まどか「どういうこと?」
杏子「いやな、なんか最近マミの奴とつるむことが多くなったんだよ。」
ほむら「あら、仲間同士助け合うのはいいことじゃないの。」
杏子「いや、まぁそりゃそうなんだけどさ・・・。」
まどか「具体的に何がおかしいの?」
元スレ
杏子「さやかがなんかおかしい」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326206255/
杏子「まずは、怪我してもいないのに右腕に常時包帯を巻いてるようになった。」
まどか「・・・え?」
杏子「な?なんかおかしいだろ?」
ほむら「確かに妙ね。美樹さんは治癒の魔法を使えたはずだけれど。」
杏子「そう、それなんだよ!万一ケガをしてたとしても、治癒魔法を使えばいい話だろ?」
まどか「・・・ほ、他には?」
杏子「独り言を言ってることが多くなったんだ。」
まどか「ひ、独り言・・・?」
杏子「あたしもちょっと気になってさ、前に聞き耳を立てたんだよ。」
ほむら「・・・な、なんて言っていたのかしら?」
杏子「それが、あたしにもさっぱりで。いや、何を言ってるかは聞きとれたんだけど、意味がさっぱりわかんねえんだ。」
杏子「確か『ようやく私にもふさわしき時が来た』だのなんだの・・・。」
まどか「さ、さやかちゃん・・・。」
杏子「な?おかしいよな?」
ほむら「・・・これは、その・・・なんというか、ちょっと重症かもしれないわね。」
杏子「お?ほむらにはさやかがどうなったのかわかるのか?」
ほむら「ええ・・・薄々と、だけれど。」
まどか「ほむらちゃん・・・さやかちゃん、どうしちゃったのかなぁ?」
ほむら「大丈夫よ。今はちょっと若さゆえに行く先を見失っているだけ。」
ほむら「彼女の病は、時がきっと解決してくれるわ。」
杏子「・・・なぁんか遠まわしな言い方だな。」
まどか「で、でも、そのさやかちゃんと一緒にいるマミさんはいつも通りなんだよね・・・?」
杏子「そうだな、マミの奴は別段変った様子はなさそうだった。」
ほむら(そりゃそうでしょうね・・・彼女は既に病に冒されているもの・・・)
まどか「ねぇ、なんとかしてさやかちゃんを元に戻すこと出来ないかなぁ?」
杏子「ん~・・・そうだなぁ・・・。原因がわからないからなんとも言えないよなぁ・・・。」
ほむら「そっとしておいてあげるのが一番だと思うけれどね。」
杏子「なぁ、ほむら。お前、なんか知ってるだろ?」
ほむら「え?」
杏子「さっきから思わせぶりなこと言ってよ・・・まさか、お前が原因なんじゃねえだろうな?」
ほむら「そ、そんなわけないでしょう?」(え、なにこの流れ。)
まどか「ま、まさかほむらちゃん・・・!?」
ほむら「ち、違う!わたしは何も関わっていないわ!」
杏子「おいほむら。あたしはちょっとくらいじゃ怒ったりしねえけどよ・・・。さやかになんかしたら、さすがのあたしもちょっと大変な事になるぜ?」
ほむら「なんでわたしが疑われなくちゃいけないのよ!?」
まどか「そんな・・・ほむらちゃんがさやかちゃんを・・・!?」
ほむら「だから違うって!」(あーもう、こうなってしまったら言わざるを得ないじゃないの!)
ほむら「わかったわ、わたしが知っていることを言うわ。それで、わたしへの疑いも晴れるのでしょう?」
杏子「どういうことだ?」
ほむら「美樹さんは・・・そうね、思春期なら大抵の人が発症する病気にかかっているのよ。」
ほむら「もちろん、美樹さんと最近行動を共にしていると言う巴さんも同じ病気よ。」
まどか「・・・そ、その病気って・・・?」
ほむら「そう・・・・・・。」
ほむら「『中二病』よ。」
杏子「中二病・・・?」
まどか「わ、わたしたちが中学二年生だから・・・、ってこと?」
ほむら「大雑把に言うと、そんな感じね。」
ほむら「中二病を発症すると、『自分は特別な存在なんだ』と思い込みがちになってしまうわ。」
ほむら「ありがちな症状としては
・おいしいと感じない癖にブラックコーヒーを飲み始める
・自分はやればできると思い始める
が有名ね。わたしも詳しくはわからないのだけれど、この病気には医学的な治療は意味を成さないそうよ。」
まどか「・・・・・・え、えっと・・・。」
杏子「・・・そ、それで?あたしたちには何か出来ることはないのか?」
ほむら「残念だけれど・・・こればかりは時が解決してくれるのを待つしかないと思うわ。」
杏子「なんてこった・・・・・・。さやかがそんな重い病気にかかるなんて・・・。」
まどか「うっ・・・さやか、ちゃんっ・・・!ポロポロ
ほむら「巴さんに関しては既に完治の兆しが見え始めている頃だけれど・・・美樹さんは発症したばかりだから、治癒には時間がかかるんじゃないかしらね。」
杏子「ってちょっと待て。『自分はやればできると思い始める』・・・って言ったな。」
杏子「だとしたら、ヤバいんじゃねえのか?」
まどか「・・・?」ポロポロ
杏子「もしあいつひとりじゃ勝てない魔女が現れたら、一人で突っ込んでいくんじゃねえのかってことだよ!」
まどか「あっ!」
ほむら「心配ないと思うわよ。」
杏子「・・・?どういうことだよ?」
ほむら「同じような事を巴さんも考えているはずよ。だから、佐倉さん、最初に言っていたでしょう?巴さんと行動を共にしていることが多くなったって。」
ほむら「恐らく、彼女は彼女なりに美樹さんの側で美樹さんを見守っているはずだわ。」
杏子「・・・・・・ちっ!」
ほむら「佐倉さんの気持ちはわかるけれど、これは同じ病気である巴さんに一任させた方がいいでしょうね。」
杏子「そうかよ・・・つまんねぇ。」
まどか「・・・え、え?結局、どういうことなの?」
ほむら「美樹さんについては巴さんに任せておけば大丈夫ってことよ。」
マミの部屋―――
さやか「ブツブツ・・・」
マミ「おまたせ、美樹さん。紅茶、入ったわよ。」カチャ
さやか「うん、ありがとう・・・。」フーッ ズズッ・・・
さやか「ブツブツ・・・」
マミ「・・・・・・。」(重症ね・・・。)
マミ「ね、ねえ美樹さん?その包帯なんだけれど・・・。」
さやか「っ!!」ガタッ
マミ「!?」
さやか「やっぱりマミさんも・・・?」
マミ「ご、ごめんなさい。怖がらせちゃったかしら?」
さやか「・・・ごめんなさい、マミさん。やっぱり、あなたまで巻き込むわけには・・・。」
マミ「な、何を言っているのよ。同じ魔法少女なんだし、手を取り合わなきゃ。ね?」
さやか「事はもう魔法少女云々では済まなくなってきて・・・。」
マミ「え?ごめんなさい、よく聞こえなかったわ。」
さやか「・・・いえ、なんでもないです。」スッ
さやか「ブツブツ・・・。」
マミ「・・・・・・。」(昔のわたしも、客観的に見たらこんな感じだったのかしら・・・?)
さやか「っ!くっ、思ったよりも早い!?」ガタッ
マミ「み、美樹さん?どうかしたの?」
さやか「ごめんマミさん、紅茶ごちそうさま!」ダッ
マミ「美樹さん!・・・行っちゃったわ・・・。」
マミ「ふぅ・・・。・・・・・・―――!」(魔女の手下の気配・・・!?)
マミ(まずい!この状況で美樹さんを一人にしてしまったら!)ガタッ ダッ
夜、廃ビル―――
さやか「いるのはわかってるんだぞ!出て来い!」
杏子「待ってたよ、さやか。」
さやか「っ!?き、杏子・・・!?」
杏子「丁度魔女の手下が活動してくれて助かった。おかげで、こうして二人っきりになれたしな。」
さやか「どいうことだよ・・・!?ま、まさか杏子、あんた・・・!?」
杏子「落ち着けよ、さやか。」
さやか「これが落ち着いてなんかいられるかってのよ!あんた、どうかしちゃったの・・・!?」
杏子「・・・・・・はぁ。」
杏子「さやか、落ち着いてあたしを見ろ。今のあたしは、前のあたしとどこか違うところがあるか?」
さやか「・・・・・・。」
杏子「どうかしちまったのはあたしじゃねぇ。お前だろ、さやか?」
さやか「っ・・・あたしはどうもしてないっ!」
杏子「どうもしてねえってんなら、その包帯、取っちまえよ。」
さやか「!!」バッ
杏子「どうした?怖いのか?」
さやか「こ、怖くなんて・・・!」
杏子「なら取れるはずだろ?なんなんだ、その包帯は?ケガか?そんなわけねえよな。お前は治癒の魔法が使えるはずだ。」
さやか「・・・・・・。」
杏子「なら、なんだ?アリもしねぇ自分自身の隠された力を封印でもしてるってのか?」
さやか「そ、そうだよ!この包帯を取ったら、この町は炎に包まれてしまう・・・!」
杏子「重症だな、さやか。」
さやか「な、何を・・・!?」
杏子「・・・ふっ!」ヒュンッ
さやか「!?」ハラリ
杏子「ほら、どうした?炎に包まれるんじゃないのか?」
さやか「あ・・・あ・・・。」ワナワナ
杏子「目は覚めたか、さやか?」
さやか「あ・・・あたしは・・・。」
杏子「そうだよ。お前は特別な存在でもなんでもねえ。あたしやマミよりも後輩の、新米魔法少女だ。それ以上でもそれ以下でもねえ。」
杏子「それが、お前だ!美樹さやかって一人の女の子なんだよ!!」
さやか「 ! ! ! ! 」
廃ビル、入口―――
マミ「はぁ、はぁ・・・!あ、あれ、あなたたちは・・・?」
ほむら「美樹さんなら、今はビルの中で佐倉さんと話をしているわ。」
マミ「ど、どういうこと・・・?」
ほむら「タイミング良く魔女の手下が現れてくれたから、美樹さんをおびき寄せるエサになってもらったの。その手下は、既に片付けた後よ。」
まどか「杏子ちゃんがどうしてもさやかちゃんと二人きりで話がしたい・・・って言うから、その・・・。」
マミ「・・・それで、佐倉さんはなんの話を?」
ほむら「美樹さんの目を覚まさせるって言っていたけれど。」
マミ「!! それは危険よ、今すぐやめさせないと!!」
ほむら「え?」
マミ「今の美樹さんに現実を直視させるのは危険だって言っているの!」
まどか「ど、どういうk」
さやか「うあああああああああああああああ!!!!」ダダダダダダダダダ!!!
杏子「待て、さやかぁ!!」タタタタッ・・・・
杏子「行っちまいやがった・・・。」
マミ「遅かったのね・・・。」
ほむら「どういうことなの・・・?」
マミ「・・・・・・中二病を発症している時に現実を見せ付けちゃうと、ああなってしまうの。あれはかなり危険な状態よ・・・。」
まどか「ううっ・・・いたた・・・今のは・・・?」
ほむら「大丈夫、まどか?」
まどか「う、うん、わたしは平気。それよりもさやかちゃんは・・・?」
マミ「・・・・・・。」フルフル
ほむら「美樹さんなら、佐倉さんが追いかけているわ・・・心配しなくても大丈夫。」
マミ(そういう意味じゃなかったのだけれど・・・。)
さやか「あああああああああああああああ!!!」ダダダダダダダ!!
杏子「待てっての、さやかっ!!」(なんつースピードだよ!)
杏子「つっ・・・かまえっ・・・たぁっ!!」ガシッ
さやか「離せ、離せよおおお!!」ジタバタッ!
杏子「落ち着けっての、さやか!!」ググッ・・・
さやか「あたしは、あたしは!!」ブンブンッ!!
杏子「っ・・・わかった、わかったからっ!!」
さやか「っ・・・え?」ピタッ
杏子(あれ、いきなり大人しくなった・・・?)「ど、どうしたさやか?」
さやか「杏子、あたしのこと、わかってくれたの!?」ガシッ
杏子「うえっ!?い、いやわかったってのはそういう意味じゃなくて・・・。」
さやか「っ・・・やっぱりあたしは一人なんだああああ!!」
杏子「ああもうめんどくせぇなんだこいつ!!」
杏子「っ、よし、わかった、ならこうしよう!」
さやか「なんだよ、離してくれよおお!!」ジタバタ
杏子「今からあたしとサシで戦え!それであたしが負けたらさやかは特別な存在だって認めてやるよ!それなら文句ないだろ!?」
さやか「っ!」ピタッ
杏子(食いついた!)「それでいいだろ?ただし、あたしが勝ったら元のさやかに戻れよな。あんまりまどか達を心配させるなよ。・・・な?」
さやか「・・・ふ、ふふふ・・・。」
杏子「!」(何やらただならぬ予感・・・。)
さやか「いいの、杏子?手加減しないよ?」
杏子「ああ、もちろん望むところだ。」
さやか「行くぞおおお!!」ヒュッ!
杏子「はんっ!」サッ
杏子「どうした!?特別な存在だって言う割にはたいしたことねえじゃねえか!?」ブンッ
さやか「っ、まだまだぁ!!」キィン!!
・・・ギギィン、ヒュン、ダッ・・・
マミ「・・・何がどうなってこうなっているのかしら?」
ほむら「わたしに聞かないで頂戴・・・。」
まどか「なんで二人が戦ってるの・・・?」
マミ「・・・?」(あら・・・。)
ほむら「どうかしたの、巴さん?」
マミ「あなたたちは、佐倉さんと戦ってる美樹さんを見てなんとも思わない?」
まどか「え?」
マミ「少なくともわたしには、今の美樹さんはとても楽しそうにしているように見えるわ。」
ほむら「言われてみれば・・・。」
まどか「わたしは様子がおかしい時のさやかちゃんは見てないからよくわかんないんだけど・・・。でも、今のさやかちゃんはいつも通りのさやかちゃんに見える・・・かな。」
マミ「・・・ふふふ。」
マミ(よかったわね、美樹さん。あなたを救ってくれる人が、身近にいて・・・。)
さやか「はぁっ・・・はぁっ・・・どう、杏子?あたしの勝ちよ!」
杏子「はぁっ・・・はぁっ・・・あ~あ、あたしの負けか・・・でも、いい表情になったじゃねえか、さやか。」
さやか「え?」
杏子「ようやく、いつものさやかに戻ったみてえだな。」ニカッ
さやか「・・・そいやあたし、今まで何やってたんだろ・・・?」
杏子「気にすんな気にすんな。あたしはいつものさやかに戻ってくれただけで十分だよ。」
さやか「杏子・・・。っ・・・ほら、手。」スッ
杏子「おーありがとな。」ガシッ
さやか「お礼を言うのはこっちの方でしょ・・・。」ボソッ
杏子「ん、なんか言ったか?」
さやか「なんでもない!」
ほむら「こうして、美樹さやかを苦しめた中二病は、無事に完治したのだった。
わたしとしてはまどかに危害が加わらなかったからよかったのだけれど。
ただひとつ、妙に気になることがあると言えばある。
佐倉さんと美樹さんが楽しげに戦っている時、妙に巴さんが遠い目をしていたような気がする。
彼女の中二病も、いずれは完治してほしいところである。」
マミ「ブツブツ・・・やはりわたしこそが選ばれし者・・・」ブツブツ
終わり

