叫ぶだけで激痛が走る、それでも私は懸命に叫んでいた、無駄だと知りながら……
この優しい少女は止めたって私や皆を助けるために祈ってしまうことを
ほむら「だめよまどか!契約しちゃ駄目!」
キュゥべえ「まどか、君はどんな願いでソウルジェムを輝かせるんだい?」
まどか「私は……」ギュ
ほむら「お願い!間に合って!」
私の意識はすでにおぼろげで、まともに射撃なんてできる状態ではなかった
それでも、ここであいつを打ち抜くことができれば、まどかは救えるかもしれない……
薄れる意識を必死に集中させ、私は鉛玉をあいつに発射すると同時に、視界が暗転した
まどか「ほむらちゃんを守りたい!」
―――――
―――
さやか「……私達……生きてるの……」
杏子「……あぁ……でも……」
元スレ
まどか「約束だよ、ほむらちゃん」ほむら「えぇ、約束よ」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1313843912/
―HR、教室―
いつも通りの始まり、クラスメイトに自分の名前を伝える自己紹介
今度こそ、この1カ月の繰り返しを終わらせる、心ではそう意気込み
表面では何度も繰り返した手慣れた自己紹介をした
まどかがいるのは当然なのだが、クラスメイトの中にまどかを確認し、少しほっとする
毎回毎回周りを囲まれ、同じ質問を話される……私もいつもと同じように対処をする
ほむら「ごめんなさい、ちょっと気分が悪いから保健室へ行くわ」
ほむら「鹿目さん、あなたが保健係よね?案内してくれるかしら?」
―廊下―
まどか「えっと暁美さんは……」
ほむら「ほむらでいいわ」
まどか「あ、じゃあ私もまどかでいいよ!ほむらちゃん」
ほむら「そう、じゃあまどか……あなたは今の生活が大切かしら?」
ほむら「貴女は家族や友達のことを大切にしている?」
まどか「それは……うん、大切だよ……家族も、友達も」
ほむら「もし大切なら……変わりたいなんて思わないことよ……保健室まであとは一人で行けるわ、ありがとう」
まどか「ほむらちゃん……」
―放課後、CDショップ―
まどか「こっちから声がする!」
さやか「ちょ、ちょっとまどか!」
―改装中の建物―
キュゥべえ「助けて……」
まどか「傷だらけ……」
さやか「急いで手当しないと」
あいつは、私に幾度か邪魔をされたため、まどかやさやかに傷ついた姿で接触を行い
傷ついた自分を連れ帰らせて契約させようとしているようだ、同時に私を悪者にしようという事だろう
しかし、何をしようとしているのかわかっていれば簡単だ、すぐに仕留めればいい
私を苛立たせる存在に拳銃を向け、鉛玉であいつの体を貫いた
ほむら「はぁ……間に合った……」
まどか「ほ、ほむらちゃん……どうしてこんなこと……」
さやか「て、転校生……」
二人は魔法少女なんてものを一切知らず、平和に暮らしてほしい……
しかしあいつに見つかった時点でそんな甘いことは言っていられないのだろう
二人から敵意が向けられる、だが弁解をしている場合じゃない
あいつを止める事に成功したといっても、すぐにこの場所には魔女が出る
ほむら「話はあとよ、今すぐここから離れなさい!」
まどか「何いってるのほむらちゃん……あれ?周りの景色が……」
―魔女結界―
ほむら「間に合わなかったか……」
まどか「ほ、ほむらちゃんこれなんなの!」
さやか「て、転校生! なんかきたよ!」
私はパニックになりそうな二人を救うために呼びかける
ほむら「私から離れないで、一度結界から脱出するわ!」
さやか「も、もう何が何だか……」
まどか「と、とにかくほむらちゃんについて行こう!」
―改装中の建物―
二人を連れて脱出に成功したが、魔女を狩るために結界に戻らなくてはならない
ほむら「あなた達はここにいて」
まどか「ほ、ほむらちゃんはいったい……」
さやか「そ、それにあのしゃべる生き物とか……」
ほむら「貴方達には知っておいてもらったほうがいいわね……でもそれはあとで……」
まどか「あれ?さっきの空間が小さくなってく……」
さやか「だれかいるよ!」
まだ来ていないと思っていたが、すでに来て魔女の結界に潜入していた魔法少女が姿を見せる
できればこの二人には魔法少女の秘密を説明してマミと出会う前に魔法少女の怖さを知らせ
今後関わらないようにしたかったが、それも難しいのかもしれない……
ほむら「巴……マミ……」
マミ「出会ったことがあったかしら?魔法少女の知り合いなら忘れないと思うのだけど……」
まどか「魔法少女?」
ほむら「いいえ、出会ったことはないわ」
さやか「そ、それでさっきの空間はなんなのさ」
マミ「あれは魔女の結界、入った人は魔法少女が助けない限り死ぬような空間と思ってくれていいわ」
マミ「初めましてでいいのよね?私は巴マミ、そこの二人と同じ学校の3年生の者よ」
まどか「えっと、2年生の鹿目まどかです」
さやか「同じく2年生の美樹さやかです」
マミ「それで、あなたは?」
ほむら「私は……暁美ほむら……私も同じ学校の2年生よ」
マミ「そう、ところであなたも魔法少女ならキュゥべえを知らない?こっちの方から助けてって声がしたのだけど」
素直に知っている等というわけにはいかない、私が撃った等と言えばまた敵対しかねないだろう
ほむら「知らないわ」
マミ「そう、どこにいったのかしら?まぁいいわ、もしよかったら明日お話しない?」
マミ「同じ学校に魔法少女がいるなんて知らなかったし」
この二人の前で約束をしたくはなかったがしょうがない
マミはかなりの強さを持った魔法少女、信頼を得て共闘できれば頼もしい存在だ
ほむら「今日転校したばかりだもの、昼休みに屋上でいいかしら?」
マミ「わかったわ、じゃあね」
まどか「とんでいっちゃった……」
さやか「それで……転校生、キュゥべえって……もしかして……」
ほむら「えぇ、あなたの想像通り、さっきの助けを求めていた……私が撃ち抜いた生き物がキュゥべえよ」
まどか「え、でも巴先輩には知らないって……」
ほむら「場所を移動しましょう……こちらとしても魔法少女になる前の貴女たちと話ができるのはありがたいわ」
ほむら「私の家でいいかしら?」
―ほむホーム―
さやか「それで転校生はどんな話を……」
マミやキュゥべえよりも先に二人に事情を話せる、
今回は先に私の話を聞いてもらえる、これは大きなアドバンテージになる
ほむら「まず、さっきのキュゥべえの話をするわ……」
ほむら「あいつは魔法少女の素質がある人間にしか見えない、そして魔法少女になる契約を迫ってくる生物よ」
ほむら「その引換としてひとつ願いを何でも叶えてもらえるわ……素質の大きさによって魔法少女の時の力は大きくなるわ」
ほむら「そして願った時の想いの強さと願いによって、魔法少女になったあとの能力は変わる……」
ほむら「契約をするとソウルジェムという魔法少女に変身するために必要なものがキュゥべえに渡されるわ」
まどか「何でも?」
―――――
―――
ほむら「ここまでがあいつに契約を迫られたときに教えてもらえる情報よ」
さやか「まってよ、それじゃああんたがそのキュゥべえを撃ち殺した理由がないよ、むしろいないと困る存在じゃん」
さやか「魔法少女がいないと魔女が倒せないじゃん?」
ほむら「そう、ここから貴方達に魔法少女になってほしくない理由を話すわ……他の魔法少女が殆ど知らない真実を……」
まどか「真実?」
ほむら「ソウルジェムというのは……魂よ」
さやか「魂?」
ほむら「えぇ、このソウルジェムは私の魂……これが砕ければ私は死ぬ……有効範囲は100m……」
まどか「有効範囲?」
ほむら「簡単にいえばこのソウルジェムが私、そしてこの肉体という人形を操る範囲が100mと考えたらいいわ」
ほむら「次に、もしもソウルジェムが穢れを貯めこみ、真っ黒になったとき……グリーフシードとなって魔女になるわ」
ほむら「つまり魔法少女は最後には魔女になる存在、いずれ私も……」
普通なら空想のお話というところだが不思議な体験をしたから信じられないと笑うこともできないようだ
まどかやさやか達に焦りがうかがえる、自分たちが騙されて契約した想像をしたのだろう
希望のない存在、気がつけば死に忘れられていく存在、ただの石ころとなった自分……そんな想像を
さやか「じゃ、じゃあ魔法を使わないように生活したら……」
ほむら「魔法を使うよりは穢れはたまらないでしょうけど、日々のちょっとした不安、ストレスこれらによっても穢れは溜まっていくわ」
ほむら「身体を動かすのにも魔力は必要よ、私の本体はソウルジェムだから……そしてグリーフシードも無限なんかじゃない……」
ほむら「今日出会った巴マミは特殊なタイプだけど……基本的に多くの魔法少女はグリーフシードを取り合っているわ」
ほむら「そして……魔女になったときの強さはその人の元々の素質しだい」
ほむら「例えばまどか……あなたが魔女になったら……世界は10日かからずに滅びるわ」
まどか「そ、そんな……」
ほむら「そしてキュゥべえの本当の目的は、魔法少女を魔女にすることでエネルギーを生み出すこと」
ほむら「あいつに感情はないわ、そして何度でも復活する……今後も貴女たちの前に現れるでしょうね」
ほむら「だから今日私が言った内容をあいつに聞いてみるといいわ、あいつは嘘はつかないから……」
まどか「嘘をつかないのに皆気付いていないの?」
ほむら「そうよ、すべてを話していなくても話した部分が真実ならそれは嘘をいってはいないでしょう?」
魔法少女になることがどういうことかだけじゃなく、あいつの手口についても話しておかなくてはならない
あいつは確かに嘘はつかない、けれども真実を言うわけではない事を……
ほむら「前例はないけど、可能性がないとは言い切れない……」
ほむら「希望にすがりつこうとしている相手にこう言えば可能性があるかもしれないと思わせることができるし嘘も言っていないわ」
ほむら「あいつの話はこういうものがおおいのよ」
ほむら「だから……叶えたい願いがあっても……迫られても……契約しないでいてほしい……」
私の願い、目標、希望……それらを込めて二人に言う……
二人には私の事なんてわかるわけがないが、それでも契約しないでほしい想いを伝える
まどか「ほむらちゃん……」
それでも人間は証拠がなければ疑う生き物、だからこそ証明できることを証明する
いままで誰も未来を信じてはくれなかった、それでも魔法少女のシステムはひとつだけ証明できる
ほむら「今日出会ったばかりの私を信じる事なんてできないでしょうから……ひとつだけ証明する、ソウルジェムが魂ということを……」
さやか「それって……」
ほむら「まどか、私のソウルジェムを持って遠くへ離れてもらえるかしら」
まどか「で、でもほむらちゃんの言葉が本当だったらほむらちゃんが死んじゃう!」
ほむら「圏内に戻ってきたら生き返るわ、だから安心して……」
ほむら「これを証明することで貴方達が私を少しでも信用してくれる方が私にとっては重要なの」
さやか「……まどかじゃなくてわたしが転校生のソウルジェムを持って離れるよ」
ほむら「だめよ、これはまどかがやるべきことよ」
さやか「どうして……」
ほむら「私が倒れた後、まどかにしっかりと死んでいるかを確認できると思えないもの」
さやか「……あたしならできるって言いたいの?」
さやかが冷静に確認ができるとは思っていない、しかしまどかでは私が倒れた時点でさやかを呼び戻し
後々さやかが実は倒れたふりをしただけじゃないの?と言われても困る
警戒心が高いからこそ、こんな話をされた後ならしっかりと確認を取ろうとしてくれるだろう
まどかは優しすぎる……優しすぎるからこそ頼めない
ほむら「まどかは……人をよく信じる優しい子でしょう?」
ほむら「だからこそ……証明には私を疑っているあなたが確認をしてほしいのよ……」
さやか「……まどか……お願い……」
まどか「で、でも……」
さやか「……どうせ転校生のきつい冗談だよ、だから……お願い……」
まどか「……た、倒れたりしたらすぐに呼んでよ……絶対だよ?」
ほむら「もしわからなければこのチェック項目を全て確認しなさい」
さやか「あんた……震えてるよ?」
信頼するまどかに預けたはずなのに気がつけば私は震えていたようだ
他人に命を預け、さらに見えないところまで持っていってもらうのはやはり怖い……
当然死ぬのだって怖い……しかし、ここで証明しなくてはこの二人に信用してもらえない
さやか「どうして私達にそこまでしてくれるのさ」
ほむら「……いつか話すかもしれないわね……」
さやか「……その大切そうに握りしめてるものは関係してるの?」
私の大切な物……知らない間に握りしめて祈るようにしていたようだ……
この時間軸にきてまだ数日、それでも不安なことがあるといつも握りしめている……
ほむら「それは秘密よ……」
さやかが心配そうな顔でこちらを見ている……その顔がとても懐かしく感じた
ほむら「転校してきたばかりなのに、あなたにそんな心配そうな顔でみられるのも久し……」パタン
さやか「転校生!……落ち着け私……焦らずに……息……脈……」
さやか「……本当に出会ったばかりの私達によくここまで……」
ほむら「魔法少女は魔力さえあれば心臓が貫かれても再生できるわ……だから泣かないで、まどか」
意識を取り戻すと、心配そうにのぞきこむさやかと泣きながら私にしがみつくまどかがいた
人のぬくもりを久しぶりに感じながら、泣いているまどかを慰める
まどか「だって……戻ってきたらほむらちゃんが倒れてて……グス……友達が倒れてたら……グス……」
ほむら「もう友達って言ってくれるなんて嬉しいわ、ありがとうまどか……」
さやか「……ねぇ、私たち以外の人にもこのこと伝えてあげられないの?」
今まで何度も試してきた、しかし必死に伝えても信用されなかった、絶望して魔女になった
まわりを巻き込んで自殺をしようとすることも……魔法少女には伝えるべきでない……
ほむら「魔法少女に伝えると、絶望を与える結果になることが多い……教えて絶望して魔女になることも……」
ほむら「それにまず、信用してもらえないことには……ね……」
ほむら「キュゥべえを止めるにも殺しても復活する……閉じ込めることもできない……」
さやか「そっか……」
ほむら「今話せることはここまでよ」
さやかの失恋、まどかとの約束……それらはしらなくてもいい……
この二人が普通に暮らしてくれれば……
さやか「ねぇ、巴先輩との話……私たちも行ってもいいかな?下手なことは言わないから……」
いやだと言いたいが、ここで変に突き放すのは信用を落とす可能性がある
近くにいる限りは契約を止める事はできる、素直に来ても良いと言うしかなかった
ほむら「……かまわないわ」
まどか「えっと……そろそろ帰らないと……」
ほむら「もう暗いし送って行くわね」
―帰り道―
さやか「ねぇ、転校生」
ほむら「ほむらでいいわ」
さやか「あんたさっき、私に心配されるのが久しぶりとか言おうとしたよね……会ったことあるの?」
ほむら「会った事はないと思うわよ」
さやか「じゃあどうしてって聞いたら教えてくれる?」
ほむら「秘密よ」
ほむら「私の連絡先を伝えておくわ、もしも魔女の結界に入ってしまったり、グリーフシードを見つけたら呼んでくれるかしら?」
まどか「ありがとうほむらちゃん……」
さやか「ありがと……」
―翌日 昼休み屋上―
マミ「そっちの子達は昨日の子ね……魔法少女ではないみたいだけど……」
ほむら「巻き込んでしまって事情を説明したら話を聞いてみたいと言われたのよ」
マミ「そう……まぁいいわ」
マミ「あなたは……イレギュラーな魔法少女らしいけど、敵なの?味方なの?」
ほむら「どういうことかしら?」
マミ「一般人を助けるのを優先する……自分以外でこういうタイプの魔法少女をみたのは初めてよ」
マミ「でも、キュゥべえを昨日撃ったそうね……それはどうして?」
どうやらあいつはマミに私という存在がイレギュラーなことを話したようだ
おそらく、何を考えているかわからないから気をつけろといった内容だろう
ほむら「……まだ射撃がうまくないのよ……だから外してキュゥべえにあたってしまったの」
マミ「じゃあどうして昨日、キュゥべえを知らないって言ったのかしら?」
ほむら「……私がキュゥべえを撃ったなんて言いづらいでしょう?」
マミ「……魔法少女が増えることで取り分が減る、それを嫌う魔法少女なのかしら?」
ほむら「違う……といったところで信じてくれるつもりはないんじゃないかしら?」
マミ「……そうね……」
ほむら「なら話は終わりね、共闘でもできたらっておもったけど……残念だわ」
今のマミと共闘は不可能だろう、あいつを信用しているマミは私を信用しない
マミ「……いいわ、共闘してあげる……」
ほむら「……理由を聞いてもいいかしら?」
マミ「あなたは転校してきたばかりだったわよね?3年生でも噂になってたわ、美人な転校生って」
ほむら「それで?」
マミ「そんなあなたの後ろで一般人である鹿目さん、美樹さんがあなたを本当に心配そうに見てる……」
マミ「命を助けられたって理由だけじゃなく、信頼も得ているような……」
ほむら「転校してきた日に友達をつくろうと思えば作れるでしょう?」
マミ「なら、どうしてこの子たちが巻き込まれたの?」
マミ「友達で一緒に下校していたのなら、ここに近づくなと知らせることは可能だったはず」
マミ「仮に近づいてきたとしてもあなたの元を離れないし、あなたが助けだすなんてことをする必要性はないわ」
ほむら「……友達になって初日から遊ぼうって言うほど勇気がなかったのよ」
マミ「そうやって何かを必死に隠そうとしてる……」
マミ「だから監視もかねて共闘、私にとってもあなたにとってもそこまで悪い条件ではないと思うけど?」
共闘して、私が仲間として認めてくれれば他の子を魔法少女にしようとしないかもしれない
それに、マミを戦力として仲間に引き入れられる可能性があるのも大きい、ありがたい提案だ
ほむら「そうね、是非お願いするわ」
マミ「じゃあ今日の放課後……校門で待ち合わせでいいかしら?」
ほむら「えぇ」
さやか「あの先輩なんなのさ!自分が全部正しいみたいにさ!」
いつもと同じようで違う言葉、珍しいことがおきる世界だ
普段ならばあの転校生なんなのさ、とでも言われているだろう
ほむら「巴マミは、魔法少女の中で一番一般人から見るとありがたい魔法少女よ」
まどか「どういうこと?」
ほむら「魔法少女はグリーフシードを求めて争い合ったり、魔女にグリーフシードを孕ませるために一般人を放置することが多いってことよ」
まどか「そ、それって……」
ほむら「当然一般人は死ぬ、グリーフシードを奪い合い争って殺しあう魔法少女もいるわ……」
さやか「そんな……」
ほむら「キュゥべえから言われる情報だけで考えれば……魔法少女が多くても問題はないのよ……むしろいればいるほど一般人は助かる……」
ほむら「邪魔に感じるとしたら、魔法少女が増えることでグリーフシードの取り分が減る他の魔法少女……」
ほむら「巴マミは正義の魔法少女でありたいと考えているから私の行動から怪しむのは当然のことよ」
私の戦いは新たな魔法少女を増やすわけにもいかない、かといって戦力がなければワルプルギスの夜には勝てない
すでに魔法少女の存在とは協力していかなくてはならないが、命を捨てるつもりで協力してくれるような魔法少女は少ない
まどか「……ほむらちゃん……」
ほむら「あなたたちのおかげで巴マミと共闘できる事になったのは助かるわ、ありがとう……」
まどか「お昼休み半分ぐらい過ぎちゃったけどお昼ごはん食べよ?」
ほむら「そうね、お昼にしましょう」
まどか「こんなに時間がかかるって思わなかったから仁美ちゃんはもう食べちゃってるかな?」
さやか「ちょっと用事があるって言っといたしまぁいいでしょ」
ほむら「あなたたちは……仲がいいものね」
まどか「ほむらちゃんだってもう仲良しだよ!」
さやか「ほむらがいれば、勉強ができるのが仁美とほむらで二人になれば試験勉強楽になりそうだね」
まどか「さやかちゃんと私はあんまり成績よくないもんね」
さやか「いつも仁美の世話になっちゃってるからねー」
こんなに普通の会話をしたのはいつ以来だっただろうか、思い出せない
学校の授業も繰り返している私にとっては全ての内容がいまさらなものでしかない
だが、いつかこんな普通の日々を過ごして、まどか達と笑いあいたい
平和で幸せな日々を想像し、思わず笑みがこぼれた
まどか「あ、ほむらちゃんが笑った!」
さやか「クールビューティが笑うとインパクトっていうかすごいなぁ……見とれちゃったよ」
ほむら「お世辞でもそう言われると照れるわね」
さやか「全然照れてるように見えない……」
―放課後、校門―
マミ「待っていたわ暁美さん」
ほむら「お待たせ、巴マミ」
マミ「そっちの子達は悪いけど帰ってもらえるかしら?それとも連れて行く気?」
ほむら「連れて行く気なんてないわ」
まどか「で、でも……」
さやか「……マミさんは魔法少女を増やした方がいいって思ってるんですよね」
マミ「まぁ、そうね……魔女相手に人数が多いほうが優位に立てるし、皆が安全になるわ」
さやか「私とまどかって素質あるらしいんで魔法少女がどんなものか知りたいんでついて行きたいんです」
ほむら「あなた達何を!やめておきなさい!」
マミ「……出来る限り守ってはあげるけど……本当に命を落としかねないわよ?」
ほむら「巴マミ……悪いけど魔女との戦いはあなた一人に任せて私はこの二人を守ってもいいかしら?」
マミ「……いいわよ、それに今日魔女がでるかもわからないし」
魔法少女になるのを止めたいわけではないのか、危ないところを見せてやめさせようとしているのか
そんな疑念のまなざしをマミから感じるが、今日は魔女がでる、この二人を危険にあわせるわけにはいかない
さやかは言い出したら止まらない子だ、ついてくるなと言っても尾行してくるだろう……それなら最初から一緒のほうが安全だ
―魔女結界―
まどか「こ、怖いよ……」
さやか「だ、大丈夫、私のこのバットで!」
ほむら「私から絶対に離れないで」
まどか「ほ、ほむらちゃんそれ……」
さやか「あ、あんた……」
ほむら「言ったでしょう?私には素質がないの、だからそれをカバーするためなら何だってするわ……」
マミ「それでも願い事次第であなたも特殊な能力ぐらい備えているはずだけど?」
ほむら「ささいな能力すぎてまともに使えないのよ」
マミに時間停止を感づかれると、そこから私の秘密を見抜く可能性がある
それに、マミが暴走した時を考えると、能力は知られたくない
マミ「まぁいいわ、魔女は任せないさい」
ほむら「えぇ、お願いするわ」
ほむら「ここが最深部ね」
まどかとさやかは震えていた、目の前に化け物がいるのだから当然だ、そんな二人を安心させようと声をかける
ほむら「大丈夫よ、私があなた達は必ず守るから」
マミ「早速お出ましね」
魔女「ギャアアアアアアアアア」
―――――
―――
マミ「ティロ・フィナーレ!」
さやか「すごい……」
まどか「うん……」
気がつけばマミの戦いをみて憧れのようなものを抱いてしまったようだ
やはり無理にでもついてこないように止めるべきだったのだろうか
憧れて、契約したいなんて考えてしまったら……
ほむら「……憧れても……魔法少女になろうなんて思わないで……お願いだから……」
さやか「うん……わかってる……」
まどか「ご、ごめんねほむらちゃん」
ほむら「謝る必要はないわ、私がお願いしているだけ……石ころの操り人形にならず……あなた達は人間でいてほしいの……」
魔女「ぎゃああああああああああああああ」
契約はだけはやめてほしい、そんな私の願いを二人に伝えるのに必死だった
だから魔女がまどかを狙って攻撃しようとしていることに気がつくのが遅かった
時間を止めては間に合わない、気がつけば私はまどかを突き飛ばしていた
肩に激痛が走る、私の名前を全員が心配そうに呼ぶ声が聞こえた
ほむら「油断してたわ、ごめんなさい……私は大丈夫だから早く魔女を」
私の様子を見に戻ってきたマミにそう伝える
いつ攻撃が来るかわからない命がけの戦い、それなのに油断してまどかを危険な目にあわせてしまった
もう怖い思いをさせたりしない、治癒なんて後でいい、守ってみせる
マミ「……わかったわ、警戒していてね」
まどか「……そ、それよりほむらちゃんの肩が……」
ほむら「気にしなくていいわ、後で治せるから……」
マミ「きゃあ!」
普段この魔女相手に苦戦なんてしないはずのマミがツタで縛られ捕まる
もしかして私をためしているのか?わからない、それでも共闘しているのだから助けにいかなくてはならない
まどか達の周りに結界をはる
ほむら「あなた達はこのリングからでないで!少しの間ならこれで大丈夫だから!」
とても弱い結界、私程度ではこれぐらいしかできない、だがマミを助けるぐらいの時間なら稼げる
マミの足をつかんでいるツタを拳銃で撃ちぬく
1発撃つたびに肩に激痛が走り、血が噴き出していた
―ビル―
マミ「助かったわ暁美さん」
ほむら「油断するからそうなるのよ、人のことは言えないけど……」
マミ「……この魔女はグリーフシードを持っていたのね……いる?」
ほむら「私はほとんど魔力を消費していないわ、あなたが使うといい」
マミ「よくわからないわ……」
そう言ってマミが真剣な顔で私を見ていた
マミ「……あなたは……魔法少女は増えて欲しいと思っていないみたいね」
マミ「能力は私に見せようとしなかったりするのは、私がそばにいるから尻尾を出したくないのかって思ったけど……」
マミ「怪我をしているのに私が魔女に捕まったら必死に助けに来るし、それに一度油断していたけど一般人である二人を守るのも必死だった……」
マミ「今回のグリーフシードを本当に欲しいと思っていない……戦いで自分は魔力を使っていないからと本心で言っているみたいだし……」
能力を隠しているのは見抜かれてしまったようだ、能力が何かさえ分からなければ問題はない
先ほどはわからなかったが、これだけ私を警戒して観察していたということは
マミは戦闘中もこっちに意識を集中させ、私の行動を監視していたのだろう
ほむら「あなたがどう思うのも自由よ」
マミ「暁美さん、これ……あげるわ」
渡されたのは先ほど手に入れたグリーフシード、あと1回ぐらいは使えそうに見える
マミ「傷を治すのに使いなさい、傷を治してその子達を暁美さんが家まで送ってあげるのよ?じゃあまたね」
共闘する分には信頼してもいいということなのだろうか、マミは笑顔で帰っていった
ほむら「……ありがとう……またね」
まどか「ほ、ほむらちゃん、その……」
さやか「き、傷の手当って魔法でできるんでしょ?は、早く」
血がなくなっても死ぬことはないが、さっさと直した方がいいだろう
魔法を使い、傷を治癒していく、痛みがなくなり、傷がふさがっていく不思議な感覚
まどかとさやかとまどかが心配そうに見ている、まどかが二人いる?
身体から力が抜け、視界が暗転していく
まどか「ほむらちゃん!!」
さやか「まどかの家まで運んでてあてしよう!」
―まどホーム―
さやか「ついたー」
まどか「いそいで救急箱もってくるね!」
気がつくと、過去に何度か入れてもらったまどかの家の前にいた
記憶がよみがえる、貧血か何かで倒れてしまったようだ
ほむら「迷惑をかけたわね……もう大丈夫よ、すぐに傷は治……」
知久「おや、おかえりまどか」
まどかのおじさんが出てきてしまった、ここで魔法を使っては魔法を見られてしまう
まどか「あ、えっと、友達が怪我しちゃったから応急処置したいの」
知久「それは大変だね、すぐに横になれる場所を用意するよ」
さやか「悪いけどそろそろ私は帰らないと……」
まどか「ほむらちゃんは私がちゃんと手当するからまかせて!」
さやか「ごめんね、あと頼んだよまどか」
まどか「うん!」
知久「用意できたよまどか」
まどか「ほら、こっちきてほむらちゃん」
ほむら「あまり長居しては迷惑が……」
知久「気にしなくていいよ、ところで、病院に行ったほうがいいんじゃないかい?」
病院に行くのは困る、まだまだやることはたくさんあるのだから
ほむら「いえ、私は大丈夫なので……事情があって病院はできれば避けたいんです……」
知久「……そうかい……えっと、君ははじめましてでよかったかな?」
ほむら「はい、暁美ほむらと申します」
知久「僕は鹿目知久、まどかの父親だよ、暁美ちゃんは家の方と連絡はつくのかい?」
ほむら「一人暮らしなので連絡の必要はありません」
知久「そうかい、なら家に泊まっていくといいよ」
知久「まどかの友達を傷だらけで放り出すようなことはできないからね」
知久「まどかがこの事をママに言ったら僕が怒られてしまう、だから家に泊まってくれないかい?」
家に帰った方が治癒の魔法で治せるし、他にも動かなくてはいけないことがある
しかしこんな言い方をされては断ることはできない
ほむら「……おじさんは結構意地悪みたいですね……」
知久「そうかい?やさしいパパなつもりだけどね」
まどか「てへへ、自慢のパパだよ!」
ほむら「結局厄介になってしまったわね……」
まどか「あ、だめだよまだ安静にしてないと……」
知久「うーん即興で横になる場所を作っただけだからね、まどかのベッドに移動させようか」
ほむら「そ、そんな!い、いいです!お気になさらずに」
まどか「お願いパパ」
知久「じゃあちょっと抱っこさせてもらうよ暁美ちゃん」
結局私はまどかのおじさんにお姫様だっこされてまどかの部屋まで移動させられる
―――――
―――
まどか「まだ痛む?」
ほむら「大丈夫よ、あなたのおかげでとても楽になったわ」
まどか「でも……まだ血が……」
ほむら「言ったでしょう、魔法少女は人間じゃない……血が流れているかなんて関係ないのよ……」
まどか「そんな悲しいこと言わないでよ……ほむらちゃんは……ちゃんと生きてるよ……」
まどかが悲しそうな目で私を見つめる、また私はまどかを悲しませてしまったのだろうか
こうしてまどかを辛くさせることしかできない自分が嫌になる
詢子「まどかーはいるよ」
まどか「あ、ママ」
まどかのおばさんが入ってくる、大人になったまどかはこんな感じなのだろうか
私よりもずっと長くまどかと過ごし、愛情を注いでいる人達……
私が非力だからこの人にも、おじさんにもまどかを失う悲しみを何度も与えているのだろう……
ほむら「すみません、ご迷惑をおかけして」
詢子「あっはっはっは、まさかまどかがこんな美人をたらしこむなんて」
まどか「な、何言ってるのママ///」
詢子「それで、怪我は大丈夫かい?」
ほむら「はい、大丈夫です」
詢子「……その怪我の原因はなんだい?」
まどか「この怪我は私をかばって……」
詢子「何から庇えばこんな怪我をするんだい……あんたたち、なんか危険なことやってないだろうね」
魔法少女の事をしゃべるわけにはいかない、ごまかすしかない
ほむら「……まどかが階段から転けそうになったのを庇ったらその下に尖ったものが落ちていたみたいで」
詢子「はぁ……大人を舐めるなよ、表情は隠せてるつもりかしらないが、嘘だってわかるよ」
詢子「……私には話せない……危険なことをやってるみたいだね……」
まどか「ほ、ほむらちゃんは」
詢子「まどかは黙ってな」
まどか「……」
詢子「暁美ほむらでよかったかな?」
ほむら「はい」
詢子「一人暮らしなことに理由はあるのかい?」
ほむら「……家族にこっちの学校に進学したいとわがままを言って一人暮らしをしています」
家族がいては行動に制限がついてしまう、だから違う地域の会社に行くようにしむけた
一人暮らしするうえで、心配はしていたが健康診断結果を見せたりすることでしぶしぶ許可を得る事が出来た
詢子「そうかい、なら今日からあんたうちに住まないかい?」
ほむら「え?」
私を危険なものととらえて追い出そうとするのならわかるが、住まないかと聞かれるとは思わなかった
詢子「私はまどかをいい子に育てられたって思ってる」
詢子「なにか言えない事情があるみたいだけど……その自慢の私の娘があんたを庇ってるんだ」
詢子「それなら私もまどかと一緒であんたを信用する」
ほむら「……それとここに住むのは関係ないと思うのですが」
詢子「その傷でその冷静さ……普通の女子中学生にはあり得ない、あんた……結構危険なことを日常的にしてるだろ」
詢子「そのたびにまどかはあんたを心配する……怪我をしても大丈夫としかいわないあんたをだ……」
詢子「心配をしているまどかを見て私や知久もまどかを心配する……そんな不安そうなまどかを見たくないのさ」
まどか「ママ……」
詢子「まぁ……無理にと言うつもりはないよ」
先ほどのおじさんの言葉を思い出す、似たもの夫婦なのだろうか、まどかと一緒にいるのはキュゥべえから守れるメリットがあるが
私にはやることがある、そのために出かけてまどかの一家を心配をさせてしまってはいけない
ほむら「……とても魅力的なお話なのですが……私にはやることがあるのでお断りします」
まどか「ほむらちゃん……」
詢子「……残念だね、かわいい娘が増えるかもって思ったけど、気が変わったらいつでも来な、歓迎してあげるからね」
ほむら「ありがとうございます……」
まどか「ママが変な事言っちゃってごめんね」
ほむら「そんなことないわ、とても優しい……いいお母さんね」
まどか「うん、ママはいつもお酒を飲んで帰ってくるけど自慢なんだ!」
ほむら「父親も母親も自慢できるなんてまどかは幸せね」
まどか「うん!」
本当に自慢なのだろう、にこにこしながらまどかは答えた
まどか「あの……ほむらちゃん……」
まどか「ほむらちゃんのやることって何?」
まどかを救う事とはいえず、どこまでなら話をしていいのか思考する
沈黙している私にまどかが催促をする
まどか「言えないの……」
ほむら「……私は弱いから……とにかく動かないといけないの……」
結局私は煙にまくような言葉を言う事しかできなかった
ほむら「深夜に動くことも多いから、いきなり出て行ったりしたら心配されてしまうでしょう?」
まどか「そっか……」
まどか「そろそろ包帯取り替えるね!」
ほむら「ありがとう、お願いするわ」
キュゥべえがまどかに接触してこない……あの時目の前で撃ち殺したからだろうか?
巴マミをけしかけたことを考えると接触しない理由にはならない
さやか、まどかが最初から私を信用してくれたこの世界はチャンスだ
―?―
キュゥべえ「やれやれ、暁美ほむら……あのイレギュラーな魔法少女は僕の秘密まで知っているみたいだね」
キュゥべえ「鹿目まどか、美樹さやかに秘密はばらされてしまったかな?」
キュゥべえ「秘密を知らなかったとしても目の前で個体を潰されるとその後契約を取るのが難しくなるっていうのに」
キュゥべえ「とは言っても、鹿目まどか……性格から考えると友人が死にそうなピンチとなれば契約することができるだろう……」
キュゥべえ「もうすぐワルプルギスの夜もやってくる……そこを狙おうかな、暁美ほむらは鹿目まどかにつきっきりだろうし」
キュゥべえ「まずは美樹さやかの契約を目指そう」
キュゥべえ「マミは魔法少女を増やそうとしているから、きっと美樹さやかや鹿目まどかを魔法少女のいる世界に引き込もうとするだろうし」
キュゥべえ「途中でマミが暁美ほむらと仲違い、真実を知っての絶望してもそれはそれでエネルギーになるし問題はないね」
キュゥべえ「保険に佐倉杏子あたりにもこっちの街がおかしなことになるかもしれないと情報を流しておこうかな」
キュゥべえ「彼女はなかなか絶望しないし、呼び込めば何かのきっかけで絶望してくれるかもしれないね」
―まどホーム―
まどか「すぅ……すぅ……」
ほむら「今なら窓からでも抜け出せるけど……」
抜けだしてまどかのおじさんやおばさんを心配させるわけにはいかない
それにしても、傷を治す前に倒れるなんて、最悪のタイミングだ
それにいま怪我を治すと翌朝おじさんやおばさんに不審に思われてしまう
早めに佐倉杏子あたりと接触してみたいが、今日は諦めるしかないのだろう
まどか「それにしても、看病中にベッドに寄りかかって眠ってしまうなんてまどからしいわね……移動させてあげないと」
まどか「ん……ほむらちゃん……私も力に……すぅ……すぅ……」
ほむら「……あなたがこうしていてくれるだけでどれだけ私の力になっているか……」
ほむら「気持ちだけで嬉しいわ、ありがとうまどか……」
まどかの頭をやさしくなでる
まどか「……すぅ……すぅ……」
痛みを消し、包帯を解いてまどかを持ち上げてベッドに移動させる
まどかのシーツや布団、ぬいぐるみを私の血で汚さないように注意し、私も横になる
まどかの顔が近くてドキドキする……しかし、これが一番体勢的に良さそうだ
まどかが起きた時に心配させないように包帯を巻きなおし、眠りについた
まどか「あれ……私寝ちゃって……」
ほむら「すぅ……すぅ……」
まどか「やっぱりほむらちゃん、綺麗だな……」
まどか「あ、あれ?包帯がなんだかおかしいような……もしかしてほむらちゃん、私をベッドに……」
まどか「そうだ……ほむらちゃんは真ん中で横になってもらってたもん……今ほむらちゃんが端っこに、私が真ん中になってる……」
ほむら「……駄目……契約……ちゃ……駄目……」
まどか「……大丈夫だよ、ほむらちゃんが私やさやかちゃんに命がけで教えてくれたんだもん……」ナデナデ
ほむら「すぅ……すぅ……」
まどか「どうしてほむらちゃんはここまでしてくれるんだろ……」
まどか「……いつか……教えてくれるんだよね?」
ほむら「では、昨日はお世話になりました、学校の準備があるので失礼します」
おじさんとおばさんに礼をし、玄関へ歩いていく
まどか「ほむらちゃん……」
詢子「……まどか、あの怪我じゃ用意も大変だろうからついていってやんな」
知久「朝食は二人分持ち運べるようにして用意しておいたからね、これを暁美ちゃんのおうちで食べていくんだよ」
知久「お弁当はこっち、暁美ちゃんの分もあるからまどかと一緒にお昼を食べて、食べ終わった容器をまどかに渡してくれるかい?」
ほむら「い、いえ、大丈夫で」
まどか「うん!行ってくるよ!行くよ、ほむらちゃん!」
―道中―
ほむら「傷なら直せるから気にしなくていいのよ?」
まどか「でも心配だったから……」
ほむら「その気持ちは嬉しいけど……まぁいいわ、私の家まで行きましょう」
まどか「うん!」
―学校―
さやか「あ、まどか、ほむら!」
まどか「あ、おはようさやかちゃん」
ほむら「おはよう、さやか」
私の肩を心配そうに見ている、もうすでに治っている事がわかるように肩を軽く回して見せた
さやか「よかったぁ……」
ほむら「二人には心配をさせて悪かったわね」
まどか「ううん、ほむらちゃんは私を守って……」
さやか「あのさ……今日もあんな危ないことをするの?」
ほむら「そうね、魔女や使い魔がでてきたら……ね」
まどか「そんな……」
ほむら「普通の魔女程度なら巴マミと私がいれば怪我一つなく勝てるから安心しなさい」
さやか「……私達は邪魔にしかならなかったもんね……昨日はついていって悪かったよ……」
ほむら「契約せず、私と仲良くしていてくれるのが私としては一番嬉しいわ……学校が楽しいなんて久しぶりだもの」
いつから学校を楽しい場所と感じなくなったのだろうか、もう思い出せない
―昼休み―
マミから突然テレパシーが送られてくる、内容は昼食を共に食べないかという誘いだった
屋上に来るようにテレパシーを返し、一緒に食べようとこっちに来ていたまどかとさやかを誘ってみる
志筑仁美は今日は別グループと食事をするようだ
ほむら「……屋上で巴マミと食事をするけど、来る?」
まどか「えっと……うん、行くよ」
さやか「じゃあ私も……」
ほむら『前についてきた子達がきても問題はないかしら?』
マミ『私としてはその子達は素質のある子だからあなたが嫌じゃないなら是非といいたいわね』
―屋上―
マミ「ごめんなさいね、呼びだしたりして」
ほむら「気にしなくていいわ」
マミ「共闘するからにはあなたと仲良くなって色々と知っておいても損はないと思ったのよ」
ほむら「そうね、同感よ」
マミ「鹿目さんに美樹さんも、そんなに怖がらずに接してくれると嬉しいわ、もしかしたら魔法少女仲間になれるかも知れないんだから」
さやか「あはははは、そうですねー」
ほむら「仲良くなるのに魔法少女の話なんてどうでもいいでしょう」
マミ「そうね、ごめんなさい暁美さん、いままで一人だったからつい……ね」
ほむら「私じゃ不満かしら?」
マミ「そんな事はないけど、多いにこしたことはないでしょう?仲間は」
ほむら「だったらまず佐倉杏子と接触してみたりしたほうが早いんじゃないかしら?」
マミ「あら、彼女がどんな魔法少女かぐらい知っていっているの?」
ほむら「少なくとも、変な魔法少女よりはあの子のほうが信頼できると思うけど?」
今は確かにマミとは相容れない、佐倉杏子はそんな魔法少女だが
本当は心の強い頼れる存在、欠かせない存在
まどか「……あの、マミさんは……どんな願いで魔法少女になったんですか?」
マミ「……私は、事故にあってその時に助かりたいって願ったのよ……」
まどか「そう……なんですか……」
マミ「だから、あなたたちに魔法少女になってほしいと思っていても、願いだけはしっかりと考えて欲しいと思っているわ」
さやか「お昼にしましょうよマミさん、ほむら」
マミ「あら、鹿目さんと暁美さんのお弁当が一緒ね」
ほむら「事情があってね」
―数日後、昼休み屋上―
マミとも随分仲良くなった……まどかとさやかを魔法少女に誘導しようとするのはやめようとしないが
巴マミが戦力になってくれるのは正直ありがたい……
契約は自分の意思、だからまどかとさやかが契約をしようとさえしなければなんとかなる……
さやか「でこの前CD屋でですねー」
マミ「へぇ、あそこのCD屋って品揃えがそんなによかったのね」
まどか「だってさやかちゃんはCD探すの得意ですから、上條君のためにいつも通ってるんですよ」
マミ「あら、彼氏さん?隅に置けないわねー」
さやか「そ、そんなんじゃ///」
ほむら「顔が真っ赤よ、さやか」
何度か巴マミと共闘をこなし、信頼も程度得られた、この分なら今日のお菓子の魔女も容易く乗り越えられるだろう
それはともかく、いつもいる場所にいない佐倉杏子はいったいどこにいるのだろうか、接触をはかろうにも見つからない
―放課後、校門前―
マミ「じゃあここで」
ほむら「またね、まどか、さやか」
さやか「気をつけてほむら、マミさんも……」
まどか「け、怪我とかしたらいつでも呼んでね?」
ほむら「いつも心配してくれてありがとう、じゃあね」
キュゥべえ「……」
―――――
―――
マミ「さて、今日はあっちの方を回りましょうか」
今日は、病院に魔女が現れる、しかし、最初からそこに出現すると私が知っているのはマミに怪しまれる
10分ぐらい魔女探しをしてから病院に向かえばちょうど孵化する頃合いになるはずだ
その病院の周辺の店にでも行きたいと巴マミを連れて行くのが妥当だろう
ほむら「そうね」
ただ、あの魔女はまどかやさやかが発見する場合があり、巻き込まれることもある
今回はキュゥべえが一緒じゃないため、まどか達は病院でグリーフシードを発見しないかもしれない
発見したとしても連絡先は交換してある、大丈夫、そう自分に言い聞かせる
―空き地―
マミ「ここをみたらあっちのほうも見回りに行きましょうか」
ほむら「えぇ」
ちょうどいいタイミングのマミの提案、この空き地を見た後で病院に向かえば問題ないだろう
しかし、空き地には今まで会いたかったが、会えなかった魔法少女、佐倉杏子の姿があった
もっとも会いたかった相手だが、もっとも誰とも会いたくない時間に現れてしまった
杏子「久しぶりだなマミ、それにはじめまして、イレギュラーの暁美ほむらだったっけ?」
ほむら「はじめまして、佐倉杏子、何か用かしら?」
杏子「そんなに名の通った魔法少女になった記憶はないんだけど……まぁいいや」
杏子「こっちの街が面白くなるって聞いて、とびっきりのイレギュラーである暁美ほむらを少し探ってたんだ」
杏子「結局、能力も実力もわからなかったっていう無駄足だったさ」
ほむら「知りたいならあなたも私達と一緒に戦わない?」
時間はないが、ここで仲間になってもらえるならそれに越したことはない
マミ「暁美さん、この子は……」
杏子「はっ遠慮させてもらうよ、手札が全く見えない相手と一緒に戦うなんてごめんだね」
ほむら「そうね、あなたはそういう魔法少女よね」
マミ「……あなたは私たち相手に戦う気もないでしょう?用件は何?」
杏子「暁美ほむら……あんたキュゥべえに嫌われてるんじゃないか?」
ほむら「あいつらにそんな感情はないわ、邪魔な存在だから消そうとされてる可能性はあるけどね」
そこに電話がかかってくる、相手はさやか、おそらくグリーフシードを見つけてしまったのだろう
急いで病院へ向かわなくてはいけない
ほむら「悪いけど用事ができたわ」
杏子「何かしらないけど、焦ってるみたいだな」
ほむら「えぇ、また会いましょう」
杏子「焦ってる人間は正常な判断ができずに隠しているものも見せたりするもんだよな!」
杏子「ちょっとぐらい力を見せてもらってもいいかい、暁美ほむら!」
そう言い終えると魔法少女の姿となった佐倉杏子が武器をかまえる
マミ「ちょっと私を無視して話を進めようとしないでもらえるかしら?」
ほむら「巴マミ!見滝原病院に向かって!」
ほむら「まどかとさやかが魔女に襲われてるかもしれない!急いで!すぐに追いつくから!」
マミ「わ、わかったわ!」
杏子「焦ってるのに悪いね、暁美ほむら!」
ほむら「それで、何が知りたいのかしら」
そう言いながら杏子が私を槍で攻撃してくる、私は肉体を強化し、最低限の動きでよけ続けた
杏子「私もキュゥべえのやつは正直気にくわないんだ、何をして嫌われてるのかでも教えてもらおうって思ったのさ」
杏子「契約出来る相手なら誰かれ構わず願い事っつーもんをチラつかせて命がけの戦いに巻き込んでやがるからな!」
杏子が鎖で私の退路をふさぎ、連続で攻撃を繰り返す、それでも肉体強化だけでよけ続けた
私を焦らせようとしていた杏子に逆に焦りが見え始める、そんな杏子に仲間になってくれるように話しかける
ほむら「なら私と協力しなさい、キュゥべえにとってこれ以上ないいやがらせができるわよ?」
杏子「探った情報次第で手を貸そうって思ってたけど……何もわからない相手とつるむ趣味はないんでね」
ほむら「なるほどね、そういう事なら話が早いわ……それで、そろそろ私の実力はわかってもらえたかしら?」
杏子「肉体強化だけで軽々と避けてくれるもんだね……こっちの動きを完全によんでいるような……一体何者だよ……」
時間的にもそろそろ私も病院に向かわなくてはいけない、3日後ぐらいにゆっくりと話し合って仲間に引き入れたい
おそらく杏子ならあの場所に呼び出せば来るだろう
ほむら「……3日後……あなたの思い出の教会に向かってあげる、そこで全て話してあげるわ」
杏子「どうして協会の事を!」
ほむら「それも全て3日後に教えてあげるわ、私がキュゥべえに邪魔に思われる理由も、全てね」
時間を止め、その場から離れた、杏子が私に手を貸そうか迷っているのはありがたい話だ
杏子「な、消え……ったく……雲みたいなやつだな……3日後か……」
―同時刻、魔女結界―
使い魔「ヒギャギャギャ」
さやか「こっちにくるなー」
まどか「さ、さやかちゃん!」
キュゥべえ「こんなんじゃもってあと数分だね、どうだい?どちらかが契約してしまえばすぐになんとかなるんじゃないかい?」
さやか「うっさい!あんた絶対許さないから」
キュゥべえ「まぁいいさ、契約したくなったらいつでも言ってくれるといい」
まどか「ほむらちゃん……ほむらちゃん……助けて……」
マミ「暁美さんが言ったとおりね……魔女の結界……」
マミ「美樹さんや鹿目さんが巻き込まれているなら急がないと……」
マミ「いた!」
さやか「マミさん!」
マミ「大丈夫!」
まどか「は、はい!あ、あの……ほむらちゃんは?」
マミ「ちょっとある魔法少女に絡まれて私をこっちに送るために残ってくれたわ」
マミ「あら、キュゥべえあなたもしかして鹿目さんや美樹さんを無理やり契約しようとしてないでしょうね」
キュゥべえ「この状況だからね、したほうがいいんじゃないかいって言っていただけさ」
さやか「あんたのせいで!」
まどか「だ、駄目だよさやかちゃん!」
さやか「……わかってる……わかってるよ……」
マミ「?とにかく後は任せなさい、一応物陰に隠れておいてね」
まどか「あ、はい、お願いします」
マミ「っと魔女のお出ましね……」
―道中―
ほむら「はぁ……はぁ……」
マミは元々あの魔女相手でも負けるような実力じゃない、しかし、少しでも油断するとやられてしまう
大丈夫だとは思うが、急いでいかなくてはいけない
ほむら「はぁ……はぁ……」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
マミ「これで……え?」
魔女「あーん」
マミ「あ……」
まどか「マミさん!そんな……」
さやか「マミさん!」
キュゥべえ「君たちはもう魔法少女の真実を知っているみたいだし、解っているだろうけど」
キュゥべえ「丸呑みされてしまったのならまだマミを助けられるかもしれないよ、ソウルジェムが砕けていないなら……君たちが契約をすればね」
さやか「そんな……」
まどか「マミさんを救えるなら……私……」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ほむら「お願いよ、あなた達は……契約なんてしないで……そのまま……」
ほむら「……駄目……契約……ちゃ……駄目……」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
まどか「私は……」
キュゥべえ「いいのかい?時間がたてばマミは助けられなくなるよ」
ほむら「その必要はないわ……」
そう言って、あいつを銃で撃ちぬく、契約の必要はない、ぎりぎりマミを助けられた
間に合ってよかった、二人の無事を確認してほっとする
まどか「ほむらちゃん!」
マミ「あ、あれ、私……いま……だべられそうに……」
ほむら「よかった、間に合って……一人にしてごめんなさい、あの魔女は……私がなんとかするから」
マミ「あ、暁美さん……でもあなたは……」
ほむら「二人を……守っていて……怖いのはわかるけど……お願い……」
私が普段マミをサポートするような形でしか戦っていないからだろう、心配しているようだ
それでも目前に迫った死の恐怖に震えるマミはこの魔女とはおそらく戦えない
に二人を守ってくれるように頼む、私は大丈夫だからこの二人を……と
マミ「……わかったわ……ま、まかせて」
まどか「ほ、ほむらちゃん……本当に大丈夫……なの?」
ほむら「えぇ、まかせて」
この魔女相手に能力を隠して戦うのは不可能だろう、高速移動だとでも思ってもらえるといいが……
―病院前―
ほむら「皆大丈夫?」
マミ「えぇ……助かったわ……ありがとう暁美さん……」
さやか「助かったよ……ありがとほむら」
まどか「ほむらちゃん……」
まどかを抱きしめる、もう少しで契約してしまっていたかもしれない
まどかを苦しませることになったのは私が遅かったからだ
まどか「え、わわ、ほ、ほむらちゃん///」
ほむら「遅れて……ごめんなさい……」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「でも……契約しようと……するのは……やめて……あなたが守りたいものは……全て私が守ってみせるから……お願い……」
何度もまどかだけを守ろうとして周りを見捨てたのに、調子のいい事を言っている
自分で自分に嫌気がさす、それでもまどかを守るためならと自分に言い聞かせる
まどか「あの……えっと……ご、ごめんね……ごめんねほむらちゃん……」
マミ「暁美さん……あとで話があるわ……」
マミが小声で話しかけてくる、やはり時間停止がばれたようだ、いつかはばれることだが……
魔法少女の秘密をはなさず、ワルプルギスの夜を退治するために繰り返している事にするとしたら
魔法少女を増やしたがらない理由がない、真実を話すしかない
ほむら「わかったわ」
さやか「……」
まどか「……」
ほむら「無事ならこのまま解散で問題ないかしら?」
まどか「あ、うん……」
マミ「えぇ……」
ほむら「……じゃあ、まどかは私が送っていくから、さやかを巴マミ……お願いできるかしら?」
マミ「えぇ、そうね……」
ほむら「……大丈夫、巴マミ」
ずっと震えている、死が目前に迫った恐怖を味わった、当然のことだ
マミ「ご、ごめんなさい、さっきの恐怖が……その……」
ほむら「いいわ、まどか、さやか、マミの順に送って行くから遠回りになるけどいいわよね」
―公園―
ほむら「もう落ち着いたかしら?」
マミの震えは止まっていた、恐怖を克服はできていないだろうが、落ち着いたようだ
命がけの戦いは死ぬこともある、ベテランだからこそ魔女に負けるなんて思っていなかったのだろう
マミ「今日はありがとう……本当に助かったわ」
ほむら「気にすることは無いわ、共闘関係でしょう?」
マミ「初めてあなたの能力を見せてくれたわね……」
マミ「私に隠したがっていたのに私を助けるために使って……」
マミ「なんというか皮肉なものね……時間停止でいいのかしら?」
ほむら「えぇ……」
マミ「ということは、あなたの願いは……」
これ以上は隠しても無駄だろう、話すしかない……
幸いまどかやさやかはいない、巻き込まれることもない
魔法少女の秘密を……私の目的を
ほむら「……私は1ヶ月後の未来から何度も何度も繰り返している……」
マミ「それを隠していた理由は……話してもらえるのかしら?」
さやか「まどかを救うため、とかじゃないですかね?ほむらの言葉ってまどかの事ばかり考えてる気がするから」
思わぬ声で核心をつかれ、驚きを隠せない、なぜさやかがここに
さやか「悪いねほむら、気になったからついてきちゃった」
さやかにはどんな嘘を言っても見破られる、そんな気がした
以前もまどか以外はどうでもいいと考えていることを見破られたことがあった
ほむら「うじうじして、どん臭くてなんのとりえもなかった私の初めての友達……まどかとの約束を果たすために……」
ほむら「今の私はまどかと交わした約束を守るため……まどかに契約させないために……過去に遡っている……」
さやか「私に魔法少女の秘密を話す時……言ってたよね、まどかが魔女になると世界は10日もしないうちに終わるって……」
マミ「魔法少女の秘密……魔女に……なる?」
ほむら「……私は……キュゥべえに騙される前のまどかを……必ず守り切る……他を犠牲にしたって……」
マミ「……まず、魔法少女の秘密っていうものを……聞かせてもらってもいいかしら?」
ほむら「……辛い現実をつきつける形になるから信じるかは自由よ」
ほむら「さやかも……前に話さなかった……私の過去を話すわ……」
―――――
―――
ほむら「これが証拠よ……まぁこんな証拠、証拠として成り立たないかもしれないけど……私にとっては……とても大切な……」
前にさやかに握りしめているのは何と聞かれた大切な物を見せる、こんなもの証拠にはならない
その気になれば魔法で似たようなものぐらいいくらでも作れる、それでも見せないと信用してもらえない、そんな気がした
マミ「そんな……私は……正義の魔法少女を……目指して……」
さやか「……あんたの事、まどかの事はわかったよ、でもまだ私達に話してないことがあるよね、」
さやか「ほむらは今、私たち二人の話……何か言いづらいことを隠してる……それも話して……」
さやかが魔女になる事がある、失恋する、マミが周りの魔法少女を殺そうとする
そういった事は隠した方がいいと思い、話さなかったがやはり見抜かれていたようだ
ほむら「……巴マミは、この事実を知って絶望し、周りの魔法少女を殺そうとした事がある……だから教えたくなかった……」
ほむら「さやかは……幼馴染の手を治したのは自分なのに幼馴染に振り向いてもらえるわけではなかった……」
ほむら「そのうえ、親友である志筑仁美に幼馴染を取られ、そんな親友を恨んだ自分を嫌悪して魔女になる事が多い……」
ほむら「この事実を知ることで絶望したり、契約してしまったりしないかが不安だった……」
さやか「……そっか、まぁ恭介がそういう相手として見てくれてないってのはうすうす気がついてたよ……」
ほむら「さやか……後悔するとわかっているのだから……契約なんてしないことよ……」
ほむら「巴マミ……魔法少女はいずれ魔女になる……でも今なるわけじゃない……新たな被害者を増やさないように手伝ってくれないかしら……」
さやかには契約をやめるように、マミには私の手助けをしてほしいと伝える
私の一方的なお願い、相手の願いをかなえたりもしない一方的な……キュゥべえより条件が悪い
そんなお願いを……
マミ「ごめんなさい……少し……考えさせて……」
ほむら「これで私の話はおしまいよ……まどかには言わないで、あの子は私に罪悪感と責任を感じてしまう優しい子だから……」
まどかは優しすぎる、私がまどかを救いたいから戦っている等と聞けばきっとあの子は私を必要以上に心配する
まどかに心配をかけたくない、まどかを危険な目にあわせたりしたくない
ほむら「巴マミ……また、共闘できることを祈ってるわ……明日、私の家で返事をきかせてもらってもいいかしら?」
マミに住所を書いた紙を渡す、無気力にその髪を受け取ったマミは一人で歩いて帰っていった
さやか「……あのさ、ほむら……もっと私の話を詳しく聞かせて……あと……」
―翌日、病院―
さやか「おーっす」
恭介「さやか……」
さやか「今日もCD持ってきたんだ」
恭介「……さやかは僕をいじめているのかい?」
さやか「はは、本当に聞いたとおりの話……」
恭介「は?」
さやか「恭介、バイオリン……もう一度弾きたい?」
恭介「と、当然だろ!」
さやか「仮にそうできるようにすることである少女が命がけで戦い続けることになって、さらにその少女に希望がなくなるとしても弾きたい?」
さやか「他にもその少女の本体がいしころになっちゃったり……」
恭介「はは、何を言ってるんだいさやかは、そんなアニメやドラマの魔法みたいな話をし始めて……」
さやか「……恭介、奇跡も魔法も……あるんだよ」
恭介「さや……か?」
キュゥべえ「……それが君の願いかい?」
さやか「なんてね……」
キュゥべえ「……」
恭介「な、からかってたのかさやか!」
さやか「恭介は、本当にこういう話があるとしたら、その女の子にどうしてほしい?」
恭介「……そんな使命を負うのはやめてほしいね」
さやか「バイオリンが弾けなくてもいいの?」
恭介「違う、そんなわけないだろ!」
さやか「そっか、変なこと聞いてごめんね恭介、もう帰るよ」
恭介「さやか!」
さやか「何?」
恭介「さやかは……昔からなんていうか、わかりやすいよね」
さやか「……一番わかってほしいことをわかってないくせに何言ってるのかな恭介は……」
恭介「もし僕の腕が治るとしても、そんな事はされても全然嬉しくないよ」
さやか「はは、そうだね、じゃあね」
―病院前―
マミ「……」
さやか「あ、マミさん……いいところに」
マミ「美樹さん……それにキュゥべえ……」
キュゥべえ「やぁ、マミ」
マミ「……キュゥべえ、暁美さんのいっていた魔法少女の真実……魔法少女が魔女になるっていうのは……本当なの?」
キュゥべえ「本当だよ」
マミ「正直に答えるのね、嘘をついてくれたほうがましな気分だわ……」
キュゥべえ「僕は嘘をついたりしないからね」
マミ「……本当に暁美さんの言うとおりなのね……」
キュゥべえ「マミ、僕を殺して何にな……」
タァン
さやか「……マミさん、こっちってほむらの家の方向じゃないですよね……」
さやか「ほむらに協力……してあげないつもりですか?」
マミ「魔法少女は……魔女になるのよ……」
マミ「私は今まで自分の中の正義の魔法少女を貫いてきたつもり……」
マミ「魔女を倒して倒して倒して倒して倒して倒して……」
マミ「でもその魔女の中には魔法少女もいたってことでしょ、人殺しと何が違うの……」
マミ「それに、あなた達に魔法少女になってほしいっていつも勧誘していたわ……」
マミ「人間ですらない、ただの石ころになれって言ってたのよ!」
マミ「希望なんてない地獄に私は人を引きずり込もうとしていたのよ!」
マミ「あなたも聞いていたでしょう、暁美さんの話……」
マミ「私は佐倉さんを殺したり、美樹さんや鹿目さんを地獄に引きずり込み」
マミ「ううん、暁美さんを引きずり込んだのもある意味私なのかもしれないわね」
マミ「他の魔法少女と自分は違うなんて調子に乗って、周りを巻き込んで……」
マミ「何が正義の……魔法少女よ……」
マミ「消えたいって思って何が駄目なのよ!魔法少女でもないあなたにはわからないかもしれないけど!」
さやか「そんなにつらいっていうなら……マミさん、ソウルジェムを見せてください」
マミ「何?あなたが砕いて殺してくれるの?それもいいかもしれないわね」
さやか「やっぱり……すごい濁ってる……」シュゥゥ
マミ「な、なんであなたがグリーフシードを!」
さやか「昨日ほむらにもらっておいたんですよ、なんとなくマミさんと出会う気がしてたので……」
マミ「やめなさい!それ以上そのグリーフシードに穢を吸わせたら!」
さやか「マミさんは魔法少女にならなければ死んでいたんですよね?」
マミ「え?」
さやか「私は、マミさんと出会えて良かったって思ってますよ」
マミ「ちょ、ちょっと!グリーフシードが孵化して!」
さやか「マミさんが魔法少女になったから、私はマミさんと出会えたんですから……」
―魔女結界―
さやか「……マミさん、ソウルジェムをお返ししますから、一般人の私を守ってください」
マミ「な、あなたが勝手に魔女を孵化させたのに何を言って!」
さやか「一般人を守るって……他の魔法少女はあまりしてないんでしたよね?」
マミ「……」
魔女「がああああああああ」
マミ「この程度ならすぐに……すぐに……」
マミ「すぐに……」
さやか「マミさん、もしマミさんが魔女になったら……どうしてほしいですか?」
マミ「私が魔女になったら?」
さやか「もし私だったら……大好きな人達を傷つける前に、倒してほしいって思います……」
マミ「美樹……さん?」
さやか「この世を呪って暴れるだけの存在になりたいって思っている子がいると思いますか?」
マミ「……」
さやか「マミさんはまだ魔女になってない……多くの一般人も、魔法少女も魔女も救える存在なんですよ……」
マミ「美樹さん……」
さやか「マミさんが今まで助けてきた人は、みんな感謝してるはずです……魔女になった子だって……」
魔女「があああああああああああ」
マミ「み、美樹さん!出てきちゃ駄目よ!危ない!」
さやか「実は、マミさんに一つ、嘘ついたんですよ」
さやか「私には魔法少女の気持ちがわからない?そんなことないですよ……」
マミ「あ、あなた!」
魔女「ぎゃあああああああああああああああ」
さやか「私は……」
ザシュ
魔女「ぎゃああぁぁ……」
マミ「どうして……」
マミ「どうして契約なんて!」
さやか「さやかちゃんは一般人じゃなくて、マミさんみたいな正義の魔法少女としてほむらの助太刀をさせてもらいますから!」
―病院前―
マミ「あなた!何をしているのよ!そんな事したら!」
さやか「……ほむらの話を聞いてる時、なんだか私達はどうでもいいからまどかを助けたいって感じがしませんでした?」
マミ「え?」
さやか「多分、ほむらが歩んできた過去の中には、それを感じて私がほむらを否定したことがあると思うんですよ」
さやか「でも違うんです、ほむらは本当は全員を救いたいって思ってる……」
さやか「魔法少女にならないようにほむらにまどか同様に守られて、そしてほむらの話を聞いたからこそわかります……」
さやか「ただ、そう考えている事をほむらは……自分で認める事が怖いんです……」
さやか「認めてしまったら、私達がひとりでも欠けただけでまどかを救う前に絶望してしまうから……」
さやか「だって、本当にまどかだけを救いたいならまどかを誘拐でもなんでもしたらいいだけの話ですし」
マミ「……そうね」
さやか「ほむらは……本当は全員助けたいのに他を切り捨て、どうでもいいと思い込んで強がってる……」
さやか「そんな事に気がついたら、魔法少女になってほむらを手伝いたい、一緒に私の親友のまどかを守りたいって思ったんです」
さやか「それに、私なら魔法少女になってもほむらは絶望しない、まぁあれほどいったのにって怒られるかもしれませんけど」
さやか「……魔法少女は普通の人と身体の仕組みが少し違うだけで人間だって……魔法少女なった今でもそう思いますよ」
さやか「ほむらがマミさんに能力を隠したかったのに、そのマミさんを救うために能力を使いましたよね」
マミ「……」
さやか「ほむらは、能力から秘密がバレるかも知れないと思ってたはずなのにマミさんを助けたんですよ」
さやか「話を聞く限りだと、マミさんが自分を殺そうとするかもしれないってわかってたのに助けたんです」
さやか「ほむらは、マミさんの力を必要としているんですよ、まどかを救うために……」
さやか「だから、手伝ってあげてください私やまどかに罪の意識を感じてるなら、ほむらを助けてあげてください……」
マミ「……そうね……」
さやか「先にほむらの家に行っておいてください、私も後で行きます、あと私がこんな事言ってたって内緒ですよ?」
さやか「あなたは何もわかってないわね、とか強がりながら否定されるだけですからね」
さやか「あいつ、強がってばかりですからね、支えてやんないと」
マミ「えぇ、わかったわ、ありがとう……美樹さん、目が覚めたわ」
恭介「はぁ……はぁ……さやか……」
さやか「あ、恭介……よく治ったばかりの手足でこれたね」
恭介「さやか……その格好……それに突然治った僕の手足……やっぱりさっきの話は……」
さやか「あはは」
恭介「僕は言ったよね、キミにそんな事されても嬉しくないって!」
さやか「そうだね……」
恭介「僕は……どう恩をさやかに返したら……」
さやか「気にしなくていいよ、あの時恭介が犠牲にしても治りたいっていったら治してあげる気はなかったし」
さやか「ある目的のために戦う力が必要だっただけだもん、そのついで」
恭介「で、でも……」
さやか「じゃあさ、私のこと……ちゃんと異性としてみてほしいかな……」
恭介「え?」
さやか「恭介は私をわかりやすいっていってたけどさ……私、恭介のバイオリンが大好きで」
さやか「気がついたら恭介も好きになってたんだよね……気づいてなかったでしょ」
恭介「さやか……」
さやか「異性として私のことを見てくれるだけでいいよ、恋人として付き合えなんて言わない……」
さやか「責任感じて好きでもないのに私と付き合おうとしたりしてきたら、二度とバイオリンが弾けないようにしてやるから」
さやか「恭介とは長い付き合いだから一緒にいればわかるから……」
恭介「……うん、わかったよ……さやかのことを異性として考えさせてもらう……」
さやか「それでいいのよそれで……じゃあ私も用事があるから、バイオリン……また聞かせてよ」
恭介「必ず最高の演奏を聞かせてみせるよ」
さやか「アヴェ・マリア……」
恭介「え?」
さやか「演奏、恭介の一番好きなアヴェ・マリアがいいな」
恭介「……わかった……必ずさやかに最高のアヴェ・マリアを演奏するよ」
―ほむホーム―
ほむら「……」
インターホンが鳴り響く、マミがきたのかとドアを開けると、まどかがいた
まどか「あ、あの……昨日ほむらちゃん思いつめた顔してたから……その……」
ほむら「……昨日、巴マミに全てを話したのよ……」
まどか「そう……なんだ……」
ほむら「……大丈夫、巴マミを私が殺す事になる可能性ぐらい……覚悟はしてる……魔女になれば魔法少女には戻れない……」
ほむら「魔法少女なんて気がつけば死に、皆に忘れられていく存在……殺したって……」
まどか「絶対、絶対にマミさんはきてくれるよ!、それにもしもマミさんが死んじゃっても、私は皆のために戦ってきたマミさんのことを忘れたりしないよ!」
ほむら「……そう言ってもらえる巴マミは幸せね……」
まどか「ほむらちゃんのことだって、何度も助けてくれたこと、絶対忘れたりしない!私の大切な友達のこと、忘れたりしないもん!」
まどかが私を励まそうとする、何度まどかに私は救われたのだろうか、何度この優しさに……
ほむら「そう……嬉しいわ……」
まどか「ほむらちゃんの事……絶対忘れたりしない!約束だよ、ほむらちゃん」
ほむら「えぇ、約束よ」
ほむら「悪いけどまどかに買い出しをお願いしてもいいかしら?」
まどか「え?」
ほむら「絶対巴マミは来てくれるのでしょう?でも、食べ物も飲み物も用意していないのよないのよ」
ほむら「だから飲み物とお菓子を適当に買ってきて欲しいの、お願いできないかしら?」
まどか「わかった、行ってくるね」
まどかが出て行く、これでもしもの時にまどかが巻き込まれるのを避けられる
外にいるであろう人物をドアを開けて招き入れる
マミ「人が自殺する前提で話をすすめるのはひどいんじゃないかしら、暁美さん」
ほむら「手伝って……くれるのかしら?」
マミ「えぇ」
マミを殺したりすることなく手伝ってくれると言ってもらえた
まどかやさやかが私を気にかけ、マミが手伝おうとしてくれている、杏子も問題はないだろう
これならまどかもさやかも契約をせずに済む、いままで繰り返した時間で一番うまく物事が進んでいる
ほむら「ありがとう……」
マミ「美樹さんに私のすべきことを教えられて目が覚めたわ……」
ほむら「さやかに?」
マミ「全てを知っていて、それでも彼女は戦うことを選んだ……強い子ね……」
ほむら「まさか、さやかは!」
あれだけ言ったのに、まさか契約したなんて思いたくなかった、考えたくなかった
たしかに、さやかがよく契約するのは今日だった
それでも契約なんてするわけがない、そう思いたかった
さやか「やっほーほむら」
ほむら「あなた、どうして!」
ちょうどいいタイミングでやってきたさやかを問い詰める、何故契約したのか、何故、どうして
さやか「……あんたの話を聞いて決めたんだ……」
さやか「大丈夫だよ、私だったらまどかみたいに世界が滅ぶような魔女になったりしないってわかってるんだから」
ほむら「そんな問題じゃないでしょう!」
さやか「私は告白できずに失恋する……」
さやか「仁美が恭介を好きって言って、それに対して仁美を助けた事を後悔した私が自己嫌悪で絶望する」
さやか「だったよねほむら……」
ほむら「えぇ……」
さやか「確かに私は恭介の身体を治した、でも……告白してやったよ、振られたって私は絶望なんてしない……」
さやか「願いはついで、私はほむらの手助けがしたい……それに、ほむらに私が告白する世界があることを教えたかった」
さやか「私が告白する世界があるんだからワルプルギスをほむらが倒せる世界だってあるはずだよ」
さやか「まどかは私の親友なんだ、それに……ほむらも、マミさんも、今は私の大切な仲間なんだ」
さやか「大切な仲間たちを守ったり、手助けするために戦う力を得たのに絶望なんてする必要はないでしょ?」
ほむら「……何を言っても魔法少女になってしまった以上もうどうしようもないわ……」
今問い詰めてもしょうがない、魔法少女になってしまえば元には戻れない……
ほむら「これからの話をするわ」
ほむら「まずワルプルギスの夜までに私たちは連携を取れるようにしないといけない……」
仲間が増えても一緒に戦えないようじゃ話にならない
そのためにも一緒に戦う経験が必要になる
マミ「となると今日からひたすら3人で?」
ほむら「いえ、2日後から4人で連携をとった戦いをするから2日の間はさやかを鍛えるわ」
マミ「4人っていうと佐倉さんかしら?」
ほむら「えぇ、2日後にあの子の思い出の協会に私が向かって全てを話すわ」
さやか「そいつには教えて大丈夫なの?」
ほむら「動揺はするけど絶望はしないはずよ、それに……佐倉杏子も元々は巴マミやさやかのような魔法少女を目指していた」
ほむら「私の能力も見せるから納得するはずよ」
他人なんて知らない、自分が生きていくためだけに戦う、そんな魔法少女に見える杏子
でも、本当はとても義理がたい、優しい女の子
さやか「そういえば他の魔法少女が来たりはしないのかな?」
ほむら「基本的にこないと考えて、ワルプルギスの夜なんて来るとわかっている町で迎撃しようとする物好きなんてそんなにいるものじゃないわ」
さやか「あはは、じゃあここは物好きな人ばかりになったわけだね」
ほむら「……今日の夕方、魔女が出るからさやかにはその退治を一人でやってみてもらうわ」
ほむら「いざとなったら助ける、でも……今後命がけで戦っていく以上、強くなってもらわないと困るのよ」
ほむら「ワルプルギスの夜を超えるためにも……その後を生きて行くためにもね……」
マミ「出現場所はわかってるの?」
ほむら「えぇ、この魔女に操られる人々の中には志筑仁美がいることが多いわ、私の話を聞いた、あなたの選択を見せてもらう……」
ほむら「志筑仁美を助ける、助けない……どちらにせよ私は一切止める気はない……あなたの覚悟を見せて」
さやか「……絶対仁美を助けて魔女を倒すよ」
さやかの決意とともにインターホンがなる
おそらく、念のためと外へ行ってもらったまどかが帰ってきたのだろう
まどか「てへへ、いっぱい買ってきたよほむらちゃん!」
ほむら「ありがとうまどか、大変だったでしょう」
まどか「そっか、さやかちゃんも魔法少女に……」
まどか「私も……何か出来ないのかな……」
ほむら「あなたは誰かの役に立ちたいっていつも考えている優しい子なのはわかっているけど……」
ほむら「あなたが契約をせずに私達を信じてくれるのが一番私達にとって嬉しいって事を覚えておいて……」
まどかが契約せずにいてくれれば、それだけで私の目的が半分達成される
あとはワルプルギスを倒すだけ、ただそれだけなのだ
マミ「そうよ鹿目さん、暁美さんはあなたが大好きだからあなたがそばにいるだけで元気になるわ」
まどか「か、からかわないでくださいよ///」
さやか「さすがほむら、もう攻略済みかー」
ほむら「か、勝手なことを言わないで」
マミ「じゃあ鹿目さんのこと……暁美さんは愛してないのかしら?」
ほむら「そ、そんなの言えるわけないじゃない!」
さやか「否定できてないうえにあわててる時点でもはや大好きと言っているのと一緒だね」
まどか「うぅ///」
マミ「じゃあね、暁美さん」
さやか「まったねー」
ほむら「えぇ、また……」
さやかとマミが帰っていく、まどかは帰ろうとしない
何か用事でもあるのだろうか
まどか「ねぇ、ほむらちゃん……」
ほむら「何かしら?」
まどか「さやかちゃんとマミさんに全部話したんだよね……ほむらちゃんの目的も……全部……」
まどか「私には……話をしてくれないの?」
ほむら「私は、未来からきたの……目的は……ワルプルギスの夜を退治すること、キュゥべえに騙される人をひとりでも減らすことよ……」
まどか「ワルプルギスの夜?」
ほむら「出現すると大災害として認識される魔女よ……もうすぐ見滝原にくるの……」
まどか「そうなんだ……」
ほむら「えぇ、私ではワルプルギスの夜を退治できないから、何度も過去に戻ってやり直しているの」
まどか「ほむらちゃんは未来の人なんだね……だから私のことやさやかちゃんのことも知ってたんだ……」
ほむら「えぇ……これが私の目的よ……」
まどかの事は言わない、言えばきっとこの子は自分を責める
そんな事になってほしくない……うそつき扱いされても、嫌われてもそれだけは嫌だ
まどか「……どうしてこんなに私を守ってくれるのかとか……話してくれないの?」
ほむら「それは……」
まどか「やっぱり……私には全部は話をしてくれないんだね……」
ほむら「……」
まどか「ごめんね、言いたくないのに聞いちゃって……」
まどか「私も帰るね……」
ほむら「まどか……」
まどか「何か力になれることがあったら教えてね?私、手伝うから……」
まどか「またね、ほむらちゃん」
ドアを開け、まどかが走って出て行く、帰り際のまどかは泣いていた、私がまどかを泣かせた
正直にいえば泣いたりしなかったのだろうか?もっと何か嘘をつけたのではないか
悲しませないためなんて言って、どうして私はいつもまどかを悲しませてしまうのだろうか
―2日後 協会―
杏子「随分仲間を連れてきたもんだな」
ほむら「この方が私の能力や説明が教えやすいのよ」
杏子「へぇ、まぁ予想はついてるけどな」
杏子「私の前から瞬時にいなくなったのはとんでもないスピードかと思ったが……時間停止だろ?」
ほむら「話が速くて助かるわ」
杏子「時間操作をしてるなら、私の名前だけじゃなく、この場所を教えた覚えもないのに知っている事も説明がつく」
ほむら「じゃあ話を始めましょう、私の能力、願い、魔法少女の秘密、全てを話すわ」
杏子「やっと話がきけるわけだ」
さやか「なんか偉そうだね……」
杏子「あんたは、この前は魔法少女じゃなかったと思ったけど……威勢のいいやつだな……」
さやか「あったことあったっけ?」
杏子「暁美ほむらを探るときに見てたんだよ」
さやか「うわ、ストーカーじゃん」
杏子「殴っていいか?」
ほむら「後にして」
どの時間軸でもこの二人は出会えば喧嘩してばかりだった、それでも時間をかけて本音を言い合える友達になっていた
憎まれ口を叩きながらさやかを一番心配していたのは杏子だった
―――――
―――
ほむら「これが証拠になるかはわからないけど……」
マミやさやかにも見せたように私の大切なものを見せる、証拠にはならないが
やはり、見せないと信用してもらえない、そんな気がしてしまう
杏子「なるほど……つじつまは合ってるし、能力を考えると全て真実って考えてよさそうだな」
杏子「つまりそのまどかってやつを契約させないだけでキュゥべえに最大の邪魔ができるわけだ」
ほむら「そうなるわ」
杏子「いいねぇ、気に入ったよ、私にも一枚かませな」
さやか「自分では言った覚えがないのに知らない人が自分の憧れてた話とか知ってるって結構恥ずかしいですよね」
マミ「そうね、暁美さんと関わる前なんて佐倉さんとは敵対しているようなものだったから印象が変わりそうだわ」
杏子「怒っていいか?」
ほむら「怒るだけ無駄よ」
考えてみると、3人が普通に話をするのは見たことがあるが、こんな風に冗談をいいあっているのをはじめてみた気がする
3人全員が生きて協力してくれる、この世界ならワルプルギスの夜を倒せる、そんな希望を持てる気がした
さやか「私のために心中してくれることもあるなんて、杏子はいいやつだねー」
杏子「本当に私がこいつのために死んだことがあるってのか!むしろぶっ殺したい!」
ほむら「事実よ」
マミ「佐倉さんも素直じゃないのね」
杏子「はぁ……まぁ、元々正義の魔法少女になりたいって戦ってたのは本当だしな……」
ほむら「……ショックなことがあったのだからしょうがないわ……」
杏子「なるほど、ただこの協会に私が連れてきただけじゃなく、私の過去もちゃんと知ってるわけか」
ほむら「そうね、何度も繰り返してそのたびに違った接し方をしていると自ずとね……」
マミ「その話は、私たちは聞かせてもらっても問題はないのかしら?」
杏子「かまわないよ、たいした話ってわけでもないさ」
杏子の過去の話が始まる、何度かきかせてもらった内容だ
自分が人の幸せを願い、その願った相手に否定され、相手が死ぬ
改めて杏子の心の強さを実感する
―――――
―――
マミ「苦労してたのね……」
杏子「もう慣れたよ」
ほむら「ところで、携帯電話を所持していない杏子と連絡は取りにくいから誰かの家に居候してほしいのだけど」
そうすることで簡単に連絡が取れる、幸いにも私やマミは一人暮らしだ
杏子「ん?じゃあお前の家でいいや」
ほむら「そう、歓迎するわ」
マミ「そろそろワルプルギスの夜に向けての話をしましょう」
―数日後、ほむホーム―
ほむら「それで、なんで全員で集まっているの?」
マミ「あなたの家にきたっていいじゃない」
さやか「そうそう、正義の魔法少女の秘密基地ってことで」
杏子「どこのガキだよ……」
まどか「私は何もできないや……」
さやか「まどかはヒロインだからいいんだよ!」
マミ「そうそう、暁美さんにとってのヒロインなんだから」
ほむら「ま、またあなた達は……」
まどか「うぅ///」
杏子「まぁ、ただ集まってしゃべるのもたまにはいいんじゃねぇの」
さやか「まどか成分をほむらが補給しないとほむらはやってられないもんね」
マミ「そうよ、暁美さんが危ないからって鹿目さんを連れていこうとしない割に鹿目さんのことばかり考えてるんだから」
ほむら「あなた達……最近性格変わらなかった?」
私の目的や過去を聞いたからなのか、やけにまどかとくっつけようとしている気がする
さやか「それにしても杏子、最初は使い魔まで倒すのか?とか言ってたのに、今では丸くなったよね」
マミ「素直じゃない佐倉さんにきっかけができたっていうのがおおきいんでしょうね」
杏子「うっせぇあっち行け」
マミ「……そうだわ、ワルプルギスの夜を無事に越えたら……皆で旅行にいかない?」
ほむら「……ワルプルギスの夜を越えた後のことなんて考えたこともなかったわ……」
杏子「旅行ねぇ……」
マミ「時期的に、スキーや温泉ってところかしら」
ほむら「それよりもワルプルギスの夜について……」
マミ「なにか楽しい未来が待ってるってわかってるほうが頑張れるものよ、暁美さん」
杏子「ま、いいんじゃねぇの」
さやか「私は賛成」
まどか「わ、私も皆と一緒に……行きたいな……」
ほむら「……楽しい未来……か……」
まどかを救ってこの1カ月を終わらせることしか考えてなかった
ワルプルギスの夜を倒したら私は何をしたいのだろうか、ふと、マミに共闘を申し込まれた日を思い出す
普通の日々を過ごして、まどか達と笑いあいたい、平和で幸せな日々を送りたい
何がしたいじゃなく、ただまどか達と一緒にいたい、平和な日々を……
今度こそつかんで見せる……
ほむら「……場所や日付は全て巴マミに任せるわ……」
マミ「じゃあスキー旅行で決まりね」
さやか「マミさん!マミさん!」
さやかがマミになにかを小声で言っている、おそらく何か悪だくみだろう
マミ「あら、面白そうね」
さやか「でしょー」
マミ「まかせて、条件に合うように決めておくわ」
ほむら「何をたくらんでいるのよ……」
さやか「あー楽しかった、そろそろ帰りますか」
まどか「そうだね、もう暗くなってきちゃった」
マミ「そうね、あんまり長居しても悪いし」
ほむら「そう、なら送って行くわ」
杏子「私はここにいるかなー」
まどか「……ほむらちゃんはお料理とかしないといけないだろうし、大丈夫だよ」
まどか「杏子ちゃん、お願いしてもいいかな?」
杏子「……確かに飯が遅くなるのは嫌だし……」
杏子「……しょうがねぇな、行ってやるよ」
ほむら「そう?じゃあ杏子、よろしくね」
まどか「結局気を使わせちゃってごめんねほむらちゃん、ありがとう」
ほむら「気にしなくていいわ、またね皆」
まどか「うん、またね、ほむらちゃん……」
4人全員が出て行く、杏子がきてから久しぶりに一人になった気がする
―公園―
杏子「で、私をわざわざつれだしたかった理由はなんだい」
さやか「ほむらはまどかの事になると結構にぶいんだよねー」
まどか「あの……ほむらちゃんが未来からきたとか、ワルプルギスの夜を倒すことが目的なのは聞いたけど……」
まどか「でも、ほむらちゃんが私をいつも守ろうとしてくれたりする事の理由を知りたいって思って……」
まどか「ほむらちゃんに聞いても……何も教えてくれなくて……皆何か知ってるみたいだから……教えてほしいなって……」
さやか「あーいや……」
杏子「……別に教えるのはかまわないよ」
マミ「佐倉さん!?」
杏子「私はこいつらみたいに口止めされてない……まぁ、元々接点が少ないし問題ないって思ったんだろうけど」
杏子「恥ずかしい過去も暴露されたし、仕返しってことで喋っちまうのもいいかもな」
杏子「でもまどか、全員がお前に喋らなかったってことは全員がお前に喋らないほうがいいんじゃないかって感じてるってことだ」
杏子「それに、この話はほむらから聞くべき内容だ……それはわかってるんだよな?」
まどか「私は……それでも知りたい……ほむらちゃんの事を知りたい!」
杏子「……わかった、話すよ」
―――――
―――
まどか「だからほむらちゃんは……ずっと私なんかのために……グス……」
さやか「私なんかとか言っちゃだめだよまどか、ほむらにとってまどかは一番守りたい大事な友達なんだから」
マミ「そう、暁美さんの想いを無駄にしたくないなら、あなたは私達を信じて帰りを待っていて?」
まどか「……さやかちゃん、杏子ちゃん、マミさん……話があるの……」
―――――
―――
さやか「私はそんな話聞きたくないよ!」
マミ「そうよ、そんな話……」
まどか「もしもの話だよ……」
杏子「……まぁ、私達が無事に帰ってくればいいだけの話だな……一応話は覚えておくよ」
まどか「ありがとう……杏子ちゃん」
さやか「……何事も無く4人ワルプルギスの夜を倒して……で馬鹿な話をしちゃったって思わせてやるから……」
マミ「そうよ、その時は私達4人に変なコト言ってごめんなさいって謝ってもらうんだから」
まどか「はい!」
キュゥべえ「……」
―ワルプルギスの夜襲来、前日―
さやか「キャッ」
杏子「さやか!」
マミ「伏せて!ティロ・フィナーレ!」
―――――
―――
さやか「楽勝楽勝」
杏子「お前な……周りがどれだけサポートしてると思ってんだ……」
マミ「ふふっまぁ私はマスケット銃だから後ろから援護するのは得意よ」
ほむら「私の攻撃は全員を巻き込みかねないからサポートが一番適任なのよね」
さやか「ほら、杏子以外なんて問題ないみたいに言ってるじゃん」
ほむら「問題はないわけじゃないけど、最初に比べたらましにはなったわ」
さやか「ほらーそれに接近で私と杏子、遠距離でマミさんとほむら、いい感じじゃん」
杏子「実際さやかがつっこんでそれを私が無理にフォロー、それをお前たちが守ってるだけじゃねぇか……」
マミ「ふふっ仲間がいるからできることじゃない、美樹さんには明日も期待しているわ」
ほむら「明日……必ずワルプルギスの夜を倒してみせる……」
―ワルプルギスの夜襲来、当日―
地獄のような光景だった
空は赤黒く変色し、ワルプルギスの夜が通った場所は壊滅していた
こいつを倒せば私の目的は全て達成できる、なんとしても……あの魔女を
ほむら「来るわよ……」
さやか「了解!」
マミ「スキー旅行、楽しみね」
ほむら「楽しみに思う前に目の前の敵を倒すわよ!」
杏子「へ、こいつをぶっ潰したら普通の魔女に敵はいないね!」
ワルプルギス「ウフフフフフ」
ほむら「……こうして全員が生きて私を手伝ってくれる世界は初めてね……だから……この世界に賭ける……」
ほむら「いままで節約してサポートに回ってきたけど……私が集めてきた兵器を使ってやる!」
盾の中に入っている全ての兵器を取り出す、この世界なら、きっと倒せるはずだ
必ず倒して見せる、ワルプルギスの夜を
さやか「すご!」
マミ「関心してないで、私達も攻撃するわよ!」
杏子「あのデカさで宙に浮いてるってなると普段とは違う戦い方をするしかないみたいだね……」
―――――
―――
マミ「まったく、どれだけ攻撃したら倒れるのよ」
さやか「ダメージを受けてるのかすらわかりませんね……」
杏子「それにしてもほむらはすげぇな……」
マミ「えぇ……私達の援護だけじゃなく、集めた兵器を確実にあてているわね……」
さやか「ほむらの集めた武器がすごすぎてほむらが攻撃中は近づくこともできませんし」
杏子「その間に少しでも休めってことだろうな……あいつが攻撃するタイミングは私達が全員攻撃していないし」
マミ「暁美さんの攻撃には限りがあるもの、少しでも私達が攻撃できるようにっていう考えなんでしょうね」
杏子「まぁいいさ、あいつがその気なら私達もそれに合わせるだけだ」
さやか「そうだね」
マミ「暁美さんが私達とならワルプルギスの夜を倒してくれると信じてくれているんだもの……負けられないわ」
杏子「あぁ!」
さやか「そうですね!」
―避難所―
キュゥべえ「やぁ、まどか」
まどか「キュゥべえ……」
キュゥべえ「どうだい、契約してくれる気にはなったかい?」
まどか「なるわけないよ……」
キュゥべえ「時間遡行者、暁美ほむらが繰り返したおかげで君は強い素質を持つようになった、その力があればキミにはあの4人を救うこともできるってことだよ」
まどか「私がいなくても、皆は……ワルプルギスの夜を倒すよ」
キュゥべえ「厳しいんじゃないかな?、ワルプルギスの夜はあの4人程度を相手にしたダメージの蓄積で勝つことができる魔女なんかじゃない」
まどか「でも……皆は倒すって言ったもん……」
キュゥべえ「僕達が嘘をつかないことはしっているんだろう?さっきの言葉がどういう意味か君はわかっているはずだけど」
キュゥべえ「絶対にないとはいわないよ、でも、ほぼ不可能って事をさ」
まどか「……」
キュゥべえ「……彼女たちの戦いの場にいかないかい?場所を教えてもらってはいないのだろう?」
まどか「え?」
キュゥべえ「君が応援をすればきっと4人も頑張れるんじゃないかい?」
ほむら「はぁ……はぁ……」
マミ「暁美さん、少し後ろで休みなさい」
杏子「私達が楽になるようにするのはいいけどお前が倒れたら意味無いだろ」
さやか「私達だってほむらを助けたいんだから」
ほむら「そう……じゃあちょっとだけ……」
仲間たちに甘えてしまう、私は魔法武器を持っていない、つまり決定打がない、3人を頼らざるを得ない
だから3人が体力を温存して戦えるようにと思ったが、思った以上に体力を消耗している
少しだけ、ほんの少しだけ休もう……
ワルプルギスの夜「ウフフフフフアハハハハ」
ほむら「あ……」
気を緩ませたところで気がつく、ワルプルギスの夜からの攻撃に
攻撃をよける?間に合わない、時間を止める?間に合わない
身体が動かない、世界がスローモーションで動く
しかし、これなら私だけの直撃で済むだろう、みんなが巻き添えじゃなくてよかった
もう皆の手助けをできないかもしれない、それでもこの3人なら倒してくれる、そう祈り目を閉じた
身体が宙を浮き、地面にたたきつけられ、がれきが私の上に落ちてくる
意識があるのが奇跡なダメージだった、それでもがれきで足が埋まっている、さらに言えば足の骨は恐らくぐしゃぐしゃだろう
魔法少女なら、傷を治せる……そうはいっても私は癒しの願いではない、時間がかかる……
仮にさやかに頼んだとしてもそれなりの時間がかかるだろう、つまり……私はここから動けない
私のもとに3人が駆け寄ってくる
さやか「ほむら!大丈夫?」
ほむら「私はいいから!敵に集中して!」
杏子「そんなことできるかよ!」
マミ「早くこの岩をどけるわよ!」
皆が私を助けようとしている、無情にも、そこにワルプルギスの夜が攻撃を仕掛けてくる
全員私の方をみているがために気が付いていない、このままでは全員がやられてしまう
とっさに杏子の手をつかみ杏子を思い切り投げ飛ばす
杏子「ほむらお前!なんだよ突然!」
ほむら「助けようとしてくれてありがとう……嬉しかったわ」
杏子「な!お前まさか!」
マミとさやかの手を握り、時間を止める、杏子の時間も止まる
間に合った、これなら杏子は無事だしこの二人も助けられる
足が埋まったままで片手だとしても全力で腕力を強化すれば人間ぐらい投げれるはずだ
さやか「あ……ほむら……まさかあんた!」
マミ「そんな、攻撃が迫って……」
ほむら「このままやられるよりずっといいわ……」
さやか「や、やめ!それよりほむらの足を!」
ほむら「その必要はない!」
この瓦礫をどかすのは短時間では不可能だろう、足も動かない、私は攻撃をよけられない
さやかを思い切り投げ飛ばす、さやかの時間が止まる
おもったより遠くに投げられた、これならさやかに攻撃は当たらない
ほむら「悪いけど一度に長く止めるのは魔力が必要なのよ……」
マミ「暁美さん!私があの攻撃を受け止めるわ!だから!」
ほむら「気持ちだけ受け取っておくわ、でもお断りよマミ!」
攻撃を受ける、あの巨大な質量はたとえマミでも受けきれない、不可能だろう、魔力の無駄だ
マミを思い切り投げ飛ばす、マミの時間が止まる
さやかと違い、両手を使えるので余裕があるぐらいだ、よかった、これで3人は無事だろう
ほむら「ありがとう……皆……」
そう呟いて時間を動かす、攻撃は私のもとに飛んでくる
まだ目的を果たせていないのに笑みがこぼれた、まどかは契約していない
3人が無事ならワルプルギスの夜と戦ってくれる、きっと私の目的は達成される
ワルプルギスを退治、まどかが契約しない、二つの目的
杏子「ふざけんなよほむらああああああああああ」
杏子の声が聞こえた、私はふざけてなんかいない、自分の中で最善と思った事をしただけだ
マミ「やっと名前で呼んでくれたと思ったのに勝手に諦めてるんじゃないわよ!」
マミの声が聞こえた、思わず名前で呼んでいたようだ、でも、私は何も諦めたりしていない
皆が生きていればワルプルギスを倒せるはず、まどかも契約しない、目的は達成されるはずだ
さやか「1人でも欠けたら意味ないんだから!」
さやかの声が聞こえた、今まで皆を何度も見殺しにしてきた私には過ぎた言葉だ
また身体が大きな力によって飛ばされる感覚が私を襲った
私の足を挟んでいた瓦礫も、なにもかもが吹き飛んだ
そこで私の意識はそこで途絶えた
まどか「……これ……皆が言ってたほむらちゃんの……」
まどか「ほむらちゃん……起きてよ……ほむらちゃん……」
全身から激痛……温かい水が私の頭にぽつぽつと当たる、雨だろうか
なぜこんな感覚があるのだろうか……瞼を開ける
ほむら「私……生きて……」
まどか「よかった……皆がほむらちゃんへの攻撃を吹き飛ばしてくれたんだよ……」
思わぬ人の声に驚きが隠せない、目の前にまどかがいた
涙をぽろぽろと流し、私を心配そうに見つめている
ほむら「まどか……どうしてあなたが……ここに……」
キュゥべえ「僕が連れてきたのさ」
まどか「皆がほむらちゃんを私に任せてくれて……今も戦ってくれてる……」
まどか「絶対にほむらちゃんの望む世界にするって……ずっと……」
まどか「でももう傷だらけ……傷だらけ……なんだよ……皆もう限界……なんだよ……」
まどか「私だけ……戦えないなんて……あんまりだよ……ごめんねほむらちゃん……私は誰か一人でも欠けるなんていやなの……」
まどか「だから……私……契約するね……」
聞きたくない言葉が聞こえる、身体を動かそうとする、右手以外まともに動かない
唯一うごかせる右手をまどかにのばし、止めようとするが届かない
叫ぶだけで激痛が走る、それでも私は懸命に叫んでいた、無駄だと知りながら……
この優しい少女は止めたって私や皆を助けるために祈ってしまうことを
ほむら「だめよまどか!契約しちゃ駄目!」
キュゥべえ「まどか、君はどんな願いでソウルジェムを輝かせるんだい?」
まどか「私は……」ギュ
ほむら「お願い!間に合って!」
私の意識はすでにおぼろげで、まともに射撃なんてできる状態ではなかった
それでも、ここであいつを打ち抜くことができれば、まどかは救えるかもしれない……
薄れる意識を必死に集中させ、私は鉛玉をあいつに発射すると同時に、視界が暗転した
―――――
―――
大雨の音がする、いったいどうなったのだろうか、徐々に頭が覚醒していく
ほむら「ん……」
さやか「あ、ほむら!起きた!」
マミ「心配したのよ」
杏子「身体は大丈夫か?」
さやか「傷は私が治したから大丈夫だと思うけど……」
最も動いてほしい時に動かない役立たずな手足を見る
手も足も動く事を確認する、問題はない
ほむら「……大丈夫よ、ありがとう……ワルプルギスの夜は?」
私はあいつを止め、そしてまどかは契約せずに退治できている
そうあってくれ、そう祈りながら尋ねる
杏子「……倒したよ、まどかが……」
マミ「私達が与えたダメージに鹿目さんの一撃で……でも鹿目さんは魔女にならずにすんだわ……」
ほむら「……そう、まどかは生きてるのね、よかった……」
まどかは生きている、ワルプルギスの夜を退治してもまだまどかは生きている、初めての事だ
でも、まどかは契約してしまった、また……まどかとの約束は守れなかった
マミ「ちゃんと鹿目さんのソウルジェムも穢はとったから安心して」
ほむら「そう……」
私はいかなくてはならない、まどかが生きていても……関係ない……
まどか「ほむらちゃん起きた?」
さやか「あ、起きたよ、ほら……あれ?」
マミ「暁美さんがいない……」
杏子「あいつ!」
まどか「ほむらちゃん、もしかして……行かなきゃ!」
さやか「まどか!どこいくの!」
マミ「追いかけるわよ!」
まどか「急がないと!ほむらちゃんが!」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
まどか「すごい雨……でも急がないと……走らないと!」
まどか「絶対……絶対にいかせたりなんかしない!」
まどか「止められないなら……わたしは……」
「 」
―屋上―
いつもは見晴らしのいいこの場所も雨では視界が悪い
すべてがどうでもいい、雨に濡れるのも、何もかもどうでもいい……
ほんのひと時の何もしなくていい、全てが終わってしまった時間
後は過去に戻れる時間をまつ、ただそれだけの時間
ぼんやりとしていると、雨がやみ、さっきまでの曇り空が嘘のように晴れていた
ほむら「……あの地獄が嘘みたい……綺麗な夕暮れね……」
バタンと誰かがこの屋上にやってきた音がした、住民は避難させられ、学校は当然ない
いったい誰が来たのか、私はふりかえって扉に視線を向けた
まどか「はぁ……はぁ……」
全身を雨に濡らして来たのはピンク色の魔法少女、まどか
私にとっての大事な友人、戦いの理由……
いったいこんなところに何をしに来たのか、何故魔法少女の姿できたのか、そんなことを考える
ほむら「……まどか……どうかしたの?びしょ濡れよ?」
まどか「ほむらちゃんこそびしょ濡れだよ」
ほむら「ぼんやりしていたから……」
まどか「てへへ、私は雨の中走ってたから汗と雨で」
ほむら「そう……雨の中走ってまでこんな所へどうしたのかしら?それに魔法少女の姿で……」
まどか「私は契約しちゃったけど……ワルプルギスの夜も倒せたし、誰も死んだりしてない……」
まどか「ほむらちゃんの目的はワルプルギスの夜を倒すことだったよね……」
ほむら「えぇ……」
まどか「だったら……ほむらちゃんは……ほむらちゃんはどうして過去へいこうとしてるの?」
ほむら「……ある約束を守りに行くだけよ」
まどか「……やっぱり、ほむらちゃんは、私の最高のお友達だね」
突然の言葉に思わずぽかんとしてしまう、とてもうれしい言葉だった
しかし、その言葉を言われるような事を私がした記憶がない
思わず浮かんだ疑問をそのまま口にしてしまう
ほむら「さやかや志筑仁美の方が付き合いは長いでしょう?」
まどか「そうだね、私の知ってる付き合いの長さで見ればそうなるね……」
ほむら「でも、最高の友達と言ってくれるのはとても嬉しいわ」
まどか「……過去へ……行かせないよ……絶対に」
真剣な目で私を睨み、止めるという意思が冗談ではないことを示していた
ほむら「……私が素直に言うことを聞くと思っているのかしら?」
まどか「ううん、思ってない……でも行かせない!」
まどかが手を振り上げると同時に屋上全体に結界が展開された
ほむら「……あなたは結界を作れるのね……学校の屋上をまるごと結界内に……」
まどか「うん、私の結界はその空間内の全てを切り離すみたいだから……この中にほむらちゃんを閉じ込めておけば時間を遡れないよね」
まどか「それに、切り離しただけで外の世界と同じように時間は進むから、ほむらちゃんの時間切れも狙えるんだよ」
ほむら「でも、私は時間を止めることはできるし、あなたを気絶させればいいだけよ」
できるだけ怖い声で、まどかに殺気を向ける……
お願いをするような言葉遣いでまどかに結界をやめるように脅す
ほむら「あなたを傷つけたくはないの……素直に結界を解いてくれないかしら?」
まどか「ほむらちゃんが時間を遡らないって約束してくれたらいいよ」
ほむら「それは出来ないわ」
まどか「だったら私も出来ないよ……」
ほむら「どうして私のジャマをするのかしら?」
まどか「ほむらちゃんがいなくなっちゃうのが嫌だからとか色々あるけど……」
まどか「やっぱり一番は私がほむらちゃんとの約束を守るためだよ」
ほむら「約束?」
思わず聞き返してしまった、まどかとの約束……あいつに騙されるまどかを助ける事……
しかしその約束をしたまどかは私が殺した、この時間軸のまどかではない
まどか「うん、前に約束したよね、ほむらちゃんの事……絶対忘れないって」
ほむら「えぇ」
まどか「ほむらちゃんが過去に行っちゃったら……私はほむらちゃんの事忘れちゃう」
まどか「そうなったら私は約束をやぶったことになっちゃうよね?」
ほむら「私が約束するより前に戻るのだからそんな約束を気にする必要は無いわ」
あんな約束をちゃんと約束したものと考えてくれていたまどかを抱きしめてありがとうと言いたかった
でも抱きしめてしまえばもう私は過去に戻れない、そんな気がした
まどか「それなら……ほむらちゃんの守ろうとしてくれてる約束だってそうだよ!」
まどか「ごめんねほむらちゃん、私……皆に聞いちゃったんだ」
まどか「ほむらちゃんの願い、ほむらちゃんが過去へ戻る理由、ほむらちゃんの過去、私との約束……」
まどか「私、ほむらちゃんがこんなに苦しむ約束なんて守ってほしくないよ!そんな約束守らなくていいよ!」
ほむら「……あなたが約束を守って欲しいかなんて関係ない、私はあなたとの約束を守るわ」
まどか「どうして……」
ほむら「あなたはこの時間を生きて行く……だからあなたは約束を守っているわ」
まどか「違うよ……ほむらちゃんからみて忘れられちゃうならそれは約束を破ってるよ……」
ほむら「ならその約束……守らなくていいからなかった事にしてもらえるかしら?」
まどかは何も悪くない、約束を破らせるのは私なのだから……
そんな約束を気にするならなかったことにしてほしい……
まどか「出来ないよ……そんな事できるわけ無いよ……」
ほむら「約束っていうのは約束した人の間での決めごとよ、私が守らなくていいというなら」
まどか「だったら!だったらほむらちゃんの約束だって私との約束だよね……」
ほむら「……そうね、でも……あなたであってあなたではないわ」
屋上で最も高い位置から飛び降り、まどかと同じ屋上の床に着地する
まどかはまっすぐに私をみつめていた
ほむら「あなたとゆっくり話をしたいところだけど……私が過去に戻れる時間は決まっている……」
ほむら「まどかが邪魔をするなら倒してでも、私はまどかとの約束を守るために過去へ遡る!」
まどか「私は、ほむらちゃんとの約束を守るためにほむらちゃんを過去へいかせたりしない!」
まどか「ほむらちゃんが何度も何度も私のために過去に戻ってくれた……」
まどか「ほむらちゃんが悲しみを積み重ねて……何度も私を助けようとして大きくなった私の力を使ってでも!」
私が繰り返すたびにまどかの力が強くなっていった事は確かだった
まどかの力が強くなっていったのは私のせいだったようだ
私が繰り返せば繰り返すほどまどかが絶望した時の悲しみは大きくなる……それでも……止まるわけにはいかない
ほむら「……あなたに私は止められない……止められると思っているなら……止めてみなさい鹿目まどか!」
できればまどかを傷つけたくない、まどかはまだ魔法少女になったばかりだ、
圧倒的な力があっても傷つけないように手加減をするだろう、そこをついてやるしかない……
まどかをうかがう、攻撃しようという気配はない
ほむら「……攻撃はしてこないのかしら?そんな事でわたしをとめられるとでも?」
まどかを攻撃しようとした私を結界がさえぎる、私が本気で攻撃しても破れないような結界が
まどかに攻撃の意思はない、ただ結界を展開して私の攻撃をひたすら防いでいた
ほむら「結界をはって逃げ続けるつもり?」
まどか「私は、ほむらちゃんを戦って止めようなんて思ってないもん!」
ほむら「時間切れ狙いってことかしら?でも……」
本当に優しすぎる、こんなまどかを攻撃しないといけない自分が嫌で仕方ない
それでも止まるわけにはいかない、時間を止めて私はまどかに接近し、また時間を動かす
まどか「え?わ!」
ほむら「突然あなたに抱きつくぐらい接近したら結界は貼れないわよね」
ほむら「自分を覆うように結界をだしていれば、私はどうしようもなかったわ」
まどか「わわ!」
まどかをできるだけ傷つけたくない、まどかの足を払い、転ばせた
まどかの背中を私の手で受け止めるようにクッションを作り、そのまま二人で倒れこむ
そしてまどかの額に銃口を当て、あっさりと決着はついた
ほむら「あなたは間違いなく最強の魔法少女よ、でも経験が足りないし、優しすぎるわ」
ほむら「私を攻撃せずに止められると思っていたのなら残念だったわね」
まどか「結界で自分を覆ったら、ほむらちゃんとお話できないっておもったの……」
ほむら「私と話をするために負けて、私を過去にいかせたら本末転倒じゃないのかしら?」
ほむら「まぁいいわ、これで……終わりねまどか……」
まどか「……ほむらちゃん……どうして泣いてるの?」
ほむら「え?あっ……」
知らない間に私は泣いていた、涙を流していた……
まどかを救うために戦ってきたのにまどかにこんなことをしているのか考えてしまったからか
まどかを救えそうだったのに結局自分のふがいなさでまどかを契約させてしまったからなのかはわからない
まどか「ほむらちゃん……後悔してるの?」
ほむら「えぇ、そうね……ワルプルギスの夜との戦いからずっと……」
ほむら「あの時休もうとしなければ、油断しなければ、キュゥべえを止めていたら、あなたを魔法少女にせずにすんだかもしれない」
どの原因も全て自分のせい、考えれば考えるほどやりきれない……
まどか「だからやり直すの?」
ほむら「そうよ、今回と同じように動けばマミも杏子も死なない……あなたとさやかも契約しないようにする」
ほむら「マミがさやかのおかげで立ち直っていると言っても、さやかの代わりに私が説得できればいいことよ」
まどか「さやかちゃんも私も後悔なんてしてないよ」
ほむら「えぇ、だからこれは私の自己満足……私の望む世界にするためよ……」
まどか「私は、魔法少女になって皆を救えてよかったって思ってるよ」
ほむら「そう……さぁ結界を解きなさい鹿目まどか」
ほむら「解かないというなら、あなたを大切に思う人達に悲しみを与えることになるわ」
まどか「……ほむらちゃんは私を殺せるの?」
まどかを何度も殺した記憶がよみがえる、ソウルジェムが濁り、魔女になりそうになったまどかを
この手で……殺した……その時のまどかの言葉も浮かんでくる……涙が溢れてくる……
ほむら「えぇ、今までだって何度もあなたを殺したわ……何度も……何度も!」
まどか「結界を解くよ……」
ほむら「……わかってくれたのね」
まどか「ううん、違うよ……」
ほむら「それでもいいわ、まどか……大好きよ」
まどか「……結界を解く前にほむらちゃんにお願いがあるの……過去に行くなら私の……」
まどかが何かをいいかけたところで発砲する音が結界内に鳴り響いた
驚きとともにまどかを守るように音の方向に盾を構える
そこにいたのは3人の魔法少女、一人が自分の真上に向かってマスケット銃を発砲していた
マミ「……あなた達二人で話を進めないでほしいわ」
さやか「二人のクラスメイト兼親友のさやかちゃんも混ぜてもらうよ!」
杏子「本当はほむらの選択を眺めていようって話だったんだけどな……」
まどか「皆、どうして……」
杏子「屋上に入るところでずっと待機してたんだよ」
マミ「2人だけの問題みたいに進めちゃって、私達だって仲間じゃない……」
さやか「まどかにあんなことをさせたりしない、ほむらにそんな選択はさせない!」
ほむら「何の話かわからないけど……あなた達も邪魔をするつもり?」
マミが指先をくるくると動かすと、私をリボンで捕まえようとする
縛られれば私は無力、すぐにその場から距離をとる
マミ「この状況で邪魔をせずに見送ってあげるとでも思っているの?」
杏子「まどかを抜いても3対1……これでも抵抗するかい?」
さやか「まどか……私達にもチャンス欲しいの……」
杏子「お前に無事に帰ればいいんだろって大口たたいてあのざまだしな……」
まどか「う、うん……わかったよ」
ほむら「……邪魔をするというなら容赦はしない……」
ほむら「私はこの中で最も魔法少女の素質がない……身体能力を本気で上昇させても貴方達より非力よ」
ほむら「私は素質に比べて強力な願いをしたために能力だけは一人前で、魔法の武器すらもっていない、作れない」
ほむら「だから生きるために、勝つために試行錯誤した……自分のできる最善を考えて、仲間が動きやすく戦いやすく戦っていた」
ほむら「他の時間軸で貴方達と戦う事になれば動きにくく、やりづらいように戦っていた……」
マミ「つまり私たちの動きなんてわかりきってるとでもいいたいのよね?」
ほむら「マミ、杏子は過去に戻ってもすでに魔法少女……さやかも願いは基本的に同じ……」
ほむら「能力も変わらない……あなたたちじゃ、私には勝てない……」
マミや杏子に後れをとったのも昔の話、不意をつかれたりさえしなければ戦っても困りはしない
私の武器は人間がつくった兵器、対人間の武器、魔女との戦いに特化した魔法少女の武器ではない
ほむら「ワルプルギスの夜を倒す戦力にしたくて、無駄な魔力を使いたくなくて戦いを避けていただけよ」
さやか「そんなのやってみなくちゃわからないよ!それにほむらには時間制限もあるんだから!」
杏子「前にやった時は確かに勝てる気がしなかったが、今回もそうはいかないよ!」
ほむら「あなたの言うとおり……タイムリミットまで時間がない、一気に潰させてもらうわ!」
ほむら「1対多となると、指揮する人、援護を倒すのが総崩れさせやすい!」
私の言葉を聞いてすぐにマミが反応する、さやかもマミの守りを固め始める
さやか「マミさんを狙おうってんなら私を倒してからにしてみなよ」
ほむら「えぇ、最初からそのつもりだもの」
さやか「え?」
他に二人もいる状況でマミを攻撃しても私がやられるだけ
ならば近くに仲間がいるために近接も威力の高い攻撃もできないマミを放っておくほうが良い
私の前に飛び出してきたさやかが私の狙いだ
杏子「そう簡単にはいかないよ!」
そんな考えはわかりきっているとでも言いたげに杏子が私のさやかへの攻撃を止める
杏子「3対1って言ったろ?」
その杏子の言葉と同時に発砲した音とともに私の肩を弾丸がかすめる
私の腕を封じようという考えなのだろうか
マミ「過去に私達3人同時に戦った事はあったのかしら?」
ほむら「……言われてみれば無いわね」
杏子「お前は縛ってやればそれで終わりだろ!」
杏子が武器の鎖を使って変幻自在な動きで私をとらえようとする、同時にマミもリボンを操りはじめる
ほむら「そうね、時間も止めても無駄、肉体はあなた達より非力……でも縛れたらの話でしょ?」
ほむら「狙うと分かっている攻撃を回避するなんて簡単なことよ」
さやか「いまだ!でやああああああああ」
私を縛ろうとする鎖とリボンを抜けるとそこにはさやかが待ち構え、攻撃を仕掛けてくる
隙をつけると思ったのか、仲間がいるのにたった一人で攻撃を仕掛けるということが愚かなことかわかっていない
ほむら「さやか、未熟なあなたは攻撃を仕掛けるしか無いかもしれない……でも」
さやか「かはっ」
肘を正確にみぞおちに当てる、杏子もマミも助けられないタイミングなら簡単なことだった
ほむら「一直線な力強い攻撃は、魔女のように攻撃を避けない相手に使うべきね……」
ほむら「あと、仲間がカバーできない状態での攻撃はやめなさい、今後命にかかわるわ、まだ未熟なんだから」
杏子「さやか!」
時間を止める、接近し、時間を動かす、そして杏子にも同様の攻撃を与える
ほむら「杏子、あなたは仲間が傷つくと焦って狙い目に変わるわ」
杏子「がっ」
さらに死角から回し蹴りを当てる、肉体は強化されている、魔法少女でも気絶するだろう
ほむら「……復活されてもめんどうだからソウルジェムは預かっておくわ……」
二人のソウルジェムを奪い、100m以上離れたところに傷つかないように置く
その間マミは一切攻撃してこない、私が戻ってくるのをじっと待っていた
マミ「……本当に私たちの事をよく判っているのね」
ほむら「私からすれば敵としても味方としても貴方達は長い付き合いなのよ」
マミ「時間を止めてきたら私は何もできないかもしれないわよ?」
ほむら「今、時間を止めてあなたを倒そうとしても罠をはっているのでしょう?」
ほむら「私に触れているものは時間が動く……だから踏んだ物を捕まえるような魔法でも使っているんじゃないかしら?」
マミ「余裕を感じさせるわね」
ほむら「そうでもないわ、慢心していないあなたを倒すのは結構骨が折れるのよ」
マミ「喜んでいいのかしら?」
ほむら「えぇ、あなたがこの時間軸のまどかをこれからも守ってあげてくれたら安心と私が思ってるほどよ」
まどかは最強の魔法少女、しかし経験がまだ不足している
その時ベテランで素質も高いマミならまどかを守れる本心からそう思えた
マミ「あなたが鹿目さんを預けてもいいってほどなら素直に喜んでおくわ」
マミ「……私たちとの約束……覚えてる?」
ほむら「皆でスキー旅行に行くって話かしら?」
マミ「無事にワルプルギスの夜を倒したらって言ったわよね?」
ほむら「私にとって……まどかが魔法少女になることは無事ではないわ……」
ほむら「先に言っておくけど、あなた相手だと傷つけずに倒す事はできそうにないわ」
ほむら「……ソウルジェムは狙わないけど……殺す気でいくから」
拳銃を手に私はそう宣言した、先ほどまでの3対1と違って1対1、しかし私の体力はかなり削られている
手加減してマミに勝てるほどの余裕があるわけではない……短期決戦を狙って一気に勝負しなくてはならない
マミ「私としてはひたすら逃げてあなたのタイムリミットを狙ってもいいのだけど……」
マミ「しっかりとあなたを屈服させて、皆と一緒にスキーに行きたいですって言わせてあげる!」
接近しようとした途端、マスケット銃の弾が大量に飛んでくる
掻い潜って近づこうにもおそらく罠がある、近づくことはできない、煙幕で視界を奪う
マミ「煙幕なら爆風で吹き飛ばしてあげるわ! ティロフィナーレ!」
ジャンプしているため場所もよくわかり、マミに空中で攻撃をよけるすべはない
あの技を使った後、マミにはすこし隙ができる……後は時間を止めてそこを突くだけだ
ほむら「その大技の後、隙ができるから私のような相手に使うのはオススメしないわ」
ほむら「それにジャンプして自分の居場所を教えるのはやめておいたほうがいいわよ」
マミ「えぇ、でも……本当に大技を使ったのかは確認してから時間を止めるべきよ!」
ただのマスケット銃をマミは地面に向け、私の煙幕で銃を見えなくすることで私をだましたようだ
私があの技の後の隙を狙うとよまれていた、私の腕を弾丸がかすめる
思わぬ反撃に対して、私は無理に反撃をしようとマミに銃を向ける
マミ「撃ってみなさい!」
そういったマミは頭からソウルジェムをつかみ、私の向けている銃口に投げつけてきた
撃てばマミは死ぬ、頭の中で撃つことへのセーブがかかる、それと同時にマミが投げたソウルジェムを撃ち抜き
そのまま貫通した弾が私の肩を貫く
マミ「殺す気でくるんじゃなかったのかしら?」
ソウルジェムを自分で撃ち抜き、そしてそれでも生きているマミに驚きを隠すことができない
その動揺と隙をマミは見逃さず、動けば撃つわよという言葉とともに私の額にマスケット銃を向けた
マミ「さっきのは魔法で作った偽物よ、でも、過去に行くあなたにとって現在の私の命なんてどうでもいいんじゃないかしら?」
マミ「私を殺すのも戸惑う覚悟で過去に戻るつもりだったの?そんな事だから何度も繰り返すはめになるのよ」
マミ「本当に鹿目さんだけを助けたいって思っていたの?他の皆もできたら助けたいなんて考えてたんじゃないのかしら?」
ほむら「まどかは自分だけ助かっても嬉しいと言わない子よ……」
全員は守れない、だからまどかだけを守ろうとした事が何度もあった
そのたびにまどかは私だけ助かっても嬉しくないと言っていた
マミ「鹿目さんが皆を助けたがる優しい子だから何?あなたの言い訳じゃない」
マミ「本当に救いたいなら有無を言わさず鹿目さんを、鹿目さんが悲しむのを少しでも減らしたいなら関係のある子全員を拉致でもしたら?」
マミ「あとはワルプルギスの夜が通り過ぎるのを待つだけ、簡単じゃない」
マミ「鹿目さんも最初は悲しむでしょうけど、自分の知り合いを助けてくれたあなたに感謝の言葉をくれるわよ」
マミ「中途半端な覚悟で繰り返すから何度も何度も失敗するのよ」
ほむら「黙れ!」
マミ「……正直、あなたを過去に行くのを私たちが止めるなんて本来不可能なのよ」
マミ「あなたが過去へ戻れないことにもし絶望したら魔女になる、でもあなたはまだ魔法少女として私と戦ってる」
ほむら「何が言いたい……」
マミ「鹿目さんはワルプルギスの夜までに死ぬのよね……どう?鹿目さんがワルプルギスの夜を倒しても生きているこの世界は」
マミ「あなた、本当は鹿目さんが生きているこの世界で生きていきたいんじゃないかしら?」
ほむら「わかってないのねマミ……私が過去へ戻れないなんて思ってないだけよ!」
一瞬の隙を突いてマミの体勢を崩す、そのまま先ほどとは逆の状態、私が銃口をマミの額に突き付け優位な状況となる
マミ「な!つぅ……」
ほむら「形勢逆転ね」
マミ「……そうでもないわ」
私に刃物を向けている影が二つある、すぐにマミから距離をとり、疑問を口にした
ほむら「……ソウルジェムは奪ったはずだけど?」
杏子「あれか?マミと一緒に魔法で作った偽物だ」
さやか「こっからは本気でいくよ!」
さやか「ほむらの言うとおりだよ……私はまだまだ未熟だよ、だからまっすぐに攻撃するしか無いんだ!」
ほむら「だったらもう一度潰してあげるわ」
さやか「さっき私を倒した時の言葉……今は威力より手数、そして仲間が守ってくれるようにってことだよね?」
先ほどと違い、はるかにやりづらい
ほむら「そうよ、でも……だからといってあなた相手に手間取る私じゃない!」
杏子「おっと時間を止める暇は与えないよ!」
さやかの隙をきっちりと杏子が守る、それだけではなく杏子も攻撃を仕掛けてくる
ほむら「グッ……」
マミ「そろそろこの時間軸に残るって言ってくれると嬉しいのだけど……」
発砲の音が響く、杏子とさやかが体勢を立て直そうと少し引いた瞬間をきっちりとマミが援護している
マミのマスケット銃の弾丸が私の足をかすめた、すでに左の肩は思うように動かない
このまま足をやられたらもう勝機はないだろう
しかし、諦めるわけにはいかない、まどかとの約束のために
ほむら「はぁ……まだよ……まだ……時間はある……」
ほむら「元々私は……一人でだって今まで戦ってきたわ!」
私は3人に向かって走り出した、気づかれないように後ろにあるものを投げて
走るだけで足に痛みが走る、それでもここで立ち止まるわけにはいかない
ほむら「ああああああああああああああああああああああああああ」
さやか「ほむらが突っ込んできたよ!」
杏子「おいおい何をするつもりだあいつ!」
マミ「警戒して!」
警戒して私のいる方向をよく見てくれていればいるほどありがたい
傷だらけの体で走るのはつらかった、後ろに投げたスタングレネードの爆発する寸前にその場に伏せる
タイミング良く閃光と破裂音がした
マミ「目が……」
杏子「耳もやられたか……」
ほむら「治す時間なんて与えない!」
時間を止め、接近し時間を動かす、これを繰り返し一人ひとりに攻撃を与える
それでも全員がまだ意識を保っていた、怪我のせいで力が入っていなかったのだろうか?
しかし、たやすく立ち上がれるダメージではないはずだ、もう一度攻撃をするだけ、ただそれだけで終わる
ほむら「これでおわ……」
その瞬間、背後からまどかの声がした、動かないでと一言だけ……
少し薄暗くなっていた屋上に、私の後ろから淡い光が放たれている
まどかの矢の優しい光……
ほむら「……まど……か……」
まどか「……ねぇほむらちゃん……」
ほむら「……何かしら?」
まどか「ほむらちゃんは私の祈りを聞いてた?」
ほむら「いえ、意識をちょうどなくしたから聞いていないわ……」
特殊な能力が結界、何かからの攻撃を防いだりできるもの……まどかの祈りそうな願いはすぐに浮かんだ
ほむら「皆を守りたいとかかしら?」
まどか「ちがうよ、確かに皆が大変だった……だからほむらちゃんが言うように、そう祈ろうって思ったよ……」
まどか「でも、口から出た言葉は違ったんだ……私の祈りは……ほむらちゃんを守りたい……そう願ったの」
後悔した、私を守りたい、それはあの時私がしっかりしていればまどかは契約しなかったということ
呪いたかった、私が非力なせいでまどかが契約することになったことを、しかし今となってはどうしようもない
ほむら「私が過去に戻ればあなたは守る対象を失って魔女になるとでもいいたいの?」
まどか「そうだね……確かにほむらちゃんがいなくなったら魔女になっちゃうかもしれない……」
まどか「ほむらちゃん、いまからとっても最低で卑怯な事をするね……皆ももう止めないで……」
マミ「……できれば止めたかったけど……」
さやか「まどか……」
杏子「あぁ……離れてみてるよ……」
杏子「悪いな、チャンス貰ったのに2回とも活かせなかった……」
まどか「ありがとう……」
元々何かを打ち合わせていたのか3人が自身を程度治癒し、遠くに離れていく
3人が出てきたときも妙なことを言っていた
いったい何をするのかわからない、最低で卑怯、殺されたくないならとでもまどかが言うのだろ
ほむら「私が過去に戻ればあなたは守る対象を失って魔女になるとでもいいたいの?」
まどか「そうだね……確かにほむらちゃんがいなくなったら魔女になっちゃうかもしれない……」
まどか「ほむらちゃん、いまからとっても最低で卑怯な事をするね……皆ももう止めないで……」
マミ「……できれば止めたかったけど……」
さやか「まどか……」
杏子「あぁ……離れてみてるよ……」
杏子「悪いな、チャンス貰ったのに2回とも活かせなかった……」
まどか「ありがとう……」
元々何かを打ち合わせていたのか3人が自身を程度治癒し、遠くに離れていく
3人が出てきたときも妙なことを言っていた
いったい何をするのかわからない、最低で卑怯、殺されたくないならとでもまどかが言うのだろうか
ほむら「まどか、何をするつもり?過去に戻ろうとするなら殺すとでも言うの?」
ほむら「いいわよ、殺しなさい……まどかとの約束を守れないとしたら私が死ぬ時っておもっていたもの……」
ほむら「まどかに殺されるとは思っていなかったけど……あなたを何度も殺した私をあなたが殺すことに文句はないわ」
まどかに殺されるなら文句はない、本望だ、そう思えた
まどか「ちがうよ……私のソウルジェム……過去へ行くなら砕いてくれないかな?」
聞き間違えであってほしかった、しかしまどかはそのまま話を続ける
まどか「私は最悪の魔女になる……そうだよね?」
ほむら「……そうね……」
まどか「じゃあ……そんな可能性は潰しておかないと……」
ほむら「それは……私以外でも……」
まどか「いったよね……私はほむらちゃんを守りたいって……」
まどか「他の人に砕かれたら……そのせいでほむらちゃんを守れないって……絶望しちゃうかもしれない……」
まどか「でもほむらちゃんは違う……守りたい人だもん……その人が私を守る必要はないって砕いてくれたら……絶望する必要なんて無い!」
いつもの笑顔を向けてくれる、私を守りたい人だと
いつもの笑顔を向けてくれる、私に自分を殺してほしいと
まどか「マミさんやさやかちゃん、杏子ちゃんが邪魔しに来たりはしないよ……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
まどか「だからほむらちゃんは……ずっと私なんかのために……グス……」
さやか「私なんかとか言っちゃだめだよまどか、ほむらにとってまどかは一番守りたい大事な友達なんだから」
マミ「そう、暁美さんの想いを無駄にしたくないなら、あなたは私達を信じて帰りを待っていて?」
まどか「……さやかちゃん、杏子ちゃん、マミさん……話があるの……」
まどか「もし、私が魔法少女になってワルプルギスの夜を退治しても生きていたら……ほむらちゃんを過去に行くのを止めたいの」
さやか「まどか……あんたが魔法少女になるってどういう意味かわかってるんだよね……そんな話をしたかったの?」
まどか「わかってるよ……でも、私だって皆にもしものことがあったらって思うと怖いの……」
まどか「だから、誰かがいなくなったりするぐらいなら……私は……」
杏子「……あいつが自分の意思でやってることを止めるってことがどういうことかわかってるのか?」
マミ「暁美さんはあなたとの約束を守るために戦い続けてきた……それを邪魔することは暁美さんが魔女になるわよ」
まどか「だから、ほむらちゃんの意思でこの世界に残るって考えて欲しいんです……」
まどか「もし、ほむらちゃんがこの世界に残らないことを選択する時は、この世界への未練がないように背中を押してあげたいんです」
さやか「どうやって……」
まどか「ソウルジェムを……ほむらちゃんに砕いてもらおうって……」
杏子「ほむらにとってお前を殺させて何があるっていうんだ」
まどか「ワルプルギスの夜のあと、私が生きてることはないなら……」
まどか「だから、私が生きてた世界があったらほむらちゃんは後悔しちゃうかもしれない……」
まどか「あの世界に残るべきだったって……」
杏子「……ほむらのためじゃなくて、まどかがほむらがいない世界を生きていきたくないからって話だな……」
まどか「てへへ、自分勝手だよね……こうやってほむらちゃんを引き止める言い訳を作って……」
杏子「別にいいさ、後悔がないように自分のしたいことを願えよ、そして自分の望む世界を目指すのは当然だ」
杏子「現にほむらだって自分の望む世界を目指して戦ってるんだ」
まどか「ありがとう……皆は……ほむらちゃんがどんな選択をしても邪魔をしないで……」
さやか「私はそんな話聞きたくないよ!」
マミ「そうよ、そんな話……」
まどか「もしもの話だよ……」
杏子「……まぁ、私達が無事に帰ってくればいいだけの話だな……一応話は覚えておくよ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ほむら「覚悟はできているのね、まどか……」
拳銃をまどかの胸のソウルジェムに向ける
まどかになぜ私は拳銃なんて向けているのだろうか、わからない……
それでも向けなくてはならない、まどかを殺すために
まどか「本当はとっても怖いよ……でも……ほむらちゃんになら……」
また、まどかを私が殺す、もう何度もまどかを殺してきた、それなのにためらってしまう
今までと同じ、拳銃の引き金を引いて鉛玉をあて、ソウルジェムを砕く、ただそれだけの事
たったそれだけの事が簡単にできない
ほむら「……ック……はぁ……はぁ……」
自分の腕が身体が自分のものではないようにカタカタと震える
視界もぼやけまどかしか見えない、まどかは笑顔だった、いつもと同じように……
まどかは震えながら、私に笑顔を向けていた
まどかのほうが怖くてしょうがないはずなのに……いつものように……
――前の世界、ワルプルギス戦後――
どれぐらい時間がたったのだろうか、わからない……ただ、近くで声が聞こえる……共に闘ってくれた人たちの声が
さやか「……私達……生きてるの……」
杏子「……あぁ……でも……」
ほむら「ん……」
杏子「起きたか……」
ほむら「まどかは!」
自分の体もなにもかもどうでもいい、まどかは契約してしまったのか、無事なのかが知りたかった
さやか「……これ……」
ほむら「ピンクの……ソウルジェム?」
杏子「まどかは……魔法少女になってソウルジェムを受け取った瞬間に……攻撃を受けて……」
ほむら「そ、それならまどかを探さないと!」
さやか「……駄目、ほむらは……みちゃ……だめだよ……」
さやかの弱気な声に、なぜ私がダメなのか、何故この二人は探そうとしていないのか、苛立ちを隠せない
ほむら「魔法少女なら自分の傷は治せるでしょう!まどかのソウルジェムが無事なら!」
さやか「あんな姿……あんたに見られたら……あの子はきっと絶望しちゃう……」
ほむら「だ、だったらあなた達が!」
杏子「ソウルジェムを近づけたら……あれだけのダメージだ……いくらまどかの魔力が膨大でも……」
杏子「あいつはワルプルギスの夜を自分ならって立ち向かおうとしたのに何も出来ずにやられた……」
杏子「お前との契約しないって約束を破った……仮に傷を直しても、自己嫌悪とともに絶望するんじゃないかい……」
信じたくなかった、聞き間違えであってほしかった
でも、ピンク色のソウルジェムが、それを真実だということを私に伝えていた
さやか「受け取って……まどかのソウルジェム……ほむらの戦いに連れていってあげて……」
さやか「まどかは……ほむらのこと守りたいって契約するとき言ってたんだ……」
杏子「まどかの事だ、ほむらと一緒にいることを望んでる、それに、きっとお前を守ってくれる」
手渡されるピンク色のソウルジェム、まどかの魂……私がまどかを救えなかった証……
私にもっと力があれば、私はどうしてまどかを救えないのか、ただ涙があふれた
杏子「……今度はマミも助けられるように頑張れよ……役に立てなくてごめんな……」
ほむら「……えぇ……必ず……次こそは……」
さやか「ごめんね、ほむら……何も手伝えない……ほむらを頼りにするしか……できない……」
杏子「また……私のこともよろしくしてやってくれ……お前と友達になれて嬉しかったよ……」
ほむら「えぇ……」
さやか「ごめんほむら……これ……頼んでいいかな……」
杏子「砕くような力も残ってないんだ……もう私もさやかも限界みたいなんだ……」
さやか「こんなことしか言えないけど……次こそはがんばってよほむら」
杏子「ほむらなら次は絶対……絶対まどかを……救えるさ……」
差し出されたのは黒いひび割れたソウルジェムが2つ、二人とも絶望しているのに私の背中を押してくれていた
まどかが殺され、絶望しそうなのに気を失っていた私を必死にワルプルギスが通り過ぎるまで守っていてくれたのだろう
私は何も言わずに二つのソウルジェムを砕き、何もない空間に独り言をつぶやいた
ほむら「行って……くるわね……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
前の世界の記憶がよぎった、前の世界の杏子やさやかはマミ助けられなかった私を許して最後には手助けしてくれた
ごめんなさいさやか、今回もダメだった、ごめんなさい杏子、今回も私には救えなかった
私は何度、大好きな友達を地獄に落とせばいいのだろう
私は何度繰り返したら大好きな友達を地獄に落とさないように救うことができるのだろう
誰かに許してもらえるような事じゃない、それでも謝りたかった
何度繰り返してもまどかを殺す事になんて慣れるわけがなかった、視界は涙でぼやけていた
それでも進まなくては、まどかを救うためにも進まなくてはいけない……
この結果は私が弱いから、この結果は私が最善を尽くせなかったから……その罰……
ほむら「まどか……ごめんね……また、助けられなかった……ごめんね……」
杏子「待てほむらあああああああああああ」
マミ「暁美さん!待ってええええええええ」
さやか「やめてええええええほむらああああ」
ほむら「あああああああああああああああああああああああああああああああああ」
顔は涙や鼻水、血、汗でぐしょぐしょだった
立っている感覚はない、全ての感覚が人差し指に集まっているようだった
そんな私をまどかはまっすぐに見つめていた、全てを受け入れまっすぐに
私がどんな選択をしても、私を支えようとしてくれていた
引き金を引き、パンという破裂音が響いた
今までの世界のまどかとの思い出が浮かぶ
どの時間軸のまどかも私にのせいで死んでいった
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
まどか「なんだかもえあがれーって感じがするよね!」
まどか「クラスのみんなには内緒だよ!」
まどかと初めて出会っておどおどしていた私を励ましてくれた言葉、まどかが私を魔女から救ってくれた時の言葉
このまどかはワルプルギスの前に倒れた、私なんかを守ろうとしたために死んでしまった
まどか「やったぁ!すごい、すごいよほむらちゃん!」
まどかが魔女を退治した私にだきついた時の言葉
このまどかは魔女になった、まどかが呪いを振りまく存在にしてしまったのは力のない私のせい
まどか「キュゥべえに騙される前の馬鹿な私を……助けてあげてくれないかな……」
まどか「ほむらちゃん、やっと名前で呼んでくれたね……嬉しい……な」
まどかとの約束、まどかを思わず名前で呼んだ時の言葉
このまどかは私がソウルジェムを砕いた、砕くことで……殺すことでしか救えない自分を呪いたかった
まどか「ほむらちゃん……ひどい事言ってごめんね……一緒に帰ろ……」
イレギュラーだらけの世界で私に言ってくれた言葉
このまどかは私が気を抜いたせいで死んだ、その日、一緒に帰る事はなかった
まどか「約束だよ、ほむらちゃんの事……絶対忘れたりしない!」
まどか「ほむらちゃんは、私の最高のお友達だね」
この世界で私に言ってくれた言葉
このまどかは私のせいで契約し、今、私によって……
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
命を奪えるわけがなかった……気がつけば上空に拳銃を向けていた
溢れる涙、折れた心、もうまどかとの約束を私は果たせない
もうまどかが人間として生きていくことはない
もうまどかは命がけの戦いを避ける事が出来ない……
気がつけば私は膝をつき、拳銃は手から滑り落ち、カシャンと音を立てていた
ほむら「……うぐ……撃てるわけ……ない……じゃない……」
マミ「はぁ……はぁ……暁美……さん……」
ほむら「できない……グス………できないよ……まどか……ヒック……できない……」
ほむら「だってあなたはまだ……絶望もしてない……魔女になりそうにもなってない……そんなあなたを殺すなんて……」
まどか「ほむらちゃん……」
自分のソウルジェムが濁っていくのがわかった、かなり魔力を消費した
このまま魔女になってここにいる4人に殺されるのもいい、ここにいる4人なら殺されても文句はない
何度もこの4人を殺した、見殺しにした、地獄に引きずり込んだ
杏子「お前が自分で選んだのに、逃げて絶望してんじゃねぇ!」
ほむら「結局……私の繰り返した時間では……まどかを救えなかった……」
さやか「絶対魔女になんてさせない!まどかの覚悟を無駄にするつもり!」
そう言ってさやかは私のソウルジェムにグリーフシードをあてた
奪い返す体力もなにもない、まどかが私に撃ち殺される覚悟をして止めたのはわかっている
それでも、もうまどかとの約束を守れない、かといってまどかを撃つような勇気もない
止まってしまった、進まなくてはいけないのに……その事実が私にじわじわと絶望を与え続ける
ほむら「やめなさい、グリーフシードの無駄よ……」
そう言ってもさやかはグリーフシードを無駄遣いし続けていた
もったいない、でも奪い返す気力もない、私の願いはもう届かない
そんな私をマミが上から見下ろしていた
マミ「……暁美さん、あなたの目的はもう遂行されていたのよ、鹿目さんは……契約なんてしていなかった」
何を言っているのか理解できなかった
ワルプルギスの夜を退治し、結界をはったりして私と戦ったまどかが魔法少女じゃない?
ありえない、馬鹿馬鹿しい話だ……慰めや冗談のつもりなら苛立ちすら覚える
ほむら「何を言っているのマミ、からかっているの?」
まどか「そ、そうですよマミさん、現に私は魔法少女に変身できるんですよ?」
マミ「……鹿目さん……キュゥべえと契約する時……キュゥべえに魂を抜かれてソウルジェムにされた記憶はある?」
まどか「え?」
マミ「暁美さんは、過去の鹿目さんのソウルジェムを持っていたわよね?まだ持ってる?」
ほむら「何を言って……」
マミ「あなたの大切なもの……何度か私達に自分が未来からきた証拠と見せてくれた……過去の鹿目さんのソウルジェム……」
マミ「鹿目さんがあなたの落とした過去の鹿目さんのソウルジェムを拾いキュゥべえと契約しようとした……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
まどか「ありがとう……」
――――
――
マミ「もう……黙って見届けるしか無いのね……」
杏子「下手すると一気に二人も仲間が減っちまうな……」
さやか「や、やっぱり止めよう!」
杏子「無駄だよ、仮に止めたとしてもほむらが自分の意志で残るって決めないと絶望するだけだ……」
杏子「いや、どっちを選んでも絶望するかもしれない……」
マミ「それに、鹿目さんの願いを考えると連鎖して2人の魔女が生まれてしまうわね……」
杏子「キュゥべえ……なにしにきやがった……」
キュゥべえ「魔法少女が集まっていたからね、様子を見に来たんだ」
キュゥべえ「おや?どうしてまどかが魔法少女になっているんだい?」
マミ「何を言ってるの?」
キュゥべえ「まどかとの契約は暁美ほむらに邪魔されたからね」
マミ「あのソウルジェムは暁美さんが持っていた過去の鹿目さんの!!」
さやか「止めなきゃ!ほむらを止めなきゃ!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マミ「キュゥべえをあなたを止めていたのよ……」
マミ「でも鹿目さんは暁美さんを助けたいという願いを叫び、過去の鹿目さんのソウルジェムで魔法少女になった……」
マミ「そして結果として暁美さんを守って……ワルプルギスの夜を退治した……だから全員が誤解していたのね……」
前の世界のまどかのソウルジェムを、私が落としたことに今気がつく
毎日大切にして、時には話しかけたりもしていたのに
ほむら「じゃあ……まどかは……」
マミ「えぇ、あなたは鹿目さんとの約束を……守っていたのよ」
杏子「キュゥべえ、まどかは契約してないんだよな?」
マミ「もう鹿目さんにどれだけ迫ってももう契約できない、まだ契約していないのに暁美さんを裏切ったりしないもの」
キュゥべえ「はぁ……たしかにまどかは契約していないよ……やれやれ……」
ほむら「え、あれ……わたし……あれ……やった……わたし……まどかとの約束を守れた……」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「まどか!まどかぁまどか、まどか!よかった……うあぁ……グス……まどかぁ……」
まどかに抱きつく、涙も血も汗も鼻水もなにもかも気にせず抱きついて泣き叫んだ
まどかが契約していない、私の目的は達成されていた
まどか「わ、ほ、ほむらちゃん」
さやか「こんな泣き方、いつものほむらからは考えられないや……」
マミ「それだけ長く戦ってきたのよ」
杏子「へ、良かったじゃん」
メガネをかけていたころよりも、何度も何度も失敗して自分の無力に涙した時よりも泣き虫になったように
ずっとずっと涙を流し続けていた、声がかれそうになるぐらいまどかの名前を叫び続けていた
そんな私をまどかは優しく抱きしめて頭をなでてくれていた
まどか「ほむらちゃん……グス……ありがとう……ほむらちゃん……ずっと……ずっとありが……とう……」
まどか「ほむらちゃん……ほむらちゃん……今まで苦しめてごめんね……ほむらちゃん……大好きだよほむらちゃん……」
その日、夜になっても私は泣き続けていた……まどかはずっと泣きながら抱きしめてくれた
さやかはわたしとまどかを抱きしめて一緒に泣いていた、でも笑顔だった
マミは泣き叫ぶ私の背中をさすっていた、お疲れ様、今まで頑張ったわねと涙を流しながら私をねぎらってくれた
杏子は涙声で、いつまで泣いてんだばーかと鼻水をすすりながら言っていた
やったよまどか、ついにあなたを救えたよ
―2週間後―
ワルプルギスの夜によって壊滅した部分は、皆の働きのおかげで少なく済んだ
そのため、2週間もしないうちに学校が始まっていた
そして、ある理由で私の一人暮らしのアパートを引き払うことした
だから杏子を泊めておくことはできない、マミの家に移ってもらうことになった
杏子「じゃ、私はマミの家に住み着くことにするよ」
マミ「私の家を荒らしたりしちゃだめよ佐倉さん」
ほむら「悪いわね、私の都合で」
マミ「気にしないで、じゃあこれから鹿目さんと末永くお幸せにね」
ほむら「も、もう!またからかって/// じゃあね!」
―まどホーム―
ほむら「え、えっと……その……きょ、今日からお、お世話になります暁美ほむらでひゅ!」
前によかったらここに住まないか? という話をされていたことをまどかが思い出し
私にお礼がしたいしから家に来てほしいと言われ、断り切れず承諾した
翌日にはおじさんとおばさんにまどかが許可をとり、私の引っ越す準備ができた今日からお世話になることになった
詢子「なんというか……前にあった時と随分印象が変わったねあんた、憑き物でもとれたのかい」
知久「雰囲気が明るくなったね、歓迎するよ、ようこそ」
タツヤ「ほむあー?」
まどか「これからよろしくね!ほむらちゃん!」
ほむら「え、えっと、住まわせてもらううえでのお金についてなんですが……」
世話になるからにはこういった事は大切なことだ、来て早々にこんな話をとも思わなくはないが
こんな子供におじさんもおばさんもお金の話を切り出しにくいだろうし早くにしておくことに越したことはない
詢子「そんなことどうでもいいから早速洗面所にいこうか」
ほむら「え?」
まどか「ほら、いこ! ほむらちゃん」
知久「ほどほどにしておくんだよー」
詢子「うーん……サイドテールもなかなか……」
まどか「ポニーテールも可愛いよ?」
詢子「ツインテールもいいね」
鏡の前に座らされ、すでに1時間以上が経過している
まどかとおばさんが二人で私の髪を何度も何度も髪型をいじられている
ほむら「あのー……」
詢子「リボンは間違いなくこのまどかの赤のリボンがいいね」
詢子「よし!まどかとほむらは今後このリボン1つずつを分けあいなさい」
まどか「うん!」
何かが決まったみたいだが、よくわからない……
まどかとおばさんは何かに納得したようだが
ほむら「何の話か見えないのですが」
詢子「まどかのポニーテールも悪くないからね、二人揃ってっていうのもなかなか……」
知久「そろそろご飯だよー」
――――
――
まどか「お疲れ様、ほむらちゃん」
ほむら「あの、部屋ってどうするのかしら?」
まどか「私の部屋がほむらちゃんの部屋になるよ!」
ほむら「え? じゃああなたの部屋は?」
まどか「そのままだよ?」
ほむら「え?」
まどか「ほむらちゃんが怪我した時、二人で寝れたから大丈夫だよ!」
ほむら「え、そ、それってつまり///」
まどかと二人で一つのベッドで眠るということ、これからいつも一緒の部屋で寝るということ
考えただけでゆでダコのように顔が赤くなってしまう……
詢子「まぁ同性でもお互いに好きだって言うなら止めはしないさ」
知久「うん、まどかが幸せなのが一番だね」
詢子「あの子も自分で親にここに住む許可をもらったみたいだし、かわいい娘が一人増えたみたいなもんだね」
知久「あんなにうれしそうなまどかは初めて見たよ」
詢子「にしても、知らない間に子供は成長するっても、まさかあんな美人をねぇ」
―翌日、通学路―
さやか「おはようまどか、ほむら、昨日からまどかの家に住み始めたんだっけ? 早速二人で仲良く登校?」
ほむら「お、おはようさやか」
まどか「おはようさやかちゃん」
さやか「しかも髪型が二人共かわったね、まどかがつけてた赤いリボンを2人でわけたんだ」
さやか「ほむらは美人だからいじりがいがあるんだろうねー」
ほむら「そ、そうかしら///」
さやか「にしても、あの頃が嘘みたいに明るくなったよね」
仁美「おはようございます、あら、暁美さん」
ほむら「おはよう志筑仁美」
さやか「おはよう仁美、ほむらと仁美もお互いをそろそろ名前で呼んだら?」
まどか「そうだよ、最近はいっつも4人で行動してるんだから」
仁美「そうですわね、おはようございますほむらさん」
突然志筑仁美に名前で呼ばれて戸惑ってしまう、こんなこともいままでなかった、毎日新しいことばかりだ
ほむら『そういえばさやか、上條くんは結局どうなったの?』
さやか『あんにゃろう仁美と私、二人に告白されてるのに保留してるんだよね』
ほむら『そう……』
さやか『でもさ、今度あいつが私のためだけに演奏してくれるって』
ほむら『嬉しそうね』
さやか『だって私は恭介のバイオリンが大好きだもん』
―学校―
下駄箱に入っているラブレターを見てうんざりする、しかし、返事はちゃんとしなくてはならない
私は好きな人が誰なのか言ってしまえばもうこんなこともないのだろうが……それで困るのは私だけではない
まどか「最近ラブレターが一気に増えたよねほむらちゃん」
さやか「雰囲気明るくなってから仁美よりもらう頻度多いよね、1日1通以上もらってるじゃん」
仁美「すごい人気ですわね」
さやか「くー、この二人に囲まれてたら私の魅力がかすんじゃうよ!」
まどか「てへへ、私も自信ないよ」
ほむら「最近あなた達はよく私をからかうようになったわよね……」
―昼休み、屋上―
まどか「それで、ほむらちゃんはラブレターの返事はどうするの?」
ほむら「断るわよ?」
ラブレターをもらうといつもまどかが不安そうに聞いてくる、私もいつも通りの返事をする
さやか「振られた人数の記録が更新してくねぇ」
仁美「迷う素振りひとつ見せずに断ってばかりだからこの数日だけで一刀両断の暁美なんて名前もできたみたいですわ」
ほむら「そう言われても好きでもない相手や、名前を聞いたこともない相手に告白されても……」
さやか「ある意味恋人はもういるっていうか同棲だもんねぇ」
さやかの言葉に思わず赤面してしまう、その恥ずかしさを隠したくてさやかに文句を言う
ほむら「ま、またからかって///」
まどか「てへへ///」
さやか「あーはいはいごちそうさま―」
仁美「禁断の恋、私は応援致しますわよ」
さやか「さて、おじゃま虫は退散しますか」
仁美「そうですわね」
まどかと二人きりの空間、静かに時間が流れ、風が心地よい
ただ隣にまどかがいる、それだけで嬉しかった、2週間前にここでまどかを殺そうとしたのが嘘のように感じられる
これは私が見ている夢なのではないか、そんなことを考えていると、まどかが私を見つめていた
まどか「ほむらちゃん、スキー旅行楽しみだね」
ほむら「マミとさやかが何か悪だくみを計画しているみたいだけど、大丈夫かしら」
まどか「さやかちゃんは悪戯好きだし、マミさんはほむらちゃんをからかうのも好きみたいだし」
ほむら「そう言われると最近はいつもからかわれている気がするわ……」
ほむら「それにしても……あの1ヶ月を乗り越えたなんてまだ夢みたいよ」
まどか「そうなの?」
ほむら「もう私に時間を操る力はない……最弱の魔法少女になった事をよく忘れるわ」
ほむら「おかげで最近はさやか同様に杏子やマミに怒られているもの」
時を止めようとして立ち止り、攻撃を受けそうになることがとても多くて怒られている
長くあの能力を使ってきたのでなくなってみると、やはり自分が魔法少女として弱いことを実感する
まどか「私も戦えたら……」
ほむら「だめよ、あなたは魔法少女の力を持っている人間だもの、傷つけば死んでしまう……」
まどか「でも、いざというときはほむらちゃんを守るために戦うよ」
最初の時間軸のまどかにはいつも守られ、助けられていた
どの時間軸でも私の心を守ってくれたのはまどかだった
こんなにまどかに守られているのに、それでもまどかは私を守ろうとしてくれているのがおかしかった
ほむら「ふふっまどかには守られてばかりね」
まどか「そうかな?私はほむらちゃんに守られてばかりだよ」
ほむら「そうかしら?」
まどか「うん、この1ヶ月だけでも本当にたくさんほむらちゃんに守られて、今までほむらちゃんに何度助けてもらったのかなって思うぐらい」
ほむら「これが支えあうって事なのかしら?」
まどか「うん、きっとそうだよ!」
まどか「私にとって、ほむらちゃんとはまだ出会って1ヶ月半しかたってないんだよね」
私にとっては数カ月なんてものではない、しかしこのまどかにとって私と出会ったのは1ヶ月半前の話だ
ほむら「そうね」
まどか「でも、たった1ヶ月で一番大切な人になっちゃうんだもん、びっくりだね」
ほむら「私も初めてあなたと出会ってから1ヶ月で憧れの人になったのよ?」
まどかに、私も同じようなものだったことを教える、最初は憧れ……気づけば一番大事な人
まどか「ね、ほむらちゃんのお話、もっといっぱい聞かせて」
まどか「思い出すのは辛い事もあるかもしれない、それでもほむらちゃんの大切な思い出を教えて欲しいの」
まどか「ほむらちゃんの過去……皆に聞いたけど、やっぱりほむらちゃんの口から話してほしいなって」
まどかに気を使わせたくなくて、話していなかったことを思い出す
どの世界のまどかがどんなことを私に言ってくれたのか、今でも思い出せる
ほむら「全ての時間軸のまどかを私は覚えているから、数日程度じゃ話しきれないわよ?」
まどか「それでも聞きたい、ほむらちゃんのこと、もっと知りたいよ」
まっすぐに私をみつめるまどか、その瞳はとても力強く、輝いていた
まるで一番最初の世界で、私を励ましてくれた、あのまどかと同じように……
それが懐かしくて、昼休みの残り時間が少ないのに最初の時間軸のまどかの話を始める
ほむら「最初の世界のまどかは、うじうじしていた私に話しかけてくれて、友だちになってくれたの」
ほむら「運動も勉強もできない私に勇気をくれたわ」
ほむら「まどかは私が転校してすぐに契約したみたいで、その力で私を魔女からたすけてくれたりもしたわね」
まどか「立場が逆になってるね」
ほむら「願いは車に轢かれたネコを助けることで、一度しか願いはかなわないのに野良猫のために祈ったらしいわ」
たった一度しかかなえてもらえない願い、それを知らない人や野良の動物のためにだって祈れる、これがどれほどすごいことか
一番多いのは自分のためだろう、二番目に多いのは家族、友人、大切な人のため、おそらくほとんどの魔法少女はこの二つに分けられる
ほむら「何でも願いを叶えてくれるのに野良猫のために祈れるまどかを本当に尊敬したわ」
ほむら「こんな暗くて何もできない私なんかがこの人のそばにいてもいいのかな、なんて考えてしまうほどに」
まどか「うーん、そんなほむらちゃんが想像できないや」
転校したばかりの自分を思い出す、今思えば本当に何もできない人間だった
ほむら「元々の私は、準備運動で倒れそうになっちゃうような体力のなさで」
ほむら「勉強は問題を当てられれば黒板の前で震えながら立ち尽くすだけだったわ」
まどか「そうなんだ、でもほむらちゃんって美人だから男の子が守ってあげたいってこなかったの?」
ほむら「私は三つ編みにメガネをかけていたからなのかしら、あまりそういうこともなかったわね」
ほむら「あったとしても、逆に怖がって逃げていたでしょうけど」
まどかに昔の自分を話していると、予鈴が鳴り響いた、まどかまで遅刻させるわけにはいかない
ほむら「そろそろ昼休みが終わるわね」
まどか「じゃあ続きは放課後ね!」
過去の話をするなら知ってほしい場所があった、今日の放課後はその場所にまどかを連れて行こう
良いとも聞いていないのにそんな決意を固めていた
ほむら「まどか、今日は二人で寄り道して帰らない?付き合ってほしい場所があるの」
まどか「いいよ、さやかちゃんと仁美ちゃんにはいっておくね」
ほむら「ありがとう、からかわれると思うけどお願いね」
まどか「うん」
―放課後、空き地―
まどか「ここ?」
ほむら「えぇ、おいでエイミー」
最初の世界でまどかがつけた野良猫の名前を呼ぶと、黒猫がでてくる
エイミー「にゃー」
まどか「あ、かわいい!エイミーっていうの?」
ほむら「お昼休みに話した、あなたが助けたネコがそのエイミーよ」
ほむら「繰り返すたびに助けていたの、事故にあわないように、あなたが契約しないように」
まどか「そうなんだ」
ほむら「えぇ、この子があなたと仲良くなるきっかけをくれたんだもの」
まどか「私が魔法少女になったってこと?」
ほむら「それもあるけど、まどかだけに懐いていた人見知りなこの子が私にも懐いてくれて、そこからお話をしたの」
ほむら「爪とぎしてるときのおしりがかわいいよねって」
まどか「すっごくかわいいよね、ぷりぷりってお尻をふってるところ!」
ほむら「ふふっ同じことを言うのね、私も可愛いと思いますって答えて二人でエイミーとじゃれあってたわ」
あの日の楽しい思い出が浮かぶ、暗くてうじうじしていて何もできない私と一緒にいてくれたまどか
人のために一生懸命で、どんな相手も守ろうとしてくれていた
ほむら「だからこの子は私にとってあなたとの原点」
ほむら「それを知ってほしくて来てもらったの」
まどか「そっか、教えてくれてありがとうほむらちゃん」
まどか「ところで、いつもここで世話をしてるの?」
ほむら「そうね、家で飼えないから過去に戻るたびにここで世話をしていたわ」
ほむら「静かで落ち着ける場所だったから、一人でよくエイミーとじゃれあって」
ほむら「落ち込んだ時とかには、エイミーに舐められて励まされてるような気持ちになれたわ」
何度エイミーに泣き言を言っていたのか、何度エイミーを抱きしめてその温かさに力づけられたか
まどかの次に励ましてくれた相手かもしれない
まどか「今度から私もほむらちゃんについていってここにきてお世話してもいいかな?」
ほむら「えぇ、もちろんよ、きっとエイミーも喜ぶわ」
エイミー「にゃー」
まどか「ふたりだけの秘密だね!」
ほむら「そうね」
まどか「これからよろしく、エイミー」
エイミー「にゃぁ」
エイミーとじゃれあうまどかを眺め、思わず笑みがこぼれた
私の顔をみたまどかもまた、私に笑みを返してくれた
空き地で制服が汚れる事も気にせずに二人で並んで横になる
まどかが私の手を握る
まどか「ね、ほむらちゃん、これからもずっと一緒にいようね」
ほむら「えぇ」
まどかの言葉に返事をする
私の夢は叶った、まどかと普通の幸せな日々を過ごす
毎日が楽しい、嬉しい
まどか「約束だよ、ほむらちゃん」
ほむら「えぇ、約束よ」
顔だけを相手の方に向ける
まどかとつないだ手をはなし、小指を合わせて、ゆびきりをし、約束する
この世界を歩んで行きたい、私の変わらない……まどかへの思いを持って
これからは喜びも悲しみも分け合って生きていきたい
空はとてもきれいな青さで、私たちの未来を祝福しているようだった
―――――――――――――――――――――――――――――――
まどか「急がないと!ほむらちゃんが」
「お願い、ほむらちゃんを止めてあげて」
私を抱きしめる
「私にはもう止めることはできないから……」
「あなたになら……魔法少女になっていないあなたになら……」
「ううん、あなたにしか止められないから……」
「私の力を……使って……」
私にキスをする、これで魔法少女の力が使えるはず
まどか「すごい雨……でも急がないと……走らないと!」
「頑張って」
―――――――――――――――――――――――――――――――
「いつか私を砕かないといけない日が来ると思う……でも……その時ほむらちゃんの隣にはこの世界の私がいるから」
「ほむらちゃんと私なら、きっとどんな困難も乗り越えられるから」
「その日が来るまで、私もこの幸せな世界を……この世界の私と大好きなほむらちゃんを見ていてもいいよね」
終わり
OPのまどっちがまどっちを抱きしめて変身するシーン
OPの夕暮れ時に覚悟を決めたまどっち、ほむほむが向き合っている場面
OPの雨の中を走るまどっち
から妄想して、ハッピーエンドがしたくてこうなった
地の文ってこんな感じでいいのかな?台本形式がやっぱり楽だわ
文章能力がしょっぱいのは許してほしい
妄想に付き合ってくれてありがとうございました
スキー旅行編はまたネタが浮かんだらやりたいと思う
その時はまた付き合ってくれるとそれはとっても嬉しいなって
>>630
糞スレ建てまくってるからまともに覚えてないけど
5人のソウルジェムがひとつになるとか
ほむほむにネコミミと尻尾が生えたのとか
ほむホームにまどっちが監視カメラをしかけるとか
ほむらちゃんがメガネをつけると弱気になるとか
マミさんがまどほむ、さやあんをくっつけようとするのに全員がすれ違ってるのとか
そんなのをやってた記憶は残ってる
見覚えのある内容ばかりだが一緒の人だったのか
猫耳と尻尾
まどか「猫耳と尻尾の生えた夢で出会った女の子が転校してきた」
メガネ
まどか「ほむらちゃんはメガネを付けると気弱になるんだよね!」
違ったらすまん
>>643
あってるよ
ただ、全部一発ネタのつもりでスレ建ててるっていう
正直いつも一発ネタでgdgdと続けて保守させてばかりで申し訳ないと思ってる
おつかれさま!
正直SSでこんなに面白いなと思ったのは初めてだよ。
ただ、小説として終わらせるなら>>606が良かったかな。
まっすぐに私をみつめるまどか、その瞳はとても力強く、輝いていた
まるで一番最初の世界で、私を励ましてくれた、あのまどかと同じように……
それが懐かしくて、昼休みの残り時間が少ないのに最初の時間軸のまどかの話を始める...
この物語がフェードアウトする感じが最高
終わってしまうのだけれども、どこか清涼感のあるEDに惹きつけられたよ。
細かいこと言ってしまい申し訳ない。
次の「スキー編」楽しみにしています。
>>665
今後の参考にします
見直すと駄目な部分がいっぱいあったりするから困る
おもしろかったがまどかのソウルジェムはほむらに取っては体外のいち物質だろ?
個人の時間跳躍に物質転移はダメじゃないか
自身のソウルジェムは別にしても
奇跡も
魔法も
あるんだよ
>>714
>>715-717が答えみたいだぞ
ワルプルギスの資料とか、1周で集められると思えない兵器をみて
盾の中に収納したらもっていけるんじゃねって妄想したの