森夏「なによ、このマンガ」
勇太「友達に借りたんだよ。マンガ全四巻と第一期? のブルーレイをな」
森夏「えっ? 一色くんってこんな趣味があったの?」
勇太「一色のじゃないよ」
森夏「……アンタ、こんなに女の子が書かれて恥ずかしいからって、いもしない友達でっち上げるのはどうかと思うわよ?」
勇太「いやいるよ!? なんで俺の友達が一色だけみたいな認識になってるの!?」
森夏「えっ……? あんたに、他の友達が……?」
勇太「傷つく! さすがの俺でもソレは傷つくよっ!」
元スレ
凸守「偽モリサマーを怒らせてしまったデス…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1352732712/
森夏「まあでも正直、マンガだけって言っても部室で広げるべきもんじゃないでしょ、コレ」
勇太「まあそうかもだけど、あまりにも勧めてくるから気になってな」
勇太「どうせ凸守もくみん先輩もいないし、アイツも職員室に呼び出されたから、ちょっと読んでみようと思ってな」
森夏「いやあたしがいるし」
勇太「今日はチア部の方に行くと思ったんだよ。そしたらやってきたから逆に驚いたぐらいだ」
森夏「ふ~ん……で、面白いの? 早速マンガの一巻をお読みになってる富樫くん?」
勇太「いや、まだ冒頭だし……なんか軽音部? を三人で作って、一人の女の子を勧誘してるところだし」
森夏「あ、そ。まあどうでも良いけどね」スッ
勇太(と言いつつ二巻を手に取る丹生谷様であった)
森夏「…………」
勇太「…………」ペラ
森夏「……ねえ」
勇太「なんだ?」
森夏「ちょっとソッチを貸しなさい」
勇太「はあ? 俺今読んでんだけど」
森夏「か・し・な・さ・い」ゴゴゴゴ…!
勇太「……はい」スッ
森夏「ありがと。お礼に呪い殺さないでおいてあげるわ」スッ
勇太(マンガ一冊の貸し借りで呪われるかどうかの瀬戸際だったのか!?)
森夏「…………」ペラ…ペラ…
勇太(はあ……仕方ない。どうせ四コママンガだし、先に二巻から――)
森夏「…………」ペラ…ペラ…パラパラパラパラパラ…
勇太(――って読んでないっ!?)
森夏「……なあんだ、やっぱりか。ありがとう。返すわ」
勇太「な、なんだ? どうしたんだ?」
森夏「いやちょっとね」
勇太「……なんだよ。気になるじゃないか」
森夏「ちょっと気になる子がいたから、もしかして一巻から出てるのかなぁって思って」
森夏「まあ冒頭のカラーページの段階でいないだろうなとは薄々思ってたんだけど、確認したくてね」
勇太「ああ……それってもしかして、中野梓ってキャラクターか?」
森夏「なんで分かるのよ。やっぱりアンタの……」
勇太「いやいやいや! コレを貸してくれたヤツがその子が一番のお気に入りだっていう話をしてたんだよ。二巻から出てくるって話もされたし、だからかなって思って」
森夏「ふ~ん……」ペラ…
勇太(あ、これもう集中してる状態だ……話かけないでおこう)
~~~~~~
凸守「だーんだーんだーんだーんでんでん」
ガラッ
凸守「マスター!」
勇太「おっす。六花ならまだ来てないぞ」
凸守「おう、そうデスか。ダークフレイムマスター」
勇太「その名で呼ぶな」
凸守「それで、何を読んでいるのDeathか?」
凸守「ま……まさか……! ダークフレイムマスターが使役する、魔界に住みし獣を呼び出すための魔導書……!」
勇太「んなわけあるか。ただのマンガだよ」
凸守「ほうほう。凸守これでもマンガは結構詳しい方なのDeath」
勇太「けいおんっていうやつだけど、知ってるか?」
凸守「けいおん……? いえ、知らないDeathね」
勇太(だろうな。お前が知ってるマンガって確実に中二要素が入ってるやつだろうし)
凸守「それで、この偽モリサマーもそれを読んでいると」
勇太「ああ。さっきから夢中でな」
凸守「ほほう……なら、今は何をしても反撃されないと、そういうことデェスか」
勇太「……止めといた方が良いと思うぞ」
凸守「止めるなデス! ダークフレイムマスターッ!」
パタン
森夏「ふぅ……」
凸守「ちぃっ……! ダークフレイムマスターが邪魔をするから、絶好の機会が失われてしまったのデス!」
森夏「…………」ジ~…
凸守「ん? なんですか、偽モリサマー」
森夏「……ねえ中坊。ちょっとお願いがあるんだけど」
凸守「はあ? 誰がお前のお願いなんて聞くもんDeathか。頭のネジでも外れたのではないのDeathか?」
森夏「ちょっとあたしのことを先輩って呼んでみてくれない?」
凸守「人の話を聞けデス! っていうかそんなの絶対にイヤデスッ! 誰がお前なんかを敬うDeathかっ!!」
森夏「え~? 良いじゃない。減るもんじゃない」
凸守「わたしの体内に現存する魔力が枯渇してしまうのです……今こうしてお前と話している間も、私は少しずつ魔力が――」
森夏「お願い! 一回! 一回で良いからっ!」
凸守「――ってだから人の話を聞けDeath!!」
勇太「お前……そんなに気に入ったのか」
森夏「うん。だって梓ちゃん、とっても可愛いのよ~」
凸守「あずさ? だれDeathかそれは」
森夏「知らないの? あずにゃんよあずにゃん」
凸守「……ダークフレイムマスター。今日のコイツはおかしいのDeath」
勇太「知ってる。俺もそう思ってるところだ」
勇太「っていうか、なんで凸守なんだよ」
森夏「なんでもなにも、似てるじゃない」
勇太「そうなのか? 聞いた話だとコイツとはかけ離れてるキャラだと思うが……」
森夏「一年後輩で、ツインテール。ほら似てるじゃない」
勇太(え!? そこだけっ!?)
森夏「後は素直になってさえくれれば完璧なんだけどねぇ~……ま、さすがにそこまでは求めないわ」
森夏「だからお願い! 一度だけ! 一度だけ聞かせてっ!」
凸守「絶っ対に! イヤ、デスっ!」
森夏「なんでよっ! 一回ぐらい良いじゃない! 減らないんだしっ!」
凸守「減るとか減らないとかそういう問題じゃないのDeath! これは凸守のプライドの問題なのデスッ!」
森夏「はんっ、あっそ。じゃあもう良いわよ。さってと、それじゃあ三巻三巻~♪」
勇太「おい、まだ読む気か?」
森夏「当然でしょ。どうせなんにもすることが無いんだし、このぶか――」
凸守「とぉりゃあぁっ!」
バシンッ!
森夏「――つぁいたいっ!!」
凸守「ふんっ、凸守ことをバカにしておいて、無傷で終えられると思っているのDeathか? その甘々な考え……死を招くのDeath!!」
森夏「こんの中坊! またその髪ぶつけてきやがって! そろそろバッサリ切断して唯ちゃんみたいにしてやろうか、あぁん!?」
勇太「丹生谷、さすがにその言葉遣いは女として超えてはいけない一線を越えてると思うぞ!」
凸守「やれるもんならやってみろDeath! 貴様なんて赤子の手を捻るように倒してやるのDeath!!」
森夏「言ったわねコイツ! 牛乳飲ませんぞこらっ!」
勇太「おいこれもうちょっと静かにしないと……」
ワーワーギャーギャー…!
勇太「……まあ、くみん先輩もいないし、別に困らないから良いか」
~~~~~~
パタン
勇太「ふぅ……やっと一巻が終わったか。四コマって意外に時間がかかるもんだな……」
勇太「……んで――」
森夏「はぁ……はぁ……はぁ」
凸守「くっ……はあぁ……なんという……ちから……なの……デス……!」
勇太「――こっちもちょうど終わったか」
森夏「ちっ……! 全く、ここだとゆっくりマンガを読むことも出来ないの!?」
勇太「あきらめろ。凸守が来た時点でな」
森夏「やってらんないわね……ちょっと、残りのマンガと……あと借りたって言ってたブルーレイも貸しなさい」
勇太「はあ!? なんで!? 俺が借りたものなのにっ!?」
森夏「だってここじゃゆっくりと読めないでしょ。家で読むわ」
勇太「ならブルーレイはいらないだろ!?」
森夏「せっかくだからよ。良いじゃない。明日には絶対に返すから」
勇太「……又貸しってしたくないんだけどな……」
森夏「だったらあんたがこの中坊を大人してくれる?」
勇太「六花が来たら大人しく――」
森夏「なると思ってるの?」
勇太「――……んんんんんんんんんん~~~~~~~~~~~~~~~~~~……!!」
勇太「……………………はあ……分かったよ」
勇太「ただし! 絶対に明日俺に返すこと。それと、汚さないこと。あと、明日お前自身がコイツ自身に借りたことを言うこと! これが最低条件な」
森夏「よっし! ありがと、富樫くん♪」
勇太「事後承諾とか本当に嫌いなんだけどな……」
勇太「ああ……俺はなんて悪いことをしてるんだ……」
森夏「気にしすぎなのよ、アンタは」
勇太「むしろお前はいい加減すぎると思う……」
森夏「そう?」
勇太「はあ……あ~……コレが俺の私物だったらこんなに罪悪感を抱くこともなかったのにな~……」ゴソゴソ
勇太「あぁ~……本当に良いのかなぁ……」スッ
森夏「はい。どうも~」スッ
凸守「…………」コソコソ
勇太「おい凸守!」
凸守「っ!」ビクッ
勇太「コソコソちょっかい出そうとするな! 万一傷がいったりしたら俺のせいになるんだぞ!?」
凸守「ちっ……! 仕方ないのDeathね。ダークフレイムマスターに免じて、ここは大人しくしておいてやるのDeath」
森夏「さってと。借りるもん借りたし、今日はもう帰るわね」
凸守「ほぅ……逃げるのDeathか?」
森夏「そんなやっすい挑発には乗らないわよ。っていうか乗ってる場合じゃないの」
森夏「なんせさっさと家に帰って梓ちゃんを見ないといけないもんね~♪」
凸守「きもっ!」
森夏「なんとでも言うが良いわ。それじゃあ二人とも、おっさき~」
ガラ
六花「邪王心眼の使い手、ただいま……参上っ!」バーン!
森夏「おっと」
六花「決まった……! ……ん? 丹生谷はもう帰るのか?」
森夏「うん。ちょっと用事が出来たの。だから先に帰るわ」ナデナデ
六花「? ? ? ……………………っ!?」
森夏「それじゃあバイバイ。また明日ね~」タッタッタッタッ…
六花「あ、ああ……また明日……」
パタン
六花「…………丹生谷はどうしたんだ? 他の魂でも憑依させていたのか? 一瞬頭を撫でられていることに気付かなかった」
勇太「ちょっと……いやかなり上機嫌だっただけだよ」
六花「む……勇太、何を読んでいる。まさかまた異世界へと向かうための記述を見つけたのか?」
勇太「ちげぇよ。ただのマンガだ」
六花「マンガ……けいおん?」
勇太「ああ。知ってるか?」
六花「知らない」
勇太「本当は四巻まで持ってたんだけどなぁ……三巻から先は丹生谷に持って行かれちまった」
凸守「本当に面白いのDeathか? これは」
六花「これは勇太のものなのか?」
勇太「いや、借り物だけど?」
六花「ならば一色の趣味か。正直意外だ」
勇太「…………」
六花「? どうした?」
勇太「いや……ただ、一色じゃなくて、他の友達のだよ。それは」
六花「え……? 何を言ってるの? 勇太。他に友達は――」
勇太「だからいるよっ!? どうして丹生谷もお前もそう俺の友達=一色のみの認識なの!?」
六花「――……なるほど……異世界の友人、か……」
勇太「クラスの友人だよっ!」
凸守「…………」
勇太「……っていうか、お前もさり気なく面白そうに読むのな」
~~~~~~
翌日
極東魔術昼寝結社の夏
~~~~~~
森夏「はい。これ」スッ
勇太「おお、ちゃんと約束通りだな」スッ
森夏「当たり前よ。帰ってから速攻で見たわ。で、このアニメって続編とかないの? マンガの途中までしか無かったんだけど」
勇太「ああ……なんでも、第二期があるとか」
勇太「コレを貸してくれたやつは『二クールによる引き伸ばしのせいで見る気が失せた』とか『そもそも原作から入ってるとあのスローペースはいただけない』とか言って買ってないみたいだけどな」
森夏「え~……!? なによそれ~」
勇太「いや俺に言われてもな……っていうかそれぐらい自分で調べろよ」
森夏「仕方ないでしょ。何回も見直してたら時間なくなってたんだし。寝たのなんてもうほとんど朝よ」
勇太「お前どんだけハマってんだよっ! 寝る時間まで削るな!」
森夏「仕方ないでしょ。だって面白かったんだもん」
森夏「でもそうか……二期はあるのに望めないのか……」
勇太「……そもそもお前、昨日の俺との約束は守ったのか?」
森夏「約束って?」
勇太「本人に自分から事後承諾を取るって話だよっ!」
森夏「ああ~……」
森夏「って言ってもあたし、よくよく思い出したら誰に借りたのかアンタから聞いてないんだけど」
勇太「あ~~~~~! しまったっ!」
森夏「だから改めて誰か教えてよ。ちゃんとお礼言いに行くから」
勇太「はぁ……そうだな……。……くっそ~……なんて初歩的ミスだ」
森夏「ま、今日は金曜日だから、月曜日になるけどね」
勇太「だな……」
森夏「んじゃそういうことで。今日はもう帰るわね」
勇太「え? もう? くみん先輩も凸守もまだ来てないんだぞ?」
森夏「なんのためにあの子を置いてまでさっさと部室に来たと思ってるのよ」
森夏「他のやつ等来て面倒なことにならないうちに、ソレを渡したかったからよ」
勇太「はあ……で、なんでそんなに慌てて帰るんだ?」
森夏「レンタルショップに寄るからよ」
勇太「なんでま――って、まさか……」
森夏「そ。けいおんの第二期を借りて帰るのよ」
勇太(コイツマジでどれだけハマってるんだ!?)
~~~~~~
森夏の家
~~~~~~~
森夏「さて、と……」
森夏(ありがたいことに全巻あったし、返しても後悔しないぐらい何回も見ようかな)
森夏(て言っても、さすがに今からすぐにとはいかないから、真夜中にぶっ通してになるかな……家の手伝いもあるし)
森夏(ふふふ……待ってなさい。あたしの梓ちゃん♪)
~~~~~~
森夏(あ~……確かにちょっと引き伸ばしが酷いかもなぁ……まあブルーレイで見てたら気にならないけど)
~~~~~~
森夏(いや、っていうかコレは割りと必要じゃない? みんなそれぞれの繋がりが強調されるって言うか……)
~~~~~~
森夏(うわヤバイ……このまま文化祭の話しいくと絶対に泣く……なんでこんな感情移入させるのが巧いのよ……!)
~~~~~~
森夏「うっ、うぅ……」
森夏(あ~……マジで感動する。最後部室で泣かせるなんて、コッチだって泣くに決まってるじゃない……)
森夏(梓ちゃんだって一人になる不安の中頑張って……ライブ成功させて……)
~~~~~~
森夏(もうそろそろ卒業か……結構早かったな……ってもうそろそろ朝!? いつの間にっ!?)
森夏(……いやでも……もうちょっとで最終回だし……このまま……)
~~~~~~
森夏「うぅぅ……うううぅぅぅ……!」グスグス
森夏(なによコレ卑怯じゃない……! マンガでアレだけ感動したんだから当然じゃない……こんな演出止めてよね本当にもう……!)
~~~~~~
森夏「あ~……落ち着いた……」
森夏(やっぱ一気に見ると感動が違うわ……名作ねコレは)
森夏「……少し寝たら、もう一回通しで見よう」
~~~~~~
そんなこんなで、週明け
教室
~~~~~~
森夏「あ~……」
勇太「おはよう、丹生谷」
六花「おはよう」
森夏「ん~……おはよう」
勇太「どうした? 顔色悪いぞ」
森夏「ちょっとけいおんを見すぎてね……ほとんど寝てないのよ……」
勇太「……よくそれで学校に来れたな」
森夏「アニメ見すぎて休みたいなんてどこのバカなのよ。あたしは頑張るわよ」
六花「私はよくやりそうになる」
勇太「十花さんも大変だな……」
勇太「ま、ムリはするなよ。倒れそうになったらすぐ保健室に行くんだぞ」
森夏「アンタに言われるまでもないわよ……」
勇太「いやお前の場合絶対無茶するだろ」
森夏「そんなことないわよ……」
勇太「本当かなぁ……」
~~~~~~
放課後
~~~~~~
森夏「ダメ……もう限界……」フラ…フラ…
勇太「お前……マジですごいな」
森夏「あぁん? なにがよ」
勇太「そんなフラフラなのに、よく授業中寝なかったな」
森夏「ぁったりまえでしょ。んなことしたらなんのために学校来てイヤイヤ授業受けてるのかわかんなくなるじゃない」
六花「……少し、呂律が回っていない」
勇太「今日はもうそのまま帰るだろ?」
森夏「ううん……部活行く」
勇太「チア部にか!?」
森夏「それはさすがにムリ……だから、アンタたちの方」
六花「丹生谷、ムリはよくない」
勇太「そうだぞ。それに、そこまで無理をしてなにがあるっていうんだ」
森夏「……今日は、なんとなくいけそうな気がするのよ」
勇太「なにが?」
森夏「あの中坊に先輩って呼んでもらうのがよ」
勇太「まだ諦めてなかったのか!? っていうかそれこそ明日で良いだろ!?」
森夏「ダメよ……あたしの中にあるあずにゃん熱が、今日呼んでもらいたいと叫んでるのよ……!」
勇太「……ダメだこりゃ」
六花「勇太……さすがに、丹生谷が心配」
勇太「ん~……とはいえ、無理して帰らせるのも難しそうだしな……仕方ない。部室で少し寝てもらうか」
六花「そうか! くみんの枕を借りるのか」
勇太「そういうこと。で、凸守にはこちらから頼む」
勇太「それで呼んでもらって、さっさと帰らせて、ちゃんと眠ってもらおう」
六花「分かった。それじゃあ凸守のところに行ってくる」
勇太「ああ、頼む。俺は途中で倒れないよう、丹生谷に付き添うよ」
六花「……いやちょっと待て、勇太」
勇太「あん? どうした?」
六花「ここは役割を逆転させよう」
勇太「どうして?」
六花「どうしてもだ」
勇太「…………」
六花「…………」
勇太「……まあ、良いけど」
六花「よしっ。では凸守を頼む。わたしは丹生谷に付き添おう」
勇太「はいよ」
勇太(俺が丹生谷と噂されるかもしれないってのを気にしたのか……? ……いやまさかな)
~~~~~~
凸守「てーってっててーてっててーててててー」
勇太「お、いた」
凸守「おぉ! ダークフレイムマスター! わざわざお迎えDeathか?」
勇太「その名を廊下で呼ぶなっ! ……んまぁ、部室に来てくれてる途中で人気も無いからまだマシだけど……」
凸守「それで、どうしたのDeathか?」
勇太「実は、お前に頼みがあってな」
凸守「なんDeathか?」
勇太「部室に行ったら、丹生谷のことを先輩――」
凸守「イヤなのデスッ!」
勇太「――って、即答!?」
凸守「その話は偽モリサマー本人としている現場にあなたもいたはずDeath。そして言ったはずDeathよ? これはわたしのプライドの問題だと」
勇太「いやそうなんだが……そこをなんとか! お願いっ!」
凸守「いくら頼まれたってイヤデス! どうしてもと言うのなら……わたしを倒してみろDeath!!」
勇太(くそっ……! これは面倒なことになったぞ……)
勇太(さすがに学校であんなこと(妄想バトル)するわけにもいかないし……っていうか丹生谷のために自己犠牲とか勘弁だし……)
勇太(どうすれば……どうすれば良い……?)
凸守「さあ……どうするのDeathか?」
勇太(……というか、丹生谷の調子が悪いからってここまでする必要ってない気もするな……)
勇太(ちょっと寝かしてそのまま本人が凸守と話せば良いんじゃ……?)
勇太「……そうだよな……」
勇太(なんか辛そうな丹生谷を見て叶えてやろうとか考えたけど……冷静になったらアレは自業自得な寝不足だもんな……)
勇太(俺が頑張ることもないか)
凸守「なにが、そうなのDeathか?」
勇太「いや、イヤがってるのを無理にさせることはないと思ってな」
凸守「ほぅ……ダークフレイムマスターともあろう者が、凸守から逃げる、と……?」
勇太「だからその名で呼ぶな。っていうかお前はバトりたいのか……」
勇太「……まあいいか。ほら、部室に行くぞ」
~~~~~~
極東魔術昼寝結社の夏
~~~~~~
ガラッ
くみん「あ、デコちゃん」
六花「よく来たな、凸守」
凸守「ふっふっふ……凸守早苗……すいぃぃぃぃぃぃぃっ……さんっ!」ザッ!
凸守「ふっ……決まったのデェス……!」
勇太「入り口で格好付けるなっ。後がつかえるだろ?」
くみん「富樫くんも。いらっしゃい」
勇太「どうも」
森夏「…………」スゥ~…スゥ~…
凸守「おや? 偽モリサマーはおねむDeathか?」
勇太「ああ。ちょっと寝不足らしくてな」
六花「……ゆうた」
勇太「ん?」
六花「凸守には頼めたのか?」
勇太「いや、断られた」
六花「そうか……」
勇太「っていうか、冷静になったら俺達が頑張ることもないかもなぁ、って思ってさ。アレはただの自業自得だろ?」
六花「……しかしそれなら、丹生谷は早くウチに帰した方が良いかもしれない」
勇太「なんで?」
六花「付き添っていて気付いたが、現在あの身体は火炎の魔獣に支配されている」
六花「早々に離体の儀を行わなければ、魔獣をウチに秘めた身体が負荷に耐え切れなくなる」
凸守「おや? 偽モリサマー、もしかして……」
勇太「……どういうことだ?」
六花「端的にいうと、風邪をひいている」
勇太「はぁっ!?」
くみん「それも結構酷いよ? たぶん、寝不足な身体で無茶し過ぎたからじゃないかな?」
勇太「それじゃあ早く帰さないと……! いや、もう先生に頼んで親御さんを呼んでもらうか……?」
くみん「あ、まだそこまでは酷くないの。ただこのまま部室で寝かせてると酷くなるってだけで……」
勇太「それじゃあ早く帰した方が良いですね……とりあえず、保健室で冷やすものもらって来ます」
勇太「それで今日はもう、みんなで丹生谷に付き添って、家に帰しましょう」
くみん「それがいいね」
六花「分かった」
凸守「…………」
勇太「そういうことだ、凸守――って、お前この状況で何かイタズラを――!?」
凸守「…………」
勇太「――……いや、ごめん。……その、そんなに心配することもないからな……?」
凸守「は、はぁっ!? 心配なんてしてないのDeath!! この隙にどんなことをしてやろうか考えていただけなのデスッ!!!」
凸守「落書きなんて安直なもの以外に何かないかを考えていただけDeath!!」
勇太「……ははっ。そうかい」
凸守「ちょっ、なんでそんな微笑ましそうな顔をするのDeathかっ!?」
勇太「いやいや、そんなそんな」
勇太「それじゃあ俺、保健室行って来ますね」
凸守「ちょっと! 答えてから行くのDeath!! ダークフレイムマスター!!」
ガラ
パタン
凸守「全く……」
凸守「…………」
凸守「……お前もですよ、偽モリサマー」スッ
凸守「倒れてまでこんなところに来て……バカDeathね」
凸守「呆れ果ててしまうのDeath」
凸守「さすが、モリサマーの偽者Deathね。情けない」
凸守「周りに心配なんて、かけさせるなDeath」
凸守「…………」
凸守「早く、元気になってください。……その……」
凸守「丹生谷……せんぱい」ボソッ
森夏「…………ありがとう」
凸守「なっ……! なっ、なっ……! なななななっ……!」カ~!///
森夏「呼んでくれて……嬉しい……」
凸守「なっ、なんなんですかコレは~~~~~~~~~~~!!!!!!」
くみん「ああ~、デコちゃん落ち着いてっ」
六花「ただの寝言だ。丹生谷はまだ寝ている」
凸守「いいえ謀ったのデス! たばかったのデスッ!! きっとコイツはしんどそうなフリをして、わたしに先輩と呼ばせたのDeath!!!」
ドンッ!
森夏「いたいっ!」
凸守「せ、精神攻撃にもほどがあるのDeath!! すごく顔が熱いのDeath!!! この辺一体の気温を上げてくるなんともいやらしいわざなのDeath!!!!!」
森夏「あ、足が~~~~!!! 足が痛い!! 足首にすごい鈍痛がっ!!」ゴロゴロゴロ…!
凸守「ふんっ! 凸守を騙すからこういうことになるのDeath!!」
森夏「なんの話よっ! グーで足首を叩き付けたヤツがなんて言い訳してんのよっ!!」
くみん「あぁ、モリサマちゃんもそんなに熱くなっちゃダメだよ。まだそんなに酷くないけど熱が――」
森夏「んなものないっ!!」
六花「いや、本当に叫び過ぎない方が良い。封印術で落ち着かせていた体内の魔獣が再び暴れ――」
森夏「わけわかんないこと言うなっ!」
六花「ひぅっ……! にぶたに……こわい……」
森夏「だいたい! このバカ中坊が悪いのよ! 足首痛めたらどうすんのよっ! えぇっ!?」
凸守「なにを怒ってるのDeathかっ!! 怒りたいのはコッチなのDeath!!」
凸守「なんて精神攻撃をしてくるのDeathかっ!! サイアクデスっ!! まだ顔が熱いのデスッ!!」
森夏「なぁにが精神攻撃よっ! 意味わかんないこと言わないでよこの偽あずにゃん!!」
凸守「だ、誰が誰の偽者ですかっ! どう考えてもそのあずにゃんの方がわたしの偽者なのDeath!!」
ガラッ
勇太「……えぇ~っと……」
ワーワーギャーギャー…!
勇太「……どういう状況だ、これ……?」
六花「ゆうたぁ……にぶたにがこわい……」
勇太「いったいなにがあったんだ?」
六花「……ちわ喧嘩が勃発した……」
勇太「……そうか……」
ワーワーギャーギャー!!
勇太「……まあ、落ち着いたら帰しますか」
くみん「そうだねぇ~。二人とも仲良しさんだし、モリサマちゃんもデコちゃんと一緒の方が元気だし、それが良いんじゃない?」
勇太「ですね……」
凸守「絶対先輩なんて呼んでやらないのデスッ! この偽モリサマー!!」
森夏「そんなのこっちから願い下げよっ!! このバカ中坊!!」
終わり

