現実世界 キモオタの住む街 本屋
ティンカーベル「いつ来てもすごい数の本だよねぇ、このお店は」
キモオタ「このあたりでは一番の品ぞろえですからなwww」コポォ
ティンカーベル「あっちが小説でこっちが雑誌、向こう側が漫画とライトノベル。おとぎ話の絵本はここだけ・・・・・・」ポツーン
キモオタ「せっかく足を延ばしたというのにスペース狭いですなwww」
ティンカーベル「ちょっとがっかりだよ、もうおとぎ話はあんまり人気ないのかなー」
キモオタ「んんwwwティンカーベル殿らしくありませんぞwww今日はここで消滅しそうなおとぎ話を探すのでござろう?www」
ティンカーベル「そうだけどー・・・まぁおとぎ話人気が減ってるのも解るよ、漫画やアニメも面白いもんね。私もジバニャンは可愛いと思うしね!」
キモオタ「時代の流れは仕方ありますまいwww」
ティンカーベル「むー・・・もう落ち込むのやめた!消滅しそうなおとぎ話探そう!キモオタ!」
キモオタ「その意気ですぞwww」ドゥフ
元スレ
キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」二冊目
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1415360870/
2 : ◆oBwZbn5S8kKC - 2014/11/07 20:51:35 4yJJ6biwy 2/160前スレ
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
http://ayamevip.com/archives/41175294.html
キモオタ「我輩、おとぎ話全然知りませんからなwwwこれを機に勉強しますかなwww」
ティンカーベル「私が毎回説明するのもあれだもんね、有名なのは読んどいてくれると嬉しいかも!」
キモオタ「では適当に立ち読みしておくのでwww」
ティンカーベル「見つけたら呼ぶね!サボってマンガの方いっちゃだめだからね!」
キモオタ「御安心をwww漫画は然るべき店で買います故wwwここでは特典やポイント付きませんからなwww」コポォ
ティンカーベル「・・・そう言えばキモオタは眼鏡の人がいっぱいいる本屋さんで漫画買うもんね!」
キモオタ「オタクたるもの特典は見逃せませんのでwww」
ティンカーベル「よくわかんないけど、とりあえずサボリは禁止だよ!」
キモオタ「わかっておりますぞwww」
幼女「・・・・・・」ジッ
ティンカーベル「おとぎ話と児童文学の違いって何だろう・・・・・・」フワフワ
幼女「・・・・・・」ジッ
ティンカーベル「この回るラックの絵本は全部おとぎ話だよね・・・【シンデレラ】も【裸の王様】もあるし!・・・当然だけどやっぱり【ピーターパン】は無いかぁ」フワフワ
幼女「・・・・・・ようせいさん!」
ティンカーベル「うわぁ!ビックリしたぁ!えっ?私?」
幼女「ようせいさん、ほかにいないよ?」
ティンカーベル「そっか、この世界じゃそうだよね!こんにちは!」ニコッ
幼女「こんにちは!あのね、ようせいさん何してるの?」
ティンカーベル「えっとね、絵本を探してるんだよ!」
幼女「えほん?きょうはおくつを作らないの?」
ティンカーベル「靴?・・・あっ、【こびとの靴屋】のお話だね?ごめんね、私は靴は作れないんだ、でもお鍋とか治すよ!」フンス
幼女「おなべのようせいさん!はじめてきいた!」ニコニコ
ティンカーベル「えへへ、よろしくね!」
キモオタ「ティンカーベル殿?どうかしたでござるかwww」
幼女「ようせいさんのおともだち?」
ティンカーベル「そうだよ!」
キモオタ「んんwwwティンカーベル殿wwwこちらの幼女殿はwww」
ティンカーベル「えっとね、絵本好きな女の子?今お話ししてた」
キモオタ「そうではなくてですなwww何故ティンカーベル殿が見えるんですかなwwwまさか特別な力を持っているとかwww」
幼女「なんのおはなしー?」
ティンカーベル「妖精の存在を本当に信じている子供なら私の姿は見えるよ?」
キモオタ「なんとwwwそうだったでござるかwww」
ティンカーベル「うん、だけど普通の大人の人には私の姿が見えないからこういう風にお話ししてると・・・・・・」
キモオタ「どうなるでござるかwww」
母親「よ、幼女ちゃん!知らないお兄さんとお話ししちゃダメって言ったでしょ!こっち来なさい!」
ティンカーベル「こうなっちゃう」
キモオタ「・・・・・・おふっ」
幼女「ようせいさんばいばーい!」
ティンカーベル「ばいばーい!」フリフリ
キモオタ「んんwww我輩が不審者のように思われてしまいましたなwww」
ティンカーベル「まぁお母さんには私見えないし、幼女ちゃんがキモオタとお話してるように見えたんだろうね」
キモオタ「とんだとばっちりでござるよwww」コポォ
ティンカーベル「キモオタは見た目はアレだけど、いい人なのにね!」
キモオタ「見た目はwwwアレwwwしかしまぁいい人というのはほめ言葉としてうけとっておくでござるよwww」
ティンカーベル「誉めてるよ?でもまぁあれだよね」
キモオタ「あれとはwww」
ティンカーベル「見た目で判断されちゃいがちだよねって事、人もそうだしいろんなものがさ」
キモオタ「それはありますなwwwうまそうに見えて頼んだピザが実はそんなにおいしくなかったとかですなwww」
ティンカーベル「すぐに食べ物の話にそれるね・・・でもそういうこと。いい人なのに見た目で損してたり怖そうな人でも優しかったり」
キモオタ「まぁよくあることでござるよwwwさて、本は決まりましたかなwww」
ティンカーベル「うん、これにする。消えちゃいそうな匂いがするよ」スッ
現実世界 キモオタの部屋
ティンカーベル「この絵本の世界に行く前にちゃんと読んどかないとね」ペラッ
ティンカーベル「日本のお話かぁー」ペラッ
ティンカーベル「・・・・・・」ペラッ
ティンカーベル「えぇ・・・」ペラッ
キモオタ「ココアが入りましたぞwww出発前に飲んでいくでござるwww」コポォ
ティンカーベル「うぅ・・・ひっく・・・キモオタあぁ・・・」グスングスン
キモオタ「んんwww顔ぐっちゃぐちゃではござらんかwwwそんなに泣けるおとぎ話だったでござるか?www」
ティンカーベル「こんなのって無いよお・・・ひっぐ・・・これ救いに行くの辛いよぉ・・・」グスングスン
キモオタ「ちょwwwとりあえずココアを飲んで落ち着くでござるよwww」
ティンカーベル「ふう、ココアおいしい・・・」
キモオタ「落ち着きましたかなwww」
ティンカーベル「うん、まさにさっき本屋さんで話した事関係したお話だった」
キモオタ「というと・・・見た目で判断されがちだというアレでござるか?」
ティンカーベル「関係してた、とにかく私はもう人を見かけで判断しないようにする!見かけで判断するのはよくないこと!」
キモオタ「んんwwwなにやらかなり感動したようですなwww」
ティンカーベル「だから行くのちょっとつらいけど、でも行くよ!キモオタ、準備はいい!?」
キモオタ「もちろんですぞwwwいつでもいけますぞwww」
ティンカーベル「このお話で、おとぎ話の世界にいくのは三回目!今回も頑張っておとぎ話を消滅から救うよ!」ヒラヒラ
キモオタ「そうですなwwwもう慣れたもんですぞwww」コポォ
ティンカーベル「じゃあいくよ!【泣いた赤鬼】の世界へ!」
キィィィィィン
キモオタ「ブヒャアアアアアアwww」
シュン
~泣いた赤鬼の世界~
ティンカーベル「到着!」スィ
キモオタ「んんwwwもう転びませんぞwww」ドスン
ティンカーベル「また顔面スライディングするかと思って身構えちゃった!キモオタ成長した!」
キモオタ「んんwwwそれはさておき、そこに団子屋があるでござるwww」
ティンカーベル「うん、あるね」
キモオタ「まずはそこで作戦会議でござるよwww」コポォ
ティンカーベル「そうやって隙あらば食べようとしてー!」
キモオタ「ではティンカーベル殿は食べないのですかなwww」
ティンカーベル「食べるよ!みたらしだんごがいいよ!」
団子屋
キモオタ「店主殿wwwみたらしだんご一本と大福を5つ頼みますぞwww」
店主「へーい!」
ティンカーベル「私、大福まで食べられないよ?」
キモオタ「ご安心をwwwすべて我輩が食べます故にwww」ドゥフ
ティンカーベル「・・・それはさておき、この後は赤鬼の家を探してみようと思うんだけど」
キモオタ「おはなしのタイトルは【泣いた赤鬼】でしたな」
ティンカーベル「そうそう、これがね・・・もう涙なしには読めないよ・・・」
キモオタ「作戦の前にお話の説明をお願いしたいwww」
ティンカーベル「またぁ?キモオタちゃんと自分でおとぎ話読んでよー!」
キモオタ「そうおっしゃらずにwww泣いた赤鬼とはどのようなおとぎ話なのですかなwww」
キモオタ「毎度おなじみのおとぎ話のあらすじですぞwwwもちろん【泣いた赤鬼】の内容を知っているお主らは読み飛ばしておkですぞwww」
ティンカーベル「・・・・・・だから誰に喋ってんの?」
・・・
泣いた赤鬼
むかしむかし ある村のはずれに心優しい赤鬼が住んでいました
鬼というのは大きな体と怪力で人間に悪さをする事で有名でした
しかし、この赤鬼は違いました。優しい心を持っている彼は悪さをしません。そして彼は人間たちと友達になりたいと思っていました
そこで家の前にこんな札を立ててみました
心優しい鬼の家です。どなたでもおいでください。
おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます。
しかし、人間はきっと自分達を騙して食べてしまうつもりだと疑い近寄りません。それを知った赤鬼は悲しいやら悔しいやら、せっかくの立て札を引っこ抜いてしまいます。するとそこに親友の青鬼がやってきました
青鬼は事情を聞くとこう提案します。
今から僕が村に行って悪さをする真似をする。だから君は僕を懲らしめるんだ、そうすれば君が優しい鬼だと村の人はわかってくれるさ。
それは悪いと赤鬼は断りますが青鬼は強引に赤鬼を引っ張って作戦を実行します。
結果、作戦は大成功。
暴れる青鬼を赤鬼は村から追い出し、村人たちはおおいに喜びました
赤鬼の家にはお客さんで賑わい、赤鬼も村人も楽しく仲良く暮らしました。
しかし、赤鬼はもうずっと青鬼の姿を見ないことに気がつきました
心配になって青鬼の家に行くと、誰もいない家にこんな手紙がありました
赤鬼へ
君はこのまま村の人たちと仲良く暮らしてください
村で暴れた僕と一緒にいると君も悪い鬼だと思われてしまうかもしれない
だから僕は旅に出ます。もう会えないと思うけれど、体に気をつけて
さようなら
僕はどこまでも君の友達です 青鬼
赤鬼は何度も何度もその手紙を読みました。
そしていつまでも大声で泣き続けました。
おしまい
・・・
キモオタ「・・・・・・ティンカーベル殿?これで終わりですかな?」
ティンカーベル「そうだよ?」
キモオタ「これはあんまりではござらんか・・・・・・」
ティンカーベル「うん、青鬼は悩んでる親友のために自分を犠牲にして助けるんだけど・・・・・・切ないよね」
キモオタ「我輩、不覚にもうるっときましたぞwww」
ティンカーベル「でしょ?だから・・・ちょっと気が進まないんだよね・・・・・・」
キモオタ「どういうことですかな?」
ティンカーベル「このおとぎ話には本来起きない異変が起きてる。だからこのままだとお話が消えちゃう。ここまでは解る?」
キモオタ「もちろんですぞwww故に主人公である赤鬼殿が死んだり大怪我しないように見守ったり、物語が元の結末から大きく離れそうな場合はあるべき結末に進むように軌道修正しないといけないということですなwww」
ティンカーベル「問題はそこだよ・・・・・・」
キモオタ「と、言いますと?」
ティンカーベル「例えばだよ?異変の内容が『村人がすごくいい人ばっかり』っていう異変だったらどうなる?」
キモオタ「それは良いことなのではwww・・・・・・ん?」
店主「おまちどう!みたらしと大福ね!お茶熱いから気をつけな」コトッ
ティンカーベル「やった!みたらし私!」
キモオタ「変わり身早くないですかなwww」コポォ
ティンカーベル「だって落ち込んでても仕方ないし、おとぎ話が消えちゃうのはもっと嫌だもん。頑張らないとね」モグ
キモオタ「そうですなwww今は食べるでござるよwww」
店主「お客さんたち、旅の人だろ?だったらこれもっていきな」スッ
ティンカーベル「モグモグ・・・これなに?」モグモグ
店主「煎り豆だ。実はこの村はずれには恐ろしい赤鬼が住んでいてなぁー」
店主「一匹なんだがな、家の前に立て札刺してるんだよ。心優しい鬼の家ですってな」
ティンカーベル「それじゃあ安心じゃん。優しい鬼だもん!」
店主「とんでもねぇ、優しい鬼なんか聞いたことねぇや。どうせ俺たち人間を油断させて食っちまおうって考えなのさ、奴らは悪い奴だからなそうに違いねぇ」
ティンカーベル「そんなわけないじゃん!心優しい鬼だっているんだもん!」ムッカー
キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿www」
ティンカーベル「あんたたちがそんなだから!そうやって見かけや噂で判断するから赤鬼や青鬼が悲しい目にあわなくちゃいけないんじゃん!」
店主「な、なんだ・・・まさかお前!あの鬼の仲間か!?」
キモオタ「これはまずいwww断じて違いますぞwwwほら店主殿、彼女も人間じゃない故に思うところがあるんですぞwww勘弁していただきたいwww」
店主「確かに羽が生えて飛んでるし髪の毛も金髪だ。お前は妖怪やもののけの類か!?」
ティンカーベル「よ、妖怪って言った!キモオタ!許せない!」
キモオタ「店主殿!ご、ごちそうさまでござったwwwお代おいとくでござるwwwほら行きますぞwww」
ティンカーベル「引っ張らないで!あの店主に串突き刺してやるんだから!」ムッカー
村はずれ
ティンカーベル「もぉー!あの店主あったまくる!」プンスカ
キモオタ「ティンカーベル殿www気持ちは解りますがなwww村人に敵対視されると情報収集もできませんしなwwwここは落ち着いていくでござるよwww」
ティンカーベル「それに私は妖怪じゃない!」
キモオタ「知っておりますぞwww妖精でござろうwwwここは昔の日本ですからな、妖精はメジャーじゃないんですぞwww」
ティンカーベル「むぅ・・・ところでさ、何で煎り豆なの?」
キモオタ「ティンカーベル殿は節分やったことありませんでしたなwww日本では鬼の弱点は煎り豆、柊の葉、イワシの頭と言われておりましてなwwwまぁ鬼から身を守るためにくれたんですぞwww」
ティンカーベル「店主も悪い人じゃないんだね・・・だったらなおさら納得いかないよ。鬼だからって差別じゃん」
キモオタ「どっちの言い分もわかるんでござるがなぁ・・・ここは行ってみますかな、赤鬼殿の家に。まずは状況把握したいですなwww」
ティンカーベル「村はずれだからこの近くだと思うんだけど・・・」
キモオタ「んんwwwあれではござらんかwww家の前に立て札立っておりますしwww」
ティンカーベル「ホントだ!絶対そうだよ!見に行ってみようよ!」ピュー
こころのやさしいおにのいえです
どなたでもおいでください
おいしいおかしもございます
おちゃもわかしてございます
キモオタ「おいしいおかしとは気になりますなwwwチップス系ですかなwwwチョコ系ですかなwww」
チラッ
ティンカーベル「日本なんでしょ?おせんべい系かおまんじゅう系なんじゃない?私はおせんべい系がいいなぁ」
チラッ
キモオタ「我輩も今はせんべいがいいですなぁwww大福は先ほど頂いたのでwww」
チラッ
ティンカーベル「というか家の中からすっごい視線感じるんだけど・・・」
家の中からの声「おせんべいもあるよぉー・・・・・・」
キモオタ「あからさまな声が聞こえましたなwww」
ティンカーベル「ほらキモオタ!おせんべいもあるって!」
家の中からの声「おちゃもあるよぉー」
キモオタ「明らかに裏声なのが気になるんですがそれはwww」コポォ
ティンカーベル「いいじゃん、入ろう!お話ししたいし!こんにちわー!
」ガラガラ
キモオタ「ちょwww心の準備がwww」
赤鬼「やあやあ!ようこそ!赤鬼の家へ!あがってあがって!」ニコニコ
ティンカーベル「おじゃましまーす!ほらキモオタも!」
キモオタ「コミュ力高いですぞティンカーベル殿wwwおじゃまするでござるwww」
赤鬼「いやあ、嬉しいなぁ!村の人は誰も来てくれないから寂しくても寂しくて!オイラは赤鬼!鬼だけど悪さはしない、みんなと友達になりたい鬼だ!」
ティンカーベル「私はティンカーベル!外国の妖精だよ!妖怪でももののけでもないよ!ティンクって呼んでね!」
赤鬼「そうかそうか!わかった!ティンクは妖精っていう種族なんだな?よろしく!そっちの君は?」
キモオタ「キモオタですぞwww種族は人間でござるwwwオークではないですぞwww」ドゥフコポォ
赤鬼「ティンクとキモオタ!よろしく!さぁ楽しく話でもしようじゃないか!っと、お茶がまだだったな、ちょっと待っててくれ」イソイソ
キモオタ「楽しそうですな赤鬼殿www」
ティンカーベル「ね!こんなに気さくなのに村人はどうかしてるよ!・・・えっ?」
ゴポゴポゴポゴポ
キモオタ「どうしましたかなwwwティンカーベル殿www」
ゴポゴポゴポゴポ
ティンカーベル「キモオタ・・・あれ見て」スッ
赤鬼「お待たせ!ほうじ茶でよかったか?一応緑茶もあるけど」
ゴポゴポゴポゴポ
ティンカーベル「ねぇ赤鬼、これってふつうの湯飲みにお茶が入ってるんだよね?」
赤鬼「そうだぞ!どうかした?」
キモオタ「ゴポゴポ言うほど煮えたくっているのは見間違いですかな・・・」
赤鬼「鬼の茶釜で沸かしたからな、これくらい熱くないと美味しくないぞ!」ゴクゴクー
キモオタ「文化の違いですな・・・ッ熱ゥッ!!」ガシャーン
ティンカーベル「あっ!キモオタがヤケドした!」
赤鬼「大丈夫か!?薬持ってくるか!?」
キモオタ「オロナイン塗っておくので大丈夫ですぞwwwそれよりお茶、もう少しぬるいとうれしいでござるwww」
ティンカーベル「ごめん、私もぬるい方がいい!」
赤鬼「2人とも猫舌だなぁ!はっはっは」ニコニコ
キモオタ「これが異変ですかな・・・?」
ティンカーベル「どうだろ・・・違うと思うけど、ただの文化の違いに見えるよ」
キモオタ「どっちにしろこれじゃ村人が来ても帰ってしまいますぞwww」
赤鬼「はい、ぬるめのお茶だ」ニコニコ
キモオタ「カップめん作れそうな温度ですな・・・」
ティンカーベル「人間のアツアツのお茶=鬼のぬるいお茶なんだね・・・」
赤鬼「せんべいもあるぞ!」コトッ
ティンカーベル「あっ、おせんべいはおいしい」パリパリ
キモオタ「せんべいまで規格外だったらどうしようかと思いましたがなwww」コポォ
赤鬼「それオイラが焼いたんだ、なかなかおいしいだろう?自信作だ」
ティンカーベル「おいしいよ!赤鬼はお菓子作るの得意なんだね!」
赤鬼「実は料理は好きなんだ、熊の生肉を使ったお菓子もあるけどどどうだ?」ニコニコ
ティンカーベル「わ、私、お腹いっぱい!」
キモオタ「わ、我輩もせんべいでじゅうぶんですぞwww」
赤鬼「そうか・・・自信あったんだが、残念だ」ショボン
一時間後
ティンカーベル「そこで私はこう言ったの!「ジャムがなければマーガリンでいいじゃん!」ってね!」ケラケラ
赤鬼「そいつあ傑作だ!がっはっは!」ガッハッハ
キモオタ「ティンカーベル殿の妖精ジョーク話はおもしろいですなwww」ドゥフコポォ
赤鬼「まったくだ!っと、もうこんな時間か!やはり楽しい時間は過ぎるのが早いな」
ティンカーベル「なにか用事があるの?」
赤鬼「あぁ、すまん。実は今日の夕方親友が訪ねてくる約束なんだ、青鬼って言ってな。オイラより頭がいいけどこいつも心優しい鬼なんだ」
キモオタ「なるほどwwwでしたら我々はそろそろおいとましますかなwww」
赤鬼「いやいや!気にするなよ!2人は旅の途中なんだろ?泊まっていけばいい」
ティンカーベル「じゃあお言葉に甘えちゃおう!ね、キモオタ!」
キモオタ「そうですなwww」
赤鬼「是非そうしてくれ!で、俺は青鬼の歓迎の為に山に果物や山菜を取りに行くんだが、一緒に行かないか?」
裏山
ピーヒョロロロロ
ティンカーベル「気持ちのいい場所だねー」
赤鬼「だろう?このあたりはちょっと険しいからな、あまり村人は入ってこないんだ。だから果物も山菜も取り放題だ」
ティンカーベル「私は飛べるし、赤鬼はパワフルだからこれくらい険しい山でも問題ないけど普通の人間にはつらいかも」
赤鬼「そうだな!で、キモオタ・・・どうしてそんなにへばってるんだ?」
キモオタ「我輩・・・普通の人間故・・・ゼェゼェ・・・飛べない故・・・ゼェゼェ・・・」グッタリ
ティンカーベル「ちゃんと運動しないからこうなるんだよー」
赤鬼「がっはっは!帰り道はオイラが担いでやるから頑張るんだキモオタ!」
キモオタ「最近こんなのばっかりでござるよ・・・ゼェゼェ・・・ゼェゼェ・・・」
赤鬼「・・・ん?あそこに何か・・・いや、誰かいるな?」
金髪の娘「・・・・・・」ガサッ
赤鬼「人間の娘・・・?あんな幼い人間の娘がなぜこんな場所に?」
ティンカーベル「キモオタ、ここって昔の日本だよね?あの娘・・・金髪だよ?」
キモオタ「それに明らかに洋服でござるし、日本人では無いですな・・・」
赤鬼「しかしあんな格好でひとりでここまで来たのか、あの娘・・・危ないぞ」
金髪の娘「・・・・・・」
赤鬼「おーい!そこの娘っ子!ここは険しくて危ないぞ!俺は心優しい鬼だ!一緒に山を下りよう!」
金髪の娘「・・・・・・主人公の赤鬼」ボソッ
ティンカーベル「・・・・・・?」
金髪の娘「・・・・・・私は探している」
キモオタ「探してるですとwww一体何を探しているんですかなwww」
金髪の娘「染色に使う、真っ赤な植物」
金髪の娘「私は真紅草を探してる」
赤鬼「真紅草か・・・」
キモオタ「真紅草とは一体なんですかなwww」コポォ
金髪の娘「村で聞いた、染色に使える植物。鮮やかな真紅色を出せるって」
赤鬼「しかし、真紅草はもう少し奥まで行かないと生えていないぞ?娘っ子が取りに行くにはなぁ・・・どうしても必要なのか?」
金髪の娘「必要だから取りに来た。このあたりで糸を真っ赤に染色できるのは真紅草だけだと聞いたから」
ティンカーベル「糸?赤い糸が欲しいの?」
キモオタ「縫い物でもするんですかなwwwしかし糸の色なんて何でもいいのではwww」
金髪の娘「そう言うわけにはいかない。糸なら何でもいいというわけじゃない。ただの縫い物ではないから」
赤鬼「どうしても諦めないって言うんだな・・・」
金髪の娘「諦めることは出来ない。諦めたら私はここで死んでしまう」
キモオタ「ファッ!?」
ティンカーベル「なんだか特別な事情があるみたいだね」
金髪の娘「今の私は、例えるならあなたの羽が引っこ抜かれているのと同じ状況よ、ティンカーベル」
ティンカーベル「ちょ、縁起でも無いこと言うのやめてよ!」
キモオタ「・・・・・・むむっ?」
赤鬼「死ぬなんて言うもんじゃねぇ!どんな事情か知らんが、どうしても必要ならオイラが付いていく。それでいいか?」
金髪の娘「鬼なのに人間の手助けをするのね?」
赤鬼「関係ねぇや、娘っ子は困ってる奴がいても相手が人間じゃなきゃほっておくのか?」
金髪の娘「どうかしらね。でも手伝ってくれるなら助かるわ」
赤鬼「じゃあ決まりだ・・・ってよく見たら傷だらけじゃねぇか。あぶねぇからオイラの肩に乗っかってな」ヒョイ
金髪の娘「・・・子供扱いしないで、これなら自分で歩いていく」キッ
赤鬼「娘っ子の足じゃ夜中になっちまうぞ?熊や狼も出てくるんだ、食われちまうぞ?」
金髪の娘「・・・・・・我慢する。早くいきましょう」
赤鬼「よし、じゃあキモオタとティンク。ちょっと寄り道するが付き合ってくれるか?」
ティンク「いいよ、なんか訳ありみたいだしね!」
キモオタ「赤鬼殿www我輩も肩に乗せて頂きたいのですがwww」
赤鬼「すまん、流石に2人乗せてだともしもの時に危ないからな。ここは頑張って歩いてくれ、今までの倍険しい山道だがなんとかならぁ」
キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿www妖精の粉をかけて頂きたいのですがwww」チラッ
ティンカーベル「慣れてないのに逆に危ないよ、いい運動だと思って頑張ろう!」
キモオタ「これはwww筋肉痛待ったなしwww」コポォ
山道
ガサガサッ ガサガサッ
ティンカーベル「金髪の女の子ってこのあたりじゃ珍しいけど、旅してるの?」
金髪の娘「旅、という表現でいいのかしら。でも旅だと思ってもらっても差し支えは無いわね」
赤鬼「まだ子供なのに一人で旅してるのか、だから口調とかしっかりしてるんだな。しかし、親御さんも心配だろうなぁ」
金髪の娘「・・・・・・」
ティンカーベル「ねぇねぇ!大事そうに持ってる長いのは何?布が巻いてあるけど」
赤鬼「がっはっは、ティンクは初対面なのにグイグイいくなぁ」ガッハッハ
金髪の娘「・・・内緒よ」
ティンカーベル「えーっ!教えてよ教えてよ!」ケラケラ
キモオタ「ゼェーハァーゼェーハァー」
金髪の娘「そうね、だったらこれが何か教える代わりにあなたに妖精の粉を少し分けてくれる?」
ティンカーベル「妖精の粉?いいけど、何で知ってるの?」
赤鬼「妖精の粉?なんだそれは?」
金髪の娘「妖精が飛ぶときにその羽から零れ落ちる鱗粉。魔法の力を秘めていて、妖精を信じる者に一時的ではあるけれど飛行能力を。素材としては空間移動系や速度変化の魔法具に用いられる」
赤鬼「たまげたなぁ、妖精ってのは不思議な力をもっているもんだなー・・・そのマホウグってのは何なんだ?」
金髪の娘「この世界の言い方をするなら、神通力が宿った道具かしらね。あなた達鬼の種族に伝わる『隠れ蓑』や『打ち出の小槌』のようなものよ」
赤鬼「あぁ、なるほどなぁ。不思議な力がある道具ってことだな」
ティンカーベル「・・・なんでそんなに詳しいの?私にことも、鬼のことも」
金髪の娘「何故かしらね。それよりあなたが知りたいのはこっちの物でしょう?」ヒョイ
ティンカーベル「・・・・・・」
ティンカーベル「あなた、何者なの・・・?どこから来たの?」
金髪の娘「どこから来たのか言っても、今のあなたには解らないと思うけど。何者かという質問が呼び名を聞いているなら、今は『金髪ちゃん』とでも呼んでくれたらいいわ」
ティンカーベル「・・・・・・何でこの世界に来たの?」キッ
赤鬼「おいおい、喧嘩するんじゃないぞ?ほら、キモオタも止めてくれ」
赤鬼「あれ?キモオタはどこだ?」
キモオタ「」グッタリ
ティンカーベル「あっ!キモオタが倒れてる!」
キモオタ「これしんどいでござる・・・我輩、もう歩けませんぞ・・・」
ティンカーベル「もぉー、だらしないなぁ!」ピュー
グルルルッ
赤鬼「このうなり声っ・・・!キモオタ!あぶねぇ!」
ガサッ
熊「グルルッ」
熊「グルルッ」フシュー
キモオタ「ぶひいいいぃぃ!我輩食べるところ無いですぞおおお!!!」ダッ
赤鬼「駄目だ!走るな!追いかけてくるぞ!」ダッ
熊「ウガアアァ!」
キモオタ「あわわ・・・おはなしウォッチで助けを!裸王殿!シンデレラ殿!しかしいきなり呼んでも・・・!ど、どうするでござるかぁ!」ワタワタ
ティンカーベル「ダメっ!間に合わない!」
ズダーン ズダーン
熊「グ、グガァ・・・・・・」ドスーン
キモオタ「ひいいいいぃぃ!死ぬかとおもいましたぞおおおぉぉ!」
赤鬼「眉間と心臓に一発・・・!」
ガシャッ
金髪の娘「ティンカーベル。これがあなたが気にしていた長物の正体よ。約束通り妖精の粉、貰うから」ガシャッ
ティンカーベル「ものすごい射撃の腕前・・・本当に何者なんだろう・・・」
裏山 最深部
赤鬼「さぁ着いたぞ!そのあたりにあるのが真紅草だ」
金髪の娘「縫い糸一巻染めるならどれくらい必要?」
赤鬼「そうだなあ、ざっとこんなもんかな。しかし染色はどうするんだ?なんならオイラがやってやろうか?」ガサガサッ
金髪の娘「意外と器用なのね。お願いするわ」
赤鬼「ただし数日はかかるぞ?」
金髪の娘「構わないわ」
キモオタ「赤鬼殿!あの木の実食べられるでござるかなwww」
赤鬼「おぉ、今いく!」ドスドスドス
ティンカーベル「・・・金髪ちゃん。ちょっと話したい、いい?」
金髪の娘「・・・いいわよ、赤鬼も行ったみたいだし」
金髪の娘「別のおとぎ話の住人同士、お互い聞きたいこともあるものね?」
キモオタ「ふぅwww赤鬼殿には別の場所で果物採ってくると言い訳しておきましたぞwww」
金髪の娘「あら、彼も一緒なの?」
ティンカーベル「私の友達。一緒に旅をしてるの、おとぎ話の事情も知ってる」
キモオタ「金髪殿は何故かティンカーベル殿の事を知っているようでしたしなwww他のおとぎ話の住人ではないかと思っておりましたぞwww」
金髪の娘「そう。じゃあティンカーベル、あなた達の目的は?何故ここにいるのか教えて」
ティンカーベル「知ってるかもしれないけど、ピーターパンのおはなしは消滅しちゃってる。だから私はピーターパンのおはなしを復活させるために旅をしてるの」
金髪の娘「ここには打ち出の小槌でも探しにきたの?」
ティンカーベル「ううん、このおとぎ話が消えそうな臭いがしたから消えないように助けにきたんだよ」
金髪の娘「へぇ・・・そんなこともしてるのね」
キモオタ「話に腰を折りますがwww時に打ち出の小槌とは一体www」
金髪の娘「打ち出の小槌。鬼が持っているという魔法具・・・神通力の宿った道具よ」
金髪の娘「どんな願いも叶える能力を持つ魔法具よ。体を大きくしたり、財宝を出したりね」
キモオタ「ティンカーベル殿!それがあれば【ピーターパン】のおはなしを復活させられるのではwww」
ティンカーベル「金髪ちゃん!それ詳しく教えて!」
金髪の娘「残念だけどもう手には入らないわよ。打ち出の小槌は【一寸法師】の世界の宝物。でもそのお話は消滅している、恐らく打ち出の小槌もね」
ティンカーベル「残念・・・私が知らないところでも知らないお話が消えていってるんだね」
キモオタ「やはり魔法のランプに望みを託すしかありませんなwww」コポォ
金髪の娘「知らなかったと言うことは、この世界に来たのは本当にこのおはなしを救う為なのね」
ティンカーベル「だからそうだって!だって他のおはなしまで消えちゃったら私みたいなつらい思いをする人が増えちゃうし、それは嫌だもん」
金髪の娘「・・・・・・嘘では無いようね」ボソッ
金髪の娘「さっきあなたは私に聞いたわね。どこから来たのか、何者なのか、なぜここにいるのか・・・教えてあげるわ、ティンカーベル。そしてキモオタ」
金髪の娘「私もあなたと同じ、この世界を救いに来た」
ティンカーベル「この世界を救いに・・・?でも、金髪ちゃんはおとぎ話の世界の住人なんでしょ?」
金髪の娘「一応、主人公をやっていたわ」
キモオタ「しかし主人公ならばなおさら自分のおとぎ話を不在にしていていいのですかなwww」
ティンカーベル「もしかして、金髪ちゃんも私と同じ?」
金髪の娘「そうね。私のおとぎ話も消滅している」
キモオタ「なんですと!ということは金髪殿もおとぎ話の復活を願って?」
金髪の娘「・・・いいえ、私はそれは望んでいない。元の世界は居心地もよくて大好きな人もたくさんいたけれど、それもみんな死んでしまった」
ティンカーベル「・・・・・・」
金髪の娘「だからせめて他のおとぎ話には同じ末路を辿って欲しくない。だから私は元の世界で手に入れたおとぎ話の世界を行き来する魔法具とこのマスケットを手に取って、旅をしているの」
ティンカーベル「ねぇ、消えちゃってるなら聞いてもわかんないかもだけど、なんていうお話?あなたの本当の名前は?」
金髪の娘「名前、ね・・・なんだったかしら・・・」
金髪の娘「真紅草を探している。そう言ったわよね、ティンカーベルの妖精の粉が欲しいとも言った」
キモオタ「糸、と言っておりましたなwww手に入らないとここで死ぬとwww」
ティンカーベル「金髪ちゃん・・・ううん、あなたは魔法具でおとぎ話の世界を行き来してるんだね?でも、それが使えなくなっちゃった。だから私の羽と例えたんだね」
キモオタ「なるほどwwwここから移動できなくなればここで死んでしまうことになりますからなwww」
金髪の娘「ティンカーベルの言うとおりよ。真紅草も妖精の粉も、私がおとぎ話の世界を行き来するのに必要な魔法具の修繕に必要なの」ゴソゴソ
金髪の娘「これよ」
キモオタ「これは上等そうな真っ赤な布ですなwww洋服でござるか?www」
金髪の娘「ハズレよ。ここに移動してきたときに引っ掛けて、裂けてしまったの。魔法の力の込められた赤い糸で縫いつけないと、使えない」
ティンカーベル「それって・・・なに?」
金髪の娘「ずきんよ、真っ赤なずきん。お婆ちゃんに貰った大切なずきん・・・お気に入りでずっと身につけてた。だから私は元の世界では・・・・・・」
金髪の娘「『赤ずきんちゃん』と呼ばれていたわ」
赤ずきん「本当の名前なんて忘れてしまったけど、皆が呼んでくれるそれこそが私に名前だった」
赤ずきん「もう、みんなにそう呼ばれることは無いけれどね」
ティンカーベル「・・・ごめん、私は赤ずきんがこの世界に何か手を加えようとしている悪い人かもって思っちゃった」シュン
赤ずきん「お互い様よ。私もあなた達がこの世界の消滅の一因かもしれないと思っていたしね」
キモオタ「おとぎ話の消滅を影で操っている黒幕がいるかもしれませんからなwww疑ってしまうのは仕方ないwww」
赤ずきん「黒幕?なにそれ?おとぎ話は現実世界の人間に忘れられると消えるんじゃないの?」
ティンカーベル「まだ可能性の段階っていうか・・・もしかしたらだけど、何かの手段で誰かが天啓を見せておとぎ話に異変を与えているんじゃないかって私達は考えてるんだ」
赤ずきん「詳しく教えてくれる?」
・・・
赤ずきん「なるほどね・・・【裸の王様】や【王様の耳はロバの耳】でおかしな行動を起こした人は決まって天啓を見ていると、そういうことね」
ティンカーベル「うん、偶然かもしれないけどね」
キモオタ「もしや赤ずきん殿の世界の異変もこの天啓では?」
赤ずきん「どうかしらね・・・あの狼、知性はあるみたいだったから可能性はありそうだけど・・・」
ティンカーベル「狼?狼が原因なの?」
キモオタ「そういえば我々赤ずきん殿の世界のおはなし知りませんなwww」
赤ずきん「そうね、もしも黒幕がいるのなら解決のための情報は多い方がいい。いいわ、話してあげる。私のおとぎ話【赤ずきん】がどんなおはなしなのか。そして・・・・・・」
赤ずきん「【赤ずきん】のおはなしがどうやって消滅したかをね」
少しだけ昔 とある国の小さな町
母親「赤ずきんー?ちょっとおいでー」
赤ずきん「はーい!なぁに?ママー」
母親「今日は赤ずきんにおつかいをお願いしちゃいます!どこにいくかわかるかなー?」フフッ
赤ずきん「おつかい!私ね、わかるよ!おばあちゃんのところでしょ!いつもおつかいはおばあちゃんのおうちへのお届け物だもん!」
母親「正解!じゃあこのバスケットにパンと葡萄酒、それと小さなつつみも入れておくからおばあちゃんにちゃんと届けてね?」
赤ずきん「はーい!ちゃんと届けるよ!任せて!」
母親「うん!いい返事!ごほうびに今日の夕飯は赤ずきんの大好物のシチューにするからあまり遅くならないうちに帰ってくるように!」
赤ずきん「本当!?わーい!赤ずきん、ママのこと大好きー!」
母親「あらあら、そんなこと言うとパパがっがりしちゃうぞー」フフッ
赤ずきん「パパも大好き!おばあちゃんも大好きー!赤ずきん、みんなのこと大好きー!」ニコニコ
・・・
キモオタ「ちょっといいですかなwww」
赤ずきん「なにかしら?なにか気になることでも?」
キモオタ「赤ずきん殿キャラ違いすぎませんかなwwwこの愛らしい娘が熊を撃ち殺した娘と同一人物には見えませんなwww」ドゥフコポォ
赤ずきん「・・・・・・話を進めていい?」
ティンカーベル「キモオタ!どうでもいいことで話の腰を折らないで!」プンプン
キモオタ「申し訳ないwwwどうにも気になったものでwww」コポォ
ティンカーベル「ごめんね、赤ずきん!続けて!」
赤ずきん「・・・・・・私はある町に住んでいた。両親との三人家族。ごく普通の一般家庭だったわ。それと町のはずれにある森の中におばあちゃんが住んでいたわ。私はよく届け物のおつかいを頼まれていた」
・・・
赤ずきん「ママー!いってきまーす!」
母親「はーい!寄り道しないようにねー!」
町外れの森 おばあちゃんの家
赤ずきん「到着ー!おばあちゃん!赤ずきんだよー!おつかいにきたよ!」コンコン
おばあちゃんの声「おや、赤ずきんかい。鍵は開いているから中にお入り」
ガチャッ
赤ずきん「おばあちゃん!」ムギュー
おばあちゃん「おやおや、赤ずきんはいつまでたっても甘えん坊さんだねぇ」ニコニコ
赤ずきん「赤ずきん、おばあちゃん大好きだもん!今日もねーひとりでおつかいにきたよ!これ!ママからのお届け物!」ズイッ
おばあちゃん「おやおや、帰ったらママにお礼を言っておいてねぇ。赤ずきんや、クッキーがあるよ。食べるかい?」
赤ずきん「食べる!それとね!また今日もたくさん外国のおとぎ話教えて!おばあちゃん、他の人が知らないお話たくさん教えてくれるから大好きー!」
おばあちゃん「おやおや、じゃあ今日は遠く離れた島国にお話をしようかねぇ・・・・・・」
赤ずきん「やったぁ!なんていうお話?」ワクワク
おばあちゃん「一寸法師というお話だよ。じゃあクッキーと紅茶の準備をしてお話をはじめようかねぇ」
赤ずきん「はーい!赤ずきんも手伝う!」
・・・
おばあちゃん「・・・・・・でしたとさ。めでたしめでたし」
赤ずきん「めでたし!めでたし!面白かった!今日もたくさんお話覚えたよ!」
おばあちゃん「一寸法師、かぐや姫、舌切り雀・・・今日はみっつも覚えたねぇ赤ずきんや」ナデナデ
赤ずきん「うん!もういーっぱい教えてもらったから100くらいお話できるよ!」フンス
おばあちゃん「おやおや、赤ずきんは賢いねぇ」ナデナデ
赤ずきん「本当!?赤ずきん賢い?」
おばあちゃん「賢いねぇ、もっともっとお話しを覚えないとねぇ」
赤ずきん「? うん、わかった!」
ドンドン
狩人の声「ご婦人!狩人だ、はいってもいいかい?」
おばあちゃん「どうぞ、鍵は開いてるからお入り」
狩人「邪魔するよ、おっ!赤ずきんちゃん!今日もおつかいかい?」
赤ずきん「こんにちわ狩人さん!今日もおみやげある?」
狩人「おうよ!赤ずきんちゃんがくる頃だと思ってな!ほら!シメたばっかりのウサギだ、母ちゃんにうまく料理して貰いな!」
赤ずきん「わーい!ありがとう!」
おばあちゃん「じゃあそろそろお帰り、あまり遅くなると危ないからねぇ」
赤ずきん「はぁい、もうちょっとお話ししたいけどなぁ、赤ずきん」
おばあちゃん「おやおや、大丈夫だよ、いつでも遊びにおいで。でも今日は遅くならないうちにお帰り、おばあちゃんとの約束だよ」
赤ずきん「うん、わかった!また来るね!おばあちゃん!狩人さん!」
おばあちゃん「気をつけてねぇ」
狩人「寄り道すんじゃねぇぞー!」
・・・
おばあちゃん「帰ったね。すまないね狩人さん、あれを取りに来たんだろう?」
狩人「もう出来てるかい?」
おばあちゃん「あぁもちろんさ、もう時間がないからねぇ・・・」
おばあちゃん「狼を一撃で倒す銀の魔弾。あまり数は作れなかった、すまないけれどこれで何とかしておくれ」
狩人「大丈夫さ、雑魚はご婦人に精製して貰ったマスケットで蹴散らす。大物にだけ銀の魔弾が使えれば十分だよ」
おばあちゃん「他の者には言えないからねぇ、私と狩人さんでなんとかするしかないねぇ」
狩人「しかし、今でも信じられない。この【赤ずきん】のおとぎ話に消滅が近づいているなんてな」
おばあちゃん「残念だが確実だ。それも時間がない、今回ばかりは自分の予知能力が恨めしいよ」
狩人「まぁそうおっしゃらず、ご婦人の魔力のおかげで消滅を事前に察知し、こうやって対策も立てられるんだ。うまくすれば消滅を回避することだってできるさ」
おばあちゃん「だといいんだけどねぇ・・・」
狩人「しかしおとぎ話の消滅ってのは現実世界の人間に忘れられると起きるもんだが・・・そこが腑に落ちない」
おばあちゃん「そうだねぇ、【赤ずきん】のおとぎ話は現実世界でも有名な部類に入っているはず何だがねぇ・・・」
狩人「にも関わらず、ご婦人はこのおとぎ話の消滅を予知夢で知ったということだったな」
おばあちゃん「そうだよ、私の予知夢じゃあもう一ヶ月もしないうちに狼がこの周辺にやってくる。それも元の話のように一匹じゃあない。両指でも利かない、20か30か・・・大規模な群をなして襲ってくる」
狩人「町の自警団がどれだけ機能するかだな・・・本当のことはいえないから、町には盗賊が近隣地域で暴れていると誤報は流した。多少は警備を強めてくれるだろうが」
おばあちゃん「もうあとはできるだけにことをするしかないね・・・」
狩人「あの娘には・・・?」
おばあちゃん「言えるわけないだろう。だけどもし、私か狩人さん、赤ずきんの誰かがやられればこのおとぎ話は消えるだろう。そうなったとき一番生きていてほしいのはあの娘だ」
おばあちゃん「もしもの時のためにあの子には他のおとぎ話を教えてあるもう大方教えられたはずだ。それとあのずきんには魔法がかけてある」
狩人「魔法?いったいどんな?」
おばあちゃん「私が死んだら効力がでるようにしてある。深くかぶれば別のおとぎ話へと移動できる魔法さ。魔女だろうとなんだろうとやっぱり孫は可愛いもんだ、あの子には生きていてほしい」
狩人「たとえこの世界が消滅してもあの子は生きていけるってことか、優しいおばあちゃんですね、ご婦人・・・いや魔女殿」
おばあちゃん「よしとくれよ。私は孫娘の命の危機にさえ満足な助けがしてやれない、ただの老婆だよ」
狩人「そう悲観なされるな、私も出来ることはします。もちろん、赤ずきんちゃんだって護ってみせる」
おばあちゃん「そうだねぇ、とにかくここが踏ん張りどころだねぇ」
狩人「ええ、なんとしても消滅を食い止めましょう」
同時刻 某所
狼「グルルゥ!まて!お前、食ってやるぞ!俺様の周りをうろちょろしやがって!」
???「無理だよ、君は僕を食べることができない。何故なら狼は空を飛べないからだ」
狼「畜生!降りてきやがれ!俺様は、腹が減ってるんだ!」
???「だろうねぇ、ここ数日君を見ていたけど全然獲物捕まえられてないじゃないか、一匹狼なんかやめて群をなしたらどうだい?」
狼「やかましい!群れると食える量が減るだろうが!」
???「馬鹿だな君は、やっぱり僕一人で十分だったよ」
狼「はぁ?なにいって・・・・・・」
???「君にお腹いっぱいになる作戦を教えてあげるよ」
狼「なにぃ?そんなもん信じられるか!お前のようなよそ者の言葉!」
???「そう言うと思ったよ。でも、自分で見たものなら信じられるかい?」
狼「はぁ?まぁ、そりゃあお前・・・この目で見たもんならなぁ・・・・・・」
???「じゃあ見せてあげるよ・・・・・・『君含む狼が群をなして町中の人間を食い殺す』そんな天啓を、ね」シュッ
ポワァ
狼「お、うおおぉ、おおお!?」
数日後
母親「・・・・・・うーん」
赤ずきん「ママー?どうしたの?」
母親「実はね、おばあちゃんにお届けものをお願いしようと思ったんだけど」
赤ずきん「おつかい!いくいく!赤ずきん頑張るよ!」
母親「でもねぇ、昨日の夜中に近くで狼の鳴き声を聞いたって人がたくさんいるの。もしかしたら近くに狼がいるかもしれないし、ちょっと頼めないなぁ・・・」
赤ずきん「狼?こわいの?」
母親「そりゃあこわいよー?赤ずきんなんかガブーッって食べられちゃうんだから!」ガブー
赤ずきん「本当!?それは怖い・・・でもおばあちゃんのとこ行きたいなぁ・・・」
母親「うーん、ママには他の用事があるし・・・昼間なら平気かなぁ・・・」
赤ずきん「きっと平気!赤ずきん泣かないから、おつかいいく!」
母親「まだお昼前だし、きっと少しは人通りもあるよね・・・じゃあ赤ずきんにおつかいをお願いします!でもママと約束すること!」
赤ずきん「やったぁ!おつかい!でも約束ってなぁに?」
母親「今日は特に絶対に寄り道しないこと!それと今日はいつもより早く帰ってくること!もしもどうしても遅くなりそうだったら狩人さんと一緒に帰ってくること!約束できる?」
赤ずきん「えっと、寄り道しない!早く帰る!遅くなるときは狩人さん!」
母親「うんうん、よろしい!じゃあバスケットに荷物入れておくからね」
赤ずきん「はーい!」
母親「うん、今日もいい返事だ!ご褒美に赤ずきんの大好物のハンバーグを作ってあげよう!だから早くかえっておいでね?」
赤ずきん「ハンバーグ!目玉焼き乗ってる!?」
母親「乗ってるよー!しかも今日はお花のかたちにしちゃう!」
赤ずきん「やったぁ!じゃあ赤ずきん、頑張っておつかいするね!」
母親「うん、じゃあよろしくね!約束、しっかり守るのよ?」
赤ずきん「うん!約束!」
赤ずきん「ママー!バイバーイ!いってきまーす!」
森の中の道
赤ずきん「いいお天気だなぁー」ワクワク
赤ずきん「でも狼がでるよって言われたし早くおばあちゃんのとこに行かなきゃ!」
パタパタパタッ
鳥「そこのお嬢さん!そんなに急いでどこに行くんだい?」
赤ずきん「鳥さんこんにちわ、森の奥のおばあちゃんの家までおつかいにいくの」
鳥「そうなんだ、だったらその先に道を右に曲がるといい。すてきなお花がたくさん咲いているよ」
赤ずきん「でも、狼がでるから寄り道しちゃいけないっていわれてるから・・・・・・」
鳥「少しなら大丈夫さ、おばあちゃんもお花は好きだろう?」
赤ずきん「うん、おばあちゃんお花好きだよ!摘んでいったら喜んでくれるかな?」
鳥「もちろん!たくさん誉めてくれるよ!」
赤ずきん「そっかぁ・・・・・・でも・・・・・・うー・・・・・・」
鳥「君が花畑に行ったことは誰にも言わないよ!それなら君のママにだってわかりやしないさ」
赤ずきん「お花摘みにいっても怒られない?」
鳥「大丈夫さ!怒られやしないさ、むしろおばあちゃんを喜ばせてあげたんだ、誉められるよ!」
赤ずきん「本当!?赤ずきん、誉められる?」
鳥「そうとも!僕が嘘をつく悪い鳥に見えるかい?」
赤ずきん「見えない!赤ずきん、お花摘みしてから行く!」
鳥「それがいい!気をつけていくんだよ」
赤ずきん「はーい!鳥さんバイバーイ!」フリフリ
鳥「・・・さぁ、時間稼ぎはこれでいいかな。あとはあの方にお願いしますかね」
森の奥、赤ずきんのおばあちゃんの家
コオオォォォ
おばあちゃん「・・・・・・これでよし、と」
おばあちゃん(昨晩の狼の鳴き声・・・いやな予感がするねぇ。とりあえず狙われるのは私と狩人さんと赤ずきん)
おばあちゃん(狩人さんはともかく、赤ずきんが心配だ。家が壊されないように結界は張ったけど・・・町へ行ってみようかね)
ドンドン
おばあちゃん(・・・・・・おや?)
おばあちゃん「おやおや、誰だい?」
赤ずきん「おばあちゃん、赤ずきんだよ!おつかいにきたよ」
おばあちゃん(・・・・・・確かに赤ずきんの声だ、しかし・・・)
おばあちゃん「・・・・・・すまないが窓の方にきてくれるかい?赤ずきん」
赤ずきん「もぉ、どうしたのおばあちゃん?ほら!赤ずきんだよ!」ニコニコ
おばあちゃん「すまないね、赤ずきん。いますぐ鍵を開けるから玄関へおいで」
おばあちゃん(私の気にしすぎだったようだね・・・)
ガチャッ
赤ずきん「おばあちゃん!赤ずきん、おつかいに来たよ!」
おばあちゃん「おやおや、大丈夫だったかい?悪い狼がいるかもしれないよ?」
赤ずきん「大丈夫だったよ!どうして今日は鍵が空いてなかったの?赤ずきん困っちゃった!」
おばあちゃん「すまないねぇ、今お茶を入れようねぇ」
赤ずきん「鍵閉めてたのって、狼さんが来ないようにだよね?」
おばあちゃん「そうだよ赤ずきんや、お家を壊されちゃうかも知れないからねぇ」
赤ずきん「でもね、おばあちゃん!せっかくお家に結界を貼っても」
グルルッ
おばあちゃん「・・・・・・っ!」
ザシュッ!
赤ずきん?「その狼を家の中に入れちまったら意味が無ぇぜ、おばあちゃん」グルルッ
おばあちゃん「狼が赤ずきんに化けていたなんてねぇ・・・誰の差し金だい・・・?」
狼「気がつくのが遅かったなぁ。なぁ?本当にこのばぁさんを先に殺す必要があったのか?」
???「ええ、彼女はこう見えて強い魔力を持っています。後に回せば君たち狼の邪魔になる。今頃、本物の赤ずきんは私の友達にそそのかされて花でも摘んでいるよ」
おばあちゃん「あんたのその姿・・・!別のおとぎ話からやってきたようだが、何のためにきたんだい!どうやって狼に変化の能力を与えた!」
???「目的?それはあなた達の為。それとひとつ勘違いをしているね、私は狼に変化の能力を与えてなんかいない。私には魔力は使えないから。でも魔法具を使えば簡単。あなたに幻覚を見せる事くらい、こうやって・・・・・・」
シュッ ポワァ
???「マッチを一本擦ればいいだけなんだから」
おばあちゃん「・・・・・・っ!」
狼「何をしたんだ?ばぁさん、急に黙っちまったぜ?」
???「今頃、赤ずきんと楽しくお話ししている幻覚をみているよ。苦しまないうちに食べてやってはどうかな?」
狼「へっ、もう俺たちの邪魔は出来ねぇんだろ?だったらもっと若い肉を食いに町に行くぜ」グルルッ
???「どちらにしても狼の爪にやられているんだ、長くはないか・・・」
十数分後
赤ずきん「ふんふんふーん♪おばあちゃん喜んでくれるかなー」
赤ずきん「・・・あれ?おばあちゃんの家の玄関が開いてる、いつもちゃんと閉めてるのに・・・」
ヒョイ
赤ずきん「おばあちゃん?赤ずきんだよ、開けっ放しで・・・」
おばあちゃん「おや、赤ずきん・・・無事かい・・・?」グッタリ
赤ずきん「おばあちゃん!」ダッ
赤ずきん「どうしたの?なんで傷だらけなの?たくさん血が出てる、お医者さんに行こう!もしかしてママがいってた狼が来たの!?」オロオロ
おばあちゃん「いいかい、落ち着いてよく聞くんだよ赤ずきん・・・」
おばあちゃん「不甲斐ないおばあちゃんですまないねぇ、でももうこのお話は助からない」
赤ずきん「お話?助からないってなぁに?どういうこと、おばあちゃん!」
おばあちゃん「この世界はね【赤ずきん】というおとぎ話の世界なんだ。本当は悪い狼に私と赤ずきんが食べられたところを狩人さんが助けてくれる筋書きだったが、このおとぎ話には異変が起きてしまった」
おばあちゃん「おとぎ話は現実世界の人間に忘れられると異変が起きる。そして物語の重要人物が死ねばその物語は消滅する。このお話はもうじき消えてなくなるだろう・・・」
赤ずきん「赤ずきん、わかんないよ!そんなお話しなくてもいいから早くお医者さんにいこうよ!」
おばあちゃん「いいから聞くんだよ赤ずきん、おばあちゃんはもう助からない」
赤ずきん「・・・!」
おばあちゃん「いいかい、そのずきんには魔法がかけてある。深くかぶって行きたい世界を口にするんだよ。たくさん教えてあげたお話があるだろう?明確な名前でなくたっていい、行きたいお話を口にすればいいんだ」
赤ずきん「このずきんに魔法がかかってるの・・・?」
おばあちゃん「そうだよ、異変をただせば元に戻るがこの世界はもうだめだ。別の世界に赤ずきんだけでも逃げるんだ」
赤ずきん「やだ!おばあちゃんも!おばあちゃんも一緒に行く!」
おばあちゃん「赤ずきんや、おばあちゃんを困らせないでおくれ・・・」
バターン!!
狩人「ご婦人!赤ずきん!」ハァハァ
赤ずきん「狩人さん!お願い!おばあちゃん大怪我してるの!助けてあげて!」
おばあちゃん「狩人さんや、すまない・・・このおとぎ話はもう、消える」
狩人「・・・っ」ギリッ
赤ずきん「なんで黙っちゃうの!お願いだよ狩人さん!」
おばあちゃん「赤ずきんを頼んだよ・・・」
狩人「赤ずきん。おばあちゃんに聞いたな?そのずきんでほかの世界へ逃げるんだ・・・俺は少しでも多くの狼を道連れにする!」バターン
赤ずきん「おばあちゃん・・・?」
ゴゴゴゴ
赤ずきん「うえええん!おばあちゃん!!」グスングスン
ゴゴゴゴ
赤ずきん「ひっくひっく・・・・・・」グスングスン
ゴゴゴゴ
赤ずきん「お外の景色が・・・ぼろぼろになっていく・・・」
赤ずきん「お空も、お花も・・・」
ゴゴゴゴ
赤ずきん「ママ・・・パパ・・・」
赤ずきん「いかなきゃ、お家にいかなきゃ!ダッ」
赤ずきんの住む町
ワオーン グルルッ ワオーン
赤ずきん「町が燃えてる・・・!」
ゴゴゴゴ
赤ずきん「いない・・・!お隣のお姉ちゃんも・・・パン屋のおじさんも・・・!」
赤ずきん「パパもママも!いない・・・!」
狼「おっとぉ、もうガキは喰っちまったとおもったがまぁだ残ってたか、結構喰っちまったがガキの肉は別腹だなぁ」
赤ずきん「・・・!」
狼「チッ、歯になんか挟まっちまっててうっとうしいぜ、折角のご馳走だってのによ・・・っと」ホジホジ
赤ずきん「・・・・・・それ、ママのエプロン・・・!」
狼「あ?あぁ、さっき喰ったのお前の母ちゃんだったかもな」ゲラゲラ
赤ずきん「・・・!」
ズダーン
狼「ゲブォ!」ヨロッ ドシーン
狩人「赤ずきん!どうして戻ってきた!」
赤ずきん「あの、赤ずきん・・・ママとパパに・・・」
狩人「・・・・・・」
赤ずきん「・・・・・・」
狩人「俺は嘘が苦手だ。だから正直に言う。赤ずきん、お前の両親は狼に喰われた、二人だけじゃねぇ。俺がきたときにはもう・・・狼に群にあらかたやられた後だった」
赤ずきん「・・・・・・」
狩人「涙ももはやでねぇか・・・仕方ないか、あまりに酷ぎる」
赤ずきん「・・・・・・」
狩人「いいか、お前はずきんの能力で別のおとぎ話へ逃げるんだ。つらいかもしれない、寂しいかもしれないが・・・」
狩人「お前のおばあちゃんはそれを望んでいた。つらい思いをしても苦しい経験をしても、それでもお前に生きて欲しかったんだ」
赤ずきん「・・・・・・おばあちゃん」
狼「おーい!ガキと男がまだ残ってるぞー!」
狩人「クッ!」
狩人「持っていけ!」ビュン
赤ずきん「・・・・・・マスケット、こんなの使えないよ」
狩人「それには弾丸が自動でリロードされる魔法が込められている、売れば高値が付くはずだ」
赤ずきん「・・・・・・狩人さん」
狩人「早く行け!素手じゃあまり時間稼ぎ出来ない」
赤ずきん「・・・!」ダッ
狩人「強く生きろ。今は無理でも、いつかお前の力で悲しみを振り払え!」
赤ずきん「おばあちゃん、狩人さん、パパ、ママ・・・・・・私、頑張る・・・」
赤ずきん「頑張って・・・もう誰も泣かなくていいようにする!」
ギュッ
赤ずきん「ずきんよ、ずきん。私のずきん、お願い・・・」
赤ずきん「私を・・・別のおとぎ話に連れて行ってっ!」
ビュン
・・・
ティンカーベル「・・・・・・」グスングスン
キモオタ「・・・・・・」
赤ずきん「そこから別のおとぎ話を転々とした。カエルと一緒に感じの悪いお姫様を相手にしたり。旅人と一緒にただの石ころをスープが作れる石だって嘘付いたり。村人と一緒に藁を交換して屋敷を手に入れたりもしたわね。いろいろなお話を廻ったわ」
赤ずきん「結局マスケットは売らずにそのまま武器にして、消滅しそうなおとぎ話に飛んでいっては救いながら旅してきた」
赤ずきん「最初は寂しかったし辛いときもあったけど、だんだんおとぎ話を救う事にもなれて、いつしかもう私のおとぎ話みたいな悲劇を繰り返したくないっていう強い思いも持てるようになった」
赤ずきん「私の話はこれで終わりよ」
キモオタ「辛い思いをしましたな・・・」
ティンカーベル「そうだよ・・・グスングスン」
赤ずきん「よしてよ、哀れまれるような人生じゃないもの。それにティンカーベルも同じような経験なんじゃない?」
ティンカーベル「まぁ、うん、でも・・・」
赤ずきん「とにかく、私は決めたのよ」
赤ずきん「おとぎ話の消滅は私が防ぐ。黒幕が居ようと居まいとね」
187 : ◆oBwZbn5S8kKC - 2014/11/15 21:04:14 xsxFeNCNU 62/160赤ずきんが救ったおとぎ話は
蛙の王子様
石のスープ
わらしべ長者
です。
石のスープ おとぎ話 でググれば出てくるはず
空腹の旅人が食事を手に入れるために一芝居打つおとぎ話です
キモオタ「とにかくwwwこれではっきりしましたなwww」
ティンカーベル「そうだね!私達と赤ずきんはおとぎ話の消滅を防ぎたい仲間同士!そうだよね!」
赤ずきん「お互い、できる限りの協力はしましょう。でも、私もあなた達もいつ消滅に巻き込まれてもおかしくない。あまり馴れ合うのは・・・・・・」
キモオタ「んんwwwクールな物言いですなwww赤ずきん殿www」
赤ずきん「・・・・・・そうは言うけど、馴れ合い過ぎれば別れが辛くなるだけよ」
キモオタ「その時はその時でござるよwww別れを恐れて避けるなど過ぎた心配ですぞwww」
ティンカーベル「そうだよ!私は赤ずきんが嫌がっても仲良くするからね!」フンス
キモオタ「ちょwwwそれはどうなんでござるかwww」
赤ずきん「・・・・・・そうかもね」フゥ
赤鬼「おーい!お前らー!なんでお前らだけで楽しそうにしてるんだよ!」
ティンカーベル「あ、赤鬼!」
赤鬼「オイラも交ぜろよー!おまえ等だけ楽しそうでズルいぞ!」
・・・
赤鬼「さて!果物も山菜も採れた!キモオタと赤ずきんのおかげで熊肉も採れたし帰るとするかー」
赤ずきん「キモオタは襲われていただけだと思うけど」
キモオタ「そう言わずにwww熊肉なんて初めて食べますぞwww」
赤鬼「思ったより時間がかかったからな。早く帰って青鬼を待つとするか!」
ティンカーベル「そういえばさ」
キモオタ「どうしましたかなwwwティンカーベル殿www」
ティンカーベル「お友達の青鬼ってどんな鬼?」
赤ずきん「私も興味があるわね」
赤鬼「そうだなぁ、じゃあ帰りながら話すとしようか」
山道
赤鬼「青鬼はオイラの同郷の鬼でなー、物心が付いたときから一緒にいたなぁ」
キモオタ「幼なじみという奴ですなwww女子ならばフラグが立っていたかも知れないですなwww」
赤鬼「いや、青鬼は男だぞ。でもどっちかというと活発に動くほうじゃねぇなぁ。でもそのぶん頭が良くてなんでも知っていたな」
赤ずきん「あなたは野山を駈ける方が得意そうだけど、仲は良かったのね」
赤鬼「おうよ、故郷でも頭を使うのは青鬼、実践するのはオイラってコンビでいろいろやったなぁ」
ティンカーベル「そもそも、なんで赤鬼はここにひとりで暮らしてるの?」
赤鬼「それはなぁー、なんつうか・・・・・・」
赤鬼「人間と友達になりたかったからだな」
キモオタ「んんwwwそれってそんなに難しいことですかなwww」
ティンカーベル「だよね、わざわざ引っ越してこないとお友達出来ないなんてないよね?」
赤鬼「それがそうでもねぇんだよ」
赤ずきん「人間は鬼を恐れている。畏怖の対象と友達になろうとする人間はいないわ」
赤鬼「まぁ赤ずきんの言うとおりだなぁ、人間はオイラ達鬼を恐ろしい生き物だと決めてかかっている。それもそう簡単に払拭できるもんじゃねぇ」
ティンカーベル「そういえば村のおじさんも鬼は悪い奴だって決めつけてた!赤鬼はこんなにいい人なのに!」
赤ずきん「彼等は赤鬼がどんな鬼か知らない。なら一般的な鬼のイメージを持ってしまうのは仕方ない」
赤鬼「気持ちはわかるんだけどな。鬼ってのは大きな体に頑丈な皮膚。角と鋭い眼光。そして決まって悪さをする、村を壊したり人攫いをしたり、人間を食うと思っている奴もいる」
赤鬼「でもな、鬼も人間と同じなんだ。優しい奴も泣き虫な奴も、非力な奴も内気な奴も居る、そりゃあ悪い鬼だっているが、それが特別多いってわけじゃあない」
キモオタ「言ってしまえばwww人間にも悪人はいますからなwww」
赤鬼「オイラはな、こう思うんだよ」
赤鬼「オイラ達鬼は力が強い、打たれ強いし頑丈だ。物を運ぶのも建物を作るのも得意だ。この腕は人間が思ってるような暴力を振るうもんじゃねぇんだ。そのかわり細かい作業が苦手など鬼は多い。」
赤鬼「人間は作物を計画立てて育てたり細かい刺繍の布を作ったり手先が特に器用だ。鳥は卵を生めるし、蜂は蜜を集める、猫は害獣を駆除できるし犬は留守を守れる」
赤鬼「恐れたり嫌ったりせずに、いろんな種族の生き物が助け合えばもっと世界はうまく回ると思うんだよな」
赤ずきん「見た目に反してロマンチストなのね」
キモオタ「なかなか難しいですがなwww」
赤鬼「だろうなぁ、でもやってみないことには始まらない」
赤鬼「だからオイラは故郷を出てこの村はずれに家を建てた。すぐには無理でもまずはオイラが人間と仲良くなる、そうすればこの夢も不可能じゃないだろう?」
キモオタ「努力家ですなwwwまぁ確かに言っていることはその通りですがなwww」
赤ずきん「それぞれの種族が長所を用いて、他種族に協力する。たったそれだけに事なんだ」
赤ずきん「つまり赤鬼は種族の壁を超えて、お互いの為に協力すべきだ。と思っているのね」
赤鬼「固い言い方をしたらそうだが、単純にみんな仲良くしたほうがいいに決まってるだろ?そのほうが楽しいし、飯だってうまい」
キモオタ「理屈はわかるんですがなぁwwwいかんせん夢物語に見えてしまいますなwww」
ティンカーベル「うーん・・・・・・」
赤鬼「どうした、ティンク?」
ティンカーベル「そもそもだよ?」
ティンカーベル「鬼も人間も同じでいい人も悪い人も居る。悪い鬼が特別多いわけじゃないんだよね?じゃあなんで人間は鬼をこんなに恐れるのかな?」
赤ずきん「外見がいかにも武道派というのも理由じゃないかしら?背丈も大きいし肩幅もね」
キモオタ「なるほどwww外見が如何にもDQNな人はついつい避けてしまいますからなwww」
赤鬼「まぁ外見ってには理由としてはデカいが。人間が鬼を恐れているのは、きっとあれだな・・・・・・」
ティンカーベル「あれって?」
赤鬼「三人は『鬼神病』って知ってるか?」
キモオタ「存じませんなwwwティンカーベル殿はwww」
ティンカーベル「初めて聞いたよ『きじんびょう』?」
赤ずきん「私も知らないわね」
赤鬼「鬼の神と書いて鬼神病。鬼のみが発症する特殊なる病だ」
赤鬼「正確には病というよりも祟りや呪術の類じゃないかと言われている。とても珍しい病気で発祥することは稀だが・・・・・・」
キモオタ「発症するとどうなるんですかなwww」
赤鬼「身体能力が飛躍的に上がる。体力も筋力もだ。そして発症時は体色が真っ黒になる。それと、一番恐ろしい清浄だが・・・理性を失う」
赤ずきん「なるほどね、元々身体能力の高い鬼が更に強くなり、理性を失う。どうなるか予想がつくわね」
赤鬼「赤ずきんは察しがいいな。鬼神病に発症して理性を失った鬼は持て余した力を解放するためにただただ暴れ出す。それは普通の鬼で取り押さえるのも数人がかり必要な程だ」
赤鬼「鬼ですら持て余すその鬼神だ、人間にどうこうできるものじゃない。なす統べなく人間は被害を受けるのさ、理性を失った真っ黒で凶暴な鬼にな」
キモオタ「トラウマものですな・・・話も通じないのでござろう?」
赤鬼「基本的に通じない。ただただ暴れるだけ。初期症状としては短い時間だけその鬼神状態になるが病状が進行すると鬼神状態から元に戻れなくなる。恐ろしい病だ」
ティンカーベル「たまたまその鬼神病の鬼に襲われた人のすごい恐怖が人間の恐怖心を煽ってるんだね」
赤鬼「そう思っている・・・・・・だけどな、これだけはわかってほしい」
赤鬼「多くの鬼は人間に悪さをしようなんて思っていないんだ」
キモオタ「んんwww鬼殿も我々と同じというわけですなwww」
ティンカーベル「そうだよね!見た目やウワサで判断しちゃだめ!」
赤ずきん「そうね。でもそれは私達じゃなく村人に伝えないとね」
赤鬼「そ、そうだがな・・・この前なんか豆をぶつけられたしな・・・」
赤鬼の家
ティンカーベル「到着!」
キモオタ「疲れましたなwww甘いものが恋しいですなwww」コポォ
赤鬼「ちょうど熊肉もあるし、甘いの作っとくか?」
赤ずきん「・・・甘い熊肉って。なにそれ」
赤鬼「とりあえず、青鬼の歓迎会準備だ。すまんがキモオタとティンカーベルはとってきた果物をいくつか食べられるようにしておいてくれるか?俺は料理を作るから」
赤ずきん「私も手伝うけど?」
赤鬼「頼もう。その前に真紅草を煮出して染料を取っておこう」
赤ずきん「お願いするわ」
キモオタ「フルーツは我々に任せるですぞwww」
ティンカーベル「キモオタがつまみ食いしないようにみとくよ!」
キモオタ「んんwww人聞きの悪いwww」モグモグ
・・・
・・
・
赤ずきん「染料も取れた。料理も出来た、で・・・青鬼は今日来るんじゃなかったの?」
キモオタ「完全に日が落ちましたがwww」
赤鬼「おかしいなぁ・・・約束を忘れるような奴じゃないんだが」
ティンカーベル「もう真っ暗だよ?急な用事ができて遅れてるんじゃないかな?」
赤鬼「何かあったか・・・まぁ青鬼のことだ、多少のトラブルはものともしないはずだ。今日は先にオイラ達で食事をして休もう」
赤ずきん「そうね。明日明後日と待って来なければ探しに行ってもいいわけだから」
キモオタ「とりあえず食べるでござるかwww」
ティンカーベル「もしかしたら遅くにくるかもだから全部食べちゃだめだよキモオタ!」
・・・
その夜遅く 近くの村
ドガァ! バキバキバキッ
「逃げろ!逃げろ!鬼だ!鬼が出たぞ!」
「あの村はずれの赤鬼か!?」
「いんや、赤い鬼じゃねえ!見たことねぇ鬼だ・・・!」
ゴゴゴゴゴ
黒い鬼「・・・・・・グオオオオオオォォ!!」ブオン
メキメキッ
「い、家が腕の一振りで潰れちまった・・・!」
「おら達じゃ太刀打ちできねぇ!」
バキバキバキッ
黒い鬼「・・・・・・グオオォォ・・・・・・ドコダ、オレノトモダチ・・・・・・」
「逃げろぉ!」
「女子供がさきだぁ!」
「畜生!何者だあの鬼は!」
黒い鬼「グオオォォ・・・アカ・・・オニ・・・!」
黒い鬼「・・・・・・オレノトモダチ・・・ドコダ・・・!」
バキバキバキッ
黒い鬼「グオオオオオオォォオ!!!!」
翌朝
キモオタ「んんwww朝食までご馳走になって申し訳ないwww」
ティンカーベル「そう思うならもうちょっと遠慮しようよキモオタ!」
赤鬼「がっはっは!残しても痛んじまうんだ、食ってくれたほうが助かる」
赤ずきん「結局、青鬼は来なかったわね」
赤鬼「なぁに、心配すること無いさ。山菜や果物はまだあるしな!」
赤ずきん「・・・・・・異変の前兆かしらね」ボソッ
ティンカーベル「そっか、青鬼が来なかったら村を襲う演技も出来ないしね」ボソッ
キモオタ「いつものように聞き込みに行きますかな?ティンカーベル殿」ボソッ
赤鬼「おい、なにひそひそ話してるんだ?俺も交ぜろよ」ガハハ
赤ずきん「ねぇ赤鬼、今後のために染色について詳しく聞きたいのだけど・・・その間、キモオタ達には買い出しをお願いしたら?鬼のあなたは難しくても二人なら村での買い物も可能でしょう」
赤鬼「そうだなぁ・・・確かに酒なんかあると助かる。頼めるかキモオタ?」
キモオタ「我輩にお任せあれwwwではティンカーベル殿、行きますかなwww」
近くの村
ザワザワ ザワザワ
キモオタ「んんwwwなんだか騒がしいですなwww」
ティンカーベル「なにかあったのかな・・・」
ザワザワ ザワザワ
ティンカーベル「ねぇ、何かあったの?」
村人「あんたら旅のもんかぁ?どうもこうもねぇだ、鬼が夜中に大暴れしたでなぁ・・・」
キモオタ「なんですと!?」
ティンカーベル「えぇー!?勘違いじゃないの?」
村人「いんや、鬼の姿を実際に見たもんがおるでな。村の家が何件か壊されちまって・・・人攫いや泥棒はせんかったで不幸中の幸いじゃが・・・」
キモオタ「これはどういうことですかな・・・」ボソッ
ティンカーベル「詳しく聞いてもいい?」
村人「あぁ、えぇよ。これは昨晩のことじゃ・・・」
村人「夜遅くじゃ、突然その鬼は現れたそうでな」
ティンカーベル「鬼だっていうのは間違いないんだよね?」
村人「あぁ、大きな体、角に馬鹿力・・・ありゃあ鬼に間違いねぇと見た人間は口をそろえて言っておった」
村人「低いうなり声をあげながら暴れては民家を壊してのぉ、あまりに怪力に村はなす統べなく逃げるだけじゃった。結局何件か家を壊して、そのまま闇に消えたそうじゃがこの鬼の姿が大層恐ろしかったようじゃ」
キモオタ「どういうことでござるかな?」
村人「その鬼は闇夜のように真っ黒な皮膚だったようじゃ」
キモオタ「・・・!」
ティンカーベル「それって・・・!」
村人「村はずれに赤鬼がおるじゃろう?あいつの仲間じゃないかってはなしておるんじゃが、聞くわけにもいかず・・・まったく困ったことじゃ」
ティンカーベル「は、話してくれてありがと!」
村人「いんや、お前らも用心するんじゃよ。鬼は恐ろしい怪物じゃからな」
ティンカーベル「すごい怪力で暴れて、それから真っ黒の皮膚!これって赤鬼が言ってた奴だよね!?」
キモオタ「黒い皮膚と怪力を身につける、鬼神病・・・でしたな。そうなると・・・」
ティンカーベル「・・・昨日、青鬼が来れなかったのって・・・・・・」
キモオタ「・・・・・・考えたくはないですがな。この近くまで来た青鬼殿が鬼神病に感染していたと・・・その可能性も・・・」
ティンカーベル「でも!あの優しい赤鬼の友達だよ?そんなわけ・・・・・・」
キモオタ「むぅ・・・しかしほかの鬼は現れたという事もありますな。しかしどちらにしても」
キモオタ「この村を襲ったのは鬼神病に感染した鬼、となりますな」
キモオタ「仮にそれが青鬼殿として・・・そうなると問題は症状の進行具合ですな」
ティンカーベル「えっと、赤鬼の言っていた鬼神病の特徴は・・・」
『鬼神病』の特徴
・鬼のみ感染する病気(祟りや呪術ではないかとも言われている)
・発症すると皮膚が真っ黒になる
・発症すると身体能力が上昇する
・発症すると理性を失う
・これらの症状は初期では一時的なものだが病状が悪化すると発症した状態から元に戻らなくなる
ティンカーベル「確かこうだったよね」
キモオタ「ですな、初期症状ならまだなんとかなるかもしれませんがな、もしも病状が悪化しているとなると・・・」
ティンカーベル「青鬼がこのお話の通りに動けなくなるから・・・」
キモオタ「消滅ということになってしまいますな・・・これはまずいですぞ!」
ティンカーベル「それとなく赤鬼に聞いてみようよ、鬼神病の治し方がないかを」
キモオタ「ですな、買い物を済ませて帰りますぞ!」
赤鬼の家
赤鬼「・・・で、煮出した染料を入れた桶に、染めたい物を、こうしてだな・・・解ったか?」
赤ずきん「えぇ、助かったわ。それにしても、赤鬼は何でもできるのね」
赤鬼「がっはっは!何でもは出来ねぇよ。実際、村人と友達になるっていう目的はまったく進んでねぇしな。頑張っているつもりなんだが」
赤ずきん「それは一筋縄ではいかないでしょうけど。でも料理も染め物も出来るなんて多才だと思うけれどね」
赤鬼「なんつうかなぁ・・・必要だからな、こういう事出来る鬼は」
赤ずきん「どういうこと?」
赤鬼「昨日言ったろう、鬼は細かい作業が苦手な奴が多い。実は俺みたいに手先が起用な鬼は少ないんだ、普通の鬼は染色作業や手の込んだ料理は苦手だ」
赤鬼「知っての通り鬼は人間に恐れられている。飯を買うことも、パンツを作る布地を買うことも出来ない。だから悪い鬼は人間から奪うんだが・・・普通の鬼はそういうわけにもいかない」
赤ずきん「そこで器用な鬼が重宝されるのね」
赤鬼「あぁ、薬も作れるし、絵だってかけるぞ!まぁ自分勝手に故郷を出て行くっていったから、故郷の鬼には迷惑かけちまったなぁ・・・」
赤ずきん「いろいろ出来るから、他人に頼るっていう発想がないのかしらね?」
赤鬼「ん?どういうことだ?」
赤ずきん「あなた昨日、みんなが寝静まってから青鬼が近くまで来てないか様子を見に行ったでしょ?」
赤鬼「おう、故郷からここへの道中に見通しの悪い崖があるのを思い出してな・・・もしかしたらと思って様子を見に行ったんだ。おこしてしまってすまなかったな」
赤ずきん「謝る理由が違うでしょ?そんな見通しの悪いところにいってあなたが怪我したらどうするのよ。青鬼が心配なのは解るけど、黙っていくのは感心しないわね」
赤鬼「むむ・・・すまん」
赤ずきん「心配するわよ。キモオタもティンカーベルもね」
赤ずきん「これ」ゴソゴソ
チリーン
赤鬼「なんだ、こいつぁ?」ヒョイ
赤ずきん「鈴よ。山の中では動物除けにもなるし、声が出せないとき居場所を知らせたり出来る。まぁ御守り代わりよ。貰ったものだけどね、いくつか持っているからひとつあなたにあげるわ」
赤鬼「なるほどなぁ・・・しかし、いいのか?この鈴に結んである紐・・・上等なもんに見えるぞ?」
赤ずきん「構わないわ。ひとりで旅を続けることになったときに、友人が御守りにっていくつかくれたのよ。彼、今は立派な長者になったからきっと上等な紐を結わえてくれたのね」
赤鬼「そうか、せっかくだ!貰うぞ!」
赤ずきん「ええ、大切にね」
赤鬼「もちろんだ!俺と赤ずきんのお揃いだな!」
赤ずきん「お揃いって・・・・・・。やっぱり返して」
赤鬼「がっはっは!照れるな照れるな!」
赤ずきん「・・・・・・」
キモオタ「赤鬼殿www只今戻りましたぞwww」
赤鬼「おう!すまねぇな、買い物頼んじまって」
ティンカーベル「いいよ!あっ!赤鬼、腰巻きに鈴付いてる!」
キモオタ「んんwwwおしゃれですなwwwどうしたんですかなwww」
赤鬼「赤ずきんに貰った。いいだろう!がっはっは!」
赤ずきん「ただの御守り代わりよ」
キモオタ「んんwwwプレゼントとは赤ずきん殿もすみにおけませんなwwwドゥフフwww赤ずきん殿も女の子ですなぁwww」
ズダーン
キモオタ「ぶひいぃぃぃぃ!!」
赤鬼「おいおい、床を撃ち抜くのは勘弁してくれ!」
赤ずきん「・・・・・・」プイッ
ティンカーベル「キモオタが余計なこというから・・・」
キモオタ「ふぅwww寿命が縮みましたぞwww」コポォ
ティンカーベル「ねぇねぇところでさ、赤鬼!聞きたいことがあるの!」
赤鬼「ん?どうした?」
ティンカーベル「昨日話してた『鬼神病』について詳しく聞きたいんだけどね」
赤ずきん「・・・・・・どういうこと?」ボソッ
キモオタ「後でお話しいたしますぞwww」ボソッ
ティンカーベル「鬼神病を治す方法とかってあるの?薬とか!」
赤鬼「むむ・・・そうだな、まず前提として言うとだな・・・」
ティンカーベル「うんうん」
赤鬼「鬼神病を完治させる手段は今のところ存在していない」
キモオタ「な、ないですと!?」
赤鬼「あぁ、無い。だけどな、症状を抑え、鬼神化するのを防ぐ方法はある」
ティンカーベル「じゃあ今のところそれが鬼神病への唯一の対抗策だね?」
赤鬼「あぁ、そうだ。三人は知っているか?鬼の弱点・・・いや、人間の間で鬼の弱点といわれているものがあることを」
赤ずきん「知らないわ。私の国に鬼は居なかったもの」
キモオタ「そういえばその件wwwティンカーベル殿と話しましたなwww覚えておりますかなwww」
ティンカーベル「うん、煎り豆と柊の葉とイワシの頭だっけ?」
赤鬼「よく知ってるな!でもそれはどれも鬼の弱点じゃないんだ」
キモオタ「そうなんでござるか!?」
赤鬼「そりゃあそうだろう!大体イワシの頭が苦手ってどういうことだよ、初めて聞いたときはバカにしてるのかと思ったぞ。それに俺達鬼は煎り豆だって普通に食べるぞ?」
ティンカーベル「じゃあこれは嘘だって事?」
赤鬼「まぁそうなる。人間が鬼対策に考えた言い伝えだろうな・・・だけどな、柊の葉だけはあながち嘘とも言えないだよなぁ」
赤ずきん「どういうこと?」
赤鬼「そもそも柊の葉は鬼の間では薬として扱われているんだ」
キモオタ「んんwww柊が薬とはwww聞いたことありませんぞwww」
赤鬼「鬼には効果があるのさ、解熱と腹痛に効果がある。だが、もう一つ効く病気がある」
ティンカーベル「もしかしてそれがさっき言ってた鬼神化を止める手段?」
赤鬼「そうだ。柊の葉は鬼神病による鬼神化を抑える唯一の手段だ」
キモオタ「ちょwww鬼神病意外と簡単に防げるではござらんかwww」コポォ
ティンカーベル「毎日柊の薬を飲んだらいいわけだもんね!」
赤鬼「それがそう簡単じゃない」
赤鬼「柊の葉は『鬼神化した状態の鬼に飲ませる必要がある』んだ」
赤ずきん「唯一の手段が『狂暴化して意思を失って暴れまわる鬼に薬を飲ませる』事なわけ?・・・私には不可能に聞こえるけど」
キモオタ「そ、そうですぞ!そんなの無理ではござらんか!」
赤鬼「あぁ、難しい。だからこそ恐ろしい病気だ。だけどな、一度その状態で薬を飲ませさえすればあとは定期的に薬を接種することで鬼神化は完全に防げる」
ティンカーベル「一回だけ成功すれば大丈夫ってことかぁ・・・でも・・・むぅ・・・」
赤鬼「がっはっは!まぁそんなに発症率の高い病気でも完成の危険があるわけでもねぇんだ!心配することはねぇよ!」
キモオタ「・・・・・・」
ティンカーベル「・・・・・・」
赤鬼「お、おい!なんだよ突然黙り込んで!びっくりするだろ!?」
赤ずきん「・・・・・・なるほど、ね」
ドンドンッ
赤鬼「ん?誰か来たな」
青鬼「おーい!赤鬼、俺だ。青鬼だ!」
キモオタ&ティンク「!」
ガラッ
青鬼「おー!久しぶりだな!赤鬼!元気にしてたか?」
赤鬼「おう、青鬼も元気そうだな!それより昨日来るんじゃなかったのか?心配したぞ」
青鬼「悪い悪い。近くまで来てたんだけどな、初めての道だったからちょっと迷っちまって!」
キモオタ「とりあえず、今は青鬼殿は鬼神化しておりませんな」ボソッ
赤ずきん「・・・・・・なるほど、その疑いがあるってことね?」ボソッ
ティンカーベル「でもまだ初期症状なだけだよきっと・・・」ボソッ
青鬼「・・・ん?そこに居るのは人間じゃないか!赤鬼の友達か!?」
赤鬼「お、おう。キモオタとティンカーベルと赤ずきんだ・・・昨日俺の家に来てくれてな・・・えーっと、友達、でいいんだよな?」
キモオタ「当たり前でござろうwww」
ティンカーベル「今更なんで戸惑うのさ!」
赤ずきん「そうね」
赤鬼「お前ら・・・青鬼!こいつらは俺の友達だ!」
青鬼「そうか、そうか!良かったなぁ、赤鬼!」
青鬼「自己紹介しないとな、俺は青鬼。赤鬼の幼なじみで親友だ。よろしくな!」
ティンカーベル「よろしくね!あっ!私、フルーツ持ってくるよ!」ピュー
赤鬼「折角だしみんなで一杯やるとするか!キモオタとティンクが買ってきてくれた酒があるしな!」
キモオタ「我輩wwwアルコールはちょっとwww」
赤ずきん「私は葡萄酒意外は飲めない」
赤鬼「こらこら、赤ずきんは未成年だろ!赤ずきんには山葡萄のジュースを準備しよう!すぐ裏の山に生えてるんだ、ちょっくら採ってくる」
赤ずきん「あら、悪いわね。じゃあその間に私は簡単な料理でも作っておくわね。台所借りるわよ」
キモオタ「んんwwwでは我輩はティンカーベル殿の手伝いをしますかなwww」
青鬼「お、じゃあ俺も赤鬼と山葡萄を・・・」
赤鬼「いいって!客はゆっくりしてなって、長旅で疲れただろ?」
青鬼「おう・・・なんだか悪いなー!じゃあお言葉にあまえて」
青鬼「俺ひとりになっちまったな・・・っと、あれ?土産が無いな?どこかに置き忘れたか・・・今のうちに探してくるか」
倉庫
キモオタ「ティンカーベル殿www手伝いますぞwww」
ティンカーベル「・・・キモオタ!これみてこれ!たくさん薬草とかの壷があるんだけど、これこれ!ちょっと貰っておこうよ!」
柊の薬【解熱・腹痛・鬼人】
キモオタ「勝手にとるのはいかがなものかとwwwでも赤鬼殿に心配かけてしまうのもあれですからなwww」
ティンカーベル「そうだよ!いざってときは鬼神化した青鬼に飲ませたらいいんだもん。持っていこ!」
キモオタ「ですなwwwさてwwwフルーツも持って行きますぞwww青鬼殿一人にしたら申し訳ないwww」
ティンカーベル「そうだね!じゃあ居間に戻ろう!」
・・・
村はずれの畑
村人「いやー、今日はいい天気だっぺなー」
農民「そうだなぁー・・・ん?」
ゥォォォォ
農民「なんか聞こえねぇか?」
村人「あ・・・あれ、あれをみるっぺよぉ!」
ゴゴゴゴゴ
黒い鬼「グオオォオ・・・」フシュー
村人「お、お、おおお、鬼が出たっぺぇぇぇぇ!!!」
農民「に、逃げるぞぉ!いそげぇ!」
黒い鬼「グオオォオオオオオ!!」ドシーン
農民「お、おらの畑がぁ!」
村人「構うでねぇ!逃げるだよぉ!」
黒い鬼「グルオオォオオオオオ!!」グシャグシャ
赤鬼の家、居間
キモオタ「・・・青鬼殿いませんな?」
ティンカーベル「もしかして・・・ねぇ、キモオタ・・・青鬼、また鬼神化しちゃったとか・・・」
キモオタ「そ、そんなわけは・・・ないでござろう・・・?」
赤ずきん「あら?どうしたの二人とも。青鬼はどこなの?」
ギャーギャー グオォォォ
赤ずきん「・・・・・・悲鳴っ!」
ティンカーベル「外の・・・畑があったほうからだよ!」
赤ずきん「急ぐわよ。まだ青鬼が暴れる演技をしていないこのおとぎ話に、悲鳴が聞こえるはずがない」ガチャッ
キモオタ「またもや異変の兆候かも知れませんからな!行きますぞ!」
ティンカーベル「うん、急ごう!」
荒れた畑
農民「俺の畑がぁあぁぁ!!おやじの形見の畑がぁあぁぁ!!」
ティンカーベル「ぐっちゃぐちゃだね・・・」
キモオタ「これはひどい・・・」
村人「鬼が出ただぁ・・・あの黒い鬼があぁ・・・」
赤ずきん「・・・鬼はどこへ?」
村人「わかんねぇ・・・ものすごい速さでなぁ・・・あんたらがくる前にはもう・・・」
農民「こりゃあ・・・もう村を捨てていくしかねぇかなぁ・・・」
キモオタ「・・・これはもう隠せませんな」
赤ずきん「戻って、二人に起きていることを伝えないとね」
ティンカーベル「うん・・・赤鬼は傷ついちゃうかもしれないけど、しかたないよね」
赤鬼の家
赤鬼「それでな、赤ずきんが真紅草がいるっていうから案内して・・・いま倉庫で染色中だ」
青鬼「お前は本当に器用だなぁ・・・そしてお人好しだ!なにも変わってなくて安心した」
ガハハハハ
ティンカーベル「なんか楽しそうに話してるね」
キモオタ「なんだか言いにくい雰囲気ですな・・・」
赤ずきん「・・・・・・」
赤鬼「故郷が懐かしいなぁ、俺が人間と仲良くしたいっていったら長老が激怒して・・・」
青鬼「そうだったな~。でも今は人間の友達もいるじゃねぇか」
赤鬼「そうだ、そうなんだが・・・村人とはうまくいってなくてな・・・」
青鬼「なんだ、そうなのか・・・」
ガラッ
赤ずきん「その通りよ、そしてきっと村人は鬼を更に恐れているわ」
赤鬼「ん?赤ずきん、そりゃあどういうことだ?」
赤ずきん「村人達は騒いでいる、二度も『黒い鬼』が村人を襲ったとね」
252 : ◆oBwZbn5S8kKC - 2014/11/18 21:49:17 BLAkYVpY5 94/160鬼神病まとめ
『鬼神病』の特徴
・鬼のみ感染する病気(祟りや呪術ではないかとも言われている)
・発症すると皮膚が真っ黒になる
・発症すると身体能力が上昇する
・発症すると理性を失う
・これらの症状は初期では一時的なものだが病状が悪化すると発症した状態から元に戻らなくなる
・完治する手段はない
・鬼神化した状態の鬼に柊の葉で作った薬を飲ませることで鬼神化を抑えることができる
・この方法で抑えてしまえば、定期的に薬を飲むことで鬼神化を完全に止めることはできる
251 : 名無しさ... - 2014/11/18 21:46:07 LBVIFxaSz 95/160乙です
これは青鬼に自覚症状がないなら説得するの大変そう
253 : ◆oBwZbn5S8kKC - 2014/11/18 21:50:31 BLAkYVpY5 96/160>>251
補足すると
鬼神化すると理性を失うから感染者は自分が鬼神化している間の記憶がないのよ
赤鬼「黒い鬼・・・?どういうことだ、赤ずきん」
赤ずきん「昨日、遅くに村が鬼に襲われた」
赤鬼「な、なんだと!?大丈夫なのか、村は!」
青鬼「・・・・・・」
ティンカーベル「建物は壊されたけど怪我人はいないって言ってたよ」
赤鬼「そうか、よかった・・・」
青鬼「・・・・・・よくねぇだろ、赤鬼」
赤鬼「ん?どういうことだ?そりゃあ建物が壊されたのは酷いが怪我がないなら・・・」
青鬼「違うだろ、鬼が悪さしたって事はどういうことだよ?」
赤鬼「ん?そりゃあ、お前・・・・・・」
青鬼「村人はこう思うだろ、鬼はやっぱり恐ろしい。そうしたら赤鬼、お前への印象もこれまで以上に悪くなる」
赤鬼「そ、それは困る!」
青鬼「黒い鬼・・・お前たち鬼神病は知っているか?」
キモオタ「赤鬼殿に教えていただきましたぞwww」
青鬼「それなら話が早い。鬼神化した鬼のことも気になるが・・・」
赤ずきん「どうかしたの?」
青鬼「鬼神化した鬼を捕まえるにも倒すにも人間だけじゃ厳しい。俺達が手を貸したいが、今の状況ではなぁ・・・」
キモオタ「村人達も混乱して赤鬼殿や青鬼殿を攻撃しかねませんな・・・」
ティンカーベル「・・・味方だってことがわかってもらえればいいんだけど・・・」
青鬼「ここは一芝居打つか」
赤鬼「一芝居?」
青鬼「俺と赤鬼両方とも村人に信用して貰うにはかなり時間がかかる、だからここは信用してもらうのは赤鬼だけに絞る」
赤鬼「どういう事だ?」
青鬼「俺が村に行って、暴れる。もちろん降りだぞ、人に危害は加えない。そこでお前は暴れる俺を退治して村から追い出せ、そうすればお前が心優しい鬼だと村人も気がつく」
赤鬼「おいおい、それじゃあ青鬼はどうなるんだよ!そんなお前を犠牲にするような真似できねぇよ、お前に悪いからな」
ティンカーベル「赤鬼、私も同じ考えだよ。青鬼が可哀想だよ、でも・・・」
青鬼「何かを犠牲にしないと解決できないことはある。俺一人の犠牲でお前が村になじめて、なおかつ鬼神化した鬼を退治できれば十分すぎる見返りだ」
赤鬼「しかし、しかしだな・・・」
青鬼「独りで鬼神相手はつらいかもしれないが、村人だってそこのゴッツい銃を持ってるお嬢ちゃんも助けてくれるだろう?なんとかなる」
キモオタ「赤鬼殿・・・」
赤鬼「・・・・・・」
青鬼「考えていても仕方ない。今日の夕暮れに計画開始だ。俺はそれまで潜んでおく、おまえと一緒のところを見られると都合が悪いからな」スッ
赤鬼「お、おい!青鬼!」
青鬼「なんで勝手に決めるんだよあいつは・・・・・・」
ティンカーベル「赤鬼・・・青鬼も考えが合ってのことじゃん、赤鬼と村のために・・・」
赤鬼「確かに俺だって村を守りたいし村人たちと友達になりたい。でも、そのために青鬼を犠牲にするなんておかしいじゃねぇか・・・俺はあいつとだってずっと仲良くしてぇんだよ・・・」
キモオタ「赤鬼殿・・・気持ちはわかりますぞ・・・でも、こう考えてみてはどうですかな?」
赤鬼「・・・・・・」
キモオタ「青鬼殿は村のために一芝居うつでござる。それで村が救われたらもう一芝居打てばいいでござるよ。今度は青鬼殿が改心して村人たちと仲良くなるという内容ですぞwww」
赤鬼「そうだな・・・今は鬼神をどうにかして・・・あとで村のためにやったことだといえば、青鬼も許してもらえるかもな・・・」
赤ずきん「どちらにしても・・・夕暮れには計画は動き出す。あなたに出来ることは青鬼の気持ちを汲んで、村を鬼神から守ることよ」
赤鬼「そうだな・・・よし、決めたぞ!俺は青鬼の策に乗っかる!そして村を救うぞ!」
キモオタ「その意気ですぞwww」
赤鬼「青鬼の相手は素手でいいとしても、鬼神が相手だと素手は厳しいな。倉庫の金棒を手入れしてくるかな」
一時間後・・・
ティンカーベル「私達、青鬼が鬼神かもって思ってたけど違うみたいだね」
キモオタ「確かにwwwお話には登場しないでござるから他の鬼がいるという事を忘れてましたなwww」
赤ずきん「まだ、解らないけれどね」
ティンカーベル「青鬼が鬼神かもってこと?うーん、自分を犠牲にしてまで赤鬼にために動ける青鬼が悪い人には見えないよ」
キモオタ「そうですなwww申し訳ないことをしましたなwww」
ティンカーベル「ちょっと早いけど赤鬼呼んでくるね!いつでもいけるようにしておかないとね!」
ピュー
赤ずきん「・・・・・・キモオタ。勘違いしてないかしら?鬼神病は病の一種。感染するしないに個人の性格は関係ないはずよ。青鬼がどれだけいい鬼だとしても感染の可能性はある、それに・・・・・・」
キモオタ「どうしましたかなwww」
赤ずきん「なんでもないわ・・・・・・とにかく可能性は十分にあるということよ」
ティンカーベル「ねぇねぇ、赤鬼いないよ?こっちに戻ってきて・・・ないよね、やっぱり」
キモオタ「赤鬼殿がいないですと・・・?」
赤ずきん「・・・・・・」ピクッ
キモオタ「トイレにでも行っているのではwww」
ティンカーベル「えー?居なかったよ?」
赤ずきん「・・・静かに。聞こえたわよ、悲鳴」
ギャーギャー ギャーギャー
キモオタ「確かに・・・村のほうから悲鳴のような声が・・・!」
ティンカーベル「なんで!?まだ青鬼との約束には早いよ!?」
赤ずきん「作戦の決行には早いわ。でも、村をおそっているのが・・・青鬼ではなく鬼神だとしたら?」
ティンカーベル「赤鬼も悲鳴に気がついて先に行ったのかも!」
キモオタ「大変ですぞ!我々も早く向かわねば!」
赤ずきん「・・・・・・」ガチャッ
村
ギャーギャー ギャーギャー
黒い鬼「グオオォオオオオオ!」ビュン
村人「ひいい!なんまんだぶなんまんだぶ・・・・・・」
村人「逃げろ逃げろ!また黒い鬼が出たぞ!!」
・・・
ティンカーベル「あれが・・・・・・鬼神!」
黒い鬼「グオオォオオオオオ!!」バキバキバキー
キモオタ「早く何とかしなければなりませんぞ!」
赤ずきん「・・・二人は下がってなさい」ガチャッ
キモオタ「赤ずきん殿!!一体どうするつもりですかな!?」
赤ずきん「どうもこうもないじゃない。あの鬼神を止めるにしても青鬼も赤鬼もここにはいないようだし・・・武器を持っているのは私だけよ?」
ティンカーベル「危ないよ!赤鬼達を待とうよ!」
赤ずきん「私を子供扱いしないことねティンカーベル。危険な目には・・・いつだって合ってきてるのよ!」ダッ
黒い鬼「グルルオォォ!」
赤ずきん「随分とご機嫌なのね、鬼神さん?さぁ・・・準備はいい?」ガチャッ
黒い鬼「グオオォオオオオオ!!」
赤ずきん「・・・・・・あなたのお口が大きいのは、唸りをあげる為かしら?」
ズダーン ズダーン
黒い鬼「グッ、グルルオォォ!」グオォォォ
赤ずきん「あら、随分と頑丈ね?怯む位してくれないと、自信をなくしてしまうわね」
黒い鬼「ガアアア!」ドスドスドス
赤ずきん「猪突猛進と言うわけね?来なさい、引きつけて・・・眉間に撃ち込んであげる。それなら怯むくらいはしてくれるかしら?」ガチャッ
黒い鬼「グオオォオオオオオ!」ドスドスドス
チリーン チリーンッ
赤ずきん「・・・・・・っ!」
赤ずきん「・・・・・・嘘でしょう?」ボソッ
黒い鬼「グルアアアアァァ!!」ビュオン
キモオタ「赤ずきん殿!危ないですぞぉ!」
赤ずきん「・・・クッ!」ドサッ
ティンカーベル「赤ずきん!」
赤ずきん「平気よ・・・体勢を崩しただけ。もっとも、あと数センチずれていたら死んでいたでしょうけど・・・それより」
黒い鬼「グルルオォォ・・・」ドスドスドス
赤ずきん「信じたくないくらい最悪の事態よ・・・見なさい、鬼神の腰巻きをね」
黒い鬼「グオオォオオオオオ!」
チリーンッ チリーンッ
ティンカーベル「嘘・・・あの鈴って!」
キモオタ「あ、あれは赤ずきん殿がプレゼントしたはずの・・・!」
赤ずきん「・・・プレゼントなんかじゃないわ。まぁ今となってはそんなこと関係ないわね・・・」
村人「やばいっぺぇ!鉄砲持った娘っ子も歯がたたねぇ!」
村人「早く村から逃げねぇと殺されちまうだぁ!」
村人「やっぱり鬼は恐ろしいっぺよぉ!」
キモオタ「な、なんででござるか!?どうしてこのようなことに!」
ティンカーベル「・・・私、青鬼探してくる!」ピュー
赤ずきん「本当は気がついていたはずよ、彼だけが鬼神病にかからないわけじゃない。私達はその可能性を考えたくなかった」
黒い鬼「グオオォオオオオオ!!」
キモオタ「・・・!」
赤ずきん「けれどもうそんなことも言ってられない。彼を何とかしないとこのおとぎ話ごと消えてしまうものね・・・」ガチャッ
キモオタ「何ででござるか!赤鬼殿は村人と仲良くしたいだけでござろう!なんで、村を襲ってしまう必要が・・・なんで鬼神病なんかに感染したのでござるかぁ!」
赤鬼(鬼神化)「グルルオォォ・・・グオオォオオオオオ!!」
赤ずきん「さぁ続きをしましょうか、赤鬼。手加減は期待しないで、暴れる相手に容赦なんかできないから・・・それが例え」
赤ずきん「それが例え、私の友達でもね」ガチャッ
キモオタ「赤ずきん殿ぉ!ティンカーベル殿が青鬼殿を呼びに行っているでござるよ!あまり無茶をしてはいけませんぞ!」
ガチャッ
赤鬼(鬼神化)「グルアアアアァァ!」ビュオン
ズダーン ズダーン
赤ずきん「そうね・・・でも私達の目的はあの鬼神を倒すことじゃないはずよ」
キモオタ「それはそうでござるよ!まずは赤鬼殿を正気に戻す事が目的ですからな、ならばなおのこと青鬼殿の助けを待ったほうが・・・!」
ズダーン ズダーン
赤ずきん「仮に彼が今・・・村人を殺してしまったら・・・。正気に戻ったとき赤鬼はどう思うかしらね?」
キモオタ「・・・・・・っ!」
赤ずきん「理解できたならキモオタは下がってなさい。いつまでもお喋りしながら戦えるほど私は器用じゃないのよ」ガチャッ
ズダーン
赤鬼(鬼神化)「フシュー・・・グゴオオオオォォ・・・!」ビュオン
ズダーン ズダーン
グガアアァアァァ!!
キモオタ「我輩は・・・・・・」
ドシュゥッ! バキバキバキッ
キモオタ「我輩は何をしているでござるか!」
キモオタ「戦う赤ずきん殿のサポートも出来ず、赤鬼殿を止める術も無く・・・」
ズダーン ズダーン
ビュオン ガキーン
キモオタ「考えるでござるよ・・・今、我輩はなにをすべきか・・・」
キモオタ「・・・・・・今、赤鬼殿は鬼神化して暴れている、今までのようにブラフや煽りは通用しないでござろう・・・」ブツブツ
キモオタ「だとしたら我輩が出来るのは赤鬼殿を止めることではないですな・・・ならばほかにすべきことは・・・」ブツブツ
キモオタ「そもそもの前提として・・・おはなしを元の筋通りに進めることはできているでござるか・・・?」ブツブツ
キモオタ「いや、ダメでござるな・・・村が襲われた所までは元の筋通りでごさるが、暴れている本人が赤鬼殿でござる。それでは赤鬼殿が村を救う事はできないでありますな・・・・・・。このままあの鬼神化した赤鬼殿を我々が止めても・・・」ブツブツ
キモオタ「結局は『赤鬼殿が鬼を退治して村を救う』ことが出来なければこのおとぎ話は消滅するでござろう・・・・・・」ブツブツ
キモオタ「暴れている赤鬼殿を赤鬼殿が退治して村を救うなんて出来るわけがありませんな・・・・・・」ブツブツ
キモオタ「・・・・・・」
キモオタ「・・・・・・本当にできないでござろうか・・・・・・?」
赤鬼(鬼神化)「グゴオオオオォォ!!!」ゴゴゴゴゴ
赤ずきん「・・・・・・さぁ私はまだ戦えるわよ?こっちへいらっしゃい。この通常弾だとあなたの気を引くくらいしか出来ない、ダメージを与えることすら出来ないけれどね」
赤鬼(鬼神化)「・・・グルルォォ・・・・・・」フシューフシュー
赤ずきん「あら・・・急におとなしくなったわね?もう疲れてしまったかしら?」
村人「おぉ!あの鬼がじっとしとる!鬼を倒すまでもう一息だべぇ!いけぇ!ぶっ殺すだよぉ!娘っ子ぉ!」
赤鬼(鬼神化)「・・・・・・」フシューフシュー ギロリ
赤ずきん「・・・っ!いけない!気を引くような事をしちゃ──」ダッ
ビュオン
赤鬼(鬼神化)「グガアァァァァ!!」ビュオン
村人「ひ、ひいぃぃぃ!?なんでオラを狙うだぁぁ!?」
ドンッ
ドシャアアァァ
赤ずきん「うぐっ・・・っ!」ドサー
村人「む、娘っ子ぉ!お、オラを庇って!?」
赤ずきん「・・・・・・邪魔よ。野次しか飛ばせないなら、逃げてなさい・・・」ゲホッ
キモオタ(赤ずきん殿・・・!いや、我輩が出ていっても足手まといになるだけですぞ・・・)
キモオタ「・・・・・・焦ってはなりませんぞ、我輩は解決策を知っているはずでござる・・・」ブツブツ
キモオタ「問題は村を救う赤鬼殿がいない事・・・いないならどうすればいいでござるか・・・居るべき人物が居ないとき・・・」
キモオタ「確か、似たような状況が・・・あったような気がしますな・・・思い出すんですぞ、あれは確か・・・」
──私はこの国の本当の王ではない
キモオタ「・・・・・・」
──私はこの国の本当の王子と入れ替わり・・・・・・
キモオタ「・・・・・・っ!」
──この国の王族として生きることになった。
キモオタ「代役・・・っ!」
キモオタ「確か・・・【裸の王様】の本当の王は若いときに命を落としているのでござった。でもおとぎ話が消えなかったのは・・・」
キモオタ「ちょうどその時居合わせた裸王殿・・・【王様の耳はロバの耳】の王子殿が当時の王子と入れ替わり・・・」
キモオタ「結果として代役を務める形になったから消えなかった・・・!」
キモオタ「だとしたら『村を救う赤鬼』の代役さえいれば・・・・・・」ブツブツ
ピルルッ ピルルッ
ティンカーベルの声「キモオタ!青鬼居たよ!今すぐ戻るから!そっちは平気!?」
キモオタ「ティンカーベル殿!今から言う作戦を青鬼殿に伝えてくだされ!」
ティンカーベルの声「えっ?なになに?作戦?」
キモオタ「そうですぞ!それまでは赤ずきん殿と我々で持ちこたえて見せますぞ!」
ティンカーベルの声「・・・わかった!教えて!どういう作戦なの!?」
キモオタ「・・・二人には赤鬼殿の家に戻っていただきたい。そこで青鬼殿に・・・」
キモオタ「赤鬼殿になってもらうでござるよ!」
赤鬼(鬼神化)「グオオォオオオオオ!!」ビュオン
赤ずきん「・・・・・・さぁ、村人なんか狙ってどうするの?私は見ての通り、まだやれるわよ?」
ズダーン
ズキッ
赤ずきん「・・・クッ」
赤ずきん(折れてはいないかしらね。けれど・・・)
赤鬼(鬼神化)「グオオォオオオオオ!!」ドスドスドス
赤ずきん(一人では・・・そろそろ、限界かしら?)
キモオタ「赤ずきん殿おぉぉ!!もうすぐ赤鬼殿が助けにきてくれますぞ!!」
赤ずきん「・・・? キモオタ、あなた何を言って・・・・・・」
村人「赤鬼?」
村人「鬼は悪い奴だろ!?」
村人「でも鬼なら鬼に適うかもしれねぇ!」
赤ずきん「・・・なるほど、何か考えが有るってわけね」
キモオタ「もう少しでござるよ!それまで持ちこたえてくだされ!」
赤ずきん(簡単に言うわね。もう相当厳しいのだけど・・・・・・でも)
赤ずきん「・・・だそうよ?もうすぐ助けが来るみたいね。でもそれまで少し時間があるようだから・・・」
ガチャッ
赤ずきん「もう少し遊びしょうか、鬼神さん?」
赤鬼(鬼神化)「ググルゥ・・・グゴオオオオォォ!!!」ドスドスドス
赤ずきん「さぁ・・・来なさい。まだ戦えるんでしょう?」
ズキッ
赤ずきん「くっ・・・っ!まだよ・・・まだ私は・・・っ!」
ピカーッ
???「はっはっは!無理をするんじゃないぞお嬢ちゃん!ここは私に任せるんだ!」ムキムキッ
キモオタ「申し訳ない、裸王殿!我輩に力を貸して頂きたい!」
裸王「はっはっは!水臭いぞキモオタよ!久々に骨のありそうな相手と戦えることに私の筋肉も喜んでおるわ!」ガッハッハ
赤ずきん「・・・・・・あなたは?」
裸王「私はキモオタの友人、とある国の王を勤めている!裸王と呼んでくれ、お嬢ちゃん!」ムキムキッ
赤ずきん「・・・子供扱いしないで。だけど、鬼神の相手は任せてもいいかしら?私は後方支援に回るから」スッ
裸王「任せたまえ!さぁ、鬼神とやらこの裸王が相手になるぞ?」
赤鬼(鬼神化)「グルルォォ・・・」
裸王「さぁ、始めよう!私の筋肉フルコースとくと味わうがいい!」ムキムキッ
赤鬼(鬼神化)「グゴオオオオォォ!!!」ドスドスドス
裸王「むっ?真っ直ぐに突っ込んでくるか!いいだろう!猪突猛進!力ずく!それこそ筋肉の真骨頂!その愚直さに敬意を評し、私はその攻撃をはじめとして避けはしない!」ムキムキッ
ガシィィンッ!
裸王「だがもちろん!押しつぶされるつもりは毛頭無いっ!」ググッ
赤鬼(鬼神化)「ググゥ?グガアァァァァ!!」
裸王「悪いが私は学が無いのでな、君の言葉は解らんよ。だがそんなもの必要あるまい!」
裸王「我々には筋肉がある!それで十分だろう?そして筋肉は種族の壁を越える!」ググッ
赤鬼(鬼神化)「グオオォオオオオオ!」ググッ
裸王「食らうがいいっ!必殺っ・・・!」
裸 王 ラ リ ア ッ ト !
バシィィィッ
シュゥゥゥッ
キモオタ「んんwww裸王殿にお願いして正解でしたなwww」
赤ずきん「・・・・・・鬼を相手に随分とムチャクチャな国王なのね?」
キモオタ「我輩は戦えませんからな・・・裸王殿にお願いすることしかできないのでwww」
赤ずきん「でも・・・王が協力してくれるのもあなたがこれまでに旅して来た結果なんでしょう?」
キモオタ「そう、なるんですかな・・・?」
赤ずきん「だったらそれはあなたの力であり武器なのよ。自信を持ちなさい」
キモオタ「・・・・・・そうでござるか、そう言っていただけると嬉しいですなwww」
シュゥゥゥッ
裸王「二人とも油断をするんじゃあないぞ!しかし・・・流石に私も自信を失いそうだな・・・・・・」
赤鬼(鬼神化)「・・・・・・グルルォォ!」フシューフシュー
裸王「もう少しダメージを与えられると思ったが・・・さすがは鬼という種族!しかし私はスタミナにも自信はあるぞ!」ググッ
裸王「ティンカーベルが助けを呼んでくる間、もう少しつきあってもらおうか!」
裸王「君も体力自慢なら解るだろう?筋肉とは力のみに非ず!」ググッ
赤鬼(鬼神化)「グオオォオオオオオ!」ドスドスドス
裸王「握る拳は金剛石より硬く!撃ち込む拳は刃のように鋭く!食らうがいい!必殺っ・・・!」
裸 王 百 烈 拳 !
ガガガガガガガガッ
赤鬼(鬼神化)「グッ・・・グルルォォ・・・・・・!」ググッ
ヒラリッ
赤ずきん「あら、私のこと忘れては困るわね?」ガシャッ
ズダーン ズダーン
赤鬼(鬼神化)「グゴォォ!」ヨロッ
キモオタ「これならなんとか時間は稼げそうですな・・・!」
赤鬼(鬼神化)「ググオォォ・・・」フシューフシュー
赤鬼(鬼神化)「・・・・・・」フシューフシュー
裸王「むっ・・・・・・急に動きが止まった・・・・・・?」
赤ずきん「・・・気をつけて、見た目に反して動きは機敏よ」
裸王「うむ、だが・・・この者・・・・・・先程とは違う闘気を放っている・・・!」
赤鬼(鬼神化)「・・・・・・アカ・・・ズキ・・・ン・・・・・・」ゴゴゴゴゴ
赤ずきん「!!」
キモオタ「な、なんですと!?鬼神化すると理性を失うのでは・・・!?」
ゴゴゴゴゴ
裸王「二人とも下がるんだ!この者・・・先程とは比べものにならない禍々しい気を纏っている!」
赤鬼(鬼神化)「・・・オイラハ・・・ミンナト・・・ナカヨク・・・・・・」ゴゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴ バチッ バチッ
赤ずきん「・・・赤鬼っ!」
バチバチッ バチバチッ ゴゴゴゴゴ
キモオタ「赤ずきん殿ぉ!危ないですぞ!」ズサー
鬼神「・・・・・・我、神ヲ超越セシ鬼ナリ・・・人間風情ガ・・・我二刃向カウナド・・・」
ゴゴゴゴゴ
鬼神「決シテ、アッテハ成ラヌ・・・」
鬼神「デハ終ワラセヨウ。真ノ鬼神ノ力ガ如二強力カ身持ッテ感ジルガイイ」
ビュオン
鬼神「ウオオオオォォォッ!」ググッ
裸王「な、なんだと!?私が力比べで押されているだと!?」
鬼神「人間風情ガ粋ガルデナイ・・・」クイッ
ガシッ
裸王「ぬぅっ!?おもむろに我が腕を掴んだ!?」
鬼神「朽チヨ・・・」ビュオン
ドガシャアアァァァ
裸王「ぐはっ・・・!」ドサァッ
赤ずきん「・・・さっきまで渡り合っていた王を赤子のように・・・!」
キモオタ「裸王殿ぉ!これはまずい、まずいですぞ!」
赤ずきん「どういうこと?これも鬼神病の症状だというの?」
鬼神「ホウ、人間ノ娘ガソノ名前ヲ知ッテオルトハ、勤勉ナ」
キモオタ「お主は何者でござるか!?」
鬼神「我ハ鬼神。コノ鬼ノ肉体を借リ・・・蘇リシ鬼神」
裸王「ぐっと・・・なんという力だっ・・・!」
鬼神「マダ息ガアルトハ・・・根性ノ座ッタ人間ヨ・・・ダガ邪魔ダ」グイッ
ガシッ
裸王「ぐぅっ!ここまでか!」
ザワザワ ギャーギャー
村人「お、鬼がまた出たべぇぇぇ!」
村人「今度は赤い鬼だああぁぁ!」
村人「いや待て赤い鬼は見方だってさっき言ってなかったか?」
村人「ど、どうするっ!?」
ゴゴゴゴゴ
ティンカーベル「キモオタ!赤ずきん!大丈夫!?」
赤い鬼「なんということだ。ひどい有様だ・・・!その上あの鬼神・・・!」
赤い鬼「村の者!オイラは心優しき鬼、赤鬼だ!あの黒き鬼を討伐し、この村に平和をもたらす!」
村人「聞いたか!あの黒い鬼を退治してくれるとよ!」
村人「あの赤鬼はやっぱり優しい鬼だったんだ!」
村人「頑張れ赤鬼!」
赤い鬼「大袈裟に良いだろう鬼アピール・・・こんな感じでいいのか?」ボソボソ
ティンカーベル「バッチリ!どこからどうみても心優しい赤鬼だよ!」ボソボソ
赤い鬼「じゃあ下地はこれで完了か、あとはあいつを正気に戻すだけだが・・・まずいな」
ティンカーベル「どうしたの?なにがまずいの?」
赤い鬼「鬼神病は発症時には理性を失うが、あいつは失っていない・・・あれは病状が末期に達した時の症状だ」
ティンカーベル「えぇ!?だって別人みたいだよ?そんな病気あるの!?」
赤い鬼「あいつから聞いていないのか?鬼神病は呪術や祟りの一種ともいわれている。その所以があの完全な鬼神化だ」
赤ずきん「・・・・・・あの赤い鬼、青鬼でしょう?」ボソッ
キモオタ「気づきましたかなwww」ボソッ
赤ずきん「確かに鬼神を退治する赤鬼がいないなら、代役を立てるのは作戦としては上出来ね。赤鬼に扮した青鬼が鬼神を退治すれば『赤鬼が鬼を退治した』という筋は守られるものね」
キモオタ「んんwww我ながら良いアイディアでしたなwww」
赤ずきん「でも、私が作った真紅草の染色液・・・・・・勝手に使ったのは感心しないわね?」
キモオタ「背に腹は代えられませんのでなwww容赦していただきたいwww」
赤ずきん「まぁ、いいわ。これで懸念材料は減ったわけだから」
キモオタ「それよりも鬼神化した赤鬼殿が何故理性を保っているのか青鬼殿に聞いてみなければなりませんな」
キモオタ「あおおn・・・赤鬼殿!」
青鬼「キモオタ、すまない。思ったよりも色が付かなくて難儀した」
赤ずきん「あの鬼神。理性を保っている、赤鬼から聞いた話と違うけれど」
青鬼「あぁ、あれはな・・・」
鬼神「何カト思エバ鬼ガ人間ト共二・・・赦セヌ、種族ノ恥曝シガ・・・!」
ギュオン
裸王「グオオオッ!」ガシャーン
ティンカーベル「裸王!」
青鬼「みんなあいつから離れた方がいい・・・あいつは赤鬼の体を乗っ取っている鬼神・・・・・・いや鬼神・・・神なんて代物じゃない」
青鬼「あいつは・・・・・・鬼が募らせた人間への憎しみの集合体だ」
ティンカーベル「憎しみの集合体?」
青鬼「あぁ、だが話は後だ。何とかあの鬼神を取り押さえて・・・柊の薬を口にねじ込む・・・そこでティンカーベル」
ティンカーベル「えっ?なになに?」
青鬼「赤ずきんには後方支援を、俺とそこの体力自慢そうな男は鬼神を取り押さえる。ティンカーベル、お前は機敏に飛び回れる・・・薬をねじ込むにはうってつけだ」
赤ずきん「そうね、あなた達の間を縫って鬼神に鉛弾を撃ち込む・・・まかせなさい」
裸王「うむ、任せたまえ!だがそう長く取り押さえられはできそうにないぞ?」
ティンカーベル「わかった!・・・でも何か口に入れようとしてるってわかったら口を閉じちゃうんじゃ・・・」
青鬼「・・・確かにそうだな・・・・・・何かあの鬼神に口を開けさせる方法は・・・」
キモオタ「ドゥフフコポォwww我輩の出番キタコレwww」コポォ
ティンカーベル「キモオタ?」
キモオタ「要は口を開けさせればいいのでござろうwwwならば我輩にお任せあれwww理性を失った鬼神には手も足もでないでござるが・・・・・・」
キモオタ「相手に理性が戻ったならば我輩の独壇場ですぞwww」
鬼神「我ヲ倒ス算段ハツイタカ人間」グワハハハ
鬼神「我ニハ解ル。隙ヲツイテ我ニアレヲ飲マセルツモリナノダロウ?ソウハサセヌワ!」
青鬼「・・・と、これがあの鬼神の正体だ」ボソッ
キモオタ「把握www任せてくだされwww」
・・・
キモオタ「んんwww鬼神殿www聞きましたぞwww」コポォ
鬼神(話しかけることで口を開けさせようということだろうが、甘いわ!)
キモオタ「お主の弱点はわかっているのでござるからなwww」コポォ
ティンカーベル「えっ?なになに?」
キモオタ「鬼と言えば節分、節分と言えば豆・・・!」
鬼神(・・・・・・豆だと?こいつら柊の薬の事を知らないのか?)
キモオタ「ティンカーベル殿!我輩があの鬼神を煽るでござるから隙をみてこの炒り豆をあの鬼神に思い切りぶつけてほしいでござる!」
ティンカーベル「わかったよ!キモオタ!」ピュー
鬼神(どういうことだ?向こうには鬼が一人いる、柊の薬を知らないはずが・・・なるほど、これは我を騙すための芝居か!)
青鬼「いくぞ裸王!赤ずきん、いざとなったら俺ごとあいつを撃ち抜け!」ダッ
裸王「先程投げつけられたら礼をしていなかったな鬼神よ!」ダッ
赤ずきん「なんなのよその指示は・・・聞いていた?鬼神さん?彼等、犠牲覚悟よ?あなたに防ぎきれるかしら?」
鬼神(解りやすい芝居よ!そうやって我を油断させて薬を口に投げ込むつもりであろう?)
キモオタ「それでは鬼退治といきますかなwww」コポォ
青鬼「オラアァ!逃がさないぞ鬼神!」ガシッ
裸王「少し大人しくして貰うぞ!裸王羽交い締め!」ググッ
鬼神(流石に鬼がいると面倒だ・・・だが振り払えないわけではない・・・!)
キモオタ「青鬼殿から聞きましたぞwwwお主は鬼の憎しみの集合体であるらしいですなwww」
キモオタ「実にオカルトチックwwwそういう中二病的なの我輩嫌いじゃありませんぞwww」
キモオタ「でも弱点が豆というのはいささかショボくないですかなwww」
鬼神「滑稽ヨ・・・実ニ滑稽」
キモオタ「何のことですかなwww」
鬼神「・・・気ガ付カヌト思ッテイタノカ?」
キモオタ「な、なにをですかな!?」
鬼神「柊ノ薬ヲ飲マセヨウトイウノダロウ?無駄無駄・・・我ハ知ッテイル、薬の存在を」
キモオタ「な、なんですと!?あ、青鬼殿!まずいですぞ!」
青鬼「グッ・・・まさか鬼神が柊の薬について知っているとは・・・」
裸王「ここまできたというのに・・・!」
赤ずきん「豆に意識を向けて薬を飲ませる作戦・・・駄目だったのね」
キモオタ「・・・・・・我々にはもう手だてがありませんぞ・・・!」
鬼神「滑稽ヨ・・・人間風情二ナニガデキル・・・!」
キモオタ「もう鬼神に隙をを作ることはできないでござる・・・!我々人間は・・・」
キモオタ「我々はこの鬼に皆殺しにされるでござるよおぉぉ!!!」
ザワザワ ザワザワ
村人「あいつらうなだれちまったぞ!?」
村人「それよりあの男・・・皆殺しにされるといっていたっぺ!」
村人「もうおしまいだべぇ!」
ザワザワ ザワザワ
鬼神「・・・・・・」ニタァ
「もうおしめぇだぁ!!」
「殺されちまうだぁ!」
「なんまんだぶなんまんだぶ・・・」
ギャーギャー ギャーギャー
青鬼「せめて、村人を少しでも遠くに苦さなければ・・・!」
鬼神「クックック・・・・・・実ニ愉快ナ光景ヨ・・・」
鬼神「男、オマエノイウヨウニ我ハ憎シミノ集合体!人間ニ恨ミヲモツ鬼ノ憎シミカラウマレタ存在!」
キモオタ「・・・・・・」
鬼神「故、我ハ望ム。人間ヲ皆殺シニスルコト、ソレガカナウトキガキタノダ!」
キモオタ「・・・・・・我々には」
鬼神「ナンダァ?」
キモオタ「もう対抗する手段がないでござる・・・・・・!」
鬼神「ソウカ、ソウダロウ」
鬼神「モトヨリ人間風情ガ太刀打チデキルハズガナイノダ!」
鬼神「震エヨ!畏レヨ!鬼ガ支配スルセカイガ到来スルノダ!フフフッ」
鬼神「ガーッハッハッハ!愉快!実ニ愉快ヨ!」ガーッハッハッハ
ピュン
ティンカーベル「ねっ!私もそう思う!」ニヤニヤ
鬼神「・・・・・・っ!」
ティンカーベル「えりゃーっ!」ズボォー
鬼神「グッ・・・グガガッ」
ゴクン
キモオタ「いけませんぞwww最後の最後まで油断してはwww」
鬼神「・・・計リオッタナ・・・!」
キモオタ「お主が薬について知っている可能性は高かったでござるからなwww青鬼殿の話ではお主は鬼たちの憎しみの固まり。いくら警戒していても我々人間が絶望する様を見せれば勝ち誇ると思っておりましたぞwww」
鬼神「・・・人間風情ガ・・・ヤハリ人間ハ卑劣ナリ・・・!」
青鬼「・・・・・・」
シュウゥゥゥ
鬼神「我ハ消エル、ダガ鬼ノ憎シミノ心ガアルカギリ鬼神病ハ消エヌ」
鬼神「イズレ貴様等人間ヲイタメツケラレルノヲタノシミニシテイオクゾ!」
シュウゥゥゥ
村人「あ、あの鬼から煙が!?」
村人「もしかしてやったんじゃねぇか!?」
村人「そうにちげぇねぇ!!」
・・・
青鬼「裸王、急いでこいつを赤鬼の家に運んでくれ!直に鬼神化は解ける、正体がバレたら台無しだ」
赤ずきん「私が案内する、行きましょう」
裸王「うむ!ようやく終わったのだな!」
ティンカーベル「青鬼!村人見てるしアピールしとこう!」
青鬼「そうだな・・・」
青鬼「村人のみんな!今回は悪い鬼が村に迷惑をかけてすまない!この通りこの悪い鬼は村から追放する!だがもう終わった!悪い鬼に恐怖することはないんだ!」
「やったぞ!やったぞ!」
「赤鬼は本当に心優しい鬼だったんだ!」
「俺達、今まで赤鬼を誤解してたな・・・」
「赤鬼ー!おまえは今日から村の一員だ!」
・・・
ティンカーベル「むぅ、なんだか調子がいいよね。助けてくれたから英雄扱いだもん」ムスッ
青鬼「まぁいいじゃないか、これで村は救えた。赤鬼の立場も良くなる」
キモオタ「一件落着というわけですなwww」
青鬼「まぁまだやるべきことはあるけどな」
ティンカーベル「それって・・・・・・」
キモオタ「・・・・・・」
青鬼「赤鬼が目を覚ますまでに、ここを出て行く。鬼がいつまでも二人いるとおかしいしな・・・」
青鬼「それにあいつと話すと、別れが辛くなる」
赤鬼の家
キモオタ「裸王殿、急に呼び出して申し訳ありませんでしたなwww」
裸王「なんのなんの!私の筋肉が必要ならいつでも呼んでくれ!あるいは肉体美を鑑賞したいときだって呼んでくれても構わんぞ」マッスル
キモオタ「それは恐らく無いでござるがwww」
ティンカーベル「じゃあね、裸王!またね!」
裸王「うむ、ではお互い精進するとしよう!」ムキムキ
シュン
赤ずきん「・・・・・・不思議な時計ね」
キモオタ「おはなしウォッチですぞwww仲良くなったおとぎ話の登場人物を呼び出せる魔法具ですぞwww」
赤ずきん「凄いわね、さぞ高名な魔法使いが作ったのね」
ティンカーベル「魔法具なら赤ずきんなんか二つも持ってるじゃん!」
赤ずきん「まぁ、ね。でも異世界に声を飛ばす上に呼び出しできるなんて余程よ?狙われないように注意なさい」
・・・
青鬼「・・・・・・傷の手当ては終わった。赤鬼はしばらく眠っているだろうからこの間にお前たちに話しておくことがある」
キモオタ「ほうwwwなんですかなwww」
青鬼「鬼神病についてだ。さっきキモオタには少し話したが・・・三人とも旅をしているなら知っておいてほしい」
ティンカーベル「確か、鬼の憎しみの集合体・・・だっけ?」
赤ずきん「あの鬼神も人間へ憎しみを強く持っていたようだったわね」
青鬼「そうだ、鬼神病っていうのは『鬼の人間への憎しみの心』が産み出す」
キモオタ「つまり赤鬼殿は実は人間を憎んでいたということですかな?」
ティンカーベル「えぇーっ!?なんでなんで?そんなわけないじゃん!」
青鬼「安心しろ、赤鬼はそんな風に思っていないさ。わかりやすくいうとだな、鬼の憎しみの心が膨らんでいくと姿を持たない鬼神の魂が生まれる。その鬼神の魂は無作為に鬼に取り付く。だから鬼神病は病とも祟りとも言われているんだ」
赤ずきん「病のように発症するけれど、その根本は恨みの力・・・と言うわけね?」
青鬼「そうだ、だから赤鬼の言葉に裏なんてないしアイツは人間が大好きなままだよ」
ティンカーベル「でもさぁ、人間は鬼が怖いから人間は鬼を基本的に避けていくんでしょ?確かにショックかもだけど憎しみになるのかな?それ」
青鬼「うーむ、ちょっと言いにくいが・・・鬼にいい鬼悪い鬼がいるように人間にも悪い奴っていうのはいるだろう?」
キモオタ「否定はできませんなwww」
青鬼「そういう悪い人間に鬼は被害に遭っているんだ」
赤ずきん「あんなに強い種族なのに?」
青鬼「・・・鬼でも力に弱い鬼はいる。騙されて利用される鬼だっているし、女や子供が誘拐されて見世物にされたり献上品にされたり、遠い地方では鬼の角が万能薬になるなんてデマのせいで集団で襲撃されて滅んだ鬼の集落もある」
キモオタ「・・・・・・なんというか、申し訳ないですな」
青鬼「おまえが謝ることじゃあない。それでも鬼はその外見や悪い鬼の所行のせいで悪と見られる。かといって復讐をすれば結局鬼は悪い奴というイメージだけが強くなる。実際泣き寝入りするしかないんだ。」
赤ずきん「・・・・・・」
青鬼「そうやって積もった憎しみが集まって鬼神の魂を産み、鬼神病が発生する。今はまだ鬼神病は稀な病だが・・・・・・」
キモオタ「このままの状態が続けばどうなるかわかりませんな」
青鬼「その通りだ、手を打たなければいけない」
青鬼「だから俺は旅にでる」
ティンカーベル「旅に?どうして?ここに残ってもいいじゃん!」
青鬼「そう簡単な問題じゃないんだ、ティンカーベル。それに俺には目標ができた」
ティンカーベル「目標?」
青鬼「俺は世界中を旅して、心優しい鬼もいることを人間に伝えていきたい。農業の手伝いをしたりしてな、そうして少しでも人間が鬼への認識を改めてくれたらきっと鬼神病は無くなる」
赤ずきん「それは・・・理屈ではそうでしょうけど・・・」
青鬼「難しいことはわかっているさ。でも、必要な事だとも思う。いつまでも憎しみあっているというのもバカバカしい。そこで赤ずきん、お前にはこの手紙を赤鬼に渡してほしい」
赤ずきん「・・・わかったわ。彼が目を覚ましたら渡しておく。私はもう少し残らないといけないしね」
青鬼「すまない。キモオタとティンカーベルも赤鬼が目覚める前に旅立つのだろう?」
キモオタ「悩みましたがなwww赤鬼殿、気を使ってしまうでしょうしなwww」
ティンカーベル「自分勝手だけど・・・苦しい思いする赤鬼、見たくないもん」
キモオタ「赤ずきん殿、赤鬼殿にはよろしく伝えていただきたい。それと我々はもう友達でござる、いつでもこのおはなしウォッチで会えるとも伝えてくだされ」
赤ずきん「えぇ、任せなさい」
青鬼「・・・よし、じゃあこれで俺のいいたいことは言った。やるべきこともやった。そろそろ俺は出て行くが・・・」
ティンカーベル「・・・そうだ、青鬼って遠くの故郷からここにきたんだよね?」
青鬼「そうだな、それがどうかしたか?」
ティンカーベル「変な噂とか聞いてない?えっと、天啓を見た人がいるとかどこか別の世界からきたとか!」
青鬼「そうだなぁ・・・天啓じゃねぇが、幻覚を見せられそうになったっていう鬼が居たな・・・」
キモオタ「な、なんですと!?」
ティンカーベル「詳しく教えて!」
青鬼「俺が故郷の村を出る前だったな・・・よそ者の鬼が訪ねて来てな。そいつが言ってた話なんだが・・・」
赤ずきん「よそ者の鬼・・・・・・別のおとぎ話からきたのかしらね」ボソッ
青鬼「自分の住んでいた場所にとって居られなくなって来たらしい。それから俺達鬼の種族に伝わる『打ち出の小槌』を持っていないかと言ってきていたな・・・」
ティンカーベル「それって何でも願い事が叶う不思議な小槌だよね!?」
青鬼「詳しいなティンカーベル。でもあんなもんが俺の故郷みたいな小さな集落にある筈がない、そう伝えたらがっかりして心当たりはないかって聞いてくるから、どうしてそんなに打ち出の小槌が必要なんだって聞いたんだ」
キモオタ「それでどうしたんですかなwww」
青鬼「自分の故郷を救いたいんだと。そいつが言うには自分が役割を果たせなかったから故郷を失ったと言っていたな・・・あと迷惑をかけた奴に謝りたいと言っていたな、そのあたりに住む人間のお姫さんと・・・もう一人なんていう名前だったかな・・・いっすんなんとかっていう・・・」
赤ずきん「・・・・・・一寸法師」
青鬼「そうだそうだ!姫と一寸法師に謝りたいと言っていたな!なんだ、知ってるのか?」
赤ずきん「いいえ、続けて頂戴」
ティンカーベル「一寸法師って、赤ずきんが教えてくれたもう消えちゃったおとぎ話だよね?」ボソッ
キモオタ「どうやらそのおとぎ話の鬼がこの世界に逃げてきたようですな・・・・・・」ボソッ
赤ずきん「しかし妙ね、その鬼はなんで打ち出の小槌を探しているのかしら?」ボソッ
キモオタ「どういうことですかなwww」ボソッ
赤ずきん「打ち出の小槌は一寸法師の世界に存在する。そしてその所有者はその鬼のはず・・・そして一寸法師に謝りたい・・・どういうことかしらね、これは」
青鬼「おーい、続けるぞ?」
ティンカーベル「うんうん!お願い!」
青鬼「その鬼に詳しく聞いてみるとな、その辺じゃ見ないような奴に声をかけられたらしい」
青鬼「細かい内容は忘れちまったが・・・なんつうか、その一寸法師を殺す内容の幻覚だったらしい」
キモオタ「一寸法師を殺す幻覚・・・」
赤ずきん「・・・こう言い換えたらどうかしらね、『一寸法師を殺す天啓』」
ティンカーベル「・・・同じだね、裸王のとこの隣国の兵士と」
キモオタ「あの時は裸王殿を殺す天啓。でしたな・・・」
青鬼「その幻覚が不思議なもんでな・・・その相手がなにか火を灯すと急に幻覚が頭の中に飛び込んできたんだと・・・結局、その時突風でその灯りが消えた途端に幻覚も消えたらしいがな」
赤ずきん「幻覚を見せる灯り・・・?」
ティンカーベル「灯りを灯す道具ってなんだろう・・・火打ち石?」
青鬼「なんていう名前だったかな・・・聞いたことのないような・・・」
キモオタ「チャッカマンとかライターとかですかなwww」
青鬼「いや・・・違う、なんだったかな・・・餅みてぇな名前の・・・」
赤ずきん「マッチ・・・」
赤ずきん「それ、マッチじゃないかしら?」
青鬼「それだそれだ!マッチっていう名前の道具だ!」
赤ずきん「そう、解ったわ・・・で、その鬼は?」
青鬼「別の鬼の集落を回ってみるっていっていたな・・・確か鬼ヶ島とかいう場所に行くと言っていたぞ」
赤ずきん「鬼ヶ島・・・『桃太郎』の世界ね・・・。青鬼、ありがとう。もう大丈夫よ」
青鬼「おお、そうか?」
ティンカーベル「赤ずきん・・・?」
赤ずきん「黒幕・・・誰かはさて置き、天啓・・・幻覚を見せていた方法が解ったわ。おそらくだけど・・・幻覚を見せる灯りなんてそう多くないものね」
キモオタ「本当ですかな!?」
赤ずきん「えぇ・・・そういう道具が存在するおとぎ話があるのよ。擦るとその灯りを見たものに幻覚を見せることが出来るマッチ。それを持っている女の子が主人公のおとぎ話」
キモオタ「それは・・・なんというおとぎ話ですかな!?」
赤ずきん「『マッチ売りの少女』・・・それが、幻覚を見せるマッチを持つ女の子のおとぎ話よ」
ティンカーベル「『マッチ売りの少女』・・・!」
キモオタ「その女の子が黒幕ですかな!?」
赤ずきん「どうかしら・・・私と大差ない年齢だったはずだけど・・・」
キモオタ「しかしそんな女の子が・・・信じられませんぞ」
赤ずきん「見た目やイメージで判断するのは良くないわ、今回の教訓でしょう?」
ティンカーベル「でもその女の子が黒幕かどうかは別にして、何かわかるかもしれないし行ってみようよ、キモオタ」
キモオタ「そうでござるな・・・次のおとぎ話はそこにするでござる」
青鬼「なんだかわからねぇけど・・・俺はもう行く。赤鬼が目を覚ましちゃいけねぇしな・・・赤ずきん、あとは頼むぞ」
赤ずきん「えぇ、あなたも気をつけてね」
青鬼「キモオタ、ティンカーベル、赤ずきん。お前たちのような人間に会えて良かった。俺も、赤鬼もな」
キモオタ「我々も、鬼にも優しいものがいるということ忘れないでござるよwww」
ティンカーベル「ばいばい、青鬼!お互いにがんばろうね!」
青鬼「おう、じゃあ、元気でな」
・・・
・・
・
キモオタ「では我々もそろそろ・・・赤ずきん殿は・・・」
赤ずきん「まだずきんの修繕が終わらないし、赤鬼をひとりにするのもね・・・手紙も預かっちゃったし」
キモオタ「赤ずきん殿wwwなんだかんだで心配するとは優しいですなwww赤鬼殿もうれしいでござろうwww」
ガチャ
赤ずきん「あなた脂肪まみれだから撃ち抜くなら、ここかしら?」
キモオタ「ぶひいぃぃ!?」
ティンカーベル「ごめんね!こんなのでもわたしの相棒だから眉間に撃ち込むのはやめたげて!」
赤ずきん「・・・冗談よ。なんだかんだであなたたちには助けられたしね。これからも協力しましょう」
キモオタ「言うまででも無いですぞwww我々は友達ですからなwww」
赤ずきん「・・・ティンカーベル、あなたの相棒は恥ずかしいことを平気で口にするわね」
ティンカーベル「そう?だって赤ずきんと私達は友達じゃん!」
赤ずきん「・・・そうね、友達ね」
赤ずきん「キモオタ、何かあったら呼びなさい。手が空いていれば助けてあげる。でも、くだらないことで呼び出さないでね・・・私のマスケットは弾切れをおこさない、脂肪の壁でも撃ち抜ける事、覚えておいて」
キモオタ「ありがたいwwwしかし、軽く脅されたんでござるがwww」
ティンカーベル「照れ隠しだよ、多分」ボソッ
キモオタ「照れ隠しで死にかけるのはごめんですぞwww」ボソッ
赤ずきん「さぁ、行きなさい。赤鬼が目を覚ましたら行きにくいでしょう」
赤ずきん「私は次に『桃太郎』の世界へ行く。あの鬼の話を聞いてみたいから」
ティンカーベル「私達は『マッチ売りの少女』の世界だね。何か解ったことがあったら教えるから赤ずきんもお願いね!」
赤ずきん「えぇ、じゃあ二人とも油断しないようになさい」
キモオタ「んんwwwお任せあれwww赤ずきん殿もくれぐれも無理なさらないようにwww」
赤ずきん「何度も言ってるでしょ、子供扱いしないで」
キモオタ「申し訳ないwww」
ティンカーベル「じゃあねー!またね!」フリフリ
赤ずきん「えぇ、また会いましょう。キモオタ、ティンカーベル」フリ
キュイィィィィン
現実世界 キモオタの部屋
キモオタ「・・・【泣いた赤鬼】の世界から帰ってきたものの」
ティンカーベル「うー・・・」
キモオタ「赤鬼殿と村人がどうなったか気になりますなwww」
ティンカーベル「でも私達が残っても出来ることはもう無かったし。赤鬼に気を使わせちゃったら空気悪くしちゃうし、仕方ないよね」
キモオタ「でも消滅は防げたわけでござるしwww結果的には問題ないのではwww」コポォ
ティンカーベル「まぁ、そこはね!でも元々がハッピーエンドじゃないからねー・・・ほら、泣いた赤鬼の絵本。読んでみようよ」
泣いた赤鬼
むかしむかし ある村のはずれに赤鬼が住んでいました
心優しい赤鬼は村人としても友達になりたかったのですがみんな怖がって近づきません。
ある日、赤鬼の家にお客さんがやってきました。
旅人の肝太とてぃんくという西洋の妖怪でした。赤鬼と2人はすぐに仲良くなり、青鬼という赤鬼の親友のために果物を採りに山に行きました。そこで外国からやってきたアカズキンという女の子とも友達になりました。赤鬼は大喜びです。
しかしそのころから村が何者かによって襲われてしまいます。
肝太や赤鬼はどうにかしないといけないと思い、青鬼達と知恵を出し合います。
けれど村を襲っていたのは悪い鬼になる病気にかかっていた赤鬼でした。
肝太やてぃんくとアカズキンは悪い鬼をやっつけようとしましたが元々は優しい赤鬼が村人たちに嫌われるのはイヤでした。そこで青鬼が体を赤く染めて、悪い鬼をやっつけましたよ村人はたいそう喜んで体を赤くした青鬼をあの優しい赤鬼だと思い、みんなが赤鬼に優しくなりました
しかし青鬼は赤鬼に手紙だけ残して黙って旅にでます。
自分の身代わりになった青鬼の優しさと大切な友達がいなくなったこと村人たちに迷惑をかけたこと
たくさんの悲しいことが押し寄せて赤鬼は何度も何度も泣きました。
おしまい
・・・
キモオタ「仕方ないとはいえバッドエンドですなぁ・・・」
ティンカーベル「西洋の妖怪・・・」ムカムカ
キモオタ「ちょwwwそこは別にいいでござろうwww」
ティンカーベル「よくない!だって私妖怪じゃないもん!」
キモオタ「じゃあ・・・やっぱり様子もきになるでござるし。週末にでもこっそり様子を見に行きますかな?」
ティンカーベル「いく!ついでに妖怪じゃないこと証明する!」
キモオタ達が帰った翌日
泣いた赤鬼の世界 赤鬼の家
赤ずきん「・・・・・・」ヌイヌイ
赤鬼「うぅ・・・・・・」ガバッ
赤ずきん「あら、ようやく目が覚めたみたいね?」
赤鬼「赤ずきん・・・!オイラは・・・一体!?」
赤ずきん「・・・どこから話そうかしらね?あなたは何を覚えているの?」
赤鬼「青鬼の策を実行するって時に金棒を手入れして・・・そこから記憶が無い。無いんだが・・・お前たちに声が聞こえた気がする。それと・・・なんだか恐ろしいほどに禍々しい鬼の声が聞こえたような・・・」
赤ずきん「落ち着いて聞きなさい。あなたは鬼神病に感染していた」
赤鬼「・・・・・・なんだと!?」ガバッ
赤ずきん「・・・本当の話よ」
赤鬼「・・・青鬼はどこだ?キモオタは、ティンクはどこだ!?」
赤ずきん「・・・・・・三人とも、既にここには居ない」
赤鬼「・・・・・・っ!」
赤鬼「・・・教えてくれ、赤ずきん。鬼神化したオイラは・・・何をやっちまったんだ?」
赤ずきん「村を・・・襲ったわ」
赤鬼「なんだって・・・・・・」
赤ずきん「安心なさい。いくつかの建物は駄目になったけれど早い段階で私達が駆けつけることができたから村人は誰も亡くなっていないわ。キモオタもティンクも青鬼も無事よ」
赤鬼「お前は・・・怪我をしているんじゃないか?」
赤ずきん「この程度なんてことないわ」
赤鬼「そうか・・・最近ぼーっとすることがあると思っていたが・・・鬼神病か・・・人間と仲良くなりたいなんて言っておきながら・・・」
赤ずきん「あなたが悪い訳じゃないでしょう?柊の薬を飲ませて鬼神化は抑えてあるからこれからも定期的に飲みなさいね」スッ
赤鬼「青鬼・・・キモオタ、ティンク・・・あいつらは・・・」
赤ずきん「キモオタ達はあなたに気を使わせると悪いからって出発したわ。でも彼の魔法具の能力でいつでも会えるからと・・・それとあなたとは友達だとも言っていたわ」
赤鬼「あいつら・・・オイラは相当迷惑かけちまっただろうに・・・」グスッ
赤ずきん「それと、これ青鬼からあなたへの手紙よ」
赤鬼「・・・青鬼からの手紙・・・」ペラッ
・・・
赤鬼へ
お前のことだから気にしていると思うが、鬼神病になったのはお前のせいじゃない。運が悪かっただけだから気にするな。
それと村人たちは鬼神を倒したのは赤鬼だと思っている。
これは俺が真紅草の染液を皮膚に塗って闘ったからだ。だから村人にはお前が鬼神だとはバレていないから安心しろ。ただ、赤ずきんにはお前からも謝ってくれると助かる。
突然だが俺は旅にでることにした。
結局、青鬼は村で暴れることはなかった。でも村人達はしばらくはお前以外の鬼には恐怖心を持つだろう。
それに目標が出来た。俺はいろんな世界を回って、鬼にもいい鬼がいるということを人間に知らせていきたい。そうすればきっと鬼神病はなくなる。
そしていつか、遠い未来になるかもしれないが、人間と鬼が共存できる未来はきっと来る。
心配するな。鬼に対しても偏見を持たないキモオタや赤ずきん、ティンカーベルのような人間はいるはずだ。
長く、あてのない旅になる。お前とはもう会えないかもしれない
だが、いつの日にか遠くのどこかからの噂で、優しい鬼が旅をしていると聞いたら、俺を思いだしてほしい。
体に気をつけて、無理をしないようにな
お前と俺の理想のために、出来ることをお互いにしていこう。
いつまでもお前の友達 青鬼
・・・
赤鬼「うぅ・・・ぅぅ・・・・・・」ボロボロ
赤ずきん「・・・・・・」
赤鬼「うぉぉぉ・・・!俺は・・・俺は青鬼を身替わりに・・・自分だけが!」ボロボロ
赤ずきん「・・・・・・」
赤鬼「うおぉぉぉ!!」ボロボロ
赤ずきん「・・・・・・」
赤鬼「うぅぅ・・・うぅ・・・」グスッ
赤ずきん「落ち着いたかしら?」
赤鬼「・・・・・・」
赤ずきん「・・・今朝、村の人達が届けてくれたご飯があるわ。取ってくるわね」
赤鬼「・・・・・・」
赤ずきん「はい、あとでお礼にいかないとね」コトッ
赤鬼「・・・すまん、赤ずきんはずっとここにいてくれたんだな」
赤ずきん「構わないわ。あなたが眠っている間にずきんの修繕をしていたし、礼を言われるようなことはしていないわ」
赤鬼「・・・うまいな」モグッ
赤ずきん「そうね」ヌイヌイ
赤鬼「・・・オイラみたいな鬼が泣いちまって恥ずかしいな」モグッ
赤ずきん「・・・そうね」ヌイヌイ
赤鬼「・・・赤ずきん」
赤ずきん「なに?」
赤鬼「青鬼からの手紙を読んで、思いきり泣いて・・・考えたことが一つある、聞いてくれ」
赤ずきん「そう、話して」
赤鬼「青鬼は、人間との共存のために旅にでた」
赤ずきん「そうね」
赤鬼「世界を廻って・・・優しい鬼がいることを人間にわかってもらう。長い長い道程にはなるだろうが・・・」
赤ずきん「・・・・・・」
赤鬼「人間と鬼が仲良くなるのは俺の願い、そして今は青鬼の願いでもある・・・そしてあいつはお互いにできることをやろうと言ってくれた」
赤ずきん「それで、あなたはどうしたいわけ?」
赤鬼「この夢のためにオイラが出来ることは村人たちとだけ仲良くして暮らすことじゃない。もっと、もっと広い視野を持たないといけない、だから・・・・・・」
赤鬼「オイラも旅にでる。そして青鬼と同じように人間達と共存できる未来を目指して歩き出す・・・それがオイラに出来る事だ」
赤ずきん「そう、いいんじゃないかしら?青鬼一人よりあなたも廻れば少しはその未来が近くなるんじゃないかしら?」
赤鬼「ああ、俺達は会うことはなくても、同じ夢に向かって歩き続ける。・・・・・・そこで、だ」
赤ずきん「・・・?」
・・・
・・
・
それから数日後
泣いた赤鬼の世界 村周辺
キィィィン
キモオタ「んんwww到着ですぞwww」ズタッ
ティンカーベル「きっとあの茶屋のおじさんが私を妖怪だっていうからああなったんだよ!とっちめよう!」フンス
キモオタ「ちょwwwそれメインではないでござろうwww」
ティンカーベル「私にとってはメインでもあるの!キモオタも知らない人にキモイとか言われたらイヤでしょ!」
キモオタ「んんwwwでも比較的、それが日常でもありますからなwww」コポォ
ティンカーベル「笑い事じゃないよ!もぉー・・・あれ?」
キモオタ「なんだか村が妙に綺麗ですな・・・いや、おかしいですぞwwwあれから一週間もたっておらぬのに建物が完璧に復活しておりますぞ!?」
村人「おんや?あんたらこの間の鬼退治の時の男と妖怪じゃな?」
ティンカーベル「・・・・・・」ムカムカ
村人「村が短期間でずいぶんきれいになったんで驚いたじゃろ?」
キモオタ「まさにそう思っていましたぞwwwなにがあったんですかなwww」
村人「実はあの後、ワシらを助けてくれた赤鬼がおったじゃろ?あと金髪の娘っ子。あの赤鬼が山んなかからそれはたくさんの木材を運んできてくれてなぁ・・・」
ティンカーベル(赤鬼、復帰のお手伝いしたんだ。罪滅ぼしのつもりだったのかな?)
村人「その木材がえらい良い木材でなぁ、何人もの大工が来てくれてあーっというまに家を造ってくれたんじゃ」
キモオタ「そんなにこの村に大工さんが住んでいたのですかなwww」
村人「いんや。どうやらなぁ、金髪の娘っ子が知り合いに頼んでくれたようでな?大工と一緒に来ていた金持ちそうな青年と親しげに話しておったわ」
ティンカーベル「わらしべ長者じゃないかな?きっとずきんが直ったんだね、キモオタ!」
キモオタ「そうですなwwwまさかまだ赤ずきん殿もいるとはwwwせっかくでござるし赤鬼殿の家に行ってみますかなwww」
村人「あんたら知らんのかい?もうあの家にはだれもすんどりゃせんよ」
村人「村の家を全部作り終わって、それから山奥の果物や山菜の採れる場所の地図をこさえてくれてな。わしらは村に引っ越してこいと誘ったんじゃが・・・」
キモオタ「こなかったんでござるかwww」
村人「そうじゃな・・・深々とお辞儀をして、断った。すまないとな。謝らねばならんのはこっちじゃ、いままで散々誤解していたんだからなぁ」
ティンカーベル「そして・・・どうしたの?」
村人「その日のうちに、金髪の娘っ子を肩に乗せて旅に出て行ったよ。なんでも友人と同じ夢を叶えるため・・・とかなんとか」
キモオタ「青鬼殿と同じ夢・・・鬼神病を無くし人間と仲良くなることでござるか・・・」ボソッ
ティンカーベル「じゃあ、赤ずきんと一緒に旅をする事にしたんだね!」
キモオタ「・・・ともあれ、これでハッキリしましたなwww」
ティンカーベル「うん、バッドエンドなんかじゃなかったね!だって会えなくってもいつでも2人は同じ夢を追ってるんだもん!」
キモオタ「いつか実現するといいですな・・・赤鬼殿、青鬼殿の夢、人間との共存が・・・・・・」
・・・
・・・
村から遠く離れた場所 街道
赤鬼「しかし、大工を呼んでくれたのは助かったが、お前の友達の長者には悪いことしたなぁ、遠いところまできてもらって」
赤ずきん「構わないわ。彼も鮮やかな赤の染料が手に入ったって喜んでいたもの。きっと更に儲けるわよ、信仰心と運だけは人間離れしてるから」
赤鬼「そうかそうか、ならいいんだが。そういえばこれから行くところは・・・どうするんだ?」
赤ずきん「言っていなかった?まずは街である程度必要な物を買い揃えて・・・それから【桃太郎】の世界、鬼ヶ島よ」
赤鬼「鬼ヶ島・・・いかにも鬼の集落って感じだな」
赤ずきん「聞いた話では悪い鬼がいるって話だけど・・・どうかしらね?」
赤鬼「悪い鬼ならきっちり話して悪事をやめさせるまでよ!」
赤ずきん「随分簡単にいうのね?」
赤鬼「鬼も人間もはなせばわかるってコトだな」
赤鬼「話すといやぁ、村のこともひとまず落ち着いたしキモオタやティンクとも話したいな」
赤ずきん「そうね、あなたとこうして旅をすることになったことも報告した方がいいものね」
赤鬼「報告って、あいつらとは友達なんだからそんな固い言い方しなくてもいいだろ?ガッハッハ!友達ってのはもっと気軽に話するもんだ!」
赤ずきん「友達とか、そういう事あまり口にすると・・・失ったときに辛いわよ?」
赤鬼「だったら失わないようにすればいいだろう?」
赤ずきん「本当に簡単にいうのね・・・。でも、そう思っているのはあなただけじゃないわ」
赤鬼「ん?」
赤ずきん「私だって、この世界で手に入れたものを失うつもりは一切無いもの」
・・・
【泣いた赤鬼】の消滅を防いだキモオタ達
共に旅をする事となった赤ずきんと赤鬼
おとぎ話の復活、消滅の阻止、人間と鬼の共存、それぞれの目標へ向かって旅は続きます。
キモオタとティンカーベルが次に向かうのは【マッチ売りの少女】の世界
幻覚を見せるマッチとは・・・?黒幕とは・・・?そして・・・?
それぞれの旅は更に続きます
泣いた赤鬼編 おしまい
423 : ◆oBwZbn5S8kKC - 2014/11/26 22:44:16 hSm 159/160泣いた赤鬼編おしまいです
赤ずきんがクールすぎるぜ
もう本編で言っちゃったからバラすけど次回はみんな大好き【マッチ売りの少女】編
もうちょっと話を固めたいので、スレはちょくちょく覗くけど続き書くのは間隔あけます。また付き合ってくれたら嬉しい、よろしく
461 : ◆oBwZbn5S8kKC - 2014/11/30 18:56:40 uJe 160/160次スレ
キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」三冊目
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1417340965/