―夕刻の学園都市
上条「ただいま~インデックス~」ガタン
上条「ってまたいないのか」
上条「それよりさっさと干しといた布団取り込むか…」
上条「夕立とか降る前に…」ガラッ
上条「」
ハルヒ「zzz」
上条「…」
上条「また見知らぬ客人か…」ハア
元スレ
ハルヒ「おなかがすいたわ」上条「帰って」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324562854/
上条(今度は…高校生くらいか?)
上条(見た感じ俺と同じくらいかひとつ下ってとこかな…?)
上条(この近所にこんな制服の学校あったっけ?)
上条(でっかいカチューシャしてるな…)
上条(…よくよく見ると、意外と可愛くないか…)ジー
ハルヒ「ん」パチ
上条「あ」
ハルヒ「…」
上条「…」
ボカ
上条「」バタッ
ハルヒ「サイアクの目ざめだわ。…つか誰よアンタッ!?」ギロッ
上条「それはこっちのセリフだ!!」イタタタ
ハルヒ「そういやココどこ…ってええッ!?」
ハルヒ「何でアタシこんなとこに干されてんのッ!?」
上条「それもこっちのセリフだッ!!」
ハルヒ「それよりおなかがすいたわ! アンタ、何か食べ物を献上しなさいッ!!」
上条「人の話を聞けよッ!?」
上条「つか、俺は夕飯の準備で忙しいんだ!」
上条「頼むから帰ってくれ!」
ハルヒ「帰…る…」ハッ
上条「そうだよ、自分の帰る家くらいあるだろ?」
ハルヒ「分からない…」
上条「へ?」
ハルヒ「私の名前が涼宮ハルヒだっていうことは分かる…」
ハルヒ「でも…」
ハルヒ「自分がどういう人間で、ここが何処で、何処から来た人間なのか…」
ハルヒ「よく分からないのよ…」
上条(こいつ…)
上条(もしかして、…記憶喪失?)
上条「やれやれ…」
ハルヒ「?」
上条「もしかしてあんたもまた、魔術結社の関係者か何かか?」ポリポリ
ハルヒ「魔術…結社…?」
ハルヒ「な、何よそれ…!?」
上条「まあ、アンタが記憶喪失なら、当然覚えている筈はないだろうけどさ…」
ハルヒ「ていうか、何でそんな行き成り突拍子もない話を…?」
ハルヒ「魔術なんて、そんなの本当にあるわけないじゃないッ!?」
上条「あるんだよ、それが…」
ハルヒ「う、嘘!! 絶対ウソ!!」
上条「魔術師に会えば分かるさ…」
上条「ま、とりあえずだ」
上条「今うちにはまともな食いものがないからさ…」
上条「近所のファミレスにでも行こうぜ」
上条「腹減ってんだろ?」
ハルヒ「う、うん///」
ハルヒ「えっと…、あ、あんたは…?」
上条「俺か?」
上条「俺は上条当麻」
上条「…ごく普通の男子高校生だ」
ハルヒ「上条…当麻」
ハルヒ「そ、それじゃあさっさとごはんに行くわよ! 上条!!」スタッ
上条「…はいはい」
―近くの路上
美琴(あ、アイツだ…!)
美琴(ちょうどいいところに…)ニッ
美琴(最近欲求不満溜まってるから、一発ビリビリッと…)
美琴(って、誰よ!? アイツの隣にいるのは…!?)
ハルヒ「本当に本当に本当なのッ!?」パアアアア
ハルヒ「この都市(マチ)には超能力者がウジャウジャいるって!?」ワクワク
上条「普通に掃いて捨てるほどいるんですが…」
上条(驚いたな…本当に何も覚えてないのか…)
上条(学園都市は世界的に有名で…)
上条(ましてや日本人で知らない奴なんているはずがないもんな…)
ハルヒ「さっきの掃除ロボットもすごかったわね!」
ハルヒ「でも、人がいっぱいいるのに、誰も超能力なんか使ってるように見えないんだけど…」
ハルヒ「ひょっとして今、あっちこっちでテレパシーが行き来してるの!?」
上条「まあそういう能力使える連中もいるからな」
上条「俺には絶対感じ取れないが…」
上条「つか、街中ではばかりもせずいきなり能力使う奴なんか―」
上条「―俺の知ってる限りではあのビリビリ中学生くらいしか…」
美琴「悪かったわねぇ…あたしが短気で」パリパリ
ハルヒ「!!!」
上条「ゲッ! 噂をすれば…!」
ハルヒ「何、何なのあの子!!」
ハルヒ「何か手からビリビリいってるんだけど…!!」
ハルヒ「何? 静電気!?」ワクワク
美琴「どこの誰だか知らないけど…!」
美琴「ソイツから離れなさい!!」
美琴「さもなきゃ…!」ヒュッ(コイントス)
上条「ま、待て待て待てッ!!?」
美琴「ケガするわよッ!!」ドキュン―(超電磁砲)―――――――――――――――――!!!
ハルヒ「!!!!!!!!!!!!!!!!」
上条「よけろ涼宮ッ!!!」ダッ
キュイーン
(ハルヒの前に立ちふさがり、幻想殺し発動)
シュウウウウン
美琴(ったく…相変わらず通用しないわね)
ハルヒ「…」
上条「ば、馬鹿かテメェは!!」キッ
上条「俺はともかく…涼宮はな、お前のような能力者じゃないんだぞ!!」
上条「いきなり超電磁砲使うなんて危ないだろーが!!」
美琴「い、いいじゃない…どっちにしろアンタがいたんだから…」ムスッ
上条「いいわけあるか!」
上条「だ、大丈夫か…涼宮」クルッ
ハルヒ「すごい」
上条・美琴「「?」」
ハルヒ「本当に、手からビームなんて出せるんだ…!!!!」キラキラ
ハルヒ「…レールガンって言うのね」ニヤリ
上条・美琴(む、むしろ喜んでる…!!?)
ハルヒ「ねえ上条!」
上条「な、何だ?」
ハルヒ「コイン持ってない?」
上条「こ、コインか?」ゴソゴソ(財布)
上条「い、今はなけなしの500円玉しか…」スッ
ハルヒ「貰いっ!」パッ
上条「おいっ!?」
美琴「え」
ハルヒ「確かこうやって…!」ピュッ(コイントス)
ハルヒ「構えてッ!」スッ
上条・美琴「「ま、まさか!?」」
ハルヒ「ばきゅ――――――――――ッん!!!」ドォ―――――――――――――――ン!!!
(空に向かって超電磁砲発射)
シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
ハルヒ「結構簡単ね♪」
美琴「あ、…ありえない…」ヘタリ ボーゼン
上条「俺の500円玉がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」フコウダー
(涼宮ハルヒ、――覚醒)
美琴(い、一体どういうことなの…?)
美琴(電気系統の…能力者?)
美琴(そんなはずわないわ…!)
美琴(同じ電気系統の能力者なら、常時体を流れている微弱な静電気ですぐそれとわかるもの…!)
美琴(そ、それ以前に…!)
美琴(私と同程度の超電磁砲を使えるような能力者が…いるはずがないのにッ!!?)
上条(って、500円玉で泣いてる場合じゃねぇ…!)
上条(こいつ、一体何者だ…!?)
美琴(もしかして、相手の能力を盗む能力…!?)
美琴(たとえそうだとしても…!)
美琴(この美琴さまのまねごとをあっさりやってのけるなんて…!!!)
美琴(確実にレベル5に該当しうる高度な能力の持ち主…!!)
美琴(何がどうなってんのよ!!?)
ハルヒ「もっと他の能力も試してみたいわねッ!」
ハルヒ「行くわよ上条!!」スタッ
上条「ま、待て!!」
上条(まずいぞコイツ…!)
上条(いかんせんこのまま野放しにはできねえ…!!)
上条「悪いビリビリ!」
上条「今はとにかくお前に付き合ってる暇はないんだッ!!」
上条「また今度にしてくれ!!」タッ
美琴「…」ギリッ
美琴(あの女…)
美琴(私の能力を奪っただけでなく…)
美琴(アイツまでうばっていくなんて…!)ウルウル
―
上条「ちょっと待てよ涼宮、オイ!!」ガシッ
ハルヒ「何よ?」
上条「どういうことだよお前!?」
上条「お前、無能力者じゃなかったんかよ!?」
ハルヒ「無能!? あんたこのアタシを馬鹿にしてんの!?」
上条「そ、そういう意味では…」
ハルヒ「じゃあどういう意味よ!?」
上条「と、とにかくお前、さっきのは何だ!?」
上条「お前が俺の500円玉を犠牲にしたのは…もう咎めねえから」
上条「どうして超電磁砲を使えたんだ!?」
上条「教えてくれよッ!?」
ハルヒ「どうしてって言われても、…」
ハルヒ「ただ、カッコ良かったから自分もやってみたくなって…」
上条「はあ!?」
ハルヒ「それより上条! 他にはどんな能力があるの!? 今すぐ教えなさいッ!!」
上条「そ、そうだなあ…」
上条「手から火を出すパイロキネシストとか…」
ハルヒ「手から火ね!」ボッ(発火)
上条「え」
ハルヒ「他には?」
上条「て、テレポートとか…」
ハルヒ「テレポートね!」シュンッ(上条の背後へ瞬間移動)
上条「え」クルッ
ハルヒ「他には?」
上条「か、風を操ったり…」
ハルヒ「風ね」スッ ヒュオオオオオオオ
上条「あ」
上条「 あ り え な い 」ボーゼン
上条(たとえコイツが隠れた能力者だったとしても…)
上条(一人でこんだけ複数の能力を自在に操るなんて…できるはずが…)
上条(ま、待てよ…!)
上条(逆だ…! 俺は、こいつが「能力者」だと思ってるから…コイツのやってることが有り得ないんじゃないか?)
上条(例えばコイツが何らかの特殊な魔術をう使う魔術師だとしたら…!)
上条(コイツはさっきから、自分の口から言葉で発した能力をそのまま現実化している…!)
上条(似たようなことをしでかす奴と…)
上条(そう、思いのままに現実をゆがめてしまう魔術師と…)
上条(…かつて俺は戦ったことがなかったか…!!!!)ピーン
ハルヒ「何難しい顔してんの?」
上条「い、いや、何でもないんだが…」
「オイ、てめェ」ザッ
上条「!? そ、その声はッ!!」
ハルヒ「?」
一方「またあったなァ、三下ァ…ッ!!」ギロッ
上条「い、一方通行ッ!!?」
一方「いつかの借りをキッチリ返させてもらうぜェ…!!」
上条(く、くそっ…!)
上条(ただでさえわけわかんない奴と取り込み中だってのに、コイツまで現れるなんて…!?)
ハルヒ「何アイツ!? あの年で白髪頭なんて将来確実に禿げるわね!!」キャハハ
一方「あァン!?」
ハルヒ「てか何その服装wセンスないわねww」
一方「予定変更だァ…! テメェも殺すッ!!」ダッ(ベクトル変化を使い突進)
上条「危な(ry」
ハルヒ「てやッ!!」ボカッ
一方「がッ!!?」ヒュルルルルル ドサッ
上条「マジ…かよ…」
一方(ば、かな…)ムクリ
一方(この女、俺を…素手で…殴り飛ばしただとォ…!?)
一方「なめンなァ…!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ハルヒ「何あれ!? 元気玉!!?」
上条「それは言っちゃダメだッ!!」
ハルヒ「だったら…!」ポーズ
上条「そ、その構えはああああああああああああああああああああああああああああっ!?」
ハルヒ「 か め は め 波 ―――――――――――――― ッ !!!!!」ズキューン
ドシューン(エネルギー塊、消☆滅)
一方「ンなァ!?」
ハルヒ「そんでもって―」ダダダダ
ハルヒ「 ジ ャ ジ ャ ン 拳 ! ! 」ガスッ
一方「がァ…」フラリ ドサッ
上条「」
ハルヒ「口ほどにもない奴ね。RPGなら間違いなく序盤の敵だわ!」サラリ
上条「―涼宮」
ハルヒ「何よ?」
上条「記憶喪失前のお前は、…相当の厨二病だったことは間違いないな」ハアッ
ハルヒ「中二病? 何それ?」
―――
ハルヒ「へえ、あんた、一方通行っていうんだ~」
一方「名前じゃねェぞ」
一方「…説明したとおり、そういう能力なンだ」
ハルヒ「じゃあ何て呼ぼうかしら…」
ハルヒ(白い髪…)
ハルヒ(白…)
ハルヒ「うん、ユキでいいわ!」
一方「はァ!?」
上条「何でだよ」
ハルヒ「なんとなくだけど、…こいつはユキじゃなきゃいけない気がするの」
上条「わけがわからん…」
ハルヒ「で、アンタの右手の方は、異能を打ち消しちゃうのね。さっきの超電磁砲のときのように」
上条「そういうことだ。これは身に付けた能力というより天性のものだがな…」
一方「つゥかよォ、何で俺までテメェに付き合わされなきゃなンねェンだ?」
ハルヒ「負けたら仲間になるのが筋ってもんでしょ!」
一方「ちェ…」
ハルヒ「それに、何だろう…」
ハルヒ「以前にもこうやって仲間集めをした気がするのよね…」
上条「その、…記憶がなくなる以前か?」
ハルヒ「ええ…」
一方「それより先に、テメェの能力についてはっきりさせとかねェか?」
ハルヒ「え?」
上条「どうやって?」
一方「涼宮ァ、何でもいいから適当に想像してみろ。口には出すな」
ハルヒ「何でも…?」
ハルヒ(ええと…)
ハルヒ(そういえば、上条の幻想殺しとユキのベクトル変換…)
ハルヒ(もし上条がユキを右手でなぐったら、一体どうなるのかしら…?)
上条「ん?」クイッ
一方「あン?」
上条「み、右手が勝手にいいいいいっ!?」グオン ボカッ
一方「」バタッ
ハルヒ「あらら」
一方「三下ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
上条「違うんだ! 俺は殴るつもりなんか…ッ!!?」
ハルヒ「なるほど…」
一方「待ちやがれェ!!」シュタッ 上条「誤解だ―ッ!?」ダダダダダダダダダダダダダダダ
ハルヒ「結局、幻想殺しに打ち消されて反射が機能しなくなるのね…」ヘェ
一方「あはぎゃはっははっ!!」ズガガガガガガガ 上条「キャアアアアアアアアアア!!!!」
ハルヒ「でも、どうして私が思った通りに殴ってくれたの?」
一方「こっから先は(ry」トズシ――――――――ン 上条「アッ――――――――!!」チーン
ハルヒ「も~、あんた達いつまでじゃれてんのよ」プンスカ
一方「あァ、すっきりしたァ」カイカン
上条「い、いきなり電柱倒して下敷きにする奴があるかッ!?」ハアハア
一方「そうでもしねェとテメェを痛めつけられねェだろうが」ニヤリ
ハルヒ(電柱の下敷きになって平気なのね…コイツ侮れないわ…)
―ハルヒ、近くの自販機に3人分の飲み物を買いに行く(一方さんのポケットマネー)
一方「さっきので分かっただろ、…アイツの能力」
上条「え、あの茶番で何か分かったのか?」
一方「あの女は、勿論相手の能力を盗ンでいるわけではねェ」
一方「能力を発動するために、わざわざ口から能力名を発する必要もねェ」
一方「ヤツは、自分の脳ミソに思い描いた幻想を、そのままストレートに現実世界で実現しちまうンだ」
一方「名付けるとするなら…“幻想創造(イマジンメイカー)”ってェとこか…?」ニヤリ
上条「俺とは…正反対の能力を持つ存在、―それが、アイツ…!」
ハルヒ「2人とも~!!」
上条「ああ、戻っ…って、えええ!?」
一方「お、オメェの隣にいるのは…!!?」
ハルヒ「紹介するわ。さっき私の友達になった…」
ハルヒ「―――風斬氷華ちゃんよッ!!」
風斬「こ、こんにちは…」オズオズ
上条「か、風斬ィ…!?」
上条「どーしてお前がここにいるんだッ!?」
風斬「よ、よくわからないんですが…」
ハルヒ「何かアタシが自販機の前にいたらいきなり現れてね!」
ハルヒ「一目見た瞬間…この子は捨てておけないって思ったのよ!!」
一方(…風斬氷華だとォ!?)
一方(まさかあの、「虚数学区・五行機関」じゃねェだろうな…!?)
一方(コイツ、ヤベェ連中を引き寄せる性質でも持ってンのか…?)
上条「と、とにかくだ、涼宮」
ハルヒ「何?」
上条「何でその、風斬を連れて来たんだ…?」
ハルヒ「決まってるじゃない…!」
ガシッ
風斬「ひっ!?」
モミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミ
ハルヒ「こんな大きなおっぱい持ってる小憎たらしい子、放っておけないでしょ!!」
風斬「ひゃああああああああああああああああっ!!??///////」ジタバタ ジタバタ
上条・一方「」
ハルヒ「あんた達も揉んでみるっ? すごく柔らかいわよ!!」
風斬「ひぃっ!?」
上条「えっと、遠慮しときます…///」(下を向く)
一方「断る」(興味なし)
―物陰
黒子(見慣れぬ制服を着た不法侵入者と思われるカチューシャの少女の目撃情報を追って…)
黒子(ここまで来たはいいのですが…)
黒子(…ど、どうしてあの類人猿が一緒に…!?)ゴクリ
黒子(しかも同じく一緒にいる他の2人も…)
黒子(何か、ヤバいですの…!!)
黒子(わたくし黒子の防衛本能がッ…!)
黒子(彼らと関わることを痛切に拒否していますの…ッ!!!!)トンッ
ハルヒ「あなた、アタシに何か用?」ニヤリ
黒子「ひぃ!?」
一方「何ですかァ、テメェはァ…?」ザッ
風斬「その腕章は、…風紀委員さんですか?」キョトン
黒子「あ、あ…!?」ガクガク(あまりのオーラに気圧されて能力使えず)
上条「って、白井じゃないか?」テクテク
上条「どうしたんだ、こんなところで?」
黒子「か、…上条さああん」ウルウル
上条(し、白井が涙目だと…? 何か怖いことでもあったのか?)テンネン
一方「何だァ、三下の知り合いかァ?」
風斬「は、はじめまして…風斬といいます」ペコリ
白井「あ、あなた方は…一体…!?」
上条「ああ、実はいろいろあってコイツに集められちゃったメンバーなんだよ」チラッ
ハルヒ「…決めたわ」
白井「はい…?」
ハルヒ「なんとなく…OKな気がするし」
ハルヒ「あなたも仲間に入れてあげるッ!!」ビシッ
―――近くのファミレス
一方「ったく、あと何人仲間を増やすつもりなンだァ…」
ハルヒ「もう増やす必要はないわ!」
一方「はァ?」
白井「つ、つまりわたくしが最後の一人ということですの?」
ハルヒ「そうなるわね。…何となく、5人ってのが据わりがいいっていうか…」
風斬「5人…ですか…?」
上条「で、これからどうすんだ?」
ハルヒ「さあ?」
一同「おいおい」
ハルヒ「とりあえずね、5人が集まることに意味があると思うのよ…」
白井「集まる…」
上条「集まって…」
風斬「何かをする…」
一方「もしかしてよォ…」
一方「クラブ活動だとかサークル活動だとか…そういうくだらねェお遊びをしたいンじゃねェか、オメェは…?」
ハルヒ「 ! ! 」
ハルヒ「それだわッ!!」ガタッ
上条・風斬・白井「「「 ! ? 」」」
ハルヒ「きっとそれよ!! さすがユキ、冴えてるわねッ!!」
一方「…伊達に演算能力高くねェよ」フッ
ハルヒ「あたし、ここに来る前にも、何かの部活のメンバーを集めたの!」
ハルヒ「で、その時集まったメンバーも、ちょうど5人だった!!」
白井「だいぶ、核心に近づいたようですわね…」
上条「で、その何かの部活ってのは…? 体育会系? 文化系?」
ハルヒ「そこは、まだ、思い出せない…すごく革新的で画期的で有意義な部活だったとは思うのだけど…」
風斬「あなた一人で部活のメンバーを集めたということは、もしかして自分で部活を立ち上げたということですか?」
ハルヒ「そう、そうなのよ!」
ハルヒ「確か、―――自分で部活の名前も付けたのよッ!!」グッ
一方「で、その名前ってェのは…?」
ハルヒ「う~ん…」
風斬「思い出せませんか…」
白井「とにかく、何らかのキーワードから連想して思い出す可能性もありますので…」
白井「今後は涼宮さんが興味を示したものについて、手当たり次第当たっていくのが妥当な方針ですわね」
一方「だな」
風斬「…ですね」
上条(こいつら頭良過ぎだろ…)
上条「でも、その部活の名前を思い出したところで、何か変わるのか?」
上条「相変わらず、どこに住んでたとかはさっぱり思い出せないんだろ?」
ハルヒ「確かにそうなんだけど…」
ハルヒ「その部活の名前がわかったらね、…全てが一気に解決しちゃう気がするの…!!」
白井「彼女がそういうのなら…」
風斬「そうするしかないですね」
一方「涼宮に、部活の名前を思い出させる…か」
ハルヒ「ところで、なんだけど…」
上条「ん、何だ?」
ハルヒ「今ここに集まってる5人も、ある意味部活みたいな感じじゃない…?」
ハルヒ「何かさ、あたし達5人にもふさわしい部活名みたいなのが欲しいなあって…」
白井「部活名、…ですか…」
風斬「そうですねえ…」
一方「…“グループ”、なンてどうだ?」
上条「まんまかよ」
ハルヒ「え~? 何かちっとも面白みがないじゃないッ! ハイ却下!」
一方「…」ショボーン
風斬「5人なので“五行機関”、はどうですか?」
白井「単純に“ゴレンジャー”あたりでよろしいのでは…?」
ハルヒ「ダメダメ! そういうのじゃないのッ!!」ムキー
ハルヒ「仕方がないわ、上条!」
上条「はいッ!?」
ハルヒ「アンタが言ったのを仮の部活名に決定するわ!」
上条「ええっ!?」
一方「異議なァし」
白井「右に同じですの」
風斬「私もです、上条さん」ニコッ
ハルヒ「さあっ…!」
上条(し、仕方ない…さっきから無い知恵を絞ってようやく思いついたインパクトのある部活名を…! 一か八か、披露してやる…!!)
上条「か…」
一同「「「「か…?」」」」
上条「『上条さんと愉快な仲間達』ッ!!!」
シ―――――――――――――――――――――ン(失笑すら起きなかった)
白井「まずは涼宮さん、どこか行きたいところとか、興味のあるものとかありませんの?」
ハルヒ「そうねぇ~」
一方「俺の知り合いのメルヘン野郎にでも会いに行くか?」ゲヘヘ
風斬「メルヘン野郎…さん?」
上条「お願い無視しないでぇぇぇぇぇ!!?」
ハルヒ「―魔術師に会いたいわ!!」
白井「は?」
一方「オイオイ…」
風斬「魔術師…ですか」
上条「!」
ハルヒ「上条、あんた最初に言ってたわよね」
ハルヒ「魔術結社がどうこうって…!」
ハルヒ「そこんとこ、もっぺん詳しく話してよ」
上条「…分かった」
―
白井「…わたくしはちょっと、頭での理解が追いつかないのですが…」
風斬「上条さんがかつて倒した魔術師の中に…」
一方「…涼宮と似たようなことをやってのける奴がいたンだな」
上条「ああ。黄金練成(アルス=マグナ)っていう魔術でさ…」
上条「その、術師の名前は忘れちまったんだが…何か緑っぽい奴」ダレダッケ
ハルヒ「そいつをとっ捕まえて話を聞けば、何か手掛かりを得られるかも知れないってことね…!!」
上条「ただ…」
上条「そいつを倒した後は俺もぶっ倒れちゃって、…」
上条「そいつの後処理をしたのは、あの時俺と一緒に闘った別の魔術師なんだ…」
一方「じゃ、とりあえずソイツを捉えて…」ニヤリ
黒子「情報を吐かせ…」カチャカチャ(金属棒)
風斬「黄金練成の魔術師を探し出しましょう…!」
ハルヒ「決まりね」
ハルヒ「全軍、出撃ッ!!!!」ビシッ
上条(この流れ、…ひょっとしてステイル死ぬんじゃね?)マァイイカ
―どっか高い建物の屋上
ステイル(…最近、あの子のボクに対する態度は目に余りあるよ…)ハアッ
ステイル(昔はもっと素直で優しくて可愛い子だったというのに…)ガクリ
ステイル(煙草の件はともかくとして…)
ステイル(それもこれも上条当麻…あのドシロウトのせいだ…!)クソッ
ステイル(あの右手さえなければ、とっくの昔にボクが彼を始末していた筈だというのに…!!)
ステイル(いつか隙を見て、上条当麻を殺す…ッ!!)
ステイル(そうすればきっと、あの子もまたボクのことを、振り向いて…///)グッ
ハルヒ「アンタがステイルって魔術師なの?」ザッ
ステイル「!」ピクッ
ステイル「誰だい? このボクを呼び捨てにするとは、いい度胸d」クルッ
(※既に囲まれていた)
一方「ステイルくゥン、スクラップの時間だよォ?」ニタリ
黒子「事情聴取のため、あなたを拘束しますの」ジュンビバンタン
ハルヒ「無駄な抵抗をしたら、死★刑だからッ!!」ドヤッ
風斬「大人しくした方がいいですよ」ニコッ
ステイル「」
上条「…済まないな、ステイル(いきなり押しかけて)」
ステイル(…どうやら僕の短い生涯はここで終焉を迎えるようだね)
ステイル(…上条当麻)
ステイル(君は内心でボクの実力に恐れをなしていたからこそ、このような連中をけしかけて、ボクを排除しに来た…)
ステイル(…そういうことかい?)
ステイル(いや、…そういうことに違いない…!……)サッ
(ステイル、携帯を素早く操作)
プルルルルルルルルルル プルルルルルルルルルルルルルル プルルルルルルルルルルルルルルル ガチャ
ステイル「女狐…! いえ、ローラ=スチュアート様ッ!!!」
ステイル「恥を忍んでお願いしますッ!!」
ステイル「緊急です! SOSです! このボクを助けてくださいッ!!!!!!」シニタクナイ!
ハルヒ「」ハッ
一方「何だァ、この腰ぬけヘタレ野郎はァ…!?」
黒子「魔術師と聞いて、さぞヤバい方にお目見えできると思っておりましたのに…」
風斬「魔術師さんが携帯ですか…」
上条「ん、どうした涼宮?」
ハルヒ「…SOS団」
一同「 え ? 」
ハルヒ「思い出したああああああああああああああああああああああああああああああっ」
一同「えええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
ステイル「…?」(※腰が抜けてます)
ハルヒ「『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団』、略してSOS団」
ハルヒ「それが団長である私の作った、世界でたった一つだけの、私のための部活だったのよッ!!」
一方(これはァ…)
黒子(まさしく瓢箪から駒ですの…)
風斬(SOS団…)
上条(なんつーか、あんたらしいっちゃアンタらしいネーミングセンスだと思うぜ、涼宮さん…)
コオオオオオオオオオオオオオオオオ(ハルヒの体が徐々に透明化していく)
一同「!?」
ハルヒ(そうよ、あの日、皆が帰って一人になった部室の中で、…私はふと願ったのよ…!)
ハルヒ(――異世界人に、遇いたいってね…!!)
ハルヒ「上条、有希…じゃなくて一方通行、氷華ちゃん、白井さん…!!」
上条「涼宮…」
一方「オメェ…」
風斬「涼宮さん…」
白井「…涼宮さん」
ハルヒ「短い間だったけど、あなた達にあえて―」
ハルヒ「―本当に楽しかった」ニコッ
ハルヒ「さようなら…!」フッ(ハルヒ、虚空に姿を消す)
上条「…」
白井「消えて、仕舞われましたね」
一方「ったく、いってェ何だったンだ、あの人騒がせな女は…」
風斬「きっと自分の元の居場所に、帰ってしまったんだと思います…」
上条「だな」コクリ
上条「そして、その居場所ってのは、――」
上条「ここと同じくらい、退屈しない場所なんだと思うぜ」ニッ
一方・白井・風斬「「「…」」」コクリ
ステイル(…ボクの扱い、ひどすぎるんじゃないかな…)カヤノソト
神裂「緊急と聞いて馳せ参じたのですが…」
シェリー「もう終わったのか?」
土御門「ステイル乙だにゃ」
オルソラ「まあまあ、良かったではないですか。何事もなかったようで」
―上条当麻宅
インデックス「…あれ、私の出番は…?」オナカスイタ
(エピローグ)
「ほら、…起きろよハルヒ」ユサユサ
ハルヒ「ん」パチッ
キョン「まったく、下校時刻とっくに過ぎてるだろうが…さっさと片付けて帰るぞ」
ハルヒ「キョン…ッ!! てことは、無事学園都市から帰って来られたのね…!」
キョン「は? …まだ寝ぼけてんのか?」ヤレヤレ
ハルヒ「ううん、…こっちの話…!」ニヒヒヒ
キョン「なんだよそれ…」
ハルヒ「じゃ、さっさと帰るわよ!」ダダダダダダダダダダダダ
キョン「おい待てよッたく…。ん? これは…」スッ(机の上にあった一冊の本)
キョン「ライトノベル? …とある魔術の…禁書目録?」
ハルヒ(…またいつか、会えたらいいな。あっちの世界の“SOS団”に…!)
おしまい