現実世界 キモオタの住む町 キモオタの部屋
ガチャ
ティンカーベル「ただいまー!うぅー、寒い寒いー!」
キモオタ「外は冷えますなwww暖冬とはなんだったのかwww」コポォ
ティンカーベル「うぅー、こたつこたつ!スイッチオン!」カチッ
キモオタ「ティンカーベル殿wwwエアコンもつけていただきたいwww」
ティンカーベル「おっけー」ピッ
キモオタ「この暖かくなった部屋でキンキンに冷えたコーラとハンバーガーwww至福すぎワロタwww」ガサガサ
ティンカーベル「でもマックのポテトあんまり食べられなくなって残念だよね」
キモオタ「まったくですなwwwしかし我輩マック派故wwwモスやロッテリアに浮気できないのでござるwww」コポォ
ティンカーベル「さて、じゃあ作戦会議!始めるよ、キモオタ!」
キモオタ「了解ですぞwww」
元スレ
キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」四冊目
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1419508000/
3 : ◆oBwZbn5S8kKC - 2014/12/25 20:48:53 IZ3 2/185過去スレ
シンデレラ編 裸の王様編
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
http://ayamevip.com/archives/41175294.html
泣いた赤鬼編
キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」二冊目
http://ayamevip.com/archives/41665217.html
マッチ売りの少女編
キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」三冊目
http://ayamevip.com/archives/41951714.html
これまでのあらすじ
キモオタは現実世界に住む気持ち悪いオタクだよ!
ある日突然、妖精のティンカーベルと出会ったよ!
おとぎ話の消滅を防ぐためにいろんなおとぎ話の世界を旅してるよ!
ティンカーベル「キモオタ、ピクルスいらない。食べて」ヒョイ
キモオタ「好き嫌いはよろしくないですなwwwいただくでござるがwww」
ティンカーベル「苦手だから仕方ないじゃん!ほら、作戦会議に戻ろう!」
キモオタ「ですなwwwまず・・・次に行くおとぎ話は・・・」
ティンカーベル「【桃太郎】だよね!」
キモオタ「そうですぞ!赤ずきん殿と赤鬼殿がこの世界に行っているんでしたな。・・・何故二人はこの世界にいるのですかな?www我輩、忘れてしまいましたぞwww」
ティンカーベル「もぉ!赤ずきん達は『一連の事件に関連を持っているだろう一寸法師の鬼が、桃太郎の世界の鬼ヶ島を目指している』という情報を得たからだったじゃん!」
キモオタ「そうでしたなwww」
ティンカーベル「私達は一つ前のおとぎ話で黒幕の情報を得たわけだけど、まだまだわからないことも多いからね・・・頑張らないとね!」
ティンカーベル「とりあえず、私達は【桃太郎】の世界へこれから行って、赤ずきん達と合流するんだね」
キモオタ「赤ずきん殿の話によると、どうやら猛獣騒ぎが起きているとか・・・故に【桃太郎】のおとぎ話が消えそうなのかそうでないのかの判別をティンカーベル殿にしていただきたいのでという事のようですなwww」
ティンカーベル「猛獣騒ぎかぁ・・・鬼じゃないんだよね?」
キモオタ「鬼は猛獣カテゴリには入りませんからなwwwそれに鬼ならばわざわざ連絡をしてこないでござろうしwww」
ティンカーベル「元々お話に鬼が出てくるわけだもんね・・・猛獣猛獣・・・普通に考えたら、よそから来たのかなって思うね。あの黒幕の女の子の仲間かも」
キモオタ「断定はできないものの怪しさは十分ですな・・・それを見分けるためにも行ってみないことにはwww」
ティンカーベル「そうだね!でもさでもさ、黒幕のこともだけどさ・・・私達には課題がある訳じゃん」
キモオタ「戦闘の件ですな・・・」
ティンカーベル「あのブリキとかいう黒幕の仲間にいわれたじゃん。私達には戦う手段がないーってさ」
キモオタ「そうでしたな・・・」
──ブリキ「お前達は戦闘が出来ない。故に戦術や心理戦の入り込む余地のない純然たる戦闘力の前には屈するしかない。それがお前達の弱点だ」
キモオタ「確かに我輩もティンカーベルも戦う術を持っていないでござるからな・・・それについても赤ずきん殿に相談してみるでござる」
ティンカーベル「赤ずきんも今はマスケット使ってるけど、なんでかも聞きたいね」
キモオタ「そうですな、どちらにしろ我輩もティンカーベル殿も・・・」
キモオタ「今のままではいけないでござる。この先黒幕と対峙することになるやもしれませんからな!」
ティンカーベル「うん、このままじゃだめだ。もっと強くならないとねっ!キモオタ!」
キモオタ「その通りですぞwwwそうしなければマッチ売り殿との約束も果たせませんからなwww」
ティンカーベル「キモオタには新しい目標ができたってわけだね!尚更頑張らないとね!」
キモオタ「そうですなwww我輩、これからはひと味違いますからなwwwんんwww早速、桃太郎のお話をググっておきますかなwww」カタカタッターン!
ティンカーベル「お、えらいよキモオタ!ちゃんと調べないとまた前回みたいになるもんね!」
キモオタ「ちょwwwちょっとトラウマなんでござるからwwwやめていただきたいwww今後はなるべく調べてからいくのでwww」
ティンカーベル「でもでも、【桃太郎】って日本のおとぎ話でしょ?キモオタ、調べないとわかんない?」
キモオタ「そうですなぁ・・・恥ずかしながらわかりませんな・・・記憶に残っているおとぎ話はお婆ちゃんに読んでいただいたシンデレラ・・・それくらいですからなー」
ティンカーベル「まぁ仕方ないのかも・・・お伽話自体があまり読まれなくなってるわけだし・・・って、分かったの?【桃太郎】のおはなし!」
キモオタ「んんwwwヒットしましたぞwwwどれどれwww」
・・・
・・・
キモオタ「久しぶりのあらすじコーナーですなwww例によって【桃太郎】のおとぎ話を知っているお主等は読み飛ばしても構いませんぞwww」
ティンカーベル「クリスマスなのに付き合ってくれてありがとね!」
キモオタ「ティンカーベル殿もメタ発言が板に付きましたなwwwじゃあ桃太郎のおとぎ話のあらすじを読みますかなwww」コポォ
・・・
桃太郎
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました
おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯へ行きました
おばあさんが洗濯をしていると上流から大きな桃が流れてきました。おばあさんはそれを持ち帰り、食べてみることにしました。
すると桃の中から赤ん坊が生まれました!桃から生まれたので桃太郎と名付けられた子供はすくすくと強く育ちました
青年になった桃太郎はある日おじいさんとおばあさんに言いました
町では悪い鬼が大暴れしている。拙者が悪い鬼を退治するため鬼ヶ島へ行きます
二人は止めましたが桃太郎の決心は固かったのです
桃太郎はおばあさんにきびだんごを作ってもらいそれを手に鬼ヶ島を目指します。
道中であった犬、猿、キジの三匹にきびだんごを分けてやり、一緒に鬼退治へいくこととなりました。
鬼ヶ島への道のりは険しいものでした、しかし一行はついに鬼ヶ島へ
悪い鬼を前に桃太郎は獅子奮迅の大活躍!
たちまち悪い鬼を退治して、うばわれた宝物を取り返しました
おかげで町には平和が戻り、多くの人は桃太郎を日本一の英雄だと誉めました
桃太郎はいつまでも幸せに暮らしました
おしまい
・・・
キモオタ「今度は悲しい結末じゃないですなwww」コポォ
ティンカーベル「でも、油断できないよ!黒幕もいってたじゃん、あっちには黒幕の仲間がいるんだよ?」
キモオタ「そういえばそうでしたな・・・我々、まだ戦う手段もえていないというのに・・・」
ティンカーベル「今回は仕方ないよ、赤ずきんと赤鬼に任せて私達はできる事をするしかないよ、ジャム投げたりさ」
キモオタ「でもあれですぞ、なるべく早めに対策をしなければwww赤鬼殿や赤ずきん殿にばかり頼っていてもいけませんからなwww」
ティンカーベル「うん、それはそうだけどさ・・・じゃあ、準備はいいかな?キモオタ!話し合いはこれでいいでしょ!おさらいもできやし、おなかもいっぱいになったし、そろそろ行こうよ!」
キモオタ「そうですなwwwおっと、暖房の電源は切っておかなければwww」カチッ ピッ ガサゴソ
ティンカーベル「じゃあいくよ!準備はいい?」
キモオタ「・・・んんwwwばっちりですぞwww」
ティンカーベル「じゃあ・・・行こう!【桃太郎】の世界へ!」
キィィィィィン
キモオタ「ぶひいいいぃぃぃぃ!!!」
ヒュン
・・・
???「・・・そろそろかもしれないよ」
かかし「んー?突然どうしたのサ?何の話なのかナ?」
???「君達・・・いや、ボク達の親友のあの娘がいってたろう?人間の男と妖精の娘・・・彼等がこの【桃太郎】のお話に来るのがそろそろかなって、思ったんだ」
ライオン「き、キモオタ君とティンカーベルちゃんだっけ・・・ど、どうする?僕達を倒しにきたらどうする?ねぇねぇ?まずくない?まずいよね?まずいよこれ、どうする?ねぇねぇ・・・」
かかし「相変わらずだナ!落ち着けヨ!そんなだから臆病だって言われるんダ!堂々としロ!」
ライオン「だ、だって・・・こないだ来た二人めちゃくちゃ怖いよ!ひとりは鬼だしもう一人の女の子は鉄砲持ってたよ!?鉄砲なんて殺すための装備だよ!?殺されるよ!まずいって、まずいまずい・・・うわあ!死にたくない!」
???「ほら、そんな時はどうするんだった?」
ライオン「うぅ・・・殺されそうなときは、その前に相手を噛み殺す!そうしなきゃまずいよ!でもできるかな?僕にできるかな?ちゃんと、仕事できてる?」
???「安心してもいいんじゃないかな?彼女達はすっかり足留めを食らっている、ライオン、かかし、それとボクのおかげでね」
かかし「頑張ったんだゾ!褒めロ!褒めロ!」
ライオン「ぼ、僕も頑張って村人襲ったんだ・・・ああ、でも誉めてくれなんて催促したら卑しいライオンだと思われて嫌われるかも・・・まずいよ、それってまずい・・・」
???「ふふっ、平気だよ。あの娘はきっとボクたちを誉めてくれるよ」
???「だから、もう少し頑張って、彼らの邪魔をしてやらないとね」
桃太郎の世界 町外れ
ヒュゥゥゥ
キモオタ「ブヒャアアァァッ!」ドシャー
ティンカーベル「えー・・・こないだはちゃんと着地できたのに!そろそろ慣れてよ!何回目なの!?」スィ
キモオタ「ちょwwwまずは心配していただきたいwww」コポォ
ティンカーベル「甘えないの!とりあえずさ、赤ずきん達に連絡してよ、おはなしウォッチでさ!」
キモオタ「それもそうですなwwwピッピとwww」
ピッピッ
キモオタ「赤ずきん殿www赤鬼殿www我々、今到着したのでござるがwwwどこかで待ち合わせたいのでござるwww」
赤鬼の声「おっ!来たか、おいどうする?赤ずきん」
赤ずきんの声「・・・私達は今、城下町にいるの。そこからお城は見えるかしら?ティンク、少し高く飛んでもらえる?」
ティンク「えっと・・・あっ!見えるよ、そんなに遠くないね」
赤ずきんの声「あら、そうなの?なら町まで来て貰える?町の入り口で待っているから」
キモオタ「承知しましたぞwww」コポォ
小一時間後 城下町の茶屋
キモオタ「きなこ餅を三人前と草餅を二人前頂きたいwww」
ティンカーベル「みたらしだんごください!」
赤ずきん「ぜんざい」
赤鬼「ぼた餅を一人前頼む」
店員「はい、少々お待ちを(おかしな格好の客だなぁ・・・)」
赤ずきん「・・・【マッチ売りの少女】の世界での出来事は道すがら聞いたけれど、まさか黒幕が直接出向いてくるとはね・・・正直、想定外だったわね」
キモオタ「しかしそのおかげで黒幕のヒントも掴めましたしなwww」
赤ずきん「『掴めた』ね・・・『掴まされた』のかも知れないわよ?あなた達の話を聞く限り、黒幕は今回の一件を面白がっているように見えるものね」
キモオタ「そういえば、そういう節はありますな・・・まさか、我々おちょくられていたのでは!?」
赤ずきん「そうかもね・・・けれど私達がやるべきことは変わらない」
キモオタ「そうですな!まずは黒幕を突き止めますかなwwwそしてその前に腹ごしらえですぞwww」コポォ
ティンカーベル「ねぇねぇ赤鬼、ぼた餅ってどんなお菓子?」
赤鬼「なんだティンク、知らないのか。ぼた餅はあれだ、こう、潰したあんこをだな・・・」
赤ずきん「・・・・・・」
店員「はい、お待たせしましたー」コトッ
ティンカーベル「はいはい!みたらしだんご私!」
赤鬼「おい、ティンク。ぼたもち食ってみるか?」
ティンカーベル「いいの!?もらう!お礼にみたらしだんごひとつあげるよ!」ウキウキ
キモオタ「赤ずきん殿www我々も交換しませんかなwww」コポォ
赤ずきん「お断りよ。それよりあなた達緊張感を持ちなさい、私達の動向は黒幕側に知られている可能性が高い、どんな手を使ってくるかわからないのよ?」
赤鬼「まぁ、わかるけどな。常に神経尖らせてるわけにもいかねぇだろ、余裕を見せつけてやるくらいでちょうどいいのさ」
キモオタ「そうですなwww今は食べることに集中するべきですなwww」
赤ずきん「・・・まぁいいわ。ねぇティンク、結局どうなの?」
ティンク「あっ、このおとぎ話が消えそうかどうかだよね・・・?えっと・・・」クンクン
赤ずきん「・・・どうかしら?」
ティンク「・・・する!消えそうな匂い!この【桃太郎】のお話、このままだと消えちゃうよ!」
赤ずきん「・・・そう、ありがとう。ティンク」
赤鬼「そうじゃないかとは思っていたが・・・やはりって感じだなぁ・・・」
ティンカーベル「ちょうどいいってわけじゃないけどさ、ここにいる以上はさ、このおとぎ話も絶対に消えるの防ごうね!ぜったいあいつらが何かしたせいだもん!」
キモオタ「そうですな・・・確かでお二人の話だと・・・猛獣騒ぎが起きているとか?」
赤鬼「そうだな、それが原因かどうかはわからねぇが・・・」
赤ずきん「少なくとも関連はしているでしょうね・・・あんな大きな獣、自然発生とは思えないものね」
赤鬼「確かにな・・・まぁ、オイラ達にとってはいい訓練になったけどな」
ティンカーベル「猛獣といえばライオンとか?大きなライオン?」
赤ずきん「その通りよ。ライオンに襲われたという住人も多くいた・・・・・・けれど大きな獣は別物よ」
ティンカーベル「じゃあ大きな獣ってなに?」
赤鬼「・・・ネズミだ」
キモオタ「えええwwwまさかのwwwネズミwwwなんというジョークwww」
赤ずきん「事実よ。冗談のような大きさだけどね・・・1メートルはあるかしらね。巨大なネズミ・・・とは言っても巨大なハリネズミだけれど」
ティンカーベル「ハリネズミってあのトゲトゲの・・・かわいいやつだよね?こないだテレビでやってたの見たよ、ねっ?」
キモオタ「一緒に見ましたなwwwなんというタイムリーwww知っておりましたかなwwwハリネズミはネズミとは言ってもネズミではなく、モグラに近い生き物のようですぞwww」
赤鬼「ほう、そりゃあ知らなかったな・・・じゃあハリモグラって事か?」
赤ずきん「・・・どうでもいい情報に食いつくのはやめてちょうだい、赤鬼」
ティンカーベル「その巨大ハリネズミがこのあたりに出てくるの?」
赤ずきん「そうね・・・私達も実際にみてみるために町外れに行ってみたけれど・・・武器もない人間が無視して進むには困難な大きさだったわね、それに妙に好戦的だったのも気になるわね」
キモオタ「そうですなwwwハリネズミはおとなしく臆病な動物ですからなwwwというのも・・・」
赤ずきん「あまりにも多かったものだから・・・討伐にも手を出してみたけれど・・・」
赤鬼「どこからあんなに湧いて出てきてるんだか・・・キリがないんだ。訓練にはなったがな」
ティンカーベル「訓練って?そういえばさっきも言ってたけど」
キモオタ「ちょwww誰も聞いてないwww我輩のハリネズミトークをwww」
赤鬼「今後やむなく戦うことになるかもしれないからな・・・その為に訓練をしていたんだ。お前たちを待っている間にな」
キモオタ「しかし、赤ずきん殿の銃の腕は確かでござるしwww赤鬼殿もあのカイリキナラバ訓練など必要ないのではwww」
赤ずきん「だからこそ訓練が必要なのよ、私達にはね」
ティンカーベル「あっ、そっかー・・・確かにね!」
キモオタ「ちょwwwどういうことでござるかwww我輩にも教えていただきたいwww」
赤鬼「オイラの武器は金棒だ。敵の中に飛び込み、この怪力でバカデカい金棒を所狭しと振り回して敵をなぎ払う・・・そういう先頭手段だ」
赤ずきん「そして私の武器はこのマスケット・・・知っての通り、これは魔法具。自動リロード、遠距離の射撃にも対応している。どちらかといえば先陣きって突っ込んでいくスタイルでは無いわね」
キモオタ「なるほど・・・そういうことでござるか」
赤鬼「オイラが先陣きって戦う、それはいいんだが・・・そうすると赤ずきんは攻撃しづらくなる」
赤ずきん「なにしろ、敵のすぐ近くで味方が戦っているわけだものね。下手をすれば私の銃弾は赤鬼を貫く・・・」
赤鬼「かと言って、それを恐れていて結局戦うのがオイラだけというのは良くない。赤ずきんのマスケットは、そんな理由で腐らせるには勿体ない武器だ」
赤ずきん「だから私達は訓練を行ったの、連携をとって攻撃をするための訓練をね。私は赤鬼と敵の動きを予測して、的確な位置へと銃弾を撃ち込む」
赤鬼「俺は弾道を確保しながら、敵の体制を崩し・・・赤ずきんに攻撃につなげる」
赤ずきん「私は私の、赤鬼は赤鬼の持ち味が活かせるような立ち回り・・・それが出来なければ話にならないものね。まだ完成とは言い難いけれど」
ティンカーベル「そっか、それが二人の戦いの手段って訳なんだね!」
キモオタ「これはwww我々も戦闘手段を確立せねばなりませんなwww」
赤ずきん「私達は長い付き合いになるのだから、私もこれくらいの努力は惜しまないつもりよ・・・あなたもそうでしょう?赤鬼」
赤鬼「おう!」
キモオタ「これはwww赤ずきん殿が赤鬼殿に対してデレを見せていると判断してよろしいですかなwww相変わらず乙女なところがありますなwww」
赤ずきん「・・・・・・」ガシャッ
ズダーン
キモオタ「ぶひいいいいぃぃぃ!!」
赤鬼「こらこら!他の客に迷惑がかかるだろう!」
ティンカーベル「でもこれはキモオタが悪い!」
赤ずきん「・・・・・・」プイッ
ティンカーベル「スリングショット?なにそれ」
キモオタ「武器ですぞwwwいわゆるパチンコというものでござるなwww」コポォ
赤鬼「オイラもわからねぇな・・・どういう武器なんだそりゃあ?」
赤ずきん「ゴムが伸び縮みする力を利用した武器ね、石や鉛を弾き出すことができる飛び道具・・・」
キモオタ「そうですぞwwwいままではティンカーベル殿が直接ジャムを投げておりましたからなwwwスリングショットを使えばより速く正確な攻撃ができるでござろうwww」
ティンカーベル「いいんだよジャムは投げなくても!」プンプン
キモオタ「いやいやwwwジャムに限らずいろいろと撃てばいいでござるよwww」
赤ずきん「・・・案外悪い案では無いわね」
赤鬼「けどよお、要するに鉛やら鉄やらを撃ち出すんだろう?だったらよお、ティンクが扱える大きさに合わせたらどうしても小さくなる。威力はかなり落ちるんじゃないのか?」
キモオタ「そうでしょうなwwwそこで魔法の力ですぞwww」コポォ
赤鬼「魔法っていうとあれか、神通力の事だったな?赤ずきんのずきんやキモオタのおはなしウォッチみたいな物をティンクにも作るのか?」
キモオタ「そうですぞwww赤鬼殿がいうように、威力には不安が残りますからなwww」
赤ずきん「・・・なるほどね。そこは魔法の力で威力を底上げするということね?」
キモオタ「御名答wwwスリングショット・・・というよりも弾の方に魔力を込めれば、いろいろできるのではwww」
ティンカーベル「そっか!違う種類の魔法を弾に込めるんだね?」
キモオタ「よくゲームで出てくる追加効果のある武器ですなwww弾を当てると火が出たり、毒状態にしたりwww」
赤ずきん「妨害や補助なら腕力もいらない、威力も気にしなくていいものね」
ティンカーベル「おぉー!なんだかカッコイイ!決めたので私の武器それにする!」
キモオタ「いくつか問題はありますがなっw2ティンカーベル殿サイズのスリングショットを作るのは裸王殿にお願いすればいい素材を譲ってくれるでござろうが・・・あとは腕のいい職人探しですかな」
赤ずきん「むしろ問題は弾の方ね・・・」
キモオタ「あてはありますがなwww作ってやるから素材集めてこいとかいってきそうな魔法使いの知り合いが一人www」コポォ
ティンカーベル「いいよ!素材集めだったら頑張るよ!私もものづくり妖精の端くれだもん!材料集めは得意だよ」ニコニコ
赤鬼「おぉ、随分とやる気だな!」
ティンカーベル「うん!えへへ、私の魔法具かぁ・・・!」ワクワク
キモオタ「嬉しそうですなティンカーベル殿wwwしかし、とりあえずはこのお話をなんとかするでござるwww」
ティンカーベル「うん!終わったら相談に行こうね!シンデレラの世界の魔法使いでしょ?約束だよ!約束したからね!」
キモオタ「わかりましたぞwww」
赤ずきん「国王に王女に魔法使い・・・薄々思っていたけれど、あなたの知り合いは凄いわね」
キモオタ「結果そうなっただけですぞwwwというか赤ずきん殿だってすごいのではwww」
赤鬼「俺のとこの村を直すとき来て貰った長者、ただもんじゃなかったもんなぁ・・・ああいう知り合いがいたら困ったとき協力してもらえるから助かるよな」
赤ずきん「あら、でも私だって彼らにお礼くらいはしてるのよ?・・・まぁ、でも困ったときは頼りあうわよ。仲間だものね」
ティンカーベル「赤ずきん!私も頼っていいんだよ!仲間だもんね!」ニコニコ
赤ずきん「・・・・・・ええ、わかっているわ。ティンク」
キモオタ「んんwww百合百合しいwww」
町娘「キャー!誰かー!」
町人「鬼だー!鬼が出たぞー!」
赤鬼「なんだと・・・!こんな大きな城下で悪い奴が暴れているのか・・・!」
赤ずきん「・・・この世界の本来の悪役がお出ましと言うわけね?」ガシャッ
ティンカーベル「・・・キモオタ!」
キモオタ「わかってますぞwwwいってみるでござる!」
悪鬼「ヒャッハー!いくぜぇ!略奪だ野郎共!人間共に日頃の恨みをぶつけてやれ!」
下っ端悪鬼1「金目の物は奪ってしまえ!持って帰れねぇなら壊しちまえ!」
下っ端悪鬼2「女子供は連れ去れば人質にならぁ!逆らう男は殺してしまえ!」
キャー キャー
ざわ ざわ ざわ
赤鬼「あいつら・・・!同じ種族として恥ずかしい。俺が行くぞ!ぶんなぐってでも止めさせる!」
赤ずきん「待ちなさい、赤鬼」グイッ
赤鬼「止めるんじゃない赤ずきん!見過ごせねぇだろう!」
赤ずきん「あなたは笠をかぶってる、角が見えないから鬼だってバレてはないけれど・・・バレたらどうするつもり?」
赤鬼「そのときは・・・その時だ!」
キモオタ「だ、だめですぞ!ここは城下町・・・悪い鬼やハリネズミの被害があるとなれば討伐部隊なんかが結成されている可能性は高いですからな」
ティンカーベル「鬼だって理由でひとまとめにされて悪者扱いされちゃうよ!」
赤鬼「だったら黙ってみてろって言うのか!?」
赤ずきん「そんなこと言っていないわ、赤鬼。あなたがでる必要はないと言ってるの」
赤鬼「・・・?」
赤ずきん「少し落ち着いて周りをみなさい。どうしても助けが必要なら私が出る」
赤鬼「わかった・・・お前が言うなら理由があるんだろう」
・・・
下っ端悪鬼1「オラオラァ!金目の物を出せ!」
商人「あわわ・・・こ、断る!お前達なんかこ、怖くねぇんだ!」
下っ端悪鬼1「この町もかよ・・・!人間風情が鬼様に楯突こうとしやがって!」グイッ
商人「うぐぐ・・・諦めんぞぉ!ワシらには正義の英雄がついておるんじゃ・・・!」
下っ端悪鬼2「オラァ!死にたくねぇやつは逃げろ逃げろ!ブハハハハ!」ドスドスドス
町人「女子供は逃げろ!戦える奴はこっちだ!今はとにかく耐えるんだ!もうすぐ助けが来るはずだ!俺達の英雄が・・・!」
下っ端悪鬼2「クソォ!雑魚どもが群れやがって!」
・・・
赤鬼「・・・怯えてはいるが、町人達は立ち向かおうとしているのか?なにか希望を持っている目だ」
ティンカーベル「正義の英雄ってやっぱり・・・このおとぎ話の」
赤ずきん「桃太郎・・・でしょうね」
ワオーン ウッキー ケーン
キモオタ「・・・なにか聞こえましたぞwww」
下っ端悪鬼1「あの鳴き声は・・・・・・!」
下っ端悪鬼2「お、親分!どうすんだ?」
悪鬼「馬鹿共、うろたえるな。鬼を倒す侍など所詮は噂にすぎん・・・!破壊と略奪をやめるな、俺達の行動はあくまで人間への復讐だ!」
下っ端悪鬼1「お、おう!オラオラァ!人間風情が!返り討ちにしてくれるわ!」
下っ端悪鬼2「ブハハハハ!俺達を止められる人間などいねぇ!」
悪鬼「・・・・・・」
商人「うぐぐ・・・ぐえぇ・・・ま、まだ現れんのか・・・!」
町人「もう少しだ!耐えろ耐えろー!」
ざわざわ ざわざわ
ジャリッ
???「・・・復讐と称し、略奪に破壊の限りを尽くすとは・・・まさに悪の権化よ」
悪鬼「・・・来たか、お前が噂の・・・!」
???「哀れなる鬼に救済を。悪しき魂に浄化を。・・・鬼達よ、早々に覚悟を決めよ」
悪鬼「お前ら、やっちまえ!」ウオォォォ
???「交わす言葉では分かり合えぬ。これも運命か・・・やむを得ん」
桃太郎「桃太郎・・・推して参る」チャキ
下っ端悪鬼1「なぁにが桃太郎だぁ!所詮は人間だ!脆弱で・・・脆い!俺達鬼の敵ではないわぁ!」ブォン
桃太郎「・・・哀れなり」チャキ
下っ端悪鬼1「なっ・・・金棒の一撃を刀で止めただと・・・!?どうなってやがる!普通は刀なんか折れる・・・!こいつ、神通力使いか!?」ググッ
桃太郎「・・・相手の挙動、瞳の動き・・・相手をよく観る事、そして己を理解し・・・決して慢心せぬこと」シュッ
ズバッ
下っ端悪鬼1「グッ・・・」ドサッ
下っ端悪鬼2「この・・・野郎!仲間の敵だ・・・!死にさらせええぇぇ!うおおおおぉぉぉ!!」ブオォン
ヒュン
桃太郎「そして、何が起きようとも・・・取り乱してはならぬ。恐怖心を押さえつけ、怒りを封じよ」ヒュォ
下っ端悪鬼2「あの野郎・・・!ちょこまかと・・・どこだ!?」
悪鬼「下っ端2!後ろだ!」
下っ端悪鬼2「あっ・・・!」
桃太郎「あらゆる感情を飼い慣らせ・・・さすれば──その刃は、研ぎ澄まされる」
ズバッ
下っ端悪鬼2「ぐあぁぁ・・・」ドサッ
桃太郎「この桃太郎・・・相手が鬼であろうと遅れは取らぬぞ」スタッ
悪鬼「こいつ・・・!」
桃太郎「・・・あとはお前だけだ。命を取るつもりは無い。早々に立ち去れ」
悪鬼「・・・くっ、帰って大親分に報告せねば・・・!」ドスドスドス
桃太郎「待て、この鬼達はお前の部下だろう?見捨てるというのか?」
下っ端悪鬼1「うぅ・・・」
悪鬼「容易く人間にやられるような鬼、我々には必要無い。煮るなり焼くなり好きにしろ」ドスドスドス
桃太郎「・・・・・・救いようのない邪悪よ」
下っ端悪鬼1「桃太郎・・・!早くトドメを刺せ・・・人間の侍には武士道ってやつがあるんだろう・・・?」
桃太郎「・・・・・・動くな、傷が広がっては手間だ」スッ
下っ端悪鬼2「お、おまえ・・・俺の仲間に何を・・・!」
パアァァァ
下っ端悪鬼1「こいつが手をかざした部分の傷が・・・癒えていく・・・?」
桃太郎「・・・次は、お前だ」スッ
パアァァァ
下っ端悪鬼2「なんだこれは・・・神通力の類か・・・」
桃太郎「これでもう動けるだろう・・・ならば改めて拙者は刃を振るとしよう」
下っ端悪鬼2「ま、また斬りかかってくるのか!?」
桃太郎「刀は抜かぬ。拙者の刃は刀のみにあらず・・・」
下っ端悪鬼1「・・・?」
桃太郎「鬼よ・・・悪いようにはせぬ。今後は心を入れ替え、人間を襲うのはこれで終わりにしてくれないか・・・?」
下っ端悪鬼1「・・・・・・おい、どうする」
下っ端悪鬼2「・・・・・・」
桃太郎「・・・頼む」
下っ端悪鬼2「・・・人間の頼みを聞く義理はない。だが、お前には適わない、俺たちは無謀な戦いを続けるほどバカじゃあねぇ・・・行くぞ」
下っ端悪鬼1「お、おう・・・!」
ドスドスドス
桃太郎「・・・・・・」チャキン
ざわ ざわ ざわ
「おおぉぉ!桃太郎!かっけええぇぇぇ!」
「助かりましたよ!さすがは桃から生まれた桃太郎!」
「素敵!抱いて!」
「鬼を許して逃がすとは・・・男だぜ!」
「うちの娘も軽い怪我をしちまって・・・なおしてやってもらえんかな」
・・・
キモオタ「ちょwwwイケメンすぐるwww」
赤鬼「あの侍がいるから町人は希望がもてたわけか・・・しかし、ただ者じゃないぞ、あの侍」
ティンカーベル「強いしあれだよね!かっこいいよね!なんであんなに強いのにこのお話に異変が起きてるのかな?」
赤ずきん「・・・わからないわよ?治癒能力なんて・・・元のお話には無いのだもの。とりあえず、桃太郎と話してみないとね?」
キモオタ「そうですな!では、いきますかなwww」コポォ
町人「いやはや、助かった!あなたは私たちにとって英雄だよ!」
桃太郎「・・・当然のことをしたまで・・・拙者はこれにて失礼する」ファサ
スタスタ
町人「見返りさえ求めず静かに去るとは・・・桃太郎、なんとも清々しい英雄。噂通りの男だな」
スタスタ
ティンカーベル「ちょっとストーップ!桃太郎!待って待って!」ピュー
桃太郎「・・・・・・」グッ
キモオタ「ちょっとwwwお話よろしいですかなwww桃太郎殿ぉー!www」ドスドスドス
桃太郎「・・・・・・何者だ?」バッ
キモオタ「フヒヒwww我輩、キモオタという名の旅人でござるwww」コポォ
ティンカーベル「私はティンカーベル!妖怪じゃないよ!妖精だよ!ティンクって呼んでね」フンス
赤ずきん「赤ずきんよ」
赤鬼「オイラは赤ずきんの連れの者だ、宜しく頼む」
桃太郎「・・・拙者は桃太郎。旅の一行が・・・拙者に何用か?」
キモオタ「実はですなwww・・・・・・何を話せばいいのですかなwwwティンカーベル殿www」コポォ
ティンカーベル「えぇっ!?私に振らないでよ!キモオタ、なんでノープランなの!?」
キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿が真っ先に声をかけた故www何か考えがあるのかとwww」
ティンカーベル「そんなの無いよ!だってキモオタが行こうっていったんじゃん!キモオタが考えてると思うじゃん!」
キモオタ「そwwwれwwwはwww確かに言ったでござるけどwww言葉のあやというかwww」
桃太郎「・・・・・・用が無いのならば失礼する。拙者は供を待たせているのだ」
赤鬼「すまん、桃太郎。ちょっと話を聞きたいだけだ、待ってくれ」
桃太郎「・・・・・・拙者に聞きたいことがあると言うことか?」
赤ずきん「ええ、私達はあなたのことを知りたいのよ。桃太郎」
桃太郎「拙者には語ることなど・・・無い。すまない」スタスタ
赤ずきん「・・・・・・」
桃太郎「旅の者よ。このあたりには猛獣が現れる、決して町から出ない事だ。特に森の奥へ行く事は絶対に避けるように・・・では失礼する」スッ
赤鬼「お、おい!待ってくれ・・・!」
赤ずきん「・・・今は諦めましょう、赤鬼」クイッ
赤鬼「でもよぉ、いいのか?このお伽噺の消滅を防ぐために、異変を取り除く必要がある・・・それには桃太郎と話してみるのが近道だろう?」
赤ずきん「慌てないで、近道でなくても目的地には辿り着けるもの。それに・・・桃太郎が話したくないと言うのなら無理に聞き出しても意味は無いでしょう?」
赤鬼「それもそうだな・・・だが、どうするんだ?」
赤ずきん「・・・気は進まないけれど、少し後をつけてみましょうか」
赤鬼「そうだな・・・おい、二人ともいつまでやってるんだ」
ギャーギャー
ティンカーベル「もぉー!桃太郎に怪しまれたのは私のせいじゃないもん!」
キモオタ「いやいやwwwそれは認めますがなwwwただ我輩だけが悪いわけでもないでござろうwww」コポォ
赤ずきん「・・・行くわよ。桃太郎は町の外へ向かっている。見失わないようにしないとね」
桃太郎「・・・・・・」スタスタ
コソコソ
キモオタ「正義の英雄相手にまさか尾行とはwwwアンパンと牛乳が欲しいですなwww」ドゥフ
ティンカーベル「キモオタ、それは張り込みだよ!私こないだの刑事ドラマで見たもん、船越が犯人の家の前で食べてた!」
赤鬼「ティンク、それは食い物なのか?聞いたことがないものだ」
ティンカーベル「えっとね、外国でお米の代わりに食べるパンっていう食べ物にあんこが入ってるの!甘いんだよ!電信柱の影で食べるのがマナーなんだよ!」フンス
キモオタ「ティンカーベル殿wwwそれはマナーではないですぞwww間違った知識www」
赤ずきん「・・・静かにしなさい。相手は軽々と鬼を相手にする侍なのよ」
キモオタ「んんwww申し訳ないwww」
赤鬼「桃太郎はどんどん森の奥へ進んでいくな・・・」
ティンカーベル「例のハリネズミ退治かな?」
赤ずきん「どうかしらね・・・さぁ、桃太郎が動いた。行くわよ」
桃太郎「・・・・・・」キョロキョロ
キモオタ「あたりを気にしていますな・・・」コソコソ
ティンカーベル「お供がいるって言ってたもんね、ここにいるのかな?」コソコソ
赤ずきん「そうかもしれないわね・・・」コソコソ
ガサガサ
桃太郎「・・・・・・戻ったぞ、お前たち」
猿「・・・おかえり、桃太郎。大丈夫?」
桃太郎「・・・大丈夫だ、お前たちは?」
犬「問題ないですよ」
キジ「鬼や町人に・・・後を付けられたりしていないか?」
桃太郎「あぁ、変な旅人に遭遇したが・・・大丈夫だ。様子を見ながら来たもんな」
犬「だったら・・・そろそろ、いいですかね?」
キジ「そうだな、ここまで来れば誰も見ていないだろう」
桃太郎「うん・・・じゃあ・・・報告するか・・・」フゥ
桃太郎「・・・うおおぉぉ!めっちゃ怖かったああぁぁ!!聞いてくれってお前ら!三人だぞ!金棒持った鬼が三人!こえええええぇぇぇ!!チビると思ったわ拙者!」
キジ「三人・・・ちょっと油断したな、一人くらいだと思ったが」
桃太郎「誰だよ!一人だろうから桃太郎ひとりで行けるとかいった奴・・・戦闘中に8回は死を覚悟したわ拙者!」
猿「あー、それ犬が言ってたなー・・・「この匂い・・・きっと鬼は一人だよ!」とか言ってた。なぁ?そうだろ?」
犬「・・・・・・」
猿「全然違うじゃねぇかwww知恵がねぇなら黙って桃太郎の後ろで尻尾振ってろ、駄犬が」プークスクス
犬「あ?なんつったこの万年発情期が」
猿「おい、なんだやんのかコラ?」
キジ「おい、お前ら喧嘩するな。桃太郎の報告をちゃんと聞いて次の戦いに備えてだな・・・」
犬「黙ってろ地味鳥類」キッ
猿「食材になってろ!」キッ
キジ「・・・・・・っ!」ガーン
桃太郎「もおおぉぉぉー!鬼には殺されかけるし,こいつらは喧嘩するし・・・なんでこんな目にあうんだよもぉー!もう正義の英雄なんかやりたくねぇぇー!実家帰って芝刈りして暮らしたいわ拙者ぁぁぁ!」ウワァァ
・・・
赤鬼「・・・うむ」
赤ずきん「そういう事・・・」
ティンカーベル「・・・うわぁ」
キモオタ「ティンカーベル殿www引かないであげてほしいですなwww」
キジ「桃太郎、落ち着け。犬と猿もだ、おまえらが喧嘩するから桃太郎が困ってるぞ?」
犬「桃太郎が困ってるのか・・・じゃあ、一時休戦するぞエテ公」
猿「桃太郎、悪かったよ。クソ犬とはもう喧嘩しないからさ、元気出せよ」
キジ「だってよ。桃太郎・・・こいつらが落ち着いたんだ、おまえにしっかりしてもらわなきゃ困るぞ?」
桃太郎「・・・そうか、そうだな。よし、じゃあ改めて報告するか」
桃太郎「さっきも言ったけど鬼は三人・・・店先や建物の一部が壊されたけど、なにも奪われなかったし、怪我人も無かった!」
犬「結果的には一人でよかったってことだよね!」
猿「はいはい、言い訳言い訳」
犬「あ?」
桃太郎「おいぃ!ちゃんと話してるんだから聞いてよもぉー!」
キジ「お前らいい加減にしろ。桃太郎、続けてくれ」
桃太郎「下っ端っぽい二匹は多分改心・・・できそうかなって思うけど、親分っぽい奴には逃げられた。とりあえず町民には最近現れた獣のこともあるから、あまり町の外にはでないように頼んでおいたぞ」
猿「流石だな桃太郎!チビりかけたって言ってたけどだふんどしは大丈夫か?」
桃太郎「チビってないから!ギリギリ踏みとどまったわ!というかそこ触れなくていいよもぉー・・・」
犬「俺たちの食料集めも順調だよ!とりあえず何日かは大丈夫」
桃太郎「そうか、おつかれー・・・そうそう、あの獣は?」
キジ「針鼠の事か?」
桃太郎「針鼠も気になるけどさぁ・・・それじゃなくて」ブルブル
キジ「あーあの猛獣か・・・今日は見てないけどな」
桃太郎「よかったあぁー!拙者、もう本当に生きた心地しなかったもん、真智からここに来るまでひとりだろ?もう怖くて怖くて・・・」
犬「でも気をつけないと、あの獅子って人間を襲ったんでしょ?」
猿「気をつけないと食われるかも、桃太郎って桃みたいないい匂いするし」
桃太郎「おいいぃぃ!縁起でもないよ!そういうの冗談でもやめてよもぉー!死にたくないの!拙者は!」
キジ「でもなぁ、確かに桃太郎は桃っぽい匂いするぞ。桃の申し子だしなぁ・・・」
桃太郎「・・・いやいや、でもさ!関係ない訳じゃん?桃っぽいにおいしても獅子が桃食べる訳じゃないし、別段拙者が襲われるってわけでも無い、でしょ?」
犬「・・・・・・」
猿「・・・・・・」
桃太郎「えええぇぇぇ!?否定しろよおぉぉ!なに?拙者やばいの?拙者、獅子の餌選びで第一候補になるわけ?」
キジ「・・・・・・すまん」
桃太郎「謝るの止めてよおおぉぉ!お願いだから否定してよ!あああぁぁ・・・勘弁してくれよもぉ・・・鬼だけでいっぱいいっぱいなんだよ拙者!獅子や針鼠退治まで余裕無いんだよ!どっちかでいいから討伐隊結成してよもぉー!」ウワアアァァ
パキッ
桃太郎「・・・・・・っ!」
犬「誰かいるのか!?」
キモオタ「申し訳ないwww小枝を踏んづけてしまったでござるww」
ティンカーベル「もう!キモオタ!駄目じゃん・・・あっ」
桃太郎「・・・・・・」
キモオタ「なんというかwww申し訳ないwww」
キジ「・・・・・・おい、桃太郎」
桃太郎「・・・・・・」
赤鬼「・・・・・・」
猿「・・・・・・」
桃太郎「・・・・・・せっ」
桃太郎「拙者は桃から生まれし桃太郎・・・哀れなる鬼に救済を、悪しき魂に浄化を与える者なり」
桃太郎「旅の者よ。拙者に何用であろうか?話してみるがよい」
赤ずきん「・・・言いたくないけれど、もう遅いわよ」
桃太郎「・・・・・・見た?」
赤ずきん「ええ」
桃太郎「どの辺から?」
キモオタ「チビリそうになったくだりからですなwww」
桃太郎「最初からじゃん!んもおおおぉぉぉー!なんでこんな所にまでついて来るのぉぉ!!拙者に恨みでもあるのかよぉぉ!」ウワアアァァ
桃太郎「こうなったら・・・」グッ
ティンカーベル「キモオタ!」
キモオタ「な、なにをするつもりですかな!?」
バッ
桃太郎「ホンットにすいませんでしたあああぁぁ!何でもするんで拙者の本性を言いふらすのだけは勘弁してくださいぃぃ!」ズシャアー
赤鬼「おいおい!男が簡単に土下座なんかするんじゃない!」ズイッ
桃太郎「なんだこの人でけぇぇぇ!?鬼くらいの体の大きさがあるぞ!?」
赤鬼「あ、あぁ、俺はよそからきた赤鬼だ。でも勘違いするな、俺はあいつらとは違う、心優しい普通n」
桃太郎「うわああああああああぁぁぁぁ!!!!」
赤鬼「うおっ!なんだ!?」
桃太郎「復讐に来た!キジ!逃げよう!飛んで逃げよう!早く早く!ほら早く早く!ホント急いでください頼む頼むからお願いだからお願いするからお願いしますマジでぇぇぇぇ!!!」
ズダーン
桃太郎「うぐっ」ドサッ
犬猿キジ「も、桃太郎!平気か!?」
赤ずきん「桃太郎」
桃太郎「・・・・・・はい」
赤ずきん「落ち着きなさい」
桃太郎「・・・・・・わかりました」
赤ずきん「気持ちはわかるけれど、取り乱しすぎよ」
桃太郎「はい・・・・・・」
赤ずきん「何の事情があるのか知らないけれど、町で鬼を追い払ったり傷を治したのはあなた自身の力でしょう?」
桃太郎「はい、そうです・・・」
・・・
キモオタ「イケメンが少女に説教されておりますな・・・」
ティンカーベル「なんというか・・・シュールだよね。二人とも顔がいいから特に・・・」
・・・
赤ずきん「だったら、堂々としなさいな。私達は誰もあなたの本性を言いふらそうだなんて思っていないわよ」
桃太郎「ほ、本当に!?」
赤鬼「おう!本当だ!安心しr」
桃太郎「うわあああぁぁぁぁ!!鬼だあああぁぁぁ!!」
赤ずきん「・・・赤鬼、面倒だから桃太郎に話しかけないでちょうだい」
赤鬼「お、おう・・・」
キモオタ「まぁまぁwww赤ずきん殿www正直、イケメン青年が美少女に説教さえているところを見るのは耐え難いのでそのぐらいにwww」コポォ
桃太郎「・・・・・・っ!」チャキッ
キモオタ「な、なんですかなwww」
桃太郎「そこを動くんじゃない!」ダダッ
ハリネズミ「フシュルルッ!」ヒュオン
キモオタ「い、いつの間に・・・!?早い上にでかいですぞ!?」
ティンカーベル「キモオタ!」
赤ずきん「くっ・・・間に合わないっ・・・!」ガシャッ
ジャキン
ハリネズミ「フシュルルッ・・・」ドサッ
キモオタ「あ、あの一瞬でハリネズミを捕捉して倒すとは・・・!」
桃太郎「ま、間に合ったか・・・」チャキン
キモオタ「桃太郎殿www申し訳ないwww」
桃太郎「ちょっとおぉぉ!油断しないでよ!さっき町でも言っただろ!?この辺りは猛獣もでるし危険なんだって!」
キモオタ「申し訳ありませんでしたなwwwでも、はっきりしましたなwww」
ティンカーベル「そうだね・・・ちょっと引いたけど、桃太郎の戦闘能力は嘘でもって何でもない、本当の力なんだね」
キモオタ「桃太郎殿は・・・鬼ヶ島に鬼退治にいくのでござるよね?」
桃太郎「そんなこと知ってるんだな・・・まぁ、みんなそう言ってるし不思議でもないか・・・あぁ、そうだよ、俺は鬼退治に・・・あっ」
赤鬼「ん?」
桃太郎「い、いかない!全然行かないです!」
キジ「お、おい!なに言ってるんだ!行くんだろ!」
桃太郎「キジ!しーっ!鬼の目の前で鬼退治にいくとか言わないでくれよ頼むから!」
桃太郎「というか、キモオタ!赤鬼さんの前で何言わせるんだよ!!あれか!誘導かこれ!俺をここで葬るつもりか!」
キモオタ「ちょwwwいわれのない中傷がwww」
赤鬼「桃太郎」
桃太郎「はい!なんでしょう!」ビクッ
赤鬼「オイラは優しい鬼だ、だからお前が悪い鬼を退治するのを止めないし当然だとも思う・・・だから普通に接してくれ、頼む」
桃太郎「そ、そうなの?」
赤ずきん「ええ、保証するわ」
桃太郎「そういうことなら・・・」
桃太郎「キモオタが言うとおり・・・拙者と犬猿キジは鬼ヶ島を目指してる。さっきも見たと思うけど、あの城下はこのあたりで一番大きな町だから、鬼に襲撃されることも多いんだ」
キモオタ「よくある・・・これが初めてではないと?」
桃太郎「結構頻繁だったらしいよ、拙者がこの辺りに来てからは少しは減ったかな・・・だから被害が少ないうちに鬼ヶ島へ行こうと思ったけど別の問題が発生しちゃって・・・」
赤ずきん「猛獣騒動ね?」
桃太郎「そうなんだ・・・突然獅子が現れたり大きな針鼠が出たり・・・だから今はこの国、この城下は鬼と獅子、そして針鼠の被害をうけてる。だからなかなか身動きが取れないんだよ」
ティンカーベル「あんなに強い桃太郎でも?」
桃太郎「流石にね・・・・・・勘弁してほしいよ、なんでこんなに出てくるんだよ・・・」
キモオタ「というかですなwww何故町ではあんなに英雄っぽかったというのに居間ばかり豆腐メンタルなのでござるかwww」
桃太郎「それは・・・」
キャー
犬「・・・桃太郎!悲鳴が聞こえた!」
桃太郎「なんだって・・・またかよ!んもぉぉ!・・・キジ!見てくれ!町のほうかな?」
キジ「おいおい・・・マジか」バッサバッサ
ティンカーベル「どうしたの?ねぇねぇ!」
キジ「少女を乗せた獅子が町の中へ入っていった・・・!急ぐぞっ!」
城下町
ギャーギャー ざわざわ
町人「緒にとって獅子が同じ日に襲ってくるとは・・・逃げろ逃げろ!」
商人「獣相手だとどうにもならん・・・!桃太郎はまだか!?」
ギャーギャー ざわざわ
キモオタ「・・・・・・これは一体どういうことですかな!?さっきのでかいハリネズミが群をなして町中で暴れていますぞ!?」
ティンカーベル「そえれよりもキモオタ!向こう!ライオンが人間を襲ってるよ!助けなきゃ!」
赤ずきん「でもハリネズミも無視できないわね
、少しでも数を減らしておかないとね・・・」ガシャッ
赤鬼「よし、行くか赤ずきん!」ヒョイ
桃太郎「・・・・・・」スチャッ
町人「おお!桃太郎!助けてください、あの獅子が暴れていて・・・手が着けられないんです!」
桃太郎「安心するがよい。この桃太郎・・・鬼であろうと獅子であろうと必ずやこの刃で伏せさせてご覧に入れよう
桃太郎「我こそは桃の加護を受けし侍・・・桃太郎!」」
町人「頼もしい!流石は桃太郎!我々の英雄だ!」
桃太郎「拙者は当然のことをしているまで・・・して、その獅子とは?」
町人「町の奥の方です!見たことのない服装の少女が操っているようで・・・私たちでは手が出せないんです・・・どうかお助けを・・・!」
桃太郎「町の人々を安全な場所へ避難させて頂きたい・・・獅子の討伐はこの桃太郎が引き受けた・・・」ジャキ
ティンカーベル「町人たちの前ではキリッとしてるね」ヒソヒソ
キモオタ「さっきはあんなに取り乱していたというのにwwwもはや二重人格ですぞwww」ヒソヒソ
桃太郎「キモオタよ・・・何をぶつぶつと申しておる?敵の目の前だというのに緊張感にかけているぞ?」グイッ
桃太郎(小声でもだめ!絶対にバラさないでよ!?)ジッ
キモオタ(桃太郎殿の目が訴えてきますなwwwここは口裏を合わせておきますかwww)
キモオタ「申し訳なかったでござるwww」
ティンカーベル「じゃあ早くライオンを倒しにいこうよ!」
桃太郎「言われずとも・・・そのつもりだ。桃太郎、推して参る!」ダダッ
城下町 大通り
ティンカーベル「このあたりかな?」キョロキョロ
キモオタ「ですなwwwライオンはこっちにいるということでござったが・・・」キョロキョロ
桃太郎「伏せよ、ティンカーベル、キモオタ。敵の手の内がわからぬ以上、先制攻撃を許すわけにはいかぬ・・・キジよ、どうだ?」
キジ「これは・・・・・・桃太郎、気合い入れてくれ」バッサバッサ
桃太郎「どうしたと言うのだ・・・?」
キジ「向こうに鳥は居ないが、あの獅子は随分と鼻が利くようだ・・・ものすごい勢いでこっちへ向かってくる!一つ向こうの十字路・・・右から来るぞッ!構えろ!」
桃太郎「・・・・・・キモオタ達は拙者の後ろへ!」チャキ
キモオタ「んんwww申し訳ないwww」
ティンカーベル「桃太郎、頑張れ!」
グルルルルッ ダダッダダッダダッ
桃太郎「来るか・・・!」
ヒュオッ
ライオン「グルルアァァァァ!!」ガアアァァ
桃太郎「拙者の刀とお主の牙・・・どちらがより鋭いか・・・力比べといこうぞ!!」シュッ
ガキィィィンッ!!
ライオン「ガルルッ・・・グガアアァァ!!」グググッ
桃太郎「・・・・・・なかなか力強い牙を持っているようだな、流石は百獣の王よ!力比べは、互角のようだ・・・!」グググッ
???「ライオン・・・やめておこう。ボク達の相手は他にいるんだ」
ライオン「あっ、そっか・・・ごめんね」ヒュオッ
桃太郎「あの娘の一声で獅子が身を引いた・・・?」
キモオタ「あの娘・・・金髪ショートでござるし洋服でござるし・・・」
ティンカーベル「少なくともこのおとぎ話【桃太郎】の登場人物じゃない・・・!」
???「ふふっ、聞いたとおり察しがいいんだねキモオタ、ティンカーベル」
キモオタ「我々の名前を・・・!」
ティンカーベル「あんたもしかして・・・!」
???「【マッチ売りの少女】の世界ではボクの友達と遊んだって彼女に聞いたよ、キモオタ」
キモオタ「やはり黒幕の・・・!」
???「今度はボクが君達と遊んであげるよ・・・でもボクの相手が勤まるかな?君の友達もマスケットやガラスの靴・・・おもしろい玩具をもっているようだけど・・・」
???「ボクの玩具はひと味違うよ・・・?」フフッ
ライオン「あ、あのさ、僕みたいなのが意見するのも本当に申し訳ないというか・・・ライオンという種族の面汚しになると思うんだけど、言ってもいい?」
???「いってごらん?」
ライオン「あ、あまり手の内を晒すの駄目だってかかしもブリキも言うと思うんだ・・・あぁ、本当にごめんね。僕みたいなのが流れを遮って喋って本当にごめんね。もう喋らないようにするから許してね?」
???「まぁまぁ、落ち着こう。君の言葉は間違ってない・・・全部の魔法具を使ったりしないよ。ちょっとだけさ」
ライオン「う、うん。優しいから僕、君のこと好きだよ」スリスリ
ティンカーベル「キモオタ・・・聞いた?」
キモオタ「もちろんですぞ!魔法具と言いましたな・・・!」
桃太郎「・・・・・・魔法具?」
???「さぁ・・・ボクが連れてきたハリネズミは赤鬼と赤ずきんがどんどん退治しちゃってるし・・・ボクとライオンだけじゃ不安だ。ちょっと応援を呼ぼうかな」スッ
桃太郎「紙札を取り出した・・・?あの娘・・・何をするつもりだというのだ・・・?」
キモオタ「あれは・・・トランプでござろうか?」
ティンカーベル「トランプが登場するおとぎ話って・・・もしかして!?」
???「さぁ、ボクの忠実な兵士達・・・戦争の時間だ。あいつらをねじ伏せろ」
バラバラバラッ
バラバラバラッ
桃太郎「なんだというのだ・・・?あのような紙札を地にばらまいて、どういうつもりだ?」
ティンカーベル「桃太郎!離れた方がいいよ!あのトランプはきっと兵士になって私たちを襲うよ!」
桃太郎「兵士・・・?」
???「ありがとう、ティンカーベル。君もボクのおとぎ話を読んでくれたんだね・・・主人公としては嬉しいよ。お話を呼んでくれるのは」フフッ
ムクッ ムクッ
キモオタ「トランプが・・・人間サイズの兵士に変化しましたぞ!?」
ムクッ ムクッ
トランプ兵士「・・・・・・」ガシャッ
トランプ兵士「・・・・・・」ジャキン
トランプ兵士「・・・・・・」シュオッ
桃太郎「瞬く間に紙札が兵士に・・・なんの妖術か!?」ジャキ
ティンカーベル「妖術じゃないよ、トランプ兵士。・・・でも、あんたはあのおとぎ話の主人公なんでしょ!?だったらおかしい!トランプ兵士の主人はあんたじゃないもん!」
???「そう、こいつらは冒険にでるときに女王から奪ってきたんだ・・・でも問題ないよ。こいつらはボクの命令だって忠実に聞いてくれるからね」
キモオタ「・・・あの娘は一体何者なんですかな!ティンカーベル殿!?」
ティンカーベル「キモオタも名前ぐらいは知ってるんじゃないかな・・・人間の世界でも屈指の有名おとぎ話なんだもん・・・!」
アリス「自己紹介、まだだったね。ボクの名前はアリス。【不思議の国のアリス】の主人公。よろしくね?キモオタ、ティンカーベル」
キモオタ「【不思議の国のアリス】・・・聞いたことありますぞ!内容まで覚えていないでござるが・・・!ウサギや帽子屋が出てくるお話でござろう!?」
アリス「ふふっ、嬉しいな。ボクのおとぎ話は世界で一番有名でみんなに読まれているから、知らない人はいないかもしれないね」
ティンカーベル「でも、黒幕の一人がアリスだとしたらマズいよ・・・!」
キモオタ「なんでですかな・・・?」
ティンカーベル「【不思議の国のアリス】はタイトルの通り、いろんな不思議なことが起きるの!それに関連した魔法具を・・・トランプを奪ったみたいに全部持ち出してるとしたら・・・!」
キモオタ「ま、魔法具を大量に持っていると言うことですかな!?」
アリス「ティンカーベルは賢いね。そのとおり、ボクはたくさんの魔法具をあの世界から持ち出してきた・・・だから、きっとボクとの争いで君たちは退屈しないよ」
桃太郎「お、おい、キモオタ!何の話をしてるんだよ・・・じゃない、何の話をしているというのだ!」
キモオタ「・・・とにかく、この娘は手強い相手ということでござる!ティンカーベル殿、赤ずきん殿と赤鬼殿を呼んでくだされ!」
ティンカーベル「わかった!」ピュー
アリス「賢明な判断だね、でも彼女達が戻ってくるまで耐えられるかな?・・・さぁトランプ兵士、ボクが命じる。あの二人をねじ伏せろ!」
トランプ兵士「Yes.my lord...」ググッ
桃太郎「なんと面妖な・・・だが、そのような華奢な体の兵士などこの桃太郎の敵ではない・・・」ジャキッ
ヒュガッ
トランプ兵士「・・・・・・」ザシュッ
桃太郎「避けるとは・・・!この兵士、なんという柔軟な動き・・・!」ヒュン
キモオタ「ブヒイイィィ!ティンカーベル殿!早くしていただきたい!」ヒュオッ
桃太郎「避けるだけでは何も変わらぬ!拙者がなるべく武器を弾く、キモオタは体当たりでもなんでもして相手の体勢を崩すのだ」キーン
アリス「ふふっ、さすがは日本一の桃太郎ってだけはあるね・・・でもボクは世界一のおとぎ話の主人公なんだ、辺境の島国のトップなんかには負けない」ゴソゴソ
キモオタ「ブヒイイィィ!また何か出すつもりでござるか!?」
アリス「警戒しないでよ、小さなフラミンゴとキノコさ。こっちが大きくなるキノコだったかな・・・ほら、食べるんだ。そしてボクの槌になってもらおう」
フラミンゴ「クエックエッ」ムシャムシャ
キモオタ「キノコを食べたフラミンゴがみるみる大きく・・・!」
アリス「ボクも攻撃に移らせて貰うよ?それじゃあ試合開始だ。キモオタ、君はクリケットって知ってるかな?」グイッ
アリス「さあ、ハリネズミ達・・・ボクの側においで」
ハリネズミ「フルシュシュル!」トテトテ
アリス「さぁ、始めよう・・・女王陛下式のクリケット。フラミンゴの槌、球はハリネズミ・・・当たったら血が出るなんかじゃすまないよ?」
キモオタ「ぶ、ブヒイイィィ!桃太郎殿!なんとかならんでござるか!」
ヒュン
桃太郎「・・・・・・」
ヒュン
桃太郎(なるわけねぇだろおおおおぉぉぉ!もういっぱいいっぱいだってえええぇぇ!!こいつキモオタの敵なんだろ!?マジふざけんなよもおおおおぉぉぉ!!)キッ
キモオタ「そんな目で見られても困りますぞ!」ドスドスドス
アリス「ふふっ、ちょっと劣性だね?・・・じゃあ、ライオンは別の場所から町を襲ってくれる?ここは一人でいいかもね」
ライオン「ひ、ひとりなの?アリスちゃんと一緒がいいなぁ・・・」
アリス「ふふっ、仕方ない、じゃあボクと一緒に二人をねじ伏せよう」
ライオン「う、うん!一緒にねじ伏せ・・・あいたっ!」
ズダーン
ライオン「か、かかか、顔に銃弾が!?ねぇねぇアリスちゃん!僕の顔おかしくない?変形してない!これ!マズいよぉマズいマズい」
赤ずきん「今のは牽制よ・・・あなた達、黒幕の仲間ね?」
ライオン「ねぇねぇ!アリスちゃん!まずいよあの娘!殺すつもりの娘だよ!ここは逃げようよ!かかしも言ってたよ、戦略的撤退っていう奴だよ!ねぇねぇ!」
赤ずきん「・・・死にたくなければ逃げなさい。でなければ、次は弱音を吐く口が残っていないかも知れないわよ?」ガシャッ
ライオン「うわああああぁぁぁ!!」ビクビク
赤鬼「おいおい、あんまり脅かすな・・・可哀想だろうが」
キモオタ「飛ばしておりますなwww赤ずきん殿www」
赤ずきん「【不思議の国のアリス】・・・・・・」ガシャッ
アリス「始めまして、赤ずきん。ボクは君に会えて嬉しいよ」フフッ
赤ずきん「私はそうでもないわよ?・・・・・・ああ、でもいくつか聞きたいことはあるわね」
アリス「いいよ、答えられる質問なら答えてあげるよ。君とはいえお話ししてみたかったんだ、【赤ずきん】も知名度の高いおとぎ話だからね、ボクとも話が合うと思うんだ」フフッ
赤ずきん「あなたの・・・黒幕側の目的は何なの?」
アリス「ボク達の目的、そうだね・・・」
ライオン「お、おしゃべりしてる場合じゃないよ!逃げようよ!あの娘のずきん見てみなよ!あれ返り血だって!返り血浴びすぎて洗っても落ちないくらいに血が染み込んでるんだよ!まずいよまずいまずい!」ガタガタ
ティンカーベル「なんだか桃太郎みたいなのが向こうにもいるね・・・」
桃太郎(ティンク!どこで町民たちが見てるか分からないんだからやめろよ!それに・・・)
桃太郎「油断できぬぞ・・・臆病に見えるが、先ほどの立ち回り・・・実力を備えている」
アリス「直接彼女に聞いてみなよ。あの娘がリーダーだからさ、ボクはその相棒ってところかな。でもボクはあの世界から連れ出してくれた彼女に感謝しているし、単純に大好きなんだ。だから彼女の冒険につきあってる」
赤ずきん「彼女っていうのは・・・そのライオンやブリキの木こりの友達かしら?」
アリス「そこまで推理できているなら、ボクが答える必要は無いんじゃないかな?自分の目で確かめてみなよ」
赤ずきん「・・・・・・えぇ、そうするわ」
ティンカーベル「・・・・・・キモオタ、気になってることあるよね?」
キモオタ「なんですかなwww」
ティンカーベル「さっきからアリス、自分のおとぎ話が世界で一番だって言ってるんだよ?」
キモオタ「言ってましたな・・・でも実際にそう言えるレベルの知名度を持っているのではないですかなwww」
ティンカーベル「今は事実かどうかはどうだっていいの!じゃあなんで【不思議の国のアリス】は存在してるのに、アリスはここにいるの?一時的にいる感じじゃないよ?」
キモオタ「・・・確かにそうですな!主人公がおとぎ話をほったらかしにして別世界に居て、それこそ異変ですからな」
ティンカーベル「赤鬼みたいにちょっとだけ内容が変わった訳でも、赤ずきんみたいにおとぎ話が消滅した訳でも無いのに・・・!」
アリス「ふふっ・・・ティンカーベルとキモオタはおもしろいところに気がついたね」
ティンカーベル「・・・・・・!」
キモオタ「なにか魔法の力を使っているのですかな!?」
アリス「もっと単純な手段だよ。アリスはボクだけど、【不思議の国のアリス】にもアリスが居る。彼女がボクの変わりをしているんだ」
赤鬼「・・・代役って奴か!」
アリス「そうだよ、少し無理矢理お願いしたけれどね?」フフッ
赤ずきん「あなたのおとぎ話に同じくらいの年頃の女の子なんて居なかったはずだけど・・・?」
アリス「そうだね、だから別のおとぎ話の世界からボクの代役を連れ去ってきた」
キモオタ「なんですと!?」
アリス「その娘は今、【不思議の国のアリス】で健気に一生懸命アリスを演じているよ。ボクに逆らえば大切なお兄ちゃん・・・チルチル君が殺されてしまうからね」フフッ
ティンカーベル「チルチルって・・・【青い鳥】の主人公の!」
キモオタ「【青い鳥】というと・・・以前ティンカーベル殿を誘拐した!」
ティンカーベル「そうだよ!あのファミチキのとこの主人公の兄妹!」
赤ずきん「兄のチルチルを人質にして妹のミチルに無理矢理アリスを演じさせる。そうやって自分のおとぎ話の消滅を防いでまで、あなたは別の世界に行きたかった・・・」
アリス「ふふっ、その通りだ・・・それに、ボクには世界を渡る手段がないからね。それを解決するためにもチルチルには犠牲になってもらったんだ」
赤鬼「自分の目的に為に関係ない奴を犠牲にするとは・・・!」
アリス「そんな事より今はボクがこの世界でなにをするつもりなのかのほうが大切なんじゃないかな?」
赤ずきん「・・・そうね、私たちと遭遇することも計算済みなんでしょう?」
アリス「そうだよ。ボクはこの【桃太郎】のおとぎ話を消すつもりでここにいる。なんて言えば君達はそれを阻止する、そうだろう?」
キモオタ「もちろんでござろう!我々はそのためにここにいるのでござるからな!」
アリス「頼もしいね。現実世界の人間のくせに、自分たちに何でもできるとでも思っているのかな」
アリス「特別に答えを教えてあげるよ。桃太郎」
桃太郎「・・・何を言うつもりだ?」
アリス「ボクは鬼ヶ島の鬼の味方をする。だから次に君たちに会うときはおもいきり潰しにいくよ。言っておくけれどボクの戦力はまだまだこんなもんじゃないよ?」
桃太郎「・・・・・・」
アリス「それじゃあ次は、鬼ヶ島で会おう。ほら、ライオンもいつまでもビクビクしてないで」
ライオン「だって!アリスちゃんと喋りながらたまにこっち睨んできてたんだよ、あの娘!でもお話終わったなら逃げるんだね!うんうん、それがいいよ最善だよ!」
アリス「さぁ、トランプ兵士!撤退する、戻ってくるんだ」ヒョイ
シュルルルルッ
桃太郎「兵士たちが紙へと戻っていく・・・!」
キモオタ「アリス殿!ちょっと待つですぞ!」
赤鬼「おう、あんな話を聞いてこのままほっては置けないよなぁ!」
ティンカーベル「そうだよ!ここで捕まえてやるんだからね!逃がす訳ないんだもん!」
赤ずきん「ええ、私達の目的はあなたとおしゃべりだけする事じゃあ無いのよ」ジャキッ
アリス「ふふっ、そう来ると思ったよ。でも、君達はボクを倒せない」
ライオン「いいからいいから!挑発とかやめようよ!はやく行こうよ!」
アリス「それじゃあ、鬼ヶ島でまた会おう。次はもっとすごい玩具で相手をしてあげるよ」
ヒュン
ティンカーベル「待てー!逃げるなー!」
キモオタ「一瞬のうちに姿を消しましたな・・・」
赤鬼「また魔法具って奴を使ったのかもしれないな・・・」
赤ずきん「でしょうね、どちらにしても私たちの目的もはっきりしたわね」
桃太郎「あの娘は鬼ヶ島へ行くと行っていたな・・・」
ティンカーベル「鬼の味方するとも言ってたね!」
キモオタ「桃太郎殿の鬼退治を妨害するつもりですな・・・」
桃太郎「・・・・・・」
ティンカーベル「桃太郎・・・頑張ってあいつらなんとかしようね?」
桃太郎「・・・・・・」
赤ずきん「逃げるなんて選択肢、あなたには無いわよ?」
桃太郎「・・・・・・頼みがある」
キモオタ「何ですかなwww」
桃太郎「・・・・・・鬼ヶ島の悪鬼に加えて妖術使いの娘に猛獣。まとめて相手をするとなると拙者たちだけでは厳しい。お主等の実力を見込んで頼みたい。」
桃太郎「お主等に拙者の鬼退治を手伝って欲しい」
キモオタ「もちろんですぞwwwアリス殿の悪巧みを止めねばwww」
赤鬼「退治・・・必要だと思うが、できれば更正させたいんだ。俺としては」
赤ずきん「それは先の問題ね、私達はどちらにしても鬼を無力化しなければいけない。まぁ、マスケットの出力は調整しておくわね」
桃太郎「・・・・・・」
ティンカーベル「ねぇねぇ、桃太郎」
桃太郎「どうした、ティンカーベル」
ティンカーベル「赤鬼もね赤ずきんも強いよ。私とキモオタはちょっと頼りないかもだけど・・・だからさ」
桃太郎「・・・・・・」
ティンカーベル「怖がらなくっても大丈夫だよ」ヒソヒソ
桃太郎「・・・・・・かたじけない」ボソッ
キモオタ「では城下の被害を何とかしたら準備をして鬼ヶ島へ行きますかなwww」
桃太郎「そうするとしよう。拙者は怪我人の治癒へ・・・」
赤鬼「オイラは力仕事を手伝ってくるかな!」
キモオタ「我輩はも行きますぞwww」
赤ずきん「キモオタ、あなたとティンクは私と一緒に来て欲しいわね」
ティンカーベル「どうしたの?」
赤ずきん「アリスの戦力について・・・情報をまとめておきましょう」
城下町の隅
キモオタ「アリス殿の情報をまとめるんでしたな・・・」
赤ずきん「ええ、片鱗とはいえ黒幕側の戦力を知ることが出来たものね。きちんと戦闘に活かさなければ、勝てるものも勝てないわよ」
ティンカーベル「魔法具もたくさん持ってるみたいだしね・・・」
赤ずきん「そうね、まずは私達が知っている範囲でのアリスの魔法具を書き出してみましょうか・・・キモオタ、お願いできる?」
キモオタ「おまかせあれwwwどんどんいってくだされwww書いていく故www」
ティンカーベル「えっとねぇ・・・アレとアレと・・・」
アリスの魔法具
兵士に変化するトランプ
食べると大きくなるキノコ
食べると小さくなるキノコ
ティンカーベル「こんな感じかな?フラミンゴをちっちゃくしたならきっと小さくなる方のキノコもあるよね」
赤ずきん「そうね、あと推測の段階だけど・・・これも持っているはずよ」カキカキ
世界移動ができる帽子
キモオタ「それもアリス殿のおとぎ話に出てくるのですかなwww」
赤ずきん「違うわ。アリスの世界では不思議な出来事が多すぎるから、どの魔法具を持っているか特定するのは難しいわね」
ティンカーベル「この世界移動の帽子ってチルチルのだよね?」
赤ずきん「アリスは言っていたでしょう?世界を渡る手段がないからチルチルに犠牲になってもらったって」
キモオタ「言っていましたな!ではその帽子をチルチル殿から奪ったということですかな」
赤ずきん「そうでしょうね・・・当然これ以外にも魔法具を持っているでしょうけど」
キモオタ「アリスの代役をミチル殿という女の子に無理矢理させているとも言っていましたな・・・ティンカーベル殿、この兄妹はどういった人物ですかな?」
ティンカーベル「仲がいい兄妹だよ、青い鳥を探していろんな世界をチルチルの帽子を使って一緒に冒険したんだよ。でも【青い鳥】はもう消滅してる・・・だからこそアリスはチルチルを人質にとってミチルを従わせているんだよ・・・許せない!」
赤ずきん「私のおとぎ話は消滅しているのに知名度が高いなんて言っていたもの。それって・・・意図的に消したってことになるものね。もう一人の娘かアリスか、どっちの仕業か知らないけれど」
赤ずきん「黒幕側におとぎ話を消す罪悪感なんて存在しない。だから平気でおとぎ話を消す、そして関係ないチルチルミチル兄妹を犠牲にできるのね」
ティンカーベル「絶対にこの世界を消させない!それにミチルもチルチルも助ける!」
赤ずきん「チルチルが人質になっている以上・・・アリスの世界に易々とは手が出せないわよ?」
ティンカーベル「でもいつかは絶対に助ける!今じゃなくても!」
キモオタ「そうですな、まずは鬼ヶ島へ行くでござる。これですな!アリス殿の思い通りにはさせませんぞ!」
城下町・壊れた家屋
赤鬼(笠装備)「資材はここに置いたらいいのか?」
町民「あぁ、そこに置いてくれ。すまねぇな、旅の途中だっていうのに・・・」
赤鬼「いやいや、困ったときはお互い様だ、なんでもいってくれ」ドサッ
町民「ありがとな、けど運ぶ資材はもうこれで最後だ。それにしても兄ちゃんいいガタイしてるなぁ!力持ちだし、こりゃあ鬼も真っ青じゃねぇか!」ハッハッハ
赤鬼「お、おう・・・・・・ん?」チラッ
・・・
町のおっさん「いや、一時はどうなるかと思ったが桃太郎が来てくれて助かったなぁ」
町の商人「そうだなぁ、桃太郎に任せておけば鬼も猛獣も怖くねぇやな!怪我人の治療も頼めるしなぁ」
町のおっさん「流石は正義の英雄だぁ、困ったこたぁ全部解決してくれるもんなぁ・・・」
町の商人「んだなぁ、あんな立派な奴ぁ他にいねぇぞぉ」
・・・
赤鬼「・・・・・・」
赤鬼(桃太郎は間違いなく町人達の英雄だが・・・)
赤鬼(これは・・・桃太郎が受ける重圧も相当なものだろうな・・・)
赤鬼(桃太郎は・・・治療の最中か)
シュゥゥゥゥ
桃太郎「・・・・・・これで傷の治療は完了した。おばあさん、しばらくは無理なされぬよう」
町のばあさん「ありがたいですだぁ・・・ナンマンダブナンマンダブ・・・」
桃太郎「うむ・・・これで治療は終了か・・・キモオタ達の所へ向かうとしよう」
赤鬼「桃太郎。終わったか?」ヌッ
桃太郎「・・・・・・」ビクッ
赤鬼「・・・どうかしたか?」
ズズッ
桃太郎「い、いや、なんでもない・・・キモオタ達の所へ行くのであろう?」
赤鬼(さりげなく距離取られたな・・・ちょっと傷つくぞこれは)
赤鬼「桃太郎はこのあたりに住んでいるのか?」
ザザッ
桃太郎「いや・・・この城下町は大きな町、だからか鬼の襲撃も多い。そのため一時的にこの辺りで野宿をしている」
赤鬼「野宿は大変だろう?オイラと赤ずきんが滞在している宿を紹介しようか?そこそこ安いぞ」
ザザッ
桃太郎「・・・ありがたい話だが遠慮しておく。拙者には鳥獣の供がいる・・・それに拙者を狙う悪鬼に襲撃されては関係ない民まで巻き込むことになる」
赤鬼「そうか・・・いや、そういうことならいいんだが。うちはほら、赤ずきんがいるだろう?年頃の娘だ、なるべくなら野宿は避けたいと思っているんだ。あいつは気にしてねぇみたいだがなぁ」
ザザッ
桃太郎「・・・気にしているにしろしていないにしろ、安全が確保できるならそれに越したことはないであろう」
赤鬼「桃太郎・・・」
ザザッ
桃太郎「どうかしたか・・・?」
赤鬼「少しずつ距離をとるのは止めてくれ、流石に傷つくぞ」
桃太郎「・・・・・・善処いたす」スッ
赤鬼「やはり鬼は憎いか?」
桃太郎「・・・憎くないと言えば偽りとなる」
赤鬼「・・・そりゃあ、仕方ねぇ事だな・・・・・・悪鬼といえど鬼は鬼。この城下町で悪さしてる奴もオイラと同じ種族には違いないからなぁ」
桃太郎「ただ・・・先ほど自ら針鼠の討伐を請け負い、町の修繕に手を貸す姿。なによりあの赤いずきんの娘やキモオタ、ティンクがお主を恐れていない様子を見ると・・・赤鬼殿は悪鬼ではないのだと解る。おそらく、鬼とは言え優しきものやおとなしき者もいるのだろう。だが・・・」
赤鬼「・・・・・・」
桃太郎「悪鬼でなくとも鬼は鬼。やはり、恐ろしい」ボソッ
赤鬼「まぁ、そりゃあ仕方ねぇなぁ・・・」
桃太郎「しかし・・・優しき鬼おとなしき鬼がいるならば・・・お主が善き鬼だと言うのならば・・・恐怖に捕らわれ、浅はかな偏見でお主を始めとする善き鬼を避け続けるのは不誠実というもの・・・とは言え」
赤鬼「・・・・・・」
桃太郎「今しばらく、時間を頂戴したい。この性格は幼少よりのもの・・・そう容易くは、改善できぬのだ」
赤鬼「焦ることはない。オイラはこの世のすべての鬼が悪鬼ではないとわかってもらえれば、それでいいんだ」
桃太郎「・・・・・・かたじけない」
城下町の隅
ティンカーベル「あっ!桃太郎!赤鬼!もう終わった?早かったね!」
桃太郎「拙者の治癒能力が必要な程、重傷を負った者は少なかったのでな・・・」
赤鬼「オイラの方は、旅人だからって遠慮されたような気がするが・・・まぁもういいって言ってくれたからな、引き上げてきた」
赤ずきん「そう。それなら準備を整えて、鬼ヶ島へ出発する準備を整えましょう・・・それと、桃太郎」
桃太郎「どうしたのだ・・・?」
赤ずきん「あなたのお供・・・ハリネズミの討伐に行くと言って町を出て行ったけれど・・・平気なの?」
桃太郎「そうか、拙者の供は見た目以上に戦える。安心せよ。おそらく、鬼ヶ島へ旅立つ前の露払いを買って出たのであろう・・・」
キモオタ「なんと気が利く仲間でござるかwww」
桃太郎「拙者が故郷の村を出発した頃からの長い付き合いとなる供なのでな・・・」
ティンカーベル「あの子達の前だと思った桃太郎も素になるもんね!」
桃太郎「ティンクよ、拙者はいつだってありのままの姿だが・・・?」
桃太郎(んもぉぉぉ!そろそろ慣れてよ!)ジッ
ティンカーベル(桃太郎の反応面白いなぁ・・・)
キモオタ「とりあえず必要な物を揃えますぞwww食料は必須でござるなwww米とwww肉とwww」コポォ
赤鬼「ぶれないなキモオタは!ガッハッハ!」
ティンカーベル「・・・桃太郎はさ、鬼ヶ島までの道のりわかる?どうやって行くのかわかんないんだけど、私達・・・」
桃太郎「ここからなら少し距離はあるが道のりはわかりやすい。このまま南に降ると港がある、とはいえ寂れた村だが・・・そこで舟を借りる。そこまで行けば鬼ヶ島の姿を見ることが出来る、あとは漕いでいくだけというわけだ・・・」
赤ずきん「なんだか大人数になってしまうけれど、平気かしら?」
テ桃太郎「問題は無いだろう。もし難しければ二隻借りてもいい・・・しかし、問題は舟よりも・・・この人数で鬼ヶ島に潜入できるかどうかだ」
キモオタ「舟で簡単にいけるのでござろうwww上陸するのは容易いのではwww」
ティンカーベル「うーん・・・そうかなぁ?桃太郎が三人の悪鬼を追い払ったとき、リーダーっぽい鬼が逃げていったでしょ?見張りとかいるよ、多分だけどさ」
キモオタ「確かにそう言われると難しくも思えますな・・・」
赤ずきん「・・・私は、逆に容易いと思うわよ?アリスの目的はこのおとぎ話を消すこと・・・それなら侵入を防ぐよりも、あえて進入を許して・・・」
赤ずきん「鬼ヶ島から逃げ場をなくした上で、私達を・・・桃太郎を潰しに掛かると思うけれど」
桃太郎「・・・・・・」
キモオタ「赤ずきん殿wwwもう少しオブラートに包んでいただきたいwww」コポォ
赤ずきん「・・・味方に気を使うよりも、確実に勝利する手段を模索しなさい、キモオタ。出発は明日の早朝、各々で準備を済ませてもう一度ここに集まりましょう」
キモオタ「んんwww把握しましたぞwww」
ティンカーベル「うん!しっかりと準備しないとね・・・」
桃太郎「長く険しい道のりになる・・・それぞれ、心して掛かろうぞ」
赤鬼「荷物は俺に任せろ!」
赤ずきん「それじゃあ、明日・・・全員揃ったら、鬼ヶ島へ出発。いいわね?」
同時刻・鬼ヶ島
門番の悪鬼1「・・・ふぅ、暇だな。門番っつってもこんな所に来る奴いねぇよ」
門番の悪鬼2「まぁな。・・・そういやぁ、こないだ余所者の鬼が来たっていう話聞いたか?」
門番の悪鬼1「おう、聞いた聞いた!なんでもよその町で悪事を働いて、そこに要られなくなったとかなんとか・・・そういや、そいつはどうなったんだ?」
門番の悪鬼2「さぁなぁ・・・なんでも大親分に『うちでの小槌』のありかを聞いたもんだから、大親分の怒りにふれて・・・どうなったかまではしらねぇな・・・」
門番の悪鬼1「ふーん・・・ん?・・・おい、舟が一隻来るぞ」
門番の悪鬼2「なにっ?桃太郎とかいう奴か?それともまた余所者の鬼か?」
門番の悪鬼1「・・・いや、どっちでもねぇ・・・ありゃあ、人間の娘っ子か・・・?」
アリス「海、ひさしぶりだな・・・潮風が気持ちいい。そうだろう、かかし、ライオン」
かかし「まったク・・・自分が非力だからってオレに梶を任せるかネ?」ギーコギーコ
ライオン「ま、まぁいいじゃない。持ちつ持たれつってやつだよ・・・アリスちゃんは戦いでは一番大切な役割なんだし・・・」オドオド
かかし「お前はそうやっテ!アリスを甘やかし過ぎだゾ!こいつはあくまで俺たちと同列なんダ!」ギーコギーコ
ライオン「で、でもぉ・・・」
かかし「まぁ確かニ、アリスには戦闘で頑張って貰ウ。しょうがないナ・・・今はしっかりと休んでおケ」ギーコギーコ
アリス「ありがとね、かかし。お礼においしいオレンジマーマレードをあげるよ。ボクの大好物なんだ、どうだい?」フキフキ
かかし「お前の食べ残しなんかいらんワ!・・・待て待テ!オレの服でべたべたした手を拭くんじゃなイ!」
アリス「ふふっ、まぁいいじゃないか。そろそろ上陸の準備をしないといけないからさ」スクッ
ライオン「つ、強そうな鬼が二人もいるよぉ・・・どうする?僕もいかなきゃまずい?できれば、アリスちゃんにお願いしたいけど・・・あ、でもあくまでできればだよ?それに僕みたいな奴の意見を聞いてやる気無くなっちゃったなら僕がお詫びに戦うけど・・・」
アリス「いいよ、ライオン。ボクが行く」
かかし「相手は鬼だゾ?平気なのカ?」
アリス「もちろん、全然平気さ・・・そうだ、今回はあれを使ってみようかな」
ライオン「あれ?あれってどれ?どの魔法具?」
アリス「ふふっ、戦いって言うのは攻撃だけじゃないのさ。ボクは大好物のオレンジマーマレードを食べて幸せな気分だからね」スタッ
アリス「彼等にも幸せな気持ちになってもらおうかな」カチャッ
翌日早朝 城下町
桃太郎「・・・・・・拙者が一番乗りか」
キジ「流石に早く来すぎたんじゃないだろうか・・・」
犬「誰も来てないですからねー・・・ちょっと張り切りすぎましたかね」
猿「いやいや、鬼ヶ島へ行くにあたって主役となるのは桃太郎だ。ビシッと決めておく必要がある」
桃太郎「・・・・・・」
赤鬼「・・・おお、桃太郎もう来てたか!おはようさん」
赤ずきん「・・・ぉはよ」グシグシ
桃太郎「おはよう。どうしたのだ、赤ずきんは随分と眠そうだが・・・」
赤ずきん「・・・・・・手入れしてて・・・マスケットの・・・・・・夜更かししちゃっただけ・・・」グシグシ
赤鬼「そのうち完全に目が覚めるから、こいつは朝弱いみたいでな・・・半分寝てるんだよ」ガッハッハ
赤ずきん「・・・ねてない」ペチン
桃太郎「そういう事ならばよい、あとはキモオタとティンクだが・・・」
赤鬼「・・・おっ、来たみたいだぞ」
ティンカーベル「キモオタ!私たちが最後だよ!急いで急いで!」
キモオタ「ぶひぃぃぃwww目覚ましも無いというのにこんな早朝によく起きれますなwww申し訳ないwwwおはようござるwww」コポォ
桃太郎「揃ったな・・・では先ずは今回の旅についてもう一度話しておこう」
桃太郎「この地図を見て貰おう、鬼ヶ島への道のりは昨日話したとおりだ。距離はあるが単調な道のりだ・・・今からならば、多少の休憩を入れても今日の夕刻には港にはたどり着けるだろう。明日、舟を借りて鬼ヶ島へ乗り込む。という手筈だ」
キモオタ「時に桃太郎殿www質問があるでござるwww」
桃太郎「・・・言ってみよ」
キモオタ「そもそも鬼ヶ島とは一体なんなのですかなwww」
桃太郎「鬼の住処・・・いや、悪鬼の巣窟と言うが正しかろう。拙者は今までに何度か悪鬼と刀を交えている・・・しかし、赤鬼殿のような温厚な鬼には出会ったことがない」
赤鬼「俺も鬼ヶ島が普通の鬼の集落だとは思えない・・・おそらく、集落を追われた悪鬼が集まって根城にしているという所だろうな・・・」
赤ずきん「・・・・・・」
ティンカーベル「じゃあここにいる鬼はみーんな悪鬼ってこと?」
桃太郎「おそらく、そうであろうな・・・・・・」
キモオタ「なるほど・・・そのうえアリス殿が味方をするとなると厳しいですなwwwしかしやるしかないwww」コポォ
港へと続く道
キモオタ「うはwwwこれから夕方まで歩き詰めだと思うとwwwモチベーションが上がらないwww」コポォ
ティンカーベル「最初っからそんな気持ちじゃだめだよ!キモオタは普段運動しないからちょうどいいの!」
キジ「それならば、道中お互いの話をしながら進むというのはどうだろう?親睦を深める意味合いも兼ねて」
犬「いいね!みんなと仲良くしたいからね!」
猿「俺はお前とは仲良くしたくねぇけどな」ケッ
犬「こっちこそ御免被るわ、エテ公が」
桃太郎「二人ともやめろ。だが、キジの案は良いな・・・拙者も皆の話には興味がある、では赤鬼殿と赤ずきんは何故旅をしているのか・・・話してはくれまいか?」
赤鬼「・・・そりゃあもちろんかまわねぇけど、なぁ赤ずきん」
赤ずきん「正直に言うと、重いわよ。私が旅にでた理由」
桃太郎「・・・・・・」
キモオタ「会話が途切れましたぞwww」
ティンカーベル「はいはい!じゃあ私が旅にでた理由話すよ!」
キモオタ「いやいやいやwww結局重い話でござろうwwwもっと盛り上がる話題にしてはいかがですかなwww」
数時間後
ティンカーベル「じゃあ次の話題は・・・好きな食べ物!いい?好きな食べ物だよ!」
キモオタ「どうでもいいでござるがwww完全にネタ切れでは無いですかなwww好きな食べ物ってwww」
ティンカーベル「仕方ないじゃん!旅にでた理由は予想通り暗くなっちゃうし!面白い話とかも語り尽くしちゃったし!」
赤鬼「まぁいいじゃないか、キモオタ。こういう話でお互いの好みを知っておくのも役に立つだろう?」
キモオタ「別に反対しているわけではないのでござるよwwwでは我輩からいきますかなwwwピザにハンバーガーに・・・美味しいものはたくさんあるものの一番は肉ですなwww牛肉がうますぎて困りますぞwww」
ティンカーベル「いちごジャム!あとベーコン!」
赤ずきん「シチュー。ブロッコリーが入っていない物に限るけれど」
赤鬼「そうだなぁ・・・迷うが果物は好きだな、あとは熊だな。桃太郎はどうなんだ?」
桃太郎「拙者を育ててくれた祖母の得意だった、きびだんご・・・これだろうな、拙者の好物は・・・」
ティンカーベル「桃太郎はおばあさんとおじいさんと一緒に暮らしてたんだっけ?」
桃太郎「そうだ。拙者の出生はあまりに有名だ・・・知っているであろう?」
キモオタ「えっと・・・確か、桃から生まれたんでしたかなwww」
桃太郎「そうだ。拙者の祖母が洗濯に出かけた川で拾い上げた桃より生まれた・・・それがこの桃太郎というわけだ・・・」
桃太郎「・・・・・・」
赤ずきん「どうかした?桃太郎」
桃太郎「いや・・・このあたりでひと休みするとしよう。少し入ったところに、人気の少ない川沿いがある」
キモオタ「賛成ですぞwwwそろそろ疲れてきましたからなwww」
桃太郎「それにお主等には・・・話しておこうと思っている事がある」
ティンカーベル「話しておくことって?」
桃太郎「大きな声では言えぬが・・・・・・拙者が何故、正義の英雄としてここにいるのか。何故、真の想いを隠しているのかという事だ」
赤鬼「あそこまで町人たちに隠してきたとはよほどのことだろう。・・・無理にいう必要はないんじゃないか?」
桃太郎「いや、鬼ヶ島への旅に同行して貰いながら黙っているのは不誠実というもの・・・どちらにしろ、お主等には拙者の本性を知られているのだ。それに・・・」
ティンカーベル「・・・・・・?」
桃太郎「お主等にならば、話しても問題ないと思うが同時に・・・拙者はお主等には知っておいてもらいたいのかもしれぬ」
人気の少ない川沿い
桃太郎「拙者が桃から産まれたという話は先程もしたな・・・」
ティンカーベル「うん!おばあちゃんが川から桃を拾ってきて、その桃から産まれたんだよね!」
桃太郎「そうだ。拙者の祖父母には子供が居なかった事もあって、二人は赤ん坊だった拙者を育てることに迷いは無かったらしい・・・それどころか実の息子のように可愛がって、育ててくれた」
キモオタ「それはそれはwww優しいお婆殿とお爺殿に育てられたわけですなwww」
桃太郎「みなしご同然の拙者に祖父母は本当に良くしてくれた・・・貧しいながらも祖母はよくきびだんごを作ってくれた、自分が食べられないときも拙者には食事を与えてくれた。祖父も芝刈りの技術や畑仕事・・・生活に必要なことを教えてくれた」
赤ずきん「貧しいながらも、幸せな暮らしだったというわけね?」
桃太郎「・・・・・・拙者はそう思っていた。ある日まではな」
犬猿キジ「・・・・・・」
桃太郎「皆は・・・村八分という言葉を知っているか?」
赤鬼「・・・・・・ああ、解る」
桃太郎「拙者の家は・・・村八分にされていた。原因は他でもない、拙者だった」
ティンカーベル「むらはちぶ?なにそれ?」
赤鬼「村・・・集落で掟を破ったり秩序を乱した者に対する制裁行為・・・といえば聞こえはいいが、集落内で結束して特定の家との関係を絶つことだ」
キモオタ「つまりどういうことですかな?」
赤ずきん「要するに・・・その村八分というのにされた家は村から除け者にされ・・・あらゆる協力をして貰えない。という事かしら?」
赤鬼「そうだな。村で共同で使っている井戸や集会所は使えない。食べ物や薪なんかの燃料なんかも手に入りにくい」
ティンカーベル「なにそれ!イジメじゃん!許せないよ私!桃太郎んちが何したっていうのさ!」
桃太郎「気持ちは嬉しいが、ティンカーベル。お前は拙者の他に、川を降ってきた桃から生まれた・・・などという人間を知っているか?」
ティンカーベル「それは、知らないけど・・・」
赤鬼「村人たちは・・・『桃から産まれた』お前を異端だと判断したわけか・・・」
桃太郎「既に祖母は子供を産める年齢では無かった。そんな老夫婦が何故か子供を育てている。聞けば桃から産まれたと言う・・・そんな得体の知れない子供を育てているというのは気味が悪かったのだろう」
キモオタ「・・・なんという、偏見ではござらぬか!そんなもの・・・!」
桃太郎「祖父母は気にしなくていいと言ってくれた・・・。しかし、拙者は・・・耐えられなかった。貧しい生活や周囲に虐げられている理不尽が耐えられなかったわけじゃない、ただ優しいだけの祖父母が虐げられているのが・・・耐えられなかった・・・!」
キモオタ「・・・・・・」
桃太郎「拙者は・・・家の手伝いをする傍ら、裏山で必死に体を鍛え・・・我流ではあったが剣術の稽古も行った。村に訪れた旅人に話を聞いたり、流浪の剣豪に稽古を付けてもらったり、なんでもやったものだ・・・やがて剣術は村一番の腕前に成長していた」
ティンカーベル「あの強さは努力のたまものだってことだね」
桃太郎「それと拙者には生まれ持った治癒能力があった。祖母は、村人に不気味に思われるといけないから使わないようにと言っていたが・・・積極的に使うことにした。村人達からの村八分はすぐには無くならなかったが・・・拙者が害獣や悪人を斬り伏せ、村人の手助けをするうちに・・・」
桃太郎「村人達の祖父母や拙者に対する態度は変わった。お互いに協力して暮らせるようになった。いや、むしろ拙者の行いに感謝され・・・食事に困るようなことは無くなった」
キモオタ「それはよかったではござらんかwwwあきらめないということは常々重要ということですなwww」
桃太郎「ああ。祖父母も喜んでくれた、村人達も拙者たちへの仕打ちを反省してくれた・・・だが、ひとつ気がかりなことがあった」
赤ずきん「・・・・・・」
桃太郎「拙者は剣術を身につけ治癒能力を操り、人々の役に立ってきた・・・しかし、拙者が手も足もでない敵が現れたら?治癒能力が突然消え失せたら?・・・どうなる?答えは考えるまでも無かった」
桃太郎「拙者が使い物にならなくなれば・・・また元の生活へ戻る。村八分にされ生活するのも厳しい、そんな思いを祖父母に・・・いや、ばあちゃんやじいちゃんにさせることになる。それだけは絶対に嫌だった」
桃太郎「だから拙者はとにかく出来ることはなんだってやった」
桃太郎「害獣退治も悪人の成敗もした。もちろん、どれだけ訓練をしてもこの性格は直らなかったから、どんな相手と戦っているときも心の中にあるのは恐怖だったよ」
桃太郎「恐ろしくない敵なんか一人だって、一匹だって居なかった。でも、そこで恐怖に打ち勝てずに無様な姿をさらして、じいちゃんばあちゃんを悲しませるのはもっと怖かった」
桃太郎「だからとにかくがむしゃらに戦った。戦って、戦って、戦って・・・どんどん強くなれた。札付きに悪人や人々を悩ませる獣を倒して・・・有名にもなって・・・そしてまた戦ううちに更に強くなった。それと同時に、正義の英雄としての姿を取り繕うのもうまくなった」
桃太郎「でも、有名になればなるほど・・・強くなればなるほど・・・その英雄の仮面は外せなくなったんだ。勇猛果敢に、凛々しく、正々堂々と・・・そんな仮面の下ではいつだって泣き顔だ、恐怖心を騙しながら、拙者を纏う嘘偽りが綻びを見せないように・・・」
桃太郎「今回の鬼ヶ島の鬼退治だって、依頼されたときはもう内心大泣きだったさ。でも断ることなんか・・・出来ない」
桃太郎「もちろん、町の人が喜ぶし助かるのは嬉しい、拙者もそうなってほしいと思う、その気持ちに嘘偽りはないけれど・・・だけど、やっぱり、拙者が戦う一番の理由はじいちゃんとばあちゃんなんだよ」
桃太郎「・・・それが『正義の英雄・桃太郎』の本当の姿ってことだ」
桃太郎「お前たちには聞いてほしかったんだよ、犬猿キジも拙者の大切な友達だけど・・・」
桃太郎「お前たちに拙者の本性がばれたのは偶然だったけど、知られたのがおまえたちで良かったって思っている拙者もいる」
ティンカーベル「桃太郎!!」
桃太郎「うおぉぉ!?何だよもぉ!びっくりするだろ!」
ティンカーベル「全然おかしくないよ!桃太郎はおじいちゃんやおばあちゃんのためだって言ってるけど、私だって元々は自分の世界を取り戻すためだけに旅にでたもん!」
赤鬼「周囲から虐げられる辛さってのは俺も解るぞ。そんななか挫けずに家族を守ろうとするお前は、強いとオイラは思うぞ」
赤ずきん「守れる家族があるなら・・・絶対に守り抜きなさい。居なくなってからじゃあ、どうしようもないんだから」
キモオタ「そうですぞwww桃太郎殿の本心がどうあれ事実がどうであれwww桃太郎殿が町人たちに感謝されていることは間違いないでござるよwww」
ティンカーベル「そうだよ!桃太郎が私たちの仲間だってことも!そうだよね?」
赤鬼「ああ、そうだぞ!」
キモオタ「もちろんですぞwww」
赤ずきん「そうね」
キジ「当たり前だろう」
犬「もちろんだよ桃太郎!」
猿「クソ犬と意見が被るのは癪だが・・・俺だっておなじだぞ桃太郎!」
桃太郎「お前たち・・・!」
桃太郎「お前ら・・・拙者を感動で泣かせるつもりか!」ジワッ
キモオタ「何をいっているのでござるかwwwこれから鬼ヶ島へ行くというのにwww桃太郎殿にしっかりして貰わなければwww」
桃太郎「そ、そうだな!」
ティンカーベル「でもさ!桃太郎って町の人とかが見てないところだと素になっちゃうよね?」
桃太郎「お、おう・・・なんつうか・・・誰も見てないと思うと油断して素になるっていうか・・・臆病な本心が露わになるっていうか・・・」
ティンカーベル「・・・鬼ヶ島って、人間いないんじゃない?そんなので・・・大丈夫なのかな?キリッとできる?」
桃太郎「そうか、人間いないか・・・そ、そうかもしれんけども・・・大丈夫だよな?なぁ!お前ら、そうだろ!俺なら素でも頑張れば鬼に勝てるだろ!?なっ!」
赤鬼「・・・・・・どうだろうな」
キモオタ「何ともいえませんなwww」
赤ずきん「・・・・・・さぁ、どうかしら」
キジ「・・・・・・すまん」
犬「・・・・・・」
猿「・・・・・・」
桃太郎「なんなんだよおおぉぉ!ひとりぐらい大丈夫って言えよおぉぉ!!さっきの感動を返せよもぉぉぉ!!イヤだもぉー!実家帰りたいわ拙者ぁぁー!」ジタバタ
・・・
赤鬼「よーし、人数分は魚採れたぞー。焚き火の準備はできたか?」ザバー
赤ずきん「ええ、出来ているわ。赤鬼、貸してちょうだい。腸を取ってしまうから」スッ
ティンカーベル「私も手伝うよ!」フンス
犬「おーい!木の実採ってきたよ!」
猿「俺は果物も採ってきたぞ、猿は木登りできるからな!」
犬「へっ、なに自慢気に言ってるんだか・・・」
猿「は?柿ぶつけるぞボケが」
キジ「やめろお前ら、水くみにいくぞ」
ワイワイ ガヤガヤ
桃太郎「・・・・・・」
キモオタ「どうしたんですかなwww桃太郎殿wwwみんなの輪に混ざれないのですかなwww」
桃太郎「いや、なんでだよ。そうじゃなくてさ・・・さっきも話したけど拙者は素の姿を犬猿キジとじいちゃんばあちゃんにしか見せてなかったから・・・人前で自分をさらけ出すのって楽だなーって思ってさ」
桃太郎「まぁ人前って言ってもキモオタ達の前だけだけど。今は英雄の仮面かぶってる必要無いわけだしさ」
キモオタ「そりゃあそうでござるよwww友達とはそういうもんでござろうwww」コポォ
桃太郎「はははっ、そうか・・・そういうもんかー」
桃太郎「でも、実際問題さ・・・キモオタ達は俺の話聞いても、態度変えたりしないけどさ。それでも俺はほかの奴らにはこの事は言えないし、これからもずっと英雄の仮面を被り続けると思うんだよ」
キモオタ「なるほどwww」
桃太郎「それって・・・どうなんだろうなー・・・結局は町人たちを騙してることになるだろ?」
キモオタ「いや、ならんでござろうwww」
桃太郎「そう?拙者は臆病な本性を隠して英雄っぽく振る舞ってる。それって嘘になるだろ?」
キモオタ「何をwww実際問題、桃太郎殿は獣退治も治癒もしているでござろうwwwどこにも嘘など無いのではwww」
桃太郎「うーん・・・それはそうなんだけどさ、拙者に対するイメージというか・・・それを裏切ってる訳だろ?」
キモオタ「桃太郎殿は真面目ですなwww」
桃太郎「そうか?」
キモオタ「他人の期待に応えるのはいいでござるがwww実際の自分とのギャップを恥じる必要はないでござろうwww」
キモオタ「我輩も素と外面のギャップがもの凄いですからなwww」
桃太郎「ははっ、いやいや笑っちゃったけども。さらっと言うことじゃないだろ」
キモオタ「いやいやwww桃太郎殿と話をしている今のこれは素の状態なのでござる、おとぎ話の・・・いや、旅先では我輩は素になれるんでござるよwww」
桃太郎「じゃあ・・・故郷では、逆に素になれないのか?」
キモオタ「そうですぞwww現実世界・・・我輩の住んでいるところでは全く喋りませんからなwww完全に沈黙www」コポォ
桃太郎「普通は逆じゃないのか?地元で素になれるけど、外では仮面をかぶるみたいな・・・」
キモオタ「うーんwwwなんといいますかなwwwこれ内緒でござるよwww桃太郎殿www特にティンカーベル殿にはwww」
桃太郎「うんうん、言ってみてくれ」
キモオタ「我輩www子供の頃はよく喋る子供でしてなwwwここだけの話、運動も得意でござったwww」コポォ
桃太郎「今は少し歩いただけでも息切れしているキモオタがか?」
キモオタ「昔は痩せてましたからなwww」コポォ
キモオタ「よく喋る半面www子供ですからな、言わなくて良いことまで喋ってしまったりwww調子に乗ってしまうこともありましてなwww」
桃太郎「まぁ子供なんてそんなものだろう?」
キモオタ「今思えばそうなのですがなwwwまぁ、当時は我輩も子供で周囲も子供でござったから・・・まぁなんというか、小学校・・・ここでは寺子屋ですかなwwwそこの子供たちの中でまぁ・・・除け者にされておりましてwww」
桃太郎「そうだったのか・・・」
キモオタ「まぁのけ者にされるだけでwww危害を加えられたりしなかったのでござるがなwwwその頃に思ってしまったんですなwww」
キモオタ「人前では喋らない方が楽だとwww」
桃太郎「・・・・・・」
キモオタ「ちょwww桃太郎殿wwwこれ暗くなる話じゃないでござるwww」コポォ
桃太郎「しかし、辛くなかったわけではないだろう?」
キモオタ「まぁどちらかといえばそうでござるがwwwでも、それからはもう、人前で喋らないのが当たり前になってましたからなwww」
キモオタ「だから桃太郎殿の行動には素直に感心するのでござるよwwwのけ者にされたからといって逃げ出した我輩と違い、桃太郎殿は現状に立ち向かっているわけですからなwww」
桃太郎「いやいや、そんな大層なもんじゃないけど・・・」
キモオタ「だから誇っていいと思いますぞwwwいっそのこと、死ぬまでカッコつけるくらいの勢いでいいのではwww」
桃太郎「そうかもな・・・ここまでやったなら、カッコつけ通すか・・・!」
キモオタ「それがいいですぞwww」
キジ「おーい、桃太郎。赤鬼が呼んでるぞ」
桃太郎「えぇっ!?赤鬼殿が・・・!?拙者何かした!?」ビクッ
キジ「してねぇよ。魚焼けたから来いってさ」
桃太郎「なんだ・・・なら行くよ。キモオタも行こう、まだ赤鬼殿は若干怖い」
キモオタ「いい加減になれてもいいのではwwwいいですぞwww」
キジ「いや、俺とキモオタはちょっと話があるから後で行く」
桃太郎「マジか・・・まぁ犬猿と赤ずきんとティンクもいるし・・・先行ってる、話終わったら来いよ」ダッ
キジ「さて・・・キモオタよ、話というか・・・頼みがある」
キモオタ「なんですかなwww」
キジ「桃太郎の事なんだが・・・みての通り、普段のあいつはちょっと頼りないだろ?いや、かなり頼りない」
キモオタ「そうですなwwwって、本人いないからって言い過ぎですぞwww」コポォ
キジ「それはおいといて、だ。俺は・・・桃太郎には鬼退治は早いんじゃないかって思ってる」
キモオタ「ほうwww」
キジ「いや、今まで戦った鬼や・・・聞いた話から推測すると・・・桃太郎の実力なら鬼ヶ島の鬼討伐はおそらく、なんとかなる」
キモオタ「ならいいのではないですかなwww」
キジ「いいか、キモオタ。確かに桃太郎の実力ならいける・・・でも、実力を発揮する事ができればの話だ。さっきティンクが桃太郎に言っていただろ、『人間がいない鬼ヶ島でキリッと出来るのか』って」
キモオタ「そういえば言っておりましたなwww」
キジ「詰まるところ、そこなんだ・・・あいつは実力はあるのに自信が足らない。だから仮面をかぶる必要がある町人の前では実力が出せるが・・・誰もみていないところでは駄目だ、からっきしだ」
キモオタ「そこで我輩に頼みというのはwww」
キジ「あいつに自信をなんとかつけてやってほしいんだ。無茶な頼みだってのは解ってる・・・だが実力が出せないとあいつに鬼退治は出来ない」
キモオタ「んんwwwどちらにしても我輩は桃太郎殿のサポートしか出来ませんからなwwwそれくらいおやすいご用ですぞwwwできるかどうかは別としてwww」コポォ
キモオタ「我等は仲間でござるからなwww」
キジ「・・・すまん、頼んだ」
キモオタ「しかし、キジ殿は桃太郎殿を心配しているのですなwwwてっきり、きびだんごを貰ったからお供をしているのだとばっかりwww」
キジ「あのなぁ・・・よく考えてみろよ。命懸けの鬼退治ときびだんごが釣り合うか?」
キモオタ「まったくそうは思いませんなwww」コポォ
キジ「桃太郎は知らないだろうがな・・・俺も犬も猿もあいつと同じ・・・桃太郎の住む村の近くに住んでいたんだ」
キモオタ「実は昔からのなじみであったと?」
キジ「いや・・・当時の桃太郎は俺達のことを知らないはずだ。でも俺達は見てたんだよ、必死に修行する桃太郎の姿を、逆境に抗う桃太郎の姿をな。だから、犬や猿と決めたんだよ。桃太郎が成長したら、あいつの家来にでも何でもなって桃太郎を助けてやろうってな」
キモオタ「なるほどwwwつくづく桃太郎殿は・・・カリスマ性があるのかないのかわかりませんなwww」
キジ「違いねぇな・・・だけどな、あいつがどう思ってようが俺たちにとってのあいつは『日本一の桃太郎』なんだよ。いや、この国の誰もが思ってるはずだ。あとは桃太郎本人がその自信を持つだけだ」
キモオタ「英雄のお供も大変ですなwww」
キジ「全くだな、まぁでもお供とか関係無いさ。純粋にあいつが好きだから俺たちは一緒にいるのさ」
キモオタ「そうでござろうな・・・それにおそらく桃太郎殿も同じ考えでござろう」
キジ「そうかね・・・まぁそうかもな」
赤鬼「おーい!キモオタ!キジ!お前らの魚焼けてるぞー!」
キジ「じゃあ行くか」
キモオタ「そうですなwww赤鬼殿www我輩の分大盛でお願いしたいwww」
その日の夕暮れ 鬼ヶ島
ドサッドサッ
悪鬼「うぐぐ・・・」
アリス「さて、とりあえず20人の悪鬼を倒したけど・・・あぁ、挨拶が遅れて申し訳なかったね。君が鬼ヶ島の親分かな?」
大悪鬼「どういう事だこれは・・・・・・!」ワナワナ
アリス「どういうことって・・・みての通りさ。君の子分たちはボクにやられたよ。ボクにはそれだけの能力があるという事、君に知ってほしくてね」
大悪鬼「この鬼ヶ島は、行き場をなくした札付きの悪鬼の溜まり場・・・!どいつもこいつも力自慢の猛者ばかりだというのに・・・!」
大悪鬼「このような小娘と獅子・・・ただのかかしにねじ伏せられたのか!?」
かかし「オレ達は特に何もしてねぇんだけどナ」
ライオン「さすがだよ・・・アリスちゃんさすがだよ!でも鬼20人引きずって来るのはもう正直嫌だよ・・・あぁ!嫌っていってもアレだよ?いい意味でっていうか、ちょっと疲れたかなーっていうかんじっていうか、正直疲れてないけど・・・なんていうかごめんね?」
大悪鬼「何者だ・・・小娘!」
アリス「ボクはアリス。でもこれかなり手加減したんだけど」
大悪鬼「何を望む・・・!?この大悪鬼の座か!?」
アリス「ボクはもっとふかふかしたクッションの椅子がいいな。だから君はそのまま鬼ヶ島の親分をしていたらいい、ボクは君達の味方をするためにここにきたんだ。」
大悪鬼「味方だと・・・?」
アリス「ボクの知り合いが桃太郎と一緒にここにくる、君達には歓迎の準備を手伝ってほしいんだ」
翌日 鬼ヶ島への舟
・・・
・・
・
ティンカーベル「・・・ここまではすっごく順調だね」
赤鬼「あぁ、舟も難なく借りれたしな・・・少し順調すぎて怖いが」ギーコギーコ
赤ずきん「それだけアリスには自信があるんでしょうという下手な小細工なしで・・・鬼ヶ島で私達を殺す算段が」
キモオタ「ちょwww赤ずきん殿wwwもうすこしソフトな言い方をしていただきたいwwwでないと・・・」
桃太郎「うあああああああ」ガタガタブルブル
キモオタ「更に船が揺れることになるのでござるがwww」
赤ずきん「桃太郎。覚悟決めなさいな」
桃太郎「覚悟!?拙者ここで死ぬの!?死ぬための覚悟なんかなんの意味もねぇだろおぉぉ!!もぉ嫌だあああぁ!今からでも引き返そうよおおぉぉ!」
キジ「そうもいかねぇだろ・・・町人たちになんて言い訳するんだよ。怖くなったから帰ってきましたっていうのか?」
猿「犬が無能でしたって言えばいいんじゃねぇか?」ヘラヘラ
犬「あ?魚の餌になりてぇのかテメェ」
キジ「話がこじれるから黙ってろお前ら!」
桃太郎「言い訳とか無理じゃんそんなの!八方塞がりじゃんかもぉぉぉ!!」
赤ずきん「・・・・・・」ガチャ
赤鬼「やめろ赤ずきん!気持ちは分かるが舟が沈む!」
桃太郎「駄目だ・・・ビビりすぎて吐きそうだわ拙者・・・」
ティンカーベル「あっ!あそこに漁師さんいるよ!おーい!」フリフリ
桃太郎「鬼ヶ島の悪鬼め・・・この桃太郎が成敗してくれよう!」キリッ
ティンカーベル「なんちゃって!嘘でしたー!」ヘラヘラ
桃太郎「なんだよおおぉぉぉ!!そういう冗談本当にやめろよぉぉ!本っ!当にっ!やめろよティンクお前もぉぉぉ!!」
ティンカーベル「桃太郎の緊張をほぐそうと思って!妖精ジョークだよ!」フンス
桃太郎「優しさだったのかよ!ありがとねってならねぇよもぉぉぉぉ!勘弁してよもぉぉぉぉ!!」
キモオタ「桃太郎殿www落ち着いて頂きたいwwwカッコつけ通すのでござろうwwwここはカッコつけておいて余裕を見せねばwww勝てるものも勝てませんぞwww」
桃太郎「うぅ・・・そうか・・・仕方ない・・・出来るだけ頑張るけども・・・」
赤ずきん「・・・どう?そろそろ見えてきたかしら、赤鬼」
赤鬼「・・・見えてきたが、どうも様子がおかしいな」
ティンカーベル「どゆこと?」
キジ「門はあるのに門番が居ない。それ以前に門が開きっぱなしだ・・・」バッサバッサ
鬼ヶ島
桃太郎「・・・・・・遂に上陸というわけか」
ティンカーベル「桃太郎、もう恐くない?」
桃太郎「正直、恐い・・・しかし、そうも言ってられぬだろう」
キモオタ「そうですなwwwどっちにしろここまできたからには勝つ気持ちでいかねばwww」
赤ずきん「そうね、桃太郎・・・あなた実力はあるんだから。自信持ちなさい」
桃太郎「お、おう・・・」
赤鬼「しかし・・・どうする?門番もいない、門は開けっ放し・・・こりゃあどう考えても・・・」
犬「罠じゃない?」
猿「・・・さすがに同意するしかねぇよ。罠だろこれ」
キジ「どうするんだ?もう少し様子を見るか?」
桃太郎「・・・しかし考えていても仕方あるまい・・・」
キモオタ「・・・ここは一芝居打ちますかな・・・ティンカーベル殿」
ティンク「・・・?」
・・・
ティンカーベル「うわー!私達ただの旅人だけど、迷ってこんなところにきちゃったー!」
キモオタ「参りましたなー!我々、ただの旅人だというのにー!そして貴重なお宝を持っていると言うのにー!襲われたらひとたまりもないですなー!」
ティンカーベル「ねー!怖いねー!もしここに悪鬼がいたら絶対に襲われるよー!そして大切な宝物が奪われちゃうねー!」
キモオタ「それは参りましたなー!我々は戦うすべがないでござるよー!」
シーン
キモオタ「・・・反応ありませんな」ヒソヒソ
ティンカーベル「ただの商人の方が良かったかな?」ヒソヒソ
赤ずきん「・・・・・・今のに引っかかる悪鬼がいたら色々と楽だったでしょうね」
赤鬼「しかし、反応はなかったが・・・門の向こうに気配を感じたな」
桃太郎「拙者もだ、鬼が潜んでいるのは間違いない」
キモオタ「リスクはあるでござるが・・・強行突破といきますかな?」
赤ずきん「気は進まないけれど・・・ね」
赤鬼「ちょっと待ってくれ・・・オイラに考えがある」スック
・・・
赤鬼「グワッハッハー!俺は鬼ヶ島の噂を聞きつけて悪鬼の仲間入りをしようとしている鬼だー!お前ら宝物をよこせー!
」
キモオタ「ひー!怖いですぞー!」ドスドスドス
ティンカーベル「宝物をおいて逃げようー!わー!」トテトテ
赤鬼「グワッハッハー!こいつを手みやげに、悪鬼の親分様に取り入ろう!きっと俺を重用してくれるだろう!グワッハッハー!」
赤ずきん「・・・・・・」
桃太郎「・・・・・・」
犬猿キジ「・・・・・・」
赤鬼「おーい!誰かいないのか!俺は悪鬼の仲間入りを考えている鬼だー!おまえ等の親分に貢ぎ物がある!入ってもかまわないか!?」
・・・・・・ホンモノノオニダゾ ドウスル ウーム イクカ ドウスル
・・・・・・ザワザワ
悪鬼1「・・・・・・お前か?今、ここで騒いでいたのは?」ガサッ
悪鬼2「訳があって潜んでいたが、俺達はこの時間の見張りだ。大悪鬼様に貢ぎ物があるだと?」ガサッ
赤鬼「ああ、そうだ!門の見張りは二人だけか?門も開いていたし不用心だな」
悪鬼1「そうだ、今は特別なんでな。さぁこっちだ、さぞ立派な貢ぎ物なんだろうな?下手な貢ぎ物だと許さんぞ」
赤鬼「・・・・・・だそうだ、赤ずきん」スッ
悪鬼2「ん?お前何を言って・・・」
ズダーン ズダーン
悪鬼1「ぐあっ・・・!」ドサッ
悪鬼2「くっそ・・・!」ドサッ
赤ずきん「なんでもやってみるものね・・・絶対失敗すると思ったけれど」ガシャ
キモオタ「赤鬼殿なかなか演技派ですなwww」コポォ
赤鬼「とりあえず門の見張りは倒したが・・・この様子じゃあ中も一筋縄じゃあいかないぞ?」
ティンカーベル「大丈夫だよ!ほかの鬼もこんな感じでしょ?余裕すぎるよ!」
キモオタ「ですなwww鬼ヶ島の鬼も大したことないですなwww」コポォ
ユラリッ
悪鬼3「・・・・・・ほう?そいつぁ心外だなぁ?」ガシッ
桃太郎「・・・キモオタ!おのれっ!近くに潜んでいたか!?」
キモオタ「ブヒイイイィィィ!?」
ティンカーベル「キモオタが捕まった!キモオタを離せー!」ポカポカ
悪鬼3「貴様らがあのアリスとかいうガキの言っていた桃太郎の一行か・・・」
赤ずきん「・・・そう簡単にはいかないってことね」ガシャ
桃太郎「・・・・・・そのようだ」チャキ
赤鬼「むぅ・・・やるしかないな!」グワッ
スウッ
悪鬼3「お前らあああぁぁぁ!客が来たぞおおぉぉ!!丁重に相手してやれえええぇぇぇ!!」グオオォォォ
ざわざわ ざわざわ
ざわざわ ざわざわ
悪鬼3「さぁ、こいつらの相手は直に来る。お前は牢にぶち込んでやろう」
キモオタ「ブヒイイイィィィ!も、桃太郎殿!我輩に構わず大悪鬼を倒すのですぞ!」
桃太郎「キモオタ・・・!」
悪鬼3「そこの妖精もついでだ」グイッ
ティンカーベル「だから羽根を掴むな!やめろバカー!」ジタバタ
赤ずきん「・・・・・・行くわよ」
桃太郎「し、しかしだな!」
赤ずきん「不幸中の幸いだけど・・・ティンカーベルがいればキモオタはなんとかなるわ。ここで私達がまとめてやられたらそれこそどうにもならなくなるもの」ボソッ
赤鬼「辛いが・・・今は目の前の敵に集中だ、桃太郎」ボソッ
桃太郎「・・・・・・分かった。来るぞ・・・!ここで立ち止まっていては囲まれる!敵の中を突っ切るつもりで走れ・・・!」
犬「いくよ!猿!キジ!」
猿「偉そうにすんな!言われなくても行くわ!」
キジ「空からの案内は任せろ!聞きこぼすなよ!」
赤鬼「赤ずきん!オイラの肩に乗れ!一気に突っ切るぞ!」
赤ずきん「えぇ、任せるわよ。・・・キモオタ、ティンク・・・!あとで必ず、会いましょう」
悪鬼3「ふん、後が貴様等にあればな・・・」
キモオタ「ブヒイイイィィィ!約束ですぞぉぉぉ!」
ティンカーベル「頑張ってね!赤ずきん!赤鬼!桃太郎!みんなー!」ジタバタ
鬼ヶ島 牢
ガチャガチャ ギィィー
キモオタ「ブヒイイイィィィ!」ドサー
悪鬼3「ここでおとなしくしているんだな、貴様等の処遇は後々決める」
ティンカーベル「レディはもっと繊細に扱ってよね!このデリカシー無し鬼!離せバカー!」ジタバタ
悪鬼3「やかましい奴だ・・・貴様を縛る綱は無い、この麻袋にでも入っていろ」グイッ
ティンカーベル「暗いんだよバカー!出せバカー!」ジタバタ
悪鬼3「やかましいぞ、大人しくしていろ。せめてもの恩情で仲間の骸くらいは拝ませてやる・・・楽しみに待っているんだな」
ガチャガチャ ギィィー
キモオタ「いやはや・・・参りましたなwww」
ティンカーベル「本当だよ!でもまぁ・・・私達は戦えないから、ある意味桃太郎達の足引っ張らなくて良かったのかも・・・」
キモオタ「それはそうかもしれませんなwww」コポォ
ティンカーベル「とりあえずここから出ないとね。私が麻袋から出られれば何とかなるんだけどなぁ・・・結構キツく口を縛ってあるから時間かかるかも・・・」
キモオタ「我が輩の両手も塞がっておりますしな・・・カッターナイフは有れどもリュックでござるし・・・ティンカーベル殿にがんばっていただくしか無いですな・・・」
牢の奥の人影「・・・・・・ティンカーベル・・・・・・だと・・・・・・?」
ティンカーベル「・・・えっ?キモオタ、誰かいるの?」
キモオタ「ブヒャッ!?まさか先客がいたとはwwwうるさくして申し訳ないwww」
捕らえられた鬼「構わん・・・それよりお前、ティンカーベルという名前を口にしたが・・・」
キモオタ「そうですぞwwwあの麻袋の中に我輩の友達が閉じこめられておりましてなwww」
捕らえられた鬼「・・・消失した【ピーターパン】のティンカーベルか・・・?」
ティンカーベル「・・・!そうだよ!ごめんね、ちょっと今はそっちが見えないんだけど・・・あなたはだれ?」
捕らえられた鬼「俺は鬼・・・悪鬼だ。【一寸法師】というおとぎ話からやってきた。訳あって・・・今は捕らわれの身だ」
捕らえられた鬼「俺はそのおとぎ話で主人公の一寸法師と戦う悪鬼だ」
キモオタ「【一寸法師】・・・どこかで聞いた名前ですなwww」
ティンカーベル「【一寸法師】・・・!知ってる!ほらキモオタ、赤ずきんが教えてくれたおとぎ話だよ!うちでの小槌っていう魔法具の!でも今は消えちゃったんじゃなかったっけ・・・えっと、名前聞いていい?」
捕らえられた鬼「名前など無い。普通に鬼とでも呼んでくれ」
キモオタ「しかし、それでは紛らわしいですからなぁwww」
ティンカーベル「じゃあ、ちっちゃい一寸法師の敵の鬼だから、おっきい大鬼!」
大鬼「呼び名はなんでも構わん。しかし、ティンカーベルに赤ずきんという名もでるとは・・・お前ら一体何者なんだ・・・?」
ティンカーベル「私はね、消えちゃった【ピーターパン】のおとぎ話を元に戻すために・・・それとおとぎ話の消滅を防ぐために旅をしてるの!」
大鬼「・・・・・・消滅したおとぎ話を元に戻す・・・?何か手立てはあるのか?」
キモオタ「今のところはまったくないでござるwww」
大鬼「だろうな・・・俺も消えてしまった【一寸法師】のおとぎ話を元に戻すために旅をしている」
ティンカーベル「仲間だ!じゃあさじゃあさ、大鬼はなにかおとぎ話を元に戻す考えあるの?」
大鬼「俺は・・・俺達の世界とは別のおとぎ話にうちでの小槌が無いか探している」
キモオタ「うちでの小槌は・・・【一寸法師】に出て来る魔法具でござろう?ほかのおとぎ話にもあるんですかな?」
大鬼「解らぬ、だが、うちでの小槌は鬼の種族に伝わる宝・・・鬼の登場するおとぎ話ならば可能性はあるのではないかと思ってな。
俺はおとぎ話とおとぎ話の境目を潜り抜ける道具・・・鬼の隠れ蓑を持っていたからそれを使って旅をしている、隠れ蓑はここの大悪鬼に奪われてしまったが・・・」
ティンカーベル「・・・ねぇ大鬼、大鬼のおとぎ話・・・【一寸法師】は何で消えちゃったの?聞いてもいい?」
大鬼「構わん。先程も話したが・・・【一寸法師】では俺は都を襲い悪事を働く悪鬼だった。つまり・・・主人公の一寸法師からみたら敵だ。だが、俺はその世界がおとぎ話の世界であり、結末の決まったものがたりであり、その結末で俺は一寸法師にやられると言うことも知っていた」
キモオタ「【シンデレラ】の魔法使い殿や【裸の王様】の大臣殿と同じというわけですなwww」
ティンカーベル「おとぎ話の世界にいながら自分たちの世界がおとぎ話だっていう自覚がある登場人物だね!それでそれで?」
大鬼「ある日俺は・・・元の筋書きとは違う・・・『俺が一寸法師を殺す』幻覚を見せられたら・・・いや、正確には見せられかけたというべきか・・・」
ティンカーベル「幻覚・・・!青鬼が言ってた鬼って大鬼の事だったんだ」
キモオタ「マッチ売り殿のマッチですな・・・!大鬼殿に幻覚を見せたのは黒幕の女の子の仕業だということですな・・・!」
大鬼「・・・あの娘のことも知っているのか。では、少し長くなるが話そう」
大鬼「【一寸法師】が消えた理由、そしてその娘のことをな」
大鬼「2人は【一寸法師】の内容は知っているか?」
キモオタ「まだちゃんと読んでいないのでござるwww」
ティンカーベル「ごめんね、私も・・・」
大鬼「構わぬ。・・・一寸法師という男はその名の通り一寸・・・お前たちの世界の言い方をするなら3cm程度だ、それほどに背丈の小さな男だった。
しかし大きな志を持っていた一寸法師は都へいき、大きな屋敷の家来にして貰った・・・ある事件があり、一寸法師はその屋敷の姫と共に旅をすることになる。
そこで悪名高い鬼・・・俺に出会い、退治し、うちでの小槌を手に入れる。そのうちでの小槌で背丈をのばした一寸法師は英雄となり幸せに暮らすというのが大体の物語だ」
キモオタ「・・・んん?ちょっといいですかな?」
大鬼「どうした?」
キモオタ「その話だと大鬼殿は一寸法師殿にやられるのでござるよね?」
大鬼「あぁ、そうだ。一寸法師が腹の中に入って針を振り回して暴れた後、最終的には目玉を抉られる」
ティンカーベル「そうなの!?一寸法師やりすぎじゃないの!?」
大鬼「そういう話の筋だからな」
キモオタ「・・・それを解っていながら、結末を受け入れたと?」
大鬼「・・・一寸法師はな。生まれつき背丈が一寸しかない、しかしどれだけの年月が経とうと一向に成長しない・・・」
ティンカーベル「もしかして・・・成長しないからって、桃太郎みたいに村の人に気味悪がられたんじゃ・・・」
大鬼「それだったらいくらかマシだったかも知れんな。幾年たっても成長しない一寸法師を不気味がったのは、他でもない一寸法師の両親だった。化け物ではないか・・・我が子でありながらそう思うようになり多い一寸法師は自ら家を出た」
キモオタ「なんという・・・日本の昔話の主人公はどこもそんなのばかりでござるな・・・」
大鬼「だからって訳じゃねぇけど・・・苦労が多い男だ、一寸法師は報われてもいいんじゃねぇかと思ったんだ、俺は」
ティンカーベル「目玉抉られるのに?」
大鬼「・・・それは、まぁ嫌だったが・・・だがどちらにしろ、俺と一寸法師は出会うことはなかったんだ」
キモオタ「異変が起きたからですな・・・」
大鬼「一寸法師との対決が迫ったある日、俺はある娘と出会った・・・それは物語の筋には含まれない出来事だった」
ティンカーベル「その娘が・・・黒幕!」
・・・・・・大鬼の回想 一寸法師の世界
女の子「こーんにーちわ!はじめまして!悪い鬼さん!」ヘラヘラ
大鬼(・・・何者だ?妙な着物だが・・・こいつ、このおとぎ話の人間じゃあねぇのか・・・?)
女の子「あれっ?無視?ちょっとー!ノリ悪いんじゃないかなぁ?そう言うのちょーっとイライラするんだけど!」
ブリキ「落ち着け、いきなり知らない奴に話しかけられたら警戒するもんだ」
ライオン「わかるわかる、知らない人に話しかけられたら怖いもんね。僕だったら全力で逃げちゃう・・・」
かかし「まずは自己紹介するんダ!それが人付き合いの基本だろウ!」
女の子「面倒くさー・・・そういうもんなの?」
大鬼(ブリキ人形、かかしにライオン・・・こいつ・・・?)
アリス「どっちだって構わないさ。ボク達はこの鬼に用事があるんじゃない・・・うちでの小槌に用事があるんだ」
大鬼「うちでの小槌を狙っているのか・・・お前ら!」
アリス「そうだよ。君の持つうちでの小槌は数ある魔法具の中でも屈指の逸品だろう?振るだけでどんな願いも叶うんだから」フフッ
アリス「おとぎ話を消すのも楽だろう?それがあればね」フフッ
大鬼「なんだと・・・!?おとぎ話を消すだって・・・!?」
かかし「うちでの小槌が手に入ったラ・・・俺はやっぱり脳みそを入れてもらいたいナ!俺はもうカラス共にバカにされない頭のいいかかしになるんダ」
ライオン「僕はねぇ、やっぱり勇気が欲しいよ。だからうちでの小槌に勇気をくださいってお願いするんだ!
・・・あ、でも僕が使うのは一番最後でいいよ?みんなが願いを叶えてから・・・一番最後でいいよ?」
ブリキ「ならば・・・俺は心を貰うとしよう。あの頃の気持ちを思い出すためにもな・・・」
女の子「私のお願いはね・・・アリス!なんだと思う?当ててみてよん!」
アリス「さぁ?降参だ、正解を教えて欲しいな」
女の子「諦めが早いなぁ!・・・私のお願いはね!今度こそブリキとかかしとライオンみんなの願いが叶う事!私達みーんなが幸せになることだよん!」ニコニコ
ライオン「優しいよ!ほんとに優しいよ!聞いた?アリスちゃん?こんな優しいこ他にいる?僕はもう泣きそうだよ、感動でね?」ジワッ
かかし「でもまずハ、手に入れないとナ」
ブリキ「そうだな・・・」
アリス「そうだね、さっさと奪ってしまおう」
大鬼「・・・脳味噌がほしいかかしに、勇気がほしいライオン、心がほしいブリキ人形・・・と銀色の靴の娘・・・お前ら、もしかして【オズの魔法使い】の・・・!!」
アリス「あぁ、随分と物知りな鬼だね。さぁ、面倒なことになる前に例のマッチを使ってしまおうか、ドロシー?」
ドロシー「オッケー!それじゃあ、見て貰おうかな!素敵な素敵な物語・・・あんたが一寸法師を殺す、そんな幻をね!」シュッ
ボワー
大鬼「なんだ・・・これは・・・!幻覚か・・・?」
大鬼(俺が一寸法師を殺す・・・?そんな事は・・・あっちゃいけねぇ・・・そうなっちまえばこのおとぎ話は消えちまう・・・!うぉぉ!)
アリス「いけない。ドロシー、避けるんだ」
ブォンッ
ドロシー「おっとっとぉー!いきなり金棒振り回すとか勘弁してよねー・・・ほらぁ、マッチ消えちゃったじゃん!」
アリス「仕方ないね・・・もう一本・・・」
大鬼「ふざけるなよお前ら・・・幻覚を見せるマッチ?それをどこで手に入れた・・・おとぎ話を消す?そんな事・・・なんのためにそんな事するっていうんだ!それでどれだけの命が消えると思ってる!?」
ドロシー「どれだけなの?教えてよ、かかし」ヘラヘラ
かかし「無茶ぶりはやめロ!知らんワ!」
アリス「君に教える義理は無いよ、ただボク達は必要だからそうするだけさ」
大鬼「そうか・・・だったら!」グッ
ドロシー「あぁ、抵抗は無理だと思うよん?ブリキもかかしもライオンもアリスも私も・・・強いよ?あんたは私達のおとぎ話知ってるみたいだけど、そのなかのまんまだとおもわないほうがいいんじゃない?」クスクス
大鬼「それぐらい・・・みればわかる。本来は俺がおまえたちを止める場面だろうが・・・どうも、不可能なようだ。他にどんな道具を持っているかもわからねぇ・・・俺一人でおまえたちを止めるのは無理だ」
アリス「へぇ、なかなか物分かりがいい鬼なんだね」
ライオン「じゃあさ、早くうちでの小槌もらっちゃお?そうしよ?もたもたしてて問題が起きちゃったらまずいよ?まずいまずい」
ドロシー「そうだね、じゃあ改めて!うちでの小槌ちょーだいな!」
大鬼「貴様等に渡して他のおとぎ話を消させるくらいなら・・・!」ゴロンッ
ドロシー「・・・あっ!」
グシャッ
ライオン「あああああぁぁぁ!!!うちでの小槌壊しちゃったよ!?」
アリス「お前・・・っ!」ギリッ
大鬼「・・・一寸法師と姫に謝らなければならんな。だが・・・これでお前たちの悪巧みにも使えねぇぞ?」
アリス「ドロシー・・・この鬼、殺してしまおう。せっかくこんなおとぎ話にまで来たって言うのに、こんな奴のせいで何もかも無駄になっちゃったからね・・・」
ドロシー「いいよ!ねぇなに使う?あっ!私にもアリスのあれ貸してよ!トランプ兵士!」
ゴゴゴゴゴゴゴ
かかし「いや・・・やめておいた方がいいナ。キーアイテムのうちでの小槌が壊れたかラ・・・このおとぎ話は消滅を始めていル・・・さっさと移動しよう」
アリス「・・・・・・仕方ないね。一度、ボクのおとぎ話に戻ろう」ファサッ
ドロシー「あーあ、うちでの小槌も手に入んなかったしつまんないのー!ほら、みんなそばにおいでよ、帰るよ!」カツンカツン
ヒュオン
大鬼「・・・消えた。世界移動の道具を使ったか・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴ
大鬼「成り行きとはいえ・・・このおとぎ話を消滅させたのはあいつらじゃない。この俺だ・・・!」
大鬼「一寸法師・・・姫・・・住人達・・・すまない。だが・・・」
大鬼「俺は必ずこのおとぎ話を元に戻す・・・自分がしたことのおとしまえは・・・必ずつける」
バサッ
大鬼「この鬼の隠れ蓑で・・・別のおとぎ話を渡り・・・うちでの小槌かそれに近いものを探す」
大鬼「どれだけ時間がかかっても・・・必ず、このおとぎ話を元に戻す・・・!」
・・・
大鬼「・・・という事だ」
キモオタ「ティンカーベル殿・・・遂にはっきりしましたな・・・!」
ティンカーベル「うん、黒幕の女の子の正体は【オズの魔法使い】の主人公ドロシー・・・!」
大鬼「というと、おまえ等も奴らに・・・?」
ティンカーベル「私のおとぎ話を消したのもドロシーだってあいつ言ってたよ、絶対に許さないもん!」
大鬼「しかし、そのためにはここを出なければな・・・ティンカーベルが捕らえられている麻袋をこっちによこせ。それくらいはできるだろう?」
キモオタ「いいですぞwwwしかしどうするんですかなwww」ザザッ
大鬼「俺も腕を縛られてはいるが、鬼の爪ならば袋を破くくらいは・・・容易い」ビリッ
ティンカーベル「ありがと!大鬼!じゃあ今度は2人の縄をほどくよ!」グイグイッ
キモオタ「かたじけないwww」
大鬼「すまんな・・・縄さえ解ければ、扉を破ることも可能だ。仲間のところにいってやれ、きっと心配しているぞ」
大鬼「ふんっ!」
ガシャーン
大鬼「よし、では脱出するとしよう・・・」
キモオタ「大鬼殿はどうするんですかな?別のおとぎ話へいくでござるか・・・?」
大鬼「おまえたちを助けてやりたいが・・・すまん、鬼の隠れ蓑を取り戻さねばならない、それに・・・俺が死ねば【一寸法師】のおとぎ話は元に戻せない」
ティンカーベル「ねぇ、大鬼は・・・本当は悪鬼じゃないよね?」
大鬼「なにをいってる?元のおとぎ話では紛れもなく悪鬼だったぞ?」
ティンカーベル「でも、優しいよ?一寸法師達のためにおとぎ話取り戻すんだもん」
大鬼「それは俺が知っていたからだ、自分の運命を一寸法師の境遇をな・・・だからやらなければならないと思った。それよりもティンカーベル、俺もおまえも目的は同じ、自分の世界を取り戻すことだ・・・絶対に叶えような?」グッ
ティンカーベル「うん!約束!」グッ
大鬼「それじゃあ、またいつか・・・!」ダッ
キモオタ「おそらく・・・大鬼殿は元々は悪鬼だった、しかし一寸法師殿の境遇を知って・・・それにいろんなおとぎ話を知って・・・心打たれて・・・改心できたのでは・・・」
ティンカーベル「どうなのかな・・・でも、なんだっていいよ!もう大鬼は私と同じ目標に向かって頑張る仲間だもん」
ティンカーベル「だから悪鬼とかそうじゃないとかいいの!」
キモオタ「そうでござるかwww」
ティンカーベル「それよりも、今は桃太郎達と合流しないと!」
キモオタ「そうですなwww思わぬところで黒幕の情報も手に入りましたしなwww」
ティンカーベル「うん!ちょっと時間かかっちゃったけど・・・大丈夫だよね?とにかく急ごう!」
キモオタ「ガッテン承知ですぞwww」
・・・
ウオオォォ! ウオオォォ!
犬「すごい数の鬼だね、さすがは鬼ヶ島だ・・・!」ダダダッ
「ウォォー!桃太郎を殺せー!大悪鬼様の手を煩わせるなァ!」
「手柄は俺のもんだぁ!テメェら覚悟しろォ!」
「殺せー!殺せー!手柄を立てれば褒美が貰えるはずだ!」
赤鬼「こいつぁ、キリがねぇな・・・!」ブォンッ バキバキ
猿「やべぇ、桃太郎!そっちにデカいのが行ったぞ!」ガリガリ
でかい悪鬼「貴様が桃太郎かァ!褒美は俺がもらい受ける・・・死ねぇ!」グワッ
スタッ
桃太郎「拙者は友を捕らえられ、虫の居所が悪い・・・今は容赦などできぬぞ!」シャキッ
でかい悪鬼「ぐあ・・・っ・・・!」ドサッ
「な、なんだあいつは・・・!」
「あれが桃太郎の力か!なんていう野郎だ・・・!」
「でかい悪鬼を一刀両断だと・・・!?」
桃太郎「哀れなる鬼に救済を・・・悪しき魂に浄化を・・・」チャキッ
桃太郎「拙者は桃から産まれし英雄、桃太郎!いざ、推して参る!」ダッ
ザワザワ ザワザワ
赤ずきん「ようやく調子が出て来たようね、桃太郎」
桃太郎「うむ、赤ずきんよ。今の我に討てぬ敵は無し・・・!拙者について参れ!犬!猿!」バッ
犬「よーし!いくぞぉ!ガウガウガウ!」ガブー
猿「いっちょやるかぁ!キッキッキー!」シュオッ
ガブガブッ
悪鬼「グオッ・・・この犬!足の腱を狙いやがったぞ!てめぇら気をつけろ!足の腱を噛み切られたら歩けねぇぞ!」
犬「へへっ!これなら噛みつきしか出来ない俺も鬼をやっつけられるもんね!どんどんいくぞー!」ガブガブッ
猿「おいおい、足の腱を狙うとかまどろっこしい戦法だなぁー」クスクス
犬「あ?ちゃんと鬼を無力化出来てんだろ、よく見ろやクソが」
猿「へっ!鬼を無力化するってのはな、こうやんのさ!」シュシュッ
ガリッ
悪鬼「グアァッ!この猿・・・!目玉を抉りに来やがった・・・!お前らぁ!猿にも気をつけろ!こいつすばしっこいぞ!」
猿「視界を奪ってやるほうがよっぽど効率がいいんだよ!まぁお前には届かないだろうけどな」クスクス
犬「は?じゃあ勝負じゃボケ・・・どっちが鬼を退治できるか・・・ズルすんなよクソ猿」ガウガウ
猿「ズルなんかしなくても俺の圧勝じゃボケ犬、負けたときの遠吠えの準備でもしとけよ」キキッ
悪鬼「用心しろォ!この家来どももなかなかやりやがる・・・!油断するんじゃねぇぞ!」
ウォォ!ウオオォォ!
「ウオオォォ!桃太郎も家来も駄目だってんなら、俺が狙うのは人間のガキだぁ!」
「そうだ!そいつが一番弱いはずだ!そいつを殺してあいつらの勢いを止めろォ!」
「ガキを乗せている赤鬼を取り囲め!」
赤鬼「取り囲まれたか・・・!」
赤ずきん「・・・心外ね、私が弱点になっているような言い方をされるのは。赤鬼、特訓でやったでしょう。あれをやるわよ」ガシャッ
赤鬼「おう、真上にぶんなげりゃあ良いんだよな・・・!よいしょぉ!」ブォンッ
悪鬼「なっ・・・!鬼が小娘を空高く放り投げたぞ!?仲間割れか・・・!?」
ヒュゥゥッ
赤ずきん「さぁ、痛いのが嫌なら避けなさい」ガシャッ
ズダダダダダダズダーン
悪鬼達「グアアアァァァァッ!」
桃太郎「赤鬼殿を中心にし、すべての敵が視界に入る上空から周囲の敵を一掃するとは・・・!」
スタッ
赤ずきん「さあ、これでも私が弱点だと思う鬼は掛かってきなさいな。お望みの場所を撃ち抜いてあげるわよ?」
「やべぇぞ・・・こいつら相当なやり手だぞ!?」
「馬鹿野郎、怯むんじゃねぇ・・・!とにかく攻めろ攻めろ!」
「鬼の実力みせてやらぁ!」
キジ「待たせたな・・・!大悪鬼の居所が解ったぞ!」
桃太郎「御苦労、敵の大将はどこにいるのだ?」
キジ「このまま真っ直ぐ島を奥に進んだ場所に大悪鬼が待ちかまえている!・・・子分の鬼もいくらか居たが、アリスやその仲間は見当たらなかった・・・!」
赤鬼「このままだとキリがない・・・!こっちの戦力が万全なうちに、一気に大悪鬼を叩くか!?」
桃太郎「・・・・・・」
赤ずきん「・・・桃太郎?」
桃太郎「・・・それが良かろう、大将を失えば敵は総崩れとなる・・・!進むぞ!」ダッ
赤鬼「おう!急ぐぞ桃太郎・・・!戦いが長引けばこっちが不利になる!」ダッ
シュッ
アリス「様子を見に来てみれば・・・随分と派手にやってるね。もう雑魚悪鬼は随分倒したんじゃないかな?」
赤ずきん「アリス・・・!」
アリス「せっかく来たんだ、ボクが相手をしてあげるよ。約束しただろう?次に会うときは思い切り君たちを潰すってね?」フフッ
桃太郎「このような時に・・・!刃を交える事、やむを得んか・・・?」
赤ずきん「いいわよ、桃太郎。無視して大悪鬼を目指しましょう」フイッ
赤鬼「いいのか・・・?」
赤ずきん「・・・桃太郎が鬼退治を達成出来なければこのおとぎ話は消滅する。ここで戦って桃太郎が死んでしまえばそこで終わってしまうのよ」
赤鬼「だったら大悪鬼の退治を優先にするってことか・・・」
アリス「へぇ、まぁ賢明な判断だろうね。ボクの相手をして君たち全員無傷とはいられないだろうしね」
赤ずきん「行きましょう、赤鬼。私達は彼女の話を聞いている暇なんてないもの」スッ
赤鬼「おう、わかった」
桃太郎「目指すは大悪鬼、ただ一人・・・!」
アリス「でも赤ずきん・・・君達は思い違いをしている。ボクが君達を容易く見逃すと思うかい?」
赤ずきん「・・・・・・」スッ
アリス「つれないな、赤ずきん。ボクに約束を破らせるつもりかい?まぁ、いいさ、君の意志は関係ない」ゴソゴソ
アリス「特別だ、素敵な笛を吹いてあげるよ。さぁ、赤ずきん、赤鬼・・・ボクの側へおいで」パッパパー
パッパパー
桃太郎「珍妙な笛を吹き始めたようだが・・・。赤鬼殿、急に立ち止まってどうしたというのだ?」
赤ずきん「体が・・・っ!」ググッ
赤鬼「・・・どういう事だ!体が言うことを聞かない・・・!」ググッ
桃太郎「体が?なんだというんだ・・・あの娘の笛か・・・!?」
アリス「陽気な音色だろう。気持ちが晴れていくと思わないかい?」フフッ
パッパパー パッパパパー
赤鬼「体が勝手に・・・アリスの方へ進んでいく・・・!なんでだ、抵抗ができないぞ!?」ググッ
赤ずきん「赤鬼・・・無理よ、アリスが吹いているのは魔法の笛・・・抗う事なんか出来ない・・・!」
桃太郎「赤ずきん!赤鬼殿!」
ビュオ
アリス「ようやく側に来てくれたね、二人とも」フフッ
赤鬼「どうなってるんだ一体・・・!新手の魔法具か!?」
赤ずきん「アリスあなた・・・持ち出したのは【不思議の国のアリス】の魔法具だけじゃなかったのね・・・?」
アリス「あぁ、そうだよ。全部は見せないけれど、出し惜しみをするつもりもあまり無いからね・・・さぁ、ボクと一緒に始めよう。戦争を」
桃太郎「・・・・・・っ!」
キジ「まずいぞ・・・桃太郎!」
犬「ライオンもどこかに潜んでるんじゃない!?」キョロキョロ
アリス「いいや、ライオンたちは大悪鬼のところで留守番だ。ここには手駒になる鬼が何人もいるからね」パチン
ゾロゾロ・・・ゾロゾロ・・・
赤鬼「ここにきて増援か・・・!」
アリス「さぁ、まずはこの悪鬼たちに任せてボクは──」
ヒュォ
アリス「少し離れた場所で様子を見させてもらおう。赤ずきんと赤鬼・・・二人の実力を見たいしね」フフッ
桃太郎「離れた場所に一瞬で・・・!」
赤鬼「瞬間移動だと・・・!」
赤ずきん「・・・魔法具の御披露目はもう結構よ、アリス」ガシャッ
アリス「そうかい?まだ他にもあるんだ、ボクの玩具はね」
赤ずきん「・・・さぁ、始めましょうか」
桃太郎「・・・・・・二人だけ危険な目に遭わせるわけにはいかぬ!この桃太郎、助太刀いたす!」ザッ
アリス「あぁ、桃太郎。悪いけれど君はお呼びじゃあない」パッパパパー
桃太郎「クッ・・・体の自由が利かぬ・・・!」ググッ
犬「ど、どうなってるんだこれ!」ググッ
猿「どんどん鬼ヶ島の奥の方へ勝手に進んじまう!」ググッ
キジ「あの娘の笛のせいか・・・!」ググッ
赤ずきん「桃太郎、アリスが吹いているのはおそらく【ハーメルンの笛吹き男】の笛・・・音色で人や動物を引き寄せたり遠ざけることができる魔法具・・・アリスがあなたを近づけないと決めたなら、こっちに来ることは出来ないわ」
アリス「その通りだ、ボクは赤ずきんと赤鬼の力が見たい。桃太郎は大悪鬼のところへいくといいよ」
赤鬼「ここはオイラ達に任せて、先に進め!桃太郎!」
桃太郎「・・・・・・っ!アリスはお主らに任せる。拙者は大悪鬼を成敗いたす・・・!後程会おう・・・!」ダッ
アリス「さぁ、邪魔者は消えた。せいぜいがんばって戦ってほしいね、でないと僕もつまらないし・・・このおとぎ話も【ハーメルンの笛吹き男】のように、消えてしまうよ?」フフッ
赤ずきん「・・・赤鬼。あなたは自由に動いて戦いなさい、私は後方から援護するから」スタッ
赤鬼「おい、大丈夫か・・・?敵に囲まれでもしたら・・・」
赤ずきん「平気よ。それに、私を肩に乗せたまま戦って勝てる相手でもないもの」
赤ずきん「気合い入れなさい、赤鬼。そうでなければ、私達の旅はここで終わってしまうでしょうからね・・・」ガシャッ
赤鬼「うむ・・・よしきた!うおおおぉぉ!!」ゴゴゴゴゴ
「あの鬼・・・人間の味方なんぞしやがって・・・!」
「だがあの気迫・・・ただ者じゃあねぇぞ!」
「やっぱりあのガキから狙うべきだ!」
悪鬼「うおおおぉぉ!!人間にしっぽを振るような軟弱ものに俺の金棒が受けられるかァ!」
ビュオン ガキーン
赤鬼「生憎だが、オイラも少しくらいは金棒の腕に覚えはある・・・!」
ビュオン ガキンッ ドシーン
悪鬼「この鬼・・・!俺全力の金棒を弾き返すとは・・・!」
赤鬼「さぁ、こい!悪鬼共!過去に捕らわれ悪を選ぶことなんか愚かだって事を教えてやろう!」ググッ
悪鬼「うおおおぉぉ!!」ダッ
ガキーン
赤鬼「悪鬼など・・・悪さをして人間に復讐するなど、なんの意味もない・・・!」ビュオン
悪鬼「グアアァァッ・・・!・・・クソっ、貴様は鬼のくせに人間に飼い慣らされたか・・・!」
赤鬼「違う!なぜ支配する側とされる側の関係しか見えないんだ・・・!縦の関係じゃない、仲間として協力し合う事が・・・何故出来ない!」ググッ
悪鬼「決まっているだろ・・・人間共は弱い!今こそ俺達悪鬼があいつらを支配する時・・・!」ビュオン
ガキーン
赤鬼「・・・それが愚かだと言うんだ!お互いに争うことに意味なんかない!」ザザッ
悪鬼「貴様がそういう想いを掲げるなら勝手にしろ、だがそんな甘い考えの奴に俺達は・・・大悪鬼様は決して敗れぬ!」
赤鬼「何故だ・・・何故・・・!」
悪鬼「それに弱い奴は弱点になる。貴様が仲間だというその人間のガキ・・・そいつを殺してしまえば、お前も戦う気力をなくすか?」
悪鬼「お前ら!誰でもいい!あのガキを狙え!」
赤ずきん「・・・・・・」ガシャッ
ウオオオォォ!!
悪鬼2「殺せ!人間のガキなんぞ一捻りだ!」
ビュオンビュオン ドゴォ!
悪鬼2「ぐ・・・あ・・・っ!」ドサッ
赤鬼「・・・言っただろう、あいつは俺の仲間だ。支配する側でもされる側でもない、だから・・・お前たちの相手はオイラだ!」ググッ
悪鬼「・・・その甘い考えが命取りだというのだ!ガキのお守りをしながら戦っていては・・・自分自身の守りが留守になる!」ビュオン
赤鬼「クッ・・・!防御が間に合わないか・・・!」
ズダーンズダーン
悪鬼「グアッ・・・!あ、の・・・娘かぁ!」ギロリ
赤ずきん「さっきから私のことをガキガキと言っているけれど・・・そのくらいにしておきなさい」スクッ
赤ずきん「そのガキに負けたとき、恥ずかしいわよ?」ガシャッ
悪鬼「グアッ!一斉に攻撃を仕掛けろ!相手は鬼だろうとガキだろうとかまわねぇ!とにかく休む隙を与えるな!」
ウオオオォォ!!
赤ずきん「赤鬼、自分の事くらい自分で守れる。私を気にせずにもっと自由に戦いなさいな」
赤鬼「だけど・・・お前」
赤ずきん「私を信じなさい。大丈夫よ、一緒に特訓したあなたは知ってるでしょう?」
赤鬼「・・・おう!さぁ、来るぞ・・・!ここが正念場だ、気合い入れるぞ赤ずきん!」ググッ
赤ずきん「ええ、そうね・・・さぁ、早いところ始末してアリスの相手をしてあげないとね。でないと、あなたも退屈でしょう?」
アリス「言うね、赤ずきん。相手はしてあげるよ、その悪鬼をみんな倒したらね?・・・さぁ、遠慮はいらない、さっさと殺してしまえ、悪鬼共!」
ウオオオォォ!!
赤鬼「ウオォッ!絶対にオイラは負けない・・・!」グイッ
ビュオンビュオン
赤鬼「人間と鬼が共存できる世界を作るまでは・・・悪鬼に屈しちゃいけねぇんだ!」
ビュオン
「グワアアアァァ!」
「くそっ、鬼の中でも相当だぞあいつは・・・!」
「ええい怯むな!数で圧倒しろ!」
「数でって言っても、あのガキが援護してるせいでなかなか・・・!」
ズダーン ズダーン ズダーン
赤ずきん「・・・・・・」ガシャッ
悪鬼「このガキィ!援護なんて小癪な真似を・・・グアッ!」
ズダーンズダーン
赤ずきん「近寄らないで欲しいわね。赤鬼に当てないように援護射撃するのは結構集中力を使うのよ」ガシャッ
悪鬼「畜生・・・こいつら・・・!」
ワーワー ワーワー
ビュオンビュオン ズダーン ビュオン ズダーンズダーン
アリス「・・・へぇ、二人は組むようになってからまだ日が浅いと聞いていたけど・・・」
アリス「とてもそうは見えない動きだ、特訓でも重ねたのかな」
アリス「赤鬼は鬼の持ち味である筋力とスタミナを生かして縦横無尽に金棒を振るい」
アリス「赤ずきんは魔法具のマスケットで的確に、そして時に連続射撃で赤鬼を援護・・・しかも、自分としては敵の間合いも考えて動けてる。だからこそ赤鬼は自分の攻撃に集中できる」
アリス「このコンビはなかなかに強いね、ボク達の邪魔をされちゃあこの先面倒だ・・・」
アリス「しかし、思ったより悪鬼が動けていないな・・・これは想定外だ・・・」
アリス「仕方ないな・・・」カチャ
ズダーン
悪鬼「グエッ・・・!」ドサッ
ビュオンビュオン
悪鬼「グウアアアァァ!!」ドサー
赤鬼「少しは減ったようだが・・・まだアリスを攻撃するには、悪鬼が多すぎる!」
悪鬼「まだまだ・・・俺はまだやれるぞぉぉ!!」グワー
ビュオンビュオン
赤鬼「何とかしてアリスをどうにかしないと、まずいぞ・・・だが」
赤鬼(特訓の成果だろうか・・・赤ずきんとの連携が思ったよりうまくいっている)
赤鬼(特訓の時はよく背中を撃たれたがな・・・だが今はあいつもうまく立ち回ってくれている、おかげで全力で動ける!)
悪鬼「ウォォォ!食らえぇぇ!」ビュオン
ズダーンズダーン
赤鬼「ええい!もうそろそろ終いにしたい・・・お前たち悪鬼の相手をしている時間はあまりないんだ!」ウオオォォ
ビュオンビュオン
悪鬼「ウオオオォォ!!食らえ鬼めぇぇぇ!」
赤鬼「ええい、かかってこい・・・!」
赤ずきん「・・・・・・うぐっ!」
赤鬼「!?」
赤ずきん「痛い・・・!赤鬼・・・はやく助けて・・・!」
赤ずきん「・・・・・・っ!」バッ
赤鬼「しまった・・・!今助けるぞ、赤ずきん・・・!」ググッ
赤ずきん「待ちなさい!赤鬼・・・!」
クルッ
赤鬼(なんだ・・・?赤ずきんの周りに悪鬼なんか・・・。おい、まさか・・・!)
赤ずきん「赤鬼!目の前の敵に集中しなさい!今の声は・・・」
赤ずきん「今の悲鳴は私じゃない・・・!」
ゴスッ
赤鬼「ガハッ・・・ぐっ・・・」ヨロッ
赤ずきん「赤鬼・・・!」
悪鬼「よし!鬼が体勢を崩した!一斉にかかれぇい!」
ウオオオォォ!!
赤ずきん(さっきの悲鳴は私の声そっくりだった・・・いいえ、ほぼ一致していたと言える)
赤ずきん(アリスの魔法具・・・可能性としてはそれだけど・・・今は赤鬼を助けないと・・・!)
赤ずきん「あなたたち赤鬼から・・・離れなさい・・・!」ガシャッ
アリス(赤鬼ボイス)「その必要は無い、赤ずきん」スィ
赤ずきん「アリス・・・!いつの間にか私の目の前に・・・!」
アリス(赤ずきんボイス)「びっくりしただろう?今は赤ずきん、君の声でボクは会話してる・・・面白い魔法具だろう?」フフッ
赤ずきん「今すぐ・・・そこを退きなさい!」
アリス(赤ずきんボイス)「感情的になるなんて君らしくないね。せっかくボクの手の内を一つあかすことができたんだ。喜んだらどうだい?なんなら君の声でいやらしいセリフの一つでも吐いてあげようか?」フフッ
赤ずきん「聞こえなかったかしら?それとも死なない自信でもあるのかしら・・・?」ガシャッ
アリス(赤ずきんボイス)「死なない自信?フフ、おもしろいことをいうね」
ペッ
アリス「あるに決まっているだろう?そんなもの」
赤ずきん(アリスが今吐き出したもの・・・!)
赤ずきん「チョーク・・・!」
アリス「怒っていても実は冷静なのかな?それとも、ボクが使った魔法具の正体を確認しようとしているあたり余裕があるのかな?」
赤ずきん「声が変わるチョーク・・・!あなた、一体どれだけのおとぎ話で好き放題してきたというの・・・!」
アリス「そんなの君には関係ないだろう?確かに今の魔法具は【狼と七匹のこやぎ】の狼から奪った、声を自在に変えるチョークだ。でも君がするべきは赤鬼の心配でもほかのおとぎ話の心配でもない」
赤ずきん「・・・っ!」
アリス「君自身の心配をしたほうがいい」フフッ
ズダーン
アリス「ふふっ、無理無理。無理だよ、ボクには当たらない。でも一応、お返しはしておくよ」
バチンッ
赤ずきん「ぐっ・・・!」
グイッ
アリス「おい、悪鬼共!そっちの鬼よりこの娘を先に始末するんだ。好きなようにするといい、八つ裂きでもなんでもね」ゲシッ
・・・
赤鬼「グッ・・・ぐぁ・・・!」ドサァ
悪鬼「ふん、倒してみれば他愛のない鬼だ。所詮人間に肩入れするような鬼だ、底が知れている」ゲシッ
「おい、アリスの命令だぞ?先にあのガキを始末しろとさ・・・」
「まったく、あいつが大悪鬼様に認められてなきゃ殺してやるのに・・・」
「まあいい、あのガキ好きにしろとさ・・・人間への日頃の恨みもある、八つ裂き程度じゃあおさまらねぇな」
「惨たらしく痛めつけてやるしかねぇ」
赤鬼「グッ・・・赤ずきん・・・・・・!逃げろ・・・!」
ズダーンズダーン
赤ずきん「・・・・・・」ゼェゼェ
赤鬼(オイラがあの偽物の声にだまされちまったから・・・急げ、早く赤ずきんを助けねぇと・・・!)
ズダーン
赤ずきん「クッ・・・離しなさい・・・!」ゼェゼェ
赤鬼(クソ・・・!体に力がはいらない・・・!動け、倒れている場合じゃない!赤ずきんが・・・殺されちまう!)
赤鬼(動け・・・動け・・・!!)
???「無様ヨ・・・」
赤鬼「なんだ・・・頭の中に声が・・・」
???「赤鬼ヨ・・・コノヨウナ末路デ・・・貴様ハ納得出来ルノカ・・・?」
赤鬼「納得出来るわけ無い・・・!」グッ
???「ソウダロウ・・・ナラバ、ソノ肉体ヲ我ニ預ケルガヨイ・・・」
赤鬼「・・・お前は一体・・・どこから話しかけている・・・?」
鬼神「我ハ鬼神。我ハ貴様ノ精神ニ潜ミシ鬼神ナリ・・・!直接貴様ト会話スルノハ初メテダナ・・・」
赤鬼「鬼神・・・!オイラが奇人病にかかったときのあの鬼神だと言うのか・・・!」
鬼神「ソウダ、ドウヤラ貴様ガ窮地ニ陥ッテイル様子ダッタノデナ・・・コウシテ語リカケテイルノダ」
赤鬼「・・・お前は『柊の薬』で無力化出来るはずだ・・・!現に今までだって・・・お前は姿を見せなかった」
鬼神「ソウダ、アノ忌々シイ薬ノセイデ我ハ自由ニ動ケヌ・・・貴様ノ精神ノ中デ・・・タダタダ時間ヲ無碍ニシ、過ゴスダケ・・・」
鬼神「ダガ、我ハ鬼ノ憎悪ガ産ミダシタ鬼神。ソシテココ鬼ヶ島ハ・・・我ノ原動力デアル『人間ヘノ憎悪』デ溢レテイル・・・」
鬼神「薬ノ効果ガアル故、完全復活トハイカヌガ・・・僅カナ時間ナラバ貴様ノ肉体ヲ使役デキルダロウ・・・」
鬼神「時間ニシテ数分程度ダガ・・・コノ程度ノ鬼ヲ一掃スルニハ十分ダ」
赤鬼「・・・お前に肉体を貸せば、赤ずきんを助けられる・・・」
鬼神「我ニアノ娘ハ興味ナイ。タダ宿主デアル貴様ニ死ナレルノハ・・・困ル、ソレスナワチ我ノ死デモアルノダ」
赤鬼「・・・・・・」
鬼神「時間ハナイ・・・ドウスルノダ・・・?」
赤鬼(信じてもいいのか・・・本当に数分だけなのか・・・?)
赤鬼(出任せを言って、俺の精神を奪うつもりじゃあ・・・ないのか?)
赤鬼(・・・・・・っ!)
赤鬼(でも・・・オイラの精神が奪われるとか・・・取り返しがつかなくなるとか・・・そんなこと・・・)
・・・
ウオォォ!ウオォォ!
悪鬼「娘を捕らえたぞ!」ウォォ
「うおおおぉぉ!殺せ殺せ!」
「四肢を引きちぎれー!」
「一思いに殺すなー!俺たちの怨みをぶつけろー!」
赤ずきん「・・・っ!」ジタバタ
悪鬼「観念しろ、ガキ・・・それとも抵抗する気の起きないように足でも潰してやろうか?」
ヒュガ
赤ずきん「うぐ・・・がぁ・・・っ・・・!」ベキベキ
・・・
赤鬼「そんなこと、知ったことか・・・!鬼神、オイラの肉体を貸してやる・・・!その代わり、赤ずきんを今すぐ助けろ!」
赤ずきん「・・・・・・っ」ガクッ
悪鬼「激痛で気絶したか。だが俺達の怒りはこんなもんじゃおさまらねぇ・・・叩き起こして次は両腕を・・・お、と・・・しっ・・・」ボトッ
ヒュオ
「お、おい!悪鬼の首が急に落ちちまったぞ!?」
「何も見えなかったぞ!娘は気絶している!なにかしたようには見えねぇ!」
「お、おい!その娘はどこだ!?足は潰れているはずだ!どこに逃げた・・・!」
アリス「・・・・・・」スッ
「居たぞ!あそこの鬼が抱えてやがる!」
「あいつは・・・さっき俺達が倒した鬼・・・なのか?どうも様子がおかしい!」
「あの鬼は赤い皮膚だったはずだ・・・だが、あの娘を抱えている鬼は、黒い・・・あの風貌はまるで・・・!」
ヒュオ
鬼神赤鬼「・・・あのガキ、我に人間の小娘のお守りを命じるなど・・・」ケッ
悪鬼「あいつは手負いの筈だ!全員でかかれー!」ウォォ
鬼神赤鬼「ほう、軟弱な悪鬼共が群をなしているな・・・」ニヤリ
悪鬼「今度こそ俺の金棒で・・・死ねぇ!」ビュオン
鬼神赤鬼「なんだ今の一撃は・・・?貴様、畑でも耕すつもりか?」ギロリ
悪鬼「こ、こいつさっきと雰囲気が・・・!」
鬼神赤鬼「金棒は力任せに振るもんじゃない・・・人間への憎悪、欲望、憤怒・・・そういうもんを練り上げてだな、こうやるんだ・・・フンッ!」ヒュオ
悪鬼「こ、こんなもん避けられな・・・」
ドグシャァ!
鬼神赤鬼「・・・おいおい、避けろよ。一撃で死なれちゃ指導してやった意味が無いだろうが」ケッ
ザワザワ ザワザワ
鬼神赤鬼「まぁいい、時間も無い・・・悪鬼共!これはただの、我の八つ当たりだ・・・」
鬼神赤鬼「我に殺されても鬼を恨むな、人間共を恨め・・・憎悪し、そして新たな鬼神病を産み出せ・・・!」
ヒュオ
「ぐあああぁぁぁ!!」ドサァ
ヒュオ
「誰かあいつを止めr」ドサァ
ヒュオ
「た、助けt」ドサァ
鬼神赤鬼「フハハハハッ!叫べ叫べ!貴様等のような軟弱な悪鬼に出来ることは我等の糧になることのみよぉ!苦しみ、憎悪し、鬼神病を産み出せ!人間共を駆逐する病となって生まれ変われ!」ヒュオ
ヒュオ
「あ、あの動き・・・まるで、鬼神d」ドサァ
ヒュオ
鬼神赤鬼「あらかた片付いたな・・・赤鬼に赤ずきんを助けろとは言われたが。他の娘についてはなにも言ってない・・・おい、小娘!」
アリス「・・・ボクに何か用かな、赤鬼。いや、もしかして君は赤鬼じゃないのかな?」フフッ
鬼神赤鬼「どうやら教えてやる必要は無さそうだ」
アリス「冷たいね。いいじゃないか。どうせボクなんか君の手に掛かれば一捻り何だろう?それとも・・・人間は怖いのかな?」フフッ
鬼神赤鬼「我に挑発をかけるとは肝の据わった娘よ。だが、無意味だ・・・以前思い知ったからな、人間は姑息な手段で攻撃の隙を作り出す。そう容易く挑発には乗らぬ」
アリス「・・・・・・へぇ?」
鬼神赤鬼「だが、一捻りで有ることに変わりはない。小娘よ、死にたくなければ・・・去れ」
アリス「・・・・・・やめておこう。君の情報はほとんど無いからね。ボクの目的は赤鬼と赤ずきんを殺す事じゃあないから」フフッ
鬼神赤鬼「・・・・・・」
アリス「それじゃあ、赤ずきんが目を覚ましたらよろしく言っておいてよ、それと赤鬼にもね。頼んだよ・・・・・・『鬼神君』?」フフッ
ヒュン
鬼神赤鬼「消えたか・・・ふん、何が情報が無いだ・・・しっかりと我の事まで知っている上での言葉であろうに。侮れん娘だ。だが、悪鬼は蹴散らした・・・」
鬼神赤鬼「赤鬼よ、時間だ。肉体は返してやる・・・だが、覚えておけ・・・我は貴様の肉体を奪うことをあきらめてはいないのだぞ?」シュオォォ
・・・
赤ずきん「・・・・・・うぅっ」
赤鬼「・・・赤ずきん!ようやく目が覚めたか・・・すまねぇ、オイラが不甲斐ないばっかりに」
赤ずきん「・・・・・・いいのよ、それよりこの悪鬼の骸の山・・・あなたじゃないわね・・・・・・?」
赤鬼「・・・・・・ああ、オイラじゃあない」
赤ずきん「・・・そう」
赤鬼「・・・・・・」
赤ずきん「・・・もう私を助けるために、肉体を貸したりしないことね」
赤鬼「・・・・・・」
赤ずきん「鬼神化・・・したんでしょう?」
赤鬼「・・・そうだ」
赤ずきん「こんな芸当ができて、アリスを撤退させて、あなたが無事でいる・・・いつかはもう一度でて来るんじゃないかって思っていたけれど・・・」
赤鬼「すまん」
赤ずきん「・・・いいのよ、私のためにしたのは分かってる。でも、もう・・・」
赤ずきん「鬼神を宿すのはやめてちょうだい。キモオタやティンクが心配するわよ。いつ鬼神に乗っ取られるかわからないのよ?」
赤鬼「・・・・・・うむ」
赤ずきん「・・・私もそうよ。あなたが居なくなってしまえば、辛いもの」
赤鬼「・・・すまん」
赤ずきん「いいのよ・・・悪いけれど、おぶってもらえる?情けないけれど・・・とても歩けそうにないのよ・・・」
赤鬼「お、おう!任せろ、大悪鬼の退治が終わったら桃太郎に治療を頼もう」グイッ
赤ずきん「そうね、でももう戦えない私たちは桃太郎の足を引っ張りかねない・・・慎重に進みましょう」
・・・
犬「もうすぐ大悪鬼の所に着くね・・・!」タッタッタ
猿「俺達だけでなんとかするしかねぇよな・・・!」タッタッタ
キジ「どうやら大悪鬼の周囲に悪鬼は数匹しか居ないみたいだ・・・」バッサバッサ
桃太郎「・・・・・・キジ」ダダッ
キジ「どうした?」バッサバッサ
桃太郎「・・・赤ずきんと赤鬼殿がどうなったか・・・空から見えないか?アリスと戦ってあいつらは無事でいるのか・・・心配だ」
キジ「・・・確認してみる」ヒューン
キジ「・・・・・・」バッサバッサ
桃太郎「どうだ、あの二人は無事か・・・?」ダダッ
キジ「・・・死んではいない。が・・・無事とは言えそうにない。あの二人は戦いに参加できないかもな・・・」
桃太郎「いや・・・構わぬ、命さえ無事ならば・・・なんとか拙者の治癒能力で・・・!」
キジ「それなら大悪鬼を早いところ退治してしまおう、急ぐぞ!」ビュオ
大悪鬼の近くの茂み
コソコソ
犬「居た!あのほかの鬼より大きくて偉そうなのが大悪鬼じゃない?」
・・・
大悪鬼「・・・・・・」ゴゴゴゴゴ
・・・
猿「意外とデカいな・・・金棒も特にでかいぞ・・・桃太郎より一回りは大きいぞ・・・勝てるかあれ・・・?」
キジ「アリスや獅子は居ないみたいだが、どうする?周りにいる悪鬼は俺達三匹でなんとか相手をするとして・・・一対一なら勝てそうか、桃太郎?」
桃太郎「・・・・・・」
キジ「おい、桃太郎?」
桃太郎「・・・・・・む」
キジ「む・・・?」
桃太郎「無理無理無理無理!なんだあれ・・・!鬼なの?ねぇあれ鬼なの?悪鬼なの?違うだろ・・・なんかこう、妖術の類だろ!?あんなデカいな鬼、拙者は認めないからね!?」ガクガク
猿「いやお前・・・無理とか言っても仕方ないだろ、戦わないといけないわけだし・・・」
桃太郎「あんなデカいと思わないだろうお前・・・!聞いてないわ拙者・・・普通に一対一でいくっていう発想がよくできたよなキジ!」
キジ「桃太郎、気持ちは分かるが落ち着け。キリッとするんだ。」
桃太郎「いや、でも・・・ええぇ・・・あれ、拙者がいかなきゃ駄目なんだよね・・・?」
犬「他に誰がいくのさ!?」
桃太郎「そりゃあそうだろうけど・・・ちょっと様子見ようよこれ」
ティンカーベル「ガオー!」ガサー
桃太郎「うわあああぁぁぁ!?」ビクビクッ
・・・
大悪鬼「む・・・?茂みの奥から何か聞こえたか・・・?」
悪鬼「獣か何かでしょう、桃太郎達ならおそらく正々堂々と正面から来るはずですから」
大悪鬼「確かに、それが道理よ」フンッ
・・・
キジ「・・・・・・ふぅ、見つかったかと思ったが大丈夫だったな」
キモオタ「危機一髪でしたなwwwというかティンカーベル殿wwwなにやっているんですかなwww」コポォ
ティンカーベル「戦いの前に気合いを入れてもらおうと思ったんだよ!」フンス
桃太郎「嘘だろお前ティンクなぁお前!面白がってやったろ!?本当マジでやめてくれよもおおおぉぉ!拙者はこれからあの大悪鬼と戦うんだよ?こう、あるだろほかに!励ましというか優しい言葉がさぁ・・・」
ティンカーベル「励ましの言葉ー?例えば?」
桃太郎「ほら、あるじゃん『頑張って!』とか『大丈夫だよ!』とかそういうティンクの気持ちをさ、伝えてよ!拙者それ励みに頑張るから!」
ティンカーベル「わかった!桃太郎・・・死んじゃイヤだよ?」
桃太郎「拙者もイヤだわ!もっと前向きな応援あるだろ!?」ウワアアア
キモオタ「二人ともwwwいい加減にしなければ見つかりますぞwwwそれに桃太郎殿wwwティンカーベル殿は桃太郎殿を元気づけようとしているのでござるよwwwそれは間違いないでござるからwww」
桃太郎「そ、それならいいんだが・・・すまん、ティンク」
ティンカーベル「いいよ!じゃあ私も謝らなきゃ、ごめんね。本当はちょっとだけ面白がってやってた」テヘペロ
桃太郎「もおおおおぉぉぉぉ!」ガサー
大悪鬼「・・・いや獣にしてはおかしいな、そこの茂みに誰かいるぞ・・・!」
・・・
桃太郎「ほらあああああ!!バレたじゃん!どうするんだよこれえええぇぇぇ!」ワタワタ
キモオタ「作戦通りですぞwwwでは覚悟を決めるしかないですなwww」コポォ
ティンカーベル「うんうん、頑張るよ!ねっ!桃太郎なら絶対頑張れるから、やろうよ!ねっ!」
桃太郎「作戦って・・・。二人とも・・・拙者に戦う決心を付けさせるためにわざと騒がせたんだな・・・!」
ティンカーベル「こうでもしないと桃太郎ずっと様子見るじゃん!でしょ?」ニコニコ
桃太郎「・・・・・・確かに」
キモオタ「さてwww敵は待ってくれませんぞwwwいざwww」
桃太郎「・・・・・・うむ、二人ともよくぞ自力で脱出したものだな・・・!二人の力を借り受け・・・この桃太郎、大悪鬼に立ち向かう・・・!犬!猿!キジ!ついて参れ!」
犬「よーし!もう一回勝負だからな猿!悪鬼を倒した数!今度は負けないからな!」バウバウ
猿「はいはい、何度でも相手になってやらぁ!今度も俺の勝ちだあぁぁ!」キキッキー
悪鬼「うおっ!犬と猿が茂みから・・・!こいつら桃太郎の仲間だぞ!用心しろ!」
悪鬼2「くそっ!大悪鬼様!この獣たちは俺たちに任せて桃太郎を・・・!」
大悪鬼「むむっ・・・お供を使って奇襲とは・・・!正義の英雄というからには正面から来ると思ったが・・・なかなかに油断ならぬ奴よ・・・!」
桃太郎「・・・お主がこの鬼ヶ島の親玉か・・・?」チャキ
大悪鬼「・・・ほう、貴様があの桃太郎か・・・!」
桃太郎「・・・如何にも。拙者こそ桃から生まれし桃太郎・・・!」
大悪鬼「俺はこの鬼ヶ島の統領、大悪鬼・・・!倒されにわざわざ出向くとは、愚かな奴よ・・・!」グオオォォ
桃太郎「愚かなのはお主であろう・・・拙者が上陸したことを知っていながら逃げぬのだからな。その心意気には感服する・・・いざ、尋常に」チャキ
桃太郎「勝負!」ダダッ
・・・
ティンカーベル「あの大悪鬼って奴、近くでみるとすごい大きいね・・・金棒も強そう・・・!」
キモオタ「しかし、桃太郎殿ならなんとかするでござろう・・・ただ」
ティンカーベル「あの癖さえでなければね・・・」
キモオタ「そうですな・・・ここには村人も町人も誰もいませんからな・・・今はキリッとできているとはいえ・・・」
ティンカーベル「私、ジャム投げてくる!」ピュー
キモオタ「では我輩は・・・桃太郎殿の癖が出たときの対策をしておきますかなwww」
・・・
大悪鬼「我が金棒の一撃・・・軟弱な人間風情に耐えられるか?」ヴォォン
スィッ
桃太郎「・・・・・・見切った!」
大悪鬼「・・・ほう、なかなかやりおる!流石は正義の英雄、桃太郎・・・!」
ドゴシャアア メキメキ ズズーン
桃太郎「大木を金棒一撃で倒すとは・・・・・・!」
桃太郎「・・・・・・」
桃太郎「・・・・・・やべぇ」ボソッ
大悪鬼「ん・・・?何か言ったか、桃太郎よ・・・?」
桃太郎「い、否・・・!次は拙者から参る・・・覚悟せよ!」シュタッ
バシュッ
桃太郎「・・・浅いか!?」
大悪鬼「ほう、良い刀だ・・・手入れが行き届いている切れ味も良さそうだが・・・俺の皮膚を貫くことはできぬようだな」ニタァ
桃太郎「・・・・・・拙者も甘い。つい情が湧いてしまったか・・・次は容赦せぬ」
桃太郎(やばいやばいやばいやばい!本当は拙者、結構本気で斬りつけたぞ!?これやばいんじゃないの!?うあああああぁぁ!どうする?どうするどうする?)
桃太郎(とりあえず落ち着け・・・!間合いを取って、状況を確認する。冷静に冷静に、慌てるな拙者!気負うな拙者!)
桃太郎「・・・・・・」ジリジリ
大悪鬼「ほう、間合いを取りだしたな・・・大技でも来るか・・・!?」
桃太郎(こないから大技なんて!拙者に期待するなよ!いやいや違う・・・周りをよく見ろ・・・そこから活路を見いだせ・・・拙者!)
桃太郎「・・・・・・」ジリジリ
桃太郎(悪鬼は少ない。犬猿キジがなんとか足止めしてくれてる、でも逆にあいつらに手助けは期待できない。赤鬼殿と赤ずきんの助けは期待できない・・・引き延ばせばじり貧になる。ティンクはなんかドロドロの赤い奴握って大悪鬼の死角飛んでるし、キモオタは・・・)
キモオタ「・・・・・・」コソコソ
桃太郎(なんで茂みに隠れてるんだよ!ずるい!いや、ここにこられても正直困るけど!拙者も隠れてぇえええええ!!)
大悪鬼「どうした・・・来ないのならば・・・こちらからいくぞ!!」
ヴォォン
桃太郎「・・・クッ!」ヒュォ
大悪鬼「拍子抜けだな・・・桃太郎?俺はあのアリスという小娘が確実におまえを殺すためにっていうから子分たちを分散させたんだぞ?
だがふたを開けてみれば、攻撃すらろくにしてこない侍だとは・・・残念だな、おい」
桃太郎(・・・・・・)
桃太郎(いや、隙はある。なんというか、攻撃が通りそうな場所はある・・・。さっきだって本気で斬りつけたけど・・・もう少し踏み込みが足らなかった気がするし、次はしっかり踏み込んでもう一度全力を込めて連続で斬りつければ)
桃太郎(多分だけど、いける。めちゃくちゃ怖いけど・・・絶対倒せないとは思えない)
桃太郎(だけど・・・しっかり踏み込んで、全力で斬りつけて・・・それがダメだったらどうする?)
桃太郎(全力のそれがさっきと同じ結果だったらどうする・・・?)
桃太郎(ダメだったら・・・もう手段は無くなる)
桃太郎(・・・・・・どうなる?じいちゃんやばあちゃんは?)
桃太郎(村や町の人はどうなる?犬と猿やキジは?赤ずきんと赤鬼殿、キモオタとティンクは?)
桃太郎(拙者は・・・どうなる・・・?)
大悪鬼「オラオラァ!攻撃せねば勝てぬぞ!ガハハハハッ!」
ヴォォン
桃太郎「・・・・・・クッ!」ヒュォ
ヴォォン
大悪鬼「逃げてばかりで英雄呼ばわりとは、人間どもの世界はさぞ平和ぼけしていると見えるな・・・!」
ヴォォン
桃太郎「・・・・・・黙れ、大悪鬼め!」シュォ
ヴォォン
大悪鬼「ほう、まだ威勢は少々残っていたか?だが、相変わらず攻撃には転じぬのか・・・!いい加減に、くたばれ・・・!」
ヴォォン ガッ
桃太郎「・・・うぐっ!」ズサー
大悪鬼「かすった程度か・・・だがその左腕はもう使い物になるまい?」ニタァ
桃太郎「問題ない・・・拙者は、拙者は・・・!」シュォォォ
大悪鬼「左腕の傷がみるみる治っていく・・・!治癒能力とは厄介な・・・ひと思いに殺すしかねぇようだな!」
桃太郎(勇気がほしい・・・失敗をおそれない勇気が・・・あいつに斬りかかる勇気が・・・!)
キモオタ「桃太郎殿ー!!」
大悪鬼「ぬ・・・?」
キモオタ「どうしたでござるか!もう我輩ぶっちゃけるでござるけど・・・今までの桃太郎殿の戦いを見ていて確信してるでござるよ!桃太郎殿、正直あんな大悪鬼殿なんか余裕で倒せるでござろう!?」
大悪鬼「隠れていた臆病者が随分と大口を叩くのだな・・・」ゴゴゴッ
キモオタ「何を心配してるでござるか!何を悩んでいるでござるか!本当は行動さえすればなんとかなるってわかっているのではごさらんか?自信がないのなら・・・カッコつければいいでござろう!」
大悪鬼「ええい、なにをごちゃごちゃと・・・!」
キモオタ「今までだってそれでうまくいっていたのでござろう!それは偶然でも幸運でもないでござる、桃太郎殿にはそれだけの実力があって・・・桃太郎殿がカッコいいから、英雄に見えたからみんなが慕ってくれているのでござろう!」
キモオタ「ならば今回もただカッコつけて戦えばいいのでござるよ!」
桃太郎「・・・・・・っ!」
キモオタ「それでも自信が持てぬと言うなら・・・思い出せばいいでござるよ!いつも町で敵を倒すとき・・・お主の傍らにいた町民の姿を、思い出すでござる!」シュッ
大悪鬼「貴様・・・先に殺して・・・ん?」
桃太郎「町民たちの姿・・・拙者を応援してくれる人の・・・」ブツブツ
モモタロォー!
桃太郎「・・・えっ?」
ザワザワ
「うおおぉぉ!桃太郎!頑張れー!」
「大悪鬼とかに負けるんじゃねぇ!あんな奴、桃太郎なら一撃で倒せるぜ!いけぇぇ!」
「桃太郎!素敵!抱いて!」
「桃太郎!お前は俺達の英雄だー!」
「いつも助けてくれてありがとうな!桃太郎!」
大悪鬼「・・・な、なんだ!?町の人間どもの姿が・・・ど、どうやってこんな場所に・・・!?この島には桃太郎達以外は上陸していないはずだぞ・・・!?」
ザワザワ
桃太郎「・・・・・・」
ティンカーベル「・・・・・・これ、キモオタのしわざだ」ボソッ
桃太郎「拙者は・・・・・・」
大悪鬼「ん・・・?」
桃太郎「拙者は桃から生まれし桃太郎!略奪、破壊を繰り返し・・・町民を苦しめる大悪鬼よ・・・この桃太郎が成敗してくれる!いざ・・・桃太郎、推して参る!」ダ
大悪鬼「こいつ・・・急に・・・!」
桃太郎「・・・大悪鬼よ。悔いる言葉を持っているか?人民への罪の意識を感じてはいないか・・・?」
大悪鬼「そんなもの・・・あるわけねぇだろう、俺たちは人間への復讐のために戦っているんだからな!」
桃太郎「・・・哀れなり」ユラッ
大悪鬼「結局攻撃してこないってぇなら・・・そろそろ終いにしてやる!うおおおぉぉ!」
ヴォォン
桃太郎「・・・それもよかろう、拙者も終わらせたい頃合いだったのでな」スィッ
キンッ
大悪鬼「・・・・・・っ!」
ズバァッ!
桃太郎「拙者の刃は刀のみにあらず・・・皆の声援もまた拙者の刃よ・・・」
大悪鬼「・・・ぐ、ぐおぉぉ・・・!!こいつ、急に強く・・・」ドサァ
桃太郎「大悪鬼・・・征伐、完了」チャキ
ザワザワ ザワザワ
「お、おい!大悪鬼様が桃太郎にやられたぞ・・・!」
「まずいぞ・・・次は俺達を殺しに来るぞ!逃げろ逃げろ!」
「うおおおぉぉ!俺が先だ!どけどけ!」
ザワザワ ザワザワ
キモオタ「大悪鬼が倒れたら一目散に逃げていきましたなwww」
ティンカーベル「まぁ悪鬼だって怖いものは怖いよ!」
桃太郎「拙者は命までは奪っておらぬ・・・拘束し、あとは都へ判断を仰ぐ・・・死罪になっても仕方ないとは思うが、お主の反省次第では恩情を受けることもできるやもしれぬ」
大悪鬼「うぅ・・・・・・ググゥ・・・・・・人間ごときに情けなど・・・!」
キジ「犬!猿!近くに小屋があるはずだ!そこに丈夫な綱がないか探してくれ!」
猿「おう・・・」ズーン
犬「いいよいいよ!犬さんが探してくるよ!」ホクホク
・・・
ぐーるぐーる ぐーるぐーる
犬「こんな感じかな・・・?」
猿「これだけの大樹に縛り付ければ鬼とはいえ大丈夫だろ、桃太郎どうだ?」
桃太郎「うむ、ご苦労だった。さて、大悪鬼の退治はこれで良かろう。町民たちが奪われた物を取り返し、都へ戻るとしよう」
キモオタ「そういえば赤鬼殿と赤ずきん殿はwww」
ティンカーベル「・・・あ、キモオタ!あれ!赤鬼だよ!」
赤鬼「・・・・・・」ゼェゼェ
ティンカーベル「足引きずってる・・・!赤鬼ー!大丈夫!?」ピュー
赤鬼「・・・・・・おぉ、大悪鬼・・・退治できたんだな・・・・・・よかった」ゼェゼェ
キモオタ「赤鬼殿・・・!どうしたでござるか!?全身傷だらけで・・・」
赤ずきん「・・・・・・」ゼェゼェ
ティンカーベル「赤ずきん・・・!足が潰れてる・・・!ねぇ、赤鬼!どうしたの?なにがあったか教えて!」
桃太郎「いや、その前に拙者に預けて貰おう・・・まずは赤ずきんの足の治癒から取り掛かる。話はそれからだ・・・!」
パァァァァ
桃太郎「・・・・・・」パァァァァ
ティンカーベル「ねぇねぇ桃太郎、赤ずきん・・・ちゃんと歩けるようになる?傷残ったりしない?女の子だから、そういうの気にしちゃうと思うんだよね」
赤ずきん「ティンク・・・あなたが心配してどうするのよ・・・」
桃太郎「うむ、症状が重い故に時間は少々かかりそうだが・・・元通り歩ける、傷も残らぬ」
ティンカーベル「だって!よかったね!赤ずきん!」ギュー
赤ずきん「・・・そうね、ありがとう、桃太郎」
桃太郎「構わぬ、拙者が手助けを頼んだのだからむしろ拙者は謝らねばならぬ立場・・・すまん」
キモオタ「そういえばwwwなぜ桃太郎殿は治癒の能力を持っているのでござろうなwww」
桃太郎「・・・それは拙者にもわからぬが・・・おそらくは、桃から生まれた事が原因ではないかと思っている」
ティンカーベル「桃?なんで?」
赤鬼「桃ってのは昔から魔を払い邪を浄める植物と言われているからな。あるところでは不老長寿の効果があるなんて信じられているらしい、そんな植物から生まれたんだ。桃太郎にはぴったりの力だろう」
キモオタ「なるほどwwwうまい果物という認識しかなかったでござるよwww」コポォ
桃太郎「しかし・・・話は変わるのだがキモオタよ」
キモオタ「どうしましたかなwww」
桃太郎「先程・・・お主からの励ましの言葉を受けたとき・・・周囲に町民たちの姿が見えたのだ・・・!大悪鬼を倒した頃にはその姿は消えていたが・・・あれはお主たちの妖術かなにかか?」
キモオタ「ちょwww妖術www我輩、町民たちなど見ていませんがなwwwティンカーベル殿何かご存じですかなwww」
ティンカーベル「知らなーい!桃太郎にしか見えなかったんじゃない?」
桃太郎「そんなはずは・・・」
ティンカーベル「がんばろうっていう気持ちが見せた幻だったんじゃないかな?」
キモオタ「まぁとにかくwwwよかったではござらぬかwww桃太郎殿、お主にはいつだって応援してくれる町民たちがいるわけでござろうwwwこれでいつだって実力を出して戦えるのではないですかなwww」
ティンカーベル「そうだよ!一回できたんだから次もできる!ねっ!」
桃太郎「うむ・・・そうかな、そうかもしれぬな・・・!」ググッ
ティンカーベル「・・・・・・私は気づいてるんだからね、キモオタ!マッチ使ったでしょ!」ボソボソ
キモオタ「その通りですぞwwwしかし大悪鬼を倒したのは桃太郎殿の実力www我輩はキッカケを与えただけですぞwww」ボソボソ
キモオタ「これで自信がつけばいいのですがなwwwあとは桃太郎殿しだいでござるよwww」ヒソヒソ
ティンカーベル「うん、実力あるんだから大丈夫だよ!」ヒソヒソ
パァァァァ
桃太郎「・・・よし、赤ずきん。治癒は終わりだ」
赤ずきん「本当に治ったわね・・・思うように動くもの、魔法具でもないのに不思議な力ね・・・」
赤鬼「よかった・・・よかったな赤ずきん・・・!」ジワッ
赤ずきん「なにも泣くことないでしょう赤鬼・・・さぁ、今度はあなたを治して貰いなさいな。桃太郎、お願いできるかしら」
桃太郎「うむ、では・・・」
???「えーっ?今度は赤鬼の治療すんのー?」ブッスー
桃太郎「・・・・・・っ!」バッ
赤ずきん「・・・・・・」ガシャッ
赤鬼「おいおい、今度は何だ・・・!」
ティンカーベル「この声・・・!」
キモオタ「なぜこの世界に・・・あの者がいるんですかな・・・!」
ドロシー「やっほー!キモオタおにーさん、ティンカーベル!ひさしぶり・・・ってほどでもないかな?まっ!どっちでもいーけどねん?」ケラケラ
ドロシー「っていうかさぁ、ちょっと前からこの世界に来てたんだけど誰も気がつかないのってどうなの!?私に気がつかずに赤鬼の治療するとかいうからびっくりしたよ!」
ブリキ「・・・・・・油断しているのだろう。大悪鬼という目標を討伐できたのだからな」
かかし「俺は知ってるゾ!『勝って兜の緒を締めよ』っていうこの国のコトワザ!勝ったときこそ油断しちゃいけないんだナ!」
ライオン「でも、僕としてはもう少しあとでもよかったかも・・・心の準備が必要だもんね・・・うん、そうだよねぇ」
青い鳥「うわあ・・・あの妖精しぶとく生きてるみたいだ、鬼ヶ島だっていうから死んでるのを期待したけど」
ティンカーベル「ファミチキ・・・!羽根が生え替わらなかったらよかったのに!」
キモオタ「今度はこの世界に・・・一体何のようですかな!ドロシー殿・・・!」
ドロシー「おっどろいた!?ねぇねぇ、どうやって私の名前知ったの?こんなに早くバレるとは思わなかったよ!すごいすごい!どうやったか教えてよ!」
ティンカーベル「内緒だよバーカ!」プンスカ
かかし「つってモ・・・どうせバレたってどうってこと無いんだろウ?」
キモオタ「・・・・・・」
ドロシー「でもまぁ、初めての人もいるしちょうどいいから挨拶しないとね!」スタッ
ドロシー「ひさしぶり!あーんど始めまして!『オズの魔法使い』のおとぎ話からやってきたキュートガール!おとぎ話消滅の黒幕の一人!ドロシーちゃんでーす!よろしくねん?」ケラケラ
桃太郎「な、なにがどうなってるんだよキモオタ!あいつだれなの!?」
キモオタ「・・・・・・ドロシー殿は我々の敵でござる」
ドロシー「敵だなんて物騒だなぁ!遊び友達でいいじゃん?あっ!赤ずきん、直接会うのは初めましてだけど、君には謝っといてあげなきゃね!」ヘラヘラ
赤ずきん「ドロシー・・・まさか、私のおとぎ話を消滅させたのは・・・!」
ドロシー「あったりー!狼をそそのかして、赤ずきんの町の人たちぜーんぶ狼たちのごはんにしちゃったのは・・・何を隠そう!このドロシーちゃん達でーす!」ケラケラ
赤ずきん「・・・・・・っ!」ガシャッ
赤鬼「待て!冷静になれ赤ずきん!」グイッ
赤ずきん「離しなさい赤鬼!こいつは私のおばあちゃんを・・・!ママを・・・!猟師さんや町のみんなを・・・!狼に食い荒らさせたのよ!?」
ドロシー「あっ!狼たちはおなかいっぱいで満足そうでした!」ケラケラ
赤ずきん「離さないなら好きにしなさい!このままだってマスケットは撃てるもの・・・!あいつは絶対に私が仕留める・・・!!」ギッ
ティンカーベル「私だって許さないんだから・・・!ピーターパン達の仇は絶対にとってやるもん!」
赤鬼「二人とも冷静になれ!今のオイラ達で勝てる相手かどうか見極めろ・・・!」
ドロシー「いいねぇ!そういう熱い感じ嫌いじゃないよ!みんなまとめてかかってお・い・で! このドロシーちゃんがすっごい魔力・・・みしたげるからさっ!」カツンカツン
アリス「・・・こらこら、ドロシー。勝手に戦いを始められちゃあ迷惑だよ、勘弁してくれるかい?」
キモオタ「アリス殿・・・黒幕が二人そろうとは・・・!」
ドロシー「えー?せっかくあいつらも乗り気なんだよ?ひさしぶりにライオンとかかしとも一緒なんだし、ちょっとヤンチャしたいよね?」
かかし「ドロシーはいつもヤンチャだろウ?でもお前がそうしたいなら俺は付き合うゾ」
ライオン「僕もねぇ・・・戦うのは怖いけど、ドロシーちゃんがやりたいっていうなら頑張るよ!あ、でもでも、もしもね、もしも勝てたらご褒美にたてがみをブラッシングしてほしいな」
ブリキ「・・・・・・」
アリス「今日はそういう計画じゃないだろう?ほら、欲しいものは手に入ったし、始末する奴は始末した。今回の計画は完了だ」
ティンカーベル「逃げるつもりだ!卑怯者!桃太郎の事消すっていってたくせにできてないじゃんバーカ!」
キモオタ「好き放題してどういうつもりですかな!」
桃太郎「お、おい!なんか知らんけど煽るなよティンク!キモオタ!」
アリス「あぁ、そんな事も言ったね・・・君達に集団で鬼ヶ島に来てもらえば、大悪鬼も子分を分散させなくちゃならなくなるからね・・・おかげで手薄な警備だったよ、宝物庫はもっと厳重に警備しないとね?」ゴソッ
縛られた大悪鬼「・・・・・・なんだと・・・・・・!それは俺達の宝物・・・隠れ蓑に隠れ笠・・・浮靴まで・・・!それがお前の狙いか・・・!」
アリス「鬼ヶ島には魔法具がいくつものあるって聞いたからね、だったらまとめてもらっておこうと思ってね。まぁ桃太郎のおとぎ話をついでに消せるならそれもいいかなって思ったけど欲張りすぎたかな」
アリス「でもまぁ、いいや・・・消し損じても結果は同じだもの」フフッ
ティンカーベル「どういうことなの!教えろバーカ!」
赤ずきん「他のおとぎ話を消しては魔法具を集めているってわけね・・・すやって【ハーメルンの笛吹き男】や【狼と七匹のこやぎ】のおとぎ話も私の【赤ずきん】のように消していったのね・・・!」
赤鬼「こいつ・・・一体、何を・・・!」
キモオタ「あれだけの魔法具を持っているというのにまだ集めるとは・・・一体何をするつもりなんですかな!?」
アリス「それはまだ内緒だけど・・・いずれ君達は知ることになるよ」フフッ
アリス「どちらにしてもボクとドロシー達はこれからもいろんなおとぎ話を旅して、魔法具を奪っておりますおとぎ話を消していく・・・」
ドロシー「そうそう!約束したし、ちゃんとおとぎ話は消していくからさ!」
アリス「止めたいなら、食らいついてきなよ。まぁ命の保証はできないけれどね」フフッ
ティンカーベル「だから前も言ったでしょ!絶対にさせないんだから!何回もいわせるなバーカ!」
キモオタ「アリス殿やドロシー殿がなにをたくらんでいるか知らぬでござるが・・・我輩にも、マッチ売り殿と交わした約束がありますからな・・・そうやすやすと思い通りにはさせませんぞ!」
赤鬼「おう・・・オイラ達はおまえ等にかなわないだろうが・・・だが赤ずきんやティンクの苦しみがでかいことくらいオイラにだって分かる!」
赤ずきん「私は今更元のおとぎ話に帰りたいとか取り戻したいなんて言わない。けれどね、ドロシー・・・あんただけは絶対に許さない」キッ
ドロシー「やーん!ブリキぃー、あの娘コワーイ!ドロシーちゃん泣いちゃいそうー!」ケラケラ
ブリキ「・・・・・・おい、やめておけ」
ドロシー「まぁいいよ、アリスもああいってるし。簡単に足潰されるような雑魚と遊ぶなら人形遊びでもしたほうがましだもんね。
だからまた今度遊ぼうよキモオタおにーさん、ティンカーベル、赤鬼・・・それと赤ずきんちゃん」ヘラヘラ
アリス「それじゃあ、ボクたちは一足先に失礼するよ。せいぜい地道におとぎ話の消滅を阻止するといいよ。あぁ、それとキモオタ・・・」
キモオタ「なんですかな!?」
アリス「ボクは君達・・・現実世界の人間を許さない」
キモオタ「なんですと・・・?それはどういう・・・・・・」
アリス「そのままの意味さ、だからティンカーベル達のようなおとぎ話のキャラクターはともかくさ・・・君の場合はあんまり目障りだと」
アリス「ボクは容赦なく殺す。それだけ肝に銘じておいてよ。それじゃあね、いこうかみんな」
ドロシー「ばいばーい!」ヘラヘラ
ヒュオン
キモオタ「・・・・・・」
桃太郎「き、消えた・・・なんだったんだあいつらは・・・」
キモオタ「アリス殿の目的は最初から鬼ヶ島の魔法具だったという訳でござるか・・・それなのに我々、まんまと騙されておりましたな・・・」
ティンカーベル「もう【桃太郎】のおとぎ話は大丈夫だよ、消えそうな匂いしないもん。だから急いで【シンデレラ】の魔法使いのところに行こうよ、もっと強くならなきゃ・・・あいつらの思い通りにさせたくないよ!」
赤ずきん「・・・赤鬼、もう離して頂戴。ドロシー達はもう行ってしまったのだもの」
赤鬼「ずきんを使って闇雲にあいつらを探しに行ったりしないか?」
赤ずきん「大丈夫よ、少しだけ落ち着いたわ。確かに今の私じゃあドロシーには勝てない・・・今はまだ、ね」
桃太郎「・・・ま、まぁあれだな!おまえたちのよく事情はわからないけど」
桃太郎「拙者に出来ることがあったら言ってよ、鬼退治につきあってもらった礼もしたいしな、今度は拙者がなんだって協力するから」
キモオタ「それは頼もしいでござるなwww是非お願いしたいwww」
ティンカーベル「でもあいつらと戦うんだよ?強いよ?怖くないの?桃太郎は」
桃太郎「・・・いや、友のために立ち上がれなくて何が英雄だ!でもまぁ、怖いは怖いが・・・」
鬼ヶ島 船着場
桃太郎「では拙者たちはこのまま都へ戻るが・・・キモオタ達は一緒に行かないのか?」
キモオタ「大丈夫ですぞwww我々は別にいくべきところがある故にwww」
犬「淋しくなるねぇ、短い時間だったけど」
猿「まぁ仕方ないよな、旅先でも元気でな!」
キジ「キモオタ、桃太郎・・・少しは自信つけたみたいだ。俺の無茶ぶりに答えてくれてありがとうな」ボソッ
キモオタ「いやいやwww我輩はなにもしていませんぞwww」
桃太郎「キジ、キモオタ・・・なにを話しているんだ?」
キモオタ「いやいやwww何でもないですぞwww都へ行ってもしっかりとがんばってくだされwww」
桃太郎「うむ、キモオタ・・・拙者いろいろと考えたが・・・正義の英雄はこのまま続ける事にする、元々の性格は直りそうにないけど・・・こうなったら死ぬまでカッコつけて、英雄やるよ」ニッ
キモオタ「なるほどwww桃太郎殿になら出来ますぞ、なんといっても日本一の桃太郎ですからなwww」コポォ
ティンカーベル「じゃあね桃太郎!元気でね!」
赤ずきん「・・・キリッとしていればあなたは英雄にしか見えないんだから、しっかりとしなさいね」
赤鬼「じゃあな、都でもしっかりとな・・・桃太郎!」
桃太郎「うむ、みんな!達者で!また会おう!キモオタ!ティンク!赤ずきん!赤鬼殿!」
ギーコギーコ ギーコギーコ
キモオタ「行ってしまいましたな・・・でもこれにて一件落着ですぞwww」
ティンカーベル「そうだね!もうこのおとぎ話は大丈夫だしね!アリスに盗られちゃった魔法具はお話の筋には関係ない道具だったから消えなかったしね!」
赤鬼「そうだな!課題は山積みだが・・・喜んでいいところは素直に喜ぼうか!」
赤ずきん「そうね・・・けれど、喜んでばかりもいられないわよ?」
キモオタ「もちろんですぞ!次の戦いに備えて我々は・・・・・・」
赤ずきん「違うわ、そうじゃない。その茂み・・・誰かがいるわよ?」
赤鬼「鬼の・・・気配がする!悪鬼の残党か・・・っ!」ググッ
ガサガサッ
大鬼「うぅ・・・っ!ティンカーベル・・・!間に合ったか・・・!」
ティンカーベル「大鬼!ものすごい怪我・・・!どうしたの?誰にやられたの!?」
赤鬼「知り合いか・・・?悪い鬼には見えないが・・・」
キモオタ「悪鬼に捕まったときに牢で出会った大鬼殿でござる、おとぎ話【一寸法師】の登場人物で・・・我々にドロシー殿のことを教えてくれたでござるが・・・」
赤ずきん「まずいわよ、桃太郎の治癒も出来ない今・・・こんな大怪我を処置できる薬持ち合わせていないもの・・・」
大鬼「いや・・・俺はもう長くない・・・!治療は必要ない、だが・・・ティンカーベルに伝えておきたいことがある・・・!」
ティンカーベル「駄目だよ!まずは治療しよっ!ねっ!」
大鬼「いらん・・・!俺には時間がない・・・!」
ティンカーベル「・・・わかった。私に話したい事ってなに?」
大鬼「ああ・・・おそらくもう、逃げちまっただろうが・・・俺はアリスとトランプ兵士に囲まれて・・・このざまだ・・・鬼の隠れ蓑も奪われちまった・・・!」ゼェゼェ
キモオタ「そういえば、アリス殿が言っておりましたぞ・・・!」
──欲しいものは手に入ったし、始末する奴は始末した
赤ずきん「始末する奴・・・この鬼のことだったのね」
大鬼「おそらく、俺がうちでの小槌を壊したことが気に入らなかったんだろう・・・だが、俺の隠れ蓑まで奪おうとしたから聞いてやったんだ・・・お前は魔法具を集めてなにをするつもりだってな・・・」ゼェゼェ
ティンカーベル「うん!それで・・・何かわかったの!?」
大鬼「あいつの攻撃で意識がもうろうとしていたが・・・確かにあいつは・・・こう言った・・・『膨大な魔力が必要』だと・・・おそらくあいつは・・・・・・を・・・壊すために、魔法具を・・・ぐあっ・・・!」
ティンカーベル「大丈夫!?痛むんだったら無理に喋らないで・・・!」
大鬼「・・・ティンカーベル、俺の・・・ゼェゼェ・・・俺の友人に伝えてくれ・・・!アリスが魔法具を・・・かき集めて・・・ゼェゼェ・・・を・・・壊そうとしている・・・そして・・・・・・を奪おうとしていることを・・・伝えてくれ・・・!頼む!」ゼェゼェ
ティンカーベル「誰!?大鬼の友達の・・・誰に伝えたらいいの!?」
大鬼「・・・ゼェゼェ・・・ヘラ・・・ザード・・・」ゼェゼェ
ティンカーベル「大鬼!しっかりして!」
大鬼「ティンカーベル・・・!頼む、アリスの企みを・・・あいつに・・・」
大鬼「シェヘラザードに伝えてくれ・・・!」ガクッ
ティンカーベル「キモオタ!桃太郎を・・・!」
キモオタ「無理でござるよ!舵取りは桃太郎殿でござった!今呼び出したら・・・お供の三匹がどこに流されるか・・・!大鬼殿を連れて世界移動を行うしかないでござる・・・!シンデレラ殿か裸王殿に・・・!」
ティンカーベル「わかった!じゃあ【シンデレラ】の世界へ・・・あそこなら薬も分けてくれると思うし、助けを求めよう・・・!」
キモオタ「大鬼殿・・・しばしの辛抱ですぞ!」
大鬼「ゼェゼェ・・・」
赤ずきん「赤鬼、その鬼を担いであげなさい。向こうについてからキモオタひとりじゃ運べないでしょう。私達も行くわよ」
赤鬼「おう、よっこいしょぉ!」
ティンカーベル「ありがとう、二人とも!じゃあ行くよ・・・【シンデレラ】の世界へ・・・!」
キィィィィン
シンデレラの世界 城内
・・・
ガチャッ
医者「・・・処置は完了したよ。にしても酷い、君達は戦争でもしていたのか?」
ティンカーベル「大鬼は?ねぇ先生、大鬼は大丈夫!?」
医者「結論から言うと一命は取り留めた・・・彼は見たことのない種族だが体の構造が比較的人間に似ていた。しかし人間を遙かに越えるタフネス・・・なんとか助かったが本当は死んでいてもなんら不思議ではなかった。当然、しばらくは面会謝絶だ・・・!」
ティンカーベル「うわぁー!よかったよぉ!キモオター!」グスグス
キモオタ「落ち着くですぞwwwティンカーベル殿wwwあまり騒ぐと、大鬼殿の体に響きますぞwww」
赤鬼「消えたおとぎ話を元通りにするっていう目標を持つもの同士、思うところがあるんだろうな・・・」
赤ずきん「そうね、あの大鬼もボロボロになりながらもティンカーベルに伝えようとしたわけだものね」
ガチャッ
シンデレラ「・・・・・・ティンクちゃん?大鬼さん、大丈夫だった・・・?」ヒョコ
医者「王妃様・・・!」ザッ
シンデレラ「あぁぁ・・・!お医者様、いらしたんですね!?いいんですって!私にそういうことなさらなくても・・・!」ワタワタ
赤鬼「おっ、これは失礼いたした。挨拶が遅れて申し訳ない、お初にお目にかかる・・・オイr・・・私は赤鬼と申す者・・・」グッ
赤ずきん「ご機嫌よう、王妃様。私、赤ずきんと申します」ペコッ
シンデレラ「あ、えっと、王妃のシンデレラです。この度はえっと、大鬼さんの・・・」ペコッ
ティンカーベル「ねぇ、シンデレラ・・・普通にしなよ、なんかもう見てらんない」
キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿www直球www」
シンデレラ「うぅ、お城だと誰がみてるかわからないからキチンとしないといけないんです・・・教育係の方とか結構厳しいんですよ・・・そ、そうだ!私の実家に行きましょう、あそこなら落ち着いて話せます!」
ティンカーベル「実家って物置じゃん!」
キモオタ「変装して大衆食堂でいいでござろうwwwとりあえず腹も空きましたしなwww」
大衆食堂
ティンカーベル「ところでさ、シンデレラが王妃ってことは王子様が国王になったわけだよね?でさ、王子様はやさしい?喧嘩してない?ねぇねぇどうなの?」ニヤニヤ
シンデレラ「うん、国王になって前よりは忙しくなっちゃったけど、今でも私と過ごす時間はキチンと作ってくれるの、王子・・・ううん、国王は今も前と同じで優しいの」ニコッ
ティンカーベル「シンデレラ嬉しそう!ヒューヒュー!ほら赤ずきんも!ヒューヒュー!」ニヤニヤ
赤ずきん「・・・友達とはいえ王妃を茶化すなんてずいぶんと大物ね、ティンク」モグモグ
シンデレラ「赤ずきんちゃん。私、王妃って呼び名は苦手なの、シンデレラって呼んで」ニコッ
赤ずきん「ええ、シンデレラ。よろしくね、以前別の国で会った姫は最悪だったからあなたが良い人そうで安心したわ」ニコッ
シンデレラ「よその王族には悪い人もいるって聞くから・・・」
ティンカーベル「どんな姫だったの?」
赤ずきん「他人を利用して・・・そのうえ約束を破ったり暴力を振るったり、挙げ句の果てにはものすごい手のひら返しをするような姫よ」
シンデレラ「そんなものすごい悪そうな姫がよその国には・・・」
赤ずきん「居たのよ、まんまと王子と結婚して幸せになったけど」モグモグ
シンデレラ「ところで赤鬼さんとキモオタさんは?」
ティンカーベル「赤鬼があんまり目立つから変装できる服買ってくるって言ってたよ、そのうち来るんじゃない?」
赤ずきん「前の【桃太郎】のおとぎ話では笠かぶってるだけで平気だったけど、流石にこの世界では目立ちすぎるものね・・・」
シンデレラ「そうなのね。あ、ティンクちゃんベーコン食べる?好きでしょ?」ヒョイ
ティンカーベル「好き!食べる!」モグモグ
赤ずきん「それなら、シンデレラには私のブロッコリーをあげる、どうぞ」ソッ
ティンカーベル「あっ!さりげなく嫌いなブロッコリー押し付けたでしょ!」
赤ずきん「そんなこと無いわよ、ねぇシンデレラ?」
シンデレラ「ふふっ、好き嫌いはだめだよ」フフッ
・・・
赤鬼「なんだかあれだな、あの輪に入りにくいな」
キモオタ「なんという女子会wwwまあこうしていても仕方ないので合流しますぞwww」コポォ
キモオタ「盛り上がっているところ申し訳ないwww待たせましたなwwwあ、大将殿www我輩、Bランチ特盛りでwww」
赤鬼「なかなか大きなサイズの洋服が無くて困った。あぁ、オイラもお同じものを」
ヘーイ
赤ずきん「さて、揃ったところで本題に入りましょうか・・・」
シンデレラ「あの、私も聞いてていいお話なの?」
キモオタ「問題ないですぞwwwむしろ居ていただきたいwwwなにか情報があれば教えていただきたいですからなwww」
シンデレラ「うん、わかりました」
ティンカーベル「えっとまず・・・大鬼が言ってた友人・・・シェヘラザードだっけ?赤ずきん、知ってる?この人、おとぎ話の登場人物だよね?」
赤ずきん「ええ、何故【一寸法師】の大鬼がシェヘラザードと交流があるのかわからないけれどね・・・」
赤鬼「一体何者なんだ、そのシェヘラザードってのは」
赤ずきん「おとぎ話【アラビアンナイト】の主人公、シェヘラザード・・・・・・」
赤ずきん「彼女はおとぎ話の主人公でありながら、おとぎ話を作り出した作者でもある・・・おとぎ話の中でも珍しい人物よ」
キモオタ「おとぎ話の主人公でありながら・・・おとぎ話を作ったとは・・・どういうことですかな?」
赤ずきん「おとぎ話【アラビアンナイト】ではね、主人公であるシェヘラザードが国王に物語を語っていくのよ、彼女が作ったおとぎ話をね」
赤鬼「なるほどな、だからおとぎ話の主人公でもあるし、おとぎ話の作者でもってあるってのか」
キモオタ「いわゆる劇中劇というわけですなwww」
赤ずきん「細かいものをあわせれば軽く100は越えるけれど、有名なおとぎ話もいくつもあるわよ?例えば、以前キモオタは魔法のランプの名前を口にしていたわよね」
キモオタ「そうですなwwwどんな願いでも叶えられる魔法具でござるよねwww」
赤ずきん「その魔法具、魔法のランプが登場するおとぎ話・・・【アラジンと魔法のランプ】もシェヘラザードの作ったおとぎ話なのよ」
ティンカーベル「そうなの!?じゃあシェヘラザードにお願いしたら魔法のランプ使わせて貰える!?」
赤ずきん「どうかしらね?でもそれを踏まえて大鬼の言っていたことを思い出してみましょう、ティンク」
ティンカーベル「えっと・・・聞き取りきれなかったけど・・・まとめると『何かを壊して、あるものを奪うためにアリスは魔法具をかき集めてる』って内容だよね?」
赤鬼「これをシェヘラザードに伝えろっていうことは・・・つまり」
キモオタ「・・・推測でござるけど『何かを壊して、魔法のランプを手に入れるためにアリスは魔法具をかき集めてる』・・・という意味でござるかも・・・」
赤鬼「なにを壊すためかは別として、それならしっくりくるな。アリスは願いが叶う魔法具のうちでの小槌を狙ったこともあったんだろう?」
赤ずきん「私も同意見よ、キモオタ。おそらくアリスたちは魔法のランプを奪うために邪魔な何かを壊すつもりでいる。そのために魔法具をかき集めているのね」
ティンカーベル「なにを壊すつもりなんだろう・・・おとぎ話はもうたくさん壊してるし・・・うーん」
キモオタ「魔法具で壊せる何か・・・なんでござろうか」
シンデレラ「あの、ちょっといい?私に考えが・・・」
ティンカーベル「なになに?」
シンデレラ「魔法の事は魔法のプロの聞いてみたらいいと思うの、魔法使いさんに聞いてみましょう」スッ
シンデレラ「この時間帯ならきっと、余裕あると思います。ちょっと聞いてみるね・・・」コトッ
ティンカーベル「ブローチ?」
シンデレラ「結婚してからしばらくして、魔法使いさんにお祝いで頂いたの。何か困ったことがあったらこのブローチで話を聞くからって、それから何度も相談させてもらってるの」
ティンカーベル「なんだかんだでシンデレラに甘いよね、あの魔法使い」ニヒヒ
シンデレラ「・・・魔法使いさん、魔法使いさん、今はお時間大丈夫ですか?」
パァァァ
キモオタ「ちょwwwブローチから魔法使い殿の姿が投影されましたぞwww」
赤ずきん「すごいわね・・・これが魔法使いの力ってわけね・・・」
赤鬼「何でもありだな、魔法具って奴は・・・!」
魔法使いの声「おや、シンデレラ以外にも声がすると思ったらキモオタじゃあないか。どうやら他にも新顔がいるようだが、今日はどうしたんだい?」
・・・
魔法使い「なるほど、事情はわかったよ。とんでもないことになってるみたいだねぇ・・・」
ティンカーベル「ねぇねぇ、何かわかる?アリスは何を壊そうとしているのかな?」
魔法使い「うむ、ハッキリとは言えないが・・・特定の魔法具ではなく、ただ数を集めているのなら魔法具の能力よりも別の物に用事がある可能性はある」
シンデレラ「別の物、ですか?」
魔法使い「あんたもよく知っているだろう。魔法具には必ず魔力が込められている。それはどんな魔法具だってそうだ、ガラスの靴やおはなしウォッチだってそう、他の魔法具もだ。だからアリスは、魔力をかき集めているといっても過言じゃないんだよ」
赤ずきん「ということは、魔力を集めて壊せるもの・・・ということかしら」
魔法使い「単純に思いつくものと言えば・・・魔力に対抗するための魔力って所かねぇ」
キモオタ「確かに・・・ただ力任せに何かを壊すだけなら、トランプ兵やブリキ殿・・・力で何とかすることは現段階でもできそうですからな」
ティンカーベル「魔力の込められたら何かを壊したいってことなのかな?」
魔法使い「あとは・・・結界かねぇ・・・」
ティンカーベル「結界?」
魔法使い「魔法結界。大切なものを外敵から守るために魔力で作り上げた防御壁ってところさね。結界を張った術者によるが生半可な力や魔力で壊せるもんじゃない。だが完璧な代物って訳でもない」
赤鬼「もしかして、あれか・・・かき集めた魔力・・・膨大な魔力をぶつければその結界は・・・」
魔法使い「察しがいいねぇ、その通りだ。容易くはない、容易くはないが・・・絶対に壊せない結界なんか存在しない。そして、魔法結界を壊すのにはより強い魔力で突き破るのが分かり易くて手っ取り早いのさ」
赤ずきん「『魔法結界を壊して、魔法のランプを手に入れる・・・』」
ティンカーベル「・・・・・・それっぽく聞こえるね。っていうかもうこれにしか見えないよ!」
キモオタ「確かに・・・可能性はかなり高いのではないですかな?」
魔法使い「・・・まぁ推測の段階だがな、でも不自然な部分なく情報がつながる。まずは【アラビアンナイト】に行ってみることだね、そこに結界があるかどうかも確認しなきゃあなんないからねぇ」
キモオタ「そうですな・・・ティンカーベル殿!」
ティンカーベル「うん!次に行くおはなし決まったね!」
魔法使い「まぁ、そうするのがいいだろうねぇ・・・さぁ、アリスの話はひとまず終わりだ。他に何か用事はあるのかい?」
ティンカーベル「あっ!はいはい!あるある!」
魔法使い「言ってみな、ティンカーベル」
ティンカーベル「私新しい武器がほしい!前にね、戦うことになったけど手も足もでなくて悔しい思いをしたんだ・・・!」
魔法使い「武器ねぇ・・・わしに言うってことは魔法具を作ってほしいってことだろう?考えは纏まってるのかい?」
ティンカーベル「うん!スリングショット!魔法の玉をね、スリングショットで弾き飛ばすの!」
魔法使い「スリングショットねぇ・・・確かにティンカーベルの機動力は生かせそうだ、魔力で威力の底上げをするってのも理に叶ってる・・・いいだろう、作ってあげようかね」
ティンカーベル「やった!実はね、魔法使いに見てもらおうと思って設計図もあるんだよ!ほら!」バサー
ーせっけいず(私のスリングショット!)ー
スリングショット・・・魔法で玉を打ち出す威力をあげるよ!
氷る玉・・・魔法の力でぶつけた敵を凍らせるよ!海が一瞬で凍るよ!
燃える玉・・・魔法の力でぶつけた敵を燃やすよ!山が一瞬で消えるくらいの威力だよ!
全部飲み込んじゃう玉・・・お星様を一つ残らず飲み込むよ!
ジャムの玉・・・イチゴ味とブルーベリー味だよ!
魔法使い「なんじゃいこれ・・・」
キモオタ「ちょwww『わたしのかんがえたさいきょうのぶき』ではござらんかwww海がwww一瞬でwww凍るwww」ドゥフコポォ
シンデレラ「わ、私はかわいくていいと思うけど・・・」
赤鬼「・・・まぁちょっと欲張りすぎかもしれんなぁ」
赤ずきん「ジャムの味が二種類って意味あるのかしら・・・」
ティンカーベル「一種類だと飽きるからだよ!もぉ、なんなのみんなして!おかしくないじゃん、キモオタ!なんで笑うのさ!ねっ!魔法使い!出来るよね!」
魔法使い「いや、無理じゃな」
ティンカーベル「えっ!?」
ティンカーベル「海、凍るの無理?ジャムは一種類でもいいから!」
キモオタ「譲歩するポイントおかしいでござろうwww」コポォ
魔法使い「海は流石に無理だが、ティンカーベルの希望はだいたいわかった。近いものにはしてみよう」
ティンカーベル「やった!かっこいい奴ね!絶対だからね!約束だからね!」
赤ずきん「ねぇ・・・魔法使い。私も、あなたにお願いしたいことがあるの」
魔法使い「お前は・・・」
赤ずきん「消滅したおとぎ話【赤ずきん】の主人公よ、いまはこの【泣いた赤鬼】の赤鬼と旅をしてる、旅の目的はおとぎ話の消滅を防ぐことと・・・アリスの仲間であるドロシーを倒すことよ」
魔法使い「あぁ、赤ずきんの娘か・・・お前の頼みとはなんだ?」
赤ずきん「私にも・・・ドロシーを倒す力を・・・!新しい魔法具を作ってほしいの」
魔法使い「・・・話は聞こう、言ってみるといい」
赤ずきん「私も、前回の戦いで悔しい思いをした。ただ負けるのならまだよかったけれど・・・私は敵に弱点扱いされ・・・結局捕まったあげく容易く足を折られて・・・それからはただの足手纏い」
赤鬼「おいおい、ありゃあ仕方ない・・・あんまり気にするんじゃあ・・・」
赤ずきん「それでも、私自身の鍛錬や経験不足だって納得しようとしたけれど・・・どうしても許せないことがあったの」
魔法使い「なんじゃ、許せないこととは?」
赤ずきん「私が弱いせいで・・・友達がボロボロにされたことよ。その上、彼は私を守るために・・・身を犠牲にして、決して頼ってはいけない悪しき力に手を出すことになった・・・!私は、自分が許せない・・・!」ギリッ
魔法使い「・・・・・・」
赤ずきん「当然、鍛錬は続ける。マスケットの操作や立ち回りのスキルだって上げる。でも・・・どれだけ鍛えても、私は魔力も何もないただの人間・・・だから、作ってほしい」
赤ずきん「おばあちゃんが作り上げて、猟師さんから託されたこのマスケットでの戦いを・・・最大限サポートする魔法具を、作ってほしいの」
魔法使い「うむ、わかった・・・マスケットでの戦いをサポートする魔法具だな?」
赤ずきん「お願いできるかしら?」
魔法使い「うむ、作ってやろう・・・わしに考えがある。あとは・・・用事がある奴は誰かいるかの?」
キモオタ「魔法使い殿www我輩にも武器を作ってもらいたいwww」
魔法使い「お主もか・・・うむ・・・それはいいのだが・・・うむ・・・お主、剣や弓をやっていたという過去はないのかの?」
キモオタ「まったくありませんなwww」
魔法使い「うむ・・・素人に慣れない武器を持たせても危ないだけだからのぉ。何かベースとなる物を決めないといかんのだ。
ティンカーベルのように特技を生かした武器を選ぶわけにも赤ずきんにように使っている武器の補助をするわけにもいかんからな・・・なんでもいいから特技はないのか、キモオタよ」
キモオタ「体を動かす事で、でござるよね?」
魔法使い「まぁ、そうだねぇ」
キモオタ「・・・・・・あるにはあるでござるがwwwなんでもいいでござるね?www」
魔法使い「うむ、なんでもいい。それにあわせた魔法具をなんとか考えてやろう」
魔法使い「そうじゃな・・・明日に午前中にみんなでわしの家にきなさい。ティンカーベルと赤ずきんの魔法具は考えをまとめておこう。キモオタはそうじゃな・・・その特技を明日披露して貰おう、そこからなにを作るか決めるからのぉ」
ティンカーベル「わかった!」
赤ずきん「えぇ、頼むわね」
キモオタ「一度帰って準備しますかなwww」
魔法使い「ではこれで、失礼するよ。シンデレラは・・・いいのかい?」
シンデレラ「私にはガラスの靴があるのでいいです、それよりもこの靴をはじめとして使いこなした戦いができるように・・・私自身が強くならないといけないんです。これは自分でがんばりますから」
魔法使い「うむ、そうかい。赤鬼も、いいのかい?」
赤鬼「うむ、オイラも体を鍛えることのほうが優先事項だからな・・・」
魔法使い「そうかい。じゃあ明日。シンデレラ、案内してやりな。では、さらばじゃ」
ヒュォォッ
・・・
アリガトヤシター!
キモオタ「さて・・・ではまた明日ですなwww我輩は準備がある故一度戻りますぞwww」
ティンカーベル「私もついていくよ、キモオタの特技が気になるし!」
シンデレラ「では赤ずきんちゃんと赤鬼さんはお城に部屋を準備しますから、そちらに・・・」
赤鬼「いやいや、ありがたいが・・・悪いよな、赤ずきん」
シンデレラ「そうですか・・・?」
赤ずきん「えぇ、私達は街で宿を探すから結構よ。でも、シンデレラさえ迷惑でないなら、あとで遊びに行ってもいいかしら?あなたの話も聞いてみたいから」
シンデレラ「はい!じゃあ待ってるね、赤ずきんちゃん」ニコッ
キモオタ「では我々はこれでwwwまた明日www」
シンデレラ「ええ、待ってますね」
赤ずきん「寝坊しないようにしなさい」
赤鬼「気をつけてなよキモオタ!ティンク!」
ティンカーベル「じゃあ現実世界に帰ろう、いくよぉ!」ヒラヒラ
キィィィィィィィン
キモオタ「ぶひいいいいいいいいぃぃぃ!?」
現実世界 キモオタの部屋
キモオタ「・・・・・・」ガシャッ
キモオタ「我輩が体を動かすタイプで特技といえるのはこれしかないでござるがwww」
キモオタ「これが本当に武器になり得るのですかなwww」
キモオタ「こんなものでマッチ売り殿との約束を果たせるんでござろうか・・・?」
キモオタ「ここは魔法使い殿を信用するしかないwww」
ティンカーベル「キモオタ!桃太郎のおとぎ話!Googleでググったよ!」フンス
キモオタ「ありがたいwww確認しておきますかなwww」
・・・
桃太郎
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました
おばあさんが川から拾ってきた桃から産まれた子供に二人は桃太郎という名前を付けてたいそうかわいがっておりました。
桃太郎はすくすくと育ち、犬と猿もキジの三匹をお供に
おばあさんの吉備団子を持って、鬼退治へと行きました。
桃太郎は都の近くで、別の旅人と出会いました
肝太、てぃんく、赤頭巾、赤兄の四人です
ある日悪者におそわれた都を救うとき協力したことがきっかけで友となり、一緒に鬼ヶ島を目指しました
鬼ヶ島には悪い鬼や悪い人間がいました
桃太郎はくじけそうになりながらも
仲間達と頑張って鬼退治し、ついに悪い鬼を退治しました
都へ帰った桃太郎たちはみんなに感謝されました
そして、桃太郎もおじいさんおばあさんもお供の三匹も町人たちもみんな末永く幸せに暮らし
桃太郎という英雄の存在は長い間人々の心から消えることがなかったそうです
めでたしめでたし
・・・
キモオタ「無事、桃太郎殿達は都についたようですなwww」
ティンカーベル「うん、あのまま英雄続けられたみたいだね!でもあんまり内容変わってないね、今回は」
キモオタ「我々とアリス殿ドロシー殿の戦いは本筋とは関係ないですからなwww」
ティンカーベル「まぁ、そっか・・・でさ、キモオタの特技ってなんなの?気になる!」
キモオタ「それはまた明日のお楽しみですなwww」コポォ
・・・
遂に黒幕・・・アリスとドロシー一行と対峙したキモオタ達
シェヘラザードのおとぎ話【アラビアンナイト】とは?
そしてティンカーベル、赤ずきんの新たな魔法具とは?
キモオタの特技とは・・・?
キモオタとティンカーベルのおとぎ話を救う旅はまだ続きます
桃太郎編 おしまい
592 : ◆oBwZbn5S8kKC - 2015/01/16 22:50:12 Bdy 185/185桃太郎編 おしまいです
レスや絵支援本当に嬉しいです。モチベーションあがります、全部に返信できなくて申し訳ない
シェヘラザード意外と認知度高くて嬉しいです
アリスやドロシーも出て来ては落ち着いたところで、次回からはシンデレラ~泣いた赤鬼みたいな感じであっさり書いていけたらなと思ってます
マッチ売り~桃太郎みたいにキャラが多いとどうしてもごちゃごちゃする・・・
次回
『【○○○○○○】と【アラビアンナイト】編』
二つのおとぎ話複合です、またおつきあいいただけたら嬉しいです