」
ガチャ…
???「しつれーしまーっす。チーッス、提督!」
提督「あのな、鈴谷…そのチーッスってのやめろ」
鈴谷「んな硬いこと言わずにさぁ、気楽にいこうよ!」
提督「はぁ、ったく…で、他のメンバーはどうした?」
鈴谷「んー、榛名は演習場でなんか暴れてたけど、放送聴いてもう直でくると思うよー?ってゆーかー、いつになったらうちら出撃すんのー?」
提督「ええい、少しは黙れ。この今時娘! 新しい艦娘もいるってのに!」
赤城「ど、どうも…」
鈴谷「おぉ? 正規空母の人じゃん!」
赤城「赤城と申します」ペコリ
鈴谷「鈴谷でーっす! よろしくっ!」☆(ゝω・)v
コンコン…ガチャ…
榛名「遅れました。何か御用ですか、提督?」
提督「おう、榛名。お前、今日新着する艦娘が居るって報告怠ってなかったか?」
榛名「ふぇ?あ、あれ? えーっと…あっ……」ガンメンソウハクー
提督「はぁー、ったく…赤城が迷わずこれたからいいようなものの…他の鎮守府にでもいこうもんなら、他の提督からいい笑い者だぞ」
榛名「ご、ごめんなさい!」
コンコン…
???「提督、陸奥です。他の第一艦隊も随伴してます」
提督「おう、入れ入れ」
陸奥「では、失礼します」
ガチャ…
陸奥「失礼します。何かご用命ですか、提督」
飛鷹「やっと出撃の命令なの?」
衣笠「はーい、衣笠さんの登場っと!」
提督「おう、皆集まってもらって悪いな。今日は第一艦隊が出撃日じゃなくてある意味行幸だったな」
榛名「……」シュン
提督「今日から第一艦隊に随伴する事になる一航戦の赤城だ。今まで制空権や偵察時、飛鷹や鈴谷だけで大変なところも多かっただろうが、これからは赤城も加わって上空での争いにも一回り強くなれるってワケだ」
赤城「あの、皆様宜しくお願い致します」
飛鷹「ふぅん、正規空母か。私は飛鷹。軽空母よ。ま、私の邪魔だけはしないでよね」
陸奥「長門型戦艦二番艦の陸奥よ。よろしく」
衣笠「青葉型重巡、衣笠さんです、宜しくね!」
榛名「あ、えっと…この鎮守府で秘書艦を勤めてます、高速戦艦、榛名です」
赤城「皆様、改めて宜しくお願い致します」
提督「よし、そんじゃま、榛名以外の全員で親交深める意味も含めて鎮守府の中案内してやってくれ」
飛鷹「はぁ? 出撃命令じゃないの!?」
提督「そう毎度毎度敵さんも攻めてきやしないよ。まぁ頼んだぞ」
陸奥「解りました。ではいきましょう、赤城さん」
赤城「あ、はい」
ガチャ…バタン…
榛名「本当にすみません」ペコリ
提督「まぁそう気を落とすな。そんなんで一々謝ってたら俺なんて5秒置きに謝ってるぞ?」ニッコリ
榛名「もう、提督ったら…」
提督「お前は頑張ってるんだからたまには失敗していーんだよ」アタマナデナデ
榛名「榛名、か、感激です///」ナデラレー
提督「さて、榛名のご機嫌も治った所でテレビテレビっと…」ピッ
榛名「あ、てーとくっ!」
テレビ『……こちらは戦場レポーターの青葉ですっ!』
提督「この青葉って子、かわいいよなー」
榛名「もう、てーとくったら…」
テレビ『今日は日々、深海棲艦と死闘を繰り広げる戦場の華、艦娘さんをドドッとご紹介です!あぁ、私も艦娘なんですけどね!』
提督「まじで!?」
テレビ『今日はこちらの鎮守府!では、早速取材交渉へ移ります!』
提督「あれ、この鎮守府なんかどっかで見たなぁ」
ピンポーン♪
提督「んあ、なんだこんな時間に。榛名、頼むわ」
榛名「あ、はい」タッタッタ…
-玄関-
榛名「はい、どちら様でしょ……」
青葉「あっ!どもー、青葉です!」
榛名「へ?」
-執務室-
テレビ『あっ!どもー、青葉です!』
テレビ『へ?』ハルナデス!
提督「ぶ……っ!な、榛名?え、何やってんのあいつ!?え、っていうかテレビ!!?」
-玄関-
青葉「突撃!隣の鎮守府さんです!」
榛名「えっと、あの、なんでしょう?」
青葉「はい!今回は鎮守府で頑張る艦娘さんにスポットを当ててましてですね。実はこちらの鎮守府に青葉の妹も勤めていたと記憶してましたので、出来れば取材させていただこうかと!」
榛名「えっと、ですが、上層部からは何も通達などは…」
青葉「あ、本部からはちゃんと取材許可貰ってます!」キョカショウ
榛名「確かに、この紋章は海軍のものですね」
青葉「あとはその鎮守府を纏めてらっしゃる提督さんの許可を貰えれば部分的になら撮影してもいいと!」
-執務室-
提督「おいおい、マジかよ。ここじゃん。てか、本部何勝手に取材許可とかしてんだよ、おい!なんも聞いてないっての!」
ドタタタタッ ガチャッ バンッ!
榛名「てててて、てーとく!」
提督「おおおお、おち、おち、おちちゅけ、はりゅな!」
榛名「てーとくが落ち着いて下さい!」
-何だかんだで取材許可が下りる-
青葉「いやー、今日着任した艦娘さんもいらっしゃったとは!青葉、ラッキーです!」
提督「え、あ、はい。ども、はい。自分が、提督です!」カチコチ
衣笠「青葉ったら…」
鈴谷「えー、なになに、テレビじゃん! うわ、すっごー!」
飛鷹「もう、何なのよ!こっちは艦載機の整備とかで忙しいのに!」
陸奥「飛鷹さん、こういう機会は滅多にないし、いいんじゃない?夕張さんが居たら狂喜乱舞してるわよ。今日が遠征日だったこと、帰ってきてから悔やむでしょうね」
赤城「ここはとても賑やかですね」ニコニコ
榛名「あはは、まぁ…提督があんなですから」
青葉「おぉっと、貴女は赤城さんでは!?」
赤城「」ビクッ
青葉「赤城さんには確か妹さんがいるとか!?」
赤城「え?あ、はい。加賀さんが居ますね」
青葉「青葉、ここへ来る前の鎮守府で見ちゃいました!赤城姉さん、一人で大丈夫かしらってボヤいてました!」
赤城「えぇ!?も、もう加賀さんったら…」
-提督独占インタビュー-
青葉「さて、それではこちらの鎮守府を纏めていらっしゃる提督さんに色々と聞いちゃいましょー!」
提督「お、お手柔らかに…」
青葉「提督さんはこちらへ赴任されてどれくらいになるんでしょうか?」
提督「昇進と同時だったから、まだ赴任してから半年くらいかな?」
青葉「以前まで勤めてた鎮守府とこちらでは規模はどれくらい違うんでしょうか?」
提督「以前居た場所は建造ドッグとか二箇所しかなかったけど、こっちは入渠ドッグが四箇所もあって驚きましたね。艦娘の人数も多くて、ここからほど近い所に艦娘寮が二棟もあるくらいですから」
青葉「おぉ、それはすごいですね!あ、因みに提督さんが今一番気になる艦娘とかはいらっしゃるんですか?」
提督「ぶっ!は!?え、何!?」
青葉「凄まじいうろたえっぷりに青葉の取材魂に火が着きそうです!」
提督「て、提督たる者、一時の感情に任せて特定の艦娘にのみに好意を寄せることはあってはならないと…」
10 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2014/06/30 00:49:57.08 cbXHeLygO 7/15赤城と加賀は姉妹艦じゃないんだがその辺はオリ設定なんだろうか
12 : ◆vgbPh/qA6.0z - 2014/06/30 01:42:47.93 DPvw+bwCo 8/15>>10
凄まじい勘違いでした。
仲良しの描写というかが多かったので、姉妹艦と勘違いしてました。
後付ですがオリジナルの設定ということでご容赦を
-控え室-
鈴谷「あっは、提督マジウケるんですけど!めっちゃカチコチじゃん!」
飛鷹「ふん、ばっかみたい。どうせ私達なんて道具にしか思ってないくせに」
鈴谷「えー、私は今の提督そんな感じには見えないけどなー?」
飛鷹「言ってれば?どーせすぐに化けの皮剥がれるわよ」
陸奥「はぁ、相変わらず辛辣ね」
榛名「……」シュン
赤城「榛名さん、どうかなさいましたか?」
榛名「えっ、あ、いえ、榛名は大丈夫です!」
陸奥「……ふぅ」ヤレヤレ
衣笠「…相変わらず青葉は青葉だったわ」ゲンナリ
-提督独占インタビュー-
青葉「いやー、提督さんって生真面目さんなんですね!」
提督「え、いや、そうでもない、というかなんと言うか…ただ、艦娘の皆には俺は全幅の信頼を置いているだけです。頑張れば褒めるし、褒めれば喜ぶ。各地を治める鎮守府の提督の中には、確かに良い評判を聞かない所があるのも事実です。それによって艦娘達が悲しい想いをする、と言うのは俺にとっては許せないだけというか…と、とにかく、俺がここに着任している限り、ここに居る艦娘達にはそういう悲しい想いをさせない、して欲しくないってのが持論です」
青葉「……あ、青葉、感激しました!艦娘のことをここまで気にかけている提督さんがいらっしゃるとは…」
-艦娘インタビュー-
Q.提督のことをどう思う?
陸奥「提督のこと、ですか?いい方だと思います。他意はありません。私達の体調管理から輪の調和に至るまでをきっちりフォローして下さる方です。まぁ、時折見せるサボり癖を直せば二重丸、と言った所でしょうか」
衣笠「ちょ、青葉私まで!?もう、前の提督は厳しくて正直やりにくいって思ってたけど、今の提督はそういう負い目とか気負いとか別にしなくていいし、いいかなーって思うけど?え?好きになっちゃって…青葉、あんたねぇ!いい加減にしないとぉ……!」ドタドタバタバタ
飛鷹「提督をどう思うかって?別に、司令塔がいないんじゃ流石に私達だってただの烏合の衆でしょ。そういう意味じゃ別に居てもいいんじゃないの?さっきのインタビューじゃなんか、ちょっとえらそーな事いってたけどさ…べ、別に私は好きとか嫌いとかどうでもいいけど、他の子は結構好意持ってんじゃないの!」
鈴谷「チーッス、鈴谷でーす!え、提督?あはは、ちょー大好き!面白いしー、鈴谷とかとご飯一緒してくれたりするしー、なんかあーいう人って憎めないよねー。マジウケるんですけど!」
赤城「あ、どうも、一航戦の赤城です。加賀さん、みてるかしら?え?ビデオレターじゃない?あ、ごめんなさい。えっと…提督ですか?正直、今日着任したばかりなので人となりと言うのは解りませんが、ここの鎮守府の雰囲気から見ると、とてもよい方なのだろうと思いました」
榛名「提督は私達艦娘のことを良く考えて下さる人です。秘書艦を勤めてまだ半年ですが、提督のお心配りは随所で見させてもらってます。ま、まぁ…時々不真面目な所もあるので、それさえなくなってくれればとは思ってますけど…あ、でも本当に良い人です!榛名は心から信頼を寄せてます!」
-玄関前-
青葉「…と、言うことで!こちらの鎮守府では艦娘さんたち、とても充実しているようです!他にもまだ沢山の艦娘さんがいらっしゃるみたいですが、今日は休養日の方とか遠征で出払ってる方が多いみたいでお話を聞ける機会はありませんでしたが、主力である第一艦隊の皆様の声、確かに青葉受け取りました!それではテレビの前の皆様、また次回、お会いしましょう!戦場レポーターの青葉でした!」
-執務室-
提督「だぁー、もうマジ疲れた。なんだってんだ、いきなり…」
榛名「提督、お疲れ様です」
提督「おー、榛名もご苦労さん」
榛名「……」
提督「ん、どうした、榛名?」
榛名「あ、いえ、なんでもありません!あ、えっと、何か飲み物、お作りますね!」
コンコン…
榛名「あ、はい?」
陸奥「陸奥です。提督は居ますか?」
榛名「いらっしゃいます。どうぞ、お入り下さい」
ガチャ
陸奥「失礼します。提督、少しお話があります。お付き合い願いますか?」
提督「ん、なんだ藪から棒に。ここでじゃダメなのか」
陸奥「はい。演習場に居りますので、そちらでお願いします。では、先に向かってます」
ガチャ パタン
提督「なんだありゃ」
榛名「さぁ…?」
提督「まぁしゃーない、悩みがあんなら聞かなきゃならないしな。榛名、俺いつもの珈琲な。用意宜しく!」
榛名「は、はい…」
-演習場-
提督「おーい、陸奥ー?」
陸奥「呼び出してしまい申し訳ありません」
提督「いやー、気にすんない。そんで、話ってのはなんだ?言っとくがな、陸奥からの突然の告白とかでもない限り、俺は動じないぞ!」
陸奥「インタビューには随分と動じていたようですが?」
提督「ぐぬぬ」
陸奥「はぁ、非常にどちらも鈍感の極みをいってるので、僭越ながら口出しをさせてもらおうかと思いまして」
提督「はい?」
陸奥「提督が私達艦娘に好意を持って接してくださってるのは理解しています」
提督「な、何急に改まってんだよ」
陸奥「先日、姉の長門から連絡を貰いました。内容は長門姉さんが着任している提督と契りを交わす、というものでした」
提督「……」
陸奥「提督は仰ってましたよね。私達は頑張れば褒めるし、褒めれば喜ぶ。同じように、憂う気持ち、届きそうで届かない気持ち、というのもあるものです。提督がこの鎮守府に着任して、ここで職務を行ってた期間というのはそこまで重要でしょうか?着任して日が浅いから、というのは逃げ口上です。直向に頑張るあの子を、いつでも明るく、弱音も吐かないあの子を、貴方に全幅の信頼と愛を以って接するあの子に、いい加減に応えてあげるべきと、私は思います。悲しい思いをして欲しくない、させないのが提督の持論でしょう?宣言直後にその誓約を反故にするのは如何なものかと思います。出すぎた真似、生意気な発言の数々、不愉快な思いをさせた事と思いますが、私の言い分は以上です。提督に対する暴言と反発行為に変わりはありませんので、謹んで懲罰は受けます」
提督「はは、参ったな。いや、陸奥の言うとおりだ。飄々と言い逃れでもしようかと思った自分が恥ずかしい」
陸奥「榛名は、貴方の秘書艦である前に私達の仲間です。仲間を泣かせる者を私は許さない」
提督「ああ、そうだな。俺も許さない。悪かったよ。いってくる」
陸奥「はい、よき采配を期待してます」
提督「う、うっせー。一言余計なんだよ!」プンスカ
陸奥「ふふっ」
-執務室-
ガチャ…
榛名「あ、提督。お帰りなさい!陸奥さんはなんだったんでしょう?」
提督「ん、ああ、ちょっとな。なぁ榛名、前の提督って確かクビになったんだよな」
榛名「え?あ、はい…」
提督「うん、いや…言わなくていい。お前達がどんだけヒドイ目に遭ったのかは、本部で話を聞いて知ってるからな。だから俺はお前達に悲しい想いをさせまいと、普段から接してきたつもりだ。最初にお前に会ったときの俺を見るお前の目は今でも忘れられない。陸奥に至っては完全に喧嘩腰、飛鷹なんて声をかけただけでビンタしてきたしなぁ。はは、唯一最初に懐いてきたのは鈴谷だったかな。最も、そうなるまでに散々嫌がらせされたけどな。夕張と結託して新兵装の実験台にされたこともあった」
榛名「え、そ、そんな事あったんですか?」
提督「あったあった。ま、なんだ…中でも俺としてはな、お前なんだよ、榛名」
榛名「え?」
提督「怯えてる奴の目って言うのは、瞳の中に本当に闇を孕んでるもんなんだ。それは転じて狂気にも変わるし悲しみを膨らませて悲哀を帯びる事もある。お前の目は後者だった。お前を笑わせること、それが俺の最初の任務って勝手に思ってたよ。秘書艦になってから半年、先月くらいか?やっとお前が笑ってくれた。正直内心ガッツポーズで小躍り状態だったよ」
榛名「な、なんですか急に、そんな前のこと…」
提督「ははっ、それだけお前は俺にとって特別って事だ」
榛名「え、特別って…そんな評価、榛名にはもったいないです」
提督「いっつもそれだ。当然のことをしたまでです。特別な評価なんて…榛名には、もったいないです。って、いっつもお前は遠慮ばかりしてたな。大丈夫か?疲れてないか?って聞けばお前は必ず元気よく、はい、榛名は大丈夫です!って言ってた。正直心配で気が気じゃなかったよ」
榛名「……///」カオマッカ
提督「今はもう、そんなわだかまりなんてないだろ?だから、もっと俺を頼れ、甘えろ、我が侭くらい言え」
榛名「提督は、優しいのですね」
提督「あぁ、そうだぞ。今更気付いたのか?」エッヘン
榛名「でも、いいのでしょうか…」
提督「何がよ」
榛名「えっと、その…榛名にまで気を遣っていただいて…」
提督「言っとくけどな、誰でも良いわけじゃないぞ?お前だからだよ、榛名」
榛名「え?」キョトン
提督「まぁ、なんだ…ずっと傍に居てくれ。お前の笑顔がなくなるのはいやなんだ」ダキヨセ
榛名「ぁ……はぃ、榛名、感激です…!///」ヨセラレ
-月日は経って-
提督「あ~、暇っすねぇ」
榛名「いいえ、忙しいですよ?」
提督「そうかなー。いや、確かに先月はオリョール攻略に沖ノ島の深海棲艦の主力艦隊撃滅とそりゃもう大忙しで、猫の手も借りたい勢いだったが、海を見てみろ。穏やかじゃあないか~」
榛名「時化ってます」
提督「ほ、ほら、やっぱ時としてね、休養も大事だと思うし」
榛名「さっきお昼食べましたよね?」
提督「あー、そうだー、今日は北の鎮守府の提督と今後についての話し合いがあったんだー」ボウヨミ
榛名「提督」
提督「え、あ、はい?」
榛名「勝手は…」チャキッ
提督「ちょ、おま、主砲の砲口をこっちに向けるな!」
榛名「榛名が…」グッ
提督「おおおお、おい、榛名!お、おお、おちちゅけ!」
榛名「許しません!」
提督「ひぃぃぃぃ!」
これはとある鎮守府のとある提督と、とある艦娘のお話。
いつもと変わらない風景に違いを探すなら、二人の左手薬指にそれぞれ輝いてるシルバーリング。
まだ見ぬ提督たちと艦娘たちの未来に、数多の幸あれ。
23 : ◆vgbPh/qA6.0z - 2014/06/30 20:04:35.28 LvRFLswzo 15/15短いですが、以上でこの話は終わりになります。
こんなSSを見て下さった方、本当にありがとうございます。
暇を見つつ、また投稿するかもしれませんが、その際は生暖かく見て頂ければ幸いです。