1 : VIPに... - 2014/05/17 21:38:31.93 dla6qx8xo 1/17

「……」

千棘「あれ、鶫? どうしたのよ」

「お、お嬢。いえ、なんでもないです」サッ

千棘「ん~? 今何隠したのよ」

「な、なんでもありません!」

千棘「いいから見せなさいよー」ササッ

「だ、ダメです!」

千棘「いいじゃない減るもんじゃないし!」サッ

「あっ!」

千棘「どれど……れ……」



「……」

千棘「……」

千棘(ど、どうしよう)



元スレ
鶫「私が表紙にいない……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400330301/

3 : VIPに... - 2014/05/17 21:39:47.00 dla6qx8xo 2/17

千棘「つ、鶫? この写真はどこで貰ったの?」

「ポーラからです。ポーラは友達から貰ったと言っていました」

千棘(風ちゃーん!? 記念にって言った写真何配ってんのよー!?)

「……」

千棘「ご、誤解なのよ。今何考えてるかわからないけれど、とにかく誤解なの」

「大丈夫です。お嬢の考えているようなことは思っておりません」

千棘「そ、そう? それなら――」

「それよりお嬢。突然ですが護衛の仕事をしばらく休ませていただきたいのですが」

千棘「え? なんで急に?」

「ヒットマン本来の仕事に打ち込んでいれば考えこむ暇もなくなりますから」ハハ

千棘「やっぱり全然大丈夫じゃないじゃない! と、とにかく落ち着きなさい! 今みんなを呼ぶから!」

4 : VIPに... - 2014/05/17 21:40:51.74 dla6qx8xo 3/17

「呼ばれて集まってみたけど……」

「……」ズーン

「ど、どうすんだよこの空気」ヒソヒソ

小咲「すっごい落ち込んでるよ!?」ヒソヒソ

千棘「と、とにかく誤解を解くのよ!」ヒソヒソ

万里花「誤解といいますが……まず何をどのように誤解されてますの?」ヒソヒソ

千棘「え?」

「聞いてねーのかよ! 誤解も何もねえだろそれ!」

千棘「し、仕方ないでしょ!? あんな鶫見て落ち着いていられるわけないじゃない!」

「まだ何も聞いてないのね。わかった。私が聞いてみるわ」

「羽姉が?」

「これでも年上だもの。それに成り立てだけどあなた達の先生なのよ? 生徒の悩みを解決するのも私の役目」

千棘「……わかりました。それじゃあお願いします」

「任せなさい!」

5 : VIPに... - 2014/05/17 21:41:47.47 dla6qx8xo 4/17

「鶫ちゃん? どうしてあの写真でそんなに落ち込んでるの?」

「首領。あの写真は首領も写ってましたね」

「ええ。鍵の話をした次の日に撮ったの~。後ここは学校だから首領はやめてくれると嬉しいな~」

「お嬢と小野寺様。一条楽に橘万里花。それに首領があの写真に写っていました」

「首領は来たばかりですが、他の4人は学校でよく一緒にいるメンバーです」

「そうね~。10年前も仲がよかったわ。もちろんあなたもよ?」

「それとここでは叉焼会とビーハイブの関係なんて気にしなくていいのよ? 奏倉先生とか羽姉って呼んで欲しいな~」

「昔はそうだったかもしれません。けれど私はヒットマンとして長く過ごしてきました」

「まだ皆に受け入れられてないのかもしれません。首領は叉焼会のボスでありながらすぐ学校の人気者になられていて、お嬢たちともすぐ打ち解けていて……」

「私は1年も前に転校しているのに……比べることすら失礼かもしれませんが、私と首領は大違いです。私の気持ちは首領には……」

「鶫ちゃん? ほらほら、先生モード」スチャッ

7 : VIPに... - 2014/05/17 21:43:26.70 dla6qx8xo 5/17

「コホン……確かに私には鶫ちゃんの気持ちはわからないわ。でも鶫ちゃんのいいところならいっぱい知ってるよ」

「私にすぐ人気者になったって言ったけど、鶫ちゃんなんて転校してすぐ女の子にキャーキャー言われてたんでしょ? ……これはちょっと違うかな?」アハハ

「でも女の子って知られてからしてすぐ告白されたって聞いたわよ~? しかもサッカー部のエース。学校の人気者に!」

「鶫ちゃんが私の事どう思ってくれてるのかわからないけれど、私から見たら鶫ちゃんも十分魅力的で人気者よ」

「ですが私は……」

「それに、あの4人があなたを受け入れてないなんてそんなことはないわ。千棘ちゃんがあなたが落ち込んでるって連絡したらみんなすぐに集まってくれたじゃない」

「……!」

「だから落ち込むことなんてないわ。全部あなたの誤解なの」ポン

「首領……ありがとうございます。首領にそう言っていただかなければ私は自分を見失うところでした」

「うん、鶫ちゃん。今の私先生っぽかったと思うの。ほらメガネメガネ」クイッ

「ところで首領、申し訳ありません。話を変えてもよろしいでしょうか」

「なんでも言っていいわよ~。でもそろそろ私の先生って呼んでっていうお願いも聞いてくれると嬉しいな」

8 : VIPに... - 2014/05/17 21:44:51.77 dla6qx8xo 6/17

「あの写真をなぜ首領たち5人で撮ったんですか?」

「わかったわ鶫ちゃん。怒ってるのね? 声色変わるくらい怒ってるのね? だから首領って呼ぶのやめないのね?」

「首領、そんなことございません。私が首領に怒りを抱くなど首領なに腹に据えかねることがあったとしてもありえません。首領、信じてください首領」

「さすがに不自然だよ? それにどんなにの発音がおかしかったよ?」

「首領な説明をすれば理解していただけるのかわかりませんが、私は本当に首領に怒りなど抱いては……」

「……ごめんなさい! 本当に悪かったと思ってるわ。でも全部楽ちゃんが悪いの」

「一条楽が……?」ピクッ

「そう、楽ちゃんが風ちゃんから記念に写真はどうですか、って言われたときに呼んだのが私たち4人だったの」

「そうですか。一条楽が呼んだのが首領たち4人だったんですね」ゴゴゴ

「うん、もう諦めるわ。じゃあ鶫ちゃん。ちょっと楽ちゃんたちとお話してくるね」

9 : VIPに... - 2014/05/17 21:47:16.83 dla6qx8xo 7/17

「誤解は解いたよ~」

「別の誤解生まれてるんだけど!?」

「落ち込んでたのはもう大丈夫! ただすっごい怒ってたみたいね~。落ち込んでるのに気を取られて全然気づかなかった」

千棘「あんな鶫見たことない……」

「銃で狙われてたときよりこええよ」

万里花「今の鶫さんには近づきたくありませんわね。何言っても逆効果になりそうですわ」

小咲「でも誰か行かないと……。誰が行く?」

千棘「そりゃダーリンしかいないでしょ」

「俺!?」

「楽ちゃんが呼んだって言っちゃってるからね~。楽ちゃん以外が行っても納得しないよきっと」

「そりゃ呼んだけど、あれは鍵持ってる人呼びましょうって言われて呼んだんだけど!?」

「そうだったの~。ごめんね知らなかった」ウフフ

「絶対嘘だ……」

千棘「とりあえず頑張ってきなさい!」

小咲「頑張って! 一条くん!」

(小野寺まで……!)

「わかった。行ってくる」

11 : VIPに... - 2014/05/17 21:49:24.06 dla6qx8xo 8/17

「よ、よう鶫」

「一条楽か」

「あの写真なんだけどな。あれはな、ええと……」

「一々まごつくな。さっさと言え」ギロッ

「は、はい!」ビシィ

(こ、こええ! 視線で殺されそうだ!)

「あれは鍵を持ってる4人で記念って話になったから撮っただけで、別にお前を仲間外れにしようとかそういうわけじゃなかったんだよ」

「ほう。鍵を持っている4人か。お前は鍵を渡すときに約束をしたんだったか?」

「お、おう。そうなんだよ」

「ところでこれには煽り文が付いているな。五人五月五月晴れ……」

「鍵や約束といった言葉はどこに書いているんだ?」

「え? や、それはその……」

「もっと言えば鍵も錠も写っているようには見えないのだが」

「み、見せるとなんかバランスが悪いって話になって……」

「鍵も見せないのに鍵を持った4人が集まった記念写真か。面白い記念だな」

12 : VIPに... - 2014/05/17 21:52:14.09 dla6qx8xo 9/17

「えーっと……あ! ほ、ほら。10年ぶりのさいか……」

「私がさっき鍵や約束と言って再会と言わなかったのはな」

「は、はい」

「私も10年前に会っているからだ。……ああ、そうか。貴様は忘れていたのだからな。再会という気はないのか」

「い、いや。そういうわけでは……」

「ちなみに、お嬢と小野寺様も10年前のことは覚えてなかったと記憶しているが。まあ要するに貴様にとって私はその程度の認識でしかないのだな」

「そっそんなことはねえよ」

「さっきから全く納得の行く話を聞いていないのだが、その言葉をどう信じれば良いのか教えてくれ」

「それはその……」

万里花「そこまでですわ!」

13 : VIPに... - 2014/05/17 21:53:05.38 dla6qx8xo 10/17

「……なんだ橘万里花。私は今一条楽と話をしているのだが」ギロッ

万里花「そ、その程度の視線では怯みませんわよ!」

「ほう」

万里花「さっきから黙って聞いていれば楽様が言い返せないのをいいことに言いたい放題。楽様が許してもこの私が許しませんわ!」

「言い返せないあいつが悪い。まあ、そこまで言うのなら貴様が説明してみるがいい」

万里花「先程写真に鍵が写っていないとかなんとか言っていましたが、そんなもの些細な問題ですわ」

万里花「あれは私たちの記念写真なのですから、鍵が写っていなかろうと私達がわかっているのだからどうでもいいのです」

「なるほど。貴様の言い分はわかった」

万里花「ええ、そうでしょう。ですからいい加減機嫌を直して……」

「貴様の持っている鍵は何の鍵なんだ?」

万里花「はい? そんなの楽様のペンダントの鍵に決まっていますわ!」

「一条楽から貰ったことを覚えているのか?」

万里花「そんなもの覚えていなくても、私は確信しております」

14 : VIPに... - 2014/05/17 21:54:47.15 dla6qx8xo 11/17

「要はわからないのだろう。まどろっこしい」

万里花「わびさびのわからない方ですわね」

「何がわびさびだ。一条楽。貴様は鍵を何人に渡したんだ?」

「はっきり覚えてねえけど多分1人だ。というかペンダントも1つだしな」

「だろうな。……ところで私にも小さいころ、10年前から大切にしている鍵がある」

万里花「え?」

「これだ」チャリ

万里花「!!」

万里花「あ、あなたも持ってましたのね」

「ま、マジかよ……」

(絵本には4本しか出てなかったのに……せっかくの手がかりが当てにならなくなっちまった)

15 : VIPに... - 2014/05/17 21:55:39.53 dla6qx8xo 12/17

万里花「まっまああなたが持っていても構いませんわ。楽様の約束した相手は私なのですから、あなたの鍵は楽様から渡されたものではありません!」

「ああ。これは小さいころクロード様に貰った小道具箱の鍵だからな」

万里花「」コケッ

万里花「お、驚かされんでくれんね!?」

「何がしたいんだよお前は!?」

「貴様が約束した相手は一人なのだろう? ならば私とその1人以外の3人。何が違うのだ」

「え? えーっと……」

「貴様が渡した相手が1人ならばそれ以外の鍵は別の鍵ということだろう。私とその3人に、わからないという以外どんな違いがあるというのだ」

万里花「そう言われると……」

「……私もクロード様にいただいたことを忘れていれば、写真に入れていたのだろうか? そんな不義理な仮定、しても仕方がないが」

「そ、その……そうだ! 絵本! あれには4本しか載ってなかったから」

「そうだな。その場合首領が来る前に4本揃っていたことになったな」

「うっ」

「そもそも私が鍵を持っていると言ったとき動揺しただろう。その程度の信用性のものを持ち出すな」

「はい……」

「それで次は何を……」

小咲「つ、鶫ちゃん。ちょっといいかな?」

16 : VIPに... - 2014/05/17 21:58:33.92 dla6qx8xo 13/17

「小野寺様? 一体何でしょうか」ゴゴゴ

小咲「い、いやその。私たちが5人で写った理由ってこういうことじゃないかなーって思って……」

「小野寺様もですか。ぜひ拝聴させてください」

小咲「えーっとね。語呂合わせだったんじゃないかなって」

「」ピクッ

千棘万里花「あ」

小咲「ほら、五人五月五月晴れって書いてるじゃない? だから5人で――もがっ」

千棘「小咲ちゃん。ストップ」グイッ

小咲「え?」

万里花「その、小野寺さん。みんなあえて言ってませんでしたの」

小咲「え?」

万里花「鍵を持った4人に楽様を合わせてちょうど5人。それで五人五月五月晴れ……」

万里花「鶫さんもおそらくわかっていたと思いますわ。でもだからといってそのまま伝えるのはあまりに……」

小咲「え?」ダラダラ

17 : VIPに... - 2014/05/17 21:59:51.38 dla6qx8xo 14/17

「」プルプル

小咲「あ、あの鶫ちゃ……」

「……ひっく」

一同(あ)

「うわぁぁぁん! 鍵を持った4人と1人で5人の語呂合わせだなんてわかってました! でも、でも語呂合わせで私だけ入れてもらえなかったなんてそんなの、そんなの酷いじゃないですか!」ウワァァン

千棘「よしよし。鶫、私が言えることじゃないかもしれないけど、あんまり泣かないの」

「お嬢……」ヒック

千棘「ごめんね鶫。そんなに傷つくなんて思わなかったの。どうしたら泣き止んでくれる? 何言ってもいいわよ」

「……私は……」

18 : VIPに... - 2014/05/17 22:03:27.05 dla6qx8xo 15/17

「……お前、本当にこれでいいのか?」

「これでいい」

「でも写真撮るならツーショットじゃなくて、みんなで撮ったほうがいいんじゃねえの?」

「いいんだ!」

「まあそういうならいいんだけどよ」

小咲「鶫ちゃん、さっきはごめんね」

「いえ、わかっていたことですから。気になさらないでください」グスッ

小咲「う、うん」

万里花「まあ今回は見逃して差し上げますわ」

「貴様に見逃してもらう必要などない。……その、お嬢」

千棘「ああ、私のことは気にしなくてもいいわよ。こいつが元凶なんだから、責任取らせなくちゃ」

「ありがとうございます」

「責任って誤解だって話しただろ!?」

「知らん」プイッ

「お前なあ……」

「そろそろ撮るよ~。2人ともこっち向いて」

「は、はい」

「おう」

19 : VIPに... - 2014/05/17 22:05:34.32 dla6qx8xo 16/17

「それじゃ撮るよ~」

(……私はなぜあんなに怒っていたのだろう)

(冷静に考えればただ約束したという鍵を持っている4人と錠を持っている1人が写真を撮ったというだけだ。私がそこにいなくても不思議じゃない)

(仲間外れにするだなんて、そんなことをしないのは私がよく知っている。ただ本当に記念だったのだろう)

(なら、私が怒ったのは……)チラッ

「ん? おい鶫。もうシャッター切るとこだぞ」

「ああ、わかってる」

(そばで見られている。声をかけられている。それだけで体も心もどうしようもなく苦して、切なくて、心地良い)

(……ああ、そうか。私はこいつのことが―ー)

「はい、チーズ」

「」チュッ

千棘小咲万里花「!?」

20 : VIPに... - 2014/05/17 22:07:32.76 dla6qx8xo 17/17

「……つっ鶫!? お前今、ほっぺに、……ええっ!?」

「……!」

(い、今私は何を!? お、お嬢の恋人なのに!?)

(……でも、なんだろう。スッキリした)フフッ

「一条楽」

「鶫、今のは……」

「なんで今みたいなことをしたのか私にもわからない。……でも、もう私のことを忘れるな。お願いだ」

「あ、ああ」

「そ、それだけだ。じゃあな!」ダダダダッ

千棘「……あ! ちょ、鶫!? 待ちなさーい! 今のはどういうことー!?」ダダダダッ

小咲「鶫ちゃんが、鶫ちゃんが一条くんに……」グルグル

万里花「あ、甘い顔なんかするんじゃありませんでしたわ……! 一生の不覚!」

「え、あいつまさか俺のこと……? い、いやないない! で、でも……えー!?」

「……青春だなあ。私も負けないけどね!」

終わり

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