1 : 以下、\... - 2014/04/29 22:25:05.20 jXBfmrTP0.net 1/7

 最近、何故かは知らんがハルヒの様子が少しおかしい。元々おかしいのは百も承知だが、
それに輪を掛けておかしいのだ。具体的な例を挙げると、とにかく処構わず俺にくっついてくる。
少々誤解を招きそうな言い方なのだが、事実だったりするわけで致し方ない。

 休み時間などはあまり動き回るということはないので、何時もと同じと言えばそれまでだが、
一度移動教室ともなると確実に俺と行動を伴にしようとする。その意図はまったくもって不明なのだが、
谷口が冷やかしてきたり、クラスメイトの生暖かい視線を感じるのは俺の精神衛生上よろしくない。
止めさそうとはするのだが、ハルヒは聞く耳を持たないから困ったもんだ。

 ハルヒの目を盗んで古泉にいろいろ原因を訊ねてみるのだが、上手くはぐらかされて結局はわからず仕舞い。
一つだけ言えるのは、古泉もクラスメイトと同じ生暖かい視線を投げ掛けてくるってことぐらいだ。

4 : 以下、\... - 2014/04/29 22:27:53.78 jXBfmrTP0.net 2/7

 さて、そんなハルヒなのだが、この二、三日でさらにその行動が不可解になってきた。
昼休みだろうが、授業中だろうが、時と場所を考えずに構って欲しいオーラを発散している。
特に具体的な要望などがあるわけじゃないが、少し隙を見せると構って欲しそうな視線が突き刺さる。
それを無視すると実力行使と言わんばかりに、俺に触れようとしてくる。
授業中にそれをやられるとたまったもんじゃない。授業に集中している時はもちろんのこと、
夜更かしをした日が特にひどい。

 体は睡眠を欲しているのに、意識はハルヒのせいでめくるめく夢の世界へ羽ばたくことは不可能だ。
頼むから寝かしてくれと言ったところでハルヒが俺の意見に耳を傾けることはない。
そして、夢と現実の狭間を漂いながらハルヒの相手をすることになる。

 なら、そんなものは無視し続ければ良いと思う奴がいるかもしれない。俺もそう思って、一度実践してみたことがある。
ハルヒの構って欲しいオーラを無視し続け、さらにその後の構って欲しいとつついてくるのを無視し続けた。

5 : 以下、\... - 2014/04/29 22:30:38.76 jXBfmrTP0.net 3/7

 てっきり「ちょっと!団長のあたしが呼んでるんだからこっち見なさいよ!」と、
怒鳴られることを予想していた俺は、ハルヒの次の手がまったくの予想外だった。
怒鳴られた時のために、言い訳やら非難やらをあれこれ考えていたのがどれもこれも役に立たない。
なんせ、あのハルヒがショボーンという擬音語がぴったりな落ち込みを見せたからだ。

 怒鳴るわけでもなく、文句を言うわけでもなく、ただ落ち込んでいる。
その哀愁すら漂っている様子を見て、俺の良心がズキズキと痛んだ。そして、
とうとうハルヒを構ってやることにしたのだ。

vさて、少々前置きが長くなってしまったが、これで近況はわかっていただけただろうか。
とにもかくにもハルヒの様子がおかしい。それ以外は比較的穏やかな日々が続いていたある日のことだ、
今日も元気だご飯が上手い!なんてわけのわからないフレーズが頭の中をぐるぐると回っている俺は、
何時も通り文芸部の部室へと向かっていた。もちろん、ハルヒを引きつれてな。

7 : 以下、\... - 2014/04/29 22:34:08.68 jXBfmrTP0.net 4/7

「ほい、王手っと」

「む…。待ったとかはなしですかね?」

 残念ながら無しだ。

 俺と古泉は将棋で、長門は読書。朝比奈さんは部室内の掃除をしていらっしゃる。
代わり映えのしない団活風景なのだが、その中で異彩を放っているやつがいる。
言わずもがな、我らが団長のハルヒである。座ってぼんやりとしている分には何の問題も無さそうだが、
座っている場所に問題がある。それはどこだ?俺の膝の上だ。

 右手で駒を動かしつつ、空いた左手でハルヒをそっと撫でている。
何も訊くな。何も言うな。言いたいことはわかっている。
しかし、古泉に「世界平和のためです」なんてことを言われると、
俺はそれに逆らうことなんて不可能だ。朝比奈さんの泣き顔や長門に迷惑を掛けることなんてできやしないからな。

8 : 以下、\... - 2014/04/29 22:40:29.86 jXBfmrTP0.net 5/7

「ハルヒ、ポッキー食べるか?」

 古泉が長考している間、ハルヒにそう訊いた。

「別に欲しくないけど貰っといてあげるわ!」

 なんてことを目を輝かせて言われて、誰がそれを信じるというのだろうか。
苦笑しつつ、カバンの中を漁って今朝コンビニに買ってきたポッキーを取り出す。
それは直ぐ様ハルヒに奪い取られ、俺の許可もなくバリバリと封を開け始めた。文句を言うわけじゃないが、
そんなに焦る必要もないだろう。誰も取ったりなんてしないさ。

 ポリポリとポッキーを齧るハルヒを撫で続けながら、まるで子犬みたいだななんて思う。
性格にもよるが、たいていは甘えたがりで、人懐っこい。少し遊んでやると、
こちらの都合など考えずに構って欲しそうにする。まさに、今のハルヒそのものだ。
そう思うと、ハルヒがどうしようもないくらいに可愛く感じられた。

9 : 以下、\... - 2014/04/29 22:42:58.45 jXBfmrTP0.net 6/7

「何よ?」

 そんな俺の視線に気が付いたハルヒが、ポッキーをくわえたままで顔をこちらに向けた。

「何でもない」

「あっそ。構って欲しいとか思ってないから。ポッキー食べるのが忙しいんだから邪魔しないでね」

「はいはい」

 適当な相づちを打ち、俺はさらにハルヒを撫でてやる。気持ちよさそうに目を細めるハルヒに、
俺は何とも言えない満足感と幸福感を抱くのだった。

10 : 以下、\... - 2014/04/29 22:44:44.56 jXBfmrTP0.net 7/7

終わり

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