男「うん、まあね」
幼「…ふーん。ど、どんな人?」
男「うーん…いつもはしっかりしてるんだけど、たまにおっちょこちょいで」
男「明るくて、誰にでも優しく接してあげることができる人かな…」ちらっ
幼「へ、へー。凄い人なんだね…」
元スレ
幼馴染「えっ男君、好きな人いたんだ……」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1277571917/
男「…はは、そういう自分の気持ちに気付いたのって、実は最近の事なんだけどね」
幼「…それは、高校入ってから、とか?」
男「うん…まあ、そんなとこかな」
幼「…ふーん……そっか……そっかそっか……ふふっ、とうとう男君にも好きな人かあ…」
男「(あれ?)…まあ、俺だってもう子供じゃないんだし…誰かを好きになったりするって」
幼「うん、そうでした…。…それにしても、意外だなあっ」
男「…そう?」
幼「そりゃあねー。だって男君、中学の時何度か女の子に告白されてたみたいだけど、全部断ってたでしょ」
男「」
幼「あ。もしかして知らないと思ってました?お隣りさんをナメるなよう、男君の事だったら男君以上に知ってますよ?」(ニヤニヤ)
男「…恥ずかしいな…でもまあ、幼なじみにだったら、別に…」
幼「それで、告白とかはいつするの?」
男「(今からするつもりだったんだよっ)う、うーん、まだ考えてないかな」
幼「よしっ!それじゃあお隣りさんのために一肌脱ぎますかっ」
男「」
幼「高校入って好きになった娘なんでしょ?…まずは仲良くならないと始まらないよね。じゃあ仲良くなる作戦とかは私に任せてっ!きっと成功させてみせるからっ」
男「」
幼「ふっふー、そんなに心配そうな顔しないでくれたまえ男君。こう見えても私、中学の頃は10組以上のカップルを成立させた事のあるカリスマおせっかいさんなのです!」
男「いや…あの…」
幼「よーし。そうと決まればこうしちゃいられません!それじゃ私、家で作戦考えてくるからー!」パタパタパタ…
男「…行っちゃった…ど、どうしたもんか…」
幼なじみの部屋
幼「(ベッドに身を投げて)ドサッ……はー…。」
幼(とうとうかぁー…)
幼(いつかこんな日が来るとはわかってたけど…いざその時が来ると、ちょっとね、辛い物がありますよー…)
幼(…まあ、あっためておいた『その時』の対応マニュアル通り…ではないけど、だいたい沿って対応出来たし)
幼(これからは…出来る限りマニュアル通りやってこう)
幼「…とりあえず、デートの計画でもたててやりますか!」
幼(えーっと、まずは近くで買い物してからお昼して、それから…て、いくらなんでもデートは早過ぎかなー?)
幼(まずは相手の趣味とかを考えて、そこから会話でだんだんと仲良くなってかなきゃ。えーと、お相手さんの趣味は………て………あ)
幼「男君の好きな人が誰なのか、聞きそびれちゃった…」
放課後
キーンコーンカーンコーン
教師「ではここで授業を終わる。明日も授業があるので必ず予習しておくように」
幼(ふー…やっと授業終わったぁ…6時間目体育の7時間目数学ってつらすぎるよー…)
幼(早く帰って、寝て、ご飯食べてまた寝たい…予習は…今日はいいや)
幼(それと…今日は男君の好きな人、帰り道にでも聞かなきゃ)
幼「おーい男君、一緒にかえr」パタパタ
男「そうなんだよ!あの時のデラックスの表情が今年最高で…」
女「へぇ~そうなんですか。私もマツコデラックスさんの事もう少し勉強しようかな…」
男「そうしようよ!ていうかそうすべき!デラックスは本当凄いから!」
ペチャペチャ
幼(…ふふっ、楽しそうにお喋りしてますなー少年達っ)
幼(何やらおねーさんはお邪魔みたいです。しくしく。今日はさびしーく一人で帰るとしましょう)
登校
幼「おはよー男君っ」
男「おはよう」
幼「このこのぉ、順調そうだねっ」
男「うぇっ?何がっ?あ、数学の予習?それなら完璧」
幼「おおぅ、なんてグレートなヤローだ、後でノート貸してっ」
幼「と、それはそれとして…昨日の放課後っ、二人で楽しそうにお喋りしてたじゃないですか」ニヤニヤ
男「え?あ?え?」
幼「とぼけないとぼけない。あの子なんだよね?男君の好きな人」
男「いや、ちが…」
幼「まあー…確かに綺麗な顔して、かわいいねぇ、あの子。男君が惚れるのも良くわかりますよー」
男「…お、幼なじみの方がかわいいって…」ゴニョゴニョ
幼「んー何かなー?声が小さくて良く聞こえないよう?あ、でもおノロケだったら聞きたくないかなっ、今を生きる女子高生には他人のノロケ話を聞いてる時間はないのです」
男「ノロケ話なんかじゃなくて…」
幼「うん?ノロケじゃなかったらなんなのかな?」
男「いや…それは…」
幼「早くしてよう、女子高生の時間はとっても貴重なんだよ?」
男「(うー…本当の事なんて言えるわけない…)…は、ははっ、予習する時間すらないんだもんね」
幼「…あははっ、痛いところ突かれてしまいました。でもさ、本当におノロケはTPOを守ってね?私だったら大丈夫だけど、他の人はあんまりいい気持ちしないかもです」
男「いや、だからノロケなんかじゃないってばっ」イライラ
幼「ぁ…うん、ごめん、わかったよ。…からかってごめんね」
男「うん…」
幼「…でもさっ、安心したよー。男君、ちょっと控え目なところがあるからさ、これは私が全面的にバックアップしていかなきゃならないのかなー、とか思ったりしてまして」
幼「でもいらない心配だったみたいだね。これなら私はちょこっとアシストするだけで大丈夫かなっ」
男「…うん」
幼「それじゃあ、今度デートのセッティングしてあげるよっ。男君、休日は基本暇だよね?」
男「……まあ」
幼「あの子の予定も私が聞いておくからっ」
男「………うん」
移動教室
幼「女さん!一緒に美術室いこっ」
女「あ、幼なじみさん。いいですよ」
幼「知ってた?今日の授業から絵の具使うんだって」
女「えっ!?そうなんですかっ!?…どうしよう、絵の具持ってないです」
幼「私のでよければ貸すよー?」
女「あ、ありがとうございます」
幼「…」
女「…」
幼、女「あの…」
幼「…ふふっ、女さんからどうぞっ」
女「あはは、はい」
女「(…あのー、聞きにくい事なんですけど…幼なじみさんと男君って付き合ってるんですか?)」ヒソヒソ
幼「ぶっ!?」
女「ああいや忘れて下さい!当たり前ですよねっ、ただお二人があまりにも仲が良さそうだったからつい気になってしまってっ」
幼「いやいやいやっ!ただの幼馴染みなだけで付き合ったりとかっ!そういうのは違いますよっ!全然っ!」ゲホゲホ
女「…そうなんですか?」
幼「ええそりゃもう!清く正しい色恋なんて無縁の関係でして!そこの男子達こっち気にしない!」
女「そうなんですか…。よかったです」
幼「え?」
女「…幼なじみさんがライバルじゃなくて、よかったです」
幼「あ…」
女「実は…入学してから数週間でもう男君の事が気になってしまって…それでもし幼なじみさんみたいにかわいい人と付き合っていたりしたら絶対に勝ち目ないかなって…」
幼「…ふふっ、偶然だねっ、私が話そうとしたのもその事だったのです」
女「へ?」
幼「ふっふー、なんとなんと、実は男君も女さんの事が好きだったのでした!」
女「えええええっ!?」
幼「驚くなかれ!二人最近仲良くしてたよね?それも全部女さんの事が好きだからだよー」
女「」
幼「ふふっ、それで今度二人にはデートでもしてもらおうと思いまして、声をかけさせていただいた次第です」
女「で、でえと」
幼「そ。したくない?」
女「したい…です…」
幼「……うん。じゃあ話は決まったね。休日で空いてる日ってある?男君は休日だったらいつでも大丈夫らしいから」
女「あ…私部活に入ってて…来週の日曜日だったら大丈夫です」
幼「来週の日曜日ね、わかっ………………」
女「…どうしました?」
幼「………」
女「………幼なじみ、さん?」
幼「……ぁっ…ごめん!……えーっと……あっ…っそういえば、来週の日曜日は男君用事あるって言ってたよー!ちょっと忘れちゃってました。ごめんね」
女「あっ、そうなんですか…それだとちょっと先になると思うんですけど…」
幼「あーっ、そっかっごめんねっ…それじゃあ都合の良い日がわかったら教えて!」
女「…わかりました」
幼「うんっ。あ、それじゃそろそろ授業始まるねっ」ガタガタ
女「そうですね…。あの…本当…私なんかにこんな良くしてくれて…ありがとうございます。これから幼なじみさんとも仲良くさせていただいていいですか…?」
幼「…っ…うんっ…もちろんですよっ…」
女「(ペコリ…パタパタ…)」
キーンコーンカーンコーン
教師「それじゃあ授業を始めましょう。今日からは絵の具を使います。忘れてしまった人はこちらに準備があるのでそれを使って下さい」
幼(………)
幼(…私、最低かもです)
幼(…ごめんね女さん…来週日曜日…その日は…その日だけは…)
幼(…その日は、私の誕生日だから…)
日曜日
幼「男君おはよーっ」
男「おはよう。うーん、ちょっと遅いよ?」
幼「ごめんごめん。でもいつもの事だし気にしてないよ」
男「それ自分で言うのってどうかなあ」
幼「ふふふっ。それじゃあ行きますか」
男「まずはどこ行く?」
幼「そうですなあ…じゃまずは駅前のショッピングモールにでも」
男「う…あそこか…」
幼「あれ?ご不満?」
男「えーと…例年通り、今日は俺のおごりなんだよね?も、もうちょっと安いところの方が…」
幼「何を言ってますか少年!そんなお金をなるべく使わないデートなんて中学生じゃあるまいし。お小遣いだって高校入ってたくさん貰ってるんでしょ?」
男「何故それを…ていうか、毎年俺の誕生日にはキーホルダーですませるくせに」
幼「ふっ、男は辛いよ…」
男「辛いのは俺の方だからね」
ショッピングモール
幼「ペロッ…これは…青酸カリ!」
男「抹茶アイスです」
幼「いやあ、あまりの美味しさについやりたくなってしまいまして」
男「確かに美味しいなーこれ。期間限定商品だっけ?何故寿司屋からのリリースなのかが気になったけど」
幼「きっと抹茶繋がりだよ」
男「寿司屋は緑茶じゃなかったっけ…?」
幼「それよりこれ!ほらほら」
幼「それよりこれ!ほらほら」
幼「このネックレスぅ~、欲しいなぁ~っ」
男「しょうがないな…いくらするの?」
幼「2万4せn」
男「無理」
幼「…」
男「そ、それよりほら!これの方がかわいいし、幼なじみにも似合ってるよ!(手頃だし!)」
幼「10分の1…」ボソッ
男「や、本当勘弁して下さい」
雑貨屋
幼「えーっと…クッション、重曹、貯金箱、両面テープ、猛犬注意、消臭元…うんたらかんたら…」
男「…こんなに買うの?」
幼「丁度最近いろいろと消耗品が足りなくなってまして。この前500円玉用貯金箱もとうとう満帆になったし」
男「え、すごい。それなら今日俺がおごる必要なかったんじゃ…?」
幼「って言っても早く満帆にしたくて500円玉以外ばっかり入れちゃいまして、10円とか1円ばっかりなんですけどね。数えてみたら全部で2493円でした」
男「500円玉最大でも4枚!?」
幼「それにクッションもつい昨日破けちゃったし…両面テープはなんとなく。猛犬注意はお母さんの部屋のドアにでもかけとこうかなって」
男「なんでわざわざ怒らせるような事を…」
幼「男君は何も買わないの?」
幼「男君は何も買わないの?」
男「…うーん…金もなくなっちゃったし…そんな特に欲しい物は無いとおも………あっ…これっ………」
幼「おっ、何かありやしたか旦那。山吹色のお菓子ですかい」
男「なんで賄賂を金出して買わなきゃならないんだよ。…そうじゃなくてさ、これ」
幼「…マツコデラックスの下敷き」
男「…うん。このタイプ、俺はもう持ってるんだけどさ、多分女さんは持ってないだろなって…」
幼「…」
幼「…」
男「いやっこれはマツコフレンドとしてだからねっ?好きだからとかいう気持ちからじゃ本当になくて…」
幼「…みなまで言いなさんな旦那!そういえばその事すっかり忘れてたよー。何か男君のポイントアップになる物も買わなきゃねっ」
男「そういうのは別にっ…」
幼「ほらほらこれ!これなんてどう?マツコ2等身キーホルダー!お揃いでいこうよっ!」
男「あ…これいい…」
幼「でも高!なんでこれが2500円も!?」
男「うっ…ちょっとそれは…」
幼「あっ、でも見て!『このマツコ2等身ストラップとマツコ2等身キーホルダーはペア商品で、2つ同時にお買い上げのお客様には2点で3000円での提供!この期を逃すな!』だって!」
男「よし…それなら…下敷きを諦めれば何とか…」
幼「じゃあ決まりっ!」
帰路
幼「うむ、今日はなかなかに有意義な一日であったぞ。大儀である」
男「なんで偉そうなんだろう…」
幼「いいでしょー。今日から半年くらいは私の方がおねーさんなんですから」
男「…誕生日、おめでとう」
幼「言うのが遅いっ!出来れば今日出会ってすぐに言って欲しかった!」
男「あ…ごめん」
幼「去年なんか結局最後まで言ってくれなかったし!私はいつまでもしつこく覚えてますよう?」
男「…本当ごめん」
幼「うそうそ。いいってー。こうして一日一緒に遊んでくれるだけですごくうれしいですから」
男「…」
男「…」
幼「…」
男「あの、さ」
幼「うん?なんでしょう?」
男「帰る前にさ…一箇所だけ行きたいところがあるんだ」
幼「え?どこどこ?」
男「着いてからのお楽しみって事で」
幼「おっ。男君がクサイ台詞で私を誘ってきました。これは期待しても良いのでしょうか。」
男「う、うるさいなあ」
小さな店
幼「…へぇ~っ、硝子細工のお店かぁ…」
男「なかなか良い店だよね」
幼「男君の意外におしゃれさんな一面なのでした。次は女さんを連れてってあげて下さい」
男「……うん」
幼「それで、何か買うの?」
男「…うん、これ」カチャカチャ
幼「色付き硝子…の玉…?」
幼「赤い…色付き硝子の…玉…?」
男「…本当は普通の透明な硝子らしいんだけど…これは不思議な硝子細工でさ、俺も仕組みは良く知らないんだけど、なんでも屈折率の違う硝子を何層にも重ねてるらしいんだ」
男「そうする事によって、この玉の中に入ってゆく光は何度も屈折や反射を繰り返して…やがて単色光になり、こうして色が付いてるように見える…という事らしいんだ」
幼「へー…すごいね…」
男「だから、こうやって光源に近づけてやると…」
幼「わっ…光った…」
男「綺麗だよね…この光は何時間見てても飽きないんだ」
幼「わかる気がする…」
男「綺麗だよね…この光は何時間見てても飽きないんだ」
幼「わかる気がする…」
男「じー…」
幼「じー…」
店長「…」
男「じー…」
幼「じー…」
店長「…」
店長「…いらっしゃい」
男、幼「ッ!?」ビクッ
店長「…気に入ったのかい?それ」
男「あ、あ、はい!えと、あ、あの、あっ…大事な作品に手垢なんかつけてごめんなさい!」
幼「ごっ、ごめんなさい!」
店長「…かまわないよ」
店長「…かまわないよ」
男「(なんかちょっと怖い…)」
幼「(私ちょっとどころじゃないんですけど…)」
店長「…男の子の方は…近ごろたまにうちの店に来てくれる子だね…。買っていってはくれないけど…」
男「すっ、すいませんでしたっ!」
店長「…いやいやかまわないよ。…うちは、作品を学生がそう簡単に手を出せる値段で売っていないからね…」
店長「…それなのに、興味を持ってくれて…時々店をのぞいてくれるのは…本当に嬉しい事だ」
幼「(顔の割には…結構良い人なのかな?)」
男「(顔の割にはって失礼すぎるよっ!?)」
店長「…君が来てくれている時。…さっきのような事を伝えたいと思っていたんだが…」
店長「…最近…一つ…大作を手がけていてね…。たったさっき仕上がったんだが…硝子細工というものは…一度作業に入ったら手が離せないものでね…なかなかタイミングの合う時がなかった…」
男「そんな事を考えて下さっていたなんて…とても嬉しいです…あのっ、それと今日はお金持ってきたので、是非作品を売って下さい!」
店長「…君が欲しいのは、この硝子玉かい?」
店長「…君が欲しいのは、この硝子玉かい?」
男「は、はい!そうです!」
店長「…ふむ…困った。実はこの硝子玉は私のオリジナル作品でね…売り物じゃないんだ。…これを売ったりしたら娘に怒られる」
男「…え」
店長「…それに、たったさっき出来た作品は…これのつがいとなるものでね…二つを離してはいけないが…でも決して側においてはいけない」
男「…そんな」
幼「男君…」
店長「む…そんなに悲しそうな顔をしないでくれ。…いけないな…いじわるが過ぎた…」
店長「…あげるよ。この硝子玉。…一つは君に…もう一つは女の子の方に…」
男「…えっ」
幼「…私まで…いいんですか?」
店長「…ああ、もちろん。…君達ならば、遠すぎず…近すぎず…調度良いくらいの距離で持っててくれるだろう…」
男「でも…娘さんは…」
店長「…ははは。…娘には同じものとはいかないが…似たものを元々プレゼントするつもりだったんだ。…それで許してくれるだろう」
男、幼「…ありがとうございます」
男、幼「…ありがとうございます」
店長「…それじゃあ、君にはその赤い硝子玉を…君には…さっきできたばかりの…この紫の硝子玉を…」
男「こんな…価値のあるものを、ただで…」
店長「…いや、決してただではないよ。…君達はお金を払う代わりに、その硝子玉を…大事に、大事にしていてくれ。それがもし出来ないのであれば…申し訳ないが、返してもらう」
男「もちろん大事にします!」
幼「私もです!」
店長「…そうか。ならそれはもう君達のものだ…。…と、そうだ。最後に少しだけ…面白いものを見せようか…」
男「面白いもの…?」
店長「…そうだ。二人とも…ちょっと硝子玉を貸してくれないか。…ありがとう。…この硝子玉は光源に近づけると光るのは知っているね…?」
男、幼「はい」
店長「…実は…光が弱いからわからないだけで…少しでも明かりがある限り光っているのだが…。…とにかく、光源にこれを二つ…互いの距離は離れすぎず近すぎず…だんだんと近づけていく。すると…」
男「うわっ…!…すごい…!」
幼「…なんて、綺麗…!」
店長「…二つのちょうど真ん中を中心に、虹が出来る…」
幼「不思議…」
男「そうだね…」
店長「…この虹は、君達のシアワセだ。…光を当てないと気付かない…触れる事の出来ないシアワセ…。…硝子で象られたシアワセは壊れやすく…少しずれるだけで霧散する…が…それを守っていく事には大きな意味がある」
店長「…虹を象るのは…この組み合わせのみ。…もし、この組み合わせではない硝子玉がこの場所にあったところで…決して虹は出来ない。…この虹を…忘れては…いけない」
男「…」
幼「…」
女「…」
『幼「何を言ってますか少年!そんなお金をなるべく使わないデートなんて中学生じゃあるまいし。お小遣いだって高校入ってたくさん貰ってるんでしょ?」
男「何故それを…ていうか、毎年俺の誕生日にはキーホルダーですませるくせに」』
女「…。…」
『幼「このネックレスぅ~、欲しいなぁ~っ」
男「しょうがないな…いくらするの?」』
女「………」
『男「いやっこれはマツコフレンドとしてだからねっ?好きだからとかいう気持ちからじゃ本当になくて…」』
女「…。―……。」
『男「もちろん大事にします!」
幼「私もです!」』
女「―――…」。
放課後
幼「男君、男君!今日は帰る前に近くのゲーセンに繰り出さない?いやあ、アイマスの台無くなっちゃう前にもう一回だけやりたくなってしまいましてー」
男「男はね、男だよ。」
幼「…気持ち悪いよ?」
女「…幼なじみさん」
幼「おおぅ、女さん。どうしたのー?…っと、そうだ!女さんに男君からプレゼントがあるらしいよ!」
女「…プレゼント、ですか」
男「そうなんだ。ほらこれ。マツコ2等身キーホルダー。原価で言えば2500円の高級なヤツ」
女「…ありがとうございます」
女「…ありがとうございます」
幼「ちなみにそれ、男君のケータイについてるストラップとおそろなんですよっ」
女「…へー、すごいです」
幼「話遮っちゃってごめんね。女さんの話はなんなのかな?私に用事があったみたいだけど」
女「…はい。ここじゃ話しづらいので、ちょっと来てもらえますか?」
幼「うん、大丈夫だよー」
女「…すみません。私もこの後部活ですので時間は取らせませんから」
幼「私は一向にかまわんっ!どうせこの後の予定なんてアイドルおっぱい触るぐらいだったしね!」
女「…??」
男「男はね、男だy」
幼「うざいわ!」
屋上
幼「こんなところにまで来るなんて…やっぱり男君関係かな?あ、空いてる日がわかったとかですかい?」
女「…どうしてですか?」
幼「うん?何がかなー?」
女「日曜日ッ!」
幼「(ビクッ)」
女「………どうしてですか?」
女「………どうしてですか?」
幼「や、あ、あははー、やだなあ、見られてました?実はねー、さっき男君とおそろのキーホルダー渡したでしょ?何かお揃いの物を男君からプレゼントさせようと思いまして、おせっかい焼いちゃいました」
女「……『そういえばその事すっかり忘れてたよー。何か男君のポイントアップになる物も買わなきゃねっ』……」
幼「…えっ?」
女「あれ?自分の言った事も覚えてないんですか…?…あなたはあの時確かに、私へのプレゼントを忘れてたたと言いました。…これって矛盾してますよね?」
幼「いやっ…それはっ…」
女「はっきりとしゃべってください」
幼「ひっ…だからっ……あ、あの…それは…あの日は私の誕生日で…毎年男君にはお祝いしてもらってたから…それで…つい自分の事で嬉しくなっちゃって…忘れちゃったんだと思う…」
女「…そうですか。納得は出来ませんが、まあいいです」
幼「ごめんなさい…」
幼「ごめんなさい…」
女「…それで、いつかと同じ質問になってしまいますけど、男君と付き合ってはないんですよね?」
幼「つ、付き合ってはない!本当に!そこは信じて!」
女「…信じるとします。…で、好きなんですよね?男君の事」
幼「べ、別に好きとかじゃ…」
女「これ以上嘘を重ねないでくれますか?いらいらしますので」
幼「う…ぅ…はい…好きです…」
女「はぁ…とんだ女狐ですねあなたは…まあいいです。付き合ってないのならいくらでもやりようはありますから」
幼「…え?」
女「お二人が付き合っているようならば付け入る隙は狭いと思いますが、ただ好き合ってる関係くらいだったら奪い取る手段はいくらでもある、と言いました」
幼「…え?」
女「お二人が付き合っているようならば付け入る隙は狭いと思いますが、ただ好き合ってる関係くらいだったら奪い取る手段はいくらでもある、と言いました」
幼「そんな…そんなのって…!」
女「やかましいです。この嘘ツキ」
幼「うっ…」
女「…はぁ、泣きたいのは私の方なんですよ?大好きな人とのデートを横取りされて、しかも横取りしたのがこれから仲良くしていきたいと思ってた人で…」
幼「ご、ごめんなさ…」
女「もう謝罪の言葉は結構です。私も幼なじみさんと仲良くしたいっていうのは本当ですし、お二人をつけてた事も悪いと思ってます。なので許してあげてもいいです」
幼「ほ、ほんとう…?」
幼「ほ、ほんとう…?」
女「ええ。でも一つ条件があります」
幼「え…?」
女「…昨日、お二人のデートの最後に硝子玉を貰いましたよね?あれ、今持ってます?」
幼「う、うん…持ってる…」
女「それ、今ここで割ってください」
幼「……………え?」
女「聞こえてますよね?割ってください。思い切り地面に叩きつけて」
幼「でっ…出来ないよ!」
女「あれ、許して欲しいんじゃなかったんですか?」
幼「…許しては欲しいけど…でも、これはっ…」
女「あはは、わかってます。私の許しを得るのと硝子玉を割るのじゃ釣り合いませんよね。じゃあこうしましょう?」
女「あはは、わかってます。私の許しを得るのと硝子玉を割るのじゃ釣り合いませんよね。じゃあこうしましょう?」
女「もし私がこのままあなたの事を許せなかったら、怒りのあまり、男君に幼なじみさんが大嘘つきだって事言っちゃうかもしれません」
幼「そんなっ!」
女「もちろんそれだけではないですよ?悪い噂を流して幼なじみさんを孤立させるのも悪くないですけど…やっぱり一番良いのは、私が幼なじみさんに虐められてるって事にして男君に助けてもらうとかでしょうか」
女「いいですねー、悲劇のヒロインです私。あ、私が入ってる部活って演劇部なので、こう見えても演技には自信あるんですよ?」
幼「やめ…て…」
女「え?なんですか?」
幼「やめて…ください…」
女「…じゃあ、割りますか?」
幼「………ます…」
女「聞こえません」
幼「…割り…ます…」
女「はい♪」
幼なじみの部屋
幼(…あは、すごい…本当に透明だったんだ)
幼(硝子の層は残ってるのに…やっぱりこの3分の1くらいのかけらじゃだめですか…)
幼(もう…あの虹も見れない…)
幼(…でも…元々男君の事は諦めるつもりだったんだし…これで…よかったんだよね…?…)
幼「…さっ、寝ましょうぜ旦那っ」バサッ
幼(明日は…時間ぎりぎりに行こう…)
休み時間
男「幼なじみ、今日は学食にしない?」
幼「おっ、いいですな~。今日はカレーにする?それともカレーうどん?」
男「またきわどい2択だね」
女「あ、お二人は学食に行かれてしまうのですか?」
男「やあ女さん。そうだよ」
女「そうですか…残念です。実は今日、お弁当をたくさん作ってきたので是非一緒に食べようかと思ったのですが…」
女「そうですか…残念です。実は今日、お弁当をたくさん作ってきたので是非一緒に食べようかと思ったのですが…」
幼「あ…」
男「えっ、そうなの?いいよいいよ一緒食べよう!」
女「美味しく出来たかどうかは自信ないのですが…」
男「例え美味しくなくても美味しく食べるよ!(?)」
幼「…なんか、お邪魔な雰囲気です。後の事は若い二人に任せましょうか」
男「…え?いや待ってよ。せっかくなんだから3人で食べy」
幼「女子高生パーンチ!」
男「オブッ!?」
幼「どこの世界に女の子からのお昼のお誘いイベントを女友達と一緒に消化しようとする輩がいようか!いや、いないであろうよ!」
男「何を言って…」
幼「とにかく私は行くっ、学食の七味唐辛子が私の生き様なのだあーっ」
女「幼なじみさんも一緒に食べましょうよ」
幼「…え?」
女「お弁当、3人分ありますから」
幼「…でも…?」
女「…何を気になさってるのかがよくわかりませんが、私がかまわないのですからかまいませんって」
幼「…わかったよ」
女「それに、お見せしたいものもありますしね?」
幼「…」
男「(…なんだろう、この変な空気…)」
校庭の一角
女「あはは。緑に囲まれてする食事も良いものですね。…私、いつもは教室で済ませてしまいますから」モグモグ
男「俺達も似たようなものだよ…学食か購買を利用してるけど…購買の時も一階広場で食べてるしね」パクパク
幼「…」パク…
女「それで…いかがでしょう?私の作った弁当は」
男「うん、すごく美味しいと思う。特にこの卵焼き…シンプルな料理なのに俺なんかが作るのとはわけが違うよ」
女「うふふ、ありがとうございます」
女「幼なじみさんはどうですか?気に入っていただけました?」
幼「…そうだねっ、私もすごく美味しいと思いますよっ」
女「ありがとうございます。今度は是非幼なじみさんの手料理をご馳走になりたいです」
幼「それで…見せたい物って何なんですか?」
女「あ、もうですか?私は食べ終わった後にしようかと思ってたのですが…ふふ、それじゃあお見せします」
女「男君。今硝子玉は持ってますか?」
男「持ってるけど…って何で女さんが硝子玉の事を…?」
女「あ、私あの店の娘なんです」
男、幼「えっ!?」
女「それで、父がお二人に硝子玉を渡した時、娘にもプレゼントをどうのこうのと言ってませんでしたか?」
男「そういえば言ってた気が…」
女「今日お見せするのはその父からのプレゼントなんです」
女「今日お見せするのはその父からのプレゼントなんです」
幼「…」
女「ゴソゴソ…これです」
男「硝子の…針…?」
女「針というには少し太すぎるきらいもありますが…まあ針で問題ないでしょう」
幼「全部で…7本…」
女「はいそうです。まあ今回使うのは6本ですけれどね」
男「それぞれ先端に色がついてる…」
女「仕組みは硝子玉と同じです。最も、それ程しっかりした作りでないので光るほどではありませんが…男君、硝子玉をこの台の上に置いてもらえますか?」
男「わかった…」
女「ありますがございます。それじゃあ始めますね」
女「男君の硝子玉は赤なので、1本、赤の針を抜きます。そして硝子玉を囲むように、橙、黄、緑、藍、紫の順に台に突き刺すと…」
幼「!!」
男「虹…」
女「その通りです。虹の割には全体的に青系色が強くなってしまいましたが」
幼「どうしてっ…!…こんなっ…」
女「虹の仕組みですか?…うーん、ごめんなさい、作ったのは父なのでちょっと私にはわからないです」
男「すごいな…。店長さん、俺と幼なじみの硝子玉同士でしか虹は出来ないって言ってたけど、そんな事もなかったのかな?」
幼「…っ」
男「あ、女さんは俺と幼なじみの硝子玉でも虹が出来るって事知ってた?それも綺麗なんだよねー。あ、そうだ!」
男「まず俺と幼なじみの硝子玉で虹を作って、その周りにこの硝子針で囲んだらどうなるんだろう?やってみたくない!?ね!?」
女「あら…」
幼「………」
幼「………」
男「…ん、どうしたの?…今から硝子玉同士で虹を作って…」
幼「………ごめん…」
男「…え?」
幼「…ごめん…ね…」
男「…ごめんて…どういうこと…?」
女「…ごめんなさい男君。実は幼なじみさんの硝子玉、私が割ってしまったんです」
男「えっ!?」
幼「…」
女「父が幼なじみさんに渡したの硝子玉は私まだ見た事が無くて…それでどうしても見たくなってしまったので幼なじみさんに見せてもらってたところ、見てる途中手を滑らせて割ってしまったのです…」
男「それ…本当…?」
幼「…」
女「ごめんなさい…それで今日はお詫びに硝子針を持ってきたんです。虹を見る事だったらいつでも出来ますよ、って」
男「…そうなんだ…」
幼「ごめんなさい…男君…」
女「私も本当にごめんなさい…」
男「…そ、そんなに気を落とさないでよ二人共!女さんもわざとじゃなかったんでしょ?それならしょうがないよ。幼なじみもさ…元気出して…」
幼「……………ごめんね」
下校
幼「…」
男「…」
幼「…」
男「…あのさっ」
幼「うぇっ!?」
男「…あのさ、本当にあんまり気にしないでよ。硝子細工店の店長が言ってた事を気に病んでるのかもしれないけど、あれは所詮願掛けだからさ…俺は、いつまでも変わらず幼なじみとは仲良くしていきたいし」
幼「男君…」
男「あの綺麗な虹だって、女さんの硝子針を借りればいつだって見れるしさ」
幼「…そう、だ、ね」
男「それにほら!店長良い人そうだったから、頼めばまた作ってくれるかもしれないし!」
幼「でも…それは…」
男「うん、そうしよう!今度また一緒にあの店行こうよ!」
幼「…うん」
硝子細工の店
店長「…それは出来ない」
幼「…っ」
男「なっ…どうしてですか…?」
店長「…私は職人だ…技師ではない。…私が作るのは、製品ではなく…作品。そして全ての作品には…それぞれ固有の意味が篭っている。…本来ならばつがいの作品を作る事でさえ珍しいんだ…」
男「どうして…だめでしょうか」
店長「…申し訳ないが。…それに…それではなんの意味もないという事は…君のお連れさんが一番わかっているんじゃないか…」
幼「…」
店長「壊れてしまったのなら…壊れてしまった事で…何か役割を果たしたはずだ…。なのに…また同じ物を作り直せというのは…なんというか…横暴だろう」
男「…わかりました」
店長「…力になれず…すまないね」
休み時間
女「お二人とも。私今日もお弁当作ってきたんですよ。一緒にいかがですか?」
男「本当?それじゃあご馳走になろうか」
幼「…そだねっ」
校庭の一角
女「今日のおかずには自信があるんですよ。コロッケ、肉じゃが、かに玉、から揚げ、カレー…私の好きな料理をたくさん作ってみました」
男「…うわー。かに玉美味し…」
幼「男君っ、肉じゃが!この肉じゃがも捨てがたいですぜっ」
男「本当だ…味が肉にもじゃがにも良く染みてて…ていうかお弁当なのに何故湯気が?」
女「人肌であっためておきましたので」
男「ブッ!!」
男「ブッ!!」
幼「ひ、人肌って…?」
女「あの…冗談ですよ?このお弁当箱って二重構造になってるんですけど、内側は熱の伝わりやすい鉄製で、外側は魔法瓶のように熱を逃がさない特殊な素材で出来てるんです」
女「そうする事によって、お昼までくらいだったらほかほかのままお弁当が食べられるんですよ。凄いですよね、はいてく、ってヤツです」
男「へー…すごいな…」
幼「でも、それならどうして昨日はこのお弁当箱にしなかったの?やっぱり暖かい方が美味しいよね?」
女「それは…昨日買ってきたんです。…男君に喜んで貰いたくて」
男「ブフォ!!」
幼「…なるほどっ」
女「…美味しいですか?男君」
男「…!…!」ドンドン
幼「あれっ…!?もしかして男君喉に詰まらせた!?女さん、水!」
女「ごめんなさい!今日は水筒忘れてしまって!カレーならありますけど!?」
幼「カレーは飲み物じゃないよ!?」
女「こ、こうなれば私の唾液を使って…!」
男「ング…ング…」バタバタ
幼「言ってる場合じゃないって!?男君死んじゃう!」
女「そうだっ!昨日マサさんに貰ったテキーラがありましたっ!」
幼「テキーラっ!?」
女「ほら男君、一気に飲んで下さい!」
男「ンブッ!?ゴバボッ!?」
幼「テキーラなんか一気飲みさしたら急性アルコール中毒起こしちゃうんじゃっ!?」
女「そうでしたっ!?…お、男君、ゆっくり、落ち着いて飲んで下さい」
男「…ゴク…ブッ!………ゴク…」
男「……………助かったぁ」
男「……………助かったぁ」
幼「よかった…」
男「…も、もう。女さんが変な事言うからだよ」
女「変な事って…男君さりげなく酷いです」
幼「あはは…まあ、とにかく食べようよ。休み時間が無くなっちゃいますよ」
男「そうだね…。食べよ食べよ」
女「男君はゆっくり食べて下さいね」
男「…はは」
幼「ところで…どうして女さんはテキーラなんか持ってたの?」
女「あ、あれは昨日、ちょっとした知り合いにお土産として貰ったんです。それを鞄から出すのを忘れちゃってまして」
幼「女子高生へのお土産がテキーラって…よくわからないセンスをした人だなあ」
女「面白い人なんですよ」
男「…」パクパク
女「ところで、昨日うちの店に来られたんですよね?」
幼「…えっ?…うん…まあ…」
女「父が、お二人に硝子玉をまた作って欲しいとお願いされた、と言ってました。…でもごめんなさい。父はあの通り、根は優しいのですが仕事の事となると頑固一徹で融通がきかないところがあるんです」
幼「いやっ…はははっ」
女「私からもなんとか作ってくれるようお願いしますが…難しいかと思います」
男「…」モグモグ
幼「そんなっ…別に大丈夫だって」
女「そうですか?…ごめんなさいね」
幼「うん…」
男「…」モグパク
男「…」モグパク
女「…」
幼「…」
男「…えっへっへ」
幼「…どうしたの男君?」
男「…へへっ…へへへっ…」
女「…なにがあったんですか…?」
男「…………………」
幼「…あっ!もしやっ!」
女「…??」
男「…………水玉」
幼「!!」バッ
女「え?え?」
男「…なんで隠すんだよ~ぅ…」
幼「変態!!見るなっ!!」
男「…いいじゃんかよ~…昔は裸だって見せあってたのに…えへへ…」
幼「思い出すな変態っ!!」
女「男…君…?」
男「えへへへへへ…」
幼「実は男君…酔うとエロオヤジ化するの!」
男「えへへ…女さんのおっぱいはおっきいな~…」ふに
女「きゃあっ!」
幼「死ね!!」ドカッ
男「ったぁっ!?」
幼「女さん、早く男君から離れて!」
女「は、はい…」
男「…~~ったくもう~~幼なじみは邪魔するなよ~~小さいくせに~~…」
幼「あんですと!?こんの…」
女「幼なじみさん落ち着いて…」
男「おっぱい~…女さんのおっぱい~~…柔らかかったよぅ~~」
女「…どうしましょう」
幼「…どうするって言われても」
男「おっぱい~おっぱいぱい~」
女「幼なじみさんは…男君がこうなってしまったところ、以前にも見た事あるんですよね?その時はどうしてたんですか?」
幼「うっ…それは…」
男「ぱいぱい触りたいよ~~…」
女「このまま放置すれば犠牲者が出てしまうでしょうし…何か良い策があるなら教えて下さい」
幼「ううううっ…それはその…」
男「ぱいぱい~~…あ、あっちの方にたくさんぱいぱいがある…」
女「幼なじみさん!」
幼「ああっ、もうっ!こ、こうしてたんですっ!」ガバッ
男「うわっ」
女「えっ…?だ、抱き着いて…?」
幼「ほ、ほら…男君、ご覧の通り胸が好きみたいだから…こうして顔に当ててあげれば…満足するみたいで…そのまま寝かしつけて…ました」
女「す、すごいです…」
幼「…」
女「…」
男「…」
幼「…」
女「…」
男「……かたい」
幼「殺す!!」バゴッ
女「幼なじみさん!落ち着いて!」
幼「フーッ、フーッ!」
女「気を確かに!?」
男「いでーよー…かてーよー…」
幼「コォォロォォォスゥゥゥ」
女「落ち着いて下さいってば幼なじみさん!」ガシッ
幼「止めないでよ女さん!!コイツ一回殺さなきゃ気がすまない!」
女「待って下さい幼なじみさん!私やってみますから!」
幼「私は自分の手で殺したいの!」
女「殺すんじゃなくて!…その、寝かしつけるの、やってみますから!」
幼「…えっ!?」
男「おっぱい…柔らかくて…大きい…」
女「男君っ!!」ガバッ
男「うブッ…」
幼「あ…」
女「…」
男「…」
幼「…」
女「…」
男「……ぐー」
女「……寝た…」
幼「そんな…」
女「…しばらくこのままにしておきます?」
幼「…そう、だね」
男「…んぐー………ムニャムニャ…おっぱい柔らかいよ…」
女「…寝顔…かわいい」
幼「…寝言は最低だけどね…」
男「…ぐー…」
女「…」
幼「…」
放課後
男「あ、女さんはあれ持ってる?『スーパーマツコデラックス』。」
女「??なんですか、それ?」
男「マツコが主人公のアクションゲームなんだけど、KABAちゃんに捕らえられたイケメンを救い出す為に、敵を踏んで倒しながら進んでくゲーム」
女「シュールなゲームですね…」
男「最近はDr.マツコっていうパズルゲーも出たんだけど、ドクターのくせしてナース服着てて、うざいんだコレが」
女「へ、へえ。面白そうなゲームですね」
男「よかったら今度貸してあげるよ!」
幼(…楽しそうにしてるな、男君…邪魔にならないうちに私は先に帰りますか)
幼(これからは…毎日一人で帰る事になるかもしれません。ぐすん。学校にペットでも連れてけば寂しくなくなるでしょうか)
登校
幼「おはよう男君っ」
男「おはよー」
幼「ねえねえ、今日の物理の小テスト、勉強した?」
男「もち、完璧」
幼「さすがっ!やっぱり持つべきものは出来の良い幼馴染みだねっ。後でおせーてっ♪」
男「ちゃんと自分でも勉強しなよ?」
幼「わかってますよ~」
男「どうなんだか…」
幼「あははっ…」
幼「あははっ…」
男「…」
幼「…」
幼「…ところでさっ」
男「なに?」
幼「最近、女さんとはどう?うまくいってます?」
男「え…いや…まあ…見ての通りだけど」
幼「……さいですかっ。今度女さんの事デートに誘いなよ?女さんは部活でいっつも忙しいみたいだけど…それでも男君から誘われるの期待してると思うのです」
男「…うん」
幼「大丈夫だってー、君ら両想いなんですよ?ほら、この前だって意味深な発言してたし。絶対うまくいくよっ」
男「…そうだね」
休み時間 校庭の一角
女「…ほら、男君。あーん…」
男「…あーん」パクッ
幼「…おうおう。予想以上にあまあますぎる光景で見てられねーぜ…」
男「お前がやれって言ったんじゃ…モグモグ」
幼「いやーもっとこう、ほのぼのしててご飯のおかずになるような光景が見れるかなーと思ってたんですけどね。殺意、沸いちゃいました♪」
男「ひどい人だ…」
女「…それにしても、凄い体験でした」
幼「女さんは、誰かに食べ物を食べさせてあげたのって初めて?」
女「初めてですよ!初めてに決まってます!…ああもう恥ずかしい」
男「俺達は小さい頃から何度かやってたけどね」
女「え?そうなんですか?」
幼「そうさね~、まあ昔から一緒に遊んでればね~」
女「…へぇ~、そうなんですか」
女「…へぇ~、そうなんですか」
幼「もっとも、今の二人みたいにあまあまなヤツじゃなくて、ふざけ合いの内でやってたって感じなんですけどね」
女「…なるほど」
男「食べさせあいにはあまりいい思い出がないよ…」
幼「そうそう。私が焼きソバを食べさせてあげた事があったんだけど、割り箸をふざけて勢い良く口めがけてつっこんだせいで口の中で割れちゃってさー。口の中血だらけにしちゃった事があったっけ。さすがにあの時は3日間くらい口を聞いてくれませんでした」
男「あの時は痛くてしゃべりたくなかったんだよ…」
女「…楽しそうですね」
男「いや、楽しさからはかけはなれてた気がするよ?」
女「…そうだ。お二人の食べさせあいも見せて下さいよ」
男「…女さん、俺に何か恨みでも?」
女「いえいえそんな事は。ただ、お二人はどんなに楽しそうな雰囲気で食べさせあいをするのか、ちょっと気になってしまって」
幼「絶対つまらないと思うけど…」
幼「絶対つまらないと思うけど…」
女「面白いかどうかを決めるのは私です。ささ、早く早く」
幼「…男君、やります?」
男「俺は別にいいけど…」
幼「うん…じゃあ…」
女「幼なじみさんが食べさせる側でお願いします」
幼「うん…」
幼「それじゃ…このマヨネーズつきアスパラで…」
男「…」
幼「…男君、いくよ?」
男「…うん」
幼「…スッ」
男「…」
女「…」
幼「…」
男「…」
幼「…っ」
男「…幼なじみ?」
女「…」
男「…」
幼「…おらぁっ!」ズブッ
男「うおおおおおおおおおおッ!?鼻!!鼻!?なんで鼻!?抜いて早く!!」
幼「うるさいっ!鼻腔で噛み砕け!」ズブズブ
男「やめろおおおおおおおおおおおおおッ!!まじで早く抜いてって!!」
幼「左にはししゃも(子持ち)!」ズブバッ
男「いでえええええええええええええええッ!!だからやめろってええええええええええええ!!」
数分後
女「あっはっはっはっはっはっは!やっぱりお二人は最高ですね!」
男「俺は最悪だよ!」
女「まあまあ…許してあげてくださいよ…ぷふっ」
幼「そうだよー男君。それにね、イジメってのは大抵誰か一人が一方的に悪いって事はないんだよ?」
男「今のは確実にお前が悪いけどね!だいたいなんで鼻の穴につっこんできたのか…」
幼「もう、別にいいじゃないー。鼻から食べ物を食べるっていうなかなか出来ない経験をさせてあげたんですよ?」
男「俺はほっしゃんか!一生したくなかったよ!」
幼「でも味は変わらなかったでしょ?ならいいじゃないですか」
男「本当良くないって!あのね、鼻の中にまだマヨネーズとししゃもが残ってるのかずっとにおいがするんだよ?きっと今日は一日このにおいをかいでなきゃいけない俺の身になってもらえます!?」
幼「いいじゃない、美味しそうで」
幼「いいじゃない、美味しそうで」
男「実を言うと俺ししゃも嫌いなんだって!今度ドリアンをあなたの鼻の中に詰めて差し上げましょうか!?」
幼「はぁ、男のくせに終わった事をいつまでもうるさく言うのは良くないと思うなあ」
男「なんか今日のお前うざいよ!?いやいつもの事だけど!」
女「あ、あまり興奮なさるとまた鼻血が…」フキフキ
男「あ、ありがとう…。…優しいね、女さんは。幼なじみとは違って」
幼「あれ?それってどういう意味でしょう?」
男「言わなきゃわからない?」
幼「わかります」
女(……ふう)
女(まったく、あの二人は本当に仲が良いですね…。先ほどのやりとりを見ても、友達としても…それ以上の関係としても…。…今のままでは到底追いつけそうにありません…。さすがは幼馴染み、といったところでしょうか)
(女の携帯)~~♪~♪
女(…まあ、幼なじみさんには釘を刺しておきましたし大丈夫だとは思うのですが…現在の問題は男君ですね…。奥手というかなんというか…早く私の方へなびけば良いものを…)
~♪~~~♪♪~~~~♪
女(…今の膠着状態は望ましくありませんね。時間が経てば男君が私のものになるのは明白なのですが…いかんせん私にはそれほど悠長に構える時間も余裕もありません)
~~~♪♪♪~~~~~♪♪~~♪
女(…今の膠着状態は望ましくありませんね。時間が経てば男君が私のものになるのは明白なのですが…いかんせん私にはそれほど悠長に構える時間も余裕もありません)
~~~♪♪♪~~~~~♪♪~~♪
女「ああもううるせえなッ!!何の用だオイ!!今考え事してっからくだんねー事だったら後にしろ!!」
電話の声「…へえ、お忙しいところ申し訳ねーです、お嬢。…例の組の事なんですが…後にしやすか?」
女「………何がありました」
電話の声「………へえ。…実はここのところ、何やらくせー噂が出てきてます。つい昨日も吾妻不動産の幹部がやられました。…浅井んところのぼっちゃんまで出張ってきたとかいう話もありやすし…形振りかまわねーで取りに来るつもりでしょう…。どうしやすか…?」
女「……期限が前倒しになる可能性は?」
電話の声「大いにありやす。…どうやらヤツら、数と金にもの言わせて、今回の取り締まりにまで根を回してるようで…」
女「………そうですか。…ならば、こちらも形振り構ってはいられませんね…」
電話の声「…それは、こっちも汚ねえ手を使ってくって事ですかい?…お言葉ですがお嬢。うちの組の組織力じゃあどーしても向こうに一歩遅れを…」
電話の声「…それは、こっちも汚ねえ手を使ってくって事ですかい?…お言葉ですがお嬢。うちの組の組織力じゃあどーしても向こうに一歩遅れを…」
女「そうではありません。今更小競り合いしたところで結果は見えてます。…それより、こちらの切り札を早くものにする事が重要でしょう。…必ず、近日中にいつでも使える状態にしてみせます。…それまで待っていただけますか」
電話の声「…わかりやした。健闘をお祈りしやす。…それじゃ、最後に何か、こっちでする事はありやすか」
女「…そうですね…では、住所○○の近くに空き部屋を手配しておいていただけますか?仮住まいにします」
電話の声「へえ。今夜中に手配させます。他には何か」
女「ありません。今回は連絡をありがとうございました」
電話の声「…へえ。それじゃ失礼しやした……プツッ…ツーッ…ツーッ…ツーッ…」
女(……………まずい…ですね…)
登校
幼「男君、おーはよっ」
男「おはようー」
幼「古典の課題もちろんやってあるよね?見ーせてっ♪」
男「なんかだんだん悪質になってくなあ…」
幼「細けぇこたあ!」
男「いや、省略しないで全部言おうよ」
女「…お二人とも。おはようございます」
男「あれ、女さん?どうしてここに?あ、おはよう」
女「ええ…実は家の都合で、この近くのアパートにしばらく仮住まいする事にしたんです」
男「家の都合…?店長さん、どうかしたの…?」
女「いえ、別に大した事ではないので気になさらないで下さい。…それにしても一人暮らしというのは大変ですね、当たり前ですけど、何から何まで一人でこなさなければならないのは思ったよりも疲れます」
幼「…へぇ」
男「そうなんだ…俺達に何か出来る事があったら言ってね?何でも手伝うから。な?」
幼「…えぇ!もちろんですとも!」
幼「…えぇ!もちろんですとも!」
女「…ありがとうございます」
女「…それで、お二人はいつもこの時間に家を出るのですか?」
幼「…まあ、そうだねー。お互いを待たせちゃいけないから結構出る時間帯は正確です」
男「幼なじみは正確に遅れてくるけどね」
幼「なんでそこで嫌味を言うかなあ…私は毎朝、どちらかが遅れてくるっていう不名誉を男君のために買ってでてあげてるんだよ?」
男「ほんとかな…」
女「ふふ…でしたら明日からは私がその不名誉を被りましょう」
幼「…」
男「あ…女さんも一緒に登校する?ていうかわざわざそんな事しなくても…」
女「いえまあ、本当は私朝が苦手なのでちょっと楽したいだけなんですけれどね」
男「そうなの?なんか意外だなー。女さん、朝は15分くらい余裕を持って登校しそうなイメージなのに」
女「あはは。そんな事ないですよ。お弁当を作るので起きるのは早いのですが、実際家を出る時には遅刻ぎりぎりになってしまうんですよね」
女「あはは。そんな事ないですよ。お弁当を作るので起きるのは早いのですが、実際家を出る時には遅刻ぎりぎりになってしまうんですよね」
男「お弁当か…朝苦手なのに毎朝作れるだけすごいんじゃないかな。幼なじみなんか、両親がいなくて自分が弁当を作るって時、午前中の授業すっぽかしてお昼から来るよ?」
幼「うるさいなあ。私は朝に急いで支度するのが嫌なんです。余裕のある女なんです」
女「…ふふっ、幼なじみさんらしいですね」
男「余裕があるのかどうかは甚だ疑問だけどね。…あっ、そういえば女さんっ、『スーパーマツコデラックス』はもうやってみた?」
女「ええ…まあ…。…ですが私には難しいようで、最初の1面すらクリア出来ないのですけれども…」
男「あー。あの1面は最初のステージのくせして初心者泣かせな要素が満載だしねー。詰まるのも無理ないと思うよ。今度、お手本見せてあげようか?」
女「あ…は…はい。是非お願いします」
男「わかった。…よーし、女さんのために今日は攻略サイトも見てまわろっかな。えーっと、スクウェアはもう更新してたから…あ、そういえばあのブログの人16連打バグ試してみてくれたかな。そこもちょっと確認してと…」
幼(……………明日からは、いつもより早く行こういこう、かなっ…)
休み時間
女「男君、あーん♪」
男「…あーん」パクッモグモグ
幼「…まったくう、見せ付けてくれますねぇ」
女「…恥ずかしいですけど、食べさせあうのってなかなか良いものですね」
男「俺ばっかり一方的に食べてる気がするけど…」
幼「このこのぉ、うらやましいですぜ旦那ぁ」
女「幼なじみさんも一緒に食べさせます?」
男「それは俺の方からNGで」
幼「…だってさっ。それにさすがの私もこの空気を邪魔するつもりはないからさっ。私にはかまわないでどうぞ続けて続けてー」
女「そうですか?…それじゃあ男君、もう一つ、あーん♪」
男「…あーん」パクッモグモグ
幼「…この光景をクラスの男子が見たらどう思うでしょう。きっと男君明日の朝日は拝めないんじゃないでしょうか」
男「…もぐもぐ。ごくん」
男「…もぐもぐ。ごくん」
女「…それじゃあもう一つ…」
男「いや、さすがにもう大丈夫…女さんも食べなよ」
女「食べさせてくれないんですか?」
男「え…あ、うん…わかった。それじゃ…あーん」
女「あーん♪」パクッモグモグ
女「うーん、美味しいです♪」
幼「…ところでさっ」
女「はい?」
幼「女さん、近々暇な日ある?」
女「休日でですか?えーと…そうですね、今週ならなんとか」
幼「じゃさっ、男君と二人でデートにでも行ってきたら?」
女「で、でーとですか」
女「で、でーとですか」
男「…」
幼「ほらー、女さんっていっつも部活で忙しいみただから、なかなかないチャンスですよー男君。今のうちに予約入れておかないと誰かに先越されちゃうよう?」
女「そんな、男君の他にデートする人なんて…それにお誘いされたところで男君以外の人だったら行く気はありません」
幼「あちゃー、熱すぎてとろけそうだぜいっ。こりゃー二人のデートは避暑地にしないとね!」
女「…男君、デート、どうですか?行っていただけますか?」
男「…うん。まあ、かまわないけど」
女「やった!ありがとうございます!」
幼(………二人の仲、どんどん…進歩していってるな。…この分だと……付き合う……のも……もう少し…………)
朝の教室
幼「………」
幼(トテトテ…)
幼(ガサガサ…)
幼「………」
幼「…暇」
幼(朝早く来て予習っていうのもなあー…なんだか気が乗らないし…かといって何もする事がないです)
幼「……相合い傘でも書こかな」
幼(カッカッ…)
幼(………小学生じゃあるまいし…消そ……サッサッ)
女友「あれ?幼なじみじゃん。おはよー。どうしたの今日はこんな早く来て」
幼「おはよう女友ー。いやぁ、なんだか今日は早く目が覚めちゃいまして」
幼「おはよう女友ー。いやぁ、なんだか今日は早く目が覚めちゃいまして」
女友「ふうん…いいの?」
幼「いいって、何が?」
女友「…いや…やっぱりなんでもない」
幼「…」
女友「…たださ。あんまり自分をイジメちゃだめだよ?」
幼「えっ…?」
女友「幼なじみは自分に対してはイジメっ子だからねー」
幼「いやいや、そんな事ないですよ?どうしたの急に…」
女友「誰かをイジメるのも自分をイジメるのも一緒。イジメられてる方は誰にも相談出来ないんだよねー。周りにはイジメっ子か傍観者しかいないから。それでそのうちイジメられてる方は壊れちゃう」
幼「…」
女友「…私は幼なじみの味方のつもりだからね?」
幼「…うん」
幼(……………私は……)
放課後
幼(先生に課題提出してたら遅くなっちゃった…あの先生話長すぎだってー)
幼(うーん…夕方アニメは見れるかな…走ればなんとか…?)タッタッ
幼(タッタッタッ………あ!あれはっ…サッ)
男「…女さん、今日はこのあと、どうする?…2面にでも挑戦してみる?」
幼(!!手…、繋いでる…)
女「そうですね…それじゃあまた私の部屋にいらっしゃいますか?」
女「そうですね…それじゃあまた私の部屋にいらっしゃいますか?」
男「うん…お邪魔しようかな」
女「あ、そうだ。実は今日、お夕飯はカレーにしようと思ってたんです。よかったら食べていきませんか?」
男「え、いいの?」
女「もちろんです。一人でとる食事ほど寂しいものはありませんし。食べてってくださると嬉しいです」
男「それじゃ…お言葉に甘えようかな」
女「はい。うふふ、今日はいつもよりも気合を入れてつくらなければなりませんね…」
幼(…胸が、いたいよお)
数日後 登校
幼(うー…眠い……。いままで朝に二度寝してた分を削っただけなのに、どうしてこんなに眠いんだろう…)
男「あ…幼なじみ。おはよう」
幼「っ!?男君っ!?ど、どうしてこんな時間から?」
男「いや…最近幼なじみ、登校するの早いじゃんか。それに合わせたんだよ。…それに、ちょっと幼なじみと話したい事もあったし」
幼「そ、そうなんだ…。でも、女さんは…?」
男「今日は家の都合で、朝仮住まいの方にいないから別のところで待ち合わせたいって、昨日言われた」
幼「なのに、こっちの道でいいの?」
男「うん。そこの饅頭屋を曲がって少し進んだとこだしね。最初はこっちで大丈夫」
幼「そ、そっかっ」
幼「そ、そっかっ」
男「…」
幼「…」
男「…」
幼「…それで…話したい事…って?」
男「…うん。実はさ…」
幼「…」
男「…俺…女さんと付き合う事にした」
幼「…………………………………」
男「幼なじみには…一番最初に言っておかなきゃならないかなって…」
幼「…………ぁ」
男「いや…本当、幼なじみのおかげだよ。…幼なじみがおせっかい焼いてくれなかったら…きっとこうはならなかったと思う」
幼「………ぅ……ぁ………」
男「……幼なじみ?どうしたの?…って、もうここ曲がらなきゃな…それじゃ幼なじみ、本当…ありがとう」
幼「……ぁ………待っ……て……」
男「…」スタスタ
幼「………待っ…て……待っ、て……待って…待って…ぁ…待って…っ…」
男「…」スタスタ
幼「…待ってっ…待ってよ、待ってってば…!」ダッ
タッタッタッ…ガバッ
男「っ!?幼なじみ!?」
幼「……………」
男「ど、どうしたんだよ…幼なじみ…」
幼「……………」
男「…お、幼なじみ?…離れてよ、俺もう彼女出来たんだし…こういうおふざけは…」
幼「…………もう、少しだけ……」
男「えっ…?」
幼「………このまま…もう少しだけで…いいから……お願い………」
幼「………このまま…もう少しだけで…いいから……お願い………」
男「幼なじみ…」
幼「…」
男「…」
幼「…」
男「…」
幼「………ごめん」スッ
男「いや……」
幼「…」
男「…」
幼「…」
男「…幼なじみは…………もしかして…もしかして本当に……」
男「…幼なじみは…………もしかして…もしかして本当に……」
幼「当たり前だよ……どうして…気付かないかなあ…」
男「…幼なじみっ…俺っ…」
幼「ごめんねほんとに…彼女が出来たばっかりだってのに…気を乱すような事しちゃって……」
男「いやっそんな…」
幼「………それじゃ、ね。…こっちきたら怒るよ?」ダッ
男「っ…幼なじみっ…」
タッタッタッタッタッ…
幼(………………)
幼(……私なんか………私なんか…死んじゃえ……)
男「………」
女「ごめんなさい男君!遅くなってしまいました…」
男「…おはよう、女さん」
女「おはようございます。それじゃ、行きましょうか」
男「…うん」
女「……どうしたんですか?なんかいつもより雰囲気が暗いです。何かあったんですか?」
男「…いや、別に何もないよ。ただ、こっちまで来るのにいつもより早起きしたから眠いだけ」
女「…そうですか。私のせいで…本当にごめんなさい。…うふふ、でしたら今日のお昼休み、私の膝をお貸ししましょうか?そういう恋人同士っぽい事もしたいと思ってたんです、私」
女「…そうですか。私のせいで…本当にごめんなさい。…うふふ、でしたら今日のお昼休み、私の膝をお貸ししましょうか?そういう恋人同士っぽい事もしたいと思ってたんです、私」
男「…いや、別に大丈夫。ほんとに」
女「そうですか…。まあ、学校では人の目もありますしね。ではそれはまたの機会という事で」
男「…」
女「あ!そういえば私、あのゲームとうとう3面までクリア出来たんですよ。これも男君の指導のお陰ですね。また今日もご指導お願いします…って男君?聞いてますー?…うーん、そんなに眠いんでしょうか…」
男(…幼なじみ…)
硝子細工の店
幼「…こんにちは」
店長「…いらっしゃい」
幼「…」
店長「…」
幼「…あの」
店長「…なんだい?」
幼「…あの、これ…割れちゃった破片なんですけど…アクセサリーにする事って出来ますか?」
店長「…出来るよ」
幼「…お願いしてもいいですか?」
店長「…どうしてまた…アクセサリーに…しようと?」
店長「…どうしてまた…アクセサリーに…しようと?」
幼「……私、この硝子玉のお陰で色んなものが見えました。綺麗な虹だったり…人の良いところだったり…もどかしいところだったり……自分の、嫌なところだったり…他人の…ちょっと嫌なところだったり…」
幼「………その全部を、いい思い出にしたいなって思ったんです」
店長「……なるほど」
幼「…今更ですけど、硝子玉…割っちゃってごめんなさい」
店長「…かまわないよ…それは君のものなんだしね。…ふむ…前に来た時はどうしたらいいのか…君自身全くわかっていないようだったけど…今は自分の中で決着がついたみたいだね」
幼「…はい。決着、つきました」
店長「…そうか。それは良かった。…それじゃあその硝子片を良く見せてくれるかい…?どんなアクセサリーが適しているか…考えるから」
幼「はい…どうぞ」
店長「…ありがとう。……ん…?………これは……?」
幼「…どうかしました?」
店長「……………この硝子玉は…どういった経緯で…割れたんだい?」
店長「……………この硝子玉は…どういった経緯で…割れたんだい?」
幼「え…と……登校中に転んじゃって…その時制服のポケットに硝子玉を入れてたので…」
店長「……つまり…地面と自分の体で挟むようにして…割ってしまったと?」
幼「…そ、そうです…」
店長「……………そうか。それは災難だった…。硝子片が体に刺さったりしなかったかい…?」
幼「…大丈夫でした」
店長「……それは不幸中の幸いだったね…硝子片が体内に入ると…取り除くのが大変なんだ」
幼「そうなんですか…」
店長「……ふむ。…じゃあ…これは…ペンダントにでもしようかな。大きさもあるしね…ちょうどいいだろう」
幼「…ありがとうございます」
店長「……それじゃ、一週間くらいで仕上げよう…その頃にまたここに来てくれ。……ああ、もちろんお代はいらないからね」
幼「……本当に、ありがとうございます……それでは」
店長「………」
プルルルルルル…プルルルルルル…ガチャ
店長「…今時間は大丈夫か」
女「…手短にお願いできますか?」
店長「…ならば単刀直入にいこう。…硝子玉を割ったのはお前か?」
女「……どういう意味です?」
店長「…ついさっきあの女の子が来て…硝子片をアクセサリーにして欲しいと…頼まれた」
女「その時に…私が割ったと、幼なじみさんが言ったのですか?」
店長「…そうではない…。…硝子玉をどのようにして割ったのか…彼女に聞いたところ…転んだ際に、地面と自分の体に挟んでしまって…割れたと…そう言っていた」
女「ならそうなんじゃないですか?」
店長「…それはありえない…硝子片を見た限りではな…」
店長「…それはありえない…硝子片を見た限りではな…」
女「…」
店長「…あの硝子片には…私が施した特殊な層がまだ…残ったままだった。…これは、両側から衝撃を与える事ではまず…できない」
女「…なら、本当は落として割ったんじゃないですか?」
店長「…それもありえない…。落とす程度の衝撃で割れたのだったら…むしろ粉々に割れる。…あまり知られていない事だが…硝子には弾力がある…。それゆえ衝撃が全体に行き渡って…粉々になる。保存しておこうと思える硝子片など残らない…」
店長「…だから…あの割れ方は…全体に衝撃が行き渡る前に…衝撃を受けた一点から割れるような…そんな割れ方でなければありえない…。…例えばアルファルトに思い切りたたきつけるとか…」
女「…そうだとして、何故それが私だと?」
店長「…あの二人が最初に…割れたから新しいのを作ってくれと頼みにきたのは…お前にあの硝子針をやった次の日だ…」
店長「…それにお前は…男君の後ろ盾が欲しくて…自分のものにしようとしていたんだったな…?…そしてそれも、最近成就したと聞いたが…。…タイミングが合いすぎてるような気がしてな…」
店長「…それにお前は…男君の後ろ盾が欲しくて…自分のものにしようとしていたんだったな…?…そしてそれも、最近成就したと聞いたが…。…タイミングが合いすぎてるような気がしてな…」
女「…なるほど」
店長「…私だって…実の娘が、例え自分の組の為とはいえ…そんな事をしたとは思いたくない…」
店長「…だがな…私がお前にあの硝子針をやったのは…そんな事をして欲しいと思ったからじゃない…お前には、例え立場が違う人間にでも…光を与えてやれる人間になって欲しいと…そう願って作ってやったという事を…」
女「うるさいですね。私がお父様からの贈り物をどう解釈しようと勝手でしょう?…ふふっ、私はてっきり、どんなものでも利用して光を得ろ、と、そうおっしゃりたかったのだと思ってました」
店長「…そんなわけがないだろう…!…お前、私がな、一体今までどんな気持ちでお前を育ててきたのか…」
女「自分の娘に組のトップを奪われた挙句、年甲斐もなく青臭い事に、ご自分の卑小な夢を追いかけて小さな店なんか経営してるような方に育てられた覚えはないんですけれどね」
店長「…お前は…!」
女「…おっと、そろそろ時間です。マサさん、車を出して下さい。…それじゃ、これから『部活』があるので失礼しますね。……プツッ…ツーッ…ツーッ…ツーッ…」
店長「…っ!…………くそっ…!」
一週間後 女の部屋
女「男くーん、ご飯出来ましたよー。ゲームばっかりやってないで早く食べましょうよー」
男「…うん。今終わりにする」
女「うふふ、今日は男君の好きな焼き茄子です。たっぷり召し上がって下さいね?」
男「…うん…ありがとう」
女「はふ…もぐもぐ…うーん、我ながら今日のは良く出来てます。ささ、早く男君も食べて食べて」
男「ぱく…もぐもぐ…」
女「美味しいですか?」
男「もぐもぐ…うん、すごい美味しい」
女「やった♪作った甲斐があります」
女「やった♪作った甲斐があります」
男「もぐもぐ…」
女「ぱくぱく…」
男「もぐ…」
女「…あの、ところで一つよろしいですか?」
男「…なに?」
女「…私がヤクザの頭をしてる事はもう話しましたよね?…それで、そちらの方で最近問題が出てきてしまいまして…」
男「…そう、なんだ…」
女「ええ…それで、ついては男君に頼みたい事があるんです」
男「…どんな?」
女「男君のお爺さん…男君は知らないとは思いますが、ヤクザの世界で知らない人はいない、伝説のお人なんです。それで…お爺さんの方に男君の方からお口添えしていただけないかと」
男「…そんな、あのじーさんがそんな人だなんて…」
男「…そんな、あのじーさんがそんな人だなんて…」
女「信じられないのも無理はないです。…でもお爺さん、本当にすごい方で、今では男君がご存知の通り現役はとっくに退いて隠居されてるようですが…今でもその影響力は、日本全国のヤクザの重鎮を一声で動かすほどだと思います」
女「…その影響力があれば…うちの組が抱えてる問題だって、今すぐにでも解決できるんです。…お願いします、男君。男君を危険な目には合わせませんから…」
男「…そんな事、言われても」
女「わかってます。もちろんなんの見返りもなくとは言いません。…ですから今日ここで、私の事抱いてもらってもかまいません」
男「えっ…」
女「…私が誰にでもこういう、自分の体を使って事を推し進めるような行為をしてるとは思わないで下さいね…?私、処女ですし…。…男君にだったら抱かれたいと思ったから…こんな事してるんです」
男「…」
女「男君も年頃の男の子なんですから、興味ありますよね…?ほら、どうですか…?…おっぱい、触ってみます…?」モミュン
男「っ…!」
女「うふふ…触り心地はいかがですか…?モミュムニュ …それとも直に触らないと満足出来ませんか…?」
女「うふふ…触り心地はいかがですか…?モミュムニュ …それとも直に触らないと満足出来ませんか…?」
男「…やめろぉっ!!」バッ
女「あ……男…君…?」
男「…ごめん」
女「あ…すみ…ません…男君、こういうの、嫌いでした…?」
男「……………俺、さ」
女「…はい…?」
男「…………俺…ほんとは……」
男「………幼なじみが好きなんだ」
女「……………」
男「………ほんと、ごめん…」
女「…………そうですか」
男「……………ほんと…ごめん……」
男「……………ほんと…ごめん……」
女「………………………………はあー、どうしてこの土壇場で意思が強くなるんでしょうね…いえ、土壇場だからこそなんでしょうか」
男「……女さん…?」
女「知ってましたよ、男君が幼なじみさんの事好きだって事ぐらい。みえみえですもん。気付いてないのは当の幼なじみさんくらいなものですよ?しかもその逆もしかりときてます」
男「………」
女「はあ、すっかり興が冷めました。もういいです。私、本当は男君の事好きじゃありませんし。…ただ利用する為に近づいただけですから」
男「えっ…」
女「あ、驚きました?いやあ、内心バレてるんじゃないかなって結構肝を潰してたんですけどね。それほど私の演技が堂に入ってたって事でしょうか」
男「女、さん…」
女「はい、ご察しの通り私は嫌な女です。白状すると、硝子玉を割ったのも私ですしね。私、利用できる事ならなんでもする性格なもので」
男「…」
男「…」
女「…はあ。今日はもう疲れました。出てってくれますか?…それと、幼なじみさんのところに行ってあげたらどうです?彼女今頃泣いてるかもしれませんよ?」
男「えっ…それってどういう…」
女「ええ。一週間前に父から電話があったんですけどね。なんでも例の硝子片をアクセサリーにしてもらうよう父に依頼したそうです。…多分このごたごたの事を、青春の1ページとしていつまでも綺麗な思い出に、ってところでしょう」
男「…」
女「父の作業速度から考えて、アクセサリー程度なら丁度一週間くらいで仕上がります。それに今日は休日ですし、幼なじみさんは今日受け取りに行ってる可能性が高いです」
女「…早く行ってあげて下さい?女の子って結構意味づけを大事にする生き物です。そこに、もう全てを諦めた事の象徴のようなものを受け取ったら…。幼なじみさんがどんな心構えになるか…わかりますよね?」
男「…っ!」バンッ
タッタッタッタッタッタッタ…
女(…そうです、それでいいんです…………私の…気持ちなんか…)
硝子細工の店前
男「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」タッタッタッタ…
男「!!幼なじみ!」
幼「…あれ?男君…?」
男「はぁ…はぁ…幼なじみ…はぁ…はぁ…」
幼「…どうしたの…?」
男「…はぁ…はぁ…はぁーっ…あの…アクセサリーって…もう受け取った?」
幼「え?どうして男君がその事…?」
男「女さんに聞いた。これから、受け取るの?…それとも、もう?」
幼「…もう受け取ったよ。ほら、この紙袋」
幼「…もう受け取ったよ。ほら、この紙袋」
男「………ぁ」
幼「…うーん、男君もいるし今ちょっと開けて見てみよっかなー…」ガサゴソ
男「あ、開けちゃだめだっ…」
幼「…………あれ……これ…って」
男「……え?」
幼「…ペンダント……だけど、どうして…硝子玉が…」
男「…あっ…それは…」
幼「…これ、もしかして男君の硝子玉?」
男「うん…多分…。ちょっと前に、なんだか自分だけ持ってるのが嫌になって…返しにきたんだ」
男「うん…多分…。ちょっと前に、なんだか自分だけ持ってるのが嫌になって…返しにきたんだ」
幼「そっか…。……あ、ここのちょっと出っ張ってる部分…ここに私の硝子片をくっつけてくれたのかな…。……きっとそうだよね…こんな…色なんだし…」
男「…………すごく…綺麗だな…」
幼「…うん…………不思議だね………最初から虹色なんて……」
男「光を当てたら、もっと綺麗な虹が見れるのかな…?」
幼「……うん…きっと…そうだよ…」
男「……そっか…もっと…綺麗な虹…見てみたいな…」
幼「……うん…私も…」
男「……………あのさ、幼なじみ……。俺さ……本当は幼なじみの事が………」
end
806 : ◆1Ktpvm1Ed. - 2010/07/03(土) 01:19:40.24 tNP8LYY70 107/108う、ううむ。この終わり方はちとまずかったか?
815 : ◆1Ktpvm1Ed. - 2010/07/03(土) 01:39:15.38 tNP8LYY70 108/108消化不良な終わり方さしちゃってすまないな…
これじゃあ物足りないって人には本当申し訳ねー…
次機会があったらその辺なんとかする。そん時また目にかかる事があったらよろしくな
てか次は自分でスレ建てなきゃな
それじゃみんなおやすみ
長い間付き合ってくれて本当にありがとう