1 : 以下、名... - 2014/07/17 01:43:26 w2e6fp1k 1/16

「うぅ....うぅううう....」グスグス

「...............」ダラン

「....救えなかったんだ....あたしはこの子を救えなかった!」

「....お前はよくやったよ」

「やめて....慰めなんか....お願いやめて........」ガタガタ

「弟くんは君に感謝してる。....死ぬ間際、君と一緒に過ごせて良かったと」

「こんなに自分を想ってくれる人がいて幸せだったと。そう思っている」

「か....勝手なことを....言わないで!」

「結果はどうあれな....意識を失う瞬間、弟はそう思っていた」

「生き残っていたら....君にそのことを伝えたろう」

元スレ
終わりの後、始まりの前
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1405529006/

2 : 以下、名... - 2014/07/17 01:44:03 w2e6fp1k 2/16

「.......『この』弟はもうそれを伝えることができない。」

「だから代わりに俺が来たんだよ。全てはこのために....」

「............あん....た....?」

「これは想像や憶測なんかじゃない。弟が幸せを感じていたこと....きっと分かってくれよ」クルッ

「............行かないで?」

「............俺は俺だ。その子の代わりにはなれない」

「待って....待って!お願いだから....弟ぉ....」

「............」スタスタ

「待って....おね....がいだから....」

「................................」スゥッ

   スゥゥゥゥゥッ............

3 : 以下、名... - 2014/07/17 01:44:54 w2e6fp1k 3/16

「....おかしい」

「分かってるわよ....この子が死んだのはあたしのせいだって....」

「見える....あたしは....身代わりになれた」

「この子を救えた....なのに....」

「............それをしなかったんだ。」

「..................」

  チャキッ

「辛すぎるって............こんな....世界....」グッ

  グサァッ

  ブッシュウゥゥゥ............

「................................」ドサァ....

  スゥゥゥゥ....

4 : 以下、名... - 2014/07/17 01:45:48 w2e6fp1k 4/16

「............」スゥゥゥゥ....

男が過去から戻ってきた。

「....お帰り。」

「............」スタスタ

「........どうだった?ん?」

「お前の姉は....救えたのか?」

  スタスタスタスタ

「おい....何かあったの....」

  ガシィッ

「う....ぅっぐぇ....?」

突然首を締めあげられる。

5 : 以下、名... - 2014/07/17 01:46:42 w2e6fp1k 5/16

「....めぇーのよぉ............」

「............てめぇのよぉ!」

  グググッ....

「かっ........はぁっ............?」

「てめぇのせぇじゃねーか........あぁ!?」

「いや違うね!俺のせいだね!」

「お前が悪いんだぜ!」

「なんなんだ?俺がやったことだ!全部!」

「ははははははははははははははは!!!」

  ドサァッ

「げほっ....ハッ....ハッ....」

6 : 以下、名... - 2014/07/17 01:47:46 w2e6fp1k 6/16

  ハハハハハハハハハハハハハハハ

「あいつ....何言ってるんだ....どうしちまった....?」

「俺だよ!」グルン

「弟を殺したのは俺だ!」

「女にあんな顔をさせたのも!全部俺だ!!」

「だってそうだろ!?そうしなきゃ女が死んでたんだ!!」

「....................お前の姉を、救えたんだな」

「救えた!救えた?救えただとっ!!?」

「ははははははははははっ!!フザけろ!!!」

7 : 以下、名... - 2014/07/17 01:48:19 w2e6fp1k 7/16

   アハハハハハハハハハハハハハハ

「....な....なんなん....だよ....」

「」ツカツカツカ

  ゲシィッ!

「ぐふっ!」

今度は腹を蹴り飛ばされる。

「裏切った!裏切った!裏切った!」ゲシッゲシッ

「俺が女に嘘をついた!俺がついた!女についたっ!!」ゲシッゲシッゲシッ

「がはぁっ....がっ!」

8 : 以下、名... - 2014/07/17 01:49:09 w2e6fp1k 8/16

  ................................

「ハァっ....ハァっ....................」ゼェゼェ

「....................」ゴトッ

  バシャアッ!

「っ!?」バシャッ

ガソリンだった。男が俺にたっぷりガソリンをぶっかけていた。

「............超............イラつく........」ゴトン

「やっ..........やめっ....................」ポタポタ

「」シュボッ

「............................」

「死ね」

  ポイッ

「............っ............」

俺が燃えた。

9 : 以下、名... - 2014/07/17 01:49:52 w2e6fp1k 9/16

「いぎぇああああぁぁぁぁああああ!!!」

  ボォォォォォ

「....................................」

「いひっ、いひっ、いっぐぁあああっ!!!」ジタッバタッ

「............死ね!死ね!死ね!」

「ふっ、ひっ........ひぃっ....」ググッ

前はロクに見えなかったが、がむしゃらに手を伸ばした。

「ふぬっ、ふっ、ふぅっ....」ガシッ

「........」グイッ

「....放せ!放せ!死ね!」ゲシィッ

「うぎっ....ぎっ、ぎがぁぁ............」グィィッ

「このっ、このっ、このぉっ........っ!!」ゲシッゲシッ

蹴りを浴びながらも男にすがりつく。力を振り絞って男を床に引き倒した。

10 : 以下、名... - 2014/07/17 01:50:31 w2e6fp1k 10/16

「やっ、やめ........................火がっ!」ゾッ

「ふいっ、ふぃいいっ........ふぬっ!」ガシッ

「放せっ!」

「うっ............うっうっ........」グゴゴゴ

   ブシャアアアッ

ぶっかけられた時飲み込んでいたガソリンを吐き出し、至近距離で吹きかけた。

「むがぁぁぃいあああああああ!!」シュゴォォオオオ

男の顔面が燃え盛る。

「えぃいっ、えん、えっえぇ............」カタッ

「むぬぉおおぉぉおおおおおっ!!」ガリガリ

男が顔を掻きむしる。
焦りきったその様子を見て、体が焼けながらも俺は不思議に冷静だった。

11 : 以下、名... - 2014/07/17 01:51:16 w2e6fp1k 11/16

「ふっ....................」チャキッ

「もんぬぉおおぉおおおおおぉぉぁあああああ!!!」

   ドスッ

男の胸にナイフを突き立てた。

「むぃいいいぃぃぃぉおぉおおおぉおおおあ!!!」

気付いているのか、いないのか?
男は顔を掻きむしり続けている。

   ドスッ     ドスッ

「ふぇぇ........................」ドスッドスッ

12 : 以下、名... - 2014/07/17 01:51:52 w2e6fp1k 12/16

何度も何度も繰り返し刺した。
ボロボロの体を動かし続け、火が消えた後も燃えるような痛みが続いた。

「....................................」

「....................ハァっ................ハァっ............」カタン

気付けば男は死んでいた。
俺は男にのしかかるような格好で、指一本動かせず転がっていた。

   スゥゥゥゥゥゥ................

13 : 以下、名... - 2014/07/17 01:52:23 w2e6fp1k 13/16

「........................」

「........................」スゥゥゥッ

傍らに男が現れた。

「.........................」

「............気持ちが....悪いんだよ............」

「........................」

「晴れねぇ............晴れねぇ........っ!!」

(........あいつは....................きっと............)

(俺を殺した............未来から........来た........)

14 : 以下、名... - 2014/07/17 01:52:57 w2e6fp1k 14/16

「........................お前も........」

「お前も殺せば....................」

「少しはスカッとするかなぁぁああぁあ!!??」ギャアアアッ

きっと過去で分岐した世界は、他にも沢山ある。
ある世界では俺は男に殺され、またある世界では共に死んだんだろう。

その中でも。おそらく俺は特別。

(....................ツイ............てる................)



            カチッ

15 : 以下、名... - 2014/07/17 01:53:29 w2e6fp1k 15/16

ズギュウウウウウウン!!!

....と時を超える。

「男は...あいつの中で何があったのかは知らないが...狂っちまった...」

「そして俺は殺される...無限に生まれた未来によって...」

「.............『本編』はもう終わっている」

「男が女を救い、元の時代に帰った時点で...そこがエンディングのはずだ」

「この話は男と女のものだった」

「俺なんて全くの脇役...出しゃばるべきじゃないのかも知れないが」

「気に入らないんだよ...あの終わり方は」

16 : 以下、名... - 2014/07/17 01:54:00 w2e6fp1k 16/16

「あの終わり方じゃダメだ。」

「エンディングの後、男が狂おうが...例えば女が自殺しようが。本編には関係無いはずで...」

「これ以上手を加えたって...ただの蛇足になるんだろうが...」

「違うんだぜ...全然違う」

「こんなの間違ってる...」

「....俺がやるしか無いんだよな。」

「主人公達が...頼りないからよ...あぁ、やってやるさ」

「あの時代に行って、男と女に希望を与えてやる。」

「二人を納得させて...これでいいんだと...安心してエンディングを迎えられるように」

「待ってろよ......今行く。ハッピーエンドを作ってやるよ」




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