1 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 22:11:35.70 JHePN9yUO 1/123

美容院

店員「今日はどのような髪型を?」

「き、金髪にパーマあててくださいっ!」

店員「えっ? でもあなた高校生でしょう? 校則とか大丈夫?」

「だだだ大丈夫ですっ!」

店員「……ならいいんだけど」

「」ドキドキ

そう、明日からいよいよ私も高校生。

何かしなきゃいけない、そうずっと思って来た……。

でもちょっと前、ついに見つけたよ!

私……



店員「これでどうかしら?」

「(ツッパリになるよ!)」キリッ

元スレ
唯「今日から私は!」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1299157895/

2 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 22:17:25.15 JHePN9yUO 2/123

次の日!

「なんか思ってたのとちがーう……」

もっとパンチなの想像してたのに。

「お姉ちゃん…」

「あ、憂! 行ってく(ry……コホン 行ってくんぜ!」

「お姉ちゃんが……グレちゃったよぉぉぉぉぉぉ」うわーん


泣くな泣くな妹よ!
今日から私の覇道が始まる、それは確かに危険で過酷な道だけど……てっぺん摂るまでやめらんねぇ!


「金髪にしたし弁当も持ったし~♪」

3 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 22:23:40.23 JHePN9yUO 3/123

「ふふふ……学校に行ったらさぞ目立つんだろうな~。こんな気合いの入った髪色私だけだろうしね!」

「いい子ちゃんはみんな黒髪にしときな……じゃないと火傷するぜってね」

「ふんふふふ~ん♪」

「」

「あ゛?」

あ、あの電車から降りて来る金髪?クリーム色の髪型の人桜ヶ丘の制服着てる……!

「……! よいしょっ!よいしょっ」

鞄から学生手帳を出して校則一覧をガン垂れてやんぜこらー!

「第6項 髪色は黒を原則とする……ちゃんと書いてるよね……」

「」

「……」

「ほんまもんや……あれほんまもんやで!」ガクガクガクガク

5 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 22:28:46.36 JHePN9yUO 4/123

「ビ、ビビっちゃダメだよ! こっちだって金髪だし……今の内に友達……じゃない〆とこうか……!」

「」

眉毛太い……怖い!

「きょ、今日のところはやめといてあげようかな。学校に遅刻してもいけないし……」サササ……

桜ヶ丘高校って意外と悪高だったんだね……。

「でもここで挫けるぐらいならツッパリやってないってんだべらぼ~!」

そうだ、今日から私は!

ツッパリなんだから!

13 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 22:37:03.12 JHePN9yUO 5/123

学校!

クラスは……ここか。初めからガン付けてビビらしちゃおっと。

ガラララ

「」ジロッ

青髪「ん?」
緑髪「どうしたの?」
赤髪「おはよー」

「はわわわわ」

緑髪「?」

赤青緑ってヒーロー戦隊みたいな髪の方々がいらっしゃるなんて聞いてないよぉ!

ヤバいよ……赤とか緑とか校則とか言うレベルじゃないよ。
私が言うのもなんだけど……。

青髪「席順前に貼ってるよ」

「あ……ども……」サササ…

あの人達とは出来るだけ遠くに座りたいな…
あっ、窓側の一番奥だぁ。やったね!

「おかしいよ……なんかいじめられっ子みたいになってる……」

15 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 22:44:01.71 JHePN9yUO 6/123

ダメダメ!金髪悪魔はもっとふんぞり返ってないと!

「お~ここか~」ドカッ

ふふ、わざと荒々しく着席して怖さアピールだよ!
前の席の眼鏡ちゃんガクブルっちゃってるよきっと!

「あれ? 唯髪型変えたの? ってその色!」

……幼なじみでした。

「オナ中の真鍋じゃん! 元気やってっかよ?」バンッ

こう言って肩叩いとけばこいつら仲間か……と思われて迂闊に手は出せない筈!

「元気かって昨日会ったばかりじゃない」

「そうでした」

18 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 22:48:53.10 JHePN9yUO 7/123

「で、その髪型どうしたの? いきなり金髪だなんて。先生に怒られるわよ?」

「えっ!?」

「?」

ヒーロー戦隊の人達はスルーなの和ちゃん……?
そっかぁ……怖くて言えないんだよね。
わかるよその気持ち!

「大丈夫だよ和ちゃん……和子は私が守る」

「和子って誰よ」

「まあなんとかなるっぺ!」

「なんか性格変わったわねあんた」

「でさ、和ちゃん……」

「なに?」

「こんなウニ頭した子見なかった?」

「いるわけないでしょ……」

「そっかぁ……」

伊藤ちゃんはいないんだね……。

22 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 22:55:46.65 JHePN9yUO 8/123

さわ子「副担任の山中さわ子です。このホームルームが終わったら体育館で始業式ですから皆さん出席番号順に並んでください」

「」ドカッ

さわ子「……」

こうやって机に足乗せて座るの憧れてたんだよね~。
せんこーもビビっちゃってるしぃ。

さわ子「えぇっと……平沢唯さん?」

「なんですか? 先生」ニコギロッ

笑みの中にも殺意だよ!
感じとったが最後、もう先生は三年間私に恐怖しながら過ごすことに……

さわ子「パンツ見えてますよ。もっと女の子らしくしなさい」

「はわわわっ」ササッ

さわ子「はい良くできました。じゃあ移動してくださーい」

23 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 22:59:26.62 JHePN9yUO 9/123

あのせんこーめ……次にあったらわんぱんだよわんぱん!

「」ブツブツ

さわ子「小さく前へ習え」

「」ビシッ

さわ子「はいやめ」

「」ササッ

さわ子「じゃあ行きましょう」

「絶対ちょーぱんしてやる……」ブツブツ

青髪「(何か可愛いらしい子ね……)」

27 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 23:08:25.57 JHePN9yUO 10/123

体育館!

「うひゃ~いるね~」

「みんなと仲良くなれるかな……?」

「な~に友達100人出来るかなみたいなこと言ってんだよ! 私らでてっぺんとるんだろ?!」

「てっぺんって……」

「しかし桜ヶ丘って色々な髪色いるな~赤青緑に何でもござれだな」

「あ、あの子……」

「」


「ん? あの金髪がどうかした?」

「綺麗に染めてて可愛いいなって……」

「そうか~? 澪の黒髪の方が私は好きだけどな」

「そうかな?」

「そうそう」

29 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 23:13:18.59 JHePN9yUO 11/123

「……なるほどね」

数だけは大したもんだけど気合いの入ったのは数人って感じかな……。

「まず一年をしめてから二年、三年で最後は裏番……そして桜ヶ丘しめた後は隣の開久(高校名だけ同じ)に乗り込むか……」

「私のツッパリロードも先が長いや……」

「(完璧に何かの影響受けてるわねこの子……大丈夫かしら)」

32 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 23:22:16.27 JHePN9yUO 12/123

先生「続きまして……新入生、答辞」

「ふぁあ~」

早く終わらないかな~。

さわ子「……えぇっ? それでその子は……」

先生「それが凄い熱らしくて途中で……どうしましょうか……」

さわ子「ちょっと内のクラスの子に頼んでみます」

なにやら騒がしい……卒業生のお礼参りでもあったのかな?

さわ子「真鍋さん、ちょっといいかしら」

「はい?」

さわ子「答辞を言う予定の子が熱で倒れちゃって……代わりに壇上に上がってくれないかしら?」

「はあ……いいですけど」

「(壇上→上がる→目立つ)」!

「先生、私がやりますよ……それ」ニヤリッ

36 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 23:30:09.90 JHePN9yUO 13/123

ギシギシとしなる階段をゆっくり上がる。
背筋には何百人もの視線。
答辞ってことはこれはもう一年をシメたと同じことだよね。

ふふ、案外あっさりだったなぁ~。

後はバシッと決めるだけ!

理想
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「新入生代表平沢唯! 平は平の清盛の平! 沢は沢尻エリカの沢! 唯は唯我独尊の唯! 今日からこの学校のてっぺんとるんで二年や三年の人も覚悟しといてくださいよ?」

_ _________ 0o。    現実
   「ほ、ほんじつはお日柄もよよく……」

校長「緊張しなくていいからゆっくりね」

38 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 23:34:46.16 JHePN9yUO 14/123

「これから三年間たくさんのことを学びたいと思います」

パチパチパチ

校長「代役ご苦労様でした」

「えへへ、ども~」

急いで列の中に戻る。

「良かったわよ唯」

青髪「可愛かったよ唯ちゃん」

「お疲れ様」

「ありがとぉ」

ってなんか違うよ!

43 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 23:40:18.14 JHePN9yUO 15/123

放課後!

「結局あんまりツッパリれなかったな~……5ツッパリぐらいだよこんなの」

明日からはもっとツッパらないと……

ドカッ
Σ 「」

「っとごめんごめん急いでてさ! 澪~早く行くぞ~!」

「待ってよ律~」

えっ、今ぶつかったよね?
間違いなくぶつかってきたよね?

「……ちょっと待ってよ」

「ん? 何か用?」

目があったよ!私今だよ!

「おい……なにメンチカツくれとんじゃこらー!」

あっ……ちょっと間違った。

44 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 23:45:32.27 JHePN9yUO 16/123

「メンチカツ?」

「あっこの子……」

「わ、わびいれんかいこならー!」

「こならー? 方言? 澪わかるか?」

「……ちょっとわからないかな」

なめくさりやがって……ここでなめられたらツッパリ失格だよ!
言葉が通じないならこれでどうだ!

「ぶつかったんだからもっとちゃんと謝って……ください」

「なに?」

「だから……そのぉ……」

「あ? なんだって?」

ひいいいいいよく見たらこの子怖い!

「……今日の晩御飯メンチカツだから一緒に食べませんか……?」

48 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 23:49:23.21 JHePN9yUO 17/123

「あ~あれあんたの献立だったの? でも全く違うクラスの子をいきなり晩御飯に誘うって」

「面白い子だね」

「あの……その……」

「あーごめん! 今日は色々と忙しいから。また今度な!」

「あっ……はぃ……」

「私ら音楽でてっぺん取るのに忙しいから! んじゃ! ほら、行くぞ澪!」

「え? あぁっちょっと引っ張るなよ!」

「音楽で……てっぺん?」

律と言う子が片腕で天井を指す光景が何故か目に焼き付いた。

49 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 23:53:17.73 JHePN9yUO 18/123

今日はとことんツッパれなかった分家ではツッパってやる!

「……」

「あ、お姉ちゃんおかえ」

「やんのかこらー!」ぎゅー

「お、お姉ちゃん?」

「ちくしょうがー!」メソメソ

「何かあったの……?」

「なんでもねーよ!」ぎゅー

「……」よしよし


明日こそはツッパってやるんだ……!

三ちゃんだって初めからそこまで……ツッパってたよね……。

53 : 以下、名... - 2011/03/03(木) 23:59:30.38 JHePN9yUO 19/123

見た瞬間に憧れた。

卑怯、最強、最悪、金髪の悪魔。

呼び名はいくつもあり街を闊歩するだけで人は彼を避ける。

でも本当は心優しいところも大好きだった。

そんな存在に漫画と言えど私は憧れた……。

だからツッパリになった。
誰にも指図されず、我が道突き進む……それがツッパリ。

そんな存在に私は本当になれるのだろうか……外張りは三ちゃんでも中身は谷川だよ……。

「明日こそ私は!」

布団の中でそう呟き、眠りについた。

「……わたしぁ平沢だぞ~……zzz」

55 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 00:04:38.29 UAtsjSv5O 20/123

それから私はツッパリにツッパリを重ねた。

立ち読みは当たり前、自動販売機の釣り銭を漁ったり駄菓子屋で500円ものお菓子を買い込んでは我が物顔で食べ尽くす。
学校では一人で飯を食い休み時間もずっと一人!

「ロンリーウルフってやつかな……ふふふ」

でもそろそろ伊藤ちゃんみたいな相棒が欲しいところ……。
和ちゃんじゃハッタリが弱いから他の子がいいなぁ……。

青緑赤髪「」

「……他のクラスで探そう……」

58 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 00:10:37.37 UAtsjSv5O 21/123

どいつもこいつもとっぽいな~もっと気合いの入ったやついないの~?

「あ、あれは!」

「」

あの時のクリーム色!一年だったのか!
ウニ頭はいないみたいだから彼女と組もうかな。W金髪悪魔。かっくい~。

クラスメート「琴吹さ~んちょっといい?」

「ええ」

クラスメート「」

「」

クラスメート「」


あいつ……もうこのクラスしめてるよ!
みんなにさん付けさせるなんて徹底してるよ……私なんて唯ちゃんなのに……。

「気が変わった……やっぱりシメよう」

60 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 00:15:44.99 UAtsjSv5O 22/123

「コンコン」

クラスメート「?」

「あのさ~琴吹呼んでくれない?」

クラスメート「琴吹さん? ちょっと待っててね」

「けっ」


クラスメート「琴吹さ~ん誰か呼んでるよ~」

「あら? どちら様かしら」

クラスメート「あ、あの子答辞の子じゃん。金髪だけど琴吹さんと一緒で地毛なのかな?」

「ちょっと行ってくるね」

クラスメート「行ってらっしゃ~い」



「何かご用意かしら?」

「たいまんだ。体育館裏こいや。ついてきな……」

「たいまん?(あんまんの仲間かしら)」

「いいから来な……!」

64 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 00:22:46.74 UAtsjSv5O 23/123

体育館裏

本当に呼びつけちゃったよどうしよどうしよ!
これから私喧嘩するの?
待って待ってちょっと心の準備が……。

「」アセアセ

「(どうかしたのかしらこの子……さっきから落ち着きがないわ)」

三ちゃんの必殺道具目潰しは持って来てる……最初にこれを決めたらあそこの竹箒で叩きまくって……。

「」アセアセ

「(あら? あの白い紙みたいなもの何かしら……)」

目潰しだと思ってたら答辞の紙だったよ!
入れっぱなしだったよ! 私ツッパってるう!

「……(はっ!)」

「(もしかしてラブレターかしら……! 告白するためにこんなところに……)」

67 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 00:28:22.54 UAtsjSv5O 24/123

ここまで来たら目潰しがなくてもやるしかないよ!
ツッパるって決めたんだ……喧嘩しなきゃ……!

「……う、ぅぅああああらぁっ」

「ごめんなさい!」

「……へっ?」

「気持ちは嬉しいんだけど私達会ってまだ間もないし……」

あっちが謝ったってことは……勝ったの?

「だからやっぱりいきなり付き合うとかは無理だと思うの……」

初勝利……初勝利だよ!

「だから……まずはお友達から初めましょう?」

「あ、あーうん」生返事

三ちゃん私勝ったよおおおおおおおおおおおおおおお!

68 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 00:35:21.47 UAtsjSv5O 25/123

「えっと……確か平沢唯さん……よね?」

「えっ!? 何で知ってるの?」

「平沢さん有名だもの」

「まいったな~」ニヘラ

初勝利の噂がもう広まってるのかな?
全く喧嘩の勝敗情報は伝わるの早いね~。

「それでね、平沢さんのこと唯ちゃんって呼んでいいかしら?」

負けたくせに何ふかしてんだこいつは。ああさっき何か言ってたっけ……。
何て言ってたっけ……まあ多分舎弟になりたいとかそういうのでしょう。
じゃあキッチリ階級差教えとかないとね!

「ダメ! 平沢さんって呼びな!」

「そ、そう……(告白してくれたのに冷たい……))」ションボリ

やったよ! 舎弟が増えたよ!

70 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 00:43:09.65 UAtsjSv5O 26/123

舎弟も出来たし一年はこれで完璧しめたかな?
凄い進歩だよ私! ツッパってるよ!

「」ズンズンズンズン
「(唯ちゃんの外股歩き可愛いい)」

さわ子「平沢さんちょっといいかしら」

「あーん?」

さわ子「あ? 」ギロッ

「」ビクッ

「な、なんですか先生……」

さわ子「平沢さんって部活入ってるの?」

「いえ……帰宅部ですけど」

さわ子「ならちょうどよかった。軽音楽って興味ない?」

「傾怨樂?」

どっかのチームだろうか?
私の妹はいんきだむしのヘッドだぞこらー!

74 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 00:50:12.74 UAtsjSv5O 27/123

さわ子「興味があったら入ってみない? 今部員が二人しかいなくて廃部のピンチなのよ。
そっちの子もどう?」

「私は合唱部に入ろうかと思ってて…」

さわ子「そう…残念ね」

さわ子「まあ見学だけでもしてみて。あの子達毎日練習してるから」

「傾怨樂……」

群れるのは好きじゃないけど開久とやり合うには人数も必要か……。

「琴吹」

「ムギでいいわよ唯ちゃん」

「平沢さん!」

「もぅ~。平沢さん」

「ムギ、傾怨樂入ろう。そんで頭潰して乗っ取ろう!」

「頭潰す??」

「ふふふ……傾怨樂かぁ~楽しめそう」

75 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 00:55:26.53 UAtsjSv5O 28/123

放課後!

「今日も待ぁつ!」

「待つんだ…」

「まぁつ!!!」

「もうずっと待ってるよ、律。明後日までに集まらなかったら廃部だよ」

「……」

「だから文芸部に行こうって言ったのに……」



「ここが傾怨樂疾か……」

中にはしんなーとかあんぱんとかもったやつらがうじゃうじゃいるんだろうな……。

「ムギ……覚悟は出来てるか?」

「唯ちゃんが軽音部に入るなら私も軽音部に入るわ」

「ひ~ら~さ~わ~さんっ!」
「はいはい♪」
「全くもぅ」

舎弟のくせに生意気だぞ!

77 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 01:01:09.24 UAtsjSv5O 29/123

「あの時の約束は嘘だったのか!!!!」

「なに…?」

「なにかしら?」

不疾の中から何やら言い争いが聞こえてくる。

「お前が邊ー守で……私が怒羅無で……一緒に坂東殺ろって……」

「これは……!」

三ちゃんと伊藤ちゃんが裏番とやり合った時のシチュエーションと似てる……!
気がする……!

「行くよ、ムギ」

「えっ、ちょっと唯ちゃ」

ガチャリ

「えっ」
「ん?」

「その喧嘩……私も混ぜろよ」ニヤリッ

79 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 01:07:33.37 UAtsjSv5O 30/123

「もしかして……入部希望者!?」

「坂東ってやつ殺るんでしょ?」

まあこの口振りからすると相手は三年か……さすがに三年を私達二人じゃキツいからね。
三年をシメるまでは手を貸してやろうか。

「バンド一緒にやってくれるの!?」

「三年(シメる)までね」

「三年までって気が早いな! でも嬉しいよ! もしかしてそっちの子も?」

「唯ちゃ」

「」ジロ

「平沢さんが入るなら私も入ろうかしら」

「ほんとっ!? ありがとう!」

「一気に集まるなんて夢にも思わなかった! やったな澪!」

「ああ! これでバンドやれるよ!」

「坂東……」ギリッ

覚悟しときなよ!

83 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 01:17:29.63 UAtsjSv5O 31/123

それからというもの不疾に溜まってはムギの持って来たお菓子を食べるという毎日が続いた。

「いや~まさかあの時の子が入ってくれるなんてな~」

「わからないよなほんと」

あれから一週間経った、しかし坂東が殴り込んで来るわけでもなくこっちから殴り込むわけでもなく……。

「ねぇ、坂東殺らないの?」

「……確かに……軽音部なのにずっとムギのお茶飲んで話してばっかりだな私達。
そろそろ本格的にバンドしないと…な」

「……そうだな。ムギはキーボードだよな?」

「ええ」

「唯……」

「」アアン?

「平沢さん……楽器は?」

87 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 01:22:07.43 UAtsjSv5O 32/123

「目潰し」

「そんな楽器ないから!」

「ビー玉にヨーヨーに花火に爆竹煙玉ボンドコショウ輪ゴムサンデー後は……」

「うん……もういいから……それしまって」

「(ずっとこの調子だよ……ほんとに入部するつもりあるのかな?」

「(だがこれを逃がせば廃部確定……我慢するしかない」

「唯ちゃんおかわりどうぞ」

「平沢さんっ!」

「ひらちゃんおかわりどうぞ」

「ひぃ~らぁ~さぁ~わぁ~さん!」

89 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 01:27:46.43 UAtsjSv5O 33/123

「平沢さんギターとかやってみない?」

「義太ー?」

「そうそう。バンドの中心だしカッコいいよ?」

坂東戦で中心に暴れまくるための武器か何かかな?
ったくすっかり舎弟になりきってやがるこいつら。

「仕方ないな~」

「ほんとに!? じゃあ帰りに見に行こう!」

「レフティフェアやってるかな…」

「(唯ちゃんと進展ないわ~……)」

93 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 01:33:19.16 UAtsjSv5O 34/123

楽器ショップ。

「なんだこりゃ」

「なんだこりゃって……ギターだけど」

「そのぐらい知ってるよ! 楽器屋じゃんここ!」

「うん……楽器屋だけど」

「武器買うんじゃないの?!」

「武器?」

「ほ、ほら! 三年の坂東シメるための武器……」

「三年の坂東? 誰それ。澪知ってる?」

「知らないけど…」

「……は?」

「だから今日はバンドする為にギター見に来たんだろ?」

「バンド……バンド……あ」

「音楽でてっぺん取るとか言ってたやつじゃねぇか!」

「今頃?」

96 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 01:39:32.91 UAtsjSv5O 35/123

「じゃあバンドやるって……」

「言葉通りの意味だけど……」

「?」

「////」カァァァ

「帰る」

「待ってええええ!!! 何かよくわからないけど帰らないでえええ!!!」

「私はツッパるので忙しいの! バンドなんて子供みたいなことやってられないの!」

「バンドが子供みたいなこと……?」

「な、なに? 何か文句あるの?」

「バンドのこと何も知らない平沢さんにそんなこと言われたくない」

「ふ、ふんっ。音楽なんて興味ないし!」

「っ…! 律、あっちでベース見に行こう!」

「おい澪! ちょっと待てよ!」

97 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 01:47:34.31 UAtsjSv5O 36/123

「……何がバンドだよ。くだらない……」

「本当にそうかしら?」

「ムギまで私に文句あるの?」

「唯ちゃんが……例えばツッパリのことバカにされたらどう思う?」

「ぶん殴る」

「そう……。でもね唯ちゃん、これだけは言っておくわ。
暴力だけが強さじゃないわ」

「……伊藤ちゃんみたいなこと言うんだね」

「?」

駄目だよ……バンドなんかやってたら弱くなっちゃう。
それじゃ駄目なんだよ……私は三ちゃんみたいに強くなりたいのに!

102 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 01:58:33.45 UAtsjSv5O 37/123

「あっ平沢さん! 良かった~まだ居てくれた」

「ん?」

「これちょっと弾いてみてよ!」

「これ……ギター?」

「そうそう」

「……」

「ほーら」

「……平沢さんが気に入りそうなカッコいいやつ持って来たから……弾いてみて」

「……」

私は……。

「唯ちゃん」

そうだね……三ちゃんにもいっぱい仲間がいたもんね。だからちょっとぐらい……いいよね。
抱えるものが増えたって。

「」ボロン
「おぉ……」

いい音色しやがる。

104 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:06:32.74 UAtsjSv5O 38/123

「気に入った?」

「おぉ……こりゃスゲェ……」

「でも…それ値段がちょっとね」

「一…十…百…いくらだろう」

「25万円ね」

「二十五万!? というと福沢のおっさんが25人ってこと!?」

「やっぱちょっと高いか。あっちに3万ぐらいのあるからそっちにする?」

「これがいい…」キラキラキラ
「でも…お金ある?」

「」チラッ
財布 50円。

「ちょっと待っててね」
「ん?」

   ドンッ
通行人 Σ 「」

「って~な! どこ見て歩いとんじゃ慰謝料出さんかい!」

通行人「ひいいいい」
「やめんか」

105 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:15:32.71 UAtsjSv5O 39/123

「仕方ない、みんなでバイトする?」

「喫茶店で!?」

「喫茶店か…接客業はちょっと…」

「じゃあ軽井沢で!?」

「なんで軽井沢なんだよ」

「あの~」

「ん?」

「ここ私のお父様の会社の系列だから…もしかしたら安くなるかもしれないわ」

「ほんとにっ!?」

「系列って……凄いな」

「ちょっと行ってくるわね」

「頼んだよ舎弟1号!」


「このギターみかじめ料としてよこせや」

店員「そ、その眉毛は極道組の親分の!」
店員「は、はいっ! 持って行って構いませんっ!」
「すまんのボーズ」

111 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:21:53.47 UAtsjSv5O 40/123

「もらって来たわ!」

「よくやった! 誉めて遣わす!」

「マジで!?」

「ほんとにもらえるもんなんだ…」

「はい唯ちゃん」

「平沢……、ありがとう、ムギちゃん」

「うふふ」

「えへへ」

112 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:28:15.86 UAtsjSv5O 41/123

それから私達は学園祭に向けてひたすら練習した。
ギターの扱いにも慣れ、みんなとも次第と仲良くなり、私は普通の金髪の女子高生になりかけていた……。

それもそうだ。この世界には喧嘩どころか言い争いすらないのだ。
女子校と言う隔離された空間の中で喧嘩なんていうものは起きようがない。

あの世界とここはもう違うのだ。
時代、世代、年代……様々ものが人を変える。

今では不良と言えば音楽、と言うほど根が張り合ってるらしい。

私の中で金髪の悪魔は、消えかけていた…。

114 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:36:09.14 UAtsjSv5O 42/123

そんなある日、私達は喫茶店に来ていた。
新しく出来たところにりっちゃん、りっちゃんというのは茶髪で明るい田井中律のニックネームだ。
そのりっちゃんが行こうと言い出してここに来ている。

「りっちゃんそれ一口ちょうだ~い」

「唯のもくれたらな~」

半年前では考えられない光景だろう。ツッパリの私に見られたらちょーぱんかな、なんて。

「ふわふわタイムにふでペンボールペンだろ……ああ~曲順迷う!」

「ふわふわは最後でいいんじゃない?」

「かなぁ……」

「ってことはカレーが先頭か~」

「……」

「ムギちゃん?」

116 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:40:55.68 UAtsjSv5O 43/123

「どうしたんだよムギ。ぼーっとして」

「……うん、ちょっと色々あってね。……私先帰るね。
帰ってやらなきゃいけないことあるから」

「えっ…そっか。またねムギちゃん」

「またな~ムギ」

「じゃあな、ムギ」

「…また明日」

カランカラン…

「ムギのやつどうしたんだろうな」

「なんか朝から元気なかったよな」

「何かあったのかな?」

「舎弟1号なんだからちゃんと気を遣ってやれよ?」

「ムギちゃんと私は友達だよ!」フンス!

「すっかり垢抜けたな唯も」

118 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:48:18.49 UAtsjSv5O 44/123

五十嵐「ありがとうございました~」

「ふ~食った食った」

「りっちゃんおっさんくさい」

「なんだとーっ!?」

「これからどうする?」

「あ~ちょっとコンビニ寄ってかない? 買いたいものあるんだ」
「私はいいよー」
「じゃあいこっか」
・・・・・

「西森先生の作品が読めるサンデーはやっぱり面白いね!」

「そう? 私はコナンしか読んでないけど」

「澪ちゃん! それはサンデーに対する冒涜だよ!」

「な~にやってんだよ」

「りっちゃん聞いてよ! 澪ちゃんがサンデーはコナンしか読まないって…」

その時だった、

「オラ、どけや」

121 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:54:31.23 UAtsjSv5O 45/123

「ふ?」

不良女「どけっつってんの」
不良女B「聞こえなかったのかかっぺが」
不良女C「まぶったろかこら」

「(これまた…なんというか)」

「(怖いよぉ……)」

お~見事なザ・不良って感じだね!
こんな長いスカートまだあったんだね!

不良女「ここ私らのスペースだからさ~マジで邪魔」

「……澪、唯行くぞ」

「う、うん」
「……」

不良女B「さっさとどきゃあいいんだよデコ」

不良女C「ストレートに言っちゃ可哀想だべwww」

「」イラッ

「他人の迷惑も考えないアホはほっといてさっさと帰ろうぜ二人とも」

あちゃー……。

125 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 02:59:44.77 UAtsjSv5O 46/123

不良女「あ? テメー今なんつった?」

「アホがいるから帰ろうって言っただけだけど?」

不良女B「んだとテメー殺すぞ」

「いるいる何かと殺すだの何だの言うだけのやつ。何? 不良マニュアルにでも書いてんの?」

不良女C「テメェ……ちょい外出ろや」

「りりりつう!」

「上等だよ!!!」

まあこうなるよね……喧嘩したがりに理由与えたら。

ピックにカットパンに……目潰しは……あっ、これまだ入ってたんだ。
答辞の紙。

目潰しないや……どうしよう。

126 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:05:20.52 UAtsjSv5O 47/123

りっちゃんがやる気満々なのでどうしようもなく、ただ彼女達についていくこと数分。

不良女「ここなら誰も邪魔入らねぇよ」

不良女B「ちょうど3対3だしな」

不良女C「まあまずはデコからだな」

「(律!! 謝ったらまだ許してくれるかもしれないぞ! 謝ろう? な?」

「(大丈夫だよ……こっちには元だけどツッパリだった唯もいるんだ。
私もドラムやってるから腕力じゃ負けないしさ」

「(そういう問題じゃなくて!」

「(澪は後ろで隠れて見てろ。ムカつくんだよ…こういう自分が特別で偉いみたいな顔してるやつは!」

「(律……」

127 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:08:59.90 UAtsjSv5O 48/123

不良女「じゃあ初めますか~」

不良女B「ぶっ殺す!」

不良女C「ひへへっ!」

「……」

澪ちゃんは戦えないだろうし……先に一人潰しとこうかな。

「あの~」

不良女「あ?」

「お金あげるので見逃してくれませんか?」

不良女B「あぁん? 今更…」

不良女C「まあまあ、額だけ聞いとこうよ」私バック欲しいし

「唯……お前」

「(私が動いたらりっちゃんも…」

「……!」

129 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:13:52.02 UAtsjSv5O 49/123

不良女C「で、いくらくれんの?」

不良女「5万以上じゃないとボコ確定だから」

不良女B「あるわけねぇだろこんなトッポイやつにwww」

「5万円かぁ……あ、あれ足したらいけるかな?」

不良女C「あれ?」

「はい。売ったら高くなると思うんですけど…」ゴソゴソ

不良女C「さっさと見せろ(ry」

ズガァッ!

不良女C「ゴハッ!」

「だから高いって言ったのに。喧嘩売ったら鉄拳ぐらい飛んでくるもんだよね」

不良女「て、てめぇ!!!!」

133 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:21:27.60 UAtsjSv5O 50/123

「私もいるの忘れんなよ!」

ガスッ ゴアッ! ブンッ!

不良女B「ちぃっ! こいつら……!」

「よっと」

放置されているバケツを頭に被せてやる。

不良女B「な、なんじゃこりゃ! ぐっ! このっ!」

「ほいっ」

視界を確保する前に蹴り込む。
思いきり倒れ込んだが幸いバケツプラスチックなのでクッションにはなっただろう。

不良女「テメェら……!」

苦虫を潰しながら懐から取り出したのはバタフライナイフ。
ジャキン、と嫌な音を立てて反り立つ。

「ナイフって……おいマジかよ」

不良女「マジもクソもあるか!!!テメェは最初に殺すっつったろ!!!!」

135 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:28:31.92 UAtsjSv5O 51/123

不良女がりっちゃん目掛けて走り出す。
「おい……待、、、」
Σ 不良女「しねぇ!!!」

ザクッ……

「りっちゃん!!!」
「こいつ……マジで刺しやがった……」

お腹を抑えながら倒れ込む。

「りっちゃんっ! りっちゃんっ!」
「げほっ……ぐほっ……」

不良女「はは……ハハハ……やってやった! アハハハハハハ」

ドンッ!!!

不良女「な……が……」ドサッ

「はぁ……はぁ……はぁ……律!!!」

「み……お……」

「なんで……なんでこんなことに……早く救急車呼ばないと!」

携帯で必死に番号を押そうとする澪ちゃんの手をりっちゃんが止める。

「いいよ……自分の体のことは自分が一番わかるから」

138 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:34:23.29 UAtsjSv5O 52/123

「そんな……嘘だろ?」

「……りっちぁゃん」スンスン

「ごめんな……ライブやれなくて……」

「そんなのはいい! いいから……生きてよ……律」

「……ごめんな」

「りつうっ!」

「気がかりなのはさっき喫茶店で借りた500円……それが返せないことだ」

「そんなのいいから!」

「……ほんとか?」

「死ぬ間際にお金のことなんてどうでもいいだろ……それより早く病院に!」

「もっと気がかりなのは借りてたノートにうっかりジュース溢してしまったことだ……ごめんな」

「そんなものどうでもいいからっ!」

「……ほんと?」

「当たり前だろ……!」

「りっちゃん…」プスプスプス

140 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:40:14.35 UAtsjSv5O 53/123

「澪……」

「ん……?」

「最後にチャーシュー麺食べたい……もし私が生きれたら……おごってくれる?」

「ああ……何杯でもおごってやる。だから……いきてよ……りつ……」

「ぷはっはっはっもうだめ! ひい~お腹痛い~」

「あっ! 唯もうちょい我慢しろよ! 後ケーキもたかろうとしたのにぃ!」

「えっ……えっ……?」

「澪ちゃんはさっきの謝らないとね」

「??? 何がなんだか……」

「私もサンデー派ってことだ」

りっちゃんが懐から取り出したのはサンデー。真ん中には刺したような後がある。

「サンデーはナイフより強いってね」

144 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:46:07.65 UAtsjSv5O 54/123

・・・・・

「澪のゲンコツで死んでしまいそうだから唯、チャーシュー麺おごって……」

「それはこっちも同じ気持ちだよ……」

「なんだよ二人して私をからかってさ!」

「ごめんごめん。でも実際喧嘩前に唯がこれお腹に入れとけって言われてなかったらほんとに血がドバァーってなってたよ!」

「ひいっ!」

「本当は笑えるシチュエーションじゃなかったんだけどね。
あるシーンに余りにも酷似してたからつい」

「今日俺だろ? さとしが持ってて全巻読んだよ」

「まさかりっちゃんも読んでるなんて思わなかったよぉ」

「何かよくわかんないけど二人が無事で良かった…」

148 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 03:52:31.06 UAtsjSv5O 55/123

「弟さとしって言うの?」

「そうそう。一時期剃り込み入れて……「俺は開久の番だぞ」とか言ってたっけ」

「なにそれカッコいい」

「まああんなゴツいやつじゃないけどな」

「さとしでかいもんね~」

「ね~」

「(話に全くついていけない…私もサンデー読もうかな)」


こうしてこの日は何事もなく終わった、ように見えた……。

これが抗争の火蓋を切って落すきっかけになることを……私達はまだ知らなかった。

150 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 04:00:12.04 UAtsjSv5O 56/123

「あ~あ~こんな綺麗にやられちゃって」

不良女「うぐ……」

「駄目じゃないのちゃんとやらなきゃ」ドスッ!ドスッ!ドスッ!

不良女「がっ! ごほっ! たすけ…」

「まあいいか……これで桜ヶ丘潰すいいきっかけになったし。
バックの皆さんもここらでやりやすくなるでしょ……極道組の娘さんの友達が傷害事件とあっちゃね……」ニヤリ

153 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 04:08:35.47 UAtsjSv5O 57/123

次の日!

「やっぱり一番いいシーンはこう三ちゃんと伊藤ちゃんがお互いを信じて勝ちを譲ろうとするシーンだよね!」

「あ~それもいいけど私は……」

「まだ言ってる……」

「ねぇ、ちょっといい?」

「お~ムギおはよ」

「どしたの?」

「昨日あの後何かあった…?」

「えっ!」

「……あったのね?」

「あれはあっちがその……悪くて」

「りっちゃんは悪くないよ。やったのは大体私だし、それでそれがどうかしたの?」

「っ……。唯ちゃん、昔言った筈よね、暴力だけが強さじゃないって」

「言ったね」

「暴力を振るうとどんなことが返って来るか……想像したことある?」

155 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 04:14:53.91 UAtsjSv5O 58/123

「昨日のは仕方ないんだよ。りっちゃんも危なかったし、澪ちゃんだって……」

「それであなた達退学……もしくはそれ以上のことが降りかかるってわかってやったの?」

「たいが……」

「そんな……なんで……」

「澪ちゃんは映ってなかったから大丈夫だと思うけど……唯ちゃんとりっちゃんはバッチリ映ってたわ」

「映ってたって……」

「カメラよ。予めあそこに仕掛けられてたね。
ハメられたのよ二人は……。あの女の子達は地獄組って組が囲ってる当たり屋なのよ」

「当たり屋……?」

「くっ……!」

「先に手を出したのは、どっち?」

158 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 04:21:24.49 UAtsjSv5O 59/123

「私だよ……私から殴った」

「そう……」

「でもあいつらナイフとか出してきて」

「これにはそんなもの映ってなかったわ。
音声もないからただ一方に唯ちゃん達が彼女達を殴っているようにしか見えない」

乾いた音を立てて机に置かれたのは一本のビデオテープ。
恐らくこれに紬が言った内容が録画されてるのだろう。

「正直言うわね。これでうちの組は揺すられてるわ」

「組……?」

「私の家は極道組……ヤクザよ」

「マジかよ……じゃあ唯のギターも」

「半ば脅し取ったようなものかしら」

「……だから私達にどうしろって?
学校をやめれば満足?」

160 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 04:27:08.81 UAtsjSv5O 60/123

「……いいえ。ただね、唯ちゃん。現実はあんな簡単で何でも上手く行くものじゃないの。
極道何てものは他の組を落とす為になんだってやるわ。
…ただ約束して欲しいの。二度と暴力は振るわないって」

「……」

「……」

「どうするの?」

「あっちの条件を飲むつもりよ。お父様に頼み込んでそうしてもらうようにしたから」

「条件って……」

「その先は知る必要はないわ。ただ唯ちゃん……暴力は何も生まないの。
ううん、生むとしてもそれは悲しいことだけだから……」

162 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 04:33:38.28 UAtsjSv5O 61/123

そう言って彼女は去って行く。

「……」

「……もうあんなのには関わらないとこう。な? あの時だってちょっと黙ってたら問題なかったろうし…」

「……」

「条件ってなんだったんだろうな……」

「やっぱり気になるよね」

「ああ……私らのせいでムギの父さんに迷惑かけちまったのがどうしてもな…」

「悪いの私だよ。一番最初に手を出したのは事実だから。」

それがカッコいいことだと思ってたから……。

164 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 04:40:41.57 UAtsjSv5O 62/123

「そう言えばムギ……どこ行ったんだろ」

「家がヤクザって言っちゃったから気まずいんじゃね?」

「そんなもの気にしないのに」

「うん……」

嫌な予感はした。

副担任のさわ子先生が入ってくる。ホームルームがまさに始まろうかと言うのに彼女の席は未だ空席だった。

さわ子「皆さんに悲しいお知らせがあります…」

「えっ……」ドキッ

さわ子「琴吹紬さんは昨日をもって他の学校へ転校しました。
お父様の仕事の都合で本当に急遽決まったそうです」

「嘘だろ……」

ダッ!!!

さわ子「平沢さん!?」

ガラララ……

「ムギ!!!!」

久しぶりに呼んだその呼び捨て名も、今はただ廊下に響いて消えるだけだった。

165 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 04:46:24.93 UAtsjSv5O 63/123

放課後

「ムギが転校だなんて……朝はいたのに」

「最後に言いに来たんだろ……あの事を」

「ムギちゃん……私のせいで」

「そもそも私があんなやつら無視してたら…」

「もう言っても仕方ないだろ……。ただ最後にムギが言ったこと……守れよ」

「暴力は振るわないってやつ…?」

「ああ……喧嘩なんかしてもいいことないよ…ほんとに」

「そうだな……約束するよ、ムギ」

「……」

本当に、このままで終わりなのだろうか。
このままムギちゃんが転校し、私達はただ悪いやつの餌食になっただけで……。
私にはもう……どうしたらいいのかわからなかった。

166 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 04:52:18.01 UAtsjSv5O 64/123

平沢家

「ただいま…」

「おかえりお姉ちゃん。あれ? 元気ないよ? どうかしたの?」

「ちょっとね……。少し寝るからご飯出来たら起こして…」

今は妹の顔でさえまともに見れなかった。

「うん……元気だしてねお姉ちゃん」

・・・・・

「はあ……」

ベッドにうつ伏せで倒れ込む。

「どうしたらいいんだろ……」

学校からそればかり考えている。
こんな時三ちゃんならどうするだろう。

「そもそも三ちゃんのせいでこうなったんじゃない!」

本棚にしまってある今日から俺は!! を引っ張り出し、三ちゃんがいる適当なページに合わせてひたすら文句を垂れる。

167 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 04:57:23.13 UAtsjSv5O 65/123

「三ちゃんが悪いんだ! こんな強いから!」

違う。

「三ちゃんが悪いんだ! そんな卑怯だから!」

違う。

「三ちゃんが悪いんだ! そんなズル賢いから!」

違う。

「三ちゃんが悪いんだ……憧れるような生き方するから……」

違う、悪いのは私だ。
強さを吐き違えた……私なんだ。

気づけば本にポツポツと涙の跡が出来ていた。
もう買い取りなんかに出すつもりはないが、このページは……読みづらくなる……だ…ろう……。

169 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 05:04:31.42 UAtsjSv5O 66/123

三橋「あっ、伊藤ッ、ツバ飛ばすなよバッチーなー」

伊藤「オメーがあんな真似してまでチャーシュー麺食いたいって言うからわざわざよォ……」

三橋「キャーイトウさーん! ちゃんと約束守るなんてステキー」

伊藤「はいはい……」

「ほえ? なんで二人が……」

三橋「あ?」

伊藤「ん?」

三橋「おい伊藤、マビー子がこっち見てんぞ」

伊藤「オォ……京ちゃんには負けるがな」

三橋「メンマアタック」ペチッ

伊藤「あっ! テメー! 食べ物粗末にすんじゃね……あつぁっ!」

「あ、あの……」

171 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 05:12:34.79 UAtsjSv5O 67/123

伊藤「どうした? 俺らに何か用か?」

「伊藤ちゃん……だよね?」

伊藤「俺のこと知ってんの?」

三橋「ふんッ!」チャーシューアタック

伊藤「あぢゃっッッ! 三橋テメェ!!!」

三橋「チャーシューを一枚お裾分けしただけだ。ありがたく食えよ伊藤」

伊藤「お前ってやつもっと素直にお裾分け出来ないかね」

三橋「なら返せ」ヒョイッ

伊藤「いらないとは言ってないだろ」ヒョイッ

三橋「伊藤は欲張りだな……」ヒョイッヒョイッ

伊藤「と言いつつ二枚重ねてとりやがったな!」

「ほんとに三ちゃんと伊藤ちゃんだ……あきれるぐらい」

172 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 05:24:22.64 UAtsjSv5O 68/123

三橋「三ちゃん?」

「そう! 正義の味方ミツハーシー!」

三橋「オォ……」ズズイ

「?」

三橋「伊藤から勝ち取ったチャーシューをやろう」

伊藤「俺からのかよ。ま、いいけどさ。で、何か俺らに用?」

「用っていうか……相談があるのです」

伊藤「相談、か」

三橋「うむ、何でも言ってみなさい。このミツハーシーが答えてしんぜよう」

173 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 05:36:27.52 UAtsjSv5O 69/123

「……ってことなんだぁ」

伊藤「難しいなそりゃ……しっかしそんなことするなんざ相良ぐらいなもんだと思ってたわ俺よォ」

「私どうしたらいいのかわからなくて……伊藤ちゃんならどうする?」

伊藤「そうだな……そのボコった連中に頭下げに行くかな。
ハメられたっつっても自分からやっちまってそうなったんなら謝るしかねぇ。
許してもらえるかどうかはわからないけどさ」

「伊藤ちゃんらしいね……」

伊藤「そのムギって子との約束守りたいならそうするしかねぇよ。
そいつら多分何回でもお前ら狙いに来るぞ。次は他のダチがやられるかもしれねぇしな…」

「うん……そうだね」

174 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 05:44:15.05 UAtsjSv5O 70/123

三橋「アホか」チョイ!

伊藤「あん? じゃあ他にいい手あんのかよ?」

三橋「まずビデオを撮ったやつと喧嘩ふっかけてきたやつはグルだろうからそいつらをまたボコしてビデオを撮ったやつを見つける」

伊藤「おま、約束は」

三橋「なもん知ったこっちゃねぇ」

伊藤「でもバックにやーさんがいるんだぞ?」

三橋「やーさんが出張る前に叩けばいい。マスターテープさえ回収すりゃ後はどうとでもなる」

伊藤「そりゃそうだがよ……」

三橋「もしやーさんが出てきても俺なら負けん。何故なら俺は宇宙一強いからだ」

伊藤「お前ならな」

「……凄いね三ちゃんは」

175 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 06:00:24.19 UAtsjSv5O 71/123

三橋「何言ってんだよ。お前だって金髪じゃねぇか」

「えっ」

三橋「俺を目指してその頭にしたんじゃねぇのか?」

伊藤「おいおい金髪にしたらみんなお前目指してるみたいな言い方やめろよな」

「ううん、ほんとにそうだから……三ちゃんに憧れて……姿だけは似せてみたんだけどね。
三ちゃん達みたいにツッパれなかったよ……」

伊藤「ツッパりってのはなんて言うかな……こう心にある曲げたくねぇって想いを貫き通すことだと思うんだよ」

「心にある曲げたくない気持ち……」

伊藤「それが曲がってない限りまだまだツッパりじゃないか?
いや何言ってるか自分でもわからなくなってきたが」

176 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 06:05:33.09 UAtsjSv5O 72/123

三橋「伊藤のバカがごちゃごちゃ言ってたからわかりやすく一つだけ言っとこう」

「なに?」

三橋「金髪のツッパリは負けねぇ。何故なら大宇宙一強いからだ」

「うんっ、そうだね」

気持ちを曲げない、そして金髪のツッパリは負けない。

心の中で考えがまとまって行く。

「ありがとう二人とも! 私……もう迷わないから」

伊藤「オォ」

三橋「起きたらちゃんとよだれふけよテメー」

「えっ?」

暗転─────

193 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 12:19:14.91 UAtsjSv5O 73/123

「ふあ……ん?」

気づいたら寝てたみたい……。

「なんだ夢かぁ……」

「ぉぅ……私のバイブルが涙とよだれでぐちょぐちょ……」フキフキ

確かにあれは夢かもしれないけど……でも。

「ムギちゃんを戻すにはこれしかないよね…」

その代わりに私がどうなっても構わない…!
約束破ることになってごめんねムギちゃん……。
けどね……悪者が勝つのが正しい現実って言うなら、私はそんな現実いらないんだ。

「行ってくるね、三ちゃん、伊藤ちゃん」

表紙の三橋と伊藤が、おぅ、と言ったした。

195 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 12:26:22.51 UAtsjSv5O 74/123

・・・・・

夜の街、車のライトが当たる度に金髪が歪に輝く。

「あのさぁ…そっちから怒らしたんだよね?」

不良女C「すいませんすいません……」

ガスッ! ズガァッ!

不良女C「ぐえっ」

「すいませんじゃ何も解決しないよ?
初めはあんたらに謝ってマスター返してもらおうとか思ってたけどさ、絶対返さないよね?」

不良女C「その……ほんとに私知らなくて…」

ガスッ!ガスッ!ゴスッ!

「じゃあ次行くからここで野宿でもしてろや…」

不良女C「ふぅぐ……」

197 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 12:34:28.03 UAtsjSv5O 75/123

・・・・・

不良女Bもほんとに知らないようだったし…元締めはあいつらのメンバーじゃないのかな?

そうだとしても名前ぐらい知ってる筈。次のやつはリーダー格っぽかったしね……。

そのリーダー格の家を聞き出し、向かう途中だった。

「だからさ~ちょっと遊ぶだけでいいんだって」

「そうそう。飯も奢るし?」

「そんな暇ないんでいいですよ。というか私まだ中学生なんですけど。
お二人はロリコンなんですね」

「あ~そうなんだ。まあ俺は守備範囲広いからさ~イチロー並みに?」

「パフェも奢るからよぉ……こいって」グイッ

「やめてください」

「いいことしようぜ~」

視界に入るだけでイライラする…。

198 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 12:41:33.25 UAtsjSv5O 76/123

「さっさとこいや!」

「はあ……仕方ないです」

「あ? ようやく来る気に(ry」
「やってやるで……あれ」

ズォォォォッ!!! バギャンッ!!! ズサーーーー……。

加速をつけた飛び蹴りがこれでもかと言うほど綺麗に入り、男は私に気づく間もなく気絶した。

「な、なんだテメー!」

「こっちは機嫌が悪いのに目の前でうろちょろするから悪いんだよ…」

「はあ? 別にテメーになんか迷惑かけたかよ?
……つかよく見たらマビーじゃん。両手に花と行きますか」ガシッ

「触んな」

シュッ……バシャァッ!!!

「ぐえらぼっ」

「オォ……早いです」

199 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 12:47:28.55 UAtsjSv5O 77/123

「おいテメー」

「私ですか?」

「こんな夜遅くにチュウボーが出歩くんじゃねーよ。補導されんぞ」

「…すみません」

「ちっ、じゃあな」

「あ、あの! 名前……教えてください」

「……金髪の悪魔。じゃあね」

「ちょっと…!」


ついつい助けて道草を食ってしまった。
まあああいうのはほっとけないよねやっぱり。
さて、早くリーダー格の家に行かないと。



「金髪の悪魔…まさか……」

「ふふふ……アドレナリンがヤバいことになりそうです」

200 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 12:54:20.76 UAtsjSv5O 78/123

・・・・・

不良女「ふぁ~……サンデーつまんね」

「不良子~友達来てるわよ~」

不良女「あ? あーはいはい」

不良女「誰だよ全くこんな夜遅くに……」

ガチャリ

不良女「どちらさんΣ(ry」

不良女「がっ……」

ドアから顔を出した瞬間にドアを蹴り飛ばし顔を挟み込む。

「あ~ろは~ろは~」

不良女「ぐっ……テメー」

「ちょっとこいよ。久しぶりにキレちゃったよ」

不良女「あ゛ぁ゛?」

「あ?」ギロッ

不良女「うっ……(こええ……」

201 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 12:59:39.27 UAtsjSv5O 79/123

「で、元締めの家はこっちであってんの?」

不良女「はい……(くっ……なんでこんなつええんだよこいつ……)」

「嘘ついたら目にビー玉入れちゃうから」

不良女「は、はぁ……(オォ……おっかねぇ……」

「ギャハハハハ」

「いやマジだってwww ほんとにwww」

「信じられっかよそんな話www」

不良女「この声は……!」ダッ

「あ、テメー逃げんな!」

不良女「族子さーーん!」

族子「あれ? 不良女じゃん。相変わらずソバカスつけてんなお前www」

不良女「助けてくださいッスよ! むちゃくちゃなやつに追い込みかけられてて……」

おいおい……こりゃちょっと聞いてないよ。

202 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 13:04:56.21 UAtsjSv5O 80/123

族子「いいけどさ~包めよ?」

不良女「はいっ! 前網にかかったやつが運よく金持ってるやつの知り合いで……」

族子「オメーらもうまいことやってんな~。で、どいつよ?
私らの可愛い後輩に追い込みかけてくれちゃってんのは」

1.2……6.7……9人か。しかも武器持ち……逃げなきゃ死んじゃうなこれは。

不良女「こいつッスよ!」

族子F「あ~ただのトッポイガキじゃん」

族子E「どあたまはいっちょまえに金髪だけどなwww」

族子B「さっさとやっちゃいましょうよカップ麺伸びちゃう」

姫子「(あれ? あれって確か私の学校の……)」

203 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 13:09:40.04 UAtsjSv5O 81/123

姫子「(何かよくわかんないけど同じ学校の子をやるのは気がひけるな~……上手く逃げてくれたらいいんだけど)」

不良女「へへ、ビビって声もでねーか?」

ちっ……数が増えた途端意気がりやがって。
これだから数に頼るやつは嫌いだ。
ま、ここまで来たらとことんやるしかないよね……。

「来なよ。ただし3人は確実に殺すから」

族子「だってよwww」

不良女「(なんなんだよこいつ……なんでビビってねぇんだよこの状況で!)」

姫子「(殴るフリでもしとこうかしら…)」

206 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 13:17:37.38 UAtsjSv5O 82/123

・・・・・

「すっかり遅くなっちゃったな。結局見つけられなかった……さすがに今日はもう……ん?」

ラァァァァ!!! ドガッ!!! バギャンッ!!! フザケンナ!!! カカッテコイヤコナラー!!!

「喧嘩かな?」


「オラッ!」

族子B「ぐえっ」

族子C「テメー!」
「目潰し!」
族子C「ぐぎゃあ!」
族子F「やりやがったな!」
「目潰し!」
族子F「ぐぎゃあ!」

「オォ……汚ねぇ」

「でもまああの数じゃ無理かな。明日にはあそこでまた全裸で放置されてるかも(前にされてたし)」

「……まあ面白そうだし不本意ながらさっき助けてもらったし、加勢してあげよっかな」

「この中野ちゃんが」

208 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 13:23:39.74 UAtsjSv5O 83/123

おおぅ……目の前が血だらけじゃん。
くらくらしやがる……後5人か……ヤバいかな。

族子「オラッ!」ガスッ!

「あがっ」

族子「手間かけさせやがって。次から次へと変なアイテム出しやがってお前はドライモンかっての」

「はあ……はあ……殺す……次会ったら絶対……」

族子「次なんかねぇよ! ここで立ち直れないぐらいボコボコにした後全裸で放置しといてやるからおとなしく寝てろやっ!」ガスッ!

「がはっ!!」

姫子「(顔面蹴りとか容赦ないな~……さすがにそろそろ助け船出さないとヤバいかな)」

209 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 13:29:25.06 UAtsjSv5O 84/123

なんで……なんでだよ……。
なんで悪者が勝つんだよこの世界は……!
違うだろ……ほんとに最後に勝つのは……正しい方だろ……!

「ぐぐぐ……」

姫子「あの~この子……ってまだ立つのアンタ……」

「改めて証明してやる……金髪のツッパリは負けないってことを……私が!!!」

族子「何言っちゃってんのこいつ。もういいや、さっさとボコっちゃお」

族子D「うら~寝てろや!」ブンッ!Σ梓「」バシィィ

族子D「なっ……鉄パイプを片手で」

「ハーイ」シュッ

族子D「ごぶぁっ」

何が起きたの……?

210 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 13:36:09.57 UAtsjSv5O 85/123

族子「んだテメー!」

「混ぜろよ」ニヤリッ

族子「あ?」

「私は人数少ない方でいいからさ。ほら、かかってきなよ?」

族子「チビが……ラッキーパンチで意気がりやがって。おい」

族子HIJ「死ねやあああああああ」ブンッ!

 ササッ
「なにそれ、お遊戯でもしてるの?」バギャンッ!!!

族子H「ぶらばっ」

族子I「ひゅぱっ」

族子J「おんっ」

姫子「(一瞬で三人を……あの子何者?)」

「残るはそっちの二人だけですね」コイコイ

213 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 13:45:15.48 UAtsjSv5O 86/123

族子「やってやらぁぁぁぁぁ!!!」

「ふふ……」

「うおおおおっ」

族子「なにっ!?」

「オラァッ!」ガスッ!!!

走り込んで来たところを思いきり蹴り込む。
あっちの加速と相まって相手はゴムボールみたいに地面に転がっていった。

「はあ……はあ……後一人」

「ズルいですよいきなり出てきて横取りなんて。せっかくアドレナリン分泌してきたっていうのに」

姫子「(強い……まさかここまでとは)」

「まあいいです。後一人はもらいますよ?
さっきからビビってずっと棒立ちなところ悪いですけど逃がしませんよ?」

214 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 13:51:39.52 UAtsjSv5O 87/123

姫子「」シュッ 「なっ……」

姫子「あんま調子に乗ってるとはねちまうぞコラ」

「くっ(この私が反応出来なかった……?)」

姫子「唯、後始末はやっとくから」

「私を知って……」

姫子「ふふ、隣のクラスだからそっちは覚えてないかな?」

「ごめ……ん」バタリ

姫子「唯っ!? ちょっと大丈夫?! 唯っ!」

声が……遠く……。

216 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 13:59:29.78 UAtsjSv5O 88/123

・・・・・

「うっ……」

姫子「やっと目覚めた?」

「ここは?」

姫子「私の部屋。手当はしといたから。
私もよく生傷負うから手当は慣れてるつもりだけど包帯とかキツかったら言ってね」

「……ありがとう。あの子は?」

姫子「勝負しやがれですってうるさかったけど帰って唯の手当するからって言ったらおとなしく帰ってくれたわ。
次会ったら喧嘩しましょうって」ニシシ

「そっか……あの子にもお礼言いたかったな」

218 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 14:09:18.59 UAtsjSv5O 89/123

姫子「でさ、アンタ当たり屋の連中シメて回ってたらしいじゃん。なんで?」

「……私達のせいで友達が学校転校することになって……だからその原因さえなくなれば戻って来られるんじゃないかって……」

姫子「ああ、ヤクザ屋さんの琴吹のことか。
今地獄組と揉めてるらしいから材料に使われちゃったかな?」

「……詳しいね」

姫子「ツッパってるとそういう情報だけは入って来るからねー。
ちなみに元締めが誰なのかもマスターがどこにあるのかも知ってる」

「ほんとにっ!?」

姫子「でも……やめといた方がいいよ。取り返すのは不可能に近いし」

220 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 14:19:20.69 UAtsjSv5O 90/123

「それでも……取り返さなきゃ」

姫子「そ、……元締めは相良京子っていうやつよ。
マスターはそいつの溜まり場……開久高校の音楽室」

「開久……」

姫子「ここいらじゃかなりの悪女子校として有名よね。
授業中にあんパンやってるやついるって聞くぐらいだし相当ヤバいそうなのは間違いない。
それでも行くの?」

「……うん。行かなきゃ」

重い体をひこずりながら立ち上がる。

姫子「今すぐ?! 無茶よ! せめて体が治ってから……」

「それじゃ遅いんだよ……ムギちゃんがほんとに転校しちゃう前に終わらせないと……」

221 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 14:20:43.64 UAtsjSv5O 91/123

唯と紬は別のクラス

姫子と紬は一緒のクラス

朝の下りは適当に脳内変換よろしく

223 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 14:27:38.10 UAtsjSv5O 92/123

姫子「そ……なら止めないわ。理由がない喧嘩なんてつまらないもんね」

「えっと……」

姫子「姫子よ。立花姫子」

「姫子ちゃんはなんでツッパリやってるの?」

姫子「なんでって……楽しいからに決まってるじゃん」ニコッ

「楽しい……?」

姫子「そりゃ痛いこともいっぱいあるけどさ……こうやってバカやってるの、自分が嫌いじゃないから。
だからこれでいいの。この思いがある内は……ね。
勿論あんパンとか筋の通ってない喧嘩はやらない主義だけどね」

「そっか」ニコッ

姫子「唯、気をつけて」

「うん、色々ありがとう、姫子ちゃん」

  コツッ
唯⊃Σ⊂姫子

拳と拳を合わせる。それだけで何故か勇気をもらった気がした。
行ってきます、姫子ちゃん。

224 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 14:32:27.62 UAtsjSv5O 93/123

・・・・・

随分時間がかかってしまった。
まあこんな体じゃ仕方ないか……。

「開久女子高等学校……」

ほんとに開久に乗り込むことになるなんて。
まあ一緒なのは名前だけだけどね。

「……」

私の周りには誰もいない。

今井も、谷川も、小山も、伊藤ちゃんも、後から来るかもしれない中野ちゃんも。

「でも……三ちゃんはいる」

それなら大丈夫、金髪のツッパリは負けねぇ……負けちゃいけないんだから。

そう、約束したから。

「待てよ唯。一人でいいカッコしてんなよ」
「全く……退学になっても知らないからな」

227 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 14:39:37.63 UAtsjSv5O 94/123

声がした方に振り返る。

「よっ」怒羅魔ー

「というかこの特攻服なに?」邊ー巣天使

「姫子に学校バレないように着てけって言われたんだからしっかり着ろよ」

「ベース天使って……というか胸にサラシ巻く意味あったの?」

「その方が雰囲気出るだろ?」

「はあ……」

「二人ともどうして……」

「姫子に全部聞いたよ。マスター取り返す為に一人で特攻なんて無茶するよなお前も」

「ほんとだよな……全く」

「二人には頼んでないよ。私一人でやれるから……」ウッ……

「そんな体で、ねぇ」

229 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 14:46:00.21 UAtsjSv5O 95/123

「バレたら退学どころじゃすまないよ?
それでもいいの?」

「確かに退学は困る……けどな」

「唯一人に背負わせるのはもっと辛いから、ここに来た」

「りっちゃん……澪ちゃん」

「ムギも唯も自分だけを犠牲にし過ぎなんだよ。一人で出来ないことは仲間を頼れよ」

「仲間……?」

「私達同じバンドのメンバーだろ?」

「……そっか。そうだったね」

いるじゃん……私にも仲間が。
こんな時になっても見捨てないで助けてくれる……仲間が。

232 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 14:52:37.06 UAtsjSv5O 96/123

「一応人数も揃えて来たしなんとかなんだろ!」

(聡)「かっぺ共が……」

信代「開久に乗り込むなんて伝説に参加しないわけには行かないよね!」

「……えっと…」

「ああ、こっちの小さいのはこの間話した弟の聡ね。
学校サボってウロウロしてたから連れてきた」

(聡)「ちっ……」

「で、こっちは信代。パワーありそうだし来たそうだったから連れてきた」

信代「腕力なら自信あるよ!」

「あ……うん……ありがとう」

この面子でほんとに大丈夫だろうか……。

233 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 15:00:55.54 UAtsjSv5O 97/123

「私は裏から回ってマスター探すから!
その間ちょっと暴れてくれるだけでいい」

「任せとけよ」

「ああ……もう怖いとか言ってられない……!」

(聡)「軽くひねってやるよタコが……」

信代「ハッハッハ!」

「……すぐ行くからそれまで死なないでね」サササッ

「さ~て行くか」コキッ

「うん」コキキッ

(聡)「コイコナラー!」バキッ

信代「ハッハッハ!」バババキッ

あの伝説の悪校、開久に正面から乗り込むという伝説が今まさに生まれようとしていた……。

240 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 15:10:20.37 UAtsjSv5O 98/123

開久女A「んだテメーら! ここどこだかわかって(ry」

「邪魔だ」ガスッ!

開久女B「調子に乗んな(ry」

「ふんっ」ガスッ!

「やるな、澪。腕は鈍ってないみたいで安心したよ」

「律こそ。もう卍怒は卒業するからって言って何やるかと思ったら次はバンドだなんて、皮肉だよな」

「チーム名が被ってたんだからしょうがないだろ~?
お前こそ何が怖いだよ。昔は相手が血見るまでやめなかったくせに」

「だから怖いんだよ……自分が」

「はいはい」


(聡)「オラー」
開久女C「アケヒサナメンナヤーガキガー」ボコッ
(聡)「グハァー」ズサーーーーパタリ

242 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 15:18:44.02 UAtsjSv5O 99/123

開久女D「こ、こいつらもしかして……!」

開久女E「なんだよ……?」

開久女D「中学のころやべぇ二人組がいるって聞いたことがある……。
一人は黄色のカチューシャが赤に変わるまで殴り続ける姿がドラムを叩いてるように見えることから……ドラマーの律」

開久女D「もう一人は相手が低い唸り声を出すまで蹴り続けることから……ついた通り名はベースの澪」

開久女D「間違いない……卍怒のメンバーだやつら!!!」

開久E「卍怒?」

開久女D「知らないのかよ! 中学にしてここら一帯仕切ってた伝説の族だぞ!」

開久女E「マジかよ……!」

243 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 15:26:08.82 UAtsjSv5O 100/123

「あーあ、バレてるみたい」

「はあ……せっかく高校入って真面目にやってこうと思ったのに」

「ま、しゃあない。あんなツッパってるやつとダチになった時点で覚悟してたよ」

「まあ……ね」


「伝説の巨神信代までいるぞー!
うわあああああ殺されるうううう」

信代「ハッハッハ!」ドドドスコスコスコ

「つってもこの広さじゃ囲まれたらヤバいな。聡~信代~中に行こう」

信代「あいよ~」

(聡)「」ピクッピクッ

「もうダウンか聡は。全く情けな」

(聡)「誰が誰を倒したって……?」ムクリ

「なんだ、まだ元気そうじゃないか。頑張れよ聡」

(聡)「お、おぉ(マビーぜ澪姉……!)」

247 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 15:35:34.29 UAtsjSv5O 101/123

・・・・・

「マスターテープはどこかって聞いてるの」言わないとボンド口に突っ込むぞ

開久女F「うう……あそこの棚です」ボンドやめて…

「サンキュー。よし……後は元締めからダビングした数聞いて回収するだけか」

開久女F「京子さんに殺されんぞテメー……!」

「あっちから来てくれるなら大歓迎だけどね。手間も省けるし」

開久女F「京子さんはな……昔傷害でパク(ry」

「うるさい」ガスッ!

開久女F「あうんっ」

「さて、と。みんな生きてるかな?」

248 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 15:41:26.12 UAtsjSv5O 102/123

開久女「」ゾロゾロ……

「壁作れ」 澪「ああ」

信代「わかったよ!」 智(聡)「けっ……」

開久女「」ゾロゾロ……


「目の前のやつは絶対殺せ。じゃないと壁が壊れる。
そしたら後は数に任せてやられるだけだ」

「言われなくてもわかってるよ」

信代「ハッハッハ! 任せて!」

(聡)「余裕だぜ……」

「んじゃいっちょ暴れてやりますか!」

249 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 15:51:11.87 UAtsjSv5O 103/123

開久女G「なめんな!」  開久女H「しねや!」
「うっせぇ!」オラッ!!!   澪「ふんっ」バキッ!!!


信代「ハッハッハ!」   智(聡)「ウェブフッ!!!」ズサーーーー

開久女I「ぐぎゃあ!」   開久女J「カエッテママノオッパイデモシャッブッテロヤ!!!」バキッ!!!



「やっぱり聡か……」

「三人で何とかするしかないな」

信代「ハッハッハ!」

251 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 16:03:18.92 UAtsjSv5O 104/123

・・・・・

「っはぁ……っ……さすがに数が多いな……」

「そんなことわかってたことだろ……」

信代「ハッ…ハッ…ハ…!」

(聡)「(こうやって寝てたらパンツ見放題じゃんやべぇ)」

開久女K「後ちょっとだ! 押しきれ!!!」

「なら私は人数の少ない方につこうかな」

開久女K「あっ?」

     梓
     ∥クルリンパ
開久女K Σ 「よっと」
「ごはっ!」

開久女L「行きなり曲芸かましやがって何者だテメー!」

「通りすがりの喧嘩屋だよ」

「混ぜろよ」ニヤリッ

254 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 16:10:50.90 UAtsjSv5O 105/123

「なんか知らね~けどやるなあのちっちゃいの」

「ああ……いけるかも!」

信代「いけるよ!」

(聡)「」カシャッカシャッ

「やってやるです」

開久女L「なめやがってタコが……やっちまえ!!!」


ウワー!!! オラッ!!! セイッ!!! フンヌッ!!! オセェヨ!!! カシャッカシャッ!!!


相良「あ~あ~なにやっちゃってんのあんたら」

開久女M「京子さん! それがあいつらめちゃくちゃ強くて……卍怒のメンバーらしいんすけど」

相良「卍怒だぁ? んな解散したチームのことまだ言ってんのかよ。
それに言ってもたかだか族だろうが。ヤクザのが万倍こええんだよ?」

開久女M「それは……はい……知っています」

256 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 16:17:50.65 UAtsjSv5O 106/123

相良「ならとっとと片付けろよ。ここの評判落としてやーさんに怒られる前によォ?」

開久女M「はっはいっ!」

相良「ったく使えねーな……」

開久女N「京子さーん! やりましたよ! マスターテープ持ち逃げしようとしたやつ捕まえました!」

相良「あ? ……あ~そういうことか。どっかで見た気がしたと思ったらこの間の」


「……聞いたか?」

「ああ……もう頑張る意味なくなっちゃったな」

信代「むーん」

「コノコゾッコガッ! ワタシノパンツトウサツタァイイコンジョウシテンジャネーカ!!!」

(聡)「シロッ!!!」ズサーーーー!!!

257 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 16:25:45.66 UAtsjSv5O 107/123

開久女N「連れて来ました!」

「」

相良「おいおいwww ボコし過ぎだろ血出まくりじゃねぇか。
あんま校舎汚すなよな~?」ニヤニヤ

開久女N「へ、へい」

「……」

「……」

信代「……」

「けっ……短い夢でしたね」

相良「というわけだ~。マスターテープ救出大作戦は失敗に終わったな~いやいや残念残念。
まあ生きて帰れると思うなよお前ら。
たっぷりボコった後知り合いのAV作ってるとこに売り飛ばすから。」

信代「やだよっ……AVなんて……怖い!」

相良「お前はボコ終わったら帰っていいから」

258 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 16:32:10.90 UAtsjSv5O 108/123

相良「というわけだから顔はあんまりやんなよお前ら」

「ういーす」

「……あ~あ」
「ふぅ」
信代「AV怖い!」
!!! ----サズ智(聡)Σ梓「撮るなって言ってるです!」ガスッ!
カシャッ!!!カシャッ!!!


相良「ここがどこだかわかってんのか? 開久だぞ、かっぺが」

「知ってるよ、そんなの」ムクリ

相良「なっ……」


「もう撤退か」

「もうちょっと暴れなかったな」

信代「だね~」

「6人ぐらいしかやれませんでしたよ…」
ズラ
≡ 聡「」チーン

259 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 16:34:08.90 UAtsjSv5O 109/123

・・・・・

突入前

「私が血だらけで運ばれて来たら撤退の合図だからね!」

「まんま今日俺だな」

「そんな上手く行くのか?」

「血だらけのやつを殴るやつはいないよ、澪ちゃん」ニヤリッ

・・・・・

260 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 16:43:13.85 UAtsjSv5O 110/123

相良「テメー……」

「一つだけ聞くけどダビングしたテープの数は?」

相良「あ? 言うわけねーだろーがタコ

「そっかぁ……」ブワッ!!!

相良「──はや……うごぉっ」

思いきりよく振り込んだ拳が相手の鼻面を捉える。

この学校の頭が呆気なく吹き飛び、周りも固っている。

「で、」

寝ているところを髪を掴みあげて首だけ起こす。

「ダビングしたテープの数は?」

相良「いっ……一個……送ったやつだけだ……!」

「……まあ信じるよ。この学校によっぽど自信持ってたみたいだしね。
取られるわけがないって思ってたんでしょ?」

相良「くっ……! テメーは何なんだ! 私は開久だぞっ!!!」

261 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 16:44:54.75 UAtsjSv5O 111/123














「私は平沢唯だ」














264 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 16:51:05.23 UAtsjSv5O 112/123

「文句あるなら桜ヶ丘来いよ。いつでも相手になってあげるから」

相良「なっ……」

「それに私の知ってる開久はこんなもんじゃないよ……」

相良「何言って……」

「よし、帰ろう」ダッシュ

開久女O「あっ」

「おい待てよ唯~」

開久女P「逃がすかっ!」

「どけっ!」バシャァッ!!!

開久女P「あぶへっ」

「文句あるなら桜ヶ丘来なよ。いつでも相手になってやるから」

開久女P「あぼっ」

「文句あるなら桜ヶ丘来いよ。いつでも相手になってやるから」

265 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 16:56:29.27 UAtsjSv5O 113/123

開久女P「びぃひぃんっ」

信代「文句あるなら(ry」

開久女P「あぅんっ」

「文句あるなら桜ヶ丘中学来なよ。いつでも相手になってやるから」

開久女P「」パシャッ!パシャッ!聡「ネガ欲しかったらいつでも来いよ。本物のパンツと交換な」



「逃がすな!追えーーーーーーー」

ウワーワー

こうしてまた一つ伝説が生まれた。
開久に5人で乗り込み頭を潰した……桜ヶ丘軽音部+α。

その噂は瞬く間に町中を駆け巡っていった……。

267 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 17:01:42.37 UAtsjSv5O 114/123

次の日

「平沢さんコンチャース」

「唯さんおはざーす!」

「おう」

「あの三人であの悪校乗り込んだんだって? やるね~」

「カッコいい~」

「律さん鞄持ちます!」

「いいよそんなの」

「澪さん私達澪さんのファンクラブ作りました!」

「えっ……」


姫子「すっかり人気者ね」

「姫子ちゃん!」

姫子「ふふ、生きてて何よりだわ、唯」

269 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 17:07:04.00 UAtsjSv5O 115/123

「うん……マスターテープは回収したけど……これでほんとにムギちゃんが戻って来るとは限らないけどね」

姫子「それなら心配ないわよ、ほら」くいっ

「唯ちゃん……」

「ムギ……ちゃん!!!」ぎゅっ

「なんで……なんで勝手にいなくなったりするのさ……」

「ごめんね……唯ちゃん達にこれ以上迷惑かけたくなくて」

「そんなのいいんだよ……ムギは舎弟1号なんだから……ずっと側にいなきゃ駄目だよ」

「唯ちゃん……」

「やっぱり卍怒よりバンドのがいいよな、澪」

「当たり前だろ、バカ…」

270 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 17:10:43.89 UAtsjSv5O 116/123

「唯、感動のところ悪いんだけどさわ子先生が……」

「ん?」

さわ子「よぉくもやってくれたわねぇ唯ちゃあん」シャアアア

「ひいいいいい」

さわ子「あっちの学校から苦情があったわよォォォォォォ!!!」

「終わったか」

「退学かな……」

さわ子「壁に血糊ぶちまけるなんてとんでもないことしてくれたじゃない!!!!」

「えっ……?」

さわ子「えっ…じゃないわよ! 全くもう……。他校に遊びに行くのはいいけど変なことしないでよ?」

「どういうこと……なの?」

271 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 17:13:37.38 UAtsjSv5O 117/123

・・・・・

相良「……」

理子「いたいた。昨日のこと言わなかったらしいわね。なんで?」

相良「……さあね」

理子「ふ~ん」

相良「ただよォ……熱かったよ、あいつの拳。だからかな……どうでもよくなった」

理子「そ、あんた思ってたよりいいやつね」

相良「そうでもないよ」

・・・・・

272 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 17:18:48.35 UAtsjSv5O 118/123

罰として部活は一週間の謹慎、学園祭も今年は参加出来ないことになりました。

でも軽音部は残ってるからきっと来年はみんなでライブやろうね。

マスターテープが戻って来たことによって極道組は地獄組に弱味を見せることがなくなり強気な姿勢を取ることが出来たそうな。

あくまで子供の喧嘩として片付けられたらしい。極道もそんな暇じゃないんだね。

バックに極道組がいると知れ渡ったせいか開久からの逆恨みもなく、私達は普通の毎日を送り続けた……そして。

275 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 17:23:01.82 UAtsjSv5O 119/123

「ウェルカム!」

「お茶どうぞ」

「お菓子もあるよ」

「ちっちゃくて可愛いね~」

「あの、私喧嘩しにこの学校入ったんですけど」

「喧嘩なんて古い古い! 今の時代は音楽だ!」

「音楽はいいよ。叫び声よりいい音色が出るしさ」

「指も落とさなくていいしね!」

「はあ?」

「ったくよ~こっちはアドレナリン分泌さして来てんのによ~そりゃないです」

「まあまあまずは弾いてみてよ!」

私のギターを持たせてみる。ちょっとおっきいかな?

「ったくこんなもんで……」ボロン

「オォ……」

276 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 17:28:11.40 UAtsjSv5O 120/123

「悪くない……かも」

「でしょ~?」

「これで軽音部も五人か~」

「まだ入るって決めたわけじゃ……」

「そう言えば名前は?」

「あれ? 言ってませんでしたっけ?」

「言ってないよ! 聞いてないよ!」

「そうですか。中野梓っていいます」

「中野……!?」
「中野だとぉっ!?」
「中野!?」

「なら愛称は決まりだね……」
「だな……」
「ああ……」

「垂れ眉毛!」

「やっぱりか!」

「垂れ眉毛はもういるから中野ちゃんに……! 」

278 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 17:30:54.74 UAtsjSv5O 121/123

「そう言えば内のクラスにも気合いの入った髪型いましたよ」

「ほんとに!?」

「是非勧誘しないとな!」

「えっ……髪型で勧誘するかどうか決めるの?」

「なるべく指が全部ある子がいいわね~」

「一人はモップ頭で……もう一人はウニ頭」

ガタッ!

「ちょっ、唯!?」

「ちょっと見てくる!」

「行っちゃった」

279 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 17:34:06.42 UAtsjSv5O 122/123

ウニ頭……間違いない! 伊藤ちゃんだよ!
一年遅れて来たけどやっぱり居たんだ……!
私の相棒!!!

「」チラッ

「」ぽけー

あれが中野ちゃんが言ってたモップ頭だね!
なかなかファンシーだよ!

ウニ頭……ウニ頭……いたっ!


 「……」

凄いウニ頭……! ほんとに伊藤ちゃん並みだよ!

早速相棒になってもらわないと!

一年の教室にも関わらずズンズンズンズンと入って行く。

280 : 以下、名... - 2011/03/04(金) 17:38:25.75 UAtsjSv5O 123/123

「わ~金髪~」

「あれって平沢さんじゃない? 私色々な伝説知ってるよ~」

「金髪の可愛い子だよね! ここらじゃ有名だよね!」

三ちゃんとは違った感じに有名になっちゃったけどまあいいや。
もう喧嘩は卒業したから。

「おせーよ、伊藤」

MM
「悪いな、三橋」

次はみんなで音楽のてっぺん取ろう……!

そう、目指せ武道館だよ!

おしまい!

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