江ノ島「な、なに?どこ?見たこと無いんですけど。こんな景色」
江ノ島「…」
江ノ島「見ず知らずの場所にひとりきり…出口も見つからない」
江ノ島「うぷぷぷ。ちょっといい感じなシチュエーションじゃないっ!」
元スレ
江ノ島盾子「は??ここどこ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1377006071/
江ノ島「壁、壁、壁、壁しかない」ペタペタ
江ノ島「だーれーかーいませんかー」
江ノ島「」
江ノ島「完全に閉じ込められてるっ!」
江ノ島「こんなとこ!何かの罠!?実験!?」
江ノ島「何?一体何が起ころうとしてるのっ?」
江ノ島「うぷぷ…うぷぷぷぷぷぷぷ」
江ノ島「とりあえず、こっちから行動起こさないと始まらないよねっ!」
江ノ島「」スタスタ
江ノ島「それにしても、もうちょっと小道具があってもいいんじゃない?」
江ノ島「さすがに超つまんないんだけどぉ」プンプン
江ノ島「あっ」
江ノ島「ピロリロリーン!!!何か発見!!」タッタッタ
江ノ島「扉?」
江ノ島「入れってことだよねぇ!!」
江ノ島「おっじゃっましまー!」ガチャリッ
扉の中はさっきと同様、黒白の2色のタイルで敷き詰められた空間。
ただ、その部屋に前にはよく公園に設置されているような砂場があった。
そして、その砂場の中央には美しくも大きな砂の城がそびえ立っていた。
江ノ島「うわぁ!!なにこれ!?砂の彫刻!?城!?」
江ノ島「…いや、城じゃない」
江ノ島「なんだっけ」
江ノ島「そうそう!サグラダ・ファミリア聖堂」
江ノ島「へぇ~。結構いいできじゃぁん!!」
江ノ島「いやぁ、死ぬ気で頑張ったかいがあったってもんよぉ!」
江ノ島「ん?」
江ノ島「まぁいいわ!どうせアタシしかいないんだし」
江ノ島「壊しちゃえっ!!」
苗木「壊すの?」
江ノ島「おうわ!苗木!」ヨロッ
苗木「ごめん。驚かせちゃって」
江ノ島「なんでアンタがここにいんのっ!」
苗木「何か…気が付いたら倒れてて……それで、誰かいないか歩きまわってたら」
苗木「この部屋を見つけてさ。驚かせてごめんね」
江ノ島「お胸がぶっ飛ぶところだったわ!」プンプン
苗木「それよりさぁ。江ノ島さん、壊そうとしてたよね?それ」
江ノ島「暇だし、壊せと言わんばかりにここにおいてあったわけだし」
苗木「でも、とても綺麗じゃないか。この砂の城」
江ノ島「サグラダ・ファミリア聖堂!」
苗木「えっ?そう。そんな名前なんだ」
江ノ島「他にも誰かいるの?」
苗木「わからない……ボクもさっき目を覚ましたばかりだし」
苗木「手分けしてだれかいるか探さないっ?もしかしたら、まだ誰かいるかもしれないし」
江ノ島「べつにいいけどー」
苗木「それじゃ!ボクはこの部屋を出て右を行くから!江ノ島さんは左をお願い!」
江ノ島「ラジャーっ」
江ノ島(まっ、他に誰かいるんなら、せっかくだしみんなに魅せつけてから壊そ♪)
江ノ島「二人きりじゃ退屈ー」スタスタ
江ノ島「誰かいないかー。おーい」スタスタ
江ノ島「人数が揃えば何かと楽しめそうなんだけどっ!!」
江ノ島「うぷぷぷ」
十神「何がおかしい」
江ノ島「ひょっ!」クルッ
江ノ島「アンタ!いつからいたの!?」
十神「今さっき目覚めた。このわけのわからん廊下を歩いてたら」
十神「偶然お前を見かけてな」
十神「他に誰かいないのか」
江ノ島「苗木なら見かけたけどー?反対の方にいったよ!」
十神「そうか、それで?何がおかしいんだ?」
江ノ島「さぁ?なんのことかな?」
十神「とぼけるな。一人で妙な笑い声をあげていただろう」
江ノ島「えっと~。空耳なんじゃない?」
十神「はぁ……人数が揃えばどう楽しめるって言うんだ?」
江ノ島「ちぇっ、聞いてたんじゃん」
十神「答えろ」
江ノ島「人が多いほうが脱出の可能性が広がるんじゃないかって思ったの!」
江ノ島「それで!ここからでられるんだぁ!!って思ったら思わずテンションあげあげ~!ってなって!」
十神「ふん、お前はここから出たいのか?」
江ノ島「なに?その質問。出たいにきまってんじゃん!」
十神「本当か?」
江ノ島「は?」
十神「…それじゃぁな」クルッ
江ノ島「はい!すとっぷ!どこいくの!?」
十神「決まってるだろ。ここから出れそうな場所を探すんだ」スタスタ
江ノ島(ここから出たい?出たいわけないじゃん!)
江ノ島(こんな最悪の状況を自ら回避しようなんて…もったいない!)
江ノ島「そ・れ・に♪もう少し待てばアタシらを閉じ込めた《黒幕》がアクション起こしてくれるだろうし!」
江ノ島「それまでは!辛抱~♪」スタスタ
石丸「おぉ!!探したぞ江ノ島くん!!」
江ノ島「はい?」クルッ
江ノ島「今度は何?」
石丸「むむ?今度は?」
江ノ島「いやこっちの話♪」
石丸「食堂に来てくれたまえ!!!」
江ノ島「アンタもいたんだって…食堂!?食堂なんかあんの!?」
石丸「とにかく!僕についてきてくれ!」
江ノ島(はぁ…食堂があるってことは食べ物もあるかも。飢えで死ぬかもしれないなんて状況にはならない……)
食堂
江ノ島「…あぁ。何か見覚えのあるメンツ」
石丸「うむ!これで全員だな!」
大和田「んで、どうなってんだ一体!?」
朝比奈「わかるわけないよ。みんな同じで目が覚めたらここにいて…」
セレス「食料も寝床もあるみたいですし、焦らず出口を見つけましょう」
江ノ島「どうかな~?閉じ込められたのには意図があると思うけどっ」
江ノ島「もし、《黒幕》がいるとしたら…閉じ込めて、はい!終わり!なんてことないと思うんだけどなぁ」
不二咲「それって…どういうこと?」オロオロ
霧切「そうかしら?」
霧切「閉じ込めることに意味があるとしたら?」
江ノ島「はぁ?そんなつまんないことっ…えへっなんでもない」
葉隠「あぁもう!どっちにしろここから出してくれー!」
苗木「とにかく、みんなで力を合わせて出口を探す。この事に変わりはない、でしょ?」
山田「果たして…出口なんてあるんでしょうかぁ」
山田「霧切響子氏が言うように閉じ込めることに意味があるとするならば……」
山田「《黒幕》だってそうそう簡単には出られないように試行錯誤してるはずでは!!ひゃぁあああああ!!」
桑田「おい!!出られないのか!出れんのかどっちだぁああ!!!」
江ノ島「さぁね~。どっちだろ」
不二咲「一生この中で…うっ」
朝日奈「ちょっと!みんな!落ち着いて!」
大神「まだ、結論を出すには早い」
舞園「そうだよっ!まだこの建物を全部を調べたわけじゃないし」
江ノ島(おぉ、いい感じに怯えてるぅ)
十神「……」
江ノ島「なに?諦めちゃった?」
十神「……俺はとっくに諦めてるよ。あがいたところで無駄だ」
苗木「十神くん……いや、そんなことない」
十神「どうして根拠も無しにそう言い切れる?」
十神「はっきり言わせてもらうがお前は甘い!甘すぎる!!」
苗木「それでも……みんなで力を合わせればきっと…」
舞園「苗木くんの言う通りだよ!みんなが一致団結して!」
十神「俺達がいくら協力したところで何になるって言うんだ?」
苗木「……」
霧切「……苗木くん」
江ノ島(!!何この展開!?最高に気まずい♪いいぞ!いいぞ!)
大神「小さな可能性にかけるしかあるまい」
大神「先のことは誰にもわからん」
大神「さっきも言ったが結論を出すにはまだ早い」
十神「……協力はしよう。納得はいかんがな」
腐川「デレた?デレた!?」
十神「黙れ」
寝室
江ノ島「ふぅ~」パタン
江ノ島(初日から飛ばしてくれるね~♪)
江ノ島(後は《黒幕》さんがハッパかけてくれたらイチコロ♪)
江ノ島「うぷぷぷぷぷ」
次の日
石丸「では!諸君!朝食をいただこうか!いただきます!!!」
葉隠「何か朝って感じがしないべ……」
桑田「時計があるのがせめてもの救い」
セレス「それで、みなさん?なにか脱出の手がかりは見つかりましたか?」
全員「……」
苗木「まだ、調べ足りないところがあるんだよ!今日も頑張ろう!」
江ノ島「うんうん!うんうん!今日中に全部どんな些細な事も調べ尽くすつもりで!」
江ノ島(そして、脱出不可能であると悟る!)
寝室
江ノ島「ふぅ!探す振りメンドー!」パタンッ
江ノ島「《黒幕》さーんまだですかー?」
江ノ島「退屈なんですけどー」
江ノ島「まぁ気長にまちますか♪」
江ノ島「どうせっ、出られないんだし!」
数日後
江ノ島(ありえない……おかしい、おかしい)
石丸「いやぁ!!みんなで食べる朝食は実に美味しい!!」
山田「さて、この後どうします?」
セレス「寝室でトランプを見つけましたの。みなさんでゲームでもしませんか」
桑田「賭け事はちょっと」
セレス「ふふっ、賭けるものなんて何もないじゃないですか」
苗木「みんなでトランプか!」
大和田「暇つぶしにはいいかもしれねーな!」
江ノ島「ちょっと!!まったぁ!!」
大和田「あ?」
江ノ島「出口は?探しにいかないんですかー?」
大和田「んなもん!さんざん探しまわっただろうが!」
セレス「休みの日です。たまにはそういう日もあっていいでしょう」
江ノ島「はぁ?」
霧切「食料も十分にある。どうやら減った分だけ追加されているようね」
霧切「時間なんて無制限にある。焦る必要なんてないでしょう?」
江ノ島「《黒幕》が何かしてくるかもしれないよー?」
霧切「ここ数日で、その《黒幕》が何かしかけてきたかしら?」
江ノ島「今日しかけてくるかもぉ」
苗木「存在するのかもわからない《黒幕》に怯えても仕方ないよ」
苗木「心に余裕を持った方がいいでしょ?これだけの人数がいるんだ」
苗木「誰か一人でも疑心暗鬼になってボクたちの関係が壊れたら」
苗木「それこそ《黒幕》の思う壺だと思うんだ」
江ノ島「まぁ、確かに?」
苗木「だからさぁ、江ノ島さんもトランプを」
江ノ島「しない」
苗木「えっ?」
江ノ島「悪いけどパス~」
江ノ島「アタシは引き続き出口を探すわ」スタスタ
苗木「ちょっと!江ノ島さん」
十神「放っておけ苗木」
苗木「……」
スタスタ
スタスタ
江ノ島「こうなったら…アタシが仕掛けるしかないわね」
江ノ島「テキトーに誰か一人殺しちゃえば♪簡単に絶望的状況になるっ♪」
江ノ島「凶器、凶器を探さないとぉ」
江ノ島「血塗れた壮絶な殺人現場をクリエイトしなくちゃいけないしね!」スタスタ
江ノ島「えっと、この部屋は」
ガチャ
目の前に広がるのは青空と生い茂る緑の大きな葉。その緑の隙間からちらちらと黄色い何かが見える。
トウモロコシだ。
扉の向こうにはトウモロシ農園が広がっていたのだ。
江ノ島「ありゃ?出口?」
しかし、青空の正体は壁に描かれた絵であった。
江ノ島盾子はほっとして部屋の中へ入っていった。
江ノ島「広い部屋。だけどトウモロコシしかねー」
江ノ島「いっそトウモロコシを凶器に使うか…それはそれで面白いかも」
江ノ島「はぁ…クワでもなんでも何か農具くらい置いといてよー」
松田「そうしたら、お前がこれの世話をしてくれんのか?」
江ノ島「え?」
松田「答えろよドブス」
江ノ島「あれ?なんでアンタがいんの?」
松田「ドブスのくせに俺の質問はスルーか」
松田「気が付いたらここにいた。それだけだ」
江ノ島「ふ~ん。ってそれなら他の人が気付くでしょうが!」
松田「知ってるが?」
江ノ島「ごめん、ちょっと何言ってんのかわかんない」
松田「ブスでバカと来たか…。ただ単にあいつらと食事してないだけだ」
江ノ島「どうして?」
松田「なんとなく」
江ノ島「一人で出口探してるとか?」
松田「そういうことだな」
江ノ島「ふ~ん」
松田「……」
松田「なぁ、なんでトウモロコシ農園?」
江ノ島「え?」
松田「なんで、こんなもんがここにあるんだ?」
江ノ島「しるわけないじゃ~ん」
松田「そうか……」
江ノ島「そんじゃ、アタシはこれで~」
松田「待て、俺も付いてく」
江ノ島「はぁ?」
江ノ島「」スタスタ
松田「何か探しものか?」
江ノ島「鈍器か鋭利な刃物」
松田「そんなもんないぞ」
江ノ島「はっ!?一つくらいあるでしょ!」
松田「ないない。凶器に使えそうなもんなんて一つもない」
江ノ島「絶対ある。そんなはずないもん」
松田「理解力のない雌豚が……本当にないって」
江ノ島「なんでそう言い切れるの?」
松田「調べたから」
江ノ島「はぁ……じゃぁ、どうしようかなぁ」
江ノ島「ピピピピピ、ひらめけ!アタシの賢い頭!」
松田「諦めろ。ド低脳」
江ノ島「はぁ?諦めてここで超退屈な日々を一生過ごせっていうの?」
松田「そうだ」
江ノ島「……」
江ノ島「世界には彼だけがいればいい」
松田「……」
江ノ島「それは今も変わらない」
松田「……そうか」
松田「俺は部屋に戻る。ブスの顔面を長時間眺めてると気分が悪くなるからな」スタスタ
江ノ島「はいはーい」
江ノ島「」スタスタ
江ノ島「う~ん?何か違和感?なんだこれ」スタスタ
不二咲「あっ!江ノ島さん!」
江ノ島「チョリー!」
不二咲「ねぇねぇ!江ノ島さんは見た?砂のお城!」
江ノ島「だから、サグラっ、ちょ!ちょっと」
不二咲「こっちの部屋なんだけどね!」グイッ
江ノ島「えっと見たんだけどー」
不二咲「どう?綺麗でしょ!?」
朝日奈「すっごいよね!!大きいし!これ作った人絶対才能あるよー!」
江ノ島「まぁね~」
朝日奈「?」
江ノ島「?」
江ノ島「何か変なこと言った?」
朝日奈「う。ううん!なんでもない!」
石丸「みんなこの城を見たんだろうか。見てない人は明日僕がここへ連れてこよう」
朝日奈「なにもそこまで…」
石丸「いや!これは一度は見ておくべきだ!それくらい素晴らしい出来だ!」
寝室
江ノ島「うぷぷぷぷぷぷぷ」
江ノ島「うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ」
江ノ島「今宵は皆様に江ノ島盾子ちゃんから些細な絶望をプレゼント!」
江ノ島「さて、そろそろ行きますか!」
江ノ島「~♪」スタスタ
江ノ島「盛り上がりにかけるけど暇つぶしにはなりそう!」スタスタ
江ノ島「へっへっへ」ガチャリ
松田「よう」
江ノ島「な、なにしてんの?寝ないの?真夜中だよ?」
松田「見張りだ。見張り」
江ノ島「なんの?」
松田「サグラダ・ファミリア聖堂のだ」
江ノ島「どうして?」
松田「潰されるかもしれないからだろ。馬鹿か?」
江ノ島「ふ~ん、いいじゃん。つぶされちゃっても」
松田「ダメだ。潰されたらアホみたいにびゃんびゃん泣くやつがいるからな」
江ノ島「そんなのいるわけないじゃん」
松田「…いるんだよ。だから、こうして俺が毎晩見張ってる」
江ノ島「いずれはモロモロになって崩れるんだし!アタシがトドメさしたげる♪」
松田「絶対にそうはさせない」ギロッ
次の日
食堂
江ノ島「暇だぁ」グテー
苗木「やった!僕の勝ちだ!」
桑田「俺の手札絶対みただろ!」
苗木「それは違うよ!!そんなズルしないよ!」
霧切「あなたはずっと苗木君の手札を見ようと試みてたけどね」
大和田「おい!イカサマ野郎はオメェじゃねぇか!」
桑田「あほ!あほ!そんなの出任せだって!」
江ノ島「トランプばっかり、飽きないねぇ」グテー
江ノ島(凶器が見つからないんなら…絞め殺すなりなんなりするしかない)
江ノ島(それにしても、おかしい……)
江ノ島(焦りを見せたのは初日だけで後はずっとこの調子…)
江ノ島(いくらバカでも危機感なさすぎ…)
江ノ島「…びびりすぎて頭やられちゃったか?」ボソッ
江ノ島「さて」
苗木「あれ?江ノ島さんどこか行くの?」
江ノ島「部屋に戻る。眠いのよねー」
朝日奈「夜更かしでもしたの?」
江ノ島「最近、寝れなくて」
江ノ島「あぁあ…ちゃんと計画ねらないとぉ」スタスタ
松田「何の計画だ?」
江ノ島「神出鬼没ってまさにこのことね」
江ノ島「どうやったら楽しくなるのか考えてたの♪」
松田「その足りないの脳でか?」
江ノ島「そうよ♪」
松田「…このままでいいじゃないか」
松田「……どうせ出れないんだしさ」
江ノ島「どうせ出れないから楽しいこと考えてんの!」
松田「…絶望がそんなにも楽しいか?」
江ノ島「だって希望しかないんだもん」
江ノ島「そんなのつまんないじゃん」
松田「吐き気がするほどキモい性格だな」
江ノ島「もっと刺激がほしい!とんでもなく強いやつ!」
江ノ島「閉じ込めて置くだけなんて生ぬるい!!ぬるすぎる!!!!」
松田「もう…どうしようもないのか?」
江ノ島「何がぁ?」
松田「俺はお前を救いたいと思ってた。俺にしかお前を救えないと思ってた」
松田「ずっと…ずっとだ」
江ノ島「あれれ」
松田「なんだ?」
江ノ島「何か聞いたことあるぞー?そのセリフ」
松田「…そうか」
江ノ島「どこで聞いたっけなぁ…」ウーン
江ノ島「アタシを救いたいんなら!サグラダ・ファミリア聖堂を壊させて!」
江ノ島「後は、殺しの手伝いも」ニコッ
松田「……」
松田「俺を殺すか?」
江ノ島「…え?」
松田「俺は抵抗はしない」
江ノ島「うぷぷ」
江ノ島「却下~」
松田「どうしてだ!!」
江ノ島「他のやつと繋がりの浅いアンタを殺すくらいなら別の人間を殺す♪」
松田「……」
江ノ島「アンタは最後の最後に殺してあげる」
松田「…そうか」
江ノ島「」ギュッ
松田「……」
江ノ島「だって掛け替えの無い大切な人なんだからっ」
食堂
十神「もう、いいんじゃないか?苗木」
苗木「……」
十神「もう何日たった?連中はあとどれほどここへ俺たちを閉じ込めておくと思う?」
苗木「……」
十神「結論は出たということだ」
苗木「だけど…」
十神「何だ?他に策でもあるのか?」
苗木「ボクが直接!」
十神「それはルール違反だ!全てがパーになる!」
十神「この状況下でなんの進展もなかった」
十神「むしろ悪化していく一方だ」
十神「…アイツから少しの希望も感じることができなかった」
十神「だから、俺は初めから諦めていたんだ!」
十神「こんな茶番で人を変えられるわけないだろ!」
十神「まぁ、当初からの目的だった奴の本質を暴くことは十分達成したようだがな」
苗木「それは違うよ!」
苗木「もっと…もっと時間が必要なんだ!」
苗木「僕達でもっと計画を考えて」
十神「…なぁ、苗木」
十神「アイツを表に出さないのが一番じゃないのか?」
苗木「おかしいよ!理由を探らないと!きっと、何か事情が」
十神「いい加減にしろ苗木!ここへ来て俺達は何を見た?」
十神「アイツは本質的に悪だったんだよ!!」
十神「俺達がすべきことはここで絶望を終わらせる!」
十神「江ノ島盾子の死をもってしてだ!!!!!!!」
松田「……」
苗木「松田くん!」
松田「アイツの悪口を他人が言うのは胸くそ悪い」
松田「だがな…否定できない」
松田「十神、お前の言う通りだ……」
松田「だが、少しまってくれないか?」
松田「最期は…アイツの手で終わらせてやってほしい」
十神「……いいだろう。好きにしろ」
苗木「くそ!!くそ!!クソぉ!!!!!!!!!!!!!!!」シクシク
苗木「救いようがないって…そう言いたいのかよ……」
苗木「……超高校級の僕達ですら救えないっていうの?」
深夜
江ノ島「よし…今日こそ♪」スタスタ
江ノ島「サグラダ・ファミリア聖堂をぶっ壊して~」
江ノ島「そして、ちょっと次の日に誰か殺そう!よっしゃぁー!」
江ノ島「うぷぷぷぷぷぷ」
松田「なぁ、おい」グイッ
江ノ島「おっとっと、何?乱暴はやめて?」
松田「ちょっと付き合え」
江ノ島「えぇ、アタシたちはとっくの昔に付き合ってるじゃぁん」
松田「……」
江ノ島「で、なんでまたトウモロコシ農園?」
松田「なんでだろうな」
江ノ島「??」
松田「ここ、一応アメリカっていう設定らしいぜ?」
江ノ島「ふーん」
松田「どうして、アメリカのトウモロコシ農園がここにあるのか」
松田「俺にはわからない」
松田「だがな」ガシッ
江ノ島「えっ?なに?どきどき!」
松田「お前は知ってるんじゃないか?」
江ノ島「知らないっての!」
松田「そ、そうか」
江ノ島「女の子の肩掴んで言うセリフ?サイテー」
江ノ島「だけど、ちょっときゅんきゅんしちゃった♪あはっ」
江ノ島「はっ!大事な用事忘れてた!」
松田「急ぐ必要はないだろ」
江ノ島「だって、アンタに邪魔されるし!」
松田「お前の邪魔なんかしないさ」
江ノ島「そう」
江ノ島「ついたぁ!よし!ぶっ壊す!」
松田「本当に……いいんだな?」
江ノ島「もっちー♪」
松田「……」
松田「先に待ってる」ボソッ
江ノ島「よっと!!」
彼女は全力で美しい造形の砂の建築物を踏みつぶした。
ところが爽快に潰した余韻に浸る間もなく
彼女の頭の中にグルグルと走馬灯の如く映像が流れ込んでくる。
ここへ来てどこかスカスカだった彼女の脳にどんどんと記憶が埋め合わされて行く。
そして、彼女は思い出す。
江ノ島「これを作ったのはアタシ」
江ノ島「まだ小さかった頃の……」
江ノ島「潰されて一日中泣いてたのもアタシ……潰したのもアタシ」
江ノ島「トウモロコシ農園……それはいつか見たアタシの夢」
江ノ島「彼と二人で…学園を抜けて一生をそこで過ごす……そんな夢」
江ノ島「そしてそんな彼を殺したのもアタシ……絶望したかったから。ただ絶望したかったから」
江ノ島「思い出したらまた来た!来た!きた!!絶望が!胸をえぐるようなすごいのが!」シクシク
江ノ島「また彼と出会えたのに!!何もしなかったなんて!うぷぷぷぷぷぷぷぷぷ」シクシク
江ノ島「そして、このままアタシは死ぬのね?そうないんでしょ!?」
江ノ島「こんな最強の絶望の中で死ねるなんて最高じゃないっ!!!」
江ノ島「あぁ…意識が」
江ノ島「絶望の渦に…」
江ノ島「……待っててね」
十神「終わったな」
苗木「……」
十神「さぁ、俺達もそろそろ向こうで目がさめるだろう」
松田「そんなに落ち込むな。苗木」
苗木「だけど……ボクはっ」
松田「これが俺たちにとっての一番のベストだったんだ」
松田「それに、俺は一度彼女を救うのを失敗してるしな」ハッハッハ
十神「お前とはここでお別れだな」
松田「どうころんでも結果は同じだったとうわけだ」
松田「それじゃぁな」
未来機関本部
苗木「……成功だったのかな?」
十神「さぁな、だがここの連中からすれば成功だったんだろうな」
大神「初めから処刑するつもりだったのだろう」
苗木「そんな……」
霧切「江ノ島盾子のせいで大勢の人間が死んだわ」
霧切「例え彼女にほんの僅かでも良心があったとしても生かす理由にはならない」
苗木「それならどうして…みんなこんな作戦に参加したの?」
霧切「単純に江ノ島盾子という人間を知りたかったから、かしら」
霧切「彼女はあまりに謎が多かったから」
苗木「初めから…彼女を救おうと思ってたのはボクだけだったんだ……」
大和田「だが、根っからの悪だっただけマシだろう?」
大和田「そっちのほうがスカッとするしよぉ」
石丸「そうだ!同情の余地が少しでもあればかえって我々が辛い思いするだけだったからな!」
苗木「……」
戦刃「……ありがとう苗木君」
苗木「戦刃さん!」
戦刃「盾子ちゃんのことで悲しんでくれてるんだね」
苗木「…う、うん」
戦刃「どこで間違えたんだろうね……」
戦刃「…私達、姉妹は。えへへ」
苗木「……」
苗木「わからないよ……」
苗木「どこで間違えたかなんて…そんなの……」
苗木「江ノ島さんだって…知らなかったはずだよ……」
おわり
78 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 03:19:56.71 9x0Xzo4t0 52/53コンセプトはよかったと思う
79 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 03:47:54.93 ZlVA06M6P 53/53もうちょっといい感じしたかったけど
やっぱり盾子ちゃん救いようなかったんだべ