1 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 22:33:57.42 qpIfbkOj0 1/19

小咲(一条君と春(小野寺の妹)が恋人になった…)

小咲(もちろん、体裁上は千棘ちゃんと一条君が恋人って事になってるんだけど…)

小咲(でも、実際は毎日一条君と春は一緒に会ってて…)


小咲「いいなぁ…」


小咲(でも、私は一条君が春の事を好きになったんだから、応援するって決めたんだ…)

小咲(うん!私は一条君が好きだけど…私は妹を応援する!)


小咲(…)

小咲(そう決めたはずだったんだけど…)




「よう小野寺。邪魔するぜ」

小咲「う、うん」


小咲「…」

小咲「………………」

小咲(あーーーーーーーーーー//)カァー

小咲(一条君が毎日うちに来るなんて、どんな拷問ーーーーーーー!?)



元スレ
小咲「一条君と春が恋人関係に…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400420027/

2 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 22:42:56.47 qpIfbkOj0 2/19

■次の日

小咲「というわけなんだ…」

るり「あっそう」

小咲「『あっそう』って、助けてよ!るりちゃん!」

るり「春が彼女になったって聞いて、小咲が心配だったんだけど、元気そうでなによりだわ」

小咲「で、でも大変なんだよ!」

るり「何が?」

小咲「毎日、デートの後に私にノロケ話をしてくるの!」

るり「へぇ~。それで一条君の話が聞けて嬉しいと」

小咲「それはそうなんだけど…って、違うの!」

るり「まぁ、春に一言、言っておいた方がよさそうね」

小咲「ご、ごめんね。一条君の事だと、春に話にくくて」

るり「いいわ。気にしないで」

3 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 22:51:40.89 qpIfbkOj0 3/19

■夕方 春の部屋

「るりさん、お久しぶりです」

るり「久しぶり。今日は春に用があるの」

「え?」

るり「直球で言うけど、小咲がノロケ話をするなってうるさいのよ」

小咲「るりちゃん!?直球すぎだよ!」

「え?ノロケ話?」

るり「毎日デートの後してるんでしょ?それを辞めてほしいって」


「してません!ノロケ話なんて!」

るり「え?」

「そもそも、あの人がどうしてーーーーもって、言うから付き合ってるだけで」

「私は何とも思ってませんし」

「それに私はお姉ちゃんが、あの人に相応しくないから諦めてほしくて、仕方なく恋人になっただけなんです!」

るり「そうなの?」

「ええ、そうなんですよ!もう面倒な男でして!」

4 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 22:56:06.22 qpIfbkOj0 4/19

るり「ところで、あのお菓子は食べていいの?」

小咲「あっ、あれは新作のお菓子だよね。ついに完成したんだ」

「うん。あとは味見してお姉ちゃんに仕上げてもらおうと思ってたの」

るり「じゃあ、味見するわね」

「え?」

小咲「私もちょっと食べてみようかな~♪」


「だ、だめーーーーーー!」

るり「え?」

「あっ」

小咲「?」


「そ、それは…その…ま、まだ味に自信がないので、あの人に先に毒見させようと…」

るり「毒見?」

「そう!毒見!一条先輩に毒見させて、問題なかったら、るりさんとお姉ちゃんにも」

小咲「…」

るり「あー。そうよね。そういうことね」

「そ、そうなんですよ。毒見が必要ですよね。やっぱり」

るり「普通、好きな人に一番に食べて貰いたいものね。ごめんなさい。気付かなくて」

「なっ!?」

小咲「ちょっと複雑だったけど、春が一条君を大切にしてくれて、私は嬉しいな♪」

「ちょっとお姉ちゃんまで!勘違い!勘違いだって!誰があんな人なんか!」

小咲「はいはい」

「何でニヤニヤしてるの!?お姉ちゃん!」

5 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 23:00:55.69 qpIfbkOj0 5/19

■夜 一条楽の家

ピンポーン

「はーい」

ガチャッ

「おぉ!春ちゃん!こんな夜遅くにどうしたんだ?」

「なんで来てくれなかったんですか?」

「え?」

「なんで今日は私の家に来てくれなかったんですか!」

「いや、宮本から『今日は春を借りるから』って聞いててさ」


「最初に言いましたよね!恋人の条件として『毎日会うこと』って!」

「いや、朝一緒に登校しただろ?」

「そうですか!じゃあさようなら!」

「ごめん!悪かったからちょっと待ってくれ!」

6 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 23:07:31.96 qpIfbkOj0 6/19

「何ですか?通報しますよ?」

「実はさ、今から会いに行こうと思ってたんだ!」

「嘘ですね」

「いや、ほらこれを渡そうと思ってさ」

スッ

「こ、これは…?」

「えーと、髪留め?シュシュっていうのか?とにかくそれだ」

「…」

「ほら、オレ達付き合って、ちょうど一週間だろ?だから記念にと思ってな」

「はぁ…まったくだめですね…」

「え?」

「一週間記念なら、普通にデートにでも誘ってくれた方が嬉しいんですよ」

「いや、別に嬉しいとかじゃなくて、一般論で」

「そうだったか…わりぃ…」

「まぁ、でも」



「これは貰っておきます。使わないと勿体ないので」

「…ああ、そうしてくれると嬉しいぜ」

「では、帰りますね」

「あっ。送っていこうか?」

「そんなの当たり前です!いちいち聞かないでください!」

「へいへい」


(プレゼントとか…まったく安易な人なんだから…)

(でも…)


「~♪」

7 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 23:14:09.32 qpIfbkOj0 7/19

■次の日

小咲「あれ?それ新しい髪留め?」

「うん。貰ったの」

小咲「よかったね。凄く似合ってると思うよ」

「べ、別に似合ってなんかないよ!」

小咲「あっ、もしかして一条君に貰ったの?良かったね」

「お姉ちゃん!?なんで私が先輩に物を貰うと嬉しいと思うの!?」


小咲(春のアホ毛が嬉しそうにピコピコ動いてて可愛いなぁ~)

「なんでニヤニヤしてるの!?お姉ちゃんってば!」

8 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 23:22:26.42 qpIfbkOj0 8/19

■登校中

「おはよう。春ちゃん、小野寺」

小咲「おはよう、一条君」

「おはようございます。先輩」


「…」

小咲「…」

「…//」カァー

(うぅ…やっぱり、いきなりプレゼントして貰ったものを着けるなんて、大胆だったかな…)

(で、でも、せっかく貰ったものだし…)

(そう!これは礼儀として着けてるだけで、別に褒めてほしくて着けたわけじゃ!)


「…」チラッ

「…」ジー

「っ//」カァー

(見られてる!みられてる!ミラレテル!!!!)

(どうしよう!どうしよう!どうしよう//)ドキドキ

(お、お姉ちゃん助けて…//)


小咲(一条君にあんなに見つめられて…いいなぁ…)

(何故か知らんが、春ちゃんのアホ毛が犬の尻尾みたいに動いて…可愛いな)

10 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 23:33:29.14 qpIfbkOj0 9/19

■放課後

千棘「あー春ちゃんだー……って、どうかしたの?」

「いえ、別に…」

千棘「?」


(とうとう、先輩に褒められる事なく一日が…)

(別に褒めてほしいわけじゃないけど、彼女が勇気を出して着けてきたのに、気付かないってどういう事!)

「…」イライラ

千棘「あー、もしかして、あいつの事?」

「…………いえ、別に」

千棘「許してやってよ」

「え?」

千棘「確かにあいつは超がつくほど鈍感で鈍くてバカでまぬけだけど…」

「…」

千棘「でも、悪い奴じゃないと思うんだ。だから許してやって」

「…」

千棘「ね?」

「別に怒ってませんが…桐崎先輩がそこまで言うなら」

千棘「えへへ。ありがとう」

「いえ…その私こそ、ありがとうございました。相談に乗ってくれて」

11 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 23:39:19.07 qpIfbkOj0 10/19

■帰り道

スタスタスタ

「でさー」

「そうなんですね」


「あっ、そういえば言い忘れてたんだが」

「?」

「その髪留め可愛いな。スゲー似合ってると思う」

「っ~//」カァー


「って、褒めるなら、最初に褒めてください!今更褒められても嬉しくなんかありません!」

「顔真っ赤でそんな事を言われても説得力がないぞ?」

「なってません!これは夕日のせいです!」


「あー…というか、褒めるの遅くなってすまん」

「話が前後してますが、その通りです!」

「いや、あの…その…あまりにもさ…」

「なんですか!?」

「春ちゃんが可愛くて…その褒めるの遅くなっちまった//」

「なっ//」


「って、顔真っ赤にして何をバカみたいな事を!」

「いや、春ちゃんも顔真っ赤だって」

「これは夕日のせいです!」

「じゃあオレも夕日のせいだ!」

「いーえ!先輩のは夕日のせいなんかじゃありません!」


「----!」


「--!」

12 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 23:44:57.57 qpIfbkOj0 11/19

■1ヶ月後

「---!!!」

「--!!」

小咲「あれ?またケンカ?どうしたの?」


「お姉ちゃん!いいところに!」

「小野寺!聞いてくれ!」


「一条先輩が、私の作った和菓子が美味しいっていうんだよ!」

小咲「え?」

「一条先輩が作ったケーキのほうが美味しいよね!?」

「いーや!絶対に春ちゃんが作った和菓子の方が美味しいって!」


「お姉ちゃんはどっちが美味しいと思う!?」
「小野寺はどっちが美味しいと思う!?」


小咲「えーと、その…ご馳走さまです」

13 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/18 23:52:09.44 qpIfbkOj0 12/19

■別の日 昼食の時間

るり「あれ?春も来てるの?珍しいわね…」

「はい!今日は特別です!」


「ふふふふふ。ついにこの時間が来たか!」

「へぇ…覚悟は決まってるようですね」

るり「?」


「てやーっ!オレの一条楽スペシャル弁当をくらえ!」

「なんの!愛情たっぷり彼女弁当を食べてみてください!」


パクッ

「う、うめぇ!」

「なっ!ただのおにぎりがここまで美味しくなるなんて…」


「くっ!春ちゃんも腕を上げたな…」

「先輩こそ…今日は互角ですね」


るり「なにこれ…」

14 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/19 00:02:28.73 LMMVIRfk0 13/19

■数分後

るり「え?別れる?」

「はい。なんというか、この人と恋人関係も面倒になってきたんで」

「そもそも私は好きで付き合ってるわけじゃありませんし…」

「そこで、一条先輩と話をして、『お弁当勝負でオレに勝ったら別れてもいいよ』って」

「それで、今日から毎日お弁当交換を…」


るり「あなた…『愛情たっぷり彼女弁当を食べてみてください』とか言ってたくせに…」

「え?い、言ってませんよ!」

小咲「実を言うとね。一条君とお弁当交換をしたくて、無茶苦茶な理由を…」

「お、お姉ちゃん!?」

るり「ふーん」

「もう!違うんですってば!」

15 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/19 00:08:29.43 LMMVIRfk0 14/19

■別の日

「え?春ちゃんと上手くいってるかって?」

「って、先輩方なにを聞いてるんですか!?」

千棘「いやー、普段ケンカばかりだから、心配になってきちゃってねー」

つぐみ「ふんっ、私はまだ貴様がお嬢以外と付き合ってるなど認めてないんだが…(以下略)」

「あーそれオレも気になるなー。楽、全然春ちゃんの事話してくれないしー」

小咲「…」

るり「小咲?」


「あー、まぁ、二人っきりの時はなー?」

「こっち見ないでください!」


「例えば、オレが座ってると、必ずオレの膝の上に座って…」

「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

「って、びっくりするだろ!」

「な、なにを適当な事を!」


「他にもオレが違う女子の話をしたら、すっごいヤキモチを…」

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

「だから、びっくりするだろ!」

「み、みなさん!これは一条先輩の妄想…そう夢で!」


千棘「あー、想像以上に仲良くやってて、びっくりだわ」

るり「そうね。ご馳走さま」

つぐみ(膝の上に座って…か//)

小咲(うぅ…部屋が隣だから、毎日聞こえてくるんだよね。このやり取り…)

「アハハハハ」

「ち、違うんですーーーーーーーーーー!!!!」

17 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/19 00:13:21.59 LMMVIRfk0 15/19

■放課後 春の部屋

「え?」

「だ、だから!今日はいっぱい傷付いたんです!責任取ってください!」

「えーと…どうすればいいのかな…」

「ギュッって!」

「え?」


「だから、ギュってしてください!まったくあなたは、それくらいもわからないんですか!!」

(こ、この子は赤面しながら、何を…//)

「早く!するんですか!?しないんですか!?」


ギュッ


「っ//」

「こ、これでいい?//」

「急に抱きつかないでください!びっくりしたじゃないですか!」

「ご、ごめん」

「だから、もうちょっと…もうちょっとだけそのままで…」

「お、おう//」

ギュウウウウウ

「はぅ……//」


小咲(うぅ…なんでウチの壁、こんなに薄いのぉー)

18 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/19 00:17:43.98 LMMVIRfk0 16/19

■別の日

千棘「…え?」

つぐみ「その…クロード様から、超高性能嘘発見機を…今度は小型でして…」

千棘「これで楽が私を愛してないというのを、暴けって事?」

つぐみ「はい。でもまぁ、現状が現状ですし、クロード様には嘘の報告をしようと思うのですが」

千棘「ごめんね。つぐみ…嘘の報告とか辛い思いをさせて」

つぐみ「いえ、これもお嬢の為ですから」

千棘「つぐみ…」

つぐみ「お嬢…」


「って、これはなんですか?」ヒョイ

千棘「え?」

つぐみ「こ、これはですね」

「わぁー、可愛い指輪ですね。ちょっと着けてみていいですか?」

千棘「あっ、これはね」

つぐみ「どうぞ。着けてみてください」

「わぁー。ありがとうございます♪」

千棘「って、つぐみ!?」ボソボソ

つぐみ「一条楽とどうなってるか気になりませんか?」ボソボソ

千棘「た、確かに気になるけど」ボソボソ

20 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/19 00:22:21.49 LMMVIRfk0 17/19

「おーい。そこに集まって何をしてるんだー?」

「ゲッ」ビー

つぐみ「一条楽!?」

千棘「ああ、つぐみが変わった指輪を持ってきてね」

「へぇー。春ちゃんが着けてるやつ?似合ってるな」


「はぁ?別に一条先輩に褒められても嬉しくないんですけど」ビー

千棘「…」

つぐみ「…」


「そういえば、たい焼きを買って来たんだが食うか?」

「…先輩…もしかして、私に食べ物を買ってくれば、喜ぶとか勘違いしてません?」ビー

「うーん。まぁ、正直言うと喜んで欲しいんだけどさ…」


「その、春ちゃんの笑顔を見ると、オレもその…なんだ…嬉しいんだよな」

「っ!?」

「えーと…まぁ、そういう事なんだけどさ…」


ギュッ


「え?手を握って…」

「ほら、だったらさっさと行きますよ!」

「え?え?」

「私を一杯喜ばせてくれるんでしょ?ちょうどたまたまお腹が減ってましたし」ビー

「お、おう。お腹が減ってたなら仕方ないよな」

「ええ、お腹ペコペコで仕方ありませんから」ビー

「一条先輩のおススメに連れて行って下さい!」

22 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/19 00:23:46.89 LMMVIRfk0 18/19

「ちなみに、美味しくなかったら承知しませんよ!」ビー

「ハハッ。大丈夫。春ちゃんとデートしたいから、常に美味しいところはチェックしてるんだよな」

「なっ!………チェックとか…どんだけ暇人なんですか…」ビー

「じゃあ、行こうぜ。あまり遅くなるとお母さんも心配するしさ」

「私のお母さんを『お母さん』って呼ばないでください!イラッっとします!」ビー

「悪かったから怒るなってば」

「ほら、早く行きましょう」



つぐみ「…」

千棘「…」

つぐみ「指輪どうしましょう?」

千棘「ま、まぁ、明日にしましょう。私にはあれを邪魔する気にならないわ」

つぐみ「そうですね…」

23 : ◆xW69XHZIXl2A - 2014/05/19 00:26:41.30 LMMVIRfk0 19/19

「なっ!この味は!」

「どうだ!美味いだろ!」




「って、なっ!これすごくうまいな!」

「ふふふふふふ。私だって日々お店の研究を…」

「オレの為にそこまでやってくれてたのか…素直に嬉しいぜ」

「なっ!?違います!これはあくまで私の!自分自身が食べたい為に!」ビー

「へぇ~」


「なんでニヤニヤしてるんですか!?すっごくムカつきます!」

「いや、春ちゃんが顔真っ赤にして否定するからさ。可愛くて可愛いくて…な?」

「な、ななっ!」

「それにオレの為に、そんなに一生懸命、店を探してくれたのかと思うと嬉しくて…」

「違うって言ってるでしょう!」ビー

「大丈夫。わかってるって」



「わかってない!絶対にわかってません!別れましょう!絶対に別れてやるーーーー!」ビー


「はいはい。弁当勝負に勝ったらな」

「絶対に明日こそは勝ってやりますからねーーーーーーー!!!!」ビー








       終わり

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